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特開2024-176487水処理回収システム及び水処理回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176487
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】水処理回収システム及び水処理回収方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 9/00 20230101AFI20241212BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20241212BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20241212BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20241212BHJP
   C02F 1/62 20230101ALI20241212BHJP
   C02F 1/58 20230101ALI20241212BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20241212BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20241212BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20241212BHJP
【FI】
C02F9/00
B01D21/01 102
B01D21/01 103
C02F1/52 J
C02F1/28 D
C02F1/28 L
C02F1/62 Z
C02F1/58 J
C02F1/50 510A
C02F1/50 520P
C02F1/50 531L
C02F1/50 531M
C02F1/50 531P
C02F1/50 531Q
C02F1/50 532C
C02F1/50 550H
C02F1/50 550L
C02F1/50 560B
C02F1/50 560E
C02F1/50 560Z
B01D61/58
C02F1/44 A
C02F1/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095044
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 和弥
(72)【発明者】
【氏名】今川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松村 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小原 基
(72)【発明者】
【氏名】西山 昴希
【テーマコード(参考)】
4D006
4D015
4D038
4D624
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006KA02
4D006KA03
4D006KA31
4D006KA33
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA57
4D006KA64
4D006KB12
4D006KB13
4D006KB15
4D006KC03
4D006KC14
4D006KC16
4D006KD08
4D006KD17
4D006KD19
4D006KD24
4D006KD30
4D006KE03P
4D006KE07P
4D006KE08P
4D006KE15P
4D006KE16P
4D006KE19P
4D006KE30P
4D006MA06
4D006MA21
4D006MB11
4D006MB16
4D006MC29
4D006MC54
4D006PA01
4D006PB08
4D015BA19
4D015BA23
4D015CA17
4D015DA02
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4D015DC07
4D015DC08
4D015EA36
4D015FA02
4D015FA17
4D015FA22
4D015FA23
4D015FA28
4D038AA08
4D038AB59
4D038AB77
4D038AB79
4D038BA04
4D038BA06
4D038BB06
4D038BB09
4D038BB12
4D038BB13
4D038BB17
4D038BB18
4D624AA09
4D624AB11
4D624BA02
4D624BA14
4D624BB01
4D624BB08
4D624BC01
4D624CA01
4D624DB03
4D624DB05
4D624DB20
4D624DB21
4D624DB23
(57)【要約】
【課題】フッ素を含有する被処理水を効率よく処理し、逆浸透膜の詰まりを抑制することができる水処理回収システムを得る。
【解決手段】水処理回収システム10は、フッ素を含有する原水を処理して回収する水処理回収システムであって、フッ素を含有する原水のpHを酸性に調整された状態で、原水に含有されるフッ素を吸着してフッ素濃度を低下させるフッ素吸着塔16と、フッ素吸着塔16でフッ素濃度を低下させた原水に苛性62を添加することで、水酸化カルシウムを析出させる苛性添加部17と、析出された水酸化カルシウムをUF膜で除去するUF膜ろ過部20と、UF膜ろ過部20でろ過を行った後の原水をRO膜で処理し、原水の中の少なくともイオン分を除去するRO膜処理部26と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素を含有する被処理水を処理して回収する水処理回収システムであって、
フッ素を含有する被処理水のpHが酸性に調整された状態で、前記被処理水に含有されるフッ素を吸着してフッ素濃度を低下させるフッ素吸着部と、
前記フッ素吸着部でフッ素濃度を低下させた前記被処理水にアルカリを添加することで、水酸化カルシウムを析出させるアルカリ添加部と、
前記被処理水に前記アルカリを添加して析出された水酸化カルシウムを限界ろ過膜であるUF膜で除去するUF膜ろ過部と、
前記UF膜ろ過部でろ過を行った後の前記被処理水を逆浸透膜で処理し、前記被処理水の中の少なくともイオン分を除去する逆浸透膜処理部と、
を有する水処理回収システム。
【請求項2】
前記フッ素吸着部は、ランタノイド類を含むフッ素吸着剤を備え、
前記アルカリ添加部では、前記アルカリを添加することで、前記フッ素吸着剤から前記被処理水に溶出したランタノイド類を水酸化物として析出させ、
前記水酸化物を前記UF膜ろ過部で除去する、請求項1に記載の水処理回収システム。
【請求項3】
前記フッ素吸着部と前記UF膜ろ過部との間に配置され、前記被処理水に殺菌剤を添加し、前記被処理水を殺菌する殺菌処理部を有する、請求項1に記載の水処理回収システム。
【請求項4】
前記殺菌剤は、次亜塩素酸であり、
前記UF膜ろ過部と前記逆浸透膜処理部との間に配置され、前記被処理水に含まれる残留塩素を活性炭に吸着して除去する活性炭吸着部を有する、請求項3に記載の水処理回収システム。
【請求項5】
前記フッ素吸着部で前記被処理水の処理を行う前に配置され、凝集剤が添加された前記被処理水をろ過することで、前記被処理水に含まれる微粒子を除去する砂ろ過部を有する請求項1に記載の水処理回収システム。
【請求項6】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記UF膜ろ過部の入口側の圧力を測定する第1圧力測定部と、
前記UF膜ろ過部の出口側の圧力を測定する第2圧力測定部と、を備え、
前記プロセッサは、前記第1圧力測定部で測定された入口側の圧力と、前記第2圧力測定部で測定された出口側の圧力とに基づき、前記UF膜ろ過部のUF膜が閉塞する前に前記UF膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する請求項1に記載の水処理回収システム。
【請求項7】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記逆浸透膜処理部の入口側の圧力を測定する第3圧力測定部と、
前記逆浸透膜処理部の出口側の圧力を測定する第4圧力測定部と、を備え、
前記プロセッサは、前記第3圧力測定部で測定された入口側の圧力と前記第4圧力測定部で測定された出口側の圧力とに基づき、前記逆浸透膜処理部の逆浸透膜が閉塞する前に前記逆浸透膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する請求項1に記載の水処理回収システム。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、前記逆浸透膜処理部の透過流束を算出し、前記透過流束に応じて、前記逆浸透膜処理部の逆浸透膜が閉塞する前に前記逆浸透膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する請求項1に記載の水処理回収システム。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも前記UF膜ろ過部の状態を、前記UF膜ろ過部と隔離された場所で監視する端末装置と、を備え、
