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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176553
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/436 20110101AFI20241212BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N21/436
H04N21/442
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095141
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】仁木 雅也
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA17
5C164UB10S
5C164UB41P
5C164UB71P
5C164YA17
5C164YA19
5C164YA21
(57)【要約】
【課題】ユーザの負担増大を抑制しつつ、対応可能な映像フォーマットに関する情報を適切に映像源に転送可能な表示装置を提供する。
【解決手段】映像源から受信した映像を表示可能な表示装置であって、表示装置が映像源から受け付け可能なフォーマットに関する識別情報としての第1識別データと、第1識別データと異なる第2識別データのうちのいずれかを選択する選択部と、映像源から表示装置へ送信される映像信号に関する情報を分析する分析部と、選択部において選択された第1識別データまたは第2識別データを、映像源に対して読み出させる映像源制御部とを備え、選択部は、映像源との接続時には第1識別データを選択し、分析部における分析結果に基づいて第2識別データを選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像源から受信した映像を表示可能な表示装置であって、
前記表示装置が前記映像源から受け付け可能なフォーマットに関する識別情報としての第1識別データと、前記第1識別データと異なる第2識別データのうちのいずれかを選択する選択部と、
前記映像源から前記表示装置へ送信される映像信号に関する情報を分析する分析部と、
前記選択部において選択された前記第1識別データまたは前記第2識別データを、前記映像源に対して読み出させる映像源制御部と
を具備し、
前記選択部は、前記映像源との接続時には前記第1識別データを選択し、前記分析部における分析結果に基づいて前記第2識別データを選択する、表示装置。
【請求項2】
前記分析部は、前記映像源から前記映像信号と共に送信される同期信号に基づいて、前記映像信号が前記表示装置に対して適切であるか判定し、
前記選択部は、前記分析部において前記映像信号が適切でないと判定された際に、前記第2識別データを選択する、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記分析部は、前記同期信号と前記映像信号とに基づいて前記表示装置が映像を表示不可能な場合に、前記映像信号が適切でないと判定する、請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記分析部は、前記映像源から受信した前記映像信号の解像度に基づいて、前記映像信号が前記表示装置に対して適切であるか判定し、
前記選択部は、前記分析部において前記映像信号が適切でないと判定された際に、前記第2識別データを選択する、請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記分析部は、前記映像源から受信した前記映像信号の解像度が、前記第1識別データに含まれる解像度情報と一致しない場合に、前記映像信号が適切でないと判定する、請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記映像源に関する情報を検出する映像源情報検出部を更に備え、
前記選択部は、前記映像源情報検出部で検出された前記情報に基づいて、前記映像源が、過去に前記表示装置に接続されたものであると判定された際には、前記過去に接続された際に用いられた前記識別情報を選択する、請求項1乃至5いずれか1項記載の表示装置。
【請求項7】
前記映像源情報検出部は、前記識別情報が前記映像源によって読み出される前に、前記映像源に関する情報を要求する第1信号を前記映像源に送信する、請求項6記載の表示装置。
【請求項8】
前記選択部は、メモリとセレクタとを備え、
前記メモリは、前記第1識別データと前記第2識別データとを保持し、
前記セレクタが前記メモリから前記第1識別データを選択し、前記映像源制御部は前記第1識別データを前記映像源に対して読み出させ、
前記分析部は、前記映像源から送信された映像信号に関する情報を示す信号に基づいて、前記映像信号が前記表示装置に適切であるか判定し、適切でないと判定された場合に、前記セレクタが前記メモリから前記第2識別データを選択し、前記映像源制御部は前記第2識別データを前記映像源に対して読み出させる、請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1識別データ及び前記第2識別データは、機器固有の識別データであるEDID(Extended Display Identification Data)である、請求項1または8記載の表示装置。
【請求項10】
前記映像源制御部は、前記選択部において前記第2識別データが選択された際に、前記映像源に対して、前記第2識別データを読み出すよう促す第2信号を送信する、請求項1または8記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2信号は、HPD(Hot Plug Detect)信号である、請求項10記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像源としての映像送信装置(以下、ソース機器と呼ぶ)と、ソース機器から受信した映像を表示する映像受信装置(以下、シンク機器と呼ぶ)との間を接続するインターフェースとして、HDMI(登録商標、High Definition Multimedia Interface)が広く用いられている。ソース機器とシンク機器とをHDMIで接続した際、ソース機器はシンク機器からEDID(Extended Display Identification Data)を読み出す。このEDIDを読み出すことで、ソース機器は、シンク機器の性能(例えば解像度など)に適した映像信号をシンク機器に送信できる。
【0003】
