(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176475
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】風船及び風船用ポンプ具
(51)【国際特許分類】
A63H 27/10 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A63H27/10 C
A63H27/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095028
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】397000067
【氏名又は名称】株式会社タイガーゴム
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩史
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA01
2C150DA17
2C150DE02
2C150DE12
2C150DF01
2C150DF36
2C150EB19
2C150FB14
2C150FB43
(57)【要約】
【課題】人の口で膨らませにくいように構成された風船を提供すること。
【解決手段】風船の口部に口筒1Aが装着されている。口筒1Aの下面4には注入口7が設けられている。口筒1Aは、人が口に口筒1Aを咥えることを邪魔する邪魔部20を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部に口筒が装着されるとともに、前記口筒の下面に注入口が設けられた風船であって、
前記口筒は、人が口に前記口筒を咥えることを邪魔する邪魔部を備えている風船。
【請求項2】
前記口部に前記口筒の口筒本体が装着されるとともに、前記注入口が前記口筒本体の下面に設けられており、
前記邪魔部は、前記口筒本体から前記注入口の高さ位置よりも下側に延出している請求項1記載の風船。
【請求項3】
前記口筒は、前記注入口を包囲して前記口筒本体から前記注入口の高さ位置よりも下側に延出した邪魔筒を、前記邪魔部として備えており、
前記邪魔筒の周壁に呼気抜け孔が設けられている請求項2記載の風船。
【請求項4】
前記口筒の前記邪魔筒は、風船用ポンプ具の吹出し部に設けられた発射台部に、風船を膨らます際に装着されるものであり、
前記邪魔筒の前記周壁に、前記ポンプ具に設けられた係止片が前記発射台部に装着された前記邪魔筒を保持するために係脱自在に係止する被係止部が設けられている請求項3記載の風船。
【請求項5】
前記注入口の高さ位置からの前記邪魔部の下方向の延出長さが4cm以上である請求項1又は2記載の風船。
【請求項6】
請求項3記載の風船を膨らますために風船内に流体を注入する風船用ポンプ具であって、
内側に流体室が形成されたポンプ具本体と、前記流体室の流体を吹き出す吹出し部と、前記吹出し部に設けられた発射台部とを具備し、
前記発射台部は、前記流体室と連通して設けられ且つ口筒の邪魔筒を収容する筒状の密閉スリーブと、前記密閉スリーブの先端開口側に設けられ且つ前記口筒の口筒本体が嵌入装着される受け筒と、前記受け筒に嵌入装着された前記口筒本体を保持するために前記口筒本体を係脱自在に係止する係止片と、を備えている風船用ポンプ具。
【請求項7】
請求項4記載の風船を膨らますために風船内に流体を注入する風船用ポンプ具であって、
内側に流体室が形成されたポンプ具本体と、前記流体室の流体を吹き出す吹出し部と、前記吹出し部に設けられた発射台部とを具備し、
前記発射台部は、口筒の邪魔筒の下端部が装着される受け筒と、前記流体室と連通して設けられ且つ前記受け筒に装着された前記邪魔筒内に配置されるとともに先端部が前記口筒の口筒本体の注入口に嵌入される流体吹出しノズルと、前記受け筒に装着された前記邪魔筒を保持するために係脱自在に係止する係止片とを備え、
前記係止片は、前記邪魔筒の被係止部を係止するものである風船用ポンプ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部に口筒が装着された風船及び当該風船を膨らます際に用いられるポンプ具に関する。
【0002】
なお本明細書及び特許請求の範囲では、風船の上下方向について、説明の便宜上、
