(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176497
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ラップフィルム収納箱用ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 25/34 20060101AFI20241212BHJP
B65D 25/52 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B65D25/34 A
B65D25/52 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095058
(22)【出願日】2023-06-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】322007811
【氏名又は名称】株式会社ラフラン
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲瀬▼ 康
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AB13
3E062AC02
3E062BB10
3E062CA12
3E062JB08
3E062JC02
3E062JD08
3E062LA02
3E062LA13
(57)【要約】
【課題】ラップフィルム収納箱の本体の変形を防止してラップフィルムの切断が容易なラップフィルム収納箱用ケースを提供し、ラップフィルムを取り出しやすいラップフィルム収納箱用ケースを提供する。
【解決手段】食品包装用ラップフィルムを収納したラップフィルム収納箱11を収容するラップフィルム収納箱用ケース1において、前壁部2、後壁部3、左右側壁部4a、4b、底壁部5を有し、底壁部5と対向する側が開口し、前壁部2の両端部に、開口端から底壁部5に向かってスリット6a、6bが形成されている。スリット6a、6bに、ラップフィルム収納箱11の蓋体11bの左右側面部18a、18bが進入するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品包装用ラップフィルムを収納したラップフィルム収納箱を収容するラップフィルム収納箱用ケースにおいて、
前壁部、後壁部、左右側壁部、底壁部を有し、
前記底壁部と対向する側が開口し、
前記前壁部の両端部に、開口端から前記底壁部に向かってスリットが形成され、
前記スリットに、前記ラップフィルム収納箱の蓋体の左右側面部が進入するようにしたことを特徴とするラップフィルム収納箱用ケース。
【請求項2】
前記前壁部の上端部は、前記後壁部及び前記左右側壁部よりも低く形成され、前記ラップフィルム収納箱の前板と前記前板の上端から下方に垂下するフラップとの間に進入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のラップフィルム収納箱用ケース。
【請求項3】
前記前壁部の上端部は、前記後壁部及び前記左右側壁部と同じ高さに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のラップフィルム収納箱用ケース。
【請求項4】
前記底壁部に、前記ラップフィルム収納箱用ケースの保管場所にある磁性体に吸着する磁石が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のラップフィルム収納箱用ケース。
【請求項5】
前記底壁部に、ユーザの指が掛かる手掛け部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のラップフィルム収納箱用ケース。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のラップフィルム収納箱用ケースと、
前記ラップフィルム収納箱に収納されたラップフィルムロールの両端を回転可能に支持する芯受けとの組み合わせであって、
前記芯受けは、
前記ラップフィルムロールの中空芯に両側から挿入される軸部と、
前記軸部の一端に取り付けられ、前記ラップフィルム収納箱の左右側板に当接する支持片と、からなることを特徴とするラップフィルム収納箱用ケースと芯受けとの組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品包装用ラップフィルムを収納したラップフィルム収納箱を収容して保護するラップフィルム収納箱用ケース(ラップケース)に関する。なお、本明細書における「ラップフィルム」は、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂フィルムのほか、Press’n Seal(登録商標)、アルミフォイル、クッキングシートも含む。
