(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176451
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】チューブ容器、内容物入りチューブ容器、チューブ容器の製造方法及びチューブ容器の判定方法
(51)【国際特許分類】
B65D 35/02 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B65D35/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094991
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾下 由花
(72)【発明者】
【氏名】柴田 隼
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA12
3E065DA04
3E065DD05
3E065EA04
3E065FA20
3E065GA10
3E065HA02
(57)【要約】
【課題】意匠面に設けることなく、偽造防止が可能なチューブ容器、内容物入りチューブ容器、チューブ容器の製造方法及びチューブ容器の判定方法を提供すること。
【解決手段】チューブ容器は、意匠面が形成される胴部、前記胴部の一端に設けられる肩部、前記肩部に設けられる頭部を含み、前記胴部及び前記肩部の前記胴部側の縁部を形成するチューブ成形品及び前記チューブ成形品に一体成形され、前記肩部及び前記頭部を形成する頭部成形品を有する容器本体と、前記頭部に固定されるキャップと、前記チューブ成形品の前記肩部を形成する領域に形成される偽造防止表示部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
意匠面が形成される胴部、前記胴部の一端に設けられる肩部、前記肩部に設けられる頭部を含み、前記胴部及び前記肩部の前記胴部側の縁部を形成するチューブ成形品及び前記チューブ成形品に一体成形され、前記肩部及び前記頭部を形成する頭部成形品を有する容器本体と、
前記頭部に固定されるキャップと、
前記チューブ成形品の前記肩部を形成する領域に形成される偽造防止表示部と、
を備えるチューブ容器。
【請求項2】
前記頭部成形品は、前記チューブ成形品の前記肩部側の内面及び端面と一体に形成される、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記偽造防止表示部は、紫外線に反応して発光するインクにより形成される、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記キャップの外形状は、前記容器本体の外形状よりも小さく形成され、
前記容器本体に前記キャップが固定されたときに、前記偽造防止表示部の少なくとも一部は、外部から視認できる請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のチューブ容器と、
前記容器本体に充填される内容物と、
を備える内容物入りチューブ容器。
【請求項6】
胴部、肩部及び頭部を有する容器本体を有するチューブ容器の製造方法であって、
共押出し成形によりチューブ状の成形品を成形し、
前記成形した成形品の意匠面及び偽造防止表示部を印刷する領域を含む所定の範囲に表面処理を行い、
前記表面処理を行った前記成形品に、前記意匠面となる領域及び前記偽造防止表示部を印刷する領域に、前記意匠面及び前記偽造防止表示部の印刷を行い、
前記成形品及び頭部成形品を一体成形し、前記成形品に印刷された前記偽造防止表示部を前記肩部に設ける、チューブ容器の製造方法。
【請求項7】
意匠面が形成される胴部、前記胴部の一端に設けられる肩部、前記肩部に設けられる頭部を含み、前記胴部及び前記肩部の前記胴部側の縁部を形成するチューブ成形品及び前記チューブ成形品に一体成形され、前記肩部及び前記頭部を形成する頭部成形品を有する容器本体と、前記頭部に固定されるキャップと、前記チューブ成形品の前記肩部を形成する領域に形成される偽造防止表示部と、を備えるチューブ容器の判定方法であって、
所定の姿勢の前記チューブ容器に、前記偽造防止表示部の表示処理を行い、
前記偽造防止表示部の情報を取得し、
取得した前記偽造防止表示部の情報から前記チューブ容器の判定を行う、チューブ容器の判定方法。
【請求項8】
前記チューブ容器には、内容物が充填されている、請求項7に記載のチューブ容器の判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状、ジェル状、クリーム状等の化粧品や薬品に用いる容器としてチューブ容器が知られている。このようなチューブ容器は、共押出しチューブ成形品は多層化によりバリア性を付与しつつも、外観に合わせ目のような段差を生じることがなく、化粧品等のように意匠性を求められる製品に最適である。
