IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-硬貨処理装置 図1
  • 特開-硬貨処理装置 図2
  • 特開-硬貨処理装置 図3
  • 特開-硬貨処理装置 図4
  • 特開-硬貨処理装置 図5
  • 特開-硬貨処理装置 図6
  • 特開-硬貨処理装置 図7
  • 特開-硬貨処理装置 図8
  • 特開-硬貨処理装置 図9
  • 特開-硬貨処理装置 図10
  • 特開-硬貨処理装置 図11
  • 特開-硬貨処理装置 図12
  • 特開-硬貨処理装置 図13
  • 特開-硬貨処理装置 図14
  • 特開-硬貨処理装置 図15
  • 特開-硬貨処理装置 図16
  • 特開-硬貨処理装置 図17
  • 特開-硬貨処理装置 図18
  • 特開-硬貨処理装置 図19
  • 特開-硬貨処理装置 図20
  • 特開-硬貨処理装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176382
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】硬貨処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/16 20190101AFI20241212BHJP
【FI】
G07D11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094877
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】西濃 信晴
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141DA08
3E141FG03
3E141FG13
3E141GA04
3E141JA14
3E141LA23
(57)【要約】
【課題】硬貨を正常に搬送する。
【解決手段】硬貨処理装置4は、硬貨CNが載せられる搬送面40Sを有し、搬送面40Sに載せられた硬貨CNを水平出金搬送方向Dtに搬送する収納部搬送ベルト40と、収納部搬送ベルト40を挟むように対向して配置され、収納部搬送ベルト40の搬送幅方向Dwへの硬貨CNの移動を規制する左側搬送ガイド面48LSを有する左側搬送ガイド48Lと、右側搬送ガイド面48RSを有する右側搬送ガイド48Rと、左側搬送ガイド48Lの左側搬送ガイド面48LSから右側搬送ガイド48R側に突出した突出状態において硬貨CNの1枚分以上の外力が加わると右側搬送ガイド48Rとの間隔が広がる離隔方向に移動する突起部材59とを設ける。
【選択図】図18

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が載せられる搬送面を有し、前記搬送面に載せられた前記硬貨を搬送方向に搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを挟むように対向して配置され、前記搬送ベルトの幅方向への前記硬貨の移動を規制するガイド面を有する第1の搬送ガイド及び第2の搬送ガイドと、
前記第1の搬送ガイドの前記ガイド面から前記第2の搬送ガイド側に突出した突出状態において前記硬貨1枚分以上の外力が加わると前記第2の搬送ガイドとの間隔が広がる離隔方向に移動する突起部材と
を備える硬貨処理装置。
【請求項2】
前記突起部材は、
前記突出状態において前記第1の搬送ガイドの前記ガイド面から前記第2の搬送ガイド側に突出する突起部と、
前記突起部を前記搬送方向と直交する搬送幅方向に沿って前記第2の搬送ガイド側に付勢する付勢部と
を有し、
前記付勢部が前記突起部を前記第2の搬送ガイド側に付勢する付勢力は、前記突起部に対し前記硬貨1枚分以上の前記外力が加わると、該突起部が前記離隔方向に移動する付勢力である
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記付勢部は、前記搬送幅方向に薄く前記搬送方向に沿って延びる板ばねである
請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記付勢部は、前記第1の搬送ガイドにおける前記ガイド面とは逆の面側に設けられ、
前記突起部は、前記第1の搬送ガイドにおける前記ガイド面とは逆の面側から、該第1の搬送ガイドに設けられた孔部を介し前記第2の搬送ガイド側に突出し、
前記突起部材よりも前記離隔方向側に設けられ、前記突出状態における前記突起部材の前記突起部が前記離隔方向へ移動した際に、前記突起部における前記第2の搬送ガイド側の端部が少なくとも前記第1の搬送ガイドの前記ガイド面よりも前記第2の搬送ガイド側に位置した状態で前記突起部材に当接し、前記突起部材の前記離隔方向への移動を規制する係止部
をさらに備える請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記硬貨1枚分以上の前記外力は、前記硬貨の自重の1枚分以上の外力である
請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記突起部材は、
前記突出状態において前記第2の搬送ガイドの前記ガイド面との間で前記硬貨を挟持した場合、該硬貨から加わる外力により前記離隔方向に移動し、前記突出状態よりも前記第2の搬送ガイドの前記ガイド面との間隔を広げることにより、挟持した前記硬貨を前記搬送面に落下させる
請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記突起部材は、
前記突出状態において前記硬貨1枚分以上の前記外力が加わると前記離隔方向に移動して退避状態となり、該退避状態において前記硬貨1枚分以上の前記外力が加わらなくなると自重で前記突出状態へ戻る
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記搬送面の上側において前記突起部材よりも前記搬送方向側に設けられ、下側部分の回転方向が前記搬送方向と逆方向へ向かうように回転することにより、前記搬送面に載せられた前記硬貨を1枚ずつに分離する分離ローラ
をさらに備える請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記搬送面から離隔した位置で前記第1の搬送ガイドと前記第2の搬送ガイドとの間に亘って配置され、前記第2の搬送ガイド側から前記第1の搬送ガイド側に向かうに連れて、前記突起部材との前記搬送方向における距離が長くなるよう傾斜する誘導部材
をさらに備える請求項1に記載の硬貨処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬貨処理装置に関し、例えば貨幣(すなわち硬貨及び紙幣)を取り扱う貨幣取扱装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的大規模の小売店(例えばスーパーマーケット等)では、顧客が精算処理を行う複数の精算所にそれぞれ紙幣及び硬貨を取り扱う貨幣取扱装置としてのレジスターが設置される場合がある。この貨幣取扱装置としては、例えば紙幣を処理する紙幣処理装置と、硬貨を処理する硬貨処理装置とを有するものがある。
【0003】
このうち硬貨処理装置は、投入された硬貨を1枚ずつ硬貨処理装置内部へ繰り出す硬貨投入部、硬貨を搬送する搬送部、硬貨の金種や真偽等を識別する認識部、金種毎に硬貨を収納する硬貨収納部、使用者へ返却又は出金される硬貨の搬送先となる硬貨出金部等を有している。この硬貨処理装置は、認識部において正常であると認識した硬貨を金種毎に硬貨収納部へ収納する一方、異常であると認識した硬貨を硬貨出金部へ搬送する。また硬貨処理装置は、使用者へ釣銭として出金する硬貨を硬貨収納部から繰り出して硬貨出金部へ搬送する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-3047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような硬貨処理装置においては、硬貨出金部へ硬貨が搬送される搬送経路上において、搬送ベルトと、搬送ベルトを挟むように対向して配置され搬送ベルトの幅方向への硬貨の移動を規制するガイド面を有する搬送ガイドと、搬送ベルトに載せられた硬貨を1枚ずつに分離するリバースローラとが設けられる場合がある。硬貨処理装置においては、搬送ベルト上で硬貨が立位状態で回転し続ける事象が発生する場合があり、この場合、該硬貨がリバースローラを通過できず、リバースローラよりも上流側に残留してしまう。これに対し硬貨処理装置は、リバースローラよりも上流側において、立位状態の硬貨に当接することにより硬貨の姿勢を崩し搬送ベルトの上に倒す突起部材を設けることも考えられる。しかしながらそのような硬貨処理装置の場合、例えばリバースローラにより跳ね飛ばされた硬貨が突起部材とガイド面との間に引っ掛かり搬送ベルトに落下せずに保持されてしまってリバースローラよりも上流側に残留してしまい、硬貨を正常に搬送できない可能性があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、硬貨を正常に搬送し得る硬貨処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の硬貨処理装置においては、硬貨が載せられる搬送面を有し、搬送面に載せられた硬貨を搬送方向に搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトを挟むように対向して配置され、搬送ベルトの幅方向への硬貨の移動を規制するガイド面を有する第1の搬送ガイド及び第2の搬送ガイドと、第1の搬送ガイドのガイド面から第2の搬送ガイド側に突出した突出状態において硬貨1枚分以上の外力が加わると第2の搬送ガイドとの間隔が広がる離隔方向に移動する突起部材とを設けるようにした。
