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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017635
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】忌避システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20240201BHJP
【FI】
A01M29/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120404
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】北野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】宮田 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】瓜谷 真幸
(72)【発明者】
【氏名】日高 卓
(72)【発明者】
【氏名】中楯 哲史
(72)【発明者】
【氏名】福田 久展
(72)【発明者】
【氏名】木村 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】細川 一昂
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA07
2B121DA62
2B121DA63
2B121DA70
2B121EA23
2B121FA13
2B121FA14
(57)【要約】
【課題】寒冷地での使用性を向上させることが可能となる、忌避システムを提供すること。
【解決手段】忌避システム1は、忌避対象に対して気体を噴射するための噴射機構10を備え、噴射機構10は、噴射口を有する吹出管20と、所定方法で加圧された気体を吹出管20に供給する供給部30と、供給部30と吹出管20との相互間に設けられる中継管50と、中継管50に設けられる切替弁60と、中継管50における切替弁60よりも供給部30側の部分に設けられる減圧部70であり、中継管50の下流側部分50aの圧力値を抑制圧力値に設定することが可能な減圧部70と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域内にいる忌避対象を前記所定領域外へ忌避させるための忌避システムであって、
前記忌避対象に対して気体を噴射するための噴射手段を少なくとも1つ以上備え、
前記噴射手段は、
前記気体を噴射する噴射口を有する吹出管と、
所定方法で加圧された前記気体を前記吹出管に供給する供給手段と、
前記供給手段と前記吹出管との相互間に設けられる中継管であって、前記供給手段から供給される前記気体を前記吹出管に送出するための中継管と、
前記中継管に設けられる切替弁であり、前記中継管内の前記気体を前記吹出管に送出するか否かを切り替えるための切替弁と、
前記中継管における前記切替弁よりも前記供給手段側の部分に設けられる減圧手段であり、前記中継管の内部における当該減圧手段よりも前記切替弁側の部分である下流側部分の圧力値を、前記中継管の内部における当該減圧手段よりも前記供給手段側の部分である上流側部分の圧力値よりも低く、前記吹出管の内部の圧力値よりも高く、且つ前記下流側部分で結露の発生を抑制可能な抑制圧力値に設定することが可能な減圧手段と、を備える、
忌避システム。
【請求項2】
前記減圧手段を、前記中継管における前記供給手段側の端部の近傍部分に配置した、
請求項1に記載の忌避システム。
【請求項3】
前記切替弁を、前記中継管における前記吹出管側の端部又はその近傍部分に配置した、
請求項1又は2に記載の忌避システム。
【請求項4】
前記下流側部分の圧力値を、前記抑制圧力値と、前記上流側部分の圧力値と略同一である非抑制圧力値とに設定することが可能となるように、前記減圧手段を構成し、
前記下流側部分の圧力値を前記抑制圧力値に設定する設定タイミングが到来しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記下流側部分の圧力値が前記抑制圧力値又は前記非抑制圧力値のいずれかに設定されるように、前記減圧手段を制御するための減圧制御手段と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載の忌避システム。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記所定領域に関する日時を示す日時情報、前記所定領域に関する気温を示す気温情報、又は/及び前記所定領域に関する天候を示す天候情報を所定方法で取得し、
前記取得した前記日時情報、前記気温情報、又は/及び前記天候情報に基づいて、前記設定タイミングが到来しているか否かを判定する、
請求項4に記載の忌避システム。
【請求項6】
前記切替弁の開閉状態の切り替えを制御するための切替制御手段を備え、
前記切替制御手段は、前記中継管の内部で結露が発生しやすい発生タイミングが到来している際に、前記切替弁の開閉状態を開放状態に切り替えることにより、前記気体を前記噴射口を介して噴射させる結露抑制処理を、定期的に行う、
請求項1又は2に記載の忌避システム。
【請求項7】
前記供給手段から供給される前記気体を除湿する除湿手段を備える、
請求項1又は2に記載の忌避システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、忌避システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物に対する鳥害を防止するための忌避システムが提案されている。このような忌避システムとしては、例えば、忌避対象に対して気体を噴射するための噴射機構を備え、この噴射機構は、気体を搬送する吹出管と、吹出管に設けられた少なくとも1つ以上の噴射口と、配管を介して吹出管に気体を供給するための供給源と、供給源から供給された気体を加圧するコンプレッサと、配管に設けられたバルブであって、コンプレッサにて加圧された気体を吹出管に送出するか否かを切り替えるためのバルブと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。また、バルブの状態が気体を吹出管に送出しない状態に切り替えられている場合には、配管の内部におけるバルブから供給源側の部分に至る上流側の部分の圧力値を、配管の内部におけるバルブから吹出管側の端部に至る下流側の部分の圧力値よりも高くできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-92427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、寒冷地において忌避システムを設置するニーズが高まっている。ここで、上記従来の忌避システムにおいては、上述したように、バルブの状態が気体を吹出管に送出しない状態に切り替えられている場合に、上記上流側の部分の圧力値を上記下流側の部分の圧力値よりも高くできるので、例えば、上記上流側の部分の圧力値が高くなることに伴って上記上流側の部分の温度と外気温度との温度差が過大になると、上記上流側の部分に結露が生じやすくなることから、当該結露で生じた水が凍結することにより配管の破損が生じてしまうおそれがあった。よって、寒冷地での使用性を向上させる観点からは、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、寒冷地での使用性を向上させることが可能となる、忌避システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の忌避システムは、所定領域内にいる忌避対象を前記所定領域外へ忌避させるための忌避システムであって、前記忌避対象に対して気体を噴射するための噴射手段を少なくとも1つ以上備え、前記噴射手段は、前記気体を噴射する噴射口を有する吹出管と、所定方法で加圧された前記気体を前記吹出管に供給する供給手段と、前記供給手段と前記吹出管との相互間に設けられる中継管であって、前記供給手段から供給される前記気体を前記吹出管に送出するための中継管と、前記中継管に設けられる切替弁であり、前記中継管内の前記気体を前記吹出管に送出するか否かを切り替えるための切替弁と、前記中継管における前記切替弁よりも前記供給手段側の部分に設けられる減圧手段であり、前記中継管の内部における当該減圧手段よりも前記切替弁側の部分である下流側部分の圧力値を、前記中継管の内部における当該減圧手段よりも前記供給手段側の部分である上流側部分の圧力値よりも低く、前記吹出管の内部の圧力値よりも高く、且つ前記下流側部分で結露の発生を抑制可能な抑制圧力値に設定することが可能な減圧手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の忌避システムは、請求項1に記載の忌避システムにおいて、前記減圧手段を、前記中継管における前記供給手段側の端部の近傍部分に配置した。
【0008】
請求項3に記載の忌避システムは、請求項1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記切替弁を、前記中継管における前記吹出管側の端部又はその近傍部分に配置した。
【0009】
請求項4に記載の忌避システムは、請求項1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記下流側部分の圧力値を、前記抑制圧力値と、前記上流側部分の圧力値と略同一である非抑制圧力値とに設定することが可能となるように、前記減圧手段を構成し、前記下流側部分の圧力値を前記抑制圧力値に設定する設定タイミングが到来しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記下流側部分の圧力値が前記抑制圧力値又は前記非抑制圧力値のいずれかに設定されるように、前記減圧手段を制御するための減圧制御手段と、をさらに備える。
