(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176363
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20241212BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094849
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴原 雅美
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA32
2H270LA14
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD15
2H270MB14
2H270MB15
2H270MB27
2H270MB29
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】低コスト化が図られた構成により、適正な濃度補正を実現することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の制御部は、濃度階調を複数段階に順次変化させて形成した複数の基準画像それぞれのトナー濃度の検出結果に基づいてトナー濃度を補正する濃度補正モードを実行可能であり、濃度検出モードにおいて検出されたトナー濃度の検出値に基づき、それぞれの濃度階調における濃度検出部14に印加される電圧の変動の有無を検知し、濃度階調に、電圧の変動が検知された特定濃度階調が存在する場合に、特定濃度階調の前後の濃度階調の検出値を用いて特定濃度階調のトナー濃度を補正する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に感光層が形成された像担持体と、
前記像担持体の外周面を所定の表面電位に帯電させる帯電部と、
前記帯電部によって帯電された前記像担持体の外周面を露光して帯電を減衰させた静電潜像を形成する露光部と、
前記像担持体の前記静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像部と、
前記像担持体の前記トナー像のトナー濃度に係る検出値を出力する濃度検出部と、
前記像担持体、前記帯電部、前記露光部、及び前記現像部を制御する制御部と、
を備え、
前記濃度検出部は、所定の電圧が印加されることにより前記トナー像に向けて光を照射する発光部と、前記トナー像で反射した反射光を受光する単一の受光部と、を有し、
前記制御部は、
濃度補正用の前記トナー像である基準画像を、濃度階調を複数段階に順次変化させて形成し、
形成された複数の前記基準画像それぞれの前記トナー濃度を前記濃度検出部によって検出し、検出結果に基づいて前記トナー濃度を補正する濃度補正モードを実行可能であり、
前記濃度補正モードにおいて検出された前記トナー濃度の前記検出値に基づき、それぞれの前記濃度階調における前記電圧の変動の有無を検知し、
前記濃度階調に、前記電圧の変動が検知された特定濃度階調が存在する場合に、前記特定濃度階調の前後の前記濃度階調の前記検出値を用いて前記特定濃度階調の前記トナー濃度を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度階調に対する前記トナー濃度の前記検出値の理想傾きを記憶した記憶部を有し、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記検出値の前記理想傾きと、前記濃度検出部によって検出された前記検出値の傾きとの差異が所定値以上である場合に、前記電圧の変動があったことを判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、連続する2以上の前記濃度階調における前記検出値を用いて前記検出値の傾きを算出し、算出された前記検出値の傾きと前記理想傾きとの差異を算出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記濃度検出部によって検出された複数の前記検出値を用いて前記検出値の疑似傾きを算出し、前記疑似傾きとの差異が所定値以上である前記検出値が存在する場合に、当該検出値が検出された前記濃度階調を前記特定濃度階調であると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記疑似傾きとの差異が所定値以上である前記検出値が2つ以上存在する場合に、前記濃度補正モードを再実行することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記特定濃度階調が存在する場合に、前記特定濃度階調の前後の前記濃度階調の前記検出値の中間値を算出し、当該中間値を用いて前記特定濃度階調の前記トナー濃度を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置では、像担持体である感光体ドラムの外周面に形成した静電潜像にトナーを供給して現像することで、後に用紙に転写されるトナー像を形成する装置が広く利用されている。画像形成装置が形成するトナー像の濃度は、様々な理由により経時変化が生じる。このため、濃度補正用のトナー像(基準画像)を感光体ドラムや中間転写ベルトの外周面に形成し、当該トナー像のトナー濃度をセンサーで検出して濃度補正を行うキャリブレーションを実行することが一般的である。