【0008】
本発明は、突起部材と第2の搬送ガイドのガイド面との間で硬貨が挟み込まれた状態で保持されてしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、突起部材と第2の搬送ガイドのガイド面との間で硬貨が挟み込まれた状態で保持されてしまうことを防止でき、硬貨を正常に搬送し得る硬貨処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】貨幣取扱装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】硬貨処理装置の内部構成(1)を示し、(A)は正面図、(B)は右側面である。
図3】硬貨処理装置の内部構成(2)を示し、図2(B)におけるA-A矢視平面図である。
図4】硬貨処理装置の内部構成(3)を示し、図2(B)におけるB-B矢視平面図である。
図5】収容部出金トレイ受渡部の構成を示す正面図である。
図6】第1の実施の形態による水平出金搬送部の構成(1)を示す平面図である。
図7】第1の実施の形態による水平出金搬送部の構成(2)を示し、図6におけるC-C矢視断面図である。
図8】左側搬送ガイドを非表示とした状態の突起部材の構成を示す斜視図である。
図9】第1の実施の形態による水平出金搬送部の構成(3)を示し、図6におけるD-D矢視断面図である。
図10】第1の実施の形態による突起部材が離隔方向へ撓む状態(1)を示す平面図である。
図11】第1の実施の形態による突起部材が離隔方向へ撓む状態(2)を示し、図10におけるD-D矢視断面図である。
図12】傾輪状態の硬貨を示し、図6におけるC-C矢視断面図である。
図13】第1の実施の形態において収納部搬送ベルトを逆搬送方向へ駆動した状態を示す平面図である。
図14】第1の実施の形態において収納部搬送ベルトを逆搬送方向へ駆動した後に水平出金搬送方向へ駆動した状態を示す平面図である。
図15】第1の実施の形態において硬貨が倒れる様子を示し、図14におけるD-D矢視断面図である。
図16】第1の実施の形態においてリバースローラにより硬貨が跳ね飛ばされ突起部と右側搬送ガイド面とに挟まれた状態(1)を示す平面図である。
図17】第1の実施の形態においてリバースローラにより硬貨が跳ね飛ばされ突起部と右側搬送ガイド面とに挟まれた状態(2)を示し、図16におけるC-C矢視断面図である。
図18】第1の実施の形態において硬貨が当接した突起部が離隔方向へ移動する様子(1)を示す平面図である。
図19】第1の実施の形態において硬貨が当接した突起部が離隔方向へ移動する様子(2)を示し、図18におけるC-C矢視断面図である。
図20】第2の実施の形態による水平出金搬送部の構成を示す平面図である。
図21】第3の実施の形態による水平出金搬送部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1-1.貨幣取扱装置の全体構成]
図1に示すように、貨幣取扱装置1は、全体として概ね直方体状に形成されており、大きく分けて、紙幣を取り扱う紙幣処理装置2と、硬貨を取り扱う硬貨処理装置4と、表示操作部11と、レシートプリンタ12とにより構成されている。紙幣処理装置2と硬貨処理装置4とは、中空の直方体状に構成された筐体6に収容されている。この貨幣取扱装置1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアのような小売店舗の精算所(いわゆるレジ)において、顧客が購入したい商品を精算する際に、レジ係員により操作される。以下では、貨幣取扱装置1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0012】
制御部8は、筐体6内部に設けられており、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有し、該CPUにより該ROM等から読み出した所定のプログラムを実行することにより種々の処理を行い、貨幣取扱装置1全体を統括制御する。
【0013】
紙幣処理装置2は、使用者により紙幣入金口9から投入された紙幣を取り込んで内部の紙幣収納庫(図示せず)に収納すると共に、制御部8から指示された紙幣を紙幣収納庫から繰り出し、これを紙幣出金口10から釣銭として出金する。
【0014】
硬貨処理装置4は、使用者により硬貨投入口14Aから投入された硬貨を取り込んで内部の硬貨収納部30(硬貨収納部30A、30B、30C、30D、30E及び30F)(図3)に収納すると共に、制御部8から指示された硬貨を硬貨収納部30から繰り出し、これを硬貨出金トレイ28から釣銭として出金する。因みに硬貨は、一般的な硬貨と同様、ニッケル、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの合金やその組み合わせでなり、薄い板状に形成されている。また以下では、硬貨処理装置4において取り扱われる硬貨のうち、最も厚さの厚い硬貨を最厚硬貨とも呼び、最も厚さの薄い硬貨を最薄硬貨とも呼び、最も直径の大きい硬貨を最大径硬貨とも呼び、最も直径の小さい硬貨を最小径硬貨とも呼ぶ。この硬貨処理装置4は、例えば日本国の硬貨を取り扱うため、最大径硬貨は500円、最小径硬貨は1円の硬貨となっている。
【0015】
表示操作部11は、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示機能を有する表示パネルの表面にタッチセンサが組み合わされた、いわゆるタッチパネルとして構成されている。この表示操作部11は、制御部8の制御に基づき、認識した商品の名称や金額等、種々の表示画面を表示する他、使用者のタッチ操作を受け付けて該制御部8に通知する。これに応じて制御部8は、商品の数量の増減や金額の修正等を行う。
【0016】
レシートプリンタ12は、例えば一般的なサーマルプリンタと類似した構成となっており、感熱紙がロール状に回巻されたロール紙を保持するホルダ、このロール紙から引き出された感熱紙を搬送する搬送機構や、熱によりこの感熱紙に文字や図形等を印刷するサーマルヘッド等を有している。このレシートプリンタ12は、認識した商品の名称や金額等をレシートに印字し、これを排出する。
【0017】
[1-2.硬貨処理装置の構成]
図2及び図3に示すように、硬貨処理装置4は、箱状の筐体6を中心に構成されており、使用者との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。なお図2は、作図の都合上、硬貨の移動範囲を規制しながら案内する搬送ガイド等の部材等、筐体6内部の構成を適宜省略して模式的に描くと共に、硬貨の搬送経路を模式的に示している。
【0018】
硬貨入金部14は、筐体6の上面の前端部近傍に設けられており、使用者により投入される硬貨を受ける部分である。この硬貨入金部14は、上側に配置され硬貨が投入される硬貨投入口14Aと、その下側に配置され該硬貨を繰り出す硬貨繰出部14Bとを有している。硬貨投入口14Aは、上側が広く下側が狭いすり鉢状に構成されており、硬貨を一括して投入しやすいように、広く開口している。硬貨投入口14Aに投入された硬貨は、硬貨繰出部14Bに落下する。
【0019】
硬貨繰出部14Bは、硬貨入金部14の下方に位置しており、その内部に回転円盤が設けられている。硬貨繰出部14Bは、回転円盤が回転する際の遠心力により硬貨を外周側へ移動させ、一枚ずつに分離して繰り出し、該硬貨を硬貨送出部15に引き渡す。硬貨送出部15は、上下に対向するローラを有しており、硬貨繰出部14Bから硬貨を受け取ると、所定のタイミングでローラを回転させ、硬貨を入金搬送部17のピンベルト38へ順次引き渡す。ピンベルト38は、変形硬貨検出部23を介して硬貨を硬貨鑑別部16へ搬送する。
【0020】
硬貨送出部15の後側には、硬貨収納部30の上側において入金搬送部17が配置されている。入金搬送部17は、硬貨収納部30の上側において上面が平面形状に形成された搬送ガイド36と、該搬送ガイド36の上側において配置された複数のプーリ(図示せず)と、該プーリの周囲に張架されたピンベルト38とにより構成されている。ピンベルト38は、可撓性を有する材料により構成されており、上下方向に所定の長さ(すなわち幅)を有する無端ベルト38Bに対し、該無端ベルト38Bの周方向に沿って所定間隔毎に搬送ガイド36の上面に対して垂直な上下方向に沿うピン38Pが設けられた構成となっている。ピンベルト38は、プーリの回転に伴い図3における時計回りに所定の走行速度で走行することにより、ピン38Pを硬貨に当接させて、該ピンベルト38の走行に伴い搬送ガイド36に沿って硬貨を搬送する。
【0021】
変形硬貨検出部23は、変形リジェクト孔45(後述する)の下流側に位置しており、例えば画像センサや磁気センサ等、硬貨の特徴を認識する種々のセンサ(図示せず)を有している。この変形硬貨検出部23は、硬貨送出部15から繰り出された硬貨の特徴を認識し、この特徴に基づいて該硬貨が変形しているか否かを検出し、得られた検出結果を制御部8(図1)へ通知する。このとき制御部8は、該硬貨の搬送先を決定する。
【0022】
硬貨鑑別部16は、例えば画像センサや磁気センサ等、硬貨の特徴を認識する種々のセンサ(図示せず)を有している。この硬貨鑑別部16は、硬貨送出部15から繰り出された硬貨の特徴を認識し、この特徴に基づいて該硬貨の真偽、金種及び正損等の鑑別を行い、得られた鑑別結果を制御部8(図1)へ通知する。このとき制御部8は、該硬貨の搬送先を決定する。
