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特開2024-176406生育状態推定装置、植物管理システム、生育状態推定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176406
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】生育状態推定装置、植物管理システム、生育状態推定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20241212BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20241212BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G7/00 601A
A01G31/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094911
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】初谷 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】王 俊善
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 平理
【テーマコード(参考)】
2B022
2B314
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B022DA12
2B022DA17
2B314MA11
2B314MA17
2B314PB20
2B314PB22
2B314PB44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業者の熟練度などによらずに植物の生育状態を把握できることが望まれている。
【解決手段】生育状態推定装置は、植物の葉の張りに関する複数の指標を取得する取得部を備えてよい。生育状態推定装置は、前記植物の葉の張りに関する複数の指標と植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記取得部により取得された前記複数の指標とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部を備えてよい。前記複数の指標は、葉の硬さ、葉の厚み、葉脈の密度、茎の太さ、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度のうちの少なくとも2つを含でよい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の葉の張りに関する複数の指標を取得する取得部と、
前記植物の葉の張りに関する複数の指標と植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記取得部により取得された前記複数の指標とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部と
を備える生育状態推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記複数の指標を説明変数として、前記植物の生育状態を目的変数とする学習済み予測モデルに基づいて、前記植物の生育状態を推定する、請求項1に記載の生育状態推定装置。
【請求項3】
前記複数の指標は、葉の硬さ、葉の厚み、葉脈の密度、茎の太さ、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度のうちの少なくとも2つを含む、請求項1に記載の生育状態推定装置。
【請求項4】
前記取得部は、
硬度計による測定結果に基づく葉の硬さを取得し、
厚み計測器による測定結果に基づく葉の厚みを取得し、
厚み計測器による測定結果または撮像装置により撮像された前記植物の画像の画像解析の結果に基づく茎の太さを取得し、または
撮像装置により撮像された前記植物の画像の画像解析の結果に基づく葉脈の密度、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度の少なくとも1つを取得する、請求項3に記載の生育状態推定装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つに記載の生育状態推定装置と、
前記推定部による前記植物の生育状態の推定結果に応じた予め定められた条件に従って、前記植物が栽培されている植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御する環境制御部と
を備える植物管理システム。
【請求項6】
前記予め定められた条件は、前記植物の生育状態と、培地の含水量、電気伝導度、水素イオン指数、前記植物の周囲の温度、湿度、前記植物に照射される光量、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つとの関係を示し、
前記環境制御部は、前記予め定められた条件に従って、前記環境制御設備を制御することで、培地の含水量、電気伝導度、水素イオン指数、前記植物の周囲の温度、湿度、前記植物に照射される光量、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つを調整する、請求項5に記載の植物管理システム。
【請求項7】
前記複数の指標は、葉の硬さ、葉の厚み、葉脈の密度、茎の太さ、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度のうちの少なくとも2つを含み、
