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特開2024-176412画像処理装置およびマルチクロップされた画像の判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176412
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像処理装置およびマルチクロップされた画像の判定方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241212BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N1/00 C
H04N1/387 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094924
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】田口 穂
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC58
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF13
(57)【要約】
【課題】原稿画像の内容に基づく処理でなく原稿台に置かれた各原稿の配置に基づく単純な処理で、マルチクロップされた原稿画像をユーザの意図に従いグループ分けする。
【解決手段】原稿台に置かれた複数の原稿を一括で読み取る画像読取部と、読み取られた画像から各原稿に対応する原稿画像を切り出すマルチクロップ処理部と、各原稿画像の周囲に予め定められた基準よりも近接して置かれた他の原稿画像があるか否かを判定し、近接して置かれていると判定された一群の原稿画像を一つのグループと判定するグループ判定部と、同じグループに属すると判定された各原稿画像のデータを他のグループまたは何れのグループにも属さない原稿画像のデータと識別可能な態様で出力するデータ出力部とを備える画像処理装置。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に置かれた複数の原稿を一括で読み取る画像読取部と、
読み取られた画像から各原稿に対応する原稿画像を切り出すマルチクロップ処理部と、
各原稿画像の周囲に予め定められた基準よりも近接して置かれた他の原稿画像があるか否かを判定し、近接して置かれていると判定された一群の原稿画像を一つのグループと判定するグループ判定部と、
同じグループに属すると判定された各原稿画像のデータを他のグループまたは何れのグループにも属さない原稿画像のデータと識別可能な態様で出力するデータ出力部とを備える画像処理装置。
【請求項2】
前記データ出力部は、それぞれの原稿画像に固有の番号を含むファイル名を付けて各原稿画像のデータを出力し、同じグループに属する原稿画像には、前記固有の番号として連続した番号をそれぞれ付与する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記データ出力部は、それぞれの原稿画像にグループの識別子を含むファイル名を付けて各原稿画像のデータを出力し、同じグループに属する原稿画像に共通の識別子を付与する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
各原稿の重心と他の原稿の重心との距離が前記基準よりも近接しているか否かを判定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記グループ判定部は、第1の原稿画像の周囲に前記基準よりも近接して置かれた第2の原稿画像があり、その第2の原稿画像の周囲に前記基準よりも近接して置かれた第3の原稿画像がある場合、前記第1~第3の原稿画像を同じグループに属するものと判定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記グループの識別子の入力を受け付ける操作ユニットをさらに備え、
前記グループ判定部は、前記原稿台に置かれた何れの原稿画像が同じグループに属すると判定されたかを前記操作ユニットに表示させ、
前記データ出力部は、それぞれのグループに対して入力された内容を前記識別子としてそのグループに属する各原稿画像のファイル名に付ける請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置の制御部が、
画像読取部を用いて、原稿台に置かれた複数の原稿を一括で読み取るステップと、
読み取られた画像から各原稿に対応する原稿画像を切り出すマルチクロップ処理を行うステップと、
各原稿画像の周囲に予め定められた基準よりも近接して置かれた他の原稿画像があるか否かを判定し、近接して置かれていると判定された一群の原稿画像を一つのグループと判定するステップと、
同じグループに属すると判定された各原稿画像のデータを他のグループまたは何れのグループにも属さない原稿画像のデータと識別可能な態様で出力するステップとを備えるマルチクロップされた画像のグループ判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチクロップ処理が可能な画像処理装置およびマルチクロップされた画像の判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
名刺やはがき等のカード類や写真等、小サイズの原稿を読み取る場合、複数の原稿が原稿台に並べて置かれた状態でそれらの原稿を走査して一括で読み取り、各原稿に対応する画像を切り出すマルチクロップ処理が知られている。マルチクロップ処理された画像のデータを出力する際の順序は不定であって、切り出した直後に初期のページ順を決める必要がある。PCアプリケーションにおけるファイルのページ編集機能により、出力順序の変更処理を行うことも考えらなくはない。しかし、ユーザが所望する並びに初期のページ順がなっていない場合、出力順序の変更処理に多くの手間がかかる。
【0003】
