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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176450
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】液体噴出器2
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/22 20060101AFI20241212BHJP
   B65D 83/16 20060101ALI20241212BHJP
   B65D 83/20 20060101ALI20241212BHJP
   A61M 11/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B65D83/22
B65D83/16 100
B65D83/20
A61M11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094989
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000222129
【氏名又は名称】東洋エアゾール工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】尾形 謙
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PD01
3E014PE14
3E014PE15
3E014PF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数回の押下ヘッドへの押下操作による1回の使用量を制限でき、繰返し使用できる液体噴出器を提供する。
【解決手段】ノズル3内の流路C1と押下ヘッド5内の流路C2との間をシールするシール部P4と、ノズル3に対して相対的に上方付勢状態で昇降可能な回転部材6と、押下ヘッド5への押下操作による回転部材6を前進方向に所定角度回転させる回転案内部と、回転部材6が所定回転位置にあるときに、ステム3の押下が防止されるように回転部材6の下降が阻止されるロック状態にするロック部P2と、押筒4の回転操作部26への回転操作によって回転部材6を前進方向に回転させる押圧凸部30で構成されるロック解除部P3とを有し、回転案内部P1が回転部材6を前進方向に所定角度回転させる度毎に、少なくとも1つの補助回転腕33bの第2傾斜面が、いずれかの仕切板22の第1傾斜面と当接することを特徴とする液体噴出器1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムを備えるエアゾール容器と、該エアゾール容器に固定されるカバー筒と、前記ステムに取付られるノズルと、前記カバー筒から突出する回転操作部を備える押筒と、該押筒に対して相対的に回転自在であり、前記ノズルの押下により液体を噴出する押下ヘッドと、前記ノズル内の流路と前記押下ヘッド内の流路との間をシールするシール部と、前記カバー筒に対する回転が規制され、周方向に所定のピッチで並べて設けられ、前記周方向の所定箇所が間欠部とされる複数の仕切板と、前記ノズルに対して相対的に上方付勢状態で昇降可能な回転部材と、前記押筒と前記回転部材との間に押下可能に介在し、前記複数の仕切板に対する回転が規制されるリング部材と、前記押下ヘッドへの押下操作による前記押下ヘッド、前記押筒、前記リング部材、前記回転部材及び前記ノズルの下降及びその後の上昇により、前記回転部材を前進方向に所定角度回転させる回転案内部と、前記回転部材が所定回転位置にあるときに、前記ステムの押下が防止されるように前記回転部材の下降が阻止されるロック状態にするロック部と、前記押筒に設けられるとともに前記押筒の前記回転操作部への回転操作によって前記回転部材を押圧して前記回転部材を前記前進方向に回転させる押圧凸部で構成されるロック解除部とを有し、
前記複数の仕切板の各々の下面が、前記周方向の一方側に向けて上方に傾く第1傾斜面を形成し、
前記回転部材が複数の回転腕を有し、前記複数の回転腕の各々の上面が、前記周方向の前記一方側に向けて上方に傾く第2傾斜面を形成し、
前記リング部材の下面が、前記第1傾斜面に対して等しいピッチで前記周方向の位置をずらして設けられ、各々が前記周方向の前記一方側に向けて上方に傾く複数の第3傾斜面を形成し、
前記第1傾斜面、前記第2傾斜面及び前記第3傾斜面が前記回転案内部を構成し、
前記複数の回転腕が、前記ロック状態において前記間欠部に配置される本体腕と、複数の補助回転腕とで構成され、
前記複数の仕切板のうち、前記ロック状態において前記補助回転腕と径方向に対向する前記仕切板が小仕切板として構成され、
前記本体腕の前記第2傾斜面が、前記複数の仕切板の各々の前記第1傾斜面と当接可能であり、各々の前記補助回転腕の前記第2傾斜面が、前記小仕切板を除く前記複数の仕切板の各々の前記第1傾斜面と当接可能であり、
前記回転案内部が前記回転部材を前記前進方向に前記所定角度回転させる度毎に、少なくとも1つの前記補助回転腕の前記第2傾斜面が、いずれかの前記仕切板の前記第1傾斜面と当接することを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
前記間欠部から前記前進方向にp番目とq番目の2つの前記仕切板が前記小仕切板として構成され、
rを仕切板の数とし、p<qとしたときに、r+1+p≠2q、且つ、q≠2pの関係を満たす、請求項1に記載の液体噴出器。