前記取得部は、
硬度計による測定結果に基づく葉の硬さを取得し、
厚み計測器による測定結果に基づく葉の厚みを取得し、
厚み計測器による測定結果または撮像装置により撮像された前記植物の画像の画像解析の結果に基づく茎の太さを取得し、または
前記植物の画像の画像解析の結果に基づく葉脈の密度、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度の少なくとも1つを取得し、
前記植物管理システムは、
前記硬度計、前記厚み計測器、及び前記撮像装置の少なくとも1つを保持するアームを備える移動体を前記植物工場内で移動させて、前記硬度計、前記厚み計測器、及び前記撮像装置の少なくとも1つに前記植物の前記複数の指標に関する測定を実行させる移動体制御部をさらに備える、請求項5に記載の植物管理システム。
【請求項8】
前記環境制御設備は、前記植物に肥料成分を含む養液を供給する養液供給設備を含み、
前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、予め定められた生育状態となるように、前記養液供給設備により前記植物に供給される養液の肥料濃度を調整する、請求項5に記載の植物管理システム。
【請求項9】
前記環境制御設備は、前記植物が栽培されている培地に水分を供給する潅水設備を含み、
前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、予め定められた生育状態となるように、前記潅水設備による前記培地への潅水量を調整する、請求項5に記載の植物管理システム。
【請求項10】
前記環境制御設備は、前記植物に人工光を照射する光源を有する光源設備を含み、
前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、予め定められた生育状態となるように、前記光源設備により前記植物へ照射される光量及び照射時間を調整する、請求項5に記載の植物管理システム。
【請求項11】
取得部が、植物の葉の張りに関する複数の指標を取得する段階と、
推定部が、前記植物の葉の張りに関する複数の指標と植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記取得部により取得された前記複数の指標とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階と
を備える生育状態推定方法。
【請求項12】
植物の葉の張りに関する複数の指標を取得する取得部と、
前記植物の葉の張りに関する複数の指標と植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記取得部により取得された前記複数の指標とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部と
してコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育状態推定装置、植物管理システム、生育状態推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、摘果前の画像データと摘果後の画像データから学習データを生成し、未知の摘果前の農作物を示す未知画像データを入力して、学習した学習モデルにより摘果対象物を推定することが記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2022-114418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作業者の熟練度などによらずに植物の生育状態を把握できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る生育状態推定装置は、植物の葉の張りに関する複数の指標を取得する取得部を備えてよい。前記生育状態推定装置は、前記植物の葉の張りに関する複数の指標と植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記取得部により取得された前記複数の指標とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部を備えてよい。
【0005】
前記生育状態推定装置において、前記推定部は、前記複数の指標を説明変数として、前記植物の生育状態を目的変数とする学習済み予測モデルに基づいて、前記植物の生育状態を推定してよい。
【0006】
いずれかの前記生育状態推定装置において、前記複数の指標は、葉の硬さ、葉の厚み、葉脈の密度、茎の太さ、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度のうちの少なくとも2つを含でよい。
【0007】
いずれかの前記生育状態推定装置において、前記取得部は、硬度計による測定結果に基づく葉の硬さを取得してよい。前記取得部は、厚み計測器による測定結果に基づく葉の厚みを取得してよい。前記取得部は、厚み計測器による測定結果または撮像装置により撮像された前記植物の画像の画像解析の結果に基づく茎の太さを取得してよい。または、前記取得部は、撮像装置により撮像された前記植物の画像の画像解析の結果に基づく葉脈の密度、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度の少なくとも1つを取得してよい。
【0008】
本発明の一態様に係る植物管理システムは、いずれかの前記生育状態推定装置と、前記推定部による前記植物の生育状態の推定結果に応じた予め定められた条件に従って、前記植物が栽培されている植物工場内の環境を制御する環境制御設備を制御する環境制御部とを備えてよい。
【0009】
