(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176433
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】居眠り防止装置、居眠り防止方法、及び居眠り防止プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094960
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元樹
(72)【発明者】
【氏名】浅野 正裕
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】運転者の眠気を検出した場合であっても、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることを可能とする。
【解決手段】自車の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得する眠気状態取得部111と、眠気状態取得部111で取得した眠気状態が、運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、車両の車速が、0よりも大きく設定される上限速度である第1上限速度を超えることを抑制する第1速度抑制機能を作動状態にする第1速度抑制部131とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で用いることが可能な居眠り防止装置であって、
前記車両の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得する眠気状態取得部(111)と、
前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記車両の車速が、0よりも大きく設定される上限速度である設定上限速度を超えることを抑制する眠気時速度抑制機能を作動状態にする眠気時速度抑制部(131,132a,131b,131c)とを備える居眠り防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の居眠り防止装置であって、
前記運転者に向けて情報提示を行わせる提示指示部(102)を備え、
前記提示指示部は、前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記情報提示として前記運転者に向けた警告を行わせ、
前記眠気時速度抑制部は、前記提示指示部による前記警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする居眠り防止装置。
【請求項3】
請求項2に記載の居眠り防止装置であって、
前記提示指示部は、前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記眠気時速度抑制部で前記眠気時速度抑制機能を作動状態にするまでに、前記警告として、段階的な警告である段階的警告を行わせるものであり、
前記眠気時速度抑制部は、前記提示指示部による前記段階的警告のうちの最終段階の警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする居眠り防止装置。
【請求項4】
請求項3に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気状態取得部は、眠気状態として、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得するものであり、
前記提示指示部は、前記段階的警告を開始する前に、その段階的警告の段数を設定するものであり、前記眠気状態取得部で取得した前記深度レベルが大きくなるのに応じて、前記段階的警告の段数を多く設定する居眠り防止装置。
【請求項5】
請求項3に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気状態取得部は、眠気状態として、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得するものであり、
前記提示指示部は、前記段階的警告を開始する前に、その段階的警告のどの段階から警告を開始するかである開始段階を設定するものであり、前記眠気状態取得部で取得した前記深度レベルが大きくなるのに応じて、前記開始段階を前記段階的警告のうちのより後ろの段階に設定する居眠り防止装置。
【請求項6】
請求項2に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気状態取得部は、眠気状態として、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得するものであり、
前記眠気時速度抑制部は、前記提示指示部による前記警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする場合のその警告の開始後に前記眠気時速度抑制機能を作動状態にするタイミングを、前記眠気状態取得部で取得した前記深度レベルが大きくなるのに応じて、早くする居眠り防止装置。
【請求項7】
請求項2に記載の居眠り防止装置であって、
前記提示指示部は、前記警告として、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする予告を含む予告警告を少なくとも行わせるものであり、
前記眠気時速度抑制部は、前記提示指示部による前記予告警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記予告警告の開始から規定時間後に、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする居眠り防止装置。
【請求項8】
請求項7に記載の居眠り防止装置であって、
前記提示指示部は、前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記眠気時速度抑制部で前記眠気時速度抑制機能を作動状態にするまでに、前記警告として、段階的な警告である段階的警告を行わせるものであり、
前記段階的警告には、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする予告を含む予告警告と、この予告警告よりも前の段階の警告である予告前警告とを含み、
前記提示指示部は、前記予告前警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記予告前警告の開始後の前記車両の走行距離が規定距離に到達後に、前記予告警告を行わせる居眠り防止装置。
【請求項9】
請求項1に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気状態取得部は、眠気状態として、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得するものであり、
前記眠気時速度抑制部は、前記設定上限速度を、前記眠気状態取得部で取得した前記深度レベルが大きくなるのに応じて、低くする居眠り防止装置。
【請求項10】
請求項9に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気時速度抑制部は、前記車両の走行中の道路に、法定の下限速度が定められている場合には、前記深度レベルに応じた前記設定上限速度が、この法定の下限速度を下回らないようにする居眠り防止装置。
【請求項11】
請求項1に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気時速度抑制機能が作動状態となっている場合に、前記眠気時速度抑制機能の作動状態を解除する解除条件が成立したか否かを判定する解除判定部(104)を備え、
前記眠気時速度抑制部は、前記解除判定部で前記解除条件が成立したと判定した場合に、前記眠気時速度抑制機能の作動状態を解除するものであり、
前記解除判定部は、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気が解消したことを示す状態となったこと、前記車両が停止して設定時間以上経過したこと、及び前記眠気時速度抑制機能の作動状態を解除する操作として予め定められた解除操作を前記車両で受け付けたことの少なくともいずれかを前記解除条件とし、この解除条件を一つでも満たす場合に、前記眠気時速度抑制機能の作動状態を解除する解除条件が成立したと判定する居眠り防止装置。
【請求項12】
請求項1に記載の居眠り防止装置であって、
前記運転者に向けて情報提示を行わせる提示指示部(102)を備えるものであり、
前記提示指示部は、前記情報提示として、前記運転者の眠気によって前記眠気時速度抑制機能が自動的に作動状態にされる旨の通知を、前記車両の発車よりも前に、前記運転者に向けて行わせる居眠り防止装置。
【請求項13】
請求項9に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気時速度抑制部に加え、前記運転者の眠気があるか否かにかかわらず、前記車両の走行中の道路に定められた法定の上限速度に応じて法定の上限速度を超えないように設定される上限速度である法定関連上限速度を超えることを抑制する法定関連速度抑制機能を作動状態にする法定関連速度抑制部(132,132a,132b,132c)をさらに備える居眠り防止装置。
【請求項14】
請求項13に記載の居眠り防止装置であって、
前記運転者に向けて情報提示を行わせる提示指示部(102)を備えるものであり、
前記提示指示部は、前記情報提示として、少なくとも音を出力させるものであり、
前記提示指示部は、前記設定上限速度が変化した場合に、前記設定上限速度が変化したことを通知する第1通知音を出力させる他、前記法定関連上限速度が変化した場合に、前記法定関連上限速度が変化したことを通知する第2通知音を出力させるものであり、前記第2通知音を第1通知音よりも煩わしさを抑えた態様で出力させる居眠り防止装置。
【請求項15】
請求項1に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気時速度抑制部(131c)が作動状態にする前記眠気時速度抑制機能は、前記車両のアクセルペダルの操作による加速を抑制する機能であり、
前記眠気時速度抑制部は、前記アクセルペダルの操作量を示す信号であるアクセル信号を出力するアクセル信号発生ユニット(13)と、アクセル信号に応じて前記車両の走行駆動力を制御する駆動力制御装置(14)との間に介在し、前記アクセル信号発生ユニットから入力されるアクセル信号を、入力されたアクセル信号よりも小さいアクセルペダル操作量を示すアクセル信号に変換して前記駆動力制御装置に出力する居眠り防止装置。
【請求項16】
車両で用いることが可能な居眠り防止方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記車両の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得する眠気状態取得工程と、
前記眠気状態取得工程で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記車両の車速が、0よりも大きく設定される上限速度である設定上限速度を超えることを抑制する眠気時速度抑制機能を作動状態にする眠気時速度抑制工程とを含む居眠り防止方法。
【請求項17】
車両で用いることが可能な居眠り防止プログラムであって、
コンピュータを、
前記車両の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得する眠気状態取得部(111)と、
前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記車両の車速が、0よりも大きく設定される上限速度である設定上限速度を超えることを抑制する眠気時速度抑制機能を作動状態にする眠気時速度抑制部(131,132a,131b,131c)として機能させるための居眠り防止プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、居眠り防止装置、居眠り防止方法、及び居眠り防止プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバーの異常が検出された場合であって、ドライバーに警告を通知しても異常が解消しない場合に、車両の走行を停止制御する技術が開示されている。特許文献1に開示の技術では、心筋梗塞、発熱等の身体上の異常、過度の疲労、居眠り等による異常を、ドライバーの異常として検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によれば、ドライバーの異常に対して過剰な措置が取られ、ドライバーにとっての快適性を損うおそれがある。詳しくは、以下の通りである。ドライバーの異常が、短時間での回復が難しい異常の場合には、運転の継続は困難と考えられる。よって、車両を停止制御させることが、過剰な措置にはなりにくい。一方、短時間での回復が見込まれやすい眠気といった異常の場合には、運転中に改善されることも十分に考えられる。このような場合に、車両を停止制御させると、ドライバーにとって過剰な措置と感じられ、ドライバーにとっての快適性を損ってしまうおそれがある。
