(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176368
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】医用画像診断装置、医用画像診断システム、起動方法及び起動処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A61B6/03 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094857
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 和正
(72)【発明者】
【氏名】中島 成幸
(72)【発明者】
【氏名】茂木 純
(72)【発明者】
【氏名】武田 匡平
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA35
4C093FA52
4C093FA60
(57)【要約】
【課題】起動の手間を軽減しつつ、起動完了の遅延防止を図ること。
【解決手段】 実施形態に係る医用画像診断装置は、複数のユニットを有する。前記医用画像診断装置は、取得部と、推定部と、決定部とを備えている。前記取得部は、第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得する。前記推定部は、前記第1の情報に基づいて、前記エラーの解消にかかる時間を含む前記ユニットの起動にかかる時間を推定する。前記決定部は、前記起動にかかる時間と前記第2の情報とに基づいて、前記少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットを有する医用画像診断装置であって、
第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得する取得部と、
前記第1の情報に基づいて、前記エラーの解消にかかる時間を含む前記ユニットの起動にかかる時間を推定する推定部と、
前記起動にかかる時間と前記第2の情報とに基づいて、前記少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する決定部と、
を備える医用画像診断装置。
【請求項2】
前記第2の情報は、前記第2のタイミングにおける検査の開始時刻に関する情報である、請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記検査で使用されるユニットに関する第3の情報を更に取得し、
前記推定部は、前記第1の情報と、前記第3の情報とに基づいて、前記検査で使用されるユニットの起動にかかる時間を推定する、
請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記検査のうちの最先の検査で使用される第1ユニットに対して前記第3のタイミングを決定し、前記最先の検査で使用しない第2ユニットを使用する検査の開始時刻に関する前記第2の情報と、前記第2ユニットの起動にかかる時間とに基づいて、前記第2ユニットの起動を開始する第4のタイミングを更に決定する、
請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記第3のタイミングに基づいて前記第1ユニットの起動を開始させ、前記第4のタイミングに基づいて前記第2ユニットの起動を開始させる制御部、
を更に備えた請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記第1の情報は、少なくともエラー種別を含み、
前記推定部は、前記エラー種別に基づいて前記起動にかかる時間を推定する、請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記複数のユニットのうちの少なくとも1つのユニットに設けられ、前記複数のユニットのエラーに関する情報を収集する収集部、
を更に備え、
前記取得部は、前記収集された情報を前記第1の情報として取得する、請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記収集部が設けられるユニットは、前記第3のタイミングで起動が開始される、請求項7に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記取得部、前記推定部及び前記決定部は、前記複数のユニットの動作終了を契機として、動作を実行する、請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記第3のタイミングに基づいて、前記少なくとも1つのユニットの起動を開始させる制御部、を更に備えた請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記第3のタイミングに基づいて起動した前記ユニットの状態に関する表示画面をディスプレイに表示させる表示制御部を更に備える、請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
複数のユニットを有する医用画像診断装置と、前記医用画像診断装置を起動させる起動処理装置とを備えた医用画像診断システムであって、
前記起動処理装置は、
第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得する取得部と、
前記第1の情報に基づいて、前記エラーの解消にかかる時間を含む前記ユニットの起動にかかる時間を推定する推定部と、
前記起動にかかる時間と前記第2の情報とに基づいて、前記少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する決定部と、
を備える医用画像診断システム。
【請求項13】
複数のユニットを有する医用画像診断装置を起動する起動方法であって、
第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得することと、
前記第1の情報に基づいて、前記エラーの解消にかかる時間を含む前記ユニットの起動にかかる時間を推定することと、
前記起動にかかる時間と前記第2の情報とに基づいて、前記少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定することと、
を備える起動方法。
【請求項14】
複数のユニットを有する医用画像診断装置に、
第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得する機能、
前記第1の情報に基づいて、前記エラーの解消にかかる時間を含む前記ユニットの起動にかかる時間を推定する機能、
前記起動にかかる時間と前記第2の情報とに基づいて、前記少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する機能、
を実現させるための起動処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断装置、医用画像診断システム、起動方法及び起動処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置は、毎日、ユーザが、検査開始時刻などの当初の予定時刻を考慮して得た起動開始時刻に手動で起動される。例えば、X線CT(Computed Tomography)装置は、ユーザインターフェース、前処理機能、再構成機能(使用していないオプション機能を含む)、メモリ(ディスクアレイ装置)等の各ユニットで構成されている。この種のX線CT装置は、検査によっては一部のユニットを使用しないものの、全てのユニットが手動で起動される。また、X線CT装置は、起動開始後にエラーが発生すると、リトライ処理によってエラーが解消された後に起動される。
【0003】
