(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176461
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】受信装置、放送システム、および、受信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/434 20110101AFI20241212BHJP
H04N 21/438 20110101ALI20241212BHJP
H04H 20/24 20080101ALI20241212BHJP
H04H 20/95 20080101ALI20241212BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20241212BHJP
H04H 60/82 20080101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N21/434
H04N21/438
H04H20/24
H04H20/95
H04H40/18
H04H60/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095006
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】川添 裕史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】工藤 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】石田 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】荻野 樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 幸一
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA11
5C164GA03
5C164SB15S
5C164UB10S
5C164UB11P
5C164UB21P
5C164UB38S
5C164UC27S
(57)【要約】
【課題】第1コンポーネントの提供に係る遅延を低減する。
【解決手段】放送受信部は選局チャンネルに対応する放送ネットワークから少なくとも第1コンポーネントを含むパッケージと制御情報を多重化した多重化データを受信し、選局処理部は編成チャンネルごとにコンポーネントの提供方式を示すチャンネルリストを参照し、前記選局チャンネルに対応する提供方式を判定し、制御情報処理部は前記多重化データから前記制御情報を抽出し、前記提供方式が第1提供方式である場合、前記制御情報に基づいて前記多重化データから抽出した前記第1コンポーネントを出力し、前記提供方式が第2提供方式である場合、ブラウジング部に、前記制御情報で指示されるデータ放送コンテンツを取得させ、前記データ放送コンテンツに基づいて取得した第2コンポーネントを出力させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選局チャンネルに対応する放送ネットワークから少なくとも第1コンポーネントを含むパッケージと制御情報を多重化した多重化データを受信する放送受信部と、
編成チャンネルごとにコンポーネントの提供方式を示すチャンネルリストを参照し、前記選局チャンネルに対応する提供方式を判定する選局処理部と、
前記多重化データから前記制御情報を抽出し、
前記提供方式が第1提供方式である場合、前記制御情報に基づいて前記多重化データから抽出した前記第1コンポーネントを出力し、
前記提供方式が第2提供方式である場合、ブラウジング部に、前記制御情報で指示されるデータ放送コンテンツを取得させ、
前記データ放送コンテンツに基づいて取得した第2コンポーネントを出力させる制御情報処理部と、を備える
受信装置。
【請求項2】
前記第2コンポーネントをキャッシュするデータキャッシュ部を備え、
前記ブラウジング部は、前記第2コンポーネントを取得するとき、前記データキャッシュ部から当該第2コンポーネントを読み取る
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御情報から前記提供方式を示す提供方式情報を前記編成チャンネルごとに抽出し、
前記提供方式情報を前記編成チャンネルと対応付けて前記チャンネルリストを構成する選局処理部を備える
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記選局処理部は、
前記制御情報から伝送路の情報とサービスを関連付ける情報を伝送するネットワーク情報テーブルを抽出し、
前記ネットワーク情報テーブルから各サービスの前記提供方式情報を抽出する
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記選局処理部は、
前記制御情報からサービスに関する情報を伝送するサービス記述テーブルを抽出し、
前記サービス記述テーブルから各サービスの前記提供方式情報を抽出する
請求項3に記載の受信装置。
【請求項6】
前記選局処理部は、
前記制御情報から前記放送ネットワークで伝送されるIPパケットと放送番組番号を識別するサービス識別とを関連付ける情報を伝送するアドレスマップテーブルを抽出し、
前記アドレスマップテーブルから前記サービス識別ごとに前記提供方式情報を抽出する
請求項3に記載の受信装置。
【請求項7】
前記第1提供方式は、MMT(MPEG Media Transport)/TLV(Type Length Value)方式を用いて映像を含む前記第1コンポーネントを提供する方式であり、
前記第2提供方式は、CMAF(Common Media Application Format)/MMT/TLV方式を用いて映像を含む前記第2コンポーネントを提供する方式である
請求項1に記載の受信装置。
【請求項8】
前記パッケージと前記制御情報を多重化した前記多重化データを前記放送ネットワークに送出する放送装置と、
請求項1に記載の受信装置と、を備える
放送システム。
【請求項9】
選局チャンネルに対応する放送ネットワークから少なくとも第1コンポーネントを含むパッケージと制御情報を多重化した多重化データを受信する放送受信部と、を備える受信装置における受信方法であって、
前記受信装置は、
編成チャンネルごとにコンポーネントの提供方式を示すチャンネルリストを参照し、前記選局チャンネルに対応する提供方式を判定し、
前記多重化データから前記制御情報を抽出し、
前記提供方式が第1提供方式である場合、前記制御情報に基づいて前記多重化データから抽出した前記第1コンポーネントを出力し、
前記提供方式が第2提供方式である場合、前記制御情報で指示されるデータ放送コンテンツを取得し、
前記データ放送コンテンツに基づいて取得した第2コンポーネントを出力する
受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、受信装置、放送システム、および、受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代地上デジタル放送(本願では、「次世代地デジ方式」と呼ぶことがある)では、インターネットを用いて、放送番組の動画を提供することが検討されている。受信装置において、提供される動画を受信する際、ブラウザの利用が想定されている。映像音声データのデータ形式として、CMAF(Common Media Application Format)の採用が検討されている。CMAFは、低遅延のインターネット動画配信サービスにおいて標準化されたデータ形式である。
【0003】
