(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176366
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】X線診断装置およびコンソール装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/40 20240101AFI20241212BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20241212BHJP
【FI】
A61B6/00 300G
A61B6/00 360B
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094854
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 春樹
(72)【発明者】
【氏名】小杉 功光
(72)【発明者】
【氏名】清水 義訓
(72)【発明者】
【氏名】殿塚 浩規
(72)【発明者】
【氏名】石井 誠
(72)【発明者】
【氏名】永井 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘昌
(72)【発明者】
【氏名】大橋 利多
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA08
4C093CA15
4C093EA14
4C093EC16
4C093FA16
4C093FF13
4C093FG04
(57)【要約】
【課題】X線撮影における自由で簡便な視野操作を提供すること。
【解決手段】 実施形態に係るX線診断装置は、X線を発生するX線管と、前記X線を検出するX線検出器と、画像生成部と、表示制御部と、第1操作部と、第2操作部とを備える。画像生成部は、前記X線検出器で検出されたX線に基づいてX線画像を生成する。表示制御部は、前記X線画像を表示部に表示させる。第1操作部は、表示部に表示する表示画像の中心位置を入力する操作を受け付ける。第2操作部は、前記表示画像の視野サイズを無段階で入力する操作を受け付ける。また、表示制御部は、前記第2操作部の操作に応じて、現在の表示画像の中心位置を維持した状態で、前記表示画像の前記視野サイズを変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線管と、
前記X線を検出するX線検出器と、
前記検出されたX線に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像を表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示する表示画像の中心位置を入力する操作を受け付ける第1操作部と、
前記表示画像の視野サイズを無段階で入力する操作を受け付ける第2操作部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第2操作部の操作に応じて、現在の表示画像の中心位置を維持した状態で、前記表示画像の前記視野サイズを変更する、
X線診断装置。
【請求項2】
前記X線の照射範囲を限定するX線絞りと、
前記X線絞りの駆動を制御する駆動制御部と、をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記第1操作部または前記第2操作部での操作に応じて、前記照射範囲を制御する、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記X線絞りは、4枚の絞り羽根で構成され、
前記駆動制御部は、前記4枚の絞り羽根の位置を個別に移動させることで、前記照射範囲を制御する、
請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記X線画像の上下に対応するX線絞りの開度と、前記X線画像の左右に対応するX線絞りの開度とを別々に入力する操作を受け付ける第3操作部をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記第3操作部の操作に基づいて前記X線絞りを制御する、
請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記第2操作部は、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部であり、前記ユーザによる移動操作に基づいて、前記視野サイズの入力を受け付ける、
請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記第2操作部は、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部であり、前記ユーザによる第1方向への移動操作に応じて、前記視野サイズの縮小に関する入力を受け付け、前記ユーザによる前記第1方向と逆方向への移動操作に応じて前記視野サイズの拡大に関する入力を受け付ける、
請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記第2操作部は、スライドバーであり、ユーザが前記スライドバーを移動させた量に応じて、視野サイズの入力を受け付ける、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記第2操作部は、視野サイズを入力する前記操作に加えて、視野サイズの入力を解除する操作を受け付ける、
請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記第2操作部は、前記第1操作部に備えられたボタンであり、
前記表示制御部は、ユーザによる前記ボタンの押下内容と、前記第1操作部に対する入力操作に応じて、前記表示画像の前記視野サイズの変更量を決定する、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記X線の照射範囲を含む全体画像と、前記全体画像の一部を拡大した拡大画像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記X線の照射範囲を限定するX線絞りと、
前記X線絞りの駆動を制御する駆動制御部と、をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記全体画像の視野範囲に応じて前記照射範囲を制御し、
前記表示制御部は、前記全体画像に対する画像処理により前記拡大画像を生成する、
請求項10に記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記全体画像の視野範囲を操作する第1操作モードと、前記拡大画像の視野範囲を操作する第2操作モードとを実行する、
請求項10に記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記第2操作部において操作が実行されたことに基づいて、前記第1操作モードから前記第2操作モードへ切り替える。
請求項12に記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記駆動制御部は、前記拡大画像の視野範囲が前記照射範囲外の領域を含む位置に変更された場合、前記拡大画像の視野範囲を含む範囲に前記照射範囲を変更する、
請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、前記拡大画像の視野範囲が前記X線検出器の設置範囲外の領域を含む位置に変更された場合、前記X線検出器の設置範囲に含まれるように前記拡大画像の視野範囲を変更する、
請求項11に記載のX線診断装置。
【請求項16】
X線画像を表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示されるX線画像である表示画像の中心位置を入力する操作を受け付ける第1操作部と、
前記表示画像の視野サイズを無段階で入力する操作を受け付けるする第2操作部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第2操作部の操作に応じて、現在の表示画像の中心位置を維持した状態で、前記表示画像の前記視野サイズを変更する、
コンソール装置。
【請求項17】
X線の照射範囲を限定するX線絞りと、
前記X線絞りの駆動を制御する駆動制御部と、をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記第1操作部または前記第2操作部での操作に応じて、前記照射範囲を制御する、
請求項16に記載のコンソール装置。
【請求項18】
