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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176538
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】給水装置及び給水方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/08 20060101AFI20241212BHJP
   F04D 15/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F04B49/08 311
F04D15/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095122
(22)【出願日】2023-06-08
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】富田 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】小堀 智之
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020BA04
3H020BA13
3H020CA01
3H020DA02
3H020EA13
3H020EA17
3H145AA02
3H145AA16
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA20
3H145CA03
3H145DA48
3H145EA13
3H145EA50
3H145GA23
(57)【要約】
【課題】給水装置において、機器の故障傾向と思われる事象の中でも、実際に給水圧力に影響を与える事象のみを警報・故障として信号を出力し、監視・管理を容易にする。
【解決手段】吐き出し圧力が設定圧力範囲を超えた場合で、ポンプ、電動機、圧力検出部、電力変換装置及び記憶部の少なくとも一つの異常を判断した場合に異常信号を出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、
前記ポンプを駆動する電動機と、
前記ポンプの吐き出し圧力を検出する圧力検出部と、
前記電動機の回転数を制御する電力変換装置と、
前記ポンプの制御に用いる所定の値を記憶する記憶部と、
前記ポンプ、前記電動機、前記圧力検出部、前記電力変換装置及び前記記憶部の少なくとも一つの異常を判断する演算部と、
前記演算部で異常があると判断した際に異常信号を出力する信号処理部と、を有する給水装置であって、
前記記憶部は、
少なくとも予め設定された設定圧力範囲を記憶しておき、
前記演算部は、
前記電動機を駆動する周波数により前記電動機の回転数を制御し、前記ポンプの吐き出し圧力が許容圧力範囲内で駆動するように制御し、
前記信号処理部は、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合で、
前記ポンプ、前記電動機、前記圧力検出部、前記電力変換装置及び前記記憶部の少なくとも一つの異常を判断した場合に、前記異常信号を出力する給水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給水装置であって、
前記記憶部は、
前記ポンプ、前記電動機、前記電力変換装置、前記圧力検出部、前記記憶部の少なくとも一つの状態量に関して予め設定された状態量許容範囲を記憶しており、
前記記憶部は、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた際の前記ポンプ、前記電動機、前記電力変換装置、前記圧力検出部及び前記記憶部の少なくとも一つの前記状態量を記憶しており、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合に、
現在の前記状態量が、記憶された前記状態量よりも前記状態量許容範囲を超えている度合が大きい場合に、前記異常信号を出力することを特徴とする給水装置。
【請求項3】
請求項1に記載の給水装置であって、
前記記憶部は、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合の時間を記憶しており、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合に、
現在の前記時間が、記憶されている前記時間よりも短い場合に、前記異常信号を出力することを特徴とする給水装置。
【請求項4】
請求項1に記載の給水装置であって、
前記記憶部には、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合の前記吐き出し圧力を記憶しており、