【0003】
このようなチューブ容器に内容物を充填した製品は、消費者は未使用の商品に対し充填された中身が本物であるかを判断する手段はない。また、一般的に高級化粧品に代表されるブランド品は製品価格に対し内容物にその製品の付加価値要素が大きく、対し容器のコスト比率は低い。よって、容器を模倣することで、安価に模倣品を流通させられる虞がある。
【0004】
そこで、紫外線に反応して発光するブラックライトインキによる偽造防止用の印刷を容器に施すことにより、通常は視認出来ないが紫外線照射により正規品を判別させる方法が用いられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-176970号公報
【特許文献2】実開平04-045081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した偽造防止用の印刷を容器に施す技術は、以下の問題があった。即ち、容器の側面は意匠面となるため、印刷、ラベル、転写、ラメ等の各種二次加工による装飾や内容物等の表記に用いられる。このため、容器のデザイン上、偽造防止用の印刷枠を設けることが困難である。また、偽造防止用の印刷まで模倣されることを防ぐため、偽造防止用の印刷は秘匿が望ましく、不自然に無印刷領域を設けることは望ましくない。
【0007】
また、紫外線に反応して発光するブラックライトインキは、通常の印刷に使われるインキに対し密着力が弱い。また成形品素材はポリエチレン、ポリプロピレンのようなオレフィン樹脂を用いることが多いが、オレフィン樹脂は無極性のため印刷性が悪く、印刷前にコロナ処理やケミカル処理を行う必要がある。
【0008】
そこで本発明は、意匠面に設けることなく、偽造防止が可能なチューブ容器、内容物入りチューブ容器、チューブ容器の製造方法及びチューブ容器の判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、チューブ容器は、意匠面が形成される胴部、前記胴部の一端に設けられる肩部、前記肩部に設けられる頭部を含み、前記胴部及び前記肩部の前記胴部側の縁部を形成するチューブ成形品及び前記チューブ成形品に一体成形され、前記肩部及び前記頭部を形成する頭部成形品を有する容器本体と、前記頭部に固定されるキャップと、前記チューブ成形品の前記肩部を形成する領域に形成される偽造防止表示部と、を備える。
【0010】
本発明の一態様によれば、内容物入りチューブ容器は、上述したチューブ容器と、内容物と、を備える。
【0011】
本発明の一態様によれば、チューブ容器の製造方法は、胴部、肩部及び頭部を有する容器本体を有するチューブ容器の製造方法であって、共押出し成形によりチューブ状の成形品を成形し、前記成形した成形品の意匠面及び偽造防止表示部を印刷する領域を含む所定の範囲に表面処理を行い、前記表面処理を行った前記成形品に、前記意匠面となる領域及び前記偽造防止表示部を印刷する領域に、前記意匠面及び前記偽造防止表示部の印刷を行い、前記成形品及び頭部成形品を一体成形し、前記成形品に印刷された前記偽造防止表示部を前記肩部に設ける。
【0012】
本発明の一態様によれば、チューブ容器の判定方法は、意匠面が形成される胴部、前記胴部の一端に設けられる肩部、前記肩部に設けられる頭部を含み、前記胴部及び前記肩部の前記胴部側の縁部を形成するチューブ成形品及び前記チューブ成形品に一体成形され、前記肩部及び前記頭部を形成する頭部成形品を有する容器本体と、前記頭部に固定されるキャップと、前記チューブ成形品の前記肩部を形成する領域に形成される偽造防止表示部と、を備えるチューブ容器と、前記容器本体に充填される内容物と、を備えるチューブ容器の判定方法であって、所定の姿勢の前記チューブ容器に、前記偽造防止表示部の表示処理を行い、前記偽造防止表示部の情報を取得し、取得した前記偽造防止表示部の情報から前記チューブ容器の判定を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、意匠面に設けることなく、偽造防止が可能なチューブ容器、内容物入りチューブ容器、チューブ容器の製造方法及びチューブ容器の判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る内容物入りチューブ容器の構成を示す側面図。
【
図2】内容物入りチューブ容器に用いられるチューブ容器の容器本体の構成を示す側面図。
【
図5】同内容物入りチューブ容器の製造方法の一例を示す流れ図。
【
図7】同内容物入りチューブ容器の偽造判定の一例を示す流れ図。
