IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-実装システム及び実装方法 図1
  • 特開-実装システム及び実装方法 図2
  • 特開-実装システム及び実装方法 図3
  • 特開-実装システム及び実装方法 図4
  • 特開-実装システム及び実装方法 図5
  • 特開-実装システム及び実装方法 図6
  • 特開-実装システム及び実装方法 図7
  • 特開-実装システム及び実装方法 図8
  • 特開-実装システム及び実装方法 図9
  • 特開-実装システム及び実装方法 図10
  • 特開-実装システム及び実装方法 図11
  • 特開-実装システム及び実装方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176526
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】実装システム及び実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095109
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 維里
(72)【発明者】
【氏名】永冶 利彦
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC05
5E353CC17
5E353CC21
5E353EE02
5E353JJ02
5E353JJ08
5E353JJ11
5E353JJ44
5E353KK01
5E353KK11
5E353LL03
5E353LL06
5E353QQ01
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、実装済み部品に対する実装ヘッドの干渉判定を行いつつ生産性の低下を抑制することである。
【解決手段】実装システム1は、実装ヘッドと、記憶部(実装記憶部36)と、干渉判定部33と、実装ヘッド制御部31と、を備える。干渉判定部33は、形状情報(部品情報36b)と、基板情報36cと、被保持部品の実装ヘッドに対する位置ずれ量とに基づいて、実装済み部品と実装ヘッドとが干渉するか否かを判定する。実装ヘッド制御部31は、実装ヘッドが実装済み部品に干渉すると判定された際に実装ヘッドに保持されている被保持部品よりも後に同種部品が実装される場合に、同種部品の実装位置に被保持部品を実装するように実装順序を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を保持して基板に実装する実装ヘッドと、
前記複数の部品の形状に関する形状情報と、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む基板情報と、前記複数の部品を実装する際の前記実装ヘッドの動作に関する動作情報とを記憶する記憶部と、
前記形状情報と、前記基板情報と、前記複数の部品のうち前記実装ヘッドに保持されている被保持部品の前記実装ヘッドに対する位置ずれ量とに基づいて、前記基板に既に実装されている実装済み部品と前記実装ヘッドとが干渉するか否かを判定する干渉判定部と、
前記干渉判定部が、前記実装ヘッドが前記実装済み部品に干渉すると判定した場合に、前記動作情報を変更する実装ヘッド制御部と、を備え、
前記動作情報は、前記基板に対する前記複数の部品の実装順序を含み、
前記実装ヘッド制御部は、前記実装ヘッドが前記実装済み部品に干渉すると判定された際に前記実装ヘッドに保持されている前記被保持部品よりも後に前記被保持部品と同じ種類の同種部品が実装される場合に、前記同種部品の前記実装位置に前記被保持部品を実装するように前記実装順序を変更する実装順序変更機能を有する、
実装システム。
【請求項2】
前記動作情報は、前記基板における前記被保持部品の座標情報を更に含み、
前記実装ヘッド制御部は、前記位置ずれ量に基づいて前記座標情報を変更する座標情報変更機能を更に有し、
前記実装ヘッドは、前記実装ヘッド制御部が前記座標情報変更機能を実行する場合、変更後の前記座標情報に基づいて前記被保持部品を前記基板に実装する、
請求項1に記載の実装システム。
【請求項3】
前記動作情報は、前記基板における前記被保持部品の角度情報を更に含み、
前記実装ヘッド制御部は、前記位置ずれ量に基づいて前記角度情報を変更する角度情報変更機能を更に有し、
前記実装ヘッドは、前記実装ヘッド制御部が前記角度情報変更機能を実行する場合、変更後の前記角度情報に基づいて前記被保持部品を前記基板に実装する、
請求項1又は2に記載の実装システム。
【請求項4】
前記実装ヘッド及び前記実装ヘッドに保持されている前記被保持部品を下方から撮像する部品撮像部を更に備え、
前記干渉判定部は、前記部品撮像部の撮像画像から求められる、前記実装ヘッドにおける前記被保持部品の保持面の外縁と前記被保持部品の外縁との間の距離に基づいて、前記位置ずれ量を算出する、
請求項1又は2に記載の実装システム。
【請求項5】
実装ヘッドに保持されて基板に実装される複数の部品の形状に関する形状情報と、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む基板情報と、前記複数の部品のうち前記実装ヘッドに保持されている被保持部品の前記実装ヘッドに対する位置ずれ量とに基づいて、前記基板に既に実装されている実装済み部品と前記実装ヘッドとが干渉するか否かを判定し、
前記実装ヘッドが前記実装済み部品に干渉すると判定された際に前記実装ヘッドに保持されている前記被保持部品の前記基板に対する実装順序よりも後に前記被保持部品と同じ種類の同種部品が実装される場合に、前記同種部品の前記実装位置に前記被保持部品を実装するように前記実装順序を変更する、
実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に実装システム及び実装方法に関し、より詳細には、部品を基板に実装する実装システム及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸着ノズルの形状及び部品の形状の三次元データと吸着ノズルの移動軌跡とに基づいて、吸着ノズルと基板上の既搭載部品との干渉の有無を判別する干渉チェック装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-12929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の干渉チェック装置では、吸着ノズルが既搭載部品(実装済み部品)に干渉する場合は、干渉が判定されたタイミングで吸着ノズルに吸着されている状態の吸着済みの部品を実装することができなくなるため、生産性が低下するという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、実装済み部品に対する実装ヘッドの干渉判定を行いつつ生産性の低下を抑制することが可能な実装システム及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る実装システムは、実装ヘッドと、記憶部と、干渉判定部と、実装ヘッド制御部と、を備える。前記実装ヘッドは、複数の部品を保持して基板に実装する。