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特開2024-176527管理システム、実装システム、領域生成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176527
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】管理システム、実装システム、領域生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095110
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 維里
(72)【発明者】
【氏名】永冶 利彦
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC01
5E353CC03
5E353CC04
5E353CC21
5E353DD11
5E353DD14
5E353EE02
5E353EE53
5E353EE62
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ02
5E353JJ11
5E353JJ25
5E353JJ44
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353LL02
5E353LL03
5E353LL06
5E353QQ01
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、実装済み部品に対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することである。
【解決手段】管理システム3は、記憶部(管理記憶部51)と、干渉判定部50bと、を備える。記憶部は、形状情報(部品情報51e)と、基板情報51dとを記憶する。干渉判定部50bは、判定対象が実装済み部品に干渉する可能性がある領域である干渉判定領域に基づいて、判定対象が実装済み部品に干渉するか否かを判定する。干渉判定部50bは、形状情報及び基板情報51dに基づいて、複数の部品の各々について干渉判定領域を生成する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装される複数の部品の形状に関する形状情報と、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む基板情報とを記憶する記憶部と、
前記基板に既に実装されている実装済み部品に判定対象が干渉する可能性がある領域である干渉判定領域に基づいて、前記判定対象が前記実装済み部品に干渉するか否かを判定する干渉判定部と、を備え、
前記干渉判定部は、前記形状情報及び前記基板情報に基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を生成する、
管理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記干渉判定領域のデフォルト値を更に記憶し、
前記干渉判定部は、前記形状情報及び前記基板情報に基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を前記デフォルト値から変更する、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記干渉判定部は、前記形状情報及び前記基板情報に基づいて前記実装済み部品が前記デフォルト値としての前記干渉判定領域に含まれている場合に、前記干渉判定領域を前記デフォルト値よりも小さくする、
請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記基板に対する前記複数の部品の実装順序を更に記憶し、
前記干渉判定部は、前記実装順序に基づいて前記複数の部品のうち前記判定対象である第1部品と隣接して前記基板に実装される第2部品が未だに前記基板に実装されていない場合、前記第1部品の干渉判定を行わない、
請求項1~3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記干渉判定部は、所定のマージンを考慮して前記干渉判定領域を生成する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
複数の部品を保持して基板に実装する実装ヘッドと、
前記複数の部品の形状に関する形状情報と、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む基板情報とを記憶する記憶部と、
前記基板に既に実装されている実装済み部品に判定対象が干渉するか可能性がある領域である干渉判定領域に基づいて、前記判定対象が前記実装済み部品に干渉するか否かを判定する干渉判定部と、を備え、
前記干渉判定部は、前記形状情報及び前記基板情報に基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を生成する、
実装システム。
【請求項7】
前記記憶部は、前記干渉判定領域のデフォルト値を更に記憶し、
前記干渉判定部は、前記形状情報及び前記基板情報に基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を前記デフォルト値から変更する、
請求項6に記載の実装システム。
【請求項8】
前記干渉判定部は、前記形状情報及び前記基板情報に基づいて前記実装済み部品が前記デフォルト値としての前記干渉判定領域に含まれている場合に、前記干渉判定領域を前記デフォルト値よりも小さくする、
請求項7に記載の実装システム。
【請求項9】
前記記憶部は、前記基板に対する前記複数の部品の実装順序を更に記憶し、
前記干渉判定部は、前記実装順序に基づいて前記複数の部品のうち前記判定対象である第1部品と隣接して前記基板に実装される第2部品が未だに前記基板に実装されていない場合、前記第1部品の干渉判定を行わない、
請求項6~8のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項10】
前記干渉判定部は、所定のマージンを考慮して前記干渉判定領域を生成する、
請求項6~8のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項11】
前記実装済み部品を含むように前記基板を撮像する基板撮像部を更に備え、
前記干渉判定部は、前記基板撮像部の撮像画像から求められる、前記実装済み部品の前記実装位置に基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を変更する、
請求項6~8のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項12】
前記実装ヘッドに保持されている被保持部品を含むように前記実装ヘッドを撮像する部品撮像部を更に備え、
前記干渉判定部は、前記部品撮像部の撮像画像から求められる、前記実装ヘッドにおける前記被保持部品の保持位置に基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を変更する、
請求項11に記載の実装システム。
【請求項13】
前記基板撮像部は、前記複数の部品のうち前記実装ヘッドに保持される前の被保持部品を更に撮像し、
前記実装ヘッドは、前記基板撮像部の撮像画像に基づいて前記被保持部品の保持位置を変更し、変更後の前記保持位置で前記被保持部品を保持する、
請求項11に記載の実装システム。
【請求項14】
前記干渉判定部が、前記複数の部品のうち前記実装ヘッドに保持されている被保持部品が前記実装済み部品に干渉すると判定した場合に、前記実装ヘッドは、前記被保持部品を前記基板に実装しない、
請求項6~8のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項15】
前記干渉判定部が、前記複数の部品のうち前記実装ヘッドに保持されている被保持部品が前記実装済み部品に干渉すると判定した場合に、前記被保持部品を前記基板に実装しない旨を報知する報知部を更に備える、
請求項6~8のいずれか1項に記載の実装システム。
【請求項16】
基板に既に実装されている実装済み部品に判定対象が干渉する可能性がある領域である干渉判定領域に基づいて、前記判定対象が前記実装済み部品に干渉するか否かを判定し、
複数の部品の形状に関する形状情報と、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む基板情報とに基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を生成する、
領域生成方法。
【請求項17】
請求項16に記載の領域生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に管理システム、実装システム、領域生成方法及びプログラムに関し、より詳細には、判定対象が実装済み部品に干渉するか否かを判定する干渉判定部を備える管理システム、実装システム、領域生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸着ノズルの形状及び部品の形状の三次元データと吸着ノズルの移動軌跡とに基づいて、吸着ノズルと基板上の既搭載部品との干渉の有無を判別する干渉チェック装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-12929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の干渉チェック装置では、既搭載部品(実装済み部品)の有無によって干渉判定範囲(干渉判定領域)が変動するため、部品ごとに干渉判定を行うことで演算処理が膨大になる場合がある。
【0005】