図1に示すように、風船の口部側に進む方向を風船の下方向とし、その反対方向を風船の上方向とする。
【背景技術】
【0003】
風船として例えば、風船内部からの空気噴射によって空中を飛行するジェット風船が知られている。このジェット風船は、例えば、野球、サッカー等のスポーツ観戦時の応援グッズとして用いられており、一般にジェット風船の口部には略短円筒状の口筒が装着されている(例えば特許文献1-3参照)。口筒の下面の中央部には注入口が設けられており、風船を膨らます場合は、人が口に口筒を咥えて呼気(息)を口筒の注入口から風船内に吹き込む(注入する)ことにより、風船を膨らます。さらに、口筒は、風船の飛行時に風船内の空気が注入口から噴射することにより吹鳴音が発するように構成されている。
【0004】
また、風船を膨らます途中で何らかの拍子で口筒(詳述すると口筒の注入口)から風船内の空気が漏れ出てしまったり、風船を膨らました後で風船を飛ばす時機になる前に油断して風船が手から離れて飛び去ったりすることがあるが、このようなことをなくすため、特許文献4には、風船の口筒を発射台に設けられた口筒装着部に装着し、この状態で発射台に設けられた吹込み筒部を口に咥えて呼気を風船内に吹き込んで風船を膨らますように構成された風船発射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-218986号公報
【特許文献2】特開2004-89518号公報
【特許文献3】特開2015-13219号公報
【特許文献4】特開2010-154910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して近年、新型コロナウィルス、インフルエンザウィルスなどの各種ウィルスに対する感染対策のため、人の呼気を避ける傾向にあるが、従来の風船では、風船の口筒から噴射される空気は人の呼気であるため、感染対策に不安がある。
【0007】
本発明は上述した技術背景に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、人の口では膨らませにくいように構成された風船、及び当該風船を膨らます際に用いられる風船用ポンプ具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
1) 口部に口筒が装着されるとともに、前記口筒の下面に注入口が設けられた風船であって、
前記口筒は、人が口に前記口筒を咥えることを邪魔する邪魔部を備えている風船。
【0010】
2) 前記口部に前記口筒の口筒本体が装着されるとともに、前記注入口が前記口筒本体の下面に設けられており、
前記邪魔部は、前記口筒本体から前記注入口の高さ位置よりも下側に延出している前項1記載の風船。
【0011】
3) 前記口筒は、前記注入口を包囲して前記口筒本体から前記注入口の高さ位置よりも下側に延出した邪魔筒を、前記邪魔部として備えており、
前記邪魔筒の周壁に呼気抜け孔が設けられている前項2記載の風船。
【0012】
4) 前記口筒の前記邪魔筒は、風船用ポンプ具の吹出し部に設けられた発射台部に、風船を膨らます際に装着されるものであり、
前記邪魔筒の前記周壁に、前記ポンプ具に設けられた係止片が前記発射台部に装着された前記邪魔筒を保持するために係脱自在に係止する被係止部が設けられている前項3記載の風船。
【0013】
5) 前記注入口の高さ位置からの前記邪魔部の下方向の延出長さが4cm以上である前項1~4のいずれかに記載の風船。
【0014】
6) 前項3記載の風船を膨らますために風船内に流体を注入する風船用ポンプ具であって、
内側に流体室が形成されたポンプ具本体と、前記流体室の流体を吹き出す吹出し部と、前記吹出し部に設けられた発射台部とを具備し、
前記発射台部は、前記流体室と連通して設けられ且つ口筒の邪魔筒を収容する筒状の密閉スリーブと、前記密閉スリーブの先端開口側に設けられ且つ前記口筒の口筒本体が嵌入装着される受け筒と、前記受け筒に嵌入装着された前記口筒本体を保持するために前記口筒本体を係脱自在に係止する係止片と、を備えている風船用ポンプ具。
【0015】
7) 前項4記載の風船を膨らますために風船内に流体を注入する風船用ポンプ具であって、
内側に流体室が形成されたポンプ具本体と、前記流体室の流体を吹き出す吹出し部と、前記吹出し部に設けられた発射台部とを具備し、
