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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176372
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】検出装置及び検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20241212BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20241212BHJP
   C12M 1/34 20060101ALN20241212BHJP
【FI】
G01N21/27 F
G01N21/01 D
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094861
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 薫
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 晃彦
(72)【発明者】
【氏名】安部 大智
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059CC16
2G059DD13
2G059EE01
2G059EE13
2G059GG02
2G059GG03
2G059HH02
2G059KK03
2G059MM14
4B029AA07
4B029BB01
4B029FA01
4B029FA11
(57)【要約】
【課題】色の検出精度をより高められる検出装置等を提供する。
【解決手段】検出装置は、光を検出するフォトダイオードが設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部と、センサ部の出力を取得する検出回路と、3色の光を切替可能に発する光源と、を備え、検出回路は、3色のうち1色が発せられる各期間の出力である第1出力と、第2出力と、第3出力と、を個別に取得し、検出回路は、第4出力と、第5出力と、第6出力と、が同じになるよう導出された補正係数に基づいて、第1出力、第2出力及び第3出力のうち少なくとも2つ以上を補正し、第4出力は、センサ部が第1色の光を光源から直接照射された場合の出力であり、第5出力は、センサ部が第2色の光を光源から直接照射された場合の出力であり、第6出力は、センサ部が第3色の光を光源から直接照射された場合の出力である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を検出するフォトダイオードが設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部と、
前記センサ部の出力を取得する検出回路と、
第1色の光と、第2色の光と、第3色の光と、を切替可能に発する光源と、を備え、
前記検出回路は、第1出力と、第2出力と、第3出力と、を個別に取得し、
前記第1出力は、前記第1色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、
前記第2出力は、前記第2色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、
前記第3出力は、前記第3色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、
前記検出回路は、第4出力と、第5出力と、第6出力と、が同じになるよう導出された補正係数に基づいて、前記第1出力、前記第2出力及び前記第3出力のうち少なくとも2つ以上を補正し、
前記第4出力は、前記センサ部が前記第1色の光を前記光源から直接照射された場合の出力であり、
前記第5出力は、前記センサ部が前記第2色の光を前記光源から直接照射された場合の出力であり、
前記第6出力は、前記センサ部が前記第3色の光を前記光源から直接照射された場合の出力である、
検出装置。
【請求項2】
前記センサ部が複数設けられた検出領域を有するセンサパネルを備え、
前記補正係数は、前記第4出力における複数の前記センサ部の出力の平均値に対応し、
前記検出回路は、前記第1出力、前記第2出力及び前記第3出力を補正する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記センサ部が複数設けられた検出領域を有するセンサパネルを備え、
前記補正係数は、前記第4出力が得られる場合の前記検出領域における前記第1色の光の輝度分布に対応し、
前記検出回路は、前記第2出力及び前記第3出力を補正する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1色は、赤色であり、
前記第2色は、緑色であり、
前記第3色は、青色である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
検出装置と、前記検出装置と接続された情報処理装置と、を備える検出システムであって、
前記検出装置は、
光を検出するフォトダイオードが設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部と、
前記センサ部の出力を取得する検出回路と、
第1色の光と、第2色の光と、第3色の光と、を切替可能に発する光源と、を備え、
前記検出回路は、第1出力と、第2出力と、第3出力と、を個別に取得して各出力に対応したデータを前記情報処理装置に転送し、
前記第1出力は、前記第1色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、
前記第2出力は、前記第2色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、
前記第3出力は、前記第3色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、
前記情報処理装置は、第4出力と、第5出力と、第6出力と、が同じになるよう導出された補正係数に基づいて、前記第1出力、前記第2出力及び前記第3出力のうち少なくとも2つ以上に対応するデータを補正し、
前記第4出力は、前記センサ部が前記第1色の光を前記光源から直接照射された場合の出力であり、
前記第5出力は、前記センサ部が前記第2色の光を前記光源から直接照射された場合の出力であり、
前記第6出力は、前記センサ部が前記第3色の光を前記光源から直接照射された場合の出力である、
