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特開2024-176556作業支援システム、ヘッドマウントディスプレイ、および、作業支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176556
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】作業支援システム、ヘッドマウントディスプレイ、および、作業支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241212BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20241212BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20241212BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241212BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20241212BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06T7/70 A
G06T19/00 600
G06Q50/04
G09B9/00 Z
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095145
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 裕介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 亮平
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA09
5B050BA13
5B050BA18
5B050BA20
5B050CA01
5B050DA01
5B050EA07
5B050EA19
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5E555AA07
5E555BA02
5E555BA82
5E555BB02
5E555BC18
5E555CA42
5E555CB65
5E555CB74
5E555CC01
5E555DA08
5E555DA09
5E555DB18
5E555DB51
5E555DB53
5E555DC09
5E555DC14
5E555DC84
5E555DD06
5E555DD08
5E555EA14
5E555EA22
5E555FA00
5L049CC03
5L050CC03
5L096DA01
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】モニタを用いずに、作業を支援することを可能とする。
【解決手段】機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得する設定情報取得部101と、基準位置を特定する基準位置特定部102と、機種を特定する機種特定部103と、作業者の視線の位置を検出する視線位置検出部104と、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、視線位置検出部104により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する視線位置判定部106と、視線位置判定部106により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う作業状況報知部108とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得する設定情報取得部と、
基準位置を特定する基準位置特定部と、
機種を特定する機種特定部と、
作業者の視線の位置を検出する視線位置検出部と、
前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、前記視線位置検出部により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する視線位置判定部と、
前記視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う作業状況報知部と
を備えた作業支援システム。
【請求項2】
作業箇所は、締め付け対象である箇所である
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援システム。
【請求項3】
トルクアップ信号を取得する信号取得部を備え、
前記作業状況報知部は、前記信号取得部によりトルクアップ信号が取得された際に、前記視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、前記ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、作業箇所が正しくない可能性がある旨を示す表示を行う
ことを特徴とする請求項2記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記作業状況報知部は、前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づいて、前記ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、現在の作業箇所を示す表示を行う
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記視線位置判定部により視線の位置が正常であると判定された場合、当該視線の位置が示された画像を取得し、当該画像を送信する画像送信部と、
前記画像送信部により送信された画像を取得し、当該画像を記憶装置に保存する画像保存部とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援システム。
【請求項6】
締め付け作業が完了した場合、トレーサビリティデータが含まれる作業ログを作成し、当該作業ログを送信する作業ログ送信部と、
前記作業ログ送信部により送信された作業ログを取得し、当該作業ログを記憶装置に保存するログ保存部とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の作業支援システム。
【請求項7】
機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得する設定情報取得部と、
基準位置を特定する基準位置特定部と、
機種を特定する機種特定部と、
作業者の視線の位置を検出する視線位置検出部と、
前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、前記視線位置検出部により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する視線位置判定部と、
前記視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、自機が有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う作業状況報知部と
を備えたヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
設定情報取得部が、機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得するステップと、
基準位置特定部が、基準位置を特定するステップと、
機種特定部が、機種を特定するステップと、
視線位置検出部が、作業者の視線の位置を検出するステップと、