本開示の目的は、実装済み部品に対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能な管理システム、実装システム、領域生成方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る管理システムは、記憶部と、干渉判定部と、を備える。前記記憶部は、形状情報と、基板情報とを記憶する。前記形状情報は、基板に実装される複数の部品の形状に関する情報である。前記基板情報は、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む。前記干渉判定部は、干渉判定領域に基づいて、判定対象が実装済み部品に干渉するか否かを判定する。前記実装済み部品は、前記基板に既に実装されている部品である。前記干渉判定領域は、前記実装済み部品に前記判定対象が干渉する可能性がある領域である。前記干渉判定部は、前記形状情報及び前記基板情報に基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を生成する。
【0007】
本開示の一態様に係る実装システムは、実装ヘッドと、記憶部と、干渉判定部と、を備える。前記実装ヘッドは、複数の部品を保持して基板に実装する。前記記憶部は、形状情報と、基板情報とを記憶する。前記形状情報は、前記複数の部品の形状に関する情報である。前記基板情報は、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む。前記干渉判定部は、干渉判定領域に基づいて、判定対象が実装済み部品に干渉するか否かを判定する。前記実装済み部品は、前記基板に既に実装されている部品である。前記干渉判定領域は、前記実装済み部品に前記判定対象が干渉する可能性がある領域である。前記干渉判定部は、前記形状情報及び前記基板情報に基づいて、前記複数の部品の各々について前記干渉判定領域を生成する。
【0008】
本開示の一態様に係る領域生成方法では、干渉判定領域に基づいて、判定対象が実装済み部品に干渉するか否かを判定する。前記実装済み部品は、基板に既に実装されている部品である。前記干渉判定領域は、前記実装済み部品に前記判定対象が干渉する可能性がある領域である。前記領域生成方法では、形状情報と、基板情報とに基づいて、複数の部品の各々について前記干渉判定領域を生成する。前記形状情報は、前記複数の部品の形状に関する情報である。前記基板情報は、前記複数の部品がそれぞれ電気的に接続される前記基板上の複数の電極位置、又は前記複数の部品がそれぞれ実装される前記基板上の複数の実装位置を含む。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記領域生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様に係る管理システム、実装システム、領域生成方法及びプログラムによれば、実装済み部品に対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る実装システム及び管理システムのブロック図である。
図2図2は、同上の実装システムの平面図である。
図3図3は、同上の実装システムの側面図である。
図4図4は、同上の実装システムにおける実装ヘッドの正面図である。
図5図5は、同上の実装システムで用いられる位置情報の一例を示す図である。
図6図6は、同上の実装システムにおける干渉判定部が干渉判定領域を生成する際の説明図である。
図7図7は、同上の実装システムにおける部品認識カメラの撮像画像の一例を示す図である。
図8図8は、同上の実装システムの動作を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態1の変形例1に係る実装システムにおける基板認識カメラの正面図である。
図10図10は、実施形態2に係る実装システム及び管理システムのブロック図である。
図11図11は、同上の管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態1,2に係る管理システム、実装システム、領域生成方法及びプログラムについて、図面を参照して説明する。下記の実施形態1,2において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態1,2で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態1,2に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(実施形態1)
(1)概要
まず、実施形態1に係る実装システム1の概要について、図1図4を参照して説明する。
【0014】
実施形態1に係る実装システム1は、例えば、実装ヘッド11の吸着ノズル13に吸着させた部品100を基板6に実装(装着)するための実装装置である。実装システム1は、例えば、工場、研究所、事務所及び教育施設等の施設において、電子機器及び自動車等の種々の製品を製造するための作業に用いられる。
【0015】
本実施形態では一例として、実装システム1が、工場での電子機器の製造に用いられる場合について説明する。一般的な電子機器は、例えば、電源回路及び制御回路等の各種の回路基板を有する。これらの回路基板の製造にあたっては、一例として、はんだ塗布工程、実装工程及びはんだ付け工程が、この順で行われる。はんだ塗布工程では、基板(プリント配線板を含む)にクリーム状はんだが塗布(又は印刷)される。実装工程では、基板に部品(電子部品を含む)が実装(装着)される。はんだ付け工程では、例えば、部品が実装された状態の基板を、リフロー炉にて加熱することにより、クリーム状はんだを溶かしてはんだ付けが行われる。実装システム1は、実装工程において、吸着ノズル13によって部品100を吸着(保持)する作業、及び吸着ノズル13に吸着させた部品100を基板6に実装(装着)する作業を行う。
【0016】
実施形態1に係る実装システム1は、図1図4に示すように、実装ヘッド11と、実装記憶部(記憶部)36と、干渉判定部33と、を備える。実装ヘッド11は、複数の部品100を保持して基板6に実装する。実装記憶部36は、部品情報(形状情報)36bと、基板情報36cとを記憶する。部品情報36bは、複数の部品100の形状に関する情報である。基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の複数の実装位置Po1(図6参照)を含む。干渉判定部33は、干渉判定領域R2(図6参照)に基づいて、判定対象(例えば、図6の被実装部品100c,100d,100e)が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。実装済み部品100aは、基板6に既に実装されている部品である。干渉判定領域R2は、実装済み部品100aに判定対象が干渉する可能性がある領域である。干渉判定部33は、部品情報36b及び基板情報36cに基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を生成する。
【0017】
実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33は、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を生成し、実装済み部品100aの有無にかかわらず、生成した干渉判定領域R2に基づいて判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。このため、実装済み部品の有無に応じて干渉判定領域を設定する場合に比べて、演算処理を低減することが可能となる。すなわち、実施形態1に係る実装システム1によれば、実装済み部品100aに対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0018】
(2)詳細
(2.1)前提
本実施形態では一例として、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)による部品100の実装に、実装システム1が用いられる場合について説明する。つまり、部品100は、表面実装用の部品(SMD:Surface Mount Device)であって、基板6の実装面6a上に配置されることをもって実装される。ただし、この例に限らず、挿入実装技術(IMT:Insertion Mount Technology)による部品100の実装に、実装システム1が用いられてもよい。この場合には、部品100は、リード端子を有する挿入実装用の部品であり、基板6の孔にリード端子を挿入することをもって、基板6の実装面6a上に実装される。すなわち、本開示でいう「基板に部品を実装する」とは、基板の実装面上に部品を配置することと、基板の孔に部品のリード端子を挿入することと、を含む。
【0019】
本開示において、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像は、静止画(静止画像)及び動画(動画像)を含む。さらに、「動画」は、コマ撮り等により得られる複数の静止画にて構成される撮像画像を含む。基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像は、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々から出力されたデータそのものでなくてもよい。例えば、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像は、必要に応じて適宜データの圧縮、他のデータ形式への変換、又は基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像から一部を切り出す加工、ピント調整、明度調整、若しくはコントラスト調整等の加工が施されていてもよい。本実施形態では一例として、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23の各々の撮像画像は、フルカラーの動画である。