前記記憶部は、形状情報と、基板情報と、動作情報とを記憶する。前記形状情報は、前記複数の部品の形状に関する情報である。前記基板情報は、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む。前記動作情報は、前記複数の部品を実装する際の前記実装ヘッドの動作に関する情報である。前記干渉判定部は、前記形状情報と、前記基板情報と、被保持部品の前記実装ヘッドに対する位置ずれ量とに基づいて、実装済み部品と前記実装ヘッドとが干渉するか否かを判定する。前記被保持部品は、前記複数の部品のうち前記実装ヘッドに保持されている部品である。前記実装済み部品は、前記基板に既に実装されている部品である。前記実装ヘッド制御部は、前記干渉判定部が、前記実装ヘッドが前記実装済み部品に干渉すると判定した場合に、前記動作情報を変更する。前記動作情報は、前記基板に対する前記複数の部品の実装順序を含む。前記実装ヘッド制御部は、実装順序変更機能を有する。前記実装順序変更機能は、前記実装ヘッドが前記実装済み部品に干渉すると判定された際に前記実装ヘッドに保持されている前記被保持部品よりも後に前記被保持部品と同じ種類の同種部品が実装される場合に、前記同種部品が実装される前記実装位置に前記被保持部品を実装するように前記実装順序を変更する機能である。
【0007】
本開示の一態様に係る実装方法では、形状情報と、基板情報と、被保持部品の実装ヘッドに対する位置ずれ量とに基づいて、実装済み部品と前記実装ヘッドとが干渉するか否かを判定する。前記形状情報は、前記実装ヘッドに保持されて基板に実装される複数の部品の形状に関する情報である。前記基板情報は、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む。前記被保持部品は、前記複数の部品のうち前記実装ヘッドに保持されている部品である。前記実装済み部品は、前記基板に既に実装されている部品である。前記実装方法では、前記実装ヘッドが前記実装済み部品に干渉すると判定された際に前記実装ヘッドに保持されている前記被保持部品の前記基板に対する実装順序よりも後に前記被保持部品と同じ種類の同種部品が実装される場合に、前記同種部品が実装される前記実装位置に前記被保持部品を実装するように前記実装順序を変更する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る実装システム及び実装方法によれば、実装済み部品に対する実装ヘッドの干渉判定を行いつつ生産性の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る実装システムのブロック図である。
図2図2は、同上の実装システムの平面図である。
図3図3は、同上の実装システムの側面図である。
図4図4は、同上の実装システムにおける実装ヘッドの正面図である。
図5図5は、同上の実装システムで使用される位置情報の一例を示す図である。
図6図6は、同上の実装システムにおける部品認識カメラの撮像画像の一例を示す図である。
図7図7は、同上の実装システムに関し、実装ヘッドの吸着ノズルが実装済み部品に干渉する状態を説明する説明図である。
図8図8は、同上の実装システムに関し、実装ヘッドの吸着ノズルと実装済み部品との干渉を回避する方法を説明する説明図である。
図9図9は、同上の実装システムに関し、実装ヘッドの吸着ノズルと実装済み部品との干渉を回避する別の方法を説明する説明図である。
図10図10は、同上の実装システムの動作の一部を示すフローチャートである。
図11図11は、同上の実装システムの動作の残りを示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態の変形例1に係る実装システムにおける基板認識カメラの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る実装システム及び実装方法について、図面を参照して説明する。下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態)
(1)概要
まず、実施形態に係る実装システム1の概要について、図1図4を参照して説明する。
【0012】
実施形態に係る実装システム1は、例えば、実装ヘッド11の吸着ノズル13に吸着させた部品100を基板6に実装(装着)するための実装装置である。実装システム1は、例えば、工場、研究所、事務所及び教育施設等の施設において、電子機器及び自動車等の種々の製品を製造するための作業に用いられる。
【0013】
本実施形態では一例として、実装システム1が、工場での電子機器の製造に用いられる場合について説明する。一般的な電子機器は、例えば、電源回路及び制御回路等の各種の回路基板を有する。これらの回路基板の製造にあたっては、一例として、はんだ塗布工程、実装工程及びはんだ付け工程が、この順で行われる。はんだ塗布工程では、基板(プリント配線板を含む)にクリーム状はんだが塗布(又は印刷)される。実装工程では、基板に部品(電子部品を含む)が実装(装着)される。はんだ付け工程では、例えば、部品が実装された状態の基板を、リフロー炉にて加熱することにより、クリーム状はんだを溶かしてはんだ付けが行われる。実装システム1は、実装工程において、吸着ノズル13によって部品100を吸着(保持)する作業、及び吸着ノズル13に吸着させた部品100を基板6に実装(装着)する作業を行う。
【0014】
実施形態に係る実装システム1は、図1図4に示すように、実装ヘッド11と、実装記憶部(記憶部)36と、干渉判定部33と、実装ヘッド制御部31と、を備える。実装ヘッド11は、複数の部品100を保持して基板6に実装する。実装記憶部36は、部品情報(形状情報)36bと、基板情報36cと、動作情報36dとを記憶する。部品情報36bは、複数の部品100の形状に関する情報である。基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ電気的に接続される基板6上の複数の電極位置、又は複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の複数の実装位置P01~P10(図5参照)を含む。動作情報36dは、複数の部品100を実装する際の実装ヘッド11の動作に関する情報である。干渉判定部33は、部品情報36bと、基板情報36cと、被保持部品100bの実装ヘッド11に対する位置ずれ量とに基づいて、実装済み部品100a(図7図9参照)と実装ヘッド11とが干渉するか否かを判定する。被保持部品100bは、複数の部品100のうち実装ヘッド11に保持されている部品である。実装済み部品100aは、基板6に既に実装されている部品である。実装ヘッド制御部31は、干渉判定部33が、実装ヘッド11が実装済み部品100aに干渉すると判定した場合に、動作情報36dを変更する。動作情報36dは、基板6に対する複数の部品100の実装順序を含む。実装ヘッド制御部31は、実装順序変更機能を有する。実装順序変更機能は、実装ヘッド11が実装済み部品100aに干渉すると判定された際に実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bよりも後に被保持部品100bと同じ種類の同種部品が実装される場合に、上記同種部品が実装される実装位置P05(図9参照)に被保持部品100bを実装するように実装順序を変更する機能である。
