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特開2024-176414ラバーマグネット、現像マグネットローラー、現像装置、および、画像形成装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176414
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ラバーマグネット、現像マグネットローラー、現像装置、および、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/09 20060101AFI20241212BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G03G15/09 A
G03G15/08 235
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094926
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 征正
(72)【発明者】
【氏名】尾形 明彦
【テーマコード(参考)】
2H031
2H077
【Fターム(参考)】
2H031AA12
2H031AB02
2H031AC09
2H031AC13
2H031AC17
2H031AC18
2H031AC19
2H031AC20
2H031BA01
2H031BA06
2H077AB02
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077BA03
2H077DA53
2H077EA03
2H077EA11
2H077FA16
2H077FA19
2H077FA26
(57)【要約】
【課題】磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット、現像マグネットローラー、現像装置、および、画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ラバーマグネット50の端面部51は、環状扇型に形成された第1端面部510と、環状扇型に形成され、天面部53と、側面部52と、底面部54とにより、第1端面部510と接続された第2端面部511とを有する。側面部52は、左側面部520と、右側面部521とを有する。左側面部520は、第1端面部510と第2端面部511とを接続し、さらに、天面部53と底面部54とを接続する。右側面部521は、第1端面部510と第2端面部511とを接続し、さらに、天面部53と底面部54とを接続する。天面部53は、中心点が互いに異なる複数の外円(80、81、83)の一部の円弧の組み合わせからなる。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面部と、側面部と、天面部と、底面部とを備えるラバーマグネットであって、
前記端面部は、
環状扇型に形成された第1端面部と、
前記環状扇型に形成され、前記天面部と、前記側面部と、前記底面部とにより、前記第1端面部と接続された第2端面部と
を有し、
前記側面部は、左側面部と、右側面部とを有し、
前記左側面部は、前記第1端面部と前記第2端面部とを接続し、さらに、前記天面部と前記底面部とを接続し、
前記右側面部は、前記第1端面部と前記第2端面部とを接続し、さらに、前記天面部と前記底面部とを接続し、
前記天面部は、中心点が互いに異なる複数の外円の一部の円弧の組み合わせからなるラバーマグネット。
【請求項2】
前記天面部は、基準円弧部分と、第1変形円弧部分とを有し、
前記基準円弧部分は、基準中心点を円の中心とする外円の円弧の一部であり、
前記第1変形円弧部分は、前記基準中心点とは異なる第1変形中心点を円の中心とする外円の円弧の一部である、請求項1に記載のラバーマグネット。
【請求項3】
前記第1変形円弧部分は、前記基準円弧部分を含む外円よりも前記基準中心点が配置される側に配置される、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項4】
前記基準中心点を円の中心とする外円の半径と、前記第1変形中心点を円の中心とする外円の半径とは同じである、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項5】
前記第1変形中心点を円の中心とする外円の半径は、前記基準中心点を円の中心とする外円の半径よりも小さい、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項6】
前記底面部の円弧は、内円の円弧の一部であり、前記内円の中心は、前記基準中心点と一致する、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項7】
前記天面部の磁気中心が存在する円弧部分が前記基準円弧部分であり、
前記天面部の前記磁気中心が存在しない円弧部分のうちの一方が前記第1変形円弧部分である、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項8】
前記底面部の円弧は、内円の円弧の一部であり、前記基準中心点および前記第1変形中心点は、いずれも前記内円の内部に配置される、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項9】
前記基準円弧部分と前記第1変形円弧部分との径方向のずれ量は、0.5mm以下である、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項10】
前記基準円弧部分を含む外円の直径に対する前記第1変形円弧部分を含む外円の直径は、-2%以内である、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項11】
前記天面部は、さらに第2変形円弧部分を有し、
前記第2変形円弧部分は、前記基準中心点および前記第1変形中心点とは異なる第2変形中心点を円の中心とする外円の一部である、請求項2に記載のラバーマグネット。
【請求項12】
前記第2変形円弧部分は、前記基準円弧部分を含む外円の円弧よりも前記基準中心点が配置される側に配置される、請求項11に記載のラバーマグネット。
【請求項13】
前記基準中心点を円の中心とする外円の半径と、前記第2変形中心点を円の中心とする外円の半径とは同じである、請求項11に記載のラバーマグネット。
【請求項14】
前記第2変形中心点を円の中心とする外円の半径は、前記基準中心点を円の中心とする外円の半径よりも小さい、請求項11に記載のラバーマグネット。
【請求項15】
前記天面部の磁気中心が存在する円弧部分が前記基準円弧部分であり、
前記天面部の前記磁気中心が存在しない円弧部分のうち、前記基準円弧部分に対して前記第1変形円弧部分の反対側が前記第2変形円弧部分である、請求項11に記載のラバーマグネット。
【請求項16】
前記底面部の円弧は、内円の円弧の一部であり、前記基準中心点および点前記第2変形中心点は、いずれも前記内円の内部に配置される、請求項11に記載のラバーマグネット。
【請求項17】
前記基準円弧部分と前記第2変形円弧部分との径方向のずれ量は、0.5mm以下である、請求項11に記載のラバーマグネット。
【請求項18】
前記基準円弧部分を含む外円の直径に対する前記第2変形円弧部分を含む外円の直径は、-2%以内である、請求項11に記載のラバーマグネット。
【請求項19】
磁性粉で形成され、前記磁性粉はフェライトである、請求項1に記載のラバーマグネット。
【請求項20】
前記磁性粉は、さらに希土類磁性紛を含む、請求項19に記載のラバーマグネット。
【請求項21】
円柱に形成されたシャフトと、
前記シャフトの円周面に前記底面部が接するように、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のラバーマグネットが複数配置された現像マグネットローラー。
【請求項22】
請求項20に記載の現像マグネットローラーを備える現像装置。
【請求項23】
請求項21に記載の現像マグネットローラーを備える現像装置。
【請求項24】
請求項22に記載の現像装置を備える画像形成装置。
【請求項25】
請求項23に記載の現像装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラバーマグネット、現像マグネットローラー、現像装置、および、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マグネットローラーのマグネット部の形状について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-3640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、現像ローラーの磁気特性のうち、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくする改善方法について開示していない。
【0005】