以上のような医用画像診断装置は、特に問題ないが、本発明者の検討によれば、当初の予定時刻を考慮して起動開始時刻を得る手間や起動する手間がかかる点と、リトライ処理により、当初の予定時刻から起動完了が遅延する場合がある点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、起動の手間を軽減しつつ、起動完了の遅延防止を図ることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像診断装置は、複数のユニットを有する。前記医用画像診断装置は、取得部と、推定部と、決定部とを備えている。前記取得部は、第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得する。前記推定部は、前記第1の情報に基づいて、前記エラーの解消にかかる時間を含む前記ユニットの起動にかかる時間を推定する。前記決定部は、前記起動にかかる時間と前記第2の情報とに基づいて、前記少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置及びその周辺構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1の起動処理回路の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3のステップST10の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図3のステップST30の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態における動作を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の効果を説明するための比較例の動作を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図8のステップST10Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2の実施形態における動作を説明するための表示画面を示す模式図である。
【
図11】
図11は、
図8のステップST10Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、
図8のステップST30Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2の実施形態における動作を説明するための模式図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係る医用画像診断システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。また、以下の説明中、医用画像診断装置としては、複数のユニットを有するX線CT装置を例に挙げて述べるが、これに限定されない。例えば、医用画像診断装置としては、X線CT装置に代えて、磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)、X線診断装置、PET装置、SPECT装置、超音波診断装置等の単一モダリティ装置が適宜、使用可能となっている。PETは、Positron-Emission Tomography の略語である。SPECTは、Single Photon Emission Computed Tomography の略語である。あるいは、医用画像診断装置としては、PET/CT装置、SPECT/CT装置、PET/MRI装置、SPECT/MRI装置等の複合モダリティ装置が適宜、使用可能となっている。なお、医用画像診断装置としては、単一モダリティ装置及び複合モダリティ装置のいずれにしても、複数のユニットを有するモダリティ装置が用いられる。複数のユニットの各々は、医用画像診断装置の構成要素である各装置や機能ブロックに相当し、後述する起動処理回路により起動が開始される。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置及びその周辺構成の一例を示す模式図である。X線CT装置1は、ネットワークを介してRIS200及びHIS201に接続されている。ここで、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40と、電源制御装置50とを備えている。
【0010】
なお、本実施形態では、寝台装置30の天板33の長手方向(長軸方向)をZ軸方向と定義する。非チルト状態での回転フレーム13の回転軸は、Z軸方向と略一致する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向と定義する。そして、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0011】
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS18とを有する。
【0012】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。例えば、X線管11には、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0013】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0014】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0015】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0016】
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。
【0017】
なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0018】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。
【0019】
回転フレーム13は架台装置の非回転部分(例えば固定フレーム。
図1での図示は省略している)により回転可能に支持される。回転機構は例えば回転駆動力を生ずるモータと、当該回転駆動力を回転フレーム13に伝達して回転させるベアリングとを含む。モータは例えば当該非回転部分に設けられ、ベアリングは回転フレーム13及び当該モータと物理的に接続され、モータの回転力に応じて回転フレームが回転する。
【0020】
回転フレーム13と非回転部分にはそれぞれ、非接触方式または接触方式の通信回路が設けられ、これにより回転フレーム13に支持されるユニットと当該非回転部分あるいは架台装置10の外部装置との通信が行われる。例えば非接触の通信方式として光通信を採用する場合、DAS18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、さらに送信器により当該非回転部分からコンソール装置40へと転送される。なお通信方式としては、この他に容量結合式や電波方式などの非接触型のデータ伝送の他、スリップリングと電極ブラシを使った接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
【0021】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、後述する回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0022】
DAS(Data Acquisition System)18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(アナログ/デジタルコンバータ:以下、ADCと呼ぶ)とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。
【0023】
制御装置15は、CPU等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた、後述する入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。また、制御装置15は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit :ASIC)あるいはプログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device :SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device :CPLD)およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array :FPGA))などにより実現されてもよい。
【0024】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置である。寝台装置30は、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。天板33は、支持フレーム34に対して、天板33の長軸方向に沿って移動可能である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0025】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44と、通信インターフェース45と、起動処理回路46とを有する。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0026】
