(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176557
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】品揃え作業支援システム、ヘッドマウントディスプレイ、および、品揃え作業支援方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241212BHJP
G06Q 10/0875 20230101ALI20241212BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241212BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06Q10/0875
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095146
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長岡 祐生
(72)【発明者】
【氏名】山崎 亮平
(72)【発明者】
【氏名】大石 裕介
【テーマコード(参考)】
3F522
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522BB22
3F522CC01
3F522DD05
3F522DD22
3F522DD32
3F522GG18
3F522GG44
3F522HH02
3F522HH13
3F522HH22
3F522HH37
3F522LL57
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】モニタを用いずに、品揃え作業を支援することを可能とする。
【解決手段】機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得する設定情報取得部101と、基準位置を特定する基準位置特定部102と、機種を特定する機種特定部103と、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うピッキング誘導部107とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得する設定情報取得部と、
基準位置を特定する基準位置特定部と、
機種を特定する機種特定部と、
前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うピッキング誘導部と
を備えた品揃え作業支援システム。
【請求項2】
前記設定情報取得部により取得された設定情報および前記機種特定部により取得された機種に基づくピッキング対象である部品および当該部品の個数、ならびに、作業者によりピッキングされた部品が配置される領域を含む画像に基づいて、ピッキング作業の良否判定を行う画像判定部と、
前記画像判定部による判定結果に基づいてピッキング結果を作成し、当該ピッキング結果を送信する結果送信部と、
前記結果送信部により送信されたピッキング結果を取得する結果取得部とを備え、
前記ピッキング誘導部は、前記結果取得部により取得されたピッキング結果がピッキングの誤りがあることを示している場合、前記ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、当該ピッキングの誤りがあることを示す表示を行う
ことを特徴とする請求項1記載の品揃え作業支援システム。
【請求項3】
作業者の手先の位置を検出する手先位置検出部を備え、
前記ピッキング誘導部は、前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、前記機種特定部により特定された機種、および、前記手先位置検出部により検出された手先の位置に基づいて、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器とは異なる保管容器に手先を入れようとしていると判定した場合、当該旨を示す報知を行う
ことを特徴とする請求項1記載の品揃え作業支援システム。
【請求項4】
ピッキング作業が完了した場合、トレーサビリティデータが含まれる作業ログを作成し、当該作業ログを送信する作業ログ送信部と、
前記作業ログ送信部により送信された作業ログを取得し、当該作業ログを記憶装置に保存するログ保存部とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の品揃え作業支援システム。
【請求項5】
機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得する設定情報取得部と、
基準位置を特定する基準位置特定部と、
機種を特定する機種特定部と、
前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づいて、自機が有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うピッキング誘導部と
を備えたヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
設定情報取得部が、機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得するステップと、
基準位置特定部が、基準位置を特定するステップと、
機種特定部が、機種を特定するステップと、
ピッキング誘導部が、前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うステップと
を有する品揃え作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業者による品揃え作業を支援する品揃え作業支援システム、ヘッドマウントディスプレイ、および、品揃え作業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
品揃え作業は、部品が保管されている複数の保管容器の中から、「指定された部品を」、「指定された個数」だけピッキングして、所定の場所に配置する作業を指す。この品揃え作業に対し、従来から、当該品揃え作業を支援するための品揃え作業支援システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の品揃え作業支援システムでは、例えば、複数の保管容器のそれぞれにバーコードが取り付けられ、品揃え作業に関する情報を表示するモニタが設けられている。そして、この品揃え作業支援システムでは、モニタに、ピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す情報を表示する。そして、作業者はこのモニタに表示された情報に基づいて部品のピッキングを行い、その後、当該部品のピッキングを行った保管容器に取り付けられたバーコードをバーコードリーダで読み取る。そして、品揃え作業支援システムでは、上記バーコードリーダによる読み取り結果に基づいて、ピッキングの良否を判定する。ここで、品揃え作業支援システムは、上記ピッキングが誤っていると判定した場合には、モニタ上に当該ピッキングが誤っている旨を示す表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の品揃え作業支援システムでは、モニタを用いて品揃え作業の支援を行っている。しかしながら、この場合、作業者は、モニタを確認しつつ、品揃え作業を行う必要があるため、煩雑である。