前記植物管理システムにおいて、前記予め定められた条件は、前記植物の生育状態と、培地の含水量、電気伝導度、水素イオン指数、前記植物の周囲の温度、湿度、前記植物に照射される光量、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つとの関係を示してよい。前記環境制御部は、前記予め定められた条件に従って、前記環境制御設備を制御することで、培地の含水量、電気伝導度、水素イオン指数、前記植物の周囲の温度、湿度、前記植物に照射される光量、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つを調整してよい。
【0010】
いずれかの前記植物管理システムにおいて、前記複数の指標は、葉の硬さ、葉の厚み、葉脈の密度、茎の太さ、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度のうちの少なくとも2つを含でよい。前記取得部は、硬度計による測定結果に基づく葉の硬さを取得してよい。前記取得部は、厚み計測器による測定結果に基づく葉の厚みを取得してよい。前記取得部は、厚み計測器による測定結果または撮像装置により撮像された前記植物の画像の画像解析の結果に基づく茎の太さを取得してよい。または、前記取得部は、撮像装置により撮像された前記植物の画像の画像解析の結果に基づく葉脈の密度、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度の少なくとも1つを取得してよい。前記植物管理システムは、前記硬度計、前記厚み計測器、及び前記撮像装置の少なくとも1つを保持するアームを備える移動体を前記植物工場内で移動させて、前記硬度計、前記厚み計測器、及び前記撮像装置の少なくとも1つに前記植物の前記複数の指標に関する測定を実行させる移動体制御部をさらに備えてよい。
【0011】
いずれかの前記植物管理システムにおいて、前記環境制御設備は、前記植物に肥料成分を含む養液を供給する養液供給設備を含んでよい。前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、予め定められた生育状態となるように、前記養液供給設備により前記植物に供給される養液の肥料濃度を調整してよい。
【0012】
いずれかの前記植物管理システムにおいて、前記環境制御設備は、前記植物が栽培されている培地に水分を供給する潅水設備を含んでよい。前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、予め定められた生育状態となるように、前記潅水設備による前記培地への潅水量を調整してよい。
【0013】
いずれかの前記植物管理システムにおいて、前記環境制御設備は、前記植物に人工光を照射する光源を有する光源設備を含んでよい。前記環境制御部は、前記推定部により推定された前記植物の生育状態が、予め定められた生育状態となるように、前記光源設備により前記植物へ照射される光量及び照射時間を調整してよい。
【0014】
本発明の一態様に係る生育状態推定方法は、取得部が、植物の葉の張りに関する複数の指標を取得する段階を備えてよい。前記生育状態推定方法は、推定部が、前記植物の葉の張りに関する複数の指標と植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記取得部により取得された前記複数の指標とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する段階を備えてよい。
【0015】
本発明の一態様に係るプログラムは、植物の葉の張りに関する複数の指標を取得する取得部としてコンピュータを機能させてよい。前記プログラムは、前記植物の葉の張りに関する複数の指標と植物の生育状態との関係を示す関係情報と、前記取得部により取得された前記複数の指標とに基づいて、前記植物の生育状態を推定する推定部として前記コンピュータを機能させてよい。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】植物管理システムの全体構成の機能ブロックの一例を示す図である。
図2】移動式ロボットが、植物工場内を移動する様子を示す図である。
図3】葉の着生角度について説明するための図である。
図4】植物管理装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図5】葉の張りに応じた環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
図6】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
野菜、青果、または生花などの植物を所望の生育状態で収穫するためには、栽培過程において、植物の生育状態を把握することが重要である。植物の生育状態によっては、植物が存在する環境を制御する必要があるからである。ここで、熟練者は、植物の葉の張りを確かめることで、植物の生育状態を把握する場合がある。しかしながら、経験が少ない作業者が、植物の葉の張りを確かめることで、植物の生育状態を把握することは容易ではない。したがって、作業者の熟練度などによらずに植物の葉の張りに基づいて植物の生育状態を把握できることが望まれている。
【0020】
そこで、本実施形態では、作業者の熟練度などによらずに植物の葉の張りに基づいて植物の生育状態を推定可能なシステムを提供する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る植物管理システムの全体構成の機能ブロックの一例を示す図である。植物管理システムは、ガター20、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、送風設備80、センサ90、及び植物管理装置100を備える。光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80は、環境制御設備の一例である。本実施形態では、植物工場10は、LEDまたは白熱灯などの人工光を光源として利用して植物30を栽培する人工光型植物工場である。しかし、植物工場10は、太陽光を光源として利用して植物30を栽培する太陽光型植物工場でもよい。
