(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176359
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/36 20060101AFI20241212BHJP
B65D 43/06 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B65D1/36
B65D43/06 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094841
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 諒太
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏至
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 日向子
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 龍観
(72)【発明者】
【氏名】河原 美保
(72)【発明者】
【氏名】角田 瑞葵
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA14
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA22
3E033BB02
3E033CA07
3E033DA04
3E033DA08
3E033DE11
3E033FA04
3E033GA03
3E084AA05
3E084AA13
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA02
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA02
3E084DB13
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA09
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB12
(57)【要約】
【課題】開閉時の蓋体の操作性を維持しつつ、隣り合う収容部間における内容物の移動を確実に防止すること。
【解決手段】容器は容器本体および蓋体を備える。容器本体は、天面の外縁を規定する本体側周縁部の内側において隣接して設けられる第1収容部および第2収容部と、該二つの収容部を連結し該本体側周縁部に接続する本体側連結部とを備える。蓋体は、本体側周縁部に嵌合する蓋体側周縁部と、第1収容部を覆う第1カバー部と、第2収容部を覆う第2カバー部と、該二つのカバー部を連結し本体側連結部を覆う蓋体側連結部とを備える。蓋体側連結部は、第1収容部の開口縁に挿入される嵌合部と、第2収容部の開口縁に挿入される非嵌合部とを備える。嵌合部は第1収容部の開口縁に設けられた嵌合受け部に内嵌合方式により嵌合し、非嵌合部は第2収容部の開口縁と嵌合することなく第2収容部の内壁に接触する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面において開口を有する複数の収容部を備える容器本体と、該容器本体に脱着可能に装着される蓋体とを備える容器であって、
前記容器本体が、前記天面の外縁を規定する本体側周縁部と、該本体側周縁部の内側において隣接して設けられる第1収容部および第2収容部と、該第1収容部および該第2収容部を連結するとともに該本体側周縁部に接続する本体側連結部とを備え、
前記蓋体が、前記本体側周縁部に嵌合する蓋体側周縁部と、前記第1収容部を覆う第1カバー部と、前記第2収容部を覆う第2カバー部と、該第1カバー部および該第2カバー部を連結するとともに前記本体側連結部を覆う蓋体側連結部とを備え、
前記蓋体側連結部が、前記第1収容部の開口縁の内側に挿入される嵌合部と、前記第2収容部の開口縁の内側に挿入される非嵌合部とを備え、
前記嵌合部が、前記第1収容部の前記開口縁に設けられた嵌合受け部に内嵌合方式により嵌合し、
前記非嵌合部が、前記第2収容部の前記開口縁と嵌合することなく前記第2収容部の内壁に接触する、
容器。
【請求項2】
前記蓋体側周縁部が前記内嵌合方式により前記本体側周縁部と嵌合する、
請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記蓋体が、前記蓋体側連結部に接続する前記蓋体側周縁部の接続部に設けられるリブを更に備える、
請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記リブが、前記蓋体側周縁部の周方向に沿って延びる凸状または凹状を呈する、
請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記容器本体から前記蓋体へと向かう方向を高さ方向とし、該高さ方向において前記容器本体側を下方とし前記蓋体側を上方とした場合に、前記蓋体側連結部において前記非嵌合部の下端が前記嵌合部の下端よりも上方に位置する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記本体側周縁部が環状を呈し、
前記本体側連結部が、前記第2収容部に向かって凸である弧状を呈し、
前記第2収容部の前記開口縁が三日月状を呈し、
前記本体側連結部に接続する前記本体側周縁部の接続部に対応する前記第2収容部の角部において、前記第2収容部の底面の付近での前記第2収容部の内壁の曲率が、前記第2収容部の前記開口縁の付近での該内壁の曲率より小さい、
請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
前記本体側周縁部が環状を呈し、
前記本体側連結部が、前記第2収容部に向かって凸である弧状を呈し、
前記第2収容部の前記開口縁が三日月状を呈し、
前記本体側連結部に接続する前記本体側周縁部の接続部に対応する前記第2収容部の角部において、前記第2収容部の前記開口縁が、前記本体側周縁部の径方向に沿って外方に膨らむように形成される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は容器に関する。
【背景技術】
【0002】
