IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

特開2024-176351液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置
<>
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図1
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図2
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図3
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図4
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図5
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図6
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図7
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図8
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図9
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図10
  • 特開-液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176351
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241212BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 651
H01L21/304 648A
H01L21/304 651B
H01L21/304 651J
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094827
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】谷口 進一
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 旭紘
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA37
5F131BB04
5F131BB22
5F131BB23
5F131CA38
5F131DA02
5F131DA32
5F131DA42
5F131DA62
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB58
5F131DB76
5F131DB82
5F131EA06
5F131EB32
5F131EB55
5F131GA14
5F131GA33
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB03
5F157AB33
5F157AB34
5F157AB45
5F157AB48
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC56
5F157BB02
5F157BB23
5F157CB13
5F157CB14
5F157CB27
5F157DA21
5F157DC51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型化を図るとともに、回転機構の負荷を軽減できる中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置において、バッチ式処理装置の姿勢変換槽33は、昇降機構61により受け入れ高さに反転チャック43を上昇させ、駆動機構63により第1の間隔とした反転チャック43に複数枚の基板Wを受け入れさせるとともに、駆動機構63により反転チャック43を第2の間隔にして、昇降機構61により浸漬高さに反転チャック43を下降させ、回転機構65により反転チャック43を軸芯AX1周りに駆動する。
【効果】浸漬槽DB内で複数枚の基板Wの姿勢を変換することができ、槽内キャリアではなく、反転チャック43で複数枚の基板Wを保持するので、浸漬槽DBの小型化を図ることができ、また、複数枚の基板Wと反転チャック43とを軸芯AX1周りに回転させるだけであるので、回転機構65の負荷を軽減できる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板の姿勢を変換する液中姿勢変換装置において、
処理液を貯留する浸漬槽と、
複数枚の基板を保持する反転チャックと、
前記反転チャックとの間で前記複数枚の基板を受け渡すための開放位置と、前記反転チャックで前記複数枚の基板を保持するための保持位置とに前記反転チャックを駆動する開閉駆動機構と、
前記複数枚の基板の姿勢を変換するため、前記反転チャックを水平軸周りに駆動する回転駆動機構と、
前記浸漬槽の上方である受け渡し位置と、前記浸漬槽内の変換位置とに前記反転チャックを昇降する昇降駆動機構と、
を備え、
前記昇降駆動機構により前記受け渡し位置に前記反転チャックを上昇させた状態で、前記開閉駆動機構により前記開放位置とした前記反転チャックに前記複数枚の基板を受け入れさせるとともに、前記開閉駆動機構により前記保持位置とした後、前記昇降駆動機構により前記変換位置に前記反転チャックを下降させた状態で、前記回転駆動機構により前記反転チャックを水平軸周りに駆動することを特徴とする液中姿勢変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液中姿勢変換装置において、
前記回転駆動機構は、前記反転チャックの外側に一端側が連結された回転軸と、モータと、前記モータの回転力を前記回転軸に伝達する伝達機構と、を備え、
前記回転軸と前記伝達機構とを収容する有底の収納器をさらに備え、
前記伝達機構は、前記昇降駆動機構によって前記収納器とともに昇降されることを特徴とする液中姿勢変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液中姿勢変換装置において、
前記伝達機構は、前記回転軸の他端側に設けられた従動プーリと、前記モータに取り付けられた主動プーリと、前記従動プーリと前記主動プーリに架け渡されたタイミングベルトと、を備えていることを特徴とする液中姿勢変換装置。
【請求項4】
請求項2に記載の液中姿勢変換装置において、
前記伝達機構は、前記回転軸の他端側に設けられた第1のベベルギアと、前記モータに連結された延出軸と、前記延出軸の下端部に設けられ、前記第1のベベルギアと螺合された第2のベベルギアと、を備えていることを特徴とする液中姿勢変換装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の液中姿勢変換装置において、
前記昇降機構は、前記回転駆動機構を搭載し、前記浸漬槽及び前記収容器の外部に延出された昇降フレームを備え、
前記開閉駆動機構は、前記昇降フレームに搭載されていることを特徴とする液中姿勢変換装置。
【請求項6】
請求項4に記載の液中姿勢変換装置において、
前記収納器は、内部が気体で加圧されていることを特徴とする液中姿勢変換装置。
【請求項7】
基板を処理する基板処理装置において、
複数枚の基板を鉛直姿勢の状態で一括して処理するバッチ式処理部と、
一枚の基板を水平姿勢の状態で処理する枚葉式処理部と、
前記バッチ式処理部で処理を終えた前記複数枚の基板について、処理液中で鉛直姿勢から水平姿勢に変換する液中姿勢変換部と、
前記バッチ式処理部で処理を終えた前記複数枚の基板を前記液中姿勢変換部に搬送する第1の搬送部と、
前記液中姿勢変換部で水平姿勢にされた前記複数枚の基板を前記枚葉式処理部に搬送する第2の搬送部と、
を備え、
前記液中姿勢変換部は、
処理液を貯留する浸漬槽と、
複数枚の基板を保持する反転チャックと、
前記反転チャックとの間で前記複数枚の基板を受け渡すための開放位置と、前記反転チャックで前記複数枚の基板を保持するための保持位置とに前記反転チャックを駆動する開閉駆動機構と、
前記複数枚の基板の姿勢を鉛直姿勢と水平姿勢とに変換するため、前記反転チャックを水平軸周りに駆動する回転駆動機構と、
前記浸漬槽の上方である受け渡し位置と、前記浸漬槽内の変換位置とに前記反転チャックを昇降する昇降駆動機構と、
を備え、
