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特開2024-176367定着装置およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176367
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】定着装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G03G15/20 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094855
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 浩治
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA25
2H033AA35
2H033BA04
2H033BA06
2H033BA08
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA39
2H033BE00
(57)【要約】
【課題】定着部材への接触を防ぐためのシャッター部材を閉鎖状態に維持可能な定着装置およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置は、被加熱回転体と、被加熱回転体に圧接されて定着ニップ部を形成する加圧回転体と、ハウジングと、シート進入口と、シャッター部材と、付勢部材と、を備える。シャッター部材は、ハウジングに設けられたシート進入口を開放する第1の位置と、シート進入口を閉鎖する第2の位置と、の間を摺動する。付勢部材は、シャッター部材を第2の位置に向かう方向に付勢する。シャッター部材は、第2の位置に配置されたときハウジングの被係合部に対向する係合爪が形成されたフック部を有する。第2の位置に配置されたシャッター部材にハウジングの内側に向かう外力が加えられたとき、係合爪と被係合部とが係合してシャッター部材の第1の位置への移動を規制する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱回転体と、
前記被加熱回転体に圧接されて定着ニップ部を形成する加圧回転体と、
前記被加熱回転体および前記加圧回転体を収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記定着ニップ部に搬送されるシートが通過するシート進入口と、
前記ハウジングに支持され、前記シート進入口を開放する第1の位置と、前記シート進入口を閉鎖する第2の位置と、の間を摺動するシャッター部材と、
前記シャッター部材を前記第2の位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、
を備え、前記定着ニップ部を通過する前記シートを加熱および加圧することにより前記シート上の未定着トナー像を溶融定着する定着装置において、
前記シャッター部材は、前記第2の位置に配置されたとき前記ハウジングの被係合部に対向する係合爪が形成されたフック部を有し、
前記第2の位置に配置された前記シャッター部材に前記ハウジングの内側に向かう外力が加えられたとき、前記係合爪と前記被係合部とが係合して前記シャッター部材の前記第1の位置への移動を規制することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記シャッター部材は、
前記シート進入口に重なる平板状の本体部と、
前記本体部の長手方向両端部に形成される一対の支持部と、
を有し、
一対の前記支持部には、それぞれ前記シャッター部材の摺動方向に沿って延び、前記ハウジングの係合突起に係合するガイド溝が形成されており、
前記第2の位置に配置された前記シャッター部材に前記ハウジングの内側に向かう外力が加えられたとき、前記シャッター部材が前記係合突起を支点として前記係合爪と前記被係合部とが係合する方向に揺動することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記被加熱回転体は、定着ベルトであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
シートにトナー像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された前記トナー像を前記シート上に溶融定着する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の定着装置と、
を備えた画像形成装置において、
前記画像形成装置の側面を構成し、前記定着装置に対向して配置される閉鎖状態と、前記定着装置から離間した開放状態と、に回動可能に支持される開閉カバーを備え、
前記開閉カバーには、前記閉鎖状態において前記シャッター部材に接触する規制突起が形成されており、
前記開閉カバーが前記閉鎖状態にあるとき、前記シャッター部材は前記規制突起に押圧されることにより前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1の位置に配置され、