前記プロセッサは、前記UF膜ろ過部に関する情報を直接又は中継部を介して前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記UF膜ろ過部に関する情報に基づいて前記UF膜ろ過部の状態を監視する請求項1に記載の水処理回収システム。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも前記逆浸透膜処理部の状態を、前記逆浸透膜処理部と隔離された場所で監視する端末装置と、を備え、
前記プロセッサは、前記逆浸透膜処理部に関する情報を直接又は中継部を介して前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記逆浸透膜処理部に関する情報に基づいて前記逆浸透膜処理部の状態を監視する請求項1に記載の水処理回収システム。
【請求項11】
フッ素を含有する被処理水を処理して回収する水処理回収方法であって、
フッ素を含有する被処理水のpHが酸性に調整された状態で、前記被処理水に含有されるフッ素を吸着してフッ素濃度を低下させるフッ素吸着工程と、
前記フッ素吸着工程でフッ素濃度を低下させた前記被処理水にアルカリを添加することで、水酸化カルシウムを析出させる析出工程と、
前記被処理水に前記アルカリを添加して析出された水酸化カルシウムを限界ろ過膜であるUF膜で除去するUF膜ろ過工程と、
前記UF膜ろ過工程でろ過を行った後の前記被処理水を逆浸透膜で処理し、前記被処理水の中の少なくともイオン分を除去する逆浸透膜処理工程と、
を有する水処理回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理回収システム及び水処理回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フッ素を含有する排水を処理する水処理装置が提案されている。例えば、特許文献1には、フッ素を含むフッ素含有被処理水から水を回収する水処理装置が開示されている。この水処理装置は、フッ素を含む被処理水にカルシウム剤を添加して第一の凝集分離処理を行う第一凝集分離装置と、第一の凝集分離処理を行った第一凝集分離処理水に炭酸塩含有剤を添加して第二の凝集分離処理を行う第二凝集分離装置と、第二の凝集分離処理を行った第二凝集分離処理水をフッ素吸着剤に接触してフッ素吸着処理を行うフッ素吸着処理装置と、フッ素吸着処理を行ったフッ素吸着処理水を逆浸透膜で処理する逆浸透膜処理装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-82546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の水処理装置では、第一凝集分離装置において、被処理水に消石灰(すなわち、水酸化カルシウム)などのカルシウム剤を添加している。水酸化カルシウムはフッ素イオンとの反応が遅いため、第一凝集分離処理を行うために、多量の水酸化カルシウムを加えなければならず、未反応の水酸化カルシウムの含有率が高くなりやすい。このため、水酸化カルシウムの濃度が高い被処理水を逆浸透膜で処理すると、逆浸透膜が詰まり易くなる。より詳細に説明すると、フッ素含水濃度が高い場合、濃縮工程でフッ素とカルシウムが反応し、フッ化カルシウムが生成する。フッ化カルシウムは再生時の回復を阻害する物質であり、洗浄しても取り除くことが困難である。濃縮工程で上記のようなスケールが発生すると、逆浸透膜が閉塞する。また逆浸透膜の再生頻度が増加し、効率的ではない。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フッ素を含有する被処理水を効率よく処理し、逆浸透膜の詰まりを抑制することができる水処理回収システム及び水処理回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に記載の水処理回収システムは、フッ素を含有する被処理水を処理して回収する水処理回収システムであって、フッ素を含有する被処理水のpHが酸性に調整された状態で、前記被処理水に含有されるフッ素を吸着してフッ素濃度を低下させるフッ素吸着部と、前記フッ素吸着部でフッ素濃度を低下させた前記被処理水にアルカリを添加することで、水酸化カルシウムを析出させるアルカリ添加部と、前記被処理水に前記アルカリを添加して析出された水酸化カルシウムを限界ろ過膜であるUF膜で除去するUF膜ろ過部と、前記UF膜ろ過部でろ過を行った後の前記被処理水を逆浸透膜で処理し、前記被処理水の中の少なくともイオン分を除去する逆浸透膜処理部と、を有する。
【0007】
上記の水処理回収システムにおいて、前記フッ素吸着部は、ランタノイド類を含むフッ素吸着剤を備え、前記アルカリ添加部では、前記アルカリを添加することで、前記フッ素吸着剤から前記被処理水に溶出したランタノイド類を水酸化物として析出させ、前記水酸化物を前記UF膜ろ過部で除去することが好ましい。
【0008】
上記の水処理回収システムにおいて、前記フッ素吸着部と前記UF膜ろ過部との間に配置され、前記被処理水に殺菌剤を添加し、前記被処理水を殺菌する殺菌処理部を有することが好ましい。
【0009】
上記の水処理回収システムにおいて、前記殺菌剤は、次亜塩素酸であり、前記UF膜ろ過部と前記逆浸透膜処理部との間に配置され、前記被処理水に含まれる残留塩素を活性炭に吸着して除去する活性炭吸着部を有することが好ましい。
【0010】
上記の水処理回収システムにおいて、前記フッ素吸着部で前記被処理水の処理を行う前に配置され、凝集剤が添加された前記被処理水をろ過することで、前記被処理水に含まれる微粒子を除去する砂ろ過部を有することが好ましい。
【0011】
上記の水処理回収システムにおいて、少なくとも1つのプロセッサと、前記UF膜ろ過部の入口側の圧力を測定する第1圧力測定部と、前記UF膜ろ過部の出口側の圧力を測定する第2圧力測定部と、を備え、前記プロセッサは、前記第1圧力測定部で測定された入口側の圧力と、前記第2圧力測定部で測定された出口側の圧力とに基づき、前記UF膜ろ過部のUF膜が閉塞する前に前記UF膜の洗浄タイミングに関する情報を出力することが好ましい。
【0012】
上記の水処理回収システムにおいて、少なくとも1つのプロセッサと、前記逆浸透膜処理部の入口側の圧力を測定する第3圧力測定部と、前記逆浸透膜処理部の出口側の圧力を測定する第4圧力測定部と、を備え、前記プロセッサは、前記第3圧力測定部で測定された入口側の圧力と前記第4圧力測定部で測定された出口側の圧力とに基づき、前記逆浸透膜処理部の逆浸透膜が閉塞する前に前記逆浸透膜の洗浄タイミングに関する情報を出力することが好ましい。
【0013】
上記の水処理回収システムにおいて、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、前記逆浸透膜処理部の透過流束を算出し、前記透過流束に応じて、前記逆浸透膜処理部の逆浸透膜が閉塞する前に前記逆浸透膜の洗浄タイミングに関する情報を出力することが好ましい。
【0014】
上記の水処理回収システムにおいて、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも前記UF膜ろ過部の状態を、前記UF膜ろ過部と隔離された場所で監視する端末装置と、を備え、前記プロセッサは、前記UF膜ろ過部に関する情報を直接又は中継部を介して前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記UF膜ろ過部に関する情報に基づいて前記UF膜ろ過部の状態を監視することが好ましい。
【0015】
上記の水処理回収システムにおいて、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも前記逆浸透膜処理部の状態を、前記逆浸透膜処理部と隔離された場所で監視する端末装置と、を備え、前記プロセッサは、前記逆浸透膜処理部に関する情報を直接又は中継部を介して前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記逆浸透膜処理部に関する情報に基づいて前記逆浸透膜処理部の状態を監視することが好ましい。
【0016】
第2態様に記載の水処理回収方法は、フッ素を含有する被処理水を処理して回収する水処理回収方法であって、フッ素を含有する被処理水のpHが酸性に調整された状態で、前記被処理水に含有されるフッ素を吸着してフッ素濃度を低下させるフッ素吸着工程と、前記フッ素吸着工程でフッ素濃度を低下させた前記被処理水にアルカリを添加することで、水酸化カルシウムを析出させる析出工程と、前記被処理水に前記アルカリを添加して析出された水酸化カルシウムを限界ろ過膜であるUF膜で除去するUF膜ろ過工程と、前記UF膜ろ過工程でろ過を行った後の前記被処理水を逆浸透膜で処理し、前記被処理水の中の少なくともイオン分を除去する逆浸透膜処理工程と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、フッ素を含有する被処理水を効率よく処理し、逆浸透膜の詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る水処理回収システムを示す概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る水処理回収システムに用いられるユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る水処理回収システムにおいて、稼働時間に対するRO膜の透過流束の変動を測定した結果を示すグラフである。
図4】第1比較例の水処理回収システムを示す概略構成図である。
図5】第1比較例の水処理回収システムにおいて、稼働時間に対するRO膜の透過流束の変動を測定した結果を示すグラフである。
図6】第2比較例の水処理回収システムを示す概略構成図である。