【0005】
この開示の1つの目的は、運転者の眠気を検出した場合であっても、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることを可能とする居眠り防止装置、居眠り防止方法、及び居眠り防止プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、1つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の居眠り防止装置は、車両で用いることが可能な居眠り防止装置であって、車両の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得する眠気状態取得部(111)と、眠気状態取得部で取得した眠気状態が、運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、車両の車速が、0よりも大きく設定される上限速度である設定上限速度を超えることを抑制する眠気時速度抑制機能を作動状態にする眠気時速度抑制部(131,132a,131b,131c)とを備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の居眠り防止方法は、車両で用いることが可能な居眠り防止方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、車両の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得する眠気状態取得工程と、眠気状態取得工程で取得した眠気状態が、運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、車両の車速が、0よりも大きく設定される上限速度である設定上限速度を超えることを抑制する眠気時速度抑制機能を作動状態にする眠気時速度抑制工程とを含む。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の居眠り防止プログラムは、車両で用いることが可能な居眠り防止プログラムであって、コンピュータを、車両の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得する眠気状態取得部(111)と、眠気状態取得部で取得した眠気状態が、運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、車両の車速が、0よりも大きく設定される上限速度である設定上限速度を超えることを抑制する眠気時速度抑制機能を作動状態にする眠気時速度抑制部(131,132a,131b,131c)として機能させる。
【0010】
以上の構成によれば、運転者の眠気があることに応じて、運転者の操作によって運転者の意図する速度まで車両を加速させることが抑制される。よって、この抑制に運転者が違和感を受けることで、運転者の眠気が解消されやすくなる。この抑制は、車両を停止制御するよりも緩い措置であるので、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることが可能になる。また、この抑制によって、運転者の運転操作による停車と運転操作の休憩とを促し、運転者の眠気を解消することも可能になる。この停車は、運転者の運転操作によるものであって、停止制御によるものでないので、運転者にとっての快適性を損いにくい。その結果、運転者の眠気を検出した場合であっても、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図2】運転支援装置の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図3】第1速度抑制機能の作動と各種警告とのタイミングの一例について説明するための図である。
【
図4】警告の表示例の一例について説明するための図である。
【
図5】深度レベルの悪化による第1速度抑制機能の作動と各種警告とのタイミングの一例について説明するための図である。
【
図6】深度レベルに応じた第1上限速度の設定について説明するための図である。
【
図7】解除条件が眠気改善条件の場合の解除タイミングの一例について説明するための図である。
【
図8】解除条件が停止時間条件の場合の解除タイミングの一例について説明するための図である。
【
図9】解除条件が解除操作条件の場合の解除タイミングの一例について説明するための図である。
【
図10】設定可能機能のオンオフを行う画面の表示例を示す図である。
【
図11】実施形態1における機能有効化設定の組み合わせのパターンについて説明するための図である。
【
図12】停止中における状態遷移について説明するための図である。
【
図13】パターン1の場合の監視モードにおける状態遷移について説明するための図である。
【
図14】パターン2,4の場合の監視モードにおける状態遷移について説明するための図である。
【
図15】パターン6の場合の監視モードにおける状態遷移について説明するための図である。
【
図16】車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図17】運転支援装置の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図18】設定可能機能のオンオフを行う画面の表示例を示す図である。
【
図19】実施形態2における機能有効化設定の組み合わせのパターンについて説明するための図である。
【
図20】パターン10の場合の監視モードにおける状態遷移について説明するための図である。
【
図21】車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図22】運転支援装置の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図23】車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図24】運転支援装置の概略的な構成の一例を示す図である。
【
図25】実施形態4における第1速度抑制機能での速度抑制について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0013】
(実施形態1)
<車両用システム1の概略構成>
以下、本開示の実施形態1について、図面を用いて説明する。
図1に示す車両用システム1は、車両で用いることが可能なものである。車両用システム1は、
図1に示すように、運転支援装置10、ロケータ11、地図データベース(以下、地
図DB)12、車両状態センサ13、エンジンECU14、ブレーキECU15、室内カメラ16、生体センサ17、提示装置18、ユーザ入力装置19、及びHCU(Human Machine Interface Control Unit)20を含んでいる。例えば、運転支援装置10、ロケータ11、地
図DB12、車両状態センサ13、エンジンECU14、ブレーキECU15、及びHCU20は、車内LAN(
図1のLAN参照)と接続される構成とすればよい。車両用システム1を用いる車両は、必ずしも自動車に限るものではないが、以下では自動車に用いる場合を例に挙げて説明を行う。本実施形態では、運転支援装置10が、車両製造時に車両に内蔵される場合の構成例について説明する。
【0014】
車両用システム1を用いる車両は、自動運転が可能な車両(以下、自動運転車両)であってもよい。自動運転車両の自動運転の段階(以下、自動化レベル)としては、例えばSAEが定義しているように、複数のレベルが存在し得る。自動化レベルは、例えば以下のようにLV0~5に区分される。
【0015】
LV0は、システムが介入せずに運転者が全ての運転タスクを実施するレベルである。運転タスクは動的運転タスクと言い換えてもよい。運転タスクは、例えば操舵、加減速、及び周辺監視とする。LV0は、いわゆる手動運転に相当する。LV1は、システムが操舵と加減速とのいずれかを支援するレベルである。LV1は、いわゆる運転支援に相当する。LV2は、システムが操舵と加減速とのいずれをも支援するレベルである。LV2は、いわゆる部分運転自動化に相当する。なお、LV1~2も自動運転の一部であるものとする。
【0016】
例えば、LV1~2の自動運転は、安全運転に係る監視義務(以下、単に監視義務)が運転者にある自動運転とする。つまり、監視義務あり自動運転に相当する。なお、LV0~LV2の運転が監視義務のある運転に相当する。監視義務としては、目視による周辺監視がある。LV1~2の自動運転は、セカンドタスクが許可されない自動運転と言い換えることができる。セカンドタスクとは、運転者に対して許可される運転以外の行為であって、予め規定された特定行為である。セカンドタスクは、セカンダリアクティビティ,アザーアクティビティ等と言い換えることもできる。セカンドタスクは、自動運転システムからの運転操作の引き継ぎ要求にドライバーが対応することを妨げてはならないとされる。一例として、動画等のコンテンツの視聴,スマートフォン等の操作,読書,食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0017】
LV3の自動運転は、特定の条件下ではシステムが全ての運転タスクを実施可能であり、緊急時に運転者が運転操作を行うレベルである。LV3の自動運転では、システムから運転交代の要求があった場合に、運転手が迅速に対応可能であることが求められる。この運転交代は、車両側のシステムから運転者への周辺監視義務の移譲と言い換えることもできる。LV3は、いわゆる条件付運転自動化に相当する。LV4の自動運転は、対応不可能な道路,極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV4は、いわゆる高度運転自動化に相当する。LV5の自動運転は、あらゆる環境下でシステムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV5は、いわゆる完全運転自動化に相当する。例えば、LV3以上の自動運転は、監視義務が運転者にない自動運転とする。
【0018】
車両用システム1を用いる車両を自動運転車両とする場合には、自動化レベルが2以下の自動運転車両とすればよい。車両用システム1を用いる車両は、自動化レベルが0の車両であることが好ましい。つまり、手動運転車両であることが好ましい。これは、運転者が全ての運転タスクを実施する手動運転車両では、後述する運転支援装置10での居眠り防止の効果がより大きくなるためである。
【0019】
ロケータ11は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の測位衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ11は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、自車の車両位置(以下、自車位置)を逐次測位する。自車位置は、例えば緯度経度の座標で表されるものとすればよい。なお、自車位置の測位には、車両に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離も用いる構成としてもよい。
【0020】
地
図DB12は、不揮発性メモリであって、不揮発性メモリであって、ナビゲーション装置での経路案内に用いる地図データを格納している。経路案内に用いる地図データは、リンクデータ、ノードデータ等である。リンクデータは、リンクを特定するリンクID、リンクの長さを示すリンク長、リンク方位、リンク旅行時間、リンクの形状情報、リンクの始端と終端とのノード座標(緯度/経度)、及び道路属性等の各データから構成される。道路属性としては、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、及び速度規制値等がある。速度規制値が、法定の上限速度及び下限速度に相当する。ノードデータは、地図上のノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノード種別、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種別等の各データから構成される。地
図DB12は、高精度地図データを格納してもよい。高精度地図データは、経路案内に用いられる地図データよりも高精度な地図データである。高精度地図データには、例えば道路の三次元形状情報,車線数情報,各車線に許容された進行方向を示す情報等の運転支援に利用可能な情報が含まれている。
【0021】
車両状態センサ13は、自車の各種状態を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ13としては、車速センサ,アクセルストロークセンサ,ブレーキストロークセンサ,操舵センサ等がある。車速センサは、速度を検出する。アクセルストロークセンサは、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。つまり、アクセル開度を検出する。ブレーキストロークセンサは、ブレーキペダルの踏み込み量を検出する。操舵センサは、ステアリングの操舵角を検出する。車両状態センサ13は、検出したセンシング情報を車内LANへ出力する。なお、車両状態センサ13で検出したセンシング情報は、自車に搭載されるECUを介して車内LANへ出力される構成であってもよい。