仕切りによって分けられた二つの収容部を有する容器本体と、その容器本体を閉じる蓋体とを備える容器が知られている。仕切りのための構造が容器本体および蓋体の双方に設けられた容器も知られている。例えば、特許文献1には、容器本体の底壁から立ち上がる仕切部の上面全体に嵌合凹溝が形成され、蓋体の天板裏面における、容器本体側の仕切部と同一位置に形成された仕切部の内端面に、嵌合凹溝に収納される嵌合凸リブが形成され、該内端面の先端が該先端の全幅にわたって嵌合凹溝の内側に位置することを特徴とする食品用の包装用容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉時の蓋体の操作性を維持しつつ、隣り合う収容部間における内容物の移動を確実に防止することが可能な容器が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る容器は、天面において開口を有する複数の収容部を備える容器本体と、該容器本体に脱着可能に装着される蓋体とを備える容器であって、容器本体が、天面の外縁を規定する本体側周縁部と、該本体側周縁部の内側において隣接して設けられる第1収容部および第2収容部と、該第1収容部および該第2収容部を連結するとともに該本体側周縁部に接続する本体側連結部とを備え、蓋体が、本体側周縁部に嵌合する蓋体側周縁部と、第1収容部を覆う第1カバー部と、第2収容部を覆う第2カバー部と、該第1カバー部および該第2カバー部を連結するとともに本体側連結部を覆う蓋体側連結部とを備え、蓋体側連結部が、第1収容部の開口縁の内側に挿入される嵌合部と、第2収容部の開口縁の内側に挿入される非嵌合部とを備え、嵌合部が、第1収容部の開口縁に設けられた嵌合受け部に内嵌合方式により嵌合し、非嵌合部が、第2収容部の開口縁と嵌合することなく第2収容部の内壁に接触する。
【0006】
このような側面においては、蓋体が容器本体の開口を閉じると、蓋体側連結部が第1収容部および第2収容部の双方において開口縁の内側に挿入される。その結果、第1収容部と第2収容部との間が塞がれて、該二つの収容部間の内容物の移動が防止される。加えて、第2収容部の側では本体側連結部および蓋体側連結部に嵌合方式が採用されないので、これらの連結部について第1収容部および第2収容部の双方の側で嵌合方式を採用する場合よりも、蓋体を閉めるために必要な力が小さくて済み、したがって、蓋体が閉めやすくなる。これらの仕組みによって、開閉時の蓋体の操作性を維持しつつ、隣り合う収容部間における内容物の移動をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、開閉時の蓋体の操作性を維持しつつ、隣り合う収容部間における内容物の移動をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】
図2のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図7における部分Paを拡大して示す断面図である。
【
図9】
図7における部分Pbを拡大して示す断面図である。
【
図10】
図7における部分Pcを拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[容器の概要]
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る容器について詳細に説明する。容器は内容物を収容するための物品である。容器は、内容物を収容するための容器本体と、該容器本体に着脱可能に装着される蓋体とを備える。
【0010】
開口が蓋体によって閉じられた場合に、容器本体から蓋体へと向かう方向が規定される。本開示ではその方向を高さ方向という。高さ方向において、容器本体側を下方といい、蓋体側を上方という。高さ方向と直交する方向を水平方向という。
【0011】
容器本体は、内容物を収容するための構造である複数の収容部を備える。複数の収容部は、隣り合う第1収容部および第2収容部を含む。一例では、第1収容部は第1内容物を収容するために用いられ、第2収容部は第1内容物とは異なる第2内容物を収容するために用いられる。それぞれの収容部は、底面と、該底面の周縁から立ち上がるように形成された内壁と、該内壁の上端に位置して収容部の開口を形成する開口縁とを備える。それぞれの収容部の底面に対向するとともに容器本体の上端に位置する仮想的な面を天面というとすると、それぞれの収容部は天面において開口を有するといえる。
【0012】
蓋体は、複数の収容部に対応する複数のカバー部を備える。複数のカバー部は、第1収容部および第2収容部にそれぞれ対応する第1カバー部および第2カバー部を含む。第1収容部および第2収容部の位置関係と同様に、第1カバー部および第2カバー部は隣り合う。それぞれのカバー部は、対応する収容部を覆う。「収容部を覆う」は、「収容部の開口を閉じる」または「収容部を閉じる」と言い換えられてもよい。カバー部が収容部を覆うことで閉空間が形成される。
【0013】
容器は、第1収容部と第2収容部との間において第1内容物または第2内容物が意図せず隣の収容部に移動することを防止するための仕切りを備える。容器が3以上の収容部を備える場合には、その容器は、少なくとも1ペアの第1収容部および第2収容部に対して仕切りを備える。
【0014】
内容物とは、容器に収容される有体物をいう。内容物は飯類、麺類、総菜、汁物、調味料などの食品でもよい。例えば、カレーライスを提供するために容器が用いられる場合には、第1収容部がカレールーを収容し、第2収容部が米飯を収容してもよい。この場合には、仕切りはそのカレールーと米飯とが意図せず混じってしまうことを防止する。
【0015】
[容器の構造]
図1~
図10を参照しながら、一例に係る容器1の構造について説明する。
図1は容器1の分解斜視図である。
図2は容器1の斜視図である。
図3は容器本体10の斜視図である。
図4は容器本体10の平面図である。
図5は蓋体20の斜視図である。
図6は蓋体20の底面図である。
図7は
図2のVII-VII線に沿った断面図である。
図8は、
図7における部分Paを拡大して示す断面図である。
図9は、
図7における部分Pbを拡大して示す断面図である。
図10は、
図7における部分Pcを拡大して示す断面図である。
【0016】
まず、
図1および
図2を主に参照しながら容器1を説明する。容器1は、内容物を収容するための容器本体10と、該容器本体10に着脱可能に装着される蓋体20とを備える。