【背景技術】
【0002】
食品包装用ラップフィルムを収納したラップフィルム収納箱は、紙製で耐久性が無いため、
図15(a)に示すように、ラップフィルム収納箱101の蓋体101bの切刃102を有する前面部103を押したときに、蓋体101bの前面部103及び本体101aの前板104が凹んでラップフィルム105が切りにくいという問題があった。ラップフィルム105の使用を繰り返すうちに、次第にラップフィルム収納箱101が柔らかく変形しやすくなり、ますますラップフィルム105が切りにくくなっていた。
【0003】
また、
図15(b)に示すように、ラップフィルム収納箱101の前板104には上端から下方に垂下するフラップ106が設けられ、ラップフィルム105の切離端を前板104から引き離して、ラップフィルム105を取り出しやすくしてあるが、前板104からのフラップ106の浮き上がりが十分でないため、ラップフィルム105を摘まみ難いという問題があった。
【0004】
特許文献1には、ラップフィルム収納箱の上蓋と前蓋にカバー片を貼り付けたラップフィルム収納箱が記載されている。特許文献2には、ラップフィルム収納箱の蓋の上面部、前面部、両側側面部を覆う蓋カバーが記載されている。特許文献3には、ラップフィルム収納箱の蓋部前面と上面に吸着シートを用いて取り付ける保護具が記載されている。
【0005】
しかし、引用文献1-3に記載ものは、ラップフィルム収納箱の蓋部に取り付けられるため、ラップフィルムの切断時にラップフィルム収納箱の蓋部の変形を防止できるが、本体部、特に前板部の変形の防止には有効ではないし、蓋部が大きくなって、蓋部の開閉操作がし難くなるという問題があった。
【0006】
本発明者は、特許文献4に示すように、ラップフィルム、アルミフォイル等のラップフィルムロールを収納した包装用箱を収納する包装用箱収納ケースを考案した。この包装用箱収納ケースは、前壁部、後壁部、左右側壁部、底壁部からなり、前壁部が後壁部及び左右側壁部より低くした矩形の容器で、ラップフィルム収納箱を上方開口部から切刃を前壁部側に向けて収納し、ラップフィルム収納箱を収納したままケースを持ち、ケースから露出している蓋部に親指を掛けて開きラップフィルムを取り出し、蓋部を閉じて蓋部の切刃で、ラップフィルムを切断するものである。このケースにより、ラップフィルム収納箱の本体が保護され、補強されるので、立てて保管することも可能であり、耐久性が向上するとともに、持ち易く、ラップフィルムが切断し易いという優れた機能が発揮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-085761号公報
【特許文献2】特開2011-219170号公報
【特許文献3】特開2013-139293号公報
【特許文献4】意匠登録第1644728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、本発明者が考案したラップフィルム収納箱用ケースをさらに改良を加えて、ラップフィルム収納箱の本体の変形を防止してラップフィルムの切断が容易なラップフィルム収納箱用ケースを提供すること、ラップフィルムを取り出しやすいラップフィルム収納箱用ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
【0010】
(1) 食品包装用ラップフィルムを収納したラップフィルム収納箱を収容するラップフィルム収納箱用ケースにおいて、
前壁部、後壁部、左右側壁部、底壁部を有し、前記底壁部と対向する側が開口し、
前記前壁部の両端部に、開口端から前記底壁部に向かってスリットが形成され、
前記スリットに、前記ラップフィルム収納箱の蓋体の左右側面部が進入するようにした。
【0011】
(2)前記1の手段において、
前記前壁部の上端部は、前記後壁部及び前記左右側壁部よりも低く形成され、前記ラップフィルム収納箱の前板と前記前板の上端から下方に垂下するフラップとの間に進入するようにした。
【0012】
(3)前記1の手段において、
前記前壁部の上端部は、前記後壁部及び前記左右側壁部と同じ高さに形成されている。
【0013】
(4)前記1から3のいずれかの手段において、
前記底壁部に、前記ラップフィルム収納箱用ケースの保管場所にある磁性体に吸着する磁石が設けられている。
【0014】
(5)前記1から4のいずれかの手段において、
前記底壁部に、ユーザの指が掛かる手掛け部が設けられている。
【0015】
(6)前記手段1から5のいずれかのラップフィルム収納箱用ケースと、
前記ラップフィルム収納箱に収納されたラップフィルムロールの両端を回転可能に支持する芯受けとの組み合わせであって、
