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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176471
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車両用のエンジンユニット
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20241212BHJP
   F02M 35/112 20060101ALI20241212BHJP
   F02M 61/16 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F02M35/104 A
F02M35/112
F02M35/104 B
F02M61/16 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095021
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】辻 勇佑
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066BA30
(57)【要約】
【課題】車両の衝突時に吸気マニホールドから燃料供給管をより確実に保護できるようにする。
【解決手段】ダッシュパネル2の前方に配置される車両用のエンジンユニット3であって、シリンダヘッド5の吸気マニホールド取付面10に接合されるフランジ部12、フランジ部12よりも上方に設置されるサージタンク13、及びサージタンク13とフランジ部12とを連結する複数の分岐管14A~14Cを有する樹脂製の吸気マニホールド11と、燃料供給管19と複数の分岐管14A~14Cの下流部との間に配置されるカバー部25を有し、吸気マニホールド11がダッシュパネル2に衝突したときの複数の分岐管14A~14Cが破断する領域を制限する保護部材24とを備え、保護部材24は、カバー部25の後部に接続して上方に突出し、燃料供給管19の後方を覆う突出部32を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルの前方に配置される車両用のエンジンユニットであって、
後斜め上方に向くように傾斜する吸気マニホールド取付面を有するシリンダヘッドと、
前記吸気マニホールド取付面に接合されるフランジ部、前記フランジ部よりも上方に設置されるサージタンク、及び前記サージタンクと前記フランジ部とを連結する複数の分岐管を有する樹脂製の吸気マニホールドと、
前記エンジンユニットと前記吸気マニホールドとの間の空間に設置され、車幅方向に延びる燃料供給管と、
前記燃料供給管と前記複数の分岐管の下流部との間に配置されるカバー部を有し、前記吸気マニホールドが前記ダッシュパネルに衝突したときの前記複数の分岐管が破断する領域を制限する保護部材とを備え、
前記保護部材は、前記カバー部の後部に接続して上方に突出し、前記燃料供給管の後方を覆う突出部を有することを特徴とする車両用のエンジンユニット。
【請求項2】
前記突出部は、車幅方向の寸法が前記カバー部の車幅方向の寸法よりも小さく、前記カバー部の車幅方向の中央部に接続することを特徴とする請求項1に記載の車両用のエンジンユニット。
【請求項3】
前記カバー部は、前記分岐管の上側に位置する凸状部と、隣り合う前記分岐管の間に位置する凹状部とを有する波板状に形成され、
前記突出部は、前記凸状部の位置に接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用のエンジンユニット。
【請求項4】
前記保護部材は、前記フランジ部に接続して固定するための固定部を有し、
前記固定部は、前記凹状部に配置されることを特徴とする請求項3に記載の車両用のエンジンユニット。
【請求項5】
前記カバー部と前記突出部とが一体形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用のエンジンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のエンジンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の衝突時に吸気マニホールドから燃料供給管を保護するために、吸気マニホールドに保護部材を設け、吸気マニホールドの分岐管の破断する位置を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-63448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、車両の衝突時に吸気マニホールドがダッシュパネルに衝突すると、吸気マニホールドのうちの破断位置よりも上流部分が、燃料供給管の上方で前方に移動するように構成されている。