視線位置判定部が、前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、前記視線位置検出部により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定するステップと、
作業状況報知部が、前記視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行うステップと
を有する作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業者による作業を支援する作業支援システム、ヘッドマウントディスプレイ、および、作業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者による作業を支援する作業支援システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、トルクレンチを用いた締め付け作業では、締め付けのバランスをとる必要があるため、複数の締め付け対象である箇所に対して、締め付けを行う順番が決められている。そこで、締め付け作業を支援する従来の締め付け作業支援システムでは、トルクレンチの端部にARマーカが取り付けられ、締め付け作業が行われる領域を撮影するカメラと、締め付け作業に関する表示を行うモニタとが設けられている。そして、この締め付け作業支援システムでは、カメラにより撮影された画像から、ARマーカの位置を検出し、当該ARマーカの位置が現在の締め付け対象である箇所に位置しているかを判定することで、締め付けの良否を判定する。ここで、締め付け作業支援システムは、上記締め付けが誤っていると判定した場合には、モニタ上に当該締め付けが誤っている旨を示す表示を行う。そして、締め付け作業支援システムは、締め付けを行う順番に従って、上記の判定を繰り返すことで、指定された締め付け対象である箇所に対し、指定された順番で、締め付け作業が行われたかを判定することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-61566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の締め付け作業支援システムでは、モニタを用いて締め付け作業の支援を行っている。しかしながら、この場合、作業者は、モニタを確認しつつ、締め付け作業を行う必要があるため、煩雑である。また、締め付け作業以外の作業の支援を行う従来の作業支援システムについても同様のことがいえる。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、モニタを用いずに、作業を支援することが可能となる作業支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る作業支援システムは、機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得する設定情報取得部と、基準位置を特定する基準位置特定部と、機種を特定する機種特定部と、作業者の視線の位置を検出する視線位置検出部と、設定情報取得部により取得された設定情報、基準位置特定部により特定された基準位置、および、機種特定部により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、視線位置検出部により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する視線位置判定部と、視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う作業状況報知部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、上記のように構成したので、モニタを用いずに、作業を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る締め付け作業支援システムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係るヘッドマウントディスプレイの構成例を示す図である。
図3】実施の形態1に係るサーバの構成例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る締め付け作業支援システムの動作例を示すタイムチャートである。
図5】実施の形態1に係る締め付け作業支援システムの動作例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る締め付け作業支援システムの動作例を示す図である。
図7図7A図7Bは、実施の形態1に係るヘッドマウントディスプレイおよびサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る締め付け作業支援システムの構成例を示す図である。すなわち、以下では、作業支援システムが、作業者に対して、トルクレンチ4を用いた締め付け作業を支援するための締め付け作業支援システムである場合を示す。
この締め付け作業支援システムは、図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ1、サーバ2、受信機3、および、トルクレンチ4を備えている。
【0011】
ヘッドマウントディスプレイ1は、作業者が装着するデバイスであって、当該作業者に対して、トルクレンチ4による締め付け作業を支援するデバイスである。このヘッドマウントディスプレイ1は、上記作業者の視線の位置およびサーバ2により受信されたトルクアップ信号に基づいて、当該視線の位置が正常ではないと判定した場合に当該正常ではない旨を示す表示を行うことで、トルクレンチ4を用いた締め付け作業を支援する。
なお、トルクアップ信号は、トルクレンチ4による締め付けを示す信号である。このトルクアップ信号には、例えば、トルクレンチ4を識別可能とする情報、および、当該トルクレンチ4による締め付けの日時を示す情報が含まれる。
【0012】
このヘッドマウントディスプレイ1は、作業者が装着し、作業者の視野上に画面を重畳して表示可能なディスプレイであればどのようなディスプレイでもよく、例えば、MR(Mixed Reality)デバイス、AR(Augmented Reality)グラス、または、VR(Virtual Reality)グラスが挙げられる。
このヘッドマウントディスプレイ1の構成例については、後述する。
【0013】
サーバ2は、ヘッドマウントディスプレイ1および受信機3との間で通信を行うことで、トルクレンチ4を用いた締め付け作業を管理する情報処理装置である。このサーバ2は、受信機3により受信されたトルクアップ信号を受信する。このサーバ2は、例えばPCである。
このサーバ2の構成例については、後述する。
【0014】
受信機3は、トルクレンチ4からトルクアップ信号を受信する。
【0015】
トルクレンチ4は、作業者が作業の際に用いる工具である。このトルクレンチ4は、受信機3に接続され、作業者による締め付け作業に応じてトルクアップ信号を生成し、当該トルクアップ信号を受信機3に送信する。
【0016】
次に、実施の形態1におけるヘッドマウントディスプレイ1の構成例について、図2を参照しながら説明する。
実施の形態1におけるヘッドマウントディスプレイ1は、図2に示すように、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、視線位置検出部104、信号取得部105、視線位置判定部106、通知送受信部107、作業状況報知部108、画像送信部109、および、作業ログ送信部110を備えている。
【0017】
設定情報取得部101は、設定情報を取得する。
この際、例えば、設定情報取得部101は、サーバ2に対して取得要求を行うことで、当該サーバ2から設定情報を取得する。または、設定情報取得部101は、ヘッドマウントディスプレイ1の内部に保持されている設定情報を取得してもよい。
なお、設定情報には、例えば、機種ごとの、1つ以上の締め付け対象である箇所の座標を示す情報が含まれている。この締め付け対象である箇所の座標は、基準位置に対する相対的な座標である。
