(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176485
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】作業支援システム、作業支援方法、及び作業支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241212BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241212BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095042
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 樹希
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】実施した作業の内容を確実に記録する。
【解決手段】作業者による作業の状況を表す画面を作業者に対して表示する表示装置14と、作業者による作業の状況の画像を撮影する撮影装置16と、作業に用いられる物の画像の特徴を表す情報である画像情報と、作業の内容を示す情報である作業内容情報とを対応づけた作業用情報を記憶する記憶装置12と、表示装置14に画面を表示させると共に、撮影装置16に画像を撮影させ、撮影された画像と、画像情報とに基づき、作業者が作業を実施したか否かを判定し、作業者が作業を実施したと判定した場合に、作業内容情報に基づき、完了した作業の内容を示す情報を出力する制御装置とを備える作業支援システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者による作業の状況を表す画面を作業者に対して表示する表示装置と、
前記作業者による作業の状況の画像を撮影する撮影装置と、
前記作業に用いられる物の画像の特徴を表す情報である画像情報と、前記作業の内容を示す情報である作業内容情報とを対応づけた作業用情報を記憶する記憶装置と、
前記表示装置に前記画面を表示させると共に、前記撮影装置に前記画像を撮影させ、撮影された画像と、前記画像情報とに基づき、前記作業者が前記作業を実施したか否かを判定し、前記作業者が前記作業を実施したと判定した場合に、前記作業内容情報に基づき、前記完了した作業の内容を示す情報を出力する制御装置と
を備える作業支援システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記画像情報として、前記作業に用いられる物の画像及び、前記作業者の身体又は当該作業者が用いる道具の画像の特徴を表す情報を記憶し、
前記制御装置は、前記撮影された画像と、前記画像の特徴を表す情報とに基づき、前記撮影された画像に、前記作業に用いられる物が撮影され、かつ、前記撮影した画像に、前記作業者の身体又は当該作業者が用いる道具が撮影されているか否かを判定し、前記作業に用いられる物が撮影され、かつ、前記撮影した画像に、前記作業者の身体又は当該作業者が用いる道具が撮影されている場合に、前記作業者が前記作業を開始したと判定する、
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記記憶装置は、前記画像情報として、前記作業に用いられる物の画像及び、前記作業者の身体又は当該作業者が用いる道具の画像の特徴を表す情報を記憶し、
前記制御装置は、前記撮影された画像と、前記画像の特徴を表す情報とに基づき、前記撮影された画像に、前記作業に用いられる物が撮影され、かつ、前記撮影した画像に、前記作業者の身体又は当該作業者が用いる道具が撮影されていないか否かを判定し、前記作業に用いられる物が撮影され、かつ、前記撮影した画像に、前記作業者の身体又は当該作業者が用いる道具が撮影されていない場合に、前記作業者が前記作業を完了したと判定する、
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記作業が行われる空間に対応する前記表示装置の画面上の位置を算出し、所定の図形を、前記表示装置の画面上の前記算出した位置に表示させる、
請求項2又は3に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記作業者を行うべき作業の工程を示す情報を記憶し、
前記制御装置は、前記作業者による作業の状況と共に前記作業の工程を示す情報を表示した画面を前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記撮影装置に、前記作業の対象である物体の所定位置に付されている識別コードの画像を撮影させ、
前記撮影された画像に基づき、前記物体の情報を取得し、前記物体の位置を算出し、
前記取得した物体の情報が予め登録されている物体の情報と一致するか否かを判定し、前記取得した物体の情報が予め登録されている物体の情報と一致する場合に、前記算出した位置に基づき算出された前記表示装置の画面上の位置に前記物体を含む画面を表示させる、
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記撮影された画像と、前記画像情報とに基づき、前記作業者が使用した物を特定し、前記特定した物に基づき、前記作業者が前記作業を実施したか否かを判定し、前記作業者が前記作業を実施したと判定した場合に、前記作業内容情報及び前記特定した物の情報に基づき、前記完了した作業の内容を示す情報を出力する、
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項8】
作業者による作業の状況を表す画面を作業者に対して表示する表示装置と、
前記作業者による作業の状況の画像を撮影する撮影装置と、
前記作業に用いられる物の画像の特徴を表す情報である画像情報と、前記作業の内容を示す情報である作業内容情報とを対応づけた作業用情報を記憶する記憶装置と、制御装置とを備える情報処理装置が、