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路等の記憶装置である。メモリ41は、投影データやX線CT画像を記憶するディスクアレイ装置を含んでもよい。また、メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体であってもよい。なお、メモリ41は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、コンソール装置40内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0027】
メモリ41は、処理回路44及び起動処理回路46によって実行されるプログラム、処理回路44及び起動処理回路46の処理に用いられる各種データ等を記憶する。プログラムとしては、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータにインストールされ、処理回路44及び起動処理回路46の各機能を当該コンピュータに実現させるプログラムが用いられる。なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。メモリ41は、記憶部の一例である。
【0028】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や表示画面、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0029】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44又は起動処理回路46に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際のスキャン条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、処理回路44又は起動処理回路46の各種処理等を行うためのマウスやキーボード、トラックボール、スイッチボタン、ジョイスティック、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース43は、処理回路44及び起動処理回路46に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路44及び起動処理回路46へと出力する。なお、本明細書において、入力インターフェースは、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよく、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。入力インターフェース43は、入力部の一例である。
【0030】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、メモリ41内のプログラムを呼び出し実行することにより、システム制御機能441、前処理機能442、再構成機能443、再構成系第1オプション機能444、再構成系第2オプション機能445及び表示制御機能446を実行するプロセッサである。なお、再構成系第1オプション機能444及び再構成系第2オプション機能445のうちの少なくとも一方は省略してもよい。
【0031】
また、
図1においては、単一の処理回路44によって、システム制御機能441、前処理機能442、再構成機能443、再構成系第1オプション機能444、再構成系第2オプション機能445及び表示制御機能446が実現されるものとして説明したがこれに限らない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。また、システム制御機能441、前処理機能442、再構成機能443、再構成系第1オプション機能444、再構成系第2オプション機能445及び表示制御機能446は、それぞれシステム制御回路、前処理回路、再構成回路、再構成系第1オプション回路、再構成系第2オプション回路、及び表示制御回路と呼んでもよく、個別のハードウェア回路として実装してもよい。処理回路44が実行する各機能についての上記説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0032】
また、コンソール装置40は単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明するが、複数の機能を別々の装置が実行することにしても構わない。例えば、処理回路44の機能は、異なる装置に分散して搭載されても構わない。
【0033】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。例えば、システム制御機能441は、スキャン条件に従って、架台装置10における各種構成要素を制御する。また、システム制御機能441は、予めHMS4411が設けられていてもよい。HMSは、Hardware monitoring system の略語である。
【0034】
HMS4411は、X線CT装置1を構成する複数のユニットのうちの少なくとも1つのユニットに設けられ、複数のユニットのエラーに関する情報を収集し、当該収集した情報をメモリ41に保存する。エラーに関する情報は、リトライ回数を含んでもよく、少なくともエラー種別を含んでもよい。なお、複数のユニットは、X線CT装置1の構成要素であり、起動処理回路46により起動が開始される装置又は機能ブロックである。例えば、複数のユニットとしては、起動処理回路46に起動開始される装置としての、架台装置10、寝台装置30、コンソール装置40が使用可能となっている。また例えば、複数のユニットとしては、起動処理回路46に起動開始される機能ブロックとしての、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43、処理回路44、通信インターフェース45等が適宜、使用可能となっている。なお、複数のユニットとしては、処理回路44の全体に限らず、処理回路44内のシステム制御機能441、前処理機能442、再構成機能443、再構成系第1オプション機能444、再構成系第2オプション機能445、表示制御機能446の各々を用いてもよい。あるいは、複数のユニットとしては、処理回路44の各機能のうち、再構成系第1オプション機能444及び再構成系第2オプション機能445を1つのオプション機能ユニットとし、それ以外の各機能を1つの標準機能ユニットとしてもよい。HMS4411が設けられるユニットは、後述する第3のタイミングで起動が開始される。HMS4411は、収集部の一例である。
【0035】
前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施した投影データを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)及び前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0036】
再構成機能443は、投影データに対してフィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。また、再構成機能443及び処理回路44は、第3のタイミングで起動が開始される少なくとも1つのユニットの一例である。また、再構成機能443及び処理回路44は、検査のうちの最先の検査で使用される第1ユニットの一例である。CT画像データは、例えば、ボリュームデータである。CT画像データは、医用画像データの一例である。
【0037】
再構成機能443は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、CT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。なお、3次元画像データの生成は、再構成機能443とは別体の画像処理機能が行なっても構わない。
【0038】