例えば、特許文献1には、CMAF適用MMTからMPUメタデータとムービーフラグメントメタデータと制御メッセージとメディアフラグ法をメントユニットとを分離し、ムービーフラグメントメタデータのDTS-PTS差分情報を拡張MPUタイムスタンプ記述子に変換して制御メッセージに追加し、MPUメタデータからパラメータセットを抽出してメディアフラグメントユニットに追加し、MPU単位でメディアフラグメントユニットを出力し、制御メッセージとメディアフラグメントユニットとを混合するMMT変換装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、放送事業者の方針として、放送の実時間性を重視するか、遅延を許容して放送サービスの拡充を重視するかが異なりうる。そのため、映像音声データの提供方式としてCMAF/MMT/TLV方式を用いる放送局とMMT/TLV方式を用いる放送局とが混在する可能性が生じる。CMAF/MMT/TLV方式は、データ形式としてCMAFを用いた映像音声データの提供を示すデータ放送コンテンツをMMT-TLV(MPEG Media Transport - Type Length Value)方式を用いて通知する方式である。MMT/TLV方式は、MMT-TLV方式の規定に従い、放送番組のパッケージの一部として映像音声データを提供する方式である。受信装置は、CMAF/MMT/TLV方式を用いた動画配信が提供される放送チャンネルを選局後、ブラウザを起動し、配信されたデータ放送コンテンツのデータを一定量保存(キャッシュ)することを要する。保存したデータ放送コンテンツにおいて、提供対象とする映像の所在などが通知される。他方、MMT/TLV方式での動画配信では、提供対象の映像の取得のために、データ放送コンテンツを要しない。MMT/TLV方式が用いられる場合、CMAF/MMT/TLV方式が適用されることに備えて、一律にデータ放送コンテンツを取得し、取得したデータ放送コンテンツを解析すると、無用な遅延が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は上記の課題を解決するためになされたものであり、本願の一態様は、選局チャンネルに対応する放送ネットワークから少なくとも第1コンポーネントを含むパッケージと制御情報を多重化した多重化データを受信する放送受信部と、編成チャンネルごとにコンポーネントの提供方式を示すチャンネルリストを参照し、前記選局チャンネルに対応する提供方式を判定する選局処理部と、前記多重化データから前記制御情報を抽出し、前記提供方式が第1提供方式である場合、前記制御情報に基づいて前記多重化データから抽出した前記第1コンポーネントを出力し、前記提供方式が第2提供方式である場合、ブラウジング部に、前記制御情報で指示されるデータ放送コンテンツを取得させ、前記データ放送コンテンツに基づいて取得した第2コンポーネントを出力させる制御情報処理部と、を備える受信装置である。
【0007】
本願の他の態様は、選局チャンネルに対応する放送ネットワークから少なくとも第1コンポーネントを含むパッケージと制御情報を多重化した多重化データを受信する放送受信部と、を備える受信装置における受信方法であって、前記受信装置は、編成チャンネルごとにコンポーネントの提供方式を示すチャンネルリストを参照し、前記選局チャンネルに対応する提供方式を判定し、前記多重化データから前記制御情報を抽出し、前記提供方式が第1提供方式である場合、前記制御情報に基づいて前記多重化データから抽出した前記第1コンポーネントを出力し、前記提供方式が第2提供方式である場合、前記制御情報で指示されるデータ放送コンテンツを取得し、前記データ放送コンテンツに基づいて取得した第2コンポーネントを出力する。
【発明の効果】
【0008】
本願の一実施形態によれば、第1コンポーネントの提供に係る遅延を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る放送システムの機能構成例を示す概略ブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る受信処理を例示するフローチャートである。
【
図3】本実施形態に係るプロトコルスタックの構造の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るTLV-NITのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】各情報テーブル記述される記述子を例示する表である。
【
図6】システム管理記述子のデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】システム管理識別のデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】放送/非放送識別の値の設定例を示す表である。
【
図9】放送の標準方式識別の値の設定例を示す表である。
【
図11】サービスリスト記述子のデータ構造の一例を示す図である。
【
図12】サービス形式種別の値の一設定例を示す表である。
【
図13】サービス形式種別の値の他設定例を示す表である。
【
図14】MH-SDTのデータ構造の一例を示す図である。
【
図15】MH-SDTのデータ構造の他の例を示す図である。
【
図16】AMTのデータ構造の一例を示す図である。
【
図17】AMTのデータ構造の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、本実施形態に係る放送システムS1の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る放送システムS1の機能構成例を示す概略ブロック図である。放送システムS1は、放送装置20と、受信装置10とを備える。放送装置20は、主に放送事業者の放送局に設置され、放送サービスの提供に用いられる。放送サービスは、放送ネットワークを用いて提供されることも、放送ネットワークと通信ネットワークを併用して提供されることもある。
図1の例では、受信装置10の個数は1個であるが、一般には、受信装置10の個数は不特定かつ複数となりうる。
【0011】
放送ネットワークは、各種のデータを一方向的かつ一斉に伝送可能とする伝送路である。放送ネットワークは、放送伝送路とも呼ばれる。放送ネットワークの一部には、無線または有線の通信ネットワークを物理的に含んで構成されることがある。通信ネットワークは、相手先を特定可能とし、各種のデータを双方的に伝送可能とする伝送路である。通信ネットワークは、通信伝送路とも呼ばれる。
【0012】
放送装置20は、データ編成部、多重化部および送信部を備える。データ編成部は、放送番組のパッケージと、パッケージの伝送に係る制御情報を取得する。多重化部は、取得されたパッケージと制御情報を多重化し、多重化データを生成する。送信部は、生成された多重化データを符号化し、符号化した多重化データを搬送する放送信号を放送ネットワークに送出する。多重化方式として、例えば、MMT-TLV(MPEG Media Transport-Type Length Value)方式が用いられる。
【0013】
パッケージには、複数のコンポーネント(component)が含まれる。コンポーネントは、放送番組のコンテンツの構成要素である。個々のコンポーネントとして、映像、音声などが該当する。以下の説明では、第1提供方式に従ってパッケージに含めて受信装置10に提供されるコンポーネントを「第1コンポーネント」と呼ぶことがある。第2提供方式に従って提供されるコンポーネントを「第2コンポーネント」と呼ぶことがある。第2コンポーネントは、パッケージとは別個に通信ネットワークを用いて提供されてもよいし、放送ネットワークを用いて提供されてもよい。本願では、第2コンポーネントが通信ネットワークを用いて提供される場合を主として説明するが、通信ネットワークに代えて、または、通信ネットワークと並行して、放送ネットワークを用いて提供されてもよい。また、第1コンポーネント、第2コンポーネントとして、それぞれ映像を主に例示する。
【0014】
個々のコンポーネントは、アセット(asset)、エレメンタリストリーム(ES:Elementary Stream)または単にストリームとも呼ばれる。本願では、主に「コンポーネント」との用語を用いる。また、本願では、放送伝送路に送出することを「放送で送信する」と呼び、放送伝送路で伝送された各種データを受信することを「放送で受信する」と呼ぶことがある。
【0015】
受信装置10は、選局チャンネルに対応する放送ネットワークから伝送された放送信号を受信し、受信した放送信号で搬送される多重化データを復号する。受信装置10には、編成チャンネルごとにコンポーネントの提供方式を示すチャンネルリストを設定しておく。受信装置10は、チャンネルリストを参照し、選局チャンネルに対応する提供方式を判定する。受信装置10は、復号した多重化データから伝送制御情報を抽出する。判定した提供方式が第1提供方式である場合、抽出した伝送制御情報に基づいて多重化データから第1コンポーネントを抽出する。判定した提供方式が第2提供方式である場合、受信装置10は、抽出した制御情報に基づいてデータ放送コンテンツを受信する。受信装置10は、受信したデータ放送コンテンツをキャッシュする。受信装置10は、キャッシュしたデータ放送コンテンツに基づいて第2コンポーネントを取得する。