前記表示装置に前記画面を表示させると共に、前記撮影装置に前記画像を撮影させ、撮影された画像と、前記画像情報とに基づき、前記作業者が前記作業を実施したか否かを判定し、前記作業者が前記作業を実施したと判定した場合に、前記作業内容情報に基づき、前記完了した作業の内容を示す情報を出力する、
作業支援方法。
【請求項9】
作業者による作業の状況を表す画面を作業者に対して表示する表示装置と、
前記作業者による作業の状況の画像を撮影する撮影装置と、
記憶装置と、制御装置とを備える情報処理装置に、
前記作業に用いられる物の画像の特徴を表す情報である画像情報と、前記作業の内容を示す情報である作業内容情報とを対応づけた作業用情報を記憶させ、
前記表示装置に前記画面を表示させると共に、前記撮影装置に前記画像を撮影させ、撮影された画像と、前記画像情報とに基づき、前記作業者が前記作業を実施したか否かを判定し、前記作業者が前記作業を実施したと判定した場合に、前記作業内容情報に基づき、前記完了した作業の内容を示す情報を出力させる、
作業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システム、作業支援方法、及び作業支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造、点検又は修理等を行うフィールドサービスでは、様々な作業工程を経て業務を実施する。業務の終了後、作業者は、実施した業務の内容を報告する必要がある場合がある。その場合、作業者は、実施した業務内容を記録しておく必要がある。
【0003】
この点に関連して、製品の製造工程を記録する技術としては、例えば、特許文献1に、各製造工程に配置されたタブレット端末と、タブレット端末と通信を行うパソコンとを備える製造工程管理システムであって、タブレット端末が、そのタブレット端末が配置されている製造工程(自工程)における作業に関する情報(作業情報)を特定し、特定した作業情報をパソコンへ送信し、パソコンは、タブレット端末から作業情報を受信し、受信した作業情報を、製品の生産予定ロットごとに一意に付されたロット番号に関連付けて記録することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、作業者がタブレット端末を用いてバーコードを読み取り、もしくはタブレット端末への各種のデータ入力を行うことで作業の内容を登録する。しかしながら、複雑な工程を有する業務の場合、これらの登録作業は煩雑なものとなり、データの入力漏れや過不足が生じるおそれがある。その結果、適切な内容の報告書が作成できなくなるおそれがある。
【0006】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、実施した作業の内容を確実に記録することが可能な作業支援システム、作業支援方法、及び作業支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するための本発明の一つは、作業者による作業の状況を表す画面を作業者に対して表示する表示装置と、前記作業者による作業の状況の画像を撮影する撮影装置と、前記作業に用いられる物の画像の特徴を表す情報である画像情報と、前記作業の内容を示す情報である作業内容情報とを対応づけた作業用情報を記憶する記憶装置と、前記表示装置に前記画面を表示させると共に、前記撮影装置に前記画像を撮影させ、撮影された画像と、前記画像情報とに基づき、前記作業者が前記作業を実施したか否かを判定し、前記作業者が前記作業を実施したと判定した場合に、前記作業内容情報に基づき、前記完了した作業の内容を示す情報を出力する制御装置とを備える作業支援システム、である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実施した作業の内容を確実に記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る作業支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図5】報告書作成支援処理の概要を説明するフロー図である。
【
図6】表示装置に表示される作業画面の一例を示す図である。
【
図7】対象機材特定処理の詳細を説明するフロー図である。
【
図8】作業工程登録処理の詳細を説明するフロー図である。
【
図9】表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【
図10】表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【
図11】作成される作業情報DBの一例を示す図である。
【
図12】作成される利用パーツDBの一例を示す図である。
【
図13】作成される作業内容報告文DBの一例を示す図である。
【
図14】同期処理の詳細を説明するフロー図である。
【
図15】生成される作業内容報告文の内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の作業支援システムは、作業者がいわゆるAR(Augmented Reality)デバイスを装着して所定の作業を行う場合に使用される情報処理システムである。作業支援システムは、ARデバイスを通じて、作業者が実施した作業の内容を特定してその作業に関する報告書を作成する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る作業支援システム1の構成の一例を示す図である。作業支援システム1は、ARデバイス10及びサーバ20を含んで構成される。ARデバイス10及びサーバ20の間は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又は専用線等の有線又は無線の通信ネットワーク5により接続される。
【0012】