【0003】
特許文献1で開示された従来の画像形成置は、像担持体上に形成した濃度の基準となるトナーパッチ(濃度調整パターン)の濃度を光学的な濃度センサーによって検出し、その検出結果(検出濃度)に基づいて画像形成条件を調整する。濃度センサーは、正反射光の検知用の受光素子と、拡散反射光の検知用の受光素子とを有する。当該濃度センサーにより、ブラックとカラーの低濃度から高濃度までを検知することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
濃度センサーが正反射光の検知用の受光素子と、拡散反射光の検知用の受光素子とを有する場合、トナー濃度は、2つの受光素子が出力するトナー濃度に係る検出値の比率によって判定される。そして、2つの受光素子の場合、濃度センサーに印加される電源電圧に変動が生じても、検出値の比率が変わらないため、トナー濃度の検出値への当該変動の影響は無かった。しかしながら、このような濃度センサーは、2つの受光素子を有することでコストアップが懸念された。
【0006】
低コスト化を図るために、濃度センサーは、単一の受光素子によりトナー濃度に係る検出値を出力することが好ましい。しかしながら、単一の受光素子の場合、濃度センサーに印加される電源電圧に変動が生じると、当該変動の影響が検出値に表れ、適正なトナー濃度を取得することができないことに課題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、低コスト化が図られた構成により、適正な濃度補正を実現することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、濃度検出部と、制御部と、を備える。前記像担持体は、外周面に感光層が形成される。前記帯電部は、前記像担持体の外周面を所定の表面電位に帯電させる。前記露光部は、前記帯電部によって帯電された前記像担持体の外周面を露光して帯電を減衰させた静電潜像を形成する。前記現像部は、前記像担持体の前記静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する。前記濃度検出部は、前記像担持体の前記トナー像のトナー濃度に係る検出値を出力する。前記制御部は、前記像担持体、前記帯電部、前記露光部、及び前記現像部を制御する。前記濃度検出部は、所定の電圧が印加されることにより前記トナー像に向けて光を照射する発光部と、前記トナー像で反射した反射光を受光する単一の受光部と、を有する。前記制御部は、濃度補正用の前記トナー像である基準画像を、濃度階調を複数段階に順次変化させて形成し、形成された複数の前記基準画像それぞれの前記トナー濃度を前記濃度検出部によって検出し、検出結果に基づいて前記トナー濃度を補正する濃度補正モードを実行可能であり、前記濃度補正モードにおいて検出された前記トナー濃度の前記検出値に基づき、それぞれの前記濃度階調における前記電圧の変動の有無を検知し、前記濃度階調に、前記電圧の変動が検知された特定濃度階調が存在する場合に、前記特定濃度階調の前後の前記濃度階調の前記検出値を用いて前記特定濃度階調の前記トナー濃度を補正する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、単一の受光部を有する濃度検出部により、濃度検出部への印加電圧の変動を検知し、当該電圧の変動が検知された特定濃度階調のトナー濃度を補正することができる。したがって、低コスト化が図られた構成により、適正な濃度補正を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の概略断面正面図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の画像形成装置の画像形成部周辺の概略断面正面図である。
【
図5】
図1の画像形成装置の濃度補正用の基準画像群及び濃度検出部の検出値を示す説明図である。
【
図6】
図1の画像形成装置の濃度検出部の検出値とトナー濃度との関係を示すグラフである。
【
図7】
図5の濃度補正用の基準画像群及び濃度検出部の検出値を示す説明図であって、濃度検出部の印加電圧に変動が生じた状態を示す図である。
【
図8】
図1の画像形成装置の濃度検出部の検出値とトナー濃度との関係を示すグラフであって、濃度検出部の印加電圧に変動が生じた状態を示す図である。
【
図9】
図1の画像形成装置の濃度検出部の検出値とトナー濃度との関係を示すグラフであって、2つの検出値にずれが生じた状態を示す図である。
【
図10】
図1の画像形成装置における濃度補正モードの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態の画像形成装置1の概略断面正面図である。
図2は、
図1の画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図3は、