【請求項3】
r=11、p=5、且つ、q=7である、請求項2に記載の液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容液の1回の使用量を制限できる液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
1回の使用量が規定されている医薬品等の内容物を規定量使用したことが分かるようにした噴出器が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に記載される噴出器は、上端開口が設けられた容器と、この容器から上端開口を経て投与流体を分配する分配手段と、この分配手段を容器の上端開口に締め付けるリングナットと、分配手段を作動させる昇降可能な作動部材であるノズルと、リングナットに対するノズルの昇降を回転素子の回転及び昇降に変換する弾性手段とを備え、回転素子に連続する数字表示が設けられ、この数字表示が分配投与毎に観察用の窓に順次配置されるように構成されている。
【0004】
そして、ノズルを押し下げることにより窓に現れる投与数の数値が更新され、数値が最終的な投与数に達すると、回転素子から突出している半径方向ロケーターがノズルから突出している半径方向ロケーターに当たって回転素子のそれ以上の回転が阻止され、噴出器の使用が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3211894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような内容物の1回の使用量が規定されている噴出器は、1回の規定量を越えた誤使用を防止するために、1回の規定量が使用されたときに内容物の噴出を防止できることが望ましい場合がある。また、1回の規定量を複数回の押下操作によって使用できることが望ましい場合もある。さらに、複数回の規定量を繰返し使用できることが望ましい場合もある。さらに、押下げ操作を受けて内容物を噴出する押下ヘッドを設けることが望ましい場合もある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためのもので、その目的は、複数回の押下ヘッドへの押下操作による1回の使用量を制限でき、繰返し使用できる液体噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体噴出器は、ステムを備えるエアゾール容器と、該エアゾール容器に固定されるカバー筒と、前記ステムに取付られるノズルと、前記カバー筒から突出する回転操作部を備える押筒と、該押筒に対して相対的に回転自在であり、前記ノズルの押下により液体を噴出する押下ヘッドと、前記ノズル内の流路と前記押下ヘッド内の流路との間をシールするシール部と、前記カバー筒に対する回転が規制され、周方向に所定のピッチで並べて設けられ、前記周方向の所定箇所が間欠部とされる複数の仕切板と、前記ノズルに対して相対的に上方付勢状態で昇降可能な回転部材と、前記押筒と前記回転部材との間に押下可能に介在し、前記複数の仕切板に対する回転が規制されるリング部材と、前記押下ヘッドへの押下操作による前記押下ヘッド、前記押筒、前記リング部材、前記回転部材及び前記ノズルの下降及びその後の上昇により、前記回転部材を前進方向に所定角度回転させる回転案内部と、前記回転部材が所定回転位置にあるときに、前記ステムの押下が防止されるように前記回転部材の下降が阻止されるロック状態にするロック部と、前記押筒に設けられるとともに前記押筒の前記回転操作部への回転操作によって前記回転部材を押圧して前記回転部材を前進方向に回転させる押圧凸部で構成されるロック解除部とを有し、前記複数の仕切板の各々の下面が、前記周方向の一方側に向けて上方に傾く第1傾斜面を形成し、前記回転部材が複数の回転腕を有し、前記複数の回転腕の各々の上面が、前記周方向の前記一方側に向けて上方に傾く第2傾斜面を形成し、前記リング部材の下面が、前記第1傾斜面に対して等しいピッチで前記周方向の位置をずらして設けられ、各々が前記周方向の前記一方側に向けて上方に傾く複数の第3傾斜面を形成し、前記第1傾斜面、前記第2傾斜面及び前記第3傾斜面が前記回転案内部を構成し、前記複数の回転腕が、前記ロック状態において前記間欠部に配置される本体腕と、複数の補助回転腕とで構成され、前記複数の仕切板のうち、前記ロック状態において前記補助回転腕と径方向に対向する前記仕切板が小仕切板として構成され、前記本体腕の前記第2傾斜面が、前記複数の仕切板の各々の前記第1傾斜面と当接可能であり、各々の前記補助回転腕の前記第2傾斜面が、前記小仕切板を除く前記複数の仕切板の各々の前記第1傾斜面と当接可能であり、前記回転案内部が前記回転部材を前記前進方向に前記所定角度回転させる度毎に、少なくとも1つの前記補助回転腕の前記第2傾斜面が、いずれかの前記仕切板の前記第1傾斜面と当接することを特徴とする液体噴出器である。
【0009】
本発明の液体噴出器は、上記構成において、前記間欠部から前記前進方向にp番目とq番目の2つの前記仕切板が前記小仕切板として構成され、rを仕切板の数とし、p<qとしたときに、r+1+p≠2q、且つ、q≠2pの関係を満たす、液体噴出器であるのが好ましい。
【0010】
本発明の液体噴出器は、上記構成において、r=11、p=5、且つ、q=7である、液体噴出器であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数回の押下ヘッドへの押下操作による1回の使用量を制限でき、繰返し使用できる液体噴出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る液体噴出器の吐出具の分解斜視図である。