前記第2操作部は、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部であり、前記ユーザによる移動操作に基づいて、前記視野サイズの入力を受け付ける、
請求項17に記載のコンソール装置。
【請求項19】
前記第2操作部は、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部であり、前記ユーザによる第1方向への移動操作に応じて、前記視野サイズの縮小に関する入力を受け付け、前記ユーザによる前記第1方向と逆方向への移動操作に応じて前記視野サイズの拡大に関する入力を受け付ける、
請求項17に記載のコンソール装置。
【請求項20】
前記第2操作部は、スライドバーであり、ユーザが前記スライドバーを移動させた量に応じて、視野サイズの入力を受け付ける、
請求項16に記載のコンソール装置。
【請求項21】
前記第2操作部は、視野サイズを入力する前記操作に加えて、視野サイズの入力を解除する操作を受け付ける、
請求項17に記載のコンソール装置。
【請求項22】
前記第2操作部は、前記第1操作部に備えられたボタンであり、
前記表示制御部は、ユーザによる前記ボタンの押下内容と、前記第1操作部に対する入力操作に応じて、前記表示画像の前記視野サイズの変更量を決定する、
請求項16に記載のコンソール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線診断装置およびコンソール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線診断装置を用いた手技では、ユーザは、X線検出器全面から得られたX線画像ではなく、X線検出器内における臨床上の目的に応じた所望の目的位置(関心部位)を撮影した画像を表示して手技を行っている。この際、スティックによる操作により、X線検出器内の所望の目的位置にX線照射範囲(照射野)を移動させている。この際、上下左右の4枚の絞り羽根を非対称制御することにより、目的位置にのみX線が照射されるようにX線照射範囲を制御している。
【0003】
このようなX線診断装置では、目的位置を表示する視野サイズとして、多段階の離散的な固定サイズのみを選択可能である。このため、臨床上必要な所望の視野サイズで表示するためには、所望の視野サイズに近く、かつ、所望の視野サイズより大きい固定サイズを選択し、選択した固定サイズに対してX線絞りを用いてX線照射範囲を狭めることにより、X線視野サイズ及び照射範囲を調整している。このように、既定の固定サイズのみが選択可能で、選択された固定サイズが全面表示されるため、視野サイズを自由な大きさに簡便に設定することができず、目的位置を所望の大きさで表示することが困難である。このため、X線検出器内でのX線照射範囲を操作する際に、ユーザの視野操作を簡便に行うことができず、検査効率に影響を及ぼすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、X線撮影における自由で簡便な視野操作を提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線診断装置は、X線を発生するX線管と、前記X線を検出するX線検出器と、画像生成部と、表示制御部と、第1操作部と、第2操作部とを備える。画像生成部は、前記X線検出器で検出されたX線に基づいてX線画像を生成する。表示制御部は、前記X線画像を表示部に表示させる。第1操作部は、表示部に表示する表示画像の中心位置を入力する操作を受け付ける。第2操作部は、前記表示画像の視野サイズを無段階で入力する操作を受け付ける。また、表示制御部は、前記第2操作部の操作に応じて、現在の表示画像の中心位置を維持した状態で、前記表示画像の前記視野サイズを変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る入力インターフェースの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るX線診断装置による処理手順を例示するフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の実施形態において表示画像の視野範囲を変更する処理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図4において中心位置を変更した様子を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5において照射範囲を変更した様子を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6において視野サイズを変更した様子を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7において視野範囲をさらに変更した様子を示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るX線診断装置による処理手順を例示するフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係るX線診断装置により表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態において拡大画像の視野範囲が照射範囲を超えた様子を示す図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態において拡大画像の視野範囲がX線検出器の設置範囲を超えた様子を示す図である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態において全体画像としてX線検出器の設置範囲を含むX線画像を表示した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、X線診断装置の実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置1の構成例を示す図である。X線診断装置1は、例えば、消化管造影検査などで用いられるX線透視診断装置に相当する。X線診断装置1は、例えば、血管造影検査などで用いられる循環器用X線透視診断装置などであってもよい。
【0010】
図1に示すように、X線診断装置1は、撮影装置10、寝台装置30及びコンソール装置40を備えている。撮影装置10は、高電圧発生装置11、X線発生部12、X線検出器13、Cアーム14、及びCアーム駆動装置142を備えている。
【0011】
高電圧発生装置11は、X線管の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させてX線管へ出力する。
【0012】
X線発生部12は、被検体Pに対してX線を照射するX線管、照射X線量を減衰或いは低減させる機能を有する複数のフィルタ(以下、付加フィルタと呼ぶ)、及び、X線絞りを備えている。
【0013】
X線管は、X線を発生させる真空管である。X線管は、管球と、管球に設けられたフィラメント(陰極)と、タングステン陽極とを備える。X線管は、フィラメントより放出された熱電子を高電圧によって加速させる。X線管は、この加速電子をタングステン陽極に衝突させることでX線を発生させる。
【0014】
X線絞りは、X線管とX線検出器13の間に位置し、金属板としての鉛板で構成される。X線絞りは、開口領域外のX線を遮蔽することにより、X線管が発生したX線を、被検体Pの関心領域にのみ照射されるように絞り込むことにより、X線照射範囲の大きさ(以下、視野サイズと呼ぶ)を調整する。例えば、X線絞りは、独立して可動する4枚の絞り羽根を有し、これらの絞り羽根をスライドさせることで、X線の遮蔽される領域を任意のサイズに調節することにより、視野サイズを調整する。X線絞りの絞り羽根は、操作者が入力インターフェース43から入力した関心領域に応じて、図示しない駆動装置(絞り駆動部)により駆動される。
【0015】
上述のように、X線絞りは、X線管によって発生されたX線の照射範囲を限定する。X線絞りによりX線の照射範囲が限定されることによって、操作者が所望する被検体Pの撮影部位(或いは、撮影範囲)にだけX線を照射することができる。即ち、X線絞りは、撮影部位(或いは、撮影範囲)とは異なる部位(或いは、範囲)に対して、不要な被曝をさせないようにすることができる。また、4枚の絞り羽根の駆動を独立して制御することにより、X線を照射する照射範囲を自在に設定することができる。また、X線絞りは、散乱X線の低減および焦点外X線の除去ができる。以降、「X線の照射範囲を限定する」という文言は、「X線を遮へいする」、「X線を絞る」、「X線の照射範囲を限定する」という文言と相互に読み替えられてもよい。
【0016】
