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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176470
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】型使用装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 7/28 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B65B7/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095019
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】澁井 将興
【テーマコード(参考)】
3E049
【Fターム(参考)】
3E049AA02
3E049AB03
3E049BA04
3E049CA08
3E049DB02
(57)【要約】
【課題】型をスライド移動可能なレール部を備えながら、レール部を設けることによる不具合をより確実に防止することができる型使用装置を提供する。
【解決手段】型使用装置としてのシール装置は、上側レール部831にて上型が手前側から奥側に向けてスライド移動して上型受け部862と接触する位置又は該位置よりも直手前側の位置に到達した状態となったときに、自動的に、上側レール部831における奥側から手前側に向けた上型のスライド移動を規制可能なロック状態となることが可能に構成された仮止めストッパ871を備える。仮止めストッパ871により奥側から手前側に向けた上型31のスライド移動が自動的に規制されることで、上側レール部831を設けることによるメリットを十分に活かしつつ、上側レール部831を設けることによる不具合をより確実に防止することができる。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な型を用いて加工処理を行うことが可能な型使用装置であって、
前記型の受け入れ部側に相当する手前側から該手前側とは反対の奥側に向けて延び、前記型をスライド移動可能な状態で支持可能な一対のレール部と、
前記レール部にて手前側から奥側に向けて前記型がスライド移動するときに該型と接触することで、手前側から奥側に向けた該型のそれ以上のスライド移動を規制可能な受け部と、
前記型が前記レール部において手前側から奥側に向けてスライド移動して前記受け部と接触する位置又は該位置よりも直手前側の位置に到達した状態となったときに、自動的に、前記レール部における奥側から手前側に向けた前記型のスライド移動を規制可能なロック状態となることが可能に構成された仮止めストッパとを備えることを特徴とする型使用装置。
【請求項2】
前記仮止めストッパは、前記レール部における前記型の移動経路に対し出没可能であり、前記移動経路に対し突出する前記ロック状態と前記移動経路から退避するロック解除状態との間で状態を切換可能に構成されており、
前記仮止めストッパを前記ロック解除状態で保持可能な保持手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の型使用装置。
【請求項3】
前記仮止めストッパに対し前記移動経路側に向けた付勢力を付与するストッパ付勢手段と、
前記レール部の延びる方向に沿って往復移動可能なロッド部と、
前記ロッド部に対し前記仮止めストッパに接近する方向の付勢力を付与するロッド付勢手段と、
手前側から奥側に移動する前記型から力が加わることで、前記ロッド付勢手段から付与される付勢力に抗して、前記ロッド部を前記仮止めストッパから離隔する方向に移動させることが可能な移動力受け部とを備え、
前記保持手段は、
前記仮止めストッパに設けられた第一磁石と、
前記ロッド部に設けられた第二磁石とを有し、
前記ロッド付勢手段からの付勢力によって前記仮止めストッパに接近した状態の前記ロッド部における前記第二磁石に対し、前記仮止めストッパにおける前記第一磁石が付着した状態となることで、前記仮止めストッパが前記ロック解除状態で保持され、
手前側から奥側に移動する前記型から前記移動力受け部へと力が加わり、前記ロッド部が前記仮止めストッパから離隔する方向に移動することで、前記第二磁石から前記第一磁石が離隔して、前記ストッパ付勢手段からの付勢力により前記仮止めストッパが前記ロック解除状態から前記ロック状態に切換わるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の型使用装置。
【請求項4】
前記型を支持した状態で上下動可能な昇降支持部と、
上昇した前記昇降支持部との間で前記型を挟み込んで保持可能な挟持基部とを備え、
前記昇降支持部の上下動に合わせて、前記仮止めストッパが上下動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の型使用装置。
【請求項5】
前記レール部は、外周面に前記型が載置可能であるとともに、該レール部の延びる方向と直交する回動軸を中心として回動可能なローラを、該レール部の延びる方向に沿って複数有しており、
前記昇降支持部は、前記型を支持する支持面が前記ローラの外周面の最上部よりも下方に位置する降下位置と、前記支持面が前記最上部よりも上方に位置して前記挟持基部との間で前記型を挟み込む上昇位置との間で上下動可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の型使用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な型を用いて加工処理を行うことが可能な型使用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上型や下型などの型を用いて各種加工を行うことが可能な型使用装置が広く知られている。例えば、食品などの内容物を収容するためのポケット部を有する容器と、該ポケット部を塞ぐようにして前記容器に取着される蓋フィルムとを備えた密封パックを製造するための型使用装置としては、シール装置がある。シール装置は、上型(上型チャンバ構成部)及び下型(下側チャンバ構成部)を用いて、ワークとしての前記容器に対する蓋フィルムの取着を行う(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