図2図1に示す液体噴出器のロック状態を示す縦断面図である。
図3図1に示す液体噴出器の非ロック状態での押下ヘッドの押下操作時の状態を示す縦断面図である。
図4A図1に示す液体噴出器の回転部材の動作を説明する説明図であり、非ロック状態での押下ヘッドの押下操作前の状態を示す。
図4B図4Aに示す状態から押下ヘッドを押下操作したときの状態を示す。
図4C図4Bに示す状態からさらに押下ヘッドを押下操作したときの状態を示す。
図4D図4Cに示す状態から押下操作を解除したときの状態を示す。
図4E図4Dに示す状態からロック状態になったときの状態を示す。
図5A図1に示す液体噴出器の回転部材の動作を説明する説明図であり、ロック状態を示す。
図5B図5Aに示すロック状態を解除したときの状態を示す。
図5C図5Bに示す状態から1回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5D図5Cに示す状態から2回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5E図5Dに示す状態から3回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5F図5Eに示す状態から4回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5G図5Fに示す状態から5回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5H図5Gに示す状態から6回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5I図5Hに示す状態から7回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5J図5Iに示す状態から8回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5K図5Jに示す状態から9回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5L図5Kに示す状態から10回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
図5M図5Lに示す状態から11回目の押下ヘッドの押下操作をしたときの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る液体噴出器を例示説明する。
【0014】
図1図2に示すように、本実施形態に係る液体噴出器1は、エアゾール容器Aと、噴出具Bとで構成され、更に噴出具Bは、カバー筒2と、ノズル3と、押筒4と、押下ヘッド5と、回転部材6と、リング部材7と、仕切盤8と、ピストン部材9と、キャップ10とで構成されている。
【0015】
エアゾール容器Aは、内部に定量バルブを内蔵した中空円柱状の胴部11aと、胴部11aの上端部に上方付勢状態で押下可能に設けられた中心軸線Oを中心とする円筒状のステム11bとを有し、ステム11bの押下により定量の内容物としての液体(以下、内容液ともいう)がステム11bから噴出するように構成されている。胴部11aの上端部には円形の環状突出部11cが設けられている。胴部11a及び環状突出部11cは、ステム11bと同心状をなしている。
【0016】
内容物は、本実施形態では、1回の使用量が規定されている頭皮用薬剤などの医薬品である。なお、内容物は、1回の使用量が規定されている医薬品以外の任意の液体であってもよい。また、内容物は、1回の使用量を制限することが好ましい任意の液体であってもよい。
【0017】
本実施形態では、頭皮用薬剤として使用するエアゾール内容物の原液の処方を、例えば以下のA-1又はA-2のとおりとすることができる。
<処方例A-1>
[成分] [配合量]
ミノキシジル 1.0g
1,3-ブチレングリコール 3.0g
プロピレングリコール 3.0g
ジプロピレングリコール 3.0g
グリセリン 3.0g
セチルアルコール 0.5g
エタノール 60.0g
l-メントール 0.3g
塩酸ピリドキシン 0.05g
ビタミンEアセテート 0.08g
パントテニルエチルエーテル 1.0g
パンテノール 1.0g
塩化カルプロニウム 2.0g
グリチルレチン酸 0.1g
塩酸ジフェンヒドラミン 0.1g
ヒノキチオール 0.05g
サリチル酸 0.2g
ジブチルヒドロキシトルエン 0.2g
グリシン 微量
L-アルギニン 微量
香料 微量
精製ヒアルロン酸ナトリウム 微量
ポリビニルピロリドン 微量
リン酸 適量
クエン酸 適量
精製水 残部
合計 100mL
<処方例A-2>
[成分] [配合量]
ミノキシジル 5.0g
1,3-ブチレングリコール 3.0g
プロピレングリコール 3.0g
ジプロピレングリコール 3.0g
グリセリン 3.0g
セチルアルコール 0.5g
エタノール 50.0g
l-メントール 0.3g
塩酸ピリドキシン 0.05g
ビタミンEアセテート 0.08g
パントテニルエチルエーテル 1.0g
パンテノール 1.0g
塩化カルプロニウム 2.0g
グリチルレチン酸 0.1g
塩酸ジフェンヒドラミン 0.1g
ヒノキチオール 0.05g
サリチル酸 0.2g