X線検出器13は、X線管から発せられ被検体Pを透過したX線を検出する。このようなX線検出器13としては、X線を直接電荷に変換するものと、光に変換した後、電荷に変換するものとが使用可能であり、ここでは前者を例に説明するが後者であっても構わない。すなわち、X線検出器13は、例えば、被検体Pを透過したX線を電荷に変換して蓄積する平面状のFPD(Flat Panel Detector)と、このFPDに蓄積された電荷を読み出すための駆動パルスを生成するゲートドライバとを備えている。FPDは微小な検出素子を列方向及びライン方向に2次元的に配列して構成される。各々の検出素子はX線を感知し、入射X線量に応じて電荷を生成する光電膜と、この光電膜に発生した電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサと、電荷蓄積コンデンサに蓄積された電荷を所定のタイミングで出力するTFT(薄膜トランジスタ)を備えている。蓄積された電荷はゲートドライバが供給する駆動パルスによって順次読み出される。X線検出器13は、X線検出部の一例である。X線検出器13の後段には、図示しない投影データ生成回路が設けられている。投影データ生成回路は、X線検出器13のFPDから行単位あるいは列単位でパラレルに読み出されたデジタル信号を時系列的なシリアル信号(時系列的な投影データ)に変換するパラレル・シリアル変換器を備えている。時系列的な投影データは、投影データ生成回路から出力され、コンソール装置40に供給される。
【0017】
Cアーム14は、X線発生部12とX線検出器13とを保持し、回転しながらX線撮影を実行するように構成されている。Cアーム14は、X線発生部12とX線検出器13とを被検体P及び天板33を挟んで対向するように保持することで、天板33上の被検体PのX線撮影を行うことができる構成を有する。Cアーム14は、スライド可能、かつ、複数の回転軸のそれぞれを中心に回転可能に支持される。Cアーム14は、スライド及び回転に係る動作を実現するための複数の動力源が該当する適当な箇所に備えられている。これらの動力源はCアーム駆動装置142を構成する。Cアーム駆動装置142は、駆動制御機能442からの駆動信号を読み込んでCアーム14をスライド運動、回転運動、直線運動させる。Cアーム14は、支持アームの一例である。
【0018】
寝台装置30は、被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備えている。
【0019】
基台31は、床面に設置され、支持フレーム34を鉛直方向(Z方向)に移動可能に支持する筐体である。
【0020】
寝台駆動装置32は、寝台装置30の筐体内に収容され、被検体Pが載置された天板33を天板33の長手方向(Y方向)に移動するモータあるいはアクチュエータである。寝台駆動装置32は、駆動制御機能442からの駆動信号を読み込んで、天板33を床面に対して水平方向や垂直方向に移動させる。Cアーム14または天板33が移動することにより、被検体Pに対する撮影軸の位置関係が変化する。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動してもよい。
【0021】
天板33は、支持フレーム34の上面に設けられ、被検体Pが載置される板である。
【0022】
支持フレーム34は、基台31の上部に設けられ、天板33をその長手方向に沿ってスライド可能に支持する。
【0023】
なお、寝台装置30は、天板33が支持フレーム34に対して移動可能であってもよいし、天板33と支持フレーム34とが一緒に、基台31に対して移動可能であってもよい。
【0024】
コンソール装置40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を備えている。なお、コンソール装置40は撮影装置10とは別体として説明するが、撮影装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。コンソール装置40は、例えば、医用画像処理装置に相当する。
【0025】
なお、以下、コンソール装置40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明するが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。例えば、後述の画像生成機能444等の処理回路44の機能は、異なるコンソール装置に分散して搭載されても構わない。
【0026】
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路等の記憶装置である。また、メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体であってもよい。なお、メモリ41は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、コンソール装置40内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0027】
メモリ41は、処理回路44によって実行されるプログラム、処理回路44の処理に用いられる各種データ等を記憶する。プログラムとしては、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータにインストールされ、処理回路44の各機能を当該コンピュータに実現させるプログラムが用いられる。なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。メモリ41は、記憶部の一例である。
【0028】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(X線画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ42は、撮影装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0029】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際のスキャン条件や、Cアーム14の移動指示、関心領域(ROI)の設定、及び透視の実行等を行うための操作等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、処理回路44の各種処理等を行うためのマウスやキーボード、トラックボール、スイッチボタン、ジョイスティック、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース43は、処理回路44に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路へと出力する。なお、本明細書において、入力インターフェースは、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。また、入力インターフェース43は、撮影装置10に設けられてもよく、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。入力インターフェース43は、入力部の一例である。
【0030】
また、入力インターフェース43は、ディスプレイ42に表示する表示画像の中心位置を入力する操作を受け付ける第1操作部と、表示画像の視野サイズを無段階で入力する操作を受け付ける第2操作部とを備える。第2操作部は、例えば、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部である。この場合、第2操作部は、ユーザによる移動操作に基づいて、前記視野サイズの入力を受け付ける。または、第2操作部は、ユーザによる第1方向への移動操作に応じて、視野サイズの縮小に関する入力を受け付け、ユーザによる前記第1方向と逆方向への移動操作に応じて視野サイズの拡大に関する入力を受け付けてもよい。または、第2操作部は、スライドバーであり、ユーザがスライドバーを移動させた量に応じて、視野サイズの入力を受け付けてもよい。また、視野サイズを入力する操作に加えて、視野サイズの入力を解除する操作を受け付けてもよい。
【0031】
処理回路44は、X線診断装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、メモリ41内のプログラムを呼び出し実行することにより、システム制御機能441、駆動制御機能442、X線制御機能443、画像生成機能444及び表示制御機能445を実行するプロセッサである。
【0032】
なお、