【0010】
請求項5に記載の忌避システムは、請求項4に記載の忌避システムにおいて、前記判定手段は、前記所定領域に関する日時を示す日時情報、前記所定領域に関する気温を示す気温情報、又は/及び前記所定領域に関する天候を示す天候情報を所定方法で取得し、前記取得した前記日時情報、前記気温情報、又は/及び前記天候情報に基づいて、前記設定タイミングが到来しているか否かを判定する。
【0011】
請求項6に記載の忌避システムは、請求項1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記切替弁の開閉状態の切り替えを制御するための切替制御手段を備え、前記切替制御手段は、前記中継管の内部で結露が発生しやすい発生タイミングが到来している際に、前記切替弁の開閉状態を開放状態に切り替えることにより、前記気体を前記噴射口を介して噴射させる結露抑制処理を、定期的に行う。
【0012】
請求項7に記載の忌避システムは、請求項1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記供給手段から供給される前記気体を除湿する除湿手段を備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の忌避システムによれば、噴射手段が、噴射口を有する吹出管と、所定方法で加圧された気体を吹出管に供給する供給手段と、供給手段と吹出管との相互間に設けられる中継管と、中継管に設けられる切替弁と、中継管における切替弁よりも供給手段側の部分に設けられる減圧手段であり、中継管の下流側部分の圧力値を抑制圧力値に設定することが可能な減圧手段と、を備えるので、切替弁の状態が中継管内の気体が吹出管に送出されていない状態において、減圧手段によって中継管の下流側部分で結露が発生することを抑制できる。よって、上記結露で発生した水が凍結することで中継管が破損することを回避しやすくなることから、寒冷地での忌避システムの使用性を向上させることが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の忌避システムによれば、減圧手段を、中継管における供給手段側の端部の近傍部分に配置したので、減圧手段を中継管における供給手段側の端部から離れた部分に配置する場合に比べて、中継管内において結露の発生を抑制でき、当該結露で生じた水が凍結することを低減できる。
【0015】
請求項3に記載の忌避システムによれば、切替弁を、中継管における吹出管側の端部又はその近傍部分に配置したので、切替弁を中継管における吹出管側の端部から離れた部分に配置する場合に比べて、中継管内において吹出管の内部の圧力よりも高い圧力を有する気体を多く収容でき、忌避システムの機能(具体的には、気体の噴射機能)を確保しやすくなる。
【0016】
請求項4に記載の忌避システムによれば、設定タイミングが到来しているか否かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて、下流側部分の圧力値が抑制圧力値又は非抑制圧力値のいずれかに設定されるように、減圧手段を制御するための減圧制御手段と、をさらに備えるので、中継管の下流側部分の圧力値を状況に応じた圧力値に設定でき、忌避システムの使用性を高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の忌避システムによれば、判定手段は、日時情報、気温情報、又は/及び天候情報を所定方法で取得し、取得した日時情報、気温情報、又は/及び天候情報に基づいて、設定タイミングが到来しているか否かを判定するので、設定タイミングを正確に判定でき、中継管の圧力値を状況に応じた圧力値に設定しやすくなる。
【0018】
請求項6に記載の忌避システムによれば、切替制御手段は、発生タイミングが到来している際に、切替弁の開閉状態を開放状態に切り替えることにより、気体を噴射口を介して噴射させる結露抑制処理を、定期的に行うので、発生タイミングが到来している際に、結露抑制処理を定期的に行うことができ、中継管の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【0019】
請求項7に記載の忌避システムによれば、供給手段から供給される気体を除湿する除湿手段を備えるので、供給手段から供給される気体を除湿でき、中継管の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る忌避システムが設けられた建物を示す斜視図である。
図2図1の平面図である。
図3図2のA-A矢視断面図である。
図4】制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
図5】実施の形態2に係る制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
図6】実施の形態2に係る設定処理のフローチャートである。
図7】実施の形態3に係る切替処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る忌避システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、所定領域内にいる忌避対象を所定領域外へ忌避させるための忌避システムに関する。
【0023】
ここで、「所定領域」とは、忌避対象による被害が受ける可能性がある領域を意味する。この所定領域は、例えば、建物の屋上外周部(一例として、屋上に設置されたパラペット部、手擦部、パラペット部上に取り付けられる避雷導体等)、建物の屋上中央部、建物の搬入口近傍に設けられた庇の外周部又は下部、太陽光パネルやアンテナの上端部、田畑の外周部等を含む概念であるが、実施の形態では、建物の屋上外周部として説明する。
【0024】
また、「忌避対象」とは、所定領域から忌避させる対象であり、例えば、鳥獣、害虫等を含む概念であるが、実施の形態では、ドバトやカラス等の害鳥として説明する。
【0025】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0026】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る忌避システムについて説明する。この実施の形態1は、後述の検知部の検知結果に基づいて忌避対象に対して後述の気体を噴射する形態である。
【0027】
(構成-設置場所)
最初に、実施の形態1に係る忌避システム1が設置される設置場所の構成について説明する。
【0028】
以下の説明では、図1のX方向を建物の左右方向(-X方向を建物の左方向、+X方向を建物の右方向)、図1のY方向を建物の前後方向(+Y方向を建物の前方向、-Y方向を建物の後方向)、図1のZ方向を建物の上下方向(+Z方向を建物の上方向、-Z方向を建物の下方向)と称する。
【0029】
忌避システム1は、建物2の屋上部に設置されている。具体的には、図1に示すように、後述の忌避システム1の吹出管20が建物2の屋上外周部3に設けられている。なお、上述した「屋上外周部3」は、特許請求の範囲における「所定領域」に対応する。
【0030】
ここで、後述の吹出管20を屋上外周部3に設けた理由は、以下に示す通りとなる。
【0031】
すなわち、図3の忌避対象OAである害鳥は、建物2のうち見晴らしがよい高い場所に止まって建物2やその周囲の安全を確認してから、徐々に建物2に降りて営巣行為等を行うという習性を有している。このことを踏まえると、忌避対象OAが最初に飛来しやすい上記見晴らしがよい高い場所、すなわち、屋上外周部3に後述の吹出管20を設けることで、屋上外周部3内にいる忌避対象OAを効果的に忌避させることができ、建物2に対する鳥害を防止できると考えられるからである。
【0032】
また、建物2の具体的な構成については、実施の形態1では、図1に示すように、建物2の屋上は略矩形状に形成されており、屋上外周部3にはパラペット部4が複数設けられている。このパラペット部4は、縦断面形状が多角形状(一例として、略四角形状、又は略六角形状等)となるように形成されたコンクリート製(又は金属製)の長尺体であり、屋上外周部3の略全体にわたって設けられている。
【0033】
(構成-忌避システム)
次に、実施の形態1に係る忌避システム1の構成について説明する。
【0034】
忌避システム1は、所定領域内(具体的には、屋上外周部3)にいる忌避対象OAを所定領域外へ忌避させるためのシステムであり、図1に示すように、噴射機構10を少なくとも1つ以上備えている(図1では、1つの噴射機構10を備えている)。
【0035】
(構成-忌避システム-噴射機構)
噴射機構10は、忌避対象OAに対して図3の気体Aを噴射するための噴射手段であり、図1から図3に示すように、吹出管20、供給部30、コンプレッサ40、中継管50、切替弁60、減圧部70、検知部80、及び制御ユニット90を備えている。
【0036】
ここで、「気体A」の具体的な種類については任意であるが、例えば、空気、空気以外の気体(一例として、特殊ガス(例えば、害鳥が嫌う香りを含むガス))等を含む概念であるが、実施の形態1では、空気として説明する。
【0037】
(構成-忌避システム-噴射機構-吹出管)
図1に戻り、吹出管20は、気体Aを噴射する噴射口20aを有する管である。この吹出管20は、例えば、当該吹出管20の上流側端面が開放端であり、且つ当該吹出管20の下流側端面が閉鎖端である公知の長尺な配管(一例として、金属製(例えば鋼製)の空気用配管)等を用いて構成されている。