【0015】
実施形態に係る実装システム1では、実装ヘッド11が実装済み部品100aに干渉すると判定された際に実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bの実装順序よりも後に同種部品が実装される場合に、上記同種部品が実装される実装位置P05(図9参照)に被保持部品100bを実装するように実装順序を変更する。これにより、実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bを廃棄する場合に比べて、生産性の低下を抑制することが可能となる。すなわち、実施形態に係る実装システム1によれば、実装済み部品100aに対する実装ヘッド11の干渉判定を行いつつ生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0016】
(2)詳細
(2.1)前提
本実施形態では一例として、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)による部品100の実装に、実装システム1が用いられる場合について説明する。つまり、部品100は、表面実装用の部品(SMD:Surface Mount Device)であって、基板6の実装面6a上に配置されることをもって実装される。ただし、この例に限らず、挿入実装技術(IMT:Insertion Mount Technology)による部品100の実装に、実装システム1が用いられてもよい。この場合には、部品100は、リード端子を有する挿入実装用の部品であり、基板6の孔にリード端子を挿入することをもって、基板6の実装面6a上に実装される。すなわち、本開示でいう「基板に部品を実装する」とは、基板の実装面上に部品を配置することと、基板の孔に部品のリード端子を挿入することと、を含む。
【0017】
本開示において、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像は、静止画(静止画像)及び動画(動画像)を含む。さらに、「動画」は、コマ撮り等により得られる複数の静止画にて構成される撮像画像を含む。基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像は、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々から出力されたデータそのものでなくてもよい。例えば、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像は、必要に応じて適宜データの圧縮、他のデータ形式への変換、又は基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像から一部を切り出す加工、ピント調整、明度調整、若しくはコントラスト調整等の加工が施されていてもよい。本実施形態では一例として、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像は、フルカラーの動画である。
【0018】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、基板6の表面に平行な軸を「X軸」及び「Y軸」とし、基板6の厚み方向に平行な軸を「Z軸」とする。さらに、Z軸に沿う両方向のうち一方向を上方向とし、他方向を下方向とする。例えば、図3に示すように、吸着ノズル13が基板6に対向しているとき、基板6は、吸着ノズル13の下方に位置する。なお、X軸、Y軸及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は実装システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0019】
また、実装システム1には、冷却水の循環用のパイプ、電力供給用のケーブル及び空圧(正圧及び真空を含む)供給用のパイプ等が接続されるが、本実施形態ではこれらの図示を適宜省略する。
【0020】
(2.2)全体構成
以下、実施形態に係る実装システム1を備える生産システムA1の構成について、図1図6を参照して説明する。
【0021】
生産システムA1は、基板6に部品100を実装(装着)して実装基板を生産する機能を有している。生産システムA1は、図1に示すように、複数(図示例では3つ)の実装システム1と、管理システム3と、を備える。複数の実装システム1は、通信ネットワーク2を介して管理システム3に接続されている。管理システム3は、複数の実装システム1による実装基板の生産を総括管理し、複数の実装システム1が基板6に部品100を実装する作業を支援する。以下の説明において、「複数の実装システム1」を区別する必要がある場合には、複数の実装システム1の各々を「実装システム1A,1B,1C」と区別する。
【0022】
(2.2.1)実装システム
まず、実装システム1A,1B,1Cの構成について説明する。なお、実装システム1A,1B,1Cは同様の構成であるため、以下では実装システム1Aについて説明し、実装システム1B,1Cについては説明を省略する。
【0023】
実装システム1Aは、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、実装システム1Aとして機能する。プログラムは、ここでは実装システム1Aの実装記憶部36に予め記録されているが、例えば、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0024】
実装システム1Aは、図2及び図3に示すように、基台4と、基板搬送機構5と、複数(図示例では2つ)の部品供給部7と、一対のY軸ビーム9と、X軸ビーム10と、実装ヘッド11と、を備える。また、実装システム1Aは、基板認識カメラ22と、部品認識カメラ23と、を更に備える。
【0025】
基台4の中央には、基板搬送機構5がX軸方向(図2の左右方向)に沿って配置されている。基板搬送機構5は、上流側(例えば、図2の右側)から搬入された基板6をX軸方向へ搬送し、実装ヘッド11による実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品実装作業が完了した基板6を下流側(例えば、図2の左側)に搬出する。
【0026】
Y軸方向(図2の上下方向)における基板搬送機構5の両側には、部品供給部7がそれぞれ配置されている。各部品供給部7には、X軸方向(図2の左右方向)に沿って配置された複数のテープフィーダ8が装着されている。各テープフィーダ8は、部品100を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部7の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッド11が部品100を吸着する部品吸着位置に部品100を供給する。
【0027】
基台4の上面におけるX軸方向(図2の左右方向)の両端部には、リニア駆動機構を備えた一対のY軸ビーム9が配置されている。各Y軸ビーム9には、同様にリニア機構を備えたX軸ビーム10がY軸方向(図2の上下方向)に移動自在に取り付けられている。X軸ビーム10には、実装ヘッド11がX軸方向に移動自在に取り付けられている。実装ヘッド11は、図4に示すように、複数(図示例では4つ)の保持ヘッド12を有する多連型ヘッドである。