検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置及び検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生物組織や微生物の培養環境の状態を光学センサで検出可能にした検出装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-87005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した検出装置において、複数の色の光源を設け、光の色毎に検出を行うことで、検出結果に色情報を加味できる。しかしながら、光源の輝度にはばらつきがあることがある。このため、係る輝度のばらつきを考慮せずに検出を行うと、輝度のばらつきに起因する色味が検出結果に反映されてしまい、検出対象である生物組織や微生物の培養環境の色の検出精度を低下させてしまう。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、色の検出精度をより高められる検出装置及び検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による検出装置は、光を検出するフォトダイオードが設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部と、前記センサ部の出力を取得する検出回路と、第1色の光と、第2色の光と、第3色の光と、を切替可能に発する光源と、を備え、前記検出回路は、第1出力と、第2出力と、第3出力と、を個別に取得し、前記第1出力は、前記第1色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、前記第2出力は、前記第2色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、前記第3出力は、前記第3色の光が発せられる期間に対応した前記センサ部の出力であり、前記検出回路は、第4出力と、第5出力と、第6出力と、が同じになるよう導出された補正係数に基づいて、前記第1出力、前記第2出力及び前記第3出力のうち少なくとも2つ以上を補正し、前記第4出力は、前記センサ部が前記第1色の光を前記光源から直接照射された場合の出力であり、前記第5出力は、前記センサ部が前記第2色の光を前記光源から直接照射された場合の出力であり、前記第6出力は、前記センサ部が前記第3色の光を前記光源から直接照射された場合の出力である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、検出システムの主要構成を示す図である。
図2図2は、検出領域及び配線領域の構成例を示す図である。
図3図3は、センサ部の回路構成を示す回路図である。
図4図4は、検出システムの動作時の態様を示す概略図である。
図5図5は、光源の構成例を示す概略図である。
図6図6は、センサスキャンにおける光源の点灯パターンを示す概略図である。
図7図7は、第1光源、第2光源、第3光源の各々の輝度分布が異なる場合の例を示すグラフである。
図8図8は、信号強度の補正の一例を示すグラフである。
図9図9は、信号強度の補正の他の一例を示すグラフである。
図10図10は、信号強度の補正のためのセンサスキャンにおける光源の点灯パターンを示す概略図である。
図11図11は、センサスキャンにおける第1光源、第2光源、第3光源の点灯制御の流れの一例を示すチャート図である。
図12図12は、信号強度の補正のためのセンサスキャンに係る処理の流れを示すフローチャートである。
図13図13は、被検出体を対象としたセンサスキャンに係る処理の流れを示すフローチャートである。
図14図14は、信号強度の補正のためのセンサスキャンに係る処理の流れを示すフローチャートである。
図15図15は、被検出体を対象としたセンサスキャンに係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、検出システム1の主要構成を示す図である。検出システム1は、検出装置60と、情報処理装置30と、を備える。検出装置60は、センサパネル10と、光源パネル20と、を備える。検出システム1のセンサパネル10と光源パネル20とは情報処理装置30に接続される。
【0010】
センサパネル10は、基板11上に検出領域SA(図2参照)が設けられている。また、基板11上には、リセット回路13、走査回路14及び配線領域VAが実装されている。検出領域SA上の構成、リセット回路13及び走査回路14は、配線領域VAを介して検出回路15と接続されている。
【0011】
光源パネル20は、検出領域SAに光を照射する発光領域LAを有する。光源パネル20は、基板21上に光源22が設けられている。光源22は、例えばLED(Light Emitting Diode)のような発光素子を有し、発光領域LA内に配置される。図1に示す例では、複数の光源22が、基板21上にマトリクス状に配置されている。
【0012】
光源パネル20には、光源駆動回路23が設けられている。光源駆動回路23は、情報処理装置30の制御下で、複数の光源22の各々の点灯の有無及び点灯時の輝度制御を行う。複数の光源22は、個別に発光制御可能に設けられてもよいし、一括で発光するよう設けられてもよい。
【0013】
情報処理装置30は、検出システム1の動作に関する各種の制御を行う。具体的には、情報処理装置30は、例えば検出システム1の構成に対応した情報処理装置である。係る情報処理装置30は、有線、無線若しくは有線と無線とが混在する通信網を介した通信又は規格化されたインタフェースのような接続手段を介して検出回路15と接続され、検出回路15からの出力を得る。また、係る情報処理装置30は、係る接続手段を介して光源駆動回路23と接続され、光源22の点灯パターンの決定等、光源22の点灯に関する処理を行う。
【0014】
図2は、検出領域SA及び配線領域VAの構成例を示す図である。検出領域SAには複数のセンサ部WA(図3)が設けられている。実施形態では、図2に示すように、複数のセンサ部WAが第1方向Dx及び第2方向Dyに沿ってマトリクス状に配置されている。第1方向Dxと第2方向Dyとは直交する。また、以下の説明で第3方向Dzと記載した場合、第1方向Dx及び第2方向Dyに直交する方向をさす。
【0015】
リセット回路13は、リセット信号伝送線51,52,・・・,5nと接続されている。以下、リセット信号伝送線5と記載した場合、リセット信号伝送線51,52,・・・,5nのいずれかをさす。リセット信号伝送線5は、第1方向Dxに沿う配線である。図2に示す例では、n本のリセット信号伝送線5が、第2方向Dyに並ぶ。nは、2以上の自然数である。係るn本のリセット信号伝送線5は、第1方向Dxの一端側で、リセット回路13と接続されている。
【0016】
走査回路14は、走査線61,62,・・・,6nと接続されている。以下、走査線6と記載した場合、走査線61,62,・・・,6nのいずれかをさす。走査線6は、第1方向Dxに沿う配線である。図2に示す例では、n本の走査線6が、第2方向Dyに並ぶ。係るn本のリセット信号伝送線5は、第1方向Dxの他端側で、走査回路14と接続されている。
【0017】
図2に示すように、リセット信号伝送線5と走査線6とは、検出領域SA内で第2方向Dyに交互に並ぶ。なお、図1及び図2で例示するリセット回路13と走査回路14は、検出領域SAを挟んで対向する位置に配置されているが、リセット回路13と走査回路14のレイアウトはこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0018】