【
図8】他の実施形態に係る容器本体の要部構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るチューブ容器1及び内容物入りチューブ容器100の説明を
図1乃至
図7を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る内容物入りチューブ容器100の構成を示す側面図であり、
図2は、内容物入りチューブ容器100に用いられるチューブ容器1の内容物2を充填する前の容器本体11の構成を示す側面図である。
図3は、容器本体11の要部構成として、胴部21及び肩部22におけるチューブ成形品31の構成及び偽造防止表示部13を配置する領域F1を示す断面図である。
図4は、チューブ容器1の容器本体11及びキャップ12の関係を示す側面図である。
図5は、内容物入りチューブ容器100の製造方法の一例を示す流れ図であり、
図6は、容器本体11の製造方法の一例を示す流れ図である。
図7は、内容物入りチューブ容器100の偽造判定の一例を示す流れ図である。
【0016】
図1に示すように、内容物入りチューブ容器100は、チューブ容器1と、内容物2と、を備える。内容物入りチューブ容器100は、チューブ容器1に内容物2が充填され、そして、密封された状態で、製品として流通する。ここで、内容物2は、例えば、液状、ジェル状、クリーム状等の比較的粘度の高い液体又は半固体である。例えば、内容物2は、化粧品又は薬品である。具体例として、内容物2として、乳液、保湿クリーム、洗顔料、クレンジング料、日焼け止め、シェービング剤、ヘアスタイリング剤、ヘアケア剤、ファンデーション等が挙げられる。
【0017】
図1に示すように、チューブ容器1は、容器本体11と、キャップ12と、偽造防止表示部13と、を備える。
【0018】
図1及び
図2に示すように、容器本体11は、胴部21と、肩部22と、頭部23と、を備える。容器本体11は、チューブ成形品31及び頭部成形品32が一体成形されることで、形成される。
【0019】
胴部21は、チューブ状に形成される。胴部21の一端には、肩部22を介して頭部23が一体に設けられる。胴部21の他端は、
図2に示すように、内容物2の充填前においては、開口する。また、胴部21の他端は、
図1に示すように、内容物2が充填された後、ヒートシール等によって溶着又は接着により密封される。即ち、内容物2が充填された後に、胴部21の開口する他端は、シール部を形成して密封される。胴部21は、外力が印加されることで、変形可能に形成される。
【0020】
肩部22は、胴部21及び頭部23を連続する。肩部22は、例えば、胴部21側から頭部23側に向かって幅が小さくなるように、チューブ容器1の軸線方向に対して傾斜するか、又は、湾曲する。
【0021】
頭部23は、円筒状に形成される。頭部23の先端には、内容物2を吐出するための吐出孔が形成される。また、頭部23は、例えば、キャップ12が螺合する雄ネジ部23aや、キャップ12が嵌合する突起等が適宜形成される。
【0022】
チューブ成形品31は、筒状に形成される。チューブ成形品31は、
図1乃至
図3に示すように、胴部21と、肩部22の胴部21側、且つ、上面側の縁部を形成する。即ち、チューブ成形品31は、容器本体11の外装の一部を構成し、外面が外部に露出する。
【0023】
例えば、チューブ成形品31は、共押出し成形法により形成される。チューブ成形品31は、例えば、単層又は多層構造を有する。チューブ成形品31は、例えば、PE(Polyethylene)により形成される。PEベースの材料としては、例えば、LDPE(Low Density Polyethylene)である。また、チューブ成形品31を形成する材料として、LDPEに加えて、LLDPE(Linear Low Density Polyethylene)又はHDPE(High Density Polyethylene)を含む多層構造であってもよい。具体例として、チューブ成形品31の層構成のいくつかの例を説明する。
【0024】
第1例として、チューブ成形品31は、多層構造であり、外層側から内層側に向かう層構成がLDPE(60~200μm)/接着層(1~30μm)/中間層(10~100μm)/接着層(1~30μm)/LDPE(120~250μm)に形成される。第1例のチューブ成形品31は、内面側(内層)は頭部成形品32と融合させるために、PEベースの材料により形成され、LDPEには石油由来、バイオマス由来、再生PEもしくはそれらの混合の樹脂材料が利用可能である。
【0025】