【0028】
各保持ヘッド12の下端部には、吸着面130(図3参照)に部品100を吸着して保持する吸着ノズル13が取り付けられている。各保持ヘッド12は、吸着ノズル13を上下方向(Z軸方向)に昇降させるノズル昇降機構14と、吸着ノズル13を回転軸Ax1回りにθ回転させるノズル回転機構(図示せず)と、を有する。保持ヘッド12は、図4に示すように、吸着ノズル13をノズル回転機構で所定の回転角度に回転させ(図4の矢印a1)、ノズル昇降機構14でZ軸方向の所定の実装高さに下降させて(図4の矢印b1)、吸着ノズル13に保持させた部品100を基板6の実装面6aに実装する。すなわち、実装ヘッド11は、複数の部品100を実装して基板6に実装する。
【0029】
一対のY軸ビーム9及びX軸ビーム10は、実装ヘッド11を水平方向(X軸方向及びY軸方向)に移動させる実装ヘッド移動機構15を構成する。実装ヘッド移動機構15及びノズル昇降機構14を備える実装ヘッド11は、部品供給部7から部品100を取り出して基板6の実装位置Po1(図8及び図9参照)に実装する部品実装作業を実行する部品実装部16を構成する。すなわち、部品実装部16は、吸着ノズル13に保持させた部品100を水平方向及び垂直方向に移動させる機能を有している。部品実装部16は、部品実装作業において、実装ヘッド11が備える各吸着ノズル13で部品供給部7から所定の部品100をそれぞれ吸着し、各吸着ノズル13が保持する部品100を基板6の実装位置Po1に所定の回転角度で実装する一連の動作を繰り返す。
【0030】
X軸ビーム10には、X軸ビーム10の下面側に位置して実装ヘッド11とともに一体的に移動する基板認識カメラ22が装着されている(図3参照)。基板認識カメラ22は、実装ヘッド11が移動することにより、基板搬送機構5の実装作業位置に位置決めされた基板6の上方に移動して、基板6に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板6の位置を認識する。また、基板認識カメラ22は、実装済み部品100aを含むように基板6の実装面6aを撮像して実装済み部品100aの位置を認識する。実装済み部品100aは、図7図9に示すように、基板6の実装面6aに既に実装されている部品である。
【0031】
一方(図2の下側)の部品供給部7と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ23が配置されている。部品認識カメラ23は、部品供給部7から部品100を取り出した実装ヘッド11が部品認識カメラ23の上方に位置した際に、吸着ノズル13に保持された部品100を下方から撮像する。実装ヘッド11による部品100の基板6への部品実装作業では、基板認識カメラ22による基板6及び実装済み部品100aの認識結果と部品認識カメラ23による部品(被保持部品)100の認識結果とを加味して補正が行われる。本実施形態では、部品認識カメラ23が部品撮像部に相当する。すなわち、部品認識カメラ23は、実装ヘッド11及び実装ヘッド11に保持されている被保持部品100b(図3参照)を下方から撮像する。
【0032】
ここで、実装システム1Aは、図1及び図2に示すように、タッチパネル24を更に備える。タッチパネル24は、表示部(図示せず)を有する。タッチパネル24の表示部には、各種情報及びボタンが表示される。作業者は、表示部に表示されたボタンを操作することで、データ入力、実装システム1Aの操作等を行う。
【0033】
また、実装システム1Aは、図1に示すように、報知部25を更に備える。報知部25は、例えば、報知灯(図示せず)を有する。報知部25は、報知灯を点灯させることによって、被保持部品100bを基板6に実装できないことを報知する。被保持部品100bは、図3に示すように、実装ヘッド11の吸着ノズル13に保持されている部品である。基板6に実装できない被保持部品100bは廃棄される。
【0034】
また、実装システム1Aは、図1に示すように、実装制御装置30を更に備える。実装制御装置30には、基板搬送機構5(図2参照)、部品供給部7に装着されたテープフィーダ8、部品実装部16を構成するノズル昇降機構14及び実装ヘッド移動機構15、基板認識カメラ22、部品認識カメラ23、タッチパネル24、報知部25等が接続されている。
【0035】
実装制御装置30は、実装ヘッド制御部31と、情報取得部32と、干渉判定部33と、入力処理部34と、実装通信部35と、実装記憶部36と、を有する。
【0036】
実装記憶部36は、例えば、フラッシュメモリのような記憶装置である。実装記憶部36は、図1に示すように、位置情報36a、部品情報36b、基板情報36c、動作情報36d及び位置ずれ情報36eを記憶している。
【0037】
位置情報36aは、基板6の実装面6aにおける部品100の実装位置に関する情報を含む。位置情報36aは、図5に示すように、実装位置番号60と、実装位置座標61と、部品名62と、実装動作番号63と、を含む。実装位置番号60は、基板6における部品100の実装位置Po1(図8及び図9参照)を特定する情報である。図5の例では、実装位置番号60が「P01」~「P10」の実装位置Po1の情報が示されている。以下、実装位置番号60が「P01」の実装位置Po1を「実装位置P01」ともいう。実装位置番号60が「P02」~「P10」についても同様である。
【0038】
実装位置座標61は、部品100の実装位置Po1の実装座標(X座標及びY座標)及び実装角度を含む情報である。部品名62は、部品100の種類を特定する情報である。図5の例では、実装位置P01、P03~P05、P07~P10に実装される部品100に部品名「E1」が付されており、実装位置P02に実装される部品100に部品名「F1」が付されており、実装位置P06に実装される部品100に部品名「G1」が付されている。
【0039】
実装動作番号63は、各部品100を基板6に実装させる順番を示す情報である。図5の例では、実装位置P01~P04に実装される部品100が1回目の実装動作で基板6に実装され、実装位置P05~P08に実装される部品100が2回目の実装動作で基板6に実装され、実装位置P09~P10に実装される部品100が3回目の実装動作で基板6に実装される。
【0040】
部品情報36bは、部品100のサイズ(縦、横、高さ)に関する情報を含む。すなわち、部品情報36bは、複数の部品100の形状に関する形状情報を含む。また、部品情報36bは、部品100の電気的特性に関する情報を更に含む。
【0041】
基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の複数の実装位置Po1(図8及び図9参照)を含む。実装記憶部36は、部品100ごとに実装位置Po1を記憶している。また、基板情報36cは、基板6上の各実装位置Po1における最大の予想反り量(反りがない場合の基板6の実装面6aの高さを基準とする実装面6aの高さ位置)を更に含む。実装記憶部36は、部品100が実装される基板6の種類ごとに最大の予想反り量を記憶している。
【0042】