また、検出領域SA内には、信号線71,72,・・・,7mが設けられている。以下、信号線7と記載した場合、信号線71,72,・・・,7mのいずれかをさす。信号線7は、第2方向Dyに沿う配線である。
【0019】
図2に示す例では、m本の信号線7が、第1方向Dxに並ぶ。mは、2以上の自然数である。係るm本の信号線7はそれぞれ、第2方向Dyの一端側で、セレクタ回路40が有する複数のスイッチのいずれか(例えば、スイッチSW1、スイッチSW2、スイッチSW3又はスイッチSW4)と接続されている。
【0020】
セレクタ回路40は、配線領域VA内に設けられる。セレクタ回路40は、複数のスイッチを有する。図2に示す例では、当該複数のスイッチとして、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4が示されている。1つのセレクタ回路40が有する複数のスイッチは、それぞれ異なるタイミングでON(接続状態)になる。1つのセレクタ回路40が有する複数のスイッチのうち、1つのスイッチがON(接続状態)である期間、他のスイッチはOFF(非接続状態)である。セレクタ回路40の数は、信号線7の数(m)に応じる。スイッチの数をpとすると、セレクタ回路40の数は、m/pあれば足りる。セレクタ回路40が複数ある場合、複数のセレクタ回路40はそれぞれ、個別の配線401,402,・・・,40pを介して検出回路15と接続される。
【0021】
なお、セレクタ回路40を介した信号線7と検出回路15との接続はあくまで一例であってこれに限られるものでなく、配線領域VA内で信号線7を個別に検出回路15と直結させてもよい。配線領域VA内で、リセット回路13は、配線131を介して検出回路15と接続される。配線領域VA内で、走査回路14は、配線141を介して検出回路15と接続される。
【0022】
検出回路15は、センサ部WAに設けられるPD82(図3参照)による光の検出に係り、リセット回路13及び走査回路14の動作タイミングを制御する。また、検出回路15には、センサ部WAからの出力が入力される。検出回路15は、センサ部WAから入力された信号を情報処理装置30に解釈可能なデータに変換して情報処理装置30に出力する。なお、実施形態の検出回路15は、MCU(Micro Controller Unit)である。
【0023】
図3は、センサ部WAの回路構成を示す回路図である。なお、図3における第1方向Dx、第2方向Dyは、リセット信号伝送線5、走査線6、信号線7の方向と対応しているに過ぎず、センサ部WA内の回路構成の相対的位置関係を厳密に示すものでない。
【0024】
図3に示すように、センサ部WA内には、スイッチング素子81、PD82、トランジスタ素子83及びスイッチング素子85が設けられている。PD82は、フォトダイオード(PD:PhotoDiode)である。スイッチング素子81,85及びトランジスタ素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0025】
スイッチング素子81のゲートは、リセット信号伝送線5と接続される。スイッチング素子81のソース又はドレインの一方には、リセット電位VResetが与えられている。スイッチング素子81のソース又はドレインの他方には、PD82のカソード及びトランジスタ素子83のゲートが接続されている。以下、接続部CPと記載した場合、当該他方、PD82のカソード及びトランジスタ素子83のゲートが接続されている箇所をさす。また、PD82のアノード側からは基準電位VCOMが与えられている。リセット電位VResetと基準電位VCOMとの電位差は予め定められているが、リセット電位VReset及び基準電位VCOMの電位は可変であってよい。尚、リセット電位VResetは、基準電位VCOMよりも高い電位である。
【0026】
ソースフォロアとして機能するトランジスタ素子83のドレインには、出力源電位VPP2が与えられている。トランジスタ素子83のソースには、スイッチング素子85のソース又はドレインの一方が接続されている。スイッチング素子85のソース又はドレインの他方は、信号線7と接続されている。スイッチング素子85のゲートは、走査線6と接続されている。
【0027】
リセット電位VReset及び基準電位VCOMならびに出力源電位VPP2は、例えば検出回路15に接続された図示しない電源回路を介して供給される電力に基づいて、検出回路15がセンサ部WAへ供給するが、これに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0028】
出力源電位VPP2は、予め定められている。また、トランジスタ素子83のソース側の電位は、PD82の出力電位からトランジスタ素子83のゲート-ソース間の電圧(Vth)分下がった電位となる。この場合、トランジスタ素子83のソース側の電位は、リセット電位VReset及び基準電位VCOMの電位と、に応じる。PD82の出力の電位は、後述する露光期間EX中にPD82が検出する光に応じてPD82が生じさせる光起電力に応じる。
【0029】
走査線6を介して走査回路14から与えられる信号によってスイッチング素子85のゲートがONになると、スイッチング素子85のソース-ドレイン間が接続される。これによって、トランジスタ素子83を介してスイッチング素子85へ伝送される信号(電位)が、スイッチング素子85を通じて信号線7へ伝送される。このようにして、センサ部WAからの出力が生じる。以後、走査信号と記載した場合、走査線6を介して走査回路14から与えられる信号(電位)をさす。走査回路14は、走査信号を出力する回路である。
【0030】
ある1つのセンサ部WAに設けられた1つのPD82の出力は、予め定められた露光期間内に当該PD82が検出した光の強さに応じる。PD82の出力は、リセット信号伝送線5を介してリセット回路13から与えられる信号に応じてリセットされる。当該信号によってスイッチング素子81のゲートがONになると、スイッチング素子81のソース-ドレイン間が接続される。これによって、接続部CPの電位が、リセット電位VResetにリセットされる。
【0031】
次に、検出システム1の動作時の態様について、図4を参照して説明する。
【0032】
図4は、検出システム1の動作時の態様を示す概略図である。検出システム1は、光源パネル20とセンサパネル10とが被検出体SUBを挟んで第3方向Dzに対向するよう設けられる。被検出体SUBは、例えば寒天培地のような培地が形成されたシャーレであるが、これに限られるものでなく、光源パネル20からの光を透過させる他の構成であってもよい。
【0033】
また、実施形態では、被検出体SUBとセンサパネル10との間には射線限定部材50が介在する。射線限定部材50は、光源パネル20からセンサパネル10に向かって照射される光LVのうちセンサパネル10に到達できる光の進路を限定する部材である。具体的には、射線限定部材50は、例えば第3方向Dzの貫通孔が複数点在する板状の部材である。射線限定部材50を通ることができる光は、当該貫通孔を通る光に限定される。当該貫通孔は、センサパネル10に設けられる光源22の配置に対応する。当該貫通孔は、各PD82が2つ以上の光源22からの光を同時に検出することがないよう設けられる。すなわち、実施形態では、1つのPD82が検出する光は、1つの光源22からの光である。なお、当該貫通孔は各PD82に個別に設けられるのでなく、複数のPD82で共有される。従って、1つの光源22からの光は、複数のPD82で共有される。光LVは、後述する光R1、光G1又は光B1である。