【0017】
容器本体10および蓋体20はいずれも、合成樹脂のシート材料を所定の金型を用いて所定の形状に成形することにより作製される。
【0018】
容器本体10は非発泡シート材料から作製されてもよい。非発泡シート材料は、ポリエチレンテレフタレートでもよいし、ポリスチレンでもよいし、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンでもよい。非発泡シート材料は、炭酸カルシウム、タルク、フィラーなどの無機成分を含有し、耐熱性を向上させたシートであってもよい。非発泡シート材料は多層でも単層でもよい。非発泡シート材料にフィルムが貼り付けられてもよい。非発泡シート材料は、透明でもよいし、種々の色または柄を有してもよい。非発泡シート材料を製造するために種々の添加剤が加えられてもよい。
【0019】
容器本体10は発泡合成樹脂のシート材料から作製されてもよい。発泡合成樹脂のシート材料は、ポリエチレンテレフタレートでもよいし、ポリスチレンでもよいし、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンでもよい。例えば、ポリスチレンを発泡させた発泡ポリスチレンシート、または、耐熱性に優れたポリスチレンを発泡させた耐熱性発泡ポリスチレンシートが用いられてもよい。
【0020】
蓋体20は、透明な合成樹脂のシート材料から作製されてもよい。透明な合成樹脂のシート材料は、ポリエチレンテレフタレートでもよいし、ポリスチレンでもよいし、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンでもよい。例えば、ポリスチレンを二軸延伸させたポリスチレンシート、または、耐熱性二軸延伸スチレン系樹脂シートが用いられてもよい。蓋体20は、半透明または不透明な合成樹脂のシート材料から作製されてもよい。透明ではない合成樹脂のシート材料は、ゴム成分を含むことで耐衝撃性の高めたハイインパクトポリスチレン(HIPS)でもよいし、PPフィラー(フィラー入りポリプロピレン)でもよい。
【0021】
容器本体10または蓋体20を成形する手法の例として、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、および熱盤成形が挙げられる。いずれかの方法により合成樹脂シートを熱成形することにより容器本体10または蓋体20を作製し得る。延伸シートを用いる場合には、加熱した熱盤と金型とでシートを挟んで成形を行う熱盤成形が採用されてもよい。
【0022】
容器本体10は、天面の外縁を規定する本体側周縁部11と、該本体側周縁部11の内側において隣り合うように設けられる第1収容部12および第2収容部13と、該第1収容部12および該第2収容部を連結する本体側連結部14とを備える。容器本体10は全体として逆錐台状(カップ状)を呈する。高さ方向に沿って容器本体10を見た場合に、本体側周縁部11は環状を呈する。「環状」とは輪のような形をいう。環状の形の例として円および楕円が挙げられる。
【0023】
蓋体20は、本体側周縁部11に嵌合する蓋体側周縁部21と、第1収容部12を覆う第1カバー部22と、第2収容部13を覆う第2カバー部23と、該第1カバー部22および該第2カバー部23を連結する蓋体側連結部24とを備える。高さ方向に沿って蓋体20を見た場合に、蓋体側周縁部21は、本体側周縁部11の形状に対応する環状を呈する。第1カバー部22、第2カバー部23、および蓋体側連結部24の位置および形状は、第1収容部12、第2収容部13、および本体側連結部14にそれぞれ対応する。
【0024】
蓋体20を容器本体10に装着させるために内嵌合方式が採用される。蓋体側周縁部21は、内嵌合方式により本体側周縁部11に対して固定される。内嵌合方式とは、蓋体20が容器本体10の内側に嵌まる仕組みである。内嵌合方式では、容器本体10に嵌められた蓋体20が容器本体10に向かって圧力を掛けるので、蓋体20が容器本体10から外れにくい。その結果、容器本体10からの液漏れが防止または抑制される。
【0025】
蓋体20が容器本体10に装着されると、第1カバー部22は第1収容部12を覆い、第2カバー部23は第2収容部13を覆う。蓋体側連結部24は、第1収容部12の開口縁の内側に挿入されると共に第2収容部13の開口縁の内側に挿入される態様で、本体側連結部14を覆う。「蓋体側連結部24が収容部の開口縁の内側に挿入される」とは、蓋体側連結部24の下部が収容部の開口縁よりも下方に位置することをいう。水平方向に沿って見ると、収容部の開口縁の内側に挿入された蓋体側連結部24は、収容部の内壁の上端部を覆う。このような蓋体側連結部24の挿入によって、第1収容部12および第1カバー部22は、閉空間である第1区画2を形成し、第2収容部13および第2カバー部23は、閉空間である第2区画3を形成する。重ね合わされた蓋体側連結部24および本体側連結部14は、第1収容部12(第1区画2)と第2収容部13(第2区画3)とを区切る仕切りとして機能する。
【0026】
内嵌合方式は、蓋体20に設けられる嵌合部と、容器本体10に設けられる嵌合受け部とのペアである嵌合構造によって実現される。嵌合部は、嵌合受け部に嵌合すると、該嵌合受け部に対して固定される。嵌合とは、第1側から嵌合受け部に向かって進んできた嵌合部が、嵌合受け部を乗り越えて、嵌合受け部を挟んで該第1側の反対側である第2側に位置することで、嵌合部が嵌合受け部に嵌まる手法をいう。
【0027】
(容器本体)
図3および
図4を主に参照しながら容器本体10について説明する。本体側周縁部11は全体として、水平方向に沿った平面として形成される。本体側周縁部11は蓋体側周縁部21を支持する役割を担う。本体側周縁部11の外縁のほぼ全周にわたって、上方に突き出た凸部111が形成される。凸部111が設けられない領域は、後述する蓋体20のつまみ211を支持するつまみ受け部112として機能する。
【0028】
第1収容部12は、第1底面121と、該第1底面121の周縁から立ち上がるように形成された第1内壁122と、該第1内壁122の上端に位置して第1収容部12の第1開口129を形成する第1開口縁123とを備える。第1収容部12は全体として逆錐台状(カップ状)を呈する。容器本体10を上方から見た場合に、第1底面121および第1開口縁123はいずれも環状(輪のような形)を呈する。第1内壁122は、第1開口縁123から第1底面121へと進むにつれて窄むテーパ状を呈する。第1開口縁123の長径は第1底面121の長径よりも大きい。