動作情報36dは、複数の部品100を実装する際の実装ヘッド11の動作に関する情報である。より詳細には、動作情報36dは、基板6に対する複数の部品100の実装順序を含む。すなわち、複数の部品100は、動作情報36dに含まれている実装順序に従って順番に実装される。また、動作情報36dは、基板6における部品100(被保持部品100bを含む)の座標情報及び角度情報を更に含む。座標情報は、例えば、基板6における部品100の実装位置Po1のX座標及びY座標を含む。角度情報は、例えば、基板6における部品100の実装角度(例えば、X軸に対する角度)を含む。
【0043】
位置ずれ情報36eは、実装ヘッド11の吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量を含む。位置ずれ量は、後述するように、部品認識カメラ23の撮像画像に基づいて干渉判定部33によって算出される。
【0044】
実装ヘッド制御部31は、実装記憶部36に記憶されている各種情報に基づいて、テープフィーダ8、部品実装部16、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23を制御し、テープフィーダ8から供給される部品100を、実装作業位置に保持されている基板6の実装位置Po1に実装させる部品実装作業を実行する。
【0045】
また、実装ヘッド制御部31は、動作情報36dを変更する変更機能を有する。具体的には、実装ヘッド制御部31は、実装順序変更機能と、座標情報変更機能と、角度情報変更機能と、を有する。実装順序変更機能は、実装ヘッド11が実装済み部品100aに干渉すると判定された際に実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bの実装順序よりも後に被保持部品100bと同じ種類の部品100(同種部品)が実装される場合に、同種部品が実装される実装位置Po1に被保持部品100bを実装するように実装順序を変更する機能である。座標情報変更機能は、干渉判定部33によって算出される位置ずれ量に基づいて、上述の座標情報を変更する機能である。また、角度情報変更機能は、干渉判定部33によって算出される位置ずれ量に基づいて、上述の角度情報を変更する機能である。このように、実装ヘッド制御部31は、干渉判定部33が、実装ヘッド11が実装済み部品100aに干渉すると判定した場合に、動作情報36dを変更する。
【0046】
実装ヘッド11は、実装ヘッド制御部31が座標情報変更機能を実行する場合、変更後の座標情報に基づいて、吸着ノズル13に保持させている被保持部品100bを基板6に実装する。また、実装ヘッド11は、実装ヘッド制御部31が角度情報変更機能を実行する場合、変更後の角度情報に基づいて、吸着ノズル13に保持させている被保持部品100bを基板6に実装する。
【0047】
情報取得部32は、干渉判定部33が実装ヘッド11の吸着ノズル13と実装済み部品100aとが干渉するか否かを判定する際に必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部32は、実装記憶部36から、位置情報36a、部品情報36b及び基板情報36cを取得する。また、情報取得部32は、実装ヘッド制御部31が上述の実装順序変更機能、座標情報変更機能及び角度情報変更機能を実行する際に必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部32は、実装記憶部36から、動作情報36dを取得する。
【0048】
干渉判定部33は、部品情報36bと、基板情報36cと、後述の位置ずれ量とに基づいて、実装ヘッド11の吸着ノズル13と実装済み部品100aとが干渉するか否かを判定する。また、干渉判定部33は、部品認識カメラ23の撮像画像に基づいて、実装ヘッド11の吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量を算出する。以下、干渉判定部33が上記位置ずれ量を算出する手順について、図6を参照して説明する。
【0049】
図6は、実装ヘッド11の吸着ノズル13及び吸着ノズル13に保持されている被保持部品100bを下方から撮像した部品認識カメラ23の撮像画像Im1である。図6における二点鎖線は、吸着ノズル13の吸着面130における正規位置に保持されている状態の被保持部品100b(以下、「第1被保持部品100b」ともいう)を示している。図6において実線で示される被保持部品100b(以下、「第2被保持部品100b」ともいう)は、吸着面130の正規位置からずれた位置で吸着ノズル13に保持されている。被保持部品100bは、吸着ノズル13の吸着面130の中央に設けられた円形の貫通孔131を通るエアによって吸着面130に吸着される。
【0050】
実装ヘッド11の吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量は、図6に示すように、吸着ノズル13の吸着面130(保持面)の外縁132と、被保持部品100bの外縁101との間の距離に基づいて算出される。より詳細には、実装ヘッド11に対する第2被保持部品100bの位置ずれ量は、吸着ノズル13の吸着面130の外縁132と第1被保持部品100bの外縁101との間の距離L1と、吸着ノズル13の吸着面130の外縁132と第2被保持部品100bの外縁101との間の距離L2とに基づいて算出される。すなわち、干渉判定部33は、部品認識カメラ23の撮像画像Im1から求められる、実装ヘッド11における被保持部品100bの吸着面130の外縁132と被保持部品100bの外縁101との間の距離L1,L2に基づいて、位置ずれ量を算出する。
【0051】
入力処理部34は、入力された情報に基づいて種々の処理を実行する。
【0052】
実装通信部35は、通信インターフェースを含む。実装通信部35は、通信ネットワーク2を介して他の実装システム1B,1C及び管理システム3との間でデータの送受信を行う。
【0053】
(2.2.2)管理システム
管理システム3は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、管理システム3として機能する。プログラムは、ここでは管理システム3の管理記憶部51に予め記録されているが、例えば、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0054】
管理システム3は、図1に示すように、管理処理部50と、管理記憶部51と、表示部52と、入力部53と、管理通信部54と、を備える。
【0055】
管理処理部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のような演算装置である。管理処理部50は、情報取得部50aを有する。情報取得部50aは、各実装システム1から、位置情報36a、部品情報36b及び基板情報36cを取得する。
【0056】
管理記憶部51は、例えば、フラッシュメモリのような記憶装置である。管理記憶部51は、実装情報51a、位置情報51b、基板情報51c及び部品情報51dを記憶している。実装情報51aは、基板6に部品100を実装する実装動作に関する情報である。位置情報51b、基板情報51c及び部品情報51dは、それぞれ、実装記憶部36に記憶されている位置情報36a、基板情報36c及び部品情報36bと同様の情報である。