ジブチルヒドロキシトルエン 0.2g
グリシン 微量
L-アルギニン 微量
リン酸 適量
クエン酸 適量
精製水 残部
合計 100mL
【0018】
また、本実施形態では、エアゾール内容物の噴射剤として、例えば以下のB-1、B-2又はB-3を使用することができる。
<B-1>ジメチルエーテル
<B-2>LPG(:Liquefied Petroleum Gas)
<B-3>ジメチルエーテル及びLPG(容積比を1:1とする。)
【0019】
なお、本願において上下方向とは、ステム11bの中心軸線Oに沿う方向を意味し、下方とはステム11bが押下られる方向(図2における下方)を意味し、上方とはその反対方向を意味する。また、本願において周方向とは、中心軸線Oを周回する方向を意味する。本願において径方向とは、中心軸線Oと直交する方向を意味する。本願において縦断面とは、中心軸線Oを含む断面を意味する。
【0020】
図2に示すように、カバー筒2は、下端部がエアゾール容器Aの環状突出部11cに嵌合によって固定され、上端部が上部開口12を有している。上部開口12にはノズル3及び押筒4が配置されている。カバー筒2は、円筒状の周壁13と、周壁13の上端縁に連なるとともに上部開口12を有する頂壁14とを有するカバー筒本体2aと、別体に形成された取付部材2bとで構成されている。取付部材2bが環状突出部11cに嵌合によって固定され、取付部材2bにカバー筒本体2aが嵌合によって固定されている。
【0021】
取付部材2bは、エアゾール容器Aの環状突出部11cにスナップ嵌合により固定された嵌合筒部15と、嵌合筒部15から径方向内側に延在する円環状の台板部16と、台板部16の内周縁部から垂下するとともに下方に向けて円環状段部を介して縮径する段付き円筒状の内筒部17とを有している。内筒部17の円環状段部には、周方向の所定箇所にロック用の縦リブ状の係止凸部18が設けられている。嵌合筒部15の外周面の上端部には、縦溝状の位置合せ凹部19が設けられている。
【0022】
取付部材2bの嵌合筒部15の外周面には、カバー筒本体2aの周壁13がスナップ嵌合によって固定されている。嵌合筒部15の位置合せ凹部19内には、カバー筒本体2aの周壁13の内周面に設けられた縦リブ状の位置合せ凸部20が配置され、これにより取付部材2bに対するカバー筒本体2aの回転が防止されている。カバー筒本体2aの周壁13の上下方向中間部には、内部を視認可能な窓21が設けられている。窓21は、貫通孔で構成されているが、これに限らず、例えば透明な部材で構成されてもよい。
【0023】
また、カバー筒2内の外周部には、カバー筒2に対する回転が規制され、周方向に所定のピッチで並べて複数の仕切板22が設けられている。仕切板22は11個設けられているが、仕切板22の数はこれに限らず、適宜変更が可能である。図4A等に示すように、複数の仕切板22は、周方向の所定箇所が間欠部23とされるとともに、周方向に実質的に等間隔(仕切板22のピッチの略1/2の間隔)に並べて設けられている。各仕切板22の下面は、周方向の一方側(上面視で時計回り方向)に向けて上方に傾く第1傾斜面S1(以下、傾斜面S1ともいう)とされている。また、図5A等に示すように、上面視で間欠部23から時計回り方向に5番目と7番目に位置する2枚の仕切板22は、その径方向内側部分が切欠かれた小仕切板22aとされている。図2に示すように、各仕切板22は、カバー筒2とは別体に形成された仕切盤8に設けられている。仕切盤8は、カバー筒本体2aの頂壁14の下面に設けられた円環状の凹部内にスナップ嵌合によって固定された円環状の連結板24を有している。そして、この連結板24の下面から複数の仕切板22が垂下している。
【0024】
ノズル3は、ステム11bを上方付勢状態で押下可能にステム11bに取付られている。ノズル3は、下端部において下方に向けて円環状段部を介して拡径する段付き円筒状のノズル本体3aを有している。ノズル本体3aの円環状段部にはステム11bの上端部が液密に押圧嵌合している。ノズル本体3aの円環状段部より上方の内周面により、内容液の流路C1が形成されている。ノズル本体3aの下端部には、フランジ壁3bを介して円筒状の外筒3cが連なっている。フランジ壁3bの上面には、コイルばねで構成される付勢部材25の下端部が当接している。
【0025】
押筒4は、筒状をなしており、カバー筒2の頂壁14の上部開口12を貫通するように配置され、カバー筒2に対して中心軸線Oを中心として回転自在である。また、押筒4は、カバー筒2の頂壁14の上部開口12から突出する回転操作部26を有している。押筒4は、円筒状の外周壁27と、外周壁27の上下方向中間部から径方向内側に延在する円環状の連結壁28と、連結壁28の内周縁部から垂下する円筒状の内周壁29とで構成されている。周方向の1箇所又は複数箇所において、内周壁29の外周面と連結壁28の下面と外周壁27の内周面は、壁部を介して連結されている。外周壁27の上部における外周面で回転操作部26が構成されている。回転操作部26は、周方向に等間隔に並べて設けられた複数の縦リブ26aを有している。複数の縦リブ26aは、使用者が回転操作部26を摘まんで回転操作する際の滑り止めとして機能することができる。外周壁27の下端部には、上部開口12より外径が大きいフランジ27aが設けられており、このフランジ27aにより上部開口12からの上方への押筒4の抜出しが防止されている。フランジ27aの上面には、頂壁14の下面との摺動抵抗を低減するための複数の箱形状の突起27bが周方向に等間隔に並べて設けられている。また、外周壁27の下端面には、リング部材7の上面との摺動抵抗を低減するための複数の半球形状の突起27cが周方向に等間隔に並べて設けられている。押筒4の下端面における内周縁部には、ロック解除部P3を構成する押圧凸部30が設けられている。