前記吐き出し圧力が前記許容圧力範囲を超える程度が増加している場合に、前記異常信号を出力することを特徴とする給水装置。
【請求項5】
請求項1に記載の給水装置であって、
前記圧力検出部は、
圧力センサで構成されることを特徴とする給水装置。
【請求項6】
ポンプと、
前記ポンプを駆動する電動機と、
前記ポンプの吐き出し圧力を検出する圧力検出部と、
前記電動機の回転数を制御する電力変換装置と、
前記ポンプの制御に用いる所定の値を記憶する記憶部と、
前記ポンプ、前記電動機、前記圧力検出部、前記電力変換装置及び前記記憶部の少なくとも一つの異常を判断する演算部と、
前記演算部で異常があると判断した際に異常信号を出力する信号処理部と、を有する給水装置であって、
前記演算部は、
前記電動機を駆動する周波数により前記電動機の回転数を制御し、前記ポンプの吐き出し圧力が許容圧力範囲内で駆動するように制御し、
前記記憶部は、
前記ポンプ、前記電動機、前記電力変換装置、前記圧力検出部、前記記憶部の少なくとも一つの状態量に関して予め設定された状態量許容範囲を記憶しており、
前記記憶部は、
予め設定されたタイミングで前記状態量を記憶し、
現在の前記状態量が、記憶された前記状態量よりも前記状態量許容範囲を超えている度合が大きい場合に、前記異常信号を出力することを特徴とする給水装置。
【請求項7】
請求項6に記載の給水装置であって、
前記圧力検出部は、
圧力センサで構成されることを特徴とする給水装置。
【請求項8】
ポンプと、前記ポンプを駆動する電動機と、前記ポンプの吐き出し圧力を検出する圧力検出部と、前記電動機の回転数を制御する電力変換装置と、前記ポンプの制御に用いる所定の値を記憶する記憶部と、制御部を有する給水装置を用いて給水を行う給水方法であって、
前記記憶部により、
少なくとも予め設定された設定圧力範囲を記憶しておき、
前記制御部により、
前記電動機を駆動する周波数により前記電動機の回転数を制御し、前記ポンプの吐き出し圧力が許容圧力範囲内で駆動するように制御し、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合で、
前記ポンプ、前記電動機、前記圧力検出部、前記電力変換装置及び前記記憶部の少なくとも一つの異常を判断した場合に、前記異常信号を出力する給水方法。
【請求項9】
請求項8に記載の給水方法であって、
前記記憶部により、
前記ポンプ、前記電動機、前記電力変換装置、前記圧力検出部、前記記憶部の少なくとも一つの状態量に関して予め設定された状態量許容範囲を記憶しておき、
前記記憶部により、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた際の前記ポンプ、前記電動機、前記電力変換装置、前記圧力検出部及び前記記憶部の少なくとも一つの前記状態量を記憶しておき、
前記制御部により、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合に、
現在の前記状態量が、記憶された前記状態量よりも前記状態量許容範囲を超えている度合が大きい場合に、前記異常信号を出力することを特徴とする給水方法。
【請求項10】
請求項8に記載の給水方法であって、
前記記憶部により、
前記吐き出し圧力が前記圧力範囲を超えた場合の時間を記憶しておき、
前記制御部により、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合に、
現在の前記時間が、記憶されている前記時間よりも短い場合に、前記異常信号を出力することを特徴とする給水方法。
【請求項11】
請求項8に記載の給水装置であって、
前記記憶部により、
前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合の前記吐き出し圧力を記憶しておき、
前記制御部により、
前記吐き出し圧力が前記許容圧力範囲を超える程度が増加している場合に、前記異常信号を出力することを特徴とする給水方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置及び給水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置において断水は避けなければならない事態であり、そのため給水装置を構成する機器の不調や故障に対し、警報・故障信号を発報し、設備管理者や機器サービス管理会社担当者などに知らせ、断水に至る前に対処を行なってきた。これに関連する技術として、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-183817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたポンプシステムでは、ポンプの二次側の圧力の変化と、モータの駆動の関係から、漏水を検知することができるとしている。