前記開閉カバーが前記開放状態にあるとき、前記シャッター部材は前記付勢部材の付勢力によって前記第2の位置に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記シート進入口は、前記ハウジングの下面に形成されており、
前記シャッター部材は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で水平方向に摺動可能に支持されており、
前記シャッター部材の前記規制突起が接触する部分には、前記第1の位置から前記第2の位置への移動方向の下流側に向かうにつれて下向きに傾斜する傾斜面が形成されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる定着装置、およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置では、トナー像を用紙に定着させるために、定着ローラーまたは定着ベルト(被加熱回転体)と加圧ローラー(加圧回転体)とが圧接してなる定着部材を備えた定着装置が広く用いられている。この定着装置では、定着ローラーまたは定着ベルトと加圧ローラーで形成される定着ニップ部に用紙を通して、トナー像に熱と圧力を加えて用紙上にトナー像を溶融定着させる。
【0003】
被加熱回転体として定着ベルトを用いるベルト定着方式の定着装置においては、定着ベルトに一次電流が流れる。そのため、労働安全衛生規則上、ジャム処理時や定着装置のメンテナンス時に作業者が定着ベルトに触れないようにしておく必要がある。また、定着ベルトに触れると定着ベルトの破損や汚れによる画像劣化が発生するおそれもある。
【0004】
そこで、被加熱回転体を覆う開閉可能なシャッター部材を備えた構成が提案されており、例えば特許文献1には、定着ローラーおよび加圧ローラーを露出する開位置と、これらを覆う閉位置とに移動可能なカバーと、カバーを閉位置に固定するロック位置と、カバーに係合せずにカバーを移動可能にするアンロック位置とに切り換え可能なロックレバーとを備えたカバー開閉機構が開示されている。
【0005】
特許文献2には、画像形成装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、開閉部材に連動して移動し、画像形成装置の定着手段への接触を防ぐためのシャッター部材と、開閉部材およびシャッター部材の開閉状態を検知する検知部と、を備える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-64423号公報
【特許文献2】特開2015-141252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2の構成では、シャッター部材を開閉させるための部品、シャッター部材をロックまたはロック解除するための部品が多く、複雑な構成となっている。そのため、部品点数の増加による定着装置のコストアップや組立作業性の低下に繋がるという問題点があった。また、シャッター部材を故意に開けようとしたときにロック状態を維持する仕組みが不十分であった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、定着部材への接触を防ぐためのシャッター部材を故意に開けようとしたときにシャッター部材を閉鎖状態に維持可能な定着装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、被加熱回転体と、加圧回転体と、ハウジングと、シート進入口と、シャッター部材と、付勢部材と、を備え、定着ニップ部を通過するシートを加熱および加圧することによりシート上の未定着トナー像を溶融定着する定着装置である。加圧回転体は、被加熱回転体に圧接されて定着ニップ部を形成する。ハウジングは、被加熱回転体および加圧回転体を収容する。シート進入口は、ハウジングに設けられ、定着ニップ部に搬送されるシートが通過する。シャッター部材は、ハウジングに支持され、シート進入口を開放する第1の位置と、シート進入口を閉鎖する第2の位置と、の間を摺動する。付勢部材は、シャッター部材を第2の位置に向かう方向に付勢する。シャッター部材は、第2の位置に配置されたときハウジングの被係合部に対向する係合爪が形成されたフック部を有する。第2の位置に配置されたシャッター部材にハウジングの内側に向かう外力が加えられたとき、係合爪と被係合部とが係合してシャッター部材の第1の位置への移動を規制する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、第2の位置に配置されたシャッター部材にハウジングの内側に向かう外力を加えると、シャッター部材に設けられたフック部の係合爪が被係合部に係合する。従って、第2の位置に配置されたシャッター部材を故意に開けようとしたときに、第1の位置へのシャッター部材の移動を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図
図2】本実施形態の画像形成装置100における用紙搬送路19、両面搬送路20周辺の部分断面図
図3】定着装置14を転写紙Pの搬送方向の上流側から見た斜視図であって、シャッター部材33が開放位置に配置された状態を示す図
図4】定着装置14を転写紙Pの搬送方向の上流側から見た斜視図であって、シャッター部材33が閉鎖位置に配置された状態を示す図
図5】シャッター部材33の斜視図