【0026】
押筒4の外周壁27の内周面には、連結壁28からそれぞれ上方に延在する複数の縦リブ31が周方向に等間隔に並べて設けられている。複数の縦リブ31は、互いに同一となる高さに位置する上端面を有しており、これら上端面で、押下ヘッド5に当接して押下られる当接面32を構成している。当接面32は、このように周方向に等間隔に並べて設けられる構成に限らず、例えば、全周に亘って延在するように設けられてもよい。
【0027】
回転部材6は、ノズル3に対して相対的に上方付勢状態で昇降可能にノズル3に取付られている。回転部材6は、ノズル本体3aを貫通させる円筒状の上部筒壁部6aと、上部筒壁部6aの下端部から径方向外側に延在する円環状のフランジ部6bと、フランジ部6bの外周縁部から垂下する下部筒壁部6cとを有している。下部筒壁部6cは、取付部材2bの内筒部17の径方向内側に配置されており、内筒部17の内周面に沿って昇降可能である。フランジ部6bの下面には、付勢部材25の上端部が当接している。したがって、回転部材6は、付勢部材25を弾性変形させることによってノズル3に対して相対的に下降することができる。
【0028】
下部筒壁部6cの上端部には、図5A等に示すように、径方向外側に突出する複数(本実施形態では3つ)の回転腕33が設けられており、複数の回転腕33は、本体腕33aと複数(本実施形態では2つ)の補助回転腕33bとで構成されている。図2に示すロック状態では、本体腕33aは、周方向において仕切板22の間欠部23に位置している。ロック状態とは、ステム11bの押下が防止されるように回転部材6の下降が阻止される状態である。このロック状態では、本体腕33aを含む回転部材6は、昇降ストロークの上端に位置している。下部筒壁部6cの外周面には、周方向の所定箇所にロック用の縦リブ状の被係止凸部34が設けられている。ロック状態では、押下ヘッド5が押下操作されたときに、被係止凸部34の下端面が取付部材2bの係止凸部18の上端面に当接し、それにより、ステム11bの押下が防止されるように回転部材6の下降が阻止される。このように、液体噴出器1は、回転部材6が所定回転位置にあるときにロック状態にする、係止凸部18及び被係止凸部34で構成されるロック部P2を有している。本体腕33aの先端部には板状部35が設けられており、ロック状態においては、外部から窓21を通じて板状部35を視認可能である。したがって、窓21に板状部35が有るか否かを視認することにより、ロック状態及び非ロック状態のいずれの状態であるかを確認することができる。板状部35には、文字、記号、模様、着色等で表現した終了を表す表示を、印刷、シール材の貼着等の適宜の手段によって設けることが好ましい。
【0029】
複数の回転腕33の各上面は、図4A等に示すように、周方向の一方側(上面視で時計回り方向)に向けて上方に傾く第2傾斜面S2(以下、傾斜面S2ともいう)を形成している。傾斜面S2は、各仕切板22の傾斜面S1と同様の傾斜角度を有している。本体腕33aの傾斜面S2の径方向外側部分は、各仕切板22の傾斜面S1と当接可能である。
【0030】
図5A等に示すように、本実施形態では、安定したガタツキの少ない回転部材6の回転を図るために、本体腕33aとこれより短い複数(2つ)の補助回転腕33bとが同じ高さで周方向に並べて設けられている。各補助回転腕33bの上面は、本体腕33aと同様の傾きの傾斜面S2となっている。各補助回転腕33bの傾斜面S2の径方向外側部分は、小仕切板22aを除く複数の仕切板22の傾斜面S1と当接可能である。つまり、各補助回転腕33bは、小仕切板22aに当接せずに他の仕切板22と当接する長さを有している。2つの補助回転腕33bは、それぞれ、ロック状態において当該補助回転腕33bが対応する小仕切板22aに径方向に対向するように周方向の配置が設定されている。
【0031】
図2に示すように、リング部材7は、押筒4と本体腕33aとの間に押下可能に介在している。また、リング部材7は、複数の仕切板22に対する回転が規制されている。リング部材7は円環状の基部7aと、基部7aの外周面から径方向外側に延在するとともに周方向に等間隔に並ぶように設けられた4つの回転規制片7bとを有している。4つの回転規制片7bがそれぞれ、隣接する2つの仕切板22の間に略隙間なく配置されることにより、複数の仕切板22に対するリング部材7の回転が実質的に防止されている。なお、回転規制片7bの数及び配置はこれに限らず、適宜変更可能である。図4A等に示すように、基部7aの下面は、傾斜面S1に対して等しいピッチで周方向の位置をずらして設けられ、各々が周方向の一方側(上面視で時計回り方向)に向けて上方に傾く複数(12個)の第3傾斜面S3(以下、傾斜面S3ともいう)を形成している。リング部材7の複数の傾斜面S3は、複数の仕切板22の傾斜面S1と同様の傾斜角度を有するとともに、複数の仕切板22の傾斜面S1とは周方向位置を略1/4ピッチ後方(上面視で反時計回り方向)へずらして設けられている。複数の傾斜面S3の間には、傾斜面S3とは反対向きの傾斜角度を有する傾斜面が設けられており、基部7aの下端面は全体として円環鋸歯形状を有している。各傾斜面S3は、本体腕33aの傾斜面S2の径方向内側部分、及び補助回転腕33bの傾斜面S2の径方向内側部分と当接可能である。
【0032】
