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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176361
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】遠心ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F04D29/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094846
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 一也
(72)【発明者】
【氏名】西村 拓也
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA20
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB44
3H130AC30
3H130BA97A
3H130CA02
3H130CA26
3H130CB01
3H130DA02Z
3H130DB03Z
3H130DD04Z
3H130DG02X
3H130EA06A
3H130EA07A
3H130EA08A
3H130EB03A
3H130EB05A
(57)【要約】
【課題】本発明は、ケースの所定方向の寸法を小さくすることが可能な遠心ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】遠心ポンプ1は、軸線L方向に延びる筒状のケース10と、ケース10に収容される羽根車70と、を備える。ケース10には、直交方向Xに開口する吸入開口34が設けられ、吸入開口34には、吸入継手80が接続されている。吸入継手80は、円筒状の本体部81と、吸入開口34に挿入される所定方向に扁平な筒状の扁平部83と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる筒状のケースと、前記ケースに収容される羽根車と、を備える遠心ポンプであって、
前記ケースには、前記軸線方向に直交する直交方向に開口する吸入開口が設けられ、
前記吸入開口には、前記ケースの内外に連通する吸入継手が接続され、
前記吸入継手は、円筒状の本体部と、前記吸入開口に挿入される所定方向に扁平な筒状の扁平部と、を備えていることを特徴とする遠心ポンプ。
【請求項2】
前記軸線方向は高さ方向であり、
前記本体部と前記扁平部は、同軸の中心軸を備え、前記高さ方向に切断した断面の前記高さ方向一方側と他方側とが前記中心軸を中心として面対称の形状を有し、
前記本体部の上端部は、前記高さ方向において前記ケースの上端部と同じ位置もしくは下側に位置し、
前記扁平部の上端部は、前記本体部の上端部と前記中心軸との間に位置していることを特徴とする請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
前記扁平部の内径における高さ寸法L1は、前記本体部の内径D1よりも小さく、
前記扁平部の内径における前記高さ方向に交差する方向の寸法である幅寸法L2は、前記内径D1よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の遠心ポンプ。
【請求項4】
前記ケースには、前記直交方向に延在する天壁部と、前記天壁部から前記高さ方向外方に膨出し所定幅を備える膨出部と、前記ケース内で少なくとも一部が前記膨出部に対して前記高さ方向に対向する羽根ケースと、が設けられ、
前記膨出部と前記羽根ケースとの間には、前記吸入開口から流入した流体の流路となる流入口が形成され、
前記流入口の幅寸法Wは、前記扁平部の内径における前記幅寸法L2と同じ、または、前記幅寸法L2よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の遠心ポンプ。
【請求項5】
前記羽根ケースは、前記ケース内を、前記流入口と、前記羽根車を収容する収容空間と、に区画し、
前記羽根ケースには、前記流入口と前記収容空間とを連通する連通孔が設けられ、
前記連通孔の内径D2は、前記扁平部の内径における前記幅寸法L2と同じ、または、前記幅寸法L2よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の遠心ポンプ。
【請求項6】
前記吸入継手には、前記本体部と前記扁平部とを接続する接続部が設けられ、