【0020】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、基板6の表面に平行な軸を「X軸」及び「Y軸」とし、基板6の厚み方向に平行な軸を「Z軸」とする。さらに、Z軸に沿う両方向のうち一方向を上方向とし、他方向を下方向とする。例えば、図3に示すように、吸着ノズル13が基板6に対向しているとき、基板6は、吸着ノズル13の下方に位置する。なお、X軸、Y軸及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は実装システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0021】
また、実装システム1には、冷却水の循環用のパイプ、電力供給用のケーブル及び空圧(正圧及び真空を含む)供給用のパイプ等が接続されるが、本実施形態ではこれらの図示を適宜省略する。
【0022】
(2.2)全体構成
以下、実施形態1に係る実装システム1を備える生産システムA1の構成について、図1図7を参照して説明する。
【0023】
生産システムA1は、基板6に部品100を実装(装着)して実装基板を生産する機能を有している。生産システムA1は、図1に示すように、複数(図示例では3つ)の実装システム1と、管理システム3と、を備える。複数の実装システム1は、通信ネットワーク2を介して管理システム3に接続されている。管理システム3は、複数の実装システム1による実装基板の生産を総括管理し、複数の実装システム1が基板6に部品100を実装する作業を支援する。以下の説明において、「複数の実装システム1」を区別する必要がある場合には、複数の実装システム1の各々を「実装システム1A,1B,1C」と区別する。
【0024】
(2.2.1)実装システム
まず、実装システム1A,1B,1Cの構成について説明する。なお、実装システム1A,1B,1Cは同様の構成であるため、以下では実装システム1Aについて説明し、実装システム1B,1Cについては説明を省略する。
【0025】
実装システム1Aは、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、実装システム1Aとして機能する。プログラムは、ここでは実装システム1Aの実装記憶部36に予め記録されているが、例えば、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0026】
実装システム1Aは、図2及び図3に示すように、基台4と、基板搬送機構5と、複数(図示例では2つ)の部品供給部7と、一対のY軸ビーム9と、X軸ビーム10と、実装ヘッド11と、を備える。また、実装システム1Aは、基板認識カメラ22と、部品認識カメラ23と、を更に備える。
【0027】
基台4の中央には、基板搬送機構5がX軸方向(図2の左右方向)に沿って配置されている。基板搬送機構5は、上流側(例えば、図2の右側)から搬入された基板6をX軸方向へ搬送し、実装ヘッド11による実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品実装作業が完了した基板6を下流側(例えば、図2の左側)に搬出する。
【0028】
Y軸方向(図2の上下方向)における基板搬送機構5の両側には、部品供給部7がそれぞれ配置されている。各部品供給部7には、X軸方向(図2の左右方向)に沿って配置された複数のテープフィーダ8が装着されている。各テープフィーダ8は、部品100を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部7の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッド11が部品100を吸着する部品吸着位置に部品100を供給する。
【0029】
基台4の上面におけるX軸方向(図2の左右方向)の両端部には、リニア駆動機構を備えた一対のY軸ビーム9が配置されている。各Y軸ビーム9には、同様にリニア機構を備えたX軸ビーム10がY軸方向(図2の上下方向)に移動自在に取り付けられている。X軸ビーム10には、実装ヘッド11がX軸方向に移動自在に取り付けられている。実装ヘッド11は、図4に示すように、複数(図示例では4つ)の保持ヘッド12を有する多連型ヘッドである。
【0030】
各保持ヘッド12の下端部には、吸着面130(図3参照)に部品100を吸着して保持する吸着ノズル13が取り付けられている。各保持ヘッド12は、吸着ノズル13を上下方向(Z軸方向)に昇降させるノズル昇降機構14と、吸着ノズル13を回転軸Ax1回りにθ回転させるノズル回転機構(図示せず)と、を有する。保持ヘッド12は、図4に示すように、吸着ノズル13をノズル回転機構で所定の回転角度に回転させ(図4の矢印a1)、ノズル昇降機構14でZ軸方向の所定の実装高さに下降させて(図4の矢印b1)、吸着ノズル13に保持させた部品100を基板6の実装面6aに実装する。すなわち、実装ヘッド11は、複数の部品100を実装して基板6に実装する。
【0031】
一対のY軸ビーム9及びX軸ビーム10は、実装ヘッド11を水平方向(X軸方向及びY軸方向)に移動させる実装ヘッド移動機構15を構成する。実装ヘッド移動機構15及びノズル昇降機構14を備える実装ヘッド11は、部品供給部7から部品100を取り出して基板6の実装位置Po1(図6参照)に実装する部品実装作業を実行する部品実装部16を構成する。すなわち、部品実装部16は、吸着ノズル13に保持させた部品100を水平方向及び垂直方向に移動させる機能を有している。部品実装部16は、部品実装作業において、実装ヘッド11が備える各吸着ノズル13で部品供給部7から所定の部品100をそれぞれ吸着し、各吸着ノズル13が保持する部品100を基板6の実装位置Po1に所定の回転角度で実装する一連の動作を繰り返す。
【0032】
X軸ビーム10には、X軸ビーム10の下面側に位置して実装ヘッド11とともに一体的に移動する基板認識カメラ22が装着されている(図3参照)。基板認識カメラ22は、実装ヘッド11が移動することにより、基板搬送機構5の実装作業位置に位置決めされた基板6の上方に移動して、基板6に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板6の位置を認識する。また、基板認識カメラ22は、実装済み部品100aを含むように基板6の実装面6aを撮像して実装済み部品100aの位置を認識する。実装済み部品100aは、図6に示すように、基板6の実装面6aに既に実装されている部品である。本実施形態では、基板認識カメラ22が基板撮像部に相当する。
【0033】
一方(図2の下側)の部品供給部7と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ23が配置されている。部品認識カメラ23は、部品供給部7から部品100を取り出した実装ヘッド11が部品認識カメラ23の上方に位置した際に、吸着ノズル13に保持された部品100を下方から撮像する。実装ヘッド11による部品100の基板6への部品実装作業では、基板認識カメラ22による基板6及び実装済み部品100aの認識結果と部品認識カメラ23による部品100の認識結果とを加味して補正が行われる。本実施形態では、部品認識カメラ23が部品撮像部に相当する。すなわち、部品認識カメラ23は、被保持部品100bを含むように実装ヘッド11を撮像する。被保持部品100bは、図3に示すように、実装ヘッド11に保持されている部品である。
【0034】
ここで、実装システム1Aは、図1及び図2に示すように、タッチパネル24を更に備える。タッチパネル24は、表示部(図示せず)を有する。タッチパネル24の表示部には、各種情報及びボタンが表示される。作業者は、表示部に表示されたボタンを操作することで、データ入力、実装システム1Aの操作等を行う。
【0035】
また、実装システム1Aは、図1に示すように、報知部25を更に備える。報知部25は、例えば、報知灯(図示せず)を有する。報知部25は、報知灯を点灯させることによって、実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bを基板6に実装しない旨を報知する。より詳細には、報知部25は、干渉判定部33が、複数の部品100のうち実装ヘッド11に保持されている被保持部品100bが実装済み部品100aに干渉すると判定した場合、被保持部品100bを基板6に実装しない旨を報知する。そして、この場合、実装ヘッド11は、被保持部品100bを基板6に実装しないで、被保持部品100bを廃棄する。
【0036】
また、実装システム1Aは、図1に示すように、実装制御装置30を更に備える。実装制御装置30には、基板搬送機構5(図2参照)、部品供給部7に装着されたテープフィーダ8、部品実装部16を構成するノズル昇降機構14及び実装ヘッド移動機構15、基板認識カメラ22、部品認識カメラ23、タッチパネル24、報知部25等が接続されている。
【0037】
実装制御装置30は、実装ヘッド制御部31と、情報取得部32と、干渉判定部33と、入力処理部34と、実装通信部35と、実装記憶部36と、を有する。
【0038】
実装記憶部36は、例えば、フラッシュメモリのような記憶装置である。実装記憶部36は、図1に示すように、位置情報36a、部品情報36b、基板情報36c及びデフォルト値36dを記憶している。
【0039】
位置情報36aは、基板6の実装面6aにおける部品100の実装位置Po1(図6参照)に関する情報を含む。位置情報36aは、図5に示すように、実装位置番号60と、実装位置座標61と、部品名62と、実装動作番号63と、を含む。実装位置番号60は、基板6における部品100の実装位置Po1を特定する情報である。図5の例では、実装位置番号60が「P01」~「P10」の実装位置Po1の情報が示されている。以下、実装位置番号60が「P01」の実装位置Po1を「実装位置P01」ともいう。また、実装位置番号60が「P02」~「P10」についても同様である。
【0040】