前記芯受けは、
前記ラップフィルムロールの中空芯に両側から挿入される軸部と、
前記軸部の一端に取り付けられ、前記ラップフィルム収納箱の左右側板に当接する支持片と、からなる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ラップフィルムを切断するためにラップフィルム収納箱の蓋体の前面部を押さえたとき、その押圧力はケースの前壁部に作用し、ラップフィルム収納箱の本体や蓋体には伝わらないため、ラップフィルム収納箱の本体や蓋体の変形が防止され、ラップフィルムの切断が容易になる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ケースの前壁部の上端がラップフィルム収納箱の本体のフラップと前板の間に進入して、フラップが前板から離れるので、フラップに付着したラップフィルムが取り出しやすくなる。
【0018】
請求項3の発明によれば、前壁部の上端部が後壁部及び左右側壁部と同じ高さであるので、前壁部によりラップフィルム収納箱の前板の全体が覆われ、ラップフィルム収納箱の本体や蓋体の変形が確実に防止され、ラップフィルムの切断が容易になる。
【0019】
請求項4の発明によれば、底壁部に設けた磁石により、冷蔵庫等の磁性体からなる壁面に吸着して保管できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、底壁部に手掛け部が設けられているので、ラップフィルム収納箱を収容したままでもケースを握りやすくなる。
【0021】
請求項6の発明によれば、ラップフィルム収納箱用ケースと芯受けの組み合わせにより、ラップフィルム収納箱用ケースの効果に加えて、ラップのスムーズな引き出し効果と巻き戻りの防止効果という相乗効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図10】ラップフィルム収納箱を閉じた状態のラップケースの断面図。
【
図11】ラップフィルム収納箱を開いた状態のラップケースの断面図。
【
図13】第3実施形態のラップケースと芯受けとの組み合わせの斜視図。
【
図14】ラップフィルムロールに取り付ける芯受けの斜視図。
【
図15】従来のラップフィルム収納箱の閉じた状態(a)及び開いた状態(b)の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るラップフィルム収納箱11を収容するラップフィルム収納箱用ケース(以下、「ラップケース」という。)1を示す。ラップケース1は、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂フィルムからなるラップフィルムロール21を収納したラップフィルム収納箱11を収容するものである。
【0025】
ラップケース1の説明の前に、既存のラップフィルム収納箱11について簡単に説明すると、ラップフィルム収納箱11は、前板12、後板13、左右の側板14a、14b、底板15からなる本体11aと、後板13の上端に連結された上面部16、上面部16の前端に設けられた前面部17、上面部16の左右両端に設けられた側面部18a、18bとからなる蓋体11bとを有している。本体11aにはラップフィルムロール21が収納されている。本体11aの前板12には上端から斜め前方に垂下するフラップ19が設けられている。蓋体11bの前面部17の下端にはラップフィルム21aを切断する切刃20が設けられている。ラップフィルム21aの先端を、前板12の上端からフラップ19の上を通って外側に所定長さだけ引き出し、蓋体11bを閉じて、蓋体11bの前面部17の切刃20でラップフィルム21aを切り離すようになっている。
【0026】
ラップケース1は、前壁部2、後壁部3、左右の側壁部4a、4b、及び底壁部5を有し、底壁部5と対向する側(上方側)が開口した矩形の容器である。ラップケースは、プラスチック製であるが、アルミニウム等の金属製、あるいは厚紙又は段ボール製であってもよい。ラップケース1の内側の縦横寸法はラップフィルム収納箱11が収納可能な大きさである。
【0027】
前壁部2の高さは、後壁部3と左右側壁部4a、4bの高さよりも低く、ラップフィルム収納箱11の切刃20の位置より高く形成されている。前壁部2の上端部は、ラップケース1にラップフィルム収納箱11を収納したときに、ラップフィルム収納箱11の本体11aの前板12とフラップ19の間に挿入される。これにより、フラップ19が前板12から十分に離間する。前壁部2の両端部には、開口端から底壁部5に向かってスリット6a、6bが形成されている。スリット6a、6bの幅は、ラップフィルム収納箱11の蓋体11bを開閉操作する時に、蓋体11bの側面部18a、18bが進入し退出することができる大きさになっている。スリット6a、6bの下端は、