前記接続部の内壁の前記所定方向一方側部分と他方側部分とは、前記本体部から前記扁平部に向かうにしたがって互いに徐々に近づくテーパ形状となっていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の遠心ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状のケースと、ケースに収容される羽根車と、ケースに連通する吸入継手および吐出継手と、を備えた遠心ポンプが提供されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の遠心ポンプでは、吸込側継手部材(吸入継手)は、ケースの軸線方向に直交する直交方向に延びる径寸法一定の円筒状に形成され、ケースに対して直交方向に接続されている。吸込側継手部材を通ってケース内に導入された流体は、羽根車の回転力によって吐出側継手部材(吐出継手)に送られ、ケース外に吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5686827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した遠心ポンプは、設置スペースの関係でケースの所定方向の寸法を小さくすることが望まれることがある。しかしながら、上述した遠心ポンプのケースでは、吸込側継手部材の取り付け部分に、吸込側継手部材取り付けのためのスペースとして吸込側継手部材の径寸法以上のスペースを確保する必要があり、その分、ケースの所定方向の寸法を小さくすることが難しい。
【0005】
本発明は、ケースの所定方向の寸法を小さくすることが可能な遠心ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の遠心ポンプは、軸線方向に延びる筒状のケースと、前記ケースに収容される羽根車と、を備える遠心ポンプであって、前記ケースには、前記軸線方向に直交する直交方向に開口する吸入開口が設けられ、前記吸入開口には、前記ケースの内外に連通する吸入継手が接続され、前記吸入継手は、円筒状の本体部と、前記吸入開口に挿入される所定方向に扁平な筒状の扁平部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、吸入継手に扁平部を設けたことで、径寸法一定の円筒状の吸入継手を用いる場合と比較して、吸入継手とケースの接続部分の所定方向の寸法を小さくすることができる。具体的には、例えば、吸入継手の本体部の一端を所定方向に潰すなどして形成した扁平部により吸入継手側の所定方向の寸法を小さくし、これに合わせて接続先の吸入開口の周辺、すなわちケース側の所定方向の寸法を小さくすることができる。そして、吸入継手とケースの接続部分の所定方向の寸法を小さくできることで、その分、ケースの所定方向の寸法を小さくすることができる。したがって、ケースの所定方向の寸法を小さくすることが可能な遠心ポンプを提供することができる。
【0008】
なお、遠心ポンプにおいては、軸線方向が高さ方向となり、その高さ方向がケースの寸法に影響を与える羽根車の回転軸方向となることがあり、ケースの高さ寸法が大きくなることがある。このため、吸入継手の扁平部は、その外形において幅寸法よりも高さ寸法が小さい扁平筒状とすることが好ましい。その場合、吸入継手とケースの接続部分の高さ寸法を小さくすることができ、その分、ケースの高さ寸法を小さくすることができる。ただし、羽根車の回転軸は、高さ方向に限らず、横向きや傾斜した所定方向に向けて配置される場合もあり、その場合には、扁平部を所定方向に扁平筒状とすることで、その方向におけるケースの寸法を短縮することができる。
【0009】
また、前記軸線方向は高さ方向であり、前記本体部と前記扁平部は、同軸の中心軸を備え、前記高さ方向に切断した断面の前記高さ方向一方側と他方側とが前記中心軸を中心として面対称の形状を有し、前記本体部の上端部は、前記高さ方向において前記ケースの上端部と同じ位置もしくは下側に位置し、前記扁平部の上端部は、前記本体部の上端部と前記中心軸との間に位置していることが好ましい。遠心ポンプは、設置スペースの関係でケースの高さ寸法を小さくすることが望まれることがあるが、このような構成によれば、例えば、径寸法一定の本体部の一端部を、所定方向の一例として高さ方向に均等に潰すように変形させる等して扁平部を容易に形成することができる。そして、扁平部の上端部は、本体部の上端部と中心軸との間に位置していることで、扁平部の上端部と本体部の上端部との間に、高さ方向のスペースが生じ、このスペースを例えばケースと扁平部とを溶接やろう付けなどで接続する際のスペースとして利用することができる。このため、ケース側で、本体部の上端部(すなわち、吸入継手の上端部)よりも上側に、上記溶接やろう付け等のための接続代を用意する必要がなく、その分、ケースの上端部を低い位置に設定することができる。そして、上記構成によれば、ケースの上端部を最大で本体部の上端部と同じ位置まで低くすることができる。これにより、ケースの高さ寸法を小さくすることができる。
【0010】
また、前記扁平部の内径における高さ寸法L1は、前記本体部の内径D1よりも小さく、前記扁平部の内径における前記高さ方向に交差する方向の寸法である幅寸法L2は、前記内径D1よりも大きいことが好ましい。遠心ポンプでは、径寸法一定の吸入継手の径寸法を全体的に小さくし、これに併せて接続先のケースの所定方向の寸法を小さくすることが考えられるが、この場合、ケース内に導入される流体の流量が著しく低減する場合があり、遠心ポンプの性能が低下する。しかしながら、本発明の構成によれば、本体部の内径D1よりも扁平部の内径における高さ寸法L1を小さくしたことに対し、扁平部の内径における幅寸法L2を内径D1よりも大きくすることで、扁平部の容積を所定の大きさで確保し、ケース内に導入される流体の流量が著しく低減することを抑制することができる。