再構成系第1オプション機能444は、投影データに対して再構成機能443及び再構成系第2オプション機能445とは異なる再構成法を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。例えば、再構成系第1オプション機能444に用いられる再構成法は、再構成機能443に用いられる再構成法に比べ、高精細なCT画像データを得られる一方、電力消費が大きい手法である。係る手法としては、例えば、ディープラーニングの技術を応用した再構成法、及びモデルベースの技術を応用した再構成法などが挙げられる。なお、係る手法のうちの一方を再構成系第1オプション機能444が用いた場合、係る手法のうちの他方を再構成系第2オプション機能445が用いればよい。
【0039】
再構成系第2オプション機能445は、投影データに対して再構成機能443及び再構成系第1オプション機能444とは異なる再構成法を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。例えば、再構成系第2オプション機能445に用いられる再構成法は、再構成機能443に用いられる再構成法に比べ、高精細なCT画像データを得られる一方、電力消費が大きい手法である。係る手法については、前述した通りである。
【0040】
表示制御機能446は、システム制御機能441からの信号を読み込んで、メモリ41から所望のCT画像データを取得してディスプレイ42にCT画像を表示する。例えば、処理回路44は、CT画像データに基づいて生成された断層像データや3次元画像データを、CT画像として、ディスプレイ42に表示させる。CT画像は、医用画像の一例である。また、表示制御機能446は、第3のタイミングに基づいて起動したユニットの状態に関する表示画面をディスプレイ42に表示させる。ユニットの状態は、例えば、ユニットのオン/オフ状態でもよい。表示制御機能446及び処理回路44は、表示制御部の一例である。
【0041】
通信インターフェース45は、コンソール装置40とネットワークとを接続する。ネットワークには、RIS200及びHIS201が接続される。RISは、Radiology Information System(放射線部門情報管理システム)の略語である。HISは、Hospital Information System(病院情報システム)の略語である。
【0042】
RIS200は、放射線部門の業務を効率的に進めるコンピュータシステムである。具体的には、RIS200は、放射線部門に対する検査オーダの参照、検査実施情報の記録、会計情報の記録および伝送、フィルムなどの消耗品の在庫管理、各種統計処理を行うコンピュータシステムである。放射線技師などによりコンピュータ断層撮影の検査予約数が、X線CT装置1を使用する検査の予約表に基づいて、RIS200に入力される。HIS201は、病院内の業務を効率的に行うためのコンピュータシステム全体を指し、医事会計システム、検査オーダシステム、薬剤システム、給食システム、病棟管理システムなどから構成される。HIS201は、医師の患者に対する診察に基づいて、X線コンピュータ断層撮影の指示箋を発行する。発行されたX線コンピュータ断層撮影の指示箋に基づいて、X線コンピュータ断層撮影が実施される。RIS200およびHIS201は、X線コンピュータ断層撮影の開始時刻データおよび終了時刻データと、検査予約数などとを含むX線コンピュータ断層撮影の検査スケジュールデータを記憶する。また、検査スケジュールデータは、医師と患者との問診によりHIS201に入力されたデータ、X線コンピュータ断層撮影の検査の予約表に基づいて放射線技師などによりRIS200に入力された検査予約数のデータなどを有する。以下の説明のため、検査スケジュールデータに含まれるX線コンピュータ断層撮影の数は、複数あるものとする。すなわち、検査予約数は複数あるものとする。なお、本実施形態は、検査スケジュールデータに含まれるX線コンピュータ断層撮影の数が一つの場合であっても、適用可能である。
【0043】
起動処理回路46は、CPU及びGPU等のプロセッサを有する。起動処理回路46は、メモリ41内の起動処理プログラムを呼び出し実行することにより、X線CT装置1が有する複数のユニットの起動を開始させる。起動処理回路46は、メモリ41内の起動処理プログラムの実行により、
図2に示す如き、取得機能461、推定機能462、決定機能463及び制御機能464といった各機能を実現する。また、起動処理回路46は、起動処理プログラムに従い、複数のユニットを有するX線CT装置1を起動する起動方法を実行する。例えば、起動処理回路46は、第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得することと、第1の情報に基づいて、エラーの解消にかかる時間を含むユニットの起動にかかる時間を推定することと、当該起動にかかる時間と第2の情報とに基づいて、少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定することとを備えた起動方法を実行する。この起動処理プログラムは、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(non-transitory computer-readable storage medium)からX線CT装置1にインストールされ、当該X線CT装置1のプロセッサに実行されることにより、当該プロセッサにX線CT装置1の機能を実現させる。このような起動処理プログラムは、例えば、複数のユニットを有するX線CT装置1に、第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得する機能、第1の情報に基づいて、エラーの解消にかかる時間を含むユニットの起動にかかる時間を推定する機能、起動にかかる時間と第2の情報とに基づいて、少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する機能、を実現させるためのプログラムである。
【0044】
取得機能461は、第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得する。第1のタイミングは、複数のユニットが動作を終了した時点としてもよい。すなわち、取得機能461、推定機能462及び決定機能463は、複数のユニットの動作終了を契機として、動作を実行してもよい。第1の情報は、リトライ回数を含んでもよい。また、第1の情報は、少なくともエラー種別を含んでもよい。取得機能461は、HMS4411により収集された情報を第1の情報として取得してもよい。第2の情報は、第2のタイミングにおける検査の開始時刻に関する情報であってもよい。取得機能461及び起動処理回路46は、取得部の一例である。
【0045】
推定機能462は、第1の情報に基づいて、エラーの解消にかかる時間を含むユニットの起動にかかる時間を推定する。推定機能は、リトライ回数に基づいて当該起動にかかる時間を推定してもよい。また、推定機能は、エラー種別に基づいて当該起動にかかる時間を推定してもよい。推定機能462及び起動処理回路46は、推定部の一例である。
【0046】
決定機能463は、起動にかかる時間と第2の情報とに基づいて、少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する。なお、第1乃至第3のタイミングは、例えば、第1のタイミング(前日夕方のユニットの動作終了時刻)、第3のタイミング(当日朝の起動開始時刻)、第2のタイミング(当日朝の検査の開始時刻)の順に発生する。決定機能463及び起動処理回路46は、決定部の一例である。
【0047】
制御機能464は、第3のタイミングに基づいて、少なくとも1つのユニットの起動を開始させる。
【0048】
電源制御装置50は、図示しない商用電源に接続され、起動処理回路46による動作モードの切替制御に基づいて、架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40に電力を供給する。動作モードとしては、例えば、起動モード、稼働モード、システム終了モードが適宜、使用可能となっている。稼働モードでは、電源制御装置50は、架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40に電力を供給する。システム終了モードでは、電源制御装置50は、コンソール装置40の起動処理回路46に電力を供給し、起動処理回路46以外のコンソール装置40の各部、架台装置10及び寝台装置30への電力の供給を停止する。起動モードでは、電源制御装置50は、架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40への電力の供給を開始する。
【0049】
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について
図3乃至
図5のフローチャート及び