しかしながら、衝突の状況や破断位置によっては、上流部分が燃料供給管に衝突することを完全に避けられないこともありえる。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、車両の衝突時に吸気マニホールドから燃料供給管をより確実に保護できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用のエンジンユニットは、ダッシュパネルの前方に配置される車両用のエンジンユニットであって、後斜め上方に向くように傾斜する吸気マニホールド取付面を有するシリンダヘッドと、前記吸気マニホールド取付面に接合されるフランジ部、前記フランジ部よりも上方に設置されるサージタンク、及び前記サージタンクと前記フランジ部とを連結する複数の分岐管を有する樹脂製の吸気マニホールドと、前記エンジンユニットと前記吸気マニホールドとの間の空間に設置され、車幅方向に延びる燃料供給管と、前記燃料供給管と前記複数の分岐管の下流部との間に配置されるカバー部を有し、前記吸気マニホールドが前記ダッシュパネルに衝突したときの前記複数の分岐管が破断する領域を制限する保護部材とを備え、前記保護部材は、前記カバー部の後部に接続して上方に突出し、前記燃料供給管の後方を覆う突出部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の衝突時に吸気マニホールドから燃料供給管をより確実に保護できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る車両の一部を示す右側面図である。
図2】実施例に係るエンジンユニットの一部の断面図である。
図3】実施例に係るエンジンユニットの一部の断面図である。
図4】実施例に係る吸気マニホールドを示す斜視図である。
図5】実施例に係る吸気マニホールドの一部を示す平面図である。
図6】実施例に係る吸気マニホールドの一部の断面図である。
図7】実施例に係る保護部材を示す右側面図である。
図8】車両の衝突時に吸気マニホールドが破断する状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る車両用のエンジンユニットは、ダッシュパネル(2)の前方に配置される車両用のエンジンユニット(3)であって、後斜め上方に向くように傾斜する吸気マニホールド取付面(10)を有するシリンダヘッド(5)と、前記吸気マニホールド取付面(10)に接合されるフランジ部(12)、前記フランジ部(12)よりも上方に設置されるサージタンク(13)、及び前記サージタンク(13)と前記フランジ部(12)とを連結する複数の分岐管(14A~14C)を有する樹脂製の吸気マニホールド(11)と、前記エンジンユニット(3)と前記吸気マニホールド(11)との間の空間に設置され、車幅方向に延びる燃料供給管(19)と、前記燃料供給管(19)と前記複数の分岐管(14A~14C)の下流部との間に配置されるカバー部(25)を有し、前記吸気マニホールド(11)が前記ダッシュパネル(2)に衝突したときの前記複数の分岐管(14A~14C)が破断する領域を制限する保護部材(24)とを備え、前記保護部材(24)は、前記カバー部(25)の後部に接続して上方に突出し、前記燃料供給管(19)の後方を覆う突出部(32)を有する。
これにより、車両の衝突時に吸気マニホールド(11)から燃料供給管(19)をより確実に保護できるようになる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
図1は、車両の一部を示す右側面図である。本願において、車両1の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向と定義し、エンジンユニット3の各方向も車両1に搭載された状態での方向をいうものとする。
【0011】
図1に示すように、車両1は、ダッシュパネル2を備える。車両1において、ダッシュパネル2に対して前方にエンジンルーム1Aが構成され、ダッシュパネル2に対して後方に車室1Bが構成される。
【0012】
エンジンルーム1Aには、内燃機関であるエンジンユニット3が搭載される。エンジンユニット3は、3気筒のエンジンユニットであり、シリンダブロック4と、シリンダブロック4の上部に設けられたシリンダヘッド5と、シリンダヘッド5の上部に設けられたシリンダヘッドカバー6と、シリンダブロック4の下部に設けられた不図示のオイルパンとを備える。
シリンダブロック4は、不図示のピストンを収容するシリンダ7を有するとともに、不図示のクランクシャフトを収納する。ピストンの上下方向の往復運動が、不図示のコネクティングロッドを介してクランクシャフトの回転運動に変換される。