この点、特許文献1には、シンク機器が映像・音声などを正常に再生できない場合に、ユーザのリモコン操作に基づいて、EDID内の映像・音声などに関する形式データを変更して、ソース機器に対して再度EDIDを読み出させる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-158220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に記載の構成であると、ソース機器からシンク機器に送信される映像信号が適切でない場合、シンク機器において違和感のある映像や音声が出力され、あるいは映像や音声が全く表示されない。そして、このような表示状況に基づいて、ユーザは何らかの不具合が生じていると判断し、リモコン操作を行う。
【0006】
このように、引用文献1記載の方法によるEDIDの変更は、ユーザによる不具合の発生に対する気付きと、それに基づくリモコン操作に委ねられている。したがって、ユーザが不具合にすぐに気づかない場合や、気づいたとしてもリモコン操作が求められ、ユーザの視聴環境としては好ましいものではない。
【0007】
本発明の一形態は、ユーザの負担増大を抑制しつつ、対応可能な映像フォーマットに関する情報を適切に映像源に転送可能な表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る表示装置は、映像源から受信した映像を表示可能な表示装置であって、表示装置が映像源から受け付け可能なフォーマットに関する識別情報としての第1識別データと、第1識別データと異なる第2識別データのうちのいずれかを選択する選択部と、映像源から表示装置へ送信される映像信号に関する情報を分析する分析部と、選択部において選択された第1識別データまたは第2識別データを、映像源に対して読み出させる映像源制御部とを備え、選択部は、映像源との接続時には第1識別データを選択し、分析部における分析結果に基づいて第2識別データを選択する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る映像表示システムのブロック図。
図2A】第1実施形態に係るEDIDの基本ブロックの構成を示す概念図。
図2B】第1実施形態に係るEDIDの拡張ブロックの構成を示す概念図。
図3】第1実施形態に係る映像表示システムのブロック図。
図4A】第1実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時の各種信号のタイミングチャート。
図4B】第1実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時のシンク機器及びソース機器の動作を示すシーケンス図。
図5A】第1実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時の各種信号のタイミングチャート。
図5B】第1実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時のシンク機器及びソース機器の動作を示すシーケンス図。
図6】第1実施形態に係るシンク機器の動作を示すフローチャート。
図7】第2実施形態に係る映像表示システムのブロック図。
図8A】第2実施形態に係る、ソース機器のベンダー名を取得するためのコマンドの構成を示す概念図。
図8B】第2実施形態に係る、ソース機器テーブルの概念図。
図9】第2実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時の各種信号のタイミングチャート。
図10】第2実施形態に係るシンク機器の動作を示すフローチャート。
図11】第3実施形態に係るシンク機器の動作を示すフローチャート。
図12】第4実施形態に係るシンク機器の動作を示すフローチャート。
図13】第1乃至第4実施形態の変形例に係るSPDパケットの概念図。
図14】第1乃至第4実施形態の変形例に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時の各種信号のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態に係る表示装置につき説明する。本実施形態は、シンク機器とソース機器とをHDMIで接続した際のEDIDのソース機器への転送方法に関する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る映像表示システムのブロック図であり、本実施形態に関わる主要な部分のみを図示している。図示するように映像表示システム1は、シンク機器10とソース機器20とを備えている。シンク機器10は、映像源としてのソース機器20から映像や音声情報を受信して表示する表示装置である。シンク機器10の例としては、例えばテレビ受像機、またはパーソナルコンピュータやデジタルサイネージなどに使用されるディスプレイ装置などであるが、これらに限定されるものではない。ソース機器20は、シンク機器10で表示される映像の映像源であり、シンク機器10に対して映像や音声情報を送信する映像送信装置である。ソース機器20の例としては、例えばパーソナルコンピュータ、ゲーム機器、あるいはHDR(Hard Disk Recorder)のような録画機器などであるが、これらに限定されるものではない。そしてシンク機器10とソース機器20との間はHDMIによって接続される。引き続き、シンク機器10及びソース機器20の詳細について説明する。
【0013】
まず、シンク機器10について説明する。図1に示すようにシンク機器10は、EDID送受信部11、EDIDデータ選択部12、EDIDバッファ13、映像同期信号分析部14、HPD制御部15、及びHDMI制御部16を備えている。
【0014】
EDIDデータ選択部12は、シンク機器10がソース機器20から受け付け可能な映像フォーマットに関する識別情報としての第1識別データと第2識別データのうちのいずれかを選択する選択部である。より具体的には、EDIDデータ選択部12は、セレクタ30とメモリ31とを備えている。
【0015】
メモリ31は、上記識別情報として、第1識別データと第2識別データを保持する。この識別情報は、例えば、機器固有の識別データであるEDIDである。メモリ31は第1識別データとしてEDID_Aを保持し、更に第2識別データとしてEDID_Bを保持する。本例においてEDID_A及びEDID_Bはそれぞれ、VESA(登録商標、Video Electronics Standards Association)規格に従ったEDID1.3(VESA E-EDID Standard Release A Revision 1)であり、それぞれがVESA規格に従った基本ブロックblock0(128バイト)と1つ(またはそれ以上)のCTA(Consumer Technology Association)拡張ブロックblock1(128バイト)を含む。そして、EDID_Aは、HDMI2.x規格(xはゼロまたは正の整数)で定義された機能が記載されている。他方でEDID_Bは、HDMI1.x規格で定義された機能が記載されている。EDIDの詳細については後述する。
【0016】
セレクタ30は、HDMI制御部16の命令に従って、メモリ31に保持されるEDID_A及びEDID_Bのいずれか一方を選択する。
【0017】