【0023】
入金搬送部17は、搬送ガイド36において硬貨が搬送される搬送路が概ね水平に形成されると共に、この搬送路に沿って変形リジェクト孔45、リジェクト孔18及び6個の受入孔19(受入孔19A、19B、19C、19D、19E及び19F)が設けられている。なお図2においては6個の受入孔19のうち右側に設けられた一部である3個のみの受入孔19B、19D及び19Fを記載している。変形リジェクト孔45は、例えば入金取引において、変形硬貨検出部23による検出結果に基づいて歪んでいる硬貨や曲がっている硬貨(以下これらを変形硬貨とも呼ぶ)を選別する部分である。リジェクト孔18は、例えば入金取引において、硬貨鑑別部16による硬貨鑑別結果に基づいて真正でないと鑑別された硬貨、或いは取扱対象でない他国の硬貨や遊戯施設のメダル等の異物(以下これらをリジェクト硬貨とも呼ぶ)を選別する部分である。各受入孔19は、真正であると鑑別された硬貨(以下これを正貨とも呼ぶ)を金種別に選別する部分であり、500円、100円、50円、10円、5円及び1円といった6種類の金種がそれぞれ割り当てられている。
【0024】
変形リジェクト孔45には、制御部8の制御に基づいて開閉する変形リジェクトゲート46が設けられている。この変形リジェクトゲート46は、変形リジェクト孔45を閉塞している場合、硬貨を入金搬送部17に沿って進行させる一方、該変形リジェクト孔45を開放している場合、硬貨を落下させて排出する。リジェクト孔18には、制御部8の制御に基づいて開閉するリジェクトゲート32が設けられている。このリジェクトゲート32は、リジェクト孔18を閉塞している場合、硬貨を入金搬送部17に沿って進行させる一方、該リジェクト孔18を開放している場合、硬貨を落下させて排出する。各受入孔19(受入孔19A、19B、19C、19D、19E及び19F)は、リジェクト孔18と同様の金種別ゲート34(金種別ゲート34A、34B、34C、34D、34E及び34F)がそれぞれ設けられている。
【0025】
かかる構成により入金搬送部17は、硬貨送出部15から受け取った硬貨を搬送路に沿って搬送しながら、制御部8の制御に基づき、硬貨を選別する。具体的に入金搬送部17は、変形硬貨検出部23により変形硬貨が検出されると、搬送方向を反転させることにより該変形硬貨を変形リジェクト孔45へ戻すように搬送し、変形リジェクト孔45から落下させて排出する。また入金搬送部17は、真正で無いと鑑別されたリジェクト硬貨をリジェクト孔18から落下させて排出する一方、真正であると鑑別された正貨をその金種に応じた受入孔19から落下させて排出する。
【0026】
変形リジェクト孔45の下側には、排出された変形硬貨を下方向へ案内しながら進行させる変形リジェクトシュート47が設けられている。変形リジェクトシュート47は、図6及び図7に示す突起部材59(後述する)よりも鉛直方向に関し上側に位置している。リジェクト孔18の下側には、排出されたリジェクト硬貨を下方向へ案内しながら進行させるリジェクトシュート20が設けられている。一方、各受入孔19(受入孔19A、19B、19C、19D、19E及び19F)の下方には、排出された硬貨(正貨)を下方向へ案内しながら進行させる金種別シュート21(金種別シュート21A、21B、21C、21D、21E及び21F)がそれぞれ設けられている。各金種別シュート21(金種別シュート21A、21B、21C、21D、21E及び21F)の下側には、図3及び図4に示す6つの硬貨収納部30(硬貨収納部30A、30B、30C、30D、30E及び30F)が設けられている。各硬貨収納部30は、各受入孔19と同様、それぞれ金種が割り当てられている。以下では、硬貨収納部30A、30B、30C、30D、30E及び30Fをまとめて、硬貨収納部30とも呼ぶ。
【0027】
硬貨収納部30は、正面から見た形状が所定の多角形となり、且つ右方向から見た形状が長方形となるような中空の立体形状であり、上面が開放された開口を有している。このため各硬貨収納部30は、金種別シュート21(図3)から落下してくる金種別の硬貨を、金種別に分別された状態を維持したまま、それぞれ開口から内部の収納空間に収納する。また硬貨収納部30は、収納空間から硬貨を1枚ずつ水平出金搬送部22(後述する)に放出する放出機構が設けられている。
【0028】
図4に示すように、リジェクトシュート20の下側であり、硬貨収納部30A、30C及び30Eと硬貨収納部30B、30D及び30Fとの間には、水平出金搬送部22が設けられている。水平出金搬送部22は、前後方向に関し、硬貨収納部30A及び30Bの後端部から、リフト搬送部26までに至る範囲に配置されている。水平出金搬送部22は、左右方向に沿う回転軸を有し前後端部に配されたプーリ42と、該プーリ42の周囲にほぼ水平方向に沿って前後方向に延びるように張架された無端ベルトである収納部搬送ベルト40とにより構成されている。
【0029】
この水平出金搬送部22は、制御部8の制御に基づき、プーリ42を図2(B)中で反時計回りに回転させる。このため水平出金搬送部22は、収納部搬送ベルト40の外周面のうち硬貨と接する側の面である表面(すなわち上面(以下では搬送面40Sとも呼ぶ))をリフト搬送部26に向けて前方向である水平出金搬送方向Dtへ移動させる。この水平出金搬送方向Dtは、硬貨処理装置4の前後方向(奥行方向)に沿った方向である。以下では、水平出金搬送部22の収納部搬送ベルト40の搬送面40Sに盤面を当接させた状態の硬貨の厚さに沿う厚さ方向(上下方向)と、水平出金搬送方向Dtとに直交する左右方向を、搬送幅方向Dwとも呼ぶ。
【0030】
水平出金搬送部22における硬貨収納部30、リジェクトシュート20及び変形リジェクトシュート47よりも水平出金搬送方向Dt側には、リバースローラ44が配置されている。分離ローラとしてのリバースローラ44は、収納部搬送ベルト40の上側において、下端部が収納部搬送ベルト40の搬送面40Sと最厚硬貨の1枚分の厚さよりも僅かに広い隙間を空けるように配置されている。このリバースローラ44は、収納部搬送ベルト40と上下方向に対向する下側部分の回転方向が、収納部搬送ベルト40の搬送面40Sの進行方向(すなわち水平出金搬送方向Dt)と逆方向へ向かうように、図7中反時計回りに回転する。
【0031】
図2に示すように、水平出金搬送部22の前端部近傍の下側には、回収庫24が設けられている。回収庫24は、上面が開口する直方体形状であり、リジェクト硬貨、変形硬貨や、回収処理において硬貨収納部30から繰り出された硬貨を収納する。
【0032】
また水平出金搬送部22の前端部近傍における上側には、リフト搬送部26が設けられている。リフト搬送部26は、主に、右側に設けられたリフト搬送部26Rと、左側に設けられたリフト搬送部26Lとにより構成されている。リフト搬送部26R及び26Lは、それぞれ、ベルトと、該ベルトの移動方向の変曲箇所にそれぞれ配置され該ベルトが周囲に張架されたプーリとにより構成されている。プーリは、中心軸を前後方向に沿わせた円柱状に形成されており、該中心軸を中心として回転し得る。ベルトは、前後方向に所定の長さ(すなわち幅)を有する無端ベルトであり、全体として上下方向へ延びるようにプーリに張架されている。かかる構成においてリフト搬送部26は、リフト搬送部26Rのベルトとリフト搬送部26Lのベルトとの間に硬貨を挟み込み、上方向に向けて硬貨出金トレイ28又は収容部90まで搬送する(詳細は後述する)。
【0033】
硬貨出金部としての硬貨出金トレイ28は、筐体6の前面において収納部搬送ベルト40よりも上側に設けられており、上面が開口する形状であり、前面から使用者がアクセス可能に配置されている。硬貨出金トレイ28は、リフト搬送部26から搬送された、釣銭となる金額に応じた金種及び枚数の硬貨を収納する。
【0034】
また、水平出金搬送部22(図3)におけるリバースローラ44よりも水平出金搬送方向Dt側には、可動方向切替部50が設けられている。可動方向切替部50は、出金処理又は精査処理の場合は出金精査切替状態となり、硬貨の進行方向を変更せず水平出金搬送方向Dtへ搬送させ硬貨の搬送先を方向切替部54へ切り替える。一方、可動方向切替部50は、回収処理の場合は回収切替状態となり、収納部搬送ベルト40を水平出金搬送方向Dtへ搬送された硬貨の進行方向を左方向へ90[°]へ変更し搬送先を回収庫24へ切り替える。
【0035】
水平出金搬送部22における可動方向切替部50よりも水平出金搬送方向Dt側には、方向切替部54が可動しないように固定された状態で設けられている。方向切替部54は、収納部搬送ベルト40を水平出金搬送方向Dtへ搬送された硬貨の進行方向を左方向へ90[°]へ切り替え、該硬貨をリフト搬送部26へ受け渡す。
【0036】
リフト搬送部26は、リフト搬送部26Rの第1搬送ベルト66とリフト搬送部26Lの第2搬送ベルト70とで硬貨を挟持し、第1搬送ベルト66及び第2搬送ベルト70を走行させることにより、上方向に向けて硬貨出金トレイ28又は収容部90(後述する)まで搬送する。
【0037】
[1-3.収容部出金トレイ受渡部の構成]
図5に、リフト搬送部26の上部分から硬貨出金トレイ28又は収容部90へ硬貨を受け渡す箇所である収容部出金トレイ受渡部72を示す。なお図5は、精査切替状態(後述する)を示している。出金切替状態(後述する)は図示せず省略する。
【0038】
下側最終プーリ74は、リフト搬送部26Rの一部分であり、収容部90の左側近傍において、上端部が収容部90の下端部よりも上側となるように配置されている。
【0039】