前記昇降駆動機構により前記受け渡し位置に前記反転チャックを上昇させた状態で、前記開閉駆動機構により前記開放位置とした前記反転チャックに前記複数枚の基板を受け入れさせるとともに、前記開閉駆動機構により前記保持位置とした後、前記昇降駆動機構により前記変換位置に前記反転チャックを下降させた状態で、前記回転駆動機構により前記反転チャックを水平軸周りに駆動して、前記複数枚の基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換することを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示用や有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板の姿勢を変換する液中姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、バッチ式モジュールと、枚葉式モジュールと、姿勢変換モジュールとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。バッチ式モジュールは、複数枚の基板に対して一括して処理を行う。枚葉式モジュールは、一枚ずつの基板に対して処理を行う。一般的に、枚葉式モジュールによる乾燥処理は、バッチ式モジュールによる乾燥処理に比較すると、基板が影響を受ける処理雰囲気の空間が小さく、パーティクル性能が高い。そのため、枚葉式モジュールは、バッチ式モジュールよりも乾燥性能を高めやすい。そこで、例えば、バッチ式モジュールでエッチング処理及びリンス処理を行った後、枚葉式モジュールで乾燥処理を行うことが行われる。
【0003】
バッチ式モジュールでは、複数枚の基板を鉛直姿勢とした状態で処理を行う。一方、枚葉式モジュールでは、基板を水平姿勢とした状態で処理を行う。そのため、バッチ式モジュールで処理を終えた鉛直姿勢の基板は、枚葉式モジュールに搬送される前に姿勢変換モジュールにより水平姿勢に変換される。
【0004】
ところで、近年、半導体分野では、3次元構造のパターンにおける精細化が進んでいる。そのため、このような基板では、基板が乾燥するときの気液界面の影響により、パターンが倒壊する恐れがある。そのため、バッチ式モジュールによる処理の後、枚葉式モジュールにおける処理を行うまでに、基板が乾燥しないように基板を濡れた状態にすることが行われる。
【0005】
具体的には、姿勢変換モジュールの傍らに複数個の吹き付け管を配置する。吹き付け管は、姿勢変換モジュールに保持されている基板に純水を吹き付ける。これにより、姿勢変換モジュールに保持されている基板を枚葉式モジュールに載置されるまで濡れた状態にする。
【0006】
このような構成の装置では、姿勢変換モジュールによる基板の姿勢と吹き付け管との位置関係により、基板の全体が十分に濡れない時間が生じる。また、回転機構の近くから純水を吹き付けても、回転機構の部材が存在する関係上、十分に基板の全体を濡らすことができない問題がある。
【0007】
そこで、純水を貯留した浸漬槽と、浸漬槽の内部とその上方とに昇降可能で、複数枚の基板を収納する槽内キャリアと、槽内キャリアを回転させる回転機構とを備えた液中姿勢変換装置が提案されている。この提案された装置では、鉛直姿勢の複数枚の基板を槽内キャリアに収容し、槽内キャリアごと複数枚の基板を浸漬槽に浸漬させる。その状態で、回転機構により槽内キャリアを縦回転させることにより、純水中にて基板の姿勢を鉛直姿勢から水平姿勢へ変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2016-502275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、槽内キャリアごと縦回転させるので、浸漬槽の大きさが特に上下方向で大きくなる問題がある。また、槽内キャリアごと複数枚の基板を水平姿勢に変換するので、回転機構の負荷が大きくなるという問題もある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、小型化を図るとともに、回転機構の負荷を軽減できる姿勢変換装置及びそれを備えた基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、複数枚の基板の姿勢を変換する液中姿勢変換装置において、処理液を貯留する浸漬槽と、複数枚の基板を保持する反転チャックと、前記反転チャックとの間で前記複数枚の基板を受け渡すための開放位置と、前記反転チャックで前記複数枚の基板を保持するための保持位置とに前記反転チャックを駆動する開閉駆動機構と、前記複数枚の基板の姿勢を変換するため、前記反転チャックを水平軸周りに駆動する回転駆動機構と、前記浸漬槽の上方である受け渡し位置と、前記浸漬槽内の変換位置とに前記反転チャックを昇降する昇降駆動機構と、を備え、前記昇降駆動機構により前記受け渡し位置に前記反転チャックを上昇させた状態で、前記開閉駆動機構により前記開放位置とした前記反転チャックに前記複数枚の基板を受け入れさせるとともに、前記開閉駆動機構により前記保持位置とした後、前記昇降駆動機構により前記変換位置に前記反転チャックを下降させた状態で、前記回転駆動機構により前記反転チャックを水平軸周りに駆動することを特徴とするものである。
【0012】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、昇降駆動機構により受け渡し位置に反転チャックを上昇させる。開閉駆動機構により開放位置とした反転チャックに複数枚の基板を受け入れさせるとともに、開閉駆動機構により反転チャックを保持位置にする。昇降駆動機構により変換位置に反転チャックを下降させる。回転駆動機構により反転チャックを水平軸周りに駆動する。これにより、浸漬槽内で複数枚の基板の姿勢を変換することができる。槽内キャリアではなく、反転チャックで複数枚の基板を保持するので、浸漬槽の小型化を図ることができる。また、複数枚の基板と反転チャックとを水平軸周りに回転させるだけであるので、回転機構の負荷を軽減できる。
【0013】
また、本発明において、前記回転駆動機構は、前記反転チャックの外側に一端側が連結された回転軸と、モータと、前記モータの回転力を前記回転軸に伝達する伝達機構と、を備え、前記回転軸と前記伝達機構とを収容する有底の収納器をさらに備え、前記伝達機構は、前記昇降駆動機構によって前記収納器とともに昇降されることが好ましい(請求項2)。
【0014】
伝達機構は、有底の収容器に収容され、昇降駆動機構によって昇降される。したがって、浸漬槽の処理液中にある反転チャックを水平軸周りに回転させることができる。また、伝達機構が収容器に収容されているので、伝達機構でパーティクルが生じても浸漬槽の処理液にパーティクルが混入して、基板が汚染されることを防止できる。
【0015】
また、本発明において、前記伝達機構は、前記回転軸の他端側に設けられた従動プーリと、前記モータに取り付けられた主動プーリと、前記従動プーリと前記主動プーリに架け渡されたタイミングベルトと、を備えていることが好ましい(請求項3)。
【0016】
主動プーリと従動プーリとに架け渡されたタイミングベルトでモータの回転力を反転チャックに伝達する。したがって、伝達機構の軽量化を図ることができる。その結果、昇降駆動機構の負荷を軽減できる。
【0017】
また、本発明において、前記伝達機構は、前記回転軸の他端側に設けられた第1のベベルギアと、前記モータに連結された延出軸と、前記延出軸の下端部に設けられ、前記第1のベベルギアと螺合された第2のベベルギアと、を備えていることが好ましい(請求項4)。
【0018】
第1のベベルギアと第2のベベルギアとによって、モータに連結された延出軸の回転力を反転チャックに伝達する。タイミングベルトでは、伸縮に起因して伝達ロスの生じる恐れがある。しかしながら、ギアで回転力を伝達するので、回転力の伝達ロスを少なくできる。
【0019】
また、本発明において、前記昇降機構は、前記回転駆動機構を搭載し、前記浸漬槽及び前記収容器の外部に延出された昇降フレームを備え、前記開閉駆動機構は、前記昇降フレームに搭載されていることが好ましい(請求項5)。
【0020】
昇降機構が昇降フレームを昇降すると、開閉駆動機構及び回転駆動機構も同時に昇降させることができる。したがって、構成を簡易化できる。
【0021】
また、本発明において、前記収納器は、内部が気体で加圧されていることが好ましい(請求項6)。
【0022】
