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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176532
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電解液体生成装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 13/02 20060101AFI20241212BHJP
   C25B 1/13 20060101ALI20241212BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20241212BHJP
   C25B 9/60 20210101ALI20241212BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20241212BHJP
【FI】
C25B13/02 302
C25B1/13
C25B9/00 A
C25B9/00 Z
C25B9/60
C02F1/461 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095115
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今堀 修
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】松山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長田 実
【テーマコード(参考)】
4D061
4K021
【Fターム(参考)】
4D061DA03
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB04
4D061EB16
4D061EB19
4D061EB29
4D061EB30
4D061EB35
4K021AB15
4K021BA02
4K021CA01
4K021CA02
4K021DA11
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC07
(57)【要約】
【課題】電解部における電解液体の生成効率を向上させることが出来る電解液体生成装置を提供する。
【解決手段】電解液体生成装置100は、電解部1と、弾性体2と、ハウジング3と、を備える。電解部1は、液体を電解処理する。弾性体2は、電解部1を第1方向D1に押さえている。ハウジング3は、電解部1及び弾性体2が内部に配置されている。弾性体2は、電解部1の少なくとも一部を位置決めする突起22を有する。突起22の少なくとも一部は、第1方向D1と交差する第2方向D3における弾性体2の端縁部211の外側に設けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を電解処理する電解部と、
前記電解部を、前記電解部の積層方向である第1方向に押さえている弾性体と、
前記電解部及び前記弾性体が内部に配置されているハウジングと、を備え、
前記弾性体は、前記電解部の少なくとも一部を位置決めする突起を有し、
前記突起の少なくとも一部は、前記第1方向と交差する第2方向における前記弾性体の端縁部の外側に設けられている、
電解液体生成装置。
【請求項2】
前記第1方向からの平面視で、
前記弾性体は長尺形状であり、
前記第2方向は前記弾性体の短手方向である、
請求項1に記載の電解液体生成装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記第2方向と交差する第3方向に延伸する複数の凸部列を有するカバーを含み、
前記電解部は、前記カバーと前記弾性体とに挟まれており、
前記カバーの前記複数の凸部列は、前記第1方向に前記電解部を押さえており、
前記第2方向において、前記突起は、前記複数の凸部列のうち端に位置する端列と重なる位置又は前記端列より外側に位置している、
請求項1又は2に記載の電解液体生成装置。
【請求項4】
前記突起を第1突起としたとき、前記弾性体は、前記第2方向と交差する第3方向の端縁部の外側に、前記電解部の少なくとも一部を位置決めする第2突起を有する、
請求項1又は2に記載の電解液体生成装置。
【請求項5】
前記電解部は、前記第1方向に対向している第1電極及び第2電極を含み、
前記突起が位置決めする前記電解部の少なくとも一部は、前記第1電極を含む、
請求項1又は2に記載の電解液体生成装置。
【請求項6】
前記第1電極は陽極である、
