(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176474
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】風船及び風船用ポンプ具
(51)【国際特許分類】
A63H 27/10 20060101AFI20241212BHJP
A63H 5/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A63H27/10 D
A63H27/10 C
A63H27/10 G
A63H5/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095027
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】397000067
【氏名又は名称】株式会社タイガーゴム
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩史
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA01
2C150DA17
2C150DE02
2C150DF01
2C150DF36
2C150DH01
2C150EB11
2C150EB26
2C150EG23
(57)【要約】
【課題】人の口で膨らませにくいように構成された風船を提供すること。
【解決手段】風船の口部に口筒1Aが装着されている。口筒1Aの下面4には注入口7が設けられている。口筒1Aは、口筒1Aの外周壁3と口筒1Aを咥える人の口60との間に呼気抜け隙間Sを形成するスペーサ部20を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部に口筒が装着されるとともに、前記口筒の下面に注入口が設けられた風船であって、
前記口筒は、前記口筒の外周壁と前記口筒を咥える人の口との間に呼気抜け隙間を形成するスペーサ部を備えている風船。
【請求項2】
前記口筒は、前記外周壁から外側に突出するとともに前記外周壁の周方向に離間して配設された複数のリブ片部を、前記スペーサ部として備えており、
前記外周壁の周方向に隣り合う前記リブ片部間の空間が前記呼気抜け隙間の少なくとも一部とされている請求項1記載の風船。
【請求項3】
前記リブ片部が前記口筒の前記注入口の高さ位置よりも下側に延出している請求項2記載の風船。
【請求項4】
前記口筒は、前記外周壁から外側に突出するとともに前記外周壁の周方向に離間して配設された2個のリブ片部と、前記両リブ片部の突出端部を連結するとともに前記外周壁に対して外側に離間して前記外周壁の周方向に延びた周片部とからなる一つ又は複数の呼気抜け枠部を、前記スペーサ部として備えており、
前記呼気抜け枠部の内側空間が前記呼気抜け隙間の少なくとも一部とされている請求項1記載の風船。
【請求項5】
前記リブ片部が前記口筒の前記注入口の高さ位置よりも下側に延出している請求項4記載の風船。
【請求項6】
前記周片部が前記口筒の前記注入口の高さ位置よりも下側に延出している請求項4又は5記載の風船。
【請求項7】
風船の飛行時に風船の飛行方向とは逆方向に流れる空気流を前記周片部が受けて風船がその軸線を中心に回転するように前記周片部が配置されている請求項4又は5記載の風船。
【請求項8】
前記周片部の両側縁部の少なくとも一方に前記外周壁の外側方向に突出したひれ片部が形成されている請求項4又は5記載の風船。
【請求項9】
前記口筒は、前記外周壁から外側に突出するとともに前記口筒の前記注入口の高さ位置よりも下側に延出し、更に前記外周壁の周方向に離間して配設された複数のリブ片部と、前記複数のリブ片部の下端部を連結するとともに前記外周壁に対して外側で且つ下側に離間して前記外周壁の周方向の全周に亘って延びた周片部とからなる呼気抜け枠部を、前記スペーサ部として備えており、
前記外周壁の周方向に隣り合う前記リブ片部間の空間が前記呼気抜け隙間とされている請求項1記載の風船。
【請求項10】
前記周片部の外径が、前記口筒を咥える人の口を開けたときの最大口径よりも大きく設定されている請求項9記載の風船。
【請求項11】
前記口筒は、風船用ポンプ具の吹出し部に設けられた口筒装着部に、風船を膨らます際に装着されるものであり、
前記スペーサ部が前記外周壁の周方向に離間して複数、配設されており、
前記外周壁における周方向に隣り合う前記スペーサ部間の部分に、前記ポンプ具に設けられた係止片が前記口筒装着部に装着された前記口筒を保持するために係脱自在に係止する被係止部が形成されている請求項1~3のいずれかに記載の風船。
【請求項12】
請求項11記載の風船を膨らますために風船内に流体を注入する風船用ポンプ具であって、
内側に流体室が形成されたポンプ具本体と、前記流体室の流体を吹き出す吹出し部と、前記吹出し部に前記流体室と連通して設けられ且つ風船内に流体を注入する際に風船の口筒が装着される口筒装着部と、前記口筒装着部に装着された前記口筒を保持するために係脱自在に係止する係止片と、を備え、
前記係止片は、前記口筒の外周壁における周方向に隣り合うスペーサ部間の部分に形成された被係止部を係止するものである風船用ポンプ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部に口筒が装着された風船及び当該風船を膨らます際に用いられるポンプ具に関する。
【0002】
なお本明細書及び特許請求の範囲では、風船の上下方向について、説明の便宜上、
図1に示すように、風船の口部側に進む方向を風船の下方向とし、その反対方向を風船の上方向とする。
【背景技術】
【0003】
風船として例えば、風船内部からの空気噴射によって空中を飛行するジェット風船が知られている。このジェット風船は、例えば、野球、サッカー等のスポーツ観戦時の応援グッズとして用いられており、一般にジェット風船の口部には略短円筒状の口筒が装着されている(例えば特許文献1-3参照)。口筒の下面の中央部には注入口が設けられており、風船を膨らます場合は、人が口に口筒を咥えて呼気(息)を口筒の注入口から風船内に吹き込む(注入する)ことにより、風船を膨らます。さらに、口筒は、風船の飛行時に風船内の空気が注入口から噴射することにより吹鳴音が発するように構成されている。
【0004】