図7】第2比較例の水処理回収システムにおいて、稼働時間に対するRO膜の透過流束の変動を測定した結果を示すグラフである。
図8】新しいRO膜に交換した水処理回収システムの一例において、稼働時間に対するRO膜の透過流束の変動を測定した結果を示すグラフである。
図9】第2実施形態に係る水処理回収システムに用いられる監視システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る水処理回収システムについて説明する。
【0021】
<水処理回収システムの全体構成>
図1には、第1実施形態に係る水処理回収システム10が示されている。水処理回収システム10は、フッ素を含有する被処理水の一例としての原水を処理して回収するシステムである。より詳細には、水処理回収システム10は、フッ素を含有する原水を処理することで、工場等で再利用が可能な水、又は工場の外部に放流可能な水として回収するシステムである。
【0022】
図1に示されるように、水処理回収システム10は、後述する各処理部を備えた処理装置11を備えている。処理装置11には、各処理部を繋ぐと共に原水を流す配管32が設けられている。配管32には、複数(例えば4つ)のポンプ30A、30B、30C、30Dが設けられており、複数のポンプ30A、30B、30C、30Dを駆動することにより配管32内の原水を矢印A方向に送る(すなわち、送液する)。水処理回収システム10(処理装置11)は、配管32を通じて原水を後述の各処理部に送液し、各処理部で定められた処理を行う。
【0023】
より具体的に説明すると、処理装置11は、原水の送液方向(矢印A方向)の上流側から下流側に向かう順に、各処理部として、原水槽12と、砂ろ過塔14と、酸添加部15と、フッ素吸着塔16と、苛性添加部17と、ろ過水槽18と、を備えている。また、処理装置11は、原水の送液方向(矢印A方向)において、ろ過水槽18から下流側に向かう順に、各処理部として、限界ろ過膜であるUF膜を備えたUF膜ろ過部20と、前処理水槽22と、活性炭塔24と、逆浸透膜であるRO膜を備えたRO膜処理部26と、を備えている。
【0024】
また、水処理回収システム10では、処理装置11とユーザ端末80とがコンピュータネットワークを介してオンラインで接続可能とされている。ユーザ端末80は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。ユーザ端末80は、処理装置11の各処理部を制御する制御部90と、処理装置11の各処理部の処理状況が表示される表示部82と、を備えている。例えば、ユーザ端末80は、処理装置11と無線で接続されているが、処理装置11と有線で接続される構成でもよい。
【0025】
(原水槽)
図1に示されるように、原水槽12は、原水が供給されて貯留される容器である。原水としては、工場から排出されるフッ素含有排水、又は工場から排出されるフッ素含有排水にフッ素を低減させる前処理を行った排水などが含まれる。前処理としては、例えば、フッ素含有排水に1次処理として水酸化カルシウムを添加して中和処理を行い、フッ化カルシウムにして沈降分離させる場合などが含まれる。
【0026】
原水槽12には、原水槽12の内部の原水の各種項目を測定する複数の測定部として、pH測定部41Aと、濁度測定部42と、浮遊物質量(SS)を測定するSS測定部43Aと、温度測定部44Aと、電気伝導率(EC)を測定するEC測定部45Aと、酸化還元電位(ORP:Oxidation-reduction Potential)を測定するORP測定部71とが設けられている。pH測定部41Aは、原水のpHを測定する。濁度測定部42は、原水の濁度を測定する。浮遊物質量(SS)は、水質の濁りに関する指標である。浮遊物質とは、水に溶け切らなかった直径が2mm以下の小さな粒子のことである。SS測定部43Aは、原水の中の浮遊物質量(SS)を測定する。温度測定部44Aは、原水の温度を想定する。電気伝導率(EC:electric conductivity)とは、水が電気を通す能力のことである。EC測定部45Aは、原水の電気伝導率(EC)を測定する。酸化還元電位(ORP)とは、溶液の酸化還元状態を表す数値(単位:mV)である。すなわち、酸化還元電位(ORP)は、溶液の酸化性、又は還元性を示す指標である。ORP測定部71によって、原水の酸化還元電位が測定される。pH測定部41Aと、濁度測定部42と、SS測定部43Aと、温度測定部44Aと、EC測定部45Aと、ORP測定部71でそれぞれ測定された測定値は、制御部90に送信される。
【0027】
原水槽12では、薬品の一例として、凝集剤60が原水に添加される。これにより、原水中に含まれる微粒子を凝集剤60により凝集させる。凝集剤60としては、例えば、カチオン系凝集剤、アニオン系凝集剤、鉄系凝集剤、又はアルミニウム系凝集剤などが挙げられる。第1実施形態では、凝集剤60として、カチオン系凝集剤が用いられている。凝集剤60は、砂ろ過塔14で除去するために原水中の細かい微粒子をより大きな塊状の微粒子(すなわち、凝集物質)にする。
【0028】
原水槽12と砂ろ過塔14とを接続する配管32には、ポンプ30Aが設けられており、ポンプ30Aの駆動により原水槽12から原水が砂ろ過塔14に送られる(すなわち、送液される)。
【0029】
(砂ろ過塔)
図1に示されるように、砂ろ過塔14は、ろ材に砂を用いたろ過設備である。砂ろ過塔14は、砂ろ過部の一例である。砂ろ過塔14では、原水中に含まれる微粒子(例えば、凝集剤60により凝集された凝集物質など)の除去を行う。一例として、砂ろ過塔14は、鉛直方向に長い塔の内部に砂層(図示省略)を備えており、原水を定められた流速で砂層に通すことで、ろ過により微粒子の除去を行う。
【0030】
砂ろ過塔14は、原水の送液方向(矢印A方向)において、フッ素吸着塔16で原水の処理を行う前に配置されている。
【0031】
砂ろ過塔14には、SS測定部43Bと、入口側の圧力測定部47Aと、出口側の圧力測定部48Aと、流量測定部49Aとが設けられている。SS測定部43Bは、原水の中の浮遊物質量(SS)を測定する。入口側の圧力測定部47Aは、配管32を通じて原水が砂ろ過塔14へ流入する入口側の圧力を測定する。出口側の圧力測定部48Aは、原水が砂ろ過塔14から配管32へ流出する出口側の圧力を測定する。流量測定部49Aは、砂ろ過塔14を通過する原水の流量を測定する。
【0032】
SS測定部43Bと、圧力測定部47Aと、圧力測定部48Aと、流量測定部49Aとでそれぞれ測定された測定値は、制御部90に送信される。制御部90の後述するCPU91は、圧力測定部47Aで測定された入口側の圧力と圧力測定部48Aで測定された出口側の圧力に基づき、差圧101を算出する。
【0033】
(酸添加部)
水処理回収システム10では、砂ろ過塔14とフッ素吸着塔16とを接続する配管32により、砂ろ過塔14から原水がフッ素吸着塔16に送液される。酸添加部15は、砂ろ過塔14とフッ素吸着塔16とを接続する配管32の途中に設けられている。酸添加部15では、薬品の一例として、酸61が原水に添加される。酸61としては、例えば、塩酸、硫酸、希塩酸、希硫酸、クエン酸などが挙げられる。第1実施形態では、酸61として、塩酸が用いられている。
【0034】
原水に酸61が添加されることで、原水のpHが酸性となるように調整される。例えば、フッ素吸着塔16は、酸性域であるほどフッ素の吸着性能が高くなる傾向があるため、フッ素吸着塔16に原水を導入する前に原水のpHを酸性域に調整している。フッ素吸着塔16に原水を導入する直前の原水のpHは、2.0以上5.0以下であることが好ましく、2.5以上4.5以下であることが好ましく、3.0以上3.5以下であることがさらに好ましい。
【0035】
(フッ素吸着塔)
水処理回収システム10では、酸添加部15で酸61が添加された後の原水が配管32を通じてフッ素吸着塔16に送液される。フッ素吸着塔16は、フッ素吸着部の一例である。
【0036】
一例として、フッ素吸着塔16では、塔の内部にフッ素吸着剤が充填されており、原水をフッ素吸着剤と接触するように通過させる。フッ素吸着剤としては、例えば、ランタノイド類を含むフッ素吸着剤を用いることができる。ここで、ランタノイド類とは、原子番号57から71、すなわちランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15の元素の総称である。また、フッ素吸着剤として、ランタノイド類又はジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)から選ばれる1種以上の金属を含有する含水酸化鉄粒子と、一種以上の有機高分子樹脂との複合造粒物からなる吸着剤を用いてもよい。有機高分子樹脂としては、例えば、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。第1実施形態では、ランタノイド類として、原子番号58のセリウム(Ce)を含むフッ素吸着剤が用いられている。
【0037】
フッ素吸着塔16では、原水のpHを酸性に調整した状態で、原水中に含まれるフッ素をフッ素吸着剤に吸着させて、原水のフッ素濃度(すなわち、フッ素含有濃度)を低下させる。フッ素吸着塔16に導入する前の原水のフッ素濃度は、4mg/L以上30mg/L以下であることが好ましく、4mg/L以上8mg/L以下であることがより好ましく、4mg/L以上5mg/L以下であることがさらに好ましい。例えば、フッ素吸着塔16に導入する前の原水のフッ素濃度が4mg/L以上8mg/L以下である場合、フッ素吸着塔16を通した後の原水のフッ素濃度は、例えば、0.2mg/L以下となる。
