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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176528
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】点灯システム、及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/18 20200101AFI20241212BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20241212BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095111
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 健
(72)【発明者】
【氏名】中山 航
(72)【発明者】
【氏名】下村 優太郎
(72)【発明者】
【氏名】関 圭介
(72)【発明者】
【氏名】日野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】森脇 淑也
(72)【発明者】
【氏名】杉本 正暁
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA25
3K273QA31
3K273RA02
3K273RA16
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA48
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA66
3K273TA76
3K273TA78
3K273UA02
3K273UA13
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA29
3K273UA30
3K273VA09
(57)【要約】
【課題】 有線信号及び無線信号の両方の制御信号に対応できる点灯システム、及び照明器具を提供する。
【解決手段】 点灯システムA1では、有線インタフェース部2は、第1コントローラC1から送信されて照明負荷9の点灯状態を指示する第1伝送方式の有線信号である第1制御信号Y11を、第2伝送方式の有線信号である第2制御信号Y12に変換し、第1伝送方式の有線信号と前記第2伝送方式の有線信号との間を絶縁する。無線インタフェース部3は、第2コントローラC2から送信されて点灯状態を指示する無線信号である無線制御信号Y21を、有線信号である第3制御信号Y22に変換する。点灯制御部4は、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22に基づいて点灯回路1を制御することで、照明負荷9の点灯状態を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明負荷を点灯させる点灯回路と、
第1コントローラから送信されて前記照明負荷の点灯状態を指示する第1伝送方式の有線信号である第1制御信号を、第2伝送方式の有線信号である第2制御信号に変換し、前記第1伝送方式の有線信号と前記第2伝送方式の有線信号との間を絶縁する有線インタフェース部と、
第2コントローラから送信されて前記点灯状態を指示する無線信号である無線制御信号を、有線信号である第3制御信号に変換する無線インタフェース部と、
前記第2制御信号及び前記第3制御信号に基づいて前記点灯回路を制御することで、前記照明負荷の前記点灯状態を調整する点灯制御部と、を備える
点灯システム。
【請求項2】
前記点灯制御部は、前記点灯制御部と前記点灯回路との間に形成された1系統の信号伝送路を介して前記点灯回路を制御する
請求項1の点灯システム。
【請求項3】
前記第3制御信号は、前記第2伝送方式の有線信号である
請求項1の点灯システム。
【請求項4】
前記第1伝送方式は、差動伝送方式であり、
前記第2伝送方式は、シングルエンド伝送方式である
請求項1の点灯システム。
【請求項5】
前記第1コントローラによる制御で用いられる固有の有線用アドレスと、前記第2コントローラによる制御で用いられる固有の無線用アドレスと、を記憶する記憶部を更に備える
請求項1の点灯システム。
【請求項6】
前記有線インタフェース部は、
前記第2制御信号に対する応答として前記点灯制御部から出力された前記第2伝送方式の有線信号である第1応答信号を、前記第1伝送方式の有線信号である第2応答信号に変換し、前記第2応答信号を前記第1コントローラに出力し、
前記無線インタフェース部は、
前記第3制御信号に対する応答として前記点灯制御部から出力された有線信号である第3応答信号を、無線信号である無線応答信号に変換し、前記無線応答信号を前記第2コントローラに出力する
請求項1の点灯システム。
【請求項7】
前記点灯制御部は、前記第1コントローラ及び前記第2コントローラのそれぞれとの通信が確立された場合、前記第2制御信号及び前記第3制御信号のいずれか一方を破棄する
請求項1の点灯システム。
【請求項8】
前記点灯制御部は、前記第2制御信号及び前記第3制御信号を同じタイミングで受信した場合、前記第2制御信号及び前記第3制御信号のいずれか一方を破棄する
請求項1の点灯システム。
【請求項9】
前記第2制御信号及び前記第3制御信号のそれぞれは、2値の電圧信号であり、
前記第2制御信号と前記第3制御信号との論理積の結果を前記点灯制御部へ出力する論理積回路を更に備え、
前記第2制御信号が伝送される通信線、及び前記第3制御信号が伝送される通信線のそれぞれはプルアップされている
請求項1の点灯システム。
【請求項10】
前記点灯制御部は、前記第2コントローラとの通信に異常が発生すれば、前記第2伝送方式の有線信号である第1異常信号を生成し、
前記有線インタフェース部は、
前記第1異常信号を、前記第1伝送方式の有線信号である第2異常信号に変換し、前記第2異常信号を前記第1コントローラに出力する
請求項1の点灯システム。
【請求項11】
前記点灯状態は、前記照明負荷の調光レベルである
請求項1の点灯システム。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1つの点灯システムと、
前記照明負荷と、を備える
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯システム、及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の点灯装置は、第1の調光端子と、第2の調光端子と、制御回路と、点灯装置とを備えて、光源を調光する。