図1の画像形成装置1の画像形成部20周辺の概略断面正面図である。本実施形態の画像形成装置1の一例としては、中間転写ベルト31を用いてトナー像を用紙Sに転写するタンデム方式のカラープリンターである。画像形成装置1は、例えば印刷、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送信等の機能を備えたいわゆる複合機であって良い。
【0013】
画像形成装置1は、
図1、
図2及び
図3に示すように、その本体2に設けられた、用紙供給部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30、定着部6、用紙排出部7、制御部8及び記憶部9を備える。
【0014】
用紙供給部3は、本体2の底部に配置される。用紙供給部3は、印刷前の複数枚の用紙Sを収容し、印刷時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、本体2の側壁に沿って上下方向に延びる。用紙搬送部4は、用紙供給部3から送り出された用紙Sを二次転写部33及び定着部6へと搬送し、さらに定着後の用紙Sを用紙排出口4aから用紙排出部7に排出する。露光部5は、用紙供給部3の上方に配置される。露光部5は、画像データに基づき制御されたレーザー光を画像形成部20に向かって照射する。
【0015】
画像形成部20は、露光部5の上方、且つ中間転写ベルト31の下方に配置される。画像形成部20は、イエロー用の画像形成部20Yと、シアン用の画像形成部20Cと、マゼンタ用の画像形成部20Mと、ブラック用の画像形成部20Bと、を含む。これらの4つの画像形成部20は、基本的な構成が同じである。これにより、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「Y」、「C」、「M」、「B」の識別記号は省略することがある。
【0016】
画像形成部20は、所定の方向(
図1及び
図3における時計回り)に回転可能に支持された感光体ドラム(像担持体)21を備える。画像形成部20は、さらに感光体ドラム21の周囲に、その回転方向に沿って配置された帯電部22と、現像部23と、ドラムクリーニング部24と、を備える。なお、現像部23とドラムクリーニング部24との間に一次転写部32が配置される。
【0017】
感光体ドラム21は、外周面に感光層が形成されている。帯電部22は、感光体ドラム21の外周面を所定の表面電位に帯電させる。露光部5は、帯電部22によって帯電された感光体ドラム21の外周面を露光し、感光体ドラム21の外周面に帯電を減衰させた原稿画像の静電潜像を形成する。現像部23は、感光体ドラム21の外周面の静電潜像にトナーを供給して現像してトナー像を形成する。4つの画像形成部20それぞれは、異なる色のトナー像を形成する。ドラムクリーニング部24は、トナー像が中間転写ベルト31の外周面に一次転写された後に、感光体ドラム21の外周面に残留するトナー等を除去してクリーニングする。このようにして、画像形成部20は、後に用紙Sに転写される画像(トナー像)を形成する。
【0018】
転写部30は、中間転写ベルト31と、一次転写部32Y、32C、32M、32Bと、二次転写部33と、ベルトクリーニング部34と、を備える。中間転写ベルト31は、4つの画像形成部20の上方に配置される。中間転写ベルト31は、所定の方向(
図1及び
図3における反時計回り)に回転可能に支持され、4つの画像形成部20それぞれで形成されたトナー像が順次重ねて一次転写される無端状の中間転写体である。4つの画像形成部20は、中間転写ベルト31の回転方向上流側から下流側に向けて一列に並んだいわゆるタンデム方式にして配置される。
【0019】
一次転写部32Y、32C、32M、32Bは、中間転写ベルト31を挟んで、各色の画像形成部20Y、20C、20M、20Bの上方に配置される。二次転写部33は、用紙搬送部4の用紙搬送方向に対して定着部6よりも上流側であって、中間転写ベルト31の回転方向に対して4つの画像形成部20Y、20C、20M、20Bよりも下流側に配置される。ベルトクリーニング部34は、中間転写ベルト31の回転方向に対して二次転写部33よりも下流側に配置される。
【0020】
一次転写部32は、感光体ドラム21の外周面に形成されたトナー像を中間転写ベルト31に転写する。言い換えれば、トナー像は、各色の一次転写部32Y、32C、32M、32Bで中間転写ベルト31の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト31の回転とともに所定のタイミングで4つの画像形成部20のトナー像が連続して重ねて中間転写ベルト31に転写されることにより、中間転写ベルト31の外周面にはイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0021】
中間転写ベルト31の外周面のカラートナー像は、用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Sに、二次転写部33に形成される二次転写ニップ部で転写される。ベルトクリーニング部34は、二次転写後に中間転写ベルト31の外周面に残留するトナー等の付着物を除去してクリーニングする。このようにして、転写部30は、感光体ドラム21の外周面に形成されたトナー像を用紙Sに転写(記録)する。