【0005】
しかしながら、機器の警報・故障信号が必ずしも断水に繋がる事象とは限らず、警報レベルの設定によっては頻繁に警報が発報されることにより、機器の状態を確認する手間を増やすこととなる。
【0006】
さらには、設備監視技術の発展に伴い、遠隔での一元監視・管理が可能となったが、逆に、遠隔で監視している際、各地からの対象の警報・故障信号が届き、1つ1つの確認に時間を要し、重要な警報・故障信号への気付きが遅れる恐れがある。
【0007】
さらには、過剰な警報・故障信号の発報は、利用者や管理者に不安を与える恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、給水装置において、機器の故障傾向と思われる事象の中でも、実際に給水圧力に影響を与える事象のみを警報・故障として信号を出力し、監視・管理を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の給水装置は、ポンプと、前記ポンプを駆動する電動機と、前記ポンプの吐き出し圧力を検出する圧力検出部と、前記電動機の回転数を制御する電力変換装置と、前記ポンプの制御に用いる所定の値を記憶する記憶部と、前記ポンプ、前記電動機、前記圧力検出部、前記電力変換装置及び前記記憶部の少なくとも一つの異常を判断する演算部と、前記演算部で異常があると判断した際に異常信号を出力する信号処理部と、を有する給水装置であって、前記記憶部は、少なくとも予め設定された設定圧力範囲を記憶しておき、前記演算部は、前記電動機を駆動する周波数により前記電動機の回転数を制御し、前記ポンプの吐き出し圧力が許容圧力範囲内で駆動するように制御し、前記信号処理部は、前記吐き出し圧力が前記設定圧力範囲を超えた場合で、前記ポンプ、前記電動機、前記圧力検出部、前記電力変換装置及び前記記憶部の少なくとも一つの異常を判断した場合に、前記異常信号を出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に一態様によれば、給水装置において、機器の故障傾向と思われる事象の中でも、実際に給水圧力に影響を与える事象のみを警報・故障として信号を出力し、監視・管理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1~5における給水装置の構成を示した図である。
図2】実施例1~5における制御装置の構成を示した図である。
図3】実施例1~5における記憶部の揮発性メモリの構成を示した図である。
図4】実施例1~5における記憶部の不揮発性メモリの構成の一部を示した図である。
図5】実施例1~5における記憶部の不揮発性メモリの構成の一部を示した図である。
図6】実施例1における制御フローを示す図である。
図7】実施例1における制御フローを示す図である。
図8】実施例1における制御フローを示す図である。
図9】実施例1における制御フローを示す図である。
図10】実施例1における制御フローを示す図である。
図11】実施例2における制御フローを示す図である。
図12】実施例3における制御フローを示す図である。
図13】実施例4における制御フローを示す図である。
図14】本実施例5における制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【実施例0013】
本発明は、ポンプの吐き出し圧力が、予め設定する圧力範囲を超えた場合で、さらにポンプ、電動機、電力変換装置、圧力検出部、記憶部のいずれか、あるいは複数の異常を認める場合に、異常信号を出力するようにするものである。
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る給水装置の全体構成図である。
【0015】
1号機ポンプ11、2号機ポンプは12、それぞれ1号機電動機21、2号機電動機22で駆動されている。各々ポンプの吸込み部は、吸込み管35を介して水源側と接続される。水源側、直結方式では、水道本管(図示せず)からの水の供給を受け、受水槽方式では、受水槽(図示せず)からの水の供給を受ける。
【0016】
主に直結方式の場合には、この吸込み管に流入側圧力センサ41を設け、水道本管の圧力を検出する。吸込み管と各々ポンプの間には、給水装置の整備時に、給水装置への水の流れを止めるための流入側仕切弁33を設ける。
【0017】
需要側として吐出し管36が、直送式の場合には、需要側給水管と接続して、例えば、集合住宅等の水栓に給水する。高置水槽式の場合には、この吐出し管と需要側給水管と接続して高置水槽へ給水する。図示していないが、給水圧力の急激な変動を抑えると同時に、自動運転中のポンプ停止間隔を長くすることを目的として、吐出し管に圧力タンクを設けることもある。