大型従動プーリ76は、リフト搬送部26Rの一部分であり、下側最終プーリ74の2倍程度の直径を有し、下側最終プーリ74の左側において、左右方向に関し下側最終プーリ74との間に硬貨出金トレイ28を挟むように下側最終プーリ74と間隔を空けて配置されている。また大型従動プーリ76は、その上端部が、下側最終プーリ74の上端部とほぼ同じ上下方向の位置となるように配置されている。
【0040】
下側最終プーリ74及び大型従動プーリ76を含む、リフト搬送部26Rにおける各プーリには、第1搬送ベルト66が張架されている。下側最終プーリ74と大型従動プーリ76との間において、第1搬送ベルト66の表面は、大型従動プーリ76の上端部から収容部90の上端部近傍へほぼ水平方向に沿って右方向に延びている。また下側最終プーリ74と大型従動プーリ76との間において、第1搬送ベルト66の表面は、硬貨に摩擦がかかる状態となっている。
【0041】
上側最終プーリ78は、リフト搬送部26Lの一部分であり、下側最終プーリ74とほぼ同等の直径を有し、その下端部が、大型従動プーリ76の上端部よりも上側の位置となると共に、左右方向に関し大型従動プーリ76と硬貨出金トレイ28との間に配置されている。
【0042】
上側最終プーリ78を含む、リフト搬送部26Lにおける各プーリには、第2搬送ベルト70が張架されている。上側最終プーリ78と大型従動プーリ76との間において、第2搬送ベルト70の表面は、大型従動プーリ76の上端部から上側最終プーリ78の下端部へ右上がりに延びている。また上側最終プーリ78と大型従動プーリ76との間において、第2搬送ベルト70の表面は、硬貨に摩擦がかかる状態となっている。
【0043】
上側最終プーリ78よりも右側における第1搬送ベルト66の上側には、放出抑えガイド80が設けられている。放出抑えガイド80は、左上がりに配置された薄板状部材であり、左側先端が、上側最終プーリ78の外周面に形成された溝部に入り込んでいる。この放出抑えガイド80は、大型従動プーリ76から放出された硬貨が、上側最終プーリ78(すなわち第2搬送ベルト70)がない部分まで飛び出してきた場合に、該硬貨に当接し上方向への移動を規制することにより、該硬貨が第1搬送ベルト66上から外部へ飛び出して詰まってしまうことを防止し、硬貨の挙動を制御する。
【0044】
第1搬送ベルト66上における、硬貨出金トレイ28の上側には、可動方向切替部82が設けられている。可動方向切替部82は、精査処理の場合は精査切替状態(図5)となり、硬貨の進行方向を変更せず右方向へ搬送させ硬貨の搬送先を収容部90へ切り替える一方、出金処理の場合は出金切替状態となり、第1搬送ベルト66を右方向へ搬送された硬貨の進行方向を90[°]前方向へ変更し搬送先を硬貨出金トレイ28へ切り替える。
【0045】
可動方向切替部82から硬貨出金トレイ28へ向かう経路上には、計数センサ84が設けられている。また可動方向切替部82と収容部90との間には、計数センサ86が設けられている。計数センサ84及び86は、例えば光学センサであり、検出光を遮った硬貨を検出し、検出結果を制御部8へ送出する。制御部8は、計数センサ84及び86から取得した検出結果に基づき、硬貨収納部30から繰り出された硬貨の枚数と、硬貨出金トレイ28及び収容部90に搬送された硬貨の枚数とを比較し、硬貨出金トレイ28及び収容部90に搬送された硬貨の枚数を確定する。
【0046】
収容部90は、硬貨投入口14Aと硬貨繰出部14Bとの間(図2)に設けられている。このため収容部90へ搬送された硬貨は、収容部90へ収容されてから、硬貨繰出部14Bに落下する。
【0047】
[1-4.搬送ガイドの構成]
図6に示すように、収納部搬送ベルト40の左側には、左側搬送ガイド48Lが設けられている。左側搬送ガイド48Lは、収納部搬送ベルト40の左端部に極めて近接する左右方向の位置における、該収納部搬送ベルト40の搬送面40Sよりも上側を含む上下方向の範囲において、収納部搬送ベルト40に沿っている。この左側搬送ガイド48Lは、収納部搬送ベルト40上を搬送される硬貨にその右側面である左側搬送ガイド面48LSを当接させることにより、該硬貨の左方への移動を規制する。
【0048】
収納部搬送ベルト40の右側には、左側搬送ガイド48Lと左右方向に対向するように右側搬送ガイド48Rが設けられている。右側搬送ガイド48Rは、収納部搬送ベルト40の右端部に極めて近接する左右方向の位置における、該収納部搬送ベルト40の搬送面40Sよりも上側を含む上下方向の範囲において、収納部搬送ベルト40に沿っている。この右側搬送ガイド48Rは、収納部搬送ベルト40上を搬送される硬貨にその左側面である右側搬送ガイド面48RSを当接させることにより、該硬貨の右方への移動を規制する。
【0049】
このように左側搬送ガイド48L及び右側搬送ガイド48Rは、収納部搬送ベルト40を搬送幅方向Dwの外側から挟むように水平出金搬送方向Dtに沿って形成されている。このような左側搬送ガイド48Lと右側搬送ガイド48Rとで搬送幅方向Dwへの硬貨の移動が規制された空間に、硬貨が収納部搬送ベルト40により搬送される搬送空間56が形成されている。左側搬送ガイド面48LSと右側搬送ガイド面48RSとの搬送幅方向Dwの間隔であるガイド面間隔d6は、最大径硬貨の直径より数[mm]程度大きく、かつ、最小径硬貨の直径の2倍よりも数[mm]程度小さい間隔に設定されている。
【0050】
[1-5.傾輪解除部の構成]
水平出金搬送部22には、傾輪解除部58が設けられている。傾輪解除部58は、突起部材59、係止部62、誘導部材64及び立位検出センサ65により構成されている。
【0051】
[1-5-1.突起部材の構成]
水平出金搬送部22におけるリバースローラ44よりも水平出金搬送方向Dtの逆方向である逆搬送方向側(後側)には、突起部材59が配置されている。図8に示すように、突起部材59は、それぞれ下側部分に突起部61が、上側部分に付勢部60が形成されている。
【0052】
突起部61は、基部61M、後側傾斜部61B、前側傾斜部61F及び上側傾斜部61Uが形成されている。基部61Mは、左右方向の厚さが薄く前後上下方向に沿う略正方形状の板状部材である。
【0053】
後側傾斜部61Bは、上下方向の厚さが薄く水平方向に沿う略三角形状の板状部材であり、基部61Mの下端部における後側部分から右方向へ向かって突出している。後側傾斜部61Bにおける右側面には、右側搬送ガイド48R側(右側)に向かうに連れて搬送幅方向Dwに対し水平出金搬送方向Dt側(前側)に傾斜する平面である後側傾斜面61BSが形成されている。
【0054】
前側傾斜部61Fは、上下方向の厚さが薄く水平方向に沿う略三角形状の板状部材であり、基部61Mの下端部における前側部分から右方向へ向かって突出している。前側傾斜部61Fにおける右側面には、右側搬送ガイド48R側(右側)に向かうに連れて搬送幅方向Dwに対し逆搬送方向側(後側)に傾斜する平面である前側傾斜面61FSが形成されている。
【0055】
上側傾斜部61Uは、前後方向の厚さが薄く上下左右方向に沿う略三角形状の板状部材であり、基部61Mの前後方向の中央部における後側傾斜部61B及び前側傾斜部61Fの上側から右方向へ向かって突出している。上側傾斜部61Uにおける右側面には、右側搬送ガイド48R側(右側)に向かうに連れて水平方向に対し収納部搬送ベルト40側(下側)に傾斜する平面である上側傾斜面61USが形成されている。
【0056】
図6及び図7に示すように、突起部材59は、付勢部60及び基部61Mを左側搬送ガイド48Lよりも左側に配置させている。また突起部材59は、基部61Mの右側面を左側搬送ガイド48Lの左側面に当接させた状態で、左側搬送ガイド48Lを左右方向に貫通する側面視で英大文字の「T」を180[°]回転させたような形状の突起部孔部48H1を介し、後側傾斜部61B、前側傾斜部61F及び上側傾斜部61Uを、左側搬送ガイド面48LSよりも右側搬送ガイド48R側へ突出させている。
【0057】
付勢部60(図8)は、左右方向の厚さ(板厚)が薄く前後上下方向に沿う平らな略三角形状の金属製の板ばね状の部材であり、下端部が基部61Mに接続されている。また付勢部60は、上端部近傍に穿設された孔部である取付孔部60Hが、左側搬送ガイド48L(図6及び図7)の左側面に例えばねじ止めされることにより、左側搬送ガイド48Lに固定されている。この付勢部60は、右側搬送ガイド48R側に向かって搬送幅方向Dwに沿う右方向へ突起部61を付勢する。
【0058】
また左側搬送ガイド48Lの左側面における突起部材59の近傍には、係止部62が固定されている。係止部62は、平面視で英大文字の「L」のような形状であり、前後上下方向に沿い右方向を向く平面を、外部から力が加えられていない自然状態における突起部材59と左右方向に隙間を空けて配置させている。
【0059】
かかる構成において突起部材59は、図6図7及び図9に示すように、外部から力が加えられていない自然状態(以下では突出状態とも呼ぶ)においては、ほぼ鉛直方向に沿った状態となり、後側傾斜部61B、前側傾斜部61F及び上側傾斜部61Uを、左側搬送ガイド面48LSよりも右側搬送ガイド48R側へ突出させる。このとき、付勢部60の付勢力は、ほぼ掛かっていない状態となっている。
【0060】