【0038】
フッ素吸着塔16の入口側には、pH測定部41Bが設けられている。pH測定部41Bは、フッ素吸着塔16の入口側で原水のpHを測定する。フッ素吸着塔16に原水が導入される前に原水に酸61が注入されることで、フッ素吸着塔16の入口側の原水のpHは、例えば、3.0以上3.5以下に調整されている。pH測定部41Bで測定された測定値は、制御部90に送信される。
【0039】
また、フッ素吸着塔16の入口側には、原水の酸化還元電位(ORP:Oxidation-reduction Potential)を測定するORP測定部53が設けられている。酸化還元電位(ORP)とは、溶液の酸化還元状態を表す数値(単位:mV)である。ORP測定部53で測定された測定値は、制御部90に送信される。
【0040】
(苛性添加部)
水処理回収システム10では、フッ素吸着塔16とろ過水槽18とを接続する配管32により、フッ素吸着塔16から原水がろ過水槽18に送液される。苛性添加部17は、フッ素吸着塔16とろ過水槽18とを接続する配管32の途中に設けられている。苛性添加部17では、フッ素吸着塔16で処理した後の原水に、アルカリの一例としての苛性62(苛性アルカリという場合もある)が添加される。苛性添加部17は、アルカリ添加部の一例である。苛性62としては、例えば、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。第1実施形態では、苛性62として、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)が用いられている。原水に苛性62を添加することで、未反応の水酸化カルシウム(Ca(OH))を析出させる。また、原水に苛性62を添加することで、フッ素吸着塔16でセリウムを含むフッ素吸着剤を用いた場合に、フッ素吸着剤から溶出したセリウムを水酸化セリウム(Ce(OH))として析出させる。水酸化セリウムは、水酸化物の一例である。
【0041】
原水に苛性62が添加された後のろ過水槽18の入口側には、pH測定部41Cが設けられている。pH測定部41Cは、苛性62が添加された後の原水のpHを測定する。苛性62が注入された後の原水のpHは、7程度(例えば、5.8以上8.6以下の中性付近)に調整される。言い換えると、第1実施形態では、原水をpH7程度に調整する際に、原水に苛性62を添加する。原水のpHを7程度に調整するのは、水処理回収システム10によって原水中に含まれるフッ素を除去した後の水の再利用又は水の工場の外部への放流を可能とするためである。pH測定部41Cで測定された測定値は、制御部90に送信される。
【0042】
(ろ過水槽)
ろ過水槽18では、苛性62が添加された後の原水に、薬品の一例として、殺菌剤63が添加される。殺菌剤63により、原水が殺菌処理される。ろ過水槽18は、殺菌処理部の一例である。殺菌剤63としては、例えば、クロラミン系薬剤(塩素系と臭素系)、過酢酸、過酸化水素などが挙げられる。第1実施形態では、殺菌剤63として、クロラミン系薬剤に内包される次亜塩素酸が用いられている。ろ過水槽18は、フッ素吸着塔16とUF膜ろ過部20との間に配置されている。
【0043】
ろ過水槽18は、ろ過水を溜める水槽であり、pH調整のバッファーと、殺菌剤63の効果適用のための役割を有している。ろ過水槽18では、pH調整がうまくいくように原水を滞留させる。また、ろ過水槽18では、殺菌剤63の効果がまんべんなく適用されるように、原水を滞留させる。なお、ろ過水槽18は、上記のようにろ過水を溜める水槽であるため、ろ過は行っていない。
【0044】
(UF膜ろ過部)
水処理回収システム10では、ろ過水槽18とUF膜ろ過部20とを接続する配管32にポンプ30Bが設けられており、ポンプ30Bを駆動させることで、ろ過水槽18から配管32を通じて原水がUF膜ろ過部20に送液される。
【0045】
UF膜ろ過部20は、内部にUF膜を備えており、苛性62の添加により原水中に析出された水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化セリウム(Ce(OH))、及びその他物質をUF膜で除去する。ここで、UF膜は、上記のように限界ろ過膜(ultrafiltration membrane)ともいい、SS(suspended solids)や細菌や高分子物質と、水やイオン状物質や低分子を分離させるろ過膜である。UF膜の孔径は概ね0.001μm以上0.01μm以下であり、RO膜(逆浸透膜)より大きい。ここで、SS(suspended solids)とは、水中に懸濁している不溶解性物質のことであり、懸濁物質又は浮遊物質ともいう。
【0046】
UF膜は、例えば、機械的強度と、耐塩素性や耐酸化性などの化学的耐久性に優れたPVDF(ポリフッカビニリデン)などで構成されている。
【0047】
UF膜ろ過部20には、入口側の圧力測定部47Bと、出口側の圧力測定部48Bと、流量測定部49Bとが設けられている。入口側の圧力測定部47Bは、第1圧力測定部の一例であり、出口側の圧力測定部48Bは、第2圧力測定部の一例である。入口側の圧力測定部47Bは、配管32を通じて原水がUF膜ろ過部20へ流入する入口側の圧力を測定する。出口側の圧力測定部48Bは、原水がUF膜ろ過部20から配管32へ流出する出口側の圧力を測定する。流量測定部49Bは、UF膜ろ過部20を通過する原水の流量を測定する。圧力測定部47Bと、圧力測定部48Bと、流量測定部49Bとでそれぞれ測定された測定値は、制御部90に送信される。制御部90の後述するCPU91は、圧力測定部47Bで測定された入口側の圧力と圧力測定部48Bで測定された出口側の圧力に基づき、差圧102を算出する。
【0048】
(前処理水槽)
水処理回収システム10では、UF膜ろ過部20と前処理水槽22とを接続する配管32が設けられており、UF膜ろ過部20から配管32を通じて原水が前処理水槽22に送液される。
【0049】
前処理水槽22の入口側には、pH測定部41Dが設けられており、前処理水槽22の入口側で、pH測定部41Dにより原水のpHが測定される。また、前処理水槽22の内部には、EC測定部45Bが設けられており、EC測定部45Bにより原水の電気伝導率(EC)が測定される。
【0050】
(活性炭塔)
水処理回収システム10では、前処理水槽22と活性炭塔24とを接続する配管32にポンプ30Cが設けられており、ポンプ30Cを駆動させることで、前処理水槽22から配管32を通じて原水が活性炭塔24に送液される。活性炭塔24は、活性炭吸着部の一例である。活性炭塔24は、原水の送液方向(矢印A方向)におけるUF膜ろ過部20の下流側であって、RO膜処理部26の上流側に設けられている。すなわち、活性炭塔24は、UF膜ろ過部20とRO膜処理部26との間に配置されている。
【0051】
一例として、活性炭塔24では、塔内に活性炭が充填されており、原水を活性炭に接触させるように通過させる。ろ過水槽18では、原水に殺菌剤63の一例としての次亜塩素酸が添加されることで、原水に残留塩素が含まれている。活性炭塔24では、原水に含まれる残留塩素を活性炭に吸着させて除去する。
【0052】
活性炭塔24には、入口側の圧力測定部47Cと、出口側の圧力測定部48Cとが設けられている。入口側の圧力測定部47Cは、配管32を通じて原水が活性炭塔24へ流入する入口側の圧力を測定する。出口側の圧力測定部48Cは、原水が活性炭塔24から配管32へ流出する出口側の圧力を測定する。圧力測定部47Cと、圧力測定部48Cとでそれぞれ測定された測定値は、制御部90に送信される。制御部90の後述するCPU91は、圧力測定部47Cで測定された入口側の圧力と圧力測定部48Cで測定された出口側の圧力に基づき、差圧103を算出する。
【0053】
(RO膜処理部)
水処理回収システム10では、活性炭塔24とRO膜処理部26とを接続する配管32にポンプ30Dが設けられており、ポンプ30Dを駆動させることで、活性炭塔24から配管32を通じて原水がRO膜処理部26に送液される。活性炭塔24とRO膜処理部26とを接続する配管32の途中で、薬品の一例として、滅菌剤64と分散剤65が原水に添加される。
【0054】
滅菌剤64として、例えば、結合塩素などが挙げられる。例えば、結合塩素として、クロラミン系薬剤が用いられている。原水に滅菌剤64が添加されることで、原水が滅菌処理される。また、原水に殺菌剤63の一例としての次亜塩素酸が添加されている場合、RO膜処理部26のRO膜に次亜塩素酸を入れると、RO膜を破過してしまう。このため、結合塩素を添加することで、RO膜を破過させることなく、殺菌することを可能とする。
【0055】
分散剤65としては、例えば、スケール分散剤、スケール防止剤などが用いられている。原水に分散剤65が添加されることで、RO膜処理部26のRO膜にスケールが付着することが抑制される。
【0056】
RO膜処理部26は、原水の送液方向(矢印A方向)におけるUF膜ろ過部20の下流側に設けられており、UF膜ろ過部20でろ過を行った後の原水がRO膜処理部26で処理される。
【0057】
RO膜処理部26の内部には、RO膜(逆浸透膜)が配置されており、原水をRO膜に接触させる。ここで、RO膜(逆浸透膜)とは、ろ過膜の一種であり、水を通し、イオンや塩類などの水分子以外の不純物は透過しない性質を持つ膜のことである。RO膜(逆浸透膜)の孔の大きさは概ね2nm以下であり、UF膜(限外ろ過膜)よりも小さい。原水をRO膜(逆浸透膜)に接触させ、RO膜を透過した透過水を取り出すことで、原水に含まれる少なくともイオン分を除去することができる。
【0058】
RO膜として、例えば、ポリアミド系の複合膜が用いられている。
【0059】