【0022】
定着部6は、二次転写部33の上方に配置される。定着部6は、トナー像が転写された用紙Sを加熱、加圧してトナー像を用紙Sに定着させる。
【0023】
用紙排出部7は、転写部30の上方に配置される。トナー像が定着されて印刷が完了した用紙Sは、用紙排出部7に搬送される。用紙排出部7は、上方から印刷後の用紙(印刷物)が取り出される。
【0024】
制御部8は、CPU、画像処理部、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部9に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、画像形成装置1に設けられた各構成要素の動作を制御して画像形成装置1の機能に係る処理を行う。用紙供給部3、用紙搬送部4、露光部5、画像形成部20、転写部30及び定着部6のそれぞれは、制御部8から個別に指令を受け、連動して用紙Sへの印刷を行う。
【0025】
記憶部9は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置(不図示)と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置(不図示)との組み合わせで構成される。
【0026】
続いて、画像形成部20とその周辺の構成について、
図3を用いて説明する。なお、各色の画像形成部20それぞれは基本的な構成が同じであるので、特に限定する必要がある場合を除き、構成要素について各色を表す識別記号の記載と、説明とを省略する。
【0027】
画像形成部20は、感光体ドラム21と、帯電部22と、現像部23と、ドラムクリーニング部24と、を備える。
【0028】
感光体ドラム21は、中心軸線を水平にして回転可能に支持された円筒形状であり、駆動部(不図示)によって中心軸線回りに一定速度で回転される。感光体ドラム21は、例えばアルミニウム等の金属製のドラム素管の外周面に、アモルファスシリコン等の無機感光体で構成される感光層を有する。感光体ドラム21の外周面には、静電潜像が形成される。
【0029】
帯電部22は、例えば帯電ローラー221を有する。帯電ローラー221は、感光体ドラム21の軸線方向と平行に延び、中心軸線を水平にして回転可能に支持される。帯電ローラー221は、感光体ドラム21の外周面に接触することで、感光体ドラム21の回転に従って回転する。帯電ローラー221は、例えば芯金の外周面に、イオン導電材を配合した架橋ゴム等で構成される導電層を有する。帯電ローラー221に所定の帯電電圧を印加すると、感光体ドラム21の外周面が一様に帯電される。
【0030】
現像部23は、帯電部22に対して感光体ドラム21の回転方向下流側に配置される。現像部23は、現像容器231と、第1搬送部材232と、第2搬送部材233と、現像ローラー(現像剤担持体)234と、規制部材235と、を有する。
【0031】
現像容器231は、感光体ドラム21の軸線方向(
図3の紙面奥行き方向)に沿って延びる細長い形状であって、その長手方向を水平にして配置される。現像容器231は、感光体ドラム21に供給するトナーを含む現像剤として、例えばトナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する。
【0032】
第1搬送部材232及び第2搬送部材233は、感光体ドラム21と平行に延びる軸線回りに回転可能にして現像容器231に支持される。第1搬送部材232及び第2搬送部材233は、それらの軸線回りに回転することで、当該回転の軸線方向に沿って互いに反対方向に現像剤を攪拌しながら搬送する。
【0033】
現像ローラー234は、現像容器231内の、第2搬送部材233の上方に位置し、感光体ドラム21と対向配置される。現像ローラー234は、感光体ドラム21の軸線と平行に延びる軸線回りに回転可能に現像容器231に支持される。現像ローラー234は、その外周面の一部が現像容器231から露出し、感光体ドラム21と対向し、近接する。現像ローラー234は、現像容器231内のトナーを含む現像剤を担持し、感光体ドラム21に供給する。言い換えれば、現像ローラー234は、現像容器231内のトナーを感光体ドラム21の外周面の静電潜像に付着させ、トナー像を形成する。
【0034】
規制部材235は、現像ローラー234と感光体ドラム21との対向領域の、現像ローラー234の回転方向上流側に配置される。規制部材235は、現像ローラー234に近接して対向し、その先端と現像ローラー234の外周面との間に所定の間隔を設けて配置される。規制部材235は、現像ローラー234の軸線方向の全域にわたって延びる。
【0035】
現像容器231内の現像剤は、第1搬送部材232及び第2搬送部材233の回転によって循環、攪拌されて帯電され、現像ローラー234の外周面に担持される。現像ローラー234の外周面に担持された現像剤は、規制部材235によって層厚が規制される。現像ローラー234に所定の現像電圧が印加されると、感光体ドラム21の外周面の表面電位との間の電位差により、現像ローラー234の外周面に担持された現像剤中のトナーが感光体ドラム21との対向領域において感光体ドラム21の外周面に移動する。これにより、感光体ドラム21の外周面の静電潜像は、トナーによって現像される。