収容器を加圧しているので、浸漬槽内の処理液が収容器に浸入することを防止できる。したがって、収容器に処理液が浸入することに起因する故障を防止できる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置において、複数枚の基板を鉛直姿勢の状態で一括して処理するバッチ式処理部と、一枚の基板を水平姿勢の状態で処理する枚葉式処理部と、前記バッチ式処理部で処理を終えた前記複数枚の基板について、処理液中で鉛直姿勢から水平姿勢に変換する液中姿勢変換部と、前記バッチ式処理部で処理を終えた前記複数枚の基板を前記液中姿勢変換部に搬送する第1の搬送部と、前記液中姿勢変換部で水平姿勢にされた前記複数枚の基板を前記枚葉式処理部に搬送する第2の搬送部と、を備え、前記液中姿勢変換部は、処理液を貯留する浸漬槽と、複数枚の基板を保持する反転チャックと、前記反転チャックとの間で前記複数枚の基板を受け渡すための開放位置と、前記反転チャックで前記複数枚の基板を保持するための保持位置とに前記反転チャックを駆動する開閉駆動機構と、前記複数枚の基板の姿勢を鉛直姿勢と水平姿勢とに変換するため、前記反転チャックを水平軸周りに駆動する回転駆動機構と、前記浸漬槽の上方である受け渡し位置と、前記浸漬槽内の変換位置とに前記反転チャックを昇降する昇降駆動機構と、を備え、前記昇降駆動機構により前記受け渡し位置に前記反転チャックを上昇させた状態で、前記開閉駆動機構により前記開放位置とした前記反転チャックに前記複数枚の基板を受け入れさせるとともに、前記開閉駆動機構により前記保持位置とした後、前記昇降駆動機構により前記変換位置に前記反転チャックを下降させた状態で、前記回転駆動機構により前記反転チャックを水平軸周りに駆動して、前記複数枚の基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換することを特徴とするものである。
【0024】
[作用・効果]請求項7に記載の発明によれば、液中姿勢変換部の昇降駆動機構により受け渡し位置に反転チャックを上昇させる。開閉駆動機構により開放位置とした反転チャックに複数枚の基板を受け入れさせるとともに、開閉駆動機構により反転チャックを保持位置にする。昇降駆動機構により変換位置に反転チャックを下降させる。回転駆動機構により反転チャックを水平軸周りに駆動する。これにより、バッチ式処理部で処理された複数枚の基板を第1の搬送部により液中姿勢変換部に搬送して、浸漬槽内で鉛直姿勢から水平姿勢に変換できる。その後、第2の搬送部によって基板を枚葉式処理部に搬送できる。液中姿勢変換部は、槽内キャリアではなく、反転チャックで複数枚の基板を保持するので、浸漬槽の小型化を図ることができる。また、複数枚の基板と反転チャックとを水平軸周りに回転させるだけであるので、回転機構の負荷を軽減できる。
【0025】
なお、本明細書は、次のような液中姿勢変換装置に係る発明も開示している。
【0026】
バッチ処理においては、浸漬槽に処理液を貯留した状態で、鉛直姿勢とした複数枚の基板を処理液に浸漬させて処理が行われる。このとき、浸漬槽の底面から上方へ処理液をアップフローで供給させ、浸漬槽の上縁を越えて処理液が排出される。このような状態を所定時間維持することで、複数枚の基板に対して一括して処理が行われる。
【0027】
しかしながら、鉛直姿勢とされている複数枚の基板は、下部と上部とで処理の進行度合いが異なることがある。つまり、基板の面内で処理を均一に行うことが難しいという問題がある。換言すると、面内均一性を高めることが困難である。
【0028】
本発明の他の目的は、このような事情に鑑みてなされたものであって、処理中に基板を上下反転させることにより、面内均一性を向上できる液中姿勢変換装置を提供することにある。
【0029】
(1)複数枚の基板の姿勢を変換する液中姿勢変換装置において、
処理液を貯留する浸漬槽と、
複数枚の基板を保持する反転チャックと、
前記反転チャックとの間で前記複数枚の基板を受け渡すための開放位置と、前記反転チャックで前記複数枚の基板を保持するための保持位置とに前記反転チャックを駆動する開閉駆動機構と、
前記複数枚の基板の姿勢を変換するため、前記反転チャックを水平軸周りに駆動する回転駆動機構と、
前記浸漬槽の上方である受け渡し位置と、前記浸漬槽内の変換位置とに前記反転チャックを昇降する昇降駆動機構と、
を備え、
前記昇降駆動機構により前記受け渡し位置に前記反転チャックを上昇させた状態で、前記開閉駆動機構により前記開放位置とした前記反転チャックに前記複数枚の基板を受け入れさせるとともに、前記開閉駆動機構により前記保持位置とした後、前記昇降駆動機構により前記変換位置に前記反転チャックを下降させた状態で、前記処理液による処理を前記複数枚の基板に行わせるとともに、前記回転駆動機構により前記反転チャックを水平軸周りに駆動して、前記複数枚の基板を上下反転させることを特徴とする液中姿勢変換装置。
【0030】
本発明によると、浸漬槽において処理液による処理を複数枚の基板に行わせるとともに、回転駆動機構により反転チャックを水平軸周りに駆動して、複数枚の基板を上下反転させる。したがって、基板の上部と下部とを入れ換えることができる。そのため、基板の上部と下部とで処理の進行度合いが異なっても、入れ換えることで処理の進行度合いを平均化できる。その結果、面内均一性を高めることができる。
【0031】
(2)(1)において、前記上下反転は、前記処理液による処理が所定時間行われた後に実施され、上下反転された状態で、先に実施された前記処理液による処理時間と同じだけさらに処理が行われることを特徴とする液中姿勢変換装置。
【0032】
上下反転前に実施された処理液による処理時間と同じだけ、上下反転後に処理液による処理を行う。したがって、基板の上部と下部とを均一に処理できる。その結果、処理の面内均一性を向上できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る液中姿勢変換装置によれば、昇降駆動機構により受け渡し位置に反転チャックを上昇させる。開閉駆動機構により開放位置とした反転チャックに複数枚の基板を受け入れさせるとともに、開閉駆動機構により反転チャックを保持位置にする。昇降駆動機構により変換位置に反転チャックを下降させる。回転駆動機構により反転チャックを水平軸周りに駆動する。これにより、浸漬槽内で複数枚の基板の姿勢を変換することができる。槽内キャリアではなく、反転チャックで複数枚の基板を保持するので、浸漬槽の小型化を図ることができる。また、複数枚の基板と反転チャックとを水平軸周りに回転させるだけであるので、回転機構の負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2図1におけるA-A矢視断面図である。
図3】25枚チャック及び反転チャックの構成を示す平面図である。
図4】反転チャックが開放位置とされた状態における正面図である。
図5】反転チャックが保持位置とされた状態における正面図である。
図6】姿勢変換槽の構成を示し、基板を鉛直姿勢で保持した状態を示す正面図である。
図7】姿勢変換槽の構成を示し、基板を水平姿勢で保持した状態を示す正面図である。
図8】姿勢変換槽の詳細な構造を示す一部破断正面図である。
図9】姿勢変換槽の他の実施例であり、詳細な構造を示す一部破断正面図である。
図10】姿勢変換槽によるその他の動作例の説明に供する正面図である。
図11】姿勢変換槽によるその他の動作例の説明に供する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0036】
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。図2は、図1におけるA-A矢視断面図である。
【0037】
<1.全体構成>
【0038】
基板処理装置1は、基板Wを処理する。基板処理装置1は、例えば、基板Wに対して薬液処理、洗浄処理、乾燥処理などを行う。基板処理装置1は、バッチ式と枚葉式とを併せ持った処理方式(いわゆるハイブリッド方式)を採用している。バッチ式は、複数枚の基板Wを鉛直姿勢の状態で一括して処理する。枚葉式は、一枚の基板Wを水平姿勢の状態で処理する。
【0039】
基板処理装置1は、バッチ式処理装置3と、枚葉式処理装置5とを備えている。本実施例では、バッチ式処理装置3に隣接して枚葉式処理装置5が配置されている。バッチ式処理装置3と枚葉式処理装置5とは、離間して配置されている。バッチ式処理装置3と枚葉式処理装置5とは、橋渡し部7で連結されている。
【0040】
<2.バッチ式処理装置>
【0041】
バッチ式処理装置3は、複数枚の基板Wを一括して処理する。バッチ式処理装置3は、搬入ブロック9と、ストッカーブロック11と、移載ブロック13と、姿勢変換ブロック15と、処理ブロック17とを備えている。
【0042】
本明細書では、便宜上、搬入ブロック9と、ストッカーブロック11と、移載ブロック13と、処理ブロック17とが並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、ストッカーブロック11から搬入ブロック9に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0043】
