(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176431
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】交通情報予測装置、交通情報予測方法および交通情報予測プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094956
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】504126112
【氏名又は名称】住友電工システムソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】白上 龍
(72)【発明者】
【氏名】北原 稔也
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】竹内 孝
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC01
5H181CC11
5H181DD04
5H181EE02
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MC14
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】交通情報の予測結果を容易に取得し、かつ予測結果の精度を高める。
【解決手段】交通情報予測装置は、第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得する第1取得部と、前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行う第2取得部と、前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長を出力する出力部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得する第1取得部と、
前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される出力値として前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行う第2取得部と、
前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長を出力する出力部とを備える、交通情報予測装置。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、さらに、前記予測処理における誤差を補正するための補正情報を出力し、
前記第2取得部は、さらに、前記学習済みモデルから出力される前記補正情報を取得し、
前記第2取得部は、前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量、ならびに取得した前記補正情報を前記数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2渋滞長を取得する前記予測処理を行う、請求項1に記載の交通情報予測装置。
【請求項3】
前記出力部は、さらに、前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を、前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長と対応付けて出力する、請求項1または請求項2に記載の交通情報予測装置。
【請求項4】
前記第2取得部は、前記予測処理において、旅行速度を出力する砂時計モデルにおける第1計算式を変形した、渋滞長に関する第2計算式を前記数理モデルとして用いる、請求項1または請求項2に記載の交通情報予測装置。
【請求項5】
前記交通情報予測装置は、さらに、
所定時刻における、旅行速度、交通量および渋滞長が対応付けられた教師データ、ならびに前記第2渋滞長と前記第2時刻における真の渋滞長との第1の差、前記第2旅行速度と前記第2時刻における真の旅行速度との第2の差、および前記第2交通量と前記第2時刻における真の交通量との第3の差に関する損失関数を用いて前記学習済みモデルを学習させる学習処理を行う学習処理部を備え、
前記損失関数は、前記第1の差、前記第2の差および前記第3の差にそれぞれ乗算される第1の重み付け係数、第2の重み付け係数および第3の重み付け係数を含み、
前記学習処理部は、前記学習処理において、前記教師データにおける前記渋滞長の大きさに応じて、前記第1の重み付け係数を前記第2の重み付け係数および前記第3の重み付け係数と異なる値に変更する、請求項1または請求項2に記載の交通情報予測装置。
【請求項6】
前記第1取得部は、さらに、道路の所定区間に関する第1情報であって、前記所定区間または前記所定区間と異なる区間における交通に影響を与える前記第1情報、および前記所定区間における前記交通の周期性に関する第2情報の少なくともいずれか一方を前記学習済みモデルへ入力する、請求項1または請求項2に記載の交通情報予測装置。
【請求項7】
交通情報予測装置における交通情報予測方法であって、
第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得するステップと、
取得した前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行うステップと、
取得した前記第2渋滞長を出力するステップとを含む、交通情報予測方法。
【請求項8】
交通情報予測装置において用いられる交通情報予測プログラムであって、
コンピュータを、
第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得する第1取得部と、
前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行う第2取得部と、
前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長を出力する出力部、
として機能させるための、交通情報予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交通情報予測装置、交通情報予測方法および交通情報予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シミュレーションを行うことによって、渋滞長等の交通情報を予測する技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2013-210941号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、交通流観測値である時刻、緯度経度情報からなるプローブ情報、もしくは時刻、区間番号、区間通過台数、及び区間通過平均所要時間からなるプローブ交通情報から、任意に指定した区域の交通密度と交通量の関係を定量化し、該関係を用いて交通量を推定する交通流予測装置であって、前記区域を走行した車両のプローブ交通情報に基づき、前記区域内の交通密度と交通量の関係を示す第1の近似曲線を求める第1の近似曲線算出手段と、交通流シミュレーションモデルを用いて交通流シミュレーションを行った結果に基づき、前記区域内の交通密度と交通量の関係を示す第2の近似曲線を求める第2の近似曲線算出手段と、前記第1の近似曲線を前記第2の近似曲線に合致させるための拡大率を算定する拡大率算定手段と、前記第1の近似曲線を求めた際の前記区域内の交通密度と交通量の関係を示す値のそれぞれに対して、前記拡大率を乗算して得られた前記区域内の交通密度と交通量の関係を示す値が、前記第2の近似曲線を求めた際の前記区域内の交通密度と交通量の関係を示す値との距離が最小化させるための交通量とリンク容量を求めるパラメータ調整手段と、前記パラメータ調整手段によって求めた前記交通量と前記リンク容量を入力として前記交通流シミュレーションを実行した結果が所定の終了条件を満たすまでパラメータ調整手段による前記交通量と前記リンク容量を求める処理と前記交通流シミュレーションの実行を繰り返す結果判定手段とを備えたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、シミュレーション対象の道路ネットワークが広域であるほど、またはシミュレーションにおいて当該道路ネットワークを分割するメッシュの数が多いほど、予測結果が得られるまでに時間を要する。また、シミュレーションにおいて用いられるパラメータの最適値を探索するために多くの時間および労力を要する。