本発明は、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が改善されたラバーマグネット、現像マグネットローラー、現像装置、および、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ラバーマグネットは、端面部と、側面部と、天面部と、底面部とを備える。前記端面部は、環状扇型に形成された第1端面部と、環状扇型に形成され、前記天面部と、前記側面部と、前記底面部とにより、前記第1端面部と接続された第2端面部とを有する。前記側面部は、左側面部と、右側面部とを有する。前記左側面部は、前記第1端面部と前記第2端面部とを接続し、さらに、前記天面部と前記底面部とを接続する。前記右側面部は、前記第1端面部と前記第2端面部とを接続し、さらに、前記天面部と前記底面部とを接続する。前記天面部は、中心点が互いに異なる複数の外円の一部の円弧の組み合わせからなる。
【0007】
本発明に係る現像マグネットローラーは、シャフトと、ラバーマグネットとが配置される。前記シャフトは、円柱に形成される。前記ラバーマグネットは、前記シャフトの円周面に前記底面部が接するように複数配置される。
【0008】
本発明に係る現像装置は、現像マグネットローラーを備える。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、現像装置を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット、現像マグネットローラー、現像装置、および、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る画像形成装置を備える複合機を示す図である。
図2】実施形態1に係る現像装置を示す図である。
図3】一般的な現像マグネットローラーを示す図である。
図4】一般的なラバーマグネットの規格を示す図である。
図5】(a)~(c)は、一般的なラバーマグネットの着磁方法を示す図である。
図6】(a)および(b)は、ラバーマグネットの比較例を示す図である。
図7】(a)~(d)は、比較例に係るラバーマグネットの磁力線の向きと配向を示す図である。
図8】(a)~(c)は、実施形態1に係るラバーマグネットを示す図である。
図9】(a)~(c)は、実施形態1に係るラバーマグネットの着磁方法を示す図である。
図10】実施形態1に係るラバーマグネットの磁束密度を試験する方法を示す図である。
図11】(a)~(d)は、実施形態1に係るラバーマグネットの磁束密度と配向を示す図である。
図12】追加着磁がない場合の実施形態1に係るラバーマグネットと比較例との特性の対比を示す図である。
図13】追加着磁がある場合の実施形態1に係るラバーマグネットと比較例との特性の対比を示す図である。
図14】(a)~(e)は、実施形態1に係る現像マグネットローラーを示す図である。
図15】実施形態2に係るラバーマグネットを示す図である。
図16】(a)~(e)は、比較例に係る現像マグネットローラーを示す図である。
図17】(a)および(b)は、実施形態3に係るラバーマグネットを示す図である。
図18】(a)および(b)は、一般的なラバーマグネットを示す図である。
図19】実施形態3に係るラバーマグネットを示す図である。
図20】実施形態3に係るラバーマグネットを示す図である。
図21】(a)および(b)は、実施形態3に係るラバーマグネットを示す図である。
図22】実施形態3に係るラバーマグネットを示す図である。
図23】実施形態3に係るラバーマグネットを示す図である。
図24】(a)~(c)は、実施形態3に係るラバーマグネットを比較する図である。
図25】(a)~(c)は、実施形態3に係るラバーマグネットを比較する図である。
図26】磁気特性の変化を示す図である。
図27】磁気特性の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0013】
実施形態1の記載および実施形態1に関わる図面に記載された事項は、必要に応じて、他のすべての実施形態および他のすべての実施形態に関わる図面に記載された事項に適用され得る。
【0014】
実施形態1の記載および実施形態1に関わる図面に記載された事項には、他のすべての実施形態および他のすべての実施形態に関わる図面に記載された事項が引用され得る。
【0015】
図1を参照して、本発明の実施形態1に係る画像形成装置3を説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る画像形成装置3を備える複合機1を示す図である。
【0016】
図1に示すように、複合機1は、原稿読取装置2と、画像形成装置3とを備える。
【0017】
原稿読取装置2は、原稿Gを読み取って画像データを出力する。
【0018】
原稿読取装置2は、原稿搬送装置20と、光学装置21とを有する。
【0019】
原稿搬送装置20は、原稿Gを光学装置21に搬送する。原稿搬送装置20の一例は、ADF(Auto Document Feeder)である。
【0020】
光学装置21は、原稿Gに形成された画像を読み取り、画像情報を生成する。光学装置21は、発光部と、光学系と、光学系を駆動するアクチュエーターと、受光部とを有する。
【0021】
画像形成装置3は、シートに画像を形成する。
【0022】
画像形成装置3は、給送部4と、画像形成部5と、定着部6と、シート排出部7と、シート排出トレイ8とを有する。
【0023】
給送部4は、シートを画像形成部5に向けて給送する。
【0024】
画像形成部5は、給送部4から給送されたシートに画像を形成する。
【0025】
画像形成部5は、トナー供給ユニット10と、画像形成部11とを有する。
【0026】
トナー供給ユニット10は、一例として、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、および、ブラック色の図示しないトナーカートリッジを有する。各トナーカートリッジは、図示しないトナーボトルと、トナー供給機構とを有する。
【0027】
トナー供給ユニット10は、トナー供給機構によりトナーボトルからトナーを画像形成部11に供給する。
【0028】
画像形成部11は、一例として、電子写真方式により、画像データに基づいて作成したトナー像をシート上に形成する。
【0029】
画像形成部11は、帯電装置30と、露光装置31と、現像装置32と、感光体33と、クリーニング装置34とを有する。
【0030】
帯電装置30は、感光体33の周面を帯電させる。露光装置31は、感光体33の帯電された周面に画像データに基づいてレーザー光を照射し、静電潜像を形成する。
【0031】
現像装置32は、トナー供給ユニット10から供給されたトナーにより、感光体33の静電潜像を現像する。
【0032】
感光体33は、直接転写方式または間接転写方式により、トナー像をシートに転写する。
【0033】
クリーニング装置34は、感光体33の残トナーをクリーニングし、さらに、感光体33の周面を除電する。
【0034】
トナー像が転写されたシートは、定着部6に搬送される。定着部6は、定着ローラーおよび加圧ローラーによりシートを加熱および加圧し、シートに形成されたトナー像をシートに定着させる。
【0035】
定着部6を通過したシートは、シート排出部7へ搬送され、シート排出トレイ8に排出される。シート排出トレイ8は、排出されたシートを収納する。
【0036】
次に、図2を参照して、実施形態1に係る現像装置32を説明する。図2は、実施形態1に係る現像装置32を示す図である。
【0037】
図2に示すように、現像装置32は、ハウジング40と、現像マグネットローラー41と、第1攪拌部材42と、第2攪拌部材43とを有する。
【0038】
ハウジング40は、トナーなどの現像剤を収容する。トナーの一例は、一成分磁性トナーである。
【0039】
現像マグネットローラー41は、感光体33(図1)に対向する位置に配置される。
【0040】
第1攪拌部材42および第2攪拌部材43は、現像剤を撹拌する。
【0041】
第1攪拌部材42および第2攪拌部材43は、それぞれ図示しないモーターなどの駆動装置に接続されているスクリューにより構成される。第1攪拌部材42および第2攪拌部材43は、それぞれ、回転軸と、回転軸まわりに設けられた撹拌羽根を有する。
【0042】
図示しない制御装置は、図示しない駆動装置の動作を制御して、第1攪拌部材42を、回転軸を回転中心として回転させることによって、トナー供給ユニット10から供給されたトナーを撹拌しながら回転軸の軸線方向に搬送する。
【0043】
制御装置は、駆動装置の動作を制御して、第2攪拌部材43を、回転軸を回転中心として回転させることによって、第1攪拌部材42によって搬送されたトナーを、回転軸の軸線方向であって、第1攪拌部材42の搬送方向とは逆方向に搬送する。
【0044】
現像マグネットローラー41は、制御部の制御に従って動作することにより、第2攪拌部材43によって搬送されたトナーを磁力により回収して現像マグネットローラー41に供給する。
【0045】
現像マグネットローラー41は、制御部の制御に従って動作することにより、供給されたトナーを感光体33の周面に形成される静電潜像に供給する。
【0046】