また、風船を膨らます途中で何らかの拍子で口筒(詳述すると口筒の注入口)から風船内の空気が漏れ出てしまったり、風船を膨らました後で風船を飛ばす時機になる前に油断して風船が手から離れて飛び去ったりすることがあるが、このようなことをなくすため、特許文献4には、風船の口筒を発射台に設けられた口筒装着部に装着し、この状態で発射台に設けられた吹込み筒部を口に咥えて呼気を風船内に吹き込んで風船を膨らますように構成された風船発射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-218986号公報
【特許文献2】特開2004-89518号公報
【特許文献3】特開2015-13219号公報
【特許文献4】特開2010-154910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して近年、新型コロナウィルス、インフルエンザウィルスなどの各種ウィルスに対する感染対策のため、人の呼気を避ける傾向にあるが、従来の風船では、風船の口筒から噴射される空気は人の呼気であるため、感染対策に不安がある。
【0007】
本発明は上述した技術背景に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、人の口では膨らませにくいように構成された風船、及び当該風船を膨らます際に用いられる風船用ポンプ具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
1) 口部に口筒が装着されるとともに、前記口筒の下面に注入口が設けられた風船であって、
前記口筒は、前記口筒の外周壁と前記口筒を咥える人の口との間に呼気抜け隙間を形成するスペーサ部を備えている風船。
【0010】
2) 前記口筒は、前記外周壁から外側に突出するとともに前記外周壁の周方向に離間して配設された複数のリブ片部を、前記スペーサ部として備えており、
前記外周壁の周方向に隣り合う前記リブ片部間の空間が前記呼気抜け隙間の少なくとも一部とされている前項1記載の風船。
【0011】
3) 前記リブ片部が前記口筒の前記注入口の高さ位置よりも下側に延出している前項2記載の風船。
【0012】
4) 前記口筒は、前記外周壁から外側に突出するとともに前記外周壁の周方向に離間して配設された2個のリブ片部と、前記両リブ片部の突出端部を連結するとともに前記外周壁に対して外側に離間して前記外周壁の周方向に延びた周片部とからなる一つ又は複数の呼気抜け枠部を、前記スペーサ部として備えており、
前記呼気抜け枠部の内側空間が前記呼気抜け隙間の少なくとも一部とされている前項1記載の風船。
【0013】
5) 前記リブ片部が前記口筒の前記注入口の高さ位置よりも下側に延出している前項4記載の風船。
【0014】
6) 前記周片部が前記口筒の前記注入口の高さ位置よりも下側に延出している前項4又は5記載の風船。
【0015】
7) 風船の飛行時に風船の飛行方向とは逆方向に流れる空気流を前記周片部が受けて風船がその軸線を中心に回転するように前記周片部が配置されている前項4~6のいずれかに記載の風船。
【0016】
8) 前記周片部の両側縁部の少なくとも一方に前記外周壁の外側方向に突出したひれ片部が形成されている前項4~7のいずれかに記載の風船。
【0017】
9) 前記口筒は、前記外周壁から外側に突出するとともに前記口筒の前記注入口の高さ位置よりも下側に延出し、更に前記外周壁の周方向に離間して配設された複数のリブ片部と、前記複数のリブ片部の下端部を連結するとともに前記外周壁に対して外側で且つ下側に離間して前記外周壁の周方向の全周に亘って延びた周片部とからなる呼気抜け枠部を、前記スペーサ部として備えており、
前記外周壁の周方向に隣り合う前記リブ片部間の空間が前記呼気抜け隙間とされている前項1記載の風船。
【0018】
10) 前記周片部の外径が、前記口筒を咥える人の口を開けたときの最大口径よりも大きく設定されている前項9記載の風船。
【0019】
11) 前記口筒は、風船用ポンプ具の吹出し部に設けられた口筒装着部に、風船を膨らます際に装着されるものであり、
前記スペーサ部が前記外周壁の周方向に離間して複数、配設されており、
前記外周壁における周方向に隣り合う前記スペーサ部間の部分に、前記ポンプ具に設けられた係止片が前記口筒装着部に装着された前記口筒を保持するために係脱自在に係止する被係止部が形成されている前項1~10のいずれかに記載の風船。
【0020】
12) 前項11記載の風船を膨らますために風船内に流体を注入する風船用ポンプ具であって、
内側に流体室が形成されたポンプ具本体と、前記流体室の流体を吹き出す吹出し部と、前記吹出し部に前記流体室と連通して設けられ且つ風船内に流体を注入する際に風船の口筒が装着される口筒装着部と、前記口筒装着部に装着された前記口筒を保持するために係脱自在に係止する係止片と、を備え、
前記係止片は、前記口筒の外周壁における周方向に隣り合うスペーサ部間の部分に形成された被係止部を係止するものである風船用ポンプ具。
【発明の効果】
【0021】
本発明は以下の効果を奏する。
【0022】
前項1では、風船の口部に装着された口筒は呼気抜け隙間を形成するスペーサ部を備えていることにより、人が口に口筒を咥えて呼気を風船内に吹き込もうとしても呼気が呼気抜け隙間から抜けるため、口で風船を膨らませにくくすることができる。
【0023】
前項2では、口筒は複数のリブ片部をスペーサ部として備え、外周壁の周方向に隣り合うリブ片部間の空間が呼気抜け隙間の少なくとも一部とされているので、簡素な構成で呼気抜け隙間を形成することができる。
【0024】
前項3では、リブ片部が口筒の注入口の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒を咥えにくくすることができる。そのため、口で風船を更に膨らませにくくすることができる。
【0025】
前項4では、口筒は一つ又は複数の呼気抜け枠部をスペーサ部として備え、呼気抜け枠部の内側空間が呼気抜け隙間の少なくとも一部とされているので、呼気抜け隙間を確実に形成することができる。さらに、呼気抜け枠部において2個のリブ片部が周片部により補強されるので、呼気抜け隙間を確実に確保することができる。
【0026】
前項5では、リブ片部が口筒の注入口の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒を咥えにくくすることができる。そのため、口で風船を更に膨らませにくくすることができる。
【0027】
前項6では、周片部が口筒の注入口の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒を咥えにくくすることができる。そのため、口で風船を更に膨らませにくくすることができる。
【0028】
前項7では、風船はその軸線を中心に回転しながら空中を飛行するようになるため、風船が目立つし興趣性が向上する。