請求項5に記載の電解液体生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電解液体生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電解液体生成装置として、オゾン(電解生成物)が水に溶解したオゾン水(電解液体)を生成するオゾン水生成装置が知られている。電解部は、2つの電極の間に介在している導電性膜を有する。そして、電解部を水に浸した状態で2つの電極の間に電位差を生じさせることで、水中にて電気化学反応を起こす電解処理が行われて、オゾン水が生成される(例えば、特許文献1参照)。電解部は、位置決め突起を有する弾性体に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-127501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電解液体生成装置では、弾性体が電解部の外側にも位置している。したがって、弾性体が電解部を押す力が均一でない場合があり、電解液体の生成効率が低下する場合がある。
【0005】
本開示は、電解部における電解液体の生成効率を向上させることが出来る電解液体生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電解液体生成装置は、電解部と、弾性体と、ハウジングと、を備える。前記電解部は、液体を電解処理する。前記弾性体は、前記電解部を、前記電解部の積層方向である第1方向に押さえている。前記ハウジングは、前記電解部及び前記弾性体が内部に配置されている。前記弾性体は、前記電解部の少なくとも一部を位置決めする突起を有する。前記突起の少なくとも一部は、前記第1方向と交差する第2方向における前記弾性体の端縁部の外側に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る電解液体生成装置によれば、電解部における電解液体の生成効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電解液体生成装置の分解斜視図である。
図2図2は、同上の電解液体生成装置の弾性体の斜視図である。
図3図3は、同上の電解液体生成装置のカバーの斜視図である。
図4図4は、同上の電解液体生成装置の長手方向を法線方向とする部分端面図である。
図5図5は、同上の電解液体生成装置の短手方向を法線方向とする部分端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る電解液体生成装置について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、以下に実施する実施形態は、本開示の実施形態の一例に過ぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(実施形態)
(1)概要
まず、実施形態に係る電解液体生成装置100の概要について、図1図2及び図4を参照して説明する。
【0011】
実施形態に係る電解液体生成装置100は、液体を電解処理することで電解液体を生成する。本実施形態では一例として、電解液体生成装置100は、上記液体として上水道から供給される水道水を用い、電解液体としてオゾン水を生成するオゾン水生成装置である。オゾン水生成装置である電解液体生成装置100は、水道水を電気分解する電解処理によってオゾン(電解生成物)を発生させ、当該オゾンを水道水に溶解させることで、オゾン水を生成する。オゾン水は、除菌、脱臭、及び有機物分解等に有効であるため、水処理分野、衛生分野、食品分野、及び医学分野等の各分野において広く利用されている。
【0012】
実施形態に係る電解液体生成装置100は、図1及び図4に示すように、電解部1と、弾性体2と、ハウジング3と、給電部4と、を備える。電解部1は、一対の電極である第1電極及び第2電極と、一対の電極の間に位置している導電性膜12と、を含む。実施形態では、第1電極は陽極13であり、第2電極は陰極11である。電解部1は、液体を電解処理する。ハウジング3は、電解部1が内部に配置されている。給電部4は、上記液体を電解処理するための電力を電解部1に供給する。
【0013】
図4に示すように、弾性体2と、ハウジング3のカバー32とは、電解部1を方向D1に押さえている。図1及び図2に示すように、弾性体2は長尺形状であり、弾性体2の短手方向である方向D3の端縁部211の外側に突起22を有する。これにより、電解部1が、弾性体2によって位置決めされる。また、図4に示すように、突起22と電解部1とが方向D1で重ならないため、弾性体2とカバー32とが電解部1を方向D1に押さえる力に、突起22が影響を及ぼしにくい。言い換えると、弾性体2とカバー32とが電解部1を方向D1に押さえる力の方向D3における均一性が向上する。したがって、電解部1における電流密度の偏りが生じにくくなり、電解部1の電解効率を向上させることができる。