図6】定着装置14の長手方向一端側の側面断面図
図7】側板31aの下部周辺を外側から見た部分拡大図
図8図6の状態から開閉カバー21が開放され、シャッター部材33が閉鎖位置に配置された状態を示す側面断面図
図9】シャッター部材33の支持部332の先端部付近を内側から見た拡大斜視図
図10】シャッター部材33が閉鎖位置に配置された状態を示す側面断面図
図11】閉鎖位置に配置されたシャッター部材33を手動で開放する際に、フック部332bによってロック状態が維持される仕組みを説明する図
図12】閉鎖位置に配置されたシャッター部材33のロック状態が開閉カバー21によって解除される仕組みを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。画像形成装置100(ここではカラープリンター)本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの画像を順次形成する。
【0013】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されている。さらにベルト駆動モーター(図示せず)により図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト(中間転写体)8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Pは、定着装置14においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0014】
トナー像が二次転写される転写紙Pは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12およびレジストローラー対13を介して、用紙搬送路19に沿って二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー25が配置されている。
【0015】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
【0016】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、それぞれイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0017】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの画像は、予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0018】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されている。ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対13から所定のタイミングで駆動ローラー11と、これに隣接して設けられた二次転写ローラー9との二次転写ニップ部N(図2参照)へ搬送される。そして、中間転写ベルト8上のトナー像が二次転写ニップ部Nを通過する転写紙P上に二次転写される。
【0019】
トナー像が二次転写された転写紙Pは定着装置14へと搬送される。定着装置14は、定着ベルト14a、加圧ローラー14b、および定着ベルト14aの内側に配置されるヒーター14c(いずれも図2参照)を有する。定着ベルト14aは、ヒーター(加熱装置)14cによって加熱される。加圧ローラー14bは、定着ベルト14aに圧接されて定着ニップ部を形成し、定着ベルト14aに回転駆動力を付与する。なお、ヒーター14cに代えて定着ベルト14aの外側に誘導加熱部を設けてもよい。
【0020】
定着装置14に搬送された転写紙Pは、定着ベルト14aおよび加圧ローラー14bにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部15によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路20に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対17によって排出トレイ18に排出される。
【0021】
図2は、本実施形態の画像形成装置100における用紙搬送路19、両面搬送路20周辺の部分断面図である。開閉カバー21は、画像形成装置100の側面102を構成し、画像形成装置100本体の下方に設けられたカバー支軸21aに回動可能に支持されている。開閉カバー21の内側面は両面搬送路20の一方(外側)の搬送面を構成している。
【0022】
開閉カバー21の側面には取っ手部22が設けられている。取っ手部22は、一端部が画像形成装置100本体の正面側フレームおよび背面側フレームに設けられた係合ピン(図示せず)に係合することにより開閉カバー21を閉鎖状態に保持する。開閉カバー21を開放する際は、取っ手部22を回動させて係合ピンとの係合を解除する。
【0023】
開閉カバー21の内側には搬送ユニット23が配置されている。搬送ユニット23はユニット支軸23aを中心として画像形成装置100本体に回動可能に支持されており、両面搬送路20と用紙搬送路19の搬送面の一部を構成する。両面搬送路20は、開閉カバー21の内側面と搬送ユニット23の外側面との間で画像形成装置100の側面102に沿って上下方向に延び、略C字状に湾曲して用紙搬送路19に合流する構造となっている。搬送ユニット23の内側面には、転写紙Pの搬送方向上流側(図2の下側)から順に、レジストローラー対13を構成する片側のローラー13b、二次転写ローラー9が付設されている。