【0029】
前項8では、周片部の両側縁部の少なくとも一方に外周壁の外側方向に突出したひれ片部が形成されているので、口に口筒を更に咥えにくくすることができる。さらに、風船が空中を飛行する際にひれ片部が周片部の側縁部近傍の空気の流れを整流する整流翼として作用し風船の飛行距離の延長に寄与する。
【0030】
前項9では、リブ片部が口筒の注入口の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒を更に咥えにくくすることができる。そのため、口で風船を更に膨らませにくくすることができる。さらに、複数のリブ片部が周片部により補強されるので、呼気抜け隙間を確実に確保することができる。
【0031】
前項10では、周片部の外径が口筒を咥える人の口を開けたときの最大口径よりも大きく設定されていることにより、人が口に口筒を咥える行為自体を抑制することができ、そのため、口筒に付着する唾液による人への感染も抑制できる。
【0032】
前項11では、風船を膨らます際にポンプ具の口筒装着部に口筒を装着して係止片を口筒の被係止部に係止することにより、口筒を口筒装着部に保持できる。これにより、風船の口筒がスペーサ部を備えているものであっても風船をポンプ具により容易に膨らますことができる。
【0033】
前項12では、本発明に係る風船を膨らます際に好適に用いられる風船用ポンプ具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係る口筒が口部に装着された風船を示す正面図である。
【
図2】
図2は風船の口部及び口筒の片側断面図である、
【
図3】
図3は同口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は風船を膨らます際に用いられるポンプ具の斜視図である。
【
図5】
図5は同ポンプ具の受け筒(口筒装着部)に口筒が装着された状態の斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の第2実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は本発明の第3実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は本発明の第4実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は本発明の第5実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図10】
図10は本発明の第6実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図11】
図11は本発明の第7実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図12】
図12は本発明の第8実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図13】
図13は本発明の第9実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図14】
図14は本発明の第10実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図15】
図15は本発明の第11実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図16】
図16は本発明の第12実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図17】
図17は本発明の第13実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図18】
図18は本発明の第14実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図19】
図19は本発明の第15実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図20】
図20は本発明の第16実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【
図21】
図21は本発明の第17実施形態に係る口筒を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜め上側から見た斜視図、(c)は斜め下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の複数の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0036】
<第1実施形態>
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る風船50はいわゆるジェット風船と呼ばれるものである。すなわち、この風船50(風船本体)は、流体としての空気を風船50内に注入すると上端部(先端部)が局部的に外側に膨隆した棒状に膨らむゴム(天然ゴム、合成ゴム等を含む)製のものであり、風船50の下端部に形成された口部52には本第1実施形態の略短円筒状の口筒1Aが装着されている。なお、同図中の符号Pは風船50の軸線である。
【0037】
図2に示すように、口筒1Aは、上方に開放した合成樹脂(ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等)製の口筒本体2を備えており、更に、下方に開放した合成樹脂(PP、PE等)製の内筒体10を備えている。内筒体10は後述するように口筒本体2の外周壁3内に嵌着されている。
【0038】
口筒1Aの口筒本体2は、上下方向の長さ(高さ)が例えば約5mm~15mmの範囲で、外径が例えば約15mm~30mmの範囲のものである。
【0039】
また、口筒1A(口筒本体2)の下端部8は若干小径に形成されており、当該下端部8の外径が例えば約13mm~27mmの範囲に設定されている。
【0040】
口筒本体2の下壁5の中央部と内筒体10の上壁12の中央部にはそれぞれ断面円形状の注入口7、7が風船内部と連通するように上下方向に貫通して設けられている。風船50を膨らます際にはこの注入口7、7から空気が風船50内に注入され、風船50の飛行時にはこの注入口7、7から風船50内の空気が噴射される。さらに、風船50内の空気が注入口7、7から噴射することにより吹鳴音が発するように口筒1Aは構成されている。