RO膜処理部26では、原水をRO膜で処置したときに、RO膜を透過した透過水は、RO膜処理部26に接続された配管33に排出される。透過水は、水処理回収システム10によって原水を処理して回収された水である。
【0060】
また、原水をRO膜で処理したときに、RO膜を透過しなかった濃縮水は、RO膜処理部26に接続された配管34に排出される。配管34は、第1配管35Aと、第2配管35Bとに分岐されている。濃縮水の一部は、第1配管35Aから排出される。
【0061】
第2配管35Bの下流側の端部は、活性炭塔24とRO膜処理部26とを接続する配管32の上流側の部分(滅菌剤64と分散剤65が添加される前の部分)に接続されている。これにより、濃縮水の一部が第2配管35Bにより循環水として配管32に戻される。
【0062】
RO膜処理部26には、入口側の圧力測定部47Dと、出口側の圧力測定部48Dと、入口側のpH測定部41Fと、温度測定部44Bと、EC測定部45Cと、透過水の側のEC測定部45Dと、流量測定部49Cとが設けられている。入口側の圧力測定部47Dは、第3圧力測定部の一例であり、出口側の圧力測定部48Dは、第4圧力測定部の一例である。入口側の圧力測定部47Dは、配管32を通じて原水がRO膜処理部26へ流入する入口側の圧力を測定する。出口側の圧力測定部48Dは、原水がRO膜処理部26から配管33へ流出する出口側の圧力を測定する。
【0063】
pH測定部41Fは、原水のpHを測定する。温度測定部44Bは、原水の温度を測定する。EC測定部45Cは、配管32を通じてRO膜処理部26へ流入する原水の電気伝導率(EC)を測定する。EC測定部45Dは、RO膜処理部26から配管33へ流出する透過水の電気伝導率(EC)を測定する。流量測定部49Cは、RO膜処理部26を通過する原水の流量を測定する。
【0064】
圧力測定部47Dと、圧力測定部48Dと、pH測定部41Fと、温度測定部44Bと、EC測定部45Cと、EC測定部45Dと、流量測定部49Cとでそれぞれ測定された測定値は、制御部90に送信される。制御部90の後述するCPU91は、圧力測定部47Dで測定された入口側の圧力と圧力測定部48Dで測定された出口側の圧力に基づき、差圧104を算出する。さらに、制御部90のCPU91は、RO膜処理部26の透過流束を算出する。透過流束は、RO膜の膜つまり傾向を判断するものであり、電気伝導率(EC)、温度、流量、圧力、膜面積などを考慮して算出した値である。例えば、透過流束は、RO膜の透過液の透過速度を膜面積で除すことよって算出することができ、単位膜面積及び単位時間当たりの膜透過液量ということもできる。
【0065】
第1配管35Aには、EC測定部45Eと、流量測定部49Cと、pH測定部41Eとが設けられている。EC測定部45Eは、濃縮水の電気伝導率(EC)を測定する。流量測定部49Dは、第1配管35Aを流れる濃縮水の流量を測定する。pH測定部41Eは、濃縮水のpHを測定する。EC測定部45Eと、流量測定部49Cと、pH測定部41Eとでそれぞれ測定された測定値は、制御部90に送信される。
【0066】
(ユーザ端末)
図2は、ユーザ端末80のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、ユーザ端末80は、制御部90と、表示部82と、報知部84と、を備えている。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、ストレージ94、及び入出力インタフェース95の各構成を有する。各構成は、バス99を介して相互に通信可能に接続されている。
【0067】
CPU91は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。CPU91は、プロセッサの一例である。すなわち、CPU91は、ROM92又はストレージ94からプログラムを読み出し、RAM93を作業領域としてプログラムを実行する。CPU91は、ROM92又はストレージ94に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御処理を行う。第1実施形態では、ROM92又はストレージ94には、水処理回収システム10の処理装置11を制御する制御プログラムが格納されている。
【0068】
ROM92は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM93は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ94は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0069】
入出力インタフェース95は、水処理回収システム10に搭載される処理装置11と通信するためのインタフェースである。制御部90は、入出力インタフェース95を介して処理装置11の原水槽12、砂ろ過塔14、酸添加部15、フッ素吸着塔16、苛性添加部17、ろ過水槽18、UF膜ろ過部20、前処理水槽22、活性炭塔24、RO膜処理部26等に接続されている。なお、処理装置11の原水槽12、砂ろ過塔14、酸添加部15、フッ素吸着塔16、苛性添加部17、ろ過水槽18、UF膜ろ過部20、前処理水槽22、活性炭塔24、RO膜処理部26等は、バス99を介して直接接続されていてもよい。
【0070】
制御部90において、CPU91は、処理装置11の原水槽12、砂ろ過塔14、酸添加部15、フッ素吸着塔16、苛性添加部17、ろ過水槽18、UF膜ろ過部20、前処理水槽22、活性炭塔24、RO膜処理部26等を制御する。
【0071】
表示部82は、処理装置11の原水槽12、砂ろ過塔14、酸添加部15、フッ素吸着塔16、苛性添加部17、ろ過水槽18、UF膜ろ過部20、前処理水槽22、活性炭塔24、RO膜処理部26等の処理状況を表示する。これにより、ユーザ端末80によって、原水槽12、砂ろ過塔14、酸添加部15、フッ素吸着塔16、苛性添加部17、ろ過水槽18、UF膜ろ過部20、前処理水槽22、活性炭塔24、RO膜処理部26等の処理状況がオンラインで監視される。
【0072】
ユーザ端末80では、制御部90により、特にUF膜ろ過部20のUF膜の閉塞に起因する入口側の圧力、差圧、及び流量を連続監視する。また、ユーザ端末80では、制御部90により、RO膜処理部26のRO膜の閉塞に起因する入口側の圧力、差圧、電気伝導率(EC)、流量、温度、及び透過流束を連続監視する。これにより、制御部90のCPU91は、UF膜ろ過部20のUF膜の閉塞のタイミングを事前に予測し、UF膜の洗浄タイミングを演算する。また、制御部90のCPU91は、RO膜処理部26のRO膜の閉塞のタイミングを事前に予測し、RO膜の洗浄タイミングを演算する。
【0073】
報知部84は、UF膜の洗浄タイミングに関する情報をユーザ端末80によりユーザに報知する。また、報知部84は、RO膜の洗浄タイミングに関する情報をユーザ端末80によりユーザに報知する。報知部84は、洗浄タイミングに関する情報として、ユーザ端末80のスピーカ(図示省略)にて音声による注意喚起音を出力してもよいし、表示部82に洗浄タイミングに関する情報を文字等の注意喚起情報により表示してしてもよいし、注意喚起音の出力と注意喚起情報の表示の両方を行ってもよい。
【0074】
CPU91は、圧力測定部47Bで測定されたUF膜ろ過部20の入口側の圧力と、圧力測定部48Bで測定されたUF膜ろ過部20の出口側の圧力とに基づき、UF膜ろ過部20のUF膜が閉塞する前にUF膜の洗浄タイミングに関する情報を報知部84に出力する。
【0075】
一例として、CPU91は、UF膜ろ過部20の入口側の圧力が第1閾値より大きく、かつ入口側の圧力と出口側の圧力との差圧102が第2閾値より大きい場合は、UF膜ろ過部20のUF膜の洗浄タイミングであると判定する。この場合、CPU91は、UF膜の洗浄タイミングに関する情報を報知部84に出力し、報知部84は、UF膜の洗浄タイミングに関する情報をユーザ端末80によりユーザに報知する。UF膜の洗浄方法は、例えば、逆洗、エア逆洗、又は次亜塩素酸による洗浄が挙げられる。ここで、逆洗とは、処理後の水を通水とは逆方向に流し、堆積している汚れを取る方法である。エア逆洗とは、上記の逆洗にエアを入れることで、堆積物を浮かせやすくする方法である。
【0076】
CPU91は、圧力測定部47Dで測定されたRO膜処理部26の入口側の圧力と、圧力測定部48Dで測定されたRO膜処理部26の出口側の圧力とに基づき、RO膜処理部26のRO膜が閉塞する前にRO膜の洗浄タイミングに関する情報を報知部84に出力する。
【0077】
一例として、CPU91は、RO膜処理部26の入口側の圧力が第3閾値より大きく、かつ入口側の圧力と出口側の圧力との差圧104が第4閾値より大きい場合は、RO膜処理部26のRO膜の洗浄タイミングであると判定する。同様に、CPU91は、RO膜処理部26の透過流束が閾値より小さい場合、RO膜処理部26のRO膜の洗浄タイミングであると判定する。上記のような場合、CPU91は、RO膜の洗浄タイミングに関する情報を報知部84に出力し、報知部84は、RO膜の洗浄タイミングに関する情報をユーザ端末80によりユーザに報知する。すなわち、第1実施形態の水処理回収システム10では、RO膜処理部26において、透過流束とRO膜の差圧をダブルチェックすることで、RO膜の監視している。
【0078】
<作用及び効果>
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0079】