【0038】
また、この吹出管20は、屋上外周部3に複数設けられており、具体的には、図1図2に示すように、屋上外周部3の左側部分、右側部分、前側部分、及び後側部分にそれぞれ設けられている(つまり、4つ設けられている)。
【0039】
なお、以下では、必要に応じて、複数の吹出管20のうち、屋上外周部3の左側部分に設けられる吹出管21を「左側吹出管21」と称し、屋上外周部3の右側部分に設けられる吹出管22を「右側吹出管22」と称し、屋上外周部3の前側部分に設けられる吹出管23を「前側吹出管23」と称し、屋上外周部3の後側部分に設けられる吹出管24を「後側吹出管24」と称する。
【0040】
また、吹出管20の具体的な形状及び大きさについて任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0041】
すなわち、吹出管20の縦断面形状は、略円環状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略円環状以外の形状(一例として、略矩形環状、略楕円環状等)に設定してもよい。
【0042】
また、吹出管20の内径及び管長については、噴射口20aから噴射される気体Aの速度が噴射口20aから所定距離(例えば、10cm等)離れた位置で所望の速度(例えば8m/sec以上の速度)を確保できる長さに設定しており、例えば、吹出管20の内径が10φ~20φ程度に設定し、吹出管20の管長が5m~10m程度に設定してもよい。
【0043】
また、吹出管20の設置方法については任意であるが、実施の形態1では、吹出管20をパラペット部4の上端部の長手方向の略全長にわたって配置すると共に、当該上端部に這わせるように配置し、パラペット部4に対して固定具等によって固定している。
【0044】
(構成-忌避システム-噴射機構-吹出管-噴射口)
噴射口20aは、各吹出管20の壁部において複数設けられており、具体的には、相互に間隔を隔てて吹出管20の長手方向に略沿って複数並設されている。
【0045】
また、噴射口20aの具体的な形状及び大きさについて任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0046】
すなわち、噴射口20aの形状は、略真円状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略多角形状(一例として、略矩形状等)、略楕円形状に設定している。
【0047】
また、噴射口20aの外径については、噴射口20aから噴射される気体Aの速度が噴射口20aから所定距離(例えば、10cm等)離れた位置で所望の速度(例えば8m/sec以上の速度)を確保できる大きさに設定している。例えば、1.0φ~2.0φ程度に設定してもよい。
【0048】
また、噴射口20aの設置方法については任意であるが、実施の形態1では、忌避対象OAを屋上外周部3外へ効果的に忌避できるように、気体Aが建物2の屋内側から屋外側へ向けて噴射可能な位置に、噴射口20aを設置している。より具体的には、図3に示すように、気体Aの噴射角度がパラペット部4の上端部に対して45度程度(又は、45度よりも高い角度又は低い角度)となる位置に、噴射口20aを設置している。
【0049】
(構成-忌避システム-噴射機構-供給部)
図1に戻り、供給部30は、所定方法で加圧された気体A(実施の形態1では、コンプレッサ40で加圧された気体A)を吹出管20に供給する供給手段である。この供給部30は、例えば公知のエアタンク等を用いて構成されており、図1図2に示すように、建物2の屋上部において、吹出管20よりも内側部分に設けられている。
【0050】
また、供給部30の具体的な動作については任意であるが、実施の形態1では、図示しない圧力センサによって検出された後述の上流側部分50bの圧力値が閾値未満である場合には、吹出管20への気体Aの供給を継続し、後述の上流側部分50bの圧力値が閾値以上である場合には、吹出管20への気体Aの供給を停止させる。
【0051】
(構成-忌避システム-噴射機構-コンプレッサ)
図1に戻り、コンプレッサ40は、供給部30から供給される気体Aを加圧する加圧手段である。このコンプレッサ40は、例えば公知のコンプレッサ(一例として、エアコンプレッサ)等を用いて構成されており、図1図2に示すように、建物2の屋上部において、供給部30の近傍位置に設けられ、配管41(具体的には、供給側中継管路部55の管長よりも短い金属製(又は樹脂製)の配管41)を介して供給部30と接続されている。
【0052】
(構成-忌避システム-噴射機構-中継管)
図1に戻り、中継管50は、供給部30から供給される気体Aを吹出管20に送出するための管である。この中継管50は、例えば公知の配管(一例として、長尺な樹脂製(例えば金属製)の管路部材を複数組み合わせることにより形成されたもの)を用いて構成されており、図1図2に示すように、建物2の屋上部において、供給部30と吹出管20との相互間に設けられている。
【0053】
また、この中継管50は、図2に示すように、左側中継管路部51、右側中継管路部52、前側中継管路部53、後側中継管路部54、供給側中継管路部55、第1接続側中継管路部56、第2接続側中継管路部57、第3接続側中継管路部58、及び第4接続側中継管路部59を備えている。
【0054】
このうち、図2に示すように、左側中継管路部51は、左側吹出管21の近傍に位置する管路部材であり、左側吹出管21よりも建物2の内側において、左側吹出管21の長手方向に略沿うように設けられている。また、右側中継管路部52は、右側吹出管22の近傍に位置する管路部材であり、右側吹出管22よりも建物2の内側において、右側吹出管22の長手方向に略沿うように設けられている。また、前側中継管路部53は、前側吹出管23の近傍に位置する管路部材であり、前側吹出管23よりも建物2の内側において、前側吹出管23の長手方向に略沿うように設けられている。また、後側中継管路部54は、後側吹出管24の近傍に位置する管路部材であり、後側吹出管24よりも建物2の内側において、後側吹出管24の長手方向に略沿うように設けられている。また、供給側中継管路部55は、供給部30の近傍に位置する管路部材であり、供給部30と右側中継管路部52との相互間に設けられている。
【0055】
また、図2に示すように、第1接続側中継管路部56は、左側吹出管21と左側中継管路部51とを接続する管路部材であり、左側吹出管21と左側中継管路部51との相互間に設けられている。また、第2接続側中継管路部57は、右側吹出管22と右側中継管路部52とを接続する管路部材であり、右側吹出管22と右側中継管路部52との相互間に設けられている。また、第3接続側中継管路部58は、前側吹出管23と前側中継管路部53とを接続する管路部材であり、前側吹出管23と前側中継管路部53との相互間に設けられている。また、第4接続側中継管路部59は、後側吹出管24と後側中継管路部54とを接続する管路部材であり、後側吹出管24と後側中継管路部54との相互間に設けられている。
【0056】
また、中継管50の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0057】
すなわち、中継管50の縦断面形状は、略円環状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略円環状以外の形状(一例として、略矩形環状、略楕円環状等)に設定してもよい。
【0058】
また、中継管50の内径については、噴射口20aから噴射される気体Aの速度が噴射口20aから所定距離(例えば、10cm等)離れた位置で所望の速度(例えば8m/sec以上の速度)を確保できる長さに設定しており、例えば、10φ~20φ程度に設定してもよい。
【0059】
また、中継管50の管長については、噴射口20aから噴射される気体Aの速度が噴射口20aから所定距離(例えば、10cm等)離れた位置で所望の速度(例えば8m/sec以上の速度)を確保できる長さに設定している。
【0060】
具体的には、図2に示すように、左側中継管路部51、右側中継管路部52、前側中継管路部53、及び後側中継管路部54の各々の管長については、吹出管20の管長よりも短い長さに設定している。また、供給側中継管路部55の管長については、左側中継管路部51の管長よりも短く設定している。また、第1接続側中継管路部56、第2接続側中継管路部57、第3接続側中継管路部58、及び第4接続側中継管路部59の各々の管長については、供給側中継管路部55の管長よりも短く設定している。
【0061】
また、中継管50の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では、各種の管路部のうち、隣接する管路部同士が連通するように構成されている。
【0062】
具体的には、左側中継管路部51は、前側中継管路部53及び後側中継管路部54と連通されている。また、右側中継管路部52は、前側中継管路部53及び後側中継管路部54と連通されている。また、供給側中継管路部55は、右側中継管路部52と連通されている。また、第1接続側中継管路部56は、左側中継管路部51及び左側吹出管21と連通されている。また、第2接続側中継管路部57は、右側中継管路部52及び右側吹出管22と連通されている。また、第3接続側中継管路部58は、前側中継管路部53及び前側吹出管23と連通されている。また、第4接続側中継管路部59は、後側中継管路部54及び後側吹出管24と連通されている。
【0063】
(構成-忌避システム-噴射機構-切替弁)
切替弁60は、中継管50内の気体Aを吹出管20に送出するか否かを切り替えるための弁である。この切替弁60は、例えば公知の電動弁又は電磁弁等を用いて構成されており、中継管50に複数設けられている。