【0041】
そして、内筒体10の外周壁11が口筒本体2の外周壁3内に上側から嵌着されることにより、口筒本体2に内筒体10が一体化されており、更にこの状態で、風船50の口部52の口巻き部53が口筒本体2の外周壁3と内筒体10の外周壁11との間に挟まれており、これにより口部52に口筒1A(詳述すると口筒1Aの口筒本体2)が装着されている。
【0042】
すなわち、内筒体10の外周壁11が口筒本体2の外周壁3内に嵌着された状態では、内筒体10の外周壁11の下端部に外側突出状に形成された係合凸部13が口筒本体2の外周壁3の内周面の下端部に形成された凹部6に係合しており、これにより内筒体10の外周壁11が口筒本体2の外周壁3内に嵌着された状態が保持されている。さらにこの状態では、口部52の口巻き部53が口筒本体2の外周壁3と内筒体10の外周壁11との間に挟まれるとともに、内筒体10の外周壁11の上端部に外側突出状に形成された抜止め用突条部14により口巻き部53の両外周壁3、11間からの抜出が阻止されている。
【0043】
本第1実施形態では、口筒1Aの外周壁3は上述した口筒本体2の外周壁3からなり、また口筒1Aの下面4は上述した口筒本体2の下壁5の下面からなり、当該下面4は略水平に形成されている。なお後述する他の実施形態の口筒1B~1Qもこれと同じである。
【0044】
また、風船50の口部52に口筒1Aが装着された状態では、口筒1Aの外周壁3は口部52の外側に露出している。口筒1Aの下面4及び注入口7は互いに略同じ高さに位置しており、更に外周壁3の下端位置と略同じ高さに位置している。
【0045】
図3(a)~(c)は口筒1Aを説明するための図であり、同図では口筒1Aの構成を理解し易くするため風船本体は図示省略されている。なお、後述する他の実施形態の口筒1B~1Qを示す
図6~21でも風船本体は図示省略されている。
【0046】
口筒1Aは、
図3(a)に示すように、口筒1Aの外周壁3(即ち口筒本体2の外周壁3)の外側において外周壁3と口筒1Aを咥える人の口60(二点鎖線で示す)との間に呼気抜け隙間Sを形成するスペーサ部20を備えている。
【0047】
ここで、呼気抜け隙間Sとは、風船50を膨らませるために人が口(詳述すると口唇)60に口筒1Aを咥えて人の呼気(息)を注入口7を通じて風船50内に注入する際に呼気が抜ける隙間Sを意味する。
【0048】
図3(a)~(c)に示すように、口筒1Aは、スペーサ部20として、口筒1Aの外周壁3から外側に突出するとともに外周壁3の周方向に離間して配設された2個の薄肉のリブ片部21、21と、両リブ片部21、21の突出端部を連結するとともに外周壁3に対して外側に離間して外周壁3の周方向に延びた薄肉の周片部23とからなる呼気抜け枠部30を複数、備えている。本第1実施形態では呼気抜け枠部30の数は2個である。
【0049】
外周壁3から外側へのリブ片部21の突出長さは限定されるものではなく、好ましくは約1mm~10mmの範囲であることがよい。リブ片部21及び周片部23の肉厚は限定されるものではなく、好ましくは約0.5mm~1.5mmの範囲であることがよい。
【0050】
両呼気抜け枠部30、30は互いに同一形状及び同一寸法である。また、呼気抜け枠部30において、周片部23の曲率半径は外周壁3の曲率半径と略同じか又は若干大きく設定されている。
【0051】
両呼気抜け枠部30、30は外周壁3の周方向の全周に亘って等間隔に離間して配設されており、詳述すると、呼気抜け枠部30の数が2個であるから両呼気抜け枠部30、30は外周壁3の外側における互いに反対側に配設されている。したがって、外周壁3における周方向に隣り合う呼気抜け枠部30、30(即ちスペーサ部20、20)間の部分も外周壁3における互いに反対側に配設されている。なお、外周壁3における当該部分の上端面3aが後述するポンプ具70の係止片80が係脱自在に係止する被係止部xとされている。
【0052】
呼気抜け枠部30の内側空間31(即ち、外周壁3の外側において呼気抜け枠部30を構成する2個のリブ片部21、21と周片部23とで包囲された空間)は呼気抜け隙間Sの一部とされている。呼気抜け隙間Sの残りの部分は、外周壁3の外側において外周壁3の周方向に隣り合う呼気抜け枠部30、30間の空間32からなる。
【0053】
したがって、本第1実施形態の口筒1Aでは、呼気抜け隙間Sは2個の呼気抜け枠部30の内側空間31と2個の呼気抜け枠部30間の空間32とからなる。
【0054】
呼気抜け枠部30において、詳述すると、リブ片部21は外周壁3に一体形成されるとともに、外周壁3と同じ高さ位置から下方向に口筒1Aの下面及び4注入口7と同じ高さ位置か又は若干上側の高さ位置まで僅かに延びている(
図2参照)。周片部23は両リブ片部21、21の突出端部における外周壁3と同じ高さ位置の部分を連結するように両リブ片部21、21に一体形成されるとともに、外周壁3と同じ高さ位置から下方向に両リブ片部21、21の下端位置まで延びている。したがって、両リブ片部21、21及び周片部23は口筒1Aの注入口7の高さ位置よりも下側には延出しておらず、詳述すると口筒1Aの注入口7と同じ高さ位置か又は若干上側の高さ位置まで延びている。
【0055】
このような構成の口筒1Aが口部52に装着された風船50によれば、口筒1Aは外周壁3と人の口60との間に呼気抜け隙間Sを形成するスペーサ部20を備えていることから、人が口60に口筒1Aをその外周壁3の外側から咥えて呼気を口筒1Aの注入口7から風船50内に吹き込もうとしても呼気はその大部分が注入口7に流入しないで呼気抜け隙間Sから抜けるため、口で風船50を膨らませにくくすることができる。
【0056】
さらに、口筒1Aはスペーサ部20として呼気抜け枠部30を備えるとともに、呼気抜け枠部30の内側空間31が呼気抜け隙間Sの少なくとも一部とされているので、呼気抜け隙間Sを確実に形成することができる。
【0057】
しかも、呼気抜け枠部30は外周壁3の周方向に延びた周片部23を有していることから、人が口に口筒1Aを咥えた場合でも口唇に痛みを感じにくいし、風船50の飛行時に人の身体に口筒1Aの呼気抜け枠部30(スペーサ部20)が当たった場合でも痛みを軽減することができる。
【0058】
さらに、呼気抜け枠部30において2個のリブ片部21、21が周片部23により補強されるので、呼気抜け隙間Sを確実に確保することができる。
【0059】
風船50を膨らます場合は、
図4及び5に示した風船用ポンプ具70を用いて風船50の膨らまし作業を行うことが好ましい。なお