【0011】
また、前記ケースには、前記直交方向に延在する天壁部と、前記天壁部から前記高さ方向外方に膨出し所定幅を備える膨出部と、前記ケース内で少なくとも一部が前記膨出部に対して前記高さ方向に対向する羽根ケースと、が設けられ、前記膨出部と前記羽根ケースとの間には、前記吸入開口から流入した流体の流路となる流入口が形成され、前記流入口の幅寸法Wは、前記扁平部の内径における前記幅寸法L2と同じ、または、前記幅寸法L2よりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、扁平部を通ってケース内に導入された流体は、扁平部の内径における幅寸法L2と同じか、幅寸法L2よりも大きい幅寸法Wを有する幅広の流入口を流れることとなるため、ケース内に導入された流体の流量を確保し易くすることができる。
【0012】
また、前記羽根ケースは、前記ケース内を、前記流入口と、前記羽根車を収容する収容空間と、に区画し、前記羽根ケースには、前記流入口と前記収容空間とを連通する連通孔が設けられ、前記連通孔の内径D2は、前記扁平部の内径における前記幅寸法L2と同じ、または、前記幅寸法L2よりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、吸入開口からケース内に導入された流体は、扁平部の内径における幅寸法L2と同じか、幅寸法L2よりも幅広の流入口を流れた後、連通孔を通って収容空間に流れ込む。その際、連通孔の内径D2は、扁平部の内径における幅寸法L2と同じか、幅寸法L2よりも大きく設定されているので、流体の流量を確保しつつ、流入口から収容空間に流体を流すことができる。
【0013】
また、前記吸入継手には、前記本体部と前記扁平部とを接続する接続部が設けられ、前記接続部の内壁の前記所定方向一方側部分と他方側部分とは、前記本体部から前記扁平部に向かうにしたがって互いに徐々に近づくテーパ形状となっていることが好ましい。このような構成によれば、内壁の所定方向一方側部分と他方側部分とがテーパ形状となった接続部を設けたことで、本体部から扁平部に流れる流体の流量を徐々に変化させることができる。このため、吸入継手を流れる流体の流量の急激な変化による圧力損失を低減することができ、遠心ポンプの動作を安定させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケースの所定方向の寸法を小さくすることが可能な遠心ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る遠心ポンプの横断面図。
図2図1のA-A線矢視断面図。
図3】遠心ポンプの側面図。
図4】遠心ポンプの上面図。
図5図1のB-B線矢視断面図。
図6図2のC-C線矢視断面図。
図7】(A)は、吸入継手の斜視図であり、(B)は、吸入継手の扁平部を直交方向から見た正面図。
図8】(A)は、扁平部の一例を示す図であり、(B)は、扁平部の図8(A)に示す例と異なる一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1~8に基づいて説明する。なお、以降の説明では、後述するケース10の軸線Lに沿う方向を高さ方向とし、「高さ方向Z」と示す。また、高さ方向Zの一方側を、「上側Z1」、他方側を「下側Z2」と記す。また、高さ方向Zに直交する方向を、直交方向とし、「直交方向X」と記す。なお、直交方向Xは、ケース10の径方向でもある。また、後述する吸入継手80および第2導入流路52(流入口)の長手方向に交差する方向を「幅方向Y」と記す。これらの定義はあくまでも説明の便宜のためであり、必ずしも遠心ポンプ1の実際の使用状態等における方向と一致するとは限らず、遠心ポンプ1の各方向を限定するものではない。図1に示すように、遠心ポンプ1は、ケース10と、ケース10に接続される吸入継手80および吐出継手90と、ケース10に収容される羽根車70と、を備えている。遠心ポンプ1は、例えば、冷媒などの流体を循環させる装置等に用いられ、吸入継手80からケース10内に導入された流体を、羽根車70で吐出継手90に送り、ケース10外に吐出する。
【0017】
ケース10は、SUS(ステンレス鋼)等の金属材料で軸線L方向に延びる略筒状に形成されている。ケース10は、図2に示すように、下側Z2部分を構成するロータケース20と、上側Z1部分を構成する本体ケース30と、ロータケース20、本体ケース30間に配置される羽根ケース40と、を備えている。ロータケース20は、高さ方向Zに延びる円筒状の第1収容部21を備えている。第1収容部21には、後述するマグネットロータ74が収容されている。第1収容部21の下端中央には、下側Z2に突出する円筒状の第2収容部22が形成されている。第2収容部22は、第1収容部21よりも小径に形成されて内部に後述するブッシュ71を収容している。第1収容部21の上端部には、全周に亘って径方向外方に突出するフランジ部23が形成されている。フランジ部23の下側Z2には、第1収容部21の側壁部から径方向外方に突出するブラケット24が設置されている。ブラケット24は、後述するコイルユニット100の固定突起3aと係合することで、ケース10をコイルユニット100に接続している。