【0022】
複数のガター20は、野菜、青果、または生花などの植物30を栽培する。1または複数のガター20のセットごとに播種日をずらすことで、異なる収穫時期に植物30が収穫できるように調整されてよい。また、複数のガター20は、1または複数のガター20ごとに、別々の空間12に設置され、環境制御設備により空間12内の環境が個別に制御されることで、空間12ごとに異なる環境状態で植物30が栽培されてよい。空間は、断熱性及び気密性の高い空間でよい。植物管理装置100は、ガター20のセットごとに環境状態を個別に制御してよい。なお、植物30の種類によっては、植物30は、複数の栽培棚が積層された栽培ユニットで栽培されてもよい。
【0023】
光源設備40は、LEDまたは白熱灯などの人工光を照射する複数の光源42備え、複数の光源42のそれぞれから植物30に人工光を照射する。複数の光源42は、ガター20の栽培面に対向して配置されてよい。
【0024】
養液供給設備50は、ポンプ52及びパイプ54を有し、ポンプ52及びパイプ54を介して、ガター20にカリウムまたはカルシウムなどの各肥料成分を含む養液を供給する。養液供給設備50は、肥料濃度を適宜調整して、肥料濃度が調整された養液を植物30に供給する。養液供給設備50は、肥料濃度が調整された養液を霧状にして、植物30の根部分に噴霧することで植物30に養液を供給してもよい。養液供給設備50は、植物30が栽培されている培地に水分を供給する潅水設備として機能してもよい。ガター20に供給される潅水量は、養液供給設備50からガター20に供給される養液の量を調整することで、調整されてよい。
【0025】
二酸化炭素供給設備60は、タンク62及びノズル64を有する。タンク62は、二酸化炭素を貯蔵する。二酸化炭素供給設備60は、タンク62に貯蔵された二酸化炭素をノズル64を介して植物工場10内のそれぞれの空間12に供給する。
【0026】
空調設備70は、植物工場10内の空気を調温及び調湿し、調温及び調湿された空気をそれぞれの空間内に循環させる。送風設備80は、植物工場10内に風を供給するサーキュレータまたは扇風機を含む。センサ90は、植物30の周囲の環境状態、及び植物30の生育状態を計測する各種センサを含む。センサ90は、植物30の茎・葉・実部分の温度、湿度、光量、及び二酸化炭素濃度をそれぞれ測定する各種センサを含む。センサ90は、植物30を撮像する撮像装置を含んでもよい。
【0027】
植物管理装置100は、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80を制御することで、植物30の生育状態を制御する。植物管理装置100は、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80と無線ネットワークまたは有線ネットワークを介して互いに通信する。植物管理装置100は、生育状態推定装置の一例である。
【0028】
植物管理装置100は、中央処理装置(CPU)及びメモリを有するコンピュータでよい。光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80は、中央処理装置(CPU)及びメモリを有するコンピュータを備えてよい。
【0029】
コンピュータは、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。コンピュータは、植物工場の環境制御用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。コンピュータは、仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。コンピュータを用いる場合、植物管理装置100、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80は、中は、コンピュータによりプログラムを実行することによって実現される。
【0030】
図2は、移動式ロボット200が、植物工場10内を移動する様子を示す。移動式ロボット200は、地上を移動する車両である。移動式ロボット200は、空中を移動する無人航空機などの飛行体、水上を移動する船舶でもよい。移動式ロボット200は、植物30を栽培するガター20の間を移動してよい。
【0031】
移動式ロボット200は、アーム210と、アーム210の先端に設けられた測定ユニット212とを備える。アーム210は、移動式ロボット200の本体に回動自在に設けられた多関節アームユニットでよい。測定ユニット212は、硬度計、厚み計測器、及び撮像装置を含んでよい。移動式ロボット200の構成は一例であり、測定ユニット212により植物30の生育状態を推定するのに必要な各種測定を行えるのであれば、任意の構成でよい。
【0032】
硬度計は、植物30の葉の硬度(硬さ)を計測してよい。移動式ロボット200は、アーム210に設けられた撮像装置で画像認識することで、硬度計で葉の葉脈以外の葉身部分の硬度を計測できるようにアーム210を制御してよい。
【0033】
厚み計測器は、葉の厚みを計測してよい。厚み計測器は、デジタルノギスまたはマイクロメータでよい。移動式ロボット200は、アーム210に設けられた撮像装置で画像認識することで、厚み計測器で葉の葉脈以外の葉身部分の厚みを計測できるようにアーム210を制御してよい。
