(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176458
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】箱形高性能エアフィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20220101AFI20241212BHJP
G21F 9/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B01D46/00 C
B01D46/00 F
G21F9/02 551E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095003
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000163660
【氏名又は名称】ケンブリッジフィルターコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】山田 尚
(72)【発明者】
【氏名】岡田 克宏
(72)【発明者】
【氏名】市橋 泰永
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA14
4D058KA12
4D058KC04
4D058KC12
4D058KC81
4D058LA01
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA13
4D058SA11
4D058UA11
(57)【要約】
【課題】地震時の容器の変形を抑えることができ、かつ、減圧に対しての耐圧性の高い箱形高性能エアフィルタを提供すること
【解決手段】
通過するエアをろ過するフィルタ本体10と、フィルタ本体10を収納する六面体の容器20であって、エアを導入する入口ノズル32(1)と、フィルタ本体10でろ過されたエアを排出する出口ノズル32(2)を入口ノズル32(1)と反対側の面に有する容器20と、容器20に固着された補強材40とを有し、フィルタ本体10が容器20の内面に接着され、20Hz以上であり、固有振動数が20Hz以上である、箱形高性能エアフィルタ1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過するエアをろ過するフィルタ本体と;
前記フィルタ本体を収納する六面体の容器であって、エアを導入する入口ノズルと、前記フィルタ本体でろ過されたエアを排出する出口ノズルを前記入口ノズルと反対側の面に有する、容器と;
前記容器に固着された補強材とを有し;
前記フィルタ本体が、前記容器の内面に接着され;
固有振動数が20Hz以上である;
箱形高性能エアフィルタ。
【請求項2】
前記六面体の容器は、矩形断面の筒状部分と、前記入口ノズルを有する面を構成する入口カバーと、前記出口ノズルを有する面を構成する出口カバーとを有し、
前記筒状部分の両端部には前記矩形断面の外側に張り出す接続部分が形成され、前記入口カバーおよび前記出口カバーは前記接続部分と面接合する面接合部分を有し、前記接続部分と前記面接合部分を接続部材で接続することにより、前記筒状部分と前記入口カバーおよび前記出口カバーは一体とされて前記容器を構成する、
請求項1に記載の箱形高性能エアフィルタ。
【請求項3】
前記補強材が前記容器の内面に固着される;
請求項2に記載の箱形高性能エアフィルタ。
【請求項4】
前記容器から張り出す脚部が形成され、
前記脚部を、前記箱形高性能エアフィルタを載置する架台に固定する、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の箱形高性能エアフィルタ。
【請求項5】
前記入口ノズルと前記出口ノズルはそれぞれ、スリーブを介して配管と接続され、
前記スリーブの前記入口ノズルまたは前記出口ノズルに挿入される端部にL字形の切り欠きが形成され、
前記入口ノズルまたは前記出口ノズルの内面に前記切り欠きにかみ合う外れ止めピンが設けられた、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の箱形高性能エアフィルタ。
【請求項6】
前記入口ノズルと前記出口ノズルはそれぞれ、スリーブを介して配管と接続され、
前記入口ノズルまたは前記出口ノズルにL字形の切り欠きが形成され、