前記発射台部は、口筒の邪魔筒の下端部が装着される受け筒と、前記流体室と連通して設けられ且つ前記受け筒に装着された前記邪魔筒内に配置されるとともに先端部が前記口筒の口筒本体の注入口に嵌入される流体吹出しノズルと、前記受け筒に装着された前記邪魔筒を保持するために係脱自在に係止する係止片とを備え、
前記係止片は、前記邪魔筒の被係止部を係止するものである風船用ポンプ具。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏する。
【0017】
前項1では、風船の口部に装着された口筒が邪魔部を備えているので、人が口に口筒を咥えにくい。そのため、口で風船を膨らませにくくすることができる。
【0018】
前項2では、邪魔部が注入口の高さ位置よりも下側に延出していることにより、人が口に口筒を更に咥えにくくなる。そのため、口で風船を更に膨らませにくくすることができる。
【0019】
前項3では、口筒が注入口の高さ位置よりも下側に延出した邪魔筒を邪魔部として備えることにより、人が口に口筒を更に咥えにくくなる。さらに、邪魔筒が注入口を包囲しているので、人の呼気(息)を注入口に確実に注入しにくくすることができる。しかも、邪魔筒の周壁に呼気抜け孔が設けられているので、もし仮に人が口に邪魔筒の下端部側を咥えて呼気を注入口に注入しようとしても呼気が呼気抜け孔から抜けるため、口で風船を確実に膨らませにくくすることができる。
【0020】
前項4では、風船を膨らます際にポンプ具の発射台部に口筒の邪魔筒を装着して係止片を邪魔筒の被係止部に係止することにより、邪魔筒を発射台部に保持できる。したがって、風船の口筒が邪魔筒を備えているものであっても風船をポンプ具により容易に膨らますことができる。
【0021】
前項5では、注入口の高さ位置からの邪魔部の下方向の延出長さが4cm以上であることにより、口に口筒を確実に咥えにくくすることができる。
【0022】
前項6及び7では、前項3記載の風船のように口筒が邪魔筒を備え且つ邪魔筒の周壁に呼気抜け孔が設けられた風船であっても当該風船を膨らますことができる風船用ポンプ具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係る口筒が口部に装着された風船を示す正面図である。
【
図2】
図2は風船の口部及び口筒の片側断面図である。
【
図4】
図4は同口筒を斜め上側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は同口筒を斜め下側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は風船を膨らます際に用いられるポンプ具の斜視図である。
【
図7】
図7は同ポンプ具の発射台部に口筒が装着された状態の部分切欠き正面図である。
【
図8】
図8は本発明の第2実施形態に係る口筒が口部に装着された風船と当該風船を膨らます際に用いられるポンプ具の要部とを示す正面図である。
【
図9】
図9は同ポンプ具の発射台部に口筒が装着された状態の部分切欠き正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0025】
図1~7は本発明の第1実施形態を説明する図である。
【0026】
図1に示すように、本第1実施形態に係る風船40はいわゆるジェット風船と呼ばれるものである。すなわち、この風船40(風船本体)は、流体としての空気を風船40内に注入すると上端部(先端部)が局部的に外側に膨隆した棒状に膨らむゴム(天然ゴム、合成ゴム等を含む)製のものであり、風船40の下端部に形成された口部42には本第1実施形態の略短円筒状の口筒1Aが装着されている。
【0027】
図2に示すように、口筒1Aは、上方に開放した合成樹脂(ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等)製の口筒本体2を備えており、更に、下方に開放した合成樹脂(PP、PE等)製の内筒体10を備えている。内筒体10は後述するように口筒本体2の外周壁3内に嵌着されている。
【0028】
口筒1Aの口筒本体2は、上下方向の長さ(高さ)が例えば約5mm~15mmの範囲で、外径が例えば約15mm~30mmの範囲のものである。
【0029】