<3.搬入ブロック>
【0044】
搬入ブロック9は、投入部19を備えている。投入部19は、バッチ式処理装置3の前方Xに配置されている。キャリアCは、複数枚(例えば、25枚)の基板Wを水平姿勢で一定の間隔をおいて鉛直方向Zに積層収納する。キャリアCは、基板Wの面同士を離間して、基板Wを一枚ずつ収容する溝(図示省略)が複数個形成されている。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unify Pod)がある。FOUPは、密閉型容器である。キャリアCは、開放型容器でもよく、種類を問わない。投入部19は、例えば、キャリアCが載置される載置台21を2個備えている。2個の載置台21は、例えば、幅方向Yに沿って配置されている。投入部19は、ロードポートとも呼ばれる。
【0045】
<4.ストッカーブロック>
【0046】
ストッカーブロック11は、搬入ブロック9の後方Xに隣接して配置されている。ストッカーブロック11は、搬送収納部ACBを備えている。搬送収納部ACBは、搬送機構23と棚25とを備えている。
【0047】
搬送機構23は、キャリアCを搬送する。搬送収納部ACBは、複数個の棚25を備えている。棚25には、キャリアCが単に一時的に載置されるものと、第1搬送機構HTRとの間における受け渡しのためにキャリアCが載置されるものとがある。搬送収納部ACBは、未処理の基板Wが収納されたキャリアCを投入部19から取り込んで棚25に載置する。搬送収納部ACBは、処理の順序を規定するスケジュールに応じて、受け渡し用の棚25にキャリアCを搬送して載置する。搬送収納部ACBは、受け渡し用の棚25に載置されて空になったキャリアCを棚25に搬送して載置する。搬送収納部ACBは、載置台21の空き状況に応じて、棚25に載置された空のキャリアCを載置台21に搬出する。空のキャリアCは、枚葉式処理部5に搬送される。枚葉式処理部5に搬送された空のキャリアCには、例えば、このキャリアCに処理前に収納されていて、処理を終えた基板Wが枚葉式処理部5にて収納される。
【0048】
<5.移載ブロック>
【0049】
移載ブロック13は、ストッカーブロック11の後方Xに隣接して配置されている。移載ブロック13は、移載機構CTCを備えている。移載機構CTCは、第1搬送機構HTRと、変換機構HVCと、プッシャーPHと、第2搬送機構WTRを備えている。
【0050】
搬送収納部ACBの後方Xのうち右方Yには、第1搬送機構HTRが配置されている。第1搬送機構HTRは、複数枚の基板Wを一括して搬送する。換言すると、第1搬送機構HTRは、複数個のハンド(図示省略)を備えている。1つのハンドは、1枚の基板Wを支持する。第1搬送機構HTRは、1枚の基板Wだけを搬送することもできる。第1搬送機構HTRは、搬送収納部ACBにおける受け渡し用の棚25に載置されたキャリアCから、一括して複数枚の基板W(例えば、25枚)を取り出し、水平姿勢のまま変換機構HVCに搬送する。このとき、変換機構HVCは、基板Wの姿勢を水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。
【0051】
第1搬送機構HTRの左方Yには、変換機構HVCとプッシャーPHとが順に配置されている。変換機構HVCは、プッシャーPHに複数枚の基板Wを受け渡す。プッシャーPHは、変換機構HVCから複数枚の基板Wを受け取った後、幅方向Yにおいて第2搬送機構WTRに移動する。その際には、変換機構HVCとプッシャーPHとは、バッチロットの組み立てまたはバッチロットの解除を行う。プッシャーPHは、第2搬送機構WTRへ複数枚の基板Wを受け渡す。
【0052】
移載機構CTCは、例えば、ある一つのキャリアCから取り出された一つのロットを構成する複数枚の基板Wと、他のキャリアCから取り出された他の一つのロットを構成する複数枚の基板Wとを一つのバッチロットとして組み合わせる。これがバッチロットの組み立てである。バッチロットは、一つのロットの2倍の枚数の基板Wから構成される。バッチロットは、一つのロットの各基板Wに隣接するように、他の一つのロットの各基板Wが配置される。つまり、一つのロットの各基板Wが奇数番目に配置され、他の一つのロットの各基板Wが偶数番目に配置される。通常、キャリアCから取り出された複数枚の基板Wの間隔は、キャリアCと同じ間隔である。これをフルピッチと呼ぶ。一つのバッチロットでは、例えば、複数枚の基板Wの間隔がフルピッチの半分となる。これをハーフピッチと呼ぶ。バッチロットは、上記のように一つのロットと、他の一つのロットとが組み合わせられるが、組み合わせ方によって表面合わせ(Face to Faceとも呼ばれる)、表裏面合わせ(Back to Faceとも呼ばれる)の二種類がある。そのロットの組み合わせ方は、プッシャーPHの動作によって決められる。なお、この動作の詳細については、本発明の理解を容易にするため省略する。以下の説明においては、複数枚の基板Wをロットと称するが、バッチロットに固有の説明が必要な場合には、複数枚の基板Wをバッチロットと称する。
【0053】
第2搬送機構WTRは、移載機構CTCの左方Yに配置されている。第2搬送機構WTRは、移載ブロック13と処理ブロック17とにわたって移動可能に構成されている。第2搬送機構WTRは、前後方向Xに移動可能に構成されている。第2搬送機構WTRは、ロットを搬送する一対のハンド27を備えている。一対のハンド27は、例えば、幅方向Yに向けられた回転軸を備えている。一対のハンド27は、この回転軸周りに揺動する。一対のハンド27は、ロットを構成する複数枚の基板Wについて、その前後方向Xに位置する側端面を挟持する。第2搬送機構WTRは、移載機構CTCとの間でロットを構成する複数枚の基板Wを受け渡す。第2搬送機構WTRは、処理ブロック17に対して、ロットを構成する未処理の複数枚の基板Wを受け渡す。第2の搬送機構WTRは、処理ブロック17で処理された複数枚の基板Wを姿勢変換ブロック15との間で受け渡す。
【0054】
ここで、姿勢変換ブロック15よりも先に処理ブロック17について説明する。
【0055】
<6.処理ブロック>
【0056】
処理ブロック17は、例えば、バッチ処理部BPUを備えている。例えば、バッチ処理部BPUは、6個の処理部を備えている。具体的には、バッチ処理部BPUは、第1のバッチ処理部BPU1と、第2のバッチ処理部BPU2と、第3のバッチ処理部BPU3と、第4のバッチ処理部BPU4と、第5のバッチ処理部BPU5と、第6のバッチ処理部BPU6とを備えている。なお、バッチ処理部BPUの個数は、6個に限定されない。つまり、バッチ処理部BPUは、6個未満であってもよく、7個以上であってもよい。
【0057】
第1のバッチ処理部BPU1~第6のバッチ処理部BPU6は、前後方向Xに一列に配置されている。第1のバッチ処理部BPU1~第6のバッチ処理部BPU6のそれぞれは、処理槽BBと、リフタLFとを備えている。処理槽BBは、処理液を貯留する。処理液は、純水や薬液である。薬液は、例えば、有機溶剤やエッチング液である。有機溶剤は、例えば、IPA(イソプロピルアルコールである)。エッチング液は、例えば、燐酸溶液である。
【0058】
リフタLFは、処理槽BBの内部である処理位置と、処理槽BBの液面より上方の受け渡し位置との間を昇降する。リフタLFは、受け渡し位置において、第2搬送機構WTRとの間で複数枚の基板Wを受け渡す。第1のバッチ処理部BPU1~第6のバッチ処理部BPU6は、例えば、1つのペアごとに対応付けられる。具体的には、第1のバッチ処理部BPU1と第2のバッチ処理部BPU2とが1つのペアとなり、第3のバッチ処理部BPU3と第4のバッチ処理部BPU4とが1つのペアとなり、第5のバッチ処理部BPU5と第2のバッチ処理部BPU6とが1つのペアとなる。1つのペアは、例えば、薬液処理と、洗浄処理とに役割が分担される。第1のバッチ処理部BPU1~第6のバッチ処理部BPU6は、例えば、最大で50枚の基板Wを一括して処理できる。換言すると、第1のバッチ処理部BPU1~第6のバッチ処理部BPU6は、例えば、最大で一つのバッチロットを同時に処理できる。
【0059】
各処理槽BBは、処理液を下方から供給される。各処理槽BBは、処理液が上縁を越えて排出される。各処理槽BBは、リフタLFに載置された複数枚の基板Wを処理液中に浸漬させる。各リフタLFは、基板Wの下縁を当接して保持する。各リフタLFは、第2搬送機構WTRとの間で複数枚の基板Wを受け渡す。
【0060】
<7.姿勢変換ブロック>
【0061】