【0014】
(2)詳細
次に、実施形態に係る電解液体生成装置100の詳細について、図1図5を参照して説明する。以下の説明では、後述する電解部1における陰極11、導電性膜12及び陽極13の積層方向を方向D1と規定し、後述するハウジング3の長手方向を方向D2と規定し、ハウジング3の短手方向(幅方向)を方向D3と規定する。方向D1は第1方向に相当する。方向D2は第3方向に相当する。また、方向D3は、第2方向に相当する。ただし、これらの方向は電解液体生成装置100の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の「D1」、「D2」、「D3」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。
【0015】
実施形態1に係る電解液体生成装置100は、図1に示すように、電解部1と、弾性体2と、ハウジング3と、給電部4と、複数(図示例では2つ)のOリング5と、を備える。
【0016】
(2.1)ハウジング
ハウジング3は、電解部1及び弾性体2が内部に配置されている。ハウジング3は、図1に示すように、ケース31及びカバー32を含む。
【0017】
ケース31は、ケース本体311を含む。ケース本体311は、方向D1における一端(図1の上面)が開放された中空の直方体状に形成されている。すなわち、ケース本体311は、収容部3110を有する。また、ケース31の方向D2における両端には接続部312及び接続部313が形成されている。接続部312には液体の流入口が形成されており、流入口は収容部3110と連通している。また、接続部313には電解液体の流出口が形成されており、流出口は収容部3110と連通している。すなわち、流入口から流入した液体は、収容部3110で電解処理され、電解液体として流出口から流出する。
【0018】
カバー32は、図1及び図3に示すように、長方形状の板である。カバー32は、方向D1に沿ってケース本体311に接しており、ケース本体311の開口3111を覆っている。また、カバー32のうち、ケース本体311の開口3111に面している内面33には、複数の凸部列331(図3及び図4参照)が形成されている。
【0019】
また、ケース本体311は、一対の電極ピン41を貫通させるための一対の貫通孔3112を有する。
【0020】
ケース31及びカバー32は、アクリル等の非導電性の樹脂で形成されている。
【0021】
(2.2)弾性体及び電解部
ケース31の収容部3110には、弾性体2、給電部4の給電体44、陽極13、導電性膜12、及び陰極11が収納されている。より詳細には、弾性体2、給電体44、陽極13、導電性膜12、及び陰極11は、この順に、方向D1に沿って積層されている。
【0022】
弾性体2は、例えば、ゴム等の弾力性を有する材料を用いて、方向D2に長尺な形状に形成されている。すなわち、弾性体2の短手方向が方向D3である。弾性体2は、図1及び図2に示すように、直方体状の本体21と、複数の突起22(第1突起)及び突起23(第2突起)とを含む。複数(図1及び図2では6つ)の突起22の各々は、本体21の方向D1における一方の端縁部212において、方向D3における2つの端縁部211のいずれかの外側に形成されている。ここで、「複数の突起22が方向D3における2つの端縁部211の外側である」とは、方向D1からの平面視で、複数の突起22がいずれも端縁部212と重ならないことをいう。複数の突起22は、方向D3において電解部1を位置決めする位置決め突起である。より詳細には、後述する給電部4の給電体44及び陽極13は、方向D3において、複数の突起22よりも内側に位置している。
【0023】
また、複数(図1では2つ)の突起23の各々は、本体21の方向D1における端縁部212において、方向D2における2つの端縁部213に形成されている。ここで、「複数の突起23が方向D2における2つの端縁部213の外側である」とは、方向D1からの平面視で、複数の突起23がいずれも端縁部212と重ならないことを言う。複数の突起23は、方向D2において電解部1を位置決めする位置決め突起である。より詳細には、後述する給電部4の給電体44及び陽極13は、方向D2において、複数の突起22よりも内側に位置している。
【0024】
また、図2に示すように、2つの突起23のうちの一方は、第3方向D3におけるほぼ中央に配置されている。2つの突起23のうち他方は、第3方向D3における一端側、つまり中心からずれた位置に配置されている。このように、第3方向D3において2つの突起23の位置を異ならせることで、ハウジング3のケース31に対して弾性体2が逆向きに取り付けられることを抑制することができる。
【0025】