また、口筒1A(口筒本体2)の下端部8は若干小径に形成されており、当該下端部8の外径が例えば約13mm~27mmの範囲に設定されている。
【0030】
口筒本体2の下壁5の中央部と内筒体10の上壁12の中央部にはそれぞれ断面円形状の注入口7、7が風船内部と連通するように上下方向に貫通して設けられている。風船40を膨らます際にはこの注入口7、7から空気が風船40内に注入され、風船40の飛行時にはこの注入口7、7から風船40内の空気が噴射される。さらに、風船40内の空気が注入口7、7から噴射することにより吹鳴音が発するように口筒1Aは構成されている。
【0031】
そして、内筒体10の外周壁11が口筒本体2の外周壁3内に上側から嵌着されることにより、口筒本体2に内筒体10が一体化されており、更にこの状態で、風船40の口部42の口巻き部43が口筒本体2の外周壁3と内筒体10の外周壁11との間に挟まれており、これにより口部42に口筒1A(詳述すると口筒1Aの口筒本体2)が装着されている。
【0032】
すなわち、内筒体10の外周壁11が口筒本体2の外周壁3内に嵌着された状態では、内筒体10の外周壁11の下端部に外側突出状に形成された係合凸部13が口筒本体2の外周壁3の内周面の下端部に形成された凹部6に係合しており、これにより内筒体10の外周壁11が口筒本体2の外周壁3内に嵌着された状態が保持されている。さらにこの状態では、口部42の口巻き部43が口筒本体2の外周壁3と内筒体10の外周壁11との間に挟まれるとともに、内筒体10の外周壁11の上端部に外側突出状に形成された抜止め用突条部14により口巻き部43の両外周壁3、11間からの抜出が阻止されている。
【0033】
本第1実施形態では、口筒1Aの外周壁3は上述した口筒本体2の外周壁3からなり、また口筒1Aの下面4は上述した口筒本体2の下壁5の下面からなり、当該下面4は略水平に形成されている。なお後述する第2実施形態の口筒1Bもこれと同じである。
【0034】
また、風船40の口部42に口筒1Aが装着された状態では、口筒1Aの外周壁3は口部42の外側に露出している。口筒1Aの下面4及び注入口7は互いに略同じ高さに位置しており、更に外周壁3の下端位置と略同じ高さに位置している。
【0035】
図3~5に示すように、口筒1Aは、人が口に口筒1A(詳述すると口筒本体2)を咥えることを邪魔する邪魔部20を備えている。邪魔部20は口筒本体2から下面4及び注入口7の高さ位置hよりも下側に延出している。
【0036】
本第1実施形態では、口筒1Aは邪魔部20として略円筒状の邪魔筒21を備えている。
【0037】
邪魔筒21は、口筒本体2の下面4における注入口7を包囲する外周部から下方向に真っ直ぐに且つ注入口7の高さ位置hよりも下側の位置まで延出しており(
図2参照)、更に、口筒本体2の下面4の外周部に一体形成されている。
【0038】
邪魔筒21の外径は限定されるものではなく、本第1実施形態では口筒1A(口筒本体2)の外径よりも小径に設定されており、例えば約10mm~25mmの範囲に設定されている。また、邪魔筒21の外径及び内径は上下方向に略一定である。邪魔筒21の肉厚は限定されるものではなく、例えば約0.5mm~1.5mmの範囲である。
【0039】
また、
図3に示すように、口筒1Aにおいて、注入口7の高さ位置hからの邪魔筒21の下方向の延出長さ(高さ)Lは限定されるものではないが、4cm以上であることが好ましい。Lが4cm以上である場合、口筒1Aを人の口内に入れた際に人の嘔吐反射が生じ易く、そのため人が口に口筒1Aを確実に咥えにくくすることができる。より好ましいLの下限は5cmであり、更に好ましいLの下限は6cmであり、最も好ましいLの下限は7cmである。Lの上限は限定されるものではないが、Lが長くなると口筒1Aの重量が増加して風船40の飛行距離に悪影響を及ぼす傾向があるため、Lの上限は15cmであることが好ましく、より好ましいLの上限は13cmであり、更に好ましいLの上限は11cmである。
【0040】
邪魔筒21の周壁21aの上下方向の中間部には上下方向に延びた長孔からなる1つ又は複数の呼気抜け孔22が設けられている。本第1実施形態では呼気抜け孔22の数は4個であり、これらの呼気抜け孔22は互いに略同一形状及び略同一寸法であり且つ周壁21aの周方向の全周に亘って等間隔に離間して配設されている。
【0041】