【0034】
厚み計測器は、植物30の茎の太さを計測してよい。厚み計測器は、植物30の主軸または側軸の太さを茎の太さとして計測してよい。移動式ロボット200は、アーム210に設けられた撮像装置で画像認識することで、厚み計測器で茎の太さを計測できるようにアーム210を制御してよい。植物管理装置100は、撮像装置で撮像された植物30の画像を画像解析することで、茎の太さを計測してもよい。
【0035】
さらに、植物管理装置100は、撮像装置で撮像された植物30の画像を画像解析することで、植物30の葉脈の密度、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度の少なくとも1つを特定してよい。なお、葉の着生角度とは、図3に示すように、枝条32と葉柄34との成す角度αである。撮像装置は、2眼式3DカメラまたはToF(Time of Flight)カメラでもよい。
【0036】
なお、硬度計または厚み計測器による植物30の計測は、作業者が行い、作業者が計測結果を植物管理装置100に入力してもよい。
【0037】
測定ユニット212は、植物30の周囲の環境状態、及び植物30の生育状態を計測する各種センサをさらに含んでよい。測定ユニット212は、植物30の茎・葉・実部分の温度、湿度、光量、及び二酸化炭素濃度をそれぞれ測定する各種センサを含んでよい。
【0038】
図4は、植物管理装置100の機能ブロックの一例を示す図である。植物管理装置100は、取得部102、推定部104、生成部120、環境制御部140、移動体制御部150、及び記憶部130を備える。記憶部130は、植物管理装置100で動作するプログラムを記憶する。プログラムは、植物管理装置100が備えるプロセッサ上で実行されることで取得部102、推定部104、及び環境制御部140としてプロセッサを機能させる。
【0039】
取得部102は、植物30の葉の張りに関する複数の指標を取得する。植物30の葉の張りに関する指標は、植物30の葉の張りと相対的な関係を有する植物30の特性に関する測定値でよい。複数の指標は、植物30の葉の硬さ、葉の厚み、葉脈の密度、茎の太さ、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度のうちの少なくとも2つを含んでよい。
【0040】
取得部102は、硬度計による測定結果に基づく葉の硬さを取得してよい。取得部102は、厚み計測器による測定結果に基づく葉の厚みを取得してよい。取得部102は、厚み計測器による測定結果または撮像装置により撮像された植物30の画像の画像解析の結果に基づく茎の太さを取得してよい。取得部102は、撮像装置により撮像された植物30の画像の画像解析の結果に基づく葉脈の密度、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度の少なくとも1つを取得してよい。
【0041】
取得部102は、移動式ロボット200に搭載された測定ユニット212から、上記の複数の指標を取得してよい。取得部102は、測定ユニット212から取得した植物30の画像について画像解析を行うことで、茎の太さ、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度のうちの少なくとも1つを特定してよい。
【0042】
移動体制御部150は、植物工場10内を移動する移動式ロボット200を制御する。移動体制御部150は、予め定められたスケジュールに従って、移動式ロボット200を予め定められた計測地点まで移動させて、測定ユニット212に、植物30の葉の張りに関する複数の指標を計測させてよい。移動体制御部150は、移動式ロボット200を植物工場10内で移動させて、硬度計、厚み計測器、及び撮像装置の少なくとも1つに植物30の複数の指標に関する測定を実行させてよい。
【0043】
推定部104は、植物30の葉の張りに関する複数の指標と植物30の生育状態との関係を示す関係情報と、取得部102により取得された複数の指標とに基づいて、植物30の生育状態を推定する。植物30の生育状態は、植物30の個体重量、植物30の品質(大きさ、色、味など)、または植物30の生理障害の発生状態などの健康状態を示してよい。
【0044】
推定部104が、葉の張りに関する複数の指標に基づいて、植物30の生育状態を推定することで、より精度よく植物30の生育状態を特定できる。植物30の生育状態の推定の誤差が小さくなるので、植物管理装置100が植物30の生育状態の推定に係る処理負担を低減できる。推定部104は、植物30の葉の張りに関する少なくとも2つの指標に注目して、植物30の生育状態を推定することで、植物30に関する多種多様な大量の指標に基づいて植物30の生育状態を推定する場合に比べて、推定部104での推定に必要なデータ処理の負担を大幅に削減できる。
【0045】
推定部104は、植物30の葉の張りに関する複数の指標を説明変数として、植物30の生育状態を目的変数とする学習済み予測モデルに基づいて、植物30の生育状態を推定してよい。
【0046】
生成部120は、植物30の葉の張りに関する複数の指標を示す指標データを説明変数として、植物30の生育状態を示す生育状態データを目的変数として、教師あり学習のアルゴリズムに従って機械学習を行うことにより、植物30の葉の張りに関する複数の指標から植物30の生育状態を予測する学習済み予測モデルを生成し、学習済みモデルを記憶部130に格納してよい。アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、重回帰分析、決定木などの任意の方式のアルゴリズムでよい。
【0047】