弾性体2の端縁部212は後述する給電部4の給電体44と接している。弾性体2は、給電体44及び陽極13を、方向D1に押さえている。
【0026】
陽極13は、電解部1の第1電極である。陽極13は、方向D2に長尺な長方形状に形成されている。陽極13は、一方の面(第1面)が後述する給電部4の給電体44と接しており、他方の面(第2面)の少なくとも一部が導電性膜12に接している。陽極13は、例えば、シリコンを用いた矩形板状の導電性基板に導電性ダイヤモンド膜を成膜することで形成されている。
【0027】
導電性膜12は、陽極13と陰極11との間に位置している。導電性膜12は、例えば、プロトン導電型のイオン交換フィルムである。また、導電性膜12は、方向D3に延伸する複数のスリットを有する。導電性膜12は、例えば、くし型である。導電性膜12は、方向D3に長手形状である主片121と、方向D3を長手方向とする複数の突片122と、を含む。複数の突片122は、方向D2に沿って等間隔に並んでいる。なお、複数の突片122の各々の延伸方向は、方向D2と交差する方向であればよく、必ずしも方向D3と一致しなくてもよい。また、方向D3における突片122の長さは、陽極13の方向D3における幅よりも大きい。すなわち、導電性膜12のスリットの方向D3における長さは、陽極13の方向D3における幅よりも大きい。
【0028】
陰極11は、電解部1の第2電極である。陰極11は、後述する電極板42A及びばね部43Aと一体に成形されている。陰極11は、方向D2に長尺である長方形状であり、方向D1に導電性膜12と接している。陰極11は、例えば、チタン合金などの導電性の材料で形成されている。
【0029】
陰極11は、方向D2に沿って等間隔に並ぶ複数の貫通孔111を有する。複数の貫通孔111の各々は同じ形状であり、例えば、V字状である。これにより、陰極11と導電性膜12との界面の少なくとも一部が液体(水道水)と接触する。その結果、陽極13と導電性膜12との界面の少なくとも一部が液体(水道水)と接触する。したがって、陽極13の表面で生じるオゾンが、陰極11とカバー32との間の空間(以下、「主流路という」)の液体(水道水)に溶解しやすくなる。また、気体であるオゾンが電解部の内部に留まることによるオゾンの生成効率の低下を低減させることが可能となる。
【0030】
また、陰極11の複数の貫通孔111の方向D3における幅は、導電性膜12のスリットの方向D3における幅よりも大きい。したがって、方向D1からの平面視において、貫通孔111の内部に、導電性膜12とも陽極13とも重ならない部分を有する。すなわち、電解部1は、電解部1を方向D1に貫通する貫通孔を有する。したがって、方向D1に沿って液体(水道水)が電解部1を通過できるため、ケース31の収容部3110におけるオゾン水中のオゾン濃度が均一化し、オゾン水の生成効率が向上する。
【0031】
(2.3)給電部
給電部4は、液体を電解処理するための電力を電解部1に供給する。給電部4は、図1に示すように、複数(図示例では2つ)の電極ピン41と、複数(図示例では2つ)の電極板42A,42Bと、複数(図示例では2つ)のばね部43A,43Bと、給電体44と、複数(図示例では2つ)のナット45と、複数(図示例では2つ)のばね座金46と、複数(図示例では2つ)のワッシャ47と、を含む。複数の電極ピン41と、複数のナット45、複数のばね座金46及び複数のワッシャ47とは、一対一に対応している。
【0032】
複数の電極ピン41の各々は、方向D1に長尺である。すなわち、各電極ピン41の長手方向は、方向D1と平行な方向である。各電極ピン41は、フランジ部411と、ねじ部412と、シャフト部413と、を有する。各電極ピン41において、フランジ部411は、方向D1における第1端(図1の上端)に設けられている。また、各電極ピン41において、ねじ部412は、方向D1における第2端(図1の下端)を含む所定範囲に設けられている。
【0033】
電極板42A及び42Bは、電極ピン41が方向D1に貫通する貫通孔421を有する。より詳細には、方向D1からの平面視において、貫通孔421は、シャフト部413が通過可能で、かつ、フランジ部411が通過不可能な形状である。これにより、電極板42A及び42Bには、電極ピン41のシャフト部413が貫通孔421に位置した状態で、少なくともフランジ部411が電極板42A及び42Bに当接する。電極板42Aは、ばね部43Aを介して陰極11と電気的に接続される。電極板42Bは、ばね部43Bを介して給電体44に電気的に接続される。
【0034】
(3)弾性体及びカバーの構成
図3及び図4に示すように、カバー32は、ケース本体311の収容部3110に面している内面33を有している。また、カバー32は、内面33に、複数(図3及び図4では3つ)の凸部列331を有している。複数の凸部列331は、方向D3に並んでいる。また、カバー32は、内面33に、方向D1からの平面視で一対の電極ピン41と重なる一対の突出部35を有している。