【0003】
第1の調光端子は、光源のオンオフまたは調光率を設定する照明制御機器からの制御信号を受信する。第1の調光端子で受信する制御信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号又は振幅信号である。
【0004】
第2の調光端子は、制御ユニットが送信する外部状態に応じた指令信号または制御ユニットが送信するユーザからの指令信号を受信する。第2の調光端子で受信する制御信号はUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)信号である。
【0005】
制御回路は、制御信号に応じて点灯回路を制御する。点灯回路は、制御回路によって制御され、光源を調光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-129156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1の点灯装置は、2系統の調光端子として第1の調光端子及び第2の調光端子を備えているが、第1の調光端子及び第2の調光端子ともに有線信号を受信するものである。
【0008】
したがって、特許文献1の点灯装置(点灯システム)は、有線信号及び無線信号の両方の制御信号に対応できなかった。
【0009】
本開示の目的は、有線信号及び無線信号の両方の制御信号に対応できる点灯システム、及び照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る点灯システムは、点灯回路と、有線インタフェース部と、無線インタフェース部と、点灯制御部と、を備える。前記点灯回路は、照明負荷を点灯させる。前記有線インタフェース部は、第1コントローラから送信されて前記照明負荷の点灯状態を指示する第1伝送方式の有線信号である第1制御信号を、第2伝送方式の有線信号である第2制御信号に変換し、前記第1伝送方式の有線信号と前記第2伝送方式の有線信号との間を絶縁する。前記無線インタフェース部は、第2コントローラから送信されて前記点灯状態を指示する無線信号である無線制御信号を、有線信号である第3制御信号に変換する。前記点灯制御部は、前記第2制御信号及び前記第3制御信号に基づいて前記点灯回路を制御することで、前記照明負荷の前記点灯状態を調整する。
【0011】
本開示の一態様に係る照明器具は、上述の点灯システムと、前記照明負荷と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本開示は、有線信号及び無線信号の両方の制御信号に対応できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の実施形態に係る制御信号を伝送する点灯システムを示すブロック図である。
図2図2は、同上の応答信号を伝送する点灯システムを示すブロック図である。
図3図3は、同上の選択制御を行う点灯システムを示すブロック図である。
図4図4は、同上の異常通知を行う点灯システムを示すブロック図である。
図5図5は、第1変形例に係る点灯システムを示すブロック図である。
図6図6A図6Bのそれぞれは、同上の第4制御信号を示す波形図である。
図7図7は、同上の点灯システムを備える照明器具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施形態は、一般に点灯システム、及び照明器具に関する。より詳細には、制御信号に基づいて照明負荷の点灯状態を制御する点灯システム、及び照明器具に関する。
【0015】
なお、以下の実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0016】
本実施形態の点灯システム、及び照明器具は、例えばオフィス、工場、店舗、戸建住宅若しくは集合住宅の住戸などの屋内、又はトンネル、道路若しくはグラウンドなどの屋外で用いられる。なお、本実施形態の点灯システム、及び照明器具が用いられる場所は、特定の場所に限定されない。
【0017】
以下に実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態)
(1)点灯システムの概略
図1は、実施形態の点灯システムとして、照明負荷9を点灯させる点灯システムA1のブロック構成を示す。
【0019】
点灯システムA1は、点灯回路1と、有線インタフェース部2と、無線インタフェース部3と、点灯制御部4と、を備える。
【0020】
点灯回路1は、照明負荷9を点灯させる。
【0021】
有線インタフェース部2は、第1コントローラC1から送信されて照明負荷9の点灯状態を指示する第1伝送方式の有線信号である第1制御信号Y11を、第2伝送方式の有線信号である第2制御信号Y12に変換する。さらに、有線インタフェース部2は、第1伝送方式の有線信号と第2伝送方式の有線信号との間を絶縁する。
【0022】
無線インタフェース部3は、第2コントローラC2から送信されて照明負荷9の点灯状態を指示する無線信号である無線制御信号Y21を、有線信号である第3制御信号Y22に変換する。
【0023】
点灯制御部4は、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22に基づいて点灯回路1を制御することで、照明負荷9の点灯状態を調整する。
【0024】
上述の点灯システムA1では、有線インタフェース部2は、有線信号である第1制御信号Y11を受け取って、伝送方式が異なる有線信号である第2制御信号Y12に変換する。無線インタフェース部3は、無線信号である無線制御信号Y21を受け取って、有線信号である第3制御信号Y22に変換する。そして、点灯制御部4は、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22に基づいて点灯回路1を制御する。したがって、点灯システムA1は、有線信号(第1制御信号Y11)及び無線信号(無線制御信号Y21)の両方の制御信号に対応できる。
【0025】
(2)詳細
図1に示す点灯システムA1は、照明負荷9を調光点灯させる。
【0026】
照明負荷9は、複数の固体発光素子を有する。例えば、照明負荷9は、複数の固体発光素子に相当する複数のLED(Light Emitting Diode)が直列接続されたLEDアレイを有している。なお、照明負荷9は、固体発光素子としてLEDを有する構成に限らない。照明負荷9は、例えば、有機EL(Organic Electro Luminescence、OEL)、又は半導体レーザダイオード(Laser Diode、LD)などの他の固体発光素子を有していてもよい。また、固体発光素子の数は、複数に限らず、1つであってもよい。複数の固体発光素子の電気的な接続関係は直列接続であるが、この接続関係に限らない。複数の固体発光素子の電気的な接続関係は、並列接続であってもよいし、直列接続と並列接続とを組み合わせた接続関係であってもよい。