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、モニタを用いずに、品揃え作業を支援することが可能となる品揃え作業支援システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る品揃え作業支援システムは、機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得する設定情報取得部と、基準位置を特定する基準位置特定部と、機種を特定する機種特定部と、設定情報取得部により取得された設定情報、基準位置特定部により特定された基準位置、および、機種特定部により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うピッキング誘導部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、上記のように構成したので、モニタを用いずに、品揃え作業を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る品揃え作業支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係るヘッドマウントディスプレイの構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係るサーバの構成例を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る品揃え作業支援システムの動作例を示すタイムチャートである。
【
図5】実施の形態1に係る品揃え作業支援システムの動作例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る品揃え作業支援システムの動作例を示す図である。
【
図7】
図7A、
図7Bは、実施の形態1に係るヘッドマウントディスプレイおよびサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る品揃え作業支援システムの構成例を示す図である。
品揃え作業支援システムは、作業者に対して、品揃え作業を支援するためのシステムである。
この品揃え作業支援システムは、
図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ1、サーバ2、および、撮影装置3を備えている。
【0011】
ヘッドマウントディスプレイ1は、作業者が装着するデバイスであって、当該作業者に対して、品揃え作業を支援するデバイスである。このヘッドマウントディスプレイ1は、サーバ2により作成されたピッキング結果に基づいて、ピッキング結果がピッキングの誤りがあることを示している場合に当該誤りを示す表示を行うことで、品揃え作業を支援する。なお、ピッキング結果は、ピッキングの良否を示す情報である。
【0012】
このヘッドマウントディスプレイ1は、作業者が装着し、作業者の視野上に画面を重畳して表示可能なディスプレイであればどのようなディスプレイでもよく、例えば、MR(Mixed Reality)デバイス、AR(Augmented Reality)グラス、または、VR(Virtual Reality)グラスが挙げられる。
このヘッドマウントディスプレイ1の構成例については、後述する。
【0013】
サーバ2は、ヘッドマウントディスプレイ1および撮影装置3との間で通信を行うことで、品揃え作業を管理する情報処理装置である。このサーバ2は、撮影装置3により得られた画像を取得し、当該画像に基づいてピッキング結果を作成する。上記画像は、作業者によりピッキングされた部品が配置される領域を含む画像である。このサーバ2は、例えばPCである。
このサーバ2の構成例については、後述する。
【0014】
撮影装置3は、作業者によりピッキングされた部品が配置される領域を撮影することで、画像を得る。この撮影装置3は、サーバ2による指示に応じて撮影を行う。この撮影装置3は、例えばWEBカメラである。
【0015】
次に、実施の形態1におけるヘッドマウントディスプレイ1の構成例について、
図2を参照しながら説明する。
実施の形態1におけるヘッドマウントディスプレイ1は、
図2に示すように、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、手先位置検出部104、結果取得部105、通知送受信部106、ピッキング誘導部107、および、作業ログ送信部108を備えている。
【0016】
設定情報取得部101は、設定情報を取得する。
この際、例えば、設定情報取得部101は、サーバ2に対して取得要求を行うことで、当該サーバ2から設定情報を取得する。または、設定情報取得部101は、ヘッドマウントディスプレイ1の内部に保持されている設定情報を取得してもよい。
なお、設定情報には、例えば、部品情報および保管容器情報が含まれている。部品情報は、機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である。また、保管容器情報は、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標を示す情報である。この保管容器の座標は、基準位置に対する相対的な座標である。
【0017】
また、機種に対応付けられたピッキング対象である部品が複所存在する場合には、設定情報に、部品のピッキング順序を示す情報が付加されている。
【0018】
基準位置特定部102は、基準位置を特定する。
この際、例えば、基準位置特定部102は、上記保管容器が複数収納された棚などに取り付けられたQRマーカを検出し、当該QRマーカの位置を基準位置として特定する。
【0019】
機種特定部103は、機種を特定する。
この際、例えば、機種特定部103は、作業指示書などに付された2Dコードを検出し、当該2Dコードから機種を特定する。
【0020】
手先位置検出部104は、作業者の手先の位置を検出する。
この際、例えば、手先位置検出部104は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する外部撮影装置(不図示)により得られた作業者の手先を含む画像に基づいて、作業者の手先の位置を検出する。
【0021】
結果取得部105は、サーバ2からピッキング結果を取得する。
【0022】
通知送受信部106は、サーバ2との間で通知の送受信を行う。
例えば、通知送受信部106は、ピッキング作業が完了した場合、設定情報取得部101により取得された設定情報および機種特定部103により特定された機種に基づいて、作業完了通知をサーバ2に送信する。この作業完了通知には、例えば、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報、ならびに、機種、ピッキング対象の部品および当該部品の個数を示す情報が含まれる。
また、例えば、通知送受信部106は、サーバ2から作業ログの保存完了通知を受信する。
【0023】
ピッキング誘導部107は、ピッキング作業を支援するための表示を行う。
このピッキング誘導部107は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行う。
この際、まず、ピッキング誘導部107は、上記設定情報に含まれる部品情報から上記機種と同一の機種を検索し、当該検索した機種に対応付けられたピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報を抽出する。そして、ピッキング誘導部107は、上記設定情報に含まれる保管容器情報から上記抽出した情報が示す部品と同一の部品を検索し、当該検索した部品に対応付けられた保管容器の座標を示す情報を抽出する。そして、ピッキング誘導部107は、上記抽出した情報が示す座標および上記基準位置に基づく上記画面上の位置にピッキング対象である部品が保管されている保管容器を示す表示を行うとともに、当該部品および当該部品の個数を示す表示を行う。
【0024】