【0005】
また、渋滞の頻度が少ない道路における渋滞長を学習済みモデルによって予測する場合、当該学習済みモデルを生成するための統計的学習において用いられる教師データには、非渋滞時の交通情報が多く含まれる。この場合、当該統計的学習によって生成される学習済みモデルによる渋滞長の予測精度が低下する可能性がある。交通情報の予測結果を容易に取得し、かつ予測結果の精度を高めることが可能な技術が望まれる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、交通情報の予測結果を容易に取得し、かつ予測結果の精度を高めることが可能な交通情報予測装置、交通情報予測方法および交通情報予測プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の交通情報予測装置は、第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得する第1取得部と、前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行う第2取得部と、前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長を出力する出力部とを備える。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える交通情報予測装置として実現され得るだけでなく、交通情報予測装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、交通情報予測装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、交通情報の予測結果を容易に取得し、かつ予測結果の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測システムにおける渋滞長感知器によって計測される渋滞長を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置による渋滞長の予測値の算出方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置による再学習処理を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置による再学習処理を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置が予測処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置が再学習処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置は、第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得する第1取得部と、前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行う第2取得部と、前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長を出力する出力部とを備える。
【0012】
このように、学習済みモデルを用いて旅行速度および交通量を予測し、当該学習済みモデルによる予測結果を用いて渋滞長を予測する構成により、シミュレーションを用いて旅行速度、交通量および渋滞長を予測する構成と比較して、渋滞長の予測値をより短時間で取得することができる。また、たとえば、渋滞長、旅行速度および交通量の関係を交通工学の知見から数理的に記述した数理モデルを用いて、渋滞長の予測値を取得することができるため、非渋滞時の交通情報を多く含む教師データにより生成された学習済みモデルを用いて渋滞長を予測する構成と比較して、誤った渋滞長の出力を抑制することができる。したがって、交通情報の予測結果を容易に取得し、かつ予測結果の精度を高めることができる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記第2取得部は、さらに、前記学習済みモデルから出力される前記補正情報を取得してもよく、前記第2取得部は、前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量、ならびに取得した前記補正情報を前記数理モデルへ入力してもよく、前記数理モデルから出力される前記第2渋滞長を取得する前記予測処理を行ってもよい。
【0014】
このような構成により、たとえば、数理モデルを用いた予測処理において、予測対象の時刻における真の渋滞長に対する誤差を低減することができるため、数理モデルの出力結果の精度をさらに高めることができる。
【0015】
(3)上記(1)または(2)において、前記出力部は、さらに、前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を、前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長と対応付けて出力してもよい。
【0016】
数理モデルは、物理法則等の理論的な根拠に従って演繹(えんえき)的に生成される。一方、学習済みモデルは、たとえば、教師データを学習することにより帰納的に生成される。そのため、学習済みモデルによる予測結果の原因は、数理モデルによる予測結果の原因と比べて、ユーザにおいて把握しにくい。上記のように、数理モデルを用いて渋滞長を予測し、数理モデルへ入力される旅行速度の予測値および交通量の予測値を、渋滞長の予測値と対応付けて出力する構成により、学習済みモデルを用いて渋滞長を予測する構成と比較して、渋滞長の予測値の元となる旅行速度の予測値および交通量の予測値をユーザにおいて把握し易くなるため、数理モデルの予測結果に対する安心感および納得感をユーザに与えることができる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記第2取得部は、前記予測処理において、旅行速度を出力する砂時計モデルにおける第1計算式を変形した、渋滞長に関する第2計算式を前記数理モデルとして用いてもよい。
【0018】