【0027】
図1に示すように、点灯システムA1は、点灯回路1と、有線インタフェース部2と、無線インタフェース部3と、点灯制御部4と、記憶部5とを備える。点灯システムA1は、直流電源PSから直流電力を供給され、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のそれぞれとの間で信号を授受する。
【0028】
直流電源PSは、電源装置又はバッテリを有して、点灯システムA1に直流電圧Vinを出力する。電源装置は、例えば交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータ、及び直流電力を直流電力に変換するDC/DCコンバータのいずれであってもよい。バッテリは、例えば、商用電力、又は再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、水力など)を利用した発電電力で充電される二次電池であることが好ましい。
【0029】
第1コントローラC1は、点灯システムA1との間で有線通信を行うコントローラである。第1コントローラC1と点灯システムA1との間は、2本の通信線W11、W12で接続されている。そして、第1コントローラC1と点灯システムA1との間では、2本の通信線W11、W12を介した差動伝送方式の有線通信が行われる。通信線W11、W12を介した有線通信は、イーサネット(Ethernet)(登録商標)などの有線LAN(Local Area Network)の規格に準拠していることが好ましい。なお、通信線W11、W12を介した有線通信は、専用の通信規格であってもよい。
【0030】
第2コントローラC2は、点灯システムA1との間で無線通信を行うコントローラである。そして、第2コントローラC2と点灯システムA1との間では、電波、赤外線、又は可視光などを用いた無線通信が行われる。電波を用いた無線通信は、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した無線通信である。なお、無線通信は、専用の通信規格であってもよい。
【0031】
(2.1)点灯回路
点灯回路1は、直流電源PSから出力された直流電圧Vinを入力とする。点灯回路1は、直流電圧Vinを降圧、昇圧、又は昇降圧することで直流の出力電圧Voを生成し、出力電圧Voを出力する。点灯回路1の出力端間には照明負荷9が接続されており、出力電圧Voは照明負荷9の両端間に印加される。そして、点灯回路1は、出力電圧Voを調整することで、点灯回路1から照明負荷9へ供給される出力電流Ioを調整し、照明負荷9を所望の調光レベルで点灯させる。点灯回路1は、点灯制御部4によって制御される。
【0032】
(2.2)有線インタフェース部
以下、記載の簡略化のために、「有線インタフェース部」を「有線IF部」と称することがある。
【0033】
有線IF部2は、2本の通信線W11、W12を介して第1コントローラC1と接続され、2本の通信線W21、W22を介して点灯制御部4と接続されている。有線IF部2は、第1コントローラC1と点灯制御部4との間で、有線信号の伝送方式を変換するインタフェース機能を有する。
【0034】
具体的に、有線IF部2は、第1コントローラC1から通信線W11、W12を介して送信された差動伝送方式(第1伝送方式)の有線信号を、シングルエンド伝送方式(第2伝送方式)の有線信号に変換する。有線IF部2は、変換したシングルエンド伝送方式の有線信号を、通信線W21、W22を介して点灯制御部4へ出力する。通信線W11、W12は、差動伝送方式の信号が伝送される信号線である。通信線W21はシングルエンド伝送方式の信号が伝送される信号線、通信線W22は基準電位となるグランド線である。
【0035】
また、有線IF部2は、点灯制御部4から通信線W21、W22を介して送信されたシングルエンド伝送方式(第2伝送方式)の有線信号を、差動伝送方式(第1伝送方式)の有線信号に変換する。有線IF部2は、変換した差動伝送方式の有線信号を、通信線W11、W12を介して第1コントローラC1へ出力する。
【0036】
さらに、有線IF部2は、通信線W11、W12と通信線W21、W22とを互いに絶縁する。すなわち、差動伝送方式の有線信号とシングルエンド伝送方式の有線信号との間を絶縁する。絶縁のための構成は、例えば光絶縁方式又はトランス絶縁方式などで実現される。
【0037】
本実施形態では、通信線W11、W12を介して伝送される有線信号、及び通信線W21、W22を介して伝送される有線信号のそれぞれは、2値の電圧信号であり、ビット情報を含む。また、通信線W11、W12を伝送される有線信号のフォーマットと通信線W21、W22を伝送される有線信号のフォーマットとは同じである。すなわち、有線IF部2による変換前の有線信号に含まれるビット情報と変換後の有線信号に含まれるビット情報とは同じである。
【0038】
(2.3)無線インタフェース部
以下、記載の簡略化のために、「無線インタフェース部」を「無線IF部」と称することがある。
【0039】
無線IF部3は、無線通信によって第2コントローラC2との間で無線信号を授受する。無線IF部3は、2本の通信線W31、W32を介して点灯制御部4と接続され、通信線W31、W32を介した有線通信によって点灯制御部4との間で有線信号を授受する。そして、無線IF部3は、第2コントローラC2と無線IF部3との間で、無線信号を有線信号に変換したり、有線信号を無線信号に変換したりするインタフェース機能を有する。
【0040】
具体的に、無線IF部3は、第2コントローラC2から送信された無線信号を、シングルエンド伝送方式(第2伝送方式)の有線信号に変換する。無線IF部3は、変換したシングルエンド伝送方式の有線信号を、通信線W31、W32を介して点灯制御部4へ出力する。通信線W31はシングルエンド伝送方式の信号が伝送される信号線、通信線W32は基準電位となるグランド線である。
【0041】
また、無線IF部3は、点灯制御部4から通信線W31、W32を介して送信されたシングルエンド伝送方式(第2伝送方式)の有線信号を、無線信号に変換する。無線IF部3は、変換した無線信号を第2コントローラC2へ送信する。
【0042】
本実施形態では、通信線W31、W32を介して伝送される有線信号は、2値の電圧信号であり、ビット情報を含む。通信線W31、W32を伝送される有線信号のフォーマットは、通信線W21、W22を伝送される有線信号のフォーマットと同じである。
【0043】
(2.4)点灯制御部