【0016】
図1の例では、配信装置30は、データ放送コンテンツと第2コンポーネントの配信元となるコンテンツサーバである。配信装置30は、放送事業者の放送局に設置され、通信ネットワークに接続されている。データ放送コンテンツには、第2コンポーネントの所在を示すアドレスが記述される。
本願では、通信ネットワークを用いて各種のデータを送信することを「通信で送信する」と呼び、通信ネットワークを用いて受信することを「通信で受信する」、などと呼ぶことがある。
【0017】
配信装置30は、必ずしも放送事業者の設備でなくともよく、コンテンツ提供者、コンテンツ制作者、など、放送事業者以外の者の設備であってもよい。また、データ放送コンテンツの配信元となる配信元機器と、第2コンポーネントの配信元機器が通信ネットワークを用いて接続されていれば、異なっていてもよい。放送装置20と配信装置30もしくはデータ放送コンテンツの配信元機器および第2コンポーネントの配信元機器の一方もしくは両方は、放送通信連携システムを構成する。
【0018】
次に、本実施形態に係る受信装置10の機能構成例について説明する。受信装置10は、放送受信部102、制御情報処理部104、操作入力部106、選局処理部108、チャンネルリスト記憶部110、通信I/F部122、データキャッシュ部124、ブラウジング部130、映像復号部132および音声復号部134を含んで構成される。
受信装置10は、コンピュータシステムを有してもよい。コンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが所定のプログラムを実行し、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体とその他のハードウェアと協働し、受信装置10の機能を実現する。
【0019】
例えば、制御情報処理部104、ブラウジング部130、映像復号部132および音声復号部134の機能は、コンピュータシステムが所定の制御プログラムを実行して実現されてもよいし、専用のハードウェアを用いて実現されてもよい。
なお、本願ではブラウザをはじめとする各種のプログラムに記述された指令で指示される処理を実行することを「プログラムの実行」、「プログラムを実行する」などと呼ぶことがある。
【0020】
放送受信部102は、放送ネットワークを経由して伝送される放送信号を受信する。放送受信部102は、例えば、チューナおよび復調器を備える。チューナは、アンテナから入力される受信信号から、選択されている編成チャンネル(本願では、「選局チャンネル」と呼ぶことがある)の周波数に同調する周波数成分を示す信号を同調信号として抽出する。選局チャンネルは、選局処理部108から入力される選局情報により通知される。
【0021】
アンテナは、自部に到来する放送波を受波して得られる電気信号を受信信号としてチューナに出力する。アンテナは、受信装置10の一部を構成してもよいし、受信装置10とは別体であってもよい。放送波は、放送ネットワークを構成し、放送信号を搬送する。復調器は、チューナにおいて抽出された同調信号に対して所定の復調方式を用いて復調処理を行って多重化データに変換する。復調方式は、選局処理部108により設定される。復調方式は、多重化データの変調に用いられた変調方式に対応する。復調器は、復調により得られた多重化データを制御情報処理部104に出力する。
【0022】
操作入力部106は、選局チャンネルを示す操作信号を取得し、取得した操作信号を選局処理部108に出力する(選局)。操作入力部106は、制御装置(例えば、リモートコントローラ)から有線または無線で操作信号を受信する受信器を備える。
操作入力部106は、ユーザの操作を受け付ける部材(例えば、ボタン、ダイヤル、レバーなど)を備え、受け付けた操作に基づいて生成した操作信号を選局処理部108に出力してもよい。
【0023】
選局処理部108は、操作入力部106から入力される操作信号で指示された選局チャンネルを特定する。選局処理部108は、選局チャンネルを示す選局情報を放送受信部102に出力する。
選局処理部108は、チャンネルリスト記憶部110に記憶されたチャンネルリストを参照し、特定した選局チャンネルに対応するコンポーネントの提供方式を判定する。選局処理部108は、判定した提供方式を示す提供方式情報を制御情報処理部104に出力する。
【0024】
なお、選局処理部108は、最後に指示された選局チャンネルを示す選局情報を保存し、新たに操作信号が入力される都度、保存した選局情報を入力される操作信号で指示される選局チャンネルを示す選局情報に更新してもよい。
チャンネルリストは、編成チャンネルごとに放送番組のコンポーネントの提供方式を示すデータである。チャンネルリストの具体例については、後述する。
【0025】
チャンネルリスト記憶部110には、予めチャンネルリストを記憶させておく。チャンネルリスト記憶部110は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性記憶媒体を含んで構成される。
通信I/F部122は、通信ネットワークを経由して他の機器と各種のデータを無線または有線で送信および受信可能に接続する。通信ネットワークは、構内ネットワーク、仮想私設ネットワーク、公衆ネットワーク、インターネット、などのいずれか、または、いずれの組み合わせで構成されていてもよい。
【0026】
データキャッシュ部124は、ブラウジング部130または制御情報処理部104からの要求に応じて通信I/F部122が受信した各種のデータを一時的に保存する。データキャッシュ部124は、保存したデータをブラウジング部130に出力する。データキャッシュ部124は、キャッシュメモリを含んで構成される。
【0027】
制御情報処理部104には、放送受信部102から多重化データが入力され、選局処理部108から提供方式情報が入力される。制御情報処理部104は、多重化データを復号し、復号された多重化データから制御情報を分離する(S02)。
提供方式情報が第1提供方式を示す場合、制御情報処理部104は、分離した制御情報を参照して、多重化データから放送番組のコンポーネントを第1コンポーネントとして抽出する。第1提供方式は、例えば、MMT/TLV方式である。MMT/TLV方式は、「MMT・TLV」などとも呼ばれることがある。
【0028】
具体的には、制御情報処理部104は、多重化データから制御情報をなすMPT(MMT Package Table)を抽出し、抽出したMPTから映像(例えば、hev1)を示すアセット種別(asset_type)と対応付けられたコンポーネントID(identifier)を特定する(MMTデコード処理)。制御情報処理部104は、多重化データから特定したコンポーネントIDが付加されたコンポーネントを第1映像コンポーネントとして抽出する。また、MPTから音声(例えば、mp4a)を示すアセット種別と対応付けられたコンポーネントIDを特定する。制御情報処理部104は、多重化データから特定したコンポーネントIDが付加されたコンポーネントを第1音声コンポーネントとして抽出する。
制御情報処理部104は、抽出した第1映像コンポーネントを映像復号部132に出力し、抽出した第1音声コンポーネントを音声復号部134に出力する(S04)。
【0029】
提供方式情報が第2提供方式を示す場合、制御情報処理部104は、制御情報に基づいて通信ネットワークから提供されるデータ放送コンテンツをブラウジング部130に取得させる。
より具体的には、制御情報処理部104は、多重化データから制御情報をなすMPTを抽出し、抽出したMPTから通信ネットワークで提供されるデータ放送コンテンツの所在を特定する。制御情報処理部104は、例えば、MPTにおいてアセット種別(asset_type)としてアプリケーション(例えば、aapp)が指示されたコンポーネントについて記述されたMMTロケーション情報(MMT_general_location_info)に含めて記述されたURL(URL_byte)を特定する(MMTデコード処理)。
【0030】