邪魔筒21の周壁21aにおいて呼気抜け孔22の上端は、周壁21aの上下方向の中間位置と周壁21aにおける注入口7の高さ位置hとの間に位置しており、詳述すると周壁21aにおける注入口7の高さ位置hよりも若干下側(例えば3m~10mm下側)に位置している。周壁21aにおいて呼気抜け孔22の下端は、周壁21aの上下方向の中間位置と周壁21aの下端23位置との間に位置しており、詳述すると周壁21aの下端23よりも若干上側(例えば3mm~15mm上側)に位置している。また、周壁21aの下端23には下方向に突出した突出部は形成されておらず、これにより、風船40の飛行時に人の身体に口筒1Aの邪魔筒21の下端23が当たった場合でも痛みを軽減することができる。
【0042】
このような構成の口筒1Aが口部42に装着された風船40によれば、口筒1Aが邪魔部20を備えているので、人が口に口筒1Aを咥えにくい。そのため、口で風船40を膨らませにくくすることができる。
【0043】
さらに、邪魔部20が注入口7の高さ位置hよりも下側に延出しているので、人が口に口筒1Aを更に咥えにくくなっている。そのため、口で風船40を更に膨らませにくくすることができる。
【0044】
さらに、口筒1Aが邪魔部20として邪魔筒21を備えており、邪魔筒21が注入口7を包囲しているので、人の呼気を注入口7に確実に注入しにくくすることができる。しかも、邪魔筒21の周壁21aに呼気抜け孔22が設けられているので、もし仮に人が口に邪魔筒21の下端部側を咥えて呼気を注入口7に注入しようとしても呼気が呼気抜け孔22から抜けるため、風船40を確実に膨らませにくくすることができる。
【0045】
風船40を膨らます場合は、
図6及び7に示した風船40用ポンプ具50Aを用いて風船40の膨らまし作業を行うことが好ましい。
【0046】
このポンプ具50Aは、風船40内に流体(例:液体、気体)としての空気を注入する合成樹脂(PP、PE等)製のものであり、人力ポンプ具(詳述すると手動ポンプ具)の一種であり、具体的には手押しピストン式のものである。
【0047】
すなわち、このポンプ具50Aは、内側に流体室としての空気室55が形成されたポンプ具本体51と、空気室55の空気を吹き出す吹出し部58と、空気室55に外部の空気を吸い込む吸込み部57とを具備している。
【0048】
ポンプ具本体51は、横断面略長円形状の合成樹脂(PP、PE等)製のシリンダ52とシリンダ52内に往復移動可能に装填された合成樹脂(PP、PE等)製のピストン53とを備えている。ピストン53からピストンロッド54がシリンダ52の後方へ突出しており、ピストンロッド54の後端部に把持部54aが一体形成されている。吸込み部57と吹出し部58はシリンダ52の前壁52aにそれぞれ空気室55と連通して且つ互いに離間して並設されている。
【0049】
図7に示すように、シリンダ52の吹出し部58には略円筒状の合成樹脂(PP、PE等)製の発射台部60がシリンダ52の前壁52aに対して前方に突出して且つ分離可能に設けられている。
【0050】
以下に吹出し部58及び発射台部60の構成を説明する。
【0051】
シリンダ52の吹出し部58には外周面に雄ねじ部が螺旋状に形成された雄ねじ筒部59が空気室55と連通してシリンダ52の前壁52aに一体形成されている。
【0052】
発射台部60の基端部には内周面に上述した雄ねじ部に対応する雌ねじ部が螺旋状に形成された雌ねじ筒部61が設けており、この雌ねじ筒部61内に雄ねじ筒部59が分離可能に螺合することにより、発射台部60が吹出し部58に空気室55と連通して且つ分離可能に取り付けられている(螺着されている)。
【0053】
さらに、発射台部60における雌ねじ筒部61の前端には略円筒状の中間筒部62を介して中間筒部62の内径よりも若干大径の内径を有する略円筒状の密閉スリーブ63が空気室55と連通して一体形成されている。さらに、この密閉スリーブ63の先端開口には口筒1Aの口筒本体2の下端部8が略密閉状(略気密及び略液密)に嵌入される略円筒状の受け筒64が口筒装着部として空気室55と連通して設けられている。
【0054】
すなわち、受け筒64の下端には受け筒64の外径よりも若干小径の外径を有する内筒部64aが受け筒64の下端から下方向に延出して一体形成されており、この内筒部64aが密閉スリーブ63の内周面に重ね合わされるように密閉スリーブ63内に嵌入されることにより、密閉スリーブ63の先端開口に受け筒64が空気室55と連通して設けられている。受け筒64の外周面は密閉スリーブ63の外周面に略面一に連なっている。