【0064】
また、切替弁60の設置方法については任意であるが、実施の形態1では、複数の切替弁60を中継管50における吹出管20側の端部又はその近傍部分にそれぞれ配置している。
【0065】
具体的には、図2に示すように、第1接続側中継管路部56、第2接続側中継管路部57、第3接続側中継管路部58、及び第4接続側中継管路部59の各々における吹出管20側の端部の近傍部分にそれぞれ配置している。
【0066】
ただし、これに限らず、例えば、第1接続側中継管路部56、第2接続側中継管路部57、第3接続側中継管路部58、及び第4接続側中継管路部59の各々における吹出管20側の端部にそれぞれ配置してもよい。
【0067】
このような設置により、各切替弁60を中継管50における吹出管20側の端部から離れた部分に配置する場合に比べて、中継管50内において吹出管20の内部の圧力よりも高い圧力を有する気体Aを多く収容でき、忌避システム1の機能(具体的には、気体Aの噴射機能)を確保しやすくなる。
【0068】
また、切替弁60の具体的な動作については、実施の形態1では以下に示す通りとなる。
【0069】
すなわち、切替弁60の開閉状態が開放状態である場合には、供給部30から供給された中継管50内の気体Aが吹出管20に送出されることで、噴射口20aから当該気体Aが噴射される。一方、切替弁60の開閉状態が閉鎖状態である場合には、供給部30から供給された中継管50内の気体Aが吹出管20に送出されず、噴射口20aから当該気体Aが噴射されない。
【0070】
なお、以下では、必要に応じて、複数の切替弁60のうち、第1接続側中継管路部56に設けられる切替弁61を「左側切替弁61」と称し、第2接続側中継管路部57に設けられる切替弁62を「右側切替弁62」と称し、第3接続側中継管路部58に設けられる切替弁63を「前側切替弁63」と称し、第4接続側中継管路部59に設けられる切替弁64を「後側切替弁64」と称する。
【0071】
(構成-忌避システム-噴射機構-減圧部)
図1に戻り、減圧部70は、中継管50の内部における当該減圧部70よりも切替弁60側の部分50a(以下、「下流側部分50a」と称する)の圧力値を抑制圧力値に設定することが可能な減圧手段である。この減圧部70は、例えば公知の減圧弁(一例として、自力式減圧弁)を用いて構成されており、中継管50における切替弁60よりも供給部30側の部分に1つ設けられており、具体的には、図1図2に示すように、供給側中継管路部55に設けられている。
【0072】
ここで、中継管50の「下流側部分50a」とは、実施の形態1では、中継管50の内部のうち、左側中継管路部51、右側中継管路部52、前側中継管路部53、後側中継管路部54、供給側中継管路部55における減圧部70から右側中継管路部52側の端部に至る部分、第1接続側中継管路部56における左側切替弁61から左側中継管路部51側の端部に至る部分、第2接続側中継管路部57における右側切替弁62から右側中継管路部52側の端部に至る部分、第3接続側中継管路部58における前側切替弁63から前側中継管路部53側の端部に至る部分、及び第4接続側中継管路部59における後側切替弁64から後側中継管路部54側の端部に至る部分に対応する部分が該当する(なお、図2では、下流側部分50aをハッチングで示す)。
【0073】
また、中継管50の内部における減圧部70よりも供給部30側の部分50b(以下、「上流側部分50b」と称する)とは、実施の形態1では、中継管50の内部のうち、供給側中継管路部55における減圧部70から供給部30側の端部に至る部分に対応する部分が該当する。
【0074】
また、「抑制圧力値」とは、中継管50の上流側部分50bの圧力値よりも低く、吹出管20の内部の圧力値よりも高く、且つ下流側部分50aで結露の発生を抑制可能な圧力値を意味する。
【0075】
また、抑制圧力値の設定方法については任意であるが、例えば、忌避システム1の機能(具体的には、気体Aの噴射機能)を保持しながら、中継管50の下流側部分50aにおいて結露の発生を抑制できるように、上流側部分50bの圧力値の半分程度の圧力値に設定することが好ましい。一例として、上流側部分50bの圧力値=0.8MPa程度である場合には、抑制圧力値=0.5MPa程度に設定してもよい。
【0076】
また、減圧部70の設置方法については任意であるが、実施の形態1では、減圧部70を中継管50における供給部30側の端部の近傍部分に配置している。
【0077】
具体的には、図2に示すように、減圧部70を供給側中継管路部55における供給部30側の端部の近傍部分に配置している。
【0078】
このような設置方法により、減圧部70を中継管50における供給部30側の端部から離れた部分に配置する場合に比べて、中継管50内において結露の発生を抑制でき、当該結露で生じた水が凍結することを低減できる。
【0079】
ただし、これに限らず、例えば、減圧部70を供給側中継管路部55における吹出管20側の端部又はその近傍部分に配置してもよい。あるいは、減圧部70を第1接続側中継管路部56、第2接続側中継管路部57、第3接続側中継管路部58、又は第4接続側中継管路部59のいずれかに配置してもよい。
【0080】
このような減圧部70により、複数の切替弁60の開閉状態が閉鎖状態(つまり、切替弁60の状態が、中継管50内の気体Aが吹出管20に送出されていない状態)において、減圧部70によって中継管50の下流側部分50aの圧力値を抑制圧力値に設定できる。よって、上記下流側部分50aの温度と外気温度との温度差が過大になることを回避できることから、上記下流側部分50aにおいて結露が発生することを抑制できる。
【0081】
(構成-忌避システム-噴射機構-検知部)
検知部80は、忌避対象OAが所定領域に存在するか否かを検知するための検知手段であり、図3に示すように、建物2の屋上部において、各吹出管20の近傍に設けられている(つまり、複数の検知部80が設けられている)。この検知部80は、例えば公知の検知センサ(一例として、焦電センサ等)を用いて構成されており、具体的には、検知部本体81、アンプ部、及び信号処理部を備えている。
【0082】
このうち、検知部本体81は、当該検知部本体81の近傍領域における赤外線の熱エネルギーを吸収して温度変化を生じ、この温度変化に比例して誘起した信号をアンプ部に出力するものである。また、アンプ部は、検知部本体81から出力された信号を増幅して信号処理部に出力するものである。また、信号処理部は、アンプ部から出力された検知信号に基づいて、忌避対象OAが所定領域に存在するか否かを判定し、この判定結果を示す信号を制御ユニット90に出力する。
【0083】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット)
図1に戻り、制御ユニット90は、噴射機構10の各部を相互に連動させる装置である。この制御ユニット90は、図1図2に示すように、建物2の屋上部に設けられており、供給部30、コンプレッサ40、複数の切替弁60、及び複数の検知部80と配線90aを介して電気的に接続されている。
【0084】
また、図4に示すように、この制御ユニット90は、操作部91、通信部92、電源部93、制御部94、及び記憶部95を備えている。
【0085】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-操作部)
操作部91は、制御ユニット90に対する操作入力を受け付ける操作手段であり、各種のスイッチやタッチパッド等の公知の操作手段を用いて構成されている。
【0086】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-通信部)
通信部92は、供給部30、コンプレッサ40、複数の切替弁60、及び複数の検知部80の各々と制御ユニット90との相互間で通信を行うための通信手段であり、例えば公知の通信手段(一例として、有線通信網を用いて通信を行う通信手段)を用いて構成されている。
【0087】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-電源部)
電源部93は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、制御ユニット90の各部に供給すると共に、供給部30、コンプレッサ40、複数の切替弁60、又は/及び複数の検知部80等にも供給する電源手段である。
【0088】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-制御部)
制御部94は、制御ユニット90の各部を制御する制御手段である。具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0089】
また、制御部94は、図4に示すように、機能概念的に、切替制御部94aを備えている。
【0090】
切替制御部94aは、切替弁60の開閉状態の切り替えを制御するための切替制御手段である。
【0091】
なお、この制御部94によって実行される処理の詳細については後述する。
【0092】
(構成-忌避システム-噴射機構-制御ユニット-記憶部)
記憶部95は、制御ユニット90の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な公知の記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
【0093】
以上のような忌避システム1の構成により、各切替弁60の開閉状態が閉鎖状態(つまり、各切替弁60の状態が、中継管50内の気体Aが吹出管20に送出されていない状態)において、減圧部70によって中継管50の下流側部分50aで結露が発生することを抑制できる。よって、上記結露で発生した水が凍結することで中継管50が破損することを回避しやすくなることから、寒冷地での忌避システム1の使用性を向上させることが可能となる。