【0036】
ドラムクリーニング部24は、感光体ドラム21の回転方向に対し、一次転写部32の下流側に配置される。ドラムクリーニング部24は、回収容器241と、クリーニングブレード242と、回収スパイラル243と、を有する。
【0037】
回収容器241は、感光体ドラム21の軸線方向(
図3の紙面奥行き方向)に沿って延びる細長い形状であって、その長手方向を水平にして配置される。回収容器241は、クリーニングブレード242によって感光体ドラム21の外周面から除去されたトナー等の残留物を収容する。
【0038】
クリーニングブレード242は、感光体ドラム21の軸線方向に沿って延びる板形状であって、例えばポリウレタンゴム等の弾性部材で形成される。クリーニングブレード242は、感光体ドラム21との接触点において感光体ドラム21の接線方向に対し所定の角度をなすように、当該接触点に対してドラム回転方向の下流側に配置される。クリーニングブレード242は、感光体ドラム21の外周面に所定の圧力で接触する。クリーニングブレード242は、一次転写後に感光体ドラム21の外周面に残留するトナーを含む残留物を除去する。
【0039】
回収スパイラル243は、回収容器241内の下部であって、クリーニングブレード242を隔てて感光体ドラム21から離れた領域に配置される。回収スパイラル243は、感光体ドラム21の回転軸線と平行に延びる軸線回りに回転可能にして回収容器241に支持される。回収スパイラル243は、例えば軸線方向に延びる螺旋状の搬送羽根を有する。回収スパイラル243は、感光体ドラム21の外周面から除去されたトナー等の残留物を、ドラムクリーニング部24の外部に設けられた回収物廃棄容器(不図示)まで搬送する。
【0040】
画像形成装置1は、濃度検出部14をさらに備える。濃度検出部14は、中間転写ベルト31の回転方向に対し、二次転写部33の上流側であって、4つの画像形成部20のうち最下流側のブラック用の画像形成部20Bよりも下流側に配置される。濃度検出部14は、中間転写ベルト31の外周面と対向する。
【0041】
図4は、
図3の濃度検出部14の部分側面図である。
図4は、
図3に示す濃度検出部14を、中間転写ベルト31の回転方向に沿って、
図3における側方から見た図である。
【0042】
濃度検出部14は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を含む発光部141と、例えばフォトダイオード等の受光素子を含む受光部142と、を有する反射型光学センサーを備える。発光部141は、中間転写ベルト31の外周面に一次転写されたトナー像に向けて所定角度で検出光を照射する。受光部142は、発光部141がトナー像に向けて照射し、トナー像で反射した検出光を受ける。
【0043】
なお、トナー像のトナー濃度の検出方法としては、正反射の検出光を受ける方法と、拡散反射の検出光を受ける方法との2種が用いられる。本実施形態では、正反射の検出方法で説明を行う。
【0044】
濃度検出部14は、受光部142で受光した検出光のレベルをトナー濃度に係る検出値(電圧値)として出力することにより、中間転写ベルト31の外周面に一次転写されたトナー像のトナー量を導出し、トナー像のトナー濃度を検出することができる。中間転写ベルト31の外周面にトナーが無い場合、発光部141から照射された検出光は、トナーによって拡散反射されることなく正反射され、受光部142に多く入射される。これにより、トナー濃度に係る検出値(電圧値)は高くなる。そして、中間転写ベルト31の外周面のトナー量が増加するほど、多くの光がトナーによって拡散反射されるようになり、徐々に受光部142に入射する光量が少なくなる。すなわち、トナー濃度に係る検出値(電圧値)は、徐々に低くなる。
【0045】
このようにして、濃度検出部14は、検出光を発光部141からトナー像に向けて照射し、当該トナー像で反射させて受光部142で受けた検出光に基づき、中間転写ベルト31の外周面に転写されたトナー像のトナー濃度を検出する。言い換えれば、濃度検出部14は、画像形成部20において感光体ドラム21の外周面に形成されたトナー像のトナー濃度に係る検出値を出力することで、トナー濃度を検出する。
【0046】
そして、本実施形態の画像形成装置1の制御部8は、例えば予め定められた印刷枚数毎といった定期的に、或いは利用者や管理者によって任意のタイミングで、非画像形成時に、トナー像の濃度補正を行うキャリブレーションである濃度補正モードを実行する。この濃度補正モードでは、濃度補正用のトナー像である基準画像(パッチ画像)を、濃度階調を複数段階に順次変化させて感光体ドラム21の外周面に形成して中間転写ベルト31の外周面に転写し、複数の当該基準画像それぞれのトナー濃度を濃度検出部14によって検出する。その検出結果に基づいて、制御部8は、濃度補正用の複数の基準画像それぞれの濃度(実測値)と、予め定められた目標濃度(理想値)とを比較し、例えば現像バイアス等の調整などを行うことにより、トナー濃度を補正する。
【0047】
図5は、