ところで、型の交換やメンテナンスなどのために、型使用装置に対する型の受渡しを行うことがある。ここで、型の受渡しをより容易に行うために、型の搬入・搬出方向に沿って並んだ複数のベアリングを有するとともに、型を下側から支持可能な一対のレール部を備えた型使用装置が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。この装置では、レール部において型を容易にスライド移動させることが可能であり、型使用装置に対する型の受渡しを手作業で行うことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-181330号公報
【特許文献2】特開2014-104605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2に係る型使用装置では、レール部において型をスライド移動させるときに、型を容易に移動させることができる反面、型が作業者の意に反して移動するといった事態が生じやすい。そのため、型使用装置に対する型の着脱時に型が不安定な状態になりやすい等の不具合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、型をスライド移動可能なレール部を備えながら、レール部を設けることによる不具合をより確実に防止することができる型使用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.着脱可能な型を用いて加工処理を行うことが可能な型使用装置であって、
前記型の受け入れ部側に相当する手前側から該手前側とは反対の奥側に向けて延び、前記型をスライド移動可能な状態で支持可能な一対のレール部と、
前記レール部にて手前側から奥側に向けて前記型がスライド移動するときに該型と接触することで、手前側から奥側に向けた該型のそれ以上のスライド移動を規制可能な受け部と、
前記型が前記レール部において手前側から奥側に向けてスライド移動して前記受け部と接触する位置又は該位置よりも直手前側の位置に到達した状態となったときに、自動的に、前記レール部における奥側から手前側に向けた前記型のスライド移動を規制可能なロック状態となることが可能に構成された仮止めストッパとを備えることを特徴とする型使用装置。
【0009】
上記手段1によれば、レール部において型をスライド移動させることができるため、型使用装置に対する型の受渡しを容易に行うことができる。
【0010】
一方、レール部において型がスライド移動可能であるため、型使用装置に対する型の着脱時に型が不安定な状態になりやすい等の不具合が生じるおそれがある。
【0011】
この点、上記手段1によれば、型がレール部において手前側から奥側に向けてスライド移動して受け部と接触する位置又は該位置よりも直手前側の位置に到達した状態となったときに、仮止めストッパが自動的にロック状態となり、レール部における奥側から手前側に向けた型のスライド移動が規制されることとなる。従って、レール部を設けることによるメリットを十分に活かしつつ、レール部を設けることによる不具合をより確実に防止することができる。
【0012】
手段2.前記仮止めストッパは、前記レール部における前記型の移動経路に対し出没可能であり、前記移動経路に対し突出する前記ロック状態と前記移動経路から退避するロック解除状態との間で状態を切換可能に構成されており、
前記仮止めストッパを前記ロック解除状態で保持可能な保持手段を備えることを特徴とする手段1に記載の型使用装置。
【0013】
上記手段2によれば、型使用装置から例えば台車などへと型を移すときに、手などを用いることなく、保持手段によって仮止めストッパをロック解除状態で保持することができる。従って、作業性(利便性)をより高めることができる。
【0014】
手段3.前記仮止めストッパに対し前記移動経路側に向けた付勢力を付与するストッパ付勢手段と、
前記レール部の延びる方向に沿って往復移動可能なロッド部と、
前記ロッド部に対し前記仮止めストッパに接近する方向の付勢力を付与するロッド付勢手段と、
手前側から奥側に移動する前記型から力が加わることで、前記ロッド付勢手段から付与される付勢力に抗して、前記ロッド部を前記仮止めストッパから離隔する方向に移動させることが可能な移動力受け部とを備え、
前記保持手段は、
前記仮止めストッパに設けられた第一磁石と、
前記ロッド部に設けられた第二磁石とを有し、
前記ロッド付勢手段からの付勢力によって前記仮止めストッパに接近した状態の前記ロッド部における前記第二磁石に対し、前記仮止めストッパにおける前記第一磁石が付着した状態となることで、前記仮止めストッパが前記ロック解除状態で保持され、
手前側から奥側に移動する前記型から前記移動力受け部へと力が加わり、前記ロッド部が前記仮止めストッパから離隔する方向に移動することで、前記第二磁石から前記第一磁石が離隔して、前記ストッパ付勢手段からの付勢力により前記仮止めストッパが前記ロック解除状態から前記ロック状態に切換わるように構成されていることを特徴とする手段2に記載の型使用装置。
【0015】
上記手段3によれば、例えば台車などから型使用装置へと型を移す際には、レール部を移動する型から移動力受け部へと力が加わることで、第二磁石から第一磁石が離隔して、仮止めストッパが自動的にロック解除状態からロック状態へと切換わり、ひいてはレール部における奥側から手前側に向けた型のスライド移動を規制可能な状態となる。一方、例えば型使用装置から台車などへと型を移す際には、第二磁石に対し第一磁石を付着させることで、仮止めストッパをロック解除状態(型のスライド移動を許容する状態)で保持することができる。このように上記手段3によれば、電力を用いない比較的簡素な構成によって、型のスライド移動を自動的に規制可能としたり、型のスライド移動を許容した状態で維持したりすることができる。その結果、製造コストの抑制等を効果的に図ることができる。
【0016】
また、上記手段3によれば、例えば型使用装置から台車などへ型を移すときにおいて仮止めストッパをロック解除状態とした場合、その後、特段の操作や処置などを行わずとも、次に手前側から奥側に向けて型をスライド移動させたときには、仮止めストッパが自動的にロック解除状態からロック状態へと切換わることになる。すなわち、ロック解除状態からロック状態へと自動的に切換わることが可能となるように、仮止めストッパなどに対し必ずしも事前の作業を行う必要がない。これにより、作業性や安全性をより高めることができる。
【0017】
手段4.前記型を支持した状態で上下動可能な昇降支持部と、
上昇した前記昇降支持部との間で前記型を挟み込んで保持可能な挟持基部とを備え、
前記昇降支持部の上下動に合わせて、前記仮止めストッパが上下動するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の型使用装置。
【0018】