実装位置座標61は、部品100の実装位置Po1の実装座標(X座標及びY座標)及び実装角度を含む情報である。部品名62は、部品100の種類を特定する情報である。図5の例では、実装位置P01、P03~P05、P07~P10に実装される部品100に部品名「E1」が付されており、実装位置P02に実装される部品100に部品名「F1」が付されており、実装位置P06に実装される部品100に部品名「G1」が付されている。
【0041】
実装動作番号63は、各部品100を基板6に実装させる順番を示す情報である。図5の例では、実装位置P01~P04に実装される部品100が1回目の実装動作で基板6に実装され、実装位置P05~P08に実装される部品100が2回目の実装動作で基板6に実装され、実装位置P09~P10に実装される部品100が3回目の実装動作で基板6に実装される。
【0042】
部品情報36bは、部品100のサイズ(縦、横、高さ)に関する情報を含む。すなわち、部品情報36bは、複数の部品100の形状に関する形状情報を含む。また、部品情報36bは、部品100の電気的特性に関する情報を更に含む。
【0043】
基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の複数の実装位置Po1(図6参照)を含む。実装記憶部36は、部品100ごとに実装位置Po1を記憶している。また、基板情報36cは、基板6上の各実装位置Po1における最大の予想反り量(反りがない場合の基板6の実装面6aの高さを基準とする実装面6aの高さ位置)を更に含む。実装記憶部36は、部品100が実装される基板6の種類ごとに最大の予想反り量を記憶している。
【0044】
デフォルト値36dは、干渉判定領域R2のデフォルト値(初期値)であって、干渉判定領域R1を規定する値である。干渉判定領域R1,R2は、判定対象が実装済み部品100aに干渉する可能性がある領域である。
【0045】
実装ヘッド制御部31は、実装記憶部36に記憶されている各種情報に基づいて、テープフィーダ8、部品実装部16、基板認識カメラ22及び部品認識カメラ23を制御し、テープフィーダ8から供給される部品100を、実装作業位置に保持されている基板6の実装位置Po1(図6参照)に実装させる部品実装作業を実行する。
【0046】
情報取得部32は、判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを干渉判定部33が判定する際に必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部32は、実装記憶部36から、位置情報36a、部品情報36b及び基板情報36cを取得する。判定対象は、例えば、実装ヘッド11によって基板6に実装される被実装部品100c,100d,100e(図6参照)である。また、情報取得部32は、干渉判定部33が干渉判定領域R2を生成する際に必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部32は、実装記憶部36から、部品情報36b、基板情報36c及びデフォルト値36dを取得する。
【0047】
干渉判定部33は、部品情報36b及び基板情報36cに基づいて、干渉判定領域R2を生成する。以下、干渉判定部33が干渉判定領域R2を生成する手順について、図6を参照して説明する。図6の例では、3つの被実装部品100c,100d,100eが図示されている。また、図6の例では、干渉判定領域R2のデフォルト値36dとしての干渉判定領域R1は、3つの被実装部品100c,100d,100eについて同じ大きさである。
【0048】
まず、干渉判定部33は、部品情報36b及び基板情報36cに基づいて、図6に示すレイアウト情報を取得する。図6の例では、レイアウト情報は、実装済み部品100a及び3つの被実装部品100c,100d,100eのレイアウトを含む。
【0049】
被実装部品100cは、図6に示すように、基板6の実装面6aにおいて、実装済み部品100aから離れた位置に実装される部品である。被実装部品100cの干渉判定領域R1は、実装済み部品100aと全く重なっていない。このため、干渉判定部33は、被実装部品100cの干渉判定領域R2として、デフォルト値36dである干渉判定領域R1を設定する。
【0050】
被実装部品100dは、図6に示すように、基板6の長手方向(図6の左右方向)において、実装済み部品100aの近傍に実装される部品である。被実装部品100dの干渉判定領域R1は、基板6の長手方向における一部が実装済み部品100aと重なっている。このため、干渉判定部33は、被実装部品100dの干渉判定領域R22として、干渉判定領域R1から重複部分を除去した領域を設定する。すなわち、干渉判定部33は、部品情報36b及び基板情報36cに基づいて実装済み部品100aがデフォルト値36dとしての干渉判定領域R1に含まれている場合に、干渉判定領域R2をデフォルト値36dよりも小さくする。
【0051】
被実装部品100eは、図6に示すように、基板6の短手方向(図6の上下方向)において、実装済み部品100aの近傍に実装される部品である。被実装部品100eの干渉判定領域R1は、基板6の短手方向における一部が実装済み部品100aと重なっている。このため、干渉判定部33は、被実装部品100eの干渉判定領域R23として、干渉判定領域R1から重複部分を除いた領域を設定する。
【0052】
上述したように、干渉判定部33は、部品情報36b及び基板情報36cに基づいて、複数の被実装部品100d,100eの各々について干渉判定領域R2(R22,R23)をデフォルト値36d(干渉判定領域R1)から変更する。
【0053】
上述したように、干渉判定部33は、基板6の実装面6aに既に実装されている実装済み部品100aとの位置関係によって、被実装部品100c,100d,100eの干渉判定領域R2を変更する。そして、基板6における実装済み部品100aの実装位置は、基板認識カメラ22の撮像画像から求められる。すなわち、干渉判定部33は、基板認識カメラ22の撮像画像から求められる、実装済み部品100aの実装位置に基づいて、複数の被実装部品100c,100d,100eの各々について干渉判定領域R2を変更する。
【0054】
また、干渉判定部33は、部品認識カメラ23の撮像画像Im1から求められる、実装ヘッド11における被保持部品100bの保持位置に基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を変更する。以下、干渉判定部33が被保持部品100bの保持位置を算出する手順について、図7を参照して説明する。
【0055】
図7は、実装ヘッド11の吸着ノズル13及び吸着ノズル13に保持されている被保持部品100bを下方から撮像した部品認識カメラ23の撮像画像Im1である。図7における二点鎖線は、吸着ノズル13の吸着面130における正規位置に保持されている状態の被保持部品100b(以下、「第1被保持部品100b」ともいう)を示している。図7において実線で示される被保持部品100b(以下、「第2被保持部品100b」ともいう)は、吸着面130の正規位置からずれた位置で吸着ノズル13に保持されている。被保持部品100bは、吸着ノズル13の吸着面130の中央に設けられた円形の貫通孔131を通るエアによって吸着面130に吸着される。
【0056】
吸着ノズル13の吸着面130に対する第1被保持部品100bの保持位置は、図7に示すように、吸着面130の正規位置であるため、吸着ノズル13に対して位置ずれが生じていない。このため、干渉判定部33は、第1被保持部品100bの干渉判定領域R2を変更しない。
【0057】
一方、吸着ノズル13の吸着面130に対する第2被保持部品100bの保持位置は、図7に示すように、吸着面130の正規位置からずれているため、干渉判定領域R2を変更する必要がある。具体的には、干渉判定部33は、第1被保持部品100bの外縁101と吸着面130の外縁132との間の距離L1、及び第2被保持部品100bの外縁101と吸着面130の外縁132との間の距離L2に基づいて第2被保持部品100bの位置ずれ量を算出し、この位置ずれ量に基づいて干渉判定領域R2を変更する。
【0058】
ここで、干渉判定部33は、例えば、過去の実装ずれのデータを考慮して、干渉判定領域R2に対して所定のマージンを設けてもよい。すなわち、干渉判定部33は、所定のマージンを考慮して干渉判定領域R2を生成してもよい。これにより、干渉判定部33による干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0059】
また、干渉判定部33は、干渉判定領域R2に基づいて、判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。具体的には、干渉判定部33は、実装済み部品100aが干渉判定領域R2に含まれる場合、判定対象が実装済み部品100aに干渉すると判定する。また、干渉判定部33は、実装済み部品100aが干渉判定領域R2に含まれない場合、判定対象が実装済み部品100aに干渉しないと判定する。
【0060】
ところで、実装記憶部36は、基板6に対する複数の部品100の実装順序を更に記憶していることが好ましい。この場合、干渉判定部33は、上記実装順序に基づいて、判定対象である第1部品(例えば、図6の被実装部品100d)と隣接して基板6に実装される第2部品(例えば、図6の実装済み部品100a)が未だ基板6に実装されていない場合、上記第1部品の干渉判定を行わない。これにより、第1部品の干渉判定に要する演算処理を削減することが可能となる。
【0061】
入力処理部34は、入力された情報に基づいて種々の処理を実行する。
【0062】
実装通信部35は、通信インターフェースを含む。実装通信部35は、通信ネットワーク2を介して他の実装システム1B,1C及び管理システム3との間でデータの送受信を行う。
【0063】
ところで、基板認識カメラ22は、実装ヘッド11に保持される前の部品(被保持部品100b)を更に撮像することが好ましい。そして、実装ヘッド11は、基板認識カメラ22の撮像画像に基づいて、吸着ノズル13における被保持部品100bの保持位置を変更し、変更後の保持位置で被保持部品100bを保持することが好ましい。これにより、実装ヘッド11に保持される前の部品(被保持部品100b)の位置ずれを考慮して、実装ヘッド11に被保持部品100bを保持させることが可能となる。