【0018】
また、機種に対応付けられた締め付け対象である箇所が複所存在する場合には、設定情報に、締め付け箇所の締め付け順序を示す情報が付加されている。
【0019】
基準位置特定部102は、基準位置を特定する。
この際、例えば、基準位置特定部102は、作業者が作業を行うための作業台などに取り付けられたQRマーカを検出し、当該QRマーカの位置を基準位置として特定する。
【0020】
機種特定部103は、機種を特定する。
この際、例えば、機種特定部103は、作業指示書などに付された2Dコードを検出し、当該2Dコードから機種を特定する。
【0021】
視線位置検出部104は、作業者の視線の位置を検出する。
この際、例えば、視線位置検出部104は、アイトラッキングにより作業者の視線の位置を検出する。
【0022】
信号取得部105は、サーバ2からトルクアップ信号を取得する。
【0023】
視線位置判定部106は、視線位置検出部104により検出された視線の位置に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する。
この際、視線位置判定部106は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づく現在の締め付け箇所と、視線位置検出部104により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する。すなわち、視線位置判定部106は、視線の位置が現在の締め付け箇所に対して閾値以内であるかを判定することで、当該視線の位置が正常であるかを判定する。閾値は適宜設定可能である。
【0024】
通知送受信部107は、サーバ2との間で通知の送受信を行う。
例えば、通知送受信部107は、機種特定部103により特定された機種に基づいて、作業開始通知をサーバ2に送信する。この作業開始通知には、例えば、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報、および、機種を示す情報が含まれる。
【0025】
また、例えば、通知送受信部107は、サーバ2から画像の保存完了通知を受信する。
また、例えば、通知送受信部107は、サーバ2から作業ログの保存完了通知を受信する。
【0026】
作業状況報知部108は、締め付け作業の状況を示す表示を行う。
この作業状況報知部108は、視線位置判定部106により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う。
この際、例えば、作業状況報知部108は、視線位置判定部106による判定結果に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、視線の位置と現在の締め付け対象である箇所との遠近を示す表示を行ってもよい。
【0027】
また、作業状況報知部108は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置および機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在の締め付け対象である箇所を示す表示を行ってもよい。
この際、例えば、まず、作業状況報知部108は、上記設定情報から上記機種と同一の機種を検索し、当該検索した機種に対応付けられた現在の締め付け対象である箇所の座標を示す情報を抽出する。そして、作業状況報知部108は、上記抽出した情報が示す座標および上記基準位置に基づく上記画面上の位置に、現在の締め付け対象である箇所を示す表示を行う。
【0028】
なお、機種に対応付けられた締め付け対象である箇所が複数存在する場合には、作業状況報知部108は、締め付け対象である箇所の締め付け順序に従い、締め付け作業が完了する度(例えば通知送受信部107により画像の保存完了通知が受信される度)に、次の締め付け対象である箇所に切り替えながら上記表示を行う。
【0029】
また、作業状況報知部108は、視線位置検出部104により検出された視線の位置に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該視線の位置を示す表示を行ってもよい。
【0030】
また、作業状況報知部108は、設定情報取得部101により取得された設定情報および機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在の締め付け対象である箇所の番号を示す表示を行ってもよい。
【0031】
また、作業状況報知部108は、締め付け対象である箇所に対する締め付け作業が完了した場合(例えば通知送受信部107により画像の保存完了通知が受信された場合)、設定情報取得部101により取得された設定情報および機種特定部103により特定された機種に基づいて、当該締め付け作業が完了した旨を示す報知を行ってもよい。この際、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に上記締め付け作業が完了した旨を示す表示を行ってもよいし、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記締め付け作業が完了した旨を示す音声出力を行ってもよい。
【0032】
また、作業状況報知部108は、信号取得部105によりトルクアップ信号が取得された際に、視線位置判定部106により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、作業箇所が正しくない可能性がある旨を示す表示を行ってもよい。
さらに、この際、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記作業箇所が正しくない可能性がある旨を示す音声出力を行ってもよい。
【0033】
画像送信部109は、視線位置判定部106により視線の位置が正常であると判定された場合、当該視線の位置が示された画像を取得し、当該画像をサーバ2に送信する。なお、上記画像には、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報が付加される。
この際、例えば、画像送信部109は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面に表示された画像であって、上記視線位置判定部106による判定で用いられた視線の位置が示された画像を取得する。
【0034】
また、画像送信部109は、視線位置判定部106により視線の位置が正常ではないと判定された場合にも、当該視線の位置が示された画像を取得し、当該画像をサーバ2に送信してもよい。
【0035】
作業ログ送信部110は、締め付け作業が完了した場合、トレーサビリティデータが含まれる作業ログを作成し、当該作業ログをサーバ2に送信する。トレーサビリティデータとしては、例えば、作業者を識別可能な情報、作業に要した時間を示す情報、および、やり直し回数を示す情報などが挙げられる。なお、上記作業ログには、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報が付加される。
【0036】
なお、図2では、画像送信部109および作業ログ送信部110がヘッドマウントディスプレイ1(締め付け作業支援システム)に設けられた場合を示した。しかしながら、画像送信部109および作業ログ送信部110はヘッドマウントディスプレイ1(締め付け作業支援システム)に必須の構成ではなく、画像送信部109および作業ログ送信部110はヘッドマウントディスプレイ1(締め付け作業支援システム)に設けられていなくてもよい。
【0037】
次に、実施の形態1におけるサーバ2の構成例について、図3を参照しながら説明する。
実施の形態1におけるサーバ2は、図3に示すように、設定情報送信部201、信号連携部202、通知送受信部203、画像保存部204、および、ログ保存部205を有している。
【0038】