図1においては、単一の処理回路44によって、システム制御機能441、駆動制御機能442、X線制御機能443、画像生成機能444及び表示制御機能445が実現されるものとして説明したがこれに限らない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。また、システム制御機能441、駆動制御機能442、X線制御機能443、画像生成機能444及び表示制御機能445は、それぞれシステム制御回路、駆動制御回路、X線制御回路、画像生成回路及び表示制御回路と呼んでもよく、個別のハードウェア回路として実装してもよい。処理回路44が実行する各機能についての上記説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0033】
また、コンソール装置40は単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明するが、複数の機能を別々の装置が実行することにしても構わない。例えば、処理回路44の機能は、異なる装置に分散して搭載されても構わない。
【0034】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit :ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記「プロセッサ」の説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0035】
また、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43、及び、処理回路44の画像生成機能444及び表示制御機能445により構成される装置を、医用画像処理装置と呼んでもよい。このため、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43、及び、処理回路44の画像生成機能444及び表示制御機能445に関する説明は、医用画像処理装置の説明ともなっている。また、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43、及び、処理回路44の画像生成機能444及び表示制御機能445により構成される医用画像処理装置がX線診断装置1と通信可能な別体の装置として設けられてもよい。
【0036】
処理回路44は、システム制御機能441により、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、X線診断装置1における複数の構成要素各々を制御する。例えば、処理回路44は、撮像条件に従って、撮影装置10における各種構成要素を制御する。
【0037】
処理回路44は、駆動制御機能442により、例えば、入力インターフェース43から入力されたCアーム14や天板33の駆動に関する情報に基づいて、Cアーム駆動装置142及び寝台駆動装置32の制御を行う。また、処理回路44は、駆動制御機能442により、X線絞りの駆動を制御する。この際、処理回路44は、第1操作部または第2操作部での操作に応じて照射範囲を制御する。駆動制御機能442を実現する処理回路44は、駆動制御部の一例である。
【0038】
処理回路44は、X線制御機能443により、例えば、システム制御機能441からの情報を読み込んで、高電圧発生装置11における管電流、管電圧、焦点サイズ、照射時間、パルス幅等のX線条件の制御を行う。また、X線制御機能443は、システム制御機能441からの情報を読み込んで、X線絞りが有する各絞り羽根の駆動を非対称に制御することにより、X線の照射範囲の制御を行う。X線制御機能443を実現する処理回路44は、X線制御部の一例である。
【0039】
処理回路44は、画像生成機能444により、X線検出器13から読み出した検出データに基づいて生成された投影データを取得し、投影データに基づいて透視画像などのX線画像を生成する。なお、生成されたX線画像に対して各種合成処理や減算(サブトラクション)処理等を行なってもよい。画像生成機能444を実現する処理回路44は、画像生成部の一例である。
【0040】
処理回路44は、表示制御機能445により、システム制御機能441からの信号を読み込んで、メモリ41から所望のX線画像を取得してディスプレイ42に表示する。表示制御機能445を実現する処理回路44は、表示制御部の一例である。
【0041】
また、処理回路44は、表示制御機能445により、表示画像の中心位置を操作する第1操作部と表示画像の視野サイズを無段階で操作する第2操作部の操作に基づいて、ディスプレイ42に表示させる表示画像の視野範囲を制御する。表示制御機能445において処理回路44は、第2操作部の操作に応じて、現在の表示画像の中心位置を維持した状態で、表示画像の視野サイズを変更する。この際、処理回路44は、視野サイズの変更に応じてX線絞りを駆動することにより、視野サイズの変更に合わせてX線照射範囲を変更する。
【0042】
次に、入力インターフェース43の構成の一例について具体的に説明する。
図2は、本実施形態における入力インターフェース43の構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の入力インターフェース43は、開始ボタン431と、中心位置操作部432と、視野サイズ操作部433とを備える。
【0043】
開始ボタン431は、透視などのX線撮影を開始する操作を入力するためのインターフェースである。開始ボタン431での操作が行われると、例えば、X線撮影により生成されたX線画像がディスプレイ42に表示される。なお、X線撮影を終了する操作を入力するためのインターフェースとして、開始ボタン431を用いてもよい。
【0044】
また、図示しないが、入力インターフェース43は、予め用意された複数の固定の視野サイズ(以下、固定視野サイズと呼ぶ)の中の1つを選択するための固定視野サイズ選択部を備えている。固定視野サイズは、予め複数用意された多段階の離散的な固定サイズである。固定視野サイズ選択部は、例えば、ボタンなどにより実現することができる。
【0045】
中心位置操作部432は、表示画面の中心位置を入力するためのインターフェースである。中心位置操作部432は、第1操作部に相当する。中心位置操作部432は、例えば、ジョイスティック、シフトレバー、パドルレバー、スライドバー、ボタン、ペダル、ダイヤルなどにより実現することができる。
図2の一例では、中心位置操作部432は、中心位置711を無段階で操作できるジョイスティックにより実現されている。また、中心位置操作部432は、中心位置711の座標を直接入力可能なインターフェースであってもよい。
【0046】
視野サイズ操作部433は、表示画面の視野サイズを入力するためのインターフェースである。視野サイズ操作部433は、第2操作部に相当する。視野サイズを縮小する操作は、表示画面をズームインする操作に対応する。視野サイズを拡大する操作は、表示画面をズームアウトする操作に対応する。視野サイズ操作部433は、視野サイズを無段階で自由に入力できるように構成されている。入力される視野サイズは、現在の視野サイズに対する拡大率や縮小率などの相対的なものであってもよく、実際の視野の大きさなどの絶対的なものであってもよい。また、視野サイズ操作部433は、視野サイズの値を直接入力可能なインターフェースであってもよい。
【0047】
視野サイズ操作部433は、例えば、ジョイスティック、シフトレバー、パドルレバー、スライドバー、ボタン、ペダル、ダイヤル、キーパッド式コントローラ、GUIなどのソフトウェア、などにより実現することができる。また、視野サイズ操作部433は、シーソー式、ねじる式、指輪式のマウスなどにより実現することもできる。例えば、視野サイズ操作部433としてレバーを用いた場合、レバーの位置やひねり角に応じて、視野サイズを無段階で入力することができる。
【0048】
図2の一例では、視野サイズ操作部433は、バーの位置により視野サイズを無段階で操作できるスライドバーにより実現されている。例えば、スライドバーを右側に移動させると、視野サイズが縮小し(ズームイン)、スライドバーを左側に移動させると、視野サイズが拡大(ズームアウト)する。また、スライドバーを中央の凹みの内側へ押し下げると、視野サイズの拡大または縮小が解除される。
【0049】
また、視野サイズ操作部433は、中心位置操作部432等の他の入力インターフェースと複合して設けられてもよい。例えば、中心位置操作部432として設けられたレバーに視野サイズ操作部433としてボタンを付与してもよい。また、視野サイズ操作部433として、他の機能と複合したダイヤルを用いてもよい。また、中心位置操作部432及び視野サイズ操作部433としてキーパッド式コントローラを用いた場合、例えば、触る位置により表示領域の位置を操作し、ピンチを用いて視野サイズの拡大/縮小を行うことができる。また、視野サイズ操作部433の機能を透視ペダルに組み込んでもよい。この場合、例えば、透視ペダルの踏み込み具合に応じて視野サイズを無段階で操作することができる。また、ジョイスティックを押し込んだ状態で倒すことで、視野サイズの拡大/縮小を行ってもよい。この場合、視野サイズの拡大/縮小をダブルクリックで解除してもよい。また、ダブルクリックした後にジョイスティックをホールドすることで、視野サイズの拡大/縮小を行ってもよい。