前記入口ノズルまたは前記出口ノズルに挿入される前記スリーブの外面に前記切り欠きにかみ合う外れ止めピンが設けられた、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の箱形高性能エアフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱形高性能エアフィルタに関する。特に、耐震性・耐圧性に優れた箱形高性能エアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設、特にグローブボックスなどからの排気系に使用される放射性微粒子を除去するための高性能エアフィルタでは、エアフィルタのメンテナンス時の放射性物質の封じ込めのために箱形高性能エアフィルタが使用されることが多い。箱形高性能エアフィルタでは、ろ材をひだ状に折り畳み、その中間にセパレータを組み込んだフィルタ本体を、箱形の容器に収容し、容器に接続した入口ノズルからエアを取り入れ、フィルタ本体でろ過したエアを出口ノズルを介して排気する。例えば、グローブボックスの排気系統の箱形高性能エアフィルタでは、メンテナンスやスペースの有効利用の観点から、箱形高性能エアフィルタをグローブボックス上にバンドで固縛することにより設置し、さらに密封交換型フィルタユニットでろ過した排気を、吸引ファンを経て大気中に排出している。
【0003】
特許文献1に示されるように、従来の箱形高性能エアフィルタでは、箱形の容器(缶体1)内にフィルタ本体(フィルタエレメント22、セパレータ23)を収容し、容器とフィルタ本体とを接着剤(シリコン系接着剤32)で接着固定している。
【0004】
一方、放射性エアロゾル用高性能エアフィルタに対しては、日本産業規格JIS―Z4812で規定されている。同規格では、定格流量に応じて、箱形高性能エアフィルタの寸法を203×203×228mm-610×610×508mmとし、高性能エアフィルタ外枠を合板または金属製とするものである。例えば、特許文献1の缶体のように、金属板で形成することも見られる。
【0005】
近年の原子力設備に対する安全性の要求の高まりにより、箱形高性能エアフィルタに対する耐震設計および耐圧性の要求も高まりつつある。しかし、耐震設計に対する要求は、JIS規格では考慮されていない。耐震性の要求に応えるには、合板の外枠では難しいので、金属板の外枠とすることが一般的になる。JIS規格では、金属板の板厚は1.2―2.3mmとされているが、地震時に容器が破損、変形すると、フィルタ性能が発揮できなくなる。容器の変形が大きくなると、容器に接着固定されたフィルタ本体にひずみ・変形が生じ、フィルタ本体を破損する可能性もあり、あるいは、フィルタ本体と容器とを固定する接着剤がはがれてしまう。そこで、箱形高性能エアフィルタを剛体にすることが要求される。その一環として、固有振動数を20Hz以上とすることが要求されるようになってきている。
【0006】
また、JIS規格では、フィルタ本体の耐圧性については、フィルタ圧損が24.5hPaになるまで流量を上げて1時間保持したのちのフィルタ性能の試験と、内部を-10hPaに減圧したのちの戻りが試験圧力の5%/分以下であることを要求している。しかし、前述の通り、箱形高性能エアフィルタでは吸引ファンで吸引されて使用されることが多く、近年ではより低い負圧に耐えるようにという要求もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10―48391(段落0008-0009および
図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、地震時の容器の変形を抑えることができ、かつ、減圧に対しての耐圧性の高い箱形高性能エアフィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る箱形高性能エアフィルタ1は、例えば
図1に示すように、通過するエアをろ過するフィルタ本体10と、フィルタ本体10を収納する六面体の容器20であって、エアを導入する入口ノズル32(1)と、フィルタ本体10でろ過されたエアを排出する出口ノズル32(2)を入口ノズル32(1)と反対側の面に有する容器20と、容器20に固着された補強材40とを有し、フィルタ本体10が容器20の内面に接着され、固有振動数が20Hz以上である。
【0010】