上記手段4によれば、昇降支持部が上昇して、昇降支持部及び挟持基部で型を挟み込む際に、昇降支持部に合わせて仮止めストッパを上昇させることができる。また、昇降支持部が下降して、昇降支持部及び挟持基部による型の挟持を解除する際に、昇降支持部に合わせて仮止めストッパを下降させることができる。従って、型の挟持や挟持解除の最中における型の移動をより確実に防止することができる。これにより、型の移動に伴う不具合をより確実に防止することができる。
【0019】
手段5.前記レール部は、外周面に前記型が載置可能であるとともに、該レール部の延びる方向と直交する回動軸を中心として回動可能なローラを、該レール部の延びる方向に沿って複数有しており、
前記昇降支持部は、前記型を支持する支持面が前記ローラの外周面の最上部よりも下方に位置する降下位置と、前記支持面が前記最上部よりも上方に位置して前記挟持基部との間で前記型を挟み込む上昇位置との間で上下動可能に構成されていることを特徴とする手段4に記載の型使用装置。
【0020】
上記手段5によれば、レール部に設けられたローラによって、レール部において型をより円滑にスライド移動させることができる。これにより、型使用装置に対する型の受渡しに係る作業負担の低減をより図ることができ、作業性をより一層高めることができる。
【0021】
また、上記手段5によれば、昇降支持部を降下位置に配置した状態において、該昇降支持部における支持面(型を支持する面)はローラの外周面の最上部よりも下方に位置するため、昇降支持部(支持面)によって型のスライド移動が阻害されるといったことがない。一方、昇降支持部を上昇位置に配置した状態において、昇降支持部の支持面はローラの外周面の最上部よりも上方に位置することになる。そのため、支持面及び挟持基部によって型をより安定した状態で保持することができる。
【0022】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。例えば、上記手段2に係る技術事項に対し、上記手段4に係る技術事項を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】密封パックの斜視図である。
図2】密封パックの断面図である。
図3】トレイシーラの概略構成を示す模式図である。
図4】シール装置の概略構成を示す斜視模式図である。
図5】下型対応装置の側面模式図である。
図6】フレームを省略した状態における昇降ブロック等を示す斜視模式図である。
図7】昇降ブロック等の一部破断側面模式図である。
図8図4のJ-J線における一部破断斜視模式図である。
図9】上昇した状態の昇降ブロックなどを示す一部破断側面模式図である。
図10】下降した状態の昇降ブロックなどを示す一部破断側面模式図である。
図11】ロック状態とされた仮止めストッパなどを示す一部破断斜視模式図である。
図12】ロック解除状態とされた仮止めストッパなどを示す一部破断斜視模式図である。
図13】連結されたシール装置及び台車などを示す側面模式図である。
図14】台車の概略構成を示す斜視模式図である。
図15】台車からシール装置へと移される上型等を示す斜視模式図である。
図16】台車からシール装置へと上型を移す際において、スイッチ板に対し上型が接触する様子を示す一部破断平面模式図である。
図17】台車からシール装置へと上型を移す際において、上型によりスイッチ板が押圧されることで、ロッド部及び第二磁石が移動する様子を示す一部破断平面模式図である。
図18】台車からシール装置へと上型を移す際において、第二磁石の移動に伴いロック状態へと切換わる仮止めストッパなどを示す一部破断平面模式図である。
図19】上型を支持した状態で上昇する昇降ブロックなどを示す正面模式図である。
図20】フレーム及び昇降ブロックにより上型を挟持した状態を示す正面模式図である。
図21】上型の戻り移動に伴い、ロック状態へと切換可能な位置に第二磁石が配置される様子を示す一部破断平面模式図である。
図22】別の実施形態において、ロック解除状態とされた仮止めストッパなどを示す一部破断斜視模式図である。
図23】別の実施形態において、ロック解除状態とされた仮止めストッパなどを示す一部破断平面模式図である。
図24】別の実施形態において、台車などからシール装置へと上型を移す際に、スイッチ板に対し上型が接触する様子を示す一部破断平面模式図である。
図25】別の実施形態において、上型によりスイッチ板が押圧されることで、ロッド部及び第二磁石が移動し、溝部から係止ピンが外れる様子を示す一部破断平面模式図である。
図26】別の実施形態において、第二磁石の移動に伴いロック状態へと切換わる仮止めストッパなどを示す一部破断平面模式図である。
図27】別の実施形態において、第一磁石から第二磁石が離隔しているときにおけるロック解除状態とされた仮止めストッパなどを示す一部破断平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本実施形態のトレイシーラによって製造される密封パックについて説明する。
【0025】
図1,2に示すように、密封パック1は、1つのポケット部2を備えた容器3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器3に取着された蓋フィルム4とを有している。尚、図1等では、容器3及び蓋フィルム4を実際よりも厚肉で示している。
【0026】
ポケット部2には、例えば食品等の内容物5が収容されている。容器3及び蓋フィルム4は、実質的に通気性を有しないものとされており、内容物5を密封状態で維持可能である。
【0027】
容器3は、例えばPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。尚、容器3を複数種類の熱可塑性樹脂材料からなる多層構造としてもよい。また、容器3には、ポケット部2の開口端から外側へ延出するようにフランジ部3aが形成されている。
【0028】
一方、蓋フィルム4は、容器3と相溶性のある熱可塑性樹脂により形成されており、前記フランジ部3aに取着されている。尚、蓋フィルム4を、容器3と相溶性のある熱可塑性樹脂からなるシーラントが表面に塗布された薄肉材により構成してもよい。
【0029】
次に、密封パック1を製造するためのトレイシーラ10について説明する。図3に示すように、トレイシーラ10は、フィルム装置11、容器供給装置12、シール装置60及び搬出装置14を備えている。本実施形態では、シール装置60が「型使用装置」に相当する。
【0030】
フィルム装置11は、シール装置60に対し蓋フィルム4の材料となる帯状の蓋フィルム材料51を供給しつつ、蓋フィルム材料51のうち切断後に残ったスクラップ52を巻取るための装置である。
【0031】
容器供給装置12は、シール装置60に対し、ポケット部2に内容物5が収容された容器3を供給するための装置である。本実施形態において、容器供給装置12は、シール装置60に対し、複数個(例えば4個)の容器3を一度に供給する。
【0032】