【0050】
また、視野サイズ操作部433として既存の構成を転用してもよい。例えば、中心位置操作部432であるレバーに設けられた既存のボタンに視野サイズ操作部433としての機能を持たせてもよい。この場合、第2操作部は、第1操作部に備えられたボタンであり、処理回路44は、表示制御機能445により、ユーザによるボタンの押下内容と、第1操作部に対する入力操作に応じて、表示画像の視野サイズの変更量を決定する。例えば、処理回路44は、表示制御機能445により、ボタンを1回押し、押した状態を予め設定された時間以上継続(ホールド)した場合は、視野サイズを縮小(ズームイン)し、ボタンを2回押し、2回目の押下が行われてから予め設定された時間以上押した状態を継続した場合は、視野サイズを拡大(ズームアウト)する。また、透視ペダルに視野サイズ操作部433としての機能を持たせてもよい。また、視野サイズ操作部433の機能は、音声操作により実行されてもよい。また、ボタンを押し込んだ状態で、レバーを上下方向に倒すことで、視野サイズの拡大/縮小を行ってもよい。この場合、例えば、ユーザから見て上方向にレバーを倒した場合は視野サイズを縮小(ズームイン)し、ユーザから見て下方向にレバーを倒した場合は視野サイズを拡大(ズームアウト)するように構成される。なお、ボタンの押下はユーザの親指でなされることが望ましく、当該ボタンは、レバーの側部やレバーの上端に設けられることが望ましい。なお、レバーの側部にボタンを設ける場合は、レバーが右手用の場合はレバーの左側の側方に設けられ、レバーが左手用の場合はレバーの右側の側方に設けられてもよい。
【0051】
また、上記構成に加えて、視野サイズの縦横比を操作する絞りレバーや操作パドルが設けられてもよい。また、上記複数の操作部のうちの複数の機能を1つの操作部にまとめて実装してもよい。
【0052】
次に、本実施形態に係るX線診断装置1の動作について説明する。
図3は、X線撮影において処理回路44により実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。
なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0053】
X線撮影を開始する際、X線診断装置1は、ユーザによる
図2の開始ボタン431の操作に応じて、撮影装置10を用いたX線撮影を開始する。X線撮影は、例えば、透視である。
【0054】
図4は、X線撮影においてディスプレイ42に表示される範囲を説明するための図である。検出器設置範囲70は、X線検出器13が設置された領域である。照射範囲71は、X線絞りにより照射範囲が絞られた際に、実際にX線が照射される領域である。X線管からX線が照射されると、照射範囲71に照射されたX線がX線検出器13により検出されることにより、照射範囲71のX線画像がディスプレイ42の表示画面に表示される。
図4におけるグレーの領域は、X線絞りにより遮へいされていることを示す。
【0055】
ユーザは、予め設定された複数段階の固定視野サイズの中から1つの固定視野サイズを選択する。固定視野サイズが選択されると、処理回路44は、選択された固定視野サイズに基づいて照射範囲71を決定する(ステップS101)。この際、照射範囲71の中心位置711は、検出器設置範囲70の中心位置と一致するように設定される。このため、照射範囲71は、検出器設置範囲70と同じ中心位置を有し、選択された固定視野サイズにより規定された視野サイズを有する。
【0056】
次に、処理回路44は、照射範囲71にX線照射範囲を限定して生成したX線画像をディスプレイ42に表示させる(ステップS102)。この際、処理回路44は、まず、X線制御機能443により、X線管からX線を照射させる。この際、照射範囲71のみにX線が照射されるようにX線絞りの駆動が制御され、照射範囲71のみにX線が照射される。
【0057】
次に、処理回路44は、画像生成機能444により、X線検出器13から読み出した信号に基づいてX線画像を生成する。
【0058】
次に、処理回路44は、表示制御機能445により、生成したX線画像をディスプレイ42に表示させる。この際、ディスプレイ42の表示画面には、照射範囲71を拡大したX線画像が表示される。
【0059】
X線診断装置1は、X線撮影の実行中において、中心位置操作部432または視野サイズ操作部433での操作により、ディスプレイ42の表示画面に表示させるX線画像を、ユーザが確認したい位置のX線画像にリアルタイムで更新することができる。ここでは、一例として、
図4に示す目的位置72のX線画像を確認したい場合の操作と処理について説明する。目的位置72は、ユーザが今確認したい所望の領域であり、例えば、透視実行時におけるデバイス付近の位置である。目的位置72のX線画像を確認したい場合、ユーザは、まず、中心位置操作部432を操作することにより、照射範囲71が表示された表示画面の中心位置711を、
図5に示すように、目的位置72の中心に移動させる。
【0060】
中心位置操作部432において中心位置711を変更する操作が行われると(ステップS103-Yes)、処理回路44は、表示制御機能445により、中心位置711の変更に応じて、照射範囲71を変更する。この際、選択されている固定視野サイズを維持したまま、変更後の中心位置711が視野中心となるように、照射範囲71を変更する(ステップS104)。これにより、
図6に示すように、照射範囲71が平行移動する。
【0061】
照射範囲71が変更されると、処理回路44は、表示画像を更新する(ステップS105)。この際、処理回路44は、X線制御機能443、画像生成機能444及び表示制御機能445により、X線絞りの駆動を制御して、更新された照射範囲71のみにX線を照射させてX線画像を生成し、表示画像を生成したX線画像に更新する。
【0062】
次に、ユーザは、視野サイズ操作部433を操作することにより、確認したい範囲に合わせて表示画面の視野サイズを変更する。例えば、視野サイズ操作部433として設けられた
図2のスライドバーを任意の長さだけ移動させることにより、表示画面の視野サイズを任意の大きさに変更する。
【0063】
視野サイズ操作部433において視野サイズを変更する操作が行われると(ステップS106-Yes)、処理回路44は、表示制御機能445により、視野サイズの変更に応じて、照射範囲71を変更する。この際、現在の表示画像の中心位置711を維持したまま、変更後の視野サイズに一致する大きさに照射範囲71を変更する(ステップS107)。これにより、
図7に示すように、確認したい目的位置72の視野サイズに合うように、照射範囲71を縮小することができる。
【0064】
ユーザは、X線撮影の実行中において、確認したい位置が変更する度に、中心位置操作部432または視野サイズ操作部433での操作により照射範囲71を任意の位置に変更することで、ディスプレイ42に任意の位置のX線画像を表示することができる。この際、視野サイズを変更した場合に、現在表示されている照射範囲71の中心位置711を維持した状態でズームインまたはズームアウトを行うことができるため、表示画像の視野範囲を目的位置72に合わせる操作が容易になる。従って、ユーザは所望の位置を容易に確認することができる。
【0065】
処理回路44は、X線撮影が終了するまで、中心位置操作部432または視野サイズ操作部433において操作が行われる度にステップS103-ステップS108の処理を実行することにより、表示中のX線画像を更新後の目的位置72のX線画像に更新する。
【0066】
以下、本実施形態に係るX線診断装置1の効果について説明する。
【0067】
本実施形態のX線診断装置1は、X線を発生するX線管と、X線を検出するX線検出器13と、ディスプレイ42に表示する表示画像の中心位置を操作する第1操作部と、ディスプレイ42に表示する表示画像の視野サイズを無段階で操作する第2操作部とを備える。第1操作部は、例えば、
図2の中心位置操作部432である。第2操作部は、例えば、
図2の視野サイズ操作部433である。第1操作部及び第2操作部は、コンソール装置40に設けられている。また、X線診断装置1のコンソール装置40は、X線検出器13で検出されたX線に基づいてX線画像を生成し、生成されたX線画像をディスプレイ42に表示させ、第2操作部の操作に応じて、現在の表示画像の中心位置を維持した状態で、表示画像の視野サイズを変更することができる。また、X線診断装置1は、X線の照射範囲を限定するX線絞りをさらに備え、第1操作部または第2操作部での操作に応じて照射範囲を制御する。