【0018】
本体ケース30は、直交方向Xに延在してケース10の上端面を構成する上面視円形の天壁部31と、天壁部31の外周端縁から下側Z2に延びる筒状の側壁部32と、を備えている。天壁部31には、上側Z1(高さ方向Z外方)に膨出する膨出部33が形成されている。図3、4に示すように、膨出部33は、幅方向Yに所定幅を備え、天壁部31の中央部から直交方向Xの一方側に向かって天壁部31の外周端縁まで延びている。膨出部33の上端面33aは、ケース10の最上端に位置し、ケース10の上端面を構成している。そして、膨出部33の形成により、後述する羽根ケース40の上壁部41上面と膨出部33内面との間に第2導入流路52(流入口)が形成されている。側壁部32には、直交方向Xに開口する吸入開口34と、吐出開口35と、が貫通形成されている。なお、図1に示すように、本実施形態では、吸入開口34と吐出開口35とは、軸線L方向から見て軸線L周りの周方向に90°ずれた位置に形成したが、この角度は、適宜変更することができる。吸入開口34には、吸入継手80が挿入された状態で固定されている。吐出開口35には、吐出継手90が挿入された状態で固定されている。
【0019】
羽根ケース40は、本体ケース30の天壁部31に沿って直交方向Xに延在する上壁部41と、上壁部41の外周端縁から下側Z2に延び、本体ケース30の側壁部32と対向する筒状の周壁部42と、を備えている。上壁部41の上面は、天壁部31または膨出部33の内面と高さ方向Zに対向している。周壁部42の下端部は、本体ケース30の側壁部32の下端部と、ロータケース20のフランジ部23の外周端部と、に挟まれた状態で、これらと溶接、ろう付け、溶着などによって密封状態で固着されている。この構成により、図2に示すように、ケース10内の空間が、本体ケース30と羽根ケース40との間の導入流路50と、羽根ケース40とロータケース20との間の収容空間60と、に区画されている。導入流路50は、吸入開口34からケース10内に導入された(流入した)流体の流路であり、図2に示すように、第1導入流路51と、第2導入流路52と、を備えている。
【0020】
第1導入流路51は、本体ケース30の側壁部32と、羽根ケース40の周壁部42との間の空間で構成され、収容空間60を周方向に囲んでおり、吸入開口34からケース10内に導入された流体が溜まる、溜まり部を構成している。第2導入流路52は、本体ケース30の膨出部33と、羽根ケース40の上壁部41と、の間の空間で構成されている。第2導入流路52は、本発明における流入口であり、図5に示すように、その高さ方向Zの寸法は、羽根ケース40の上壁部41の上面と、膨出部33の内面との間の距離で規定され、高さ寸法Hと定義される。また、第2導入流路52の幅方向Yの寸法は、膨出部33内面の幅寸法で規定され、幅寸法Wと定義される。第2導入流路52は、羽根ケース40の上壁部41の中央に形成された高さ方向Zに貫通する連通孔43を介して、収容空間60に連通している。なお、本実施形態では、この連通孔43の内径の大きさは、内径D2(図2にのみ図示)と定義される。そして、図1に示すように、羽根ケース40の周壁部42のうち、吐出開口35近傍部分には、羽根車70によって送られた流体の流れ方向に直交して、一旦流体を堰き止める制御壁44が形成されている。これにより、制御壁44に堰き止められた流体によって吐出開口35付近の圧力を高めることができるため、吐出圧力を大きくすることができ、さらに流量を確保し易くすることができる。
【0021】
羽根車70は、ケース10内の収容空間60に収容されている。羽根車70は、ロータケース20の第2収容部22に収容されるブッシュ71を備えている。ブッシュ71は、軸受けであり、高さ方向Zに延びて円筒状に形成されている。ブッシュ71の中央には、回転軸としてのシャフト72が挿入され、軸線L周りに回転可能に支持されている。シャフト72の外周面には、シャフト72の径方向外方に放射状に突出する複数の羽根部材73が取り付けられている。羽根部材73の下側部分は、筒状のマグネットロータ74の中心部に挿通されてマグネットロータ74に固定されており、これによって、マグネットロータ74の回転に合わせて羽根部材73およびシャフト72が軸線L周りに回転可能となっている。
【0022】
上述のように形成され、内部に羽根車70を収容したケース10は、コイルユニット100に接続される。図2に示すように、コイルユニット100は、それぞれを組み合わせることで1つの箱となる下蓋2およびコイルケース3を備えている。コイルケース3の上端部には、径方向内方に突出する固定突起3aが形成されている。固定突起3aは、上述したケース10のブラケット24と係合することでケース10とコイルユニット100とを接続している。下蓋2およびコイルケース3の内部には、マグネットロータ74の回転を制御する制御基板4と、制御基板4の上部に配置されるステータコイル5が収容されている。ステータコイル5は、直交方向Xに延びる筒状のボビン5aと、ボビン5aの中心に設置されるステータコア5bと、ボビン5aの外周に巻かれる巻線5cと、を備えている。そして、ステータコイル5の上部には、上蓋6が設置されている。このように構成されたコイルユニット100の中央部には、ケース10の第1収容部21および第2収容部22を嵌め込むための貫通孔7が、高さ方向Zに貫通形成されている。