シール装置60は、上型31及び下型32が着脱可能に構成されており、両型31,32を用いて、容器3のフランジ部3aに対し蓋フィルム4を取着(溶着)する処理を行う。尚、図面では、上型31及び下型32を簡素化して示している。シール装置60は、フランジ部3aに蓋フィルム4を取着するにあたって、蓋フィルム材料51を切断して蓋フィルム4を得る機能を備えている。シール装置60のより詳細な構成については、後に説明する。
【0033】
尚、上型31や下型32は、それぞれ約150kgの重量物である。また、本実施形態において、上型31には、その上面から突出する一対のピン部31aが設けられている(図15参照)。ピン部31aは、シール装置60に対する上型31の位置決めなどに用いられる。
【0034】
搬出装置14は、シール装置60により製造された密封パック1を、シール装置60から取出しつつ、所定の下流位置まで搬送するための装置である。
【0035】
次いで、シール装置60について説明する。図4に示すように、シール装置60は、下型対応装置70及び上型対応装置80を備えている。以下では、上型31や下型32の受け入れ部に相当する側(図4における右下側)を「手前側」とし、該奥側とは反対側(図4における左上側)を「奥側」という。尚、「手前側」は、シール装置60へと上型31や下型32を移すとき等に作業者などが位置する側ということができる。
【0036】
初めに下型対応装置70について説明する。下型対応装置70は、下型32の取付に係る機能や、取外された下型32をスライド移動可能に支持する機能などを有する装置である。下型対応装置70は、図4,5に示すように、下側レール部71、下型側面ガイド部72及び下型受け部73を備えている。
【0037】
下側レール部71は、手前側から奥側に向けて水平に延びるとともに、下型32をスライド移動可能な状態で支持するためのものである。下側レール部71は、平行に一対設けられており、各下側レール部71には、回動可能な下型用ローラ71aが複数設けられている。下側レール部71により支持された下型32は、各下型用ローラ71aの外周面に載置された状態となる。下型用ローラ71aが回動することにより、下型32は、下側レール部71にて円滑にスライド移動可能である。
【0038】
下型側面ガイド部72は、下側レール部71により支持された下型32の側面に対応する部位である。下型側面ガイド部72は、下側レール部71により支持された下型32を左右に挟む位置に一対設けられている。各下型側面ガイド部72は、下側レール部71における下型32のスライド移動をガイドする役割を有する。
【0039】
下型受け部73は、下側レール部71にて手前側から奥側に向けて下型32がスライド移動するときに該下型32と接触することで、手前側から奥側に向けた該下型32のそれ以上のスライド移動を規制する。下型受け部73は、各下型側面ガイド部72に1つずつ設けられており、下型側面ガイド部72における奥側内面から突出した突起部によって構成されている。
【0040】
また、下型対応装置70は、下型32を下側レール部71から浮かせた状態で、該下型32を保持可能な保持機構(不図示)を備えている。該保持機構は、下型32の挟持やねじ止めなどによって下型32を保持する。前記保持機構により下型32を保持した状態とすることで、下型対応装置70に対し下型32が取付けられた状態となる。
【0041】
次いで、上型対応装置80について説明する。上型対応装置80は、上型31の取付に係る機能や、取外された上型31をスライド移動可能に支持する機能などを有する装置である。
【0042】
上型対応装置80は、図4,6~8に示すように、フレーム81、案内軸部82、固定ブロック83、持ち上げばね84、シリンダ85、昇降ブロック86及びストッパ機構87を備えている。尚、図6は、フレーム81を省略した状態における昇降ブロック86等を示す斜視模式図であり、図7は、昇降ブロック86等の一部破断側面模式図である。また、図8は、図4のJ-J線における一部破断斜視模式図である。
【0043】
フレーム81は、上型31の上方に位置する構造体であり、上型対応装置80の基部に相当する部位である。フレーム81は、昇降ブロック86との間で上型31を挟持することで、上型31を保持する役割などを有する。尚、フレーム81の下面には、前記ピン部31aを挿通可能な穴部(不図示)が設けられている。本実施形態では、フレーム81が「挟持基部」を構成する。
【0044】
案内軸部82は、フレーム81の両側部下方の固定ブロック83を支持するとともに、昇降ブロック86の昇降移動をガイドする役割などを有する。案内軸部82は、鉛直方向に延びる柱状をなしており、各固定ブロック83に対応して手前側及び奥側に1本ずつ設けられている。各案内軸部82は、上端部がフレーム81に固定される一方、下端部が固定ブロック83に固定されており、フレーム81及び固定ブロック83を連結している。
【0045】
各固定ブロック83は、フレーム81に対し相対変位不能に構成されており、上型31をスライド移動可能な状態で支持する機能などを有するものである。固定ブロック83は、手前側から奥側に向けて延びる上側レール部831を備えている。上側レール部831は、平行に一対設けられており、各上側レール部831には、上型用ローラ831aが複数設けられている。本実施形態では、上側レール部831が「レール部」を構成し、上型用ローラ831aが「ローラ」を構成する。
【0046】
上型用ローラ831aは、上側レール部831の延びる方向に沿って間隔をあけて複数設けられており、上側レール部831の延びる方向と直交する回動軸を中心として回動可能である。上側レール部831により支持された上型31は、各上型用ローラ831aの外周面に載置された状態となり、その結果、上側レール部831の延びる方向に沿って円滑にスライド移動可能となる。
【0047】
持ち上げばね84は、昇降ブロック86とともに、該昇降ブロック86によって支持された上型31を上動させる役割を有する。持ち上げばね84は、固定ブロック83及び昇降ブロック86間に介在されており、手前側から奥側に向けて間隔をあけて複数(例えば5つ)設けられている。各持ち上げばね84は、上下方向に圧縮変形した状態で設けられており、上向きの付勢力を昇降ブロック86へと加えることで、昇降ブロック86を上動させる。
【0048】
尚、本実施形態においては、持ち上げばね84から昇降ブロック86に加わる付勢力が非常に大きなものとされており、持ち上げばね84からの付勢力のみによって、昇降ブロック86及び該昇降ブロック86により支持された上型31を上動した状態(持ち上げた状態)で維持することが可能となっている。これにより、シール装置60に上型31が取付けられている状態において、万が一シリンダ85が正常動作しない状態となった場合であっても上型31が下動することを防止でき、その結果、安全性をより高めることが可能となっている。