EDIDバッファ13は、セレクタ30で選択されたEDID_A及びEDID_Bのいずれか一方を一時的に保持する。
【0018】
EDID送受信部11は、ソース機器20からのEDID読み出し要求を受信する。そしてEDID送受信部11は、当該EDID読み出し要求に応答して、EDIDバッファに保持されているEDID_A及びEDID_Bのいずれか一方を、HDMIのDDC(Display Data Channel)ラインを介してソース機器20に転送する。
【0019】
映像同期信号分析部14は、ソース機器20からシンク機器10に送信される映像信号に関する情報を分析する分析部である。すなわち映像同期信号分析部14は、ソース機器20からシンク機器10に送信される映像の解像度とリフレッシュレートの情報を分析し、シンク機器10が映像を表示可能か否か判定する。
【0020】
すなわち、ソース機器20は、TMDS(Transmission Minimized Differential Signaling)/FRL(Fixed Rate Link)ラインを介して水平/垂直同期信号及びピクセルクロックを含む映像信号をシンク機器10に送信する。
【0021】
そして映像同期信号分析部14は、上記水平/垂直同期信号とピクセルクロックに基づいて、映像の解像度とリフレッシュレートを算出し、シンク機器10において映像が表示可能か否かを判定する。そして映像同期信号分析部14は、判定結果をHDMI制御部16に送信する。
【0022】
HDMI制御部16は、シンク機器10にソース機器20がHDMIによって接続された際には、セレクタ30に対してEDID_Aを選択させ、更にHPD制御部15にHPD信号(第2信号)をソース機器20に送信するよう命令する。またHDMI制御部16は、映像同期信号分析部14において、映像信号が適切でないと判定された際に、セレクタ30に対してEDID_Bを選択させ、更にHPD制御部15にHPD(Hot Plug Detect)信号の再送を命令する。つまり、セレクタ30は、映像同期信号分析部14における分析結果に基づいて、EDID_Bを選択する。
【0023】
なお本例では、映像同期信号分析部14が、映像信号がシンク機器10に対して適切であるか否かを判定する場合を例に説明する。しかし、映像同期信号分析部14は、同期信号が適切であるか否かのみを判定し、HDMI制御部16が、この判定結果に基づいて映像信号が適切であるか否かの判定を行なってもよい。このことは以下の実施形態でも同様である。
【0024】
HPD制御部15は、EDIDデータ選択部12において選択されたEDID_AまたはEDID_Bを、ソース機器20に対して読み出させる映像源制御部である。すなわちHPD制御部15は、HDMI制御部16の命令に従って、まずEDID_Aを読み出すよう促すHPD信号をソース機器20に送信し、更にEDIDデータ選択部12においてEDID_Bが選択された際には、EDID_Bを読み出すよう促すよう、再度HPD信号をソース機器20に送信する。
【0025】
次に、ソース機器20について説明する。ソース機器20は、前述の通りシンク機器10に対して映像や音声を出力する機器(映像源)である。ソース機器20は、HDMIを介してシンク機器10に接続されると、電源ラインを介してシンク機器10に対して例えば+5Vの電源電圧を供給する。更にソース機器20は、前述したHPD信号をシンク機器10から受信すると、シンク機器10からEDIDを読み出し、読み出したEDIDに基づいて、シンク機器10に最適な映像・音声信号を、TMDS(Transmission Minimized Differential Signaling)/FRL(Fixed Rate Link)ラインを介してシンク機器10に転送する。
【0026】
次に、上記説明したEDID_A及びEDID_Bの構成につき簡単に説明する。図2A及び図2BはEDID_A及びEDID_Bの保持する情報の概念図であり、図2Aは基本ブロックblock0を示し、図2BはCTA拡張ブロックblock1を示している。
【0027】
まず、図2Aを参照して基本ブロックblock0について説明する。基本ブロックblock0には、シンク機器10の最小限のスペックが記載されている。具体的には、図2Aに示すように基本ブロックblock0は、128バイトのデータのうちの先頭8バイトはHeaderであり、9バイト目以降のデータは、順に、Vender/Product ID(シンク機器識別用ID)、EDID Structure Version/Revision、Basic Display Parameters and Features(シンク機器の基本情報:ディスプレイサイズや対応機能等)、Color Characteristic(ディスプレイの色度情報)、Established Timings及びStandard Timing Identification(対応する映像信号情報)、Detailed Timing Description #1(対応する映像信号情報)、Detailed Timing Description #2~#4 or Monitor Descriptor(モニター名等)、Extension Flag(後続のCTA拡張ブロックの数)、及びCheck Sumである。
【0028】
上記のデータのうち、Detailed Timing Description #1及び#2が、シンク機器10の対応する解像度及びリフレッシュレートを示している。一般的にDetailed Timing Description #1がシンク機器10にとって優先度が最も高い。なお本明細書では、記載の簡略化のために、解像度とリフレッシュレートとの関係を、「解像度/リフレッシュレート」と表現する場合がある。
【0029】
次に、図2Bを参照してCTA拡張ブロックblock1について説明する。図示するように128バイトのデータのうちの先頭の4バイトはTag(“0X02”)やRevision Numberなどを含むCTA Extension Headerである。そしてCTA Extension Header以降は、、Data block collection、Detailed Timing Descriptorであり、最終アドレスはChecksumであり、最終のDetailed timing descriptorとChecksumとの間は“00h”で埋められている。
【0030】
上記のCTA拡張ブロックblock1において、Data block collectionに、シンク機器10が対応する映像・音声信号やHDMI機能(EDID_AならHDMI2.xに準拠した機能であり、EDID_BならHDMI1.xに準拠した機能)を示すためのData Blockが記載されている。
【0031】
次に、上記構成の映像表示システム1の動作につき、特にEDID転送時に着目して説明する。図3は、図1に示す映像表示システム1を簡略化して示す図であり、シンク機器10とソース機器20とをHDMIにより接続した際においてシンク機器10とソース機器20との間で送受信される信号について示している。
【0032】