ここで、再生PEとは、例えば、再生低密度ポリエチレン樹脂である。当該技術分野において「再生樹脂」の用語は、使用済みの樹脂製品や樹脂製品の製造工程から出る廃棄物を回収し、新しい製品の材料または原料として利用できるように処理した材料を指す。したがって、再生低密度ポリエチレン樹脂は、使用済みの樹脂製品に由来してもよいし、樹脂製品の製造工程から出る廃棄物に由来してもよい。再生低密度ポリエチレン樹脂は、使用済みの樹脂製品に由来することが好ましい。
【0026】
本実施形態における再生低密度ポリエチレン樹脂は、例えば、以下の2つの要件:
(i)平均分子量が30,000以上であること;および
(ii)示差走査熱量測定により得られる吸熱ピークが100乃至140℃の範囲内のみに存在することを満たす。
【0027】
要件(i)は、本発明で使用される再生低密度ポリエチレン樹脂は、再生樹脂であるため、再生のために溶融固化の工程に繰り返し晒されており、その熱履歴によって分子量が低下し得るが、分子量の低下レベルが低いことを意味する。要件(ii)は、本発明で使用される再生低密度ポリエチレン樹脂は、再生樹脂であるため、不純物が含まれ得るが、不純物は、示差走査熱量測定によって検出されない程度の少量しか含まれていないか、または含まれていないことを意味する。
【0028】
例えば、再生低密度ポリエチレン樹脂の平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される数平均分子量(Mn)を指す。ゲル浸透クロマトグラフィーを用いた数平均分子量の測定は、高温ゲル浸透クロマトグラフ(高温GPC)装置および高温GPC用スチレン-ジビニルベンゼン系充填カラムを使用して行うことができる。例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いた数平均分子量の測定は、以下に示す条件で行うことができる。数平均分子量(Mn)は、単分散ポリスチレンを標準物質として用いて検量線を作成し、保持時間から分子量を求めることにより得ることができる。
【0029】
再生低密度ポリエチレン樹脂の吸熱ピークの温度は、示差走査熱量測定(DSC)を行って示差走査熱量測定曲線(DSC曲線)を取得することにより得られる。示差走査熱量測定は、示差走査熱量計を用いて行うことができる。
【0030】
第2例として、チューブ成形品31は、LDPE(400~500μm)により形成される。
【0031】
第3例として、チューブ成形品31は、多層構造であり、外層側から内層側に向かう層構成が、LDPE(100~300μm)/HDPE(100~300μm)に形成される。
第4例として、チューブ成形品31は、多層構造であり、外層側から内層側に向かう層構成が、LDPE(酸変性)+LLDPE(酸変性)(50~220μm)/中間層(10~100μm)/LDPE(酸変性)+LLDPE(酸変性)(100~280μm)に形成される。
【0032】
図3に示すように、チューブ成形品31の肩部22の胴部21側の縁部の外面を形成する領域F1には、少なくとも一部に偽造防止表示部13が設けられる。また、
図3に示すように、チューブ成形品31の胴部21の外面(側面)を形成する領域F2は、意匠面となり、印刷、ラベル、転写、ラメ等の各種2次加工による装飾や内容物等の表記に使われる。
【0033】
頭部成形品32は、チューブ成形品31とともに、肩部22の一部を形成する。また、頭部成形品32は、頭部を形成する。頭部成形品32は、チューブ成形品31の肩部22を構成する部位の内面、及び、チューブ成形品31の頭部成形品32側の端面に一体に接続される。頭部成形品32は、例えば、PE(Polyethylene)により形成される。
【0034】
キャップ12は、頭部23に着脱可能に形成される。キャップ12は、螺合又は嵌合により、頭部23に固定可能に形成される。例えば、頭部23が雄ネジ部23aを有する場合には、キャップ12は、内部に、雄ネジ部23aに螺合する雌ネジ部を有する。また、例えば、頭部23が突起部を有する場合には、キャップ12は、突起部と係合又は嵌合する固定部を内部に有する。キャップ12は、例えば、インジェクション成形により形成される。キャップ12は、例えば、PP(Polypropylene)やHDPEにより形成される。
【0035】
キャップ12は、例えば、容器本体11に固定されたときに、偽造防止表示部13の少なくとも一部を外部から視認可能な形状に形成される。
図4に示すように、例えば、キャップ12の外形状は、容器本体11の外形状よりも小さく形成される。
図4に示すように、キャップ12は、頭部23に固定されたときに、キャップ12の外周面と、容器本体11の胴部21及び肩部22の境界との間に、幅Hだけ肩部22が露出する形状に形成される。換言すると、容器本体11及びキャップ12は、キャップ12の外周面と胴部21の外周面(肩部22の外周縁)と寸法の差(2H)が生じる形状に形成される。