図6の模式図を用いて説明する。以下の説明では、起動処理回路46における取得機能461、推定機能462、決定機能463及び制御機能464といった各機能の動作については特段の区別をせず、起動処理回路46の動作として述べる。また、第1のタイミングを前日夕方のユニットの動作終了時刻とし、第3のタイミングを当日朝の起動開始時刻とし、第2のタイミングを当日朝の検査の開始時刻とした場合を例に挙げて述べる。また、以下の説明では、検査前日の夕方の終了処理と、検査当日の朝の起動処理とが関連することから、動作の概要を述べた後、動作の詳細について述べる。このことは、以下の各実施形態でも同様である。
【0050】
(動作の概要)
ある日のX線CT装置1においては、
図3に示すように、朝、最先の検査開始前に起動処理を実行する(ステップST10)。朝の起動処理において、起動処理回路46は、前日にエラー解消時間を考慮して決定した起動開始時刻により、検査に用いる複数のユニットの起動を開始する。第1の実施形態中、複数のユニットは、X線CT装置1の全ユニット(架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40)である。全ユニットは、コンソール装置40内の再構成機能443、再構成系第1オプション機能444及び再構成系第2オプション機能445を含んでいる。起動完了後、ステップST10が終了する。
【0051】
ステップST10の後、X線CT装置1は、検査スケジュールに従い、一連の検査を行うように複数のユニットが稼働する。複数のユニットの稼働中、X線CT装置1の処理回路44は、HMS4411により、各々のユニットのエラーに関する情報を収集してメモリ41に保存する。
【0052】
また夕方には、X線CT装置1は、最後の検査終了後に終了処理を実行する(ステップST30)。夕方の終了処理において、起動処理回路46は、複数のユニットの動作を終了させる。しかる後、起動処理回路46は、少なくとも1つのユニットのエラー解消時間に基づいて、翌日の起動開始時刻を決定してメモリ41に保存する。起動開始時刻の保存後、ステップST30が終了する。
【0053】
翌日のX線CT装置1は、前述同様に、ステップST10及びST30を実行する。以下同様に、医療機関の休業日を除き、毎日、X線CT装置1は、前述同様に、ステップST10及びST30を実行する。
【0054】
(動作の詳細)
ステップST10の起動処理は、
図4に示すように、ステップST11~ST17を含んでいる。
【0055】
ステップST11において、起動処理回路46は、前日に決定した起動開始時刻に基づいて、現在時刻の判定を開始する。
【0056】
ステップST11の後、ステップST12において、起動処理回路46は、現在時刻が起動開始時刻に到達したか否かを判定する。否の場合には、起動処理回路46はステップST12を繰り返し実行する。一方、起動開始時刻に到達した場合には、起動処理回路46は、ステップST13に移行する。
【0057】
ステップST13において、起動処理回路46は、検査に用いる複数のユニットの動作モードをシステム終了モードから起動モードに切り替えるように、切替制御を行う。電源制御装置50は、切替制御に従い、架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40への電力の供給を開始する。これにより、検査に用いる複数のユニットの起動が開始される。
【0058】
ステップST14において、起動処理回路46は、ステップST13で開始した起動が完了したか否かを判定し、否の場合にはステップST15に移行する。
【0059】
ステップST15において、起動処理回路46は、リトライ回数を増加させるように更新する。
【0060】
ステップST15の後、ステップST16において、起動処理回路46は、リトライ回数が閾値を超えたか否かを判定する。否の場合には、起動処理回路46はステップST13に戻り、複数のユニットを起動するようにリトライを行う。一方、リトライ回数が閾値を超えた場合には、起動処理回路46は、ステップST17に移行する。
【0061】
ステップST17において、起動処理回路46は、エラーを出力し、ステップST11~ST17を含むステップST10を終了する。
【0062】
一方、ステップST14の判定の結果、起動が完了した場合には、起動処理回路46は、ステップST10を終了する。しかる後、起動の完了に伴い、起動処理回路46は、処理回路44のシステム制御機能441を介して、検査に用いる複数のユニットを起動モードから稼働モードに切り替える。
【0063】
次に、ステップST30の終了処理は、
図5に示すように、ステップST31~ST35を含んでいる。
【0064】
ステップST31において、起動処理回路46は、検査に用いる複数のユニットの動作モードを稼働モードからシステム終了モードに切り替えるように、切替制御を行う。これにより、X線CT装置1は、システム終了モードに移行し、複数のユニットのシステム終了を行う。また、電源制御装置50は、切替制御に従い、架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40への電力の供給を停止する。但し、起動処理回路46への電力供給は継続される。
【0065】
ステップST31の後、ステップST32において、起動処理回路46は、メモリ41から起動関連情報を取得する。起動関連情報は、過去の起動に関連する情報であり、例えば、通常の起動時間と、リトライ回数とを含んでいる。通常の起動時間は、エラーがない時に起動に要する時間である。なお、通常の起動時間は、X線管11のウォームアップなど検査に必要な準備を含んでもよい。リトライ回数は、ユニットの動作終了時刻(第1のタイミング)における少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報の一例である。
【0066】
ステップST32の後、ステップST33において、起動処理回路46は、メモリ41から、翌日の検査開始時刻を含む検査スケジュールを取得する。検査スケジュールは、例えば、検査開始時刻、検査終了時刻、検査名、検査装置名、再構成系オプション名(使用する場合)を含んでいる。検査開始時刻は、第2のタイミングに関する第2の情報の一例である。なお、ステップST33は、ステップST32の前に実行してもよく、次のステップST34の後に実行してもよい。
【0067】
ステップST33の後、ステップST34において、起動処理回路46は、起動関連情報に基づいて、起動所要時間を推定する。起動所要時間をTとし、通常の起動時間をToとし、エラー解消時間をTeとした場合、起動所要時間Tは、式(1)に示すように算出される。
【0068】
T=To+Te ・・・(1)
なお、エラー解消時間Teは、1回当たりのリトライ時間と、リトライ回数との乗算結果として得られる。エラー解消時間Teは、エラーの解消にかかる時間の一例である。起動所要時間Tは、ユニットの起動にかかる時間の一例である。
【0069】
ステップST34の後、ステップST35において、起動処理回路46は、検査スケジュール及び起動所要時間に基づき、起動開始時刻を決定する。起動開始時刻をtとし、検査スケジュール内の最先の検査開始時刻をtsとしたとき、起動開始時刻tは、式(2)に示すように算出される。なお、起動開始時刻tは、第3のタイミングの一例である。
【0070】
t=ts-T ・・・(2)
しかる後、起動処理回路46は、起動開始時刻をメモリ41に保存し、ステップST31~ST35を含むステップST30を終了する。
【0071】
以上により、X線CT装置1は、
図6に模式的に示すように、最先の検査開始時刻「8:00」に間に合うように、通常の起動時間(30分)にリトライにかかるエラー解消時間(+α分)を見越して、前倒しの起動開始時刻「7:xx」に起動が開始される。具体的にはシステム不調の内容(エラー種別)にもよるが、例えば、エラー解消時間が20分の場合、起動開始時刻は「7:10」となる。X線CT装置1は、起動処理回路46による起動処理の後、起動処理回路46による終了処理まで、標準機能及びオプション機能の各々のユニットで電力が消費される。従って、本実施形態のX線CT装置1は、起動処理回路46により、起動の手間を軽減することができる。また、本実施形態のX線CT装置1は、エラー解消時間を見越した起動開始時刻に起動を開始する構成により、仮にエラー発生に伴うエラー解消時間を要した場合でも、最先の検査開始時刻までの起動完了に対する遅延防止を図ることができる。
【0072】
一方、比較例のX線CT装置は、