図10に示すように、ラップフィルム収納箱11の閉じた状態の蓋体11bの側面部18a、18bの下端よりも下方に位置している。これにより、ラップフィルム収納箱11の蓋体11bを開閉するときに、蓋体11bの側面部18a、18bがラップケース1の前壁部2に干渉することはない。
【0028】
後壁部3は、ラップフィルム収納箱11の高さと同じであり、ラップケース1にラップフィルム収納箱11を収容したときに、ラップフィルム収納箱11の後板13がラップケース1の後壁部3で覆われるようになっている。
【0029】
左右の側壁部4a、4bは、後壁部3の高さ、すなわちラップフィルム収納箱11の高さと同じであり、ラップケース1にラップフィルム収納箱11を収容したときに、ラップフィルム収納箱11の左右の側板14a、14b及び側面部18a、18bがラップケース1の左右の側壁部4a、4bで覆われるようになっている。左右の側壁部4a、4bの内面には、ラップケース1の内方に向かって突出する突部7a、7bが形成されている。突部7a、7bの上端は、
図8に示すように、側壁部4a、4bの内面に向かって傾斜するテーパ面4c、4dとなっている。左右の突部7a、7b間の間隔は、ラップフィルム収納箱11の本体11aの左右側板14a、14bの外面間の距離よりも若干小さく形成され、ラップフィルム収納箱11をラップケース1の左右の側壁部4a、4bの突部7a、7b間に圧入して、容易に外れないようになっている。
【0030】
底壁部5は、
図7,8に示すように、前壁部2、後壁部3、左右側壁部4a、4bの下端よりも、上方に底上げされている。これにより、ラップフィルム収納箱11を収容したラップケース1を片手で持ったときに、小指、薬指、中指の角指先を引っ掛けることができる手掛け部8が形成されている。
【0031】
次に、第1実施形態のラップケース1の作用について説明する。
【0032】
まず、ラップフィルムロール21が収納されたラップフィルム収納箱11をラップケース1に収容する。ラップフィルム収納箱11は蓋体11bを開いた状態でラップケース1に収容する。また、ラップフィルム収納箱11のフラップ19と前板12との間にラップケース1の前壁部2が進入し、フラップ19が前板12から離れるようにする。ラップフィルム収納箱11をラップケース1の左右の側壁部4a、4bの突部7a、7b間に押し込むと、ラップケース1の突部7a、7bがラップフィルム収納箱11の左右の側板14a、14bを押圧した状態で圧入される。これにより、ラップフィルム収納箱11は、ガタ付くことなく、ラップケース1に収容される。ラップフィルム収納箱11の蓋体11bを閉じると、蓋体11bの左右の側面部18a、18bがラップケース1の前壁部2の左右のスリット6a、6bに進入するので、前壁部2に干渉することなく、完全に蓋体11bを閉じることができる。
【0033】
ラップフィルム収納箱11を収容したラップケース1は、底壁部5を下にして横置きすることができるとともに、左右側面部4a、4bのいずれかを下にして縦置きすることもできるので、保管場所のスペースを節減できる。
【0034】
ラップケース1に収容したラップフィルム収納箱11のラップフィルム21aを使用するには、
図9に示すように、ラップフィルム収納箱11を収容した状態のラップケース1を一方の手で保持する。ここで、小指、薬指、中指の指先を底板の手掛け部8に掛け、親指を蓋体11bの前面部17に掛けることが好ましい。親指でラップフィルム収納箱11の蓋体11bを開いて、他方の手でラップフィルムロール21のラップフィルム21aの先端を摘まんで、前板12の上端からフラップ19の上を通って外側に所定長さだけ引き出して蓋体11bを閉じる。
【0035】
蓋体11bを閉じた状態で、蓋体11bの前面部17を押さえながら、切刃20でラップフィルム21aを切り離す。蓋体11bの前面部17を押さえたとき、その押圧力はラップケース1の前壁部2で受けるので、ラップケース収納箱11の本体11aの前板12には伝わらない。このため、ラップフィルム収納箱11の本体11aの前板12や蓋体11bの前面部17の変形が防止され、ラップフィルム21aを確実に押さえて、容易に切断することができる。これは、ラップフィルム21aが消費されてロール径が小さくなり、ラップフィルムロール21と前板12との隙間が大きくなっていても、蓋体11bの前面部17を押さえてラップフィルム21aを切断するときに、ラップフィルム収納箱11の本体11aや蓋体11bが凹むことはないので、ラップフィルム21aが残り少なくなっても、最後まで確実にラップフィルム21aを切り取ることができる。
【0036】