次に、図3図7(b)を参照して、実施形態1に係るラバーマグネット50および現像マグネットローラー41とは異なる、一般的なラバーマグネット102およびマグネットシャフト100について説明する。
【0047】
図3は、一般的なマグネットシャフト100を示す図である。図4は、一般的なラバーマグネット102の規格を示す図である。図5(a)~(c)は、一般的なラバーマグネット102の着磁方法を示す図である。図6(a)および(b)は、一般的なラバーマグネット102および一般的なラバーマグネット103の比較例を示す図である。図7(a)~(d)は、比較例に係る一般的なラバーマグネット102および一般的なラバーマグネット103の磁束密度と配向を示す図である。
【0048】
図3に示すように、一般的なマグネットシャフト100は、一般的なシャフト101と、一般的なラバーマグネット102とを有する。
【0049】
マグネットシャフト100は、シャフト101の周面に、一例として4個~6個のラバーマグネット102が貼り付けてある。
【0050】
マグネットシャフト100は、一般的な現像装置の内部に配置され、磁性トナーを一般的な感光体に搬送する。
【0051】
ラバーマグネット102は、シャフト101の軸方向の端面が略環状扇型である。ラバーマグネット102は、環状扇型の底面がシャフト101の周面に当接している。ラバーマグネット102の環状扇型の天面が曲面状に形成されている。
【0052】
一般的な「環状扇型」は、シャフト101の軸上に共通の中心をもつ二つの円(ラバーマグネット102の天面と底面)と、共通の中心から径方向に延びる二つの直線とにより囲まれた環状の扇型である。
【0053】
ラバーマグネット102は、磁気を有する。ラバーマグネット102は、シャフト101の軸方向(長手方向)に長径であり、シャフト101の周方向(短手方向)に短径である。
【0054】
図4に示すように、それぞれの一般的なラバーマグネット102には、磁気特性規格が定められている。図4に示すように、横軸に角度(°)をとり、縦軸に磁束密度(mT)をとって磁気特性を示す。
【0055】
磁気特性規格の一つは、「磁気角度規格」(°)である。
【0056】
図3に示したマグネットシャフト100をシャフト101の回転軸を回転中心にして矢印方向に回転させたときのラバーマグネット102の磁束密度の変化が、図4に示す磁気角度規格である。
【0057】
一例として、図4の太線で示すように、磁束密度は、ラバーマグネット102の一端部の回転角度0°で0(mT)であり、回転角度が大きくなるに従って徐々に増加し、回転角度が約90°で最大磁力を有する。磁束密度は、さらに、回転角度が約90°を越えてから徐々に減少し、ラバーマグネット102の他端部の回転角度が約180°で0(mT)である。
【0058】
回転角度が約90°±(2°~5°)における磁束密度を「磁気中心」と称する。磁気中心は、ラバーマグネット102の最大磁束密度Xを示す回転角度が90°であるときの、最大磁束密度Xの80%以上の磁束密度を示す回転角度である90°±(2°~5°)の範囲である。
【0059】
磁気特性規格の他の一つは、「磁束密度規格」である。ラバーマグネット102は、回転角度が約90°±(2°~5°)において最大磁束密度X(mT)を示す。磁束密度規格は、ラバーマグネット102の回転角度が約90°±(2°~5°)において、磁束密度が最大磁束密度X±5(mT)であることが要求される。
【0060】
磁気特性規格の重要な他の一つは、「半値幅」と称される。半値幅は、ラバーマグネット102の磁束密度が最大磁束密度X(mT)の50%であるときの、ラバーマグネット102の回転角度幅(°)である。
【0061】
次に、図5(a)~(c)に示すように、一般的なラバーマグネット102の生産方法および着磁方法について説明する。
【0062】
一般的なラバーマグネット102は、図5(a)に示すような金型112に、樹脂および磁性粉を混ぜた材料を熱をかけながら押し出す押出し方式で生産される。
【0063】
一般的なラバーマグネット102には、一例として2種類の配向着磁方法がある。
【0064】
図5(a)に示すように、ラバーマグネット102を金型112に入れた状態で、金型112の上側にヨーク110を配置し、金型112の下側にヨーク111を配置する。
【0065】
ヨーク111からヨーク110に向けて磁力線が発せられると、金型112のラバーマグネット102の天面の頂点部分に配向着磁される。
【0066】
また、図5(b)に示すように、金型112の下側に2本のヨーク111aおよびヨーク111bを配置し、金型112の上側の1本のヨーク110を配置する。
【0067】
2本のヨーク111aおよびヨーク111bからヨーク110に向けて磁力線が発せられると、金型112のラバーマグネット102の天面の頂点部分に配向着磁される。
【0068】
さらに、図5(c)に示すように、一例として鉄製の器70にヨーク121を配置して、ラバーマグネット102に追加着磁する方法がある。
【0069】
鉄製の器70にラバーマグネット102の天面の頂点部分が接するように載置し、鉄製の器70にラバーマグネット102の天面の頂点部分が接する位置にヨーク121aおよびヨーク121bを配置する。
【0070】
ヨーク121aおよびヨーク121bから発せられた磁力線により、ラバーマグネット102の天面の頂点部分にさらに追加着磁される。
【0071】
図6(a)および(b)に、実施形態1に係るラバーマグネット50に対する比較例を示す。図6(a)は、ラバーマグネット102をシャフト101(図3)の軸方向視した端面である。図6(b)は、比較例に係るラバーマグネット103をシャフト101(図3)の軸方向視した端面である。
【0072】
図6(a)に示すラバーマグネット102の端面は、略環状扇型であり、底面102aと、側面102bと、天面102cとを有する。底面102aおよび天面102cは曲面である。側面102bは平面である。
【0073】
図6(b)に示すラバーマグネット103は、さらに、図6(a)に示すラバーマグネット102の変形例である。
【0074】
図6(b)に示す比較例に係るラバーマグネット103の端面は、多面体型であり、底面103aと、側面103bと、天面103cと、天面103dとを有する。底面103aは、曲面である。側面103b、天面103c、および、天面103dは、平面である。
【0075】
図6(b)に示す比較例に係るラバーマグネット103の天面103cおよび天面103dは、図6(a)に示すラバーマグネット102の天面102cを削って、水平面の天面103cを作製し、さらに、天面103cのシャフト101(図3)の軸方向の短手方向両側を削って、天面103dを作製する。
【0076】
図7(a)は、図6(a)に示したラバーマグネット102の天面102cを示した図である。
【0077】
図7(d)に示すように、ラバーマグネット102の天面102cにホール素子130を対向させて配置し、磁力線の様子と配向の様子を計測することができる。
【0078】
図6(a)に示したラバーマグネット102を、図5(a)および(b)で説明した方法で着磁させた場合、図7(a)に示すように、天面102cに生じる磁力線の磁気角度(°)にバラツキがある。
【0079】
さらに、図5(c)で説明したように、ヨーク121aおよびヨーク121bを配置した鉄製の器120に、ラバーマグネット102の天面102cを対向させて追加着磁した場合も、図7(b)に示すように、ラバーマグネット102が傾斜することが考えられる。そのため、図7(c)に示すように、ラバーマグネット102の天面102cの磁力線の配向が傾く。
【0080】
図6(b)に示した比較例に係るラバーマグネット103も、同様に図7(d)で説明した方法により、天面103c(図6(b))の磁束密度および配向の様子を測定することができる。
【0081】
図12および図13に、実施形態1に係るラバーマグネット50(図8)と、比較例に係るラバーマグネット103との磁気特性を比較した図を示す。
【0082】
図12は、追加着磁がない場合の実施形態1に係るラバーマグネット50と、比較例に係るラバーマグネット103との磁気特性の対比を示す図である。図13は、追加着磁がある場合の実施形態1に係るラバーマグネット50と、比較例に係るラバーマグネット103との磁気特性の対比を示す図である。
【0083】
図12および図13とも、それぞれ実施形態1に係るラバーマグネット50の測定結果と、比較例に係るラバーマグネット103の測定結果を示す。
【0084】
図12および図13とも、それぞれ、実施形態1に係るラバーマグネット50の水平面部531(図8(a))の短手方向の幅(mm)と、実施形態1に係るラバーマグネット50と、比較例に係るラバーマグネット103について、それぞれ、水平面長さの幅(mm)に対する磁力(mT)と、磁気角度のバラツキ(°)と、半値幅(°)とを表わしている。
【0085】
この測定結果を、図4で説明した磁気特性規格と比較する。磁気角度のバラツキを抑制しながら磁力と半値幅を維持することが必要であり、ここで、追加着磁がない場合、磁気角度のバラツキは、0±3°が要求され、その場合の磁力は、55±5(mT)、半値幅は、50±5°が要求される。
【0086】