【0035】
複数の凸部列331の各々は、図3に示すように、方向D2に並ぶ複数の凸部332を含む。各々の凸部332は、図4に示すように、方向D1に陰極11を押さえている。すなわち、電解部1は、方向D1において、弾性体2とカバー32の複数の凸部332とによって挟まれている。複数の凸部列331の各々において、複数の凸部332は、方向D2に間隔を空けて配置されている。
【0036】
ここで、複数の凸部列331のうち、方向D3において両端に配置されている2つの凸部列331の各々を端列331Aという。2つの端列331Aの各々は、複数の凸部332Aを含む。2つの端列331Aは、内面33の方向D3の端部34とは接していない。
【0037】
また、突起22は、方向D1に端列331Aと重なる位置より外側に配置されている。ここで、「突起22は、方向D1に端列331Aと重なる位置より外側に配置されている」とは、図4に示すように、方向D2からの平面視において、端列331Aに含まれる凸部332Aから方向D1に延びる仮想線X1よりも外側に突起22が位置していることをいう。これにより、カバー32が電解部1を方向D1に押さえる力は、弾性体2の本体21に作用するが、突起22には作用しづらい。そのため、電解部1は、弾性体2の本体21とカバー32の複数の凸部列331とによって、方向D3において均等に押さえられることになる。したがって、電解部1において陰極11と陽極13との距離が方向D3において均一となりやすく、電流密度の偏りが生じにくくなる。そのため、電解部1のオゾン生成効率が向上する。
【0038】
また、図5に示すように、突起23は、方向D2における弾性体2の2つの端縁部213の外側に配置されている。したがって、電解部1は、弾性体2の本体21と、カバー32の複数の凸部列331に含まれる複数の凸部332と、によって、方向D2においても均等に押さえられることになる。これにより、電解部1において陰極11と陽極13との距離が方向D2においても均一となりやすく、電流密度の偏りが生じにくくなる。そのため、電解部1のオゾン生成効率が向上する。
【0039】
(4)効果
実施形態に係る電解液体生成装置100は、電解部1と、弾性体2と、ハウジング3と、を備える。電解部1は、液体を電解処理する。弾性体2は、電解部1を方向D1に押さえている。ハウジング3は、電解部1及び弾性体2が内部に配置されている。弾性体2は、電解部1の少なくとも一部を位置決めする突起22を有する。突起22の少なくとも一部は、方向D3における弾性体2の端縁部213の外側に設けられている。
【0040】
これにより、弾性体2が電解部1を方向D1に押さえる力において、方向D3で偏りが生じにくい。したがって、電解部1において電流密度の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。
【0041】
また、実施形態に係る電解液体生成装置100では、方向D1からの平面視で、弾性体2は長尺形状であり、方向D3は弾性体2の短手方向である。
【0042】
これにより、弾性体2が電解部1を方向D1に押さえる力において、弾性体2の短手方向で偏りが生じにくい。したがって、電解部1において、電流密度の偏りの影響を受けやすい方向D3において、電流密度の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。
【0043】
また、実施形態に係る電解液体生成装置100では、ハウジング3は、方向D2に延伸する複数の凸部列331を有するカバー32を含む。電解部1は、カバー32と弾性体2とに挟まれている。カバー32の複数の凸部列331は、方向D1に電解部1を押さえている。方向D3において、複数の突起22の各々は、複数の凸部列331のうち両端に位置する2つの端列331Aより外側に位置している。
【0044】
これにより、弾性体2のうち突起22を除く本体21に対して、カバー32が電解部1を方向D1に押さえる力が方向D3において均等にかかる。したがって、カバー32及び弾性体2が方向D1に電解部1を押さえる力が、方向D3において均一になる。したがって、電解部1において電流密度の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。
【0045】
また、実施形態に係る電解液体生成装置100では、弾性体2は、方向D2の端縁部213の外側に、電解部1の少なくとも一部を位置決めする突起23を有する。
【0046】