【0064】
(2.2.2)管理システム
管理システム3は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、管理システム3として機能する。プログラムは、ここでは管理システム3の管理記憶部51に予め記録されているが、例えば、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよいし、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0065】
管理システム3は、図1に示すように、管理処理部50と、管理記憶部51と、表示部52と、入力部53と、管理通信部54と、を備える。
【0066】
管理処理部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のような演算装置である。管理処理部50は、情報取得部50aを有する。情報取得部50aは、各実装システム1から、位置情報36a、部品情報36b、基板情報36c及びデフォルト値36dを取得する。
【0067】
管理記憶部51は、例えば、フラッシュメモリのような記憶装置である。管理記憶部51は、実装情報51a、デフォルト値51b、位置情報51c、基板情報51d及び部品情報51eを記憶している。実装情報51aは、基板6に部品100を実装する実装動作に関する情報である。デフォルト値51b、位置情報51c、基板情報51d及び部品情報51eは、それぞれ、実装記憶部36に記憶されているデフォルト値36d、位置情報36a、基板情報36c及び部品情報36bと同様の情報である。
【0068】
表示部52は、例えば、液晶パネルのような表示装置である。表示部52は、各種データ及び操作画面等を表示する。
【0069】
入力部53は、例えば、キーボード、タッチパネル及びマウスのような入力装置である。入力部53は、操作コマンドやデータ入力時に用いられる。
【0070】
管理通信部54は、例えば、通信インターフェースを含む。管理通信部54は、通信ネットワーク2を介して、各実装システム1A,1B,1Cとの間でデータの送受信を行う。
【0071】
(3)領域生成方法(干渉判定領域生成方法)
次に、実施形態1に係る領域生成方法について、図8を参照して説明する。
【0072】
実施形態1に係る領域生成方法では、干渉判定領域R2に基づいて、判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。実装済み部品100aは、基板6に既に実装されている部品である。干渉判定領域R2は、実装済み部品100aに判定対象が干渉する可能性がある領域である。また、領域生成方法では、部品情報36bと、基板情報36cとに基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を生成する。部品情報36bは、複数の部品100の形状に関する情報である。基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の複数の実装位置Po1を含む。
【0073】
実施形態1に係る領域生成方法では、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を生成し、実装済み部品100aの有無にかかわらず、生成した干渉判定領域R2に基づいて判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。このため、実装済み部品の有無に応じて干渉判定領域を設定する場合に比べて、演算処理を低減することが可能となる。すなわち、実施形態1に係る領域生成方法によれば、実装済み部品100aに対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0074】
図8は、実施形態1に係る実装システム1が実行する領域生成方法を表すフローチャートである。領域生成方法は、図8に示すS1~S10の各工程を含む。本実施形態では、領域生成方法は、上述した実装システム1にて実行される。このため、以下では、本実施形態に係る領域生成方法を、実装システム1の動作として説明する。また、図8に示すフローチャートは、一例に過ぎず、工程の順番が適宜変更されてもよいし、工程が適宜追加又は削除されてもよい。
【0075】
実装システム1は、n(n=1)番目の部品100である部品nの実装を開始する(S1)。まず、部品認識カメラ23は、実装ヘッド11の吸着ノズル13及び吸着ノズル13に保持されている部品nを下方から撮像する(S2)。次に、基板認識カメラ22は、実装済み部品100aを含むように基板6の実装面6aを撮像する(S3)。そして、干渉判定部33は、部品認識カメラ23の撮像画像及び基板認識カメラ22の撮像画像に基づいて、部品nの干渉判定領域R2を算出(生成)する(S4)。
【0076】
ここで、部品nが図6の被実装部品100d又は100eである場合、すなわち部品nの干渉判定領域R2の変更が必要である場合(S5:Yes)、干渉判定部33は、干渉判定領域R2として、デフォルト値36dである干渉判定領域R1から重複部分を除去した領域(図6の実線参照)に変更する(S6)。一方、部品nが図6の被実装部品100cである場合、すなわち部品nの干渉判定領域R2の変更が不要である場合(S5:No)、干渉判定部33は、干渉判定領域R2として、デフォルト値36dである干渉判定領域R1を維持する(S7)。そして、干渉判定部33は、設定した干渉判定領域R2に基づいて、判定対象としての部品nが実装済み部品100aに干渉しなければ、部品nを基板6に実装する(S8)。
【0077】
その後、干渉判定部33は、全ての部品100で干渉判定領域R2の設定が完了したか否かを判定する(S9)。全ての部品100で干渉判定領域R2の設定が完了していない場合(S9:No)、次の部品nの干渉判定領域R2を設定するための工程(S1~S10)を実行する。一方、全ての部品100で干渉判定領域R2の設定が完了した場合(S9:Yes)、一連の工程を終了する。
【0078】
ここで、図8に示すフローチャートにおいて、工程S2及び工程S3の少なくとも一方は省略されていてもよい。例えば、工程S2が省略される場合、干渉判定部33は、工程S4において、部品認識カメラ23の撮像画像の代わりに、予め実装記憶部36に記憶させた位置ずれ情報を用いればよい。また、工程S3が省略される場合、干渉判定部33は、工程S4において、基板認識カメラ22の撮像画像の代わりに、予め実装記憶部36に記憶させた部品情報36b及び基板情報36c等を用いればよい。
【0079】
(4)効果
実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33は、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を生成し、実装済み部品100aの有無にかかわらず、生成した干渉判定領域R2に基づいて判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。このため、実装済み部品の有無に応じて干渉判定領域を設定する場合に比べて、演算処理を低減することが可能となる。すなわち、実施形態1に係る実装システム1によれば、実装済み部品100aに対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0080】
また、実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33は、部品情報36b及び基板情報36cに基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2をデフォルト値36dから変更している。これにより、干渉判定領域R2をデフォルト値36dから変更するだけでよく、干渉判定領域を一から生成する場合に比べて演算処理を低減することが可能となる。
【0081】
また、実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33は、部品情報36b及び基板情報36cに基づいて実装済み部品100aが干渉判定領域R1に含まれている場合に、干渉判定領域R2をデフォルト値36dよりも小さくしている。これにより、干渉判定部33による干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0082】
また、実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33は、実装順序に基づいて判定対象である第1部品(例えば、図6の被実装部品10d)と隣接して基板6に実装される第2部品(実装済み部品100a)が未だに基板6に実装されていない場合、第1部品の干渉判定を行わない。これにより、不要な演算処理を削減することが可能となる。
【0083】
また、実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33は、所定のマージンを考慮して干渉判定領域R2を生成している。これにより、干渉判定部33による干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0084】
また、実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33は、基板認識カメラ22の撮像画像から求められる、実装済み部品100aの実装位置に基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を変更している。これにより、基板認識カメラ22の撮像画像から求められる実際の実装位置に基づいて干渉判定領域R2を変更するので、干渉判定領域R2を精度よく生成することが可能となる。
【0085】