図3に示されるように、シンク機器10とソース機器20とがHDMIにより接続されると、HDMIの電源ラインを介して、ソース機器20からシンク機器10に+5Vの電圧が転送される。するとシンク機器10では、+5Vの電圧が供給されたことに応答して、HDMI制御部16の命令により、HPD制御部15がHPD信号をソース機器20に出力する。ソース機器20は、HPD信号を受信したことに応答して、シンク機器10から、EDIDバッファ13に保持されているEDIDを読み出す。その後は、ソース機器20は、EDIDに基づいて、出力する映像フォーマットを決定し、決定された映像フォーマットで映像信号をシンク機器10に送信する。
【0033】
以下、上記動作につき、より詳細に説明する。本実施形態に係るシンク機器10は、一例として、HDMI2.x(例えばHDMI2.1)規格に対応したEDID_AとHDMI1.x(例えばHDMI1.4)規格に対応したEDID_Bとを保持している。そして初期状態(シンク機器10がソース機器20にHDMIで接続された直後の状態)では、HDMI制御部16はセレクタ30に対してEDID_Aを選択させる。よって、EDIDバッファ13にはEDID_Aが保持されている。
【0034】
この際、ソース機器20がHDMI2.x規格に対応しておらず、HDMI1.x規格に対応している場合、ソース機器20は、読み出したEDID_Aにおける一部の情報(HDMI2.x規格で定義された機能に関する情報)を正しく認識できず、EDID_Aの情報を誤認識する可能性がある。するとソース機器20は、シンク機器10で表示できない映像信号をシンク機器10に送信したり、またはシンク機器10において想定していない低解像度の映像信号をシンク機器10に送信したりする場合がある。そのため、本実施形態に係るシンク機器10は、映像同期信号分析部14における分析結果に基づいて、ソース機器20から送信される映像信号が適切か否か、換言すれば、ソース機器20がEDID_Aの情報を誤認識していないか否かを判定する。そしてソース機器20から送信される映像信号が適切でない場合、換言すれば、ソース機器20がEDID_Aを誤認識している場合、HDMI制御部16はセレクタ30に対してEDID_Bを選択させる。そしてHPD制御部15が再度HPD信号を送信することにより、ソース機器20に対してEDID_Bを読み出させる。
【0035】
まず、図4A及び図4Bを用いて、ソース機器20がHDMI2.x規格に対応している場合について説明する。図4Aは、シンク機器10とソース機器20との間で送受信される信号のタイミングチャートであり、図4Bは、シンク機器10とソース機器20との間での処理の流れを示すシーケンス図である。
【0036】
図示するように、時刻t1においてソース機器20がHDMIの電源をオンすることにより、電源ラインを介して+5Vをシンク機器10に供給する。すると、時刻t2においてシンク機器10のHPD制御部15が、HPD信号をオンする。すなわち、HPD制御部15がHPD信号を出力し、HPD信号が“L”レベルから“H”レベルとされる。HPD信号が“H”レベルとされたことをトリガとして、時刻t3においてソース機器20はシンク機器10からのEDID_Aの読み出しを開始する。EDIDの送受信には、DDCラインが使用される。
【0037】
ソース機器20はまず、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Aの1~128バイト目、すなわち基本ブロックblock0を読み出す。これによりソース機器20は、シンク機器10の最小限のスペック情報を得る。引き続きソース機器20は、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Aの129~256バイト目、すなわちCTA拡張ブロックblock1を読み出す。これにより、ソース機器20は、シンク機器10が8K/60Hzや4K/120Hz、4K/144Hzなどの映像信号に対応し、またHDMI2.xの機能を有することを認識する。
【0038】
ソース機器20は、CTA拡張ブロックblock1を読み出すことで、シンク機器10が、HDMI2.xに対応し、また8K/60Hz、4K/120Hz、及び4K/144Hzなどの映像に対応することを検知する。よってソース機器20は、時刻t5以降で、これらの解像度及びリフレッシュレート(例えば4K/144Hz)の映像信号及び音声信号を、TMDS/FRLラインを介してシンク機器10に送信する。またソース機器20は、これらの映像信号及び音声信号を、TMDS/FRLラインを介してシンク機器10に送信する。
【0039】
映像信号がシンク機器10に送信されると、映像同期信号分析部14は、例えば水平/垂直同期信号とピクセルクロックを分析し、受信した映像信号を再生可能か否か判定する。本例の場合には、ソース機器20はHDMI2.x規格に対応しており、EDMI_Aを正しく認識できる。したがって、EDID_AのCTA拡張ブロックblock1に記載の例えば4K/144Hzなどの映像信号をシンク機器10に送信する。そして、この映像信号は、シンク機器10において正しく再生可能な信号である。映像同期信号分析部14は、水平/垂直同期信号とピクセルクロックを分析することにより、このことを認識し、映像信号が再生可能である、換言すれば適切な映像信号を受信している、と判定し、判定結果をHDMI制御部16に送信する。
【0040】
HDMI制御部16は、映像同期信号分析部14の判定結果を受信すると、セレクタ30に対してEDID_Aを選択しつづけさせる。そしてシンク機器10は、リフレッシュレートが120Hzや144Hzの4K映像及び音声信号を再生する。
【0041】
次に、ソース機器20がHDMI2.xに対応しておらず、例えばHDMI1.4などのHDMI1.x規格に対応している場合について説明する。図5Aは、シンク機器10とソース機器20との間で送受信される信号のタイミングチャートであり、図5Bは、シンク機器10とソース機器20との間での処理の流れを示すシーケンス図であり、それぞれは上記説明した図4A及び図4Bに対応する。
【0042】
図示するように、時刻t1~t4までの動作は図4A及び図4Bで説明した通りである。但し、図4A及び図4Bの場合と異なる点は、ソース機器20がEDID_Aを正しく認識できない点にある。すなわち、本例の場合にはソース機器はHDMI2.x規格に対応しないので、HDMI2.x規格に対応するEDID_Aを正しく認識できない可能性がある。したがって、時刻t5においてソース機器20は、時刻t3~t4の期間で読み出したEDID_Aに基づいて映像信号、音声信号を、TMDS/FRLラインを介してシンク機器10に送信するが、この映像信号は、シンク機器10において映像を例えば表示できない解像度/リフレッシュレートの信号である。
【0043】