【0049】
シリンダ85は、例えばエアシリンダや油圧シリンダ等からなり、昇降ブロック86の上下動を制御するための機器である。シリンダ85は、図示しない操作装置を用いて、作業者等により操作される。
【0050】
シリンダ85は、各昇降ブロック86の裏側(上型31の配置位置とは反対側)に一対ずつ設けられており、これらシリンダ85は、フレーム81及び昇降ブロック86間に介在されている。シリンダ85は、フレーム81に対し接離する方向の力を昇降ブロック86に加えることで、持ち上げばね84から加わる付勢力に抗して昇降ブロック86を下動させたり、持ち上げばね84と協働して昇降ブロック86を上動させたりすることが可能である(図9,10参照)。
【0051】
昇降ブロック86は、上型31を持ち上げて、フレーム81との間で上型31を挟持する等の機能を有する構造体である。昇降ブロック86は、上型31を挟む位置関係で一対設けられており、各昇降ブロック86における手前側及び奥側には、鉛直方向に延びるスライド孔861が設けられている。スライド孔861には案内軸部82が挿通されており、これにより、昇降ブロック86は、案内軸部82によりガイドされた状態で上下動可能となっている。
【0052】
また、各昇降ブロック86の奥側には、内側(上型31の配置空間側)に向けて突出する上型受け部862が形成されている。上型受け部862は、上側レール部831にて手前側から奥側に向けて上型31がスライド移動するときに該上型31と接触することで、手前側から奥側に向けた該上型31のそれ以上のスライド移動を規制する。本実施形態では、上型受け部862が「受け部」を構成する。
【0053】
さらに、各昇降ブロック86の下部には、内側(上型31の配置空間側)に向けて突出する昇降支持部863が設けられている。昇降支持部863は、上型31の幅方向端縁部を持ち上げて支持するための突起部である。昇降支持部863は、手前側から奥側に向けて間隔をあけて複数設けられており、平面視したときに、各昇降支持部863の間に上型用ローラ831aが位置する構成となっている。すなわち、平面視したときに、昇降支持部863及び上型用ローラ831aが一列に並ぶ構成となっている。
【0054】
さらに、昇降支持部863は、シリンダ85の動作に伴い昇降ブロック86が上下動することによって、降下位置と上昇位置との間で上下動可能である。降下位置とは、昇降支持部863における上面、つまり、上型31を支持する支持面863aが、上型用ローラ831aの外周面の最上部よりも下方に位置することとなる位置をいい、本実施形態では、最大限降下したときの位置をいう。上昇位置とは、支持面863aが前記最上部よりも上方に位置して、フレーム81との間で上型31を挟み込む位置をいう。
【0055】
本実施形態において、シール装置60に対する上型31の受渡時には、昇降支持部863が降下位置に配置される。一方、シール装置60(上型対応装置80)に対する上型31の取付時には、昇降支持部863が上昇位置に配置される。昇降支持部863とフレーム81との間で上型31を挟み込んで(クランプして)保持した状態となることで、シール装置60に対し上型31が取付けられた状態となる。
【0056】
尚、上型31が適正位置から手前側又は奥側にずれた位置に配置されている場合には、昇降支持部863を上昇させたとしても、上型31のピン部31aが邪魔になり、昇降支持部863を上昇位置へと配置することはできない。上型31が適正位置に配置されている状態となって初めて、フレーム81の前記穴部に対しピン部31aが挿通可能となり、その結果、フレーム81及び昇降支持部863により上型31を挟持することが可能である。
【0057】
ストッパ機構87は、シール装置60へと上型31を移すときに、上型受け部862から加わる反力などにより、上型31が手前側へと戻り移動することを防止するためのものである。ストッパ機構87は、両昇降ブロック86のうちの一方に組み込まれており、昇降ブロック86(昇降支持部863)の上下動に合わせて上下動する。
【0058】
ストッパ機構87は、図11,12に示すように、仮止めストッパ871、ストッパ付勢ばね872、ロッド部873、ロッド付勢ばね874、スイッチ板875及びペア磁石876を備えている。尚、図11,12等は、昇降ブロック86の一部を破断した上で、ストッパ機構87のうち、昇降ブロック86の手前側に位置する部位と昇降ブロック86の奥側に位置する部位とを示すものである。本実施形態では、ストッパ付勢ばね872が「ストッパ付勢手段」を構成し、同様に、ロッド付勢ばね874が「ロッド付勢手段」を、スイッチ板875が「移動力受け部」を、ペア磁石876が「保持手段」を、それぞれ構成する。
【0059】
仮止めストッパ871は、上型31と接触することで、手前側から奥側に向けた上型31のスライド移動(戻り移動)を規制する。仮止めストッパ871は、上側レール部831における上型31の移動方向と直交する方向に往復移動可能に構成されており、上側レール部831における上型31の移動経路に対し出没可能とされている。そして、仮止めストッパ871は、往復移動に伴い、上型31の移動経路に対し突出するロック状態(図11の状態)と、該移動経路から退避するロック解除状態(図12の状態)との間で状態を切換可能となっている。
【0060】
ロック状態とは、上側レール部831における奥側から手前側に向けた上型31のスライド移動を規制可能な状態をいう。ロック解除状態とは、上側レール部831における上型31のスライド移動を許容する状態をいう。
【0061】
また、仮止めストッパ871における上型31の移動経路とは反対側の部位には、第一取付ピン871aが突出形成されている。第一取付ピン871aは、ストッパ付勢ばね872の取付対象となる部位である。
【0062】
ストッパ付勢ばね872は、仮止めストッパ871に対し、上型31の移動経路側に向けた付勢力を付与するためのものである。ストッパ付勢ばね872は、一端部が前記第一取付ピン871aに取付けられ、他端部が昇降ブロック86に設けられた第二取付ピン864に取付けられている。
【0063】
ロッド部873は、先端部が仮止めストッパ871側に位置し、基端部がスイッチ板875に取付けられた棒状部品である。ロッド部873は、上側レール部831の延びる方向(該ロッド部873の長手方向)に沿って往復移動可能とされている。
【0064】
ロッド付勢ばね874は、ロッド部873に対し、仮止めストッパ871に接近する方向の付勢力を付与するためのものである。ロッド付勢ばね874は、ロッド部873と直列的に配置されており、圧縮された状態でロッド部873と昇降ブロック86とによって挟み込まれた状態となっている。
【0065】