また、実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33は、部品認識カメラ23の撮像画像から求められる、実装ヘッド11における被保持部品100bの保持位置に基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を変更している。これにより、部品認識カメラ23の撮像画像から求められる実際の保持位置に基づいて干渉判定領域R2を変更するので、干渉判定領域R2を精度よく生成することが可能となる。
【0086】
また、実施形態1に係る実装システム1では、実装ヘッド11は、基板認識カメラ22の撮像画像に基づいて被保持部品100bの保持位置を変更し、変更後の保持位置で被保持部品100bを保持している。これにより、実装ヘッド11に保持される前の部品(被保持部品100b)の位置ずれを考慮して、実装ヘッド11に被保持部品100bを保持させることが可能となる。
【0087】
また、実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33が、被保持部品100bが実装済部品100aに干渉すると判定した場合に、実装ヘッド11は、被保持部品100bを基板6に実装しない。これにより、被保持部品100bを基板6に実装することによる基板6の不具合を低減することが可能となる。
【0088】
また、実施形態1に係る実装システム1では、干渉判定部33が、被保持部品100bが実装済み部品100aに干渉すると判定した場合に、報知部25が、被保持部品100bを基板6に実装しない旨を報知している。これにより、実装システム1に不具合が生じていることを作業者に知らせることが可能となる。
【0089】
(5)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態1に係る領域生成方法と同様の機能は、実装システム1、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るプログラムは、上述の領域生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。このようなプログラムによれば、実装済み部品100aに対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0090】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0091】
(5.1)変形例1
実施形態1では、図2及び図3に示すように、実装システム1が備える基板認識カメラ22が1つであるが、実装システム1は、図9に示すように、2つの基板認識カメラ22A,22Bを備えていてもよい。
【0092】
変形例1に係る実装システム1では、図9に示すように、X軸方向における吸着ノズル13の両側に基板認識カメラ22A,22Bが配置されている。すなわち、変形例1に係る実装システム1では、2つの基板認識カメラ22A,22Bと吸着ノズル13とがX軸方向に沿って並んでいる。基板認識カメラ22Aの撮像領域R11と基板認識カメラ22Bの撮像領域R12とは、その一部において重複している。
【0093】
変形例1に係る実装システム1によれば、2つの基板認識カメラ22A,22Bで被保持部品100bの実装位置Po1を撮像しながら、実装ヘッド11を移動させることが可能となる。このため、実装位置Po1に対する被保持部品100bの実装精度を向上させることが可能となる。
【0094】
(5.2)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0095】
実装システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは実装システム1に必須の構成ではなく、実装システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。また、実装システム1の少なくとも一部の機能、例えば、実装ヘッド制御部31の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0096】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている実装システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、実装制御装置30と部品実装部16とに分散されている実装システム1の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0097】
基板認識カメラ22は、実装システム1(実装装置)に設けられたカメラではなく、実装システム1の下流に設置される検査システム(検査装置)に設けられたカメラであってもよい。この場合、実装システム1から検査システムに送られる基板6には既に部品100が実装されていることから、図8に示すフローチャートにおいて、工程S8は工程S1と工程S2との間で実行されることになる。
【0098】
また、検査システムのカメラを用いて干渉判定領域R2を変更する場合、実装システム1にて部品100が実装された後の基板6をもとに干渉判定領域R2が変更されるので、干渉判定領域R2が変更されるまでにタイムラグがある。このため、例えば、本生産の前に実施される試験生産において干渉判定領域R2を変更することで、効率よく干渉判定領域R2を変更することが可能となる。
【0099】
実施形態1では、生産システムA1が備える実装システム1の台数が3台であるが、生産システムA1が備える実装システム1の台数は、3台に限らず、1台、2台又は4台以上であってもよい。
【0100】
実施形態1では、実装ヘッド11が備える保持ヘッド12の個数が4つであるが、実装ヘッド11が備える保持ヘッド12の個数は、4つに限らず、1つ、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。
【0101】
また、実装ヘッド11は、複数の吸着ノズル13を同心円状に配置したロータリー型ヘッドであってもよい。
【0102】
また、実装ヘッド11が部品100を保持する方法は、吸着ノズル13による真空吸着に限らず、例えば、チャックで部品100を把持する方法であってもよい。
【0103】
また、実施形態1では、基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の実装位置Po1を含んでいる。これに対して、基板情報36cは、各部品100の実装位置Po1の代わりに、複数の部品100がそれぞれ電気的に接続される基板6上の複数の電極位置を含んでいてもよい。すなわち、基板情報36cは、複数の部品100がそれぞれ電気的に接続される基板6上の複数の電極位置、又は複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の実装位置Po1を含む。
【0104】
また、実施形態1では、判定対象は、基板6に実装される予定の部品である被実装部品100c,100d,100eであるが、判定対象は、例えば、被実装部品100c,100d,100eを保持する実装ヘッド11の吸着ノズル13であってもよい。
【0105】
また、実施形態1では、干渉判定領域R1,R2の形状は、図6に示すように、矩形(長方形)であるが、干渉判定領域R1,R2の形状は、矩形に限らず、例えば、円形、楕円形、又は矩形以外の多角形であってもよい。さらに、図6の例では、演算処理を考慮して、干渉判定領域R2の形状が矩形であるが、例えば、被実装部品100d,100eについては、干渉判定領域R2として、干渉判定領域R1における実装済み部品100aと重ならない部分を残してもよい。
【0106】
また、実施形態1では、被保持部品100bを基板6に実装しない旨を報知部25により報知しているが、例えば、被保持部品100bを基板6に実装しない旨をタッチパネル24の表示部に表示してもよい。
【0107】
また、実施形態1では、実装ヘッド11の吸着ノズル13における被保持部品100bの吸着面130の外縁132と被保持部品100bの外縁101との間の距離L1,L2に基づいて、吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量を算出している。これに対して、例えば、吸着面130の中心と被保持部品100bの中心との間の距離に基づいて、吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量を算出してもよい。さらに、例えば、吸着面130の中心と被保持部品101bの外縁101との間の距離に基づいて、吸着ノズル13に対する被保持部品100bの位置ずれ量を算出してもよい。
【0108】
(実施形態2)
実施形態2に係る管理システム3について、図10及び図11を参照して説明する。実施形態2に係る管理システム3に関し、実施形態1に係る管理システム3と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0109】
実施形態2に係る管理システム3は、管理処理部50が干渉判定部50bを有している点で、実施形態1に係る管理システム3と相違する。言い換えると、実施形態1では、実装システム1が干渉判定部33を備えているのに対し、実施形態2では、管理システム3が干渉判定部50bを備えている。
【0110】
(1)構成
実施形態2に係る管理システム3は、図10に示すように、管理処理部50と、管理記憶部51と、表示部52と、入力部53と、管理通信部54と、を備える。管理処理部50は、情報取得部50aに加えて、干渉判定部50bを更に有する。
【0111】
管理記憶部51は、図10に示すように、実装情報51aと、デフォルト値51bと、位置情報51cと、基板情報51dと、部品情報51eとを記憶している。部品情報51eは、複数の部品100の形状に関する形状情報を含む。基板情報51dは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の複数の実装位置Po1(図6参照)を含む。