これにより、弾性体2が電解部1を方向D1に押さえる力において、方向D2においても偏りが生じにくい。したがって、電解部1においてどの方向においても電流密度の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。
【0047】
また、実施形態に係る電解液体生成装置100では、電解部1は、方向D1に対向している陽極13及び陰極11を含む。突起22が位置決めする電解部1の少なくとも一部は、陽極13を含む。
【0048】
したがって、電解部1において陽極13と陰極11とが対向する方向である方向D1に押さえる力の偏りが生じにくい。したがって、電解部1において電気抵抗の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。また、弾性体2が電解部1のうち陽極13を位置決めすることにより、弾性体2が陰極11を位置決めしなくても、上述の効果を奏する。また、実施形態に係る電解液体生成装置100では、陽極13が陰極11よりも小さいため、弾性体2が陰極11を位置決めしないことで、オゾン水の生成効率が低下しないように陰極11の面積を最大化することができる。
【0049】
(変形例)
(1)実施形態に係る電解液体生成装置100では、弾性体2が複数の突起22を有するが、突起22は1つのみであってもよい。また、弾性体2の複数の突起22は、本体21の2つの端縁部211の両方に設けられてもよいし、2つの端縁部211の一方に設けられてもよい。
【0050】
同様に、実施形態の弾性体2は、複数の突起23を有するが、突起23は1つのみであってもよい。また、弾性体2の複数の突起23は、本体21の2つの端縁部213の両方に設けられてもよいし、2つの端縁部213の一方に設けられてもよい。
【0051】
(2)実施形態に係る電解液体生成装置100では、弾性体2において、複数の突起22の各々が方向D3における2つの端縁部211の外側であるが、少なくとも1つの突起22は、一部が端縁部211の外側であり、一部が端縁部211の内側であるとしてもよい。すなわち、複数の突起22の各々は、少なくとも一部が方向D3における2つの端縁部211の外側であればよい。つまり、方向D1からの平面視において、複数の突起22の各々は、少なくとも一部が弾性体2の本体21と重複しない部分を有している。このような構成であっても、複数の突起22は電解部1を位置決めすることができる。また、複数の突起22の各々の全部が方向D3における2つの端縁部211の内側にある場合と比較して、弾性体2が電解部1を方向D1に押さえる力において、方向D3で偏りが生じにくい。
【0052】
同様に、弾性体2において、複数の突起23の各々が方向D2における2つの端縁部213の外側であるが、少なくとも1つの突起23は、一部が端縁部213の外側であり、一部が端縁部213の内側であるとしてもよい。すなわち、複数の突起23の各々は、少なくとも一部が方向D2における2つの端縁部213の外側であればよい。このような構成であっても、複数の突起23は電解部1を位置決めすることができる。また、複数の突起23の各々の全部が方向D2における2つの端縁部213の内側にある場合と比較して、弾性体2が電解部1を方向D1に押さえる力において、方向D2で偏りが生じにくい。
【0053】
(3)実施形態に係る電解液体生成装置100では、カバー32が3列の凸部列331を備えるが、カバー32に設けられる凸部列331の数は2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、凸部列331の各々は、方向D2に間隔を空けて並ぶ複数の凸部332を有するが、複数の凸部列331のうちの1つ以上が、方向D2に長尺の凸部を含むとしてもよい。なお、凸部列331は、陰極11の貫通孔111を塞がないことが好ましい。
【0054】
(4)実施形態に係る電解液体生成装置100では、突起22は、方向D1に端列331Aと重なる位置より外側に配置されているが、突起22は、少なくとも一部が方向D1に端列331Aと重なる位置に配置されていてもよい。この場合においても、弾性体2が電解部1を方向D1に押さえる力において、方向D3において偏りが生じにくい。したがって、電解部1において電流密度の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。
【0055】
(5)実施形態に係る電解液体生成装置100では、液体が水道水であり電解液体がオゾン水であるが、液体を電解処理して電解液体を生成することができる限りにおいて、液体と電解液体との組み合わせは、任意の2つの液体の組み合わせであってよい。
【0056】
(態様)