そこで、原稿台に並べて置かれた複数の原稿を読み取って1ファイルに変換する場合に、初期順序を提示し、その順序をユーザが変更可能な手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。それによれば、画像処理装置は、原稿台に載置された複数枚の原稿を読み取り、画像データを生成する読み取り手段と、前記読み取り手段によって生成された画像データから原稿ごとの画像データを取得する取得手段と、を備える。また、前記取得手段によって取得された画像の幾何情報に基づいてページ順序を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定されたページ順序に並べ替えた上で前記原稿ごとの画像データを1ファイルにするファイル生成手段と、を備える。幾何情報として、読み取った画像上で各原稿が配置されていた位置座標(左上座標、右上座標等)や各原稿画像の画像面積が開示されている。さらに、各原稿の画像の類似度が開示されている。類似度は、差分画像、ヒストグラム、平均画素値あるいはaHash法などの公知技術を用いて判定すればよいと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-074180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の手法によれば、マルチクロップ処理時に原稿台上にランダムに配置された原稿を読み取りの対象にしている。そうすると、原稿画像を切り出すマルチクロップ処理の他に、各原稿画像の幾何情報や画像の類似度を求める処理が必要になる。その為 面積等の幾何情報の調査やパターンマッチング等の画像処理を施したりする必要が有り、それを実現する処理が複雑になるという側面があった。一方、原稿台に各原稿を置くユーザは、すでにある程度分類された原稿を原稿台に置くことが少なくない。例えば、名刺を例にすると、同日の同時刻に取得された複数の名刺は同じ打ち合わせの出席者から取得されたものであって、同じ取引先や関連する取引先のものが固めて保存されていることが多い。グループ分けのためにすべての処理を画像処理装置の側で行うことも一つの手法である。しかし、別の手法として、ユーザが意図に応じて各原稿を原稿台に置くようにして、画像処理装置がそのユーザの意図に応じた各原稿の分類を行うということも考えられる。
【0006】
本開示は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、原稿画像の内容に基づく処理でなく原稿台に置かれた各原稿の配置に基づく単純な処理で、マルチクロップされた原稿画像をユーザの意図に従いグループ分けするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、原稿台に置かれた複数の原稿を一括で読み取る画像読取部と、読み取られた画像から各原稿に対応する原稿画像を切り出すマルチクロップ処理部と、各原稿画像の周囲に予め定められた基準よりも近接して置かれた他の原稿画像があるか否かを判定し、近接して置かれていると判定された一群の原稿画像を一つのグループと判定するグループ判定部と、同じグループに属すると判定された各原稿画像のデータを他のグループまたは何れのグループにも属さない原稿画像のデータと識別可能な態様で出力するデータ出力部とを備える画像処理装置を提供する。
【0008】
また、異なる観点から本開示は、画像処理装置の制御部が、画像読取部を用いて、原稿台に置かれた複数の原稿を一括で読み取るステップと、読み取られた画像から各原稿に対応する原稿画像を切り出すマルチクロップ処理を行うステップと、各原稿画像の周囲に予め定められた基準よりも近接して置かれた他の原稿画像があるか否かを判定し、近接して置かれていると判定された一群の原稿画像を一つのグループと判定するステップと、同じグループに属すると判定された各原稿画像のデータを他のグループまたは何れのグループにも属さない原稿画像のデータと識別可能な態様で出力するステップとを備えるマルチクロップされた画像の判定方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示による画像処理装置は、各原稿画像の周囲に予め定められた基準よりも近接して置かれた他の原稿画像があるか否かを判定し、近接して置かれていると判定された一群の原稿画像を一つのグループと判定するグループ判定部と、同じグループに属すると判定された各原稿画像のデータを他のグループまたは何れのグループにも属さない原稿画像のデータと識別可能な態様で出力するデータ出力部とを備えるので、原稿画像の内容に基づく処理でなく原稿台に置かれた各原稿の配置に基づく単純な処理で、マルチクロップされた原稿画像をユーザの意図に従いグループ分けすることができる。
本開示によるマルチクロップされた画像の判定方法も同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態として、画像処理装置の一態様である複合機の使用環境の一例を示す説明図である。
図2図1に示す複合機の画像読取部の付近を示す外観斜視図である。
図3図1および図2に示す複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図3に示す制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態において、図3および図4に示す制御部がマルチクロップ機能を用いたスキャンジョブを実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図6】実施の形態において、図3および図4に示す制御部がマルチクロップ機能を用いたスキャンジョブを実行する処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図7】実施の形態において、図3および図4に示す制御部がマルチクロップ機能を用いたスキャンジョブを実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。
図8】実施の形態において、制御部が操作ユニットに表示させるグループ処理選択画面の一例を示す説明図である。
図9】実施の形態において、制御部が操作ユニットに表示させる原稿種別選択画面の一例を示す説明図である。