【0018】
吐出し管と各々ポンプの間には、給水装置の整備時に、給水装置への水の流れを止めるための吐出側仕切弁34を設ける。さらに吐出側仕切弁と各々ポンプの間に1号機逆止弁31,2号機逆止弁32を設け、ポンプにより送水した水が、他方のポンプを通して逆流することを防ぐ。この吐出し管に吐出側圧力センサ42を設け、水道本管の圧力を検出する。吐出側圧力センサ42の検出値を基にポンプの吐出し側圧力を制御(例えば、吐出圧一定制御、推定末端圧一定制御)する。
【0019】
制御装置71は例えば制御盤のような盤形状とする。制御装置の内部構成である1号機インバータ(1号機電動機用の電力変換装置)51、2号機インバータ(2号機電動機用の電力変換装置)52は、それぞれ電源側(図示せず)より電源の供給を受け、出力電圧の周波数を変化させることにより、各々電動機の回転数を変化させ駆動する。
【0020】
信号入力部1は流入側圧力センサ41で検出した圧力信号を取り込む。同様に信号入力部2は吐出し側圧力センサ42で検出した圧力信号を取り込む。
【0021】
図2は、制御装置の詳細な構成図である。
【0022】
演算部91は、記憶部93に記憶された制御パラメータに従い、操作部92から入力された指示内容に従い、或いは、信号処理部94から入力された信号に応じて、各々電動機の運転方法を決定し、1号機制御部81、2号機制御部82に電動機の運転/停止および回転数変化の指示を行なう。
【0023】
各々制御部は演算部の指示に従い、各々制御するインバータの出力電圧のON/OFFおよび周波数変化を行なう。演算部91は操作部92あるいは信号処理部94より要求された表示内容、または演算部91で制御状態より決定した表示内容を、表示部95に表示する。
【0024】
さらに電動機、電力変換装置、圧力検出部、記憶部に異常があると判断した際、あるいはこれらの内部構成である各機器への制御や、各機器との通信などに異常を認めた場合に警報信号を出力するよう信号処理部94に指示を出す。その他、演算部91は現在の運転状態に応じた運転信号や負荷電流値、吐出圧力などの状態信号を、信号処理部94を介し出力する。
【0025】
本実施例ではインバータ(電力変換装置)と制御部を分けているが、1つの構成機器としても良い。また、演算部と制御部を分けているが、1つの機器構成としても良い。
【0026】
信号処理部94ではアナログ、あるいはデジタルの有線、あるいは無線の信号の入出力を行う。他の制御盤、監視盤や機器からの制御線により入力された信号の処理、あるいは制御線により信号を出力する。または、無線通信により遠隔に設置された通信機器に対し、信号の入出力を行なう。
【0027】
図3は、記憶部93の揮発性メモリに都度記憶する制御パラメータである。
【0028】
記憶部93には各々の制御パラメータを保存する記憶アドレスと、そのアドレスに記憶している設定値(図示せず)がある。アドレス100には吐出側圧力センサ42で検出した現在の吐出し圧力DPAを都度更新し、記憶する。アドレス106には現在の電動機温度の値MTAを記憶する。
【0029】
図4および図5は、記憶部93の不揮発性メモリに記憶された制御パラメータである。
【0030】
アドレス221には吐出し側圧力の圧力下限設定の値DLLを記憶し、アドレス226には電動機の温度上限設定MHLを記憶する。
【0031】
図6は、本実施例における制御フローを示す。1つの例として、演算部91が、電動機温度に異常を認めた場合の制御フローを示す。
【0032】
ステップ1000で、演算部91が現在の吐出し圧力DPAが、圧力下限設定DLL未満であるかを確認する。DPAがDLL未満である場合にはステップ1001に進み、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過しているか確認する。
【0033】
MTAがMHLを超過している場合にはステップ1002に進み、異常信号を出力する。ステップ1000でDPAがDLL以上である場合や、ステップ1001でMTAがMHL以下である場合には、ステップ1003に進み、異常信号を出力しない。
【0034】
上述のように、実際に給水圧力が異常傾向にある場合に、その要因となる機器の異常のみを警報信号、あるいは故障予兆信号として出力することで、過剰な警報・故障信号の発報を防ぎ、監視・管理を容易にする
本実施例では電動機温度の上昇による異常信号の出力を示したが、温度低下においては図4のアドレス225に記憶している電動機の温度下限設定MLLを使用し、ステップ1001にてMTAがMLL未満であることを確認することで実施できる。電動機異常低温の場合の例を図7に示す。
【0035】