従って映像同期信号分析部14は、時刻t5~t6の期間にソース機器20から送信された映像信号は適切ではない、と判定し、この判定結果をHDMI制御部16に送信する。するとHDMI制御部16は、映像同期信号分析部14の判定結果に基づいて、HPD制御部15に対してHPD信号をオフするよう命令する。この結果、時刻t7において、HPD制御部15はHPD信号を“H”レベルから“L”レベルとする。HPD信号が“L”レベルとされたことによりソース機器20は、シンク機器10との接続が切断されたことを検知し、一時的にシンク機器10との信号の送受信を停止する。例えば、ソース機器20は、映像信号などのシンク機器10への送信を行わない。
【0044】
更にHDMI制御部16は、映像同期信号分析部14の分析結果に基づいて、セレクタ30に対して、EDID_Bを選択するよう命令する。この命令に応答してセレクタ30は、HDMI1.x規格に対応したEDID_Bを選択し、これをEDIDバッファ13に保持させる。そして、HDMI制御部16の命令により、HPD制御部15は、時刻t8において、再度HPD信号をオンする。すなわちHPD制御部15は、時刻t7でHPD信号を“H”レベルから“L”レベルとし、更に時刻t8において“L”レベルから“H”レベルとしてHPD信号を再送し、ソース機器20に対してEDID_Bを読み出させる。
【0045】
HPD信号が出力されたことに応じてソース機器20は、シンク機器10との再接続を検知し、シンク機器10からのEDIDの読み出しを再開する。すなわちソース機器20は、時刻t9~t10の期間において、シンク機器10からEDIDを読み出す。この際、読み出されるEDIDは、EDIDバッファ13に保持されているEDID_Bである。
【0046】
ソース機器20はまず、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Bの1~128バイト目、すなわち基本ブロックblock0を読み出す。引き続きソース機器20は、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Bの129~256バイト目、すなわちCTA拡張ブロックblock1を読み出す。これによりソース機器20は、シンク機器10がHDMI1.xに対応し、リフレッシュレートが30Hzの4K映像、または60HzのフルHD映像に対応していることを認識できる。よってシンク機器10は、は時刻t11以降において、HDMI1.xに対応し、4K/30HzまたはフルHD/60Hzの映像信号及び音声信号をシンク機器10に送信し、シンク機器10はこれを再生する。
【0047】
図6は、上記動作を実行する際のシンク機器10の処理の流れを示すフローチャートである。図示するように、まずステップS10において、HDMI制御部16の命令に従いセレクタ30がHDMI2.x規格に準拠したEDID_Aを選択し、これをシンク機器10の初期EDIDとしてEDIDバッファ13に設定する。ステップS11において、シンク機器10がソース機器20とHDMIにより接続される。より具体的には、前述の通りソース機器20から+5Vの電源電圧がシンク機器10に供給される。更にステップS12において、HPD制御部15がHDMI制御部16の命令に従ってHPD信号を出力する。ステップS13においてシンク機器10のEDIDバッファ13に保持されるEDIDが、DDCラインを介してソース機器20へ読み出される。ステップS14において、読み出したEDIDに従ってソース機器20が映像信号を送信し、シンク機器10がこれを受信する。
【0048】
ステップS15において映像同期信号分析部14は、ステップS14で受信した映像信号が、シンク機器10において表示可能な信号か否かを判定する。この判定は、前述の通り、例えば水平/垂直同期信号とピクセルクロックを分析することにより可能である。そしてステップS15において、映像信号が表示不可能な信号であった場合(ステップS15でNO)、ステップS19において、HDMI制御部16は、HPD制御部15に対してHPD信号をリセットさせる。更にステップS20においてHDMI制御部16は、セレクタ30に対してEDID_Bを選択させてEDIDバッファ13に保持させることで、シンク機器10のEDIDを、HDMI2.xに準拠したEDID_AからHDMI1.xに準拠したEDID_Bに変更する。そしてステップS12の処理に戻り、HPD制御部15がHPD信号の出力をセットし、ソース機器20に対してEDID_Bを読み出させる。このステップS19及びS20は、前述の図5A及び図5Bで説明したケースに相当する。
【0049】
ステップS15において、映像信号が表示可能な信号であった場合(ステップS15でYES)、ステップS16においてシンク機器10は、ステップS14で受信した映像信号に基づく映像を表示する。
【0050】
その後はステップS17において、ソース機器20との接続が切断される。そしてステップS18においてHDMI制御部16は、シンク機器10のEDIDを、必要に応じて(EDID_Bに変更されていた場合)、EDID_Aに戻す。
【0051】
上述したように、本実施形態では、シンク機器10のメモリ31に、HDMI規格において異なる機能に対応した2つのEDID(EDID_A及びEDID_B)が保持されている。映像同期信号分析部14は、ソース機器20から送信される映像信号に関する情報を分析し、セレクタ30は、映像同期信号分析部14の分析結果に基づいてEDID_Bを選択する。より具体的には、映像同期信号分析部14は、映像信号と共に送信される同期信号(例えば水平/垂直同期信号とピクセルクロック)に基づいて映像信号がシンク機器10に対して適切であるか否か、換言すれば、同期信号と映像信号とに基づいてシンク機器10が映像を表示可能であるか否かを判定する。そして、映像信号が適切でない場合、換言すればシンク機器10が映像を表示できない場合に、セレクタ30はEDID_Bを選択する。したがってソース機器20は、適切なフォーマットの映像情報をシンク機器10に送信できる。
【0052】
例えば図5Aの例において、時刻t9~t10におけるEDID_Bのソース機器20による読み出しが行われない映像表示システムの場合、ソース機器20は、EDID_Aに記載されたHDMI2.x規格に従った映像フォーマットの信号をシンク機器10に送信する。しかし、ソース機器20はHDMI2.x規格には準拠しておらず、HDMI1.x規格に準拠しているので、EDID_Aに記載されたHDMI2.x規格に関する情報を正しく認識することができない可能性がある。このように、ソース機器20がEDIDを誤認識した場合、ソース機器20は、シンク機器10では表示・再生できないフォーマット(例えば解像度やリフレッシュレート)で映像信号をシンク機器10に送信する場合がある。その結果、シンク機器10では、映像信号をソース機器20から受信しても映像を表示できず、シンク機器10のディスプレイに例えば「映像信号が入力されていません」等の警告メッセージが表示され、ユーザの使い勝手が低下する。
【0053】