【0023】
次に吸入継手80について説明する。吸入継手80は、C1220T(りん脱酸銅)などの金属材料で形成された配管部材であり、図7(A)に示すように、直交方向Xに延びる円筒状の本体部81と、本体部81に連続する接続部82と、接続部82に連続する扁平部83と、を備えている。本体部81は、径寸法が一定に形成され、接続部82側と反対側の端部が、遠心ポンプ1以外の装置に設けられた他の配管などに接続される。接続部82は、本体部81と扁平部83とを接続しており、扁平部83側に向かうにしたがって徐々に高さ方向Zの寸法が小さくなるとともに、幅方向Yの寸法が大きくなっている。図2に示すように、接続部82の内壁の上側Z1部分(所定方向一方側部分)と下側Z2部分(他方側部分)とは、本体部81から扁平部83に向かうにしたがって互いに徐々に近づくテーパ形状となっている。
【0024】
扁平部83は、吸入開口34に接続される部分であり、例えば本体部81を、高さ方向Z(所定方向)に潰すように変形させるなどして高さ方向Zに扁平な筒状に形成されている。扁平部83は、吸入開口34に挿入された状態で溶接、ろう付け、溶着などによって密封状態でケース10に固着され、その内部空間がケース10の導入流路50に連通している。これにより、吸入継手80は、ケース10の内外に連通している。そして、このように形成された本体部81、接続部82、および扁平部83は、本実施形態では、図2に示すように同軸の中心軸Cを備えている。そして、本体部81、接続部82、および扁平部83は、高さ方向Zに切断した断面の上側Z1(高さ方向Zの一方側)と下側Z2(他方側)とが、中心軸Cを中心として面対称の形状を有している。
【0025】
図7(B)に示すように、扁平部83は、本体部81側と反対側の端部の開口形状が、幅方向Yに長い長円形状となっている。なお、本実施形態における扁平部83の「扁平」には、幅方向Yの寸法が高さ方向Zの寸法よりも大きいものは全て含まれる。このため、扁平部83の開口形状は、幅方向Yに長い長円形状に限らず、適宜選択することができる。例えば、図8(A)に示すように、扁平部83の開口形状は、幅方向Yに長い楕円形状にしてもよいし、図8(B)に示すように、幅方向Yに長い角丸長方形状にしてもよい。また、これ以外にも、扁平部83の開口形状は、ひし形等、様々な形状を選択することができる。また、本実施形態では、本体部81、接続部82、および扁平部83は、高さ方向Zに切断した断面の上側Z1(高さ方向Zの一方側)と下側Z2(他方側)とが、中心軸Cを中心として面対称の形状を有するように形成されていたが、これに限らず、扁平部83の開口形状を、例えば、当該面対称の形状を有さない三角形等の形状にすることも可能である。このように扁平部83の開口の形状を様々な形状の中から適宜選択することができるので、流量、強度、または耐久性など、目的に応じて適した形状に扁平部83を形成することができる。
【0026】
次に、吐出継手90について説明する。吐出継手90は、吸入継手80と同様に形成された本体部91と、接続部92と、扁平部93と、を備えている。吐出継手90の扁平部93は、ケース10の吐出開口35に挿入された状態で溶接、ろう付け、溶着などによって密封状態でケース10に固着され、その内部空間がケース10の収容空間60に連通している。これにより、吐出継手90は、ケース10の内外に連通している。そして、この状態では、図1に示すように、扁平部93の開口端縁の一部は、上述した羽根ケース40の制御壁44に当接している。
【0027】
以上のように構成された遠心ポンプ1の動作について説明する。まず、ステータコイル5に電流を流すことにより、ステータコイル5が励磁され、これによりマグネットロータ74がシャフト72および羽根部材73とともに軸線L周りに回転する。これにより、収容空間60内の流体が吐出開口35側に流され、吐出継手90を通ってケース10外に吐出される。そして、この際、収容空間60と第2導入流路52との差圧によって、第2導入流路52から連通孔43を通って収容空間60に流体が流れる。そして、第1導入流路51から第2導入流路52に流体が流れる。また、吸入継手80(吸入開口34)から第1導入流路51に流体が吸入される。このように、吸入継手80から導入流路50(第1導入流路51、第2導入流路52)、連通孔43、収容空間60、吐出継手90に向かう流体の流路が形成されることとなる。
【0028】