水処理回収システム10は、原水の送液方向(矢印A方向)の上流側から下流側に向かって、原水槽12と、砂ろ過塔14と、酸添加部15と、フッ素吸着塔16と、苛性添加部17と、ろ過水槽18と、UF膜ろ過部20と、前処理水槽22と、活性炭塔24と、RO膜処理部26と、を備えている。
【0080】
酸添加部15では、原水に酸61を添加することで、原水のpHを酸性に調整する。フッ素吸着塔16では、原水のpHが酸性に調整された状態で、原水に含有されるフッ素をフッ素吸着剤に吸着させて原水のフッ素濃度を低下させる(フッ素吸着工程)。例えば、フッ素吸着塔16に送液される前の原水のフッ素濃度が4mg/L以上5mg/L以下の場合、フッ素吸着塔16で原水に含有されるフッ素を吸着させることで、原水のフッ素濃度は、0.2mg/L以下となる。
【0081】
苛性添加部17では、フッ素吸着塔16でフッ素濃度を低下させた原水に苛性62を添加することで、水酸化カルシウムを析出させる(析出工程)。
【0082】
UF膜ろ過部20では、原水に苛性62を添加することで析出された水酸化カルシウムをUF膜(限界ろ過膜)で除去する(UF膜ろ過工程)。
【0083】
RO膜処理部26では、UF膜ろ過部20でろ過を行った後の原水をRO膜(逆浸透膜)で処理し、原水の中の少なくともイオン分を除去する(RO膜処理工程)。RO膜は、イオンや塩類などの水分子以外の不純物を透過しないため、RO膜を透過した透過水を取り出すことで、カルシウムイオンなどのイオン分を除去することができる。
【0084】
また、水処理回収システム10では、フッ素吸着塔16で、原水に含有されるフッ素を吸着させて原水のフッ素濃度を低下させる。これにより、原水のフッ素濃度を低下させた後で、原水がRO膜処理部26に送液される。このため、フッ素濃度が2mg/L以上の原水がRO膜処理部26に送液されることが抑制される。例えば、フッ素濃度が2mg/L以上の場合、RO膜処理の濃縮時に、フッ素と未反応の水酸化カルシウムが反応してフッ化カルシウムが生成され、RO膜が閉塞する可能性がある。これに対して、水処理回収システム10では、フッ素と未反応の水酸化カルシウムとの反応によるフッ化カルシウムの生成が抑制され、RO膜の詰まりが抑制される。
【0085】
このため、水処理回収システム10では、フッ素を含有する原水を効率よく処理し、RO膜(逆浸透膜)の詰まりを抑制することができる。
【0086】
また、水処理回収システム10では、フッ素吸着塔16は、セリウムを含むフッ素吸着剤を備えている。苛性添加部17では、苛性62を添加することで、セリウムを含むフッ素吸着剤から原水に溶出したセリウムを水酸化セリウムとして析出させる。さらに、析出された水酸化セリウムをUF膜ろ過部20で除去する。
【0087】
このため、水処理回収システム10では、フッ素吸着塔16においてセリウムを含むフッ素吸着剤を用いた場合に、セリウムが溶出した原水がRO膜処理部26に送液されることが抑制される。このため、RO膜(逆浸透膜)の詰まりをより効果的に抑制することができる。
【0088】
また、水処理回収システム10では、原水の送液方向(矢印A方向)におけるフッ素吸着塔16とUF膜ろ過部20との間にろ過水槽18が配置されている。ろ過水槽18では、原水に殺菌剤63を添加し、原水を殺菌する。
【0089】
このため、水処理回収システム10では、原水に添加される殺菌剤63により、原水中に含まれる微生物などを殺菌することができる。
【0090】
また、水処理回収システム10では、殺菌剤63は、次亜塩素酸である。また、原水の送液方向(矢印A方向)におけるUF膜ろ過部20とRO膜処理部26との間に活性炭塔24が配置されており、活性炭塔24では、原水に含まれる残留塩素を活性炭に吸着して除去する。
【0091】
これにより、水処理回収システム10では、殺菌剤63として、次亜塩素酸が用いられた場合に、活性炭塔24により原水に含まれる残留塩素を除去することができる。例えば、次亜塩素酸を含んだ原水がRO膜処理部26に送液されると、RO膜を破過してしまう場合がある。このため、水処理回収システム10では、活性炭塔24により原水に含まれる残留塩素を除去することで、次亜塩素酸を含んだ原水がRO膜処理部26に送液されることを抑制することができる。
【0092】
また、水処理回収システム10では、フッ素吸着塔16で原水の処理を行う前に砂ろ過塔14が配置されている。砂ろ過塔14では、凝集剤60が添加された原水をろ過することで、原水に含まれる微粒子が除去される。
【0093】
このため、水処理回収システム10では、フッ素吸着塔16で原水の処理を行う前に、原水に含まれる微粒子を除去することができる。
【0094】
また、水処理回収システム10では、少なくとも1つのCPU91と、UF膜ろ過部20の入口側の圧力を測定する圧力測定部47Bと、UF膜ろ過部の出口側の圧力を測定する圧力測定部48Bと、を備えている。CPU91は、圧力測定部47Bで測定された入口側の圧力と、圧力測定部48Bで測定された出口側の圧力とに基づき、UF膜ろ過部20のUF膜が閉塞する前にUF膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する。
【0095】
これにより、水処理回収システム10では、UF膜ろ過部20のUF膜が閉塞する前にUF膜の洗浄タイミングに関する情報を確認することができる。このため、水処理回収システム10では、UF膜ろ過部20のUF膜の閉塞を回避しながら、フッ素を含有する原水を安定的に処理して回収することができる。
【0096】
また、水処理回収システム10では、少なくとも1つのCPU91と、RO膜処理部26の入口側の圧力を測定する圧力測定部47Dと、RO膜処理部26の出口側の圧力を測定する圧力測定部48Dと、を備えている。CPU91は、圧力測定部47Dで測定された入口側の圧力と、圧力測定部48Dで測定された出口側の圧力とに基づき、RO膜処理部26のRO膜が閉塞する前にRO膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する。また、CPU91は、RO膜処理部26の透過流束に応じて、RO膜処理部26のRO膜が閉塞する前にRO膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する。
【0097】
これにより、水処理回収システム10では、RO膜処理部26のRO膜が閉塞する前にRO膜の洗浄タイミングに関する情報を確認することができる。このため、水処理回収システム10では、RO膜処理部26のRO膜の閉塞を回避しながら、フッ素を含有する原水を安定的に処理して回収することができる。
【0098】
また、水処理回収方法は、フッ素を含有する原水のpHが酸性に調整された状態で、原水に含有されるフッ素を吸着してフッ素濃度を低下させるフッ素吸着工程を有する。また、水処理回収方法は、フッ素吸着工程でフッ素濃度を低下させた原水に苛性62を添加することで、水酸化カルシウムを析出させる析出工程と、原水に苛性62を添加して析出された水酸化カルシウムをUF膜で除去するUF膜ろ過工程と、を有する。さらに、水処理回収方法は、UF膜ろ過工程でろ過を行った後の原水をRO膜で処理し、原水の中の少なくともイオン分を除去する逆浸透膜処理工程を有する。
【0099】
このため、水処理回収方法では、フッ素を含有する原水を効率よく処理し、RO膜の詰まりを抑制することができる。
【0100】
例えば、工場から排出されるフッ素含有排水の処理法は、1次処理として水酸化カルシウムを添加して中和処理を行い、フッ化カルシウムにして沈降分離させ、その後さらに凝集沈殿や吸着塔の2次処理をして、フッ素濃度を規制濃度以下にして放流する方法が一般的である。しかし、水酸化カルシウムはフッ素イオンとの反応が遅いため、1次処理を行うために、多量の水酸化カルシウムを加えなければならず、未反応の水酸化カルシウムの含有率が非常に高いという課題がある。
【0101】
また、別のフッ素含有排水の処理法として、RO膜を利用することが考えられるが、フッ素含有排水をそのままRO膜で処理してフッ素濃度を低減させることは難しい。特にフッ素含有濃度が2mg/L以上の場合、RO膜処理の濃縮時に、フッ素と未反応の水酸化カルシウムが反応し、フッ化カルシウムが生成され、RO膜を閉塞してしまう。一般的にRO膜が閉塞した際は薬品洗浄を行って、RO膜の透過性の回復を目指すが、フッ化カルシウムは薬品耐性が高く、洗浄が難しいという課題がある。
【0102】
これに対して、水処理回収システム10及び水処理回収方法では、RO膜処理の濃縮時にフッ化カルシウムが生成されることが抑制され、RO膜の詰まりを抑制することができる。
【0103】
[実施例]
次に、水処理回収システム10の実施例について説明する。実施例では、水処理回収システム10を用い、フッ素を含有する原水を連続的に処理し、RO膜処理部26のRO膜を透過した透過水として回収した。その際、ユーザ端末80により、水処理回収システム10の各処理部をオンラインで監視した。
【0104】
図3は、水処理回収システム10を稼働した時間とRO膜処理部26のRO膜の透過流束との関係を示すグラフである。透過流束は、前述したように、電気伝導率(EC)、温度、流量、圧力、膜面積などを考慮して算出した値である。図3に示されるように、RO膜の透過流束は線120で示すように安定していることが確認された。
【0105】
[第1比較例]
ここで、図4に示す第1比較例の水処理回収システム200について説明する。
【0106】
図4に示されるように、第1比較例の水処理回収システム200は、被処理水の一例である排水の送液方向(矢印B方向)の上流側から下流側に向かう順に、砂ろ過塔14と、UF膜ろ過部204と、活性炭塔206と、フッ素吸着塔208と、RO膜処理部210と、を備えている。
【0107】