スイッチ板875は、手前側から奥側に移動する上型31から力が加わることで、ロッド付勢ばね874から付与される付勢力に抗して、ロッド部873を仮止めストッパ871から離隔する方向に移動させるためのものである。スイッチ板875は、昇降ブロック86における奥側に設けられており(図6等参照)、上型31の移動経路とほぼ直交する方向に延びる長板状をなしている。そして、スイッチ板875は、その長手方向一端部が上型31の移動経路に突出し、その長手方向他端部がロッド部873の基端部に取付けられている。
【0066】
本実施形態では、上型31が手前側から奥側へと移動し、上型受け部862と接触する位置の直手前側に位置したときに、スイッチ板875に対し上型31が接触した状態となる。この状態で、さらに上型31が奥側へと移動することで、スイッチ板875が所定の通常位置(上型31から力が加わっていないときに配置される位置)よりも奥側へと押し込まれ、その結果、ロッド部873が仮止めストッパ871から離隔する方向に移動する。従って、本実施形態では、上型31が上型受け部862と接触する位置又は該位置よりも直手前側に位置に到達した段階で、ロッド部873が仮止めストッパ871から離隔する方向に移動する。
【0067】
ペア磁石876は、仮止めストッパ871をロック解除状態で維持するためのものである。本実施形態において、ペア磁石876は、仮止めストッパ871の側面に設けられた第一磁石876a(図16等参照)と、ロッド部873の先端部に設けられた第二磁石876bとによって構成されている。
【0068】
そして、ロッド付勢ばね874からの付勢力によって仮止めストッパ871に接近した状態のロッド部873における第二磁石876bに対し、仮止めストッパ871における第一磁石876aが付着した状態となることで、仮止めストッパ871がロック解除状態で保持されるようになっている。一方、両磁石876a,876bが付着した状態(ロック解除状態)においては、手前側から奥側に移動する上型31からスイッチ板875へと力が加わり、ロッド部873が仮止めストッパ871から離隔する方向に移動することで、第二磁石876bから第一磁石876aが離隔する。その結果、ストッパ付勢ばね872からの付勢力により、仮止めストッパ871が上型31の移動経路へと突出して、ロック解除状態からロック状態に切換わるようになっている。
【0069】
上記のようにストッパ機構87が構成されることにより、仮止めストッパ871は、上型31が上側レール部831において手前側から奥側に向けてスライド移動して上型受け部862と接触する位置又は該位置よりも直手前側の位置に到達した状態となったときに、自動的に、ロック状態となる。
【0070】
次いで、上型31及び下型32を支持可能な所定の台車100(図14参照)からシール装置60へと上型31や下型32を移す際におけるストッパ機構87の動作や、シール装置60に移された上型31をシール装置60に取付ける際における昇降ブロック86等の動作について説明する。
【0071】
まず、上側レール部831にて上型31をスライド移動可能とすべく、仮止めストッパ871をロック解除状態として、上型31の移動経路から退避した状態とする。また、シリンダ85によって、持ち上げばね84からの付勢力に抗して昇降ブロック86を下げた状態とし、昇降支持部863を降下位置に配置した状態とする。
【0072】
その上で、上型31及び下型32を支持した状態の台車100をシール装置60に対し連結する(図13参照)。
【0073】
尚、台車100は、上型31をスライド移動可能な状態で支持可能な台車側上部レール部101と、下型32をスライド移動可能な状態で支持可能な台車側下部レール部102とを備えている(図14参照)。両レール部101,102は、上型31や下型32が載置される回動可能な台車側ローラ101a,102aを備えており、該台車側ローラ101a,102aによって上型31及び下型32を円滑にスライド移動可能となっている。シール装置60に対し台車100を連結した状態においては、上側レール部831及び台車側上部レール部101、並びに、下側レール部71及び台車側下部レール部102がそれぞれ直列的に並んだ状態となる。また、これらレール部71,101,102,831が水平状態となる。
【0074】
シール装置60に対し台車100を連結した後、台車100側からシール装置60側へと上型31及び下型32をスライド移動させる(図15参照)。上型31や下型32の移動は、特別な器具などを用いることなく、手作業で行うことができる。
【0075】
そして、上型31が上型受け部862に接触することとなる位置の直手前の位置まで移動すると、スイッチ板875に対し上型31が接触した状態となる(図16参照)。そして、上型31がさらに奥側に移動していくと、上型31によってスイッチ板875が押圧されることで、ロッド部873ひいては第二磁石876bが仮止めストッパ871(第一磁石876a)から離隔する方向に移動する(図17参照)。これにより、ストッパ付勢ばね872からの付勢力によって、仮止めストッパ871が上型31の移動経路に突出し、その結果、自動的に(作業者等がロックのための特段の操作を行うことなく)ロック解除状態からロック状態に切換わることとなる(図18参照)。
【0076】
仮止めストッパ871がロック状態に切換わった後には、シリンダ85の動作を制御することで、持ち上げばね84からの付勢力を利用して、昇降ブロック86(昇降支持部863)及びこれに支持された上型31を上動させる(図19参照)。このとき、仮止めストッパ871は、昇降ブロック86(昇降支持部863)の上動に合わせて上動する。
【0077】
そして、昇降ブロック86(昇降支持部863)及びフレーム81により上型31を挟み込んだ状態とすることで、シール装置60に対し上型31が取付けられた状態となる(図20参照)。本実施形態では、上型31に対し、持ち上げばね84からの付勢力のみならず、シリンダ85からの引き上げ力が加わることで、シール装置60に対し上型31が非常に安定した状態で取付けられるようになっている。
【0078】
一方、シール装置60に移された下型32は、上述の保持機構によってシール装置60に取付けられる。
【0079】
また、ロック状態となった後には、ロッド付勢部874からの付勢力により、ロッド部873及び第二磁石876bが仮止めストッパ871に接近した状態に戻ることが可能である(図21参照)。そのため、上型31の交換やメンテナンスなどを行うべく、シール装置60から台車100などへと上型31を移すときには、上型31の移動経路から退避する方向に仮止めストッパ871を押し込むこと等により、第二磁石876bに第一磁石876aを付着させて、ロック状態からロック解除状態へと切換えることができる。
【0080】