【0094】
(構成-忌避システムの作用について)
続いて、忌避システム1の作用について説明する。
【0095】
ここで、忌避システム1の作用の前提については、実施の形態1では、各切替弁60の開閉状態が閉鎖状態であるとして説明する。
【0096】
例えば、まず、忌避システム1が起動すると、制御ユニット90の制御部94によって、圧力センサによって検出された中継管50の上流側部分50bの圧力値が閾値になるまで、供給部30からコンプレッサ40で加圧された気体Aを供給させる。そして、上記気体Aの供給が完了すると、上流側部分50bの圧力値は閾値に設定されるものの、中継管50の下流側部分50aの圧力値は、減圧部70によって抑制圧力値に設定される。
【0097】
これにより、忌避システム1の機能(具体的には、気体Aの噴射機能)を保持できると共に、上記下流側部分50aの温度と外気温度との温度差が過大にならないため、上記下流側部分50aにおいて結露が発生することを抑制できる。
【0098】
次に、制御ユニット90が複数の検知部80の少なくともいずれかから忌避対象OAが検知された旨を示す検知信号を受信すると、制御ユニット90の切替制御部94aによって、当該信号の送信先である検知部80に対応する切替弁60の開閉状態が開放状態(つまり、切替弁60の状態が、中継管50内の気体Aが吹出管20に送出される状態)に切り替えられることにより、中継管50内の気体Aが吹出管20(具体的には、当該対応する切替弁60が設けられている吹出管20)に送出されて、当該気体Aが当該吹出管20の噴射口20aから噴射される。
【0099】
これにより、忌避対象OAに上記噴射口20aから噴射された気体Aを当てることで、当該忌避対象OAに刺激を加えることができ、当該忌避対象OAを屋上外周部3外へ忌避させることが可能となる。
【0100】
続いて、上記気体Aの噴射から所定時間経過後に、制御ユニット90の切替制御部94aによって、上記切替弁60の開閉状態が閉鎖状態に切り替えられると、制御ユニット90の制御部94によって、圧力センサによって検出された中継管50の上流側部分50bの圧力値が閾値以上になるまで、供給部30からコンプレッサ40で加圧された気体Aを供給させる。そして、上記気体Aの供給が完了すると、上流側部分50bの圧力値は閾値に再び設定され、中継管50の下流側部分50aの圧力値は抑制圧力値に再び設定される。
【0101】
これにより、制御ユニット90が検知信号を再び受信しても、中継管50内の気体Aが吹出管20に送出されるので、当該気体Aを当該吹出管20の噴射口20aから噴射させることが可能となる。
【0102】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、噴射機構10が、噴射口20aを有する吹出管20と、所定方法で加圧された気体Aを吹出管20に供給する供給部30と、供給部30と吹出管20との相互間に設けられる中継管50と、中継管50に設けられる切替弁60と、中継管50における切替弁60よりも供給部30側の部分に設けられる減圧部70であり、中継管50の内部における当該減圧部70よりも切替弁60側の部分である下流側部分50aの圧力値を抑制圧力値に設定することが可能な減圧部70と、を備えるので、切替弁60の状態が中継管50内の気体Aが吹出管20に送出されていない状態において、減圧部70によって中継管50の下流側部分50aで結露が発生することを抑制できる。よって、上記結露で発生した水が凍結することで中継管50が破損することを回避しやすくなることから、寒冷地での忌避システム1の使用性を向上させることが可能となる。
【0103】
また、減圧部70を、中継管50における供給部30側の端部の近傍部分に配置したので、減圧部70を中継管50における供給部30側の端部から離れた部分に配置する場合に比べて、中継管50内において結露の発生を抑制でき、当該結露で生じた水が凍結することを低減できる。
【0104】
また、切替弁60を、中継管50における吹出管20側の端部又はその近傍部分に配置したので、切替弁60を中継管50における吹出管20側の端部から離れた部分に配置する場合に比べて、中継管50内において吹出管20の内部の圧力よりも高い圧力を有する気体Aを多く収容でき、忌避システム1の機能(具体的には、気体Aの噴射機能)を確保しやすくなる。
【0105】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る忌避システムについて説明する。この実施の形態2は、後述する減圧制御部を備える形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号又は/及び名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0106】
(構成-設置場所)
最初に、実施の形態2に係る忌避システム1が設置される設置場所の構成について説明する。
【0107】
実施の形態2に係る設置場所は、実施の形態1に係る設置場所と略同一に構成されている。
【0108】
(構成-忌避システム)
次に、実施の形態2に係る忌避システム1の構成について説明する。
【0109】
実施の形態2に係る忌避システム1は、実施の形態1に係る忌避システム1と略同一に構成されている。ただし、減圧部70及び制御ユニット90の構成の詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0110】
(構成-忌避システム-減圧部の構成の詳細)
次に、減圧部70の構成の詳細について説明する。
【0111】
実施の形態2において、減圧部70は、例えば公知の減圧弁(一例として、電動式減圧弁)を用いて構成されており、実施の形態1に係る減圧部70と略同様に、供給側中継管路部55に1つ設けられている。
【0112】
また、減圧部70の具体的な構成については任意であるが、実施の形態2では、中継管50の下流側部分50aの圧力値を、抑制圧力値と、非抑制圧力値とに設定することが可能となるように、減圧部70が構成されている。
【0113】
具体的には、減圧部70は、当該減圧部70の減圧機能のオンとオフとを切り替える切替部(図示省略)を備えることで、後述の減圧制御部94cからの制御信号に基づいて切替部を動作させることにより、上記下流側部分50aの圧力値を、抑制圧力値又は非抑制圧力値に切り替え可能としている。
【0114】
ここで、「非抑制圧力値」とは、中継管50の上流側部分50bの圧力値と略同一である圧力値である。
【0115】
(構成-忌避システム-制御ユニットの構成の詳細)
次に、制御ユニット90の構成の詳細について説明する。
【0116】
実施の形態2において、制御ユニット90は、実施の形態1に係る制御ユニット90と略同一に構成されており、建物2の屋上部に設けられ、供給部30、コンプレッサ40、複数の切替弁60、減圧部70、及び複数の検知部80と配線90aを介して電気的に接続されている。ただし、制御部94の構成の詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0117】
すなわち、制御部94は、図5に示すように、機能概念的に、切替制御部94a、判定部94b、及び減圧制御部94cを備えている。
【0118】
このうち、判定部94bは、中継管50の下流側部分50aの圧力値を抑制圧力値に設定するタイミング(以下、「設定タイミング」と称する)が到来しているか否かを判定する判定手段である。
【0119】
また、減圧制御部94cは、判定部94bの判定結果に基づいて、下流側部分50aの圧力値が抑制圧力値又は非抑制圧力値のいずれかに設定されるように、減圧部70を制御するための減圧制御手段である。
【0120】
(設定処理)
次に、制御ユニット90の制御部94によって実行される設定処理について説明する。
【0121】
設定処理は、減圧制御部94cの圧力値を設定するための処理である。
【0122】
この設定処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態2では、忌避システム1の電源が投入されて、制御ユニット90の制御部94によって、圧力センサによって検出された中継管50の上流側部分50bの圧力値が非抑制圧力値になるまで、供給部30からコンプレッサ40で加圧された気体Aが供給された後に起動され、実施の形態2に係る忌避システム1の作用(具体的には、実施の形態1に係る忌避システム1の作用と略同一の作用)と並行して実行されるものとして説明する。
【0123】
また、設定処理の前提については、実施の形態2では、各切替弁60の開閉状態が閉鎖状態であり、減圧部70の減衰機能がオフされた状態であり、中継管50の下流側部分50aの圧力値が非抑制圧力値であるとして説明する。
【0124】
設定処理が起動されると、図6に示すように、SA1において判定部94bは、所定領域(具体的には、建物2の屋上外周部3)に関する日時を示す日時情報、所定領域に関する気温を示す気温情報、又は/及び所定領域に関する天候を示す天候情報を所定方法で取得する。
【0125】
これら日時情報等の取得方法については任意であるが、実施の形態2では、例えば、外部装置(一例として、日時情報等を管理する管理サーバ、携帯端末(例えば、スマートフォン等))から日時情報等を受信すること、又は/及び、作業者等から操作部91を介して日時情報等の入力が受け付けられること等により、取得してもよい。
【0126】
SA2において判定部94bは、設定タイミングが到来しているか否かを判定する。
【0127】
この設定タイミングが到来したか否かを判定する方法については任意であるが、実施の形態2では、SA1にて取得された日時情報等に基づいて判定する。