ARデバイス10は、例えば、スマートグラス等、眼鏡類似の形状を有する情報処理装置(コンピュータ)として構成される。ARデバイス10は、作業者が装着して使用する情報処理装置である。具体的には、ARデバイス10は、制御装置11、記憶装置12、入力装置13、表示装置14、通信装置15、及び撮影装置16を備える。なお、不図示であるが、ARデバイス10は、自身の位置(又は座標)を特定するための位置センサ、姿勢センサ、又は加速度センサ等を備えていてもよい。
【0013】
制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサである。記憶装置12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)である。なお、ARデバイス10は、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを備えていてもよい。
【0014】
入力装置13は、タッチパネル又はボタン等からなり、撮影装置16に対する入力操作及び制御装置11による処理の実行を実現する。
【0015】
表示装置14は、所定の表示領域(画面)を有する液晶パネル等からなる。表示装置14は、制御装置11等によって生成された画像を表示する。
【0016】
具体的には、例えば、表示装置14は、ARデバイス10を装着している作業者の視界に対応する画像(現実空間の画像)を表示する。また、表示装置14は、制御装置11の各処理によって生成された文字及び図形等の画像を現実空間の画像に重ねて表示する。
【0017】
ここで、
図1に示すように、表示装置14に表示される現実空間の画像は、例えば、作業対象の物体である作業対象機材31、作業に用いられる物体又は身体32、及び作業に用いるパーツ33の各画像である。作業に用いられる物体又は身体32は、例えば、作業者の身体又は作業者が使用する機器又は道具等である。本実施形態では、作業に用いられる物体又は身体32は、作業者の手であるものとする。
【0018】
撮影装置16は、ARデバイス10を装着した作業者の視界(表示装置14に表示されている画面)に対応する画像を撮影する。例えば、撮影装置16は、作業者による作業の状況の画像を撮影する。
【0019】
通信装置15は、無線通信モジュール等で構成され、他の情報処理装置との通信を行う。
【0020】
次に、ARデバイス10は、記憶装置12に作業用情報121を記憶する。作業用情報121は、機材情報DB200、作業工程DB300、パーツDB400、及び物体判別モデル500を含む。
【0021】
機材情報DB200は、作業者が行う作業の対象である物体(以下、機材という)の情報を記憶している。作業工程DB300は、機材に対する作業において実施すべき各作業工程の内容の情報を記憶している。パーツDB400は、機材に対する作業に用いるべき部品(パーツ)の情報を記憶している。
【0022】
物体判別モデル500は、画像データから、その画像に含まれる物の種類(具体的には、機材、パーツ、作業者の身体の各部位(作業者の手等)、又は作業者が作業に用いる道具等)を判別する学習済みモデルである。物体判別モデル500は、後述するように、パーツDB400における画像情報に基づき生成される。
【0023】
本実施形態では、物体判別モデル500は、入力値である画像データが入力される入力層と、入力値から画像データの特徴量を抽出して出力する1又は複数の中間層(隠れ層)と、各特徴量から物の存在種類の有無を出力する出力層とを有するニューラルネットワークのモデル(例えば、CNN(Convolution Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)によるモデル)とする。なお、物体判別モデル500は、ニューラルネットワーク以外にも、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、又は回帰木等を適用したモデルを採用してもよいし、データベース、テンプレート、又はプログラムとして構成されてもよい。すなわち、物体判別モデル500は、作業に用いられる物の画像の特徴を表す情報を出力するものであればよい。
【0024】
また、ARデバイス10は、記憶装置12に、実施した作業に関する情報である作業結果情報122を記憶する。作業結果情報122は、実施した各作業工程に関する情報を記憶した作業情報DB600、各作業工程で使用したパーツの情報を記憶した利用パーツDB700、及び、実施した各作業工程の詳細を記憶した作業内容文DB800を含む。これらの情報の詳細は後述する。
【0025】
なお、ARデバイス10は、作業用情報121及び作業結果情報122を、通信ネットワーク5等を介して他の情報処理装置(データサーバ等)から取得するようにしてもよい。
【0026】
認証部123は、ARデバイス10による処理の実行を開始するための認証を行う。
【0027】
機材特定部124は、作業の対象である機材を特定する。
【0028】
作業画面表示部125は、表示装置14に、作業中の画面及び作業に関連した画面を表示させる。
【0029】
判定部126は、作業者が作業における各作業工程を完了したか否かを判定する。
例えば、判定部126は、表示装置14に、作業者による作業の状況を表す画面を表示させると共に、撮影装置16に、作業者による作業の状況の画像を撮影させる。
【0030】
そして、判定部126は、撮影された画像と、パーツDB400及び物体判別モデル500とに基づき、作業者が作業の各作業工程を実施したか否かを判定し、作業者が作業の各作業工程を実施したと判定した場合に、作業工程DB300に基づき、完了した作業の内容を示す情報を作業内容報告文DB800に出力する。
【0031】
具体的には、判定部126は、撮影された画像にパーツが撮影され、かつ、撮影した画像に作業者の身体又は作業者が用いる道具(本実施形態では作業者の手)が撮影されているか否かを判定し、パーツが撮影され、かつ、撮影した画像に作業者の身体又は作業者が用いる道具が撮影されている場合に、作業者が作業を開始したと判定する。
【0032】