図5では、ポンプ具70の係止片80、80による口筒1Aへの係止状態を理解し易くするため、風船50において口筒1Aは図示されているが風船本体は図示省略されている。
【0060】
図4及び5に示すように、このポンプ具70は、風船50内に流体(例:液体、気体)としての空気を注入する合成樹脂(PP、PE等)製のものであり、内側に流体室としての空気室75が形成されたポンプ具本体71と、空気室75の空気を吹き出す吹出し部77と、吹出し部77に空気室75と連通して設けられ且つ風船50内に空気を注入する際に口筒1Aの下端部8が略密封状(即ち略気密及び略液密)に嵌入装着される口筒装着部としての受け筒78と、受け筒78に嵌入装着された口筒1Aを保持するために係脱自在に係止する一対の係止片80、80と、空気室75に外部の空気を吸い込む吸込み部76とを備えている。受け筒78に嵌入装着される口筒1Aの下端部8は上述したように若干小径に形成されている。
【0061】
詳述すると、このポンプ具70は人力ポンプ具(詳述すると手動ポンプ具)の一種であり、具体的には手押しピストン式のものである。
【0062】
すなわち、ポンプ具70は、横断面略長円形状の合成樹脂(PP、PE等)製のシリンダ72とシリンダ72内に往復移動可能に装填された合成樹脂(PP、PE等)製のピストン(図示せず)とを、ポンプ具本体71として備えている。ピストンからピストンロッド74がシリンダ72の後方へ突出しており、ピストンロッド74の後端部に把持部74aが一体形成されている。吸込み部76と吹出し部77(受け筒78)はシリンダ72の前壁72aにそれぞれ空気室75と連通して且つ互いに離間して並設されている。
【0063】
吹出し部77の内部には空気の吹出し方向A1の流れを許容し且つ空気の吸込み方向B1の流れを阻止する第1逆止弁(図示せず)が設けられている。吸込み部76の内部には空気の吸込み方向B2の流れを許容し且つ空気の吹出し方向A2の流れを阻止する第2逆止弁(図示せず)が設けられている。
【0064】
一対の係止片80、80は、受け筒78の外側にて互いに略平行状に対向して且つ両係止片80、80の先端部が受け筒78の上側位置にて近接離間可能になるように、各係止片80の長さ方向中間部及び基端部82からそれぞれ内側に延びた弾性支脚部84、84を介して吹出し部77に設けられている。各係止片80の先端部には受け筒78の上側位置にて受け筒78の外周面位置よりも内側に突出した係止爪83が形成されている。
【0065】
口筒1Aの下端部8が受け筒78に嵌入装着された状態において、口筒1Aの外周壁3の外周面は受け筒78の外周面と略面一に連なっており、係止片80(詳述すると係止片80の係止爪83)が係止する口筒1Aの被係止部xは上述したように口筒1Aの外周壁3における周方向に隣り合う呼気抜け枠部30、30(スペーサ部20、20)間の部分の上端面3aである(
図5参照)。
【0066】
このポンプ具70を用いて風船50を膨らます場合は、ポンプ具70の受け筒78内に口筒1Aの下端部8を略密封状に嵌入装着する。その途中で口筒1Aの外周壁3が両係止爪83、83に前方から当接して両係止片80、80の先端部が互いに離間方向に移動するように支脚部84が弾性変形し、そして口筒1Aの下端部8が受け筒78内に完全に嵌入装着されたとき、支脚部84の弾性復元力により両係止片80、80の先端部が元の位置へ互いに接近方向に移動して両係止爪83、83が口筒1Aの被係止部x、xを係止する。これにより、
図5に示すように口筒1Aが受け筒78に装着された状態が保持される。
【0067】
次いで、ポンプ具70のシリンダ72を一方の片手で把持するとともにピストンロッド74の把持部74aを他方の片手で把持してピストンを往動作させることにより、空気室75の空気を吹出し部77の第1逆止弁を介して受け筒78の内側から吹き出して当該空気を口筒1Aの注入口7から風船50内に注入し、そして、往動作したピストンを復動作させることにより、外部の空気を吸込み部76から吸込み部76の第2逆止弁を介して空気室75に吸い込む。
【0068】
このようなピストンの往復動作を繰り返し行うことにより、風船50内に多量の空気を注入し得て風船50を大きく膨らますことができる。
【0069】
膨らました風船50を飛ばす場合は、
図5に示すように、ポンプ具70のシリンダ72の前壁72a側を上方向に向け、両係止片80、80の基端部82、82を手指で同時に内側に押圧することにより、両係止爪83、83が口筒1Aの被係止部x、xから同時に離脱して口筒1Aの受け筒78への装着状態の保持が解除される。これにより、風船50が口筒1Aの注入口7からの空気噴射により空中へ飛び出す。
【0070】
したがって、風船50の口筒1Aがスペーサ部20を備えているものであってもこのポンプ具70を用いることにより、風船50を容易に膨らますことができるし、膨らました風船50を容易に発射させることができる。
【0071】
本発明に係る風船の口部に装着される口筒は、上記第1実施形態に示した口筒1Aであることに限定されるものではなく、その他に例えば、
図6~
図21に示した以下の第2~17実施形態の口筒1B~1Qであってもよい。これらの図において、上記第1実施形態の口筒1Aと同じ作用を奏する要素には同じ符号が付されている。以下、これらの口筒1B~1Qについて上記第1実施形態の口筒1Aとの相異点を中心に説明する。
【0072】
<第2実施形態>
図6(a)~(c)に示した本発明の第2実施形態に係る口筒1Bは、スペーサ部20として、上記第1実施形態の口筒1Aと同じく2個の呼気抜け枠部30、30を備えている。両呼気抜け枠部30、30は互いに同一形状及び同一寸法である。
【0073】
呼気抜け枠部30において、両リブ片部21、21は口筒1Bの外周壁3から外側に突出するとともに、外周壁3と同じ高さ位置から口筒1Bの注入口7の高さ位置よりも僅かに下側に延出している。周片部23は両リブ片部21、21の突出端部における外周壁と同じ高さ位置の部分を連結するように両リブ片部21、21に一体形成されるとともに、外周壁3と同じ高さ位置から両リブ片部21、21の下端位置まで延びている。したがって、両リブ片部21、21及び周片部23は口筒1Bの注入口7の高さ位置よりも僅かに下側に延出しており、具体的には口筒1Bの注入口7の高さ位置よりも下側に例えば約5mm~30mm延出している。
【0074】
この口筒1Bによれば、両リブ片部21、21が口筒1Bの注入口7の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒1Bを咥えにくくすることができる。そのため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0075】