【0024】
画像形成装置100に対し開閉カバー21のみを開方向に回動させて開放状態とすることにより、両面搬送路20が広範囲に露出する。また、開閉カバー21を搬送ユニット23と共に開方向に回動させることにより、搬送ユニット23が画像形成装置100本体側から離間して用紙搬送路19が広範囲に露出する。一方、開閉カバー21を搬送ユニット23と共に閉方向に回動させて閉鎖状態とすることにより、搬送ユニット23が画像形成装置100本体側に当接し、二次転写ローラー9が中間転写ベルト8を介して駆動ローラー11に押圧される。
【0025】
次に、定着装置14の構成について説明する。図3および図4は、それぞれ定着装置14を転写紙Pの搬送方向の上流側(図2の下側)から見た斜視図であって、シャッター部材33が開放位置および閉鎖位置に配置された状態を示す図である。図5は、シャッター部材33の斜視図である。図6は、定着装置14の長手方向一端側の側面断面図(図3のAA矢視断面図)である。
【0026】
定着装置14は、ハウジング30と、ハウジング30の長手方向の両端部に固定される側板31a、31bとを有する。ハウジング30内には定着ベルト14aと加圧ローラー14bが収容される。ハウジング30の下面には、用紙進入口30aが形成されている。二次転写ニップ部N(図2参照)を通過した転写紙Pは、用紙進入口30aを通過して定着ベルト14aと加圧ローラー14bとで形成される定着ニップ部に案内される。
【0027】
側板31b側には駆動入力ギア32が配置されている。駆動入力ギア32は、加圧ローラー14bの回転軸に固定されている。定着駆動モーター(図示せず)から駆動入力ギア32を介して加圧ローラー14bに回転駆動力が伝達され、加圧ローラー14bが所定の速度で回転する。これにより、加圧ローラー14bに圧接された定着ベルト14aも加圧ローラー14bに従動して回転する。
【0028】
ハウジング30にはシャッター部材33が付設されている。図5に示すように、シャッター部材33は、用紙進入口30aに重なる平板状の本体部331と、本体部331の長手方向両端部に形成される一対の支持部332とを有する。シャッター部材33は、ハウジング30の下面に摺動可能に取り付けられている。シャッター部材33は、ハウジング30の用紙進入口30aを開放する開放位置(第1の位置、図3参照)と、用紙進入口30aを閉鎖する閉鎖位置(第2の位置、図4参照)とに選択配置される。
【0029】
図6に示すように、ハウジング30の内側面と支持部332との間にはコイルバネ(付勢部材)35が配置されている。シャッター部材33は、コイルバネ35の付勢力によって開放位置から閉鎖位置に向かう方向(図6の左から右方向)に付勢されている。支持部332の側面には、シャッター部材33の摺動方向に沿って延びるガイド溝332aが形成されている。
【0030】
図7は、側板31aの下部周辺を外側から見た部分拡大図である。なお、側板31bについても同様の構成であるため説明を省略する。側板31a、31bの下端部には係合突起40が形成されている。係合突起40は側板31a、31bの一部を内向きに折り曲げて形成されており、支持部332の側面に形成されたガイド溝332a(図6参照)に係合する。
【0031】
また、側板31a、31bの内側には、支持部332の上方に対向するレール部41(図6参照)が形成されている。シャッター部材33は、ガイド溝332aと係合する係合突起40、およびレール部41によって水平姿勢に保持されながら、開放位置と閉鎖位置との間を摺動する。
【0032】
開閉カバー21の内側面には、支持部332と対向する位置に規制突起50が形成されている。開閉カバー21が閉鎖状態とされた図6の状態では、規制突起50が支持部332に当接している。これにより、シャッター部材33はコイルバネ35の付勢力に抗して開放位置に配置されている。
【0033】
図6の状態から開閉カバー21を時計回り方向に回動して開放状態とすると、図8に示すように、規制突起50が支持部332から離間する。その結果、シャッター部材33はコイルバネ35の付勢力によって開放位置から閉鎖位置に移動する。
【0034】
また、図8の状態から開閉カバー21を反時計回り方向に回動して閉鎖状態とすると、規制突起50が支持部332を開放位置に向かって押圧する。その結果、シャッター部材33はコイルバネ35を圧縮しながら閉鎖位置から開放位置に移動する。
【0035】
上記の構成によれば、開閉カバー21の開閉動作に連動して、シャッター部材33が開放位置と閉鎖位置とに選択配置される。従って、開閉カバー21を開放したときはシャッター部材33が確実に閉鎖位置に配置されるため、ジャム処理や定着装置14のメンテナンスを行う際に作業者が定着ベルト14aに触れるおそれがない。また、開閉カバー21を閉鎖したときはシャッター部材33が確実に開放位置に配置されるため、シャッター部材33を開放し忘れるおそれもない。
【0036】