【0057】
表示部52は、例えば、液晶パネルのような表示装置である。表示部52は、各種データ及び操作画面等を表示する。
【0058】
入力部53は、例えば、キーボード、タッチパネル及びマウスのような入力装置である。入力部53は、操作コマンドやデータ入力時に用いられる。
【0059】
管理通信部54は、例えば、通信インターフェースを含む。管理通信部54は、通信ネットワーク2を介して、各実装システム1A,1B,1Cとの間でデータの送受信を行う。
【0060】
(3)干渉回避方法
次に、実装済み部品100aに対する実装ヘッド11の吸着ノズル13の干渉を回避する方法について、図7図9を参照して説明する。
【0061】
図7に示すように、実装ヘッド11の吸着ノズル13が実装済み部品100aに干渉する場合、以下に示す2つの回避方法が想定される。
【0062】
1つ目の回避方法は、吸着ノズル13に保持されている被保持部品100bの座標情報及び角度情報の少なくとも一方を変更する方法である。図8の例では、変更後の座標情報及び角度情報に基づいて、基板6の実装面6aに平行なX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方において、実装済み部品100aから離れる向きに吸着ノズル13を移動させた後、吸着ノズル13を180度回転させる。これにより、図8に示すように、被保持部品100bの正規の実装位置P01に被保持部品100bを実装することが可能となる。
【0063】
2つ目の回避方法は、被保持部品100bと上記同種部品との実装順序を変更する方法である。図9の例では、実装位置P01は、吸着ノズル13に保持されている被保持部品100bの実装位置であり、実装位置P05は、上記同種部品の実装位置である。この場合、上記同種部品の実装位置P05に向けて、基板6の実装面6aに平行なX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方において、実装済み部品100aから離れる向きに吸着ノズル13を移動させる。これにより、図9に示すように、被保持部品100bを実装位置P05に実装することが可能となる。
【0064】
(4)実装方法
次に、実施形態に係る実装方法について、図10及び図11を参照して説明する。
【0065】
実施形態に係る実装方法では、部品情報36b(形状情報)と、基板情報36cと、被保持部品100bの実装ヘッド11に対する位置ずれ量とに基づいて、実装済み部品100aと実装ヘッド11とが干渉するか否かを判定する。部品情報36bは、実装ヘッド11に保持されて基板6に実装される複数の部品100の形状に関する情報である。基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の複数の実装位置Po1を含む。実装済み部品100aは、基板6に既に実装されている部品である。被保持部品100bは、複数の部品100のうち実装ヘッド11に保持されている部品である。また、実装方法では、実装ヘッド11が実装済み部品100aに干渉すると判定された際に実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bの基板6に対する実装順序よりも後に被保持部品100bと同じ種類の部品100(同種部品)が実装される場合に、上記同種部品の実装位置P05に被保持部品100bを実装するように実装順序を変更する。
【0066】
実施形態に係る実装方法では、実装ヘッド11が実装済み部品100aに干渉すると判定された際に実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bの実装順序よりも後に同種部品が実装される場合に、上記同種部品の実装位置P05に被保持部品100bを実装するように実装順序を変更する。これにより、実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bを廃棄する場合に比べて、生産性の低下を抑制することが可能となる。すなわち、実施形態に係る実装方法によれば、実装済み部品100aに対する実装ヘッド11の干渉判定を行いつつ生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0067】
図10及び図11は、実施形態に係る実装システム1が実行する実装方法を表すフローチャートである。実装方法は、図10及び図11に示すS1~S14の各工程を含む。本実施形態では、実装方法は、上述した実装システム1にて実行される。このため、以下では、本実施形態の実装方法を、実装システム1の動作として説明する。また、図10及び図11に示すフローチャートは、一例に過ぎず、工程の順番が適宜変更されてもよいし、工程が適宜追加又は削除されてもよい。
【0068】
実装システム1は、n(n=1)番目の部品100である部品nの実装を開始する(S1)。まず、実装ヘッド11は、吸着ノズル13を介して部品nを保持する(S2)。その後、部品認識カメラ23は、実装ヘッド11の吸着ノズル13及び吸着ノズル13に吸着されている部品nを下方から撮像する(S3)。そして、干渉判定部33は、部品認識カメラ23の撮像画像に基づいて位置ずれ量を算出する(S4)。
【0069】
次に、基板認識カメラ22は、実装済み部品100aを含むように基板6の実装面6aを撮像する(S5)。そして、干渉判定部33は、部品情報36b、基板情報36c、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の撮像画像に基づいて、部品nを保持している実装ヘッド11の吸着ノズル13が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する(S6)。吸着ノズル13が実装済み部品100aに干渉する場合(S6:Yes)、実装ヘッド制御部31は、上記位置ずれ量を補正可能であるか否かを判定する(S7)。上記位置ずれ量を補正可能である場合(S7:Yes)、実装ヘッド制御部31は、座標情報変更機能及び角度情報変更機能の少なくとも一方を実行し、部品nの座標情報及び角度情報の少なくとも一方を補正する(S8)。そして、実装ヘッド11は、部品nの補正後の座標情報及び角度情報の少なくとも一方に基づいて、部品nを基板6の実装面6aに実装する(S12)。
【0070】
一方、吸着ノズル13が実装済み部品100aに干渉しない場合(S6:No)、実装ヘッド11は、部品nを基板6の実装面6aに実装する(S12)。また、上記位置ずれ量を補正できない場合(S7:No)、実装ヘッド制御部31は、部品nよりも後に同じ種類の部品(同種部品)があるか否かを判定する(S9)。同種部品がある場合(S9:Yes)、実装ヘッド制御部31は、同種部品の実装位置P05に部品nを実装するように部品nの実装順序を変更する(S10)。実装ヘッド11は、変更後の実装順序に基づいて、同種部品の実装位置P05に部品nを実装する(S12)。
【0071】
ところで、同種部品がない場合(S9:No)、報知部25は、報知灯を点灯させることによって、部品nを基板6に実装することができないことを報知する(S11)。この場合、全ての部品100を実装することなく、処理を終了する。
【0072】