【0029】
第2収容部13は、第2底面131と、該第2底面131の周縁から立ち上がるように形成された第2内壁132と、該第2内壁132の上端に位置して第2収容部13の第2開口139を形成する第2開口縁133とを備える。第2開口139の面積は第1開口129の面積よりも大きい。第2開口縁133は第1開口縁123よりも長い。第2収容部13は全体として逆錐台状(カップ状)を呈する。容器本体10を上方から見た場合に、第2底面131および第2開口縁133はいずれも三日月状を呈する。第2内壁132は、第2開口縁133から第2底面131へと進むにつれて窄むテーパ状を呈する。
【0030】
本体側連結部14は、第1収容部12と第2収容部13とをつなぐように形成される細長い平面状の構造である。本体側連結部14は、容器本体10の短径方向に沿って円弧状に容器本体10を横断して本体側周縁部11に接続するように設けられる。本体側連結部14の第1端部141および第2端部142のそれぞれは本体側周縁部11に接続する。以下では、その第1端部141に接続する本体側周縁部11の領域を第1接続部113といい、その第2端部142に接続する本体側周縁部11の領域を第2接続部114という。本体側連結部14のこのような配置により、容器本体10の長径方向に沿って第1収容部12および第2収容部が配置される。
【0031】
高さ方向に沿って容器本体10を見た場合に、本体側連結部14は、第2収容部13に向かって凸である弧状を呈する。このような弧状の本体側連結部14に関連して、第2収容部13は、第1接続部113の付近に位置する第1角部134と、第2接続部114の付近に位置する第2角部135とを備える。すなわち、第2収容部13は、その第1接続部113および第2接続部114のそれぞれに対応する第1角部134および第2角部135を備える。
【0032】
第1角部134および第2角部135の双方において、第2底面131の付近での第2内壁132の曲率は、第2開口縁133の付近での第2内壁132の曲率よりも小さい。すなわち、第1角部134および第2角部135の双方において、第2内壁132は、第2底面131の付近では相対的に緩やかに曲がるのに対して、第2開口縁133の付近では相対的にきつく曲がるように形成される。容器本体10を上方から見た場合に、第1角部134および第2角部135の双方において、第2底面131の付近での第2内壁132の曲がりは、第2開口縁133の付近での第2内壁132の曲がりよりも第2収容部13の中心の近くに位置する。
【0033】
第1角部134および第2角部135のそれぞれにおいて、第2内壁132はそのような曲率の違いを実現させるための凹部136を含む。高さ方向に沿って見た場合に、凹部136は、第2内壁132の上端から、高さ方向における第2内壁132の途中地点までの範囲にわたって形成される。水平方向または第2内壁132の周方向に沿って見ると、凹部136は下方に凸の半円状を呈する。第2底面131と平行な仮想水平面に対する第2内壁132の傾斜角度については、凹部136における角度の方が、第2底面131から凹部136の下端までの範囲における角度よりも小さい。すなわち、第1角部134および第2角部135のそれぞれにおいて、第2内壁132の傾斜は、上部では相対的に緩やかであり、下部では相対的に急である。
【0034】
(蓋体)
図5および
図6を主に参照しながら蓋体20について説明する。蓋体側周縁部21の端部(外縁)は全体として、本体側周縁部11の凸部111の内側に合致するように設計される。したがって、蓋体側周縁部21は全体として、本体側周縁部11の端部(外縁)の内側に位置する。蓋体側周縁部21は、水平方向に沿って外方に向かって突き出るように形成されたつまみ211を含む。このつまみ211は、蓋体20を容器本体10から取り外す際に用いられ得る。蓋体20を水平方向に沿って見た場合に、蓋体側周縁部21は、端部から内方に向かって略水平方向に沿って延びる面である。蓋体側周縁部21には、容器本体10に向かって垂下する部分が存在しない。蓋体側周縁部21の外縁部のうち、つまみ211を除く区間のほとんどにおいて、多数の細かい点状のリブが設けられる。その細かなリブの集まりによって、略水平方向に沿って延びる蓋体側周縁部21の端部は、直線状にではなく波状に形成される。
【0035】
第1カバー部22は全体として、上方に向かって錐台状(ドーム状)に膨らむように形成される。高さ方向に沿って蓋体20を見た場合に、第1カバー部22は環状を呈する。
図8および
図9に示すように、第1カバー部22は、第1収容部12の第1開口縁123に合致する第1縁部221を備える。第1縁部221は下方に凸の略U字状を呈する。そのU字状に着目すると、第1縁部221は、第1カバー部22の中心方向を向く内側面221aと、該内側面221aと対向するように該内側面221aの外側に位置する外側面221bと、水平方向に沿って延びて内側面221aおよび外側面221bの下端同士を接続する下面221cとを備える。
【0036】
第2カバー部23は全体として、上方に向かって錐台状(ドーム状)に膨らむように形成される。高さ方向に沿って蓋体20を見た場合に、第2カバー部23は三日月状を呈する。
図8および
図10に示すように、第2カバー部23は、第2収容部13の第2開口縁133に合致する第2縁部231を備える。第2縁部231は下方に凸の略U字状を呈する。そのU字状に着目すると、第2縁部231は、第2カバー部23の中心方向を向く内側面231aと、該内側面231aと対向するように該内側面231aの外側に位置する外側面231bと、水平方向に沿って延びて内側面231aおよび外側面231bの下端同士を接続する下面231cとを備える。
【0037】
蓋体側連結部24は、第1カバー部22と第2カバー部23とをつなぐように形成される細長いブリッジ状の構造である。蓋体側連結部24の位置および形状は本体側連結部14に対応する。蓋体側連結部24は、蓋体20の短径方向に沿って円弧状に蓋体20を横断して蓋体側周縁部21に接続するように設けられる。蓋体側連結部24の第1端部241および第2端部242のそれぞれは蓋体側周縁部21に接続する。以下では、その第1端部241に接続する蓋体側周縁部21の領域を第1接続部212といい、その第2端部242に接続する蓋体側周縁部21の領域を第2接続部213という。