さらに、周片部23も口筒1Bの注入口7の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒1Bを更に咥えにくくすることができる。そのため、口で風船50を更に一層膨らませにくくすることができる。
【0076】
<第3実施形態>
図7(a)~(c)に示した本発明の第3実施形態に係る口筒1Cは、スペーサ部20として4個の呼気抜け枠部30を備えており、この口筒1Cでは、呼気抜け隙間Sは4個の呼気抜け枠部30の内側空間31と4個の呼気抜け枠部30間の空間32とからなる。これらの呼気抜け枠部30は互いに同一形状及び同一寸法である。
【0077】
これらの呼気抜け枠部30は口筒1Cの外周壁3の周方向の全周に亘って等間隔に離間して配設されている。呼気抜け枠部30の構成は上記第2実施形態の口筒1Bの呼気抜け枠部30と同じである。
【0078】
この口筒1Cは上記第2実施形態の口筒1Bと同様の利点を有している。
【0079】
<第4実施形態>
図8(a)~(c)に示した本発明の第4実施形態に係る口筒1Dでは、呼気抜け枠部30の周片部23の曲率半径が上記第3実施形態の口筒1Cのそれと相異している点を除いて、上記第3実施形態の口筒1Cと同じである。
【0080】
すなわち、口筒1Dの呼気抜け枠部30において、周片部23は口筒1Dの外周壁3の周方向に延びているが、周片部23の曲率半径が外周壁3の曲率半径よりも若干小さく設定されている。そのため、周片部23が上記第3実施形態の口筒1Cの周片部23よりも外側に大きく断面円弧状に膨出している。これにより、口に口筒1Dを更に咥えにくくすることができるし、上記第3実施形態の口筒1Cの呼気抜け隙間Sよりも大きな呼気抜け隙間Sを形成することができる。
【0081】
<第5実施形態>
図9(a)~(c)に示した本発明の第5実施形態に係る口筒1Eは、スペーサ部20として、口筒1Eの外周壁3から外側に突出するとともに外周壁3の周方向に離間して配設された複数のリブ片部21からなる。リブ片部21の数は詳述すると10個である。これらのリブ片部21は互いに同一形状及び同一寸法である。
【0082】
この口筒1Eでは、外周壁3の周方向に隣り合うリブ片部21、21間の空間22が呼気抜け隙間Sとされている。
【0083】
ここで、説明の便宜上、10個のリブ片部21のうち互いに隣り合う合計5個のリブ片部21を第1リブ片部群21Aとし、残りの5個のリブ片部21を第2リブ片部群21Bとするとき、第1リブ片部群21Aのリブ片部21は外周壁3の一方の片側において周方向に等間隔に離間して配設されており、第2リブ片部群21Bのリブ片部21は外周壁3の他方の片側において周方向に等間隔に離間して配設されており、更に、第1リブ片部群21Aと第2リブ片部群21Bは、各リブ片部群における隣り合うリブ片部21、21間の間隔よりも大きく離間して配設されている。そして、外周壁3における第1リブ片部群21Aと第2リブ片部群21Bとの間の部分の上端面3aがポンプ具70の係止片80が係止する被係止部xとされている。
【0084】
リブ片部21は外周壁3から外側に突出するとともに、外周壁3と同じ高さ位置から口筒1Eの下面4よりも下側に延出しており、具体的にはリブ片部21は口筒1Eの注入口7の高さ位置よりも下側に例えば約5mm~30mm延出している。
【0085】
この口筒1Eによれば、口に口筒1Eを咥えると隣り合うリブ片部21、21間に呼気抜け隙間Sが形成され、即ち上述したように隣り合うリブ片部21、21間の空間22が呼気抜け隙間Sとされるため、口に口筒1Eを咥えて呼気を口筒1Eの注入口7から風船50内に吹き込もうとしても呼気はその大部分が注入口7に流入しないで呼気抜け隙間Sから抜ける。したがって簡素な構成で呼気抜け隙間Sを形成することができる。
【0086】
さらに、リブ片部21が口筒1Eの注入口7の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒1Eを咥えにくくすることができる。そのため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0087】
<第6実施形態>
図10(a)~(c)に示した本発明の第6実施形態に係る口筒1Fは、スペーサ部20として、口筒1Fの外周壁3から外側に突出するとともに外周壁3の周方向の全周に亘って等間隔に離間して配設された複数のリブ片部21からなる。リブ片部21の数は詳述すると6個である。これらのリブ片部21は互いに同一形状及び同一寸法である。
【0088】
この口筒1Fでは、外周壁3の周方向に隣り合うリブ片部21、21間の空間22が呼気抜け隙間Sとされており、また、外周壁3における周方向に隣り合うリブ片部21、21間の部分の上端面3aがポンプ具70の係止片80が係止する被係止部xとされている。
【0089】
リブ片部21は外周壁3から外側に突出するとともに、外周壁3と同じ高さ位置から口筒1Fの注入口7の高さ位置よりも下側に延出しており、具体的にはリブ片部21は口筒1Fの注入口7の高さ位置よりも下側に例えば約5mm~30mm延出している。
【0090】
この口筒1Fは上記第5実施形態の口筒1Eと同様の利点を有している。
【0091】
<第7実施形態>
図11(a)~(c)に示した本発明の第7実施形態に係る口筒1Gは、スペーサ部20として、上記第1実施形態の口筒1Aと同じく2個の呼気抜け枠部30、30を備えている。これらの呼気抜け枠部30、30は互いに同一形状及び同一寸法である。
【0092】
呼気抜け枠部30において、両リブ片部21、21は口筒1Gの外周壁3から外側に突出するとともに、外周壁3と略同じ高さ位置に配置されており、したがってリブ片部21は口筒1Gの注入口7の高さ位置よりも上側の高さ位置に配置されている。周片部23は両リブ片部21、21の突出端部における外周壁3と同じ高さ位置の部分を連結するように両リブ片部21、21に一体形成されるとともに、外周壁3と同じ高さ位置から口筒1Gの注入口7の高さ位置よりも下側に且つ下方向に対して外側に若干傾斜して延出しており、具体的には周片部23は口筒1Gの注入口7の高さ位置よりも下側に例えば約1cm~3cm延出している。下方向に対する周片部23の外側への傾斜角は限定されるものではなく、例えば約3°~30°の範囲である。
【0093】
さらに、周片部23の略中央部には、上下方向に延びた複数(詳述すると5個)のスリット状孔23aが周片部23の幅方向に間隔をおいて設けられている。
【0094】