図7に模式的に示すように、最先の検査開始時刻「8:00」に間に合うように、通常の起動時間(30分)を見越して、起動開始時刻「7:30」に起動が開始される。しかしながら、比較例のX線CT装置は、リトライにかかるエラー解消時間(+α分)だけ遅延し、検査開始時刻が「8:xx」となってしまう。なお、比較例のX線CT装置は、本実施形態のX線CT装置1から起動処理回路46を省略した構成である。また、比較例のX線CT装置は、ユーザ手動による起動処理の後、ユーザ手動による終了処理まで、標準機能及びオプション機能の各々のユニットで電力が消費される。従って、比較例のX線CT装置1は、ユーザが、通常の起動時間のみを見越した起動開始時刻に起動を開始することにより、起動の手間がかかる上、エラー解消時間が発生した場合、起動完了が遅延して検査開始時刻までに起動が完了しない状況となってしまう。
【0073】
上述したように第1の実施形態によれば、複数のユニットを有するX線CT装置1において、ユーザによる起動の手間を軽減するための起動処理回路46を備えている。起動処理回路46は、取得機能461により、第1のタイミングにおける少なくとも1つのユニットのエラーに関する第1の情報と、第1のタイミングより後の第2のタイミングに関する第2の情報とを取得する。起動処理回路46は、推定機能462により、第1の情報に基づいて、エラーの解消にかかる時間を含むユニットの起動にかかる時間を推定する。起動処理回路46は、決定機能463により、起動にかかる時間と第2の情報とに基づいて、少なくとも1つのユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する。このように、起動処理回路46が、エラーの解消にかかる時間を含むユニットの起動にかかる時間を推定し、ユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定する構成により、起動の手間を軽減しつつ、起動完了の遅延防止を図ることができる。例えば、当初の予定時刻を考慮して起動開始時刻を得る手間を軽減できると共に、当初の予定時刻から起動完了が遅延しないように、起動開始時刻を得ることができる。従って、必要となる予定時刻までに、X線CT装置が起動しているため、直ぐに検査を開始することができる。
【0074】
また、第1の実施形態によれば、第2の情報は、第2のタイミングにおける検査の開始時刻に関する情報であってもよい。この場合、前述した効果に加え、検査の開始時刻までの起動完了を図ることができる。従って、必要となる検査開始時刻までに、X線CT装置が起動しているため、直ぐに検査を開始することができる。
【0075】
また、第1の実施形態によれば、第1の情報は、少なくともエラー種別を含んでもよい。また、起動処理回路46は、推定機能462により、当該エラー種別に基づいて、起動にかかる時間を推定してもよい。この場合、前述した効果に加え、例えば、エラー種別毎にエラーの解消にかかる時間を推定し、この推定結果から起動にかかる時間を推定するので、エラー種別毎の精度で、ユニットの起動を開始する第3のタイミングを決定することができる。また、エラー種別毎にエラー解消時間を推定する構成により、第1の情報において、リセット回数を省略することができる。
【0076】
また、第1の実施形態によれば、HMS4411は、複数のユニットのうちの少なくとも1つのユニットに設けられ、複数のユニットのエラーに関する情報を収集してもよい。起動処理回路46は、取得機能461により、当該収集された情報を第1の情報として取得してもよい。この場合、前述した効果に加え、起動されるユニット側でエラーを収集する構成により、起動処理回路46側での第1の情報を取得する処理の負荷を軽減することができる。
【0077】
また、第1の実施形態によれば、HMS4411が設けられるユニットは、第3のタイミングで起動が開始されてもよい。この場合、前述した効果に加え、HMS4411を含むユニットを第3のタイミングで起動する構成により、第3のタイミング以降に生じたエラーに関する情報を収集するので、エラーに関する情報の収集漏れを防止できると共に、エラーの解消にかかる時間の推定誤差の低減を図ることができる。
【0078】
また、第1の実施形態によれば、起動処理回路46の取得機能461、推定機能462及び決定機能463は、複数のユニットの動作終了を契機として、動作を実行してもよい。この場合、前述した効果に加え、複数のユニットの動作終了までに発生したエラーに関する情報を取得するので、エラーに関する情報の取得漏れを防止できると共に、エラーの解消にかかる時間の推定誤差の低減を図ることができる。
【0079】
また、第1の実施形態によれば、起動処理回路46は、制御機能464により、第3のタイミングに基づいて、少なくとも1つのユニットの起動を開始させてもよい。この場合、前述した効果に加え、ユーザの手動による起動の手間を解消することができる。
【0080】
なお、上記の処理は一例であり、種々の変形が可能である。
【0081】
例えば、第1の実施形態では、起動処理回路46は、起動関連情報を取得した後に検査スケジュールを取得したが、これに限定されない。例えば、起動処理回路46は、検査スケジュールを取得した後に起動関連情報を取得してもよい。このように変形しても、第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0082】
また例えば、第1の実施形態では、起動処理回路46は、検査スケジュールを取得した後に起動所要時間を推定したが、これに限定されない。例えば、起動処理回路46は、起動所要時間を推定した後に検査スケジュールを取得してもよい。このように変形しても、第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0083】
また、第1の実施形態では、起動関連情報として、通常の起動時間と、リトライ回数とを含む情報を用いたが、これに限定されない。例えば、起動関連情報は、通常の起動時間と、リトライ回数とに加え、パフォーマンスメンテナンス情報を更に含んでもよい。パフォーマンスメンテナンス情報は、例えば、ユニット毎の不調フラグと、ユニット毎の不調時の起動遅延時間を含んでいる。この場合、リトライ回数に基づく遅延時間の他に、ユニット不調時の起動遅延時間を考慮してエラー解消時間を推定することができる。
【0084】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るX線CT装置について説明する。
【0085】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、複数のユニットのうち、最先の検査で使用するユニットのみを先に起動し、残りのユニットを後で起動する形態である。
【0086】
これに伴い、起動処理回路46の取得機能461は、前述した機能に加え、検査で使用されるユニットに関する第3の情報を更に取得する。第3の情報は、例えば、通常の起動時間(エラーがない場合に起動に要する時間)である。
【0087】
推定機能462は、前述した機能に加え、第1の情報と、第3の情報とに基づいて、検査で使用されるユニットの起動にかかる時間を推定する。例えば、推定機能462は、最先の検査で使用するユニットについて、第1の情報としてのリトライ回数と、第3の情報としての通常の起動時間とに基づいて、式(1)に示したように、起動所要時間を推定する。
【0088】
決定機能463は、検査のうちの最先の検査で使用される第1ユニットに対して第3のタイミングを決定し、最先の検査で使用しない第2ユニットを使用する検査の開始時刻に関する第2の情報と、第2ユニットの起動にかかる時間とに基づいて、第2ユニットの起動を開始する第4のタイミングを更に決定する。なお、第1ユニットは、標準機能に関するユニットであり、例えば、架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40(但し、第2ユニットを除く)であって、特に、再構成機能443及び処理回路44である。第2ユニットは、オプション機能に関するユニットであり、例えば、再構成系第1オプション機能444、再構成系第2オプション機能445及び処理回路44である。
【0089】
制御機能464は、第3のタイミングに基づいて第1ユニットの起動を開始させ、第4のタイミングに基づいて第2ユニットの起動を開始させる。
【0090】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0091】
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について
図8乃至
図13を用いて説明する。
【0092】
(動作の概要)
ある日のX線CT装置1においては、