図12に示す、実施形態1に係る追加着磁がない場合のラバーマグネット50では、水平面長さの幅5mmにおいても、磁力、半値幅は、前述の要求の範囲内であり、比較例のラバーマグネット103よりも良好である。
【0087】
一方、図12に示す、追加着磁がない場合の比較例に係るラバーマグネット103の測定結果は、水平面の長さが0.2mmおよび0.3mmのとき、半値幅が43°であり、要求される半値幅(50±5°)の範囲を外れる。
【0088】
次に、図13に示す追加着磁がある場合、磁気角度のバラツキは0±3°が要求され、磁束密度は58±5mT、半値幅は45±5°が要求される。
【0089】
図13の追加着磁がある場合の比較例に係るラバーマグネット103の測定結果は、水平面の長さが0.2mm以上のとき、磁束密度と半値幅が、いずれも磁気特性規格で要求される範囲を外れることがわかる。
【0090】
次に、図8(a)~図13を参照して、実施形態1に係るラバーマグネット50について説明する。
【0091】
図8(a)~(c)は、実施形態1に係るラバーマグネット50を示す図である。図9(a)~(c)は、実施形態1に係るラバーマグネット50の着磁方法を示す図である。図10は、実施形態1に係るラバーマグネット50の磁束密度と配向を試験する方法を示す図である。図11(a)~(d)は、実施形態1に係るラバーマグネット50の磁束密度と配向を示す図である。図12は、引き続き、追加着磁がない場合の実施形態1に係るラバーマグネット50と比較例との特性の対比を示す図である。図13は、引き続き、追加着磁がある場合の実施形態1に係るラバーマグネット50と比較例との特性の対比を示す図である。
【0092】
まず、図8(a)~(c)を参照して、実施形態1に係るラバーマグネット50の構成を説明する。
【0093】
図8(a)に示すように、実施形態1に係るラバーマグネット50は、端面部51と、側面部52と、天面部53と、底面部54とを備える。ここで、端面部51と、側面部52、天面部53、および底面部54とは、互いに垂直であってもよい。
【0094】
端面部51は、第1端面部510と、第2端面部511とを有する。第1端面部510および第2端面部511は、実施形態1に係るラバーマグネット50の短手方向に拡がる平面である。第1端面部510は、第2端面部511と平行であってもよい。
【0095】
第1端面部510は、環状扇型に形成される。
【0096】
第2端面部511は、環状扇型に形成され、天面部53と、側面部52と、底面部54とにより、第1端面部510と接続される。
【0097】
本実施形態に係る「環状扇型」は、シャフト56(図10)の軸上に共通の中心をもつ二つの円(ラバーマグネット102の天面部53と底面部54)と、共通の中心から径方向に延びる二つの直線とにより囲まれた環状の扇型である。
【0098】
側面部52は、左側面部520と、右側面部521とを有する。左側面部520および右側面部521は、実施形態1に係るラバーマグネット50の長手方向に拡がる平面である。
【0099】
天面部53は、左曲面部530と、右曲面部532とを有する。左曲面部530および右曲面部532は、実施形態1に係るラバーマグネット50の長手方向に拡がる曲面である。
【0100】
側面部52の左側面部520は、第1端面部510と第2端面部511とを接続し、さらに、天面部53の左曲面部530と底面部54とを接続する。底面部54は、実施形態1に係るラバーマグネット50の長手方向に拡がる曲面である。
【0101】
側面部52の右側面部521は、端面部51の第1端面部510と第2端面部511とを接続し、さらに、天面部53の右曲面部532と底面部54とを接続する。
【0102】
天面部53は、さらに、左曲面部530および右曲面部532に挟まれて形成される水平面部531を有する。水平面部531は、ラバーマグネット50の天面部53を鉛直方向上方に向けたとき水平である。水平面部531は、例えば、ラバーマグネット50を底面部54を鉛直方向下側に向けて水平面に載置したとき水平である。
【0103】
実施形態1によれば、天面部53に水平面部531を形成することにより、ラバーマグネット50の磁気特性を向上させることができる。
【0104】
さらに詳細には、図8(b)に示すように、端面部51の第1端面部510は、第1接続部510A、第1接続部510B、第1接続部510C、第1接続部510D、第1接続部510E、第1接続部510Fで囲まれる。
【0105】
端面部51の第1端面部510は、第1接続部510Aで底面部54と接続される。第1接続部510Aは曲線である。
【0106】
端面部51の第1端面部510は、第1接続部510Bで側面部52の左側面部520と接続される。第1接続部510Bは直線であってもよい。
【0107】
端面部51の第1端面部510は、第1接続部510Cで側面部52の右側面部521と接続される。第1接続部510Cは直線であってもよい。
【0108】
端面部51の第1端面部510は、第1接続部510Dで天面部53の左曲面部530と接続される。第1接続部510Dは曲線である。
【0109】
端面部51の第1端面部510は、第1接続部510Eで天面部53の右曲面部532と接続される。第1接続部510Eは曲線である。
【0110】
端面部51の第1端面部510は、第1接続部510Fで天面部53の水平面部531と接続される。第1接続部510Fは直線である。
【0111】
同様に、図8(b)に示すように、端面部51の第2端面部511は、第2接続部511A、第2接続部511B、第2接続部511C、第2接続部511D、第2接続部511E、第2接続部511Fで囲まれる。
【0112】
端面部51の第2端面部511は、第2接続部511Aで底面部54と接続される。第2接続部511Aは曲線である。
【0113】
端面部51の第2端面部511は、第2接続部511Bで側面部52の左側面部520と接続される。第2接続部511Bは直線であってもよい。
【0114】
端面部51の第2端面部511は、第2接続部511Cで側面部52の右側面部521と接続される。第2接続部511Cは直線であってもよい。
【0115】
端面部51の第2端面部511は、第2接続部511Dで天面部53の左曲面部530と接続される。第2接続部511Dは曲線である。
【0116】
端面部51の第2端面部511は、第2接続部511Eで天面部53の右曲面部532と接続される。第2接続部511Eは曲線である。
【0117】
端面部51の第2端面部511は、第2接続部511Fで天面部53の水平面部531と接続される。第2接続部511Fは直線である。
【0118】
同様に、図8(c)に示すように、側面部52の左側面部520は、第3接続部53Aで天面部53の左曲面部530と接続される。第3接続部53Aは直線である。第3接続部53Aは、端面部51の第1端面部510から端面部51の第2端面部511まで延びる。
【0119】
側面部52の右側面部521は、第3接続部53Bで天面部53の右曲面部532と接続される。第3接続部53Bは直線である。第3接続部53Bは、端面部51の第1端面部510から端面部51の第2端面部511まで延びる。
【0120】
側面部52の左側面部520と右側面部521とは、ラバーマグネット50を底面部54を鉛直下方に向けて水平面に載置したとき、鉛直方向に対して面対称である。
【0121】
天面部53の水平面部531は、第3接続部53Cで天面部53の左曲面部530と接続される。第3接続部53Cは直線である。第3接続部53Cは、端面部51の第1端面部510から端面部51の第2端面部511まで延びる。
【0122】
天面部53の水平面部531は、第3接続部53Dで天面部53の右曲面部532と接続される。第3接続部53Dは直線である。第3接続部53Dは、端面部51の第1端面部510から端面部51の第2端面部511まで延びる。
【0123】
底面部54は、第4接続部54Aで側面部52の左側面部520と接続される。第4接続部54Aは直線である。第4接続部54Aは、端面部51の第1端面部510から端面部51の第2端面部511まで延びる。
【0124】
底面部54は、第4接続部54Bで側面部52の右側面部521と接続される。第4接続部54Bは直線である。第4接続部54Bは、端面部51の第1端面部510から端面部51の第2端面部511まで延びる。
【0125】
次に、図9(a)~(c)に示すように、実施形態1に係るラバーマグネット50の生産方法および着磁方法について説明する。
【0126】
実施形態1に係るラバーマグネット50は、図9(a)に示すような金型62に、樹脂および磁性粉を混ぜた材料を熱をかけながら押し出す押出し方式で生産される。
【0127】
実施形態1に係るラバーマグネット50には、一例として2種類の配向着磁方法がある。
【0128】
図9(a)に示すように、ラバーマグネット50を金型62に入れた状態で、金型62の上側にヨーク60を配置し、金型62の下側にヨーク61を配置する。
【0129】
ヨーク61からヨーク60に向けて磁力線が発せられると、金型62のラバーマグネット50の天面の頂点部分に配向着磁される。
【0130】
また、図9(b)に示すように、金型62の下側に2本のヨーク61aおよびヨーク61bを配置し、金型62の上側の1本のヨーク60を配置する。
【0131】