そして、上述のように形成された吸入継手80では、図2に示すように、本体部81の上端部81aが高さ方向Zにおいて、膨出部33の上端面33a(ケース10の上他面)よりも下側Z2に位置している。また、吸入継手80の中心軸Cから偏平部83の上端部83aまでの距離P1は、中心軸Cから本体部81の上端部81aまでの距離P2よりも小さくなっている。これにより、扁平部83の上端部83aは、本体部81の上端部81aと中心軸Cとの間に位置している。そして、これにより、扁平部83の上端部83aと本体部81の上端部81aとの間に、高さ方向Zのスペースが生じ、このスペースを例えばケース10と扁平部83とを溶接やろう付けなどで接続する際のスペースとして利用することができる。このため、ケース10側で、本体部81の上端部81a(すなわち、吸入継手80の上端部)よりも上側Z1に、上記溶接やろう付け等のための接続代を用意する必要がなく、その分、ケース10の上端部を低い位置に設定することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、本体部81の上端部81aが、膨出部33の上端面33a(ケース10の上端面)よりも下側Z2に位置していたが、これに限らず本体部81の上端部81aと膨出部33の上端面33aとは、高さ方向Zにおいて同じ位置に位置していてもよい。この構成によれば、膨出部33の上端面33aを、最大で本体部81の上端部81aと同じ位置まで低くすることができる。これにより、ケース10の高さ寸法を小さくすることができる。ここで、具体的には、中心軸Cから扁平部83の上端部83aまでの距離P1は、中心軸Cから本体部81の上端部81aまでの距離P2の約1/2倍以下の大きさ(約50%以下の大きさ)に設定することが好ましく、距離P2の約1/4倍以上の大きさ(約25%以上の大きさ)に設定することが更に好適である。この更に好適な実施形態により、吸入継手80の接続代を十分に確保しつつ、圧力損失が大きくなり過ぎない範囲でケース10の高さ方向Zの寸法を小さくすることができる。
【0030】
また、図2に示すように、吸入継手80の中心軸Cは、羽根ケース40の周壁部42と直交方向Xに対向する位置に配置するとよい。このような構成では、吸入開口34がケース10上部で羽根ケース40の周壁部42に対向する部分に形成されることとなり、その吸入開口34に扁平部83が接続されることとなる。これにより、吸入開口34からケース10内に流入した流体を、羽根ケース40の周壁部42に衝突させ、その衝突部分で流体の圧力を高めることができる。このため、吸入開口34付近で流体の勢いを大きくし、吸入圧力を向上させることができ、遠心ポンプ1の流量を確保し易くすることができる。また、上述のように、吸入継手80の中心軸Cを、羽根ケース40の周壁部42と直交方向Xに対向する位置に配置する構成によれば、ケース10の下部にコイルユニット100を配置するスペースを広く確保することができる。なお、この際、扁平部83の上端部83aは、高さ方向Zにおいて羽根ケース40の上壁部41上面と同じ位置か、上壁部41上面よりも下側Z2に位置するように配置するとよい。このようにすることにより、導入流路50を確保しつつ、扁平部83の影響を受けずに膨出部33を羽根ケース40に対して高さ方向Zに接近させることができ、遠心ポンプ1の高さ寸法を更に小さくすることができる。
【0031】
また、上述のように形成された扁平部83では、本体部81の内径と比較して、内径における高さ方向Zの寸法が小さく設定されている。また、扁平部83は、本体部81の内径と比較して、内径における幅方向Yの寸法が大きく設定されている。具体的には、本体部81を1分配管~3分配管と想定すると、その内径D1(図1、2参照)は2mm~10mm程度になるのに対し、扁平部83の内径における高さ寸法L1(図2参照)は、1mm~3mm程度、というように小さくなっている。また、内径D1が2mm~10mm程度であるのに対し、扁平部83の内径における幅寸法L2(図1参照)は、3mm~15mm程度、というように大きくなっている。
【0032】
ここで、遠心ポンプ1の高さ方向Zの寸法を小さくする観点から、高さ寸法L1は小さい方がよい。高さ寸法L1が小さくなれば、これに合わせて扁平部83の外径における高さ寸法も小さくし易く、これによって扁平部83の接続先の吸入開口34の高さ方向の寸法を小さくでき、さらには、ケース10のうち、上述した溶接やろう付け等のために必要なスペースも小さくすることができるからである。しかしながら、高さ寸法L1を小さくすると、扁平部83の容積が小さくなり、その分、遠心ポンプ1を流れる流体の流量が低下してしまう。そこで、流量を確保しつつ高さ寸法L1を小さくする観点から、高さ寸法L1は、内径D1の約1/10倍以上約1/2倍以下の大きさ(約10%~約50%の大きさ)に設定し、かつ、幅寸法L2は、内径D1の約6/5倍以上約15/2倍以下の大きさ(約120%~約750%の大きさ)に設定することが好ましい。また、高さ寸法L1は、内径D1の1/4倍以上1/2倍以下の大きさ(25%~50%)の大きさに設定し、かつ、幅寸法L2は、内径D1の3/2倍以上3倍以下の大きさ(150%~300%の大きさ)に設定することが更に好適である。この更に好適な実施形態により、扁平部83付近での圧力損失をより小さくすることができるので、より流体の流量の低減を防ぐことができる。
【0033】