尚、シール装置60からの上型31の取外しは、昇降ブロック86を下動させて、フレーム81及び昇降支持部863による上型31の挟持を解除することで行うことができる。昇降ブロック86の下動時、仮止めストッパ871は、昇降ブロック86(昇降支持部863)の下動に合わせて下動する。
【0081】
以上詳述したように、本実施形態によれば、上側レール部831において上型31をスライド移動させることができるため、シール装置60に対する上型31の受渡しを容易に行うことができる。特に本実施形態では、上側レール部831に設けられた上型用ローラ831aによって、上側レール部831において上型31をより円滑にスライド移動させることができる。これにより、シール装置60に対する上型の受渡しに係る作業負担の低減をより図ることができ、作業性をより一層高めることができる。
【0082】
加えて、上型31が上側レール部831において手前側から奥側に向けてスライド移動して上型受け部862と接触する位置又は該位置よりも直手前側の位置に到達した状態となったときに、仮止めストッパ871が自動的にロック状態となるように構成されている。従って、上側レール部831を設けることによるメリットを十分に活かしつつ、上側レール部831を設けることによる不具合をより確実に防止することができる。
【0083】
また、ペア磁石876によって仮止めストッパ871をロック解除状態で保持することができるため、作業性(利便性)をより高めることができる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、電力を用いない比較的簡素な構成のストッパ機構87によって、上型31のスライド移動を自動的に規制可能としたり、上型31のスライド移動を許容した状態で維持したりすることができる。その結果、製造コストの抑制等を効果的に図ることができる。
【0085】
併せて、例えばシール装置60から台車100などへ型を移すときにおいて仮止めストッパ871をロック解除状態とした場合、その後、特段の操作や処置などを行わずとも、次に手前側から奥側に向けて上型31をスライド移動させたときには、仮止めストッパ871が自動的にロック解除状態からロック状態へと切換わることになる。すなわち、ロック解除状態からロック状態へと自動的に切換わることが可能となるように、仮止めストッパ871などに対し必ずしも事前の作業を行う必要がない。これにより、作業性や安全性をより高めることができる。
【0086】
さらに、昇降支持部863が上昇して、昇降支持部863及びフレーム81で上型31を挟み込む際に、昇降支持部863に合わせて仮止めストッパ871を上昇させることができる。また、昇降支持部863が下降して、昇降支持部863及びフレーム81による上型31の挟持を解除する際に、昇降支持部863に合わせて仮止めストッパ871を下降させることができる。従って、上型31の挟持や挟持解除の最中における上型31の移動をより確実に防止することができる。これにより、上型31の移動に伴う不具合をより確実に防止することができる。
【0087】
加えて、昇降支持部863を降下位置に配置した状態において、該昇降支持部863における支持面863aは上型用ローラ831aの外周面の最上部よりも下方に位置するため、昇降支持部863(支持面863a)によって上型31のスライド移動が阻害されるといったことがない。一方、昇降支持部863を上昇位置に配置した状態において、支持面863aは上型用ローラ831aの外周面の最上部よりも上方に位置することになる。そのため、支持面863a及びフレーム81によって上型31をより安定した状態で保持することができる。
【0088】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0089】
(a)上記実施形態では、仮止めストッパ871をロック解除状態で保持する手段として、ペア磁石876を挙げているが、その他の手段を利用してもよい。例えば、仮止めストッパ871がロッド部873の先端部に係止されることで、仮止めストッパ871をロック解除状態で保持可能に構成してもよい。尚、この構成においては、例えば、スイッチ板875に対する上型31の接触に伴い、ロッド部873が仮止めストッパ871から離隔する方向に移動することで、ロッド部873に対する仮止めストッパ871の係止が解除されて、ロック解除状態からロック状態へと自動的に切換わるようにしてもよい。
【0090】
(b)さらに、仮止めストッパ871をロック解除状態で保持する手段として、図22,23に示すように、ペア磁石876(第一磁石876a,876b)に加えて、係止ピン871b及び被係止部877を利用してもよい。つまり、保持手段は、係止ピン871b及び被係止部877を有するものであってもよい。
【0091】
係止ピン871bは、被係止部877に係止されることで、仮止めストッパ871をロック解除状態で保持可能なものであり、仮止めストッパ871に突出形成されている。被係止部877は、係止ピン871bが係止されるものであって、奥側に向けて開口した、係止ピン871bを配置可能な溝部877aを有している。そして、第二磁石876bに第一磁石876aが付着し、かつ、被係止部877に対し係止ピン871bが係止された状態となることで、仮止めストッパ871をロック解除状態とすることが可能となっている。従って、被係止部877及び係止ピン871bが設けられることで、ペア磁石876のみにより仮止めストッパ871をロック解除状態で保持する場合と比べて、ロック解除状態をより確実に保持可能である。
【0092】
ここで、台車100等からシール装置60へと上型31を移すとき(上型31の搬入時)、及び、シール装置60から台車100等へと上型31を移すとき(上型31の搬出時)における、係止ピン871b及び被係止部877を有するストッパ機構87の動作について説明する。
【0093】
尚、本例において、仮止めストッパ871における基端側部位(上型31の移動経路とは反対側に位置する部位)は、昇降ブロック86における手前側の面に露出した被操作部871cとなっている。この被操作部871cを操作すること(例えば、被操作部871cに指を引っ掛けて動かすこと)により、仮止めストッパ871をスライド移動させることが可能である。
【0094】
上型31の搬入にあたって、仮止めストッパ871がロック状態となっている場合には、まず、仮止めストッパ871をロック解除状態として、上型31の移動経路から仮止めストッパ871を退避した状態とする。すなわち、被操作部871cを操作すること等により、仮止めストッパ871を上型31の移動経路から離隔する方向にスライド移動させることで、仮止めストッパ871をロック解除状態とする。このとき、ロッド付勢ばね874からの付勢力によって、ロッド部873は仮止めストッパ871に接近した状態となっているため、第二磁石876bに第一磁石876aが付着し、被係止部877に対し係止ピン871bが係止されることで、仮止めストッパ871がロック解除状態となる(図22,23参照)。