図2に示すように、姿勢変換ブロック15は、25枚チャックTFCと、待機槽31と、姿勢変換槽33とを備えている。なお、待機槽31及び姿勢変換槽33で参照する図面では、各構成が見やすいように液面を図示せず省略してある。
【0062】
待機槽31は、処理槽BB0と、リフタLF0とを備えている。処理槽BB0は、上述した第1のバッチ処理部BPU1~第6のバッチ処理部BPU6が備えている処理槽BBと同様の構成である。リフタLF0は、処理槽BB0の内部である待機位置と、処理槽BB0の液面より上方の受け渡し位置との間を昇降する。待機槽BB0は、処理液を貯留している。処理液は、例えば、純水である。待機位置では、リフタLF0に載置された基板Wの全体が処理液中に没する。
【0063】
ここで、図3を参照する。図3は、25枚チャック及び反転チャックの構成を示す平面図である。
【0064】
25枚チャックTFCは、全体が幅方向Yにのみ水平移動する。25枚チャックTFCは、鉛直方向Zには昇降しない。25枚チャックTFCは、前後方向Xに水平移動しない。但し、25枚チャックTFCは、保持位置PCと通過位置PTとにわたって、ハンド35を開閉する。保持位置PCは、25枚チャックTFCが複数枚の基板Wを保持する。通過位置PTは、25枚チャックTFCが複数枚の基板Wを保持しない。換言すると、通過位置PTは、複数枚の基板Wを保持したリフタLF0が受け渡し位置と待機位置との間における移動を許容する。25枚チャックTFCは、例えば、幅方向Yにおいて、第1の受け渡し位置P1と、第2の受け渡し位置P2と、第3の受け渡し位置P3との三箇所にわたって移動する。
【0065】
25枚チャックTFCは、係止部37を備えている。係止部37は、ハンド35の内側に設けられている。係止部37は、上述したフルピッチの間隔で幅方向Yに形成されている。第1の受け渡し位置P1と、第2の受け渡し位置P2とは、ハーフピッチに相当する距離だけ幅方向Yの位置が異なる。第3の受け渡し位置P3は、姿勢変換槽33に複数枚の基板Wを受け渡す位置である。25枚チャックTFCは、第1の受け渡し位置P1においてリフタLF0から1つのロットのみを受け取る。具体的には、バッチロットを構成する二つのロットのうち、最初のロットを構成する奇数番である複数枚の基板Wだけを受け取る。25枚チャックTFCは、第2の受け渡し位置P2において、リフタLF0からもう一つのロットのみを受け取る。具体的には、バッチロットを構成する二つのロットのうち、次のロットを構成する偶数番である複数枚の基板Wだけを受け取る。
【0066】
ここで、図2及び図3に加え、さらに、図4図7を参照する。図4は、反転チャックが第1の間隔とされた状態における正面図である。図5は、反転チャックが第2の間隔とされた状態における正面図である。図6は、反転チャックが第1の間隔とされた状態における横断面図である。図7は、反転チャックが第2の間隔とされた状態における横断面図である。
【0067】
図2に示すように、姿勢変換槽33は、浸漬槽DBと、姿勢変換部41とを備えている。
【0068】
まず、主要部について説明する。姿勢変換槽33は、浸漬槽DB内において、反転チャック43により複数枚の基板Wの姿勢を一括して変換する。具体的には、反転チャック43は、複数枚の基板Wを鉛直姿勢から水平姿勢に変換する。反転チャック43は、例えば、バッチロットを構成する基板Wの半分の基板Wについて姿勢を変換する。反転チャック43は、例えば、25枚の基板Wについて姿勢を変換する。反転チャック43は、基板Wの径方向にて対向配置され、基板Wの周縁部を挟持する。浸漬槽DBは、処理液を貯留する。処理液は、例えば、純水である。
【0069】
図4及び図5に示すように、反転チャック43は、一対のチャック部材45を備えている。チャック部材45は、鉛直姿勢の基板Wを受け取ったり保持したりする際の鉛直方向Zの長さが基板Wの半径より短い。図3及び図7に示すように、チャック部材45は、鉛直姿勢の基板Wを受け取ったり保持したりする際の幅方向Yの長さが、ロットにおける複数枚の基板Wの整列方向における長さより若干長い。
【0070】
図4及び図5に示すように、各チャック部材45は、対向面に溝部47を有する。溝部47は、鉛直姿勢の基板Wを受け取ったり保持したりする鉛直姿勢において、幅方向Yから見ると、円弧状の形状を呈する。溝部47の円弧状は、基板Wの外縁に沿った形状である。
【0071】
一対のチャック部材45は、第1の間隔WD1と、第2の間隔WD2とにわたって前後方向Xに移動する。一対のチャック部材45は、対向する溝部47同士の距離を変えることができる。第1の間隔WD1は、25枚チャックTFC及び橋渡し部7との間で基板を受け渡すための間隔である。第2の間隔WD2は、第1の間隔WD1より前後方向Xが狭く、複数枚の基板Wを挟持するための間隔である。
【0072】
ここで、さらに図8を参照する。図8は、姿勢変換槽の詳細な構造を示す一部破断正面図である。
【0073】
浸漬槽DBは、一対の供給管50を備えている。各供給管50は、浸漬槽DBの底部に配置されている。各供給管50は、浸漬槽DBの前後方向Xの隅部に配置されている。各供給管50は、幅方向Yに伸びる。各供給管50は、浸漬槽DBの前後方向Xにおける中央部上方、つまり斜め上方に向けて処理液を噴出して供給する。換言すると、各噴出管50は、浸漬槽DBに基板Wが浸漬された状態において、基板Wの中央部付近に向けて処理液を噴出する。
【0074】
なお、各供給管50は、浸漬槽DBの底面中央部に向けて処理液を噴出して供給するようにしてもよい。これにより、浸漬槽DBの底面に一旦処理液があたってから基板Wの中央部に向かって上昇する。したがって、処理液の強い流れが基板Wに直接的にあたることがない。その結果、処理液の液流に起因する処理ムラを抑制でき、より面内均一性を向上できる。
【0075】
姿勢変換槽33は、昇降機構61と、駆動機構63と、回転機構65とを備えている。
【0076】
昇降機構61は、反転チャック43を昇降させる。駆動機構63は、反転チャック43を開閉させる。回転機構65は、反転チャック43を回転させる。
【0077】
昇降機構61は、浸漬槽DBの外部に配置されている。昇降機構61は、平面視において、浸漬槽DBの四面ある側壁のうち、前後方向Xに設けられている二面の側壁の外側面に沿って配置されている。図6に示すように、昇降機構61は、反転チャック43を受け入れ高さHP1と、挟持高さHP2と、係止高さHP3と、浸漬高さHP4とにわたって昇降する。受け入れ高さHP1は、鉛直姿勢の基板Wを反転チャック43に受け入れるための高さである。挟持高さHP2は、鉛直姿勢の基板Wを反転チャック43で挟持するための高さである。係止高さHP3は、反転チャック43で挟持された鉛直姿勢の基板Wを係止するための高さである。浸漬高さHP4は、反転チャック43で係止された鉛直姿勢の基板Wを浸漬槽DB中の処理液に浸漬するための高さである。
【0078】
昇降機構61は、ベース部材61aと、螺軸61bと、モータ61cと、昇降部材61dと、昇降フレーム61eとを備えている。
【0079】
ベース部材61aは、姿勢変換槽33の底部に固定されている。螺軸61bは、ベース部材61aから鉛直方向Zに立設されている。螺軸61bは、鉛直方向Zに伸びる。螺軸61bは、浸漬槽DBの外側面に沿って配置されている。螺軸61bの上部には、モータ61cが取り付けられている。モータ61cは、回転軸が下方に向けられている。モータ61cは、回転軸が螺軸61bに連結されている。昇降部材61dは、螺軸61bに螺合されている。昇降部材61dは、螺軸61bの回転により鉛直方向Zに昇降する。昇降フレーム61eは、昇降部材61dに連結されている。昇降フレーム61eは、下部が昇降部材61dに連結されている。昇降フレーム61eは、逆L字状を呈する。
【0080】
駆動機構63は、昇降機構61の上部に搭載されている。駆動機構63は、上部ベース部材63aと、エアシリンダ63bと、移動片63cと、懸垂アーム63dと、リニアガイド63eとを備えている。上部ベース部材61aは、モータ61c及び昇降フレーム61eの上部に配置されている。エアシリンダ63bは、上部ベース部材63aに取り付けられている。エアシリンダ63bは、前後方向Xに作動軸が向けられている。懸垂アーム63dは、逆L字状を呈する。懸垂アーム63dは、水平部がリニアガイド63eを介して昇降フレーム61eの上部に取り付けられている。懸垂アーム63dは、リニアガイド63eにより前後方向Xに水平移動が可能に取り付けられている。懸垂アーム63dは、昇降フレーム61eに対して水平方向に移動可能である。駆動機構63は、エアシリンダ63bを作動させることにより、懸垂アーム63dを前後方向Xに移動させる。駆動機構63は、エアシリンダ63bを作動させることで、第1の間隔WD1と第2の間隔WD2とにわたってチャック部材45を移動させる。