また、判定部126は、撮影された画像にパーツが撮影され、かつ、撮影した画像に作業者の身体又は作業者が用いる道具(本実施形態では作業者の手)が撮影されていないか否かを判定し、パーツが撮影され、かつ、撮影した画像に作業者の身体又は作業者が用いる道具が撮影されていない場合に、作業者が作業を完了したと判定する。
【0033】
(機材情報DB)
図2は、機材情報DB200の一例を示す図である。機材情報DB200は、機材のIDが設定される機材ID201、その機材の名称が設定される機材名称202、及びその機材の概要を説明する文章(テキスト等)が設定される機材概要203の各データ項目を有する。機材情報DB200は、例えば、作業者又は管理者等からの入力により予め作成される。
【0034】
(作業工程DB)
図3は、作業工程DB300の一例を示す図である。作業工程DB300は、作業工程のIDが設定される作業工程ID301、その作業工程を説明する文章又は関連する画像が設定される作業工程概要302、その作業工程に係る機材のIDが設定される機材ID303、その作業工程で使用されるパーツのIDが設定されるパーツID304、そのパーツによる作業が行われる領域(作業領域)における基準位置の座標が設定される作業箇所座標305、作業領域の輪郭を特定するための座標の情報が設定される作業ボックスサイズ情報306、及び、上記作業工程の内容を説明する、報告書用の文章(テキスト等)が設定される作業内容定型文307の各データ項目を有する。作業工程DB300は、例えば、作業者又は管理者等からの入力により予め作成される。
【0035】
本実施形態では、作業箇所座標305及び作業ボックスサイズ情報306には、三次元空間の座標系における座標情報が設定される。ARデバイス10は、三次元空間における各オブジェクトの座標を、表示装置14の画面に対して設定した所定の座標系の座標に変換することで、表示装置14の画面上に各オブジェクトの画像を表示する。
【0036】
なお、本実施形態における各機材及びパーツの座標の設定及び算出方法は一例である。例えば、機材の基準位置及びパーツの位置についてそれぞれ、現実空間の所定位置を基準とした座標を設定し、ARデバイス10は、それらの座標に基づいて表示装置14の画面上の機材及びパーツの画像を表示してもよい。
【0037】
また、作業内容定型文307には、作業工程のタイトル3071と、作業工程の詳細を説明する文章3072とを設定可能である。タイトル3071及び文章3072には、作業工程で使用するパーツ及び機材に関する情報を指定するための特殊文字列3073を設定することが可能である。
【0038】
(パーツDB)
図4は、パーツDB400の一例を示す図である。パーツDB400は、パーツのIDが設定されるパーツID401、そのパーツの名称(又は種類)が設定されるパーツ名称402、及びそのパーツの画像データを示す情報が設定される物体認識情報403の各データ項目を有する。物体認識情報403に係るデータは、物体判別モデル500の教師データを構成する。また、不図示であるが、パーツDB400(具体的には、物体認識情報403)には、作業者の身体の各部位(手等)の画像データも記憶されているものとする。パーツDB400は、例えば、作業者又は管理者等からの入力により予め作成される。
【0039】
なお、本実施形態では、後述する報告書作成支援処理の実行前に、物体判別モデル500が予め生成されているものとする。例えば、所定の情報処理装置が、各物の画像データ(物体認識情報403のデータ)を教師データとし、パーツDB400に登録されている各物の名称(パーツ名称402に対応する名称、作業者の手等)を正解データとした機械学習を行うことにより、画像データを入力値とし、その画像データに含まれている物(パーツの名称、作業者の手等)の有無の情報を出力値とする物体判別モデル500を生成する。なお、物体判別モデル500は、パーツに対するモデル及び身体に対するモデルといったように複数のモデルで構成されてもよい。
【0040】
次に、サーバ20は、CRMシステム21(Customer Relationship Management)を含む情報処理装置である。サーバ20は、ARデバイス10が生成した作業結果情報122を記憶し蓄積する。
【0041】
以上に説明したARデバイス10の機能は、ARデバイス10のハードウェアによって、もしくは、各情報処理装置の制御装置11が、記憶装置12に記憶されている各プログラムを読み出して実行することにより実現される。また、これらのプログラムは、例えば、二次記憶デバイスや不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSDなどの記憶デバイス、又は、ICカード、SDカード、DVDなどの、情報処理装置で読み取り可能な記録媒体に格納される。なお、ARデバイス10を含む作業支援システム1における各情報処理装置の全部または一部の機能は、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、これらの装置によって提供される機能の全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI(Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。
次に、作業支援システム1において行われる処理について説明する。
【0042】
<報告書作成支援処理>
図5は、報告書作成支援処理の概要を説明するフロー図である。報告書作成支援処理は、例えば、ARデバイス10の入力装置13に作業者から所定の入力がなされたことを契機に開始される。
【0043】
認証部123は、作業者からのログインを受け付ける(s11)。例えば、認証部123は、作業者からユーザID及びパスワードの入力を受け付け、入力されたユーザID及びパスワードと、所定のデータベースとの照合を行う。照合が成功した場合、認証部123は、ログインを完了する。
【0044】