【0034】
被検出体SUBは、射線限定部材50上であって、検出領域SA内に載置される。光源パネル20は、光源22の点灯によって、被検出体SUBの上方からセンサパネル10へ向かって光を照射する。光源22から発せられて被検出体SUB側へ向かう光のうち、被検出体SUB及び射線限定部材50を通った光が検出領域SA内のPD82(図3及び図4参照)によって検出される。以下、センサスキャンと記載した場合、図4に示すような光源パネル20、被検出体(例えば、被検出体SUB)、射線限定部材50及びセンサパネル10の位置関係が成立している状態で、光源パネル20からの光をセンサパネル10が検出する処理をさす。
【0035】
実施形態では、センサパネル10と光源パネル20との間に被検出体SUBが介在する場合、さらに、被検出体SUBとセンサパネル10との間に射線限定部材50が介在するが、射線限定部材50は必須の構成でなく、射線限定部材50と同様に機能する他の光学部材が採用されてもよいし、射線限定部材50が省略されてもよい。
【0036】
図4を参照して説明したセッティング条件下で、光源22からの光をPD82で検出することで、センサスキャンが行われる。以下、センサスキャンと記載した場合、光源パネル20から照射された光をセンサパネル10で検出する処理をさす。
【0037】
図5は、光源22の構成例を示す概略図である。図5に示すように、光源22は、第1光源22Rと、第2光源22Gと、第3光源22Bと、を有する。第1光源22Rと、第2光源22Gと、第3光源22Bと、はそれぞれ異なる色の光を発する発光素子(例えば、LED)である。実施形態では、第1光源22Rは、赤色(R)の光を発する。第2光源22Gは、緑色(G)の光を発する。第3光源22Bは、青色(B)の光を発する。
【0038】
なお、図5に示す光源22は、第1光源22R、第2光源22G及び第3光源22Bの長手方向が第2方向Dyに沿っており、かつ、第1方向Dxの一方側から他方側に向かって第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの順で並んでいる構成であるが、これは光源22の形態例であってこれに限られるものでない。光源22における第1光源22R、第2光源22G及び第3光源22Bの平面視点での形状及び第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの位置関係は適宜変更可能である。
【0039】
図6は、センサスキャンにおける光源22の点灯パターンを示す概略図である。図4を参照して説明したように、センサパネル10と光源パネル20との間に被検出体SUBが位置する場合、第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの各々からの光のうち、センサパネル10に到達する光は、被検出体SUBの色に応じる。
【0040】
例えば、被検出体SUBが、微生物の培養によって紫色を帯びた培地であった場合を想定する。この場合、図6の「点灯パターン1」で示すように、第1光源22Rから被検出体SUBに向かって照射される光R1のうち一部は被検出体SUBによって反射されて光R2として散乱する。また、光R1のうち一部は光R3として被検出体SUBを挟んで第1光源22Rの反対側に向かい、センサパネル10に到達する。また、この場合、「点灯パターン3」で示すように、第3光源22Bから被検出体SUBに向かって照射される光B1のうち一部は被検出体SUBによって反射されて光B2として散乱する。また、光B1のうち一部は光B3として被検出体SUBを挟んで第3光源22Bの反対側に向かい、センサパネル10に到達する。一方、この場合、「点灯パターン2」で示すように、第2光源22Gから被検出体SUBに向かって照射される光G1は、被検出体SUBが紫色であることによってほとんどが被検出体SUBに吸収されてしまい、実質的にセンサパネル10に到達しない。このように、第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの各々からの光のうち、センサパネル10に到達する光は、被検出体SUBの色に応じる。
【0041】
実施形態では、センサ部WAのPD82は、光の強弱を検知するものであり、光の色を識別するものでない。そこで、実施形態では、例えば図6に示す「点灯パターン1」のように第1光源22Rを点灯させる期間と、「点灯パターン2」のように第2光源22Gを点灯させる期間と、「点灯パターン3」のように第3光源22Bを点灯させる期間と、を個別に設けることで、被検出体SUBの色に応じた光の検出結果を得る。すなわち、実施形態では、「点灯パターン1」、「点灯パターン2」、「点灯パターン3」の各々でセンサスキャンが行われる。そして、これらのセンサスキャンの結果を統合することで、被検出体SUBの色に応じた色情報を含むセンサスキャンの出力が得られる。以下、データの統合と記載した場合、このような、被検出体SUBの色に応じた色情報を含むセンサスキャンの出力を得るためのセンサスキャンの結果の統合をさす。データの統合では、後述する信号強度の補正係数が反映される。
【0042】
なお、図6に示す例において、「点灯パターン1」及び「点灯パターン3」でセンサパネル10に到達する光が生じ、「点灯パターン2」でセンサパネル10に到達する光が生じていないのは、あくまで一例であって、「点灯パターン1」、「点灯パターン2」、「点灯パターン3」で必ずそうなることを示すものでない。
【0043】
ここで、第1出力が、第1色(例えば、赤色(R))の光が発せられる期間に対応したセンサ部WAの出力であるとすると、図6に示す「点灯パターン1」は、第1出力を得られる光源22の点灯パターンを示す。また、第2出力が、第2色(例えば、緑色(G))の光が発せられる期間に対応したセンサ部WAの出力であるとすると、図6に示す「点灯パターン2」は、第2出力を得られる光源22の点灯パターンを示す。また、第3出力が、第3色(例えば、青色(B))の光が発せられる期間に対応したセンサ部WAの出力であるとすると、図6に示す「点灯パターン3」は、第3出力を得られる光源22の点灯パターンを示す。
【0044】
ところで、図1を参照して説明したように、光源22は、発光領域LAに複数配置されている。また、図5を参照して説明したように、光源22は、第1光源22Rと、第2光源22Gと、第3光源22Bと、を有する。従って、実施形態では、第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bが複数設けられる。ここで、各光源22の第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの輝度は、必ずしも均一でない。第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの各々の発光素子としての個体差等によって、各々の輝度に差が生じることがある。