設定情報送信部201は、ヘッドマウントディスプレイ1からの取得要求を検出し、当該取得要求に応じて設定情報を当該ヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
【0039】
信号連携部202は、受信機3からトルクアップ信号を受信し、当該トルクアップ信号をヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
なお、サーバ2は、事前に、作業者が用いるヘッドマウントディスプレイ1およびトルクレンチ4を示す情報を保持し、信号連携部202はこの情報に基づいて上記トルクアップ信号を該当するヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
【0040】
通知送受信部203は、ヘッドマウントディスプレイ1との間で通知の送受信を行う。
例えば、通知送受信部203は、画像保存部204により画像の保存が完了した場合、画像の保存完了通知を、当該画像の送信元であるヘッドマウントディスプレイ1に送信する。なお、通知送受信部203は、画像保存部204により画像の保存に失敗した場合には、その旨を示す通知を上記ヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
また、例えば、通知送受信部203は、ログ保存部205により作業ログの保存が完了した場合、作業ログの保存完了通知を、当該作業ログの送信元であるヘッドマウントディスプレイ1に送信する。なお、通知送受信部203は、ログ保存部205により作業ログの保存に失敗した場合には、その旨を示す通知を上記ヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
また、例えば、通知送受信部203は、ヘッドマウントディスプレイ1から作業開始通知を受信する。
【0041】
画像保存部204は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画像送信部109により送信された画像を取得し、当該画像をサーバ2の内部または外部に設けられた記憶装置(不図示)に保存する。
この際、例えば、画像保存部204は、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能な情報に基づいて、上記画像を、通知送受信部203により受信された作業開始通知が示す機種を示す情報と対応付けて、記憶装置に保存する。
【0042】
ログ保存部205は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する作業ログ送信部110により送信された作業ログを取得し、当該作業ログをサーバ2の内部または外部に設けられた記憶装置(不図示)に保存する。
この際、例えば、ログ保存部205は、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能な情報に基づいて、上記作業ログを、通知送受信部203により受信された作業開始通知が示す機種を示す情報と対応付けて、記憶装置に保存する。
また、ログ保存部205は、上記作業ログだけでなく、システムログも併せて記憶装置に保存してもよい。
【0043】
なお、図3では、設定情報送信部201、画像保存部204およびログ保存部205がサーバ2(締め付け作業支援システム)に設けられた場合を示した。しかしながら、設定情報送信部201、画像保存部204およびログ保存部205はサーバ2(締め付け作業支援システム)に必須の構成ではなく、設定情報送信部201、画像保存部204およびログ保存部205はサーバ2(締め付け作業支援システム)に設けられていなくてもよい。
【0044】
また、図2では、ヘッドマウントディスプレイ1が、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、視線位置検出部104、信号取得部105、視線位置判定部106、通知送受信部107、作業状況報知部108、画像送信部109、および、作業ログ送信部110を備える場合を示した。しかしながら、これに限らず、締め付け作業支援システムにおいて、上記構成要素のうちの一部または全部は、ヘッドマウントディスプレイ1の外部、例えばサーバ2に設けられていてもよい。
【0045】
また、図3では、サーバ2が、設定情報送信部201、信号連携部202、通知送受信部203、画像保存部204、および、ログ保存部205を備える場合を示した。しかしながら、これに限らず、締め付け作業支援システムにおいて、上記構成要素のうちの一部または全部は、サーバ2の外部、例えばヘッドマウントディスプレイ1に設けられていてもよい。
【0046】
次に、図1~3に示す実施の形態1に係る締め付け作業支援システムの動作例について、図4を参照しながら説明する。
なお、以下では、サーバ2における信号連携部202以外の構成が、WEBサーバおよび制御部により実現された場合を示している。また、設定情報取得部101は、事前に設定情報を取得しているものとする。また、視線位置検出部104は、作業者の視線の位置の検出を常時または所定の間隔で行っているものとする。また、視線位置判定部106は、視線の位置の正常性の判定を常時または所定の間隔で行っているものとする。また、以下では、機種に対応付けられた締め付け対象である箇所が複数存在する場合を示す(nは2以上)。また、作業状況報知部108が、現在の締め付け対象である箇所および作業者の視線の位置を表示する場合を示す。
【0047】
図1~3に示す実施の形態1に係る締め付け作業支援システムの動作例では、例えば図4に示すように、まず、ヘッドマウントディスプレイ1において、基準位置特定部102は、基準位置を特定する(ステップST101)。
この際、例えば、基準位置特定部102は、作業者が作業を行うための作業台などに取り付けられたQRマーカを検出し、当該QRマーカの位置を基準位置として特定する。これにより、ヘッドマウントディスプレイ1は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面の座標と、現実空間の座標とを対応付けることが可能となる。
【0048】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、機種特定部103は、機種を特定する(ステップST102)。
この際、例えば、機種特定部103は、作業指示書などに付された2Dコードを検出し、当該2Dコードから機種を特定する。
【0049】
また、ヘッドマウントディスプレイ1は、締め付け対象である箇所の番号を初期化(n=1)する(ステップST103)。
【0050】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、通知送受信部107は、機種特定部103により特定された機種に基づいて、作業開始通知をサーバ2に送信し、サーバ2において、通知送受信部203は、当該作業開始通知を受信する(ステップST104,ST105)。この作業開始通知には、例えば、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報、および、機種を示す情報が含まれる。
【0051】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、作業状況報知部108は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在の締め付け対象である箇所を示す表示を行う(ステップST106)。
この際、例えば、まず、作業状況報知部108は、上記設定情報から上記機種と同一の機種を検索し、当該検索した機種に対応付けられた現在の締め付け対象である箇所の座標を示す情報を抽出する。そして、作業状況報知部108は、上記抽出した情報が示す座標および上記基準位置に基づく上記画面上の位置に、現在の締め付け対象である箇所を示す表示を行う。
【0052】
例えば図5で符号51または符号52に示すように、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上の、現在の締め付け対象である箇所に相当する位置に、当該箇所を示すアイコンを表示する。図5の例では、符号51に示す現在の締め付け対象である箇所を囲む丸、および、符号52に示す現在の締め付け対象である箇所を指し示す矢印が表示されている。