図1の画像形成装置1の濃度補正用の基準画像群P1及び濃度検出部14の検出値を示す説明図である。
図5の上部には、濃度補正用の基準画像群P1を2つ描画した。
図5の下部には、基準画像群P1に対するトナー濃度の検出値によって表されるグラフを描画した。なお、
図5に示すグラフは、基準画像群P1に対する理想的なトナー濃度の折れ線グラフである。
図5における基準画像群P1の左右横方向は、感光体ドラム21の周方向(=中間転写ベルト31の回転方向)であって、グラフの横軸であるトナー濃度の検出時間とタイミングが一致する。グラフの縦軸は、濃度検出部14が出力するトナー濃度の検出値(電圧値)である。「ベルト面検出値」は、中間転写ベルト31の外周面にトナーが無い状態における濃度検出部14が出力する検出値v10である。
【0048】
濃度補正用の基準画像群P1は、感光体ドラム21の軸線方向及び周方向に延びる矩形状の基準画像を、濃度階調を複数段階に順次変化させ、感光体ドラム21の周方向に連続して形成した帯状である。本実施形態において、基準画像群P1は、4つの基準画像P1a、P1b、P1c、P1dを有する。
【0049】
4つの基準画像P1a、P1b、P1c、P1dは、感光体ドラム21の周方向(=中間転写ベルト31の回転方向)の下流側、すなわち
図5において右方に進むにつれて、単位面積当たりのトナー量が多くなり、トナー濃度が高くなっている。すなわち、基準画像P1a、P1b、P1c、P1dの順で、トナー濃度が高くなっている。濃度検出部14が出力するベルト面検出値v10に対し、4つの基準画像P1a、P1b、P1c、P1dでは、検出光がトナー像に吸収されることで、検出値v1a、v1b、v1c、v1dの順で値が低くなっている。
【0050】
そして、制御部8は、
図5のように形成した濃度補正用の複数の基準画像P1a、P1b、P1c、P1dに対し、それぞれのトナー濃度を濃度検出部14によって検出する。
図6は、
図1の画像形成装置1の濃度検出部14の検出値とトナー濃度との関係を示すグラフである。
図6において、横軸は画像のトナー濃度を示し、縦軸は当該トナー濃度に対応する濃度検出部14の検出値(電圧値)を示す。
図6に示す折れ線グラフは、基準画像群P1に対する、濃度検出部14によるトナー濃度の実測値である(
図5は理想値の一例)。
図6に示す二点鎖線は、濃度階調に対するトナー濃度の検出値の理想傾きである。当該理想傾きに係る理想傾きデータ91は、記憶部9に予め記憶されている(
図2参照)。
【0051】
さらに、制御部8は、濃度検出部14の検出結果に基づき、複数のトナー濃度の検出値を解析し、トナー濃度を補正する。このとき、制御部8は、濃度検出部14によって検出された、
図6に示すトナー濃度1からトナー濃度5までの検出値(実測値)の傾きを算出する。そして、制御部8は、算出した検出値(実測値)の傾きと、例えば記憶部9に記憶された検出値の理想傾き(
図6の二点鎖線)との差異を算出する。当該差異が所定値未満である場合、制御部8は、適正なトナー濃度の取得の妨げとなる、濃度検出部14への印加電圧の変動が無かったと判定し、濃度補正モードに基づいてトナー濃度を補正する。
【0052】
次に、濃度検出部14への印加電圧に変動が生じた場合の濃度補正モードの処理について説明する。
【0053】
図7は、
図5の濃度補正用の基準画像群P1及び濃度検出部14の検出値を示す説明図であって、濃度検出部14の印加電圧に変動が生じた状態を示す図である。
図7の構成及び書式は、
図5と概ね同じであるので、ここではそれらの説明を省略する。なお、基準画像群P1に対するトナー濃度の検出値によって表される折れ線グラフの下に、濃度検出部14への印加電圧を表す出力値を線状に描画した。
【0054】
濃度検出部14への印加電圧に変動が生じた場合、
図7に示すように、当該印加電圧が急激に変化する(
図7の破線円内)。このとき、
図7に示す折れ線グラフのように、トナー濃度の検出値にも、同様の変動が生じ、適正なトナー濃度を取得することができない。
【0055】
このため、制御部8は、濃度補正モードにおいて、トナー濃度の検出値に基づき、それぞれの濃度階調における電圧の変動の有無を検知する。当該電圧に変動があった場合、制御部8は、電圧の変動が検知された濃度階調を特定濃度階調とする。そして、制御部8は、当該濃度階調に、電圧の変動が検知された特定濃度階調が存在する場合に、特定濃度階調の前後の濃度階調の検出値を用いて特定濃度階調のトナー濃度を補正する。
【0056】
上記の構成によれば、単一の受光部142を有する濃度検出部14により、濃度検出部14への印加電圧の変動を検知し、当該電圧の変動が検知された特定濃度階調のトナー濃度を補正することができる。したがって、低コスト化が図られた構成により、適正な濃度補正を実現することが可能である。
【0057】
図8は、
図1の画像形成装置1の濃度検出部14の検出値とトナー濃度との関係を示すグラフであって、濃度検出部14の印加電圧に変動が生じた状態を示す図である。
図8の構成及び書式は、
図6と概ね同じであるので、ここではそれらの説明を省略する。
図8に示すように、トナー濃度4の検出値に、濃度検出部14の印加電圧の変動の影響が生じている。
【0058】
図6を用いて説明したように、制御部8は、濃度検出部14によって検出された、