電動機温度に限らず、負荷電流値、制御装置間の通信、圧力検出部、記憶部の異常についても、同様に、図4のアドレス227から232の各設定値を用い、ステップ1001にて比較することで実施できる。
【0036】
負荷電流値AMAが上限設定値AMHを超えている場合の例を図8に示す。制御機器間の通信異常であればアドレス109に通信異常回数を計測するタイマTMCTを設け、TMCTがカウントしている間に発生した通信異常の回数をアドレス110にCNCTとしてカウントし、それを一定時間での通信異常回数CTAとしてアドレス111に記憶し、比較すると良い。
【0037】
記憶部93での読み出し(Read)、書き込み(Write)の失敗についても同様にアドレス114から116の値と用いて実施できる。検出値そのものではなく、異常と判断する検出値が継続した時間との比較としても良い。例えば圧力検出器において、異常と判断する検出値が継続した時間をアドレス113に記憶し、その継続時間との比較としても良い。
【0038】
さらに、吐出し側圧力の低下だけでなく、異常上昇や、流れ込み側圧力の低下や上昇と、各異常についても確認することができる。この場合には図3のアドレス100のDPA、あるいはアドレス103のSPAと、図4のアドレス211から216の各設定値を用い、ステップ1000にて比較することで実施できる。吐出圧異常上昇の場合の例を図9に示す。
【0039】
吐出し側圧力の低下自体の判定値を図5のアドレス241の許容圧力下限LMDLとし、本実施例の圧力下限設定DLLと分けることで、吐出し側圧力の低下自体の異常を検出することが可能である。もちろんLMDLとDLLを同じ値としても良い。同様に、アドレス242から252の各設定値を、アドレス222から232の各設定と分けることで、各機器の明らかで重大な故障状態を分けて信号出力することが可能である。吐出し側圧力の低下自体の異常を検出する場合の例を図10に示す。
【実施例0040】
本発明の実施例2は、ポンプ、電動機、電力変換装置、圧力検出部、記憶部などの各機器の状態量が、前回の異常時の状態量として記憶されている値よりも、許容範囲を超えている度合が大きい場合、すなわち機器状態が悪化している場合に、異常信号を出力するものである。
【0041】
給水装置の全体構成図と、制御装置の詳細な構成図は実施例1と同様であるので説明を割愛する。
【0042】
記憶部93には実施例1と同様にアドレス101、106、221、226に予めパラメータを設定する。加えて、アドレス205には、前回、演算部91が、吐出し圧力DPAが、圧力下限設定DLL未満であり、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過している異常状態として異常警報を出力した際の、電動機温度をMTA1として記憶する。
【0043】
図11は、本実施例における制御フローを示す。1つの例として、演算部91が、電動機温度に異常を認めた場合の制御フローを示す。
【0044】
ステップ2000で、演算部が現在の吐出し圧力DPAが、圧力下限設定DLL未満であるかを確認する。DPAがDLL未満である場合にはステップ2001に進み、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過しているか確認する。
【0045】
MTAがMHLを超過している場合にはステップ2002に進み、電動機温度MTAが前回の温度状態量MTA1を超過しているか確認する。MTAがMTA1を超過している場合にはステップ2003に進み、MTAをMTA1とし、すなわちMTAを最新の圧力低下検出時の温度状態量に更新し、ステップ2005に進み、異常信号を出力する。
【0046】
ステップ2000でDPAがDLL以上である場合や、ステップ2001でMTAがMHL以下である場合、ステップ2001でMTAがMTA1以下である場合には、ステップ2004に進み、異常信号を出力しない。
【0047】
上述のように、実際に給水圧力が異常傾向にある場合に、その要因となる機器の異常が進行している場合のみ警報信号、あるいは故障予兆信号を出力することで、過剰な警報・故障信号の発報を防ぎ、監視・管理を容易にする。さらには、製品試運転時などに過剰な保護として上限設定、下限設定を行なってしまった場合も、自動的に調整されることとなり、設定の簡易化が図れる。
【0048】
本実施例では前回の値の比較としたが、比較の対象は前回に限らず、例えばアドレス205に前回の状態量、アドレス206に前々回の状態量を記憶するなど、複数回を記憶し、それら全て、あるいはそれらの平均値との比較としても良い。
【0049】
本実施例では電動機温度の上昇による異常信号の出力を示したが、実施例1と同様に、温度低下、あるいは電動機温度に限らず、負荷電流値、制御装置間の通信、圧力検出部、記憶部の異常についても、同様に、図4のアドレス207から216の各設定値を用い、実施することができる。