【0053】
また、作業状況報知部108は、視線位置検出部104により検出された視線の位置に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該視線の位置を示す表示を行う(ステップST107)。
【0054】
例えば図5で符号53に示すように、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上の、視点に相当する位置に、当該視点を示すアイコンを表示してもよい。
【0055】
また、作業状況報知部108は、設定情報取得部101により取得された設定情報および機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在の締め付け対象である箇所の番号を示す表示を行ってもよい。
【0056】
例えば図5で符号54に示すように、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在の締め付け対象が、全ての締め付け対象のうちの何番目の締め付け対象であるのかを示す表示を行ってもよい。図5の例では、現在の締め付け対象が、4つの締め付け対象のうちのN番目の締め付け対象であることが表示されている。
【0057】
また、作業状況報知部108は、視線位置判定部106により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う。
この際、例えば、作業状況報知部108は、視線位置判定部106による判定結果に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、視線の位置と現在の締め付け対象である箇所との遠近を示す表示を行ってもよい。
【0058】
例えば図5で符号51または符号52に示すように、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上の、現在の締め付け対象である箇所に相当する位置に、視点の位置と当該箇所との遠近を示すアイコンを表示する。この際、例えば、作業状況報知部108は、視点の位置と上記箇所とが閾値より遠い場合と近い場合とで色などの表示形態の異なるアイコンを表示することで、遠近を表現する。例えば、作業状況報知部108は、視線の位置と上記箇所とが閾値より遠い場合(視線位置判定部106が視線の位置が正常ではないと判定した場合)には赤色の表示とし、視線の位置と上記箇所とが閾値より近い場合(視線位置判定部106が視線の位置が正常であると判定した場合)には緑色の表示としてもよい。
また、例えば、作業状況報知部108は、視点の位置と上記箇所とが閾値より遠い場合、特に上記箇所がヘッドマウントディスプレイ1が有する画面内に存在しない場合に、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、上記箇所がある方向を示す矢印を表示してもよい。
【0059】
その後、作業者は、トルクレンチ4を用いて締め付け作業を行う。
そして、トルクレンチ4は、作業者による締め付け作業に応じてトルクアップ信号を生成し、当該トルクアップ信号を受信機3に送信し、受信機3は、当該トルクアップ信号を受信する。
【0060】
次いで、サーバ2において、信号連携部202は、受信機3からトルクアップ信号を受信し、当該トルクアップ信号をヘッドマウントディスプレイ1に送信し、ヘッドマウントディスプレイ1において、信号取得部105は、当該トルクアップ信号を取得する(ステップST108~ST110)。
なお、サーバ2は、事前に、作業者が用いるヘッドマウントディスプレイ1およびトルクレンチ4を示す情報を保持し、信号連携部202はこの情報に基づいて上記トルクアップ信号を該当するヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
【0061】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、視線位置判定部106は、視線位置検出部104により検出された視線の位置に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する(ステップST111)。
この際、視線位置判定部106は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づく現在の締め付け箇所と、視線位置検出部104により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する。すなわち、視線位置判定部106は、上記視線の位置が現在の締め付け箇所に対して閾値以内であるかを判定することで、当該視線の位置が正常であるかを判定する。
【0062】
このステップST111において、視線位置判定部106が視線の位置は正常であると判定した場合、ヘッドマウントディスプレイ1において、画像送信部109は、当該視線の位置が示された画像を取得し、当該画像をサーバ2に送信し、サーバ2において、画像保存部204は、当該画像を取得する(ステップST112~ST114)。
この際、例えば、画像送信部109は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面に表示された画像であって、上記視線位置判定部106による判定で用いられた視線の位置が示された画像を取得する。例えば図5に示すように、画像送信部109は、符号53に示す視線の位置を示すアイコンが表示された画像を取得する。なお、上記画像には、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報が付加される。
【0063】
次いで、サーバ2において、画像保存部204は、上記取得した画像をサーバ2の内部または外部に設けられた記憶装置(不図示)に保存する(ステップST115)。
この際、例えば、画像保存部204は、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能な情報に基づいて、上記画像を、通知送受信部203により受信された作業開始通知が示す機種を示す情報と対応付けて、記憶装置に保存する。
【0064】
次いで、サーバ2において、通知送受信部203は、画像の保存完了通知を、当該画像の送信元であるヘッドマウントディスプレイ1に送信し、ヘッドマウントディスプレイ1において、通知送受信部107は、当該画像の保存完了通知を受信する(ステップST116,ST117)。なお、通知送受信部203は、画像保存部204により画像の保存に失敗した場合には、その旨を示す通知を上記ヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
【0065】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、作業状況報知部108は、設定情報取得部101により取得された設定情報および機種特定部103により特定された機種に基づいて、当該締め付け作業が完了した旨を示す報知を行う(ステップST118)。この際、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に上記締め付け作業が完了した旨を示す表示を行ってもよいし、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記締め付け作業が完了した旨を示す音声出力を行ってもよい。
【0066】
また、ヘッドマウントディスプレイ1は、締め付け対象である箇所の番号を次の番号に更新(n=n+1)する(ステップST119)。
その後、シーケンスはステップST106に戻る。その後、作業状況報知部108は、締め付け対象である箇所の締め付け順序に従い、次の締め付け対象である箇所に切り替えて表示を行う。