図8に示すトナー濃度1からトナー濃度5までの検出値(実測値、
図8の破線)の傾きを算出する。このとき、制御部8は、連続する2以上の濃度階調における検出値を用いて検出値の傾きを算出する。
【0059】
詳細に言えば、制御部8は、トナー濃度1及びトナー濃度2の検出値、トナー濃度2及びトナー濃度3の検出値、トナー濃度3及びトナー濃度4の検出値、トナー濃度1及びトナー濃度3の検出値、トナー濃度2及びトナー濃度4の検出値、トナー濃度1及びトナー濃度4の検出値等を用いて検出値(
図8の破線)の傾きを算出する。また、3つ、或いは4つの濃度階調における検出値を用いても良い。
【0060】
そして、制御部8は、算出した検出値(実測値、
図8の破線)の傾きと、記憶部9に記憶された検出値の理想傾き(
図8の二点鎖線)との差異を算出する。
図8によれば、濃度検出部14の印加電圧に変動が生じたトナー濃度4において、算出した検出値(
図8の破線)の傾きと理想傾き(
図8の二点鎖線)とに差異が生じており、制御部8は、当該差異を算出する。
【0061】
さらに、制御部8は、算出した検出値(実測値)の傾きと理想傾きとの差異が所定値以上である場合に、濃度検出部14への印加電圧の変動があったことを判定する。当該所定値(閾値)に係る情報は、記憶部9に予め記憶されている。制御部8は、
図8におけるトナー濃度4を示す濃度階調を、電圧の変動が生じた特定濃度階調と判定する。
【0062】
上記の構成によれば、濃度検出部14によって検出されたトナー濃度の検出値(電圧値)に基づき、濃度検出部14の印加電圧に変動が生じたことを認識することが可能である。そして、算出した検出値(実測値)の傾きと理想傾きとの差異に基づき、濃度補正モードにおいてトナー濃度を補正することができる。
【0063】
制御部8は、特定濃度階調が存在する場合に、特定濃度階調の前後の濃度階調の検出値を用いて特定濃度階調のトナー濃度を補正する。すなわち、制御部8は、特定濃度階調であるトナー濃度4に対し、トナー濃度3及びトナー濃度5の検出値を用いてトナー濃度4を補正する。
【0064】
このとき、制御部8は、例えば、特定濃度階調の前後の濃度階調の検出値の中間値を算出し、当該中間値を用いて特定濃度階調のトナー濃度を補正する。
図8に関して言えば、制御部8は、トナー濃度3及びトナー濃度5の検出値を用いて、これらの中間値Dmを算出する。そして、制御部8は、中間値Dmを用いて特定濃度階調のトナー濃度4を補正する。実測値であるトナー濃度3及びトナー濃度5の検出値を用いて算出した中間値Dmによってトナー濃度4を補正することで、実機の特性や使用環境に対応した濃度補正を行うことができる。すなわち、画像形成装置1に適合した、適正な濃度補正を実現することが可能になる。
【0065】
なお、記憶部9に記憶された検出値の理想傾き(理想傾きデータ91)を利用することなく、特定濃度階調の有無を判定することも可能である。この場合、制御部8は、濃度検出部14によって検出された複数の検出値を用いて検出値の疑似傾きを算出する。
図8に関して言えば、制御部8は、トナー濃度1からトナー濃度5までの検出値を用いることにより、
図8の二点鎖線に相当する疑似傾きを算出する。
【0066】
詳細に言えば、制御部8は、トナー濃度1及びトナー濃度2の検出値、トナー濃度2及びトナー濃度3の検出値、トナー濃度3及びトナー濃度4の検出値、トナー濃度1及びトナー濃度3の検出値、トナー濃度2及びトナー濃度4の検出値、トナー濃度1及びトナー濃度4の検出値等を用いて疑似傾き(
図8の二点鎖線)を算出する。また、3つ、或いは4つの濃度階調における検出値を用いても良い。
図8の例によれば、トナー濃度1、トナー濃度2、トナー濃度3、及びトナー濃度5の検出値を用いて、検出値の疑似傾き(
図8の二点鎖線)が算出される。
【0067】
そして、制御部8は、疑似傾き(
図8の二点鎖線)との差異が所定値以上である検出値が存在する場合に、当該検出値が検出された濃度階調を特定濃度階調であると判定する。
図8によれば、濃度検出部14の印加電圧に変動が生じたトナー濃度4の検出値の、疑似傾き(
図8の二点鎖線)との差異が所定値以上である場合、トナー濃度4を示す濃度階調を、電圧の変動が生じた特定濃度階調であると判定する。
【0068】
上記の構成によれば、予め記憶した理想傾きではなく、実測値であるトナー濃度1、トナー濃度2、トナー濃度3、及びトナー濃度5の検出値を用いて算出した検出値の疑似傾きを利用して、トナー濃度4を示す濃度階調が特定濃度階調であると判定することができる。これにより、実機の特性や使用環境に対応した濃度補正を行うことができる。すなわち、画像形成装置1に適合した、適正な濃度補正を実現することが可能になる。
【0069】
図9は、
図1の画像形成装置1の濃度検出部14の検出値とトナー濃度との関係を示すグラフであって、2つの検出値にずれが生じた状態を示す図である。
図9の構成及び書式は、
図6及び
図8と概ね同じであるので、ここではそれらの説明を省略する。
図9に示すように、トナー濃度3及びトナー濃度5の検出値に、濃度検出部14の印加電圧の変動の影響が生じている。
【0070】
制御部8は、