【0022】
エンジンECU14は、自車の加速制御を行う電子制御装置である。本実施形態では、自車が走行駆動源として内燃機関を用いる場合を例に挙げて説明するが、必ずしもこれに限らない。自車が走行駆動源としてモータを用いる場合は、エンジンECU14の代わりに、パワーユニット制御ECUを用いる構成とすればよい。ブレーキECU15は、自車の加速制御を行う電子制御装置である。
【0023】
室内カメラ16は、自車の車室内の所定範囲を撮像する。室内カメラ16は、少なくとも自車の運転席を含む範囲を撮像するものとする。室内カメラ16は、例えば近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成される。室内カメラ16は、近赤外光源によって近赤外光を照射された運転者を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、撮像画像を画像解析して運転者の姿勢,眠気レベル等の状態を検出する。眠気レベルの検出は、瞼の開閉の度合い,瞬き,眼球運動等によって検出すればよい。眠気レベルは、居眠りレベルと言い換えてもよい。室内カメラ16は、検出した運転者の状態を、HCU20へ逐次出力する。
【0024】
眠気レベルとしては、例えば国土交通省自動車局のドライバーモニタリング(眠気・居眠り検知)システム基本設計書に記載の眠気・居眠りの評定基準に沿ったものとすればよい。眠気レベルは、眠気のないD1,眠気のあるD2~D5,居眠りにあたるSに区分される。D2~D5は、眠気が小さいものから順に、D2,D3,D4,D5に区分される。以下では、眠気レベルは、上述したD1~D5,Sで表されるものとして説明を続ける。居眠りは、睡眠状態であって、眠気がある状態ではないものとする。眠気は、走行環境の単調さ,疲労,睡眠不足等の要因による覚醒低下状態である。本実施形態では、眠気及び居眠りは、運転者の異常状態とは異なる区分であるものとする。異常状態は、あらかじめ予測するのが困難な体調急変にあたる状態とする。一例としては、突然の脳血管疾患,心疾患,消化器疾患,失神等が挙げられる。
【0025】
生体センサ17は、運転者の生体情報を計測する。生体センサ17は、計測した生体情報をHCU20へ逐次出力する。生体センサ17は、自車に設ける構成としてもよい。生体センサ17は、運転者が装着するウェアラブルデバイスに設けられる構成としてもよい。生体センサ17を自車に設ける場合には、例えばステアリングホイール,シート等に設ければよい。生体センサ17がウェアラブルデバイスに設けられている場合には、例えば近距離無線通信を利用して、生体センサ17での計測結果をHCU20が取得する構成とすればよい。生体センサ17で計測する生体情報の一例としては、呼吸,脈拍,心拍等が挙げられる。なお、生体センサ17として、呼吸,脈拍,心拍以外の生体情報を計測するものを用いる構成としてもよい。例えば、生体センサ17は、脳波,心拍ゆらぎ,発汗,体温,血圧,皮膚コンダクタンス等を計測してもよい。
【0026】
提示装置18は、自車に設けられて、自車の室内へ向けて情報提示を行う。つまり、提示装置18は、自車の運転者に向けて情報提示を行う。提示装置18は、HCU20の指示に従って情報提示を行う。提示装置18には、表示装置181及びスピーカ182を含む。
【0027】
表示装置181は、情報を表示することで情報提示を行う。表示装置181としては、例えばメータMID(Multi Information Display),CID(Center Information Display),HUD(Head-Up Display)等を用いることができる。メータMIDは、自車の室内のうちの運転席の正面に設けられる表示装置である。一例として、メータMIDは、メータパネルに設けられる構成とすればよい。CIDは、自車のインスツルメントパネルの中央に配置される表示装置である。HUDは、車室内のうちの例えばインスツルメントパネルに設けられる。HUDは、プロジェクタによって形成される表示像を、投影部材としてのフロントウインドシールドに既定された投影領域に投影する。HUDは、フロントウインドシールドの代わりに、運転席の正面に設けられるコンバイナに表示像を投影する構成としてもよい。スピーカ182は、音を出力することで情報提示を行う。スピーカ182から出力する音には、音声を含んでもよい。
【0028】
ユーザ入力装置19は、自車の乗員からの入力を受け付ける。ユーザ入力装置19は、乗員からの操作入力を受け付ける操作デバイスとすればよい。操作デバイスとしては、メカニカルなスイッチであってもよいし、表示装置181と一体となったタッチスイッチであってもよい。なお、ユーザ入力装置19は、乗員からの入力を受け付ける装置であれば、操作入力を受け付ける操作デバイスに限らない。例えば、乗員からの音声によるコマンドの入力を受け付ける音声入力装置であってもよい。
【0029】
HCU20は、例えばプロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。HCU20は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、乗員と自車のシステムとのやり取りに関する各種の処理を実行する。HCU20は、ユーザ入力装置19で乗員から受け付けた入力の情報を取得する。HCU20は、提示装置18から情報提示を行わせる。HCU20は、室内カメラ16で検出した運転者の状態を取得する。HCU20は、生体センサ17のセンシング結果から、運転者の異常状態を特定する。異常状態とは、前述した、あらかじめ予測するのが困難な体調急変にあたる状態とする。HCU20は、室内カメラ16で検出した運転者の眠気レベルを取得する。なお、HCU20は、室内カメラ16で撮像した撮像画像から、運転者の眠気レベルを特定してもよい。つまり、室内カメラ16の制御ユニットの機能の一部を、HCU20が担ってもよい。HCU20は、車両状態センサ13のセンシング結果から、運転者の眠気レベルを特定してもよい。例えば、HCU20は、アクセル操作,ブレーキ操作,操舵操作の変化量から眠気レベルを特定してもよい。
【0030】
運転支援装置10は、例えばプロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。運転支援装置10は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、運転者の居眠りの防止に関する処理を実行する。この運転支援装置10が居眠り防止装置に相当する。また、この制御プログラムが、居眠り防止プログラムに相当する。運転支援装置10の構成については以下で詳述する。
【0031】
<運転支援装置10の概略構成>
続いて、
図2を用いて運転支援装置10の概略構成についての説明を行う。運転支援装置10は、
図2に示すように、HCU通信部101、提示指示部102、速度抑制部103、及び解除判定部104を機能ブロックとして備える。また、コンピュータによって運転支援装置10の各機能ブロックの処理が実行されることが、居眠り防止方法が実行されることに相当する。なお、運転支援装置10が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、運転支援装置10が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0032】
HCU通信部101は、運転支援装置10とHCU20との情報のやり取りを仲介する。HCU通信部101は、HCU20へ向けた情報の出力処理を行う。HCU通信部101は、HCU20からの情報の取得処理を行う。HCU通信部101は、ユーザ入力装置19で受け付けた入力の情報を取得する。HCU通信部101は、眠気状態取得部111及び運転者異常取得部112をサブ機能ブロックとして備える。
【0033】
眠気状態取得部111は、HCU20から運転者の眠気レベルを取得する。眠気状態取得部111は、少なくとも運転者の眠気の有無を取得すればよい。つまり、自車の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得すればよい。眠気状態取得部111は、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得することが好ましい。これにより、眠気の深度の度合いに応じた細かな処理が可能になる。例えば、深度レベルは、眠気レベルのD1~D5にあたるものとする。運転者異常取得部112は、HCU20で特定した運転者の異常状態を取得する。運転者異常取得部112は、HCU20で異常状態が特定できた場合に、この異常状態を取得すればよい。運転者異常取得部112は、眠気レベルSである居眠りも、異常状態として取得すればよい。以下では、眠気状態が深度レベルである場合を例に挙げて説明を行う。この眠気状態取得部111での処理が眠気状態取得工程に相当する。
【0034】
提示指示部102は、HCU通信部101を介してHCU20に指示を送ることで、提示装置18での情報提示を間接的に制御する。つまり、提示指示部102は、自車の運転者に向けて情報提示を行わせる。提示指示部102は、眠気状態取得部111で取得した深度レベルが、運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、運転者に向けた警告を行わせることが好ましい。この警告を、以下では眠気警告と呼ぶ。運転者の眠気があることを示す状態は、例えば眠気レベルD2~D5とすればよい。眠気警告の例については、後述する。なお、以下では、眠気があることを示す状態を、眠気あり状態と呼ぶ。一方、眠気がない状態を、眠気なし状態と呼ぶ。
【0035】
速度抑制部103は、自車の速度が設定される上限速度を超えることを抑制する速度抑制機能の作動状態を切り替える。上限速度は0よりも大きく設定されるものとする。つまり、速度抑制部103は、自車の停止制御を行うものではない。速度抑制機能による速度の抑制は、アクセルペダルの操作を無効化することで実現すればよい。速度抑制機能による速度の抑制は、アクセルペダルの操作に対して反力を与えることで実現してもよい。速度抑制機能による速度の抑制は、走行駆動源の制御に介入することで実現してもよい。以下では、速度抑制機能による速度の抑制を、アクセルペダルの操作を無効化することで実現する場合を例に挙げて説明を続ける。速度抑制部103は、第1速度抑制部131及び第2速度抑制部132をサブ機能ブロックとして備える。
【0036】
第1速度抑制部131は、眠気状態取得部111で取得した深度レベルが、眠気あり状態であることに応じて、速度抑制機能を作動状態にする。第1速度抑制部131で作動状態にする速度抑制機能を、以下では第1速度抑制機能と呼ぶ。第1速度抑制部131が眠気時速度抑制部に相当する。また、実施形態1の第1速度抑制機能が、眠気時速度抑制機能に相当する。第1速度抑制機能で用いる上限速度を、以下では第1上限速度と呼ぶ。この第1上限速度が設定上限速度に相当する。以上の構成によれば、運転者の眠気があることに応じて、運転者の操作によって運転者の意図する速度まで車両を加速させることが抑制される。よって、この抑制に運転者が違和感を受けることで、運転者の眠気が解消されやすくなる。この抑制は、車両を停止制御するよりも緩い措置であるので、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることが可能になる。また、この抑制によって、運転者の運転操作による停止と運転操作の休憩とを促し、運転者の眠気を解消することも可能になる。この停止は、運転者の運転操作によるものであって、停止制御によるものでないので、運転者にとっての快適性を損いにくい。その結果、運転者の眠気を検出した場合であっても、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることが可能になる。他にも、眠気がありながら走行を継続する場合にも、速度制限を行うので、障害物への近接を避けやすくなる。この第1速度抑制部131での処理が、眠気時速度抑制工程に相当する。
【0037】
第2速度抑制部132は、運転者の眠気があるか否かにかかわらず、法定上限速度に応じて設定される上限速度を超えることを抑制する速度抑制機能を作動状態にする。第2速度抑制部132で作動状態にする速度抑制機能を、以下では第2速度抑制機能と呼ぶ。第2速度抑制機能で用いる上限速度を、以下では第2上限速度と呼ぶ。この第2上限速度が法定関連上限速度に相当する。第2速度抑制部132が法定関連速度抑制部に相当する。また、第2速度抑制機能が、法定関連速度抑制機能に相当する。法定上限速度は、自車の走行中の道路に定められた法定の上限速度である。法定上限速度は、ロケータ11で測位した自車位置と、地
図DB12の地図データとから、速度抑制部103で特定すればよい。速度抑制部103は、自車の周辺監視カメラで撮像した画像に含まれる速度標識を画像認識することで、法定上限速度を特定してもよい。第2上限速度は、上述したように、法定上限速度に応じて設定される上限速度である。つまり、法定上限速度に応じて変動する上限速度である。第2上限速度は、法定上限速度であってもよいし、法定上限速度に対して一定量のオフセットを有した速度であってもよい。このオフセットは、例えば、車両状態センサ13によって取得されて提示装置18によって運転者に提示される速度と、実際の車両の速度と、の間の差を調整して、第2上限速度を、実際の車両の速度が実質的に法定上限速度を超えない値とするためのものである。オフセットは、運転者によって設定可能であってもよく、例えばタイヤ交換後などに再設定されることが想定される。以上の構成によれば、運転者の眠気があるか否かにかかわらず、自車が法定上限速度を超えないように抑制することも可能になる。なお、第1上限速度としてとり得る値の上限値が、第2上限速度よりも低い値である構成としてもよいし、第2上限速度と同じ値である構成としてもよい。