しかし、本実施形態では、EDIDデータ選択部12のメモリ31には、HDMI2.x規格に対応するEDID_Aだけでなく、HDMI1.x規格に対応するEDID_Bが保持されている。さらに、映像同期信号分析部14によって映像信号が適切でないと判定された際には、EDID_Bが、シンク機器10のEDIDとして選択される。そして、シンク機器10は再度HPD信号を出力して、ソース機器20にEDID_Bを読み出させる。これにより、ソース機器20はEDIDを正しく認識することができ、HDMI1.x規格に従い、且つシンク機器10において再生可能なフォーマットの映像信号をシンク機器10に送信する。EDID_AからEDID_Bへの切り替えは、ユーザによるリモコン操作等を必要とせず、映像同期信号分析部14における映像信号の分析結果に応答して行われる。その結果、ユーザは、映像信号のフォーマットの切り替えが行われたことを認識することなく、また映像が表示されないことを通知されることなく、ソース機器20から受信した映像を視聴することができる。
【0054】
<第2実施形態>
次に、この発明の第2実施形態に係る表示装置について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態で説明した表示装置において、過去にHDMI接続されたソース機器と再度接続された際には、過去に用いたEDIDを選択するものである。以下では第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0055】
図7は、本実施形態に係る映像表示システムのブロック図である。図示するように、本実施形態に係るシンク機器10は、第1実施形態で説明した図1の構成において、ソース機器情報検出部17を更に備えている。
【0056】
ソース機器情報検出部17は、シンク機器10がソース機器20にHDMI接続された際に、ソース機器20に関する情報をソース機器20から取得する。一例としては、ソース機器情報検出部17は、ソース機器20に対して、ソース機器20に関する情報を要求する信号を送信し、この信号に応答してソース機器20から送信される情報を受信する。またソース機器20に関する情報は、例えばソース機器20のベンダー名及び/またはプロダクト名である。ソース機器情報検出部17は、これらの情報を取得すると、これをHDMI制御部16に送信する。
【0057】
更に、本実施形態に係るメモリ31は、EDID_A及びEDID_Bに加えて、ソース機器テーブルを保持している。ソース機器テーブルは、過去にHDMI接続されたシンク機器を特定可能な情報と、当該シンク機器接続時に使用したEDID(すなわちEDID_AまたはEDID_B)との関係を保持する。シンク機器を特定可能な情報は、例えば上記説明したソース機器情報検出部17で受信した、ソース機器20のベンダー名及び/またはプロダクト名である。なお、ソース機器テーブルは、メモリ31とは別のメモリに保持されていてもよい。
【0058】
HDMI制御部16は、シンク機器10にソース機器20がHDMI接続された際に、メモリ3からソース機器テーブルを読み出す。ソース機器テーブルがメモリ31内に存在しない場合には、ソース機器テーブルを生成する。そしてHDMI制御部16は、ソース機器情報検出部17から受信したソース機器20に関する情報、すなわちソース機器20のベンダー名及び/またはプロダクト名が、読み出したソース機器テーブルに記録されているか確認する。そして記録されている場合には、当該ソース機器20に対応して記録されているEDID(EDID_AまたはEDID_B)を選択するよう、セレクタ30に命令する。すなわち、ソース機器テーブルにソース機器20が記録されている場合には、当該ソース機器20に対応付けて記録されているEDIDを、シンク機器10のEDIDとして設定する。他方で、シンク機器10に接続されたソース機器20に関する情報がソース機器テーブルに記録されていない場合には、第1実施形態で説明した方法によりEDIDが選択され、HDMI制御部16は、選択されたEDIDと、当該ソース機器20に関する情報とを対応させて、ソース機器テーブルに記録し、メモリ31に保持させる。
【0059】
その他の構成は、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0060】
上記構成において、ソース機器情報検出部17は、ソース機器20に関する情報を読み出すためのコマンドとして、CEC(Consumer Electronics Control)ラインを用いてソース機器20に情報を要求するコマンド(Give Vendor Command)を利用できる。図8Aは、High-Definition Multimedia Specificationに定義されたGive Vendor Commandの概要を示している。
【0061】
図示するように、コマンドのOpcodeとしてGive Device Vendor IDのセットされたGive Vendor Commandを受信することで、ソース機器20は、当該ソース機器20に割り当てられたDevice Vendor IDをシンク機器10に返す。Device Vendor IDは、ベンダー毎に割り当てられた特有のIDであり、この情報を受信することにより、シンク機器10のHDMI制御部16はソース機器20のベンダー名を認識することができる。なお、Give Vendor CommandのOpcodeとして、Vendor Command、Vendor Command with ID、及びVendor Remote Button Downをセットすることで、図8Aに示すようなVendorの詳細情報を得ることができる。
【0062】
図8Bは、メモリ31に保持されるソース機器テーブルの概念図である。図示するようにソース機器テーブルには、過去にシンク機器10に接続されたソース機器20のベンダー名を示すDevice Vendor IDと、それに対応して用いられたEDIDとが記録されている。例えば図8Bの例であると、過去にDevice Vendor IDが“0x0001”に対応するベンダー名のソース機器20がシンク機器10に接続されたことがあり、その際にはEDID_Aが用いられ、Device Vendor IDが“0x002F”に対応するベンダー名のソース機器20にはEDID_Bが用いられ、Device Vendor IDが“0x0800”に対応するベンダー名のソース機器20にはEDID_Aが用いられたことが分かる。
【0063】
以下、上記動作につき、より詳細に説明する。図9は、シンク機器10にソース機器20がHDMI接続された際の各種信号のタイミングチャートであり、第1実施形態で説明した図4A及び図4Bに対応する。
【0064】
図示するように、時刻t1においてソース機器20が電源ラインを介して+5Vをシンク機器10に供給し、時刻t2においてシンク機器10のHPD制御部15が、HPD信号をオンする。すると、本例では、ソース機器20がEDIDを読みだす前の時刻t3において、シンク機器10のソース機器情報検出部17が、例えば上記説明したGive Vendor Commandを発行し、CECラインを介してソース機器20に送信する。すると、時刻t5においてソース機器20は、Give Vendor Commandに応答して、CECラインを介してDevice Vendor IDをシンク機器10に送信する。