【0068】
例えば、ユーザが関心領域等の目的位置を確認するため、視野サイズ操作部433において、視野サイズを拡大(ズームアウト)する操作や視野サイズを縮小(ズームイン)する操作を行ったとする。このとき、X線診断装置1は、視野サイズ操作部433の操作に応じて、現在表示されている表示画像の中心位置を維持したまま、表示画像の拡大(ズームアウト)や縮小(ズームイン)を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態のX線診断装置1は、視野サイズ操作部433での操作により、表示するX線画像の視野サイズを無段階で任意の大きさに変更することができる。このため、ユーザは、予め既定された数段階の固定視野サイズに制限されることなく、表示するX線画像の視野サイズを自由に設定することができる。
【0070】
また、視野サイズを変更した場合に、現在表示されている照射範囲71の中心位置711を維持した状態でズームインまたはズームアウトを行うことができる。このため、予め設定された複数の固定視野サイズの中からしか視野サイズを選択できず、検出器設置範囲70の中心位置を中心とした視野サイズの変更しかできない場合に比べて、表示範囲を目的位置72に合わせる操作が容易になる。従って、ユーザは所望の位置を容易に確認することができる。
【0071】
このように、X線絞りに対する非対称制御によりX線検出器13内でのX線照射範囲を由に操作できるX線診断装置1において、表示画像の視野範囲をユーザの所望する目的位置に合わせる操作を簡便に行うことができる。これにより、より自由な視野操作が可能となり、検査効率が改善する。
【0072】
なお、表示画像の表示範囲をさらに細かく調整できるようにしてもよい。この場合、例えば、
図8に示すように、X線画像の上下に対応するX線絞りの開度とX線画像の左右に対応するX線絞りの開度を個別に調整できる第3操作部がさらに設けられる。第3操作部は、例えば、操作レバーやボタン等により実現される。第3操作部の操作により、表示画像のX線画像の上下に対応するの視野サイズとX線画像の左右に対応する視野サイズを別々に調整することができる。処理回路44は、駆動制御機能442により、第3操作部の操作に基づいてX線絞りを制御する。これにより、表示画像の表示範囲を所望の形状に調整することができ、更に適切な照射範囲を設定可能となる。さらには、処理回路44は、駆動制御機能442により、表示画像の表示範囲に対応して移動制御されたX線絞りを、第3操作部の操作に基づいて、さらに移動するよう制御する。これにより、表示範囲を開度100%とし、表示範囲に対する相対的な開度を設定できる。
図8は、一例として、横方向の視野サイズを50%に縮小し、横方向の視野サイズを70%に縮小した場合を示している。なお、第3操作部の例として、X線画像の上下方向の開度とX線画像の左右方向の開度を個別に調整する例を述べたが、実施形態はこれに限られず、X線絞りの上下方向の開度だけを個別に調整できても良い。同様に、X線絞りの左右方向の開度だけを個別に調整できても良い。
【0073】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本実施形態では、目的位置を拡大した拡大画像と、X線照射範囲を含む範囲を表示した全体画像との2つの画像をディスプレイ42に表示させる。この手法は、例えば、全体像を見つつデバイス周辺部を拡大して確認したい場合に有効な表示方法である。また、第1の実施形態では、X線絞りを用いて目的位置に合わせてX線照射範囲を狭めたが、本実施形態では、照射範囲を狭めることなく、画像処理により目的位置を拡大表示する。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、表示制御機能445において処理回路44は、照射範囲71を含む視野範囲の全体画像と、全体画像の一部を画像処理により拡大した拡大画像の2つの画像をディスプレイ42の1画面に表示させる。全体画像は、例えば、照射範囲71を含むX線画像である。拡大画像は、例えば、全体画像における関心領域などの所望の目的位置を画像処理により拡大したX線画像である。この際、処理回路44は、全体画像の視野範囲に応じて照射範囲を制御し、全体画像に対して目的位置を拡大する画像処理を実行することにより、拡大画像を生成する。また、処理回路44は、第2操作部において視野サイズが変更された場合、現在の拡大画像の中心位置を維持した状態で、拡大画像の視野サイズを変更することにより、拡大画像の拡大率を変更する。
【0075】
処理回路44は、表示制御機能445により、全体画像の視野範囲を操作する全体画像操作モードと、拡大画像の視野範囲を操作する拡大画像操作モードの2つのモードを実行する。全体画像操作モードは、第1操作モードに対応する。拡大画像操作モードは、第2操作モードに対応する。例えば、処理回路44は、第2操作部において操作が実行されたことに基づいて、全体画像操作モードから拡大画像操作モードへ切り替える。なお、全体画像操作モードと拡大画像操作モードを切り替える第4操作部を備えてもよい。第4操作部は、例えば、スイッチ、レバー、ボタンなどにより実現される。
【0076】
次に、本実施形態に係るX線診断装置1の動作について説明する。
図9は、X線撮影において処理回路44により実行される処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0077】
図10は、本実施形態においてディスプレイ42に表示される表示画面の一例を示す図である。
図10に示すように、本実施形態では、ディスプレイ42には、全体表示部421と、拡大表示部422が表示される。全体表示部421には、照射範囲71を含む視野範囲を有するX線画像が全体画像として表示される。拡大表示部422には、全体表示部421に表示された画像の一部を画像処理により拡大したX線画像が拡大画像として表示される。
【0078】
X線撮影を開始する際、X線診断装置1は、ユーザによる
図2の開始ボタン431の操作に応じて、撮影装置10を用いたX線撮影を開始する。X線撮影を開始すると、処理回路44は、まず、全体表示部421に表示される全体画像の位置や視野サイズを操作する全体画像操作モードを開始する。
【0079】
全体画像操作モードでは、ユーザは、まず、予め設定された複数段階の固定視野サイズの中から1つの固定視野サイズを選択する。固定視野サイズが選択されると、処理回路44は、第1の実施形態のステップS101及びステップS102の処理と同様に、選択された固定視野サイズに基づいて照射範囲71を決定し(ステップS201)、照射範囲71にX線照射範囲を限定して生成したX線画像をディスプレイ42に表示させる(ステップS202)。この際、生成されたX線画像は全体画像として全体表示部421に表示される。
【0080】
全体画像操作モードでは、ユーザは、中心位置操作部432での操作により、全体表示部421に表示させる全体画像の位置をリアルタイムで更新することができる。中心位置操作部432において中心位置711を変更する操作が行われると(ステップS203-Yes)、処理回路44は、表示制御機能445により、中心位置711の変更に応じて、照射範囲71を変更する。この際、選択されている固定視野サイズを維持したまま、変更後の中心位置711が全体表示部421の視野中心となるように、照射範囲71を変更することができる(ステップS204)。照射範囲71が変更されると、処理回路44は、全体表示部421に表示する全体画像を更新する(ステップS205)。ステップS203-ステップS205の処理は、第1の実施形態のステップS103-ステップS105の処理と同様のため、詳しい説明を省略する。
【0081】
全体表示部421に表示された全体画像の一部を拡大して表示したい場合、ユーザは、拡大表示部422に表示させる拡大画像の視野範囲を操作する拡大画像操作モードに移行させる操作を行う。例えば、視野サイズ操作部433での操作を行うことで、全体画像操作モードから拡大画像操作モードに移行させることができる。なお、全体画像操作モードと拡大画像操作モードとを切り替えるボタンが別に設けられてもよい。
【0082】
全体画像操作モードの実行中において、視野サイズ操作部433での操作が行われると(ステップS206-Yes)、処理回路44は、拡大表示部422に表示する拡大画像の位置や視野サイズを操作する拡大画像操作モードに移行する。その後、処理回路44は、表示制御機能445により、拡大表示部422への拡大画像の表示を開始する(ステップS207)。この際、
図10に示すように、全体表示部421の全体画像上に、拡大画像の視野範囲73や、拡大画像の中心位置731や、全体画像の中心位置711を表示することで、拡大画像の視野範囲の位置関係を把握できるようにすることが好ましい。