なお、ヘッドマウントディスプレイ1が、締め付け対象である箇所の番号を次の番号に更新できない場合、すなわち、現在の締め付け対象である箇所の番号が最終番号である場合、シーケンスはステップST121に進む。
【0067】
一方、ステップST111において、視線位置判定部106が視線の位置が正常ではないと判定した場合、ヘッドマウントディスプレイ1において、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該作業箇所が正しくない可能性がある旨を示す表示を行う(ステップST120)。
さらに、この際、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記作業箇所が正しくない可能性がある旨を示す音声出力を行ってもよい。
【0068】
例えば図6で符号61に示すように、作業状況報知部108は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、上記作業箇所が正しくない可能性がある旨を示す表示を行う。なお、図6において符号61に示す表示では、作業者に確認を促すための「確認」ボタンも表示されている。
【0069】
また、画像送信部109は、ステップST111において視線位置判定部106により視線の位置が正常ではないと判定された場合にも、当該視線の位置が示された画像を取得し、当該画像をサーバ2に送信してもよい。
【0070】
そして、作業者は、締め付け作業をやり直す。また、図6の例では、作業者は、「確認」ボタンを押下する。
また、シーケンスは、ステップST108に戻る。
【0071】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、作業ログ送信部110は、締め付け作業が完了した場合、トレーサビリティデータが含まれる作業ログを作成し、当該作業ログをサーバ2に送信し、サーバ2において、ログ保存部205は、当該作業ログを取得する(ステップST121,122)。トレーサビリティデータとしては、例えば、作業者を識別可能な情報、作業に要した時間を示す情報、および、やり直し回数を示す情報などが挙げられる。なお、上記作業ログには、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報が付加される。
【0072】
次いで、サーバ2において、ログ保存部205は、上記取得した作業ログをサーバ2の内部または外部に設けられた記憶装置(不図示)に保存する(ステップST123)。
この際、例えば、ログ保存部205は、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能な情報に基づいて、上記作業ログを、通知送受信部203により受信された作業開始通知が示す機種を示す情報と対応付けて、記憶装置に保存する。
また、ログ保存部205は、上記作業ログだけでなく、システムログも併せて記憶装置に保存してもよい。
【0073】
次いで、サーバ2において、通知送受信部203は、作業ログの保存完了通知を、当該作業ログの送信元であるヘッドマウントディスプレイ1に送信し、ヘッドマウントディスプレイ1において、通知送受信部107は、当該作業ログの保存完了通知を受信する(ステップST124,125)。なお、通知送受信部203は、ログ保存部205により作業ログの保存に失敗した場合には、その旨を示す通知を上記ヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
その後、シーケンスはステップST102に戻る。
【0074】
このように、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、ヘッドマウントディスプレイ1を用い、作業者の視線の位置に基づいて、当該視線の位置が正常ではないと判定した場合に当該正常ではない旨を示す表示を行う。これにより、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、モニタを用いずに、締め付け作業を支援することが可能となる。
【0075】
また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、従来に対し、作業者による作業手順などの確認のための視線移動を抑制することが可能となり、作業スピードの向上および身体的な負担の軽減が可能となる。
すなわち、従来では、モニタに作業指示が表示される。この場合、作業者は、作業ごとにモニタを確認する必要がある。よって、首の動きを伴い、作業者への身体的負担が生じる。また、視線の移動が多く、また、視線の移動が大きいため、作業スピードが上がらない。
これに対し、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、作業者の目の前の空間に、現在必要な情報のみを表示することが可能となる。これにより、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、作業者の姿勢に関わらず常に視界に情報を表示できるため、身体的な負担が軽減する。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、作業者は作業に集中することが可能となり、作業のスピードアップが可能となる。
【0076】
また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、カメラ認識および外部センサなどによる作業の妥当性確認などと連携して、作業性および確実性を担保することで、従来に対し、作業性の向上が可能となる。
すなわち、従来では、工具、カメラまたはスイッチなどから得た情報をモニタに表示している。この場合、モニタに現在値などのリアルタイム値を表示したとしても、作業者は作業をしながらリアルタイム値を見ることができない。また、モニタにNG表示を行ったとしても、作業者は見逃す可能性がある。よって、作業者は、作業工程ごとに確認が必要となる。また、画面を見ないで作業をしてしまうことで、人的ミスが発生する可能性がある。
これに対し、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、常に視界に情報を表示することが可能となる。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、NG発生の際に目の前にアラートを表示することが可能となる。よって、上記のような情報が視線に必ず入るため、見逃しがなくなる。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、段取り替えの際など、ミスが発生しやすい状況においても警告が可能となる。
【0077】
また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、作業対象物の大きさまたは形状に左右されず、カメラまたは外部センサなどのデバイスが不要な簡単システムが実現可能であるため、設備の簡略化が可能となる。
すなわち、従来では、カメラまたはPCなどを駆使して表示を行っている。この場合、作業対象物の形状または大きさによって、カメラの位置に制限が生じる。また、カメラが多数必要になる場合もある。また、機器が多く、複雑になり、メンテナンスコストが大きくなる。また、新機種対応の度に、ハードウェアおよびソフトウェアを見直す必要がある。
これに対し、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、どのような形および大きさでも実物上に表示可能となる。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、ヘッドマウントディスプレイ1で対応可能であるため、メンテナンスコストが低くなる。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、ヘッドマウントディスプレイ1のソフトウェア更新のみで対応可能となる。
【0078】