点灯制御部4は、通信線W21、W22を介して有線IF部2に接続し、通信線W31、W32を介して無線IF部3に接続している。
【0044】
点灯制御部4は、通信線W21、W22を介して受信した有線信号、及び通信線W31、W32を介して受信した有線信号に基づいて、点灯回路1を制御することで、照明負荷9の点灯状態を調整する。点灯制御部4は、1系統の信号伝送路L1を介して点灯回路1に接続しており、点灯回路1を駆動制御するための駆動制御信号を信号伝送路L1に出力する。点灯回路1は、信号伝送路L1を介して受け取った駆動制御信号に基づいて、照明負荷9の点灯状態を調整する。すなわち、点灯制御部4は、点灯制御部4と点灯回路1との間に形成された1系統の信号伝送路L1を介して点灯回路1を制御する。
【0045】
また、点灯制御部4は、通信線W21、W22を介して有線信号を送信することで、有線IF部2を介して第1コントローラC1へ信号を送信することができる。点灯制御部4は、通信線W31、W32を介して有線信号を送信することで、無線IF部3を介して第2コントローラC2へ信号を送信することができる。
【0046】
(2.5)記憶部
記憶部5は、有線用アドレスと、無線用アドレスと、を記憶する。有線用アドレスは、当該点灯システムA1に予め付与された当該点灯システムA1に固有のアドレスであり、第1コントローラC1による制御で用いられる。無線用アドレスは、当該点灯システムA1に予め付与された当該点灯システムA1に固有のアドレスであり、第2コントローラC2による制御で用いられる。
【0047】
具体的に、第1コントローラC1は、通信線W11、W12を介して点灯システムA1へ送信する差動伝送方式の有線信号に含める送信先アドレスに、送信先となる点灯システムA1の有線用アドレスを設定する。この場合、通信線W21、W22を介して点灯制御部4へ伝送されるシングルエンド伝送方式の有線信号の送信先アドレスにも有線用アドレスが設定される。
【0048】
第2コントローラC2は、点灯システムA1へ送信する無線信号に含める送信先アドレスに、送信先となる点灯システムA1の無線用アドレスを設定する。この場合、通信線W31、W32を介して点灯制御部4へ伝送されるシングルエンド伝送方式の有線信号の送信先アドレスにも無線用アドレスが設定される。
【0049】
点灯制御部4は、受信した有線信号に含まれる送信先アドレスを読み出し、読み出した送信先アドレスを、記憶部5に記憶している有線用アドレス及び無線用アドレスと照合する。点灯制御部4は、読み出した送信先アドレスが有線用アドレスであれば、受信した有線信号に含まれるデータは、第1コントローラC1によって作成されたデータであると判定する。点灯制御部4は、読み出した送信先アドレスが無線用アドレスであれば、受信した有線信号に含まれるデータは、第2コントローラC2によって作成されたデータであると判定する。
【0050】
したがって、点灯システムA1では、有線用アドレス及び無線用アドレスを記憶部5に記憶しておくことで、点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のそれぞれによる制御を区別できる。すなわち、点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のそれぞれによる制御を区別しながら照明負荷9を制御する個別制御を行うことができる。
【0051】
(2.6)調光制御
点灯システムA1は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2からの指示によって、照明負荷9を調光制御することができる。
【0052】
以下、図1の第1制御信号Y11、第2制御信号Y12、無線制御信号Y21、及び第3制御信号Y22を、照明負荷9の調光レベルを指示する信号として説明する。すなわち、第1制御信号Y11、第2制御信号Y12、無線制御信号Y21、及び第3制御信号Y22が指示する照明負荷9の点灯状態は、照明負荷9の調光レベルである。
【0053】
第1コントローラC1は、照明負荷9の調光レベルを指示する第1制御信号Y11を、通信線W11、W12を介して送信する。第1制御信号Y11は、差動伝送方式の有線信号である。有線IF部2は、差動伝送方式の第1制御信号Y11をシングルエンド伝送方式の第2制御信号Y12に変換し、第2制御信号Y12を通信線W21、W22を介して点灯制御部4へ出力する。点灯制御部4は、第2制御信号Y12に基づいて点灯回路1を制御することで、照明負荷9を調光制御する。
【0054】
第2コントローラC2は、照明負荷9の調光レベルを指示する無線制御信号Y21を送信する。無線IF部3は、無線制御信号Y21を受信すると、無線制御信号Y21をシングルエンド伝送方式の第3制御信号Y22に変換し、第3制御信号Y22を通信線W31、W32を介して点灯制御部4へ出力する。点灯制御部4は、第3制御信号Y22に基づいて点灯回路1を制御することで、照明負荷9を調光制御する。
【0055】
したがって、点灯システムA1は、有線信号である第1制御信号Y11及び無線信号である無線制御信号Y21のそれぞれに基づいて、照明負荷9を調光制御することができる。また、第2制御信号Y12と第3制御信号Y22とを同じ伝送方式(シングルエンド伝送方式)の有線信号とすることで、点灯制御部4は、同じ伝送方式に対応する2系統の入力を備えればよい。すなわち、点灯制御部4の構成の簡略化を図ることができる。さらに、第2制御信号Y12と第3制御信号Y22とを同じフォーマットの有線信号とすることで、点灯制御部4の構成のさらなる簡略化を図ることができる。
【0056】
また、点灯システムA1は、外部の第1コントローラC1との間では差動伝送方式で信号を伝送することで、第1コントローラC1との間の通信に対するコモンモードノイズの影響を抑制できる。また、点灯システムA1は、点灯システムA1の内部ではシングルエンド伝送方式で信号を伝送することで、構成の簡略化を図ることができる。
【0057】
点灯制御部4は、1系統の信号伝送路L1を介して点灯回路1と接続しており、第2制御信号Y12又は第3制御信号Y22を受信すると、受信した第2制御信号Y12又は第3制御信号Y22に基づく駆動制御信号を信号伝送路L1に出力する。点灯回路1は、信号伝送路L1を介して受け取った駆動制御信号に基づいて、照明負荷9の点灯状態を調整する。このように点灯制御部4は、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22のいずれを受信しても、1系統の信号伝送路L1を介して点灯回路1を制御する。したがって、点灯システムA1は、制御の簡略化、制御の混在回避を図ることができる。
【0058】