一方、突起部材59は、付勢部60が所定の弾性力を有しており、図10及び図11に示すように、後側傾斜部61B、前側傾斜部61F又は上側傾斜部61Uの少なくとも何れかに対し外部から(より具体的には搬送空間56側から)左方向に向けて所定の弾性力よりも大きい力が加えられると、突起部61が左側へ移動するように、取付孔部60H(図8)を支点として左方向に変形するように付勢部60が撓む。突起部61は、付勢部60の下端部と共に離隔方向としての左方向へ移動し退避状態となる。また突起部61は、係止部62に当接すると、左方向への移動が規制される。突起部材59は、突起部61が係止部62に当接した状態において、付勢部60の付勢力が例えば100円硬貨の重量の1倍程度以上、かつ5倍程度(0.005[N]~0.035[N]程度)以下の付勢力になるように、付勢部60における上下方向の長さと、前後方向の幅と、板厚とが設定されている。また係止部62は、突起部61の右端部が左側搬送ガイド面48LSよりも右側に位置した状態、すなわち、突起部61の右端部が突起部孔部48H1に入り込まない状態で、突起部材59に当接するように左右方向の位置が設定されている。
【0061】
ここで、自然状態において、突起部材59は、左側搬送ガイド面48LSにおける突起部61の後端部と誘導部材64との間の前後方向の間隔が、最大径硬貨の直径(例えば26.5[mm])よりも広い隙間である突起誘導部材間隔d1を空けるように配置されている。また突起部材59は、突起部61の下端部が収納部搬送ベルト40の搬送面40Sと最小径硬貨の直径(例えば20[mm])よりも狭い隙間(具体的には最小径硬貨の直径の半分程度)である搬送面突起間隔d2を空けるように配置されている。さらに突起部材59は、突起部61の右端部が左側搬送ガイド面48LSから右方向に向かって突出する左右方向の突出量である突起突出量d7が、搬送面突起間隔d2と同程度の寸法に設定されている。
【0062】
[1-5-2.誘導部材の構成]
水平出金搬送部22における突起部材59よりも逆搬送方向側(後側)には、誘導部材64が配置されている。誘導部材64は、左側搬送ガイド48Lから右側搬送ガイド48Rまでに亘って直線状に延設された部材である。また誘導部材64は、収納部搬送ベルト40の上側において、下端部が収納部搬送ベルト40の搬送面40Sと最小径硬貨の直径(例えば20[mm])よりも僅かに狭い隙間である搬送面誘導部材間隔d3を空けるように配置されている。
【0063】
誘導部材64は、平面視において、右側搬送ガイド48Rから左側搬送ガイド48Lへ左方向に向かうに連れて、搬送幅方向Dwに対し後側へ傾斜している。すなわち誘導部材64は、右側搬送ガイド48R側の端部に対し左側搬送ガイド48L側の端部が逆搬送方向側(後側)に位置するように、搬送幅方向Dwに対し傾斜している。このため、誘導部材64と突起部材59との水平出金搬送方向Dtにおける間隔は、右側搬送ガイド48Rから左側搬送ガイド48Lへ向かうに連れて広くなっている。誘導部材64における、水平出金搬送方向Dtに対する傾斜角度Θ1は、例えば70[°]以下に設定されている。
【0064】
[1-5-3.立位検出センサの構成]
水平出金搬送部22における前後方向に関し突起部材59とリバースローラ44との間のリバースローラ44寄りには、立位検出センサ65が配置されている。立位検出センサ65は、例えば光学センサであり、左側搬送ガイド48Lの左側において、該立位検出センサ65が発する検出光が、該左側搬送ガイド48Lを左右方向に貫通するセンサ孔部48H2を通過する位置に配置されている。立位検出センサ65が発する検出光における搬送面40Sからの上下方向の高さは、最小径硬貨の直径以下であり、かつ、複数枚(例えば3枚)の硬貨の厚さの合計以上に設定されている。立位検出センサ65は、検出光を遮った硬貨を検出し、検出結果を制御部8へ送出する。制御部8は、立位検出センサ65から取得した検出結果に基づき、収納部搬送ベルト40において立位状態(すなわち傾輪状態)となっている硬貨を検出する。
【0065】
[1-6.動作]
かかる構成において硬貨処理装置4は、使用者により投入された硬貨を硬貨収納部30に収納する収納処理を行う際に、それぞれ変形リジェクトシュート47から変形硬貨を、リジェクトシュート20からリジェクト硬貨を水平出金搬送部22の上に落とし、収納部搬送ベルト40を経て硬貨出金トレイ28に搬送し使用者に返却する出金処理を行う。一方、硬貨処理装置4は、硬貨を釣銭として出金する際は、硬貨収納部30から硬貨を繰り出して収納部搬送ベルト40を経て硬貨出金トレイ28に搬送し該硬貨を釣銭として使用者に受け渡す釣銭出金処理を行う。
【0066】
水平出金搬送部22は、硬貨を収納部搬送ベルト40により前方向である水平出金搬送方向Dtへ搬送する。その際、硬貨の放出枚数やタイミングによっては硬貨が重なることがある。リバースローラ44は、回転することにより、硬貨の上に重なった硬貨を収納部搬送ベルト40の上に落とし、硬貨を1枚ずつに分離する。
【0067】
具体的に図12に示すように、収納部搬送ベルト40の搬送面40Sに盤面を当接させた1枚の硬貨CN1は、リバースローラ44の下側を水平出金搬送方向Dtへ通過する。一方、硬貨CN3は、収納部搬送ベルト40の搬送面40Sに盤面を当接させた1枚の硬貨CN2の上側に載るように硬貨CN2と重なっており、リバースローラ44と接触することにより、硬貨CN2から搬送面40Sに落ちる。続いて、硬貨CN2及び硬貨CN3が、1枚ずつリバースローラ44の下側を水平出金搬送方向Dtへ通過する。
【0068】
一方、硬貨CN4は、周側面が搬送面40Sに接触した立位状態となっている。ここで、変形リジェクトシュート47の直下には、直径20[mm]程度の硬貨が収納部搬送ベルト40の上で立ち上がれるだけの高さを有する空間が存在している。このため、変形リジェクトシュート47を落下した硬貨が、落下時の衝突、又は飛び跳ね等の搬送時のイレギュラーな挙動で、硬貨CN4のように、左側搬送ガイド面48LS又は右側搬送ガイド面48RSにもたれ掛かった立位状態で回転する場合がある。また、変形リジェクトシュート47から落下した硬貨に限らず、リジェクトシュート20を落下した硬貨と、硬貨収納部30から放出された硬貨とも、落下時若しくは放出時の衝突、又は飛び跳ね等の搬送時のイレギュラーな挙動で、硬貨CN4のように、立位状態で回転する場合がある。以下では、収納部搬送ベルト40が水平出金搬送方向Dtへ進行しても、左側搬送ガイド面48LS又は右側搬送ガイド面48RSにもたれ掛かった立位状態の硬貨が、下側部分の回転方向が水平出金搬送方向Dtへ向かうように図12中時計回りに回転してしまい、水平出金搬送方向Dtに向かって移動せずにその場に留まってしまう状態を、傾輪状態とも呼ぶ。
【0069】
このように収納部搬送ベルト40において立位状態となっている硬貨CN4は、仮に徐々にリバースローラ44まで搬送されたとしても、図12中反時計回りに回転するリバースローラ44と当接し立位状態で時計回りに回転し続けて傾輪状態を継続するため、リバースローラ44の下側を水平出金搬送方向Dtへ通過できず、リバースローラ44に対する逆搬送方向側に残留してしまう。
【0070】
このように、収納処理及び釣銭出金処理において、返却又は出金されるべき硬貨が硬貨出金トレイ28へ到達しない場合、収納部搬送ベルト40において硬貨が立位状態のままリバースローラ44の上流側に残留している可能性がある。そこで制御部8は、返却又は出金されるべき硬貨が硬貨出金トレイ28へ到達しない場合、収納部搬送ベルト40において立位状態となっている硬貨の姿勢を崩すために、収納部搬送ベルト40の動作を制御する。以下では、返却又は出金されるべき硬貨が硬貨出金トレイ28へ到達したか否かを判断する方法と、立位状態となっている硬貨の姿勢を崩すための制御である硬貨姿勢崩し制御とについて説明する。
【0071】
[1-6-1.硬貨出金トレイへの硬貨の到達の判断]
収納処理において、制御部8は、計数センサ84(図5)から取得した検出結果に基づき、所定の時点から一定時間経過後の判断タイミングまでに硬貨出金トレイ28へ到達した硬貨の枚数が、返却されるべき硬貨の合計枚数に達したか否かを判断する。ここで、所定の時点とは、例えば、硬貨繰出部14Bから最後に硬貨が繰り出された時点、最後にリジェクトシュート20又は変形リジェクトシュート47から硬貨が落下した時点、硬貨出金トレイ28への硬貨の到達が最後に検知された時点等の所定の時点等である。上述したように、返却されるべき硬貨は、変形リジェクトシュート47から落下した変形硬貨及びリジェクトシュート20から落下したリジェクト硬貨である。このとき制御部8は、硬貨出金トレイ28へ到達した硬貨の枚数が、返却されるべき硬貨の合計枚数に達した場合、返却されるべき硬貨が全て硬貨出金トレイ28へ到達したと判断する。一方、制御部8は、所定の時点から一定時間経過後の判断タイミングまでに硬貨出金トレイ28へ到達した硬貨の枚数が、返却されるべき硬貨の合計枚数に達しなかった場合、返却されるべき全ての硬貨は硬貨出金トレイ28へ到達していないと判断する。
【0072】
一方、釣銭出金処理において、制御部8は、計数センサ84(図5)から取得した検出結果に基づき、例えば、硬貨収納部30から最後に硬貨が繰り出された時点から一定時間経過後の判断タイミングまでに硬貨出金トレイ28へ到達した硬貨の枚数が、出金されるべき硬貨の合計枚数に達したか否かを判断する。上述したように、出金されるべき硬貨は、硬貨収納部30から繰り出された硬貨である。このとき制御部8は、硬貨出金トレイ28への到達した硬貨の枚数が、出金されるべき硬貨の合計枚数に達した場合、出金されるべき硬貨が全て硬貨出金トレイ28へ到達したと判断する。一方、制御部8は、判断タイミングまでに硬貨出金トレイ28へ到達した硬貨の枚数が、出金されるべき硬貨の合計枚数に達しなかった場合、出金されるべき全ての硬貨は硬貨出金トレイ28へ到達していないと判断する。
【0073】
[1-6-2.硬貨姿勢崩し制御]