次に、シャッター部材33を閉鎖位置でロックする機構について説明する。図9は、シャッター部材33の支持部332の先端部付近を内側から見た拡大斜視図である。図9に示すように、支持部332の先端部には、支持部332の内側面に沿って延びるフック部332bが形成されている。フック部332bは、上向きに突出する係合爪60を有する。また、支持部332の先端には、シャッター部材33の開放位置から閉鎖位置への移動方向(図9の左から右方向)の下流側に向かうにつれて下向きに傾斜する傾斜面332cが形成されている。
【0037】
図10は、シャッター部材33が閉鎖位置に配置された状態を示す側面断面図である。図10に示すように、コイルバネ35の付勢力によりシャッター部材33が閉鎖位置に配置されたとき、フック部332bの係合爪60(図9参照)が、レール部41の角部41aに対向する。
【0038】
ここで、コイルバネ35に隣接するシャッター部材33の基端側(図10の左端側)は、係合突起40とガイド溝332a(図11参照)との係合により上下方向の移動が規制されている。一方、シャッター部材33の先端側(図10の右端側)は自由端となっている。そのため、図10の状態では、シャッター部材33の先端側が自重によって下方向に傾斜しており、フック部332bの係合爪60とレール部41の角部41aは係合していない。
【0039】
図11は、閉鎖位置に配置されたシャッター部材33を手動で開放する際に、フック部332bによってロック状態が維持される仕組みを説明する図である。シャッター部材33の表面には、指が引っ掛かる凹凸形状は形成されていない。そのため、閉鎖位置に配置されたシャッター部材33を指で開けようとすると、図11の上方向(白矢印方向)に力を加える必要がある。
【0040】
その結果、シャッター部材33の先端側は、係合突起40を支点として上方向(黒矢印方向)に揺動する。即ち、シャッター部材33は、フック部332bの係合爪60がレール部41の角部41aに係合する方向に揺動する。以上の構成により、シャッター部材33を指で開けようとしても開かない。
【0041】
また、支持部332の先端は、ハウジング30に形成されたカバー部(図示せず)で保護されている。カバー部には、開閉カバー21の規制突起50が通過可能なスリットが形成されているが、スリットには指が入らない構成となっている。そのため、作業者が支持部332の先端を押圧してシャッター部材33を開放することもできない。
【0042】
シャッター部材33から手を離すと、コイルバネ35の付勢力によりシャッター部材33が閉鎖位置方向(図11の右方向)に押圧され、シャッター部材33の先端側が自重によって下方向に傾斜するため、フック部332bの係合爪60がレール部41の角部41aから外れる。
【0043】
図12は、閉鎖位置に配置されたシャッター部材33のロック状態が開閉カバー21によって解除される仕組みを説明する図である。シャッター部材33の支持部332の先端には傾斜面332cが形成されているため、開閉カバー21を閉じたときに規制突起50が傾斜面332cを斜め下向き(図12の矢印方向)に押圧する。これにより、シャッター部材33には、係合爪60とレール部41の角部41aとの係合が外れる方向に力が加わる。従って、仮にコイルバネ35の付勢力とシャッター部材33の自重のみでは係合爪60が角部41から外れなくても、開閉カバー21を閉じたときにシャッター部材33を確実に閉鎖位置から開放位置へ移動させることができる。
【0044】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態では、被加熱回転体として無端状の定着ベルト14aを備えたベルト加熱方式の定着装置14を例示したが、本発明は、例えば定着ローラー等の、定着ベルト14a以外の被加熱回転体を備えた定着装置にも同様に適用可能である。定着ローラーに手で触れると、定着ローラーに指紋や汚れが付着して画像に悪影響を及ぼすおそれがあるため、本発明を適用することは有効である。
【0045】
また、上記実施形態では、画像形成装置100として図1に示したようなカラープリンターを例に挙げて説明したが、本発明はカラープリンターに限らず、カラー複写機、カラー複合機、モノクロプリンター、モノクロ複写機等の、定着装置を備えた画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、定着装置を備えた画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、定着部材への接触を防ぐためのシャッター部材を簡易な構成で開閉、閉状態でのロックおよびロック解除が可能な画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0047】
Pa~Pd 画像形成部
14 定着装置
14a 定着ベルト(被加熱回転体)
14b 加圧ローラー(加圧回転体)
14c ヒーター
19 用紙搬送路
21 開閉カバー
23 搬送ユニット
30 ハウジング
30a 用紙進入口(シート進入口)
31a、31b 側板
33 シャッター部材
331 本体部
332 支持部
332a ガイド溝
332b フック部
332c 傾斜面
35 コイルバネ(付勢部材)
40 係合突起
41 レール部
41a 角部(被係合部)
50 規制突起
60 係合爪
100 画像形成装置
P 転写紙(記録媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12