【0081】
エアシリンダ63bは、例えば、非作動時に作動軸が収縮する。エアシリンダ63bは、例えば、作動時に作動軸が伸長する。つまり、エアシリンダ63bが非作動時は、チャック43が第1の間隔WD1とされる。エアシリンダ63bが作動時は、チャック43が第2の間隔WD2とされる。
【0082】
回転機構65は、回転軸65aと、モータ65bと、伝達機構67とを備えている。
【0083】
回転軸65aは、一端がチャック部材45の外側面に連結されている。モータ65bは、移動片63cの上部に取り付けられている。モータ65bは、横置きに配置されている。回転軸65aは、収容器69に他端が収納されている。回転軸65aは、シール部材65cを介して収容器69に取り付けられている。シール部材65cは、回転軸65aを液密な状態で支持する。回転軸65aは、ベアリング65dを介して懸垂アーム63dに取り付けられている。ベアリング65dは、回転軸65aを軸芯AX1周りに回転可能に支持する。回転軸65aは、他端が懸垂アーム63dの外側面から前後方向Xへ突出している。
【0084】
上述したシール部材65cは、メカニカルシールやVLシールを用いることが好ましい。メカニカルシールは、密閉すべき液体で潤滑作用をしながら、摺動面に液膜を形成して密閉するシールである。VLシールは、L字型のシールリングをOリングで締め付けて密閉するシールである。
【0085】
収容器69は、有底である。収容器69は、天井面を備えていない。換言すると、収容器69は、上面が周囲に連通している。収容器69は、反転チャック43が浸漬高さHP4に位置している際に、その上縁が浸漬槽DBの上縁より上方に位置する。つまり、収容器69は、浸漬槽DBの処理液中に没しない。収容器69は、懸垂アーム63dとともに昇降機構61によって鉛直方向Zに昇降駆動される。
【0086】
伝達機構67は、モータ65bの回転力を回転軸65aに伝達する。
【0087】
具体的には、伝達機構67は、従動プーリ67aと、主動プーリ67bと、タイミングベルト67cとを備えている。従動プーリ67aは、回転軸65aの他端に固定されている。主動プーリ67bは、モータ65aに取り付けられている。主動プーリ67bは、モータ65aによって回転駆動される。タイミングベルト67cは、従動プーリ67aと主動プーリ67bとに架け渡されている。モータ65bが回転されると、主動プーリ67bと、タイミングベルト67cと、従動プーリ67dを介して回転軸65aが軸芯AX1周りに回転駆動される。これにより、反転チャック43が軸芯AX1周りに回転駆動される。
【0088】
駆動機構63と回転機構65は、昇降機構61に搭載されている。したがって、駆動機構63と回転機構65とは、昇降機構61によって鉛直方向Zに昇降される。回転機構65は、駆動機構63に搭載されている。したがって、回転機構65は、駆動機構63によって前後方向Xに移動される。
【0089】
伝達機構67は、主動プーリ67bと従動プーリ67aとに架け渡されたタイミングベルト67cでモータ65bの回転力を反転チャック43に伝達する。したがって、伝達機構67の軽量化を図ることができる。その結果、昇降機構61の負荷を軽減できる。
【0090】
収容器69は、懸垂アーム63dとともに昇降機構61によって鉛直方向Zに昇降駆動される。したがって、回転機構65や伝達機構67でパーティクルが生じても、浸漬槽DBの処理液にパーティクルが侵入しない。その結果、姿勢変換の際に基板Wが汚染されることを防止できる。
【0091】
ここで、図1及び図2に戻る。
【0092】
<8.橋渡し部>
【0093】
橋渡し部7は、バッチ式処理装置3と枚葉式処理装置5とを連結する。橋渡し部7は、バッチ式処理装置3と枚葉式処理装置5とにのみ連通している。橋渡し部7は、ブリッジロボットBRを備えている。ブリッジロボットBRは、幅方向Yにのみ移動可能に構成されている。ブリッジロボットBRは、鉛直方向Zに昇降しない。ブリッジロボットBRは、ハンド71を備えている。ハンド71は、前後方向X及び幅方向Yを含む水平面内で回転可能に構成されている。ハンド71は、水平方向に伸縮可能に構成されている。ブリッジロボットBRは、ハンド71を進退させて、水平姿勢にされた一枚の基板を姿勢変換ブロック15から受け取る。ブリッジロボットBRは、水平姿勢にされた一枚の基板を枚葉式処理装置5に受け渡す。
【0094】
<9.枚葉式処理装置>
【0095】
枚葉式処理装置5は、搬出ブロック81と、インデクサブロック83と、処理ブロック85とを備えている。
【0096】
<10.搬出ブロック>
【0097】
搬出ブロック81は、搬出部87を備えている。搬出部87は、枚葉式処理装置5の前方Xに配置されている。搬出部87は、キャリアCが載置される。搬出ブロック81は、例えば、4個の搬出部87を備えている。4個の搬出部87は、幅方向Yに沿って配置されている。搬出部87は、ロードポートとも呼ばれる。
【0098】
<11.インデクサブロック>
【0099】
インデクサブロック83は、インデクサロボットIRを備えている。インデクサロボットIRは、例えば、多関節アーム89と、ハンド91とを備えている。インデクサロボットIRは、幅方向Y及び前後方向Xに移動しない。インデクサロボットIRは、多関節アーム89を屈曲させて、ハンド91を移動させる。インデクサロボットIRは、鉛直方向Zにハンド91を昇降させる。インデクサロボットIRは、4個の搬出部87に載置された各カセットCにアクセスすることができる。インデクサロボットIRは、ハンド91で一枚の基板Wを搬送する。インデクサロボットIRは、処理ブロック85から搬出部87に一枚の基板Wを搬送する。
【0100】
<12.処理ブロック>
【0101】
処理ブロック85は、4個のタワーTW1~TW4と、センターロボットCRとを備えている。
【0102】
タワーTW1は、インデクサブロック83の後方Xに配置されている。タワーTW1は、インデクサブロック83に隣接して配置されている。タワーTW1は、処理チャンバ-MPCを鉛直方向Zに積層して備えている。タワーTW1は、例えば、3個の処理チャンバ-MPCを備えている。処理チャンバ-MPCは、1枚ずつ基板Wを処理する。処理チャン鉛直方向Zにバ-PMCは、例えば、基板Wに対して乾燥処理を行う。
【0103】
タワーTW2は、タワーTW1の後方Xに配置されている。タワーTW2は、タワーTW1に隣接して配置されている。タワーTW2は、タワーTW1と同様の構成である。つまり、タワーTW2は、3個の処理チャンバ-MPCを鉛直方向Zに積層して備えている。
【0104】
タワーTW3は、タワーTW2の左方Yに配置されている。タワーTW3は、センターロボットCRを挟んでタワーTW2の左方Yに配置されている。タワーTW3も、タワーTW1,TW2と同様の構成である。つまり、タワーTW3は、3個の処理チャンバMPCを鉛直方向Zに積層して備えている。
【0105】
タワーTW4は、タワーTW1~TW4と一部の構成が相違する。つまり、タワーTW4は、鉛直方向Zにおける一番下と一番上に処理チャンバ-MPCを備えている。タワーTW4は、鉛直方向Zにおける中央部に受渡部93を備えている。受渡部93は、一枚の基板Wを載置される。受渡部93は、昇降ピン93aを備えている。昇降ピン93aは、ブリッジロボットBRから基板Wを受け取る際に昇降される。受渡部93は、ブリッジロボットBRから一枚の基板Wを載置される。受渡部93は、載置された一枚の基板WがセンターロボットCRによって受け取られる。
【0106】
センターロボットCRは、前後方向Xに移動可能に構成されている。センターロボットCRは、ハンド95を備えている。ハンド95は、鉛直方向Zに昇降する。ハンド95は、前後方向X及び幅方向Yを含む平面内で旋回可能に構成されている。ハンド95は、タワーTW1~TW4の処理チャンバ-MPC及び受渡部93にアクセスできるように移動される。つまり、センターロボットCRは、ハンド95を鉛直方向Zと、前後方向Xと、幅方向Yとに自在に移動させることができる。センターロボットCRは、インデクサロボット83に処理済みの基板Wを受け渡す。
【0107】
<13.動作説明>
【0108】
図1及び図2を参照して、基板処理装置1による処理の一例について説明する。
【0109】
まず、全体の大まかな処理の流れについて説明する。
【0110】
<14.バッチ処理>
【0111】