【0045】
図7は、第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの各々の輝度分布が異なる場合の例を示すグラフである。図7から図9に示すグラフの横軸で示す検出領域SAの座標のうち「E1」は、第1方向Dx又は第2方向Dyのうち一方に沿う検出領域SAの一端をさす。また、「E2」は、当該一方に沿う検出領域SAの他端をさす。図7から図9に示すグラフの縦軸で示す信号強度は、各々の座標に設けられたセンサ部WAが検出した光の輝度に応じて出力する信号の強さの度合いを示す。
【0046】
図7に示すグラフRP1は、「E1」から「E2」までの範囲内で検出された第1光源22Rからの光の輝度分布の一例を示す。グラフGP1は、「E1」から「E2」までの範囲内で検出された第2光源22Gからの光の輝度分布の一例を示す。グラフBP1は、「E1」から「E2」までの範囲内で検出された第3光源22Bからの光の輝度分布の一例を示す。以下の説明では、仮に実施形態でグラフRP1、グラフGP1及びグラフBP1が得られた場合について説明する。無論、実際の第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの各々の輝度分布は、グラフRP1、グラフGP1、グラフBP1に限られるものでない。
【0047】
グラフRP1、グラフGP1、グラフBP1のように、座標によって各色の輝度にばらつきがあると、被検出体SUBの色でなく、輝度のばらつきに起因する色付きがセンサスキャンの出力に反映されてしまう。このため、係る輝度にばらつきは、センサスキャンの出力における色再現の精度に影響を与える。そこで、実施形態では、少なくとも座標単位でみた場合の第1光源22Rからの光の輝度と第2光源22Gからの光の輝度と第3光源22Bからの光の輝度とが実質的に同一であるとみなせるよう、信号強度の補正が行われる。
【0048】
図8は、信号強度の補正の一例を示すグラフである。図8に示す例では、検出領域SAに設けられた各座標のセンサ部WAの出力を固定された出力値とみなすよう、出力の補正が行われる。従って、図8に示すグラフRP2、グラフGP2及びグラフBP2のように、座標に関わらず、信号強度が一定になる。
【0049】
図8に示すグラフRP2は、第1光源22Rからの光の輝度分布であるグラフRP1に対応した補正後の信号強度を示す。グラフGP2は、第2光源22Gからの光の輝度分布であるグラフGP1に対応した補正後の信号強度を示す。グラフBP2は、第3光源22Bからの光の輝度分布であるグラフBP1に対応した補正後の信号強度を示す。
【0050】
仮に補正をしない場合、「E1」から「E2」までの範囲内に設けられた各座標のセンサ部WAが出力する信号強度の分布は、グラフRP1、グラフGP1、グラフBP1をそのまま反映する。ここで、定められた信号強度としてのグラフRP2よりも低いグラフRP1が得られる座標では信号強度をグラフRP2まで上げるよう補正が行われる。また、グラフRP2よりも高いグラフRP1が得られる座標では信号強度をグラフRP2まで下げるよう補正が行われる。これによって、座標に関わらず、信号強度がグラフRP2であるセンサスキャンの出力を得られる。以上のように説明したグラフRP1とグラフRP2との関係に応じた補正を、グラフGP1とグラフGP2との関係及びグラフBP1とグラフBP2との関係にも反映することで、信号強度がグラフGP2、グラフRP2であるセンサスキャンの出力を得られる。
【0051】
なお、図8では、グラフRP2がグラフGP2及びグラフBP2よりも高く、グラフGP2がグラフBP2よりも高いかのように見えるが、実際には、これらは全て同一である。図8では、説明の便宜上、グラフRP2、グラフGP2、グラフBP2を異なる線で示しているに過ぎない。後述する図9に示すグラフRP1とグラフGP3とグラフBP3との関係も、グラフRP2とグラフGP2とグラフBP2の関係と同様である。
【0052】
グラフRP2、グラフGP2、グラフBP2として定められる信号強度は、固定の信号強度であってもよいし、グラフRP1、グラフGP1又はグラフBP1のうち1つ(例えば、グラフRP1)の平均値に対応する信号強度であってもよい。平均値に対応する信号強度とすることで、補正の度合いをより小さくできる。
【0053】
ここで、検出領域SAのDx-Dy平面上における、ある座標(x,y)に位置するセンサ部WAからの補正前の出力をRawとする。また、Rawのうち、第1光源22Rからの光の検出結果に対応した出力をRaw(R)とする。また、Rawのうち、第2光源22Gからの光の検出結果に対応した出力をRaw(G)とする。また、Rawのうち、第3光源22Bからの光の検出結果に対応した出力をRaw(B)とする。また、座標(x,y)に位置するセンサ部WAからの出力に適用される補正係数を、Coとする。また、Coのうち、第1光源22Rからの光の検出結果に対応した出力に適用される補正係数をCo(R)とする。また、Coのうち、第2光源22Gからの光の検出結果に対応した出力に適用される補正係数をCo(G)とする。また、Coのうち、第3光源22Bからの光の検出結果に対応した出力に適用される補正係数をCo(B)とする。そして、グラフRP1、グラフGP1又はグラフBP1のうち1つ(例えば、グラフRP1)の平均値をAveとすると、Co(R)は以下の式(1)のように表せ、Co(G)は以下の式(2)のように表せ、Co(B)は以下の式(3)のように表せる。補正係数を利用した信号強度の補正では、上述した第1出力にCo(R)が適用され、第2出力にCo(B)が適用され、第3出力にCo(B)が適用される。図8を参照した説明に対応した補正では、各センサ部WAに対して個別にCo(R)、Co(G)及びCo(B)が算出される。
Co(R)=Ave/Raw(R)・・・(1)
Co(G)=Ave/Raw(G)・・・(2)
Co(B)=Ave/Raw(B)・・・(3)
【0054】
なお、信号強度の補正方法は、図8を参照して説明したものに限られない。
【0055】
図9は、信号強度の補正の他の一例を示すグラフである。図9に示すグラフGP3は、グラフRP1に対応するようにグラフGP1を補正した補正後の信号強度を示す。グラフBP3は、グラフRP1に対応するようにグラフBP1を補正した補正後の信号強度を示す。なお、図8では、グラフGP3がグラフRP1及びグラフBP3よりも高く、グラフRP1がグラフBP3よりも高いかのように見えるが、実際には、これらは全て同一である。
【0056】
図9に示す例では、各座標のセンサ部WAで検出された第1光源22Rの輝度に対応した信号強度に、他の色の光源(第2光源22G及び第3光源22B)からの光を検出した際の信号強度を合わせるように補正が行われる。従って、グラフGP1を補正した補正後の信号強度を示すグラフGP3及びグラフBP1を補正した補正後の信号強度を示すグラフBP3が示す信号強度の「E1」から「E2」までの範囲内における分布の態様は、当該範囲内においてグラフGP1が示す輝度分布と同じ態様になる。