図10】実施の形態において、制御部が操作ユニットに表示させる原稿配置画面の一例を示す説明図である。
図11】実施の形態において、マルチクロップ機能を適用して読み取る原稿が原稿台に置かれた状態を示す説明図である。
図12】実施の形態において、各原稿画像の重心の位置と重心間の距離を求める手法を示す説明図である。
図13図11に示す原稿が一括で読み取られた画像の一例を示す説明図である。
図14図13に示す一括走査画像において、隣接する原稿とのX、Y方向の重心間距離に基づく近接状態の判定例を示す説明図である。
図15図14に示す判定結果に基づき、近接状態が連鎖する一群の原稿画像を同じグループに属するものと判定した結果を示す説明図である。
図16】実施の形態において、制御部が操作ユニットに表示させるグループ確認画面の一例を示す説明図である。
図17図15に示す判定結果に基づいて、同じグループに属する原稿画像に連続番号のファイル名を付けて出力する結果を示す説明図である。
図18図15に示す判定結果に基づいて、同じグループに属する原稿画像にグループの識別子を含むファイル名を付けて出力する結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本開示をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、本開示を限定するものと解されるべきではない。
≪画像処理装置の構成≫
図1は、において、画像処理装置の一態様である複合機の使用環境の一例を示す説明図であり、図2図1に示す複合機の画像読取部の付近を示す外観斜視図である。
図1に示すように、複合機10は、ネットワーク11に接続されて複数のユーザがそれぞれ使用するパーソナルコンピュータ(以下、PCという)とネットワーク11を介して通信する。ネットワーク11は、例えば事業者の構内に敷設されたイントラネットであり、PC12はユーザAが使用し、PC13はユーザBが使用し、PC14はユーザCが使用する。そして、ユーザA、BおよびCは、それぞれのPCを介して、あるいは複合機10の操作ユニットを用いて複合機10を使用する。例えば、ユーザAはマルチクロップ機能を用いて読み込ませる複数の原稿を複合機10の原稿台に置き、PC12を操作して所謂プルスキャンジョブを実行することで、マルチクロップ処理で切り出された各原稿の画像をPC12に格納できる。あるいは、複合機10の操作ユニットを操作して出力先にPC12を指定し、マルチクロップ処理を伴う所謂プッシュスキャンジョブを実行することで、各原稿の画像をPC12に格納できる。
【0012】
図2に示すように、複合機10は、原稿の画像を読み取る画像読取部20、透明な原稿台22、原稿送り装置23および透明な原稿読取部24を備えている。画像読取部20は、内部に走査機構、イメージセンサおよび画像処理回路を有している。そして、透明な原稿台22の上に置かれた原稿を走査機構で操作して原稿の下面をイメージセンサで読み取り画像処理回路で処理して画像データを生成する。また、原稿送り装置23は、奥側のヒンジを中心に原稿読取部24および原稿台22を覆うように閉じることができ、セットされた原稿を一枚ずつ原稿読取部24へ搬送する。その場合に画像読取部20は、透明な原稿読取部24を通過する原稿の下面をイメージセンサで読み取って画像データを生成する。マルチクロップ機能を用いたスキャンジョブを実行する場合は、複数の原稿を原稿台22において読み取る。複合機10は、原稿台22の手前側に操作ユニット25を備える。操作ユニット25は、例えば液晶パネルを用いたディスプレイ25Dおよびディスプレイ25Dの表面に配置された透明なタッチパネル等のタッチセンサ25Sを備える。
【0013】
図3は、図1および図2に示す複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、図4図3に示す制御部の機能的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、複合機10は、画像読取部20、操作ユニット25の他に制御部30、補助記憶部32、通信部33、画像形成部34および用紙供給搬送部35を備える。
【0014】
制御部30は、複合機10の全体的な制御を司る制御手段の一例である。このため、制御部30は、複合機10の制御実行手段としてのプロセッサ30Pを有する。併せて、制御部30は、プロセッサ30Pが直接的にアクセス可能な記憶手段としての主記憶部30Mを有する。主記憶部30Mは、不図示のROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。このうちのROMには、プロセッサが実行する制御プログラムが格納されている。RAMは、プロセッサ30Pが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を提供する。プロセッサ30Pおよび主記憶部30Mを中心とする制御部30のハードウェア資源と制御プログラムのソフトウェアとが有機的に結合して制御部30としての機能が実現される。補助記憶部32は、ハードディスクドライブあるいはSSD(Solid State Drive)が適用され、主記憶部30Mより大容量の記憶手段である。補助記憶部32には、画像読取部20で読み取られた原稿の画像データや外部のPC12~14から受信する印刷ジョブに係るデータなどの種々のデータを記憶する。印刷ジョブに係るデータは、印刷データを含む。通信部33は、ネットワーク11を介して接続されたPC12~14等の外部機器との通信を担うインターフェース回路である。
【0015】
画像形成部34は、画像読取部20の下方に配置され、前述の画像データや印刷データなどに基づく画像を形成して印刷用紙に印刷する。この画像形成は、例えば公知の電子写真方式により行う。このため、画像形成部34は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、クリーニング装置、除電装置などを備える。なお、画像形成部34は、電子写真方式に限らず、たとえばインクジェット方式により、画像形成処理を行うものであってもよい。用紙供給搬送部35は、画像形成部34の下方に配置される1以上の給紙トレイ(図2に不図示)を有する。給紙トレイに収容された印刷用紙を画像形成部34へ搬送する。画像形成部34は、形成された画像を転写装置を用いて印刷用紙上に転写する。用紙供給搬送部35は、画像が転写された印刷用紙をさらに搬送して排紙トレイ34Eへ導く。