第2制御信号Y12と第3制御信号Y22とは同じフォーマットの有線信号であり、指示するコマンドが同じであれば、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22の各ビット情報は同じである。したがって、点灯システムA1は、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22を受け取る点灯制御部4の構成を、更に簡略化することができる。
【0059】
また、点灯制御部4は、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22を同じタイミングで受信した場合、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22のいずれか一方を破棄することが好ましい。例えば、点灯制御部4は、無線通信を行う第2コントローラC2よりも、有線通信を行う第1コントローラC1を優先するのであれば、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22を同じタイミングで受信した場合、第3制御信号Y22を破棄する。また、点灯制御部4は、有線通信を行う第1コントローラC1よりも、無線通信を行う第2コントローラC2を優先するのであれば、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22を同じタイミングで受信した場合、第2制御信号Y12を破棄する。
【0060】
上述のように、点灯システムA1は、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22のいずれか一方を優先することで、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22を同じタイミングで受信した場合でも、調光制御の混乱を抑えることができる。
【0061】
(2.7)応答信号
点灯制御部4は、第2制御信号Y12による調光制御を行った後、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のうち、第2制御信号Y12(第1制御信号Y11)の送信元である第1コントローラC1にのみ応答信号を返信する。点灯制御部4は、第3制御信号Y22による調光制御を行った後、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のうち、第3制御信号Y22(無線制御信号Y21)の送信元である第2コントローラC2にのみ応答信号を返信する。
【0062】
以下、応答信号について図2を用いて説明する。
【0063】
点灯制御部4は、第2制御信号Y12による調光制御を行った後、シングルエンド伝送方式の2値の電圧信号である第1応答信号Y13を、通信線W21、W22を介して送信する。第1応答信号Y13は、第2制御信号Y12による調光制御が正常に完了したか否かを通知する信号、又は第2制御信号Y12によって調光制御された照明負荷9の現在の状態を通知する信号などである。有線IF部2は、通信線W21、W22を介して第1応答信号Y13を受け取る。有線IF部2は、シングルエンド伝送方式の2値の電圧信号である第1応答信号Y13を差動伝送方式の2値の電圧信号である第2応答信号Y14に変換する。有線IF部2は、第2応答信号Y14を、通信線W11、W12を介して第1コントローラC1へ出力する。
【0064】
点灯制御部4は、第3制御信号Y22による調光制御を行った後、シングルエンド伝送方式の2値の電圧信号である第3応答信号Y23を、通信線W31、W32を介して送信する。第3応答信号Y23は、第3制御信号Y22による調光制御が正常に完了したか否かを通知する信号、又は第3制御信号Y22によって調光制御された照明負荷9の現在の状態を通知する信号などである。無線IF部3は、通信線W31、W32を介して第3応答信号Y23を受け取る。無線IF部3は、シングルエンド伝送方式の第3応答信号Y23を無線信号である無線応答信号Y24に変換し、無線応答信号Y24を第2コントローラC2へ送信する。
【0065】
すなわち、有線IF部2は、第2制御信号Y12に対する応答として点灯制御部4から出力されたシングルエンド伝送方式の有線信号である第1応答信号Y13を、差動伝送方式の有線信号である第2応答信号Y14に変換し、第2応答信号Y14を第1コントローラC1に出力する。無線IF部3は、第3制御信号Y22に対する応答として点灯制御部4から出力された有線信号である第3応答信号Y23を、無線信号である無線応答信号Y24に変換し、無線応答信号Y24を第2コントローラC2に出力する。
【0066】
上述のように、点灯システムA1は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のうち、制御信号の送信元であるいずれか一方のみに応答信号を返信する。したがって、点灯システムA1は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2の両方に応答信号を返信する構成に比べて、応答信号の送信に係る通信の占有時間を抑え、かつ、第1コントローラC1及び第2コントローラC2での誤動作も抑制できる。
【0067】
(2.8)選択制御
点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のそれぞれとの通信が確立された場合、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22のいずれか一方を破棄することが好ましい。すなわち、点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のそれぞれとの通信が確立された場合、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のいずれか一方のみを選択し、選択したコントローラの指示のみを実行する選択制御を行う。
【0068】
以下、選択制御の一例について図3を用いて説明する。
【0069】
点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のそれぞれとの通信が確立されたか否かを判定する機能を有する。
【0070】
例えば、第1コントローラC1は、起動時、及び起動後においては周期的に、差動伝送方式の有線信号である第1確認信号Y15を通信線W11、W12を介して送信する。有線IF部2は、差動伝送方式の第1確認信号Y15をシングルエンド伝送方式の第2確認信号Y16に変換し、第2確認信号Y16を通信線W21、W22を介して点灯制御部4へ出力する。点灯制御部4は、第2確認信号Y16を周期的に受け取っている間、第1コントローラC1との通信が確立されていると判定する。