図9に二点鎖線によって示した検出値の疑似傾きに基づき、トナー濃度3及びトナー濃度5を示す濃度階調を、電圧の変動が生じた特定濃度階調と判定する。なお、検出値の疑似傾きは、トナー濃度1、トナー濃度2、及びトナー濃度4の検出値を用いて算出される。
【0071】
制御部8は、疑似傾きとの差異が所定値以上である検出値が2つ以上存在する場合に、濃度補正モードを再実行する。この構成によれば、信頼性が低い検出値に基づいて濃度補正モードが実行され、トナー濃度が補正されることを抑制することができる。すなわち、適正な濃度補正を実現することが可能になる。
【0072】
続いて、画像形成装置1における濃度補正モードの処理の流れについて説明する。
図10は、
図1の画像形成装置1における濃度補正モードの処理を示すフローチャートである。
【0073】
画像形成装置1は、例えば所定の印刷枚数毎に、濃度補正モードを実行する。すなわち、当該所定の印刷枚数に達すると(
図10の「開始」)、制御部8は、非画像形成時に、基準画像群P1を形成する(ステップS101)。基準画像群P1は、濃度補正用のトナー像であって4つの基準画像P1a、P1b、P1c、P1dを有し、順次、感光体ドラム21の外周面に形成され、さらに中間転写ベルト31の外周面に転写される。
【0074】
次に、制御部8は、中間転写ベルト31の外周面に転写された基準画像群P1(基準画像P1a、P1b、P1c、P1d)のトナー濃度を濃度検出部14によって検出する(ステップS102)。
【0075】
なお、画像形成装置1は、濃度検出部14を複数備え、複数の濃度検出部14のそれぞれにおいて個別に基準画像群P1のトナー濃度を検出することにしても良い。例えば、複数の濃度検出部14は、感光体ドラム21及び中間転写ベルト31の軸線方向に沿って並置される。複数箇所でトナー濃度を検出することにより、濃度補正と、濃度検出部14への印加電圧の変動の検知とのそれぞれにおいて、信頼性を向上させることができる。
【0076】
次に、制御部8は、濃度検出部14の検出結果に基づき、複数のトナー濃度の検出値を解析する(ステップS103)。例えば
図6を用いて説明したように、制御部8は、濃度検出部14によって検出された検出値(実測値)を用いて算出した検出値の傾きと、記憶部9に記憶された検出値の理想傾きとの差異を算出する。また、例えば
図8を用いて説明したように、制御部8は、濃度検出部14によって検出された検出値(実測値)を用いて算出した検出値の疑似傾きと、検出値との差異を算出する。
【0077】
次に、制御部8は、濃度検出部14への印加電圧に変動が生じたか否かを判定する(ステップS104)。電圧に変動が生じた場合(ステップS104のYes)、ステップS105に移り、電圧に変動が生じていない場合(ステップS104のNo)、ステップS107に移る。
【0078】
濃度検出部14への印加電圧に変動が生じた場合、制御部8は、疑似傾きとの差異が所定値以上である検出値が2つ以上あるか否かを判定する(ステップS105)。当該検出値が2つ以上ある場合(ステップS105のYes)、制御部8は、ステップS101に戻り、濃度補正モードを再実行する。当該検出値が1つ以下である場合(ステップS105のNo)、ステップS106に移る。
【0079】
なお、理想傾きを用いて濃度検出部14への印加電圧の変動を検知する場合、ステップS105の処理は実行されない。すなわち、ステップS104において、理想傾きを用いて、濃度検出部14への印加電圧に変動が生じた場合、ステップS106に移る。
【0080】
次に、制御部8は、濃度検出部14への印加電圧の変動があった特定濃度階調に対し、濃度階調の検出値の中間値を算出する(ステップS106)。
【0081】
そして、制御部8は、トナー濃度の補正を行う(ステップS107)。濃度検出部14への印加電圧に変動が生じていない場合、制御部8は、濃度階調の検出値の理想傾きまたは疑似傾きに適合するように、トナー濃度を補正する。また、濃度検出部14への印加電圧に変動が生じた場合、制御部8は、濃度階調の検出値の中間値を用いて、特定濃度階調のトナー濃度を補正する。そして、制御部8は、
図10に係る処理を終了する。
【0082】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0083】
例えば、上記実施形態において、濃度検出部14は、正反射光の検出用の受光素子を備える構成としたが、これに換えて拡散反射光の検出用の受光素子を備える構成であっても良い。
【0084】
また、上記実施形態において、画像形成装置1は、複数色の画像を順次重ねて形成するいわゆるタンデム型のカラー印刷用の画像形成装置であることとしたが、このような機種に限定されるわけではない。画像形成装置は、タンデム型ではないカラー印刷用の画像形成装置やモノクロ印刷用の画像形成装置であって良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
5 露光部
6 定着部
8 制御部
9 記憶部
14 濃度検出部
20 画像形成部
21 感光体ドラム
22 帯電部
23 現像部
30 転写部
31 中間転写ベルト
91 理想傾きデータ
141 発光部
142 受光部
Dm 中間値
P1 基準画像群
P1a、P1b、P1c、P1d 基準画像