第1の態様に係る電解液体生成装置(100)は、電解部(1)と、弾性体(2)と、ハウジング(3)と、を備える。電解部(1)は、液体を電解処理する。弾性体(2)は、電解部(1)を第1方向(D1)に押さえている。ハウジング(3)は、電解部(1)及び弾性体(2)が内部に配置されている。弾性体(2)は、電解部(1)の少なくとも一部を位置決めする突起(22)を有する。突起(22)の少なくとも一部は、第1方向(D1)と交差する第2方向(D3)における弾性体(2)の端縁部(211)の外側に設けられている。
【0057】
上記態様に係る電解液体生成装置(100)によれば、弾性体(2)が電解部(1)を第1方向(D1)に押さえる力において、第2方向(D3)で偏りが生じにくい。したがって、電解部(1)において電流密度の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。
【0058】
第2の態様に係る電解液体生成装置(100)では、第1の態様において、第1方向(D1)からの平面視で、弾性体(2)は長尺形状である。第2方向(D3)は弾性体(2)の短手方向である。
【0059】
上記態様に係る電解液体生成装置(100)によれば、弾性体(2)が電解部(1)を第1方向(D1)に押さえる力において、弾性体(2)の短手方向で偏りが生じにくい。したがって、電解部(1)において、電流密度の偏りの影響を受けやすい第2方向(D3)において、電流密度の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。
【0060】
第3の態様に係る電解液体生成装置(100)では、第1又は第2の態様において、ハウジング(3)は、第2方向(D3)と交差する第3方向(D2)に延伸する複数の凸部列(331)を有するカバー(32)を含む。電解部(1)は、カバー(32)と弾性体(2)とに挟まれている。カバー(32)の複数の凸部列(331)は、第1方向(D1)に電解部(1)を押さえている。第2方向(D3)において、突起(22)は、複数の凸部列(331)のうち端に位置する端列(331A)と重なる位置又は端列(331A)より外側に位置している。
【0061】
上記態様に係る電解液体生成装置(100)によれば、弾性体(2)のうち突起(22)を除く部分に対して、カバー(32)が電解部(1)を第1方向(D1)に押さえる力が第2方向(D3)において均等にかかる。したがって、カバー(32)及び弾性体(2)が第1方向(D1)に電解部(1)を押さえる力が、第2方向(D3)において均一になる。したがって、電解部(1)において電流密度の偏りが生じにくいため、オゾン水の生成効率が向上する。
【0062】
第4の態様に係る電解液体生成装置(100)では、第1から第3の態様のいずれかにおいて、突起(22)を第1突起としたとき、弾性体(2)は、第2方向(D3)と交差する第3方向(D2)の端縁部(213)の外側に、電解部(1)の少なくとも一部を位置決めする第2突起(23)を有する。
【0063】
上記態様に係る電解液体生成装置(100)によれば、弾性体(2)が電解部(1)を第1方向(D1)に押さえる力において、第3方向(D2)においても偏りが生じにくい。したがって、電解部(1)においてどの方向においても電流密度の偏りが生じにくいため、電解液体の生成効率が向上する。
【0064】
第5の態様に係る電解液体生成装置(100)では、第1から第4の態様のいずれかにおいて、電解部(1)は、第1方向(D1)に対向している第1電極(13)及び第2電極(11)を含む。突起(22)が位置決めする電解部(1)の少なくとも一部は、第1電極(13)を含む。
【0065】
上記態様に係る電解液体生成装置(100)によれば、電解部(1)において第1電極(13)及び第2電極(11)が対向する方向である第1方向(D1)に押さえる力の偏りが生じにくい。したがって、電解部(1)において電気抵抗の偏りが生じにくいため、電解液体の生成効率が向上する。また、電解部(1)のうち第1電極(13)を位置決めすることにより、必ずしも弾性体(2)が陰極(11)を位置決めする必要がない。
【0066】
第6の態様に係る電解液体生成装置(100)では、第5の態様において、第1電極(13)は陽極である。
【0067】
上記態様に係る電解液体生成装置(100)によれば、陰極(11)が陽極(13)より大きい電解液体生成装置(100)において、弾性体(2)が陰極(11)を位置決めしないことにより、電解部(1)の面積が最大化するように陰極(11)を設計することが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
100 電解液体生成装置
1 電解部
11 陰極(第2電極)
13 陽極(第1電極)
2 弾性体
211 端縁部
213 端縁部
22 突起(第1突起)
23 突起(第2突起)
3 ハウジング
32 カバー
331 凸部列
331A 端列
D1 方向(第1方向)
D3 方向(第2方向)
D2 方向(第3方向)
図1
図2
図3
図4
図5