【0055】
口筒1A(口筒本体2)の下端部8が受け筒64に嵌入装着された状態において、口筒1Aの外周壁3の外周面は受け筒64の外周面に略面一に連なっている。
【0056】
また、密閉スリーブ63内における受け筒64の内筒部64aの下端には薄肉の連結部64bを介して逆止弁67の略円板状の弁体68が一体形成されている。この逆止弁67を説明の便宜上「第1逆止弁67」という。
【0057】
この第1逆止弁67は、空気の吹出し方向A1の流れを許容し且つ空気の吸込み方向B1の流れを阻止するものであり、具体的には次のように構成されている。
【0058】
すなわち、第1逆止弁67は、その弁体68が中間筒部62内の上端開口からなる弁口69をその上側から閉鎖するように配置されており、弁体68が空気の吹出し方向A1の流体圧を受けた際に弁体68が二点鎖線に示すように弁口69に対して開動作して弁口69が開放され、これにより空気の吹出し方向A1の流れが許容されるとともに、一方、弁体68が空気の吹出し方向A1の流体圧を受けていない際に及び空気の吸込み方向B1の流体圧を受けた際には弁体68が元の位置に移動して即ち弁体68が弁口69に対して閉動作して弁口69が弁体68で閉鎖され、これにより空気の吸込み方向B1の流れが阻止されるように第1逆止弁67が構成されている。
【0059】
さらに、発射台部60における密閉スリーブ63の上部には、受け筒64に嵌入装着された口筒本体2を保持するために口筒本体2を係脱自在に係止する一対の係止片70、70が次のように設けられている。
【0060】
すなわち、両係止片70、70は、受け筒64の外側にて互いに略平行状に対向して且つ両係止片70、70の先端部が受け筒64の前側位置にて近接離間可能になるように、各係止片70の長さ方向の中間部及び基端部からそれぞれ内側に延びた弾性支脚部74、74を介して密閉スリーブ63の上部に一体形成されている。各係止片70の先端部には受け筒64の前側位置にて受け筒64の外周面位置よりも内側に突出した係止爪73が形成されている。
【0061】
図7に示すように、口筒1Aの外周壁3における互いに反対側の部分の上端面は、係止片70(詳述すると係止片70の係止爪73)が係脱自在に係止する口筒1A(口筒本体2)の被係止部xとされている。
【0062】
また、
図6に示すように、ポンプ具50Aの吸込み部57の内部には空気の吸込み方向B2の流れを許容し且つ空気の吹出し方向A2の流れを阻止する逆止弁(図示せず)が設けられている。この逆止弁を説明の便宜上「第2逆止弁」という。
【0063】
第2逆止弁の構成は限定されるものではなく、例えば上述した第1逆止弁67の構成と同じであってもよいし、その他の公知の逆止弁の構成であってもよい。
【0064】
上述のポンプ具50Aを用いて風船40を膨らます場合は、
図6に示すように、ポンプ具50Aの発射台部60の密閉スリーブ63内にその先端開口に設けられた受け筒64の内側から風船40の口筒1Aの邪魔筒21を挿入して受け筒64内に口筒1A(口筒本体2)の下端部8を略密閉状に嵌入装着する。その途中で口筒1Aの外周壁3が両係止爪73、73に前方から当接して両係止片70、70の先端部が互いに離間方向に移動するように支脚部74が弾性的に変形し、そして口筒1Aの下端部8が受け筒64内に完全に嵌入装着されたとき、支脚部74の弾性復元力により両係止片70、70の先端部が元の位置へ互いに近接方向に移動して両係止爪73、73が口筒1Aの上述した被係止部x、x(口筒1Aの外周壁3の上端面)を係脱自在に係止する。これにより、
図7に示すように口筒1A(口筒本体2)が受け筒64に装着された状態が保持される。
【0065】
次いで、ポンプ具50Aのシリンダ52を一方の片手で把持するとともにピストンロッド54の把持部54aを他方の片手で把持してピストン53を往動作させることにより、空気室55の空気を吹出し部58の第1逆止弁67を介して受け筒64の内側から吹き出して当該空気を口筒1Aの注入口7から風船40内に注入し、そして、往動作したピストン53を復動作させることにより、外部の空気を吸込み部57から第2逆止弁を介して空気室55に吸い込む。
【0066】