図8に示すように、蓋体側連結部24の延び方向と直交する断面(高さ方向における断面)を見ると、蓋体側連結部24は上方に凸の略U字状を呈する。このU字状に着目すると、蓋体側連結部24は、第1カバー部22の側に位置する第1内側面243と、第2カバー部23の側に位置する第2内側面244と、水平方向に沿って延び該第1内側面243および該第2内側面244の上端同士を接続する連結面245とを備える。第1内側面243は第1カバー部22の第1縁部221の一部であり、第2内側面244は第2カバー部23の第2縁部231の一部である、といえる。
【0038】
第1接続部212および第2接続部213のそれぞれにはリブ25が設けられる。リブ25は高さ方向に沿って上方または下方に突き出るように形成される構造である。したがって、リブ25は凸状または凹状を呈する。少なくとも一つのリブ25は、蓋体側周縁部21の周方向に沿って延びる。一例では、第1接続部212および第2接続部213のそれぞれにおいて、二つのリブ25が蓋体20の径方向に沿って並ぶように形成される。
【0039】
高さ方向に沿って蓋体20を見た場合に、蓋体側連結部24は、第2カバー部23に向かって凸である弧状を呈する。このような弧状の蓋体側連結部24に関連して、第2カバー部23は、第1接続部212の付近に位置する第1角部232と、第2接続部213の付近に位置する第2角部233とを備える。すなわち、第2カバー部23は、その第1接続部212および第2接続部213のそれぞれに対応する第1角部232および第2角部233を備える。
【0040】
図9に示すように、第1カバー部22の第1縁部221の外側面221bは、蓋体側周縁部21に沿って延びる非仕切区間においては蓋体側周縁部21に接続する。
図8に示すように、蓋体側連結部24に沿って延びる仕切区間においては、その外側面221bは蓋体側連結部24の第1内側面243であるともいえる。
【0041】
図10に示すように、第2カバー部23の第2縁部231の外側面231bは、蓋体側周縁部21に沿って延びる非仕切区間においては蓋体側周縁部21に接続する。
図8に示すように、蓋体側連結部24に沿って延びる仕切区間においては、その外側面231bは蓋体側連結部24の第2内側面244であるともいえる。
【0042】
(第1区画での仕組み)
嵌合構造は少なくとも第1区画2のために設けられる。本開示では、第1区画2での嵌合構造を第1嵌合構造30ともいう。第1嵌合構造30の嵌合部および嵌合受け部をそれぞれ第1嵌合部31および第1嵌合受け部32ともいう。
図7~
図9を主に参照しながら第1嵌合構造30について説明する。
【0043】
第1嵌合部31は、第1カバー部22の第1縁部221の外側面221bの全周にわたって途切れることなく設けられる。したがって、第1嵌合部31は蓋体側連結部24の第1内側面243に設けられる。すなわち、蓋体側連結部24は第1嵌合部31を備える。第1嵌合部31は、第1縁部221の外側面221b(蓋体側連結部24の第1内側面243)において水平方向に沿って外側面221b(第1内側面243)から離れる方向に向かって突き出るテーパ状の構造である。第1嵌合部31は、第1カバー部22が第1収容部12を覆う際に第1収容部12に向かい合うように形成される下面31aと、該下面31aの上方に位置して該下面31aに向かい合うように形成される上面31bと、該下面31aおよび該上面31bの先端同士を接続する先端面31cとを備える。外側面221b(第1内側面243)と直交する第1嵌合部31の断面を見ると、第1嵌合部31は先端に向かって窄むテーパ状を呈する。
【0044】
第1嵌合受け部32は、第1開口縁123の全周にわたって途切れることなく設けられる。したがって、第1嵌合受け部32は本体側連結部14に沿って設けられる。第1嵌合受け部32は、水平方向に沿って第1収容部12の中心に向かって突き出るテーパ状の構造である。第1嵌合受け部32は、第1底面121に向かい合うように形成される下面32aと、該下面32aの上方に位置して該下面32aと向かい合うように形成される上面32bと、該下面32aおよび該上面32bの先端同士を接続する先端面32cとを備える。第1内壁122と直交する第1嵌合受け部32の断面を見ると、第1嵌合受け部32は先端に向かって窄むテーパ状を呈する。
【0045】
蓋体20が容器本体10に装着されると、第1嵌合部31は第1開口縁123の内側に挿入され、内嵌合方式により第1嵌合受け部32に嵌合する。嵌合された第1嵌合部31は第1開口縁123よりも下方に位置する。第1嵌合部31が第1嵌合受け部32に嵌合すると、第1嵌合部31の上面31bと、第1嵌合受け部32の下面32aとが、引っ掛かり合うように位置する。このように機能する上面31bおよび下面32aは「逆テーパ部」ともいわれる。
【0046】
(第2区画での仕組み)
第2区画3には、内嵌合方式が採用された蓋体20の開閉時の操作性を維持するための仕組みが設けられる。「開閉時の蓋体の操作性を維持する」とは、容器本体10に対する蓋体20の着脱をできるだけ容易にすることをいう。その仕組みを実現するために、蓋体側連結部24は非嵌合部50を備える。蓋体20が容器本体10に装着されると、非嵌合部50は第2開口縁133の内側に挿入される。したがって、第2カバー部23側において蓋体側連結部24の下端に位置する非嵌合部50は、第2開口縁133よりも下方に位置する。
図7および
図8を主に参照しながら非嵌合部50について説明する。
【0047】
非嵌合部50は、蓋体側連結部24の第2内側面244の周方向に沿って、該第2内側面244の上部に設けられる。非嵌合部50は、高さ方向に沿った全体において、第2収容部13の側を向くように、すなわち下方を向くように形成された平面である。非嵌合部50は第2内壁132と面接触または線接触するように形成される。面接触とは、非嵌合部50と第2内壁132とが接触し合う領域が2次元形状になる接触をいう。線接触とは、非嵌合部50と第2内壁132とが接触し合う領域が線状になる接触をいう。例えば、非嵌合部50の傾斜角度を第2内壁132の傾斜角度に合わせることで、第2内壁132と面接触する非嵌合部50が形成される。いずれにしても、非嵌合部50は高さ方向に沿って一様に延びる平面なので、第2開口縁133と嵌合することなく第2内壁132に接触または干渉する。干渉とは、非嵌合部50と第2開口縁133とが互いに押し合うかたちで非嵌合部50が第2開口縁133に接触する状況をいう。このような構造を有する非嵌合部50は「順テーパ部」ともいわれる。