【0112】
干渉判定部50bは、実施形態1で説明した干渉判定部33と同様の機能を有する。すなわち、干渉判定部50bは、部品情報51e及び基板情報51dに基づいて、干渉判定領域R2を生成する。そして、干渉判定部50bは、干渉判定領域R2に基づいて、判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。判定対象は、上述したように、被実装部品100c,100d,100e(図6参照)、又は実装ヘッド11の吸着ノズル13(図3参照)である。
【0113】
また、干渉判定部50bは、実施形態1で説明した干渉判定部33と同様、部品情報51e及び基板情報51dに基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2をデフォルト値51bから変更する。具体的には、干渉判定部50bは、部品情報36b及び基板情報36cに基づいて実装済み部品100aが干渉判定領域R1に含まれている場合に、干渉判定領域R2をデフォルト値51bよりも小さくする。
【0114】
ところで、実施形態2に係る管理システム3では、実施形態1に係る実装システム1と同様、管理記憶部51は、基板6に対する複数の部品100の実装順序を更に記憶している。そして、干渉判定部50bは、上記実装順序に基づいて判定対象である第1部品(例えば、図6の被実装部品100d)と隣接して基板6に実装される第2部品(例えば、図6の実装済み部品100a)が未だに基板6に実装されていない場合、第1部品の干渉判定を行わない。
【0115】
また、干渉判定部50bは、実施形態1で説明した干渉判定部33と同様、所定のマージンを考慮して干渉判定領域R2を生成する。
【0116】
(2)領域生成方法
次に、実施形態2に係る領域生成方法について、図11を参照して説明する。
【0117】
実施形態2に係る領域生成方法では、干渉判定領域R2に基づいて、判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。実装済み部品100aは、基板6に既に実装されている部品である。干渉判定領域R2は、実装済み部品100aに判定対象が干渉する可能性がある領域である。また、領域生成方法では、部品情報51eと、基板情報51dとに基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を生成する。部品情報51eは、複数の部品100の形状に関する情報である。基板情報51dは、複数の部品100がそれぞれ実装される基板6上の複数の実装位置Po1を含む。
【0118】
実施形態2に係る領域生成方法では、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を生成し、実装済み部品100aの有無にかかわらず、生成した干渉判定領域R2に基づいて判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。このため、実装済み部品の有無に応じて干渉判定領域を設定する場合に比べて、演算処理を低減することが可能となる。すなわち、実施形態2に係る領域生成方法によれば、実装済み部品100aに対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0119】
図11は、実施形態2に係る管理システム3が実行する領域生成方法を表すフローチャートである。領域生成方法は、図11に示すS11~S17の各工程を含む。本実施形態では、領域生成方法は、上述した管理システム3にて実行される。このため、以下では、本実施形態に係る領域生成方法を、管理システム3の動作として説明する。また、図11に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は削除されてもよい。
【0120】
管理システム3は、n(n=1)番目の部品100である部品nの干渉判定領域R2の設定(生成)を開始する(S11)。干渉判定部50bは、管理記憶部51に記憶されているデフォルト値51b、基板情報51d及び部品情報51eに基づいて、干渉判定領域R2を算出(生成)する(S12)。
【0121】
ここで、部品nが図6の被実装部品100d又は100eである場合、すなわち部品nの干渉判定領域R2の変更が必要である場合(S13:Yes)、干渉判定部50bは、干渉判定領域R2として、デフォルト値51bである干渉判定領域R1から重複部分を除去した領域(図6の実線参照)に変更する(S14)。一方、部品nが図6の被実装部品100cである場合、すなわち部品nの干渉判定領域R2の変更が不要である場合(S13:No)、干渉判定部50bは、干渉判定領域R2として、デフォルト値51bである干渉判定領域R1を維持する(S15)。
【0122】
その後、干渉判定部50bは、全ての部品100で干渉判定領域R2の設定が完了したか否かを判定する(S16)。全ての部品100で干渉判定領域R2の設定が完了していない場合(S16:No)、次の部品nの干渉判定領域R2を設定するための処理(S11~S17)を実行する。一方、全ての部品100で干渉判定領域R2の設定が完了した場合(S16:Yes)、一連の処理を終了する。
【0123】
ここで、図11に示すフローチャートにおいて、工程S12にて、基板情報51d及び部品情報51eの少なくとも一方の代わりに、実装システム1の基板認識カメラ22の撮像画像、及び部品認識カメラ23の撮像画像の少なくとも一方を用いて、部品nの干渉判定領域R2を算出(生成)してもよい。
【0124】
(3)効果
実施形態2に係る管理システム3では、干渉判定部50bは、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2を生成し、実装済み部品100aの有無にかかわらず、生成した干渉判定領域R2に基づいて判定対象が実装済み部品100aに干渉するか否かを判定する。このため、実装済み部品の有無に応じて干渉判定領域を設定する場合に比べて、演算処理を低減することが可能となる。すなわち、実施形態2に係る管理システム3によれば、実装済み部品100aに対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0125】
また、実施形態2に係る管理システム3では、干渉判定部50bは、部品情報51e及び基板情報51dに基づいて、複数の部品100の各々について干渉判定領域R2をデフォルト値51bから変更している。これにより、干渉判定領域R2をデフォルト値51bから変更するだけでよく、干渉判定領域を一から生成する場合に比べて演算処理を低減することが可能となる。
【0126】
また、実施形態2に係る管理システム3では、干渉判定部50bは、部品情報51e及び基板情報51dに基づいて実装済み部品100aが干渉判定領域R1に含まれている場合に、干渉判定領域R2をデフォルト値51bよりも小さくしている。これにより、干渉判定部50bによる干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0127】
また、実施形態2に係る管理システム3では、干渉判定部50bは、実装順序に基づいて判定対象である第1部品(例えば、図6の被実装部品100d)と隣接して基板6に実装される第2部品(実装済み部品100a)が未だに基板6に実装されていない場合、第1部品の干渉判定を行わない。これにより、不要な演算処理を削減することが可能となる。
【0128】
また、実施形態2に係る管理システム3では、干渉判定部50bは、所定のマージンを考慮して干渉判定領域R2を生成している。これにより、干渉判定部50bによる干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0129】
実施形態2で説明した種々の構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0130】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0131】
第1の態様に係る管理システム(3)は、記憶部(51)と、干渉判定部(50b)と、を備える。記憶部(51)は、形状情報(51e)と、基板情報(51d)とを記憶する。形状情報(51e)は、基板(6)に実装される複数の部品(100)の形状に関する情報である。基板情報(51d)は、複数の部品(100)がそれぞれ電気的に接続される基板(6)上の複数の電極位置、又は複数の部品(100)がそれぞれ実装される基板(6)上の複数の実装位置(Po1)を含む。干渉判定部(50b)は、干渉判定領域(R2)に基づいて、判定対象が実装済み部品(100a)に干渉するか否かを判定する。実装済み部品(100a)は、基板(6)に既に実装されている部品である。干渉判定領域(R2)は、実装済み部品(100a)に判定対象が干渉する可能性がある領域である。干渉判定部(50b)は、形状情報(51e)及び基板情報(51d)に基づいて、複数の部品(100)の各々について干渉判定領域(R2)を生成する。
【0132】
この態様によれば、実装済み部品(100a)に対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0133】
第2の態様に係る管理システム(3)では、第1の態様において、記憶部(51)は、干渉判定領域(R2)のデフォルト値(51b)を更に記憶する。干渉判定部(50b)は、形状情報(51e)及び基板情報(51d)に基づいて、複数の部品(100)の各々について干渉判定領域(R2)をデフォルト値(51b)から変更する。
【0134】
この態様によれば、干渉判定領域(R2)をデフォルト値(51b)から変更するだけでよく、干渉判定領域を一から生成する場合に比べて演算処理を低減することが可能となる。
【0135】
第3の態様に係る管理システム(3)では、第2の態様において、干渉判定部(50b)は、形状情報(51e)及び基板情報(51d)に基づいて実装済み部品(100a)がデフォルト値(51b)としての干渉判定領域(R1)に含まれている場合に、干渉判定領域(R2)をデフォルト値(51b)よりも小さくする。