このようなピストン53の往復動作を繰り返し行うことにより、風船40内に多量の空気を注入し得て風船40を大きく膨らますことができる。
【0067】
膨らました風船40を飛ばす場合は、
図7に示すように、ポンプ具50Aのシリンダ52の前壁52a側を上方向に向け、両係止片70、70の基端部72、72を手指で同時に内側に押圧することにより、両係止爪73、73が口筒1Aの被係止部x、xから同時に離脱して口筒1Aの受け筒64への装着状態の保持が解除される。これにより、風船40が口筒1Aの注入口7からの空気噴射により空中へ飛び出す。
【0068】
したがって、このポンプ具50Aによれば、風船40の口筒1Aが邪魔筒21を備えているものであっても風船40を容易に膨らますことができるし、膨らました風船40を容易に発射することができる。
【0069】
図8及び9は本発明の第2実施形態の風船及びポンプ具を説明する図である。これらの図には、上記第1実施形態の風船40及びポンプ具50Aの要素と同じ作用を奏する要素には同じ符号が付されている。以下、本第2実施形態について上記第1実施形態との相異点を中心に説明する。
【0070】
図8に示すように、本発明の第2実施形態に係る風船40では、口筒1Bは上記第1実施形態の口筒1Aと同じく邪魔部20として邪魔筒21を備えている。
【0071】
口筒1Bにおいて、注入口(
図2参照、7)の高さ位置hからの邪魔筒21の下方向の延出長さ(高さ)Lは限定されるものではないが、好ましいLの値は上記第1実施形態の口筒1Aと同じである。
【0072】
また、邪魔筒21の周壁21aの上下方向の中間部には上記第1実施形態の口筒1Aと同じく上下方向に延びた長孔からなる4個の呼気抜け孔22が周壁21aの周方向の全周に亘って等間隔に離間して配設されている。
【0073】
邪魔筒21の周壁21aにおいて呼気抜け孔22の上端は、上記第1実施形態と同じく、周壁21aにおける注入口7の高さ位置hよりも若干下側(例えば3m~10mm下側)に位置している。呼気抜け孔22の下端は、周壁21aの上下方向の中間位置と周壁21aの下端23位置との間に位置しており、詳述すると周壁21aの下端23よりも10mm~20mm上側に位置しており、周壁21aにおける呼気抜け孔22の下端と周壁21aの下端23との間には呼気抜け孔は設けられていない。
【0074】
さらに、邪魔筒21の周壁21aの下端部21cの若干上側の部分(詳述すると周壁21aにおける下端23よりも上側で且つ呼気抜け孔22の下端よりも下側の部分)には外側突出状のフランジ部25が周壁21aの周方向の全周に亘って一体形成されている。このフランジ部25の上面は、ポンプ具50Bの係止片70(詳述すると係止片70の係止爪73)が係脱自在に係止する被係止部xとされている。
【0075】
ポンプ具50Bは、上記第1実施形態のポンプ具50Aと同じく、ポンプ具本体51、吸込み部(
図6参照、57)、吹出し部58、発射台部60などを具備しているが、発射台部60は密閉スリーブを備えていない。
【0076】
すなわち、発射台部60の基端部には雌ねじ筒部61が設けており、この雌ねじ筒部61内に吹出し部58の雄ねじ筒部(
図7参照、59)が分離可能に螺合することにより、発射台部60が吹出し部58に空気室55と連通して且つ分離可能に取り付けられている(螺着されている)。
【0077】
さらに、発射台部60における雌ねじ筒部61の前端には略短円筒状の中間筒部62を介して空気室55の空気を吹き出す空気吹出しノズル(流体吹出しノズル)65が空気室55と連通して且つ前方突出状に一体形成されている。このノズル65はその先端に空気吹出し口65bが設けられた先細筒状に形成されたものであり、更に、ノズル65の先端部65aのテーパ角はノズル65の先端部以外のテーパ角よりも大きくなっている。また、ノズル65の外径はノズル65の長さ領域の全体に亘って口筒1Bの邪魔筒21の内径よりも小径に設定されている。
【0078】
また、発射台部60における中間筒部62の内側又は中間筒部62と空気吹出しノズル65との境界部の内側には空気の吹出し方向A1の流れを許容し且つ空気の吸込み方向の流れB1を阻止する第1逆止弁(図示せず)が設けられている。
【0079】
さらに、