【実施例0050】
本発明の実施例3は、前回圧力検出部の検出する吐き出し圧力が、予め設定する圧力範囲を超えた場合の、時間(前々回との時間間隔)を記憶しており、今回圧力検出部の検出する吐き出し圧力が、予め設定する圧力範囲を超えた際の時間(前回との時間間隔)が、前回(前々回との時間間隔)と比較して短い場合、すなわち頻度が増加している場合に、異常信号を出力するものである。
【0051】
給水装置の全体構成図と、制御装置の詳細な構成図は実施例1と同様であるので説明を割愛する。
【0052】
記憶部93には実施例1と同様にアドレス101、106、221、226に予めパラメータを設定する。加えて、アドレス101には、今回、演算部が、吐出し圧力DPAが、圧力下限設定DLL未満であり、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過している異常状態として異常警報を出力した際の、検出時間(前回との時間間隔)をTMDLとして記憶する。
【0053】
アドレス253には、前回、演算部91が、吐出し圧力DPAが、圧力下限設定DLL未満であり、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過している異常状態として異常警報を出力した際の、検出時間(前々回との時間間隔)をTMR1として記憶する。時間は時計機能などから算出するのでも、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過しているとして判断した際に記録と同時にリセット・再始動するタイマの値を用いても良い。
【0054】
図12は、本実施例における制御フローを示す。1つの例として、演算部91が、電動機温度に異常を認めた場合の制御フローを示す。
【0055】
ステップ3000で、演算部が現在の吐出し圧力DPAが、圧力下限設定DLL未満であるかを確認する。DPAがDLL未満である場合にはステップ3001に進み、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過しているか確認する。
【0056】
MTAがMHLを超過している場合にはステップ3002に進み、検出時間(時間間隔)TMDLが前回の時間(時間間隔)TMR1より短いか確認する。TMDLがTMR1より短い場合にはステップ3003に進み、TMDLをTMR1とし、すなわちTMDLを異常発生の最短の時間間隔に更新し、ステップ3005に進み、異常信号を出力する。
【0057】
ステップ3000でDPAがDLL以上である場合や、ステップ3001でMTAがMHL以下である場合、ステップ3001でTMDRがTMR1より長い場合には、ステップ3004に進み、異常信号を出力しない。
【0058】
上述のように、実際に機器の異常が発生している状態で、給水圧力が頻発傾向にある場合のみ警報信号、あるいは故障予兆信号を出力することで、過剰な警報・故障信号の発報を防ぎ、監視・管理を容易にする。
【0059】
本実施例では前回の値の比較としたが、比較の対象は前回に限らず、例えばアドレス253に前回の時間、アドレス253に前々回の時間を記憶するなど、複数回を記憶し、それら全て、あるいはそれらの平均値との比較としても良い。
【0060】
本実施例では電動機温度の上昇による異常信号の出力を示したが、実施例1と同様に、温度低下、あるいは電動機温度に限らず、負荷電流値、制御装置間の通信、圧力検出部、記憶部の異常についても、同様であることは自明であるので説明は省略する。
【実施例0061】
本発明の実施例4は、前回圧力検出部の検出する吐き出し圧力が、予め設定する圧力範囲を超えた場合の、前回の吐出し圧力を記憶しており、今回圧力検出部の検出する吐き出し圧力が、予め設定する圧力範囲を超えた際の吐出し圧力が、前回の吐出し圧力と比較して低い場合、すなわち給水状態が悪化している場合に、異常信号を出力するものである。
【0062】
給水装置の全体構成図と、制御装置の詳細な構成図は実施例1と同様であるので説明を割愛する。
【0063】
記憶部93には実施例1と同様にアドレス101、106、221、226に予めパラメータを設定する。加えて、アドレス201には、今回、演算部が、吐出し圧力DPAが、圧力下限設定DLL未満であり、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過している異常状態として異常警報を出力した際の、吐出し圧力をDPA1として記憶する。
【0064】
図13は、本実施例における制御フローを示す。1つの例として、演算部91が、電動機温度に異常を認めた場合の制御フローを示す。
【0065】