交通工学の分野において、砂時計モデルは、たとえば、旅行速度の予測処理において用いられている。上記のように、渋滞長の予測処理において、既存の砂時計モデルを変形した数理モデルを用いる構成により、交通管制システムにおいて容易に取得可能な、旅行速度に関する情報および交通量に関する情報を用いて、渋滞長、旅行速度および交通量の関係を数理的に記述することができる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記交通情報予測装置は、さらに、所定時刻における、旅行速度、交通量および渋滞長が対応付けられた教師データ、ならびに前記第2渋滞長と前記第2時刻における真の渋滞長との第1の差、前記第2旅行速度と前記第2時刻における真の旅行速度との第2の差、および前記第2交通量と前記第2時刻における真の交通量との第3の差に関する損失関数を用いて前記学習済みモデルを学習させる再学習処理を行う学習処理部を備えてもよく、前記損失関数は、前記第1の差、前記第2の差および前記第3の差にそれぞれ乗算される第1の重み付け係数、第2の重み付け係数および第3の重み付け係数を含んでもよく、前記学習処理部は、前記再学習処理において、前記教師データにおける前記渋滞長の大きさに応じて、前記第1の重み付け係数を前記第2の重み付け係数および前記第3の重み付け係数と異なる値に変更してもよい。
【0020】
このような構成により、たとえば、発生頻度の少ない深刻な渋滞時における渋滞長が教師データに含まれている場合、学習済みモデルの再学習処理において、渋滞長の予測値と真の渋滞長との差に乗算される重み付け係数を大きくした損失関数を用いることにより、上記のような深刻な渋滞時における渋滞長を反映させた学習済みモデルの出力結果を取得することができるため、予測結果の精度をさらに高めることができる。
【0021】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記第1取得部は、さらに、道路の所定区間に関する第1情報であって、前記所定区間または前記所定区間と異なる区間における交通に影響を与える前記第1情報、および前記所定区間における前記交通の周期性に関する第2情報の少なくともいずれか一方を前記学習済みモデルへ入力してもよい。
【0022】
このように、予測対象の道路区間における渋滞発生要因となり得る情報を学習済みモデルへさらに入力する構成により、学習済みモデルの出力結果の精度を高めることができる。
【0023】
(7)本開示の実施の形態に係る交通情報予測方法は、交通情報予測装置における交通情報予測方法であって、第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得するステップと、取得した前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行うステップと、取得した前記第2渋滞長を出力するステップとを含む。
【0024】
このように、学習済みモデルを用いて旅行速度および交通量を予測し、当該学習済みモデルによる予測結果を用いて渋滞長を予測する構成により、シミュレーションを用いて旅行速度、交通量および渋滞長を予測する構成と比較して、渋滞長の予測値をより短時間で取得することができる。また、たとえば、渋滞長、旅行速度および交通量の関係を交通工学の知見から数理的に記述した数理モデルを用いて、渋滞長の予測値を取得することができるため、非渋滞時の交通情報を多く含む教師データにより生成された学習済みモデルを用いて渋滞長を予測する構成と比較して、誤った渋滞長の出力を抑制することができる。したがって、交通情報の予測結果を容易に取得し、かつ予測結果の精度を高めることができる。
【0025】
(8)本開示の実施の形態に係る交通情報予測プログラムは、交通情報予測装置において用いられる交通情報予測プログラムであって、コンピュータを、第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得する第1取得部と、前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行う第2取得部と、前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長を出力する出力部、として機能させるためのプログラムである。
【0026】
このように、学習済みモデルを用いて旅行速度および交通量を予測し、当該学習済みモデルによる予測結果を用いて渋滞長を予測する構成により、シミュレーションを用いて旅行速度、交通量および渋滞長を予測する構成と比較して、渋滞長の予測値をより短時間で取得することができる。また、たとえば、渋滞長、旅行速度および交通量の関係を交通工学の知見から数理的に記述した数理モデルを用いて、渋滞長の予測値を取得することができるため、非渋滞時の交通情報を多く含む教師データにより生成された学習済みモデルを用いて渋滞長を予測する構成と比較して、誤った渋滞長の出力を抑制することができる。したがって、交通情報の予測結果を容易に取得し、かつ予測結果の精度を高めることができる。
【0027】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0028】
[交通情報予測システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測システムの構成を示す図である。
図1を参照して、交通情報予測システム501は、交通情報予測装置101と、1または複数の渋滞長感知器51と、1または複数の交通量感知器52と、1または複数の光ビーコン53とを備える。
【0029】
交通情報予測装置101は、道路Rの所定のセグメント、すなわち所定区間(以下、「対象区間A」とも称する。)における渋滞長Lを予測する予測処理を行う。交通情報予測装置101は、たとえばサーバである。
【0030】
(渋滞長感知器)
渋滞長感知器51は、たとえば、対象区間Aにおける渋滞長Lを計測する車両感知器である。
【0031】
図2は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測システムにおける渋滞長感知器によって計測される渋滞長を説明するための図である。
【0032】
図1および
図2を参照して、対象区間Aは、1または複数の交差点CSを含む。
図2に示す例では、対象区間Aは、1つの交差点CSを含む。渋滞長感知器51は、たとえば交差点CSに設けられる。
【0033】
渋滞長感知器51は、たとえば、対象区間Aの下流端からの渋滞長Lを計測する。対象区間Aの下流端は、たとえば、交差点CSへの流入路の停止線Dである。なお、流入路は、車両1が交差点CSへ流入するための道路である。
【0034】
なお、対象区間Aの下流端は、停止線Dに限らず、交差点CSから所定距離、離れた地点であってもよい。
【0035】
渋滞長感知器51は、停止線Dの位置から最後尾の車両1の位置までの長さを渋滞長Lとして計測する。
【0036】
渋滞長感知器51は、たとえば定期的に、渋滞長Lの計測および計測結果の送信を行う。具体的には、渋滞長感知器51は、たとえば50秒ごとに渋滞長Lを計測する。そして、渋滞長感知器51は、計測結果と計測時刻とを含む渋滞長情報をネットワーク151経由で交通情報予測装置101へ送信する。
【0037】
(交通量感知器)
再び
図1を参照して、交通量感知器52は、たとえば、対象区間Aにおける交通量Qを計測する車両感知器である。たとえば、対象区間Aでは、複数の交通量感知器52が設けられる。
【0038】
より詳細には、たとえば、各交通量感知器52は、画像式の車両感知器である。具体的には、たとえば、各交通量感知器52は、対象区間Aを撮像し、撮像結果に基づいて交通量Qを計測する。なお、交通量感知器52は、画像式の車両感知器に限らず、光学式の車両感知器および超音波式の車両感知器等であってもよい。
【0039】