砂ろ過塔14では、凝集剤60が添加された排水を砂ろ過することで、排水に含まれる微粒子が除去される。
【0108】
次いで、排水に次亜塩素酸221が添加された後、排水はUF膜ろ過部204に送液される。排水に次亜塩素酸221が添加されることで、排水が殺菌処理される。UF膜ろ過部204では、UF膜により、排水に含まれるフッ化カルシウムなどが除去される。排水は、事前に一次処理として水酸化カルシウムを添加して中和処理を行い、このときにフッ化カルシウムが析出している。このフッ化カルシウムなどがUF膜によって除去される。
【0109】
次いで、排水は活性炭塔206に送液され、活性炭塔206の活性炭に残留塩素が吸着されて除去される。
【0110】
次いで、排水に塩酸222が添加された後、排水はフッ素吸着塔208に送液される。排水に塩酸222が添加されることで、排水のpHが酸性域(例えば、pH3程度)に調整される。フッ素吸着塔208では、排水に含まれるフッ素がフッ素吸着剤に吸着されることで、排水のフッ素濃度が低下される。
【0111】
次いで、排水に苛性223が添加され、さらに排水にスケール分散剤224と結合塩素225が添加された後、排水はRO膜処理部210に送液される。
【0112】
排水に苛性223が添加されることで、排水のpHが7程度に調整される。また、次亜塩素酸221などがRO膜処理部210に入ることを抑制するため、排水に結合塩素225が添加されている。また、RO膜へのスケールの付着を低減するために、排水にスケール分散剤224が添加されている。RO膜処理部210では、RO膜により排水に含まれるイオン分を除去する。
【0113】
第1比較例の水処理回収システム200を用い、フッ素を含有する排水を連続的に処理し、RO膜処理部210のRO膜を透過した透過水を回収する実験を行った。その際、ユーザ端末(図示省略)により水処理回収システム200の各処理部をオンラインで監視した。
【0114】
図5は、第1比較例の水処理回収システム200を稼働した時間とRO膜処理部210のRO膜の透過流束との関係を示すグラフである。図5に示されるように、第1比較例の水処理回収システム200では、RO膜処理部210のRO膜にスケールが付着し、線230で示すように透過流束の低下が確認された。
【0115】
これは、フッ素吸着塔208とRO膜処理部210との間で排水に苛性223が添加されることで、水酸化カルシウム(Ca(OH))が析出してしまい、RO膜の閉塞に繋がったと考えられる。このため、苛性223の添加をやめ、排水を酸性域のまま処理する対策が考えられる。
【0116】
[第2比較例]
次に、図6に示す第2比較例の水処理回収システム250について説明する。
【0117】
図6に示されるように、第2比較例の水処理回収システム250は、第1比較例の水処理回収システム200と同様に、排水の送液方向(矢印B方向)の上流側から下流側に向かう順に、砂ろ過塔14と、UF膜ろ過部204と、活性炭塔206と、フッ素吸着塔208と、RO膜処理部210と、を備えている。第2比較例の水処理回収システム250では、第1比較例の水処理回収システム200と異なる構成として、フッ素吸着塔208とRO膜処理部210との間で排水に苛性223(図4参照)を添加せず、排水を酸性域(例えば、pH3程度)のままRO膜処理部210に送液している。
【0118】
第2比較例の水処理回収システム250を用い、フッ素を含有する排水を連続的に処理し、RO膜処理部210のRO膜を透過した透過水を回収する実験を行った。その際、ユーザ端末(図示省略)により水処理回収システム250の各処理部をオンラインで監視した。
【0119】
図7は、第2比較例の水処理回収システム250を稼働した時間とRO膜処理部210のRO膜の透過流束との関係を示すグラフである。図7に示されるように、第2比較例の水処理回収システム250では、RO膜処理部210のRO膜にスケールが付着し、線270で示すように透過流束の低下が確認された。透過流束の低下は、第1比較例の水処理回収システム200の透過流束の低下よりも緩やかである。
【0120】
第2比較例の水処理回収システム250では、フッ素吸着塔208でセリウムを含むフッ素吸着剤を用いることで、酸性域(例えば、pH3程度)の条件で排水にセリウムが溶出していることが判明した。このセリウムが水酸化セリウム(Ce(OH))として析出し、RO膜処理部210のRO膜の閉塞に繋がったと考えられる。
【0121】
図8は、新しいRO膜に交換した水処理回収システムの一例において、稼働した時間とRO膜処理部210のRO膜の透過流束との関係を示すグラフである。図8に示されるように、RO膜の透過流束の低下傾向は線280に示すように緩やかである。
【0122】
第1実施形態の水処理回収システム10では、第2比較例の水処理回収システム250の課題の対策として、UF膜ろ過部20をRO膜処理部26よりも原水の送液方向(矢印A方向)の上流側に配置している。これにより、フッ素吸着塔16において、セリウムを含むフッ素吸着剤を用いた場合に、原水に溶出したセリウムを苛性62の添加により水酸化セリウム(Ce(OH))として析出させ、UF膜ろ過部20のUF膜で水酸化セリウムが除去される。このため、水処理回収システム10では、RO膜(逆浸透膜)の詰まりを抑制することができる。
【0123】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態の水処理回収システムについて説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0124】
図9は、第2実施形態に係る水処理回収システムに用いられる監視システムのハードウェア構成を示すブロック図である。図9に示すように、第2実施形態の水処理回収システム130は、処理装置11の処理状況をオンラインで監視する監視システム131を有している。監視システム131は、処理装置11の各部を制御する制御盤132と、制御盤132から処理装置11に関する情報が送信される中継部の一例としてのデータセンター140と、データセンター140から処理装置11に関する情報が送信される監視端末150と、を備えている。監視端末150は、端末装置の一例である。処理装置11の各部の構成は、第1実施形態の処理装置11と同様である。
【0125】
制御盤132は、PLC(Programmable Logic Controller)133と、通信インタフェース134と、を備えている。PLC132は、処理装置11の各部を制御するための制御装置である。図示を省略するが、PLC132は、入力部、出力部、演算部(CPU)、記憶部、電源部などを備えている。PLC132は、プロセッサの一例である。
【0126】
通信インタフェース134は、データセンター140と通信するためのインタフェースである。制御盤132は、通信インタフェース134を介して無線通信により処理装置11に関する情報(例えば、各種測定値などのデータ)をデータセンター140に送信する。一例として、通信インタフェース134は、UF膜ろ過部20(図1参照)に関する情報(例えば、UF膜ろ過部20の各種測定値などのデータ)、RO膜処理部26(図1参照)に関する情報(例えば、RO膜処理部26の各種測定値などのデータ)をデータセンター140に送信する。
【0127】
データセンター140は、図示を省略するが、CPU、記憶部、及び通信部などを備えている。データセンター140は、無線通信により処理装置11に関する情報を制御盤132から受信し、無線通信により処理装置11に関する情報を監視端末150に送信する。図9中の各部を接続する破線は、無線を示しており、図9中の各部を接続する実線は、有線を示している。なお、データセンター140は、インターネットなどのネットワーク経由でユーザにサービスを提供するクラウドを用いてデータの送受信を行ってもよい。
【0128】
監視端末150は、データセンター140から受信された処理装置11に関する情報に基づき、オンラインで処理装置11の処理状況を監視する。監視端末150は、例えば、PC又はタブレットなどである。一例として、監視端末150は、処理装置11の処理状況が表示される表示部(図示省略)を備えている。例えば、監視端末150は、処理装置11及び制御盤132と隔離された場所(例えば、処理装置11が設置された場所とは異なる部屋又は建物)で、処理装置11の処理状況を監視する。なお、第2実施形態の水処理回収システム130の他の構成は、第1実施形態の水処理回収システム10と同様である。
【0129】
水処理回収システム130では、監視端末150は、UF膜ろ過部20(図1参照)に関する情報に基づいてUF膜ろ過部20の状態を監視する。これにより、監視端末150は、圧力測定部47B(図1参照)で測定された入口側の圧力と、圧力測定部48B(図1参照)で測定された出口側の圧力とに基づき、UF膜ろ過部20のUF膜が閉塞する前にUF膜の洗浄タイミングに関する情報を取得することができる。このため、水処理回収システム130では、監視端末150は、処理装置11とは離隔された場所で、オンラインでUF膜ろ過部20の状態を監視し、UF膜ろ過部20のUF膜の洗浄タイミングを知ることができる。
【0130】
また、水処理回収システム130では、監視端末150は、RO膜処理部26(図1参照)に関する情報に基づいてRO膜処理部26の状態を監視する。これにより、監視端末150は、圧力測定部47D(図1参照)で測定された入口側の圧力と、圧力測定部48D(図1参照)で測定された出口側の圧力とに基づき、RO膜処理部26のRO膜が閉塞する前にRO膜の洗浄タイミングに関する情報を取得することができる。また、監視端末150は、RO膜処理部26の透過流束に応じて、RO膜処理部26のRO膜が閉塞する前にRO膜の洗浄タイミングに関する情報を取得することができる。このため、水処理回収システム130では、監視端末150は、処理装置11とは離隔された場所で、オンラインでRO膜処理部26の状態を監視し、RO膜処理部26のRO膜の洗浄タイミングを知ることができる。