図4A等に示すように、フランジ部6bの外周縁部における上端面には、より安定したガタツキの少ない回転部材6の回転を図るために、複数の補助傾斜面S4が設けられている。複数の補助傾斜面S4、本体腕33aの傾斜面S2の径方向内側部分、及び2つの補助回転腕33bの傾斜面S2の径方向内側部分は、周方向に等間隔に並べて設けられている。また、これら傾斜面の間には、反対向きの傾斜角度を有する傾斜面が設けられており、フランジ部6bの外周縁部における上端面は全体として円環鋸歯形状を有している。各補助傾斜面S4は、リング部材7の複数の傾斜面S3と当接可能である。なお、複数の補助傾斜面S4を設けない構成としてもよい。
【0033】
図2等に示すように、フランジ部6bの内周縁部における上端面には、ロック解除部P3を構成する被押圧凸部36が設けられている。前述した押筒4の押圧凸部30は、ロック状態からの押筒4の回転操作部26への回転操作により、回転部材6の被押圧凸部36を周方向の一方側(上面視で時計回り方向)、すなわち前進方向に押圧して、回転部材6を前進方向に回転させるように構成されている。つまり、押圧凸部30及び被押圧凸部36で構成されるロック解除部P3は、ロック状態からの押筒4の回転操作部26への回転操作により、回転部材6を前進方向に押圧して回転部材6を前進方向に回転させることができる。
【0034】
図2等に示すように、押下ヘッド5は、押筒4の当接面32に当接して押筒4を押下する下端部を備えた円筒状の外周筒37と、外周筒37の上部に連なる上壁38と、上壁38の上面視中央部から垂下する円筒状の内周筒39と、側方に向く噴出口を先端部に形成する噴出ノズル40とを有している。上壁38の上面は、内容液を噴出するための押下操作を受ける押下操作部を構成している。外周筒37は、押筒4の外周壁27の内周面における当接面32より上方の部分に、中心軸線Oを中心に回転自在に且つ上方への抜出しが規制されるようにスナップ嵌合している。内周筒39の内周面は、内周筒39の内周面により、上下方向に延在する内容液の流路C2が形成されている。また、押下ヘッド5には、流路C2の上端部と噴出ノズル40の先端部とを連通させる内容液の流路C3が形成されている。押下ヘッド5は、噴出ノズル40を構成するとともに外周筒37に嵌合する噴出ノズル部材5bと、外周筒37、上壁38及び内周筒39を構成する押下ヘッド本体5aとで構成されている。押下ヘッド5を構成する部材数は、これに限らず、適宜増減が可能である。
【0035】
図2に示すように、ピストン部材9は、ノズル3の上端部に一体に取付られ、押下ヘッド5内の流路C2を形成する内周面上を上下方向に摺動可能である。より具体的には、ピストン部材9は、ノズル3の上端部に嵌合する筒状の嵌合部9aと、嵌合部9aの上端部から上方に延び、中心軸線Oを中心とする筒状をなす環状ピストン部9bと、嵌合部9aの外周面から径方向外側に突出するフランジ壁部9cと、フランジ壁部9cの外周縁部から上方に延び、中心軸線Oを中心とする案内筒部9dとを有している。嵌合部9aは、ノズル3のノズル本体3aの先端部の外周面に嵌合する嵌合筒壁9eと、嵌合筒壁9eの上端部から径方向内側に延び、ノズル本体3aの上端面に対向する環状内向き凸部9fとを有している。環状ピストン部9bは、内周筒39の内周面上を上下方向に摺動可能である。案内筒部9dは、内周筒39よりも径方向外側に設けられ、内周筒39を上下方向に案内可能である。このように、本実施形態の液体噴出器1は、ノズル3内の流路C1と押下ヘッド5内の流路C2との間をシールするシール部P4を有し、該シール部P4が、ピストン部材9で構成されている。
【0036】
図2に示すように、キャップ10は、中心軸線Oを中心とする円筒状の外周壁部10aと、外周壁部10aの上端部に連なる頂壁部10bとを有している。外周壁部10aの下端部を、カバー筒本体2aの周壁13の外周面の上端部に設けられた段状縮径部に取外し可能に嵌合させることで、キャップ10によって押下ヘッド5を覆い、収納することができる。キャップ10は、液体噴出器1を使用する際にカバー筒本体2aから取り外すことができる。
【0037】
非ロック状態では、押下ヘッド5が押下操作されると、押下ヘッド5の外周筒37の下端部が押筒4の当接面32を押下し、押筒4の半球形状の突起27cがリング部材7の基部7aの上端面を押下し、リング部材7の傾斜面S3が回転部材6の傾斜面S2を押下する。また、付勢部材25による付勢力はステム11bの付勢力よりも小さく設定されている。したがって、押下ヘッド5が押下操作されると、まず、ノズル3及びステム11bに対して相対的に押下ヘッド5、押筒4、リング部材7及び回転部材6が付勢部材25による上方付勢状態で所定ストローク分下降し、その際、内周筒39の内周面が環状ピストン部9bに対して下方に摺動することでノズル3内の流路C1と押下ヘッド5内の流路C2との間のシール状態が維持され、次いで、図3に示すように、押下ヘッド5、押筒4、リング部材7、回転部材6及びノズル3が上方付勢状態のステム11bを押下し、内容液が流路C1~C3を通って噴出ノズル40から噴出される。
【0038】