生成部120は、N個の指標に基づいてN次元の指標分布データを生成してよい。生成部120は、指標分布データを説明変数として、植物30の生育状態データを目的変数として、教師あり学習のアルゴリズムに従って機械学習を行うことにより、それぞれの指標から植物30の生育状態を予測する学習済み予測モデルを生成し、学習済みモデルを記憶部130に格納してよい。アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、重回帰分析、決定木などの任意の方式のアルゴリズムでよい。
【0048】
生成部120は、前処理部122、モデル生成部126、及びモデル更新部128を有してよい。
【0049】
前処理部122は、記憶部130に記憶された複数の指標データ及び生育状態データに前処理を行い、前処理したデータをモデル生成部126に供給する。前処理部122は、学習のための前処理を行ってよい。
【0050】
モデル生成部126は、指標データ及び生育状態データを用いて、指標データから生育状態データを予測する学習済みモデルを生成して、記憶部130に格納する。モデル更新部128は、指標データ及び生育状態データを用いて、学習済みモデルを更新する。
【0051】
前処理部122は、指標データ及び生育状態データを測定ユニット212からの測定値または画像の取得時間に応じて対応付けてよい。前処理部122は、一例として、測定値または画像の取得時間に応じて、同じ取得日毎に、または異なる取得日もしくは同じ取得日の同じ時間間隔毎に、指標データ及び生育状態データを対応付けてよい。
【0052】
前処理部122は、時系列の測定値などのデータの欠損補間を行ってよい。前処理部122は、データが存在しない期間について、線形補間またはスプライン補完等の補完アルゴリズムを用いてデータを補完してよい。前処理部122は、データのうち、複数のデータの平均値との差が、ユーザにより予め定められた閾値を超える場合に、当該データを外れ値として削除または時間軸で前後のデータと同じ値に変更してよい。前処理部122は、データの予め定められた桁以下の切り捨て等により丸め処理を行ってよい。前処理部122は、指標データ及び生育状態データを離散化し、各栽培期間(播種、育苗、定植、緑化)における栽培エリアと対応付けてよい。
【0053】
前処理部122は、指標データ及び生育状態データの特徴量を抽出する前処理を行ってよい。前処理部122は、指標データ及び生育状態データの少なくとも一方のデータについて、積算値、微分値、平均値、分散値、及び日中成分と夜間成分を分離したデータの少なくとも1つを特徴量として抽出してよい。前処理部122は、予め定められた期間毎のデータの積算値を特徴量として算出してよい。前処理部122は、一例として、3時間毎に、障害の発生数、温度、または湿度等の積算値を特徴量として抽出してよい。このように、積算値を算出することで、遅れて現れる影響を知ることができる。前処理部122は、複数のデータ取得時間におけるデータの微分値を算出して、微分値を特徴量として抽出してよい。前処理部122は、時間軸で推移するデータを、日中成分と夜間成分の合成波とみなして、日中成分と夜間成分との一方を補完(例えばスプライン補完)または周波数分解手法(例えばフーリエ変換等)により分離してよい。そして、前処理部122は、分離した日中成分及び夜間成分の一方とセンサデータの間の差分を、日中成分及び夜間成分の他方として分離してよい。
【0054】
前処理部122は、栽培期間または時間帯(昼と夜)等の区間で前処理したデータを区切り、区間毎の前処理したデータ(平均値、分散値等)を説明変数としてデータセットを作成してよい。前処理部122は、前処理したデータセットをモデル生成部126に供給する。
【0055】
モデル生成部126は、取得部102が取得した各種の指標を示す指標データから特定された生育状態データのうちの一部を、モデル生成用のデータとして前処理部122から受信して、当該モデル生成用のデータを用いて、学習済みモデルを生成してよい。
【0056】
また、モデル更新部128は、複数の指標のセットに対応する植物30の生育状態と、学習済みモデルで指標データから予測した植物30の生育状態とを比較して、当該学習済みモデルを更新してよい。
【0057】
環境制御部140は、推定部104により推定された植物30の生育状態が、推定時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、養液供給設備50によりガター20の培地へ供給される養液の肥料濃度を調整してよい。環境制御部140は、推定部104により推定された植物30の生育状態が、推定時点で満たすべき予め定められた生育状態まで達していない場合、養液供給設備50によりガター20の培地へ供給される養液の肥料濃度を増加するように調整してよい。環境制御部140は、推定部104により推定された植物30の生育状態が、推定時点で満たすべき予め定められた生育状態より生育している場合、養液供給設備50によりガター20の培地へ供給される養液の肥料濃度を減少するように調整してよい。植物30が潅水量により生育状態が変化するトマトなどであれば、環境制御部140は、推定部104により推定された植物30の生育状態が、推定時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、養液供給設備50によりガター20の培地へ供給される潅水量を調整してもよい。
【0058】
環境制御部140は、推定部104により推定された植物30の生育状態が、推定時点で満たすべき予め定められた生育状態となるように、光源設備40により植物30へ照射される光量及び照射時間を調整してよい。環境制御部140は、推定部104により推定された植物30の生育状態が、推定時点で満たすべき予め定められた生育状態に達していなければ、光源設備40により植物30へ照射される光量を増加してよい。または、環境制御部140は、光源設備40による植物30への光の照射時間を長くしてもよい。一方、環境制御部140は、推定部104により推定された植物30の生育状態が、推定時点で満たすべき予め定められた生育状態より生育している場合、光源設備40により植物30へ照射される光量を減少してよい。または、環境制御部140は、光源設備40による植物30への光の照射時間を短くしてもよい。