複数枚の未処理の基板Wを収容したキャリアCが投入部19に載置される。搬送機構23によりキャリアCがストッカーブロック11に搬入される。第1搬送機構HTR及び移載機構CTCにより、二組の複数枚の基板Wがバッチロットとして組み立てられる。バッチロットを構成する複数枚の基板Wは、第2搬送機構WTRにより処理ブロック17に搬送される。処理ブロック17では、例えば、第2のバッチ処理部BPU2で燐酸によるエッチング処理が行われる。その後、バッチロットを構成する複数枚の基板Wは、第1のバッチ処理部BPU1で純水洗浄処理が行われる。次に、バッチロットを構成する複数枚の基板Wは、第2搬送機構WTRにより姿勢変換ブロック15に搬送される。姿勢変換ブロック15では、バッチロットのうちの一つのロットだけが姿勢変換槽33に搬送される。姿勢変換槽33では、バッチロットのうちの一つのロットだけが液中において鉛直姿勢の複数枚の基板Wが水平姿勢に変換される。この後、バッチロットのうちの一つのロットを構成する複数枚の基板Wが一枚ずつ順次に枚葉式処理装置5に搬送される。その後、バッチロットのうちのもう一つのロットが同様にして姿勢変換された後、枚葉式処理装置5に搬送される。
【0112】
<15.枚葉処理>
【0113】
水平姿勢に変換された一枚の基板Wは、ブリッジロボットBRによって枚葉式処理装置5に搬送される。具体的には、一枚の基板Wが受渡部93に載置される。受渡部93に載置された一枚の基板Wは、センターロボットCRによって受け取られる。センターロボットCRは、一枚の基板Wを、例えば、タワーTW1の処理チャンバ-MPCに搬入する。処理チャンバ-MPCでは、例えば、基板Wに対して乾燥処理を行う。具体的は、例えば、基板Wを回転させつつ純水を供給する。その後、基板Wに対してIPAを供給して、基板Wの純水をIPAで置換する。その後、基板Wを高速回転させて乾燥させる。また、必要に応じて、他の処理チャンバMPCにおいて、超臨界流体の二酸化炭素により乾燥処理を行うことが好ましい。超臨界流体による乾燥処理により、基板Wに仕上げ乾燥処理が行われる。これにより基板Wが完全に乾燥されるが、基板Wに形成されているパターンの倒壊は抑制される。
【0114】
乾燥処理が完了した一枚の基板Wは、センターロボットCRとインデクサロボットIRとを介して搬出部87に搬出される。インデクサロボットIRは、搬出部87に載置されたキャリアCに一枚の基板Wを収容する。続いて処理が行われる同じ一つのロットを構成している基板Wは、同じキャリアCに収納される。
【0115】
<16.姿勢変換処理>
【0116】
以上が基板処理装置1による大まかな処理の流れであるが、次に、姿勢変換について説明する。
【0117】
バッチ処理を終えたバッチロットを構成する複数枚の基板Wは、第2搬送機構WTRにより、待機槽31のリフタLF0に受け渡される。リフタLF0は、バッチロットを構成する複数枚の基板Wを待機槽31の内部である待機位置に移動させる。この状態でバッチロットを構成する複数枚の基板Wが待機するので、乾燥を防止できる。つまり、バッチ処理後の基板Wに形成されたパターンなどの倒壊を防止できる。
【0118】
25枚チャックTFCは、第1の受け渡し位置P1に位置されている。25枚チャックTFCは、ハンド35を開放する。つまり、25枚チャックTFCは、ハンド35が通過位置PTとされている(図3参照)。リフタLF0を待機槽BB0の液面より上方である受け渡し位置に上昇させる。このとき、25枚チャックTFCは、ハンド35が通過位置PTとされているので、複数枚の基板Wは25枚チャックTFCの間を通過して上昇できる。併せて、姿勢変換槽33における姿勢変換部41により反転チャック43を受け入れ高さHP1に上昇させる。
【0119】
25枚チャックTFCは、ハンド35を閉止する。つまり、25枚チャックTFCは、ハンド35が保持位置PCとされる(図3参照)。この状態で、リフタLF0を待機位置に下降させる。これにより、リフタLF0に載置されていたバッチロットの複数枚の基板Wのうち、1つのロットを構成する奇数番である複数枚の基板Wだけが25枚チャックTFCに載置される。リフタLF0に載置されていたバッチロットの複数枚の基板Wのうち、もう1つのロットを構成する偶数番である複数枚の基板Wは、リフタLF0とともに待機槽BB0の内部に下降する。これにより、25枚チャックTFCのハンド35が第2の受け渡し位置PT2とされて、偶数番の基板Wが姿勢変換槽33に移動されるまで乾燥を防止された状態で待機させることができる。したがって、もう一つのロットを構成する複数枚の基板Wの乾燥に起因するパターン倒れも防止できる。
【0120】
25枚チャックTFCは、ハンド35を第3の受け渡し位置P3まで右方Yに進出させる。このとき、反転チャック43は、受け入れ高さHP1に位置しているので、基板Wとの干渉は生じない。
【0121】
反転チャック43は、駆動機構61のエアシリンダ63bを非作動とすることにより、第1の間隔WD1とされている(図4参照)。この状態で、25枚チャックTFCに載置された複数枚の基板Wに向かって反転チャック43を下降させる。具体的には、反転チャック43を挟持高さHP2に下降させる。複数枚の基板Wは、反転チャック43に収容されている。
【0122】
駆動機構61のエアシリンダ63bを作動させことにより、反転チャック43を第2の幅WD2とする(図5参照)。これにより、反転チャック43に収容されている基板Wが挟持される。さらに、図6に示すように、反転チャック43を係止高さHP3に上昇させる。これにより、反転チャック43で挟持されている基板Wの端面のうち、側方より下部にある下縁部が当接して係止される。なお、反転チャック43を受け入れ高さHP1に一時的に上昇させた状態で、25枚チャックTFCを第2の受け渡し位置P2へ移動させる。これにより、25枚チャックTFCは、リフタLF0に載置されているもう一つのロットを構成する複数枚の基板Wを受け取る準備ができる。
【0123】
昇降機構61のモータ61cを駆動させることにより、反転チャック43を浸漬高さHP4に下降させる。これにより、反転チャック43に挟持された複数枚の基板Wが浸漬槽DBの処理液中に浸漬される。複数枚の基板Wは、その全体が浸漬槽DBの処理液下に没する。姿勢変換ブロック15においては、一つのロットを構成する複数枚の基板Wは、待機槽BB0から上昇されて浸漬槽DBに浸漬されるまでの短時間だけ液中から露出した状態である。
【0124】
回転機構65のモータ65bを作動させることにより、反転チャック43を90°回転させる。具体的には、この例では、時計回りに90°回転させる。回転方向は、基板Wの処理面(表面)がいずれの方向に位置しているかによって決めればよい。つまり、基板Wの処理面が上方を向くように回転方向を決定すればよい。これにより、複数枚の基板Wは、水平姿勢に変換される。
【0125】
昇降機構61のモータ61bを作動させることにより、反転チャック43を上昇させる。具体的には、反転チャック43の最上段の溝部47に挟持されている基板Wだけが浸漬槽DBの液中から露出するよう反転チャック43を上昇させる。反転チャック43の高さは、ブリッジロボットBRのハンド71が、液中から露出した基板Wの下面から若干下方に離れた位置に進入できるたけの高さである。
【0126】
ブリッジロボットBRのハンド71を姿勢変換部41に進入させる。ハンド71は、基板Wの下面から若干下方に離間した位置に進入する。
【0127】
反転チャック43を下方へ移動する。反転チャック43の移動により、基板Wがハンド71に移載される。
【0128】
ブリッジロボットBRがハンド71を右方Yへ移動させて、最上部の基板Wを反転チャック43から抜き出す。
【0129】
ブリッジロボットBRは、ハンド71を旋回させて右方Yに基板Wを位置させる。具体的には、ハンド71を旋回させて受渡部93側に基板Wを移動させる。そして、受渡部93に一枚の基板Wを受け渡す。
【0130】
上述した姿勢変換ブロック15の動作により、バッチ式処理装置3から枚葉式処理装置5に一枚の基板Wが水平姿勢で搬送される。
【0131】
なお、本発明と上述した実施例における対応関係は次のとおりである。
【0132】
姿勢変換槽33が本発明における「液中姿勢変換装置」及び「液中姿勢変換部」に相当する。バッチ式処理装置3が本発明における「バッチ式処理部」に相当する。枚葉式処理装置5が本発明における「枚葉式処理部」に相当する。25枚チャックTFCが本発明における「第1の搬送部」に相当する。ブリッジロボットBRが本発明における「第2の搬送部」に相当する。駆動機構63が本発明における「開閉駆動機構」に相当する。回転機構65が本発明における「回転駆動機構」に相当する。昇降機構61が本発明における「昇降駆動機構」に相当する。第1の間隔WD1が本発明における「開放位置」に相当する。第2の間隔WD2が本発明における「保持位置」に相当する。受け入れ高さHP1が本発明における「受け渡し位置」に相当する。浸漬高さHP4が本発明における「変換位置」に相当する。
【0133】