各交通量感知器52は、たとえば定期的に、交通量Qの計測および計測結果の送信を行う。具体的には、各交通量感知器52は、たとえば50秒ごとに交通量Qを計測する。そして、各交通量感知器52は、自己のID(Identifier)と計測結果と計測時刻とを含む交通量情報をネットワーク151経由で交通情報予測装置101へ送信する。ここでは、各交通量感知器52は、渋滞長感知器51と同じタイミングで交通量Qを計測し、交通量情報を送信するものとする。
【0040】
(光ビーコン)
光ビーコン53は、対象区間Aの路側に設けられる。光ビーコン53は、たとえば、対象区間Aを通過する車両1の通過時刻を計測する。たとえば、対象区間Aでは、複数の光ビーコン53が設けられる。
【0041】
より詳細には、たとえば、車両1には、光ビーコン53と通信可能な光ビーコン車載器54が設けられる。
【0042】
光ビーコン車載器54は、たとえば、自己の車両1が光ビーコン53の近傍を通過する際、当該光ビーコン53と通信を行い、自己の車両1のIDおよび通過時刻を示す通過時刻情報を当該光ビーコン53へ送信する。
【0043】
光ビーコン53は、対象区間Aを通過する各車両の光ビーコン車載器54から通過時刻情報を受信すると、受信した複数の通過時刻情報をネットワーク151経由で交通情報予測装置101へ送信する。
【0044】
より詳細には、各光ビーコン53は、たとえば定期的に、自己のID、ならびに各車両1の光ビーコン車載器54から受信した通過時刻情報の示す車両1のIDおよび通過時刻を含む車両通過情報を交通情報予測装置101へ送信する。具体的には、各光ビーコン53は、たとえば50秒ごとに、車両通過情報を交通情報予測装置101へ送信する。
【0045】
[交通情報予測装置の構成]
図3は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置の構成を示す図である。
図3を参照して、交通情報予測装置101は、作成部11と、第1取得部12と、第2取得部13と、出力部14と、学習処理部15と、記憶部16とを備える。作成部11、第1取得部12、第2取得部13、出力部14および学習処理部15の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部16は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0046】
(作成部)
<時系列の渋滞長データ>
たとえば、作成部11は、渋滞長感知器51からの渋滞長情報に基づいて、時系列の渋滞長データを作成する。
【0047】
より詳細には、たとえば、作成部11は、渋滞長感知器51から渋滞長情報を受信すると、受信した渋滞長情報を記憶部16に保存する。
【0048】
作成部11は、自己の交通情報予測装置101が起動してから一定時間経過するごとに、記憶部16に保存されている複数の渋滞長情報に基づいて、対象区間Aにおける渋滞長と計測時刻とを対応付けた時系列の渋滞長データを作成する。
【0049】
そして、作成部11は、変換処理において、たとえば、作成した時系列の渋滞長データに対して平滑化処理を行う。
【0050】
上述の通り、渋滞長感知器51は、たとえば50秒ごとに、対象区間Aにおける渋滞長を計測する。そのため、平滑化処理前の時系列の渋滞長データは、対象区間Aにおける50秒ごとの渋滞長を示す。作成部11は、たとえば、平滑化処理において、作成した時系列の渋滞長データを、対象区間Aにおける5分ごとの渋滞長を示すデータに変換する。そして、作成部11は、平滑化処理後の時系列の渋滞長データ(以下、「渋滞長データL1」とも称する。)を第1取得部12へ出力する。
【0051】
<時系列の交通量データ>
また、たとえば、作成部11は、各交通量感知器52からの交通量情報に基づいて、対象区間Aにおける交通量の統計値に関する時系列のデータを作成する。
【0052】
より詳細には、たとえば、作成部11は、各交通量感知器52から交通量情報を受信すると、受信した複数の交通量情報を記憶部16に保存する。
【0053】
作成部11は、自己の交通情報予測装置101が起動してから一定時間経過するごとに、記憶部16に保存されている複数の交通量情報に基づいて、交通量感知器52のIDごとに、交通量Qの計測結果と計測時刻とを対応付けた時系列の交通量データを作成する。
【0054】
そして、作成部11は、たとえば、時系列の渋滞長データに対する平滑化処理と同様に、作成した時系列の交通量データに対して平滑化処理を行う。すなわち、作成部11は、作成した時系列の交通量データを、対象区間Aにおける5分ごとの各交通量感知器52の計測結果を示すデータに変換する。
【0055】
作成部11は、時系列の交通量データに対する平滑化処理を完了すると、平滑化処理後の時系列の交通量データに基づいて、交通量Qの計測時刻ごとの、複数の交通量感知器52の計測結果の平均値を統計値として算出する。すなわち、作成部11は、交通量Qの平均値と、交通量Qの計測時刻とを対応付けた時系列のデータ(以下、「交通量データQ1」とも称する。)を作成する。そして、作成部11は、作成した交通量データQ1を第1取得部12へ出力する。
【0056】
なお、作成部11は、交通量Qの平均値に限らず、対象区間Aにおける交通量Qの代表値を統計値として算出してもよい。
【0057】
<時系列の旅行速度データ>
また、たとえば、作成部11は、各光ビーコン53からの車両通過情報に基づいて、対象区間Aを通過する複数の車両1の旅行速度の統計値に関する時系列のデータを作成する。
【0058】
より詳細には、たとえば、作成部11は、各光ビーコン53から車両通過情報を受信すると、受信した複数の車両通過情報を記憶部16に保存する。
【0059】
記憶部16は、たとえば、光ビーコン53のIDと、対象区間Aにおける光ビーコン53の位置との対応関係を示す位置リストを記憶する。
【0060】
作成部11は、自己の交通情報予測装置101が起動してから一定時間経過するごとに、記憶部16から複数の車両通過情報を取得し、記憶部16における位置リストを参照することにより、車両通過情報ごとに、当該車両通過情報の示す光ビーコン53のID、に対応する光ビーコン53の位置を特定する。
【0061】
そして、作成部11は、記憶部16から取得した複数の車両通過情報、および特定した各光ビーコン53の位置に基づいて、車両IDごとに、光ビーコン53の位置と、車両通過情報の示す通過時刻とを対応付けた時系列の走行軌跡データを作成する。
【0062】
作成部11は、時系列の走行軌跡データを作成すると、時系列の渋滞長データおよび時系列の交通量データに対する平滑化処理と同様に、当該時系列の走行軌跡データに対して平滑化処理を行う。すなわち、作成部11は、作成した時系列の走行軌跡データを、対象区間Aにおける5分ごとの各車両1の位置を示すデータに変換する。
【0063】
作成部11は、時系列の走行軌跡データに対する平滑化処理を完了すると、対象区間Aを通過する複数の車両1の旅行速度Sの統計値を算出する。
【0064】
具体的には、たとえば、作成部11は、平滑化処理後の時系列の走行軌跡データに基づいて、車両1のIDごとに、各光ビーコン53の位置における車両1の旅行速度Sと通過時刻とを対応付けた時系列の旅行速度データを作成する。
【0065】
そして、作成部11は、作成した時系列の旅行速度データに基づいて、各通過時刻における複数の車両1の旅行速度Sの平均値を統計値として算出し、算出した平均値と通過時刻とを対応付けた時系列のデータ(以下、「旅行速度データS1」とも称する。)を作成する。そして、作成部11は、作成した旅行速度データS1を第1取得部12へ出力する。
【0066】