実装ヘッド制御部31は、全ての部品100を基板6に実装したか否かを判定する(S13)。全ての部品100を基板6に実装していない場合(S13:No)、実装システム1は、次の部品nを基板6に実装するための工程(S1~S14)を実行する。一方、全ての部品100を基板6に実装した場合(S13:Yes)、実装システム1は、一連の工程を終了する。
【0073】
ここで、図10及び図11に示すフローチャートにおいて、工程S3は省略されていてもよい。この場合、実装ヘッド制御部31は、工程S4において、位置ずれ量を算出する代わりに、実装記憶部36に記憶されている位置ずれ情報36eに含まれている位置ずれ量を用いる。
【0074】
また、図10及び図11に示すフローチャートにおいて、工程S7と工程S9の順番が逆であってもよい。すなわち、実装ヘッド制御部31は、部品nよりも後に同じ部品(同種部品)があるか否かを判定した後、位置ずれ量を補正可能であるか否かを判定してもよい。さらに、工程S7については省略されていてもよい。
【0075】
(5)効果
実施形態に係る実装システム1では、実装ヘッド11が実装済み部品100aに干渉すると判定された際に実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bの実装順序よりも後に同種部品が実装される場合に、上記同種部品が実装される実装位置P05(図9参照)に被保持部品100bを実装するように実装順序を変更する。これにより、実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bを廃棄する場合に比べて、生産性の低下を抑制することが可能となる。すなわち、実施形態に係る実装システム1によれば、実装済み部品100aに対する実装ヘッド11の干渉判定を行いつつ生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0076】
また、実施形態に係る実装システム1では、実装ヘッド11は、実装ヘッド制御部31が座標情報変更機能を実行する場合、変更後の座標情報に基づいて被保持部品100bを基板6に実装する。これにより、変更後の座標情報に基づいて被保持部品100bを基板6に実装することができるので、生産性の低下を更に抑制することが可能となる。
【0077】
また、実施形態に係る実装システム1では、実装ヘッド11は、実装ヘッド制御部31が角度情報変更機能を実行する場合、変更後の角度情報に基づいて被保持部品100bを基板6に実装する。これにより、変更後の角度情報に基づいて被保持部品100bを基板6に実装することができるので、生産性の低下を更に抑制することが可能となる。
【0078】
また、実施形態に係る実装システム1では、部品認識カメラ23の撮像画像に基づいて位置ずれ量を求めているので、実装済み部品100aに対する実装ヘッド11の干渉判定の判定精度を向上させることが可能となる。
【0079】
(6)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述の実施形態に係る実装方法と同様の機能は、実装システム1、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0080】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0081】
(6.1)変形例1
上述の実施形態では、図2及び図3に示すように、実装システム1が備える基板認識カメラ22が1つであるが、実装システム1は、図12に示すように、2つの基板認識カメラ22A,22Bを備えていてもよい。
【0082】
変形例1に係る実装システム1では、図12に示すように、X軸方向における吸着ノズル13の両側に基板認識カメラ22A,22Bが配置されている。すなわち、変形例1に係る実装システム1では、2つの基板認識カメラ22A,22Bと吸着ノズル13とがX軸方向に沿って並んでいる。基板認識カメラ22Aの撮像領域R1と基板認識カメラ22Bの撮像領域R2とは、その一部において重複している。
【0083】
変形例1に係る実装システム1によれば、2つの基板認識カメラ22A,22Bで被保持部品100bの実装位置Po1を撮像しながら、実装ヘッド11を移動させることが可能となる。このため、実装位置Po1に対する被保持部品100bの実装精度を向上させることが可能となる。
【0084】
(6.2)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0085】
実装システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは実装システム1に必須の構成ではなく、実装システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。また、実装システム1の少なくとも一部の機能、例えば、実装ヘッド制御部31の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0086】
反対に、上述の実施形態において、複数の装置に分散されている実装システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、実装制御装置30と部品実装部16とに分散されている実装システム1の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0087】
上述の実施形態では、生産システムA1が備える実装システム1の台数が3台であるが、生産システムA1が備える実装システム1の台数は、3台に限らず、1台、2台又は4台以上であってもよい。
【0088】
上述の実施形態では、実装ヘッド11が備える保持ヘッド12の個数が4つであるが、実装ヘッド11が備える保持ヘッド12の個数は、4つに限らず、1つ、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。
【0089】
また、実装ヘッド11は、複数の吸着ノズル13を同心円状に配置したロータリー型ヘッドであってもよい。
【0090】
また、実装ヘッド11が部品100を保持する方法は、吸着ノズル13による真空吸着に限らず、例えば、チャックで部品100を把持する方法であってもよい。
【0091】
また、上述の実施形態では、基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の実装位置Po1を含んでいる。これに対して、基板情報36cは、各部品100の実装位置Po1の代わりに、複数の部品100がそれぞれ電気的に接続される基板6上の複数の電極位置を含んでいてもよい。すなわち、基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ電気的に接続される基板6上の複数の電極位置、又は複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の実装位置Po1を含む。
【0092】
また、上述の実施形態では、被保持部品100bを基板6に実装できない旨を報知部25により報知しているが、例えば、被保持部品100bを基板6に実装できない旨をタッチパネル24の表示部に表示してもよい。
【0093】