制御情報処理部104は、ブラウジング部130を起動する(S06)。制御情報処理部104は、例えば、ブラウザの起動指令を発行し、受信装置10のコンピュータシステムにブラウザのプログラムを実行させる。これにより、ブラウジング部130の機能が実現する。コンピュータシステムは、プログラムの実行を開始させた後、起動指令に対する応答として起動完了通知を制御情報処理部104に返信する。
【0031】
制御情報処理部104は、特定したURLをブラウジング部130に通知し、通知したURLで指示される通信ネットワーク上の位置に所在する配信元機器からデータ放送コンテンツを取得させる(S08)。制御情報処理部104は、例えば、特定したURLを含めてデータ放送コンテンツ取得指令をブラウジング部130に発行する。
ブラウジング部130は、制御情報処理部104から入力されるデータ放送コンテンツ取得指令に従ってデータ放送コンテンツを取得する。ブラウジング部130は、データ放送コンテンツ取得指令で指示されるURLを抽出し、抽出したURLを含めてデータ放送コンテンツ要求を通信I/F部122と通信ネットワークを経由して配信元装置に送信する。
【0032】
図1の例では、配信元機器は配信装置30であり、抽出したURLによりデータ放送コンテンツを有するネットワークノードとして指示される。配信装置30は、受信装置10からデータ放送コンテンツ要求が入力されるとき、そのURLで指示される所在に保存されたデータ放送コンテンツを読み出す。配信装置30は、データ放送コンテンツ要求に対する応答として通信ネットワークを経由して受信装置10に読み出したデータ放送コンテンツを送信する。ブラウジング部130は、配信装置30から通信ネットワーク、通信I/F部122およびデータキャッシュ部124を経由してデータ放送コンテンツを受信することができる。
【0033】
ブラウジング部130は、取得したデータ放送コンテンツを解析(パース(parse))し、取得対象とするコンポーネントの所在、種類および提供方法を特定する。データ放送コンテンツは、例えば、HTML5(hypertext markup language)で記述されたHTML文書として構成される。HTML文書はテキストデータとして表現可能である。HTML5は、マークアップ言語の一種であり、映像や音声の提示を指示可能とする。HTML文書では、video要素を用いて、HTML5において標準のCMAFコンテナを用いて提供される映像コンポーネントの所在からの取得および出力が指示される。video要素は、動画埋込要素とも呼ばれ、videoタグ<video>を用いて記述される。video要素では、映像コンポーネントの他、その映像コンポーネントに付随する音声コンポーネントの所在からの取得および出力の指示を含めることができる。即ち、CMAFコンテナには、時間的に区分された映像コンポーネントと音声コンポーネントの両者が格納される。
【0034】
よって、ブラウジング部130は、取得したHTML文書からvideo要素を検出できるか否かにより、第2提供方式であるCMAF/MMT/TLV方式を用いた第2コンポーネントの提供の有無を判定することができる。また、video要素により、第2コンポーネントとして第2映像コンポーネントが指示されることも、第2映像コンポーネントと第2音声コンポーネントの両者を含めて指示されることもある。ブラウジング部130は、video要素を検出するとき、video要素に記述されたURLをもって第2提供方式で提供される第2コンポーネントの所在を特定することができる。その他、video要素では、映像の出力先とする画面領域の大きさ、映像出力もしくは音声出力の開始時刻もしくは終了時刻などのいずれか、または、それらの組み合わせが指示されることがある。
【0035】
その後、制御情報処理部104は、ブラウジング部130に取得させたデータ放送コンテンツに対する解析結果として第2提供方式を用いた第2コンポーネントの提供の有無をブラウジング部130に照会する(S10)。第2提供方式は、例えば、CMAF/MMT/TLV方式である。CMAF/MMT/TLV方式は、「CMAF・MMT・TLV方式」と呼ばれることもある。より具体的には、制御情報処理部104は、CMAF/MMT/TLV方式を用いた第2コンポーネントの提供の有無を照会するための照会情報をブラウジング部130に出力する。
【0036】
ブラウジング部130は、制御情報処理部104から照会情報が入力されるとき、CMAF/MMT/TLV方式を用いた第2コンポーネントの提供の有無を示す応答情報を制御情報処理部104に返信する。ブラウジング部130は、CMAF/MMT/TLV方式を用いた第2コンポーネントの提供ありと判定するとき、その所在を示すURLを応答情報に含めて制御情報処理部104に出力する。制御情報処理部104は、ブラウジング部130から入力される応答情報に基づいてCMAF/MMT/TLV方式を用いた第2コンポーネントの提供の有無を知得することができる。
【0037】
制御情報処理部104は、第2提供方式を用いて第2コンポーネントが提供されると判定するとき、データキャッシュ部124に対して第2コンポーネントをキャッシュ(一時保存)させる(S12)。より具体的には、制御情報処理部104は、第2コンポーネント取得指令をブラウジング部130から入力された応答情報に含まれるURLを含めてデータキャッシュ部124に発行する。
【0038】
データキャッシュ部124は、制御情報処理部104から入力される第2コンポーネント取得指令に従って、第2提供方式で提供される第2コンポーネントを取得する。データキャッシュ部124は、第2コンポーネント取得指令で指示されるURLを抽出し、抽出したURLが配信元として指定されたデータパケットを通信I/F部122を用いて受信する。
図1の例では、配信元装置は、配信装置30であり、抽出したURLによりCMAFコンテナに格納された第2コンポーネントを提供可能なネットワークノードとして指示される。配信装置30は、所定の伝送方式を用いて第2コンポーネントを受信装置10に送信する。伝送方式として、例えば、MPEG-DASH方式が用いられる。配信装置30は、一定の伝送周期(例えば、数十ms~数秒)ごとに新たな第2コンポーネントをデータパケットに区分して逐次に送出する。
【0039】
データキャッシュ部124は、配信装置30から通信ネットワークと通信I/F部122を経由して受信したデータパケットを時系列順に保存(キャッシュ)することができる。データキャッシュ部124では、CMAFコンテナに格納された時系列順に累積した第2コンポーネントを所定の処理単位(チャンク)ごとに読み出し可能となる。データキャッシュ部124は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリを含んで構成される。
【0040】
ブラウジング部130は、データ放送コンテンツに従って、各種のコンテンツを取得し、取得したコンテンツを提示する。ブラウジング部130は、データ放送コンテンツにおいてvideo要素で指示される第2コンポーネントを取得する。ブラウジング部130は、第2コンポーネントを取得する際、データキャッシュ部124からデータ要求を発行することにより読み取る(S14)。
【0041】
データキャッシュ部124は、ブラウジング部130からデータ要求が入力されるとき、自部にキャッシュされ、未出力の第2コンポーネントを時系列順に読み出し、読み出した第2コンポーネントをブラウジング部130に出力する。データキャッシュ部124は、出力済の第2コンポーネントの記憶領域に対して新たなデータの記憶を許容してもよい。データキャッシュ部124は、未使用の記憶領域が一定量以下となるとき、既にデータが記憶された記憶領域に対してデータが書き込まれた時期が早いほど優先して新たなデータの記憶を許容してもよい。
【0042】
ブラウジング部130は、データキャッシュ部124から取得されCMAFコンテナに格納された第2コンポーネントから第2映像コンポーネントをなす映像データと第2音声コンポーネントをなす音声データを分離する。ブラウジング部130は、分離した映像データを映像復号部132に出力し、音声データを音声復号部134に出力する(S16)。
【0043】