【0057】
図9を参照した説明の場合、Co(R)は以下の式(4)のように表せ、Co(G)は以下の式(5)のように表せ、Co(B)は以下の式(6)のように表せる。
Co(R)=Raw(R)/Raw(R)・・・(4)
Co(G)=Raw(R)/Raw(G)・・・(5)
Co(B)=Raw(R)/Raw(B)・・・(6)
【0058】
式(4)のCo(R)は必ず1であるので、図9を参照した説明に対応した補正では、上述した第1出力のように第1光源22Rからの光の検出結果に対応した出力は補正されない。従って、図9を参照した説明に対応した補正では、上述した第2出力及び第3出力のように、第2光源22Gからの光の検出結果に対応した出力及び第3光源22Bからの光の検出結果に対応した出力が補正される。よって、図9を参照した説明に対応した補正では、各センサ部WAに対して個別にCo(G)及びCo(B)が算出されればよい。
【0059】
実施形態では、図8又は図9を参照して説明した信号強度の補正が行われる。係る信号強度の補正のためのセンサスキャンは、センサパネル10と光源パネル20との間に被検出体SUBを介在させない状態で行われる。
【0060】
図10は、信号強度の補正のためのセンサスキャンにおける光源22の点灯パターンを示す概略図である。実施形態では、図10に示す「点灯パターン4」のように第1光源22Rを点灯させて光源パネル20に光R1を照射する期間と、「点灯パターン5」のように第2光源22Gを点灯させて光源パネル20に光G1を照射する期間と、「点灯パターン6」のように第3光源22Bを点灯させて光源パネル20に光B1を照射する期間と、を個別に設ける。図7から図9に示すグラフRP1、グラフGP1及びグラフBP1との対応関係で説明すると、「点灯パターン4」でグラフRP1が得られ、「点灯パターン5」でグラフGP1が得られ、「点灯パターン6」でグラフBP1が得られる。
【0061】
図10に示すように、「点灯パターン4」、「点灯パターン5」及び「点灯パターン6」では、センサパネル10と光源パネル20との間に被検出体SUBが介在しない。従って、センサパネル10に設けられたセンサ部WAは、「点灯パターン4」で第1光源22Rから照射された光R1を検出し、「点灯パターン5」で第2光源22Gから照射された光G1を検出し、「点灯パターン6」で第3光源22Bから照射された光B1を検出する。このようにして得られたセンサスキャンの出力に応じて信号強度の補正係数が特定されることで、グラフRP2、グラフGP2及びグラフBP2又はグラフRP1、グラフGP3及びグラフBP3に対応する信号強度の分布に対応した、補正後のセンサスキャンの出力を得られるようになる。
【0062】
ここで、第4出力が、第1色(例えば、赤色(R))の光が光源(例えば、第1光源22R)からセンサ部WAに直接照射された場合の出力であるとすると、図10に示す「点灯パターン4」は、第4出力を得られる光源22の点灯パターンを示す。また、第5出力が、第2色(例えば、緑色(G))の光が光源(例えば、第2光源22G)からセンサ部WAに直接照射された場合の出力であるとすると、図10に示す「点灯パターン5」は、第5出力を得られる光源22の点灯パターンを示す。また、第6出力が、第3色(例えば、青色(B))の光が光源(例えば、第3光源22B)からセンサ部WAに直接照射された場合の出力であるとすると、図10に示す「点灯パターン6」は、第6出力を得られる光源22の点灯パターンを示す。また、上述した式(1)、式(2)、式(3)のように、図8を参照した説明による補正係数は、第4出力における複数のセンサ部WAの出力の平均値(AVE)に対応する。また、上述した式(4)、式(5)、式(6)のように、図9を参照した説明による補正係数は、第4出力が得られる場合の検出領域SAにおける第1色の光の輝度分布(グラフRP1)に対応する。
【0063】
なお、射線限定部材50は、あくまで光の進路を限定しているに過ぎず、光源パネル20からセンサパネル10に到達できる光については光そのものを変化させているわけでないので、射線限定部材50が設けられていても、光源パネル20からセンサパネル10に到達した光は、光源22からセンサ部WAに直接照射された光であるといえる。
【0064】
実施形態では、図4及び図6に示すような被検出体SUBをセンサパネル10と光源パネル20との間に介在させてのセンサスキャンの出力は、補正後のセンサスキャンの出力になる。すなわち、被検出体SUBをセンサパネル10と光源パネル20との間に介在させてのセンサスキャンの出力には、信号強度の補正が反映される。
【0065】
信号強度の補正のためのセンサスキャン及び被検出体SUBをセンサパネル10と光源パネル20との間に介在させてのセンサスキャンでは、第1光源22Rが点灯する期間と、第2光源22Gが点灯する期間と、第3光源22Bが点灯する期間と、が個別に設けられる。
【0066】
図11は、センサスキャンにおける第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの点灯制御の流れの一例を示すチャート図である。図11に示すように、まず、第1光源点灯(フェーズF1)、すなわち、第1光源22Rが点灯する期間が設けられる。その後、センサスキャン(フェーズF2)の出力が行われる。当該センサスキャンの出力では、第1光源点灯の期間にセンサ部WAが検出した第1光源22Rからの光の輝度が信号強度に反映される。その後、データ転送(フェーズF3)が行われる。当該データ転送では、当該センサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される。
【0067】
その後、第2光源点灯(フェーズF4)、すなわち、第2光源22Gが点灯する期間が設けられる。その後、センサスキャン(フェーズF5)の出力が行われる。当該センサスキャンの出力では、第2光源点灯の期間にセンサ部WAが検出した第2光源22Gからの光の輝度が信号強度に反映される。その後、データ転送(フェーズF6)が行われる。当該データ転送では、当該センサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される。
【0068】
その後、第3光源点灯(フェーズF7)、すなわち、第3光源22Bが点灯する期間が設けられる。その後、センサスキャン(フェーズF8)の出力が行われる。当該センサスキャンの出力では、第2光源点灯の期間にセンサ部WAが検出した第3光源22Bからの光の輝度が信号強度に反映される。その後、データ転送(フェーズF9)が行われる。当該データ転送では、当該センサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される。
【0069】