機材特定部124は、作業の対象の機材(以下、対象機材という)に貼付されている識別コードを用いて、作業者が行う作業(以下、対象作業という)における対象機材を認識する対象機材特定処理s12を実行する。対象機材特定処理s12の詳細は後述する。
【0045】
すると、作業画面表示部125は、対象機材特定処理s12で特定された座標に基づき、ARデバイス10に、実施すべき作業及びその作業工程に関する情報(以下、作業内容表示用コンテンツという)を表示する(s13)。
【0046】
例えば、作業画面表示部125は、作業者から、入力装置13に対する所定の開始入力を受け付ける。作業画面表示部125は、開始入力を受け付けると、作業内容表示用コンテンツを表示した作業画面(詳細は後述)を表示する。
【0047】
その後、作業画面表示部125は、開始する作業工程を特定する(s14)。作業画面表示部125は、特定された作業工程(以下、対象作業工程という)を記憶する。例えば、作業画面表示部125は、作業者から、入力装置13に対する、作業画面に表示されている作業工程のうちいずれかの作業工程の指定の入力を受け付けることで、対象作業工程を特定する。
【0048】
その後、作業画面表示部125は、対象作業工程が行われる、対象機材及びその近傍の空間領域(以下、作業空間という)を表す図形(以下、作業箇所表示用ボックス型コンテンツという)を、対象作業工程が行われる現実空間に対応する、表示装置14の画面上の領域に表示する(s15)。
【0049】
例えば、作業画面表示部125は、作業工程DB300を参照し、s14で指定された対象作業工程に係るレコードの作業箇所座標305及び作業ボックスサイズ情報306の内容を取得する。作業画面表示部125は、取得したこれらの座標の情報と、対象機材特定処理s12で特定した対象機材の基準位置の情報(後述)とに基づき、対象作業工程が行われる空間を表す立体図形の座標(表示装置14の画面の座標系における座標)を算出し、算出した座標に基づき、当該立体図形を、表示装置14の画面に描画する。
【0050】
図6は、s15の処理において表示装置14に表示される作業画面の一例を示す図である。同図に示すように、この作業画面には、対象機材611と、直方体状の作業箇所表示用ボックス型コンテンツ612と、作業内容表示用コンテンツ613とが表示されている。
【0051】
作業箇所表示用ボックス型コンテンツ612は、対象作業に係る対象機材及び対象機材の周囲の空間を示す図形である。作業箇所表示用ボックス型コンテンツ612は、例えば、対象機材において対象パーツが取り付けられるべき空間及び、その取り付けを行う作業者の手又は道具が位置すべき空間を含む空間を表す図形である。
【0052】
作業内容表示用コンテンツ613には、対象機材特定処理s12で特定した対象機材の名称614と、各作業工程の名称615と、各作業工程の詳細の情報616(例えば、作業工程DB300の作業工程概要302のデータ)とが表示される。また、作業者がこれから実施すべき対象作業工程に関する情報の表示部分617には、所定の強調表示等がなされる。なお、作業内容表示用コンテンツ613には、作業者がこれから実施すべき対象作業工程の情報のみが表示されてもよい。
【0053】
なお、s14において作業画面表示部125は、作業内容表示用コンテンツ613に表示されている作業工程の順番(実際の作業の順番)に応じて自動的に対象作業工程を特定するようにしてもよい。
【0054】
作業者は、このような作業画面により、行うべき作業の内容及び、作業を行うべき対象機材における箇所を確認することができる。
【0055】
次に、
図5に示すように、判定部126は、作業者が対象作業工程を完了したか否かを判定すると共に、作業者が対象作業工程を完了した場合には、その旨を示す情報を生成して作業内容文DB800に登録する作業工程登録処理s16を実行する。なお、判定部126は、作業工程登録処理s16において、完了した対象作業工程に関する情報を作業情報DB600、利用パーツDB700、及び作業内容文DB800に登録する。作業工程登録処理s16の詳細は後述する。
【0056】
判定部126は、作業工程DB300及び作業情報DB600を参照することにより、対象作業における全ての作業工程を完了したか否かを判定する(s17)。
【0057】
対象作業において作業工程を完了していない場合は(s17:NO)、判定部126はs18を実行する。対象作業における全ての作業工程を完了した場合は(s17:YES)、判定部126は、現在時刻を作業の終了時刻として記憶した上でs19を実行する。
【0058】
s18において判定部126は、完了していない作業工程の一つを新たな対象作業工程として特定する。例えば、現在の対象作業工程の次の作業工程を作業工程DB300から特定し、又は、作業者からの、作業工程の指定を入力装置13から受け付ける。その後は、s15の処理が繰り返される。
【0059】
一方、s19において判定部126は、作業情報の内容をサーバ20と同期する同期処理s19を実行する。同期処理s19の詳細は後述する。
【0060】
その後、CRMシステム21は、同期された作業情報の内容(例えば、作業内容文DB800)を画面に表示する(s20)。管理者等は、表示された画面を確認することで、作業者が行った作業の内容を、報告書の形で確認することができる。
以下、各処理の詳細を説明する。
【0061】
<対象機材特定処理>
図7は、対象機材特定処理s12の詳細を説明するフロー図である。
【0062】
機材特定部124は、表示装置14に、対象機材及び対象機材に付されている識別コードを表示させる(s31)。
例えば、まず、機材特定部124は、表示装置14の画面の所定位置に、識別コードの撮影領域を設定するためのコンテンツ(枠の図形等)を表示させる。作業者は、表示装置14に表示されているコンテンツの内部に対象機材が位置するように、自身の目線(表示装置14の方向)を変える。なお、識別コードは、対象機材の属性情報(例えば、機材の名称、メーカー名、製造年月日)が含まれているデータであり、例えば、QRコード(登録商標)又はバーコードである。