【0083】
拡大画像操作モードでは、ユーザは、確認したい目的位置が変化する度に、中心位置操作部432または視野サイズ操作部433での操作を行うことにより、拡大画像の視野範囲73をリアルタイムで変更することができる。処理回路44は、中心位置操作部432または視野サイズ操作部433での操作が行われる度に、表示制御機能445により、拡大画像の視野範囲73を変更し(ステップS208)、変更後の視野範囲73に基づいて画像処理を実行することにより、拡大表示部422に表示する拡大画像を更新する。
【0084】
例えば、ユーザは、中心位置操作部432を操作することにより、拡大画像の中心位置731を変更することができる。この際、処理回路44は、変更された位置を中心とし、現在の拡大画像の視野サイズを維持した拡大画像を、全体表示部421に表示されたX線画像に対する画像処理を実行することにより生成し、拡大表示部422に表示させる拡大画像を生成した画像に更新する。
【0085】
また、ユーザは、視野サイズ操作部433を操作することにより、拡大表示部422に表示される拡大画像の視野サイズを変更することができる。この際、処理回路44は、現在の拡大画像の中心位置731を維持し、かつ、変更された視野サイズを有する拡大画像を、全体画像に対する画像処理を実行することにより生成し、拡大表示部422の拡大画像を生成した画像に更新する。例えば、
図6に示す状態において、視野サイズ操作部433の操作により、目的位置72に合わせて視野サイズが変更された場合、
図11に示すように、照射範囲71を変更することなく、拡大画像の拡大率が変更され、拡大表示部422に表示される。
【0086】
なお、拡大画像の視野範囲73の中心位置や視野サイズを変更する操作が行われることにより、
図11に示すように、照射範囲71を超えた位置に拡大画像の視野範囲73が移動することがある。この場合、拡大画像の視野範囲73のうち照射範囲71から飛び出た部分はX線絞りにより遮蔽されているため、照射範囲71を変更する必要がある。このため、処理回路44は、駆動制御機能442により、拡大画像の視野範囲73が照射範囲71外の領域を含む位置に変更された場合、拡大画像の視野範囲73を含む範囲に照射範囲71を変更する。
【0087】
例えば、処理回路44は、
図12に示すように、拡大画像の視野範囲73を含むように照射範囲71を移動させる。これにより、拡大画像の視野範囲73全体にX線が照射されるようになり、ユーザが確認したい部分のX線画像を生成して表示することができる。
【0088】
または、
図13に示すように、拡大画像の視野範囲73を含むように照射範囲71を拡大してもよい。照射範囲71が変更されると、照射範囲71に合わせてX線照射範囲が変更され、X線照射範囲に合わせてX線絞りが駆動される。これにより、拡大画像の視野範囲73全体にX線が照射されるようになり、ユーザが確認したい部分のX線画像を生成して表示することができる。
【0089】
また、拡大画像の視野範囲73の中心位置や視野サイズを変更する操作が行われることにより、
図14に示すように、検出器設置範囲70を超えた位置に拡大画像の視野範囲73が移動することがある。この場合、拡大画像の視野範囲73のうち、検出器設置範囲70から飛び出た部分にはX線検出器13が存在しない。このため、処理回路44は、表示制御機能445により、拡大画像の視野範囲73がX線検出器13の設置範囲外の領域を含む位置に変更された場合、X線検出器13の設置範囲に含まれるように拡大画像の視野範囲73を変更する。
【0090】
例えば、
図15に示すように、検出器設置範囲70を超えないように拡大画像の中心位置711や視野サイズを変更する。これにより、拡大画像の視野範囲73全体にX線が照射されるようになり、X線検出器13が存在する範囲で、ユーザが確認したい部分のX線画像を生成して表示することができる。
【0091】
あるいは、処理回路44は、
図16に示すように、拡大画像の視野範囲73を変更することなく、拡大画像の視野範囲73のうち検出器設置範囲70から飛び出た部分をグレー等で表示してもよい。
図16では、拡大表示部422の拡大画像には、検出器設置範囲70と重なる領域にX線画像を表示し、検出器設置範囲70から飛び出た領域722はグレーで表示している。
【0092】
なお、拡大画像の視野範囲73が検出器設置範囲70を超えた場合、拡大画像の視野範囲73が検出器設置範囲70に含まれるように、X線検出器13自体を移動させてもよい。
【0093】
また、照射範囲71や検出器設置範囲70を超えた位置に拡大画像の視野範囲73を移動させる操作ができないようにしてもよい。また、拡大画像の視野範囲73が照射範囲71や検出器設置範囲70の端部に到達した場合、操作の限界まで到達していることを音声や画面表示によりユーザに通知してもよい。
【0094】
処理回路44は、X線撮影が終了するまで(ステップS210-No)、中心位置操作部432または視野サイズ操作部433において操作が行われる度にステップS208-ステップS209の処理を繰り返し実行することにより、拡大表示部422に表示する拡大画像を更新する。
【0095】
以下、本実施形態に係るX線診断装置1の効果について説明する。
【0096】
本実施形態のX線診断装置1は、照射範囲71を含む全体画像と、全体画像の一部を拡大した拡大画像をディスプレイ42に表示させることができる。例えば、全体画像は、照射範囲71全体を含むX線画像であり、拡大画像は、全体画像のうち目的位置を拡大して表示したX線画像である。全体画像は、全体画像の視野範囲に応じて照射範囲71を制御することで生成され、拡大画像は、全体画像に対する画像処理により拡大画像を生成される。
【0097】
また、X線診断装置1は、全体画像の視野範囲を操作する全体画像操作モードと、拡大画像の視野範囲73を操作する拡大画像操作モードとを実行することができる。全体画像操作モードは、第1操作モードに対応し、拡大画像操作モードは、第2操作モードに対応する。第1操作部は、全体画像操作モードにおいて全体画像の中心位置を操作するインターフェースとして機能し、拡大画像操作モードにおいて拡大画像の中心位置を操作するインターフェースとして機能する。第2操作部は、全体画像操作モードから拡大画像操作モードに切り替えるインターフェースとして機能し、拡大画像操作モードにおいて拡大画像の視野サイズを無段階で操作するインターフェースとして機能する。
【0098】
ユーザは、目的位置を拡大した拡大画像と、照射範囲71全体を含む全体画像を同時に確認することにより、照射範囲71内における拡大画像の視野範囲73の位置を容易に把握することができる。このため、拡大画像の視野範囲73をユーザの所望する目的位置に合わせる操作をさらに簡便に行うことができる。これにより、より自由な視野操作が可能となり、検査効率がさらに改善する。
【0099】
また、本実施形態においても、全体画像操作モードと拡大画像操作モードの両方において、第2操作部において視野サイズを変更する操作が入力されると、現在の中心位置を維持したまま、表示画像の拡大(ズームアウト)や縮小(ズームイン)を行うことができ、表示画像の視野サイズを無段階で任意の大きさに変更することができる。このため、ユーザは、予め既定された数段階の固定視野サイズに制限されることなく、表示画像の視野範囲を自由に設定することができる。
【0100】
また、
図17に示すように、全体画像として、検出器設置範囲70全体を含むX線画像を全体表示部421に表示してもよい。
図17では、検出器設置範囲70において、照射範囲71にはX線画像が表示され、X線絞りによりX線が遮蔽されている領域はグレーで表示されている。
【0101】
また、全体表示部421には、検出器設置範囲70、照射範囲71、拡大画像の視野範囲73、視野範囲73の中心位置731などの位置関係を簡易的に示すポンチ絵等の概略図をさらに表示してもよい。この際、概略図の背景には、可視光カメラで得た画像や、カメラ等で現在の配置を模擬したシェーマ画像や、実際のX線画像を表示してもよい。この場合、より正確な位置関係を把握することが可能となる。また、背景として表示するX線画像として、LIH(ラストイメージホールド)機能により生成されたLIH画像を用いてもよい。この場合、全体表示部421に表示されたLIH画像に対して視野サイズを拡大(ズームアウト)または縮小(ズームイン)する操作を行うと、その操作により変更される予定の視野範囲を、事前にLIH画像から切り取って拡大表示部422に表示することにより、操作によりどんな画像が取得されるかを分かりやすくすることができ、X線を照射することなく表示する位置の調整を行うことができる。
【0102】