このように構成すると、フィルタ本体が容器の内面に接着されて容器内でのフィルタ本体の位置が安定するとともに、容器内に取り込まれたエアがフィルタ本体を通らずに通過してしまうことを防止しつつ、容器が補強材で補強されて固有振動数が20Hz以上となるので、地震時の容器の変形を抑えられ、かつ、耐圧性の高い箱形高性能エアフィルタを提供することができる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る箱形高性能エアフィルタ1は、例えば
図1に示すように、六面体の容器20は、矩形断面の筒状部分22と、入口ノズル32(1)を有する面を構成する入口カバー30(1)と、出口ノズル32(2)を有する面を構成する出口カバー30(2)とを有し、筒状部分22の両端部には矩形断面の外側に張り出す接続部分24が形成され、入口カバー30(1)および出口カバー30(2)は接続部分24と面接合する面接合部分34を有し、接続部分24と面接合部分34を接続部材80で接続することにより、記筒状部分22と入口カバー30(1)および出口カバー30(2)は一体とされて容器20を構成する。このように構成すると、容器が筒状部分と入口カバー及び出口カバーで構成されるので、容器に収納されるフィルタ本体のメンテナンスが容易になる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第3の態様に係る箱形高性能エアフィルタ3は、例えば
図3に示すように、補強材46が容器20の内面に固着される。このように構成すると、補強材で容器内面に固着されるので、箱形高性能エアフィルタのハンドリングに補強材が邪魔にならず、かつ、補強材を容器内面全面に固着しなくても負圧に対しては補強材として機能し、補強材の固着が煩雑になることもない。
【0013】
本発明の第4の態様に係る箱形高性能エアフィルタ1は、例えば
図1に示すように、容器20から張り出す脚部60が形成され、脚部60を、箱形高性能エアフィルタ1を載置する架台に固定する。このように構成すると、箱形高性能エアフィルタをしっかりと架台に固定できるので、地震時に移動することを防止でき、箱形高性能エアフィルタの変形を抑えることができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る箱形高性能エアフィルタ1は、例えば
図1および
図4に示すように、入口ノズル32(1)と出口ノズル32(2)はそれぞれ、スリーブ100を介して配管と接続され、スリーブ100の入口ノズル32(1)または出口ノズル32(2)に挿入される端部にL字形の切り欠き110が形成され、入口ノズル32(1)または出口ノズル32(2)の内面に切り欠き110にかみ合う外れ止めピン38が設けられる。このように構成すると、入口および出口ノズルとスリーブとが堅固に接続されるので、地震時にも外れることがなく、耐震性の優れた箱形高性能エアフィルタとなる。
【0015】
本発明の第6の態様に係る箱形高性能エアフィルタ1は、入口ノズル32(1)または出口ノズル32(2)にL字形の切り欠きが形成され、入口ノズル32(1)または出口ノズル32(2)に挿入されるスリーブ100の外面に切り欠きにかみ合う外れ止めピンが設けられる。このように構成すると、入口および出口ノズルとスリーブとが堅固に接続されるので、地震時にも外れることがなく、耐震性の優れた箱形高性能エアフィルタとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の箱形高性能エアフィルタによれば、フィルタ本体を収納する容器を補強材で補強して、固有振動数が20Hz以上となるので、地震時の容器の変形を抑えることができ、かつ、減圧に対しての耐圧性の高い箱形高性能エアフィルタとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態としての、容器外側に補強材を有し脚部で架台等に固定する構造を有する箱形高性能エアフィルタの一部断面側面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態としての、容器外側に交差する補強材を有する箱形高性能エアフィルタの図で、(a)は側面断面図、(b)は正面断面図である。
【
図3】本発明のさらに他の実施形態としての、容器内側に補強材を有する箱形高性能エアフィルタの要部側面断面図である。
【
図4】箱形高性能エアフィルタのノズルとスリーブの連結部分の詳細を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一または相当する部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。まず、