なお、図11に示すセンサスキャンの実施毎に、センサ部WAによる光の検出の度合いに対応した電荷はリセットされる。第1光源点灯、第2光源点灯及び第3光源点灯を1回ずつ含む一連のセンサスキャンが複数回行われる場合、第3光源点灯後のデータ転送と第1光源点灯前にスキャン前後処理(フェーズF10)が行われる。スキャン前後処理は、例えば信号強度の補正のための一連のセンサスキャン後の被検出体SUBの設置、複数種類の被検出体SUBのセンサスキャンのための被検出体SUBの交換等が挙げられる。スキャン前後処理の間、検出システム1は待機状態(スリープ)になる。
【0070】
なお、信号強度の補正ならびにデータの統合及びデータの統合時に信号強度の補正係数を反映する処理は、例えば情報処理装置30が行うが、信号強度の補正ならびにデータの統合及びデータの統合時に信号強度の補正係数を反映する処理を行う機能を検出回路15に持たせてもよい。その場合、図11におけるデータ転送は省略できる。すなわち、センサスキャンに対応した検出回路15から情報処理装置30へのデータの転送タイミングは、データの統合後に集約できる。また、信号強度の補正のために行われるセンサスキャンの出力によって得られたデータは情報処理装置30に転送される必要はなく、信号強度の補正係数が検出回路15によって保持される。
【0071】
以上、説明した実施形態における検出システム1の動作のうち、信号強度の補正のためのセンサスキャン及び被検出体SUBをセンサパネル10と光源パネル20との間に介在させてのセンサスキャンの流れについて、図12から図15を参照して説明する。まず、信号強度の補正及びデータの統合が情報処理装置30によって行われる場合について、図12及び図13を参照して説明する。
【0072】
図12は、信号強度の補正のためのセンサスキャンに係る処理の流れを示すフローチャートである。係る処理では、検出システム1の電源がONになった(ステップS1)時点で、被検出体SUBのように、検出システム1に対して外部から導入される他の対象は検出システム1にもたらされていないものとする。
【0073】
まず、図10に示す「点灯パターン4」に対応する光源22の点灯制御期間(ステップS2)、すなわち、第1光源22Rの点灯期間が設けられる。その後、ステップS2の期間に検出された光の強さの度合いを示す信号の出力を生じるセンサスキャンが行われる(ステップS3)。その後、ステップS3のセンサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される(ステップS4)。
【0074】
また、図10に示す「点灯パターン5」に対応する光源22の点灯制御期間(ステップS5)、すなわち、第2光源22Gの点灯期間が設けられる。その後、ステップS5の期間に検出された光の強さの度合いを示す信号の出力を生じるセンサスキャンが行われる(ステップS6)。その後、ステップS6のセンサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される(ステップS7)。
【0075】
また、図10に示す「点灯パターン6」に対応する光源22の点灯制御期間(ステップS8)、すなわち、第3光源22Bの点灯期間が設けられる。その後、ステップS8の期間に検出された光の強さの度合いを示す信号の出力を生じるセンサスキャンが行われる(ステップS9)。その後、ステップS9のセンサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される(ステップS10)。
【0076】
情報処理装置30は、ステップS4、ステップS7及びステップS10の処理で転送されたデータに基づき、信号強度の補正係数を算出する(ステップS11)。例えば、図8を参照して説明したように平均値(Ave)に対応する補正係数が算出される場合、上述した式(1)、式(2)、式(3)のように補正係数(Co(R)、Co(B)、Co(G))が算出される。また、図9を参照して説明したようにグラフRP1に対応する補正係数が算出される場合、上述した式(4)、式(5)、式(6)のように補正係数(Co(R)、Co(B)、Co(G))が算出される。
【0077】
図13は、被検出体SUBを対象としたセンサスキャンに係る処理の流れを示すフローチャートである。係る処理では、まず、被検出体SUBがセンサパネル10と光源パネル20との間に配置される(ステップS21)。
【0078】
次に、図6に示す「点灯パターン1」に対応する光源22の点灯制御期間(ステップS22)、すなわち、第1光源22Rの点灯期間が設けられる。その後、ステップS22の期間に検出された光の強さの度合いを示す信号の出力を生じるセンサスキャンが行われる(ステップS23)。その後、ステップS23のセンサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される(ステップS24)。
【0079】
また、図6に示す「点灯パターン2」に対応する光源22の点灯制御期間(ステップS25)、すなわち、第2光源22Gの点灯期間が設けられる。その後、ステップS25の期間に検出された光の強さの度合いを示す信号の出力を生じるセンサスキャンが行われる(ステップS26)。その後、ステップS26のセンサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される(ステップS27)。
【0080】
また、図6に示す「点灯パターン3」に対応する光源22の点灯制御期間(ステップS28)、すなわち、第3光源22Bの点灯期間が設けられる。その後、ステップS28の期間に検出された光の強さの度合いを示す信号の出力を生じるセンサスキャンが行われる(ステップS29)。その後、ステップS29のセンサスキャンの出力が反映されたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される(ステップS30)。
【0081】
情報処理装置30は、ステップS24、ステップS27及びステップS30の処理で転送されたデータの統合を行う(ステップS31)。ステップS31の処理では、ステップS11の処理で算出された信号強度の補正係数が反映される。具体的には、ステップS23の処理で得られたセンサスキャンの出力において、各センサ部WAに個別に算出されたCo(R)が各センサ部WAの出力に個別に適用される。なお、図9を参照して説明したようにグラフRP1に対応する補正係数が算出される場合、Co(R)の適用による補正は省略される。また、ステップS26の処理で得られたセンサスキャンの出力において、各センサ部WAに個別に算出されたCo(G)が各センサ部WAの出力に個別に適用される。また、ステップS29の処理で得られたセンサスキャンの出力において、各センサ部WAに個別に算出されたCo(B)が各センサ部WAの出力に個別に適用される。これによって、被検出体SUBの色が反映されたセンサスキャンの出力を示すデータであって、第1光源22R、第2光源22G、第3光源22Bの輝度のばらつきによる影響が抑制されたデータを得られる。
【0082】
次に、信号強度の補正及びデータの統合が検出回路15によって行われる場合について、図14及び図15を参照して説明する。図14及び図15を参照した説明では、図12及び図13を参照した説明との差異について特筆して説明する。
【0083】