【0128】
具体的には、SA1にて取得された日時情報が示す日時が第1基準日時(例えば、12月から3月の夜6時から朝6時の時間帯等)に該当するか否か、SA1にて取得された気温情報が示す気温が第1基準気温(例えば、3℃未満等)に該当するか否か、又は/及びSA1にて取得された天候情報が示す天候が第1基準天候(例えば、雪、みぞれ等)に該当するか否かに基づいて判定する。ここで、上記第1基準日時、上記第1基準気温、又は/及び上記第1基準天候に該当する場合には、設定タイミングが到来していると判定し、上記第1基準日時、上記第1基準気温、及び上記第1基準天候に該当しない場合には、設定タイミングが到来していないと判定する。
【0129】
このような判定により、設定タイミングを正確に判定でき、中継管50の圧力値を状況に応じた圧力値に設定しやすくなる。
【0130】
そして、判定部94bは、設定タイミングが到来していると判定された場合(SA2、Yes)にはSA3へ移行する。一方、判定部94bは、設定タイミングが到来していないと判定された場合(SA2、No)には、減圧制御部94cが中継管50の下流側部分50aの圧力値を変更することなく(つまり、減圧制御部94cが当該下流側部分50aの圧力値を非抑制圧力値に維持する)、SA1へ移行し、SA2において設定タイミングが到来していると判定されるまで、SA1及びSA2の処理を繰り返す。
【0131】
SA3において減圧制御部94cは、中継管50の下流側部分50aの圧力値が抑制圧力値に設定されるように、減圧部70を制御する。
【0132】
この減圧部70の制御方法については任意であるが、実施の形態2では、減圧部70の切替部によって減圧部70の減衰機能をオンに切り替えることにより、上記下流側部分50aの圧力値を抑制圧力値に設定する。
【0133】
これらSA1からSA3の処理により、中継管50の下流側部分50aの圧力値を状況に応じた圧力値に設定でき、忌避システム1の使用性を高めることができる。
【0134】
SA4において判定部94bは、SA1の処理と略同様に、日時情報、気温情報、又は/及び天候情報を取得する。
【0135】
SA5において判定部94bは、中継管50の下流側部分50aの圧力値を非抑制圧力値に設定するタイミング(以下、「復帰タイミング」と称する)が到来しているか否かを判定する。
【0136】
この復帰タイミングが到来したか否かを判定する方法については任意であるが、実施の形態2では、SA4にて取得された日時情報等に基づいて判定する。
【0137】
具体的には、SA4にて取得された日時情報が示す日時が第2基準日時(例えば、12月から3月の夜6時から朝6時の時間帯以外の時間帯等)に該当するか否か、SA4にて取得された気温情報が示す気温が第2基準気温(例えば、3℃以上等)に該当するか否か、又は/及びSA4にて取得された天候情報が示す天候が第2基準天候(例えば、晴れ、曇り、雨等)に該当するか否かに基づいて判定する。ここで、上記第2基準日時、上記第2基準気温、又は/及び上記第2基準天候に該当する場合には、復帰タイミングが到来していると判定し、上記第2基準日時、上記第2基準気温、及び上記第2基準天候に該当しない場合には、復帰タイミングが到来していないと判定する。
【0138】
このような判定により、復帰タイミングを正確に判定でき、中継管50の圧力値を状況に応じた圧力値に設定しやすくなる。
【0139】
そして、判定部94bは、復帰タイミングが到来していると判定された場合(SA5、Yes)にはSA6へ移行する。一方、判定部94bは、復帰タイミングが到来していないと判定された場合(SA5、No)には、減圧制御部94cが中継管50の下流側部分50aの圧力値を変更することなく(つまり、減圧制御部94cが当該下流側部分50aの圧力値を抑制圧力値に維持する)、SA4へ移行し、SA5において復帰タイミングが到来していると判定されるまで、SA4及びSA5の処理を繰り返す。
【0140】
SA6において減圧制御部94cは、中継管50の下流側部分50aの圧力値が非抑制圧力値に設定されるように、減圧部70を制御する。その後、制御部94は、SA1へ移行して、以降同様に、SA1からSA6の処理を繰り返す。
【0141】
また、この減圧部70の制御方法については任意であるが、実施の形態2では、減圧部70の切替部によって減圧部70の減衰機能をオフに切り替えることにより、上記下流側部分50aの圧力値を非抑制圧力値に設定する。
【0142】
以上のような設定処理により、中継管50の下流側部分50aの圧力値を状況に応じて抑制圧力値又は非抑制圧力値に設定でき、忌避システム1の使用性を高めることができる。
【0143】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、設定タイミングが到来しているか否かを判定する判定部94bと、判定部94bの判定結果に基づいて、下流側部分50aの圧力値が抑制圧力値又は非抑制圧力値のいずれかに設定されるように、減圧部70を制御するための減圧制御部94cと、をさらに備えるので、中継管50の下流側部分50aの圧力値を状況に応じた圧力値に設定でき、忌避システム1の使用性を高めることができる。
【0144】
また、判定部94bは、日時情報、気温情報、又は/及び天候情報を所定方法で取得し、取得した日時情報、気温情報、又は/及び天候情報に基づいて、設定タイミングが到来しているか否かを判定するので、設定タイミングを正確に判定でき、中継管50の圧力値を状況に応じた圧力値に設定しやすくなる。
【0145】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3に係る忌避システムについて説明する。この実施の形態3は、切替制御部が後述の結露抑制処理を行う形態である。ただし、この実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号又は/及び名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0146】
(構成-設置場所)
最初に、実施の形態3に係る忌避システム1が設置される設置場所の構成について説明する。
【0147】
実施の形態3に係る設置場所は、実施の形態1に係る設置場所と略同一に構成されている。
【0148】
(構成-忌避システム)
次に、実施の形態3に係る忌避システム1の構成について説明する。
【0149】
実施の形態3に係る忌避システム1は、実施の形態1に係る忌避システム1と略同一に構成されている。
【0150】
(切替処理)
次に、制御ユニット90の制御部94によって実行される切替処理について説明する。
【0151】
切替処理は、検知部80の検知結果に関わらず、切替弁60の開閉状態を切り替えるための処理である。
【0152】
この切替処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態3では、忌避システム1の電源が投入されて、制御ユニット90の制御部94によって、圧力センサによって検出された中継管50の上流側部分50bの圧力値が非抑制圧力値になるまで、供給部30からコンプレッサ40で加圧された気体Aが供給された後に起動され、実施の形態3に係る忌避システム1の作用(具体的には、実施の形態1に係る忌避システム1の作用と略同一の作用)と並行して実行されるものとして説明する。
【0153】
また、切替処理の前提については、実施の形態3では、各切替弁60の開閉状態が閉鎖状態であり、中継管50の下流側部分50aの圧力値が非抑制圧力値であるとして説明する。
【0154】
切替処理が起動されると、図7に示すように、SB1において切替制御部94aは、SA1の処理と略同様に、日時情報、気温情報、又は/及び天候情報を取得する。
【0155】
SB2において切替制御部94aは、中継管50の内部で結露が発生しやすいタイミング(以下、「発生タイミング」と称する)が到来しているか否かを判定する。
【0156】
この発生タイミングが到来したか否かを判定する方法については任意であるが、実施の形態3では、SB1にて取得された日時情報等に基づいて判定する。
【0157】
具体的には、SB1にて取得された日時情報が示す日時が第3基準日時(例えば、12月から3月の夜6時から朝6時の時間帯等)に該当するか否か、SB1にて取得された気温情報が示す気温が第3基準気温(例えば、3℃未満等)に該当するか否か、又は/及びSB1にて取得された天候情報が示す天候が第3基準天候(例えば、雪、みぞれ等)に該当するか否かに基づいて判定する。ここで、上記第3基準日時、上記第3基準気温、又は/及び上記第3基準天候に該当する場合には、発生タイミングが到来していると判定し、上記第3基準日時、上記第3基準気温、及び上記第3基準天候に該当しない場合には、発生タイミングが到来していないと判定する。
【0158】
このような判定により、発生タイミングを正確に判定でき、適切なタイミングで後述の結露抑制処理を実行できる。
【0159】
そして、切替制御部94aは、発生タイミングが到来していると判定された場合(SB2、Yes)にはSB3へ移行する。一方、切替制御部94aは、発生タイミングが到来していないと判定された場合(SB2、No)には、各切替弁60の開閉状態を切り替えることなく(つまり、各切替弁60の開閉状態を閉鎖状態に維持する)、SB1へ移行し、SB2において発生タイミングが到来していると判定されるまで、SB1及びSB2の処理を繰り返す。
【0160】
SB3において切替制御部94aは、各切替弁60の開閉状態を開放状態に切り替えることにより、気体Aを各吹出管20の噴射口20aを介して噴射させる処理(以下、「結露抑制処理」と称する)を定期的に行う。
【0161】