【0038】
提示指示部102は、第1速度抑制部131が第1速度抑制機能を作動状態にした場合に、作動警告を行わせることが好ましい。提示指示部102は、第2速度抑制部132が第2速度抑制機能を作動状態にした場合に、作動警告を行わせることが好ましい。作動警告は、速度抑制機能が作動状態になったことを知らせる警告であり、眠気警告とは異なるカテゴリの警告である。以下では、第1速度抑制機能を作動状態にした場合の作動警告を第1作動警告と呼ぶ。また、第2速度抑制機能を作動状態にした場合の作動警告を第2作動警告と呼ぶ。第1作動警告の一例としては、「安全のため、アクセル操作を制限しました」といった音声出力,テキスト表示が挙げられる。第2作動警告の一例としては、「法定速度を超えました。アクセル操作を制限しました」といった音声出力,テキスト表示が挙げられる。
【0039】
提示指示部102は、情報提示として、運転者の眠気によって第1速度抑制機能が自動的に作動状態にされる旨の通知を、自車の発車よりも前に、運転者に向けて行わせることが好ましい。これによれば、第1速度抑制機能が作動状態となる意図を運転者が認識しやすくなり、眠気の改善がよりスムーズに行われることになる。運転者の眠気によって第1速度抑制機能が自動的に作動状態にされる旨の通知を、以下では説明通知と呼ぶ。提示指示部102は、例えば自車のパワースイッチの電源がオンになった場合に説明通知を行わせればよい。パワースイッチとは、自車の内燃機関又はモータジェネレータを始動させるためのスイッチである。自車の走行駆動源が内燃機関の場合には、イグニッションスイッチがパワースイッチにあたる。説明通知の一例としては、「眠気検出時にアクセル操作を制限する機能が有効になっています」といった音声出力,テキスト表示が挙げられる。
【0040】
第1速度抑制部131は、眠気警告の開始後も引き続き、深度レベルが眠気あり状態であることを条件に、第1速度抑制機能を作動状態にすればよい。深度レベルは、眠気状態取得部111で取得する。これによれば、眠気警告によって運転者の眠気が解消される場合には、第1速度抑制機能を作動状態にせずに済む。従って、運転者に眠気があっても、第1速度抑制機能を作動状態にする猶予期間を設け、運転者にとっての快適性をより損いにくくする。
【0041】
提示指示部102は、深度レベルが眠気あり状態であることに応じて、第1速度抑制機能を作動状態にするまでに、眠気警告として、段階的警告を行わせることが好ましい。段階的警告は、段階的な警告である。つまり、段階的警告は、後の段階になるほど強度が高くなる警告である。以上の構成によれば、警告の強度を上げていくことで、第1速度抑制機能を作動状態にする前に、眠気を改善しやすくする。
【0042】
本実施形態の例では、段階的警告は2段階である場合を例に挙げて説明する。2段階目の眠気警告は、第1速度抑制機能を作動状態にする予告を含む警告とする。2段階目の眠気警告を、以下では予告警告と呼ぶ。予告警告の一例としては、「安全のため、しばらくするとアクセル操作を制限します」といった音声出力,テキスト表示が挙げられる。1段階目の眠気警告は、予告警告よりも前の段階の警告である。1段階目の眠気警告を、以下では予告前警告と呼ぶ。予告前警告は、眠気があることを知らせるとともに、休息を促す警告とすればよい。予告前警告の一例としては、「眠気を検知しました。休息を取りましょう」といった音声出力,テキスト表示が挙げられる。予告前警告が繰り返される場合は、「眠気が続いています。休息を取ってください」といった内容に変更すればよい。予告前警告が促進であるのに対し、予告警告は注意喚起である点で、予告警告は予告前警告よりも強度がより高い。他にも、表示の大きさ,音量等によって、2段目の眠気警告を1段目の眠気警告よりも強度を高くする構成としてもよい。
【0043】
第1速度抑制部131は、眠気警告の開始後も引き続き、深度レベルが眠気あり状態であることを条件に、以下の処理を行うことが好ましい。第1速度抑制部131は、その眠気警告の開始後に第1速度抑制機能を作動状態にするタイミングを、深度レベルが大きくなるのに応じて早くすればよい。このタイミングを以下では作動タイミングと呼ぶ。なお、作動タイミングとは、第1速度抑制機能を作動状態にする場合の、眠気警告の開始後に第1速度抑制機能を作動状態にするタイミングである。以上の構成によれば、眠気が大きく、眠気警告では改善が見込まれにくいほど、第1速度抑制機能を作動状態にするタイミングを早くすることができる。従って、眠気警告を継続する無駄を減らしつつも、運転者の眠気を改善しやすくすることが可能になる。
【0044】
作動タイミングの指標は、眠気警告の開始からの自車の走行距離であってもよいし、経過時間であってもよいし、これらの組合せであってもよい。第1速度抑制部131は、深度レベルが変化するのに応じて、眠気警告の開始後も作動タイミングを逐次変更する構成としてもよい。これによれば、眠気が改善していっている場合には、作動タイミングを延ばし、第1速度抑制機能を作動状態にせずに眠気が解消されるのを待つことが可能になる。また、眠気が悪化していっている場合には、作動タイミングを縮め、眠気が解消しにくくなる前に眠気を解消しやすくする。なお、第1速度抑制部131は、眠気警告の開始前に作動タイミングを設定し、眠気警告の開始後は作動タイミングを変更しない構成としてもよい。
【0045】
第1速度抑制部131は、予告警告の開始後も引き続き、深度レベルが眠気あり状態であることを条件に、以下の処理を行うことが好ましい。第1速度抑制部131は、予告警告の開始から規定時間後に、第1速度抑制機能を作動状態にすればよい。これによれば、自車の速度にかかわらず、予告警告の開始後の決まった時間に第1速度抑制機能を作動できる。よって、予告警告の開始から第1速度抑制機能の作動までが、自車の速度によって大きく変動することがなく、運転者に混乱を生じさせにくい。規定時間は、例えば数分未満等の比較的短い時間とすればよい。規定時間は、任意に設定可能とすればよい。
【0046】
提示指示部102は、予告前警告の開始後も引き続き、深度レベルが眠気あり状態であることを条件に、以下の処理を行うことが好ましい。提示指示部102は、予告前警告の開始後の自車の走行距離が規定距離に到達後に、予告警告を行わせればよい。これによれば、自車の速度が速いほど予告警告のタイミングが早まる。よって、眠気があるのに自車の速度が速く、より早く眠気を解消する必要性が高いほど、予告警告のタイミングを早めることが可能になる。その結果、より早く眠気を解消する必要性が高いほど、より早く眠気を解消しやすくなる。規定距離は、任意に設定可能とすればよい。
【0047】
ここで、
図3を用いて、第1速度抑制機能の作動と各種警告とのタイミングの一例について説明する。
図3は、自車が走行中の場合の例とする。
図3中の記号について説明する。DSが、運転者の実際の眠気についての状態を示す。DDが、眠気状態取得部111で取得する深度レベルが、眠気あり状態か眠気なし状態かを示す。図中では、眠気あり状態がON,眠気なし状態がOFFで表されている。DLVが、眠気状態取得部111で取得する深度レベルを示す。
図3に示すDNは、D1よりも大きく、DNcよりも小さい深度レベルとする。DNcは、走行に支障が出る可能性が高いと推定される深度レベルとすればよい。DNcは、任意に設定可能とすればよい。例えば、DNcをD5としてもよい。Wは、提示指示部102で行わせる警告を示す。NBWが予告前警告を示す。NWが予告警告を示す。FAWが第1作動警告を示す。SSFが、第1速度抑制機能の作動状態を示す。図中では、作動状態がON,非作動状態がOFFで表されている。VSが、自車の走行状態を示す。走行状態には、走行中と停止中とがあるものとする。DATは、運転者が眠気を自覚し始めるタイミングを示す。DTTは、眠気状態取得部111で取得する深度レベルが、眠気あり状態となるタイミングを示す。NBWTが、予告前警告を開始するタイミングを示す。NWTが予告警告を開始するタイミングを示す。FATは、第1速度抑制機能が作動状態となるタイミングを示す。なお、同じ記号については、
図3以外の図面においても同様とする。
【0048】
図3に示すように、眠気状態取得部111で取得する深度レベルが、眠気あり状態となった場合に、予告前警告NBWが開始される。予告前警告NBWは、
図3に示すように、周期的に繰り返し行われる構成としてもよい。一例としては、5分おきに行われる構成とすればよい。
図3に示すように、深度レベルが一定の状態で、予告前警告NBWの開始後の走行距離が規定距離に達した場合に、予告警告NWが開始される。ここで言うところの一定の状態とは、D1よりも大きく、且つ、DNcよりも小さい深度レベルが維持された状態とする。続いて、予告警告NWの開始から規定時間後に、第1速度抑制機能を作動状態とする。第1速度抑制機能を作動状態とする際には、第1作動警告FAWを開始する。
【0049】
ここで、
図4を用いて、警告の表示例の一例について説明する。
図4は、第1作動警告FAWが行われる場合の例とする。
図4中の記号について説明する。DDGが、運転者の眠気の深度レベルを表現するゲージ(以下、深度ゲージ)を示す。SDが自車のアクセル操作制限中であることを知らせる表示(以下、状態表示)を示す。BFDが休憩を促進する表示(以下、休憩促進表示)を示す。
図4に示すように、第1作動警告FAWとしては、「安全のため、アクセル操作を制限しました」といったテキストを表示すればよい。この場合の状態表示SDとしては、「アクセル操作制限中」といったテキストを表示すればよい。また、
図4に示すように、休憩促進表示BFDとして、「休憩しましょう」といったテキストを表示したり、アイコンを表示したりすればよい。他にも、深度ゲージDDGを表示すればよい。眠気警告を表示する場合は、第1作動警告FAWを、眠気警告に置き換えればよい。この場合、状態表示SDは省略すればよい。なお、眠気あり状態でない場合は、深度ゲージDDGは表示するが、警告の表示、状態表示SD、及び休憩促進表示BFDは省略すればよい。
【0050】
提示指示部102は、予告前警告の開始後の自車の走行距離が規定距離に到達する前であっても、予告警告を行わせてもよい。具体的には、深度レベルが閾値を超えて悪化したことを条件に、予告警告を行わせる構成とすればよい。この閾値は、前述のDNcとすればよい。また、第1速度抑制部131は、予告前警告の開始後の自車の走行距離が規定距離に到達する前であっても、第1速度抑制機能を作動状態としてもよい。具体的には、深度レベルが閾値を超えて悪化したことを条件に、第1速度抑制機能を作動状態とする構成とすればよい。この場合、上述の深度レベルの悪化による予告警告の開始から規定時間経過したことを条件に、第1速度抑制機能を作動状態としてもよい。
【0051】
ここで、
図5を用いて、深度レベルの悪化による第1速度抑制機能の作動と各種警告とのタイミングの一例について説明する。
図5は、自車が走行中の場合の例とする。
図5中の
図3と異なる記号について説明する。DWTが、深度レベルが閾値を超えて悪化したタイミングを示す。
図5に示すDNwは、DNc以上の深度レベルとする。
図5に示すように、予告前警告NBWの開始後の走行距離が規定距離に達する前であっても、深度レベルが閾値を超えて悪化したタイミングで、予告警告NWが開始される。続いて、予告警告NWの開始から規定時間後に、第1速度抑制機能を作動状態とする。この第1速度抑制機能を作動状態とするタイミングは、予告前警告NBWの開始後の走行距離が規定距離に達する前であってもよい。
【0052】
提示指示部102は、段階的警告を開始する前に、その段階的警告の段数を設定してもよい。提示指示部102は、深度レベルが大きくなるのに応じて、段階的警告の段数を多く設定すればよい。これによれば、眠気の解消が行いにくい状態であるのに応じて、眠気警告の段数を増やし、第1速度抑制機能を作動状態にする前に眠気を解消しやすくする。段階的警告の段数の上限は、前述した2段階に限らず、3段階以上であってもよい。
【0053】
提示指示部102は、段階的警告を開始する前に、その段階的警告のどの段階から警告を開始するかである開始段階を設定してもよい。提示指示部102は、深度レベルが大きくなるのに応じて、開始段階を段階的警告のうちのより後ろの段階に設定すればよい。これによれば、眠気の解消が行いにくい状態であるのに応じて、より強度の高い段階の眠気警告から警告を開始し、第1速度抑制機能を作動状態にする前に眠気を解消しやすくする。
【0054】
第1速度抑制部131は、深度レベルが大きくなるのに応じて、第1上限速度を低くしてもよい。第1上限速度が低くなるほど、運転者の意図する速度との乖離が大きくなる。よって、眠気の深度が大きくなるの応じて、運転者が違和感を受けやすくなり、運転者の眠気がより解消されやすくなる。
【0055】
第1速度抑制部131は、自車の走行中の道路に、法定下限速度が定められている場合には、深度レベルに応じた第1上限速度が、この法定下限速度を下回らないようにすればよい。法定下限速度は、ロケータ11で測位した自車位置と、地