シリンダヘッド5には、3つの吸気ポート8が設けられる。吸気ポート8は、車幅方向、すなわち左右方向に並んで配置される。シリンダヘッド5の後壁面において、吸気ポート8の上流側の端面は、後斜め上方に向くように傾斜する吸気マニホールド取付面10を構成する。
また、シリンダヘッド5には、3つの排気ポート9が設けられる。排気ポート9は、吸気ポート8と同様に車幅方向に並んで配置される。
また、シリンダヘッド5及びシリンダヘッドカバー6内には動弁室が形成され、それぞれ不図示の、吸気カムを備える吸気カムシャフトと、排気カムを備える排気カムシャフトとが収容される。
【0013】
シリンダヘッド5の後壁面の吸気マニホールド取付面10には、樹脂製の吸気マニホールド11が取り付けられる。吸気マニホールド11は、シリンダヘッド5及びシリンダヘッドカバー6とダッシュパネル2との間に位置する。
以下、図2乃至図8を参照して、吸気マニホールド11について説明する。図2は、エンジンユニット3の一部の断面図(図1のA-A線断面図)である。図3は、エンジンユニット3の一部の断面図(図2のB-B線断面図)である。図4は、吸気マニホールド11を示す斜視図である。図5は、吸気マニホールド11の一部を示す平面図である。図6は、吸気マニホールド11の一部の断面図(図5のC-C線断面図)である。図7は、保護部材24を示す右側面図である。図8は、車両1の衝突時に吸気マニホールド11が破断する状態を説明するための図である。
【0014】
吸気マニホールド11は、吸気マニホールド取付面10に接合されるフランジ部12と、フランジ部12よりも上方に設置されるサージタンク13と、サージタンク13とフランジ部12とを連結する3つの分岐管14A~14Cがユニット化された分岐管ユニット14とを有する。
【0015】
サージタンク13には、不図示のエアクリーナで浄化された吸入空気が導入される。
【0016】
分岐管ユニット14は、サージタンク13に連通する3つの分岐管14A~14Cがユニット化されたものである。3つの分岐管14A~14Cは、車幅方向に並んで配置され、サージタンク13に接続し、湾曲しながら下方に延出して、吸気マニホールド取付面10に向かうように延出する。
【0017】
フランジ部12は、分岐管ユニット14の下流側の端面に一体形成されて、車幅方向に延びる板状に構成される。図4図6に示すように、フランジ部12の左側上部及び右側下部には、ボス部15、16が設けられる。また、シリンダヘッド5の後壁面には、吸気マニホールド取付面10の一部を構成するように、ボス部15、16に対応するボス部が設けられる。フランジ部12を吸気マニホールド取付面10に合わせた状態で、ボス部15、16にボルト17を締結することにより、フランジ部12が吸気マニホールド取付面10に接合する。吸気マニホールド取付面10が後斜め上方に向くように傾斜するので、フランジ部12も後斜め上方に向くように傾斜する姿勢になる。フランジ部12が吸気マニホールド取付面10に接合することにより、分岐管14A~14Cがシリンダヘッド5の各吸気ポート8に連通する。
【0018】
図2に示すように、シリンダヘッド5の後部には、複数の燃料噴射弁18が設けられる。燃料噴射弁18は、1つの吸気ポート8に対して2つ設けられており、吸気ポート8に燃料を噴射する。
また、燃料噴射弁18に接続する燃料供給管であるデリバリパイプ19が設置される。デリバリパイプ19は、車幅方向に延びて、不図示の燃料タンクから供給される燃料を各燃料噴射弁18に分配、供給する。図1に示すように、デリバリパイプ19は、シリンダヘッド5及びシリンダヘッドカバー6と吸気マニホールド11との間の空間に設置されて、サージタンク13及び分岐管ユニット14によって上方、後方及び下方が覆われる。
【0019】
吸気マニホールド11についてさらに詳述すると、分岐管ユニット14は、上流側分岐管ユニット20と、下流側分岐管ユニット21とに分割構成される。上流、下流は、吸入空気の流れる方向を基準とし、サージタンク13側が上流で、吸気ポート8側が下流である。
【0020】
上流側分岐管ユニット20には、分岐管14A~14Cの上流部となる上流側分岐管部20A~20Cが形成される。3つの上流側分岐管部20A~20Cは、車幅方向に並んで配置され、サージタンク13に接続し、湾曲しながら下方に延出する。上流側分岐管ユニット20の下流側の端面には、フランジ部22が設けられる。フランジ部22は、デリバリパイプ19と略同じ高さ位置で、吸気マニホールド取付面10に向き合う。
【0021】
下流側分岐管ユニット21には、分岐管14A~14Cの下流部となる下流側分岐管部21A~21Cが形成される。3つの下流側分岐管部21A~21Cは、車幅方向に並んで配置され、吸気マニホールド取付面10に向かうように直線状に延びる。下流側分岐管ユニット21の下流側の端面に、フランジ部12が設けられる。また、下流側分岐管ユニット21の上流側の端面には、フランジ部23が設けられる。このフランジ部23を、上流側分岐管ユニット20のフランジ部22に接合することにより、上流側分岐管ユニット20と下流側分岐管ユニット21とが一体化される。図1に示すように、フランジ部22、23の接合面に沿った仮想平面Mを創出した場合に、仮想平面Mが後方から前斜め上方に傾斜し、かつ、デリバリパイプ19の上方を通過するように傾斜する。