また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、視線情報を活用して、リアルタイムに警告が可能となり、また、エビデンスとして情報を保存可能となる。
すなわち、従来では、作業指示システムの利用は作業者に依存する。この場合、作業者は、作業に慣れるにつれて、モニタを見なくなる。その結果、作業間違いの発生が生じる可能性がある。また、作業者は、作業中に見るべきところを見ているかわからない。その結果、ミスが発覚したとき、作業者の自己申告のみとなってしまう。
これに対し、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、視線追跡によって常に監視ログとして保存が可能となる。よって、ミス発覚の際に確認可能となる。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、視線を監視して、作業箇所に視線がないときに警告を表示することが可能となる。
【0079】
また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、新人向けの作業手順指導用途に用いることで、育成コストの削減が期待できる。
すなわち、従来では、指導者または手順書などをもとに作業手順を確認する必要がある。この場合、指導者と新人の2人分の工数および時間の確保がしにくい。また、手順書がわかりにくいことがある、また、手順書が邪魔になる。また、指導者による指導レベルに差がある。また、熟練作業者の目線の動き方が分からない。
これに対し、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、実物上に作業手順を表示可能となる。これにより、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、新人一人で手順の確認ができる。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、実物上に表示ができるので分かりやすい。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、一様品質の教育が可能となる。また、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムでは、視線情報から、どこを見ているかも表示できる。
【0080】
なお、上記では、作業者が行う作業が締め付け作業であり、作業支援システムが、締め付け作業を支援する締め付け作業支援システムである場合を示した。
しかしながら、これに限らず、作業支援システムは、締め付け作業以外の作業を支援する作業支援システムであってもよい。
【0081】
以上のように、この実施の形態1によれば、作業支援システムは、機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得する設定情報取得部101と、基準位置を特定する基準位置特定部102と、機種を特定する機種特定部103と、作業者の視線の位置を検出する視線位置検出部104と、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、視線位置検出部104により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する視線位置判定部106と、視線位置判定部106により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う作業状況報知部108とを備えた。これにより、実施の形態1に係る締め付け作業支援システムは、モニタを用いずに、作業を支援することが可能となる。
【0082】
最後に、図7を参照して、実施の形態1に係るヘッドマウントディスプレイ1およびサーバ2のハードウェア構成例を説明する。
ヘッドマウントディスプレイ1における設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、視線位置検出部104、信号取得部105、視線位置判定部106、通知送受信部107、作業状況報知部108、画像送信部109、および、作業ログ送信部110の各機能は、処理回路501により実現される。処理回路501は、図7Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、図7Bに示すように、メモリ503に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSP(Digital Signal Processor)ともいう)502であってもよい。
【0083】
処理回路501が専用のハードウェアである場合、処理回路501は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、視線位置検出部104、信号取得部105、視線位置判定部106、通知送受信部107、作業状況報知部108、画像送信部109、および、作業ログ送信部110の各部の機能それぞれを処理回路501で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路501で実現してもよい。
【0084】
処理回路501がCPU502の場合、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、視線位置検出部104、信号取得部105、視線位置判定部106、通知送受信部107、作業状況報知部108、画像送信部109、および、作業ログ送信部110の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ503に格納される。処理回路501は、メモリ503に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、ヘッドマウントディスプレイ1は、処理回路501により実行されるときに、例えば図4に示した各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ503を備える。また、これらのプログラムは、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、視線位置検出部104、信号取得部105、視線位置判定部106、通知送受信部107、作業状況報知部108、画像送信部109、および、作業ログ送信部110の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ503としては、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0085】
なお、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、視線位置検出部104、信号取得部105、視線位置判定部106、通知送受信部107、作業状況報知部108、画像送信部109、および、作業ログ送信部110の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、設定情報取得部101については専用のハードウェアとしての処理回路501でその機能を実現し、基準位置特定部102、機種特定部103、視線位置検出部104、信号取得部105、視線位置判定部106、通知送受信部107、作業状況報知部108、画像送信部109、および、作業ログ送信部110については処理回路501がメモリ503に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0086】
このように、処理回路501は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0087】
また、サーバ2における設定情報送信部201、信号連携部202、通知送受信部203、画像保存部204、および、ログ保存部205の各機能は、処理回路501により実現される。処理回路501は、図7Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、図7Bに示すように、メモリ503に格納されるプログラムを実行するCPU502であってもよい。