【0016】
図4に示すように、制御部30は機能的に操作制御部41、読取制御部42、印刷制御部43、ジョブ管理部44、マルチクロップ処理部45、グループ判定部46およびデータ出力部47を備える。操作制御部41は、操作ユニット25の制御に係る処理を行う。読取制御部42は、画像読取部20に係る制御を行う。印刷制御部43は、画像形成部34および用紙供給搬送部35に係る制御を行う。ジョブ管理部44は、操作ユニット25や通信部33を介してPC12~14から受領するスキャンジョブやプリントジョブ、コピージョブ等のジョブに係る設定や実行に係る処理を行う。マルチクロップ処理部45は、この実施形態のマルチクロップ機能を用いたジョブにおいて各原稿画像の切り出しにかかる処理を行う。グループ判定部46は、前述のマルチクロップ機能を用いたジョブにおいて各原稿画像のグループ判定に係る処理を行う。データ出力部47は、前述のマルチクロップ機能を用いたジョブにおいて切り出された各原稿画像のデータの出力に係る処理を行う。
【0017】
≪フローチャート≫
図5図7は、図3および図4に示す制御部30がマルチクロップ機能を用いたスキャンジョブを実行する際の一連の処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、複合機10の操作ユニット25を操作してマルチクロップ機能を適用した所謂プッシュスキャンジョブを実行する場合を例に、フローチャートを参照しながら処理の流れを説明する。プルスキャンジョブは、出力データを受領するPCの側で操作を行う点がプッシュスキャンと異なるが、操作の流れは基本的にプッシュスキャンと同様である。図5に示すように、操作制御部41として制御部30は、マルチクロップ機能を用いたスキャンジョブが選択されると(ステップS11のYes)、グループ分けをするか否かの選択を受け付けるグループ処理選択画面を操作ユニット25に表示させてユーザの選択を受け付ける(ステップS13)。なお、図5のフローチャートは説明を簡単にするためグループ分けの処理以外のスキャンジョブに係る設定に係る記載を省略しているが、それらの設定もグループ処理の選択と同様に適宜受け付けるものとする。
【0018】
図8は、読み取った原稿のグループ分けを行うか否かの選択を受け付けるグループ選択画面の一例を示す説明図である。操作制御部41として制御部30は、図8に示すグループ処理選択画面80を操作ユニットに表示させる。グループ処理選択画面80には、[はい]キー81と[いいえ]キー82とが配置されており、何れかの操作キーが操作されるのを待つ(ステップS15のNo、S16のNoを経てステップS13へ戻るループ)。[いいえ]キー82が操作された場合(ステップS16のYes)、操作制御部41として制御部30は処理を図7に示すステップS71へ進め、グループ分けを行わない通常のマルチクロップ処理を実行する。即ち、読取制御部42としての制御部30は原稿台22の全面を一括走査して原稿台に置かれた複数原稿の画像を含む一括走査画像を得る。マルチクロップ処理部45としての制御部30は、その一括走査画像から各原稿の画像を切り出す(ステップS71)。なお、マルチクロップ処理を行う場合はマルチクロップ処理部45が各原稿の切り出し領域を決定できるように、原稿カバーが解放された状態で走査が行われるものとする。マルチクロップ処理部45として制御部30は、一括走査画像から各原稿画像を切り出すと共に一括走査画像における各原稿画像の重心位置を求める。そして、例えば、重心が原稿台22の左側から右側かつ上側から下側に並ぶ順に各原稿画像の並びの順序を決定する(ステップS73)。データ出力部47として制御部30は、決定した並び順に例えば連続番号を付与したファイル名を付けて各原稿画像を出力先のPCへ送信し(ステップS75)、ジョブを終了する。
【0019】
一方、グループ処理選択画面80の[はい]キー81が操作された場合(ステップS15のYes)、操作制御部41として制御部30は処理をステップS17へ進め、原稿種類の選択を受け付ける画面(原稿種別選択画面)を操作ユニット25に表示させてユーザの選択を受け付ける(ステップS17)。図9は、原稿の種別の選択を受け付ける原稿種別選択画面の一例を示す説明図である。原稿種別選択画面90には[名刺(横置き)]キー91、[名刺(縦置き)]キー92、[はがき(横置き)]キー93、[はがき(縦置き)]キー94および[キャンセル]キー95が配置されている。操作制御部41として制御部30は、何れかの操作キーが操作されるのを待つ(ステップS21のNo、S23のNo、ステップS25のNo、S27のNoおよびS29のNoを経てステップS21へ戻るループ)。
【0020】
例えば、[名刺(横置き)]キー91が操作された場合(ステップS21のYes)、操作制御部41として制御部30は選択された種類の原稿について原稿台22への置き方を示す原稿配置画面を操作ユニット25に表示させる(ステップS22)。図10は、名刺(横置き)原稿が選択された場合に表示させる原稿配置画面100の一例を示す説明図である。図10に示すように、原稿配置画面100は原稿配置イラスト域101を含む。原稿配置イラスト域101は、名刺原稿を原稿台22に並べて置く際に、グループ化したい名刺を縦横(即ち、Y方向およびX方向)のそれぞれについて所定の範囲に間隔をあけて置くべきことをイラストで示す領域である。原稿配置画面100は原稿配置イラスト域101だけでなくことばによる説明もされている。
【0021】