なお、作成部11は、旅行速度Sの平均値に限らず、対象区間Aを通過する複数の車両1の旅行速度Sの代表値を統計値として算出してもよい。
【0067】
(渋滞長の予測)
たとえば、記憶部16は、ある時刻t1より後の時刻t2における、旅行速度Sおよび交通量Qを予測するための学習済みモデルE1を記憶する。時刻t2は、たとえば、時刻t1から1時間後の予測時刻である。時刻t1は、第1時刻の一例であり、時刻t2は第2時刻の一例である。
【0068】
より詳細には、たとえば、学習済みモデルE1は、ある時間帯T1より後の時間帯T2に含まれる複数の予測時刻の各々における、旅行速度Sおよび交通量Qを予測する。たとえば、時間帯T1および時間帯T2はそれぞれ、1時間幅であり、時間帯T2は時間帯T1の終了直後に開始する。
【0069】
学習済みモデルE1は、たとえば、時間帯T2の開始時刻から一定時間ごとの、旅行速度Sおよび交通量Qを予測する。具体的には、たとえば、学習済みモデルE1は、時間帯T2の開始時刻から5分ごとの、旅行速度Sおよび交通量Qを予測する。
【0070】
記憶部16は、さらに、時刻t2における渋滞長Lの予測値を出力する数理モデルE2を記憶する。
【0071】
より詳細には、たとえば、数理モデルE2は、旅行速度S、交通量Qおよび渋滞長Lの関係を物理法則に従って数理的に記述したモデルである。数理モデルE2は、たとえば、時間帯T2に含まれる複数の予測時刻の各々における渋滞長Lを予測する。具体的には、たとえば、数理モデルE2は、時間帯T2の開始時刻から一定時間ごとの、渋滞長Lを予測する。たとえば、数理モデルE2は、時間帯T2の開始時刻から5分ごとの渋滞長Lを予測する。
【0072】
たとえば、数理モデルE2は、以下の式(1)により表される。式(1)において、Dは、対象区間Aの長さである。Saは、対象区間Aを通過する複数の車両1の旅行速度の平均値である。Sbは、対象区間Aのうち渋滞が発生していない区間における車両1の旅行速度である。Cは、予測処理における誤差を補正するための補正項である。kおよびaは、定数である。補正項Cは、補正情報の一例である。
【0073】
【0074】
より詳細には、たとえば、補正項Cは、時刻t2における真の渋滞長L0に対する誤差を補正するための項である。
【0075】
ここで、数理モデルの生成にあたっては、対象区間Aにおける交通情報に関する条件であって、現実の対象区間Aでは成立しない条件が設定される場合がある。この場合、数理モデルへの入力値が正確な値であっても、数理モデルからの出力値、すなわち渋滞長の予測値は、実際の渋滞長に対して誤差が生じる可能性がある。そのため、本実施の形態では、数理モデルE2において当該誤差を補正するための補正項Cが含まれる。
【0076】
図4は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置による渋滞長の予測値の算出方法を説明するための図である。
【0077】
図3および
図4を参照して、第1取得部12は、渋滞長データL1、旅行速度データS1および交通量データQ1、対象区間Aに関する区間情報、ならびに対象区間Aにおける交通の周期性に関する周期性情報を学習済みモデルE1へ入力する。
【0078】
より詳細には、たとえば、記憶部16は、さらに、区間情報および周期性情報を記憶する。区間情報および周期性情報は、たとえば、ユーザによって、記憶部16に予め登録されている。
【0079】
区間情報は、対象区間Aまたは対象区間Aと異なる区間の交通に影響を与える情報である。
【0080】
具体的には、たとえば、区間情報は、対象区間Aの長さD、対象区間Aにおける交差点CSへの流入路の数、交差点CSからの流出路の数、対象区間Aにおける車線の数、および対象区間Aにおける交差点CSの数のうちの少なくともいずれか1つを示す。なお、流出路は、車両1が交差点CSから流出するための道路である。
【0081】
周期性情報は、たとえば、時間帯T2に含まれる予測時刻と同じ時刻における、渋滞長の統計値、旅行速度の統計値、および交通量の統計値を示す。
【0082】
具体的には、たとえば、周期性情報は、時間帯T2に含まれる予測時刻と同じ時刻における、渋滞長の平均値、旅行速度の平均値、および交通量の平均値を示す。
【0083】
第1取得部12は、渋滞長データL1、交通量データQ1および旅行速度データS1を作成部11から受けると、学習済みモデルE1、区間情報および周期性情報を記憶部16から取得する。そして、第1取得部12は、作成部11から受けた各データ、ならびに記憶部16から取得した区間情報および周期性情報を学習済みモデルE1へ入力する。学習済みモデルE1は、たとえば深層学習により生成される。
【0084】
そして、第1取得部12は、渋滞長データL1、交通量データQ1、旅行速度データS1、区間情報および周期性情報が入力された学習済みモデルE1から出力される、時間帯T2に含まれる複数の予測時刻の各々における、旅行速度Sの予測値(以下、「旅行速度データS2」とも称する。)および交通量の予測値(以下、「交通量データQ2」とも称する。)、ならびに補正項Cを取得する。旅行速度データS2は、たとえば、時間帯T2における5分ごとの旅行速度Sの予測値を示す。交通量データQ2は、たとえば、時間帯T2における5分ごとの交通量Qの予測値を示す。
【0085】
具体的には、たとえば、第1取得部12は、渋滞長データL1、交通量データQ1および旅行速度データS1を作成部11から受けるごとに、当該渋滞長データL1、当該交通量データQ1、当該旅行速度データS1、区間情報および周期性情報を学習済みモデルE1へ入力する。そして、第1取得部12は、学習済みモデルE1から出力される、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを取得する。すなわち、第1取得部12は、新たな渋滞長データL1、交通量データQ1および旅行速度データS1を作成部11から受けるごとに、学習済みモデルE1の新たな出力結果を取得する。
【0086】
第1取得部12は、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを取得すると、取得した旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを第2取得部13へ出力する。
【0087】
ところで、渋滞の頻度が少ない道路Rにおける渋滞長を学習済みモデルによって予測する場合、当該学習済みモデルを生成するための教師データには非渋滞時の交通情報が多く含まれることになり、渋滞長の予測精度が低下する可能性がある。
【0088】
本願発明者らは、鋭意検討することにより、砂時計モデルに基づく数理モデルを用いて渋滞長を予測すると、数理モデルと異なる他の方法を用いて渋滞長を予測する場合と比べて、予測精度の低下を抑制することができるという知見を得た。
【0089】
第2取得部13は、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを第1取得部12から受けると、時刻t2における渋滞長Lを取得する予測処理を行う。
【0090】
たとえば、第2取得部13は、予測処理において、上記式(1)により表される数理モデルE2を用いる。数理モデルE2は、旅行速度を出力する砂時計モデルにおける計算式を変形した、渋滞長に関する計算式である。
【0091】
より詳細には、たとえば、第2取得部13は、第1取得部12から旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを受けると、数理モデルE2を記憶部16から取得する。そして、第2取得部13は、第1取得部12から受けた旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを数理モデルE2へ入力する。