一方、遠心ポンプ1の高さ方向Zの寸法を小さくする点について、例えば、本体ケース30の膨出部33を高さ方向Zに小さくすることも考えられる。しかしながら、扁平部83同様、単に膨出部33を高さ方向Zに小さくした場合、第2導入流路52の容積が小さくなることで、遠心ポンプ1を流れる流体の流量が低下してしまう。そこで、第2導入流路52の幅寸法Wは、第2導入流路52の高さ寸法Hに対して、大きく設定することが好ましい。具体的には、第2導入流路52の高さ寸法Hは、0.1mm~15mm程度に設定し、第2導入流路52の幅寸法Wは、10mm~30mm程度に設定することが好ましい。そして、幅寸法Wは、高さ寸法Hの約10倍以上約150倍以下の大きさ(約1000%~約15000%の大きさ)に設定することが更に好ましく、高さ寸法Hの15倍以上50倍以下の大きさ(1500%~5000%の大きさ)に設定することが更に好適である。この更に好適な実施形態により、第2導入流路52付近での圧力損失をより小さくし、より流体の流量の低減を防ぎつつ、ケース10の高さ寸法を小さくすることができる。
【0034】
また、流量の確保の点について、扁平部83の内径における幅寸法L2と、第2導入流路52の幅寸法Wと、の関係も重要である。幅寸法L2に対して幅寸法Wが十分でないと、第2導入流路52で流体の流量が意図せず絞られてしまうからである。ここで、幅寸法Wは、幅寸法L2と同じ、または、幅寸法L2よりも大きく設定することが好ましい。具体的には、幅寸法Wは、幅寸法L2の約1倍以上約10/3倍以下の大きさ(約100%~約333%の大きさ)に設定することが好ましく、幅寸法L2の3/2倍以上3倍以下の大きさ(150%~300%の大きさ)に設定することが更に好適である。この更に好適な実施形態により、第2導入流路52付近での圧力損失をより小さくすることができるので、より流体の流量の低減を防ぐことができる。
【0035】
また、流量の確保の点について、扁平部83の内径における幅寸法L2と、羽根ケース40の連通孔43の内径D2と、の関係も重要である。幅寸法L2に対して内径D2が十分でないと、連通孔43で流体の流量が意図せず絞られてしまうからである。ここで、連通孔の内径D2は、扁平部の内径における幅寸法L2と同じ、または、幅寸法L2よりも大きいことが好ましい。具体的には、内径D2は、8mm~15mm程度に設定することが好ましい。そして、内径D2は、幅寸法L2の約1倍以上約5倍以下の大きさ(約100%~約500%の大きさ)に設定することが好ましく、幅寸法L2の1.05倍以上3倍以下の大きさ(105%~300%の大きさ)に設定することが更に好適である。この更に好適な実施形態により、連通孔43付近での圧力損失をより小さくし、より流体の流量の低減を防ぎつつ、遠心ポンプ1をより小型化することができる。
【0036】
以上、上述した実施形態によれば、吸入継手80に扁平部83を設けたことで、径寸法一定の円筒状の吸入継手を用いる場合と比較して、吸入継手80とケース10の接続部分の所定方向の高さ寸法を小さくすることができる。具体的には、例えば、吸入継手80の本体部81の一端を所定方向に潰すなどして形成した扁平部83により吸入継手80側の所定方向の高さ寸法を小さくし、これに合わせて接続先の吸入開口34の周辺、すなわちケース10側の所定方向の寸法を小さくすることができる。そして、吸入継手80とケース10の接続部分の所定方向の寸法を小さくできることで、その分、ケース10の所定方向の寸法を小さくすることができる。したがって、ケース10の所定方向の寸法を小さくすることが可能な遠心ポンプ1を提供することができる。
【0037】
なお、遠心ポンプ1においては、本実施形態のように、軸線L方向が高さ方向Zとなり、その高さ方向Zがケース10の寸法に影響を与える羽根車70のシャフト72の延びる方向となることがあり、ケース10の高さ寸法が大きくなることがある。このため、吸入継手80の扁平部83は、その外形において幅寸法よりも高さ寸法が小さい扁平筒状することが好ましい。その場合、吸入継手80とケース10の接続部分の高さ寸法を小さくすることができ、その分、ケース10の高さ寸法を小さくすることができる。ただし、羽根車70の回転軸であるシャフト72は、高さ方向Zに限らず、横向きや傾斜した所定方向に向けて配置される場合もあり、その場合には、扁平部83を所定方向に扁平筒状とすることで、その方向におけるケース10の寸法を短縮することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、軸線L方向は高さ方向Zであり、吸入継手80の本体部81と扁平部83は、同軸の中心軸Cを備え、高さ方向Zに切断した断面の上側Z1と下側Z2とが中心軸Cを中心として面対称の形状を有していた。遠心ポンプ1は、設置スペースの関係でケース10の高さ寸法を小さくすることが望まれることがあるが、本構成によれば、例えば、径寸法一定の本体部81の一端部を、所定方向の一例として高さ方向Zに均等に潰すように変形させる等して扁平部83を容易に形成することができる。そして、扁平部83の上端部83aは、本体部81の上端部81aと中心軸Cとの間に位置していることで、扁平部83の上端部83aと本体部81の上端部81aとの間に、高さ方向Zのスペースが生じ、このスペースを例えばケース10と扁平部83とを溶接やろう付けなどで接続する際のスペースとして利用することができる。