【0136】
この態様によれば、干渉判定部(50b)による判定対象の干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0137】
第4の態様に係る管理システム(3)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、記憶部(51)は、基板(6)に対する複数の部品(100)の実装順序を更に記憶する。干渉判定部(50b)は、上記実装順序に基づいて複数の部品(100)のうち判定対象である第1部品と隣接して基板(6)に実装される第2部品が未だに基板(6)に実装されていない場合、第1部品の干渉判定を行わない。
【0138】
この態様によれば、不要な演算処理を削減することが可能となる。
【0139】
第5の態様に係る管理システム(3)では、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、干渉判定部(50b)は、所定のマージンを考慮して干渉判定領域(R2)を生成する。
【0140】
この態様によれば、干渉判定部(50b)による判定対象の干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0141】
第6の態様に係る実装システム(1)は、実装ヘッド(11)と、記憶部(36)と、干渉判定部(33)と、を備える。実装ヘッド(11)は、複数の部品(100)を保持して基板(6)に実装する。記憶部(36)は、形状情報(36b)と、基板情報(36c)とを記憶する。形状情報(36b)は、複数の部品(100)の形状に関する情報である。基板情報(36c)は、複数の部品(100)がそれぞれ電気的に接続される基板(6)上の複数の電極位置、又は複数の部品(100)がそれぞれ実装される基板(6)上の複数の実装位置(Po1)を含む。干渉判定部(33)は、干渉判定領域(R2)に基づいて、判定対象が実装済み部品(100a)に干渉するか否かを判定する。実装済み部品(100a)は、基板(6)に既に実装されている部品である。干渉判定領域(R2)は、実装済み部品(100a)に判定対象が干渉するか可能性がある領域である。干渉判定部(33)は、形状情報(36b)及び基板情報(36c)に基づいて、複数の部品(100)の各々について干渉判定領域(R2)を生成する。
【0142】
この態様によれば、実装済み部品(100a)に対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0143】
第7の態様に係る実装システム(1)では、第6の態様において、記憶部(36)は、干渉判定領域(R2)のデフォルト値(36d)を更に記憶する。干渉判定部(33)は、形状情報(36b)及び基板情報(36c)に基づいて、複数の部品(100)の各々について干渉判定領域(R2)をデフォルト値(36d)から変更する。
【0144】
この態様によれば、干渉判定領域(R2)をデフォルト値(36d)から変更するだけでよく、干渉判定領域を一から生成する場合に比べて演算処理を低減することが可能となる。
【0145】
第8の態様に係る実装システム(1)では、第7の態様において、干渉判定部(33)は、形状情報(36b)及び基板情報(36c)に基づいて実装済み部品(100a)がデフォルト値(36d)としての干渉判定領域(R1)に含まれている場合に、干渉判定領域(R2)をデフォルト値(36d)よりも小さくする。
【0146】
この態様によれば、干渉判定部(33)による判定対象の干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0147】
第9の態様に係る実装システム(1)では、第6~第8の態様のいずれか1つにおいて、記憶部(36)は、基板(6)に対する複数の部品(100)の実装順序を更に記憶する。干渉判定部(33)は、上記実装順序に基づいて複数の部品(100)のうち判定対象である第1部品と隣接して基板(6)に実装される第2部品が未だに基板(6)に実装されていない場合、第1部品の干渉判定を行わない。
【0148】
この態様によれば、不要な演算処理を削減することが可能となる。
【0149】
第10の態様に係る管理システム(3)では、第6~第9の態様のいずれか1つにおいて、干渉判定部(33)は、所定のマージンを考慮して干渉判定領域(R2)を生成する。
【0150】
この態様によれば、干渉判定部(33)による判定対象の干渉判定の精度を向上させることが可能となる。
【0151】
第11の態様に係る実装システム(1)は、第6~第10の態様のいずれか1つにおいて、基板撮像部(22)を更に備える。基板撮像部(22)は、実装済み部品(100a)を含むように基板(6)を撮像する。干渉判定部(33)は、基板撮像部(22)の撮像画像から求められる、実装済み部品(100a)の実装位置に基づいて、複数の部品(100)の各々について干渉判定領域(R2)を変更する。
【0152】
この態様によれば、基板撮像部(22)の撮像画像から求められる実際の実装位置に基づいて干渉判定領域(R2)を変更するので、干渉判定領域(R2)を精度よく生成することが可能となる。
【0153】
第12の態様に係る実装システム(1)は、第11の態様において、部品撮像部(23)を更に備える。部品撮像部(23)は、実装ヘッド(11)に保持されている被保持部品(100b)を含むように実装ヘッド(11)を撮像する。干渉判定部(33)は、部品撮像部(23)の撮像画像から求められる、実装ヘッド(11)における被保持部品(100b)の保持位置に基づいて、複数の部品(100)の各々について干渉判定領域(R2)を変更する。
【0154】
この態様によれば、部品撮像部(23)の撮像画像から求められる実際の保持位置に基づいて干渉判定領域(R2)を変更するので、干渉判定領域(R2)を精度よく生成することが可能となる。
【0155】
第13の態様に係る実装システム(1)では、第11又は第12の態様において、基板撮像部(22)は、複数の部品(100)のうち実装ヘッド(11)に保持される前の被保持部品(100b)を更に撮像する。実装ヘッド(11)は、基板撮像部(22)の撮像画像に基づいて被保持部品(100b)の保持位置を変更し、変更後の保持位置で被保持部品(100b)を保持する。
【0156】
この態様によれば、実装ヘッド(11)に保持される前の被保持部品(100b)の位置ずれを考慮して、実装ヘッド(11)に被保持部品(100b)を保持させることが可能となる。
【0157】
第14の態様に係る実装システム(1)では、第6~第13の態様のいずれか1つにおいて、干渉判定部(33)が、複数の部品(100)のうち実装ヘッド(11)に保持されている被保持部品(100b)が実装済み部品(100a)に干渉すると判定した場合に、実装ヘッド(11)は、被保持部品(100b)を基板(6)に実装しない。
【0158】
この態様によれば、被保持部品(100b)を基板(6)に実装することによる基板(6)の不具合を低減することが可能となる。
【0159】
第15の態様に係る実装システム(1)は、第6~第14の態様のいずれか1つにおいて、報知部(25)を更に備える。報知部(25)は、干渉判定部(33)が、複数の部品(100)のうち実装ヘッド(11)に保持されている被保持部品(100b)が実装済み部品(100a)に干渉すると判定した場合に、被保持部品(100b)を基板(6)に実装しない旨を報知する。
【0160】
この態様によれば、実装システム(1)に不具合が生じていることを作業者に知らせることが可能となる。
【0161】
第16の態様に係る領域生成方法では、干渉判定領域(R2)に基づいて、判定対象が実装済み部品(100a)に干渉するか否かを判定する。実装済み部品(100a)は、基板(6)に既に実装されている部品である。干渉判定領域(R2)は、実装済み部品(100a)に判定対象が干渉する可能性がある領域である。また、領域生成方法では、部品情報(36b;51e)と、基板情報(36c;51d)とに基づいて、複数の部品(100)の各々について干渉判定領域(R2)を生成する。部品情報(36b;51e)は、複数の部品(100)の形状に関する情報である。基板情報(36c;51d)は、複数の部品(100)がそれぞれ電気的に接続される基板(6)上の複数の電極位置、又は複数の部品(100)がそれぞれ実装される基板(6)上の複数の実装位置(Po1)を含む。
【0162】
この態様によれば、実装済み部品(100a)に対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0163】
第17の態様に係るプログラムは、第16の態様に係る領域生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0164】
この態様によれば、実装済み部品(100a)に対する判定対象の干渉判定を行いつつ演算処理を低減することが可能となる。
【0165】
第2~第5の態様に係る構成については、管理システム(3)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0166】
第7~第15の態様に係る構成については、実装システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 実装システム
3 管理システム
6 基板
11 実装ヘッド
22 基板認識カメラ(基板撮像部)
23 部品認識カメラ(部品撮像部)
25 報知部
33 干渉判定部
36 実装記憶部(記憶部)
36b 部品情報(形状情報)
36c 基板情報
36d デフォルト値
50b 干渉判定部
51 管理記憶部(記憶部)
51b デフォルト値
51d 基板情報
51e 部品情報(形状情報)
100 部品
100a 実装済み部品
100b 被保持部品
Po1 実装位置
R1 干渉判定領域
R2 干渉判定領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11