【0088】
処理回路501が専用のハードウェアである場合、処理回路501は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。設定情報送信部201、信号連携部202、通知送受信部203、画像保存部204、および、ログ保存部205の各部の機能それぞれを処理回路501で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路501で実現してもよい。
【0089】
処理回路501がCPU502の場合、設定情報送信部201、信号連携部202、通知送受信部203、画像保存部204、および、ログ保存部205の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ503に格納される。処理回路501は、メモリ503に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、サーバ2は、処理回路501により実行されるときに、例えば図4に示した各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ503を備える。また、これらのプログラムは、設定情報送信部201、信号連携部202、通知送受信部203、画像保存部204、および、ログ保存部205の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ503としては、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVDなどが該当する。
【0090】
なお、設定情報送信部201、信号連携部202、通知送受信部203、画像保存部204、および、ログ保存部205の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、設定情報送信部201については専用のハードウェアとしての処理回路501でその機能を実現し、信号連携部202、通知送受信部203、画像保存部204、および、ログ保存部205については処理回路501がメモリ503に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0091】
このように、処理回路501は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0092】
なお、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0093】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0094】
(付記1)
機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得する設定情報取得部と、
基準位置を特定する基準位置特定部と、
機種を特定する機種特定部と、
作業者の視線の位置を検出する視線位置検出部と、
前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、前記視線位置検出部により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する視線位置判定部と、
前記視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う作業状況報知部と
を備えた作業支援システム。
(付記2)
作業箇所は、締め付け対象である箇所である
ことを特徴とする付記1記載の作業支援システム。
(付記3)
トルクアップ信号を取得する信号取得部を備え、
前記作業状況報知部は、前記信号取得部によりトルクアップ信号が取得された際に、前記視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、前記ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、作業箇所が正しくない可能性がある旨を示す表示を行う
ことを特徴とする付記2記載の作業支援システム。
(付記4)
前記作業状況報知部は、前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づいて、前記ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、現在の作業箇所を示す表示を行う
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか1項記載の作業支援システム。
(付記5)
前記視線位置判定部により視線の位置が正常であると判定された場合、当該視線の位置が示された画像を取得し、当該画像を送信する画像送信部と、
前記画像送信部により送信された画像を取得し、当該画像を記憶装置に保存する画像保存部とを備えた
ことを特徴とする付記1から付記4のうちのいずれか1項記載の作業支援システム。
(付記6)
締め付け作業が完了した場合、トレーサビリティデータが含まれる作業ログを作成し、当該作業ログを送信する作業ログ送信部と、
前記作業ログ送信部により送信された作業ログを取得し、当該作業ログを記憶装置に保存するログ保存部とを備えた
ことを特徴とする付記1から付記5のうちのいずれか1項記載の作業支援システム。
(付記7)
機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得する設定情報取得部と、
基準位置を特定する基準位置特定部と、
機種を特定する機種特定部と、
作業者の視線の位置を検出する視線位置検出部と、
前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、前記視線位置検出部により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定する視線位置判定部と、
前記視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、自機が有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行う作業状況報知部と
を備えたヘッドマウントディスプレイ。
(付記8)
設定情報取得部が、機種ごとの、1つ以上の作業箇所の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報が含まれる設定情報を取得するステップと、
基準位置特定部が、基準位置を特定するステップと、
機種特定部が、機種を特定するステップと、
視線位置検出部が、作業者の視線の位置を検出するステップと、
視線位置判定部が、前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づく現在の作業箇所と、前記視線位置検出部により検出された視線の位置との位置関係に基づいて、視線の位置が正常であるかを判定するステップと、
作業状況報知部が、前記視線位置判定部により視線の位置が正常ではないと判定された場合、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、当該正常ではない旨を示す表示を行うステップと
を有する作業支援方法。
【符号の説明】
【0095】
1 ヘッドマウントディスプレイ、2 サーバ、3 受信機、4 トルクレンチ、101 設定情報取得部、102 基準位置特定部、103 機種特定部、104 視線位置検出部、105 信号取得部、106 視線位置判定部、107 通知送受信部、108 作業状況報知部、109 画像送信部、110 作業ログ送信部、201 設定情報送信部、202 信号連携部、203 通知送受信部、204 画像保存部、205 ログ保存部、501 処理回路、502 CPU、503 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7