図14は、信号強度の補正のためのセンサスキャンに係る処理の流れを示すフローチャートである。信号強度の補正が検出回路15によって行われる場合、図12を参照して説明したステップS4、ステップS7、ステップS10の処理が省略され、ステップS11の処理主体が情報処理装置30ではなく検出回路15になる点を除いて、図12を参照して説明した処理と同様の処理が行われる。従って、この場合、図14に示すように、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS5、ステップS6、ステップS8、ステップS9、ステップS11の順に処理が行われる。
【0084】
図15は、被検出体SUBを対象としたセンサスキャンに係る処理の流れを示すフローチャートである。データの統合が検出回路15によって行われる場合、図13を参照して説明したステップS24、ステップS27、ステップS30の処理が省略され、ステップS31の処理主体が情報処理装置30ではなく検出回路15になり、さらにステップS32の処理が追加される点を除いて、図12を参照して説明した処理と同様の処理が行われる。従って、この場合、図15に示すように、ステップS21、ステップS22、ステップS23、ステップS25、ステップS26、ステップS28、ステップS29、ステップS31、ステップS32の順に処理が行われる。
【0085】
ステップS32の処理では、ステップS31の処理で得られたデータが検出回路15から情報処理装置30に転送される。すなわち、被検出体SUBの色が反映されたセンサスキャンの出力を示すデータが、検出回路15から情報処理装置30に転送される。
【0086】
以上説明したように、実施形態によれば、検出装置(例えば、検出装置60)は、光を検出するフォトダイオード(PD82)が設けられて検出された光の度合いに応じた出力を生じるセンサ部(例えばセンサ部WA)と、当該センサ部の出力を取得する検出回路15と、第1色(例えば、赤色(R))の光と、第2色(例えば、緑色(G))の光と、第3色(例えば、青色(B))の光と、を切替可能に発する光源(例えば、光源22)と、を備える。
【0087】
実施形態において、検出回路15は、第1出力と、第2出力と、第3出力と、を個別に取得する。当該第1出力は、当該第1色(例えば、赤色(R))の光が発せられる期間に対応した当該センサ部の出力である。当該第2出力は、第2色(例えば、緑色(G))の光が発せられる期間に対応した当該センサ部の出力である。当該第3出力は、第3色(例えば、青色(B))の光が発せられる期間に対応した当該センサ部の出力である。そして、検出回路15が、第4出力と、第5出力と、第6出力と、が同じになるよう導出された補正係数に基づいて、当該第1出力、当該第2出力及び当該第3出力のうち少なくとも2つ以上を補正することで、当該第1色の光を発する光源(例えば、第1光源22R)と、当該第2色の光を発する光源(例えば、第2光源22G)と、当該第3色の光を発する光源(例えば、第3光源22B)と、輝度のばらつきによる影響を抑制できる。従って、色の検出精度をより高められる。当該第4出力は、当該センサ部が当該第1色の光を光源(例えば、第1光源22R)から直接照射された場合の出力である。当該第5出力は、当該センサ部が当該第2色の光を光源(例えば、第2光源22G)から直接照射された場合の出力である。当該第6出力は、当該センサ部が当該第3色の光を光源(例えば、第3光源22B)から直接照射された場合の出力である。
【0088】
また、センサ部(例えば、センサ部WA)が複数設けられた検出領域(例えば、検出領域SA)を有するセンサパネル(例えば、センサパネル10)を備え、補正係数が、当該センサ部が第1色(例えば、赤色(R))の光を光源(例えば、第1光源22R)から直接照射された場合の出力である第4出力における複数の当該センサ部の出力の平均値(AVE)に対応し、検出回路が、上述した第1出力、第2出力及び第3出力を補正することで、第1出力、第2出力及び第3出力の補正の度合いをより小さくできる。従って、補正による出力のひずみをより確実に抑制できる。
【0089】
また、センサ部(例えば、センサ部WA)が複数設けられた検出領域(例えば、検出領域SA)を有するセンサパネル(例えば、センサパネル10)を備え、補正係数が、当該センサ部が第1色(例えば、赤色(R))の光を光源(例えば、第1光源22R)から直接照射された場合の出力である第4出力が得られる場合の当該検出領域における当該第1色の光の輝度分布(例えば、グラフRP1)に対応し、検出回路が、上述した第2出力及び第3出力を補正することで、上述した第1出力の補正を省略でき、補正に係る処理負荷をより低減できる。
【0090】
また、第1色が赤色(R)であり、第2色が緑色(G)であり、第3色が青色(B)であることで、いわゆるRGBによるカラー情報を得られる。すなわち、色別に設けられたわけでないセンサ部(例えば、センサ部WA)によって、いわゆるRGBによるカラー情報を得られる。
【0091】
また、実施形態において、検出システム1は、検出装置(例えば、検出装置60)と接続された情報処理装置(情報処理装置30)を備える。当該検出装置の検出回路15は、第1出力と、第2出力と、第3出力と、を個別に取得する。当該第1出力は、当該第1色(例えば、赤色(R))の光が発せられる期間に対応した当該センサ部の出力である。当該第2出力は、第2色(例えば、緑色(G))の光が発せられる期間に対応した当該センサ部の出力である。当該第3出力は、第3色(例えば、青色(B))の光が発せられる期間に対応した当該センサ部の出力である。そして、情報処理装置(情報処理装置30)が、第4出力と、第5出力と、第6出力と、が同じになるよう導出された補正係数に基づいて、当該第1出力、当該第2出力及び当該第3出力のうち少なくとも2つ以上に対応するデータを補正することで、当該第1色の光を発する光源(例えば、第1光源22R)と、当該第2色の光を発する光源(例えば、第2光源22G)と、当該第3色の光を発する光源(例えば、第3光源22B)と、輝度のばらつきによる影響を抑制できる。従って、色の検出精度をより高められる。当該第4出力は、当該センサ部が当該第1色の光を光源(例えば、第1光源22R)から直接照射された場合の出力である。当該第5出力は、当該センサ部が当該第2色の光を光源(例えば、第2光源22G)から直接照射された場合の出力である。当該第6出力は、当該センサ部が当該第3色の光を光源(例えば、第3光源22B)から直接照射された場合の出力である。
【0092】
なお、センサ部WAの具体的構成や、図2を参照して説明した配線領域VAの具体的構成等、実施形態で説明した具体的構成のうち、特許請求の範囲で特定されていない構成については、特許請求の範囲で特定されている構成を実現可能な範囲内で、適宜変更可能である。
【0093】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0094】
1 検出システム
10 センサパネル
15 検出回路
22 光源
22R 第1光源
22G 第2光源
22B 第3光源
30 情報処理装置
60 検出装置
82 PD
WA センサ部
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