図1の一部断面側面図を参照して、本発明の一実施形態としての箱形高性能エアフィルタ1について説明する。
【0019】
箱形高性能エアフィルタ1は、フィルタ材12をひだ状に折り畳み、その中間にセパレータ14を組み込んだフィルタ本体10を内包する。フィルタ10は、典型的にはHEPAフィルタ、ULPAフィルタなどの高性能のフィルタである。フィルタ本体10は、六面体の容器20内に配置される。容器20は、六面体のうちの4面で矩形断面の筒状に形成される筒状部分22と、筒状部分22の開口部に蓋をするように設置される入口カバー30(1)および出口カバー30(2)を備える。入口カバー30(1)には、箱形高性能エアフィルタ1でろ過されるエアを取り込む入口ノズル32(1)が設けられ、出口カバー30(2)には、箱形高性能エアフィルタ1でろ過されたエアを排気する出口ノズル32(2)が設けられる。なお、入口カバー30(1)と出口カバー30(2)を合わせてカバー30と、入口ノズル32(1)と出口ノズル32(2)を合わせてノズル32とも称する。
【0020】
フィルタ本体10のエアの流れに直交する面の外周が、容器20の筒状部分22の内側に接着剤16で接着固定される。接着固定されることにより、フィルタ本体10の位置が容器20内で安定するとともに、容器20内に取り込まれたエアがフィルタ本体10を通らずに通過してしまうことを防止できる。
【0021】
筒状部分22の端面に矩形断面から外側に張り出す接続部分24が形成される。接続部分24の最外縁は筒状部分22に沿う方向に折り曲げられたハゼ折26が付けられてもよい。また、カバー30も筒状部分22の外側に張り出す大きさを有し、すなわち、ノズル32が立設する平板が接続部分24と面接合する面接合部分34を有してもよい。面接合部分34の最外縁は接続部分24のハゼ折26を覆うようにハゼ折36が付けられてもよい。そして、接続部分24と面接合部分34を貫通するボルトとナット等の接続部材80で筒状部分22とカバー30とを一体化できる。このように構成すると、カバー30を簡単に外し、収納されているフィルタ本体10のメンテナンスがし易い箱形高性能エアフィルタ1となる。また、接続部分24と面接合部分34にハゼ折が付けられ、ハゼ折の内側においてナットでボルトを締め付けるようにすることで、ナットに何かが当たり緩むことを防止できる。なお、六面体の容器20と称する際の六面体は、厳密な意味の六面体ではなく、容器20に接続部分24、34およびハゼ折26、36等が設けられてもよい。
【0022】
接続部分24と面接合部分34の間にガスケット70を設置し、シール性を高めてもよい。箱形高性能エアフィルタ1が、原子力施設のグローブボックスなどからの排気系で放射性微粒子を除去するために用いられている場合などは、リークによる放射性微粒子の系外への漏洩を防止することが要求されるので、シール性を高めることは有効である。
【0023】
容器20の筒状部分22の外側に、補強材40が固着される。補強材40は、板材、棒材、型鋼等から適宜選定することができる。箱形高性能エアフィルタ1では、補強材40は、筒状部分22の外周に沿って配置される。補強材40が設置される数量は、箱形高性能エアフィルタ1の大きさ、本体フィルタ10の重量、容器20の厚さ等により、適宜選定されてもよい。なお、補強材40は、カバー30の面接合部分34の張り出す高さを超えない高さとされるのが好ましい。そのように構成すると、箱形高性能エアフィルタ1を架台状等に設置する場合に、補強材40が邪魔にならず好適である。
【0024】
図2に示す箱形高性能エアフィルタ2のように、筒状部分22の外周に沿って配置される補強材42と軸方向に配置される補強材44とが筒状部分22に固着されてもよい。このように格子状に補強材42、44を配置することにより、容器20を補強する効果をより大きくすることができる。
【0025】
また、カバー30のノズル32の周囲に強め板52を固着してもよい。強め板52によりカバー30が補強され、特にノズル32の揺れによるカバー30のゆがみを防止することができる。
【0026】
また、