図8に示すように、朝、最先の検査開始前に起動処理を実行する(ステップST10A)。朝の起動処理において、起動処理回路46は、前日にエラー解消時間を考慮して決定した起動開始時刻により、最先の検査に用いる第1ユニットの起動を開始する。なお、第1ユニットは、標準機能に関するユニットであり、X線CT装置1の全ユニットからオプション機能に関する第2ユニットを除いたユニットである。起動完了後、ステップST10Aが終了する。
【0093】
ステップST10Aの後、X線CT装置1は、検査スケジュールに従い、一連の検査を行うように第1ユニットが稼働する。第1ユニットの稼働中、X線CT装置1の処理回路44は、HMS4411により、各々の第1ユニットのエラーに関する情報を収集してメモリ41に保存する。
【0094】
また、第1ユニットの稼働中、X線CT装置1においては、オプション機能に関する第2ユニットを用いる検査の開始前に、第2ユニットの起動処理を実行する(ステップST10B)。第2ユニットは、コンソール装置40内の再構成系第1オプション機能444及び再構成系第2オプション機能445に関するユニットである。起動完了後、ステップST10Bが終了する。
【0095】
ステップST10Bの後、X線CT装置1は、検査スケジュールに従い、一連の検査を行うように第1ユニット及び第2ユニットを含む複数のユニットが稼働する。複数のユニットの稼働中、X線CT装置1の処理回路44は、HMS4411により、複数のユニットの各々のエラーに関する情報を収集してメモリ41に保存する。なお、複数のユニットの稼働中、X線CT装置1は、第2ユニットを用いる最後の検査終了後に、ユーザの操作に応じて、第2ユニットを終了させる。
【0096】
また夕方には、X線CT装置1は、最後の検査終了後に終了処理を実行する(ステップST30A)。夕方の終了処理において、起動処理回路46は、第1ユニットの動作を終了させる。しかる後、起動処理回路46は、少なくとも1つのユニットのエラー解消時間に基づいて、翌日の起動開始時刻を決定してメモリ41に保存する。起動開始時刻の保存後、ステップST30Aが終了する。
【0097】
翌日のX線CT装置1は、前述同様に、ステップST10A、ST10B及びST30Aを実行する。以下同様に、医療機関の休業日を除き、毎日、X線CT装置1は、前述同様に、ステップST10A、ST10B及びST30Aを実行する。
【0098】
(動作の詳細)
ステップST10Aの起動処理は、
図9に示すように、ステップST11A、ST12~ST17を含んでいる。このステップST10Aは、複数のユニット(全ユニット)の起動を開始するステップST10に比べ、最先の検査で使用する第1ユニットのみを起動する点で異なっている。
【0099】
ステップST11Aにおいて、起動処理回路46は、最先の検査で使用する標準機能の第1ユニットのみに対し、前日に決定した起動開始時刻に基づいて、現在時刻の判定を開始する。
【0100】
ステップST11Aの後、前述同様に、ステップST12が実行される。
【0101】
ステップST12の後、ステップST13において、起動処理回路46は、最先の検査に用いる第1ユニットのみの動作モードをシステム終了モードから起動モードに切り替えるように、切替制御を行う。電源制御装置50は、切替制御に従い、架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40への電力の供給を開始する。但し、再構成系第1オプション機能444及び再構成系第2オプション機能445への電力供給の停止は継続される。これにより、最先の検査に用いる第1ユニットのみの起動が開始される。
【0102】
ステップST13の後、前述同様に、ステップST14~ST17が実行されると、ステップST10Aを終了する。
【0103】
一方、ステップST14の判定の結果、起動が完了した場合には、起動処理回路46は、ステップST10Aを終了する。しかる後、起動の完了に伴い、起動処理回路46は、処理回路44のシステム制御機能441を介して、最先の検査に用いる第1ユニットのみを起動モードから稼働モードに切り替える。
【0104】
これにより、X線CT装置1の処理回路44は、
図10に示すように、起動開始時刻に基づいて起動したユニットの状態に関する表示画面g1をディスプレイ42に表示させる。
図10の例では、表示画面g1は、ユニットの状態に関するウインドウ表示画面g2を含んでいる。ウインドウ表示画面g2は、ハッチング及び実線で示すように、第1ユニットのスキャン機能のオン状態を示す領域U1と、第1ユニットの再構成機能443のオフ状態を示す領域U2とを含んでいる。また、ウインドウ表示画面g2は、破線で示すように、第2ユニットの再構成系第1オプション機能444のオフ状態を示す領域U3と、第2ユニットの再構成系第2オプション機能445のオフ状態を示す領域U4とを含んでいる。
【0105】
次に、ステップST10Bの起動処理(オプション機能)について説明する。
【0106】
ステップST10Bの起動処理は、
図11に示すように、ステップST11B、ST12~ST17を含んでいる。このステップST10Bは、第1ユニットのみの起動を開始するステップST10Aに比べ、オプション機能を用いる検査で使用する第2ユニットのみを起動する点で異なっている。
【0107】
ステップST11Bにおいて、起動処理回路46は、検査で使用するオプション機能の第2ユニットのみに対し、前日に決定した起動開始時刻に基づいて、現在時刻の判定を開始する。
【0108】
ステップST11Bの後、前述同様に、ステップST12が実行される。
【0109】
ステップST12の後、ステップST13において、起動処理回路46は、検査に用いる第2ユニットのみの動作モードをシステム終了モードから起動モードに切り替えるように、切替制御を行う。電源制御装置50は、切替制御に従い、再構成系第1オプション機能444及び再構成系第2オプション機能445への電力の供給を開始する。これにより、検査に用いる第2ユニットのみの起動が開始される。
【0110】
ステップST13の後、前述同様に、ステップST14~ST17が実行されると、ステップST10Bを終了する。
【0111】
一方、ステップST14の判定の結果、起動が完了した場合には、起動処理回路46は、ステップST10Bを終了する。しかる後、起動の完了に伴い、起動処理回路46は、処理回路44のシステム制御機能441を介して、検査に用いる第2ユニットのみを起動モードから稼働モードに切り替える。
【0112】
次に、ステップST30Aの終了処理は、
図12に示すように、ステップST31~ST34、ST35A、ST35Bを含んでいる。なお、ステップST30Aの前に、第2ユニットの動作モードはシステム終了モードに切り替え済みとする。
【0113】
ステップST31において、起動処理回路46は、検査に用いた第1ユニットの動作モードを稼働モードからシステム終了モードに切り替えるように、切替制御を行う。これにより、X線CT装置1は、システム終了モードに移行し、第1ユニットのシステム終了を行う。また、電源制御装置50は、切替制御に従い、架台装置10、寝台装置30及びコンソール装置40への電力の供給を停止する。但し、起動処理回路46への電力供給は継続される。
【0114】
ステップST31の後、第1ユニット及び第2ユニットの各々について、前述同様に、ステップST32~ST34が実行される。
【0115】
ステップST34の後、ステップST35Aにおいて、起動処理回路46は、検査スケジュール及び起動所要時間に基づき、翌日の最先の検査で使用する標準機能の第1ユニットに対する起動開始時刻を決定する。また、起動処理回路46は、決定した起動開始時刻をメモリ41に保存する。なお、第1ユニットに対する起動開始時刻は、第3のタイミングの一例である。
【0116】
ステップST35Aの後、ステップST35Bにおいて、起動処理回路46は、検査スケジュール及び起動所要時間に基づき、翌日の検査で使用するオプション機能の第2ユニットに対する起動開始時刻を決定する。第2ユニットに対する起動開始時刻は、第4のタイミングの一例である。なお、ステップST35Bは、ステップST35Aの前に実行してもよい。しかる後、起動処理回路46は、起動開始時刻をメモリ41に保存する。これにより、ステップST31~ST34、ST35A、ST35Bを含むステップST30を終了する。
【0117】
以上により、X線CT装置1は、
図13に模式的に示すように、ステップST10Aにおいて、前述同様に、最先の検査開始時刻「8:00」に間に合うように、前倒しの起動開始時刻「7:xx」に標準機能の第1ユニットの起動が開始される。以下、ステップST30Aの終了処理まで、標準機能の第1ユニットの電力が消費される。
【0118】