図DB12の地図データとから、速度抑制部103で特定すればよい。例えば、走行中の道路が日本の高速道路の場合には、50km/hを法定下限速度とすればよい。以上の構成によれば、眠気の深度が小さくなるのに応じて第1上限速度を下げた場合でも、法定下限速度が定められている道路での交通の障害にならずに済む。
【0056】
ここで、
図6を用いて、深度レベルに応じた第1上限速度の設定について説明する。
図6のグラフでは、深度レベルD1~D5に応じた第1上限速度の例を示す。深度レベルD1は、眠気なし状態であるので、第1上限速度は設定されない。深度レベルD2~D5は、眠気あり状態であるので、第1上限速度が設定される。第1上限速度は、深度レベルがD2,D3,D4,D5となる順に、低く設定される。深度が最も大きい深度レベルD5の場合に、最も低い第1上限速度が設定される。
図6に示すように、最も低い第1上限速度であっても、法定下限速度以下とならないように設定される。
【0057】
提示指示部102は、第1上限速度が変化した場合に、第1上限速度が変化したことを通知する第1通知音を出力させればよい。第1通知音は、例えばアラーム音とすればよい。提示指示部102は、第2上限速度が変化した場合に、第2上限速度が変化したことを通知する第2通知音を出力させればよい。第2通知音は、例えば第1通知音と種類の異なるアラーム音とすればよい。提示指示部102は、第2通知音を第1通知音よりも煩わしさを抑えた態様で出力させることが好ましい。煩わしさを抑えた態様の例としては、音量を小さくしたり、周波数を低くしたりする例が挙げられる。以上の構成によれば、眠気にかかわらない上限速度の変化については、より煩わしさを抑えることが可能になる。従って、眠気のない運転者が、第2上限速度の変化についての通知で煩わしさを感じにくくなる。第1通知音及び第2通知音は、音声出力としてもよい。例えば、第1通知音として、「安全のため、アクセル操作を制限する速度を、XXkm/hに下げました。」との音声を出力すれよい。この際、変化後の第1制限速度XXkm/hを具体的に数値で明示的に報知することが望ましい。第2通知音として、例えば、「走行中道路の法定速度がYYkm/hに変わりました。法定速度YYkm/hを超えると、アクセル操作を制限します。」との音声を出力してもよい。この際も、変化後の第2制限速度YYkm/hを具体的に数値で明示的に報知することが望ましい。第2通知音を第1通知音よりも煩わしさを抑えた態様で出力させるためには、例えば、第1通知音をアラーム音に加えて音声出力とし、第2通知音を音声出力無しでアラーム音としてもよい。他にも、第1通知音を、アラーム音に加えて音声出力とし、第2通知音を、アラーム音無しで音声出力としてもよい。
【0058】
解除判定部104は、第1速度抑制機能が作動状態となっている場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除する解除条件が成立したか否かを判定する。第1速度抑制部131は、解除判定部104で解除条件が成立したと判定した場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除する。提示指示部102は、第1速度抑制機能の作動状態を解除した場合に、第1速度抑制機能の作動状態が解除されたことを示す通知を行わせればよい。この通知を、以下では解除報告と呼ぶ。解除報告の一例としては、「アクセル操作の制限を解除しました」といったテキスト表示,音声出力が挙げられる。他にも、解除時に特有の電子音を出力してもよい。
【0059】
解除条件としては、例えば3つの解除条件が挙げられる。1つ目の解除条件は、眠気状態取得部111で取得する眠気レベルが、運転者の眠気が解消したことを示す状態となったことである。本実施形態の例では、深度レベルがD1となったこととすればよい。この1つ目の解除条件を、以下では、眠気改善条件と呼ぶ。2つ目の解除条件は、自車が停止して設定時間以上経過したことである。設定時間は、眠気改善までにかかると推定される時間とすればよく、任意に設定可能である。設定時間は、深度レベルが大きくなるのに応じて長く設定されるように変動してもよい。自車の停止は、駐車に限ってもよいし、駐車に限らなくてもよい。この2つ目の解除条件を、以下では、停止時間条件と呼ぶ。3つ目の解除条件は、第1速度抑制機能の作動状態を解除する操作として予め定められた解除操作を自車で受け付けたことである。解除操作の例については、後述する。この3つ目の解除条件を、解除操作条件と呼ぶ。
【0060】
解除判定部104は、眠気改善条件、停止時間条件、及び解除操作条件の少なくともいずれかを解除条件とすればよい。そして、この解除条件を一つでも満たす場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除する解除条件が成立したと判定すればよい。これによれば、第1速度抑制機能の作動状態を解除することが可能になる。眠気改善条件を解除条件とする場合には、運転者の眠気が解消した場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除することが可能になる。停止時間条件を解除条件とする場合には、車両を停止しての休憩によって眠気が改善したと推定される場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除することが可能になる。解除操作条件を解除条件とする場合には、眠気が解消した運転者の要求に応じて、第1速度抑制機能の作動状態を解除することが可能になる。
【0061】
解除操作条件は、眠気改善条件及び停止時間条件を満たしていないが、交通状況により加速する必要がある場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除することを可能にする。解除操作は、非定常のオーバーライドと言い換えることができる。解除操作の一例としては、以下が挙げられる。なお、この解除操作は、第2速度抑制機能の作動状態の解除にも適用する構成としてもよい。
【0062】
解除操作は、所定量以上のアクセルペダルの踏み込みを複数回以上とすればよい。複数回は、例えば5回以上とすればよい。アクセルペダルの踏み込み量は、アクセルストロークセンサで検出したものを用いればよい。所定量は、任意に設定可能な値とすればよい。このように解除操作は、複数回以上の運転操作とすることが好ましい。これによれば、解除操作を1回の運転操作とする場合に比べ、解除が困難になる。解除操作を1回の運転操作とする場合、より簡単な操作で解除されるため、第1速度抑制機能の作動による眠気の改善につながりにくい。これに対して、解除操作を複数回以上の運転操作とすることで、第1速度抑制機能による眠気の改善を運転者がより受けやすくなる。解除操作は、所定量以上のアクセルペダルの踏み込みを数秒以上とすればよい。数秒は、例えば5秒以上とすればよい。所定量は、任意に設定可能な値とすればよい。解除後の急加速を抑制するために、実際の踏み込み量に対して、エンジンECU14へのアクセル開度の出力値が緩やかに変化するよう調整してもよい。
【0063】
解除操作は、表示装置181の画面上のタッチスイッチとしての解除ボタンの操作としてもよい。解除ボタンは、例えば第1速度抑制機能の作動状態を解除するための専用のボタン表示とすればよい。解除ボタンの操作は、ユーザ入力装置19を介して受け付ければよい。解除操作は、ワイパースイッチとウオッシャースイッチとの操作の組み合わせであってもよい。解除操作は、車両における複数種類の操作の組み合わせであることが好ましい。複数種類の操作の組み合わせの一例としては、アクセル操作とウオッシャースイッチの操作との組み合わせ等が挙げられる。これによれば、解除操作を車両における1種類の操作とする場合に比べ、解除が困難になる。従って、第1速度抑制機能による眠気の改善を運転者がより受けやすくなる。
【0064】
ここで、
図7~
図9を用いて、第1速度抑制機能の作動状態の解除タイミングの一例について説明する。まず、
図7を用いて、解除条件が眠気改善条件の場合の解除タイミングの一例について説明する。
図7は、自車が走行を継続中に、第1速度抑制機能の作動によって眠気が解消される場合の例とする。
図7中の既出の図面と異なる記号について説明する。DIが、眠気が解消したタイミングを示す。
図7に示すRLRが解除報告を示す。
図7に示すように、第1速度抑制機能の作動後に、眠気が解消された場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除する。また、第1速度抑制機能の作動状態を解除する際に、解除報告RLRが開始される。眠気が解消された場合には、自車が走行を継続中の場合でも、第1速度抑制機能の作動状態を解除する。
【0065】
次に、
図8を用いて、解除条件が停止時間条件の場合の解除タイミングの一例について説明する。
図8は、第1速度抑制機能の作動後に、自車を設定時間に達するまで停止させる場合の例とする。
図8中の既出の図面と異なる記号について説明する。STが、自車の停止が開始したタイミングを示す。
図8に示すように、第1速度抑制機能の作動後に、自車が設定時間に達するまで停止した場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除する。また、第1速度抑制機能の作動状態を解除する際に、解除報告RLRが開始される。自車が停止中は、眠気の検出を休止してもよいし、眠気の検出を継続してもよい。
図8では、自車が停止中は、眠気の検出を休止する場合の例を示す。
【0066】
次に、
図9を用いて、解除条件が解除操作条件の場合の解除タイミングの一例について説明する。
図9は、第1速度抑制機能の作動後に、解除操作が行われる場合の例とする。
図9中の既出の図面と異なる記号について説明する。CPIが、解除操作が行われるタイミングを示す。
図9に示すように、第1速度抑制機能の作動後に、解除操作が行われた場合に、第1速度抑制機能の作動状態を解除する。また、第1速度抑制機能の作動状態を解除する際に、解除報告RLRが開始される。解除操作が行われた場合には、自車が走行を継続中の場合でも、第1速度抑制機能の作動状態を解除する。
【0067】
運転支援装置10では、各種パラメータが設定可能となっている構成とすればよい。パラメータの設定は、ユーザ入力装置19を介して受け付ける構成とすればよい。設定可能なパラメータとしては、前述の設定時間が挙げられる。設定時間は、例えば15分間~30分間の範囲で設定可能とすればよい。設定可能なパラメータとしては、解除操作条件が挙げられる。解除操作条件は、前述した例のうちから1つ以上を設定可能とすればよい。設定可能なパラメータとしては、第1通知音及び第2通知音が挙げられる。第1通知音は、アラーム音及び音声の各々について、音のレベルが例えばLV0~LV6の7段階から設定可能とすればよい。第2通知音は、アラーム音及び音声の各々について、音のレベルが例えばLV0~LV3の4段階から設定可能とすればよい。LV0は、音の出力なしに相当するレベルとすればよい。音のレベルが低いほど、運転者にとっての煩わしさを抑えた態様の音が出力されるものとする。煩わしさを抑えた態様の例としては、音量を小さくしたり、周波数を低くしたりする例が挙げられる。設定可能なパラメータは、上述した以外のパラメータであってもよい。例えば、第1上限速度及び第2上限速度を運転者の好みに設定可能であってもよい。設定可能なパラメータとしては、上述した、第2上限速度のオフセットが挙げられる。第1上限速度についても、同様に、車両状態センサ13によって取得されて提示装置18によって運転者に提示される速度と、実際の車両の速度と、の間の差を調整するオフセットを、設定可能なパラメータとしてもよい。
【0068】
<実施形態1における機能有効化設定>
次に、
図10及び
図11を用いて、有効化と無効化との切り替え設定が可能な機能の切り替え設定について説明する。有効化と無効化との切り替え設定を、以下では機能有効化設定と呼ぶ。機能有効化設定が可能な機能を、以下では、設定可能機能と呼ぶ。以下では、設定可能機能の有効化をオンと呼び、無効化をオフと呼ぶ。本実施形態では、眠気モニタリング機能、第1速度抑制機能、及び第2速度抑制機能が設定可能機能であるものとする。眠気モニタリング機能は、眠気レベルの特定を行う機能である。
【0069】
設定可能機能のオンオフは、表示装置181の画面上のタッチスイッチの操作によって行う構成とすればよい。
図10に、実施形態1における設定可能機能のオンオフを行う画面の表示例を示す。
図10の例では、第1速度抑制機能を、眠気検知時抑制機能と表示している。
図10の例では、第2速度抑制機能を、法定速度超過時抑制機能と表示している。
図10のSbが、設定可能機能のオンオフを切り替えるボタン表示を示す。設定可能機能のオンオフは、機能別のボタン表示に対する操作によって切り替えられるものとする。設定可能機能のオンオフを行う画面には、眠気モニタリング機能、第1速度抑制機能、及び第2速度抑制機能のオンオフを切り替えるボタン表示が行われる。
【0070】
続いて、
図11を用いて、機能有効化設定の組み合わせのパターンについて説明する。
図11では、眠気モニタリング機能をDMFで示す。
図11では、第1速度抑制機能をDDASFで示す。
