(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176507
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】改装用浴室ドア
(51)【国際特許分類】
E06B 1/62 20060101AFI20241212BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E06B1/62 Z
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095072
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山内 龍介
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA00
2E011KA06
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC07
2E011KD14
2E011KF01
2E011KG06
2E011KH01
2E011LA02
2E011LB02
2E011LB04
2E011LB06
2E011LC02
2E011LD03
2E011LF01
2E011LF04
(57)【要約】
【課題】車椅子が通過しやすい改装用浴室ドアを提供すること。
【解決手段】建物躯体100の開口部に取り付けられる既設枠2と、既設枠2の内周側に取り付けられる新設枠3と、既設枠2により構成される段差を覆い傾斜面227bを構成する段差解消部材227と、を備える改装用浴室ドアである。既設枠2は、既設上枠21、既設下枠22、及び、一対の既設縦枠23、24により矩形に四方組みされて構成され、新設枠3は、新設上枠31、新設下枠32、及び、一対の新設縦枠33、34が、それぞれ既設上枠21、既設下枠22、及び、一対の既設縦枠23、24の各々の内周面側に個別に取付けられることにより、矩形に四方組みされて構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、
前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、
前記既設枠により構成される段差を覆い傾斜面を構成する段差解消部材と、
を備える改装用浴室ドア。
【請求項2】
前記段差解消部材は、前記傾斜面を支持する階段状の底部を有する請求項1に記載の改装用浴室ドア。
【請求項3】
前記既設枠は、既設上枠、既設下枠、及び、一対の既設縦枠により矩形に四方組みされて構成され、
前記新設枠は、新設上枠、新設下枠、及び、一対の新設縦枠が、それぞれ前記既設上枠、既設下枠、及び、一対の既設縦枠の各々の内周面側に個別に取付けられることにより、矩形に四方組みされて構成される請求項1又は請求項2に記載の改装用浴室ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装用浴室ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
改装用浴室ドアとしては、既設枠を覆うようにして新設枠が設けられる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設枠を覆うようにして新設枠が設けられると、新設枠の下部を構成する新設下枠の分だけ床からの高さが高くなり、新設下枠により生ずる段差の高さが高くなる。その為、車椅子で下枠を通過する際に、その段差が障害となるおそれがある。
【0005】
本開示は、車椅子が通過しやすい改装用浴室ドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物躯体の開口部に取り付けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に取り付けられる新設枠と、前記既設枠により構成される段差を覆い傾斜面を構成する段差解消部材と、備える改装用浴室ドアに関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る改装建具を脱衣室側から見た正面図である。
【
図2】第1実施形態の
図1のII-II線に沿った縦断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った横断面図である。
【
図4】
図2に示すAで囲った部分の拡大断面図である。
【
図5】
図3に示すBで囲った部分の拡大断面図である。
【
図6】第2実施形態の
図1のIV-IV線に沿った横断面図である。
【
図7】
図2に示すBで囲った部分の拡大断面図である。
【
図8】第2実施形態の
図2に示すAで囲った部分の拡大断面図である。
【0008】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る改装建具1は、既設枠2が建物躯体100の開口部に取り付けられた状態で、既設枠2に新設枠3が取り付けられるリフォーム用(改装用)の改装建具としての浴室ドアである。
【0009】
既設枠2は、既設上枠21、既設下枠22、及び、一対の既設縦枠23、24により矩形に四方組みされて構成されている。新設枠3を構成する新設上枠31、新設下枠32、一対の新設縦枠33、34は、取付前には予め四方組みされておらず分解された状態となっており、それぞれ既設上枠21、既設下枠22、及び、一対の既設縦枠23、24に個別に取付けられ、矩形に四方組みされて構成されている。本工法により施工されて構成される改装建具1においては、新設枠3を予め四方組みしておく必要が無い為、施工性に優れる。
【0010】