【0036】
ここで、キャップ12の外周面と容器本体11の胴部21及び肩部22の境界との間の幅Hは、例えば、偽造防止表示部13の少なくとも一部を外部から視認できる幅以上に設定される。即ち、キャップ12を容器本体11に固定した状態で、チューブ容器1は、チューブ成形品31の肩部22に存する領域F1に形成される偽造防止表示部13が外部から視認可能に形成される。例えば、チューブ成形品31の肩部22に存する領域F1の幅は、1.1mm~1.8mmに設定され、そして、キャップ12の外周面と容器本体11の胴部21及び肩部22の境界との間の幅Hは、0.5mm以上に設定される。
【0037】
偽造防止表示部13は、容器本体11の肩部22に設けられる。偽造防止表示部13は、例えば、
図3に示すチューブ成形品31の肩部22を構成する領域F1に配置される。偽造防止表示部13は、内容物入りチューブ容器100の偽造品(模倣品)を判別可能な表示である。偽造防止表示部13は、例えば、紫外線に反応して発光するインク(以下、「ブラックライト蛍光インク」とも呼称する)により印刷された、偽造品であるか否かを判断できる表示である。例えば、偽造防止表示部13は、自然光又は蛍光灯の下においては視認できず、ブラックライトを照射したときに紫外線に反応して発光することで、製品の真偽を判断できる表示である。
【0038】
なお、偽造防止表示部13は、紫外線に反応して発光するインク以外により形成されていてもよい。例えば、偽造防止表示部13は、紫外線や磁気等により色が変化するインクにより形成されていてもよく、角度によって異なる色彩となるインクによって形成されていてもよく、また、光を当てると文字や絵が現れるホログラムであってもよい。また、偽造防止表示部13を印刷するインクは、サーモクロミックインキ、フォトクロミックインキ、赤外線インキ等の機能性インクであってもよい。但し、偽造防止表示部13は、偽造防止表示部13の偽造(模倣)を防ぐために、ブラックライトを照射する等、偽造防止表示部13を表示させる特殊な処理(表示処理)によって偽造を判断でき、通常時において視認できない等の秘匿できる構成であることが好ましい。
【0039】
次に、このように構成された内容物入りチューブ容器100の製造方法の一例を、
図5及び
図6を用いて説明する。
先ず、チューブ成形品31の製造の一例を説明する。例えば、共押出し成形により多層のチューブ状の成形品を押し出す(ステップST11)。次に、押し出した成形品を水冷により固化させる(ステップST12)。固化させた成形品を所定の長さにカットする(ステップST13)。次に、カットした成形品の所定の範囲に表面処理を行う(ステップST14)。表面処理は、成形品のうち、偽造防止表示部13を印刷する領域F1及び意匠面となる領域F2を含む範囲F3に行うが、
図6に示すように、成形品の両端には、表面処理を行わない。
【0040】
次に、表面処理された範囲であって、且つ、容器本体11の意匠面となる領域及び偽造防止表示部13を設ける領域に、印刷を行い、意匠面及び偽造防止表示部13を形成する(ステップST15)。ここで、意匠面及び偽造防止表示部13の形成のための印刷には、インクの印刷、インクや塗料の塗布、及び、ラベルの貼付が含まれる。具体例として、意匠面及び偽造防止表示部13の形成のための印刷には、ブラックライト蛍光インキ印刷又は塗装、オフセット印刷、シルク印刷、ホットスタンプ、コールドスタンプ、ラベル貼付け等が含まれる。
【0041】
偽造防止表示部13の印刷又は塗装を行う領域は、肩部22に設けられる領域であり、また、表面処理を行った領域の縁よりも成形品の内側となる。換言すると、表面処理を行った領域の一部は、次工程でトリミングされることから、このトリミング位置に隣接する位置に、偽造防止表示部13が形成される。次に、成形品のトリミングを行う(ステップST16)。トリミングは、成形品の胴部21及び肩部22に用いない部位、具体例として、肩部22側を構成する端部側を切断することで行われる。これらの工程によりチューブ成形品31が成形される。
【0042】
次に、圧縮成形や射出成形等により、チューブ成形品31に頭部成形品32を一体成形する(ステップST17)。このとき、チューブ成形品31に印刷された偽造防止表示部13を肩部22に配置する。なお、チューブ成形品31及び頭部成形品32の領域に段差が生じないように、頭部成形品32をチューブ成形品31の内面と溶融固化して、チューブ成形品31及び頭部成形品32を一体成形することが好ましい。
【0043】