【0071】
第2コントローラC2は、起動時、及び起動後においては周期的に、無線信号である第3確認信号Y25を送信する。無線IF部3は、第3確認信号Y25を受信すると、第3確認信号Y25をシングルエンド伝送方式の有線信号である第4確認信号Y26に変換し、第4確認信号Y26を通信線W31、W32を介して点灯制御部4へ出力する。点灯制御部4は、第4確認信号Y26を周期的に受け取っている間、第2コントローラC2との通信が確立されていると判定する。
【0072】
そして、点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のうち第1コントローラC1とのみ通信が確立された場合、第2制御信号Y12にしたがって調光制御を行う。点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のうち第2コントローラC2とのみ通信が確立された場合、第3制御信号Y22にしたがって調光制御を行う。
【0073】
点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2の両方との通信がそれぞれ確立された場合、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のうち、例えば第1コントローラC1を選択する。点灯制御部4は、選択した第1コントローラC1の指示にしたがって調光制御を行う。すなわち、点灯制御部4は、第3制御信号Y22を受け取っても、第3制御信号Y22を破棄する。点灯制御部4は、第3制御信号Y22を破棄することで、無線通信を行う第2コントローラC2よりも、有線通信を行う第1コントローラC1を優先する。
【0074】
また、点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2の両方との通信がそれぞれ確立された場合、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のうち第2コントローラC2を選択してもよい。この場合、点灯制御部4は、選択した第2コントローラC2の指示にしたがって調光制御を行う。すなわち、点灯制御部4は、第2制御信号Y12を受け取っても、第2制御信号Y12を破棄する。点灯制御部4は、第2制御信号Y12を破棄することで、有線通信を行う第1コントローラC1よりも、無線通信を行う第2コントローラC2を優先する。
【0075】
上述のように、点灯システムA1は選択制御を行うことで、第1コントローラC1及び第2コントローラC2のいずれか一方を優先して用いることができる。例えば点灯システムA1は、無線通信を行う第2コントローラC2よりも、有線通信を行う第1コントローラC1を優先することで、無線通信の環境変化による影響を抑えて、調光制御の信頼性を向上させることができる。
【0076】
(2.9)異常通知
図4に示すように、点灯制御部4は、第2コントローラC2との通信に異常が発生すれば、シングルエンド伝送方式の2値の電圧信号である第1異常信号Y31を生成する。点灯制御部4は、第1異常信号Y31を通信線W21、W22を介して送信する。点灯制御部4は、例えば第2コントローラC2との通信が不能になったとき、第2コントローラC2との通信にエラーが多発したときなどに、第1異常信号Y31を生成する。有線IF部2は、通信線W21、W22を介して第1異常信号Y31を受け取る。有線IF部2は、シングルエンド伝送方式の2値の電圧信号である第1異常信号Y31を差動伝送方式の2値の電圧信号である第2異常信号Y32に変換し、第2異常信号Y32を通信線W11、W12を介して第1コントローラC1へ出力する。
【0077】
すなわち、点灯制御部4は、第2コントローラC2との通信に異常が発生すれば、シングルエンド伝送方式の有線信号である第1異常信号Y31を生成する。有線IF部2は、第1異常信号Y31を、差動伝送方式の有線信号である第2異常信号Y32に変換し、第2異常信号Y32を第1コントローラC1に出力する。
【0078】
上述のように、点灯システムA1は、第2コントローラC2との通信に異常が発生したときに、第1コントローラC1へ異常信号を送信する。したがって、点灯システムA1は、有線通信を行う第1コントローラC1へ無線通信の異常を通知することで、システムの信頼性を向上させることができる。
【0079】
(3)第1変形例
図5は、第1変形例の点灯システムA2を示す。点灯システムA2は、論理積回路6を更に備える。なお、点灯システムA1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0080】
点灯システムA2においても、点灯システムA1と同様に、通信線W11、W12を介して伝送される有線信号、通信線W21、W22を介して伝送される有線信号、及び通信線W31、W32を介して伝送される有線信号のそれぞれは、2値の電圧信号である。2値の電圧信号は、H(High)レベル、L(Low)レベルのいずれかの値をとる。本変形例では、2値の電圧信号は、通常時にHレベルとなるノーマルHighである。
【0081】
具体的に、論理積回路6の2つの入力には、通信線W21、W22、及び通信線W31、W32がそれぞれ接続される。論理積回路6の1つの出力には、通信線W41、W42が接続され、論理積回路6の出力は、通信線W41、W42を介して点灯制御部4に接続されている。通信線W21、W22を介して伝送される有線信号、及び通信線W31、W32を介して伝送される有線信号のそれぞれは、シングルエンド伝送方式の有線信号である。この場合、通信線W21、W31は、それぞれ信号線であり、通信線W22、W32は、それぞれグランド線である。そして、通信線W21はプルアップ抵抗R1を介してプルアップ電圧Vcにプルアップされている。通信線W31はプルアップ抵抗R2を介してプルアップ電圧Vcにプルアップされている。
【0082】
有線IF部2は出力スイッチを備えており、通信線W21、W22の間には出力スイッチが接続されている。したがって、有線IF部2の出力スイッチがオフしているとき、通信線W21、W22の有線信号(第2制御信号Y12など)はHレベルになり、有線IF部2の出力スイッチがオンしているとき、通信線W21、W22の有線信号はLレベルになる。
【0083】
無線IF部3は出力スイッチを備えており、通信線W31、W32の間には出力スイッチが接続されている。したがって、無線IF部3の出力スイッチがオフしているとき、通信線W31、W32の有線信号(第3制御信号Y22など)はHレベルになり、無線IF部3の出力スイッチがオンしているとき、通信線W31、W32間の有線信号はLレベルになる。
【0084】