【0059】
環境制御部140は、推定部104による植物30の生育状態の推定結果に応じた予め定められた条件に従って、植物30が栽培されている植物工場10内の環境を制御する環境制御設備を制御してよい。環境制御部140は、推定部104による植物30の生育状態の推定結果に応じた予め定められた条件に従って、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80の少なくとも1つを制御してよい。
【0060】
予め定められた条件は、植物30の生育状態と、培地の含水量、電気伝導度、水素イオン指数、葉の周囲の温度、湿度、葉に照射される光量、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つとの関係を示してよい。環境制御部140は、予め定められた条件に従って、環境制御装置を制御することで、培地の含水量、電気伝導度、水素イオン指数、葉の周囲の温度、湿度、葉に照射される光量、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つを調整してよい。環境制御部140は、予め定められた条件に従って、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80の少なくとも1つを制御することで、培地の含水量、電気伝導度、水素イオン指数、葉の周囲の温度、湿度、葉に照射される光量、及び二酸化炭素濃度の少なくとも1つを調整してよい。
【0061】
例えば、葉の生理障害の種類ごとに生理障害を抑制させるための対策は経験的に知られている。記憶部130は、生理障害の種類ごとに、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80の少なくとも1つの制御内容を記憶してよい。環境制御部140は、推定された生育状態に対応する葉の生理障害の種類に応じた制御内容を記憶部130を参照することで特定し、特定された制御内容に応じて、光源設備40、養液供給設備50、二酸化炭素供給設備60、空調設備70、及び送風設備80の少なくとも1つを制御してよい。
【0062】
環境制御部140は、例えば、葉の生理障害として、カルシウム欠乏によるチップバーンが進行している場合、養液に含まれるカルシウムの含有量が増加するように、養液供給設備50を制御してよい。あるいは、環境制御部140は、光源42の光量を減少さるべく、光源設備40を制御してよい。環境制御部140は、植物工場10内の温度を下げるべく、空調設備70を制御してよい。環境制御部140は、植物工場10内の温度を効率的に下げるべく、植物工場10内に供給する風の風量が増加するように送風設備80を制御してよい。
【0063】
図5は、葉の張りに応じた環境制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【0064】
取得部102は、移動式ロボット200に搭載された測定ユニット212から、植物30の張りに関する複数の指標を取得する(S100)。取得部102は、測定ユニット212から取得した植物30の画像について画像解析を行うことで、茎の太さ、葉の色、葉脈の色、葉形、葉の大きさ、葉序、及び葉の着生角度のうちの少なくとも1つを特定してよい。
【0065】
推定部104は、植物30の葉の張りに関する複数の指標と植物30の生育状態との関係を示す関係情報と、取得部102により取得された複数の指標とに基づいて、植物30の生育状態を推定する(S102)。
【0066】
環境制御部140は、植物30の生育状態が推定時点での予め定められた生育状態を満たすか否かを判定する(S104)。満たす場合には、環境制御部140は、現在の環境制御条件で環境制御設備の制御を継続する。
【0067】
推定された植物30の生育状態が、推定時点で想定されている予め定められた生育状態でない場合、環境制御部140は、推定された植物30の生育状態が、推定時点で想定されている予め定められた生育状態より遅れている場合(S106で「Y」)、ガター20の培地に供給する養液の肥料濃度及び植物30に照射される光量を増加すべく、養液供給設備50及び光源設備40を制御する(S108)。植物30が潅水量により生育状態が変化するのであれば、環境制御部140は、肥料濃度を調整する代わりに、植物30に供給される潅水量を増加させてもよい。
【0068】
一方、推定された植物30の生育状態が、推定時点で想定されている予め定められた生育状態より進んでいる場合(S106で「N」)、ガター20の培地に供給する養液の肥料濃度及び植物30に照射される光量を減少すべく、養液供給設備50及び光源設備40を制御する(S110)。植物30が潅水量により生育状態が変化するのであれば、環境制御部140は、肥料濃度を調整する代わりに、植物30に供給される潅水量を減少させてもよい。
【0069】
以上、本実施形態によれば、作業者の熟練度などによらずに植物30の葉の張りに関する複数の指標に基づいて植物30の生育状態を推定できる。植物管理装置100は、植物30の葉の張りに関する少なくとも2つの指標に基づいて植物30の生育状態を推定できるので、植物30の多種多様な多量の指標に基づいて植物30の生育状態を推定する場合に比べて、植物30の生育状態の推定に関するデータ処理の負担を大幅に削減できる。また、植物管理装置100は、生育状態の推定結果に基づいて、植物工場10内の環境を、植物30が満たすべき生育状態となるようにより精度よく環境制御設備を制御できる。植物30の生育状態の推定の精度が向上することで、植物管理装置100が適切に環境制御設備を制御するまでに必要な処理時間も短くでき、植物管理装置100の処理負担を低減できる。