制御部8は、返却又は出金されるべき硬貨が硬貨出金トレイ28へ到達していないと判断した場合、収納部搬送ベルト40において立位状態となっている硬貨の姿勢を崩すために、収納部搬送ベルト40の動作を制御する。例えば、制御部8は、水平出金搬送方向Dtに向けて駆動していた収納部搬送ベルト40を停止させ、収納部搬送ベルト40を逆搬送方向に向けて駆動した後に、再び収納部搬送ベルト40を水平出金搬送方向Dtに向けて駆動する。
【0074】
図13に示すように、収納部搬送ベルト40上に立位状態となっている硬貨CNがある場合、該硬貨CNはリバースローラ44を通過できず、リバースローラ44よりも上流側(逆搬送方向側)である位置P1に残留する。この位置P1にある硬貨CNは、例えば、リバースローラ44及び右側搬送ガイド面48RSに当接している。続いて、制御部8が収納部搬送ベルト40を逆搬送方向に向けて駆動すると、該硬貨CNは逆搬送方向に搬送され、位置P2において誘導部材64に当接する。この位置P2にある硬貨CNは、例えば、誘導部材64及び右側搬送ガイド面48RSに当接している。引き続き制御部8が収納部搬送ベルト40を逆搬送方向に向けて駆動すると、硬貨CNは誘導部材64における搬送幅方向Dwに対する傾斜に沿って位置P3のように左側搬送ガイド48L側に移動し、位置P4において左側搬送ガイド48Lの左側搬送ガイド面48LSに突き当たる。上述したように、自然状態において突起部材59は誘導部材64との間に最大径硬貨の直径よりも広い隙間である突起誘導部材間隔d1を空けるように配置されている。このため硬貨処理装置4は、硬貨姿勢崩し制御を行う際に、突起部61と誘導部材64との間における位置P4に、立位状態の硬貨CNを入り込ませることができる。
【0075】
ここで、左側搬送ガイド面48LSにおけるリバースローラ44の後端部と誘導部材64との間の前後方向の間隔をリバースローラ誘導部材間隔d4とし、リバースローラ誘導部材間隔d4から最小径硬貨の直径を減算した距離をリバースローラ誘導部材間隔最小径硬貨直径差分d5とする。制御部8は、収納部搬送ベルト40がリバースローラ誘導部材間隔最小径硬貨直径差分d5以上に硬貨CNを逆搬送方向に搬送し、さらに、位置P2にある硬貨CNが位置P4まで搬送されるように収納部搬送ベルト40を逆搬送方向に向けて駆動する。これにより制御部8は、位置P4に到達させるまでに最も長い時間収納部搬送ベルト40を逆搬送方向に向けて駆動する必要がある、位置P1に硬貨CNが位置していた場合であっても、該硬貨CNを位置P4まで搬送させることができる。
【0076】
その後、制御部8が再度収納部搬送ベルト40を水平出金搬送方向Dtに向けて駆動すると、図14に示すように、硬貨CNは位置P4から水平出金搬送方向Dtに移動し、突起部材59の突起部61に当接する。
【0077】
ここで、図15に示すように、突起突出量d7は短くとも搬送面突起間隔d2と同程度の寸法に設定されている。また突起部61には、右側搬送ガイド48R側(右側)に向かうに連れて搬送幅方向Dwに対し水平出金搬送方向Dt側(前側)に傾斜する平面である後側傾斜面61BS(図14)が形成されている。このため硬貨CNは、図14及び図15に示すように、水平出金搬送方向Dtに移動する間に、突起部61の後側傾斜面61BSに沿って右側搬送ガイド面48RS側へ傾きながら移動することで位置P5のように硬貨CNの盤面と搬送面40Sとが成す角度Θ2が45[°]以下となり、姿勢を崩し、位置P6のように収納部搬送ベルト40上に倒れる。引き続き制御部8が収納部搬送ベルト40を水平出金搬送方向Dtに向けて駆動すると、硬貨CNは水平出金搬送方向Dtに搬送され、位置P7に示すようにリバースローラ44の下側を通過する。
【0078】
上述したように、突起部材59は、突起部61と板ばね状の付勢部60とにより構成されている。付勢部60は前後上下方向に平らな薄い金属製の板ばね状の部品であるため、左右方向に変形しやすいものの、前後方向及び上下方向には変形しにくい。このため突起部材59の突起部61は、突出状態において搬送幅方向Dwに沿って左方向へ外力が加わった場合の離隔方向への移動量に対して、突出状態において水平出金搬送方向Dtに沿って該外力と同一の強さの外力が加わった場合の水平出金搬送方向Dtへの移動量は小さくなる。このため突起部材59は、後方から前方へ前後方向のうちの一方向である水平出金搬送方向Dtに沿って硬貨CNが突起部61に当接した際に、突起部61を前後方向及び上下方向には逃がさない(すなわち突起部61がほぼ移動しない)ようにし該硬貨CNの姿勢を崩すことができる。
【0079】
以上は硬貨CNが突起部61の後側傾斜面61BSに当接して立位状態から倒れる場合について説明したが、突起部61よりも水平出金搬送方向Dt側において左側搬送ガイド面48LSにもたれ掛かった立位状態の硬貨CNが存在する場合、該硬貨CNは、逆搬送方向に向かって駆動される収納部搬送ベルト40によって逆搬送方向に搬送され突起部61の前側傾斜面61FSに当接して立位状態から倒れる。
【0080】
ところで、変形リジェクトシュート47から落下した変形硬貨は、突起部材59の突起部61に衝突する可能性がある。これに対し、突起部材59は、右側搬送ガイド48R側(右側)に向かうに連れて水平方向に対し収納部搬送ベルト40側(下側)に傾斜する平面である上側傾斜面61USが形成されている。このため突起部材59は、上側傾斜面61USが形成されておらず水平方向に沿う平面に変形硬貨が衝突する場合と比較して、上側傾斜面61USに変形硬貨を衝突させ、上側傾斜面61USに沿って円滑に変形硬貨を収納部搬送ベルト40に向けて落下させることができる。
【0081】
[1-6-3.重なって搬送された硬貨が跳ね飛ばされて突起に挟まれた場合の動作]
次に、重なって搬送された硬貨が跳ね飛ばされる動作について説明する。図16及び図17に示すように、硬貨CN2の上側に硬貨CN3が重なった状態で搬送されると、硬貨CN2はリバースローラ44に接触しないため、収納部搬送ベルト40によりリバースローラ44の下側を通過し、水平出金搬送方向Dtに搬送される。一方、硬貨CN3は、位置P11においてリバースローラ44に接触するため、リバースローラ44の反時計回りの回転により、上後ろ方向に跳ね飛ばされる。このとき、位置P12のように、硬貨CN3が突起部61の右端部と右側搬送ガイド面48RSとに挟まれる状態となる場合がある。以下では、硬貨CN、CN1、CN2、CN3及びCN4をまとめて硬貨CNとも呼ぶ。
【0082】
このとき図18及び図19に示すように、硬貨CN3の自重による荷重が下方向に発生し、上側傾斜面61USに硬貨CN3が接触する。このため突起部61は、硬貨CN3の自重による荷重により、左方向(離隔方向)に押される。またこのとき硬貨CN3は、自重による荷重に加えて、リバースローラ44により跳ね飛ばされた勢いによって突起部61を離隔方向に押すこととなる。突起部61は付勢部60に接続されているため、図18及び図19に示すように、付勢部60が弾性変形することにより、突起部61は左方向(離隔方向)に移動する。このため突起部材59は、突出状態における突起突出量d7が、より短い距離である突起突出量d8へ変化する。
【0083】
このとき、ガイド面間隔d6と突起突出量d8との差分は、硬貨CN3の直径と同等になっている。また上述したように、突起部材59は、突起部61が係止部62に当接した状態において、付勢部60の付勢力が100円硬貨CNの重量(自重)の1倍程度以上かつ5倍程度以下の付勢力になるように、付勢部60における上下方向の長さと、前後方向の幅と、板厚とが設定されている。このため硬貨CN3と突起部61との摩擦力(概ね硬貨CNの荷重の0.1~0.2倍程度)よりも硬貨CN3の自重の方が大きくなり、硬貨CN3は位置P13に示すように収納部搬送ベルト40上に落下する。その後、硬貨CN3は水平出金搬送方向Dtに搬送され、位置P14に示すようにリバースローラ44の下側を通過する。硬貨CN3が落下すると、退避状態において硬貨1枚分以上の外力が加わらなくなるため、突起部61は、付勢部60の付勢力により右方向へ移動し突出状態へ戻る。
【0084】
[1-7.効果等]
以上の構成において硬貨処理装置4は、硬貨姿勢崩し制御を行うことにより、突起部61の後側傾斜面61BSに立位状態の硬貨CNを当接させつつ水平出金搬送方向Dtへ搬送するようにした。このため硬貨処理装置4は、立位状態となっている硬貨CNの姿勢を崩して該硬貨CNの盤面を搬送面40Sに当接させ、リバースローラ44の下側を通過させることができる。これにより硬貨処理装置4は、リバースローラ44の逆搬送方向側に硬貨CNが滞留してしまうことを防止できる。
【0085】
また硬貨処理装置4は、突出状態において左側搬送ガイド面48LSから右側搬送ガイド48R側に突出する突起部61と、板ばねであり突起部61を搬送幅方向Dwに沿って右側搬送ガイド48R側に付勢する付勢部60とにより、突起部材59を構成するようにした。さらに硬貨処理装置4は、付勢部60が突起部61を右側搬送ガイド48R側に付勢する付勢力を、突起部61に対し硬貨CNの1枚分以上の外力が加わった場合に該突起部61が離隔方向に移動する付勢力に設定するようにした。
【0086】
このため硬貨処理装置4は、リバースローラ44により跳ね飛ばされた硬貨CNが突起部61の右端部と右側搬送ガイド面48RSとに挟まれた場合(図16)に、硬貨CNの荷重により付勢部60を弾性変形させて突起部61を離隔方向へ移動させて退避状態とし(図18)、突出状態よりも突起部61と右側搬送ガイド面48RSとの間隔を広げることにより、該硬貨CNを搬送面40Sに落下させることができる。また硬貨処理装置4は、退避状態において硬貨CNの1枚分以上の外力が加わらなくなると、付勢部60の付勢力により突起部材59を突出状態へ戻すことができる。
【0087】