【0065】
Device Vendor IDを受信したソース機器情報検出部17は、これをHDMI制御部16に送信する。そしてHDMI制御部16は、メモリ31からソース機器テーブルを読み出し、シンク機器10がソース機器テーブルに登録されているか確認する。本例の場合、受信したDevice Vendor IDがソース機器テーブルに登録されており、対応するEDIDがEDID_Bであったとする。するとHDMI制御部16は、セレクタ30に対してEDID_Bを選択させる。
【0066】
その後の動作は、図5Aで説明した時刻t9と同様である。すなわち、図9に示すように、時刻t7~t8の期間において、ソース機器20はEDID_Bを読み出し、時刻t11において、TMDS/FRLラインを介してHDMI1.xで定義された解像度の映像信号をシンク機器10に送信する。
【0067】
なお、時刻t5で受信したDevice Vendor IDがソース機器テーブルに登録されていない場合には、時刻t7以降において、第1実施形態において図5Aで説明した時刻t3以降の動作が実行される。
【0068】
図10は、上記動作を実行する際のシンク機器10の処理の流れを示すフローチャートである。第1実施形態で説明した図5と異なる点は以下の通りである。すなわち、
・ステップS12の後、ステップS30において、シンク機器10のソース機器情報検出部17がソース機器20の情報を読み出す。
・ステップS30の後、ステップS31において、HDMI制御部16が、ステップS30で読み出した情報と、ソース機器テーブル内の情報に基づいて、ステップS11で接続されたソース機器20が初めてシンク機器10に接続するソース機器であるかを判定する。
・ステップS31において、初めてシンク機器10に接続するソース機器ではなく、過去に接続されたソース機器であると判定された場合(ステップS31においてNO)、ステップS32においてHDMI制御部16は、セレクタ30に対して、前回の接続時と同じEDIDを選択するよう命令する。
・ステップS32の後、ステップS13及びS14と同様に、ソース機器20がシンク機器のEDIDを読み出し、映像信号をシンク機器10に送信し、ステップS16の処理に進む。
・ステップS31において、初めてシンク機器10に接続するソース機器であると判定された場合(ステップS31においてYES)には、第1実施形態と同様にステップS15以降の処理を行う。
【0069】
本実施形態によれば、シンク機器10は、ソース機器20と初めてHDMI接続を行った際に、当該ソース機器の情報(例えばベンダー名やプロダクト名)と、使用したEDIDをソース機器テーブルに保持する。そして、ソース機器20との接続時には、ソース機器20によるEDIDの読み出し前に、当該ソース機器が、過去にHDMI接続を行ったことがあるか否かを、ソース機器情報検出部17で読み出した情報とソース機器テーブル内の情報とに基づいて判断し、過去にHDMI接続が行われたことが登録されていれば、その際に使用したEDIDを、シンク機器10のEDIDとして設定する。
【0070】
これによりシンク機器10は、ソース機器20からのEDIDの読み出しや映像信号の送信を待つことなく、ソース機器20に適切なEDIDを設定できる。これにより、同じソース機器20との2回目以降におけるHDMI接続時における接続時間を短縮できる。
【0071】
<第3実施形態>
次に、この発明の第3実施形態に係る表示装置について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態で説明した表示装置において、EDIDがソース機器20に対して適切であるか否かを、ソース機器20から送信された映像信号がシンク機器10の想定した信号でるかに基づいて判断するものである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0072】
本実施形態に係るシンク機器10の構成及び動作は、第1実施形態とほぼ同様である。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、映像同期信号分析部14における分析方法である。本実施形態に係る映像同期信号分析部14は、図5Aで説明した時刻t5~t6において、ソース機器20から受信した映像信号の解像度及び/またはリフレッシュレートが、シンク機器10の想定している値であるか否かを判定する。
【0073】
図2A及び図2Bで説明したように、EDID_Aの基本ブロックblock0のDetailed Timing Description #1~#2及びCTA拡張ブロックblock1のData block collectionには、シンク機器10の対応可能な解像度及び最大リフレッシュレートが記載されている。したがって映像同期信号分析部14は、ソース機器20から映像信号を受信し、受信した映像信号の解像度が適切であるか否かを、EDID_Aに記載されている解像度に基づいて判定する。より具体的には、受信した映像信号の解像度及び/またはリフレッシュレートが、EDID_Aに記載されていない場合、または記載されているが最低限の解像度/リフレッシュレート、例えばVGA(640×480)であった場合に、受信した映像信号が適切でない判定し、その結果をHDMI制御部16に送信する。その他の動作は第1実施形態と同様である。
【0074】
図11は、シンク機器10にソース機器20が接続された際のシンク機器10の処理の流れを示すフローチャートである。第1実施形態で説明した図5と異なる点は、ステップS15の代わりにステップS40において、映像同期信号分析部14が、ソース機器20から受信した映像信号が、シンク機器10の想定している信号であるか否かを判定する点である。この判定方法は、上記した通り、映像信号の解像度及び/またはリフレッシュレートと、EDID_Aに記載されている解像度及び/またはリフレッシュレートに基づく。そして、映像信号が、シンク機器10の想定している信号であればステップS16の処理に進み、そうでなければステップS19に進み、シンク機器10のEDIDはEDID_AからEDID_Bに切り替えられ、ソース機器20は再度EDIDをシンク機器10から読み出す。
【0075】
上記のように、ソース機器20から受信した映像信号がシンク機器10に適切であるか否か、換言すれば、EDID_Aがソース機器20に適切であるか否かは、第1実施形態で説明した通り、受信した映像信号の解像度及び/またはリフレッシュレートに基づいて判断することができる。また、ソース機器20がEDIDを誤認識して適切でない映像信号をシンク機器10に送信した場合、必ずしも表示が不可能とはならず、例えばVGAなどの非常に解像度の低い、ユーザ(シンク機器)の想定していない低画質の映像が表示される場合があるが、本実施形態によればこのような事態の発生を抑制できる。
【0076】
<第4実施形態>