映像復号部132は、制御情報処理部104またはブラウジング部130から入力される映像データに対して所定の映像復号方式を用いて復号処理を行う。映像復号方式は、映像データの符号化に用いられた映像符号化方式(例えば、HEVC:High Efficient Video Coding、VVC:Versatile Video Coding、など)に対応する方式であればよい。映像復号部132は、映像復号処理により得られた映像データをディスプレイ(図示せず)に出力する(映像出力)。ディスプレイは、復号された映像データに基づく映像を表示する。
【0044】
音声復号部134は、制御情報処理部104またはブラウジング部130から入力される音声データに対して所定の音声復号方式を用いて復号処理を行う。音声復号方式は、音声データの符号化に用いられた音声符号化方式(例えば、MPEG-4 Audio)に対応する方式であればよい。音声復号部134は、音声復号処理により得られた音声データをスピーカ(図示せず)に出力する(音声出力)。スピーカは、復号された音声データに基づく音声を放音する。
【0045】
映像データの出力先となるディスプレイ、音声データの出力先となるスピーカは、受信装置10に備わってもよいし、受信装置10とは別体であってもよい。映像データおよび音声データの出力先は、それぞれディスプレイおよびスピーカに限られず、記録装置(例えば、録画機)であってもよい。
【0046】
なお、ブラウジング部130は、取得したHTML文書からvideo要素を検出できないとき、object要素を探索してもよい。object要素は、外部オブジェクト要素とも呼ばれ、objectタグ<object>を用いて記述される。object要素に記述されたURLをもって第1提供方式であるMMT/TLV方式で伝送されるコンポーネントとして第1コンポーネントの所在が指示されることもある。ブラウジング部130は、video要素を特定できない場合には、制御情報処理部104により取得される多重化データからobject要素で指示される第1映像コンポーネントをなす映像データと第1音声コンポーネントをなす音声データを分離してもよい。ブラウジング部130は、分離した映像データを映像復号部132に出力し、分離した音声データを音声復号部134に出力する。
【0047】
次に、本実施形態に係る受信処理の例について説明する。
図2は、本実施形態に係る受信処理を例示するフローチャートである。
(ステップS102)選局処理部108は、操作入力部106から選局チャンネルを示す操作信号を待ち受ける。選局処理部108は、新たな選局チャンネルを示す操作信号が入力されたか否かを判定する。入力されたと判定するとき(ステップS102 YES)、ステップS104の処理に進む。入力されていないと判定するとき(ステップS102 NO)、ステップS102の処理を繰り返す。
【0048】
(ステップS104)選局処理部108は、チャンネルリスト記憶部110に記憶されたチャンネルリストを参照し、特定した選局チャンネルに対応するコンポーネントの提供方式を判定する。選局処理部108は、判定した提供方式を制御情報処理部104に通知する。
(ステップS106)コンポーネントの提供方式がCMAF/MMT/TLV方式である場合(ステップS106 YES)、ステップS108の処理に進む。コンポーネントの提供方式がMMT/TLV方式である場合(ステップS106 NO)、ステップS122の処理に進む。
【0049】
(ステップS108)選局処理部108は、特定した選局チャンネルを放送受信部102に設定する。放送受信部102は、設定された選局チャンネルに対応する放送信号を受信し、受信した放送信号に対して復調処理を行い、多重化データに変換する。放送受信部102は、得られた多重化データを制御情報処理部104に出力する。
(ステップS110)制御情報処理部104は、放送受信部102から入力される多重化データから制御情報を分離する。制御情報処理部104は、分離した制御情報を解析し、データ放送コンテンツの所在を示すURLを特定する。
(ステップS112)制御情報処理部104は、ブラウジング部130を起動し、特定したURLをブラウジング部130に通知する。
【0050】
ブラウジング部130は、制御情報処理部104から通知されたURLで指示される配信装置30からデータキャッシュ部124を経由してデータ放送コンテンツを受信する。配信装置30は、データ放送コンテンツを一定の情報量ごとに細分化してデータパケットに含めて通信で送信する。データキャッシュ部124は、配信装置30から受信した個々のデータパケットを集約し、一連のデータ放送コンテンツを取得する。ブラウジング部130は、受信したデータ放送コンテンツを解析し、CMAF/MMT/TLV方式を用いて提供される第2コンポーネント配信元の所在を示すURLを特定する。ブラウジング部130は、特定したURLを制御情報処理部104に通知する。
【0051】
(ステップS114)制御情報処理部104は、ブラウジング部130から通知されたURLで指示される配信装置30からデータキャッシュ部124に第2コンポーネントを受信させる。データキャッシュ部124は、配信装置30から受信した第2コンポーネントをキャッシュする。第2コンポーネントには、映像データと音声データが含まれる。
(ステップS116)ブラウジング部130は、データキャッシュ部124にキャッシュされた第2コンポーネントを読み取り、読み取った第2コンポーネントから映像データと音声データを分離する。
(ステップS118)ブラウジング部130は、分離した映像データを映像復号部132に出力し、分離した音声データを音声復号部134に出力する。その後、ステップS128の処理に進む。
【0052】
(ステップS122)選局処理部108は、特定した選局チャンネルを放送受信部102に設定する。放送受信部102は、設定された選局チャンネルに対応する放送信号を受信し、受信した放送信号に対して復調処理を行い、多重化データに変換する。放送受信部102は、得られた多重化データを制御情報処理部104に出力する。
(ステップS124)制御情報処理部104は、放送受信部102から入力される多重化データから制御情報を分離する。制御情報処理部104は、分離した制御情報を参照して特定された第1映像コンポーネントと第1音声コンポーネントを多重化データから分離する。
(ステップS126)制御情報処理部104は、分離した第1映像コンポーネントをなす映像データを映像復号部132に出力し、分離した第1音声コンポーネントをなす音声データを音声復号部134に出力する。その後、ステップS128の処理に進む。
【0053】
(ステップS128)映像復号部132は、制御情報処理部104またはブラウジング部130から入力される映像データに対して映像復号処理を行い、復号済みの映像データをディスプレイに出力する。音声復号部134は、制御情報処理部104またはブラウジング部130から入力される音声データに対して音声復号処理を行い、復号済みの音声データをスピーカに出力する。その後、ステップS102の処理に戻る。
【0054】
なお、
図2は第2コンポーネントが通信で提供される場合を例示するが、第2コンポーネントは放送で提供されることもある。その場合、放送装置20は、第2コンポーネントを多重化データの一部として搬送する放送信号を送信する。データ放送コンテンツも放送で提供されてもよい。第2コンポーネントとデータ放送コンテンツの一方または両方は、第1コンポーネントと共通のパッケージに含まれてもよい。第2コンポーネントの所在は、例えば、第2コンポーネントを伝送するパケットID、送信元のIPアドレス、送信元のURLのいずれを用いて表されてもよい。データ放送コンテンツの所在も、データ放送コンテンツを伝送するパケットID、送信元のIPアドレス、送信元のURLのいずれを用いて表されてもよい。
【0055】
データ放送コンテンツが放送で提供される場合、ステップS112において、制御情報処理部104は、提供されたデータ放送コンテンツをデータキャッシュ部124に保存する。ブラウジング部130は、制御情報処理部104から通知される所在を送信元とするパケットに含まれるデータ放送コンテンツをデータキャッシュ部124から読み取る。
第2コンポーネントが放送で提供される場合、ステップS112において、ブラウジング部130は、データ放送コンテンツを解析して得られる第2コンポーネントの所在を制御情報処理部104に通知する。制御情報処理部104は、ステップS114において、受信した多重化データから、ブラウジング部130から通知された所在に従って第2コンポーネントを分離する。制御情報処理部104は、分離した第2コンポーネントをデータキャッシュ部124に保存する。その後、ステップS116の処理に進む。