これにより硬貨処理装置4は、硬貨CNが突起部61と右側搬送ガイド面48RSとに挟まれた状態で保持されてしまうことを防止し、リバースローラ44の逆搬送方向側に硬貨CNが滞留してしまうことを防止できる。
【0088】
また硬貨処理装置4は、前後上下方向に沿う板ばねにより付勢部60を構成するようにした。このため硬貨処理装置4は、突出状態において搬送幅方向Dwに沿って左方向へ外力が加わった場合の離隔方向への突起部61の移動量が、突出状態において水平出金搬送方向Dtに沿って該外力と同一の強さの外力が加わった場合の水平出金搬送方向Dtへの突起部61の移動量よりも大きくなるようにできる。これにより突起部材59は、水平出金搬送方向Dtに沿って硬貨CNが突起部61に当接した際に、突起部61を前後方向及び上下方向には移動しないようにして突起部61の姿勢を保持したまま、該硬貨CNの姿勢を崩すことができる。
【0089】
このように硬貨処理装置4は、収納部搬送ベルト40において立位状態となっている硬貨CNの姿勢を崩すことができると共に、硬貨CNの姿勢を崩すための突起部材59と右側搬送ガイド面48RSとの間で硬貨CNが挟み込まれた状態で保持されてしまうことを防止でき、信頼性を保つことができる。
【0090】
さらに硬貨処理装置4は、突出状態の突起部材59に硬貨CNが当接して突起部61が離隔方向へ移動して退避状態(図11)となったとき、突起部61の右端部が左側搬送ガイド面48LSよりも右側に位置した状態、すなわち突起部61の右端部が突起部孔部48H1に入り込まない状態で突起部材59に当接するように係止部62の左右方向の位置を設定するようにした。このため硬貨処理装置4は、突起部材59が退避状態となった際に突起部孔部48H1が開放されてしまい、該突起部孔部48H1に硬貨CNが入り込んでしまうことを防止できる。
【0091】
以上の構成によれば硬貨処理装置4は、硬貨CNが載せられる搬送面40Sを有し、搬送面40Sに載せられた硬貨CNを水平出金搬送方向Dtに搬送する収納部搬送ベルト40と、収納部搬送ベルト40を挟むように対向して配置され、収納部搬送ベルト40の幅方向としての搬送幅方向Dwへの硬貨CNの移動を規制するガイド面としての左側搬送ガイド面48LSを有する左側搬送ガイド48Lと、ガイド面としての右側搬送ガイド面48RSを有する右側搬送ガイド48Rと、左側搬送ガイド48Lの左側搬送ガイド面48LSから右側搬送ガイド48R側に突出した突出状態において硬貨CNの1枚分以上の外力が加わると右側搬送ガイド48Rとの間隔が広がる離隔方向に移動する突起部材59とを設けるようにした。
【0092】
これにより硬貨処理装置4は、突起部材59と右側搬送ガイド面48RSとの間で硬貨CNが挟み込まれた状態で保持されてしまうことを防止できる。
【0093】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.貨幣取扱装置及び硬貨処理装置の構成]
第2の実施の形態による貨幣取扱装置101(図1)は、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1と比較して、硬貨処理装置4に代わる硬貨処理装置104を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。図6と対応する部材に同一符号を付した図20に示すように、第2の実施の形態による硬貨処理装置104は、第1の実施の形態による硬貨処理装置4と比較して、傾輪解除部58に代わる傾輪解除部158が設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0094】
[2-2.傾輪解除部の構成]
第2の実施の形態による傾輪解除部158は、第1の実施の形態による傾輪解除部58と比較して、誘導部材64に代わる誘導部材164が設けられていると共に、突起部材159及び係止部162が追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0095】
誘導部材164は、平面視において、英大文字の「V」のような形状であり、搬送幅方向Dwにおける左側搬送ガイド面48LSと右側搬送ガイド面48RSとの間の中間点(以下ではガイド面間中間点とも呼ぶ)から左側搬送ガイド48Lへ左方向に向かうに連れて搬送幅方向Dwに対し後側へ傾斜していると共に、ガイド面間中間点から右側搬送ガイド48Rへ右方向に向かうに連れて搬送幅方向Dwに対し後側へ傾斜している。すなわち誘導部材164は、ガイド面間中間点に対し左側搬送ガイド48L側及び右側搬送ガイド48R側の端部が逆搬送方向側(後側)に位置するように、搬送幅方向Dwに対し傾斜している。このため、誘導部材164におけるガイド面間中間点よりも左側部分と突起部材59との水平出金搬送方向Dtにおける間隔は、ガイド面間中間点から左側搬送ガイド48Lへ向かうに連れて広くなっている。また、誘導部材164におけるガイド面間中間点よりも右側部分と突起部材159との水平出金搬送方向Dtにおける間隔は、ガイド面間中間点から右側搬送ガイド48Rへ向かうに連れて広くなっている。
【0096】
突起部材159及び係止部162は、右側搬送ガイド48Rに設けられており、1組の突起部材59及び係止部62を平面視で180[°]回転させたような構成となっている。また突起部材159は、突起部材59と水平出金搬送方向Dtに関し同一の位置に配置されている。突起部材159は、右側搬送ガイド48Rを左右方向に貫通する、突起部孔部48H1と同一形状の突起部孔部148H1を介し、突起部61を右側搬送ガイド面48RSよりも左側搬送ガイド48L側へ突出させている。
【0097】
かかる構成において、硬貨姿勢崩し制御が行われ収納部搬送ベルト40が逆搬送方向に向けて駆動されると、収納部搬送ベルト40上におけるガイド面間中間点よりも左側搬送ガイド48L側において立位状態となっている硬貨は、誘導部材164におけるガイド面間中間点よりも左側搬送ガイド48L側における搬送幅方向Dwに対する傾斜に沿って左側搬送ガイド48L側に移動し、左側搬送ガイド48Lの左側搬送ガイド面48LSに突き当たる。一方、収納部搬送ベルト40上におけるガイド面間中間点よりも右側搬送ガイド48R側において立位状態となっている硬貨は、誘導部材164におけるガイド面間中間点よりも右側搬送ガイド48R側における搬送幅方向Dwに対する傾斜に沿って右側搬送ガイド48R側に移動し、右側搬送ガイド48Rの右側搬送ガイド面48RSに突き当たる。
【0098】
ここで、硬貨処理装置4の傾輪解除部58(図13)の場合、右側搬送ガイド面48RSに当接し位置P1に位置している硬貨CNを位置P4まで到達させるためには、右側搬送ガイド面48RSに対し搬送幅方向Dwに関して離隔している左側搬送ガイド面48LSまで誘導部材64に当接させつつ硬貨CNを搬送する必要があったため、収納部搬送ベルト40を逆搬送方向に向けて長時間駆動する必要があったと共に、収納部搬送ベルト40を逆搬送方向に向けて一定時間駆動しただけでは右側搬送ガイド面48RSまで搬送しきれない可能性があった。
【0099】
これに対し硬貨処理装置104の傾輪解除部158は、誘導部材164を、平面視において、ガイド面間中間点から左方向に向かうに連れて搬送幅方向Dwに対し後側へ傾斜させると共に、ガイド面間中間点から右方向に向かうに連れて搬送幅方向Dwに対し後側へ傾斜させるようにした。このため硬貨処理装置104は、収納部搬送ベルト40上におけるガイド面間中間点よりも右側搬送ガイド48R側において立位状態となっている硬貨を、搬送幅方向Dwに関し離隔した左側搬送ガイド48L側ではなく近接した右側搬送ガイド48R側へ誘導部材164に当接させつつ搬送し、該硬貨を突起部材159に当接させて姿勢を崩すことができる。これにより硬貨処理装置104は、硬貨処理装置4と比較して、硬貨姿勢崩し制御に要する時間を短縮できる。
【0100】
また硬貨処理装置104は、硬貨処理装置4と比較して、突起部材159及び係止部162を追加するようにした。このため硬貨処理装置104は、硬貨処理装置4と比較して、立位状態の硬貨をより一層倒しやすくすることができる。
【0101】
その他の点においても、第2の実施の形態による貨幣取扱装置101の硬貨処理装置104は、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1の硬貨処理装置4と同様の作用効果を奏し得る。
【0102】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.貨幣取扱装置及び硬貨処理装置の構成]
第3の実施の形態による貨幣取扱装置201(図1)は、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1と比較して、硬貨処理装置4に代わる硬貨処理装置204を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。図6と対応する部材に同一符号を付した図21に示すように、第3の実施の形態による硬貨処理装置204は、第1の実施の形態による硬貨処理装置4と比較して、傾輪解除部58に代わる傾輪解除部258が設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0103】
[3-2.傾輪解除部の構成]
第3の実施の形態による傾輪解除部258は、第1の実施の形態による傾輪解除部58と比較して、突起部材59に代わる突起部材259と、係止部62に代わる係止部262とが設けられている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0104】