【0095】
尚、上型31の搬出は、仮止めストッパ871をロック解除状態とした上で行われるため、上型31の搬出後には、通常、仮止めストッパ871はロック解除状態となっている。そのため、(上型31の搬出後に行われる)上型31の搬入時には、通常、仮止めストッパ871は既にロック解除状態となっている。従って、基本的には、上記のように仮止めストッパ871をロック状態からロック解除状態へと切換える必要はない。
【0096】
次いで、台車100等側からシール装置60側へと上型31をスライド移動させることで、スイッチ板875に対し上型31が接触した状態となる(図24参照)。その上で、上型31が奥側に移動していくと、上型31によってスイッチ板875が押圧されることで、ロッド部873ひいては第二磁石876bが仮止めストッパ871(第一磁石876a)から離隔する方向に移動する。そして、両磁石876a,876bが付着した状態でロッド部873が奥側に移動することで、溝部877aから係止ピン871bが抜けて、被係止部877に対する係止ピン871bの係止が解除される(図25参照)。さらに、上型31がさらに奥側へと移動していくと、両磁石876a,876bが離隔する。その結果、ストッパ付勢ばね872からの付勢力によって、仮止めストッパ871が上型31の移動経路に突出し、仮止めストッパ871がロック解除状態からロック状態に切換わることとなる(図26参照)。
【0097】
尚、本例では、ロッド部873のストローク量(往復範囲)が比較的大きなものとなるように設定されており、仮止めストッパ871(第一磁石876a)から第二磁石876bをより大きく引き離すことが可能となっている。そのため、仮止めストッパ871をロック解除状態からロック状態へとより確実に切換えることが可能である。
【0098】
次に、上型31の搬出時について説明する。上型31の搬出にあたっては、まず、仮止めストッパ871をロック状態からロック解除状態へと切換える。すなわち、被操作部871cを操作すること等により、仮止めストッパ871を上型31の移動経路から離隔する方向にスライド移動させることで、被係止部877の溝部877aへと係止ピン871bを配置した状態とする(図27参照)。これにより、被係止部877へと係止ピン871bが係止されて、仮止めストッパ871がロック解除状態になり、また、このロック解除状態が維持される。
【0099】
尚、上型31を搬出する際には、上型31によってスイッチ板875が奥側に押し込まれて、ロッド部873や第二磁石876bが仮止めストッパ871から大きく離れた状態となっている。そのため、両磁石876a,876bではなく、係止ピン871b及び被係止部877によって、仮止めストッパ871がロック解除状態となる。従って、係止ピン871b及び被係止部877は、仮止めストッパ871をロック解除状態からロック状態へとより確実に切換可能とすべく、両磁石876a,876bをより大きく引き離し可能とした構成において、両磁石876a,876bを付着させることができない状態であっても、仮止めストッパ871をロック解除状態とするためのものであるとも言える。
【0100】
仮止めストッパ871をロック解除状態とした後には、上型31を手前側へと移動させていくことで、上型31が搬出される。上型31が手前側へと移動していくことで、ロッド付勢ばね874からの付勢力によってロッド部873及び第二磁石876bが仮止めストッパ871に接近していく。そして最終的に、両磁石876a,876bが付着した状態となり、仮止めストッパ871のロック解除状態がより確実に保持されることとなる。
【0101】
(c)上記実施形態において、仮止めストッパ871は直線的に往復移動可能に構成されているが、仮止めストッパ871を円弧状の経路に沿って往復移動可能(つまり旋回可能)に構成してもよい。
【0102】
(d)上記実施形態において、ストッパ機構87は上型31に対応して設けられているが、下型32に対応して設けてもよい。勿論、ストッパ機構87を上型31及び下型32の双方に対応して設けてもよい。
【0103】
また、上記実施形態において、ストッパ機構87は、両昇降ブロック86の一方にのみ組み込まれているが、両昇降ブロック86のそれぞれにストッパ機構87を組み込んでもよい。
【0104】
(e)上記実施形態におけるストッパ機構87は、電力を用いることなく、上型31の移動力を利用して、仮止めストッパ871を自動的にロック解除状態からロック状態へと切換えるように構成されている。これに対し、ストッパ機構として、電力を用いて、仮止めストッパを自動的にロック解除状態からロック状態へと切換えるものを採用してもよい。このようなストッパ機構としては、例えば、上型31の位置を検知可能な位置検知センサ、及び、該位置検査センサによる検知結果に基づき、上型31の移動経路に対し仮止めストッパ871を出没させることが可能な駆動装置(例えばソレノイドなど)を備えたものを挙げることができる。
【0105】
(f)上記実施形態において、シール装置60に対する上型31の取付は、昇降支持部863及びフレーム81により上型31を挟み込むことでなされているが、シール装置60に対する上型31の取付手法は、これに限られるものではない。従って、例えば、ねじ止め等によって、シール装置60に対する上型31の取付を行うようにしてもよい。
【0106】
(g)上記実施形態において、上側レール部831は上型用ローラ831aを備えているが、上型用ローラ831aを設けることなく、上側レール部831において上型31をスライド移動可能に構成してもよい。例えば、上側レール部831における上型31と接触する面を摺動性に優れた樹脂材料により構成することで、上型31をスライド移動可能としてもよい。
【0107】
(h)上記実施形態では、「型使用装置」としてシール装置60を挙げているが、「型使用装置」は、上型及び下型を用いて各種加工処理を行う機械であればよく、シール装置60に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0108】
31…上型(型)、60…シール装置(型使用装置)、81…フレーム(挟持基部)、831…上側レール部(レール部)、831a…上型用ローラ(ローラ)、862…上型受け部(受け部)、863…昇降支持部、863a…支持面、871…仮止めストッパ、872…ストッパ付勢ばね(ストッパ付勢手段)、873…ロッド部、874…ロッド付勢ばね(ロッド付勢手段)、875…スイッチ板(移動力受け部)、876…ペア磁石(保持手段)、876a…第一磁石、876b…第二磁石。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27