具体的には、切替制御部94aは、後述の終了タイミングが到来するまで、各切替弁60の開閉状態を開放状態に連続的又は断続的に切り替えることを所定間隔(例えば、1時間毎等)で繰り返すことにより、上記結露抑制処理を定期的に行う。
【0162】
SB4において切替制御部94aは、SB1の処理と略同様に、日時情報、気温情報、又は/及び天候情報を取得する。
【0163】
SB5において切替制御部94aは、SB3の結露抑制処理の実行を終了するタイミング(以下、「終了タイミング」と称する)が到来しているか否かを判定する。
【0164】
この終了タイミングが到来したか否かを判定する方法については任意であるが、実施の形態3では、SB4にて取得された日時情報等に基づいて判定する。
【0165】
具体的には、SB4にて取得された日時情報が示す日時が第4基準日時(例えば、12月から3月の夜6時から朝6時の時間帯以外の時間帯等)に該当するか否か、SB4にて取得された気温情報が示す気温が第4基準気温(例えば、3℃以上等)に該当するか否か、又は/及びSB4にて取得された天候情報が示す天候が第4基準天候(例えば、晴れ、曇り、雨等)に該当するか否かに基づいて判定する。ここで、上記第4基準日時、上記第4基準気温、又は/及び上記第4基準天候に該当する場合には、終了タイミングが到来していると判定し、上記第4基準日時、上記第4基準気温、及び上記第4基準天候に該当しない場合には、終了タイミングが到来していないと判定する。
【0166】
このような判定により、終了タイミングを正確に判定でき、適切なタイミングで結露抑制処理を停止できる。
【0167】
そして、切替制御部94aは、終了タイミングが到来していると判定された場合(SB5、Yes)にはSB6へ移行する。一方、切替制御部94aは、終了タイミングが到来していないと判定された場合(SB5、No)には、結露抑制処理の実行を継続しながらSB4へ移行し、SB5において終了タイミングが到来していると判定されるまで、SB4及びSB5の処理を繰り返す。
【0168】
SB6において切替制御部94aは、SB3の結露抑制処理を停止させる。その後、制御部94は、SB1へ移行して、以降同様に、SB1からSB6の処理を繰り返す。
【0169】
具体的には、切替制御部94aは、各切替弁60の開閉状態を閉鎖状態に維持させることにより、SB3の結露抑制処理を停止させる。
【0170】
以上のような切替処理により、発生タイミングが到来している際に、結露抑制処理を定期的に行うことができ、中継管50の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【0171】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、切替制御部94aは、発生タイミングが到来している際に、切替弁60の開閉状態を開放状態に切り替えることにより、気体Aを噴射口20aを介して噴射させる結露抑制処理を、定期的に行うので、発生タイミングが到来している際に、結露抑制処理を定期的に行うことができ、中継管50の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【0172】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4に係る忌避システムについて説明する。この実施の形態4は、後述する除湿部を備える形態である。ただし、この実施の形態4の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号又は/及び名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0173】
(構成-設置場所)
最初に、実施の形態4に係る忌避システム1が設置される設置場所の構成について説明する。
【0174】
実施の形態4に係る設置場所は、実施の形態1に係る設置場所と略同一に構成されている。
【0175】
(構成-忌避システム)
次に、実施の形態4に係る忌避システム1の構成について説明する。
【0176】
実施の形態4に係る忌避システム1は、噴射機構10を1つ備えており、この噴射機構10は、吹出管20、供給部30、コンプレッサ40、中継管50、切替弁60、減圧部70、除湿部(図示省略)、検知部80、及び制御ユニット90を備えている。
【0177】
このうち、除湿部は、供給部30から供給される気体Aを除湿する除湿手段である。この除湿部は、例えば公知の除湿手段(一例として、エアドライヤ等)を用いて構成されており、建物2の屋上部において、供給部30の近傍位置に設けられ、図示しない配管を介して供給部30と接続されていると共に、制御ユニット90と配線90aを介して電気的に接続されている。
【0178】
このような除湿部により、供給部30から供給される気体Aを除湿でき、中継管50の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【0179】
(構成-忌避システムの作用について)
続いて、実施の形態4に係る忌避システム1の作用について説明する。
【0180】
ここで、忌避システム1の作用の前提については、実施の形態4では、各切替弁60の開閉状態が閉鎖状態であるとして説明する。
【0181】
実施の形態4に係る忌避システム1の作用は、実施の形態1に係る忌避システム1の作用と略同様の作用に加えて、以下の作用が得られる。
【0182】
すなわち、忌避システム1が起動した際に、制御ユニット90の制御部94によって、圧力センサによって検出された中継管50の上流側部分50bの圧力値が閾値になるまで、供給部30からコンプレッサ40で加圧された気体Aを供給させ、且つ除湿部によって当該供給される気体Aを除湿させる。
【0183】
また、複数の吹出管20の少なくともいずれかの噴射口20aから気体Aが噴射されてから所定時間経過後に、制御ユニット90の切替制御部94aによって、上記切替弁60の開閉状態が閉鎖状態に切り替えられ、制御ユニット90の制御部94によって、圧力センサによって検出された中継管50の上流側部分50bの圧力値が閾値以上になるまで、供給部30からコンプレッサ40で加圧された気体Aを供給させ、且つ除湿部によって当該供給される気体Aを除湿させる。
【0184】
これらの作用により、供給部30から供給される気体Aを除湿でき、中継管50の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【0185】
(実施の形態4の効果)
このように実施の形態4によれば、供給部30から供給される気体Aを除湿する除湿部を備えるので、供給部30から供給される気体Aを除湿でき、中継管50の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【0186】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0187】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0188】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、制御ユニット90を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部94を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に記憶部95を設けてもよい。
【0189】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0190】
(各実施の形態の組み合わせについて)
上記実施の形態2から4に示した特徴は、相互に組み合わせることができる。例えば、実施の形態3に係る切替処理又は/及び実施の形態4に係る除湿部と、実施の形態2に係る忌避システム1とを組み合わせてもよい。
【0191】
(忌避システムについて)
上記実施の形態1から4では、忌避システム1が1つの噴射機構10のみを備えていると説明したが、これに限らず、例えば、複数の噴射機構10を備えてもよい。
【0192】
(噴射機構について)
上記実施の形態1から4では、噴射機構10が、複数の吹出管20及び複数の切替弁60を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、1つの吹出管20と、中継管50内の気体Aを当該吹出管20に送出するか否かを切り替えるための1つの切替弁60とを備えてもよい。この場合には、中継管50は、供給部30から供給される気体Aを上記吹出管20のみに送出するように構成されてもよい。また、上記1つの切替弁60は、中継管50における長手方向の中央部に配置されてもよい。
【0193】
また、上記実施の形態1から4では、供給部30、コンプレッサ40、中継管50、及び制御ユニット90が建物2の屋上部に設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、供給部30、コンプレッサ40、中継管50の一部(例えば、供給側中継管路部55)、又は/及び制御ユニット90が建物2の屋上部以外の位置(例えば、建物2の壁部、建物2の内部等)に設けられてもよい。
【0194】
また、上記実施の形態1から4では、噴射機構10が、コンプレッサ40を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、供給部30が気体Aを加圧する機能を有する場合には、コンプレッサ40を省略してもよい。
【0195】
また、上記実施の形態1から4では、噴射機構10が、1つの減圧部70のみを備えていると説明したが、これに限らず、例えば、複数の減圧部70を備えてもよい。この場合には、複数の減圧部70は、中継管50に相互に間隔を隔てて配置されると共に、中継管50の内部における各減圧部70の下流側に位置する下流側部分50aの圧力値を相互に異なる抑制圧力値に設定可能に構成されてもよい。これにより、中継管50の内部の圧力値を設置環境に応じた圧力値に設定しやすくなることから、中継管50の内部で結露が発生することを抑制しやすくなる。