この口筒1Gによれば、周片部23が口筒1Gの注入口7の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒1Gを咥えにくくすることができる。そのため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0095】
さらに、周片部23にスリット状孔23aが設けられているので、口筒1Gの軽量化が図られており、風船50の飛行距離を長くすることができる。さらに、口に口筒1Gを浅く咥えた状態では孔23aが周片部23に設けられた呼気抜け孔としても作用するため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0096】
<第8実施形態>
図12(a)~(c)に示した本発明の第8実施形態に係る口筒1Hでは、呼気抜け枠部30の周片部23の両側縁部にそれぞれ口筒1Hの外周壁3の外側方向に突出したひれ片部25が周片部23の上端から下端まで延びて一体形成されている。その他の構成は上記第7実施形態の口筒1Gと略同じである。
【0097】
この口筒1Hによれば、上記第7実施形態の口筒1Gと同様の利点を有するし、更に、周片部23の両側縁部にそれぞれひれ片部25が形成されているので、口に口筒1Hを更に咥えにくくすることができる。しかも、風船50が空中を飛行する際にひれ片部25が周片部23の側縁部近傍の空気の流れを整流する整流翼として作用し、風船50の飛行距離を長くすることができる。
【0098】
なお本発明では、本第8実施形態のようにひれ片部25は周片部23の両側縁部にそれぞれ形成されていることが好ましいが、これに限定されるものではなく、その他に周片部23の両側縁部の一方だけに形成されていてもよい。
【0099】
<第9実施形態>
図13(a)~(c)に示した本発明の第9実施形態に係る口筒1Iでは、上記第8実施形態の口筒1Hのように周片部23にスリット状孔23aは設けられておらず、周片部23の幅方向の中間部において口筒1Iの注入口7と略同じ高さ位置から下方向に開口した略コ字状の切欠き23cが設けられている。この口筒1Iのその他の構成は上記第8実施形態の口筒1Hと同じである。
【0100】
この口筒1Iによれば、上記第8実施形態の口筒1Hと同様の利点を有するし、切欠き23cにより口筒1Iの軽量化が図られている。さらに、口に口筒1Iを浅く咥えた状態では切欠き23cが周片部23に設けられた呼気抜け孔としても作用するため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0101】
<第10実施形態>
図14(a)~(c)に示した本発明の第10実施形態に係る口筒1Jでは、上記第8実施形態の口筒1Hのように周片部23にスリット状孔23aは設けられておらず、周片部23の幅方向の中間部における口筒1Jの注入口7と略同じ高さ位置から上下方向の略中間部までの領域に略方形状の孔23bが設けられるとともに、更に、周片部23の幅方向の中間部における孔23bよりも下側部分に周方向に延びた補強帯部23dを介して下方向に開口した略コ字状の切欠き23cが設けられている。この口筒1Jのその他の構成は上記第8実施家形態の口筒1Hと同じである。
【0102】
この口筒1Jによれば、上記第8実施形態の口筒1Hと同様の利点を有するし、孔23b及び切欠き23cにより口筒1Jの軽量化が図られている。さらに、口に口筒1Jを浅く咥えた状態では孔23b及び切欠き23cが周片部23に設けられた呼気抜け孔としても作用するため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。さらに、周片部23が補強帯部23dにより補強されており、周片部23は高い強度を有している。
【0103】
<第11実施形態>
図15(a)~(c)に示した本発明の第11実施形態に係る口筒1Kでは、上記第8実施形態の口筒1Hのように周片部23にスリット状孔23aは設けられておらず、周片部23の幅方向の中間部に略方形状の孔23bが設けられるとともに、周片部23における孔23bよりも下側の部分が周方向に延びた補強帯部23dとされている。この口筒1Kのその他の構成は上記第8実施家形態の口筒1Hと同じである。
【0104】
この口筒1Kによれば、上記第8実施形態の口筒1Hと同様の利点を有するし、孔23bにより口筒1Kの軽量化が図られている。さらに、口に口筒1Kを浅く咥えた状態では孔23bが周片部23に設けられた呼気抜け孔としても作用するため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0105】
さらに、周片部23が補強帯部23dにより補強されており、周片部23は高い強度を有している。しかも、周片部23の下端には下方向に突出した突出部がないので、風船50の飛行時に人の身体に口筒1Kの周片部23の下端が当たった場合でも痛みを軽減することができる。
【0106】
<第12実施形態>
図16(a)~(c)に示した本発明の第12実施形態に係る口筒1Lは、スペーサ部20として、口筒1Lの外周壁3から外側に突出するとともに外周壁3の周方向の全周に亘って等間隔に離間して設けられた複数(詳述すると4個)のリブ片部21を備えている。これらのリブ片部21は互いに同一形状及び同一寸法である。
【0107】
この口筒1Lでは、上述した第5及び第6実施形態の口筒1E、1Fと同じく外周壁3の周方向に隣り合うリブ片部21、21間の空間22が呼気抜け隙間Sとされている。
【0108】
さらに、リブ片部21は外周壁3と同じ高さ位置から口筒1Lの注入口7の高さ位置よりも下側に且つ下方向に対して外側に若干傾斜して延出しており、具体的にはリブ片部21は口筒1Lの注入口7の高さ位置よりも下側に例えば約1cm~3cm延出している。下方向に対するリブ片部21の外側への傾斜角は限定されるものではなく、例えば約3°~30°の範囲である。
【0109】
この口筒1Lによれば、リブ片部21が口筒1Lの注入口7の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒1Lを咥えにくくすることができる。そのため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0110】
さらに、リブ片部21に周片部が設けられていないので、口筒1Lは上記第7~11実施形態の口筒1G~1Kよりも軽量化が図られている。
【0111】
<第13実施形態>
図17(a)~(c)に示した本発明の第13実施形態に係る口筒1Mは、スペーサ部20として、上記第3実施形態の口筒1Cと同じく4個の呼気抜け枠部30を備えており、この口筒1Mでは、呼気抜け隙間Sは4個の呼気抜け枠部30の内側空間31と4個の呼気抜け枠部30間の空間32とからなる。これらの呼気抜け枠部30は互いに同一形状及び同一寸法である。