また、拡大画像操作モードにおいて、画像処理を行うタイミングを適宜調整してもよい。例えば、拡大画像の視野サイズが決定するまでは単純なデジタルズームを用いて生成した画像を拡大表示部422に表示し、拡大画像の視野サイズが決定した後に目的位置を拡大する画像処理を実行してもよい。
【0103】
また、X線検出器13に対して部分読み出しを行うタイミングを適宜調整してもよい。例えば、透視が切れた際に、最適な部分読み出しを適用してもよい。
【0104】
また、全体画像と拡大画像に対して、実行する画像処理の種類や内容を変更してもよい。
【0105】
(変形例)
実施形態では、固定視野サイズを選択した後に、第1操作部や第2操作部を用いて表示画像の中心位置を変更する例について説明したが、固定視野サイズを選択するステップは省略されてもよい。この場合、選択された固定視野サイズのX線画像が表示される際には、代わりに、検出器設置範囲70を照射範囲71として生成したX線画像が表示される。
【0106】
また、ヒール効果を補うために、X線の強度分布のピークが表示画像の中心位置に重なるように、X線条件を制御してもよい。
【0107】
また、ABC(Automatic Brightness Control:自動輝度調節)機能やAEC(Auto Exposure Control:自動露出制御)機能における線量設定の計算に用いる範囲として、目的位置72や拡大画像の視野範囲73を利用してもよい。この場合、ユーザが真に見たい領域に対して線量設定を行うことにより、より適切な線量設定を行うことが可能となる。また、セグメンテーション処理の結果を用いて調整した目的位置72や拡大画像の視野範囲73を線量設定の計算に用いる範囲として利用してもよい。
【0108】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線撮影時における自由で簡便な視野操作を提供することができる。
【0109】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0110】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
X線を発生するX線管と、
前記X線を検出するX線検出器と、
前記検出されたX線に基づいてX線画像を生成する画像生成部と、
前記X線画像を表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示する表示画像の中心位置を入力する操作を受け付ける第1操作部と、
前記表示画像の視野サイズを無段階で入力する操作を受け付ける第2操作部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第2操作部において前記視野サイズが変更された場合、現在の表示画像の中心位置を維持した状態で、前記表示画像の前記視野サイズを変更する、
X線診断装置。
(付記2)
X線診断装置は、前記X線の照射範囲を限定するX線絞りと、前記X線絞りの駆動を制御する駆動制御部と、をさらに備え、前記駆動制御部は、前記第1操作部または前記第2操作部での操作に応じて、前記照射範囲を制御してもよい。
(付記3)
前記X線絞りは、4枚の絞り羽根で構成され、前記駆動制御部は、前記4枚の絞り羽根の位置を個別に移動させることで、前記照射範囲を制御してもよい。
(付記4)
X線診断装置は、前記X線画像の上下に対応するX線絞りの開度と、前記X線画像の左右に対応するX線絞りの開度とを別々に入力する操作を受け付ける第3操作部をさらに備え、前記駆動制御部は、前記第3操作部の操作に基づいて前記X線絞りを制御してもよい。
(付記5)
前記第2操作部は、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部であり、前記ユーザによる移動操作に基づいて、前記視野サイズの入力を受け付けてもよい。
(付記6)
前記第2操作部は、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部であり、前記ユーザによる第1方向への移動操作に応じて、前記視野サイズの縮小に関する入力を受け付け、前記ユーザによる前記第1方向と逆方向への移動操作に応じて前記視野サイズの拡大に関する入力を受け付けてもよい。
(付記7)
前記第2操作部は、スライドバーであり、ユーザが前記スライドバーを移動させた量に応じて、視野サイズの入力を受け付けてもよい。
(付記8)
前記第2操作部は、視野サイズを入力する前記操作に加えて、視野サイズの入力を解除する操作を受け付けてもよい。
(付記9)
前記第2操作部は、前記第1操作部に備えられたボタンであり、前記表示制御部は、ユーザによる前記ボタンの押下内容と、前記第1操作部に対する入力操作に応じて、前記表示画像の前記視野サイズの変更量を決定してもよい。
(付記10)
表示制御部は、前記X線の照射範囲を含む全体画像と、前記全体画像の一部を拡大した拡大画像を前記表示部に表示させてもよい。
(付記11)
X線診断装置は、前記X線の照射範囲を限定するX線絞りと、前記X線絞りの駆動を制御する駆動制御部と、をさらに備え、前記駆動制御部は、前記全体画像の視野範囲に応じて前記照射範囲を制御し、前記表示制御部は、前記全体画像に対する画像処理により前記拡大画像を生成してもよい。
(付記12)
前記表示制御部は、前記全体画像の視野範囲を操作する第1操作モードと、前記拡大画像の視野範囲を操作する第2操作モードとを実行してもよい。
(付記13)
前記表示制御部は、前記第2操作部において操作が実行されたことに基づいて、前記第1操作モードから前記第2操作モードへ切り替えてもよい。
(付記14)
前記駆動制御部は、前記拡大画像の視野範囲が前記照射範囲外の領域を含む位置に変更された場合、前記拡大画像の視野範囲を含む範囲に前記照射範囲を変更してもよい。
(付記15)
前記表示制御部は、前記拡大画像の視野範囲が前記X線検出器の設置範囲外の領域を含む位置に変更された場合、前記X線検出器の設置範囲に含まれるように前記拡大画像の視野範囲を変更してもよい。
(付記16)
X線画像を表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示部に表示されるX線画像である表示画像の中心位置を入力する操作を受け付ける第1操作部と、
前記表示画像の視野サイズを無段階で入力する操作を受け付けるする第2操作部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第2操作部の操作に応じて、現在の表示画像の中心位置を維持した状態で、前記表示画像の前記視野サイズを変更する、
コンソール装置。
(付記17)
コンソール装置は、X線の照射範囲を限定するX線絞りと、前記X線絞りの駆動を制御する駆動制御部と、をさらに備え、前記駆動制御部は、前記第1操作部または前記第2操作部での操作に応じて、前記照射範囲を制御してもよい。
(付記18)
前記第2操作部は、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部であり、前記ユーザによる移動操作に基づいて、前記視野サイズの入力を受け付けてもよい。
(付記19)
前記第2操作部は、ユーザによる移動操作の受け付けを可能とする操作部であり、前記ユーザによる第1方向への移動操作に応じて、前記視野サイズの縮小に関する入力を受け付け、前記ユーザによる前記第1方向と逆方向への移動操作に応じて前記視野サイズの拡大に関する入力を受け付けてもよい。
(付記20)
前記第2操作部は、スライドバーであり、ユーザが前記スライドバーを移動させた量に応じて、視野サイズの入力を受け付けてもよい。
(付記21)
前記第2操作部は、視野サイズを入力する前記操作に加えて、視野サイズの入力を解除する操作を受け付けてもよい。
(付記22)
前記第2操作部は、前記第1操作部に備えられたボタンであり、前記表示制御部は、ユーザによる前記ボタンの押下内容と、前記第1操作部に対する入力操作に応じて、前記表示画像の前記視野サイズの変更量を決定してもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…X線診断装置
10…撮影装置
11…高電圧発生装置
12…X線発生部
13…X線検出器
14…Cアーム
142…Cアーム駆動装置
30…寝台装置
31…基台
32…寝台駆動装置
33…天板
34…支持フレーム
40…コンソール装置
41…メモリ
42…ディスプレイ
421…全体表示部
422…拡大表示部
43…入力インターフェース
431…開始ボタン
432…中心位置操作部
433…視野サイズ操作部
44…処理回路
441…システム制御機能
442…駆動制御機能
443…X線制御機能
444…画像生成機能
445…表示制御機能
70…検出器設置範囲
71…照射範囲
711…中心位置
72…目的位置
73…視野範囲
731…中心位置