このため、ケース10側で、本体部81の上端部81a(すなわち、吸入継手の上端部)よりも上側Z1に、上記溶接やろう付け等のための接続代を用意する必要がなく、その分、ケース10の上端部を低い位置に設定することができる。そして、上記構成によれば、ケース10の上端部を最大で本体部81の上端部81aと同じ位置まで低くすることができる。これにより、ケース10の高さ寸法を小さくすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、扁平部83の内径における高さ寸法L1は、本体部81の内径D1よりも小さく、扁平部83の内径における幅寸法L2は、内径D1よりも大きく設定されていた。これによれば、本体部81の内径D1よりも扁平部83の内径における高さ寸法L1を小さくしたことに対し、扁平部83の内径における幅寸法L2を内径D1よりも大きくすることで、扁平部83の容積を所定の大きさで確保し、ケース10内に導入される流体の流量が著しく低減することを抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、扁平部83の内径における高さ寸法L1を、円筒状に形成された本体部の内径D1の約1/10倍以上約1/2倍以下の大きさとすることで、これに合わせて扁平部83の外径における高さ寸法も同様に小さくし易く、これによって、扁平部83の接続先の吸入開口34の高さ方向Zの寸法を小さくでき、さらには、ケース10のうち、上述したろう付け等のために必要なスペースも小さくすることができる。このため、本体部81だけで吸入継手80を構成した場合と比較して、吸入継手80とケース10の接続部分の高さ寸法を、本体部81の約10%~約50%程度にすることができる。そして、当該接続部分の高さ寸法を小さくできることで、その分、ケース10の高さ寸法を小さくすることができる。そして、この際、扁平部83の内径における幅寸法L2を内径D1の約6/5倍以上約15/2倍以下の大きさとしたことで、扁平部83の容積を所定の大きさで確保し、ケース10内に導入される流体の流量が著しく低減することを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、第2導入流路52(流入口)の幅寸法Wは、扁平部83の内径における幅寸法L2と同じ、または、幅寸法L2よりも大きく設定されていた。具体的には、幅寸法Wは、幅寸法L2の約1倍以上約10/3倍以下の大きさ(約100%~約333%の大きさ)に設定されていた。このため、扁平部83を通ってケース10内に導入された流体は、扁平部83の内径における幅寸法L2に対して約1倍以上約10/3倍以下の大きさの範囲で大きい幅寸法Wを有する幅広の第2導入流路52(流入口)を流れることとなるため、ケース10内に導入された流体の流量を確保し易くすることができる。
【0042】
また、本実施形態では、第2導入流路52の幅寸法Wは、導入流路52の高さ寸法Hの約10倍以上約150倍以下の大きさ(約1000%~約15000%の大きさ)に設定されていた。このため、流体の流量を確保し易くするとともに、膨出部の膨出量を小さくし、遠心ポンプ1の高さ寸法を小さくすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、連通孔43の内径D2は、扁平部83の内径における幅寸法L2と同じ、または、幅寸法L2よりも大きく設定されていた。具体的には、内径D2は、幅寸法L2の約1倍以上約5倍以下の大きさ(約100%~約500%の大きさ)に設定されていた。これによれば、吸入開口34からケース10内に導入された流体は、扁平部83の内径と同じか扁平部83の内径よりも幅広の第2導入流路52を流れた後、連通孔43を通って収容空間60に流れ込む。その際、流体は、扁平部83の内径における幅寸法L2に対して約1倍以上約5倍以下の大きさの範囲で大きい内径D2を有する連通孔43を流れることとなるため、流体の流量を確保しつつ、第2導入流路52から収容空間60に流体を流すことができる。
【0044】
また、本実施形態では、吸入継手80には、本体部81と扁平部83とを接続する接続部82が設けられ、接続部82の内壁の上側Z1部分(所定方向一方側部分)と下側Z2(他方側部分)とは、本体部81から扁平部83に向かうにしたがって互いに徐々に近づくテーパ形状となっていた。このような構成によれば、内壁の上側Z1部分と下側Z2部分とがテーパ形状となった接続部82を設けたことで、本体部81から扁平部83に流れる流体の流量を徐々に変化させることができる。このため、吸入継手80を流れる流体の流量の急激な変化による圧力損失を低減することができ、遠心ポンプ1の動作を安定させることができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態、および変形例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
L 軸線
X 直交方向
Z 高さ方向
1 遠心ポンプ
10 ケース
34 吸入開口
70 羽根車
80 吸入継手
81 本体部
83 扁平部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8