論理積回路6は、通信線W21、W22を介して伝送される第2制御信号Y12と通信線W31、W32を介して伝送される第3制御信号Y22との論理積の結果を第4制御信号Y40として、通信線W41、W42を介して点灯制御部4へ出力する。第4制御信号Y40は、シングルエンド伝送方式の2値の電圧信号であり、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22の論理積を示す信号である。
【0085】
第1コントローラC1が第1制御信号Y11を送信せず、第2コントローラC2が無線制御信号Y21を送信していなければ、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22のそれぞれはHレベルを維持する。このとき、第4制御信号Y40は図6Aに示すようにHレベルを維持する。
【0086】
第1コントローラC1が第1制御信号Y11を送信するか、あるいは第2コントローラC2が無線制御信号Y21を送信すれば、第4制御信号Y40は、第2制御信号Y12又は第3制御信号Y22と同様に、例えば図6Bに示すようにHレベルとLレベルとの間を遷移する。すなわち、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22のいずれか一方が伝送されると、論理積回路6は、伝送された第2制御信号Y12又は第3制御信号Y22と同様の波形を有する第4制御信号Y40を出力する。
【0087】
点灯制御部4は、論理積回路6から通信線W41、W42を介して第4制御信号Y40を受け取り、第4制御信号Y40に基づいて調光制御を行う。
【0088】
上述のように、論理積回路6は、通信線W11、W12及び通信線W21、W22からなる2系統の信号伝送路を、通信線W41、W42からなる1系統の信号伝送路にまとめることができる。したがって、点灯制御部4は、2系統の入力を備える必要がなく、1系統の入力を備える構成であればよい。この結果、点灯制御部4の構成の簡略化を図ることができる。
【0089】
なお、通信線W11、W12を介して伝送される有線信号、通信線W21、W22を介して伝送される有線信号、及び通信線W31、W32を介して伝送される有線信号のそれぞれは、通常時にLレベルとなるノーマルLowの2値の電圧信号であってもよい。この場合、点灯システムA2は、論理積回路6の代わりに、論理和回路を備える。論理和回路は、第2制御信号Y12と第3制御信号Y22との論理和の結果を第4制御信号として、通信線W41、W42を介して点灯制御部4へ出力する。
【0090】
また、実施形態の点灯システムA1の構成を本変形例の点灯システムA2に適宜適用することは可能である。
【0091】
(4)照明器具
図7は、点灯システムA1又はA2を備える照明器具の一例として、照明器具B1を示す。照明器具B1は、光源ユニット101、及び光源ユニット101を支持する筐体102を備える。
【0092】
光源ユニット101は、長尺箱状の外殻を有し、照明負荷9を外殻内に収納している。照明負荷9は、例えば長尺の基板、及び基板上に長手方向に沿って並んで実装された多数のLED(Light Emitting Diode)を有する。筐体102は長尺形状であり、筐体102の内部に点灯システムA1又はA2が収納される。光源ユニット101は、筐体102の一面にて支持され、点灯システムA1又はA2と照明負荷9とが接続される。また、筐体102は、長手方向に沿った光源ユニット101の両側縁より斜め上向きに突出する一対の反射板103を備える。
【0093】
照明器具B1は、点灯システムA1又はA2を備えることで、有線信号(第1制御信号Y11)及び無線信号(無線制御信号Y21)の両方の制御信号に対応できる。
【0094】
(5)その他の変形例
制御信号(第1制御信号Y11、第2制御信号Y12、無線制御信号Y21、及び第3制御信号Y22、第4制御信号Y40など)は、照明負荷9の点灯状態として、照明負荷9の調色を指示する信号であってもよい。また、制御信号は、照明負荷9の点灯状態として、照明負荷9をスケジュール制御する信号、点灯を指示する信号、消灯を指示する信号などであってもよい。
【0095】
有線信号は、DALI(Digital Addressable Lighting Interface)などの規格に準拠した信号であってもよい。
【0096】
第1伝送方式は、差動伝送方式以外の伝送方式であってもよい。第2伝送方式は、シングルエンド伝送方式以外の伝送方式であってもよい。すなわち、第1伝送方式と第2伝送方式とが互いに異なる伝送方式であればよい。
【0097】
点灯制御部4は、第1コントローラC1及び第2コントローラC2の両方との通信がそれぞれ確立された場合、第2制御信号Y12及び第3制御信号Y22のうち、最後に受信した制御信号に従って調光制御をしてもよい。
【0098】
第1コントローラC1と点灯制御部4との間の通信は、少なくとも第1コントローラC1から点灯制御部4へ信号を送信する片方向の通信が可能であればよい。第2コントローラC2と点灯制御部4との間の通信は、少なくとも第2コントローラC2から点灯制御部4へ信号を送信する片方向の通信が可能であればよい。
【0099】
点灯システムA1、A2は、点灯システムを構成する各部が1つの筐体に収納された点灯装置であってもよいし、点灯システムを構成する各部が分散して配置された構成であってもよい。
【0100】
点灯システムA1又はA2を備える照明器具は照明器具B1(図7参照)以外であってもよく、例えばダウンライト、シーリングライト、ペンダントライト、及びスポットライトなどのいずれであってもよい。
【0101】
(6)まとめ
上述の実施形態に係る第1の態様の点灯システム(A1、A2)は、点灯回路(1)と、有線インタフェース部(2)と、無線インタフェース部(3)と、点灯制御部(4)と、を備える。点灯回路(1)は、照明負荷(9)を点灯させる。有線インタフェース部(2)は、第1コントローラ(C1)から送信されて照明負荷(9)の点灯状態を指示する第1伝送方式の有線信号である第1制御信号(Y11)を、第2伝送方式の有線信号である第2制御信号(Y12)に変換し、第1伝送方式の有線信号と前記第2伝送方式の有線信号との間を絶縁する。無線インタフェース部(3)は、第2コントローラ(C2)から送信されて点灯状態を指示する無線信号である無線制御信号(Y21)を、有線信号である第3制御信号(Y22)に変換する。点灯制御部(4)は、第2制御信号(Y12)及び第3制御信号(Y22)に基づいて点灯回路(1)を制御することで、照明負荷(9)の点灯状態を調整する。
【0102】
上述の点灯システム(A1、A2)は、有線信号(第1制御信号Y11)及び無線信号(無線制御信号Y21)の両方の制御信号に対応できる。
【0103】