図11の状態から、ラップフィルム収納箱11の蓋体11bを閉じたとき、
図10に示すように、フラップ19はラップケース1の前壁部2から離れようとするフラップ19の弾性に逆らって蓋体11bの前面部17に押される。このため、ラップフィルム収納箱11の本体11aのフラップ19と重なったラップフィルム21aはフラップ19とともに蓋体11bの前面部17に押されてラップケース1の前壁部2に近づいた状態となっている。ここで、引き続きラップフィルム21aを使用するために、ラップフィルム収納箱11の蓋体11bを開くと、
図11に示すように、ラップフィルム収納箱11のフラップ19はその弾性により前板12及び前壁部2から離れるので、ラップフィルム21aの端を簡単に摘まむことができる。また、ラップフィルム21aに巻き戻りを防止するための粘着剤が塗布された粘着部19a(
図1参照)が設けられている場合には、蓋体11bの前面部17に押されたときに、ラップフィルム21aが粘着部19aに付着するので、ラップフィルム21aの巻き戻りが確実に防止される。
【0037】
<第2実施形態>
図12は、本発明の第2実施形態に係るラップケース1´を示す。このラップケース1´は、Press’n Seal(登録商標)又はアルミフォイル、あるいはクッキングシートのラップフィルムロール21を収納したラップフィルム収納箱11´を収容するのに適している。
【0038】
この種のラップフィルム収納箱11´は、前述したポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の樹脂フィルムのラップフィルムロール21を収納したラップフィルム収納箱11とは異なり、フラップは設けられていないし、紙質も柔らかいので、ロール径が小さくなるにつれて、本体11aや蓋体11bが変形し、フィルム21aを切断しにくいといい問題があった。
【0039】
第2実施形態のラップケース1´は、前壁部2の高さが後壁部3と左右壁部4a、4bの高さと同じになっている以外は、第1実施形態のラップケース1と同様であり、対応する部分には同一符号を附して説明を省略する。
【0040】
第2実施形態のラップケース1´の作用は、第1実施形態のラップケース1の作用と基本的に同一であるので、詳細な説明は省略するが、前壁部2の高さが後壁部3と左右壁部4a、4bの高さと同じであるので、前壁部2はラップケース収納箱11´の本体11aの前板12の全体を覆い、剛性が第1実施形態のラップケース1の前壁部2よりも大きくなっている。
【0041】
したがって、蓋体11bを閉じて、蓋体11bの前面部17を押さえながら、切刃20でラップフィルム21aを切り離すとき、蓋体11bの前面部17に掛かる押圧力はラップケース1´の前壁部2で受けるので、ラップケース収納箱11´の本体11aの前板12には伝わらない。このため、ラップフィルム収納箱11´の紙質が柔らかいものであっても、本体11aや蓋体11bの変形が防止され、Press’n Seal(登録商標)やアルミホイル、あるいはクッキングシートのラップフィルム21aを確実に押さえて、容易に切断することができる。これは、ラップフィルム21aが消費されてロール径が小さくなり、ラップフィルムロール21と前板12との隙間が大きくなっていても、蓋体11bの前面部17を押さえてラップフィルム21aを切断するときに、ラップフィルム収納箱11´の本体aや蓋体11bが凹むことはないので、ラップフィルム21aが残り少なくなっても、最後まで確実にラップフィルム21aを切り取ることができる。
【0042】
<第3実施形態>
図13は、本発明の第3実施形態に係るラップケース1と芯受け31との組み合わせを示す。
【0043】
ラップケース1は、第1実施形態のラップケース1と同様であるので、対応する部分には同一符号を附して説明を省略する。ラップケース1は、第2実施形態のラップケース1´としてもよい。
【0044】
芯受け31は、ラップケース1を使用するときに、ラップフィルム収納箱11に収納されたラップフィルムロール21を支持するために使用される。芯受け31は、
図14に示すように、軸部32と支持片33とからなる。
【0045】
軸部32は、円柱又は円管状で、ラップフィルムロール21の中空芯に両側から挿入されるものである。
【0046】
支持片33は、紙製又はプラスチック製で、左右の側板14a、14bとほぼ同じ正方形又は左右の側板14a、14bの3辺と接する円形の板形状を有し、軸部32の一端に接着又は一体に取り付けられ、ラップフィルム収納箱11の本体11aの左右の側板14a、14bの内面に当接するようになっている。支持片33は、ラップフィルムロール21をラップフィルム収納箱11の本体11a内に浮いた状態で両端を支持し、ラップフィルム21aが消費されても、その中心位置が変化しないようになっている。