ユーザはそのイラストおよび説明で示された規則に従い、原稿台22に複数の原稿を並べて置く。同じグループにグループ化したい原稿は所定の範囲に間隔を近接させて置く。グループ化したくない原稿は、所定範囲以上の間隔をあけて置く。図10に示す例で、隣り合う原稿の対向する辺の最小間隔は縦横何れも5mmである。各原稿画像を正しく切り出すために定められた間隔である。また、最大間隔は縦横何れも15mmである。それよりも大きな間隔があるとグループ化されない。最大間隔は、グループ化の閾値である。なお、後述するようにこの実施形態によるグループ判定部46は、各原稿画像の重心の間隔に基づいてグループ化する原稿を決定するが、原稿配置画面100では隣り合う原稿と対向する辺の最小間隔でイラストを示している。そうしたほうがユーザにとって理解しやすいからである。名刺は、長辺(横置きの場合はX方向)の長さが91mm、短辺(横置きの場合はY方向)の長さが55mmの長方形とほぼ決まっている。それらの長さを用いると対向する辺の間隔と重心の間隔との関係を導くことができる。
【0022】
図10に示すように原稿配置画面100には[OK]キー102および[キャンセル]キー103が配置されている。操作制御部41として制御部30は、何れかの操作キーが操作されるのを待つ(図6に示すステップS31のNoおよびS32のNoを経てステップS31へ戻るループ)。前述のステップS21で、[名刺(横置き)]キー91でなく他の原稿種類の操作キーが操作された場合も、操作制御部41として制御部30は選択された原稿の種類に応じた原稿配置画面を操作ユニット25に表示させる。例えば、[名刺(縦置き)]キー92が操作された場合は(ステップS23のYes)、対応する原稿配置画面を表示させる(ステップS24)。[はがき(横置き)]キー93が操作された場合は(ステップS25のYes)、対応する原稿配置画面を表示させる(ステップS26)。あるいは、[はがき(縦置き)]キー94が操作された場合は(ステップS27のYes)、対応する原稿配置画面を表示させる(ステップS28)。一方、[キャンセル]キー95が操作された場合は(ステップS29のYes)、処理をステップS13へ戻してグループ分けをするか否かの選択を受け付けるグループ処理選択画面を操作ユニット25に表示させ、ユーザの選択を受け付ける。
【0023】
原稿の種類に応じた原稿配置画面は、原稿の種類に応じて最大間隔の値が異なるものの基本的に図10に示す原稿配置画面100と同様であって、原稿配置イラスト域101、[OK]キー102および[キャンセル]キー103と同様のものが配置されている。[キャンセル]キー103に相当する操作キーが操作された場合(ステップS32のYes)、操作制御部41として制御部30は次に表示させる操作画面の選択を受け付けるダイアログを操作ユニット25に表示させる(ステップS33)。即ち、次に表示させる操作画面として、原稿種別選択画面90を表示させて原稿種別の再選択を受け付けるか、あるいはグループ処理選択画面80を表示させて分けを行うか否かの再選択を受け付けるかをユーザに選択させる。そして、何れかの選択がなされるのを待つ(ステップS34のNo、S36のNoを経てS34へ戻るループ)。原稿種別選択画面が選択された場合(ステップS34のYes)、操作制御部41として制御部30は、原稿種別選択画面90を操作ユニット25に表示させる(ステップS35)。そして、処理を図5に示すステップS21へ戻し、原稿種別の選択またはキャンセルを受け付ける。グループ処理選択画面が選択された場合(ステップS36のYes)、操作制御部41として制御部30は、処理を図5に示すステップS13へ戻し、グループ処理選択画面80を操作ユニット25に表示させてグループ分けをするか否かの選択を受け付ける。
【0024】
原稿配置画面が表示された状態で、スキャンジョブをキャンセルせずに続行する場合、ユーザは原稿配置画面の説明および原稿配置イラスト域のイラストに従って原稿台22に原稿を並べて置くものとする。図11は、前述の原稿配置画面100に従ってユーザが原稿台22に全部で9枚の名刺(原稿)を横置きにして並べて置いた例を示す説明図である。図11に符号を付した原稿111と原稿112は、同一グループと判断されるように近接して置かれた状態を示している。符号を付していない2枚の原稿を含めた4枚の原稿が近接して置かれている。それに対して原稿112と原稿113は同一グループと判断されないように所定の間隔よりも離して置かれている。符号を付していないが原稿113を含む2枚の原稿が同一グループになるように置かれており、それと原稿111、112のグループは別グループとなるように置かれている。さらに、原稿114は、原稿111、113の何れのグループとも同一グループと判断されないように所定の間隔よりも離して置かれている。符号を付していないが原稿114を含む3枚の原稿が同一グループになるように近接して置かれている。従って、図11に示す9枚の原稿は、3つのグループと判断されるように置かれている。
【0025】
原稿台22に原稿が置かれた状態で原稿配置画面の[OK]キー102に相当する操作キーが操作された場合(ステップS31のYes)、それに応答して読取制御部42としての制御部30は、原稿台22の全面を一括走査して原稿台に置かれた複数原稿の画像を含む一括走査画像を得る。マルチクロップ処理部45としての制御部30は、その一括走査画像から各原稿の画像を切り出す(ステップS41)。なお、マルチクロップ処理を行う場合はマルチクロップ処理部45が各原稿の切り出し領域を決定できるように、原稿カバーが解放された状態で走査が行われるものとする。そして、一括走査画像における各原稿画像の重心位置を求める(ステップS43)。さらに、各原稿の重心のX座標およびY座標について、原稿の種類に応じた基準の距離よりも近接しているか否かをそれぞれ判定する(ステップS45)。その基準の距離は、原稿配置画面でユーザに示した最大間隔と選択された原稿種別に応じた原稿のサイズから決定される。
【0026】