本実施例によれば、昇降機構61により受け入れ高さHP1に反転チャック43を上昇させる。駆動機構63により第1の間隔WD1とした反転チャック43に複数枚の基板Wを受け入れさせるとともに、駆動機構63により反転チャック43を第2の間隔WD2にする。昇降機構61により浸漬高さHP4に反転チャック43を下降させる。回転機構65により反転チャック43を軸芯AX1周りに駆動する。これにより、浸漬槽DB内で複数枚の基板Wの姿勢を変換することができる。槽内キャリアではなく、反転チャック43で複数枚の基板Wを保持するので、浸漬槽DBの小型化を図ることができる。また、複数枚の基板Wと反転チャック43とを軸芯AX1周りに回転させるだけであるので、回転機構65の負荷を軽減できる。
【0134】
<17.姿勢変換槽の変形例>
【0135】
ここで、図9を参照する。図9は、姿勢変換槽の他の実施例であり、詳細な構造を示す一部破断正面図である。
【0136】
この姿勢変換槽33Aは、姿勢変換部41Aの構成が上述した姿勢変換槽33と相違する。具体的には、姿勢変換部41Aのうち、回転機構65Aと、伝達機構67Aと、収容器69Aとが相違する。
【0137】
回転機構65Aは、回転軸65aと、モータ65Abと、シール部材65cと、カップリング65Adとを備えている。
【0138】
伝達機構67Aは、第1のベベルギア67Adと、延出軸67Aeと、第2のベベルギア67Afとを備えている。第1のベベルギア67Adは、回転軸65aの他端に取り付けられている。
【0139】
回転機構65Aは、モータ65Abが駆動機構63の上部に縦置で配置されている。モータ65Abは、カップリング65Adを介して、延出軸67Aeの一端に連結されている。カップリング65Adを介して延出軸67Aeとモータ65Abとが連結されているので、モータ65Abの交換を容易に行うことができる。延出軸67Aeの他端は、第2のベベルギア67Afが取り付けられている。第2のベベルギア67Afは、第1のベベルギア67Adと螺合されている。回転軸65aと延出軸67Aeとは、軸線同士がほぼ直交する。第1のベベルギア67Adと第2のベベルギア67Afとは、モータ65Abの回転力をほぼ直交方向に伝達させる。この変形例によると、第1のベベルギア67Adと第2のベベルギア67Afでモータ65Abの回転力を伝達するので、上述したタイミングベルト67cに方式に比較して回転力の伝達ロスを少なくできる。
【0140】
収容器69Aは、伝達機構67Aを密閉して収容している。収容器69Aは、加圧されていることが好ましい。具体的には、加圧源97に供給管99の一端が連通接続されている。供給管99の他端は、収容器69Aに連通接続されている。加圧源97は、気体を供給管99に供給する。気体は、例えば、窒素ガスやエアである。気体は、一定の圧力となるように供給される。そのため、浸漬槽DBの処理液が収容器69Aに浸入することを防止できる。その結果、収容器69Aに処理液が浸入することに起因して、伝達機構67Aが故障することを防止できる。
【0141】
<18.姿勢変換槽に関するその他の動作例>
【0142】
図10及び図11を参照して、上述した姿勢変換槽33のその他の動作例について説明する。図10及び図11は、姿勢変換槽によるその他の動作例の説明に供する正面図である。
【0143】
上述した実施例では、複数枚の基板Wの姿勢を鉛直姿勢から水平姿勢に変換するためだけに姿勢変換槽33を利用している。つまり、姿勢変換槽33は、複数枚の基板Wの姿勢を90度だけ変えている。しかしながら、姿勢変換槽33は、次のように動作させるために用いてもよい。
【0144】
つまり、姿勢変換槽33は、複数枚の基板Wを一括して処理するバッチ処理部BPUとしても利用できる。つまり、バッチ処理部BPUの処理槽BBとして姿勢変換槽33を利用する。
【0145】
例えば、供給管50から処理液を供給しつつ、複数枚の基板Wを処理する。処理液は、例えば、薬液であり、具体的には燐酸溶液が挙げられる。回転機構65により、複数枚の基板Wを鉛直姿勢の状態で反転チャック43に保持させる。さらに、昇降機構61により、反転チャック43を浸漬高さHP4に下降させる。この状態を図10に示す。このとき、複数枚の基板Wは、例えば、表面(処理面)が幅方向Yの一方側に向けられている。これにより、複数枚の基板Wに対して薬液による処理が開始される。次に、薬液による処理時間をT時間とした場合、例えば、T/2時間となった時点で、回転機構65を作動させる。そして、複数枚の基板Wの姿勢を180度だけ変える。つまり、複数枚の基板Wの上下を入れ換えた鉛直姿勢とする。これにより、幅方向Yの一方側に裏面(非処理面)が向けられる。複数枚の基板Wについて、その上部を下部に位置させ、その下部を上部に位置させるように変換する。そして、例えば、T/2時間が経過したら、他の処理槽BBに移動させて洗浄処理を行わせる。
【0146】
この動作例によると、浸漬槽DBにおいて処理液による処理を複数枚の基板Wに行わせるとともに、回転機構65により反転チャック43を軸芯AX1周りに駆動して、複数枚の基板Wを上下反転させる。したがって、基板Wの上部と下部とを入れ換えることができる。そのため、基板Wの上部と下部とで処理の進行度合いが異なっても、入れ換えることで処理の進行度合いを平均化できる。その結果、基板Wに対する処理の面内均一性を高めることができる。
【0147】
上述した動作例では、T時間の処理時間のうち、T/2時間ずつ上下を入れ換えるようにしている。しかしながら、このように限定されるものでなく、上下における処理の進行度合いのバラツキに応じて時間を配分すればよい。また、複数回にわたって上下反転を行わせてもよい。
【0148】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0149】
(1)上述した実施例では、駆動機構63がエアシリンダ63bによって駆動されているが、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、エアシリンダ63bに代えて、エア式ロータリアクチュエータやリニアモータなどを用いてもよい。
【0150】
(2)上述した実施例では、伝達機構67,67Aが主動プーリ67bや第1のベベル議や67Adを用いた構成であるが、本発明はこのような構成に限定されない。つまり、モータ65b、65Abの駆動力を反転チャック43に伝達できれば、このような構成に限定されない。
【0151】
(3)上述した実施例では、昇降機構63がモータ61cと螺軸61bとを備えている。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、モータ61cと螺軸61bとに代えて、複数個のエアシリンダや多段式エアシリンダを用いてもよい。
【0152】
(4)上述した実施例では、基板処理装置1がバッチ式処理装置3と枚葉式処理装置5とを橋渡し部7で連結された構成を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、バッチ式処理装置3と枚葉式処理装置5とを同じ筐体内に備えた一つの基板処理装置1であっても適用できる。
【符号の説明】
【0153】
1 … 基板処理装置
W … 基板
3 … バッチ式処理装置
5 … 枚葉式処理装置
7 … 橋渡し部7
9 … 搬入ブロック
11 … ストッカーブロック
13 … 移載ブロック
15 … 姿勢変換ブロック
17 … 処理ブロック
19 … 投入部
C … キャリア
BPU … バッチ処理部
BB … 処理槽
LF … リフタ
TFC … 25枚チャック
31 … 待機槽
33 … 姿勢変換槽
BB0 … 処理槽
LF0 … リフタ
DB … 浸漬槽
41 … 姿勢変換部
43 … 反転チャック
WD1 … 第1の間隔
WD2 … 第2の間隔
45 … チャック部材
47 … 溝部
50 … 供給管
61 … 昇降機構
61a … ベース部材
61b … 螺軸
61c … モータ
61d … 昇降部材
61e … 昇降フレーム
63 … 駆動機構
63a … 上部ベース部材
63b … エアシリンダ
63c … 移動片
63d … 懸垂アーム
63e … リニアガイド
65 … 回転機構
65a … 回転軸
65b … モータ
65c … シール部材
67 … 伝達機構
67a … 従動プーリ
67b … 主動プーリ
67c … タイミングベルト
69 … 収容器
AX1 … 軸芯
HP1 … 受け入れ高さ
HP2 … 挟持高さ
BR … ブリッジロボット
81 … 搬出ブロック
83 … インデクサブロック
85 … 処理ブロック
87 … 搬出部
IR … インデクサロボット
TW1~TW4 … タワー
CR … センターロボット
93 … 受渡部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11