2本のヨーク61aおよびヨーク61bからヨーク60に向けて磁力線が発せられると、金型62のラバーマグネット50の天面の頂点部分に配向着磁される。
【0132】
さらに、図9(c)に示すように、一例として鉄製の器70にヨーク61を配置して、ラバーマグネット50に追加着磁する方法がある。
【0133】
鉄製の器70にラバーマグネット50の天面の頂点部分が接するように載置し、鉄製の器70にラバーマグネット50の天面の頂点部分が接する位置にヨーク61aおよびヨーク61bを配置する。
【0134】
ヨーク61aおよびヨーク61bから発せられた磁力線により、ラバーマグネット50の天面の頂点部分にさらに追加着磁される。
【0135】
図9(c)に示すように、実施形態1に係るラバーマグネット50は、天面部53の水平面部531に磁束密度中心55を有してもよい。
【0136】
実施形態1によれば、水平面部531における磁力線の配向性を高めることができる。
【0137】
図4で説明した磁気特性規格は、実施形態1に係るラバーマグネット50にも適用され得る。
【0138】
実施形態1に係るラバーマグネット50の磁気特性は、図10に示す方法により測定され得る。磁気特性規格の重複する説明は省略する。
【0139】
図10および図11(d)に示すように、図14を参照して後述する現像マグネットローラー41にホール素子90を当てて、ラバーマグネット50の磁気特性を測定する。
【0140】
具体的には、図14でも後述するように、現像マグネットローラー41は、シャフト56の周面にラバーマグネット50を貼り付けたものをスリーブ管57の中に挿入して形成される。
【0141】
図8で説明したように、実施形態1に係るラバーマグネット50の天面部53には水平面部531が形成されている。
【0142】
実施形態1に係るラバーマグネット50の天面部53には水平面部531の周辺に磁束密度中心55が形成されている。
【0143】
ホール素子90により、スリーブ管57越しにラバーマグネット50の天面部53の水平面部531の磁気特性を測定する。ホール素子90と水平面部531との間隔は、0.1mm~0.3mmである。
【0144】
図9(a)~(c)を参照して説明したラバーマグネット50の着磁および追加着磁により、図11(a)に示すように、ラバーマグネット50の天面部53の水平面部531に磁力線が生じる。
【0145】
図11(a)に示すように、天面部53に水平面部531を設けたことにより、水平面部531に生ずる磁力線の磁束密度を好適に制御できる。
【0146】
図11(b)および(c)に示すように、水平面部531に生ずる磁力線の配向は、水平面部531に対して好適に垂直方向に向いている。
【0147】
このように、天面部53に水平面部531を設けた実施形態1に係るラバーマグネット50の磁気特性を、再度、図12および図13を参照して説明する。
【0148】
天面部53の水平面部531に追加着磁がない場合の磁気特性規格として、磁束密度は、55±5(mT)が要求される。磁気角度のバラツキは、0±3°が要求される。半値幅は、50±5°が要求される。
【0149】
図12に示すように、追加着磁がない場合の実施形態1に係るラバーマグネット50の磁気特性は、水平面部531の短手方向の長さが0.2mm~3.0mmのとき、磁束密度は55mT~52mTであり、比較例の多面体からなるラバーマグネット103に対して優位性がある。
【0150】
水平面部531の短手方向の長さが0.2mm以上のとき、磁気角度のバラツキは3°以下であり、比較例に係るラバーマグネット103に対して優位性がある。
【0151】
水平面部531の短手方向の長さが0.2mm~5.0mmのとき、半値幅は45°~50°であり、比較例に係るラバーマグネット103に対して優位性がある。
【0152】
従って、追加着磁なしの場合、水平面部531の短手方向の長さが0.2mm~3.0mmのとき、比較例に係るラバーマグネット103に対して優位性がある。
【0153】
次に、図13に示すように、追加着磁がある場合の磁気特性規格として、磁束密度は、58±5(mT)が要求される。磁気角度のバラツキは、0±3°が要求される。半値幅は、45±5°が要求される。
【0154】
図13に示す、天面部53の水平面部531に追加着磁がある場合の実施形態1に係るラバーマグネット50の磁気特性は、水平面部531の短手方向の長さが0.5mm~5.0mmのとき、磁束密度は58mT~53mTであり、比較例に係るラバーマグネット103に対して優位性がある。
【0155】
水平面部531の短手方向の長さが0.5mm以上のとき、磁気角度のバラツキは3°以下であり、比較例に係るラバーマグネット103に対して優位性がある。
【0156】
水平面部531の短手方向の長さが0.5mm~5.0mmのとき、半値幅は42°~45°であり、比較例に係るラバーマグネット103に対して優位性がある。
【0157】
従って、追加着磁ありの場合、水平面部531の短手方向の長さが0.5mm~5.0mmのとき、比較例に係るラバーマグネット103に対して優位性がある。
【0158】
従って、天面部53の水平面部531に追加着磁を行うことにより、天面部53の水平面部531の短手方向の幅は、0.5mm~5mmが好適である。
【0159】
実施形態1によれば、磁気特性規格を満足したラバーマグネット50を得ることができる。
【0160】
実施形態1に係るラバーマグネット50は、磁性粉で形成され、磁性粉はフェライトである。
【0161】
実施形態1によれば、ラバーマグネット50の磁力を強めることができる。
【0162】
ラバーマグネット50を形成する磁性粉は、さらに希土類磁性紛を含んでもよい。
【0163】
実施形態1によれば、ラバーマグネット50の磁力をさらに強めることができる。
【0164】
現像マグネットローラー41は、円柱に形成されたシャフト56と、シャフト56の円周面にラバーマグネット50の底面部54が接するように、ラバーマグネット50が複数配置される。
【0165】
実施形態1によれば、現像マグネットローラー41の磁力線の配向を高めることができ、また、現像マグネットローラー41を容易に製造することができる。
【0166】
天面部53の水平面部531は、シャフト56の円周面から延びる法線のうち両側面部52まで同距離の法線に直交して形成される。
【0167】
実施形態1によれば、ラバーマグネット50の磁力線の磁気角度のバラツキを抑えることができる。
【0168】
次に、図14を参照して、実施形態1に係る現像マグネットローラー41を説明する。図14(a)~(e)は、実施形態1に係る現像マグネットローラー41を示す図である。
【0169】
実施形態1に係る現像マグネットローラー41は、図14(b)に示すシャフト56の周面に、図14(a)に示す複数のラバーマグネット50を貼り付けて、いわゆるマグシャフトを形成する。
【0170】
次に、図14(c)に矢印で示すように、マグシャフトをアルミニウムで形成されたチューブ形状のスリーブ管57で覆う。
【0171】
スリーブ管57の外面には、一例として、溝が形成されていてもよい。
【0172】
スリーブ管57の外面には、一例として、ブラスト処理が施されていてもよい。
【0173】
ブラスト処理は、スリーブ管57の外面に研削材を高速で吹き付けることにより、スリーブ管57の外面を研磨し、または、硬化させる表面処理である。研削材の一例は、鋼球、砂、または、ガラスビーズである。
【0174】
次に、図14(d)に矢印で示すように、マグシャフトをシャフト56の軸方向両側から、アルミニウムで形成されたフランジ58で固定する。
【0175】
これらの工程を経て、図14(e)に示す現像マグネットローラー41が組み立てられる。
【0176】
(実施形態2)
次に、図15を参照して、実施形態2に係るラバーマグネット50を説明する。図15は、実施形態2に係るラバーマグネット50を示す図である。
【0177】
図15に示す実施形態2に係るラバーマグネット50の構成は、図8(a)~(c)で説明した実施形態1に係るラバーマグネット50の構成の変形例である。図15に示す実施形態2に係るラバーマグネット50の構成は、図8(a)~(c)の構成を参照される。
【0178】
また、実施形態2の記載および実施形態2に関わる図面に記載された事項は、必要に応じて、他のすべての実施形態および他のすべての実施形態に関わる図面に記載された事項に適用され得る。
【0179】
実施形態2の記載および実施形態2に関わる図面に記載された事項には、他のすべての実施形態および他のすべての実施形態に関わる図面に記載された事項が引用され得る。
【0180】
図15に示すように、第1接合部510Gは、第1接続部510Aと第1接続部510Bとの接合部である。第1接合部510Gは、曲線または曲面であり、R形状を有するが、面取りであっても良い。
【0181】
第1接合部510Hは、第1接続部510Aと第1接続部510Cとの接合部である。第1接合部510Hは、曲線または曲面であり、R形状を有する。
【0182】
第1接合部510Iは、第1接続部510Bと第1接続部510Dとの接合部である。第1接合部510Iは、曲線または曲面であり、R形状を有する。
【0183】
第1接合部510Jは、第1接続部510Cと第1接続部510Eとの接合部である。第1接合部510Jは、曲線または曲面であり、R形状を有する。