図12は、この実施の形態において、グループ判定部46としての制御部30が各原稿画像の重心の位置と重心間の距離を求める手法の例を示す説明図である。図11に示す原稿111と原稿112を例に挙げている。一括走査画像は原稿台22の下から各原稿の画像を見たものになるが、図11と整合するように図12は原稿を上から見た画像に置き換えて示している。その置き換えはY座標軸を逆方向にとることで容易に実現される。原稿台22の左奥の隅を座標原点とする。原稿111(以下、原稿Aともいう)の4つの頂点の名前および座標値を次のように定義する。左奥をP11(x11,y11)、右奥をP12(x12,y12)、左手前をP13(x13,y13)、右手前をP14(x14,y14)とする。また、原稿111の重心をG1(x1,y1)とする。同様に、原稿112(以下、原稿Bともいう)の4つの頂点の左奥をP21(x21,y21)、右奥をP22(x22,y22)、左手前をP23(x23,y23)、右手前をP24(x24,y24)とする。また、原稿112の重心をG2(x2,y2)とする。原稿111が長方形であることを前提として、重心G1(x1,y1)の座標は4頂点の対角線の交点であって対角線の中点である。原稿Aの長辺がX座標軸と平行になるように置かれていてもあるいは平行でなくても、G1(x1,y1)の座標は対角の頂点P11およびP14の座標を用いて以下の式で求められる。
【0027】
G1(x1,y1)=((x11+x14)/2,(y11+y14)/2))
あるいはまた、別の対角の頂点P12およびP13の座標を用いて、
G1(x1,y1)=((x12+x13)/2,(y12+y13)/2))
原稿Bの重心も同様にして求められる。
G2(x2,y2)=((x21+x24)/2,(y21+y24)/2))
あるいはまた、別の対角の頂点P12およびP13の座標を用いて、
G2(x2,y2)=((x22+x23)/2,(y22+y23)/2))
そして、2つの重心(G1、G2)のX、Y方向の距離をそれぞれD12X、D12Yとすると、
(D12X,D12Y)=(|x1-x2|,|y1-y2|)
【0028】
一括走査画像から原稿Aおよび原稿Bの4頂点の座標が求めると、それに基づいて各原稿の重心の座標が求まり、重心の座標から重心間の距離が求められる。2つの原稿111と原稿112を例に挙げたが、他の原稿についても同様である。このようにして、グループ判定部46としての制御部30は、2つの原稿がグループ判定の基準よりも近接しているか否かを判定することができる。例えば、名刺の場合、長辺の長さは91mm、短辺の長さが55mmである。図10に示すように最大間隔が15mmとした場合、横置きされた2つの名刺原稿の重心間距離がX方向における基準(X基準)15+91=106mm以下でありかつY方向における基準(Y基準)15+55=70mm以下であれば、両者は明らかに同一グループと判断されるべきである。最小間隔はマルチクロップ処理部45が各原稿を正しく切り出すための規定であるので、グループ判定部46は、各原稿画像が正しく切り出されているものとし、最小間隔についてはグループの判定に用いないものとする。
【0029】
図13は、図11に示す原稿が一括で読み取られ、各原稿の重心位置が求められた状態を示す説明図である。図13に示すように、原稿111(原稿A)および原稿112(原稿B)に近接して置かれた他の2枚の名刺を原稿Cおよび原稿Dとし、原稿Cおよび原稿Dの重心をそれぞれG4(x4,y4)、G5(x5,y5)とする。また、原稿113を原稿Eとし、それに近接して置かれた原稿を原稿Fとする。原稿Eおよび原稿Fの重心をそれぞれG3(x3,y3)およびG6(x6,y6)とする。さらに、原稿114を原稿Gとし、それに近接して置かれた2枚の原稿を原稿Hおよび原稿Jとする。原稿G、原稿Hおよび原稿Jの重心をそれぞれG7(x7,y7)、G8(x8,y8)およびG9(x9,y9)とする。なお、図13において、各原稿の重心Gの番号は便宜上、原稿台22の左から右、上から下に重心が並ぶ順に付けられている。それはグループ判定部46がグループ判定を行う前に便宜上その順を採用することを示している。なお、これは一例に過ぎず、例えば図13のような横並び順でなく縦並び順であってもよい。
【0030】
図14は、図13に示す一括走査画像において、隣接する原稿とのX、Y方向の重心間距離に基づく近接状態の判定例を示す説明図である。図14の行および列は、図13に示す9個の原稿の名前と重心の名前である。並び順は、通常のマルチクロップ処理と同様であって、図14では各原稿画像の重心が原稿台22の左側から右側かつ上側から下側に並ぶ順としている。その並び順を決める規則は図13に示す各原稿画像の重心の名前の番号順と一致する。例えば、行の項目が原稿A(G1)、列の項目が原稿B(G2)の欄に2重丸(◎)が記されている。それは、G1とG2の重心間距離が、X方向においてX基準(上述の例で106mm)以下かつY方向においてY基準(上述の例で70mm)以下であるから近接して置かれた原稿であるとグループ判定部46が判定することを示している。行の項目が原稿B(G2)、列の項目が原稿A(G1)の欄も同一の関係を示しているので、やはり2重丸である。一方、原稿A(G1)と原稿E(G3)の重心間距離は、Y方向においてY基準以下であるが、X方向においてX基準より離れている。X基準とY基準の両方を満たさないので、グループ判定部46は両者が同じグループでないと1次判定する。行の項目が原稿A(G1)、列の項目が原稿E(G3)の欄に×印がきされているのはその1次判定の結果を示している。行の項目が原稿E(G3)、列の項目が原稿A(G1)の欄も同様である。グループ判定部46は、他の原稿の組み合わせについても同様の判定を行い、その結果が図14の表に示すとおりである。例えば、原稿A(G1)を基準にした場合、原稿B(G2)、原稿C(G4)、原稿D(G5)はX基準以下かつY基準以下の重心距離であるから同じグループと1次判定する。しかし、原稿E(G3)、原稿F(G6)および原稿J(G9)はX基準を超える重心間距離であるために同じグループでないと1次判定する。また、原稿G(G7)、原稿H(G8)および原稿J(G9)は、Y基準を超える重心間距離であるために同じグループでないと1次判定する。以上のようにグループ判定部46としての制御部30は、各原稿画像の重心間の距離がX基準およびY基準の範囲に適合するかの判定に基づいて各原稿のグループ属否を1次判定する(ステップS47)。この態様によれば、各原稿の重心とその周囲の原稿の重心との距離を基準と比較することによって、同一グループとして配置されたものか否かを判定できる。
【0031】