【0056】
次に、放送信号で伝送される制御情報について説明する。MMT-TLV方式では、多重化データを搬送する放送信号としてTLVストリームが伝送される。
図3は、本実施形態に係るプロトコルスタックの構造の一例を示す図である。例示されるプロトコルスタックは、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)、時刻情報、映像データ、音声データ、字幕データ、MMT-SI、アプリ、EPG(Electronic Programming Guide、電子番組ガイド)、コンテンツダウンロードデータ等の階層を有する。
【0057】
放送番組の映像データおよび音声データを構成する符号群は、MFU(Media Fragment Unit)またはMPU(Media Processing Unit)に区分して配置される。MFUまたはMPUは、MMTP(MMT Protocol)パケットのMMTPペイロードに配置され、MMTPパケットはIP(Internet Protocol)パケットに格納されたうえで放送装置20により伝送される。文字データなどのデータコンテンツは、放送装置20において、所定のデータ量に区分してMMTPパケットに配置され、IPパケットに格納されたうえで伝送される。IPパケットは、放送伝送路を用いて伝送される場合、TLVパケットで伝送される。1個のIPパケットまたは1個のヘッダ圧縮されたIPパケットは、1個のTLVパケットに格納される。
【0058】
MMT-TLV方式では、2種類の制御情報MMT-SI(MMT-Signaling Information)、TLV-SI(TLV-Signaling Information)を多重化して伝送される。MMT-SIは、放送番組の構成などを示す制御情報を含む。MMT-SIでは、MMTの制御メッセージの形式を有し、MMTパケットのMMTPペイロードに配置され、放送装置20によりIPパケットに格納して伝送される。TLV-SIは、IPパケットの多重化に関する制御情報であり、選局のための情報やIPアドレスとサービスとの対応情報を伝達する。本実施形態において「サービス」とは、編成チャンネル、即ち、スケジュール化された放送番組の連続を意味することがある。個々のサービスもしくは編成チャンネルは、サービス識別をもって識別されうる。
【0059】
TMCCは、伝送路上の信号の単位(スロット)ごとに変調方式やエラー訂正方式を指定する階層変調方式において、伝送フレームに挿入して伝送される制御情報である。HEVCは、代表的な映像符号化方式の一種である。映像符号化方式として、VVC(Versatile Video Coding)が用いられてもよい。AAC(Advanced Audio Coding)、ALS(Audio Lossless Coding)およびAC-4は、いずれも音声符号化方式である。UDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)とは、通信に使われるプロトコルの1つである。TLVとは、データの多重化手法の1つであるTLVは、データの符号化をデータタイプ(Type)、長さ(Length)、値(Value)の3つの要素をもって特定される。
【0060】
制御情報は、MMT-TLV方式においてTLVストリームに重畳して伝送される。TLVストリームは、TLVパケットに区分される。TLVパケットには、IPパケットが格納される。TLVパケットには、一定周期でTLV-SIが含まれることがある。TLV-SIは、IPパケットの伝送に関する伝送制御信号である。TLV-SIは、選局のための情報やIPアドレスとサービスとの対応情報を提供する。TLV-SIには、TLV-NIT(Network Information Table)、AMT(Address Map Table)などが含まれる。TLV-NITは、TLVパケットによる伝送において、変調周波数など伝送路の情報と放送番組を関連付ける情報を伝送する情報テーブルである。AMTは、放送番組番号を識別するサービス識別とIPパケットとを関連付ける情報を伝送する情報テーブルである。
【0061】
IPパケットには、1個または複数個のMMTP(MMT Protocol)パケットが格納される。個々のMMTPパケットには、パッケージとMMT-SIを区分して格納される。MMT-SIは、放送番組の構成などを示す伝送制御信号である。MMT-SIは、所要の番組を選択するために必要な情報である。MMT-SIには、MPT、MH-SDT(MH-Service Description Table、MH-サービス記述テーブル)などが含まれる。MPTは、アセットのリストやその位置などパッケージを構成する情報を与える。MH-SDTは、編成チャンネルの名称、放送事業者の名称など、編成チャンネルに関する情報を伝送する情報テーブルである。
【0062】
次に本実施形態に係るチャンネルリストの生成過程の例について説明する。
選局処理部108は、編成チャンネルごとに放送信号を放送受信部102に受信させ、受信させた放送信号に対して復調処理を行い多重化データに変換させる。制御情報処理部104は変換した多重化データから制御情報を抽出する。選局処理部108は、制御情報取得部104から抽出された制御情報を取得する。選局処理部108は、取得した制御情報から放送番組のコンポーネントの提供方式を示す所定の提供方式情報を抽出し、抽出した提供方式情報と編成チャンネルとを対応付けてチャンネルリストに追記する。チャンネルリストは、編成チャンネルごとに提供方式を示す提供方式情報を列挙して構成される。
【0063】
選局処理部108は、例えば、チャンネルスキャンの処理中にチャンネルリストを生成してもよい。チャンネルスキャンにおいて、例えば、編成チャンネルごとに放送信号の電界強度と品質指標が測定される。品質指標として、例えば、搬送波対雑音比(CNR:Carrier-to-Noise Ratio)、BER(Bit Error Rate、ビット誤り率)などが利用可能である。選局処理部108は、測定した品質指標が示す品質が所定の品質よりも高い編成チャンネルに係る提供方式記述子を採用し、その他の提供方式記述子を棄却してもよい。チャンネルスキャンは、例えば、受信装置10の初回使用時、検査時、など、放送番組の視聴を主目的としない場合になされることがある。
【0064】
選局処理部108は、受信信号を復調して得られる制御情報に含まれる提供方式情報が、その受信信号を受信する編成チャンネルに対応する提供方式情報から変化したか否かを判定してもよい。選局処理部108は、変化したと判定する場合、チャンネルリストに記述された、その編成チャンネルに対応する提供方式情報を、抽出される提供方式情報に更新してもよい。
【0065】
特定の編成チャンネルの放送信号から取得される制御情報を構成する情報テーブルによっては、複数の編成チャンネルに係る提供方式記述子が含まれることがある。その場合、選局処理部108は、その特定の編成の放送信号から取得される情報テーブルを参照し、他の編成チャンネルの放送信号から取得される情報テーブルを参照しなくてもよい。
【0066】
選局処理部108は、制御情報からTLV-NITを検出する。TLV-NITは、ネットワーク全体のサービス構成を示す情報である。選局処理部108は、制御情報を構成する情報要素のうち、テーブルID(Table_id)として「0x40」が記述されている情報テーブルをTLV-NIT(actual)として検出し、「0x41」が記述されている情報テーブルをTLV-NIT(other)として検出できる(
図5参照)。TLV-NIT(actual)には、放送ネットワークにおいて自身を伝送する自TLVストリームを用いて提供されるサービスに関する情報が記述される。TLV-NIT(other)には、自身を伝送するTLVストリームとは別個の他TLVストリームを用いて提供される情報が記述される。TLV-NIT(actual)とTLV-NIT(other)は、共通の内容が記述されることもある。その場合、選局処理部108は、TLV-NIT(actual)とTLV-NIT(other)のどちらを参照してもよい。以下の説明では、特に断らない限りTLV-NIT(actual)とTLV-NIT(other)を区別せずにTLV-NITに言及する。
【0067】