【0070】
図6は、本実施形態の態様を全体的または部分的に具現化し得るコンピュータ1200の一例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーションまたは当該装置の1または複数の「部」として機能させることができる。または、当該プログラムは、コンピュータ1200に当該オペレーションまたは当該1または複数の「部」を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつかまたは全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0071】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、及びRAM1214を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、入力/出力ユニットを含み、それらは入力/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータ1200はまた、ROM1230を含む。CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0072】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブが、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。プログラムが、CR-ROM、USBメモリまたはICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体またはネットワークを介して提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるRAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーションまたは処理を実現することによって構成されてよい。
【0073】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、またはUSBメモリのような記憶媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信した受信データを記憶媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0074】
また、CPU1212は、USBメモリ等のような外部記憶媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記憶媒体にライトバックしてよい。
【0075】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記憶媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記憶媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記憶媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0076】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記憶媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0077】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM(登録商標))、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0078】
コンピュータ可読命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。ソースコードまたはオブジェクトコードは、従来の手続型プログラミング言語を含む。従来の手続型プログラミング言語は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語でよい。コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。プロセッサまたはプログラマブル回路は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0080】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0081】
10 植物工場
12 空間
20 ガター
30 植物
32 枝条
34 葉柄
40 光源設備
42 光源
50 養液供給設備
52 ポンプ
54 パイプ
60 二酸化炭素供給設備
62 タンク
64 ノズル
70 空調設備
80 送風設備
90 センサ
100 植物管理装置
102 取得部
104 推定部
120 生成部
122 前処理部
126 モデル生成部
128 モデル更新部
130 記憶部
140 環境制御部
150 移動体制御部
200 移動式ロボット
210 アーム
212 測定ユニット
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1220 入力/出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1230 ROM
図1
図2
図3
図4
図5
図6