1次判定の段階では、原稿G(G7)と原稿J(G9)が、X基準を超える重心間距離であるために同じグループでないと判定されて×印が記されている点に着目すべきである。図13に示すように、原稿G(G7)と原稿J(G9)との間に原稿H(G8)が両者の何れにも近接して置かれている。よって、図14で原稿G(G7)の項目と原稿H(G8)の項目が交わる欄は◎印が記されており、グループ判定部46は両者が近接していると判定している。同様に、原稿H(G8)の項目と原稿J(G9)の項目が交わる欄も◎印が記されており、グループ判定部46は両者も近接していると判定している。しかし、原稿G(G7)の項目と原稿J(G9)の項目が交わる欄は上述のように×印が記されている。
【0032】
グループ判定部46は、1次判定に続いて最終判定を行う。図15は、図14に示す1次判定の結果に基づき、近接状態が連鎖する一群の原稿画像を同じグループに属するものとグループ判定部46が判定する最終判定の結果を示す説明図である。最終判定においてグループ判定部46は、近接が連鎖する原稿を同じグループに属するものとして1次判定を修正する。図14に示す例では、原稿G(G7)に近接する(◎印が記された)原稿H(G8)について近接する(◎印が記された)原稿J(G9)を見出す。図15において、前述の原稿J(G9)と原稿G(G7)とが交わる欄の×印を○印に変更しているのは、1次判定の結果の修正することを示している。この態様によれば、近接して置かれていると判定された一群の原稿画像には、対象の原稿の周囲に近接して置かれた原稿だけでなく、その周囲の原稿に近接して置かれた原稿も含まれる。
【0033】
また、図15の行および列の並び順は、同じグループに属する原稿を固めるように図14に示すものと順序を入れ替えている。即ち、原稿A(G1)に続けて同じグループに属する原稿B(G2)、原稿C(G4)、原稿D(G5)を優先している。次に原稿A(G1)と同じグループでないと判定した原稿E(G3)およびその原稿E(G3)と同じグループに属する原稿F(G6)を優先している。その次に、原稿A(G1)、原稿E(G3)の何れとも同じグループでないと判定した原稿G(G7)およびその原稿G(G7)と同じグループに属する原稿H(G8)および原稿J(G9)を並べている。図15に示す表の上では、同一原稿の項目が交わる欄(-印の欄)に沿ってグループ分けされた原稿が◎印または○印が矩形状に並んだ3つのグループとして示されている。即ち、第1グループ域151、第2グループ域152および第3グループ域153として示されている。
【0034】
以上の最終判定の結果に基づいて、グループ判定部46としての制御部30は各原稿画像のグループ属否を最終判定する(ステップS49)。そして、最終判定に基づいてグループ分けされた原稿を操作ユニット25にプレビュー表示するように操作制御部41に指示する。操作制御部41として制御部30は、その指示に基づいてグループ確認画面を操作ユニット25に表示させる(ステップS51)。そのグループ確認画面でユーザによる各グループの名前の入力を受付けるようにしてもよい。グループ名の入力を受け付ける態様を実施の形態1とする。それに対してグループ名の入力を受け付けない態様を実施の形態2とする。
【0035】
図16は、この実施の形態において、操作制御部41として制御部30が操作ユニットに表示させるグループ確認画面の一例を示す説明図である。図16に示すように、グループ確認画面160には、サムネイル表示域161、グループ名入力欄162~164、[OK]キーおよび[置き直して再読込する]キー166が配置される。サムネイル表示域161は、一括走査画像に基づき原稿台22に置かれた各原稿の位置に対応したサムネイル画像が表示される。即ち、各原稿のサムネイル画像の配置は、図11および図13に示す各原稿の配置に対応している。サムネイル表示域161のサムネイル画像を囲む鎖線枠は、グループ判定部46によって同一グループと判定された原稿のサムネイルを囲んでいる。原稿A、原稿B、原稿Cおよび原稿Dがグループ1として鎖線枠に囲まれており、原稿Eおよび原稿Fがグループ2として鎖線枠に囲まれている。さらに、原稿G、原稿Hおよび原稿Jがグループ3として鎖線枠に囲まれている。グループ1は、図15に示す第1グループ域151に対応し、グループ2は同じく第2グループ域152に対応する。また、グループ3は、第3グループ域153に対応する。ユーザはグループ分けが意図した結果となっているかをサムネイル表示域161で確認する。なお、図16は原稿種別として名刺(横置き)が選択された場合の例を示しているが、他の原稿種別についても同様である。
【0036】
グループ確認画面160には、各グループのグループ名の入力を受け付けるグループ名入力欄が配置されていている。実施の形態1に対応するものである。図16に示す例では、グループ1に対してグループ名入力欄162が、グループ2に対してグループ名入力欄163が、グループ3に対してグループ名入力欄164が配置されている。実施の形態1において、グループ名入力欄の何れかにグループ名が入力されると(ステップS53のYes)、データ出力部47としての制御部30は、入力されたグループ名をグループの識別子として主記憶部30MのRAMに記憶しておき(ステップS55)、次の操作を待つ。ここで入力されたグループの識別子は、後述する例において出力のファイル名に反映される。この態様によれば、同じグループに属すると判定された原稿画像を操作ユニットに表示させてユーザに識別子を入力させ、その識別子をファイル名に付けて出力することができる。グループ名入力欄のない態様(実施の形態2)では、デフォルトのグループ名(グループ1、グループ2、グループ3)を識別子としてもよいし、グループ名を出力に反映させないようにしてもよい。
【0037】
グループ確認画面160のサムネイル表示域161をユーザが確認した結果、意図したグループ分けになっていると判断した場合は、[OK]キー165を操作するものとする。一方、意図したグループ分けになっていないと判断した場合は[置き直して再読込する]キー166を操作するものとする。[置き直して再読込する]キー166が操作された場合(ステップS53のNoを経てS57のYes)、操作制御部41として制御部30は、選択された種類の原稿配置画面を操作ユニット25に表示させて(ステップS59)、処理を前述のステップS31へ戻す。ユーザは、意図したグループ分けがなされるように原稿台22上の原稿を置き直してから、原稿配置画面の[OK]キーを操作するものとする。あるいは、グループ分けをキャンセルする場合は[キャンセル]キーを操作するものとする。一方、グループ確認画面160[OK]キー165が操作された場合(ステップS57のNoを経てS61のYes)、データ出力部47として制御部30は、各原稿画像に連続番号を付与する。また、グループ識別子が記憶されている場合はそのグループ識別子を付与したファイル名を付ける。そして、各原稿画像を出力先へ格納し(ステップS63)、処理を終了する。