図11では、第2速度抑制機能をSEASFで示す。パターン1が、眠気モニタリング機能、第1速度抑制機能、及び第2速度抑制機能のいずれもオンのパターンである。パターン2が、眠気モニタリング機能及び第1速度抑制機能がオフ、第2速度抑制機能がオンのパターンである。パターン3が、眠気モニタリング機能、第1速度抑制機能、及び第2速度抑制機能のいずれもオフのパターンである。パターン4が、眠気モニタリング機能及び第2速度抑制機能がオン、第1速度抑制機能がオフのパターンである。パターン5が、眠気モニタリング機能がオン、第1速度抑制機能及び第2速度抑制機能がオフのパターンである。パターン6が、眠気モニタリング機能及び第1速度抑制機能がオン、第2速度抑制機能がオフのパターンである。
【0071】
眠気モニタリング機能がオフ、第1速度抑制機能及び第2速度抑制機能がオンのパターンの組み合わせは設定できないものとする。眠気モニタリング機能及び第2速度抑制機能がオフ、第1速度抑制機能がオンのパターンの組み合わせは設定できないものとする。つまり、第1速度抑制機能は、眠気モニタリング機能がオンである場合にのみ、オンに設定できるものとする。
【0072】
<車両用システム1における状態遷移について>
続いて、車両用システム1における状態遷移の一例について説明する。まず、
図12を用いて、自車が停止中の場合の状態遷移の一例について説明する。
図12は、停止中における状態遷移について説明するための図である。停止中のデフォルトの状態は、非監視モードであるものとする。非監視モードとは、自車が停止中であって、設定モードでない状態である。非監視モードは、待機状態と言い換えることができる。非監視モードにおいて、設定モードボタンが操作される(
図12のt1参照)と、設定モードに遷移する。設定モードボタンは、設定モードに切り替えるためのボタンである。設定モードボタンは、例えば表示装置181の画面上のタッチスイッチとすればよい。
【0073】
設定モードは、前述の各種パラメータの設定を受け付けるモードである。設定モードにおいて、設定完了ボタンが操作される(
図12のt2参照)と、非監視モードに遷移する。設定完了ボタンは、設定モードを完了するためのボタンである。設定完了ボタンは、例えば表示装置181の画面上のタッチスイッチとすればよい。設定モードにおいて、自車の走行が開始された場合(
図12のt2参照)にも、非監視モードに遷移する。この場合には、設定中のプロファイルを破棄の上、強制的に非監視モードに遷移すればよい。
【0074】
また、非監視モードにおいて、自車の走行が開始された場合(
図12のt3参照)に、後述する監視モードに遷移する。一方、監視モードにおいて、自車が停止した場合(
図12のt4参照)には、非監視モードに遷移する。
【0075】
次に、
図13を用いて、機能有効化設定の組み合わせがパターン1の場合の監視モードにおける状態遷移の一例について説明する。監視モードは、自車が走行中の場合のモードである。
図13は、パターン1の場合の監視モードにおける状態遷移について説明するための図である。
図13のNDSが、運転者の眠気が特定されない場合の状態を示す。この状態を眠気なし状態と呼ぶ。眠気の特定は、運転支援装置10が、眠気状態取得部111で取得した眠気レベルのうちの深度レベルから行えばよい。以下についても同様とする。
【0076】
自車の走行が開始された場合(
図13のt11参照)には、デフォルトの状態として、この眠気なし状態のうちの制限なし状態に遷移する。制限なし状態は、運転者の眠気が特定されておらず、自車が法定上限速度に達していない状態である。制限なし状態において、自車が法定上限速度に達すると(
図13のt12参照)、眠気なし状態のうちの法定速度制限状態に遷移する。法定速度制限状態は、第2速度抑制機能が作動する状態である。つまり、法定速度制限状態は、第2速度抑制機能の作動状態にあたる。一方、法定速度制限状態において、自車が法定上限速度を下回ると(
図13のt13参照)、制限なし状態に遷移する。
【0077】
眠気なし状態において、前述のDNcよりも小さい眠気が特定された場合(
図13のt14参照)には、警戒1状態に遷移する。なお、DNcは、走行に支障が出る可能性が高いと推定される深度レベルである。警戒1状態は、前述の予告前警告を行う状態である。警戒1状態において、眠気なしが特定された場合(
図13のt15参照)には、眠気なし状態に遷移する。つまり、予告前警告により眠気が解消された場合に、眠気なし状態に遷移する。一方、警戒1状態において、予告前警告の開始後の自車の走行距離が規定距離に到達した場合(
図13のt16参照)には、警戒2状態に遷移する。また、警戒1状態において、DNc以上の眠気が特定された場合(
図13のt16参照)にも、警戒2状態に遷移する。DNc以上の眠気には、眠気でないレベルSの居眠りは含まない。また、眠気なし状態において、DNc以上の眠気が特定された場合(
図13のt17参照)にも、警戒2状態に遷移する。
【0078】
警戒2状態は、前述の予告警告を行う状態である。警戒2状態において、眠気なしが特定された場合(
図13のt18参照)には、眠気なし状態に遷移する。つまり、予告警告により眠気が解消された場合に、眠気なし状態に遷移する。一方、警戒2状態において、予告警告の開始から規定時間が経過した場合(
図13のt19参照)には、警戒3状態に遷移する。
【0079】
警戒3状態は、第1速度抑制機能が作動する状態である。つまり、警戒3状態は、第1速度抑制機能の作動状態にあたる。警戒3状態は、前述の第1作動警告を行う状態でもある。警戒3状態において、解除条件が成立した場合(
図13のt20参照)には、眠気なし状態に遷移する。解除条件に停止時間条件を含む構成の場合には、停止時に非監視モードに遷移せずに、仮監視モードに遷移すればよい。仮監視モードは、自車が走行を再開した場合に警戒3状態に遷移すればよい。そして、停止時間条件が成立した場合に、眠気なし状態に遷移すればよい。また、監視モードにおいて、一部の例外を除き、自車が停止すると、非監視モードに遷移する。一部の例外は、解除条件に停止時間条件を含む構成での警戒3状態とすればよい。
【0080】
続いて、
図14を用いて、機能有効化設定の組み合わせがパターン2,4の場合の監視モードにおける状態遷移の一例について説明する。
図14は、パターン2,4の場合の監視モードにおける状態遷移について説明するための図である。なお、自車が停止中の場合の状態遷移は、パターン2,4の場合であっても、
図12に示したものと同様とすればよい。
【0081】
パターン2,4の場合の監視モードにおいて、自車の走行が開始された場合(
図14のt21参照)には、デフォルトの状態として、制限なし状態に遷移する。制限なし状態は、前述したのと同様である。制限なし状態において、自車が法定上限速度に達すると(
図14のt22参照)、法定速度制限状態に遷移する。法定速度制限状態は、前述したのと同様である。一方、法定速度制限状態において、自車が法定上限速度を下回ると(
図14のt23参照)、制限なし状態に遷移する。また、監視モードにおいて、自車が停止すると、非監視モードに遷移する。
【0082】
続いて、
図15を用いて、機能有効化設定の組み合わせがパターン6の場合の監視モードにおける状態遷移の一例について説明する。
図15は、パターン6の場合の監視モードにおける状態遷移について説明するための図である。なお、自車が停止中の場合の状態遷移は、パターン6の場合であっても、
図12に示したものと同様とすればよい。
【0083】
自車の走行が開始された場合(
図15のt31参照)には、デフォルトの状態として、制限なし状態に遷移する。ここでの制限なし状態は、運転者の眠気が特定されていない状態である。制限なし状態において、前述のDNcよりも小さい眠気が特定された場合(
図15のt32参照)には、警戒1状態に遷移する。警戒1状態は、前述したのと同様である。警戒1状態において、眠気なしが特定された場合(
図15のt33参照)には、制限なし状態に遷移する。一方、警戒1状態において、予告前警告の開始後の自車の走行距離が規定距離に到達した場合(
図15のt34参照)には、警戒2状態に遷移する。また、警戒1状態において、DNc以上の眠気が特定された場合(
図15のt34参照)にも、警戒2状態に遷移する。警戒2状態は、前述したのと同様である。また、制限なし状態において、DNc以上の眠気が特定された場合(
図15のt35参照)にも、警戒2状態に遷移する。
【0084】
警戒2状態において、眠気なしが特定された場合(
図15のt36参照)には、制限なし状態に遷移する。一方、警戒2状態において、予告警告の開始から規定時間が経過した場合(
図15のt37参照)には、警戒3状態に遷移する。警戒3状態は、前述したのと同様である。警戒3状態において、解除条件が成立した場合(
図15のt38参照)には、制限なし状態に遷移する。解除条件に停止時間条件を含む構成の場合には、前述したのと同様に、仮監視モードに遷移すればよい。仮監視モードは、自車が走行を再開した場合に警戒3状態に遷移すればよい。そして、停止時間条件が成立した場合に、制限なし状態に遷移すればよい。また、監視モードにおいて、一部の例外を除き、自車が停止すると、非監視モードに遷移する。一部の例外は、解除条件に停止時間条件を含む構成での警戒3状態とすればよい。
【0085】
続いて、機能有効化設定の組み合わせがパターン3,5の場合の状態遷移の一例について説明する。停止中のデフォルトの状態は、待機状態であるものとする。待機状態とは、自車が停止中であって、設定モードでない状態である。待機状態において、前述の設定モードボタンが操作されると、前述の設定モードに遷移する。一方、設定モードにおいて、前述の設定完了ボタンが操作されると、待機状態に遷移する。設定モードにおいて、自車の走行が開始された場合にも、待機状態に遷移する。この場合には、設定中のプロファイルを破棄の上、強制的に待機状態に遷移すればよい。また、待機状態において、自車の走行が開始された場合に、前述の制限なし状態に遷移する。一方、制限なし状態において、自車が停止した場合には、待機状態に遷移する。
【0086】
なお、パターン1~2,4,6の場合の監視モード及びパターン3,5の場合の走行中において、運転者の異常状態が特定された場合には、異常時対応状態に遷移してもよい。異常状態の特定は、運転支援装置10が、運転者異常取得部112で異常状態を取得したことから行えばよい。異常時対応状態は、運転者の異常状態に対応した処理である異常時対応処理を行う状態である。異常時対応処理としては、国土交通省自動車局のドライバー異常時対応システム(減速停止型)基本設計書のP13のタイミングチャートに示される処理を行えばよい。例えば、自動で制動がかかる注意喚起の後、自動で車両を停止させればよい。異常時対応状態において、自動で車両が停止した場合に、非監視モードに遷移すればよい。異常時対応状態において、解除操作が行われた場合に、監視モードのうちの異常時対応状態に遷移前の状態に復帰する遷移をすればよい。この場合の解除操作は、上述のドライバー異常時対応システム(減速停止型)基本設計書のP13のタイミングチャートに示される解除操作と同様とすればよい。
【0087】
また、制限なし状態において、走行開始からの継続走行時間が一定時間に達した場合に、休息を促す通知を行わせてもよい。この通知を、以下では休息促進通知と呼ぶ。一定時間は、休息が好ましいと推定される時間とすればよい。休息促進通知は、提示指示部102が行わせればよい。休息促進通知の例としては、「運転を始めてから2時間経ちました。休憩を取りませんか?」といった音声出力,テキスト表示が挙げられる。
【0088】
(実施形態2)
実施形態1では、眠気モニタリング機能、第1速度抑制機能、及び第2速度抑制機能が設定可能機能である場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限らない。第1速度抑制機能を設定可能機能に含まない構成(以下、実施形態2)としてもよい。以下では、実施形態2の構成の一例について図を用いて説明する。
<車両用システム1aの概略構成>
以下、本開示の実施形態2について、図面を用いて説明する。車両用システム1aは、
図16に示すように、運転支援装置10a、ロケータ11、地
図DB12、車両状態センサ13、エンジンECU14、ブレーキECU15、室内カメラ16、生体センサ17、提示装置18、ユーザ入力装置19、及びHCU20を含んでいる。車両用システム1aは、運転支援装置10の代わりに運転支援装置10aを含む点を除けは、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0089】
<運転支援装置10aの概略構成>
続いて、
図17を用いて運転支援装置10aの概略構成についての説明を行う。運転支援装置10aは、
図17に示すように、HCU通信部101、提示指示部102、速度抑制部103a、及び解除判定部104を機能ブロックとして備える。運転支援装置10aは、速度抑制部103の代わりに速度抑制部103aを備える点を除けば、実施形態1の運転支援装置10と同様である。この運転支援装置10aが居眠り防止装置に相当する。また、運転支援装置10aの不揮発性メモリに記憶された制御プログラムが、居眠り防止プログラムに相当する。また、コンピュータによって運転支援装置10aの各機能ブロックの処理が実行されることが、居眠り防止方法が実行されることに相当する。
【0090】
速度抑制部103aは、第2速度抑制部132aをサブ機能ブロックとして備える。速度抑制部103aは、第1速度抑制部131を備えない。速度抑制部103aは、第2速度抑制部132の代わりに第2速度抑制部132aを備える。速度抑制部103aは、これらの点を除けば、実施形態1の速度抑制部103と同様である。