図3に示す箱形高性能エアフィルタ3のように、容器20の内側に補強材46が固着されてもよい。容器20の内側に補強材46を固着することで、容器20の外側に張り出す補強材をなくすることができ、箱形高性能エアフィルタ3の搬送時や設置および固定時に、邪魔になることがなく、外観上も好ましい。また、矩形筒形または円筒形の補強材48が、カバー30(2)の内面に直交して固着されてもよい。補強材48は、筒状部分22の内面を縮小した形状の矩形筒形またはノズル32(2)の外径を拡大した形状の円筒形ではなく、多角柱体であってもよい。補強材46、48を容器20の内面に固着する場合、全面を固着しなくても、例えば何点かでスポット的に固着しても、負圧に対して容器20は内側に変形しようとするので、負圧に対しては補強材として充分に機能する。よって、補強材46、48を容器20の内側としても、内圧に対する補強材とは異なり、補強材46、48の固着が煩雑になることもない。なお、補強材48は、ノズル32(2)の穴から離間した周囲に固着されることで、容器20内のエアの流れの障害となることも防止できる。
【0027】
さらに、
図3に示すように、カバー30(2)には、ノズル32(2)の周囲外面に固着される強め板52、あるいは、ノズル32(2)の付け根内面の周囲に固着される強め板54が設置されてもよい。なお、強め板52、54のいずれか1つが固着されても、両方が固着されてもよい。なお、箱形高性能エアフィルタ1、2も強め板52、54でカバー30(2)が補強されてもよい。
【0028】
図1および
図3に示すように、箱形高性能エアフィルタ1、2、3には容器20から張り出す脚部60が形成されてもよい、従来の箱形高性能エアフィルタでは、グローブボックス等の架台上にバンドで固縛するのが一般的であった。なお本書では、箱形高性能エアフィルタを設置するための構造物以外に、他の用途の構造物であっても箱形高性能エアフィルタを設置できる構造物をも含んで架台という。しかしバンドで固縛するだけでは、地震時に箱形高性能エアフィルタが移動し、ひずみや変形が生じる可能性がある。そこで、脚部60を形成し、脚部を架台に固定することにより、地震時の箱形高性能エアフィルタ1、2、3の移動を防止し、より耐震性を高めることができる。脚部60も単なる板部材62ではなく、リブ64を設けることにより強靭にし、地震時の揺れをも抑止することが望ましい。
【0029】
図4は、箱形高性能エアフィルタ1、2、3のノズル32とスリーブ100の連結部分を例示する斜視図である。箱形高性能エアフィルタ1、2、3では、入口ノズル32(1)および出口ノズル32(2)が配管に接続され、エアの供給源から送り先あるいは排気先にエアの流路が形成される。そのために、ノズル32と配管(不図示)とはスライドスリーブであるスリーブ100を介して接続される。スリーブ100がスライド可能であるために、地震時にスライドして外れる恐れもある。そこで、スリーブ100のノズル32に挿入される端部にL字形の切り欠き110が形成される。そして、ノズル32の内面に止めピン38を設ける。スリーブ100をノズル32に挿入する際に、止めピン38を切り欠き110内に入れ、更にスリーブ100をねじって、止めピン38が切り欠き110のL字形の奥に嵌るようにする。このようにすることで、地震時にもスリーブ100がノズル32から箱形高性能エアフィルタ1、2、3外れることを防止でき、耐震性が向上する。
【0030】
なお図示は省略するが、ノズル32の先端にL字形の切り欠きを形成し、ノズル32に挿入されるスリーブ100の外面に、切り欠きとかみ合う外れ止めピンが設けられてもよい。
【実施例0031】
実施例として、実機を用いて行った加振試験について説明する。加振試験に用いた箱形高性能エアフィルタは、長さ508mm×幅610mm×高さ610mmの容器に外径355.6mm×長さ100mmの入口ノズルおよび出口ノズルを有する。筒上部分の板厚は1.5mm、入口カバーおよび出口カバーの板厚は3mm、ノズルの板厚は8mmとした。入口カバーおよび出口カバーの内面には、548mm×548mmの矩形筒形の補強材が固着された。補強材は、内側の高さ25mmで厚さ6mである。なお、補強材は、入口カバーおよび出口カバーに全周溶接された。また、材質はいずれもJIS SUS304材である。フィルタ本体は、寸法572×572×150mm、重量約9.3kgのHEPAフィルタを設置した。箱形高性能エアフィルタは、試験機に脚部を固定して設置した。
【0032】
試験機として共振探索試験機を用いて下記の条件にて試験を行った。
振動数: 5―100Hz
加速度: 0.1G
掃引方法:対数掃引
掃引速度:1min/オクターブ
掃引回数:片道1回
加振方向:長さ方向、幅方向、高さ方向の3方向
振動測定箇所:カバー上部の2箇所
【0033】
共振探索試験の結果、箱形高性能エアフィルタに20Hz以下の共振周波数はなかった。