【0047】
第3実施形態に係るラップケース1と芯受け31との組み合わせの使用方法について説明すると、まず、ラップフィルム収納箱11からラップフィルムロール21を取り出し、中空芯の両端に芯受け31の軸部32を挿入してラップフィルム収納箱11に戻す。これにより、ラップフィルムロール21は芯受け31の軸部32の回りに回転可能となり、滑らかにラップフィルム21aを引き出すことが可能となる、また、ラップフィルム21aが残り少なくなっても、両端が同じ位置で支持されて偏心しないため、カタカタ音がしたり、ラップフィルムロール21が巻き戻ることがない。
【0048】
ラップケース1自体の作用は第1実施形態と第2実施形態で説明した通りである。このように、第3実施形態のラップケール1と芯受け21の組み合わせは、ラップケース1によるラップフィルム収納箱11の本体11aや蓋体11bの変形を防止してラップフィルム21aの切断を容易する効果に加えて、芯受け31によるラップフィルム21aのスムーズな引き出しと巻き戻りの防止という相乗効果を有する。
【0049】
本発明は前記実施形態に限るものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変更や修正を加えることができる。
【0050】
例えば、ラップケース1,1´の底壁部5の裏面に、
図5に示すように磁石34を設けて、ラップケース1,1´を冷蔵庫等の磁性体からなる壁面に吸着させて保管することができる。
また、前記実施形態では、ラップケース1,1´の底壁部5の全周に手掛け部8を設けているが、この手掛け部8は、底壁部5の一部に設けた凹みであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、1´…ラップフィルム収納箱用ケース(ラップケース)
2…前壁部
3…後壁部
4a、4b…左右の側壁部
5…底壁部
6a、6b…スリット
7a、7b…突部
8…手掛け部
11、11´…ラップフィルム収納箱
11a…本体
11b…蓋体
12…前板
13…後板
14a、14b…左右の側板
15…底板
16…上面部
17…前面部
18a、18b…左右の側面部
19…フラップ
19a…粘着部
20…切刃
21…ラップフィルムロール
21a…ラップフィルム
31…芯受け
32…軸部
33…支持板
34…磁石
【手続補正書】
【提出日】2023-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品包装用ラップフィルムを収納する本体と、前記本体に連結された蓋体とを有し、前記本体の前板に斜め前方に垂下するフラップを有し、前記蓋体に前記ラップフィルムを切断する切刃を有するラップフィルム収納箱と、
前記ラップフィルム収納箱を収容するケースとの組み合わせであって、
前記ケースは、
前壁部、後壁部、左右側壁部、底壁部を有し、
前記底壁部と対向する側が開口し、
前記前壁部の両端部に、開口端から前記底壁部に向かってスリットが形成され、
前記スリットに、前記ラップフィルム収納箱の前記蓋体の左右側面部が進入するようにし、
前記前壁部の上端部は、前記ラップフィルム収納箱の前記切刃の位置より高く、前記後壁部及び前記左右側壁部よりも低く形成され、前記ラップフィルム収納箱の前記前板と前記フラップとの間に進入するようにしたことを特徴とするラップフィルム収納箱とケースの組み合わせ。
【請求項2】
食品包装用ラップフィルムを収納する本体と、前記本体に連結された蓋体とを有し、前記蓋体に前記ラップフィルムを切断する切刃を有するラップフィルム収納箱を収容するラップフィルム収納箱用ケースにおいて、
前壁部、後壁部、左右側壁部、底壁部を有し、
前記底壁部と対向する側が開口し、
前記前壁部の両端部に、開口端から前記底壁部に向かってスリットが形成され、
前記スリットに、前記ラップフィルム収納箱の前記蓋体の左右側面部が進入するようにし、
前記前壁部の上端部は、前記後壁部及び前記左右側壁部と同じ高さに形成され、前記ラップフィルム収納箱の前板と前記蓋体の前面部との間に進入するようにしたことを特徴とするラップフィルム収納箱用ケース。
【請求項3】
前記底壁部に、前記ラップフィルム収納箱用ケースの保管場所にある磁性体に吸着する磁石が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のラップフィルム収納箱用ケース。
【請求項4】
前記底壁部に、ユーザの指が掛かる手掛け部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のラップフィルム収納箱用ケース。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載のラップフィルム収納箱用ケースと、