【0022】
サージタンク13に導入された吸入空気は、上流側分岐管ユニット20の3つの上流側分岐管部20A~20Cに分配された後、下流側分岐管ユニット21の3つの下流側分岐管部21A~21Cに導入されて、各吸気ポート8に供給される。燃料噴射弁18から噴射される燃料は、吸入空気と混合され、この混合気がシリンダ7で燃焼することにより、ピストンの往復運動が行われる。シリンダ7で燃焼された排気ガスは、排気ポート9を通して外部に排出される。
【0023】
ここで、図4図6に示すように、吸気マニホールド11には、保護部材24が設けられる。保護部材24は、デリバリパイプ19と下流側分岐管ユニット21との間に配置されるカバー部25を有する。これにより、後述するように、車両の衝突時に、吸気マニホールド11がダッシュパネル2に衝突したときの3つ分岐管14A~14C(分岐管ユニット14)が破断する領域を制限することができる。
【0024】
カバー部25は、中央の分岐管14Bの下流部となる下流側分岐管部21Bの上側に位置する凸状部25bと、左右の分岐管14A、14Cの下流部となる下流側分岐管部21A、21Cの上側に位置する凸状部25a、25cと、これら凸状部25a~25c間をつなぎ、隣り合う分岐管14A~14Cの間に位置する凹状部25d、25eとを有する波板状に形成される。凸状とは上向きに凸状となることをいい、凹状とは下向きに凸状となることをいう。このようにカバー部25を波板状にすることにより、平板状にする場合と比べて、剛性を高めて、変形しにくくすることができる。また、右側の凹状部25d及びそれにつながる凸状部25a、25bの一部は、フランジ部12の方向に延出する延出部25fを構成する。このようにフランジ部12の方向に延出する延出部25fを設けることにより、剛性を高め、変形しにくくすることができる。
【0025】
右側の凹状部25dの上部には、円筒状の上側ボス部材26が取り付けられる。カバー部25の凹状部25dが延出部25fを構成し、そこに上側ボス部材26の外周部に連結されるので、上側ボス部材26によってカバー部25を補強することができる。
また、左側の凹状部25eの下部には、下向きに突出するブラケット27が設けられ、ブラケット27に円筒状の下側ボス部材28が取り付けられる。カバー部材24にブラケット27が連結されることによってカバー部25を補強することができる。
上側ボス部材26及び下側ボス部材28には、それぞれボルト29が挿通される。これらボルト29は、フランジ部12に設けられたボス部30、31のボルト穴を挿通して、シリンダヘッド5の吸気マニホールド取付面10に締結される。このように、吸気マニホールド11をシリンダヘッド5に固定するボルト29を利用して、保護部材24をシリンダヘッド5に強固に固定できる。これら上側ボス部材26及び下側ボス部材28が、フランジ部12に接続して固定するための固定部を構成する。
【0026】
カバー部25の後部には、上方に突出する突出部32が一体形成される。カバー部25と突出部32との曲げ部には、補強のためにビード加工が施される。突出部32は、デリバリパイプ19の後方を覆うようにして、分岐管ユニット14とデリバリパイプ19との間に配置される。突出部32は、車幅方向の寸法がカバー部25の車幅方向の寸法よりも小さく、カバー部25の車幅方向の中央部の凸状部25bに接続する。これにより、突出部32を有する保護部材24が大型化し、重くなるのを避けることができる。また、突出部32を凸状部25bに接続することにより、突出部32がカバー部25側に倒れにくい構造にすることができる。
【0027】
また、下流側分岐管ユニット21の各下流側分岐管部21A~21Cの上部にはそれぞれ一対の上部リブ33が一体形成される。上部リブ33は、細長い形状を有し、フランジ部12から上流に向かって延びる。このように上部リブ33を設けることによって、下流側分岐管ユニット21の剛性を高めることができる。図6に示すように、下流側分岐管部21A、21Bの上部リブ33は、保護部材24のカバー部25の下面に接触する。
【0028】
また、下流側分岐管ユニット21の各下流側分岐管部21A~21Cの下部にはそれぞれ一対の下部リブ34が一体形成される。下部リブ34は、細長い形状を有し、フランジ部12から上流に向かって延び、図3に示すように、フランジ部12とフランジ部23とを連結する。このように下部リブ34を設けることによって、下流側分岐管ユニット21の剛性を高めることができる。
【0029】