また、上述の実施形態では、実装ヘッド11の吸着ノズル13における被保持部品100bの吸着面130の外縁132と被保持部品100bの外縁101との間の距離L1,L2に基づいて、吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量を算出している。これに対して、例えば、吸着面130の中心と被保持部品100bの中心との間の距離に基づいて、吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量を算出してもよい。さらに、例えば、吸着面130の中心と被保持部品101bの外縁101との間の距離に基づいて、吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量を算出してもよい。
【0094】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0095】
第1の態様に係る実装システム(1)は、実装ヘッド(11)と、記憶部(36)と、干渉判定部(33)と、実装ヘッド制御部(31)と、を備える。実装ヘッド(11)は、複数の部品(100)を保持して基板(6)に実装する。記憶部(36)は、形状情報(36b)と、基板情報(36c)と、動作情報(36d)とを記憶する。形状情報(36b)は、複数の部品(100)の形状に関する情報である。基板情報(36c)は、複数の部品(100)がそれぞれ電気的に接続される基板(6)上の複数の電極位置、又は複数の部品(100)がそれぞれ実装される基板(6)上の複数の実装位置(Po1)を含む。動作情報(36d)は、複数の部品(100)を実装する際の実装ヘッド(11)の動作に関する情報である。干渉判定部(33)は、形状情報(36b)と、基板情報(36c)と、被保持部品(100b)の実装ヘッド(11)に対する位置ずれ量とに基づいて、実装済み部品(100a)と実装ヘッド(11)とが干渉するか否かを判定する。被保持部品(100b)は、複数の部品(100)のうち実装ヘッド(11)に保持されている部品である。実装済み部品(100a)は、基板(6)に既に実装されている部品である。実装ヘッド制御部(31)は、干渉判定部(33)が、実装ヘッド(11)が実装済み部品(100a)に干渉すると判定した場合に、動作情報(36d)を変更する。動作情報(36d)は、基板(6)に対する複数の部品(100)の実装順序を含む。実装ヘッド制御部(31)は、実装順序変更機能を有する。実装順序変更機能は、実装ヘッド(11)が実装済み部品(100a)に干渉すると判定された際に実装ヘッド(11)に保持されている被保持部品(100b)よりも後に被保持部品(100b)と同じ種類の同種部品が実装される場合に、上記同種部品の実装位置(P05)に被保持部品(100b)を実装するように実装順序を変更する機能である。
【0096】
この態様によれば、実装済み部品(100a)に対する干渉判定を行いつつ生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0097】
第2の態様に係る実装システム(1)では、第1の態様において、動作情報(36d)は、基板(6)における被保持部品(100b)の座標情報を更に含む。実装ヘッド制御部(31)は、上記位置ずれ量に基づいて座標情報を変更する座標情報変更機能を更に有する。実装ヘッド(11)は、実装ヘッド制御部(31)が座標情報変更機能を実行する場合、変更後の座標情報に基づいて被保持部品(100b)を基板(6)に実装する。
【0098】
この態様によれば、変更後の座標情報に基づいて被保持部品(100b)を基板(6)に実装することができるので、生産性の低下を更に抑制することが可能となる。
【0099】
第3の態様に係る実装システム(1)では、第1又は第2の態様において、動作情報(36d)は、基板(6)における被保持部品(100b)の角度情報を更に含む。実装ヘッド制御部(31)は、上記位置ずれ量に基づいて角度情報を変更する角度情報変更機能を更に有する。実装ヘッド(11)は、実装ヘッド制御部(31)が角度情報変更機能を実行する場合、変更後の角度情報に基づいて被保持部品(100b)を基板(6)に実装する。
【0100】
この態様によれば、変更後の角度情報に基づいて被保持部品(100b)を基板(6)に実装することができるので、生産性の低下を更に抑制することが可能となる。
【0101】
第4の態様に係る実装システム(1)は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、部品撮像部(23)を更に備える。部品撮像部(23)は、実装ヘッド(11)及び実装ヘッド(11)に保持されている被保持部品(100b)を下方から撮像する。干渉判定部(33)は、部品撮像部(23)の撮像画像から求められる、実装ヘッド(11)における被保持部品(100b)の保持面(130)の外縁(132)と被保持部品(100b)の外縁(101)との間の距離(L1,L2)に基づいて、上記位置ずれ量を算出する。
【0102】
この態様によれば、部品撮像部(23)の撮像画像に基づいて上記位置ずれ量を求めているので、実装済み部品(100a)に対する干渉判定の判定精度を向上させることが可能となる。
【0103】
第5の態様に係る実装方法では、形状情報(36b)と、基板情報(36c)と、被保持部品(100b)の実装ヘッド(11)に対する位置ずれ量とに基づいて、実装済み部品(100a)と実装ヘッド(11)とが干渉するか否かを判定する。形状情報(36b)は、実装ヘッド(11)に保持されて基板(6)に実装される複数の部品(100)の形状に関する情報である。基板情報(36c)は、複数の部品(100)がそれぞれ電気的に接続される基板(6)上の複数の電極位置、又は複数の部品(100)がそれぞれ実装される基板(6)上の複数の実装位置(Po1)を含む。被保持部品(100b)は、複数の部品(100)のうち実装ヘッド(11)に保持されている部品である。実装済み部品(100a)は、基板(6)に既に実装されている部品である。実装方法では、実装ヘッド(11)が実装済み部品(100a)に干渉すると判定された際に実装ヘッド(11)に保持されている被保持部品(100b)の基板(6)に対する実装順序よりも後に被保持部品(100b)と同じ種類の同種部品が実装される場合に、上記同種部品の実装位置(P05)に被保持部品(100b)を実装するように実装順序を変更する。
【0104】
この態様によれば、実装済み部品(100a)に対する干渉判定を行いつつ生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0105】
第2~第4の態様に係る構成については、実装システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 実装システム
6 基板
11 実装ヘッド
23 部品認識カメラ(部品撮像部)
31 実装ヘッド制御部
33 干渉判定部
36 実装記憶部(記憶部)
36b 部品情報(形状情報)
36c 基板情報
36d 動作情報
100 部品
100a 実装済み部品
100b 被保持部品
101 外縁
130 吸着面(保持面)
132 外縁
Po1 実装位置
P05 実装位置
L1,L2 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12