選局処理部108は、制御情報からTLV-NITを抽出し、抽出したTLV-NITの第1ループ(1st_loop)から放送ネットワークiごとに記述子領域(descriptor())に記述されたシステム管理記述子(System_Management_Descriptor)を抽出する。第1ループは、ネットワークループとも呼ばれる。
図4に例示されるTLV-NITの構成のうち、第16行の記述子領域を挟むループが第1ループである。但し、最大ループ数(network_descriptor_length)が規定されていないこともある。その場合に、選局処理部108は、放送ネットワークの数を1、即ち、自身を伝送する放送ネットワークが含まれ、他の放送ネットワークが含まれないと判定してもよい。
【0068】
システム管理記述子に記述されるシステム管理識別(system_management_id(
図6))は、放送番組のパッケージをなすコンポーネントの提供方式を表現し、提供方式情報を表す。システム管理識別は、16ビットの値を有する識別子である。システム管理識別は、放送/非放送識別(broadcasting_flag)、放送の標準方式識別(broadcasting_identifier)および詳細の識別(additional_broadcasting_identification)を含んで構成される。放送/非放送識別、放送の標準方式識別および詳細の識別は、それぞれ2ビット、6ビット、8ビットで表現される(
図7)。本実施形態では、放送/非放送識別、放送の標準方式識別、詳細の識別のいずれが、第2提供方式を示す提供方式情報として適用されてもよい。
【0069】
そこで、選局処理部108は、システム管理記述子に記述されたシステム管理識別のうち、放送/非放送識別、放送の標準方式識別、詳細の識別のいずれかを、コンポーネントの提供方式として第2提供方式を示すか否かを示す提供方式情報として抽出する。選局処理部108は、抽出した提供方式情報をその時点で選局されている選局チャンネル(サービス)と対応付けてチャンネルリストに記述する。放送/非放送識別、放送の標準方式識別、詳細の識別のいずれを適用するかは、予め選局処理部108に設定しておく。
【0070】
放送/非放送識別は、対象ネットワークの種類として放送、非放送、放送通信連携のいずれを2ビットの値を用いて示す識別子である。
図8の例では、放送は「00」、非放送は「01」または「10」、放送通信連携「11」で表される。値「11」は、従来放送フラグにおいて未使用であった値である。放送/非放送識別の値が、「11」であるか「00」であるかにより、第2提供方式を示すか第1提供方式を示すかが表される。従って、選局処理部108は、システム管理識別を構成する放送/非放送識別の値を提供方式情報として抽出し、チャンネルリストに記述すればよい。
【0071】
放送の標準方式識別は、対象ネットワークで提供される放送の標準方式を6ビットの値を用いて示す識別子である。
図9の例では、CMAFを利用しない高度地上デジタル放送が「001011」、CMAFを利用する高度地上デジタル放送が「001100」で表される。値「001011」、「001100」は、従来放送の標準方式識別において未定義であった値である。放送の標準方式識別の値が「001011」であるか「001100」であるかにより、第1提供方式を示すか第2提供方式を示すかが表される。従って、選局処理部108は、システム管理識別を構成する放送の標準方式識別の値を提供方式情報として抽出し、チャンネルリストに記述すればよい。
【0072】
詳細の識別は、対象ネットワークで提供されるサービスに関連する情報を8ビットの値を用いて示す識別子である。
図10の例では、CMAFを利用しない高度地上デジタル放送が「0x02」、CMAFを利用する高度地上デジタル放送が「0x03」で表される。詳細の識別において未定義であった値である。詳細の識別の値が「0x02」であるか「0x03」であるかにより、第1提供方式を示すか第2提供方式を示すかが表される。従って、選局処理部108は、システム管理識別を構成する詳細の識別の値を提供方式情報として抽出し、そのサービス(編成チャンネル)と対応付けてチャンネルリストに記述すればよい。
【0073】
選局処理部108は、システム管理記述子(System_Management_Descriptor)に代え、TLV-NITの第2ループ(2nd_loop)からTLVストリームiごとに記述されたサービスリスト記述子(Service_List_Descriptor())を抽出してもよい。第2ループは、TLVストリームループとも呼ばれる。
図4に例示されるTLV-NITの構成のうち、末尾から5行目の記述子領域(descriptor())を挟むループが第2ループである。但し、最大ループ数(TLV_streem_loop_length)が指示されていない場合には、TLVストリームの数は1と判定してもよい。その場合には、対象TLV-NITを伝送するTLVストリームが含まれ、他のTLVストリームが含まれない。
【0074】
サービスリスト記述子に記述されるサービス形式種別(service_type(
図11):サービスタイプ)は、サービス識別(service_id:サービスID)と対応付けられ、そのサービス識別で特定される対象サービスのサービス形式種別を8ビットの値をもって示す識別子である。つまり、サービス形式種別は、TLVストリームで提供されるサービスの種別を示す。
【0075】
図12の例では、デジタルTVサービスが「0x01」で表され、放送通信連携サービスが「0xC3」で表される。サービス形式種別の値が「0x01」であるか「0xC3」であるかにより、第1提供方式を示すか第2提供方式を示すかが表される。
図13の例では、デジタルTVサービスが「0x01」で表され、放送通信連携サービスが「0x03」で表される。サービス形式種別の値が「0x01」であるか「0x03」であるかにより、第1提供方式を示すか第2提供方式を示すかが表される。
図12、
図13のいずれの例においても、選局処理部108は、サービスリスト記述子に記述されたサービス形式種別の値を提供方式情報として抽出し、そのサービス識別と対応付けてチャンネルリストに記述すればよい。
【0076】
上記のサービスリスト記述子と同様の情報は、MH-SDTのMH-サービス記述子(MH-Service_Descriptor())(図示せず)にも記述されうる。そこで、選局処理部108は、制御情報からTLV-NITに代え、MH-SDTを抽出してもよい。選局処理部108は、MH-SDTのサービスループの記述子領域(descriptor())においてサービスiごとにサービス識別(service_id)とともに記述されたMH-サービス記述子からサービス形式種別(service_type)を検出することができる。
図14の例では、MH-SDTのサービスループは、末尾から3~15行の範囲に相当する。選局処理部108は、検出したサービス形式種別の値を提供方式情報として抽出し、そのサービス識別と対応付けてチャンネルリストに記述すればよい。
【0077】
MH-SDTのサービスループには、CMAF使用/不使用識別(use_CMAF_channel)(
図15参照)が記述されうる。CMAF使用/不使用識別は、CMAFを利用する放送サービスであるか否かを示す1ビットの値を示す識別子である。CMAF使用/不使用識別の値が「1」であるか「0」であるかにより、第2提供方式を利用するか否が表される。そこで、選局処理部108は、制御情報からMH-SDTを抽出し、MH-SDTのサービスループの記述子領域にサービスiごとに記述されたCMAF使用/不使用識別を検出することができる。選局処理部108は、検出したCMAF使用/不使用識別の値を提供方式情報として抽出し、そのサービスのサービス識別と対応付けてチャンネルリストに記述すればよい。
【0078】
なお、対象TLVストリームで提供されるサービスの数が1件である場合には、CMAF使用/不使用識別は、MH-SDTのいずれかの未定義領域(reserved)(例えば、TLVストリーム識別(tlv_stream_id)の直後、
図14、15)に相当する領域に記述されうる。その場合には、選局処理部108は、その領域に記述されたCMAF使用/不使用識別を検出すればよい。
【0079】