突起部材259は、突起部261及び付勢部260により構成されている。突起部261は、第1の実施の形態による突起部材59から付勢部60が省略された突起部61のみのような構成となっている。付勢部260は、中心軸を搬送幅方向Dwに沿わせた圧縮コイルばねであり、それぞれ左端部が係止部262に、右端部が突起部261に固定されている。この付勢部260は、右側搬送ガイド48R側に向かって搬送幅方向Dwに沿う右方向へ突起部261を付勢する。
【0105】
係止部262は、左側搬送ガイド48Lの左側面における突起部材259の近傍に固定されており、平面視で英大文字の「U」のような形状であり、前後上下方向に沿い右方向を向く平面を突起部261と左右方向に隙間を空けて配置させている。
【0106】
かかる構成において突起部261は、外部から力が加えられていない自然状態(突出状態)においては、左側搬送ガイド面48LSよりも右側搬送ガイド48R側へ突出している。このとき、付勢部260の付勢力は、ほぼ掛かっていない状態となっている。
【0107】
一方、突起部材259は、搬送空間56から外部から左方向へ向けて押されることにより付勢部260の弾性力よりも大きい力が加えられると、付勢部260が自然状態から圧縮されることにより、突起部261が離隔方向としての左側へ移動し退避状態となる。また突起部261は、付勢部260が所定の長さまで圧縮されると、左方向への移動が規制される。
【0108】
第3の実施の形態による貨幣取扱装置201の硬貨処理装置204は、第1の実施の形態による貨幣取扱装置1の硬貨処理装置4と同様の作用効果を奏し得る。
【0109】
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置4は、付勢部60を板ばねにより構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、他の種々の弾性部材により付勢部60を構成しても良い。その場合、硬貨処理装置4は、突出状態において搬送幅方向Dwに沿って左方向へ外力が加わった場合の離隔方向への突起部61の移動量が、突出状態において水平出金搬送方向Dtに沿って該外力と同一の強さの外力が加わった場合の水平出金搬送方向Dtへの突起部61の移動量よりも大きくなるような弾性部材からなる付勢部60を用いることが好ましい。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0110】
また上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置4は、突起部材59を付勢部60及び突起部61により構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、突出状態において硬貨1枚分以上の外力が加わると離隔方向に移動して退避状態となり、退避状態において硬貨1枚分以上の外力が加わらなくなると自重で突出状態へ戻るような突起部材を用いても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0111】
さらに上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置4は、左側搬送ガイド48Lに1つの突起部材59を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、左側搬送ガイド48Lに2つ以上の任意の個数の突起部材59を設けても良く、右側搬送ガイド48Rに1つ以上の任意の個数の突起部材59を設けても良い。第3の実施の形態においても同様である。さらに第2の実施の形態による硬貨処理装置104は、2組以上の任意の組数の突起部材59及び係止部62と、2組以上の任意の組数の突起部材159及び係止部162とを設けても良い。
【0112】
さらに上述した第1の実施の形態において硬貨処理装置4は、突起部材59よりも逆搬送方向側に誘導部材64を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、突起部材59よりも逆搬送方向の誘導部材64に代えて、又は、突起部材59よりも逆搬送方向の誘導部材64と共に、突起部材59よりも水平出金搬送方向Dtに誘導部材64を配置しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0113】
さらに上述した第2の実施の形態において硬貨処理装置104は、突起部材159を突起部材59と水平出金搬送方向Dtに関し同一の位置に配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置104は、突起部材159を突起部材59と水平出金搬送方向Dtに関し異なる位置に配置しても良い。
【0114】
さらに上述した第2の実施の形態において硬貨処理装置104は、誘導部材164を平面視において左側搬送ガイド48Lから右側搬送ガイド48Rまでに亘って搬送幅方向Dwに沿って直線状に延設する場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置104は、誘導部材164を平面視において左側搬送ガイド48Lから右側搬送ガイド48Rまでに亘って搬送幅方向Dwに対し傾斜するように直線状に延設しても良い。
【0115】
さらに上述した実施の形態において硬貨処理装置4は、使用者により投入された硬貨CNを硬貨収納部30に収納する収納処理と、硬貨収納部30から硬貨CNを繰り出して該硬貨CNを釣銭として硬貨出金トレイ28に出金する釣銭出金処理とを含む出金処理において硬貨姿勢崩し制御を行う場合について述べた。本発明はこれに限らず、硬貨処理装置4は、精査処理及び回収処理等の他の処理においても収納部搬送ベルト40で硬貨CNが立位状態となり得るため、精査処理及び回収処理等においても、収納部搬送ベルト40に立位状態となっている硬貨CNが存在する場合には、硬貨崩し駆動の制御を行っても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0116】
さらに上述した実施の形態においては、使用者との間で種々の取引を行うレジ釣銭機である硬貨処理装置4、104又は204に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばセルフ精算機等、硬貨を取り扱う他の種々の装置に本発明を適用しても良い。
【0117】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも適用範囲が及ぶものである。
【0118】
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送ベルトとしての収納部搬送ベルト40と、第1の搬送ガイド及び第2の搬送ガイドとしての左側搬送ガイド48L及び右側搬送ガイド48Rと、突起部材としての突起部材59とによって、硬貨処理装置としての硬貨処理装置4を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送ベルトと、第1の搬送ガイド及び第2の搬送ガイドと、突起部材とによって、硬貨処理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、例えば使用者との間で硬貨に関する取引処理を行う硬貨処理装置等で利用できる。
【符号の説明】
【0120】
1、101、201……貨幣取扱装置、2……紙幣処理装置、4、104、204……硬貨処理装置、6……筐体、8……制御部、9……紙幣入金口、10……紙幣出金口、11……表示操作部、12……レシートプリンタ、14……硬貨入金部、14A……硬貨投入口、14B……硬貨繰出部、15……硬貨送出部、16……硬貨鑑別部、17……入金搬送部、18……リジェクト孔、19……受入孔、20……リジェクトシュート、21……金種別シュート、22……水平出金搬送部、23……変形硬貨検出部、24……回収庫、26……リフト搬送部、28……硬貨出金トレイ、30……硬貨収納部、32……リジェクトゲート、34……金種別ゲート、36……搬送ガイド、38……ピンベルト、38B……無端ベルト、38P……ピン、40……収納部搬送ベルト、40S……搬送面、42……プーリ、44……リバースローラ、45……変形リジェクト孔、46……変形リジェクトゲート、47……変形リジェクトシュート、48L……左側搬送ガイド、48LS……左側搬送ガイド面、48H1、148H1……突起部孔部、48H2……センサ孔部、48R……右側搬送ガイド、48RS……右側搬送ガイド面、50……可動方向切替部、54……方向切替部、56……搬送空間、58、158、258……傾輪解除部、59、159、259……突起部材、60、260……付勢部、60H……取付孔部、61、261……突起部、61M……基部、61B……後側傾斜部、61BS……後側傾斜面、61F……前側傾斜部、61FS……前側傾斜面、61U……上側傾斜部、61US……上側傾斜面、62、162、262……係止部、64、164……誘導部材、65……立位検出センサ、66……第1搬送ベルト、70……第2搬送ベルト、72……収容部出金トレイ受渡部、74……下側最終プーリ、76……大型従動プーリ、78……上側最終プーリ、80……放出抑えガイド、82……可動方向切替部、84、86……計数センサ、90……収容部、Dt……水平出金搬送方向、d1……突起誘導部材間隔、d2……搬送面突起間隔、d3……搬送面誘導部材間隔、d4……リバースローラ誘導部材間隔、d5……リバースローラ誘導部材間隔最小径硬貨直径差分、d6……ガイド面間隔、d7、d8……突起突出量、Θ1……傾斜角度。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21