【0063】
機材特定部124は、撮影装置16に、s31で表示させた識別コードを撮影させる(s32)。例えば、機材特定部124は、作業者からの、入力装置13に対する撮影指示の入力を受け付ける。
【0064】
機材特定部124は、s32で撮影した識別コードを解析することにより、対象機材の属性情報を取得する(s33)。また、機材特定部124は、ARデバイス10の姿勢又は位置の情報等に基づき、s32で表示装置14に表示されている対象機材の座標(三次元空間座標系又は表示装置14に係る座標系における座標)を算出し、算出した座標を、対象機材の基準位置の情報として記憶する。
【0065】
機材特定部124は、s33で取得した属性情報が、機材情報DB200に登録されているか否かを判定する(s34)。例えば、機材特定部124は、機材情報DB200を参照し、機材名称202にs33で取得した属性情報が設定されているレコードがあるか否かを判定し、当該レコードがある場合には、当該レコードのデータを取得する。
【0066】
s33で取得した属性情報が機材情報DB200に登録されている場合は(s34:YES)、機材特定部124は、現在時刻を作業の開始時刻として記憶し、対象機材特定処理s12は終了する。一方、s33で取得した属性情報が機材情報DB200に登録されていない場合は(s34:NO)、機材特定部124はs32以降の処理を繰り返す。
【0067】
<作業工程登録処理>
図8は、作業工程登録処理s16の詳細を説明するフロー図である。
【0068】
判定部126は、対象作業工程において用いるパーツの画像を撮影する(s51)。
【0069】
例えば、判定部126は、作業者からの、入力装置13への撮影指示の入力を受け付ける。作業者は、対象作業工程において用いるパーツを手で持ちつつ、表示装置14の画面にそのパーツが写るように、自身の目線(表示装置14の方向)を変更する。そして、作業者は、入力装置13に撮影指示を入力する。すると、判定部126は、撮影装置16によりそのパーツの画像を撮影する。
【0070】
判定部126は、s51で撮影した画像が示すパーツがパーツDB400に登録されているか否かを判定する(s52)。
【0071】
例えば、判定部126は、s51で撮影した画像データを、物体判別モデル500に入力することにより、当該画像データに対応するパーツの名称を取得する。判定部126は、取得したパーツの名称がパーツDB400のいずれかのレコードに登録されているか否かを判定し、登録されている場合には、そのレコードの内容を取得する。
【0072】
s51で撮影した画像が示すパーツがパーツDB400に登録されている場合は(s52:YES)、判定部126はs53の処理を実行し、s51で撮影した画像が示すパーツがパーツDB400に登録されていない場合は(s52:NO)、判定部126はs51の処理を繰り返す。
【0073】
s53において判定部126は、s52で撮影したパーツが、対象作業工程で用いられるべきパーツであるか否か(すなわち対象パーツであるか否か)を判定する。
【0074】
例えば、判定部126は、作業工程DB300を参照し、対象作業工程のIDが作業工程ID301に設定されているパーツID304の内容を取得し、取得した内容と、s52で取得したレコードのパーツIDとが同じであるか否かを判定する。
【0075】
s52で撮影したパーツが対象作業工程で用いられるべきパーツでない場合は(s53:NO)、判定部126はs51の処理を実行する。一方、s52で撮影したパーツが対象作業工程で用いられるべきパーツである場合は(s53:YES)、判定部126はs54の処理を実行する。なお、この場合、判定部126は、作業者が正しいパーツを手にした又はしていないことを示す情報を表示装置14に表示し、作業者に、作業の続行を促すようにしてもよい。
【0076】
なお、
図9は、s51-s53において表示装置14に表示される画面の一例を示す図である。同図に示すように、表示装置14の画面には、対象機材901、作業箇所表示用ボックス型コンテンツ902、対象作業工程の情報903が強調表示された作業内容表示用コンテンツ904、作業者の手905、作業者が把持している対象パーツ906、及び対象パーツの名称907がそれぞれ表示される。
【0077】
その後、作業者は、手にしたパーツ(すなわち対象パーツ)を、対象機材における、対象パーツを取り付けるべき箇所(作業空間)に移動させていく。この際、作業者が装着しているARデバイス10の表示装置14は、作業空間の方向に向く。また、作業者が装着しているARデバイス10の表示装置14は、作業箇所表示用ボックス型コンテンツを継続して表示している。
【0078】
このような場合において、
図8のs54に示すように判定部126は、表示装置14における作業箇所表示用ボックス型コンテンツ内の領域に、対象パーツ及び作業者の手が表示されているか否かを判定する。すなわち、判定部126は、作業者が対象作業工程を開始したか否かを判定する。
【0079】
例えば、判定部126は、表示装置14の作業箇所表示用ボックス型コンテンツの領域の画像を取得する。判定部126は、取得した画像を、物体判別モデル500に入力することにより、当該画像に対象パーツ及び作業者の手が含まれているか否かを判定する。
【0080】
作業箇所表示用ボックス型コンテンツ内の領域に、対象パーツ及び作業者の手が表示されている場合は(s54:YES)、判定部126は、現在時刻を対象作業工程の開始時刻として記憶した上でs55の処理を実行し、作業箇所表示用ボックス型コンテンツ内の領域に、対象パーツ又は作業者の手が表示されていない場合は(s54:NO)、判定部126はs54の処理を繰り返す。
【0081】
なお、
図10は、s54-s55において表示装置14に表示される画面の一例を示す図である。同図に示すように、表示装置14の画面には、対象機材1001、作業箇所表示用ボックス型コンテンツ1002、及び対象作業工程の情報1003が強調表示された作業内容表示用コンテンツ1004がそれぞれ表示される。そして、作業箇所表示用ボックス型コンテンツ1002内には、作業中の作業者の手1005及び、作業者が作業のために把持している対象パーツ1006がそれぞれ表示される。