【0091】
第2速度抑制部132aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の第2速度抑制部132と同様である。第2速度抑制部132aでは、第2速度抑制部132と同様の処理を行う。第2速度抑制部132aは、第2速度抑制部132の処理に加えて、異なる処理を行う。以下では、この異なる処理について説明する。
【0092】
第2速度抑制部132aは、眠気状態取得部111で取得した深度レベルが、眠気あり状態であることに応じて、第2速度抑制機能を作動状態にする。つまり、実施形態2では、第2上限速度が設定上限速度に相当する。実施形態2では、第2速度抑制部132aが、眠気時速度抑制部を兼ねる。また、実施形態2の第2速度抑制機能が眠気時速度抑制機能を兼ねる。この第2速度抑制部132aでの処理が、眠気時速度抑制工程に相当する。以上の構成であっても、運転者の眠気を検出した場合であっても、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることが可能になる。他にも、眠気がありながら走行を継続する場合にも、速度制限を行うので、障害物への近接を避けやすくなる。なお、第2速度抑制部132aは、眠気あり状態である場合であっても、自車が法定上限速度に達した条件を満たさない場合には、第2速度抑制機能を作動状態にしない構成としてもよい。
【0093】
<実施形態2における機能有効化設定>
次に、
図18及び
図19を用いて、実施形態2における機能有効化設定について説明する。本実施形態では、眠気モニタリング機能及び第2速度抑制機能が設定可能機能であるものとする。
【0094】
図18に、実施形態2における設定可能機能のオンオフを行う画面の表示例を示す。
図18の例では、第2速度抑制機能を、法定速度超過時抑制機能と表示している。実施形態2における設定可能機能のオンオフを行う画面には、眠気モニタリング機能及び第2速度抑制機能のオンオフを切り替えるボタン表示が行われる。
【0095】
続いて、
図19を用いて、実施形態2における機能有効化設定の組み合わせのパターンについて説明する。パターン7が、眠気モニタリング機能及び第2速度抑制機能のいずれもオンのパターンである。パターン8が、眠気モニタリング機能がオフ、第2速度抑制機能がオンのパターンである。パターン9が、眠気モニタリング機能及び第2速度抑制機能のいずれもオフのパターンである。パターン10が、眠気モニタリング機能がオン、第2速度抑制機能がオフのパターンである。
【0096】
<車両用システム1aにおける状態遷移について>
続いて、車両用システム1aにおける状態遷移の一例について説明する。まず、
図20を用いて、機能有効化設定の組み合わせがパターン10の場合の監視モードにおける状態遷移の一例について説明する。
図20は、パターン10の場合の監視モードにおける状態遷移について説明するための図である。
図20のLWSが、第2速度抑制機能の作動待ちの状態を示す。この状態を制限待ち状態と呼ぶ。なお、自車が停止中の場合の状態遷移は、パターン10の場合であっても、
図12に示したものと同様とすればよい。
【0097】
自車の走行が開始された場合(
図20のt41参照)には、デフォルトの状態として、制限なし状態に遷移する。ここでの制限なし状態は、運転者の眠気が特定されておらず、自車が法定上限速度に達していない状態である。この制限なし状態において、前述のDNcよりも小さい眠気が特定された場合(
図20のt42参照)には、警戒1状態に遷移する。警戒1状態は、前述したのと同様である。警戒1状態において、眠気なしが特定された場合(
図20のt43参照)には、デフォルトの状態としての制限なし状態に遷移する。一方、警戒1状態において、予告前警告の開始後の自車の走行距離が規定距離に到達した場合(
図20のt44参照)には、警戒2状態に遷移する。また、警戒1状態において、DNc以上の眠気が特定された場合(
図20のt44参照)にも、警戒2状態に遷移する。警戒2状態は、前述したのと同様である。また、デフォルトの状態としての制限なし状態において、DNc以上の眠気が特定された場合(
図20のt45参照)にも、警戒2状態に遷移する。
【0098】
警戒2状態において、眠気なしが特定された場合(
図20のt46参照)には、デフォルトの状態としての制限なし状態に遷移する。一方、警戒2状態において、予告警告の開始から規定時間が経過した場合(
図20のt47参照)には、制限待ち状態に遷移する。制限待ち状態において、自車が法定上限速度に達すると(
図20のt48参照)、制限待ち状態のうちの制限なし状態から法定速度制限状態に遷移する。法定速度制限状態は、前述したのと同様である。つまり、パターン9の場合、第2速度抑制機能がオフであっても、眠気が特定されると、第2速度抑制機能を自動的にオンにする。一方、法定速度制限状態において、自車が法定上限速度を下回ると(
図20のt49参照)、制限待ち状態のうちの制限なし状態に遷移する。また、監視モードにおいて、自車が停止すると、非監視モードに遷移する。
【0099】
続いて、機能有効化設定の組み合わせがパターン7~9の場合の状態遷移の一例について説明する。機能有効化設定の組み合わせがパターン7,8の場合は、前述のパターン2,4の場合と同様とすればよい。また、機能有効化設定の組み合わせがパターン9の場合は、前述のパターン3,5の場合と同様とすればよい。
【0100】
なお、パターン7~8,10の場合の監視モード及びパターン9の場合の走行中において、運転者の異常状態が特定された場合には、前述の異常時対応状態に遷移してもよい。また、異常時対応状態において、自動で車両が停止した場合に、非監視モードに遷移すればよい。
【0101】
(実施形態3)
前述の実施形態では、速度抑制機能による速度の抑制に、制動制御による速度の抑制を含まない構成を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限らない。以下では、速度抑制機能による速度の抑制に、制動制御による速度の抑制を含む構成(以下、実施形態3)であってもよい。以下では、実施形態3の構成の一例について図を用いて説明する。
<車両用システム1bの概略構成>
以下、本開示の実施形態3について、図面を用いて説明する。車両用システム1bは、
図21に示すように、運転支援装置10b、ロケータ11、地
図DB12、車両状態センサ13、エンジンECU14、ブレーキECU15、室内カメラ16、生体センサ17、提示装置18、ユーザ入力装置19、及びHCU20を含んでいる。車両用システム1bは、運転支援装置10の代わりに運転支援装置10bを含む点を除けは、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0102】
<運転支援装置10bの概略構成>
続いて、
図22を用いて運転支援装置10bの概略構成についての説明を行う。運転支援装置10bは、
図22に示すように、HCU通信部101、提示指示部102、速度抑制部103b、及び解除判定部104を機能ブロックとして備える。運転支援装置10bは、速度抑制部103の代わりに速度抑制部103bを備える点を除けば、実施形態1の運転支援装置10と同様である。この運転支援装置10bが居眠り防止装置に相当する。また、運転支援装置10bの不揮発性メモリに記憶された制御プログラムが、居眠り防止プログラムに相当する。また、コンピュータによって運転支援装置10bの各機能ブロックの処理が実行されることが、居眠り防止方法が実行されることに相当する。
【0103】
速度抑制部103bは、第1速度抑制部131b及び第2速度抑制部132bをサブ機能ブロックとして備える。速度抑制部103bは、第1速度抑制部131及び第2速度抑制部132の代わりに第1速度抑制部131b及び第2速度抑制部132bを備える。速度抑制部103bは、この点を除けば、実施形態1の速度抑制部103と同様である。
【0104】
第1速度抑制部131bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の第1速度抑制部131と同様である。以下では、この異なる点について説明する。第1速度抑制部131bは、第1速度抑制機能が作動状態であって、自車の車速が第1上限速度を超過し、且つ、ブレーキペダルの踏み込み量が0の場合に、以下の処理を行う。第1速度抑制部131bは、ブレーキECU15に、車速が第1上限速度を下回るように制動を行わせる。つまり、実施形態1では、第1速度抑制機能が、ブレーキ制御への介入は行わなかったのに対して、実施形態3では、ブレーキ制御への介入を行う。
【0105】
以上の構成によれば、アクセル制御への介入だけでは速度を抑えられない場合でも、ブレーキ制御への介入によって速度を抑えることが可能になる。その結果、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることがより容易に実現可能となる。この第1速度抑制部131bも眠気時速度抑制部に相当する。また、第1速度抑制部131bでの処理も、眠気時速度抑制工程に相当する。なお、第1速度抑制部131bは、制動時の単位時間あたりの減速量が大きくなり過ぎないように、緩減速させることが好ましい。単位時間あたりの減速量は、任意に設定可能とすればよい。
【0106】
第2速度抑制部132bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の第2速度抑制部132と同様である。以下では、この異なる点について説明する。第2速度抑制部132bは、第2速度抑制機能が作動状態であって、自車の車速が第2上限速度を超過し、且つ、ブレーキペダルの踏み込み量が0の場合に、以下の処理を行う。第2速度抑制部132bは、ブレーキECU15に、車速が第2上限速度を下回るように制動を行わせる。なお、第2速度抑制部132bは、制動時の単位時間あたりの減速量が大きくなり過ぎないように、緩減速させることが好ましい。単位時間あたりの減速量は、任意に設定可能とすればよい。
【0107】
なお、実施形態3では、第2速度抑制部132bの代わりに実施形態1の第2速度抑制部132を用いる構成としてもよい。実施形態3の構成は、実施形態2の構成と組み合わせてもよい。
【0108】
(実施形態4)
前述の実施形態では、運転支援装置10,10a,10bが、車両製造時に車両に内蔵される場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限らない。以下では、実施形態4の構成の一例について図を用いて説明する。
<車両用システム1cの概略構成>
以下、本開示の実施形態4について、図面を用いて説明する。車両用システム1cは、
図23に示すように、運転支援装置10c、ロケータ11、地
図DB12、車両状態センサ13、エンジンECU14、ブレーキECU15、室内カメラ16、生体センサ17、提示装置18、ユーザ入力装置19、及びHCU20を含んでいる。車両用システム1cは、運転支援装置10の代わりに運転支援装置10cを含む点を除けは、実施形態1の車両用システム1と同様である。運転支援装置10cは、車両製造後に車両に増設されるものとする。つまり、運転支援装置10cは、後付けの装置である。
【0109】
<運転支援装置10cの概略構成>
続いて、
図24を用いて運転支援装置10cの概略構成についての説明を行う。運転支援装置10cは、
図24に示すように、HCU通信部101、提示指示部102、速度抑制部103c、及び解除判定部104を機能ブロックとして備える。運転支援装置10cは、速度抑制部103の代わりに速度抑制部103cを備える点を除けば、実施形態1の運転支援装置10と同様である。この運転支援装置10cが居眠り防止装置に相当する。また、運転支援装置10cの不揮発性メモリに記憶された制御プログラムが、居眠り防止プログラムに相当する。また、コンピュータによって運転支援装置10cの各機能ブロックの処理が実行されることが、居眠り防止方法が実行されることに相当する。
【0110】
速度抑制部103cは、第1速度抑制部131c及び第2速度抑制部132cをサブ機能ブロックとして備える。速度抑制部103cは、第1速度抑制部131及び第2速度抑制部132の代わりに第1速度抑制部131c及び第2速度抑制部132cを備える。速度抑制部103cは、この点を除けば、実施形態1の速度抑制部103と同様である。以下ではこの異なる点について説明する。
【0111】
速度抑制部103cは、車両状態センサ13のうちのアクセルストロークセンサと、エンジンECU14との間に介在する。つまり、第1速度抑制部131c及び第2速度抑制部132cは、アクセルストロークセンサと、エンジンECU14との間に介在する。この車両状態センサ13のうちのアクセルストロークセンサが、アクセル信号発生ユニットに相当する。また、エンジンECU14が、駆動力制御装置に相当する。なお、自車が走行駆動源としてモータを用いる場合は、エンジンECU14の代わりに、パワーユニット制御ECUを用いる構成とすればよい。また、アクセルストロークセンサ以外の、アクセルペダルの操作量を示すアクセル信号を出力する装置を、アクセル信号発生ユニットとして用いる構成としてもよい。
【0112】