【0092】
そして、第2取得部13は、数理モデルE2から出力される、時間帯T2に含まれる複数の予測時刻の各々における渋滞長Lの予測値(以下、「渋滞長データL2」とも称する。)を取得する。第2取得部13は、渋滞長データL2を取得すると、取得した渋滞長データL2、ならびに第1取得部12から受けた旅行速度データS2および交通量データQ2を出力部14へ出力する。
【0093】
具体的には、たとえば、第2取得部13は、新たな旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを第1取得部12から受けるごとに、当該旅行速度データS2、当該交通量データQ2および当該補正項Cを数理モデルE2へ入力し、数理モデルE2から出力される渋滞長データL2を取得する。第2取得部13は、取得した渋滞長データL2、ならびに第1取得部12から受けた旅行速度データS2および交通量データQ2を出力部14へ出力する。
【0094】
再び
図3を参照して、出力部14は、第2取得部13によって取得された渋滞長データL2、第1取得部12によって取得された旅行速度データS2および交通量データQ2を出力する。より詳細には、たとえば、出力部14は、第1取得部12によって取得された旅行速度データS2および交通量データQ2を、第2取得部13によって取得された渋滞長データL2と対応付けて出力する。
【0095】
具体的には、たとえば、出力部14は、第2取得部13から渋滞長データL2、旅行速度データS2および交通量データQ2を受けると、旅行速度データS2および交通量データQ2を渋滞長データL2と対応付けて、図示しない表示装置に表示する。
【0096】
(再学習処理)
たとえば、学習処理部15は、教師データKおよび損失関数Fを用いて学習済みモデルE1を再学習させる再学習処理を行う。教師データKは、たとえば、時間帯T2に含まれる予測時刻ごとに、真の旅行速度S0、真の交通量Q0および真の渋滞長L0が対応付けられたデータである。
【0097】
より詳細には、たとえば、記憶部16は、教師データKおよび損失関数Fを記憶する。教師データKおよび損失関数Fは、ユーザによって、記憶部16に予め登録されている。
【0098】
損失関数Fは、予測時刻における渋滞長Lの予測値と真の渋滞長L0との差、予測時刻における旅行速度Sの予測値と真の旅行速度S0との差、および予測時刻における交通量Qの予測値と真の交通量Q0との差に関する関数である。具体的には、損失関数Fは、以下の式(2)により表される。
F=λ1×F1+λ2×F2+λ3×F3+λ4×F4 ・・・(2)
【0099】
式(2)において、F1は、渋滞長Lの予測値と真の渋滞長L0との差に関する関数である。F2は、渋滞長Lの予測値と真の渋滞長L0との差を対象区間Aの長さDで除算した値に関する関数である。F3は、旅行速度Sの予測値と真の旅行速度S0との差に関する関数である。F4は、交通量Qの予測値と真の交通量Q0との差に関する関数である。λ1、λ2、λ3およびλ4は、それぞれ関数F1、関数F2、関数F3および関数F4に乗算される重み付け係数である。重み付け係数λ1,λ2は、第1の重み付け係数の一例である。重み付け係数λ3は、第2の重み付け係数の一例である。重み付け係数λ4は、第3の重み付け係数の一例である。
【0100】
たとえば、学習処理部15は、再学習処理において、教師データKにおける渋滞長Lの大きさに応じて、重み付け係数λ1,λ2を重み付け係数λ3,λ4と異なる値に変更する。
【0101】
より詳細には、たとえば、学習処理部15は、教師データKにおける真の渋滞長L0が所定の閾値Th1以上である場合、重み付け係数λ1,λ2を重み付け係数λ3,λ4より大きい値に設定する。
【0102】
図5および
図6は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置による再学習処理を説明するための図である。
図5は、学習済みモデルE1の再学習回数、たとえばエポック数が小さい再学習の初期における再学習処理の一例を説明するための図であり、
図6は、エポック数が大きい再学習の後期における再学習処理の一例を説明するための図である。
【0103】
図3、
図5および
図6を参照して、たとえば、学習処理部15は、再学習の初期においては、教師データKにおける真の旅行速度S0および真の交通量Q0、ならびに学習済みモデルE1から出力される補正項Cを含むデータ群(以下、「データ群N1」とも称する。)を用いて再学習処理を行う頻度を多くする。また、学習処理部15は、再学習の後期においては、学習済みモデルE1から出力される、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを含むデータ群(以下、「データ群N2」とも称する。)を用いて再学習処理を行う頻度を多くする。
【0104】
より詳細には、たとえば、学習処理部15は、再学習処理を行う場合、記憶部16から教師データK、すなわち渋滞長データL1、旅行速度データS1、交通量データQ1、真の渋滞長L0、真の旅行速度S0および真の交通量Q0を取得する。
【0105】
学習処理部15は、渋滞長データL1、旅行速度データS1、交通量データQ1、真の渋滞長L0、真の旅行速度S0および真の交通量Q0を記憶部16から取得すると、渋滞長データL1、旅行速度データS1および交通量データQ1を記憶部16における学習済みモデルE1へ入力する。そして、学習処理部15は、学習済みモデルE1から出力される、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを取得する。
【0106】
学習処理部15は、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを取得すると、記憶部16から取得した、真の旅行速度S0および真の交通量Q0、ならびに補正項Cを含むデータ群N1を作成する。また、学習処理部15は、取得した、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを含むデータ群N2を作成する。
【0107】
以下の説明では、再学習処理においてデータ群N1を用いる事象を「事象X0」とも称する。また、再学習処理においてデータ群N2を用いる事象を「事象X1」とも称する。
【0108】
たとえば、学習処理部15は、再学習処理において、データ群N1,N2を作成すると、データ群N1,N2に対して乱数を生成し、生成した乱数の値に応じて、再学習処理において用いるデータ群(以下、「再学習用データ群」とも称する。)を選択する。
【0109】
具体的には、たとえば、学習処理部15は、エポック数が増えるごとに、事象X1を行う確率P1の値を所定値増加させる。本実施の形態では、たとえば、学習処理部15は、エポック数がゼロである場合における確率P1の値を0.1に設定し、エポック数が所定の回数に到達した場合における確率P1の値を1に設定する。そして、学習処理部15は、エポック数が増えるごとに、確率P1の値が1となるまで、確率P1の値を0.1から所定値増加させる。
【0110】
そして、学習処理部15は、再学習処理において、値「1」の乱数rを確率P1で生成し、値「0」の乱数rを1から確率P1を減算した値の確率P2で生成する処理を行う。
【0111】