ステップ4000で、演算部91が現在の吐出し圧力DPAが、圧力下限設定DLL未満であるかを確認する。DPAがDLL未満である場合にはステップ4001に進み、電動機温度MTAが温度上限設定MHLを超過しているか確認する。
【0066】
MTAがMHLを超過している場合にはステップ4002に進み、吐出し圧力DPAが前回の吐出し圧力DPA1より低いか確認する。DPAがDPA1より短い場合にはステップ4003に進み、異常信号を出力する。ステップ4000でDPAがDLL以上である場合や、ステップ4001でDPAがDPA1以下である場合には、ステップ4004に進み、異常信号を出力しない。
【実施例0067】
本発明の実施例5は、予め設定したタイミングで、各機器の状態量が、前回の異常時の状態量として記憶されている値よりも、許容範囲を超えている度合が大きい場合、すなわち機器状態が悪化している場合に、異常信号を出力するものである。
【0068】
給水装置の全体構成図と、制御装置の詳細な構成図は実施例1と同様であるので説明を割愛する。
【0069】
図3は、記憶部93の揮発性メモリに都度記憶する制御パラメータである。
【0070】
アドレス100には吐出側圧力センサで検出した現在の吐出し圧力DPAを都度更新し、記憶する。アドレス107には現在の運転周波数FRAを記憶する。アドレス108には現在の負荷電流値の値AMAを記憶する。
【0071】
図4および図5は、記憶部93の不揮発性メモリに記憶された制御パラメータである。
【0072】
アドレス201には前回の吐出し圧力DPA1を記憶する。アドレス209には前回の負荷電流値AMA1を記憶し、アドレス283には状態確認周波数CFRSを記憶する。アドレス284には電流値の誤差許容範囲AMPLを記憶する。
【0073】
図14は、本実施例における制御フローを示す。1つの例として、前回と同じ吐出し圧力で運転している場合に、状態確認周波数になった際に、負荷電流値によって異常の有無を判断する場合の制御フローを示す。
【0074】
ステップ5000で、演算部91が現在の吐出し圧力DPAが、前回の吐出し圧力DPA1と一致しているかを確認する。DPAがDPA1と一致している場合にはステップ5001に進み、現在の周波数FRAがCFRSと一致しているか確認する。
【0075】
FRAがCFRSと一致している場合にはステップ5002に進み、現在の負荷電流値AMAが電流値の誤差許容範囲AMPLを超えていないか確認する。すなわちFRAが前回の負荷電流値AMA1にAMPLを加えて値より大きい、あるいはAMA1からAMPLを引いた値より小さいか確認する。
【0076】
許容範囲を超える場合にはステップ5003に進み、異常信号を出力する。ステップ5000でDPAがDPA1と一致しない場合や、ステップ5001でFRAがCRSと一致しない場合、ステップ5002でAMAがAMPLを超えていない場合には、ステップ5004に進み、異常信号を出力しない。
【0077】
吐出側圧力センサ42の検出値を基にポンプの吐出し側圧力を制御(例えば、吐出圧一定制御、推定末端圧一定制御)する場合には、常に吐出し圧力は一定値となるため、ステップ5001を省略できる。
【0078】
ポンプは同じ周波数(回転数、回転速度)で、同じ流量であれば、同じ圧力となり、また、同じ負荷電流値となることが知られている。回転数から推定される流量より、同流量・同圧力であるにも関わらず負荷電流値が変化しているのは羽根車などのポンプ内の機器に異常が生じていると推測され、それを検出できるものである。
【0079】
負荷電流値に限らず、電動機温度、制御装置間の通信、圧力検出部、記憶部の異常についても、前回の値および現在の値、誤差許容範囲を記憶しておくことで同様に実施できる。
【0080】
上記実施例によれば、給水装置において、機器の故障傾向と思われる事象の中でも、実際に給水圧力に影響を与える事象のみを警報・故障として信号を出力し、監視・管理を容易にすることができる。
【0081】
また、機器が故障傾向であると判断した場合にのみ警報・故障として信号を出力し、監視・管理を容易にすることができる。
【0082】
このように、上記実施例では、給水装置を簡易的に監視・管理することができ、断水や給水圧力の低下などを防ぎ、給水装置を快適に利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
11 1号機ポンプ
12 2号機ポンプ
21 1号機電動機
22 2号機電動機
41 流入側圧力センサ
42 吐出側圧力センサ
51 1号機インバータ
52 2号機インバータ
61 信号入力部
62 信号入力部
71 制御装置
81 1号機制御部
82 2号機制御部
91 演算部
92 操作部
93 記憶部
94 信号処理部
95 表示部
図1
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