以下の説明においては、見込方向とは、改装建具1における浴室から脱衣室へ向かう方向又はその反対の方向である。見付方向とは、改装建具1における面材の面方向に沿う方向であり、見込方向に対して直交する方向である。図面において、改装建具1の浴室側を「浴室側X1」とし、改装建具1の脱衣室側を「脱衣室側X2」とする。改装建具1を正面視したときの横方向を「左右方向」とする。改装建具1を正面視したときの改装建具1の中央部に向かう方向を「内方」とし、改装建具1の中央部から離れる方向を「外方」とする。
【0011】
既設枠2は、
図1、
図2等に示すように、既設上枠21、既設下枠22及び左右一対の既設縦枠23、24の4つの枠部材を矩形に四方組みすることによって形成され、改装前の建物躯体100の開口部の内側に取り付けられている。
【0012】
図2に示すように、既設枠2の脱衣室側には見付け部材101が配置される。見付け部材101は、建物躯体100の開口部の内周面の四周における上側及び左右に亘って取り付けられ、既設枠2の脱衣室側X2の端面に当接もしくは近接して配置されている。見付け部材101は、木材、樹脂材、もしくはアルミ材により形成され、建物躯体100の開口部の内周面からの既設枠2の突出高さと略同一高さを有して既設枠2の脱衣室側X2の見付け面を覆っている。四方組みされた既設枠2と建物躯体100の浴室側X1に設けられる浴室床材105との隙間は、湿式シーリング104によって四周に亘って目止めされている。
【0013】
既設上枠21は、
図2に示すように、建物躯体100の開口部の上部に配置されている。既設上枠21の脱衣室側には、見付け部材101の上部が、既設上枠21に当接もしくは近接して配置されている。既設上枠21と建物躯体100の浴室側X1に設けられる壁材102の上部との隙間は、湿式シーリング104によって目止めされている。
【0014】
既設下枠22は、
図2に示すように、建物躯体100の開口部の下部に配置されて固定されている。既設下枠22の脱衣室側には、床材103が、既設下枠22に当接もしくは近接して配置されている。既設下枠22と建物躯体100の浴室側X1に設けられる浴室床材105との隙間は、湿式シーリング104によって目止めされている。既設下枠22は、水平部221と垂直部222とを有する。
【0015】
既設縦枠23、24は、
図3に示すように、建物躯体100の開口部の左右の縦部に配置されて固定されている。既設縦枠23、24の脱衣室側には、見付け部材101の左右それぞれの部分が、既設縦枠23、24に当接もしくは近接して配置されている。既設縦枠23、24と建物躯体100の浴室側X1に設けられる壁材102の左右それぞれの部分との隙間は、湿式シーリング104によって目止めされている。既設縦枠23は、
図5に示すように、見込部231と見付部232とを有する。既設縦枠24については、既設縦枠23と左右対称に構成されており、説明を省略する。
【0016】
新設枠3は、既設上枠21の下側に固定される新設上枠31と、既設下枠22の上側に固定される新設下枠32と、左右の既設縦枠23、24の内側に固定される新設縦枠33、34とを有している。新設上枠31、新設下枠32、及び、新設縦枠33、34は、いずれも長尺な部材により構成されている。
【0017】
より具体的には、新設上枠31は、矩形に枠組みされた既設枠2における既設上枠21の下面全体を覆うことができる程度の長さを有している。新設下枠32は、矩形に枠組みされた既設枠2における既設下枠22の上面全体を覆うことができる程度の長さを有している。新設縦枠33、34は、矩形に枠組みされた既設枠2における左右の既設縦枠23、24の内側の面全体を覆うことができる程度の長さを有している。
【0018】
新設下枠32は、
図4に示すように、新設下枠32の長手方向における断面視で、水平部321と垂直部322とを有するL字形状に形成されている。水平部321は、既設下枠22の水平部221に対向し、上方に向けて突出して新設折戸5を案内するガイドレール321aを有する。
【0019】
ガイドレール321aよりも浴室側X1の水平部321の上側の部分は、浴室側X1へ向かって下側へ緩やかに傾斜する傾斜面321cを有している。これにより、傾斜面321cに落ちた水滴は、傾斜面321cを伝って浴室側X1へ流れる。このため、傾斜面321cに落ちた水滴を浴室側X1へ容易に排水することが可能となり、排水性を高めることが可能となる。
【0020】
水平部321の浴室側X1の端部は、垂直に下側へ延びる下方延部としてのリブ321bを有して、L字形状に形成されている。リブ321bの下端部は、リブ321bに接続されている水平部321の基部側の部分に対して下側に位置している。これにより、リブ321bまで流れた水滴は、リブ321bに沿ってリブ321bの下端部へ流れ、この結果、リブ321bにおける水滴は、浴室側X1へ容易に排水することが可能となり、排水性を高めることが可能となる。
【0021】
リブ321bの下端部と水平部221との間には、シール材が充填されて構成された湿式シーリング224が設けられている。湿式シーリング224は、リブ321b、及び、水平部221に当接しており、湿式シーリング224により、リブ321bと水平部221との間が液密にシールされる。
【0022】
また、上下方向における垂直部322と垂直部222との間には、シール材が充填されて構成された湿式シーリング225が設けられている。湿式シーリング225により、垂直部322と垂直部222との間が液密にシールされる。
【0023】
水平部221の前端部は、下方向へ折れ曲がり見付面を有する前壁を構成する。当該見付面に対向する浴室側X1には、段差解消部材としての傾斜部材227が設けられている。傾斜部材227は、
図4に示すように、既設下枠22と同一の長さの、長尺で中空の部材により構成されている。傾斜部材227は、上面として浴室側X1に向かうにつれて下側に向けて傾斜する傾斜面部227bと、傾斜面部227bの下側において傾斜面部227bを支持する階段状底部227aとを有している。階段状底部227aと傾斜面部227bとは、アルミニウム合金が一体形成されて構成されている。