次に、キャップ12を容器本体11に固定した状態で胴部21の肩部22及び頭部23が設けられる端部とは反対側の端部の開口から、内容物2を充填する(ステップST18)。なお、キャップ12は、例えば、容器本体11とは別に、PP、HDPEを用いたインジェクション成形により成形される。そして、胴部21の開口をシール、例えば、ヒートシール、超音波シール、熱風シール、温風シール等により圧着し、シール部を形成することで、密封する(ステップST19)。ここで、温風シールとは、例えば、チューブ成形品31(胴部21)の開口側の内面に温風を吹き付けてチューブ成形品31の内面側を半溶解させ、半溶解状態時において圧着する方法である。これらの工程により、内容物入りチューブ容器100が製造される。
【0044】
次に、このように構成されるチューブ容器1及び内容物入りチューブ容器100の判定方法の一例を、
図7を用いて説明する。ここで、チューブ容器1の判定方法には、製造時における出荷検査等において偽造防止表示部13が正しく形成されているかの良否判定、及び、出荷後であって、チューブ容器1に内容物2を充填する前のチューブ容器1の真偽の判定等が含まれる。また、内容物入りチューブ容器100の判定には、チューブ容器1に内容物2を充填し、完成品となった後の真偽の判定が含まれる。
【0045】
図7に示すように、先ず、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100を所定の姿勢で、所定の位置に配置する(ステップST21)。ここで、所定の姿勢とは、偽造防止表示部13を表示させたときに、偽造防止表示部13の情報を取得できる姿勢であり、例えば、容器本体11が下方、キャップ12が上方となる姿勢である。具体例として、所定の姿勢として、例えば、単数又は複数のチューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100が化粧箱や収容箱に収容された状態において、キャップ12が上方となり、キャップ12及び肩部22の一部が視認できる姿勢で配置される。また、所定の位置とは、次工程を少なくとも行う位置である。所定の位置へのチューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100の搬送は、コンベア等の搬送装置で行っても良く、作業者による搬送であってもよい。
【0046】
次に、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100に、偽造防止表示部13の表示処理を行う(ステップST22)。ここで、本実施形態の例において、偽造防止表示部13が紫外線に反応して発光するインクにより形成されることから、偽造防止表示部13の表示処理とは、偽造防止表示部13を設ける領域F1へのブラックライト(紫外線)の照射である。具体例として、表示処理として、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100のキャップ12側から、即ち、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100の上方からブラックライトを照射する。
【0047】
ここで、ブラックライトの照射は、単数又は複数のチューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100の上方に配置したブラックライトを照射する照射装置によって行ってもよく、また、例えば、作業者によって紫外線LED等によってブラックライトを照射してもよい。ブラックライトが領域F1へ照射されると、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100が正規品であるか、又はチューブ容器1が良好に製造されていると、領域F1に設けられた偽造防止表示部13が紫外線に反応して発光し、内容物入りチューブ容器100が偽造品又は製造されたチューブ容器1が不良品であると、領域F1に偽造防止表示部13が設けられていないため、領域F1に発光する部位が現れない。
【0048】
次に、偽造防止表示部13の情報を取得する(ステップST23)。例えば、ブラックライトの照射によって発行した偽造防止表示部13の情報を、カメラ等の撮像装置やスキャナ等の読取装置により取得する。なお、作業者が偽造防止表示部13の情報を視認することで、偽造防止表示部13の情報を取得してもよい。なお、チューブ容器1及び内容物入りチューブ容器100は、容器本体11及びキャップ12の形状を幅Hだけ領域F1を外部から視認できる形状であることから、発光した偽造防止表示部13の情報は、キャップ12を容器本体11から取り外すことなく取得することができる。
【0049】