そして、学習処理部15は、値「1」の乱数rが生成された場合、データ群N2を再学習用データ群として選択する。また、学習処理部15は、値「0」の乱数rが生成された場合、データ群N1を再学習用データ群として選択する。すなわち、学習処理部15は、確率P1の値が1となるまでにおいて、乱数rの値が小さい場合、データ群N1を再学習用データ群として用いる頻度を高くし、乱数rの値が大きい場合、データ群N2を再学習用データ群として用いる頻度を高くする。また、学習処理部15は、確率P1の値が1となった場合、生成される乱数rは「1」となるため、データ群N2を再学習用データ群として用いる。
【0112】
たとえば、学習処理部15は、値「0」の乱数rが生成された場合、
図5に示すように、データ群N1に含まれる、真の旅行速度S0、真の交通量Q0および補正項Cを数理モデルE2へ入力し、数理モデルE2から出力される渋滞長データL2を取得する。
【0113】
また、たとえば、学習処理部15は、値「1」の乱数rが生成された場合、
図6に示すように、データ群N2に含まれる、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを数理モデルE2へ入力し、数理モデルE2から出力される渋滞長データL2を取得する。
【0114】
学習処理部15は、渋滞長データL2を取得すると、渋滞長データL2、旅行速度データS2、交通量データQ2、真の渋滞長L0、真の旅行速度S0および真の交通量Q0を損失関数Fに代入し、損失関数Fの出力値を取得する。学習処理部15は、損失関数Fの出力値が収束するまで学習済みモデルE1の各種パラメータを更新する。また、学習処理部15は、学習済みモデルE1の各種パラメータを更新すると、エポック数を1つ加算するとともに、乱数rの生成に用いる確率P1を所定値増加させる。
【0115】
学習処理部15は、損失関数Fの出力値が収束した場合、各種パラメータを更新した新たな学習済みモデルE1を記憶部16に保存する。第1取得部12は、旅行速度Sおよび交通量Qを予測する次回の予測処理において、新たな学習済みモデルE1を用いる。
【0116】
[動作の流れ]
図7は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置が予測処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0117】
図7を参照して、まず、交通情報予測装置101は、渋滞長感知器51からの渋滞長情報と、交通量感知器52からの交通量情報と、光ビーコン53からの車両通過情報とを受信して記憶部16に保存する(ステップS101)。
【0118】
交通情報予測装置101は、自己が起動してから一定時間経過するまで(ステップS102においてNO)、渋滞長感知器51から受信した新たな渋滞長情報と、交通量感知器52から受信した新たな交通量情報と、光ビーコン53から受信した新たな車両通過情報とを記憶部16に保存する(ステップS101)。
【0119】
そして、交通情報予測装置101は、自己が起動してから一定時間経過すると(ステップS102においてYES)、記憶部16に保存されている複数の渋滞長情報に基づいて、予測処理において用いる時系列の渋滞長データL1を作成する(ステップS103)。
【0120】
次に、交通情報予測装置101は、記憶部16に保存されている複数の交通量情報に基づいて、予測処理において用いる時系列の交通量データQ1を作成する(ステップS104)。
【0121】
次に、交通情報予測装置101は、記憶部16に保存されている複数の車両通過情報に基づいて、予測処理において用いる時系列の旅行速度データS1を作成する(ステップS105)。なお、ステップS103、ステップS104およびステップS105は、順序を入れ替えて実行してもよいし、並列して実行してもよい。
【0122】
次に、交通情報予測装置101は、学習済みモデルE1、区間情報および周期性情報を記憶部16から取得し、作成した渋滞長データL1、交通量データQ1および旅行速度データS1、ならびに記憶部16から取得した区間情報および周期性情報を学習済みモデルE1へ入力する(ステップS106)。
【0123】
次に、交通情報予測装置101は、学習済みモデルE1から出力される、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを取得する(ステップS107)。
【0124】
次に、交通情報予測装置101は、砂時計モデルに基づく数理モデルE2を記憶部16から取得し、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを数理モデルE2へ入力する(ステップS108)。
【0125】
次に、交通情報予測装置101は、数理モデルE2から出力される渋滞長Lの予測結果である渋滞長データL2を取得する(ステップS109)。
【0126】
次に、交通情報予測装置101は、旅行速度データS2および交通量データQ2を渋滞長データL2と対応付けて表示装置に表示し(ステップS110)、渋滞長情報、交通量情報および光ビーコン情報を新たに受信して記憶部16に保存する(ステップS101)。
【0127】
図8は、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置101が再学習処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0128】
図8を参照して、まず、交通情報予測装置101は、データ群N1およびデータ群N2を作成する。たとえば、上述したように、交通情報予測装置101は、渋滞長データL1、旅行速度データS1、交通量データQ1、真の渋滞長L0、真の旅行速度S0および真の交通量Q0を記憶部16から取得する。そして、交通情報予測装置101は、取得した、渋滞長データL1、旅行速度データS1および交通量データQ1を記憶部16における学習済みモデルE1へ入力する。交通情報予測装置101は、学習済みモデルE1から出力される、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを取得すると、真の旅行速度S0、真の交通量Q0および補正項Cを含むデータ群N1、ならびに旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを含むデータ群N2を作成する(ステップS201)。
【0129】
次に、交通情報予測装置101は、作成した、データ群N1およびデータ群N2に対して乱数rを生成する(ステップS202)。
【0130】
次に、交通情報予測装置101は、生成した乱数rの値が1であるか否かを確認する(ステップS203)。
【0131】
交通情報予測装置101は、乱数rが1ではない場合(ステップS203においてNO)、データ群N1を再学習用データ群として選択する(ステップS204)。
【0132】
一方、交通情報予測装置101は、乱数rが1である場合(ステップS203においてYES)、データ群N2を再学習用データ群として選択する(ステップS205)。
【0133】
次に、交通情報予測装置101は、選択した再学習用データ群を記憶部16における数理モデルE2へ入力する。たとえば、上述したように、交通情報予測装置101は、データ群N1を再学習用データ群として選択した場合、真の旅行速度S0、真の交通量Q0および補正項Cを数理モデルE2へ入力する。また、たとえば、交通情報予測装置101は、データ群N2を再学習用データ群として選択した場合、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを数理モデルE2へ入力する(ステップS206)。
【0134】
次に、交通情報予測装置101は、数理モデルE2から出力される渋滞長データL2を取得する(ステップS207)。
【0135】