【0048】
水平方向に沿って蓋体側連結部24を見た場合に、非嵌合部50の下端は第1嵌合部31の下端よりも上方に位置する。
【0049】
上述したように、第2内側面244の上部には、第2内壁132に接触する非嵌合部50が設けられる。一方、第2内側面244の下部には、第2内壁132から離れるように形成された斜面が設けられる。蓋体20が容器本体10に装着された際には、この斜面と第2内壁132との間には隙間が存在する。
【0050】
一例では、嵌合構造は第2区画3のためにも設けられる。本開示では、第2区画3での嵌合構造を第2嵌合構造40ともいう。第2嵌合構造40の嵌合部および嵌合受け部をそれぞれ第2嵌合部41および第2嵌合受け部42ともいう。
図7および
図10を主に参照しながら第2嵌合構造40について説明する。
【0051】
第2嵌合部41は、第2カバー部23の第2縁部231の外側面231bのうち、蓋体側周縁部21に沿った非仕切区間にわたって設けられる。第2嵌合部41は蓋体側連結部24の第2内側面244(すなわち仕切区間)には設けられない。第2嵌合部41は、第2縁部231の外側面231bにおいて水平方向に沿って該外側面231bから離れる方向に向かって突き出るテーパ状の構造である。第2嵌合部41は、第2カバー部23が第2収容部13を覆う際に第2収容部13に向かい合うように形成される下面41aと、該下面41aの上方に位置して該下面41aに向かい合うように形成される上面41bと、該上面41bおよび該下面41aの先端同士を接続する先端面41cとを備える。外側面231bと直交する第2嵌合部41の断面を見ると、第2嵌合部41は先端に向かって窄むテーパ状を呈する。
【0052】
第2嵌合受け部42は、第2開口縁133のうち、本体側周縁部11に沿った非仕切区間にわたって設けられる。第2嵌合受け部42は、本体側連結部14に沿った仕切区間には設けられない。第2嵌合受け部42は、水平方向に沿って第2収容部13の中心に向かって突き出るテーパ状の構造である。第2嵌合受け部42は、第2底面131に向かい合うように形成される下面42aと、該下面42aの上方に位置して該下面42aと向かい合うように形成される上面42bと、該下面42aおよび該上面42bの先端同士を接続する先端面42cとを備える。第2内壁132と直交する第2嵌合受け部42の断面を見ると、第2嵌合受け部42は先端に向かって窄むテーパ状を呈する。
【0053】
蓋体20が容器本体10に装着されると、第2嵌合部41は第2開口縁133の内側に挿入され、内嵌合方式により第2嵌合受け部42に嵌合する。嵌合された第2嵌合部41は第2開口縁133よりも下方に位置する。第2嵌合部41が第2嵌合受け部42に嵌合すると、第2嵌合部41の上面41bと、第2嵌合受け部42の下面42aとが、引っ掛かり合うように位置する。このように機能する上面41bおよび下面42aは「逆テーパ部」ともいわれる。
【0054】
図4に示すように、第2収容部13の第1角部134および第2角部135の双方において、第2開口縁133は、本体側周縁部11の径方向に沿って外方に膨らむように形成される。この膨らみ137は容器1の製造方法に関係する。容器1を製造するための金型を作製する際には、嵌合構造に対応する金型の部分を精緻に調整する必要がある。膨らみ137はその調整を行った結果であるといえる。
【0055】
図6に示すように、第2カバー部23の第1角部232および第2角部233の双方において、第2縁部231は、蓋体側周縁部21の径方向に沿って外方に膨らむように形成される。この膨らみ234も容器1の製造方法に関係し、膨らみ234が形成される理由は、第2収容部13の膨らみ137と同様である。
【0056】
[容器の使用方法]
内容物の例として食品を示しつつ、容器1の使用方法について説明する。ユーザは第1開口縁123から第1収容部12内に第1食品を入れ、第2開口縁133から第2収容部13内に第2食品を入れる。その後、ユーザは、第1カバー部22が第1収容部12の上に位置し第2カバー部23が第2収容部の上に位置するように容器本体10に対して蓋体20を位置付け、蓋体20を容器本体10に装着する。蓋体側周縁部21の端部のほとんどが、多数の細かい点状のリブによって波状を呈するので、蓋体20を取り扱うユーザの手または指がその端部によって切れる心配がない。
【0057】
その装着の際に、第1区画2を形成するための第1嵌合構造30は次のように機能する。ユーザが第1カバー部22の第1縁部221を第1収容部12の第1開口縁123に位置付けると、第1嵌合部31の下面31aが第1嵌合受け部32の上面32bに接触する。ユーザが蓋体20を容器1に押し込むと、第1縁部221および第1開口縁123の少なくとも一方において、第1嵌合部31から第1嵌合受け部32に向かって働く圧力によって弾性変形が発生する。その後、第1嵌合部31が第1嵌合受け部32を乗り越えて第1嵌合受け部32の下に移動する。この結果、第1嵌合部31が第1嵌合受け部32に嵌まる。この嵌合によって、第1嵌合部31は第1内壁122の上端部を覆うように第1嵌合受け部32に固定される。このようなプロセスによって、第1食品を収容する第1区画2が外部から隔絶される。第1嵌合部31および第1嵌合受け部32によって構成される第1嵌合構造30は、第1開口縁123の全周にわたって途切れることなく設けられる。したがって、第1食品が液体を含む場合であっても、第1収容部12からの液体の漏れを防止できる。
【0058】
上記の装着の際に、第2区画3を形成するための非嵌合部50および第2嵌合構造40は次のように機能する。ユーザが第2カバー部23の第2縁部231を第2収容部13の第2開口縁133に位置付けると、第2嵌合部41の下面41aが第2嵌合受け部42の上面42bに接触する。ユーザが蓋体20を容器1に押し込むと、蓋体側連結部24の第2内側面244の下端部が第2内壁132の上端部を押し付け、該下端部および該上端部の少なくとも一方において、下方に向かって働く圧力によって弾性変形が発生する。蓋体側連結部24が更に下方に移動すると、非嵌合部50が第2内壁132に接触または干渉する。この接触または干渉によって、非嵌合部50は第2内壁132の上端部を覆う。非嵌合部50の下降は何にも妨げられない。一方、第2嵌合構造40に関しては、その押し込みの際に、第2縁部231および第2開口縁133の少なくとも一方において、第2嵌合部41から第2嵌合受け部42に向かって働く圧力によって弾性変形が発生する。その後、第2嵌合部41が第2嵌合受け部42を乗り越えて第2嵌合受け部42の下に移動する。この結果、第2嵌合部41が第2嵌合受け部42に嵌まる。この嵌合によって、第2嵌合部41は第2内壁132の上端部を覆うように第2嵌合受け部42に固定される。このようなプロセスによって、第2食品を収容する第2区画3が外部から隔絶される。