【0131】
なお、第2実施形態では、制御盤132は、無線通信によりデータセンター140を介して監視端末150に処理装置11に関する情報を送信したが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、処理装置11の制御盤は、処理装置11に関する情報を無線通信により監視端末に直接送信する構成でもよい。
【0132】
〔補足説明〕
第1及び第2実施形態の水処理回収システム10、130において、酸61の種類や、酸61の添加により原水を酸性に調整する酸性域の程度は、変更可能である。また、苛性62は、アルカリであれば他の物質に変更可能である。また、滅菌剤64、分散剤65の種類も変更可能である。
【0133】
第1及び第2実施形態の水処理回収システム10、130において、CPU91は、圧力測定部47Dで測定された入口側の圧力と圧力測定部48Dで測定された出口側の圧力とに基づき、又はRO膜処理部26の透過流束に基づき、RO膜処理部26のRO膜が閉塞する前にRO膜の洗浄タイミングに関する情報を出力したが、本開示はこの構成に限定されるものではい。例えば、CPU91は、他の測定項目(例えば、温度、電気伝導率など)に応じて、RO膜の洗浄タイミングを演算するようにしてもよい。
【0134】
また、CPU91は、圧力測定部47Bで測定された入口側の圧力と圧力測定部48Bで測定された出口側の圧力とに基づき、UF膜ろ過部20のUF膜が閉塞する前にUF膜の洗浄タイミングに関する情報を出力したが、本開示はこの構成に限定されるものではい。例えば、CPU91は、圧力測定部47Bで測定された入口側の圧力と圧力測定部48Bで測定された出口側の圧力以外に、他の測定項目(例えば、温度、電気伝導率など)に応じて、UF膜の洗浄タイミングを演算するようにしてもよい。
【0135】
上記の第1及び第2実施形態の水処理回収システム10、130は、専用のハードウェア回路によっても実現することもできる。この場合には、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0136】
また、第1及び第2実施形態の水処理回収システム10、130を動作させるプログラムは、USB(Universal Serial Bus)メモリ、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、メモリ又はストレージ等に転送され記憶される。また、このプログラムは、たとえば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、水処理回収システムの一機能としてその各装置のソフトウェアに組み込んでもよい。
【0137】
なお、実施形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本開示の権利範囲がこれらの実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【0138】
[本開示の好ましい態様]
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0139】
[付記項1]
フッ素を含有する被処理水を処理して回収する水処理回収システムであって、
フッ素を含有する被処理水のpHが酸性に調整された状態で、前記被処理水に含有されるフッ素を吸着してフッ素濃度を低下させるフッ素吸着部と、
前記フッ素吸着部でフッ素濃度を低下させた前記被処理水にアルカリを添加することで、水酸化カルシウムを析出させるアルカリ添加部と、
前記被処理水に前記アルカリを添加して析出された水酸化カルシウムを限界ろ過膜であるUF膜で除去するUF膜ろ過部と、
前記UF膜ろ過部でろ過を行った後の前記被処理水を逆浸透膜で処理し、前記被処理水の中の少なくともイオン分を除去する逆浸透膜処理部と、
を有する水処理回収システム。
【0140】
[付記項2]
前記フッ素吸着部は、ランタノイド類を含むフッ素吸着剤を備え、
前記アルカリ添加部では、前記アルカリを添加することで、前記フッ素吸着剤から前記被処理水に溶出したランタノイド類を水酸化物として析出させ、
前記水酸化物を前記UF膜ろ過部で除去する、付記項1に記載の水処理回収システム。
【0141】
[付記項3]
前記フッ素吸着部と前記UF膜ろ過部との間に配置され、前記被処理水に殺菌剤を添加し、前記被処理水を殺菌する殺菌処理部を有する、付記項1又は付記項2に記載の水処理回収システム。
【0142】
[付記項4]
前記殺菌剤は、次亜塩素酸であり、
前記UF膜ろ過部と前記逆浸透膜処理部との間に配置され、前記被処理水に含まれる残留塩素を活性炭に吸着して除去する活性炭吸着部を有する、付記項3に記載の水処理回収システム。
【0143】
[付記項5]
前記フッ素吸着部で前記被処理水の処理を行う前に配置され、凝集剤が添加された前記被処理水をろ過することで、前記被処理水に含まれる微粒子を除去する砂ろ過部を有する付記項1から付記項4までのいずれか1つに記載の水処理回収システム。
【0144】
[付記項6]
少なくとも1つのプロセッサと、
前記UF膜ろ過部の入口側の圧力を測定する第1圧力測定部と、
前記UF膜ろ過部の出口側の圧力を測定する第2圧力測定部と、を備え、
前記プロセッサは、前記第1圧力測定部で測定された入口側の圧力と、前記第2圧力測定部で測定された出口側の圧力とに基づき、前記UF膜ろ過部のUF膜が閉塞する前に前記UF膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する付記項1から付記項5までのいずれか1つに記載の水処理回収システム。
【0145】
[付記項7]
少なくとも1つのプロセッサと、
前記逆浸透膜処理部の入口側の圧力を測定する第3圧力測定部と、
前記逆浸透膜処理部の出口側の圧力を測定する第4圧力測定部と、を備え、
前記プロセッサは、前記第3圧力測定部で測定された入口側の圧力と前記第4圧力測定部で測定された出口側の圧力とに基づき、前記逆浸透膜処理部の逆浸透膜が閉塞する前に前記逆浸透膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する付記項1から付記項6までのいずれか1つに記載の水処理回収システム。
【0146】
[付記項8]
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、前記逆浸透膜処理部の透過流束を算出し、前記透過流束に応じて、前記逆浸透膜処理部の逆浸透膜が閉塞する前に前記逆浸透膜の洗浄タイミングに関する情報を出力する付記項1から付記項7までのいずれか1つに記載の水処理回収システム。
【0147】
[付記項9]
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも前記UF膜ろ過部の状態を、前記UF膜ろ過部と隔離された場所で監視する端末装置と、を備え、
前記プロセッサは、前記UF膜ろ過部に関する情報を直接又は中継部を介して前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記UF膜ろ過部に関する情報に基づいて前記UF膜ろ過部の状態を監視する付記項1から付記項8までのいずれか1つに記載の水処理回収システム。
【0148】
[付記項10]
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも前記逆浸透膜処理部の状態を、前記逆浸透膜処理部と隔離された場所で監視する端末装置と、を備え、
前記プロセッサは、前記逆浸透膜処理部に関する情報を直接又は中継部を介して前記端末装置に送信し、
前記端末装置は、前記逆浸透膜処理部に関する情報に基づいて前記逆浸透膜処理部の状態を監視する付記項1から付記項9までのいずれか1つに記載の水処理回収システム。
【0149】
[付記項11]
フッ素を含有する被処理水を処理して回収する水処理回収方法であって、
フッ素を含有する被処理水のpHが酸性に調整された状態で、前記被処理水に含有されるフッ素を吸着してフッ素濃度を低下させるフッ素吸着工程と、
前記フッ素吸着工程でフッ素濃度を低下させた前記被処理水にアルカリを添加することで、水酸化カルシウムを析出させる析出工程と、
前記被処理水に前記アルカリを添加して析出された水酸化カルシウムを限界ろ過膜であるUF膜で除去するUF膜ろ過工程と、
前記UF膜ろ過工程でろ過を行った後の前記被処理水を逆浸透膜で処理し、前記被処理水の中の少なくともイオン分を除去する逆浸透膜処理工程と、
を有する水処理回収方法。
【符号の説明】
【0150】
10…水処理回収システム、14…砂ろ過塔、16…フッ素吸着塔(フッ素吸着部)、17…苛性添加部(アルカリ添加部)、18…ろ過水槽(殺菌処理部)、20…UF膜ろ過部、24…活性炭塔(活性炭吸着部)、26…RO膜処理部(逆浸透膜処理部)、47B…圧力測定部(第1圧力測定部)、47D…圧力測定部(第3圧力測定部)、48B…圧力測定部(第2圧力測定部)、48D…圧力測定部(第4圧力測定部)、60…凝集剤、62…苛性(アルカリ)、63…殺菌剤、91…CPU(プロセッサ)、130…水処理回収システム、132…PLC(プロセッサ)、140…データセンター(中継部)、150…監視端末(端末装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9