TLVストリームにおいて伝送されるサービスの情報は、AMTにも記述されうる。AMTは、TLV-NITと同様に受信装置10において不揮発性メモリに保存することが許容されている情報テーブルである。AMTを予め保存しておくことで、その都度、制御情報からAMTを抽出することを要しないので、選局に係る処理時間が短縮される。AMTは、比較的短周期(例えば、5~20秒、参考周期10秒)で伝送されるが、AMTから抽出される情報を取得し、予めチャンネルリストを生成しておいてもよい。AMTは、TLVストリームにおけるサービスの追加、削除または変更の際に更新されるが、一般には、記述内容が更新される可能性は低い。
【0080】
図16に例示されるAMTには、個々のサービス識別(service_id)と対応付けてサービス形式種別(service_type)が記述される。サービス形式種別の値は、
図12または
図13の例と同様に定義されてもよい。この場合には、選局処理部108は、制御情報からAMTを抽出し、抽出したAMTからサービス識別ごとにサービス形式種別を検出する。選局処理部108は、AMTに記述されたサービス形式種別の値を提供方式情報として抽出し、サービス識別と対応付けてチャンネルリストに記述すればよい。
【0081】
図17に例示されるAMTには、個々のサービス識別(service_id)と対応付けてCMAF使用/不使用識別(use_CMAF_channel)が記述される。CMAF使用/不使用識別の値は、
図15の例と同様に定義されてもよい。この場合には、選局処理部108は、制御情報からAMTを抽出し、抽出したAMTからサービス識別ごとにCMAF使用/不使用識別を検出する。選局処理部108は、AMTに記述されたCMAF使用/不使用識別の値を提供方式情報として抽出し、サービス識別と対応付けてチャンネルリストに記述すればよい。
【0082】
なお、上記の説明では、放送信号で搬送される多重化データの多重化方式がMMT-TLV方式である場合を主としたが、これには限られない。多重化方式として、例えば、MMT-TLV方式の後継規格で規定される方式、MPEG-2システムで規定された方式などが適用されてもよい。これらの方式により上記の情報テーブル、記述子、パラメータにそれぞれ対応する情報テーブル、記述子、パラメータの名称が異なることがある。例えば、上記のTLV-NITは、MPEG-2システムでのNITに対応する。上記のMH-SDTは、MPEG-2システムでのSDTに対応する。上記のMPTは、MPEG-2システムでのPMT(Program Map Table)に対応する。MMT-TLV方式におけるアセットは、MPEG-2システムでのエレメンタリストリームに対応する。
【0083】
上記の説明では、制御情報処理部104が、ブラウジング部130に第2コンポーネントの提供の有無をブラウジング部130に照会するための照会情報を発行し、ブラウジング部130が照会情報に対する応答として、第2コンポーネントの提供の有無を示す応答情報を制御情報処理部104に出力する場合を例にしたが、これには限らない。ブラウジング部130は、データ放送コンテンツをなすHTML文書の解析後、第2コンポーネントの提供の有無を示す解析結果情報を自発的に制御情報処理部104に出力してもよい。
【0084】
ブラウジング部130は、CMAF/MMT/TLV方式を用いた第2コンポーネントの提供ありと判定するとき、その所在を示すURLを解析結果情報に含める。制御情報処理部104は、応答情報に代え、解析結果情報に基づいてCMAF/MMT/TLV方式を用いた第2コンポーネントの提供の有無と、提供される場合における第2コンポーネントの所在を示すURLを知得することができる。
また、上記の説明では、データキャッシュ部124は、ブラウジング部130とは別個に構成される場合を例にしたが、データキャッシュ部124は、ブラウジング部130に備わってもよい。
【0085】
以上に説明したように、本実施形態に係る受信装置10は、選局チャンネルに対応する放送ネットワークから少なくとも第1コンポーネントを含むパッケージと制御情報を多重化した多重化データを受信する放送受信部102と、編成チャンネルごとにコンポーネントの提供方式を示すチャンネルリストを参照し、選局チャンネルに対応する提供方式を判定する選局処理部108とを備える。また、受信装置10は、多重化データから制御情報を抽出し、提供方式が第1提供方式である場合、制御情報に基づいて多重化データから抽出した第1コンポーネントを出力し、提供方式が第2提供方式である場合、ブラウジング部130に、制御情報で指示されるデータ放送コンテンツを取得させ、データ放送コンテンツに基づいて取得した第2コンポーネントを出力させる制御情報処理部104と、を備える。
【0086】
第1提供方式は、MMT/TLV方式を用いて映像を含む第1コンポーネントを提供する方式であり、第2提供方式は、CMAF/MMT/TLV方式を用いて映像を含む前記第2コンポーネントを提供する方式であってもよい。
また、本実施形態に係る放送システムS1は、パッケージと制御情報を多重化した多重化データを放送ネットワークに送出する放送装置20と、受信装置10と、を備える放送システムとして実現されうる。
【0087】
この構成によれば、選局チャンネルに対応するコンポーネントの提供方式が第1提供方式であるとき、制御情報とともに多重化して伝送された第1コンポーネントが出力され、当該提供方式が第2提供方式であるとき、ブラウジング部130により放送に係るデータ放送コンテンツが取得され、データ放送コンテンツに基づいて取得される第2コンポーネントが出力される。提供方式が第1提供方式であるとき、第1コンポーネントを出力するために、データ放送コンテンツを取得し、取得したデータ放送コンテンツを解析することを要しない。そのため、データ放送コンテンツを用いて第1提供方式で第1コンポーネントを出力する場合よりも処理時間を低減することができる。
【0088】
受信装置10は、第2コンポーネントをキャッシュするデータキャッシュ部124を備え、ブラウジング部130は、第2コンポーネントを取得するとき、データキャッシュ部124から当該第2コンポーネントを読み取ってもよい。
この構成によれば、データ放送コンテンツにおいて指示される第2コンポーネントがデータキャッシュ部124において保存された後で、ブラウジング部130に提供される。これに対し、本実施形態では第1コンポーネントの出力において、第1コンポーネントをデータキャッシュ部124にキャッシュさせることを要しない。そのため、第1コンポーネントのキャッシュによる遅延を回避することができる。
【0089】
受信装置10は、制御情報から提供方式を示す提供方式情報を編成チャンネルごとに抽出し、提供方式情報を編成チャンネルと対応付けてチャンネルリストを構成する選局処理部108を備えてもよい。
選局処理部108は、制御情報から伝送路の情報とサービスを関連付ける情報を伝送するネットワーク情報テーブル(例えば、TLV-NIT)を抽出し、ネットワーク情報テーブルから各サービスの提供方式情報(例えば、放送/非放送識別、放送の標準方式識別、詳細の識別、サービス形式種別)を抽出してもよい。
選局処理部108は、制御情報からサービスに関する情報を伝送するサービス記述テーブル(例えば、MH-SDT)を抽出し、サービス記述テーブルから各サービスの提供方式情報(例えば、サービス形式種別、CMAF使用/不使用識別)を抽出してもよい。
【0090】
選局処理部108は、制御情報から放送ネットワークで伝送されるIPパケットと放送番組番号を識別するサービス識別とを関連付ける情報を伝送するアドレスマップテーブル(例えば、AMT)を抽出し、アドレスマップテーブルからサービス識別ごとに提供方式情報(例えば、サービス形式種別、CMAF使用/不使用識別)を抽出してもよい。
この構成によれば、放送される制御情報に基づいて編成チャンネルごとの提供方式情報を示すチャンネルリストが設定される。選局処理部108に予めチャンネルリストを設定しておくことで、選局の都度、制御情報から提供方式情報を抽出する処理を要しない。そのため、提供方式情報の取得に係る遅延を回避することができる。
【0091】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。また、各構成の一部が省略または変形されてもよい。
【符号の説明】
【0092】
S1…放送システム、10…受信装置、20…放送装置、30…配信装置、102…放送受信部、104…制御情報処理部、106…操作入力部、108…選局処理部、110…チャンネルリスト記憶部、122…通信I/F部、124…データキャッシュ部、130…ブラウジング部、132…映像復号部、134…音声復号部