【0059】
容器本体10に装着された蓋体20を水平方向に沿って見た場合に、非嵌合部50の下端は、第1嵌合部31の下端よりも上方に位置し、且つ、本体側周縁部11よりも下方に位置する。
【0060】
上記の装着によって、蓋体側連結部24が本体側連結部14に重なって仕切りが形成され、第1区画2と第2区画3との間が塞がれる。この結果、それら2区画の間の食品の移動が防止される。第1食品は第2収容部13に漏れ出ることなく第1収容部12内に収容され続け、第2食品は第1収容部12に漏れ出ることなく第2収容部13内に収容され続ける。
【0061】
第2区画3に関しては、第2収容部13が第2カバー部23によって閉じられる際に、蓋体側連結部24の非嵌合部50は何にも妨げられることなく下方に移動する。その分、蓋体20を閉めるために必要な力が少なくて済むので、蓋体20が閉めやすくなる。蓋体20が閉じられようとする際に、第2内側面244の下部に形成された斜面は弾性変形する。しかし、この斜面と第2内壁132との間には隙間が存在するので、その変形は、蓋体20を閉める際に掛かる負荷の増大にはつながらない。
【0062】
一例では、ユーザはまず、第1カバー部22の第1嵌合部31を第1収容部12の第1嵌合受け部32に嵌めて第1開口129を第1カバー部22で閉じ、続いて、第2カバー部23の第2嵌合部41を第2収容部13の第2嵌合受け部42に嵌めて第2開口139を第2カバー部23で閉じる。非嵌合部50を下げるために必要な力が軽減される分だけ、ユーザは第2カバー部23を閉めるための力を節約できる。
【0063】
第2区画3に関しては、嵌合は、蓋体側連結部24に沿った仕切区間では行われず、蓋体側周縁部21に沿った非仕切区間において行われる。したがって、蓋体20が装着されると、第2カバー部23を蓋体側連結部24に向かって押す力が働く。非嵌合部50は第2内壁132に接触しているが第2内壁132に固定されてはいないので、非嵌合部50は押圧力によって上方に移動し得る。その結果、蓋体20が上方に撓んで蓋体側連結部24が本体側連結部14から離れる可能性がある。しかし、第1接続部212および第2接続部213にはリブ25が形成されているので第1接続部212および第2接続部213は押圧力に耐える。したがって、そのような撓みが防止または抑制される。蓋体側周縁部21の端部(外縁)は容器本体10に向かって垂下しておらず、蓋体側周縁部21は水平方向に沿って延びる面である。このような蓋体側周縁部21の形状だけに着目すると、蓋体20は変形しやすい構造であるといえる。しかし、リブ25を設けることで、垂下する部分を蓋体側周縁部21に設けなくても、そのような撓みが防止または抑制される。垂下する部分が不要になるので、蓋体側周縁部21の面積をその分だけ小さくできる。したがって、蓋体20を作製するために必要な資源(すなわちシート材料)を節約できる。
【0064】
[変形例]
以上、本開示の様々な例を詳細に説明した。しかし、本開示は上記の例に限定されるものではない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0065】
容器の周縁部の形状は環状に限定されず、矩形、多角形、角丸長方形などの他の形状であってもよい。本開示における角丸長方形は、四隅が弧状に形成された長方形と、長方形の短辺が半円に置き換わった形状(陸上競技用トラックのような形状)とを含む。それぞれの収容部の形状は環状および三日月状に限定されず、矩形、任意の多角形などの他の形状であってもよい。少なくとも一つの収容部の内壁は、底面に対して傾斜せずに底面に対して直交するように設けられてもよい。上記の例では、非嵌合部50が挿入される第2収容部13は、第1開口129よりも広い第2開口139と、第1開口縁123よりも長い第2開口縁133とを有する。しかし、第2収容部の開口の面積は第1収容部の開口の面積より小さくてもよい。あるいは、第2収容部の開口縁は第1収容部の開口縁より短くてもよい。
【0066】
第1区画(第1収容部の開口縁および第1カバー部の外縁)と第2区画(第2収容部の開口縁および第2カバー部の外縁)に関して、嵌合構造は非仕切区間の少なくとも一部において設けられなくてもよい。その非仕切区間において、嵌合構造は所定の間隔をおいて複数の箇所に形成されてもよい。このような変形例が上記の第1嵌合部31および第1嵌合受け部32に適用されたとする。この場合には、第1嵌合部31は、第1カバー部22の第1縁部221の外側面221bの全周において、少なくとも1ヶ所で途切れたかたちで設けられる。第1嵌合受け部32は第1開口縁123の全周において、第1嵌合部31と同様に、少なくとも1ヶ所で途切れたかたちで設けられる。
【0067】
上記の例では蓋体側周縁部21が内嵌合方式によって本体側周縁部11と嵌合するが、蓋体側周縁部は内嵌合方式とは異なる手法によって本体側周縁部と嵌合してもよい。例えば、その内嵌合方式と外嵌合方式とを組み合わせた手法である内外嵌合方式が採用されてもよい。内外嵌合方式が用いられるということは、内嵌合方式が部分的に用いられることを意味する。
【0068】
上記の例では蓋体20が少なくとも一つのリブ25を備える。しかし、このリブは省略されてもよい。
【0069】
上記の例では、水平方向に沿って蓋体側連結部24を見た場合に、非嵌合部50の下端が第1嵌合部31の下端よりも上に位置する。しかし、水平方向に沿って見た場合に、蓋体側連結部において非嵌合部の下端の位置は、嵌合部の下端と同じでもよいし、嵌合部の下端より下方に位置してもよい。
【0070】
第2収容部の底面の付近での第2収容部の内壁の曲率は、第2収容部の開口縁の付近での該内壁の曲率より大きくてもよい。あるいは、その曲率は第2収容部の内壁の下端と上端とにおいて同じであってもよい。