【0082】
次に、
図8に示すように、s55において判定部126は、対象作業工程を実施した旨を作業情報DB600に登録し、対象パーツを使用した旨を利用パーツDB700に登録する。例えば、判定部126は、対象機材、対象作業工程の順番(何番目に実施した工程であるか)、及び対象作業工程のIDを作業情報DB600に登録する。また、判定部126は、対象パーツのID及び対象パーツを使用したことを示す情報を、利用パーツDB700に登録する。
【0083】
また、判定部126は、対象パーツを用いて対象作業工程を実施したことを示す情報を、作業内容報告文DB800に登録する(s56)。例えば、判定部126は、作業工程DB300を参照し、対象機材のID、対象作業工程のID、及び対象パーツのIDが機材ID303、作業工程ID301、及びパーツID304にそれぞれ登録されているレコードの作業内容定型文307の内容を取得し、取得した内容に所定の加工を行ったデータを、新規作成した作業内容報告文DB800のレコードに登録する。
【0084】
その後、作業者は、対象パーツによる対象作業工程を実施する。例えば、作業者は、対象機材に対象パーツを取り付ける作業を行う。
【0085】
この場合において、判定部126は、表示装置14における作業箇所表示用ボックス型コンテンツ内の領域に、対象パーツが表示されかつ作業者の手が表示されていないか否かを判定する(s57)。すなわち、判定部126は、作業者がパーツの取り付け作業を終了してその手をパーツ(対象機材)から離し、対象作業工程を完了したか否かを判定する。
【0086】
例えば、判定部126は、表示装置14の作業箇所表示用ボックス型コンテンツの領域の画像を取得する。判定部126は、取得した画像を、物体判別モデルに入力することにより、当該画像に対象パーツが含まれかつ作業者の手が含まれていないか否かを判定する。
【0087】
作業箇所表示用ボックス型コンテンツ内の領域に、対象パーツが表示されかつ作業者の手が表示されていない場合は(s57:YES)、判定部126は現在時刻を対象作業工程の終了時刻として記憶した上で、作業工程登録処理s16は終了し、それ以外の場合は(s57:NO)、判定部126はs57の処理を繰り返す。
【0088】
なお、判定部126は、s55、s56の処理を、s57:YESのタイミングで実行してもよい。
【0089】
(作業情報DB)
図11は、作成される作業情報DB600の一例を示す図である。作業情報DB600は、作業のIDが設定される作業ID601、その作業における機材のIDが設定される機材ID602、次述する作業工程ID604に係る作業工程が作業ID601に係る作業において実施された順番が設定される作業順番603、及び、実施した作業工程のIDが設定される作業工程ID604の各データ項目を有する。
【0090】
(利用パーツDB)
図12は、作成される利用パーツDB700の一例を示す図である。利用パーツDB700は、作業のIDが設定される作業ID701、その作業に用いられたパーツのIDが設定されるパーツID702、及び、作業IDに係る作業においてパーツID702に係るパーツが利用された数が設定されるパーツ数703の各データ項目を有する。
【0091】
(作業内容報告文DB)
図13は、作成される作業内容報告文DB800の一例を示す図である。作業内容報告文DB800は、作業のIDが設定される作業ID801、その作業に関する報告文のデータ(テキスト等)が設定される作業内容報告文802の各データ項目を有する。作業内容報告文802には、作業工程DB300の作業内容定型文307のデータに基づくデータが設定される。
【0092】
<同期処理>
図14は、同期処理s19の詳細を説明するフロー図である。
【0093】
まず、判定部126は、これまでの処理で生成した作業情報をサーバ20と同期させる指示を受け付ける(s71)。例えば、判定部126は、作業者から、入力装置13への同期指示の入力を受け付ける。
【0094】
判定部126は、指示を受け付けると、これまでの処理で生成した作業結果情報122をサーバ20に送信する(s72)。例えば、判定部126は、作業情報DB600、利用パーツDB700、及び作業内容文DB800をサーバ20のCRMシステム21に送信する。以上で同期処理s19は終了する。
【0095】
(作業内容報告文)
図15は、生成される作業内容報告文802の内容の一例を示す図である。同図に示すように、この作業内容報告文1500は、報告書タイトル1510、各作業工程のタイトル1520、各作業工程の実施内容1530、作業終了後の情報1540、作業時間1550、作業者1560、及び利用パーツ1570の各項目を有する。
【0096】
報告書タイトル1510は、作業情報DB600に設定された対象機材名1511、及び利用パーツDB700に設定された全ての利用パーツ1512の情報が自動的に埋め込まれたものとなっている。なお、報告書タイトル1510には、機材情報DB200の機材概要203に対応する情報が埋め込まれていてもよい。
【0097】
作業工程のタイトル1520及び作業工程の実施内容1530には、作業工程DB300の作業内容定型文307に対応する情報が埋め込まれたものとなっている。この場合、作業内容定型文307で定義された機材、及びパーツ等の情報1521、1531が埋め込まれる。
【0098】
作業時間1550は、作業開始からの終了までの時間1551と、作業を実施した実時間1552とを含む。作業開始からの終了までの時間1551には、作業支援処理で作業支援システム1が計測した作業の開始時間及び作業の終了時間が埋め込まれる。作業を実施した実時間1552には、作業支援処理で作業支援システム1が計測した各作業工程の開始時間から終了時間までの時間を合計した時間が埋め込まれる。
【0099】