【0184】
第2接合部511Gは、第2接続部511Aと第2接続部511Bとの接合部である。第2接合部511Gは、曲線または曲面であり、R形状を有する。
【0185】
第2接合部511Hは、第2接続部511Aと第2接続部511Cとの接合部である。第2接合部511Hは、曲線または曲面であり、R形状を有する。
【0186】
第2接合部511Iは、第2接続部511Bと第2接続部511Dとの接合部である。第2接合部511Iは、曲線または曲面であり、R形状を有する。
【0187】
第2接合部511Jは、第2接続部511Cと第2接続部511Eとの接合部である。第2接合部511Jは、曲線または曲面であり、R形状を有する。
【0188】
印部520Aは、側面部52の左側面部520に形成される。印部520Aの一例は、切欠き、凹凸である。印部520Aは、一例として、ラバーマグネット50のID、製造番号などに用いられる。
【0189】
印部520Bは、側面部52の右側面部521に形成される。印部520Bの一例は、切欠き、凹凸である。印部520Bは、一例として、ラバーマグネット50のID、製造番号などに用いられる。
【0190】
(実施形態3)
次に、図1図15に加え、図16図27を参照して、実施形態3に係るラバーマグネット50を説明する。
【0191】
また、実施形態3の記載および実施形態3に関わる図面に記載された事項は、必要に応じて、他のすべての実施形態および他のすべての実施形態に関わる図面に記載された事項に適用され得る。
【0192】
実施形態3の記載および実施形態3に関わる図面に記載された事項には、他のすべての実施形態および他のすべての実施形態に関わる図面に記載された事項が引用され得る。
【0193】
図16(a)~(c)は、比較例に係るマグネットシャフト100を示す図である。図17(a)および(b)は、実施形態3に係るラバーマグネット50を示す図である。図18(a)および(b)は、一般的なラバーマグネット102を示す図である。
【0194】
図19は、実施形態3に係るラバーマグネット50を示す図である。図20は、実施形態3に係るラバーマグネット50を示す図である。図21(a)および(b)は、実施形態3に係るラバーマグネット50を示す図である。図22は、実施形態3に係るラバーマグネット50を示す図である。図23は、実施形態3に係るラバーマグネット50を示す図である。
【0195】
図24(a)~(c)は、実施形態3に係るラバーマグネット50を比較する図である。図25(a)~(c)は、実施形態3に係るラバーマグネット50を比較する図である。図26は、磁気特性の変化を示す図である。図27は、磁気特性の変化を示す図である。
【0196】
現像マグネットローラー41のラバーマグネット50には、磁束密度、半値幅、および、磁気角度の3つの磁気特性があり、磁気特性を自由にコントロールすることが望まれる。
【0197】
半値幅は、画質に寄与する。
【0198】
すなわち、図16(a)に示すラバーマグネット102(a)のように、ラバーマグネット102(a)の横幅を大きくすると、半値幅が大きくなり、磁束密度が小さくなり、実用性が低下する。
【0199】
図16(b)に示すラバーマグネット102(b)のように横幅を狭めると、半値幅は小さくなるが、磁束密度も小さくなり、実用性が低下する。
【0200】
図16(c)に示すラバーマグネット102(c)のように横幅を狭め、さらに、高さを高くすると、半値幅が小さくなり、磁束密度が大きくなるが、ラバーマグネット102(c)がスリーブ104に衝突し、故障の原因となる。
【0201】
そこで、実施形態3では、ラバーマグネット50の天面部53の形状に新たな構成が提案される。
【0202】
まず、図18(a)および(b)を参照して、ラバーマグネット102について説明する。図18(a)および(b)に示すように、天面102cは、中心107から半径R4の外円105の円弧の一部である。底面102aは、中心107から半径R5の内円106の円弧の一部である。
【0203】
図18(a)および(b)に示すラバーマグネット102は、底面102aと、天面102cと、内円106の中心107から内円106および外円105に向けて延びる直線のうち、内円106から外円105まで延びる側面102bとにより囲まれた環状扇型である。
【0204】
次に、図17(a)および(b)を参照して、実施形態3に係るラバーマグネット50を説明する。実施形態3に係るラバーマグネット50は、天面部53が基準円弧部分533と第1変形円弧部分534とにより構成されることを特徴とする。
【0205】
実施形態3に係るラバーマグネット50は、実施形態1に係るラバーマグネット50と共通する構成について、図8(a)~(c)を参照する。実施形態3に係るラバーマグネット50は、端面部51(図8(a))と、側面部52(図8(a))と、天面部53(図17(a))と、底面部54(図17(a))とを備える。端面部51と、側面部52、天面部53、および底面部54とは、互いに垂直に接続されてもよい。
【0206】
図8(a)に示すように、端面部51は、第1端面部510と、第2端面部511とを有する。第1端面部510および第2端面部511は、実施形態3に係るラバーマグネット50の短手方向に拡がる平面である。第1端面部510は、第2端面部511と平行であってもよい。
【0207】
第1端面部510は、環状扇型に形成される。
【0208】
図8(a)に示すように、第2端面部511は、環状扇型に形成され、天面部53と、側面部52と、底面部54とにより、第1端面部510と接続される。
【0209】
図8(a)に示すように、第2端面部511は、環状扇型に形成され、天面部53と、側面部52と、底面部54とにより、第1端面部510と接続される。
【0210】
図8(a)に示すように、側面部52は、左側面部520と、右側面部521とを有する。左側面部520および右側面部521は、実施形態3に係るラバーマグネット50の長手方向に拡がる平面である。
【0211】
図17(a)に示すように、天面部53は、基準円弧部分533と、第1変形円弧部分534とを有する。天面部53は、図8を参照して説明したように、ラバーマグネット50の長手方向に拡がる曲面である。
【0212】
基準円弧部分533には磁気中心が存在する。第1変形円弧部分534には、磁気中心が存在しない。
【0213】
図8(a)に示すように、側面部52の左側面部520は、第1端面部510と第2端面部511とを接続し、さらに、側面部52の左側面部520は、図8(b)に示すように、天面部53と底面部54とを接続する。底面部54は、実施形態3に係るラバーマグネット50の長手方向に拡がる曲面である。
【0214】
図8(a)に示すように、側面部52の右側面部521は、端面部51の第1端面部510と第2端面部511とを接続し、さらに、天面部53と底面部54とを接続する。
【0215】
図17(b)に示すように、天面部53は、基準中心点536と、第1変形中心点535とが互いに異なる複数の外円80と、外円81との一部の円弧(基準円弧部分533および第1変形円弧部分534)の組み合わせからなる。
【0216】
すなわち、図17(b)に示すように、基準円弧部分533は、基準中心点536を中心に有する外円80の円弧の一部である。第1変形円弧部分534は、第1変形中心点535を中心に有する外円81の円弧の一部である。基準円弧部分533および第1変形円弧部分534の組み合わせにより天面部53を形成することにより、図17(a)に示すラバーマグネット50は、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることができる。
【0217】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0218】
別言すれば、本実施形態によれば、磁束密度の減少をできるだけ抑えながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0219】
図17(a)で説明したように、天面部53は、基準円弧部分533と、第1変形円弧部分534とを有する。天面部53は、基準円弧部分533と第1変形円弧部分534との組み合わせからなる。基準円弧部分533および第1変形円弧部分534は、天面部53と端面部51の第1端面部510とを接続する端部である。
【0220】
図17(b)に示すように、基準円弧部分533は、基準中心点536を円の中心とする外円80の円弧の一部である。第1変形円弧部分534は、基準中心点536とは異なる第1変形中心点535を円の中心とする外円81の円弧の一部である。
【0221】
すなわち、図17(b)に示すように、外円81の第1変形中心点535は、外円80の基準中心点536からずれている。図17(a)に示すように、天面部53は、基準円弧部分533と、基準円弧部分533とは異なる円弧である第1変形円弧部分534とにより形成され得る。そのため、ラバーマグネット50は、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることができる。