次に、偽造防止表示部13の取得した情報から、判定処理として、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100の判定を行う(ステップST24)。ここで、判定には、製造したチューブ容器1の良否判定や、完成品作成前のチューブ容器1又は完成品である内容物入りチューブ容器100の偽造(真偽)判定が含まれる。良否判定とは、製造したチューブ容器1が良品であるか、又は、不良品であるかを判定する判定処理である。偽造判定とは、例えば、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100が正規品か偽造品かを判定する真偽判定である。例えば、撮像装置又は読取装置により偽造防止表示部13の情報を取得した場合には、判定装置が、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100を良品又は正規品として判定し、撮像装置又は読取装置により偽造防止表示部13の情報を取得していない場合には、チューブ容器1又は内容物入りチューブ容器100を不良品又は偽造品であると判定する。
【0050】
ここで、判定装置は、例えば、プロセッサと、メモリと、を備え、メモリには、正規品の偽造防止表示部13の情報、及び、偽造防止表示部13の情報と取得した偽造防止表示部13の情報から、内容物入りチューブ容器100の真偽又は良否を判定する判定プログラム等が記憶される。
【0051】
また、例えば、偽造品のチューブ容器1又は内容物入りチューブ容器に、偽造防止表示部13に準ずる偽造された偽造防止表示部が形成されている虞がある場合や、不良品のチューブ容器1に偽造防止表示部13が形成されているが、位置、大きさ、形状等が良品の偽造防止表示部13と比べて異なる印刷がされている虞がある場合には、正規品(良品)の偽造防止表示部13の形状、大きさ、位置情報等の閾値を判定装置のメモリに記憶させ、取得した偽造防止表示部13の形状、大きさ及び/又は位置情報等と閾値とから、判定装置が、偽造防止表示部13の真偽又は良否を判定する構成としてもよい。また、判定は、作業者が、視認した偽造防止表示部13から真偽又は良否を判定してもよい。
【0052】
このように構成された内容物入りチューブ容器100及びチューブ容器1によれば、偽造防止表示部13は、チューブ成形品31の胴部21の意匠面となる領域F2に設けられず、肩部22に配置される領域F1に設けられる。よって、偽造防止表示部13は、チューブ容器1のデザイン性を損なうことなく、偽造防止が可能となる。また、偽造防止表示部13を意匠面に設ける必要がないことから、偽造防止表示部13の印刷枠が意匠面に生じることなく、偽造防止表示部13の秘匿が可能となり、偽造防止表示部13の模倣を防止できる。
【0053】
また、肩部22は、無印刷領域であっても不自然にならない箇所であることから、肩部22に偽造防止表示部13を設けることで、秘匿性を向上できる。
【0054】
また、チューブ成形品31の一部に偽造防止表示部13を設ける領域F1を形成することで、ブラックライト蛍光インキに対し、密着力を得るための印刷前の表面処理を行うことができる。よって、輸送中や取り扱い上において、偽造防止表示部13の印刷が剥がれることを防止できる。
【0055】
また、チューブ容器1及び内容物入りチューブ容器100は、容器本体11及びキャップ12の形状を幅Hだけ領域F1を外部から視認できる形状とすることで、偽造品の判別を容易に行うことができる。即ち、チューブ容器1及び内容物入りチューブ容器100を、搬送用等の箱に、キャップ12が上方となる姿勢で並べて配置するなど、箱に収容した状態で、外部から領域F1が視認可能となる。これにより、箱に収容した状態で、領域F1にブラックライトを照射する等を行い、偽造防止表示部13の視認をすることが可能となる。よって、チューブ容器1及び内容物入りチューブ容器100は、偽造品の判別作業を容易にすることができる。
【0056】
上述した実施形態に係るチューブ容器1及び内容物入りチューブ容器100によれば、意匠面に設けることなく、偽造防止が可能となる。
【0057】
なお、本発明は、上述する実施形態に限定されない。例えば、
図8に示す変形例のように、偽造防止表示部13を配置する領域F1を肩部22のうち、頭部成形品32に設ける構成としてもよい。但し、頭部成形品32は、印刷前の表面処理が困難であることから、頭部成形品32に偽造防止表示部13を設ける場合には、デジタル印刷、インサート成形、水圧転写、熱転写、タンポ印刷等により偽造防止表示部13を設けることが好ましい。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0059】
1…チューブ容器、2…内容物、11…容器本体、12…キャップ、13…偽造防止表示部、21…胴部、22…肩部、23…頭部、23a…雄ネジ部、31…チューブ成形品、32…頭部成形品、100…内容物入りチューブ容器。