【0038】
図17は、データ出力部47としての制御部30が、各原稿画像に固有の番号を含むファイル名を付けて出力する例を示す説明図である。図17に示す例で、データ出力部47は、同じグループに属すると判定された原稿画像に連続番号を付けて出力する。図17の表の左端の列(原稿画像列171)に記された各原稿の名前は、図13および図16に示す原稿の名前に対応している。図17の表の右端の列(ファイル名列172)は、各原稿に対応する出力データにデータ出力部47が付与するファイル名の一例を示している。出力データのファイル名は、図17に示す例で“File_NoXX.pdf”であり、先頭から第8,9番目の文字XXの箇所に各原稿に固有の名称として例えば2桁の番号が付けられている。即ち、原稿Aに対して01、原稿Bに対して02、原稿Cに対して03、原稿Dに対して04、原稿Eに対して05、原稿Fに対して06、原稿Gに対して07、原稿Hに対して08、原稿Jに対して09である。図15あるいは図16を参照すればわかるように、グループ1に対して連続番号01~04、グループ2に対して連続番号05~06、グループ3に対して連続番号07~09が付与されている。これは、グループ名入力欄のない実施の形態2に対応するものともいえる。この態様によれば、同じグループに分類された各原稿画像のデータに連続した番号が付与されるので、例えばその番号順にデータを並べると同じグループのデータが連続する。よって、他のグループまたは何れのグループにも属さない原稿画像のデータとの識別が容易になる。
【0039】
図17の第2列の「印刷された会社名」および第3列の「印刷された名前」は、図16のサムネイル画像に対応して各原稿の名刺に印刷されている会社名と名前を例示するものである。それらは、例えば図3に不図示の文字認識処理部により原稿の名刺から抽出することができるが、文字認識処理部は本開示に必須の構成ではなく、参考として図17に記しているものである。
【0040】
図18は、グループ識別子が記憶されている場合にデータ出力部47としての制御部30が、各原稿画像に固有の名称(番号)とグループ識別子を含むファイル名を付けて出力する例を示す説明図である。図18の左端の列(原稿画像列181)は、図17に対応する。第2列の「印刷された会社名」および第3列の「印刷された名前」も同様である。右端の列(ファイル名列182)の例で、“File_GG_NoXX.pdf”の先頭から第5、6番目の文字GGはグループ識別子に対応する2文字である。図18に示す例で、グループ識別子は、グループ1に対して「α社」、グループ2に対して「β社」、グループ3に対して「γ社」であり、それらは例えばグループ確認画面160のグループ名入力欄162~164に入力されたものである。これは、グループ名入力欄のある実施の形態1に対応するものといえる。あるいは、実施の形態2においてデフォルトのグループ名を採用するパターンに対応するものといえる。この態様によれば、同じグループに分類された各原稿画像のデータに共通のグループ識別子が付与されるので、他のグループまたは何れのグループにも属さない原稿画像のデータとの識別が容易になる。
【0041】
図18は、グループ識別子を各原稿のファイル名に反映させる例である。別の態様としてグループ識別子に対応するフォルダを生成して、それぞれのグループに属する原稿画像の出力ファイルをグループ別のフォルダに格納する態様も考えられる。その態様を実施の形態3とする。実施の形態3において、各原稿画像のファイル名は、図17に示す例のように固有の名称(番号)のみを含むものであってもよいし、図18に示す例のように固有の名称に加えてグループ識別子を含むものであってもよい。
【0042】
本開示には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれると解されるべきである。
前述した実施の形態の他にも、本開示についての種々の変形例があり得る。それらの変形例は、本開示の範囲に属さないと解されるべきものではない。本開示に係る発明には、請求の範囲と均等の意味および本開示の範囲に属するすべての変形が含まれるべきである。
【符号の説明】
【0043】
10:複合機、 11:ネットワーク、 12,13,14:PC、 20:画像読取部、 22:原稿台、 23:原稿送り装置、 24:原稿読取部、 25:操作ユニット、 25D:ディスプレイ、 25S:タッチセンサ、 30:制御部、 30M:主記憶部、 30P:プロセッサ、 32:補助記憶部、 33:通信部、 34:画像形成部、 34E:排紙トレイ、 35:用紙供給搬送部、 41:操作制御部、 42:読取制御部、 43:印刷制御部、 44:ジョブ管理部、 45:マルチクロップ処理部、 46:グループ判定部、 47:データ出力部、 80:グループ処理選択画面、 81:[はい]キー、 82:[いいえ]キー、 90:原稿種別選択画面、 91:[名刺(横置き)]キー、 92:[名刺(縦置き)]キー、 93:[はがき(横置き)]キー、 94:[はがき(縦置き)]キー、 95,103:[キャンセル]キー、 100:原稿配置画面、 101:原稿配置イラスト域、 102,165:[OK]キー、 111,112,113,114:原稿、 151:第1グループ域、 152:第2グループ域、 153:第3グループ域、 160:グループ確認画面、 161:サムネイル表示域、 162,163,164:グループ名入力欄、 166:[置き直して再読込する]キー、 171,181:原稿画像列、 172,182:ファイル名列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18