【0222】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。また、本実施形態によれば、磁束密度の減少を抑えながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0223】
第1変形円弧部分534は、基準円弧部分533を含む外円80の円弧よりも基準中心点536が配置される側に配置される。
【0224】
第1変形円弧部分534は、基準円弧部分533を含む外円80の円弧の内側に配置されるとも記述され得る。つまり、天面部53が基準円弧部分533の円弧のみから形成される場合に比べて、天面部53が基準円弧部分533の円弧と第1変形円弧部分534の円弧との組み合わせにより形成される方が、天面部53の先鋭度が高まる。そのため、磁束密度の減少を可能な限り抑制しながら、半値幅を小さくすることができる。
【0225】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0226】
図17(b)に示すように、基準中心点536を円の中心とする外円80の半径R2と、第1変形中心点535を円の中心とする外円81の半径R1とは同じであってもよい。
【0227】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0228】
図17(b)に示すように、第1変形中心点535を円の中心とする外円81の半径R1は、基準中心点536を円の中心とする外円80の半径R2よりも小さくてもよい。
【0229】
このように構成すると、天面部53の先鋭度がさらに高まる。そのため、磁束密度を維持しながらさらに半値幅を小さくすることができる。
【0230】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながらさらに半値幅を小さくすることができ、磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0231】
底面部54の円弧は、内円82の円弧の一部であり、内円82の中心は、基準中心点536と一致してもよい。
【0232】
本実施形態によれば、ラバーマグネット50の天面部53と底面部54とが同心円の円弧の一部を含む環状扇型に形成することができる。
【0233】
天面部53の磁気中心が存在する円弧部分が基準円弧部分533であってもよい。
【0234】
天面部53の磁気中心が存在しない円弧部分のうちの一方が第1変形円弧部分534である。
【0235】
本実施形態によれば、天面部53の第1変形円弧部分534が基準円弧部分533を含む外円80の円弧の内部に配置される。そのため、天面部53の先鋭度が高まり、磁束密度を維持しながらさらに半値幅を小さくすることができる。
【0236】
底面部54の円弧は、内円82の円弧の一部であり、基準中心点536および第1変形中心点535は、いずれも内円82の内部に配置されてもよい。
【0237】
本実施形態によれば、天面部53の先鋭度を好適な程度に調節することができる。
【0238】
図19に示すように、基準円弧部分533と第1変形円弧部分534との径方向のずれ量は、0.5mm以下であってもよい。
【0239】
すなわち、図19に示すように、第1変形円弧部分534と基準中心点536を円の中心とする外円80との最大ずれ量は、0.5mm以下であってもよい。
【0240】
別言すれば、図19に示すラバーマグネット50の左側面部520の第1接合部510I(図15)と、左側面部520を外円80に向けて延ばした直線が外円80と交差する点との距離は、0.5mm以下であってもよい。
【0241】
本実施形態によれば、天面部53の先鋭度を好適な程度に調節することができる。
【0242】
基準円弧部分533を含む外円80の直径ΦXに対する第1変形円弧部分534を含む外円81の直径ΦYは、-2%以内であってもよい。
【0243】
また、基準円弧部分533を含む外円80の半径R2に対する第1変形円弧部分534を含む外円81の半径R1は、-2%以内であってもよい。
【0244】
本実施形態によれば、天面部53の先鋭度を好適な程度に調節することができる。
【0245】
次に、引き続き、図21(a)~図23を参照して、実施形態3に係るラバーマグネット50を説明する。図21(a)~図23に示される実施形態3に係るラバーマグネット50は、天面部53が基準円弧部分533と、第1変形円弧部分534と、第2変形円弧部分538とにより構成されることを特徴とする。
【0246】
図21(a)で説明したように、天面部53は、基準円弧部分533と、第1変形円弧部分534に加え、さらに第2変形円弧部分538とを有する。天面部53は、基準円弧部分533と第1変形円弧部分534と第2変形円弧部分538との組み合わせからなる。基準円弧部分533、第1変形円弧部分534、および、第2変形円弧部分538は、天面部53と端面部51の第1端面部510とを接続する端部である。
【0247】
図21(b)に示すように、基準円弧部分533は、基準中心点536を円の中心とする外円80の一部である。第1変形円弧部分534は、基準中心点536とは異なる第1変形中心点535を円の中心とする外円81の一部である。第2変形円弧部分538は、基準中心点536および第1変形中心点535のいずれとも異なる第2変形中心点539を円の中心とする外円83の一部である。
【0248】
すなわち、図21(b)に示すように、外円81の第1変形中心点535は、外円80の基準中心点536からずれている。外円83の第2変形中心点539は、外円80の基準中心点536および外円81の第1変形中心点535のいずれからもずれている。
【0249】
これにより、図21(a)に示すように、天面部53は、基準円弧部分533と、基準円弧部分533とは異なる円弧である第1変形円弧部分534と、基準円弧部分533および第1変形円弧部分534のいずれとも異なる円弧である第2変形円弧部分538とにより形成され得る。
【0250】
そのため、ラバーマグネット50は、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることができる。
【0251】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0252】
第2変形円弧部分538は、基準円弧部分533を含む外円80の円弧よりも基準中心点536が配置される側に配置される。
【0253】
第2変形円弧部分538は、基準円弧部分533を含む外円80の円弧の内側に配置されるとも記述され得る。つまり、天面部53が基準円弧部分533のみから形成される場合に比べて、天面部53が、基準円弧部分533と、第1変形円弧部分534と、第2変形円弧部分538とにより形成される方が、天面部53の先鋭度がさらに高まる。そのため、磁束密度の減少を可能な限り抑制しながら、半値幅を小さくすることができる。
【0254】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0255】
図21(b)に示すように、基準中心点536を円の中心とする外円80の半径R2と、第2変形中心点539を円の中心とする外円83の半径R6とは同じであってもよい。
【0256】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながら半値幅を小さくすることによって磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0257】
図21(b)に示すように、第2変形中心点539を円の中心とする外円83の半径R6は、基準中心点536を円の中心とする外円80の半径R2よりも小さくてもよい。
【0258】
このように構成すると、天面部53の先鋭度がさらに高まる。そのため、磁束密度を維持しながらさらに半値幅を小さくすることができる。
【0259】
本実施形態によれば、磁束密度を維持しながらさらに半値幅を小さくすることができ、磁気特性が向上したラバーマグネット50を得ることができる。
【0260】
天面部53の磁気中心が存在する円弧部分が基準円弧部分533であってもよい。
【0261】
天面部53の磁気中心が存在しない円弧部分のうち、基準円弧部分533に対して第1変形円弧部分534の反対側が第2変形円弧部分538である。
【0262】
本実施形態によれば、天面部53の第2変形円弧部分538が基準円弧部分533を含む外円80の円弧の内部に配置される。そのため、天面部53の先鋭度が高まり、磁束密度を維持しながらさらに半値幅を小さくすることができる。
【0263】
図21(b)に示すように、底面部54の円弧は、内円82の円弧の一部であり、基準中心点536および第2変形中心点539は、いずれも内円82の内部に配置されてもよい。
【0264】
本実施形態によれば、天面部53の先鋭度を好適な程度に調節することができる。
【0265】
図22に示すように、基準円弧部分533と第2変形円弧部分538との径方向のずれ量は、0.5mm以下であってもよい。
【0266】
すなわち、図22に示すように、第1変形円弧部分534と基準中心点536を円の中心とする外円80との最大ずれ量は、0.5mm以下であってもよい。
【0267】