また、X線CT装置1は、ステップST10Aの起動処理の後、ステップST10Bにおいて、検査開始時刻「13:00」に間に合うように、前倒しの起動開始時刻「11:xx」にオプション機能の第2ユニットの起動が開始される。以下、ユーザの操作による終了処理まで、オプション機能の第2ユニットの電力が消費される。従って、本実施形態のX線CT装置1は、起動処理回路46により、オプション機能の第2ユニットについては検査で用いる期間のみ稼働状態とするので、消費電力を削減することができる。
【0119】
このように、検査スケジュールに応じて、使用しない第2ユニットは起動を後回しにする。これにより、救急対応を含め、検査で使用しない場合の起動時間を短縮することができる。後回しにした第2ユニットについては、必要になる時刻までを逆算して起動開始させるので、後回しによる悪影響がない。
【0120】
上述したように第2の実施形態によれば、起動処理回路46は、取得機能461により、検査で使用されるユニットに関する第3の情報を更に取得する。また、起動処理回路46は、推定機能462により、第1の情報と、第3の情報とに基づいて、検査で使用されるユニットの起動にかかる時間を推定する。従って、第1の実施形態の効果に加え、複数のユニットのうち、検査で使用されるユニットの起動にかかる時間を推定することができる。
【0121】
また、第2の実施形態によれば、起動処理回路46は、決定機能463により、検査のうちの最先の検査で使用される第1ユニットに対して第3のタイミングを決定し、最先の検査で使用しない第2ユニットを使用する検査の開始時刻に関する第2の情報と、第2ユニットの起動にかかる時間とに基づいて、第2ユニットの起動を開始する第4のタイミングを更に決定する。従って、第1の実施形態の効果に加え、最先の検査で使用される第1ユニットに対する第3のタイミングと、最先の検査で使用しない第2ユニットの起動を開始する第4のタイミングとをそれぞれ決定することができる。
【0122】
また、第2の実施形態によれば、起動処理回路46は、制御機能464により、第3のタイミングに基づいて第1ユニットの起動を開始させ、第4のタイミングに基づいて第2ユニットの起動を開始させる。従って、第1の実施形態の効果に加え、第3のタイミングと第4のタイミングとの間、第2ユニットの消費電力を削減することができる。また、検査によっては不要なユニットを起動させないことにより、消費電力の削減を見込むことができる。また仮に、リトライ等によっても復帰しないユニットがあった場合でも、検査によってはX線CT装置を使用できるため、ダウンタイムの短縮につなげることができる。例えば、海外や国内のサービス拠点が少ない地域では、X線CT装置1にエラーが発生すると、作業員が到着してX線CT装置1を修理するまで、X線CT検査が実行不可となる。このように、エラー発生によって直ぐにX線CT装置がダウンする状況は、検査のワークフロー上、好ましくない。これに対し、第2の実施形態によれば、検査によっては、復帰しない第2ユニットを除いた第1ユニットのみでX線CT装置1を使用できる。このため、海外や国内のサービス拠点が少ない地域において、検査によっては、X線CT装置1の一部が故障した場合でも、ワークフローに悪影響がない。
【0123】
また、第2の実施形態によれば、処理回路44は、表示制御機能446により、第3のタイミングに基づいて起動したユニットの状態に関する表示画面g1をディスプレイ42に表示させることができる。従って、第1の実施形態の効果に加え、第3のタイミングに基づいて起動したユニットをユーザに提示することができる。
【0124】
同様に、第2の実施形態によれば、処理回路44は、表示制御機能446により、第3のタイミングに基づいて起動した第1ユニットの状態と、第4のタイミングに基づいて起動した第2ユニットの状態とに関する表示画面g1をディスプレイ42に表示できる。従って、例えば、第1ユニットが起動した後のオン状態と、第2ユニットが起動する前のオフ状態とを区別してユーザに提示することができる。
【0125】
また、第2の実施形態では、起動処理回路46は、第3のタイミングに基づいて第1ユニットを起動してオン状態とし且つ第2ユニットのオフ状態を継続し、第4のタイミングに基づいて第2ユニットを起動してオン状態としたが、これに限定されない。例えば、起動処理回路46は、第3のタイミングに基づいて第1ユニットを起動してオン状態とし且つ第2ユニットを起動した後にスリープ状態とし、第4のタイミングに基づいて第2ユニットをオン状態にしてもよい。また、処理回路44は、ユニットのオン状態、オフ状態、スリープ状態を区別して表す表示画面をディスプレイ42に表示させてもよい。このような変形例の場合、前述した効果に加え、第2ユニットをスリープ状態にできる効果を得ることができる。
【0126】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、第1又は第2の実施形態の変形例であり、複数のユニットを有するX線CT装置1aと、起動処理装置とを備えた医用画像診断システムに関する。すなわち、医用画像診断システムは、前述したX線CT装置1から起動処理回路46を省略したX線CT装置1aと、X線CT装置1aの外部装置としての起動処理装置70を備えている。
【0127】
ここで、起動処理装置70は、メモリ71、通信インターフェース75及び起動処理回路76を備えている。起動処理回路76は、前述した起動処理回路46と同様の回路であり、図示しないプロセッサとメモリを備えている。起動処理回路76のプロセッサは、メモリ71内のプログラムを呼び出し実行することにより、プログラムに対応する取得機能761、推定機能762、決定機能763及び制御機能764を実現する。取得機能761、推定機能762、決定機能763及び制御機能764は、前述した取得機能461、推定機能462決定機能463及び制御機能464と同様の構成となっている。
【0128】
また、起動処理装置70は、X線CT装置1a、RIS200及びHIS201の各々とネットワークを介して通信可能となっている。
【0129】
メモリ71は、起動処理回路76によって実行されるプログラム、起動処理回路76の処理に用いられる各種データ等を記憶する。プログラムとしては、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータにインストールされ、起動処理回路76の各機能を当該コンピュータに実現させるプログラムが用いられる。
【0130】
通信インターフェース75は、起動処理装置70とネットワークとを接続する。ネットワークには、RIS200及びHIS201が接続される。
【0131】
他の構成は、第1又は第2の実施形態と同様である。
【0132】
以上のような構成によれば、X線CT装置1aの外部装置として設けた起動処理装置70の起動処理回路76が、第1又は第2の実施形態及び各変形例の起動処理回路46と同様に動作して同様の効果を得ることができる。
【0133】
なお、本実施形態の医用画像診断システムの構成は上記に限定されず、更にPACS(Picture Archiving and Communication System)やHIS(Hospital Information)、RIS(Radiology Information System)等を含んでも良い。
【0134】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、起動の手間を軽減しつつ、検査開始時刻までの起動完了を図ることができる。
【0135】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムがメモリに保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1又は
図14における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0137】
1,1a X線CT装置
10 架台装置
30 寝台装置
40 コンソール装置
41,71 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
441 システム制御機能
4411 HMS
442 前処理機能
443 再構成機能
444 再構成系第1オプション機能
445 再構成系第2オプション機能
446 表示制御機能
45,75 通信インターフェース
46,76 起動処理回路
461,761 取得機能
462,762 推定機能
463,763 決定機能
464,764 制御機能
50 電源制御装置
70 起動処理装置
200 RIS
201 HIS
g1 表示画面
g2 ウインドウ表示画面
U1~U4 領域