前記ラップフィルム収納箱に収納されたラップフィルムロールの両端を回転可能に支持する芯受けとの組み合わせであって、
前記芯受けは、
前記ラップフィルムロールの中空芯に両側から挿入される軸部と、
前記軸部の一端に取り付けられ、前記ラップフィルム収納箱の左右側板に当接する支持片と、からなることを特徴とするラップフィルム収納箱用ケースと芯受けとの組み合わせ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(1)食品包装用ラップフィルムを収納する本体と、前記本体に連結された蓋体とを有し、前記本体の前板に斜め前方に垂下するフラップを有し、前記蓋体に前記ラップフィルムを切断する切刃を有するラップフィルム収納箱と、
前記ラップフィルム収納箱を収容するケースとの組み合わせであって、
前記ケースは、
前壁部、後壁部、左右側壁部、底壁部を有し、
前記底壁部と対向する側が開口し、
前記前壁部の両端部に、開口端から前記底壁部に向かってスリットが形成され、
前記スリットに、前記ラップフィルム収納箱の前記蓋体の左右側面部が進入するようにし、
前記前壁部の上端部は、前記ラップフィルム収納箱の前記切刃の位置より高く、前記後壁部及び前記左右側壁部よりも低く形成され、前記ラップフィルム収納箱の前記前板と前記フラップとの間に進入するようにした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
(2)食品包装用ラップフィルムを収納する本体と、前記本体に連結された蓋体とを有し、前記蓋体に前記ラップフィルムを切断する切刃を有するラップフィルム収納箱を収容するラップフィルム収納箱用ケースにおいて、
前壁部、後壁部、左右側壁部、底壁部を有し、
前記底壁部と対向する側が開口し、
前記前壁部の両端部に、開口端から前記底壁部に向かってスリットが形成され、
前記スリットに、前記ラップフィルム収納箱の前記蓋体の左右側面部が進入するようにし、
前記前壁部の上端部は、前記後壁部及び前記左右側壁部と同じ高さに形成され、前記ラップフィルム収納箱の前板と前記蓋体の前面部との間に進入するようにした。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
(3)前記1又は2の手段において、
前記底壁部に、前記ラップフィルム収納箱用ケースの保管場所にある磁性体に吸着する磁石が設けられている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(4)前記1から3のいずれかの手段において、
前記底壁部に、ユーザの指が掛かる手掛け部が設けられている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
(5)前記手段1から4のいずれかのラップフィルム収納箱用ケースと、
前記ラップフィルム収納箱に収納されたラップフィルムロールの両端を回転可能に支持する芯受けとの組み合わせであって、
前記芯受けは、
前記ラップフィルムロールの中空芯に両側から挿入される軸部と、
前記軸部の一端に取り付けられ、前記ラップフィルム収納箱の左右側板に当接する支持片と、からなる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、ケースの前壁部の上端がラップフィルム収納箱の本体のフラップと前板の間に進入して、フラップが前板から離れるので、フラップに付着したラップフィルムが取り出しやすくなる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項2の発明によれば、前壁部の上端部が後壁部及び左右側壁部と同じ高さであるので、前壁部によりラップフィルム収納箱の前板の全体が覆われ、ラップフィルム収納箱の本体や蓋体の変形が確実に防止され、ラップフィルムの切断が容易になる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項3の発明によれば、底壁部に設けた磁石により、冷蔵庫等の磁性体からなる壁面に吸着して保管できる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項4の発明によれば、底壁部に手掛け部が設けられているので、ラップフィルム収納箱を収容したままでもケースを握りやすくなる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
請求項5の発明によれば、ラップフィルム収納箱用ケースと芯受けの組み合わせにより、ラップフィルム収納箱用ケースの効果に加えて、ラップのスムーズな引き出し効果と巻き戻りの防止効果という相乗効果を奏する。