次に、この発明の第4実施形態に係る表示装置について説明する。本実施形態は、上記第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせたものである。以下では、第2実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0077】
本実施形態に係るシンク機器10の構成及び動作は、第2実施形態とほぼ同様である。本実施形態が第2実施形態と異なる点は、第3実施形態と同様に、映像同期信号分析部14が、ソース機器20から受信した映像信号の解像度及び/またはリフレッシュレートが、シンク機器10の想定している値であるか否かを判定する。判定方法は、第3実施形態と同様である。
【0078】
図12は、シンク機器10にソース機器20が接続された際のシンク機器10の処理の流れを示すフローチャートである。第2実施形態で説明した図10と異なる点は、ステップS15の代わりにステップS40において、映像同期信号分析部14が、ソース機器20から受信した映像信号が、シンク機器10の想定している信号であるか否かを判定する点であり、第3実施形態で説明した通りである。
【0079】
上記のように、第3実施形態で説明した、ソース機器20から受信した映像信号がシンク機器10に適切であるか否か、換言すれば、EDID_Aがソース機器20に適切であるか否かの判定方法は、第2実施形態にも適用できる。
【0080】
<変形例など>
上記説明した実施形態は一例に過ぎず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ソース機器20から受信した映像信号がシンク機器10に適切であるか否か、換言すれば、EDID_Aがソース機器20に適切であるか否かの判定方法として、第1、第2実施形態では映像信号が再生・表示可能か否かを解像度及び/またはリフレッシュレートに基づいて判定する場合につき説明した。また第3、第4実施形態では、映像信号の解像度及び/またはリフレッシュレートがEDIDに記載されているか、または優先度が所定の優先度よりも高いか否かに基づいて判定する方法について説明した。しかし判定方法はこれらに限らず、シンク機器10とEDID_Aとの関係が適切であるか否かを判定できる方法であれば限定されない。
【0081】
また、第2実施形態においては、ソース機器20の情報を得るための方法として、Give Vendor Commandを用いる場合を例に説明した。しかし、過去にシンク機器10にHDMI接続したことのあるソース機器20であるか否かを判定できる情報を得られる方法であれば限定されない。例えばベンダー名及びプロダクト名を得る方法としては、SPD(Source Product Description)パケットを利用してもよい。SPDパケットは映像信号と共にTMDS/FRLラインを介してソース機器20からシンク機器10に送信される。図13は、SPDパケットの保持する情報の概略を示す。図示するように、SPDパケットの1~8バイト目にはソース機器20のベンダー名が保持され、9~24バイト目にはプロダクト名が保持される。したがって、シンク機器10はSPDパケットを分析することで、ソース機器20が過去に接続されたことがあるか否かを判定できる。
【0082】
図14は、第1実施形態で説明した図5に対応する各種信号のタイミングチャートである。図示するように、第1実施形態と異なる点は、例えば映像同期信号分析部14またはソース機器情報検出部17が、時刻t5~t6において映像信号を受信し、当該映像信号に含まれるSPDパケットを分析する。そして、SPDパケットを分析して得られたベンダー名及びプロダクト名と、ソース機器テーブルに登録されている情報とに基づいて、当該ソース機器20が過去にHDMI接続されたことのある機器かを判定する。すなわち、第1及び第3実施形態において、映像信号が適切であるか否かの判定をSPDパケットの保持する情報に基づいて行うことができる。
【0083】
また、上記実施形態では、CTA拡張ブロックが1つの場合を例に説明したが、CTA拡張ブロックblock1及びblock2の2つ以上用意されている場合であってもよい。そして、CTA拡張ブロックblock2内において、EDID_Aがソース機器20に対して適切であるか否かの判定に使用できる情報が含まれていれば、当該情報を利用してもよい。更に上記実施形態では、一例としてEDID_A及びEDID_Bの両方がEDID1.4の場合を例に説明したが、例えばEDID_AがEDID1.4に準拠し、EDID_BがEDID1.0に準拠する場合であってもよいし、両方がEDID1.0に準拠する場合であってもよい。
【0084】
更に上記実施形態では、EDIDとして2つのEDID_A及びEDID_Bをメモリ31が保持する場合を例に説明した。しかし、3つ以上のEDIDが保持される場合であってもよい。例えばHDMI2.1規格に対応したEDID_A、HDMI2.0規格に対応したEDID_B、HDMI1.4規格に対応したEDID_C、及びHDMI1.3規格に対応したEDID_Dなど、HDMIの規格に細かく対応したEDIDを用意していてもよい。
【0085】
また上記実施形態では、メモリ31に予め2つのEDID_A及びEDID_Bが保持される場合を例に説明した。しかし、メモリ31がEDID_Bを保持しない場合であってもよい。この場合、例えば図6のステップS20でEDIDを変更する必要が生じた場合には、HDMI制御部16がメモリ31からEDID_Aを読み出し、EDID_Aに基づいてEDID_Bを生成し、これをEDIDバッファ13に保持させてもよい。この場合にはセレクタ30は不要である。
【0086】
更に、上記実施形態ではシンク機器10とソース機器20とがHDMIで接続され、その際にソース機器20によって読み出されるEDIDの例について説明した。しかし、上記実施形態はHDMIのEDIDに限定されるものではない。すなわち、複数の機器が有線または無線によって接続され、且つ少なくとも一方の機器が他方の機器から情報を読み出す際に、機器によって対応可能なデータが制限されているようなケース全般に適用できる。すなわち、情報が読み出される機器側においては、読み出されるべきデータを、例えば規格や性能毎に複数用意しておき、上記実施形態で説明した方法を用いて適切なデータが読み出されるようにすればよい。
【0087】
上記では、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上述した形態に限定されるものではなく、適宜変形可能である。そして上記の構成は、実質的に類似の構成、類似の作用効果を奏する構成または類似の目的を達成できる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0088】
1…映像表示システム、10…シンク機器、11…EDID送受信部、12…EDIDデータ選択部、13…EDIDバッファ、14…映像同期信号分析部、15…HPD制御部、16…HDMI制御部、17…ソース機器情報検出部、20…ソース機器
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14