次に、交通情報予測装置101は、渋滞長データL2、旅行速度データS2、交通量データQ2、真の渋滞長L0、真の旅行速度S0および真の交通量Q0を損失関数Fに代入することにより、学習済みモデルE1の再学習処理を行い、学習済みモデルE1における各種パラメータを更新する(ステップS208)。
【0136】
次に、交通情報予測装置101は、学習済みモデルE1の再学習回数を示すエポック数を1つ加算する(ステップS209)。
【0137】
次に、交通情報予測装置101は、乱数rを生成する処理において用いる確率P1の値、すなわちデータ群N2を用いて再学習処理を行う確率P1の値を所定値増加させる(ステップS210)。
【0138】
次に、交通情報予測装置101は、損失関数Fの出力値が収束したか否かを確認する(ステップS211)。
【0139】
交通情報予測装置101は、損失関数Fの出力値が収束した場合(ステップS211においてYES)、各種パラメータを更新した新たな学習済みモデルE1を記憶部16に保存する(ステップS212)。
【0140】
一方、交通情報予測装置101は、損失関数Fの出力値が収束しない場合(ステップS211においてNO)、データ群N1およびデータ群N2を新たに取得する(ステップS201)。
【0141】
なお、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置101において、学習済みモデルE1は、旅行速度データS2、交通量データQ2および補正項Cを出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。学習済みモデルE1は、補正項Cを出力せず、旅行速度データS2および交通量データQ2を出力する構成であってもよい。
【0142】
また、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置101において、出力部14は第1取得部12によって取得された旅行速度データS2および交通量データQ2を、数理モデルE2の出力結果である渋滞長データL2と対応付けて出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。出力部14は、旅行速度データS2および交通量データQ2を出力せず、渋滞長データL2を出力する構成であってもよい。
【0143】
また、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置101において、第2取得部13は、予測処理において、旅行速度を出力する砂時計モデルにおける計算式を変形した、上記式(1)を数理モデルE2として用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。第2取得部13は、予測処理において、砂時計モデルを変形した式ではない他の式を数理モデルとして用いる構成であってもよい。
【0144】
また、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置101において、学習処理部15は、学習処理において、教師データKにおける渋滞長の大きさに応じて、重み付け係数λ1,λ2を重み付け係数λ3,λ4と異なる値に変更する構成であるとしたが、これに限定するものではない。学習処理部15は、固定値の重み付け係数λ1,λ2を用いる構成であってもよい。
【0145】
また、本開示の実施の形態に係る交通情報予測システム501において、交通情報予測装置101は、学習済みモデルE1を再学習させる学習処理部15を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。交通情報予測装置101は、学習処理部15を備えず、学習済みモデルE1を更新しない構成であってもよい。
【0146】
また、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置101において、第1取得部12は、渋滞長データL1、旅行速度データS1および交通量データQ1に加えて、区間情報および周期性情報を学習済みモデルE1へ入力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。第1取得部12は、渋滞長データL1、旅行速度データS1および交通量データQ1に加えて、区間情報および周期性情報のいずれか一方を学習済みモデルE1へ入力する構成であってもよい。また、第1取得部12は、渋滞長データL1、旅行速度データS1および交通量データQ1を学習済みモデルE1へ入力し、区間情報および周期性情報を学習済みモデルE1へ入力しない構成であってもよい。
【0147】
また、本開示の実施の形態に係る交通情報予測システム501において、交通情報予測装置101は、渋滞長データL1、交通量データQ1および旅行速度データS1を作成する作成部11を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。交通情報予測装置101以外の装置が作成部11を備える構成であってもよい。
【0148】
また、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置101の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本開示の実施の形態に係る交通情報予測装置101が、複数のサーバによって構成されるクラウドサーバであってもよい。
【0149】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0150】
上述の実施の形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0151】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得する第1取得部と、
前記第1取得部によって取得された前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得する予測処理を行う第2取得部と、
前記第2取得部によって取得された前記第2渋滞長を出力する出力部とを備え、
前記第1取得部は、さらに、道路の所定区間に関する区間情報であって、前記所定区間または前記所定区間と異なる区間における交通に影響を与える前記区間情報を前記学習済みモデルへ入力し、
前記所定区間は、交差点を含み、
前記区間情報は、前記所定区間の長さ、前記交差点への流入路の数、前記交差点からの流出路の数、前記所定区間における車線の数、および前記交差点の数のうちの少なくともいずれか1つを示す、交通情報予測装置。
【0152】
[付記2]
処理回路を備え、
前記処理回路は、
第1時刻における、第1渋滞長、第1旅行速度および第1交通量を学習済みモデルへ入力し、前記学習済みモデルから出力される、前記第1時刻より後の第2時刻における旅行速度の予測値である第2旅行速度と、前記第2時刻における交通量の予測値である第2交通量とを取得し、
取得した前記第2旅行速度および前記第2交通量を数理モデルへ入力し、前記数理モデルから出力される前記第2時刻における渋滞長の予測値である第2渋滞長を取得し、
取得した前記第2渋滞長を出力する、交通情報予測装置。
【符号の説明】
【0153】
1 車両
11 作成部
12 第1取得部
13 第2取得部
14 出力部
15 学習処理部
16 記憶部
51 渋滞長感知器
52 交通量感知器
53 光ビーコン
54 光ビーコン車載器
101 交通情報予測装置
501 交通情報予測システム
C 補正項
E1 学習済みモデル
E2 数理モデル