第1速度抑制部131cは、第1速度抑制機能での速度の抑制を以下のようにして行う。第1速度抑制部131cは、アクセルストロークセンサから入力されるアクセル信号を、入力されたよりも小さいアクセルペダル操作量を示すアクセル信号に変換する。そして、この変換を行ったアクセル信号を、エンジンECU14に出力する。これにより、速度の抑制を実現する。以上の構成によれば、運転支援装置10cを、車両製造後に車両に増設する場合であっても、より容易に速度の抑制を実現可能となる。そして、運転者の眠気を検出した場合であっても、運転者にとっての快適性を損いにくくしつつ、運転者の居眠りを防止させることが可能になる。この第1速度抑制部131cも眠気時速度抑制部に相当する。また、第1速度抑制部131cでの処理も、眠気時速度抑制工程に相当する。
【0113】
ここで、
図25を用いて、実施形態4における第1速度抑制機能での速度抑制について説明する。
図25のグラフでは、自車の車速とアクセル開度の出力値との変化を示している。
図25のAOOがアクセル開度の出力値を示している。
図25のUOが、第1速度抑制部131cからエンジンECU14へのアクセル開度の出力値である。自車の車速が第1上限速度を超えるまでは、エンジンECU14へ出力されるアクセル開度は、アクセルストロークセンサから入力されてくる値と同じである。一方、自車の車速が第1上限速度を超えると、第1速度抑制部131cからエンジンECU14へ出力されるアクセル開度は、アクセルストロークセンサから入力されてくる値よりも抑制された抑制値となる。抑制値は、例えばアクセル開度0とすればよい。
【0114】
第2速度抑制部132cは、第2速度抑制機能での速度の抑制を以下のようにして行えばよい。第2速度抑制部132cは、アクセルストロークセンサから入力されるアクセル信号を、入力されたよりも小さいアクセルペダル操作量を示すアクセル信号に変換する。そして、この変換を行ったアクセル信号を、エンジンECU14に出力する。これにより、速度の抑制を実現する。
【0115】
運転支援装置10cを、車両製造後に車両に増設する場合、表示装置181として、内蔵の表示器以外を利用することが想定される。内蔵以外の表示器としては、運転者が携帯する多機能携帯電話機,タブレット端末が挙げられる。他にも、後付けの表示器も挙げられる。内蔵以外の表示器を利用しやすくするため、運転支援装置10cは、内蔵以外の表示器と通信する通信モジュールを備えてもよい。内蔵以外の表示器と運転支援装置10cとの通信には、近距離通信規格に沿った近距離無線通信を用いればよい。一例としては、Bluetooth(登録商標) Low Energyに準拠した近距離無線通信を用いればよい。
【0116】
実施形態4の構成は、実施形態2,3の構成とを組み合わせてもよい。実施形態4の構成を実施形態3の構成と組み合わせる場合、以下のようにしてもよい。第1速度抑制部131cは、ブレーキストロークセンサから入力されるブレーキ信号を、自車を緩減速させる所定値に設定して、ブレーキECU15に出力してもよい。
【0117】
(実施形態5)
前述の実施形態では、運転支援装置10,10a,10b,10cが居眠り防止装置に相当する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、運転支援装置10,10a,10b,10c以外のECUが居眠り防止装置に相当する構成としてもよい。
【0118】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0119】
(開示されている技術的思想)
この明細書は、以下に列挙された複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0120】
(技術的思想1)
車両で用いることが可能な居眠り防止装置であって、
前記車両の運転者の眠気に関する状態である眠気状態を取得する眠気状態取得部(111)と、
前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記車両の車速が、0よりも大きく設定される上限速度である設定上限速度を超えることを抑制する眠気時速度抑制機能を作動状態にする眠気時速度抑制部(131,132a,131b,131c)とを備える居眠り防止装置。
【0121】
(技術的思想2)
技術的思想1に記載の居眠り防止装置であって、
前記運転者に向けて情報提示を行わせる提示指示部(102)を備え、
前記提示指示部は、前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記情報提示として前記運転者に向けた警告を行わせ、
前記眠気時速度抑制部は、前記提示指示部による前記警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする居眠り防止装置。
【0122】
(技術的思想3)
技術的思想2に記載の居眠り防止装置であって、
前記提示指示部は、前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記眠気時速度抑制部で前記眠気時速度抑制機能を作動状態にするまでに、前記警告として、段階的な警告である段階的警告を行わせるものであり、
前記眠気時速度抑制部は、前記提示指示部による前記段階的警告のうちの最終段階の警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする居眠り防止装置。
【0123】
(技術的思想4)
技術的思想3に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気状態取得部は、眠気状態として、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得するものであり、
前記提示指示部は、前記段階的警告を開始する前に、その段階的警告の段数を設定するものであり、前記眠気状態取得部で取得した前記深度レベルが大きくなるのに応じて、前記段階的警告の段数を多く設定する居眠り防止装置。
【0124】
(技術的思想5)
技術的思想3又は4に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気状態取得部は、眠気状態として、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得するものであり、
前記提示指示部は、前記段階的警告を開始する前に、その段階的警告のどの段階から警告を開始するかである開始段階を設定するものであり、前記眠気状態取得部で取得した前記深度レベルが大きくなるのに応じて、前記開始段階を前記段階的警告のうちのより後ろの段階に設定する居眠り防止装置。
【0125】
(技術的思想6)
技術的思想2~5のいずれか1項に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気状態取得部は、眠気状態として、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得するものであり、
前記眠気時速度抑制部は、前記警告指示部による前記警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする場合のその警告の開始後に前記眠気時速度抑制機能を作動状態にするタイミングを、前記眠気状態取得部で取得した前記深度レベルが大きくなるのに応じて、早くする居眠り防止装置。
【0126】
(技術的思想7)
技術的思想2~6のいずれか1項に記載の居眠り防止装置であって、
前記提示指示部は、前記警告として、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする予告を含む予告警告を少なくとも行わせるものであり、
前記眠気時速度抑制部は、前記提示指示部による前記予告警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記予告警告の開始から規定時間後に、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする居眠り防止装置。
【0127】
(技術的思想8)
技術的思想7に記載の居眠り防止装置であって、
前記提示指示部は、前記眠気状態取得部で取得した前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることに応じて、前記眠気時速度抑制部で前記眠気時速度抑制機能を作動状態にするまでに、前記警告として、段階的な警告である段階的警告を行わせるものであり、
前記段階的警告には、前記眠気時速度抑制機能を作動状態にする予告を含む予告警告と、この予告警告よりも前の段階の警告である予告前警告とを含み、
前記提示指示部は、前記予告前警告の開始後も引き続き、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気があることを示す状態であることを条件に、前記予告前警告の開始後の前記車両の走行距離が規定距離に到達後に、前記予告警告を行わせる居眠り防止装置。
【0128】
(技術的思想9)
技術的思想1~8のいずれか1項に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気状態取得部は、眠気状態として、眠気の深度の度合いである深度レベルを取得するものであり、
前記眠気時速度抑制部は、前記設定上限速度を、前記眠気状態取得部で取得した前記深度レベルが大きくなるのに応じて、低くする居眠り防止装置。
【0129】
(技術的思想10)
技術的思想9に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気時速度抑制部は、前記車両の走行中の道路に、法定の下限速度が定められている場合には、前記深度レベルに応じた前記設定上限速度が、この法定の下限速度を下回らないようにする居眠り防止装置。
【0130】
(技術的思想11)
技術的思想1~10のいずれか1項に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気時速度抑制機能が作動状態となっている場合に、前記眠気時速度抑制機能の作動状態を解除する解除条件が成立したか否かを判定する解除判定部(104)を備え、
前記眠気時速度抑制部は、前記解除判定部で前記解除条件が成立したと判定した場合に、前記眠気時速度抑制機能の作動状態を解除するものであり、
前記解除判定部は、前記眠気状態取得部で取得する前記眠気状態が、前記運転者の眠気が解消したことを示す状態となったこと、前記車両が停止して設定時間以上経過したこと、及び前記眠気時速度抑制機能の作動状態を解除する操作として予め定められた解除操作を前記車両で受け付けたことの少なくともいずれかを前記解除条件とし、この解除条件を一つでも満たす場合に、前記眠気時速度抑制機能の作動状態を解除する解除条件が成立したと判定する居眠り防止装置。
【0131】
(技術的思想12)
技術的思想1~11のいずれか1項に記載の居眠り防止装置であって、
前記運転者に向けて情報提示を行わせる提示指示部(102)を備えるものであり、
前記提示指示部は、前記情報提示として、前記運転者の眠気によって前記眠気時速度抑制機能が自動的に作動状態にされる旨の通知を、前記車両の発車よりも前に、前記運転者に向けて行わせる居眠り防止装置。
【0132】
(技術的思想13)
技術的思想9に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気時速度抑制部に加え、前記運転者の眠気があるか否かにかかわらず、前記車両の走行中の道路に定められた法定の上限速度に応じて法定の上限速度を超えないように設定される上限速度である法定関連上限速度を超えることを抑制する法定関連速度抑制機能を作動状態にする法定関連速度抑制部(132,132a,132b,132c)をさらに備える居眠り防止装置。
【0133】
(技術的思想14)
技術的思想13に記載の居眠り防止装置であって、
前記運転者に向けて情報提示を行わせる提示指示部(102)を備えるものであり、
前記提示指示部は、前記情報提示として、少なくとも音を出力させるものであり、
前記提示指示部は、前記設定上限速度が変化した場合に、前記設定上限速度が変化したことを通知する第1通知音を出力させる他、前記法定関連上限速度が変化した場合に、前記法定関連上限速度が変化したことを通知する第2通知音を出力させるものであり、前記第2通知音を第1通知音よりも煩わしさを抑えた態様で出力させる居眠り防止装置。
【0134】
(技術的思想15)
技術的思想1~14のいずれか1項に記載の居眠り防止装置であって、
前記眠気時速度抑制部(131c)が作動状態にする前記眠気時速度抑制機能は、前記車両のアクセルペダルの操作による加速を抑制する機能であり、
前記眠気時速度抑制部は、前記アクセルペダルの操作量を示す信号であるアクセル信号を出力するアクセル信号発生ユニット(13)と、アクセル信号に応じて前記車両の走行駆動力を制御する駆動力制御装置(14)との間に介在し、前記アクセル信号発生ユニットから入力されるアクセル信号を、入力されたアクセル信号よりも小さいアクセルペダル操作量を示すアクセル信号に変換して前記駆動力制御装置に出力する居眠り防止装置。
【符号の説明】
【0135】
1,1a,1b,1c 車両用システム、10,10a,10b,10c 運転支援装置(居眠り防止装置)、13 車両状態センサ(アクセル信号発生ユニット)、14 エンジンECU(駆動力制御装置)、102 提示指示部、104 解除判定部、111 眠気状態取得部、131,131b,131c 第1速度抑制部(眠気時速度抑制部)、132b 第2速度抑制部(眠気時速度抑制部)