別言すれば、図22に示すラバーマグネット50の左側面部520の第1接合部510I(図15)と、左側面部520を外円80に向けて延ばした直線が外円80と交差する点との距離は、0.5mm以下であってもよい。
【0268】
また、図22に示すラバーマグネット50の右側面部521の第1接合部510J(図15)と、右側面部521を外円80に向けて延ばした直線が外円80と交差する点との距離は、0.5mm以下であってもよい。
【0269】
本実施形態によれば、天面部53の先鋭度を好適な程度に調節することができる。
【0270】
図23に示すように、基準円弧部分533を含む外円80の直径ΦXに対する第2変形円弧部分538を含む外円83の直径ΦZは、-2%以内であってもよい。
【0271】
また、図21(b)に示すように、基準円弧部分533を含む外円80の半径R2に対する第2変形円弧部分538を含む外円83の半径R6は、-2%以内であってもよい。
【0272】
本実施形態によれば、天面部53の先鋭度を好適な程度に調節することができる。
【0273】
次に、図24(a)~(c)と図26とを参照して、実施形態3に係るラバーマグネット50について磁気特性を測定した実験例を説明する。
【0274】
図24(c)は、図18(a)および(b)で説明したラバーマグネット102を示す。図24(b)は、実施形態3に係るラバーマグネット50において、天面部53を基準円弧部分533と、直線537(平面537)で切り欠いた実施例を示す。図24(a)は、図17(a)および(b)、図19、および、図20を参照して説明した実施形態3に係るラバーマグネット50の実施例を示す。
【0275】
図24(a)は、天面部53が基準円弧部分533および第1変形円弧部分534から形成されている実施形態3に係るラバーマグネット50である。
【0276】
図24(a)および(b)に示す実施形態3に係るラバーマグネット50の開き角度は90°である。図21(c)に示すラバーマグネット102の開き角度は90°である。
【0277】
図24(a)および(b)に示す実施形態3に係るラバーマグネット50の底面部54から天面部53(図19)までの距離は、5.7mmである。図24(c)に示すラバーマグネット102の底面102aから天面102cまでの距離は、5.7mmである。
【0278】
図26は、図24(a)~(c)に示した実施形態3に係るラバーマグネット50の磁気特性を比較した図である。
【0279】
図26は、内輪ずれ(mm)を0(mm)~0.7(mm)までサンプリングしている。内輪ずれは、図24(a)に示す基準中心点536と第1変形中心点535とのずれ量を示す。内輪ずれは、図19を参照して説明した第1変形円弧部分534と外円80の円弧との半径方向のずれ量であってもよい。
【0280】
図26は、左から第1欄に、図24(a)に示す実施形態3に係るラバーマグネット50の内輪ずれ量に対する磁力(mT)と半値幅(°)とを示す。左から第2欄に、図24(b)に示すラバーマグネット50の内輪ずれ量に対する磁力(mT)と半値幅(°)とを示す。
【0281】
図26の左から第2欄に示すように、図24(b)に示す天面部53を基準円弧部分533と直線537(平面537)とで切り欠いたラバーマグネット50は、基準円弧部分533と基準中心点536を共有する。そのため、内輪ずれ量は0(mm)である。
【0282】
内輪ずれ量が0(mm)の状態から、図24(a)と同様に、中心点を基準中心点536から第1変形中心点535にずらして、内輪ずれ量を増加させていくと、基準円弧部分533に対する直線537(平面537)の傾きが大きくなる。
【0283】
内輪ずれ量を0(mm)から0.5(mm)までずらしていくと、磁力は、54(mT)から49(mm)まで変化する。半値幅は、49(°)から42(°)まで変化する。
【0284】
次に、図26の左から第1欄に示すように、図24(a)に示す天面部53が基準円弧部分533と第1変形円弧部分534とにより形成されたラバーマグネット50は、基準中心点536と第1変形中心点535とを有する。そのため、内輪ずれ量が0(mm)のときの実験数値はない。
【0285】
図24(a)に示すように、第1変形中心点535を基準中心点536から徐々にずらすと、天面部53が先鋭化する。
【0286】
内輪ずれ量を0.1(mm)から0.5(mm)までずらしていくと、磁力は、55(mT)から51(mm)まで変化する。半値幅は、49(°)から43(°)まで変化する。
【0287】
すなわち、図24(b)に示すラバーマグネット50よりも、図24(a)に示すラバーマグネット50の方が、磁力の減少を抑えながら半値幅を小さくできることがわかる。
【0288】
次に、図25(a)~(c)と図27とを参照して、実施形態3に係るラバーマグネット50とについて磁気特性を測定し、比較した実験例を説明する。
【0289】
図25(c)は、図18(a)および(b)で説明したラバーマグネット102を示す。図25(b)は、実施形態3に係るラバーマグネット50において、天面部53を、基準円弧部分533に加え、基準円弧部分533の両側を直線537(平面537)で切り欠いた実施例を示す。図25(a)は、図21(a)~図23を参照して説明した実施形態3に係るラバーマグネット50の実施例を示す。
【0290】
図25(a)は、天面部53が、基準円弧部分533と、第1変形円弧部分534と、第2変形円弧部分538とから形成されている実施形態3に係るラバーマグネット50である。
【0291】
図25(a)および(b)に示す実施形態3に係るラバーマグネット50の開き角度は90°である。図21(c)に示すラバーマグネット102の開き角度は90°である。
【0292】
図25(a)および(b)に示す実施形態3に係るラバーマグネット50の底面部54から天面部53(図19)までの距離は、5.7mmである。図25(c)に示すラバーマグネット102の底面102aから天面102cまでの距離は、5.7mmである。
【0293】
図27の構成は、図26の構成と同じであるので、重複する説明を省略する。
【0294】
図27の左から第2欄に示すように、図25(b)に示す天面部53を基準円弧部分533と、2箇所の直線537(平面537)とで切り欠いたラバーマグネット50は、基準円弧部分533と基準中心点536を共有する。そのため、内輪ずれ量は0(mm)である。
【0295】
内輪ずれ量が0(mm)の状態から、図25(a)と同様に、中心点を基準中心点536から第1変形中心点535および第2変形中心点539にずらして、内輪ずれ量を増加させていくと、基準円弧部分533に対する2箇所の直線537(平面537)の傾きがそれぞれ大きくなる。
【0296】
内輪ずれ量を0(mm)から0.5(mm)までずらしていくと、磁力は、53(mT)から48(mm)まで変化する。半値幅は、48(°)から40(°)まで変化する。
【0297】
次に、図27の左から第1欄に示すように、図25(a)に示す天面部53が基準円弧部分533と第1変形円弧部分534と第2変形円弧部分538とにより形成されたラバーマグネット50は、基準中心点536と第1変形中心点535と第2変形中心点539とを有する。そのため、内輪ずれ量が0(mm)のときの実験数値はない。
【0298】
図25(a)に示すように、第1変形中心点535および第2変形中心点539を基準中心点536から徐々にずらすと、天面部53が先鋭化する。
【0299】
図27の左から第1欄に示すように、内輪ずれ量を0.1(mm)から0.5(mm)までずらしていくと、磁力は、54(mT)から50(mm)まで変化する。半値幅は、48(°)から40(°)まで変化する。
【0300】
すなわち、図25(b)に示すラバーマグネット50よりも、図25(a)に示すラバーマグネット50の方が、半値幅の減少量に対して高い磁力を維持できていることがわかる。
【0301】
さらには、図26の破線で囲まれた部分と、図27の破線で囲まれた部分とを比較すると、図24(a)に示す、天面部53が基準円弧部分533および第1変形円弧部分534から形成されている実施形態3に係るラバーマグネット50よりも、図25(a)に示す、天面部53が、基準円弧部分533と、第1変形円弧部分534と、第2変形円弧部分538とから形成されている実施形態3に係るラバーマグネット50の方が、所望の磁力を維持しながらより半値幅を小さくできていることがわかる。
【0302】
以上、図面を参照しながら発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数などは、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0303】
本発明は、ラバーマグネット、現像マグネットローラー、現像装置、および、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0304】
3 画像形成装置
11 画像形成部
32 現像装置
42 現像マグネットローラー
50 ラバーマグネット
53 天面部
533 基準円弧部分
534 第1変形円弧部分
535 基準中心点
536 第1変形中心点
538 第2変形円弧部分
54 底面部
55 磁束密度中心
図1
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