図9に示すように、発射台部60における中間筒部62と空気吹出しノズル65の基端部との境界部近傍にノズル65の基端部よりも内径が大径の有底円筒状の受け筒64が雌ねじ筒部61、中間筒部62及びノズル65の中心軸線Qと同軸に一体形成されている。受け筒64の内径は口筒1Bの邪魔筒21の外径と同寸乃至若干大径に設定されており、受け筒64内には邪魔筒21の下端が受け筒64の底部64cで受けられた状態で邪魔筒21の下端部21cが嵌入装着される。
【0080】
ノズル65は、受け筒64に邪魔筒21の下端部21cが装着された状態で邪魔筒21内に挿入配置されており、更にこの状態でノズル65の先端部65aが口筒1Bの注入口7に略密封状に嵌入されるように構成されている。
【0081】
受け筒64には、受け筒64に装着された邪魔筒21を保持するために係脱自在に係止する一対の係止片70、70が次のように設けられている。
【0082】
すなわち、両係止片70、70は、受け筒64の外側にて互いに略平行状に対向して且つ両係止片70、70の先端部が受け筒64の前側位置にて近接離間可能になるように、各係止片70の長さ方向の中間部及び基端部からそれぞれ内側に延びた弾性支脚部74、74を介して受け筒64に一体形成されている。各係止片70の先端部には受け筒64の前側位置にて受け筒64の外周面位置よりも内側に突出した係止爪73が形成されている。
【0083】
このポンプ具50Bを用いて風船40を膨らます場合は、
図8に示すように、ポンプ具50Bの発射台部60の空気吹出しノズル65を口筒1Bの邪魔筒21内に挿入配置して邪魔筒21の下端部21cを発射台部60の受け筒64内に装着する。その途中で邪魔筒21が両係止片70、70に前方から当接して両係止片70、70の先端部が互いに離間方向に移動するように支脚部74が弾性的に変形するとともに、ノズル65の先端部65aが口筒1Bの注入口7に浅く嵌入される。そして、邪魔筒21の下端部21cが受け筒64内に完全に嵌入装着されたとき、ノズル65の先端部65aが注入口7に略密封状に嵌入されるとともに、支脚部74の弾性復元力により両係止片70、70の先端部が元の位置へ互いに近接方向に移動して両係止爪73、73が邪魔筒21の上述した被係止部x、x(フランジ部25の上面)を係脱自在に係止する。これにより、
図9に示すように、邪魔筒21が受け筒に64装着され且つノズル65の先端部65aが注入口7に嵌入された状態が保持される。
【0084】
次いで、ポンプ具50Bを用いて上記第1実施形態と同じように風船40の膨らまし作業を行う。すなわち、ポンプ具50Bのピストン53を往動作させることにより、空気室55の空気を吹出し部58の第1逆止弁67を介してノズル65の先端の吹出し口65bから吹き出して当該空気を口筒1Aの注入口7から風船40内に注入し、そして、往動作したピストン53を復動作させることにより、外部の空気を吸込み部57から第2逆止弁を介して空気室55に吸い込む。
【0085】
このようなピストン53の往復動作を繰り返し行うことにより、風船40内に多量の空気を注入し得て風船40を大きく膨らますことができる。
【0086】
膨らました風船40を飛ばす場合も、上記第1実施形態と同じように風船40の発射作業を行う。すなわち、ポンプ具50Bのシリンダ52の前壁52a側を上方向に向け、両係止片70、70の基端部72、72を手指で同時に内側に押圧することにより、両係止爪73、73が邪魔筒21の被係止部x、xから同時に離脱して邪魔筒21の受け筒64への装着状態の保持が解除される。これにより、風船40が口筒1Bの注入口7からの空気噴射により空中へ飛び出す。
【0087】
したがって、このポンプ具50Bによれば、上記第1実施形態のポンプ具50Aと同じく、風船40の口筒1Bが邪魔筒21を備えているものであっても風船40を容易に膨らますことができるし、膨らました風船40を容易に発射することができる。
【0088】
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、口筒付き風船及び当該風船を膨らます際に用いられるポンプ具に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1A、1B:口筒 2:口筒本体
7:注入口 20:邪魔部
21:邪魔筒 21a:周壁
40:風船 42:口部
50A、50B:ポンプ具 51:ポンプ具本体
58:吹出し部 60:発射台部
63:密閉スリーブ 64:受け筒
65:ノズル 70:係止片