前述した傾斜面S1~S3は、押下ヘッド5への押下操作による押下ヘッド5、押筒4、リング部材7、回転部材6及びノズル3の下降及びその後の上昇により、回転部材6を前進方向に所定角度回転させる回転案内部P1を構成している。回転案内部P1は、図4A~Eに示すように回転部材6を案内することができる。図4Aには、間欠部23の直ぐ後方に位置する2つの仕切板22の間に本体腕33aが位置するとともに押下ヘッド5が押下操作されていないときの状態を示している。この状態から押下ヘッド5が押下操作されると、図4Bに示すように、リング部材7の傾斜面S3により本体腕33aの傾斜面S2が直ぐ前方の仕切板22の側面に沿って真下に押下られる。そして、本体腕33aが仕切板22の下端部を越えるまで押下られると、図4Cに示すように、傾斜面S2が傾斜面S3上を前進方向に略1/4ピッチ分だけ摺動する。そして、さらなる押下によりステム11bが押下られて内容液が噴出する。内容液の噴出が終わり押下操作が解除されると、図4Dに示すように、傾斜面S2が上記の直ぐ前方の仕切板22の傾斜面S1に当接し、さらなるリング部材7及び回転部材6の上昇により、傾斜面S2が傾斜面S1上を前進方向に摺動して、この仕切板22を乗越る。このとき、傾斜面S2が乗越た仕切板22の直ぐ前方は間欠部23となっているので、傾斜面S2は、この傾斜面S2が当接している傾斜面S3上をその終端まで摺動し、回転部材6は図4Eに示すロック状態となる。この図4Eに示す状態では、回転部材6は、ステム11bの押下が防止されるように回転部材6の下降がロック部P2によって阻止される所定回転位置にある。また、このとき、回転部材6は、リング部材7に押下られたとしても、傾斜面S2が傾斜面S3上を既に終端まで摺動していることから、リング部材7の傾斜面S3によって回転されることはなく、所定回転位置にある状態が維持される。なお、ロック部P2は、本実施形態では係止凸部18及び被係止凸部34で構成されているが、これに限らず、例えば、取付部材2bの台板部16の上面に凸部を設け、この凸部と本体腕33aとでロック部P2を構成(つまり、回動腕33の下面が凸部の上面に当接することで回転部材6の下降を阻止するように構成)してもよい。
【0039】
1回の規定量の内容液を使用するために、使用者は、まず、ロック状態を解除する。このとき、使用者は、図5Aに示すロック状態から、押筒4の回転操作部26を前進方向に回転操作して、押筒4の押圧凸部30を前進方向に回転させ、図5Bに示すように、押圧凸部30を回転部材6の被押圧凸部36に押当てて、本体腕33aが次の傾斜面S3及び仕切板22に当接して停止するまで回転部材6を前進方向に回転させる。この操作により、係止凸部18と被係止凸部34と(図2等参照)の周方向位置がずれ、ロック状態が解除される。そして、使用者は、押下ヘッド5を繰返し押下操作してノズル3及びステム11bを押下し、内容液を噴出する。また、押下操作の度に、回転部材6が回転案内部P1に案内されて回転を生じてからステム11bが押下られて内容液が噴出する。また、図5C図5Mに示すように、押下操作の度に、回転部材6が回転案内部P1に案内されて所定角度ずつ回転していく。
【0040】
このとき、図5C図5Mに示すように、本実施形態では、回転案内部P1が回転部材6を前進方向に所定角度回転させる度毎に、少なくとも1つの補助回転腕33bの傾斜面S2が、いずれかの仕切板22の傾斜面S1と当接するように、仕切板22の数、並びに、小仕切板22a及び補助回転腕33bの数及び配置が設定されている。したがって、本実施形態によれば、安定したガタツキの少ない回転部材6の回転を実現することができる。このような構成は、間欠部23から前進方向にp番目とq番目の2つの仕切板22が小仕切板22aとして構成され、rを仕切板22の数とし、p<qとしたときに、r+1+p≠2q(式1)、且つ、q≠2p(式2)の関係を満たすように、r、p、qを設定することで得ることができる。式1は、前側の補助回転腕33bが間欠部23に達したときに後側の補助回転腕33bが小仕切板22aに達することを回避するための条件である。式2は、後側の補助回転腕33bが間欠部23に達したときに前側の補助回転腕33bが小仕切板22aに達することを回避するための条件である。pとqは、ガタツキをより低減する観点からは、間欠部23と2つの小仕切板22aとが周方向にできるだけ分散するように設定するのが好ましい。特に、本実施形態のように、r=11、p=5、且つ、q=7に設定した場合には、極めて安定した回転を実現できる。
【0041】
そして、所定回数(本実施形態では仕切板22の数と同じ11回)のノズル3及びステム11bの押下がされると、再びロック状態となる。したがって、1回の規定量が使用されたことを使用者に認知させるとともに、規定量を越えた誤使用を防止することができる。
【0042】
本実施形態では、押筒4の押圧凸部30を回転部材6の被押圧凸部36に押当ててロック状態を解除するように構成しているので、ロック状態を解除して押下操作を繰返し、再びロック状態となる直前の押下操作をしたときに、図5Mに示すように、今度は回転部材6の被押圧凸部36が押筒4の押圧凸部30に押当たり、ノズル3及びステム11bの押下時に押筒4を前進方向に回転させることになる。ここで、押下ヘッド5は前述したように押筒4に対して相対的に回転自在に設けられているので、押下ヘッド5が押筒4の回転に連動してしまうことが防止され、これにより、内容液を狙った方向からずれることなく適切に噴出することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の液体噴出器1は、複数回の押下ヘッド5への押下操作による1回の使用量を制限でき、繰返し使用できるように構成されている。
【0044】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0045】