上述の実施形態に係る第2の態様の点灯システム(A1、A2)では、第1の態様において、点灯制御部(4)は、点灯制御部(4)と点灯回路(1)との間に形成された1系統の信号伝送路(L1)を介して点灯回路(1)を制御することが好ましい。
【0104】
上述の点灯システム(A1、A2)は、制御の簡略化、制御の混在回避を図ることができる。
【0105】
上述の実施形態に係る第3の態様の点灯システム(A1、A2)では、第1又は第2の態様において、第3制御信号(Y22)は、第2伝送方式の有線信号であることが好ましい。
【0106】
上述の点灯システム(A1、A2)は、点灯制御部(4)の構成の簡略化を図ることができる。
【0107】
上述の実施形態に係る第4の態様の点灯システム(A1、A2)では、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、第1伝送方式は、差動伝送方式であり、第2伝送方式は、シングルエンド伝送方式であることが好ましい。
【0108】
上述の点灯システム(A1、A2)は、外部の第1コントローラ(C1)との間では、コモンモードノイズに強い差動伝送方式で信号を授受する。また、点灯システム(A1、A2)は、点灯システム(A1、A2)の内部ではシングルエンド伝送方式で信号を授受することで、構成の簡略化を図ることができる。
【0109】
上述の実施形態に係る第5の態様の点灯システム(A1、A2)は、第1乃至第4の態様のいずれか1つにおいて、記憶部(5)を更に備えることが好ましい。記憶部(5)は、第1コントローラ(C1)による制御で用いられる固有の有線用アドレスと、第2コントローラ(C2)による制御で用いられる固有の無線用アドレスと、を記憶する。
【0110】
上述の点灯システム(A1、A2)は、第1コントローラ(C1)及び第2コントローラ(C2)のそれぞれによる制御を区別しながら照明負荷(9)を制御する個別制御を行うことができる。
【0111】
上述の実施形態に係る第6の態様の点灯システム(A1、A2)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、有線インタフェース部(2)は、第2制御信号(Y12)に対する応答として点灯制御部(4)から出力された第2伝送方式の有線信号である第1応答信号(Y13)を、第1伝送方式の有線信号である第2応答信号(Y14)に変換し、第2応答信号(Y14)を第1コントローラ(C1)に出力することが好ましい。無線インタフェース部(3)は、第3制御信号(Y22)に対する応答として点灯制御部(4)から出力された有線信号である第3応答信号(Y23)を、無線信号である無線応答信号(Y24)に変換し、無線応答信号(Y24)を第2コントローラ(C2)に出力することが好ましい。
【0112】
上述の点灯システム(A1、A2)は、応答信号の送信に係る通信の占有時間を抑え、かつ、第1コントローラ(C1)及び第2コントローラ(C2)での誤動作も抑制できる。
【0113】
上述の実施形態に係る第7の態様の点灯システム(A1、A2)では、第1乃至第6の態様のいずれか1つにおいて、点灯制御部(4)は、第1コントローラ(C1)及び第2コントローラ(C2)のそれぞれとの通信が確立された場合、第2制御信号(Y12)及び第3制御信号(Y22)のいずれか一方を破棄することが好ましい。
【0114】
上述の点灯システム(A1、A2)は、第1コントローラ(C1)及び第2コントローラ(C2)のいずれか一方を優先して用いることができる。
【0115】
上述の実施形態に係る第8の態様の点灯システム(A1、A2)では、第1乃至第7の態様のいずれか1つにおいて、点灯制御部(4)は、第2制御信号(Y12)及び第3制御信号(Y22)を同じタイミングで受信した場合、第2制御信号(Y12)及び第3制御信号(Y22)のいずれか一方を破棄することが好ましい。
【0116】
上述の点灯システム(A1、A2)は、照明負荷(9)の制御の混乱を抑えることができる。
【0117】
上述の実施形態に係る第9の態様の点灯システム(A2)では、第1乃至第8の態様のいずれか1つにおいて、第2制御信号(Y12)及び第3制御信号(Y22)のそれぞれは、2値の電圧信号であることが好ましい。点灯システム(A2)は、第2制御信号(Y12)と第3制御信号(Y22)との論理積の結果を点灯制御部(4)へ出力する論理積回路(6)を更に備えることが好ましい。第2制御信号(Y12)が伝送される通信線(W21)、及び第3制御信号(Y22)が伝送される通信線(W31)のそれぞれはプルアップされている。
【0118】
上述の点灯システム(A2)は、点灯制御部(4)の構成の簡略化を図ることができる。
【0119】
上述の実施形態に係る第10の態様の点灯システム(A1、A2)では、第1乃至第9の態様のいずれか1つにおいて、点灯制御部(4)は、第2コントローラ(C2)との通信に異常が発生すれば、第2伝送方式の有線信号である第1異常信号(Y31)を生成することが好ましい。有線インタフェース部(2)は、第1異常信号(Y31)を、第1伝送方式の有線信号である第2異常信号(Y32)に変換し、第2異常信号(Y32)を第1コントローラ(C1)に出力する。
【0120】
上述の点灯システム(A1、A2)は、システムの信頼性を向上させることができる。
【0121】
上述の実施形態に係る第11の態様の点灯システム(A1、A2)では、第1乃至第10の態様のいずれか1つにおいて、点灯状態は、照明負荷(9)の調光レベルであることが好ましい。
【0122】
上述の点灯システム(A1、A2)は、照明負荷(9)の調光制御において、有線信号(第1制御信号Y11)及び無線信号(無線制御信号Y21)の両方の制御信号に対応できる。
【0123】
上述の実施形態に係る第12の態様の照明器具(B1)は、第1乃至第11の態様のいずれか1つの点灯システム(A1、A2)と、照明負荷(9)と、を備える。
【0124】
上述の照明器具(B1)は、有線信号(第1制御信号Y11)及び無線信号(無線制御信号Y21)の両方の制御信号に対応できる。
【符号の説明】
【0125】
A1、A2 点灯システム
B1 照明器具
1 点灯回路
2 有線インタフェース部(有線IF部)
3 無線インタフェース部(無線IF部)
4 点灯制御部
5 記憶部
6 論理積回路
9 照明負荷
C1 第1コントローラ
C2 第2コントローラ
L1 信号伝送路
W21、W31 通信線
Y11 第1制御信号
Y12 第2制御信号
Y13 第1応答信号
Y14 第2応答信号
Y21 無線制御信号
Y22 第3制御信号
Y23 第3応答信号
Y24 無線応答信号
Y31 第1異常信号
Y32 第2異常信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7