利用パーツ1570には、利用パーツDB700の各レコードの内容に基づく情報(利用パーツの名称1571及び利用パーツの利用数1572)が埋め込まれる。
【0100】
なお、作業内容報告文802の生成においては、自然な文章にするための所定の自然言語処理を行ってもよい。
【0101】
以上に説明したように、本実施形態の作業支援システム1は、表示装置14に、作業者による作業の状況を表す画面を作業者に対して表示させると共に、撮影装置16に、作業者による作業の状況の画像を撮影させ、撮影された画像と、画像情報(パーツDB400等)とに基づき、作業者が作業を実施したか否かを判定し、作業者が作業が実施したと判定した場合に、作業内容情報(作業工程DB300)に基づき、完了した作業の内容を示す情報(作業内容報告文DB800)を出力する。
【0102】
すなわち、作業支援システム1は、作業者の作業の状況の画面を表示しつつ、その画像に基づいて作業の完了を判定し、作業が完了したと判定した場合に、完了した作業の内容の情報を出力する。これにより、作業者は、実施した作業内容を自身で逐次記録する等煩雑な業務を行うことなく、作業の実施内容を記録させることができる。
【0103】
以上のように本実施形態の作業支援システム1によれば、実施した作業の内容を確実に記録することができる。
【0104】
また、本実施形態の作業支援システム1は、撮影装置16により撮影された画像と、パーツ画像及び作業者の身体又は道具(例えば、手)の画像の特徴を表す情報(パーツDB400、物体判別モデル500)とに基づき、その画像に、パーツが撮影され、かつ、作業者の身体又は道具が撮影されている場合に、作業を開始したと判定する。
【0105】
これにより、作業者が、パーツを利用して作業を開始したことを確実に検出することができる。
【0106】
また、本実施形態の作業支援システム1は、撮影装置16により撮影された画像と、パーツ画像及び作業者の身体又は道具(例えば、手)の画像の特徴を表す情報(パーツDB400、物体判別モデル500)とに基づき、その画像に、パーツが撮影され、かつ、作業者の身体又は道具が撮影されていない場合に、作業を完了したと判定する。
【0107】
これにより、作業者が、パーツを利用した作業を完了したことを確実に検出することができる。
【0108】
また、本実施形態の作業支援システム1は、作業が行われる空間に対応する表示装置14の画面上の位置を算出し、所定の図形(作業箇所表示用ボックス型コンテンツ612)を、表示装置14の画面上の上記算出した位置に表示させる。
【0109】
これにより、作業者は、作業を行うべき場所を特定し、適切な作業を実施することができる。
【0110】
また、本実施形態の作業支援システム1は、作業者による作業の状況と共に、作業者を行うべき作業の工程を示す情報(作業内容表示用コンテンツ)を表示した画面を表示装置14に表示させる。
【0111】
これにより、作業者は、行うべき作業の内容を把握し、適切な作業を実施することができる。
【0112】
また、本実施形態の作業支援システム1は、撮影装置16に、機材に付されている識別コードの画像を撮影させ、その画像に基づき機材の情報を取得すると共に機材の位置を算出し、その機材の情報が機材情報DB200に登録されている場合に、上記算出した機材の位置に基づいて算出された表示装置14の位置(座標)に、機材を含む画面を表示させる。
【0113】
このように、機材に付された識別コードを撮影装置16で撮影することで、その機材が作業対象の機材であるか否かを確認できると共に、機材の位置を算出してこれを表示装置14の画面上の表示位置を特定することができ、機材に関して行うべき処理(機材の特定及び機材の表示位置の特定)を効率良く行うことができる。
【0114】
また、本実施形態の作業支援システム1は、撮影装置16により撮影された画像と画像情報(パーツDB400等)とに基づき、作業者が使用したパーツを特定し、特定したパーツに基づき、作業者が作業を実施したと判定した場合に、作業内容情報(作業工程DB300)及び特定した物の情報(パーツDB400等)に基づき、完了した作業の内容を示す情報(作業内容報告文DB800)を出力する。
【0115】
このように、撮影装置16により作業中に撮影された利用パーツの情報(利用パーツDB700等)を作業内容報告文DB800に組み込んで出力することにより、作業者が実施した作業内容を詳細に記録することができる。
【0116】
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
【0117】
例えば、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい。
【0118】
また、各装置の各プログラムは他の装置に設けてもよいし、あるプログラムを複数のプログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラムに統合してもよい。
【0119】
また、作業内容報告文DB800のデータには、テキストだけでなく、画像又は動画(例えば、作業状況をARデバイス10で撮影した写真又は動画)が含まれていてもよい。
【0120】
また、本実施形態で説明した、作業の開始及び終了の判定方法は一例である。例えば、ARデバイス10は、表示装置14に表示されている画面における作業者、機材、及びパーツの動きを認識することにより、作業の開始及び終了を判定してもよい。
【0121】
また、本実施形態で説明した機材及びパーツの位置情報(座標情報)の取得及び算出方法は一例である。例えば、ARデバイス10は、機材の位置情報の入力を作業者から予め受け付けてもよいし、機材及びパーツの画像を撮影することで機材及びパーツの位置情報(座標情報)を算出してもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 作業支援システム、10 ARデバイス、11 制御装置、12 記憶装置、13 入力装置、14 表示装置、16 撮影装置