したがって、前述した実施形態の液体噴出器1は、ステム11bを備えるエアゾール容器Aと、該エアゾール容器Aに固定されるカバー筒2と、ステム11bに取付られるノズル3と、カバー筒2から突出する回転操作部26を備える押筒4と、該押筒4に対して相対的に回転自在であり、ノズル3の押下により液体を噴出する押下ヘッド5と、ノズル3内の流路C1と押下ヘッド5内の流路C2との間をシールするシール部P4と、カバー筒2に対する回転が規制され、周方向に所定のピッチで並べて設けられ、周方向の所定箇所が間欠部23とされる複数の仕切板22と、ノズル3に対して相対的に上方付勢状態で昇降可能な回転部材6と、押筒4と回転部材6との間に押下可能に介在し、複数の仕切板22に対する回転が規制されるリング部材7と、押下ヘッド5への押下操作による押下ヘッド5、押筒4、リング部材7、回転部材6及びノズル3の下降及びその後の上昇により、回転部材6を前進方向に所定角度回転させる回転案内部P1と、回転部材6が所定回転位置にあるときに、ステム11bの押下が防止されるように回転部材6の下降が阻止されるロック状態にするロック部P2と、押筒4に設けられるとともに押筒4の回転操作部26への回転操作によって回転部材6を押圧して回転部材6を前進方向に回転させる押圧凸部30で構成されるロック解除部P3とを有し、複数の仕切板22の各々の下面が、周方向の一方側に向けて上方に傾く第1傾斜面S1を形成し、回転部材6が複数の回転腕33を有し、複数の回転腕33の各々の上面が、周方向の一方側に向けて上方に傾く第2傾斜面S2を形成し、リング部材7の下面が、第1傾斜面S1に対して等しいピッチで周方向の位置をずらして設けられ、各々が周方向の一方側に向けて上方に傾く複数の第3傾斜面S3を形成し、第1傾斜面S1、第2傾斜面S2及び第3傾斜面S3が回転案内部P1を構成し、複数の回転腕33が、ロック状態において間欠部23に配置される本体腕33aと、複数の補助回転腕33bとで構成され、複数の仕切板22のうち、ロック状態において補助回転腕33bと径方向に対向する仕切板22が小仕切板22aとして構成され、本体腕33aの第2傾斜面S2が、複数の仕切板22の各々の第1傾斜面S1と当接可能であり、各々の補助回転腕33bの第2傾斜面S2が、小仕切板22aを除く複数の仕切板22の各々の第1傾斜面S1と当接可能であり、回転案内部P1が回転部材6を前進方向に所定角度回転させる度毎に、少なくとも1つの補助回転腕33bの第2傾斜面S2が、いずれかの仕切板22の第1傾斜面S1と当接することを特徴とする液体噴出器1である限り変更可能である。
【0046】
例えば、本実施形態では、仕切板22の数が11個とされ、小仕切板22aが間欠部23から前方に5番目と7番目に設けられているが、回転案内部P1が回転部材6を前進方向に所定角度回転させる度毎に、少なくとも1つの補助回転腕33bの傾斜面S2が、いずれかの仕切板22の傾斜面S1と当接する限り、仕切板22の数、並びに、小仕切板22a及び補助回転腕33bの数及び配置を変更してもよい。本実施形態では、押下ヘッド5が押筒4、リング部材7及び回転部材6を介してノズル3を押下する構造を採用しているが、回転部材6の回転が生じてからステム11bを押下することができれば、押下ヘッド5がノズル3を押下するための他の構造を採用してもよい。また、リング部材7に設ける傾斜面S3を仕切板22の傾斜面S1に対して後方にずらす量(周方向位置)は略1/4ピッチに限らず、適宜変更可能である。傾斜面S3の傾斜角度や面形状も、適宜変更可能である。
【0047】
なお、前述した実施形態の液体噴出器1は、上記構成において、間欠部23から前進方向にp番目とq番目の2つの仕切板22が小仕切板22aとして構成され、rを仕切板22の数とし、p<qとしたときに、r+1+p≠2q、且つ、q≠2pの関係を満たす、液体噴出器1であるのが好ましい。
【0048】
なお、前述した実施形態の液体噴出器1は、上記構成において、r=11、p=5、且つ、q=7である、液体噴出器1であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
1 液体噴出器
2 カバー筒
2a カバー筒本体
2b 取付部材
3 ノズル
3a ノズル本体
3b フランジ壁
3c 外筒
4 押筒
5 押下ヘッド
5a 押下ヘッド本体
5b 噴出ノズル部材
6 回転部材
6a 上部筒壁部
6b フランジ部
6c 下部筒壁部
7 リング部材
7a 基部
7b 回転規制片
8 仕切盤
9 ピストン部材
9a 嵌合部
9b 環状ピストン部
9c フランジ壁部
9d 案内筒部
9e 嵌合筒壁
9f 環状内向き凸部
10 キャップ
10a 外周壁部
10b 頂壁部
11a 胴部
11b ステム
11c 環状突出部
12 上部開口
13 周壁
14 頂壁
15 嵌合筒部
16 台板部
17 内筒部
18 係止凸部
19 位置合せ凹部
20 位置合せ凸部
21 窓
22 仕切板
22a 小仕切板
23 間欠部
24 連結板
25 付勢部材
26 回転操作部
26a 縦リブ
27 外周壁
27a フランジ
27b 突起
27c 突起
28 連結壁
29 内周壁
30 押圧凸部
31 縦リブ
32 当接面
33 回転腕
33a 本体腕
33b 補助回転腕
34 被係止凸部
35 板状部
36 被押圧凸部
37 外周筒
38 上壁
39 内周筒
40 噴出ノズル
A エアゾール容器
B 噴出具
C1~C3 流路
O 中心軸線
P1 回転案内部
P2 ロック部
P3 ロック解除部
P4 シール部
S1~S3 傾斜面
S4 補助傾斜面
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M