図3に示すように、上部リブ33の前後方向長さは、下部リブ34の前後方向の長さより短くなっている。また、図4図5に示すように、上部リブ33の前後方向長さは、カバー部25の前後方向の長さよりも長くなっている。また、図3に示すように、上部リブ33の後端は、デリバリパイプ19の後方に位置する。
【0030】
このようにしたエンジンユニット3においては、車両1の衝突時、吸気マニホールド11の分岐管ユニット14がダッシュパネル2に衝突すると、ダッシュパネル2により上流側分岐管ユニット20が前方に押されて、下流側分岐管ユニット21がフランジ部12を起点として上方に曲げ荷重を受ける。その際、保護部材24のカバー部25が下流側分岐管ユニット21に接触して、カバー部25で覆う部分が上方に変形することを規制する。したがって、分岐管ユニット14が破断する領域は、カバー部25の後部よりも上流側に制限される。
【0031】
この場合、上流側分岐管ユニット20のフランジ部22及び下流側分岐管ユニット21のフランジ部23に荷重が集中して、フランジ部22とフランジ部23との接合面で破断しやすい。
上流側分岐管ユニット20の大部分は、デリバリパイプ19よりも上方に位置しているため、フランジ部22、23の接合面で破断したときに、上流側分岐管ユニット20は、デリバリパイプ19の上方で前方に移動し、デリバリパイプ19に衝突しないようになっている。しかも、図1に示すように、フランジ部22、23の接合面に沿った仮想平面Mが後方から前斜め上方に傾斜し、かつ、デリバリパイプ19の上方を通過するように傾斜するので、フランジ部22、23の接合面で破断したときに、上流側分岐管ユニット20をデリバリパイプ19の上方で前方に移動させることができる。
また、衝突の状況によって、吸気マニホールド11のうちの破断位置よりも上流部分(この場合、上流側分岐管ユニット20)がデリバリパイプ19に衝突することを完全に避けられない場合にも、上流部分が保護部材24の突出部32に衝突するので、デリバリパイプ19を保護することができる。
【0032】
また、フランジ部22、23の接合面で破断すると述べたが、他の位置で破断することもありえる。例えば、図8に示すように、下流側分岐管ユニット21において、フランジ部23よりも下流側の根元部分、具体的には上部リブ33の後端よりも後方(上流側)の位置で破断することがありえる。
このように下流側分岐管ユニット21が破断したときは、フランジ部22、23の接合面で破断したときと比べて、上流側分岐管ユニット20に下流側分岐管ユニット21のフランジ部23側の根元部分を加えた部分が前方に移動するので、デリバリパイプ19に衝突しやすくなる。
このように破断位置によって、吸気マニホールド11のうちの破断位置よりも上流部分(この場合、上流側分岐管ユニット20に下流側分岐管ユニット21の一部を加えた部分)がデリバリパイプ19に衝突することを完全に避けられない場合にも、上流部分が保護部材24の突出部32に衝突するので、デリバリパイプ19を保護することができる。
【0033】
また、上流部分がデリバリパイプ19の上方で前方に移動した後、落下してデリバリパイプ19に衝突してしまう可能性もあるが、この場合にも、保護部材24の突出部32によりデリバリパイプ19を保護することができる。
【0034】
以上述べたように、デリバリパイプ19と複数の分岐管14A~14Cの下流部との間に配置されるカバー部25を有し、吸気マニホールド11がダッシュパネル2に衝突したときの分岐管14A~14Cが破断する領域を制限する保護部材24を備え、保護部材24は、カバー部25の後部に接続して上方に突出し、デリバリパイプ19の後方を覆う突出部32を有するので、車両の衝突時に吸気マニホールド11からデリバリパイプ19をより確実に保護できるようになる。そして、破断領域の制限と、吸気マニホールド11の破断後のデリバリパイプ19のガードとを一つの部材である保護部材24で行うので、軽量かつコンパクトに収めることができる。
【0035】
以上、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明したが、各実施例は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、各実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
3:エンジンユニット、5:シリンダヘッド、10:吸気マニホールド取付面、11:吸気マニホールド、12:フランジ部、13:サージタンク、14:分岐管ユニット、14A~14C:分岐管、19:デリバリパイプ、20:上流側分岐管ユニット、20A~20C:上流側分岐管部、21:下流側分岐管ユニット、21A~21C:下流側分岐管部、24:保護部材、25:カバー部、25a~25c:凸状部、25d、25e:凹状部、26:上側ボス部材、27:ブラケット、28:下側ボス部材、32:突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8