【0024】
これにより、水平部221の前端部の、下方向へ折れ曲がり見付面を有する前壁により構成される段差を、傾斜部材227が覆うことが可能となる。この結果、新設下枠32が既設下枠22に設けられることにより、高くなった浴室ドアの部分を車椅子で乗り越えて浴室側X1に入った際に、車椅子を傾斜面部227bに沿って移動させることが可能となる。バリアフリー化に近付けることが可能となる。
【0025】
また、傾斜部材227は、階段状底部227aを有しているため、傾斜部材227の下側に、湿式シーリング104等の突出する部分が存在する場合であっても、適切な位置に傾斜部材227を配置することが可能となる。
【0026】
新設縦枠33は、
図5に示すように、新設縦枠33の長手方向における断面視で、見込部331と見付部332とを有するL字形状に形成されている。見込部331は、既設縦枠23の見込部231に対向する。
【0027】
見込部331の浴室側X1の端部は、見付方向外方へ延びるリブ331bを有して、L字形状に形成されている。リブ331bの見付方向外方の端部と見込部231との間には、シール材が充填されて構成された湿式シーリング234が設けられている。湿式シーリング234は、リブ331bの見付方向外方の端部、及び、見込部231に当接しており、湿式シーリング234により、リブ331bの見付方向外方の端部と見込部231との間が液密にシールされる。
【0028】
また、見付部332と見付部232の見付方向内方の端部との間には、シール材が充填されて構成された湿式シーリング235が設けられている。湿式シーリング235は、見付部332の脱衣室側X2の見付面、及び、見付部232の見付方向内方の端部に当接しており、湿式シーリング235により、見付部332と見付部232と間が液密にシールされる。新設縦枠34については、新設縦枠33と左右対称に構成されており、説明を省略する。
【0029】
新設折戸5は、
図1~
図3に示すように、例えば中桟57、58により樹脂製のパネルが上下に仕切られた2枚の障子5a、5bが、戸先框51と中間框52との間及び吊元框53と中間框52との間に補助框54、55を介して取り付けられている。各補助框54、55は、それぞれ中間框52に回転可能に支持されている。これによって、各障子5a、5bは中間框52に対して折り畳み可能に取り付けられている。中桟58には、中桟58に沿って平行に延びる把手58aが固定されている。
【0030】
次に、本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、傾斜部材227Aが中実の部材により構成されている点で、第1実施形態とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同様であるため、同一の部材については同一の符号を付して図示し、説明を省略する。
【0031】
図6、
図7に示すように、傾斜部材227Aは、中実のゴム材により構成されている。傾斜部材227Aは、第1実施形態の傾斜部材227と同様に、上面として浴室側X1に向かうにつれて下側に向けて傾斜する傾斜面部227Abと、傾斜部材227Aの底部を構成する階段状底部227Aaとを有している。
【0032】
次に、本開示の第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、傾斜部材227Bの頂点部227Bcの高さが、第1実施形態の傾斜部材227の頂点部の高さとは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同様であるため、同一の部材については同一の符号を付して図示し、説明を省略する。
【0033】
図8の断面視において示すように、傾斜部材227Bは、第1実施形態の中空の傾斜部材227を拡大した略相似形状に形成されている。傾斜部材227Bは、中空に代えて第2実施形態の傾斜部材227Aと同様に、中実に構成されていてもよい。傾斜部材227Bは、
図8に示すように、第1実施形態の傾斜部材227と同様に、上面として浴室側X1に向かうにつれて下側に向けて傾斜する傾斜面部227Bbと、傾斜部材227Bの底部を構成する階段状底部227Baとを有している。
【0034】
傾斜部材227Bの頂点部227Bcの高さは、ガイドレール321aの高さと略同一である。ここで、傾斜部材227Bの頂点部227Bcの高さと、ガイドレール321aの高さとが略同一とは、完全に同一である場合のみならず、図示しない車椅子の車輪が、床材103上からガイドレール321a上を通り、傾斜部材227Bの頂点部227Bc上へ移動するときに、床材103の上面とガイドレール321aの上端部との間、及び、ガイドレール321aの上端部と傾斜部材227Bの頂点部227Bcとの間で、車椅子に座っている車椅子の利用者が段差を意識しない程度の高さの差の範囲内であることを意味する。
【0035】
これにより、床材103から傾斜部材227Bの傾斜面部227Bbへと車椅子が移動する際に、段差に車椅子の車輪が当たることにより車椅子が滑らかに通過することが阻害されることを、回避することが可能となる。
【0036】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0037】
例えば、傾斜部材227、傾斜部材227Aは、アルミニウム合金、ゴム材により構成されたが、これらに限定されない。
【符号の説明】
【0038】
1 改装建具、 2 既設枠、 3 新設枠、21 既設上枠、22 既設下枠、23、24 既設縦枠、 31 新設上枠、 32 新設下枠、 33、34 新設縦枠、 227、227A 傾斜部材、 227b、227Ab 傾斜面部(傾斜面)、