【0196】
(噴射口について)
上記実施の形態1から4では、各吹出管20に複数の噴射口20aが設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、各吹出管20に噴射口20aが1つのみ設けられてもよい。
【0197】
(切替弁について)
上記実施の形態1、2、又は4では、切替弁60が電動弁又は電磁弁であると説明したが、これに限らず、例えば、手動式弁であってもよい。
【0198】
(設定処理について)
上記実施の形態2では、SA2において判定部94bは、SA1にて取得された日時情報、気温情報、又は/及び天候情報に基づいて、設定タイミングが到来しているか否かを判定すると説明したが、これに限らない。例えば、判定部94bは、操作部91を介して所定操作が受け付けられたか否か、又は中継管50の下流側部分50aの圧力値を抑制圧力値に設定することを指示する設定指示情報が外部装置から受信された否かに基づいて、設定タイミングが到来しているか否かを判定してもよい。この場合には、上記所定操作が受け付けられた場合、又は上記設定指示情報が外部装置から受信された場合には、設定タイミングが到来していると判定してもよい(なお、SA5の処理についても略同様とする)。
【0199】
(切替処理について)
上記実施の形態3では、SB2において切替制御部94aは、SB1にて取得された日時情報、気温情報、又は/及び天候情報に基づいて、発生タイミングが到来しているか否かを判定すると説明したが、これに限らない。例えば、切替制御部94aは、操作部91を介して所定操作が受け付けられたか否か、又は切替弁60の開閉状態を開放状態に切り替えることを指示する切替指示情報が外部装置から受信された否かに基づいて、発生タイミングが到来しているか否かを判定してもよい。この場合には、上記所定操作が受け付けられた場合、又は上記切替指示情報が外部装置から受信された場合には、発生タイミングが到来していると判定してもよい(なお、SB5の処理についても略同様とする)。
【0200】
(付記)
付記1の忌避システムは、所定領域内にいる忌避対象を前記所定領域外へ忌避させるための忌避システムであって、前記忌避対象に対して気体を噴射するための噴射手段を少なくとも1つ以上備え、前記噴射手段は、前記気体を噴射する噴射口を有する吹出管と、所定方法で加圧された前記気体を前記吹出管に供給する供給手段と、前記供給手段と前記吹出管との相互間に設けられる中継管であって、前記供給手段から供給される前記気体を前記吹出管に送出するための中継管と、前記中継管に設けられる切替弁であり、前記中継管内の前記気体を前記吹出管に送出するか否かを切り替えるための切替弁と、前記中継管における前記切替弁よりも前記供給手段側の部分に設けられる減圧手段であり、前記中継管の内部における当該減圧手段よりも前記切替弁側の部分である下流側部分の圧力値を、前記中継管の内部における当該減圧手段よりも前記供給手段側の部分である上流側部分の圧力値よりも低く、前記吹出管の内部の圧力値よりも高く、且つ前記下流側部分で結露の発生を抑制可能な抑制圧力値に設定することが可能な減圧手段と、を備える。
【0201】
付記2の忌避システムは、付記1に記載の忌避システムにおいて、前記減圧手段を、前記中継管における前記供給手段側の端部の近傍部分に配置した。
【0202】
付記3の忌避システムは、付記1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記切替弁を、前記中継管における前記吹出管側の端部又はその近傍部分に配置した。
【0203】
付記4の忌避システムは、付記1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記下流側部分の圧力値を、前記抑制圧力値と、前記上流側部分の圧力値と略同一である非抑制圧力値とに設定することが可能となるように、前記減圧手段を構成し、前記下流側部分の圧力値を前記抑制圧力値に設定する設定タイミングが到来しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記下流側部分の圧力値が前記抑制圧力値又は前記非抑制圧力値のいずれかに設定されるように、前記減圧手段を制御するための減圧制御手段と、をさらに備える。
【0204】
付記5の忌避システムは、付記4に記載の忌避システムにおいて、前記判定手段は、前記所定領域に関する日時を示す日時情報、前記所定領域に関する気温を示す気温情報、又は/及び前記所定領域に関する天候を示す天候情報を所定方法で取得し、前記取得した前記日時情報、前記気温情報、又は/及び前記天候情報に基づいて、前記設定タイミングが到来しているか否かを判定する。
【0205】
付記6の忌避システムは、付記1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記切替弁の開閉状態の切り替えを制御するための切替制御手段を備え、前記切替制御手段は、前記中継管の内部で結露が発生しやすい発生タイミングが到来している際に、前記切替弁の開閉状態を開放状態に切り替えることにより、前記気体を前記噴射口を介して噴射させる結露抑制処理を、定期的に行う。
【0206】
付記7の忌避システムは、付記1又は2に記載の忌避システムにおいて、前記供給手段から供給される前記気体を除湿する除湿手段を備える。
【0207】
(付記の効果)
付記1に記載の忌避システムによれば、噴射手段が、噴射口を有する吹出管と、所定方法で加圧された気体を吹出管に供給する供給手段と、供給手段と吹出管との相互間に設けられる中継管と、中継管に設けられる切替弁と、中継管における切替弁よりも供給手段側の部分に設けられる減圧手段であり、中継管の下流側部分の圧力値を抑制圧力値に設定することが可能な減圧手段と、を備えるので、切替弁の状態が中継管内の気体が吹出管に送出されていない状態において、減圧手段によって中継管の下流側部分で結露が発生することを抑制できる。よって、上記結露で発生した水が凍結することで中継管が破損することを回避しやすくなることから、寒冷地での忌避システムの使用性を向上させることが可能となる。
【0208】
付記2に記載の忌避システムによれば、減圧手段を、中継管における供給手段側の端部の近傍部分に配置したので、減圧手段を中継管における供給手段側の端部から離れた部分に配置する場合に比べて、中継管内において結露の発生を抑制でき、当該結露で生じた水が凍結することを低減できる。
【0209】
付記3に記載の忌避システムによれば、切替弁を、中継管における吹出管側の端部又はその近傍部分に配置したので、切替弁を中継管における吹出管側の端部から離れた部分に配置する場合に比べて、中継管内において吹出管の内部の圧力よりも高い圧力を有する気体を多く収容でき、忌避システムの機能(具体的には、気体の噴射機能)を確保しやすくなる。
【0210】
付記4に記載の忌避システムによれば、設定タイミングが到来しているか否かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて、下流側部分の圧力値が抑制圧力値又は非抑制圧力値のいずれかに設定されるように、減圧手段を制御するための減圧制御手段と、をさらに備えるので、中継管の下流側部分の圧力値を状況に応じた圧力値に設定でき、忌避システムの使用性を高めることができる。
【0211】
付記5に記載の忌避システムによれば、判定手段は、日時情報、気温情報、又は/及び天候情報を所定方法で取得し、取得した日時情報、気温情報、又は/及び天候情報に基づいて、設定タイミングが到来しているか否かを判定するので、設定タイミングを正確に判定でき、中継管の圧力値を状況に応じた圧力値に設定しやすくなる。
【0212】
付記6に記載の忌避システムによれば、切替制御手段は、発生タイミングが到来している際に、切替弁の開閉状態を開放状態に切り替えることにより、気体を噴射口を介して噴射させる結露抑制処理を、定期的に行うので、発生タイミングが到来している際に、結露抑制処理を定期的に行うことができ、中継管の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【0213】
付記7に記載の忌避システムによれば、供給手段から供給される気体を除湿する除湿手段を備えるので、供給手段から供給される気体を除湿でき、中継管の内部全体において結露の発生を効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0214】
1 忌避システム
2 建物
3 屋上外周部
4 パラペット部
10 噴射機構
20 吹出管
20a 噴射口
21 左側吹出管
22 右側吹出管
23 前側吹出管
24 後側吹出管
30 供給部
40 コンプレッサ
41 配管
50 中継管
50a 下流側部分
50b 上流側部分
51 左側中継管路部
52 右側中継管路部
53 前側中継管路部
54 後側中継管路部
55 供給側中継管路部
56 第1接続側中継管路部
57 第2接続側中継管路部
58 第3接続側中継管路部
59 第4接続側中継管路部
60 切替弁
61 左側切替弁
62 右側切替弁
63 前側切替弁
64 後側切替弁
70 減圧部
80 検知部
81 検知部本体
90 制御ユニット
90a 配線
91 操作部
92 通信部
93 電源部
94 制御部
94a 切替制御部
94b 判定部
94c 減圧制御部
95 記憶部
A 気体
OA 忌避対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7