【0071】
上記の例では、第2開口縁133が本体側周縁部11の径方向に沿って外方に膨らむように形成され、第2縁部231が蓋体側周縁部21の径方向に沿って外方に膨らむように形成される。しかし、このような膨らみは第2収容部および第2カバー部の少なくとも一方において設けられなくてもよい。
【0072】
第1カバー部および第2カバー部の少なくとも一方に、対応する区画内の蒸気を容器の外部に排出するための抜き孔が設けられてもよい。例えば、抜き孔はカバー部の上面に設けられる。抜き孔は1以上の小さな孔の集合でもよいし、U字状のスリットによって形成されたフラップによって実現されてもよい。
【0073】
[付記]
上記の様々な例から把握されるとおり、本開示は以下に示す態様を含む。
(付記1)
天面において開口を有する複数の収容部を備える容器本体と、該容器本体に脱着可能に装着される蓋体とを備える容器であって、
前記容器本体が、前記天面の外縁を規定する本体側周縁部と、該本体側周縁部の内側において隣接して設けられる第1収容部および第2収容部と、該第1収容部および該第2収容部を連結するとともに該本体側周縁部に接続する本体側連結部とを備え、
前記蓋体が、前記本体側周縁部に嵌合する蓋体側周縁部と、前記第1収容部を覆う第1カバー部と、前記第2収容部を覆う第2カバー部と、該第1カバー部および該第2カバー部を連結するとともに前記本体側連結部を覆う蓋体側連結部とを備え、
前記蓋体側連結部が、前記第1収容部の開口縁の内側に挿入される嵌合部と、前記第2収容部の開口縁の内側に挿入される非嵌合部とを備え、
前記嵌合部が、前記第1収容部の前記開口縁に設けられた嵌合受け部に内嵌合方式により嵌合し、
前記非嵌合部が、前記第2収容部の前記開口縁と嵌合することなく前記第2収容部の内壁に接触する、
容器。
(付記2)
前記蓋体側周縁部が前記内嵌合方式により前記本体側周縁部と嵌合する、
付記1に記載の容器。
(付記3)
前記蓋体が、前記蓋体側連結部に接続する前記蓋体側周縁部の接続部に設けられるリブを更に備える、
付記2に記載の容器。
(付記4)
前記リブが、前記蓋体側周縁部の周方向に沿って延びる凸状または凹状を呈する、
付記3に記載の容器。
(付記5)
前記容器本体から前記蓋体へと向かう方向を高さ方向とし、該高さ方向において前記容器本体側を下方とし前記蓋体側を上方とした場合に、前記蓋体側連結部において前記非嵌合部の下端が前記嵌合部の下端よりも上方に位置する、
付記1~4のいずれか一つに記載の容器。
(付記6)
前記本体側周縁部が環状を呈し、
前記本体側連結部が、前記第2収容部に向かって凸である弧状を呈し、
前記第2収容部の前記開口縁が三日月状を呈し、
前記本体側連結部に接続する前記本体側周縁部の接続部に対応する前記第2収容部の角部において、前記第2収容部の底面の付近での前記第2収容部の内壁の曲率が、前記第2収容部の前記開口縁の付近での該内壁の曲率より小さい、
付記1~5のいずれか一つに記載の容器。
(付記7)
前記本体側周縁部が環状を呈し、
前記本体側連結部が、前記第2収容部に向かって凸である弧状を呈し、
前記第2収容部の前記開口縁が三日月状を呈し、
前記本体側連結部に接続する前記本体側周縁部の接続部に対応する前記第2収容部の角部において、前記第2収容部の前記開口縁が、前記本体側周縁部の径方向に沿って外方に膨らむように形成される、
付記1~6のいずれか一つに記載の容器。
【0074】
付記1によれば、蓋体が容器本体の開口を閉じると、蓋体側連結部が第1収容部および第2収容部の双方において開口縁の内側に挿入される。その結果、第1収容部と第2収容部との間が塞がれて、該二つの収容部間の内容物の移動が防止される。加えて、第2収容部の側では本体側連結部および蓋体側連結部に嵌合方式が採用されないので、これらの連結部について第1収容部および第2収容部の双方の側で嵌合方式を採用する場合よりも、蓋体を閉めるために必要な力が小さくて済み、したがって、蓋体が閉めやすくなる。これらの仕組みによって、開閉時の蓋体の操作性を維持しつつ、隣り合う収容部間における内容物の移動をより確実に防止することができる。
【0075】
付記2によれば、容器の周縁部においても内嵌合方式が採用されるので、蓋体を容器本体により確実に装着させることができる。
【0076】
付記3によれば、リブが設けられた接続部が、周縁部での内嵌合によって非嵌合部に向かって働く押圧力に耐える。したがって、蓋体が上方に撓んで蓋体側連結部が本体側連結部から離れる現象を防止または抑制できる。
【0077】
付記4によれば、リブが延びる方向が、想定される押圧力の向きにほぼ沿うので、押圧力に対するリブの抵抗力が増す。したがって、蓋体の上方への撓みをより確実に防止または抑制できる。
【0078】
付記5によれば、嵌合の必要がない非嵌合部について、高さ方向における寸法が節約されるので、蓋体の成形を容易にすることが可能になる。
【0079】
付記6によれば、開口縁が三日月状である第2容器部の内壁の角部について、底面の側では曲がりが緩やかなので、角部付近の内容物をスプーンなどの道具によって第2から取り出すことが容易になる。一方、開口縁の付近では底面側よりも曲がりがきつくなるように内壁が形成されるので、第2容器部の容積を増やしたり、容器が多くの内容物を収容可能であるという印象をユーザに与えたりすることができる。
【0080】
付記7によれば、容器を作製するための上述したような金型の調整を膨らみによって視覚的に表すことができる。そのため、この膨らみから容器の製造方法を推測することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…容器、2…第1区画、3…第2区画、10…容器本体、11…本体側周縁部、12…第1収容部、13…第2収容部、14…本体側連結部、20…蓋体、21…蓋体側周縁部、22…第1カバー部、23…第2カバー部、24…蓋体側連結部、25…リブ、30…第1嵌合構造、31…第1嵌合部、32…第1嵌合受け部、40…第2嵌合構造、41…第2嵌合部、42…第2嵌合受け部、50…非嵌合部、121…第1底面、122…第1内壁、123…第1開口縁、129…第1開口、131…第2底面、132…第2内壁、133…第2開口縁、134…第1角部、135…第2角部、136…凹部、137…膨らみ、139…第2開口、212…第1接続部、213…第2接続部、232…第1角部、233…第2角部、234…膨らみ。