【0112】
呼気抜け枠部30において、両リブ片部21、21は口筒1Mの外周壁3から外側に突出するとともに外周壁3と略同じ高さ位置に配置されており、したがってリブ片部21は口筒1Mの注入口7の高さ位置よりも下側には延出していない。周片部23は両リブ片部21、21の突出端部における外周壁3と同じ高さ位置の部分を連結するように両リブ片部21、21に一体形成されるとともに、外周壁3と同じ高さ位置から口筒1Mの注入口7の高さ位置よりも下側に且つ下方向に対して外側に若干傾斜して延出しており、具体的には周片部23は口筒1Mの注入口7の高さ位置よりも下側に例えば約1~3cm延出している。下方向に対するリブ片部21の外側への傾斜角は限定されるものではなく、例えば約3°~30°の範囲である。さらに、周片部23は下方向に進むにつれてその幅が漸次大きくなるように形成されている。
【0113】
この口筒1Mによれば、周片部23が口筒1Mの注入口7の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒1Mを更に咥えにくくすることができる。そのため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0114】
<第14実施形態>
図18(a)~(c)に示した本発明の第14実施形態に係る口筒1Nでは、風船50の飛行時に風船50の飛行方向とは逆方向に流れる空気流を周片部23が受けて風船50がその軸線P(
図1参照)を中心に回転するように周片部23が配置されている。その他の構成は上記第13実施形態の口筒1Mと同じである。詳述すると、周片部23は、口筒1Nの注入口7の高さ位置よりも下側に且つ下方向に対して外側に若干傾斜して延出するとともに口筒1Nの外周壁3の周方向に対して周片部23の幅方向が交差するように傾斜して配置されている。下方向に対するリブ片部21の外側への傾斜角は限定されるものではなく、例えば約3°~30°の範囲である。
【0115】
この口筒1Nによれば、上記第13実施形態の口筒1Mと同様の利点を有するし、更に、風船50はその軸線Pを中心に回転しながら空中を飛行するようになり、そのため風船50が目立つし興趣性が向上する。
【0116】
<第15実施形態>
図19(a)~(c)に示した本発明の第15実施形態に係る口筒1Oでは、周片部23の幅方向の中間部に周片部23の下端よりも若干上側の位置から上方向に開口した切欠き23eが呼気抜け隙間Sと連通して設けられている。その他の構成は上記第13実施形態の口筒1Mと同じである。
【0117】
この口筒1Oによれば、上記第13実施形態の口筒1Mと同様の利点を有するし、切欠き23eにより口筒1Oの軽量化が図られている。さらに、口に口筒1Oを浅く咥えた状態では切欠き23eが呼気抜け孔としても作用するため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0118】
<第16実施形態>
図20(a)~(c)に示した本発明の第16実施形態に係る口筒1Pは スペーサ部20として、口筒1Pの外周壁3から外側に突出するとともに口筒1Pの注入口7の高さ位置よりも下側に且つ下方向に対して外側に傾斜して延出し、更に外周壁3の周方向の全周に亘って等間隔に離間して配設された複数(詳述すると4個)のリブ片部21と、これらのリブ片部21の下端部の外側縁部を連結するとともに外周壁3に対して外側で且つ下側に離間して外周壁3の周方向の全周に亘って延びた薄肉の帯筒状の周片部23とからなる。周片部23の内径及び外径は口筒1Pの外周壁3の外径よりも大きく設定されている。下方向に対するリブ片部21の外側への傾斜角は限定されるものではなく、例えば約3°~30°の範囲である。
【0119】
この口筒1Pでは、外周壁3の周方向に隣り合うリブ片部21、21間の空間22が呼気抜け隙間Sとされており、即ち、外周壁3の外側における周片部23の内側空間27が呼気抜け隙間Sとされている。
【0120】
ここで、周片部23の外径は、口筒1Pを咥える人の口を開けたときの最大口径よりも小さく設定されていてもよいが、好ましくは最大口径よりも若干大きく設定されている方がよい。この場合、周片部23の外径は約4cm~8cmに設定されることが特に好ましい。
【0121】
この口筒1Pによれば、リブ片部21が口筒1Pの注入口7の高さ位置よりも下側に延出していることにより、口に口筒1Pを更に咥えにくくすることができる。そのため、口で風船50を更に膨らませにくくすることができる。
【0122】
さらに、周片部23の外径が口筒1Pを咥える人の口を開けたときの最大口径よりも大きく設定されている場合は、人が口に口筒1Pを咥える行為自体を抑制することができ、そのため、人が口に口筒1Pを咥える際に口筒1Pに付着する唾液による人へのウィルス感染も抑制できる。さらに、周片部23が4個のリブ片部21によって補強されるので、周片部23は高い強度を有している。
【0123】
<第17実施形態>
図21(a)~(c)に示した本発明の第17実施形態に係る口筒1Qでは リブ片部21の数が3個であることを除いて上記第16実施形態の口筒1Pと同じである。
【0124】
この口筒1Qによれば、上記第16実施形態の口筒1Pと同様の利点を有するし、リブ片部21の数が上記第16実施形態の口筒1Pのそれよりも少ないので、口筒1Qの軽量化を図ることができる。
【0125】
なお、上記第16及び17実施形態の口筒1P、1Qにおいて、リブ片部21の数は4個又は3個であることに限定されるものではなく、その他に例えば2~8個であってもよい。
【0126】
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。例えば、本発明において口筒は上記実施形態の口筒の特徴的要素が複数組み合わされて構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、口筒付き風船及び当該風船を膨らます際に用いられるポンプ具に利用可能である。
【符号の説明】
【0128】
1A~1Q:口筒 3:外周壁
4:口筒の下面 7:注入口
20:スペーサ部 21:リブ片部
22:リブ片部間の空間 23:周片部
25:ひれ片部 30:呼気抜け枠部
31:呼気抜け枠部の内側空間 32:呼気抜け枠部間の空間
S:呼気抜け隙間 50:風船(風船本体)
70:ポンプ具 71:ポンプ具本体
76:吸込み部 77:吹出し部
78:受け筒(口筒装着部) 80:係止片
x:被係止部