なお、機種に対応付けられたピッキング対象である部品が複数存在する場合には、ピッキング誘導部107は、ピッキング対象である部品のピッキング順序に従い、ピッキング作業が完了する度に、次のピッキング対象である部品に切り替えながら上記表示を行う。
【0025】
また、ピッキング誘導部107は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、機種特定部103により特定された機種、および、手先位置検出部104により検出された手先の位置に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、手先の位置と現在のピッキング対象である部品との遠近を示す表示を行ってもよい。
【0026】
また、ピッキング誘導部107は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上における、1つ前のピッキング対象である部品が保管されている保管容器の位置に相当する位置に、注意喚起を示す表示を行ってもよい。
【0027】
また、ピッキング誘導部107は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、機種特定部103により特定された機種、および、手先位置検出部104により検出された手先の位置に基づいて、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器とは異なる保管容器に手先を入れようとしているかを判定してもよい。
そして、ピッキング誘導部107は、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器とは異なる保管容器に手先を入れようとしていると判定した場合、当該旨を示す報知を行ってもよい。この際、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に上記旨を示す表示を行ってもよいし、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記旨を示す音声出力を行ってもよい。
【0028】
また、ピッキング誘導部107は、結果取得部105により取得されたピッキング結果がピッキングの誤りありを示している場合、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該誤りありを示す表示を行う。
さらに、この際、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記誤りありを示す音声出力を行ってもよい。
【0029】
また、ピッキング誘導部107は、結果取得部105により取得されたピッキング結果がピッキングの誤りなしを示している場合、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該誤りなしを示す表示を行ってもよい。
さらに、この際、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記誤りなしを示す音声出力を行ってもよい。
【0030】
作業ログ送信部108は、ピッキング作業が完了した場合、トレーサビリティデータが含まれる作業ログを作成し、当該作業ログをサーバ2に送信する。トレーサビリティデータとしては、例えば、作業者を識別可能な情報、作業に要した時間を示す情報、および、やり直し回数を示す情報などが挙げられる。なお、上記作業ログには、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報が付加される。
【0031】
なお、
図2では、作業ログ送信部108がヘッドマウントディスプレイ1(品揃え作業支援システム)に設けられた場合を示した。しかしながら、作業ログ送信部108はヘッドマウントディスプレイ1(品揃え作業支援システム)に必須の構成ではなく、作業ログ送信部108はヘッドマウントディスプレイ1(品揃え作業支援システム)に設けられていなくてもよい。
【0032】
次に、実施の形態1におけるサーバ2の構成例について、
図3を参照しながら説明する。
実施の形態1におけるサーバ2は、
図3に示すように、設定情報送信部201、通知送受信部202、画像判定部203、結果送信部204、および、ログ保存部205を有している。
【0033】
設定情報送信部201は、ヘッドマウントディスプレイ1からの取得要求を検出し、当該取得要求に応じて設定情報を当該ヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
【0034】
通知送受信部202は、ヘッドマウントディスプレイ1との間で通知の送受信を行う。
例えば、通知送受信部202は、ログ保存部205により作業ログの保存が完了した場合、作業ログの保存完了通知を、当該作業ログの送信元であるヘッドマウントディスプレイ1に送信する。なお、通知送受信部202は、ログ保存部205により作業ログの保存に失敗した場合には、その旨を示す通知を上記ヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
また、例えば、通知送受信部202は、ヘッドマウントディスプレイ1から作業完了通知を受信する。
【0035】
画像判定部203は、通知送受信部202により作業完了通知が受信された場合、画像に基づくピッキング作業の良否判定を行う。
この際、例えば、まず、画像判定部203は、撮影装置3に対して撮影を指示し、当該撮影装置3により得られた画像を取得する。そして、画像判定部203は、上記作業完了通知が示すピッキング対象の部品および当該部品の個数、ならびに、上記取得した画像に基づいて、ピッキング作業の良否判定を行う。
【0036】
結果送信部204は、画像判定部203による判定結果に基づいてピッキング結果を作成し、当該ピッキング結果を、上記作業完了通知の送信元であるヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
【0037】
ログ保存部205は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する作業ログ送信部108により送信された作業ログを取得し、当該作業ログをサーバ2の内部または外部に設けられた記憶装置(不図示)に保存する。
この際、ログ保存部205は、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能な情報に基づいて、上記作業ログを、通知送受信部202により受信された作業完了通知が示す機種を示す情報と対応付けて保存する。
また、ログ保存部205は、上記作業ログだけでなく、システムログも併せて記憶装置に保存してもよい。
【0038】
なお、
図3では、設定情報送信部201およびログ保存部205がサーバ2(品揃え作業支援システム)に設けられた場合を示した。しかしながら、設定情報送信部201およびログ保存部205はサーバ2(品揃え作業支援システム)に必須の構成ではなく、設定情報送信部201およびログ保存部205はサーバ2(品揃え作業支援システム)に設けられていなくてもよい。
【0039】
また、
図2では、ヘッドマウントディスプレイ1が、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、手先位置検出部104、結果取得部105、通知送受信部106、ピッキング誘導部107、および、作業ログ送信部108を備える場合を示した。しかしながら、これに限らず、品揃え作業支援システムにおいて、上記構成要素のうちの一部または全部は、ヘッドマウントディスプレイ1の外部、例えばサーバ2に設けられていてもよい。
【0040】
また、
図3では、サーバ2が、設定情報送信部201、通知送受信部202、画像判定部203、結果送信部204、および、ログ保存部205を備える場合を示した。しかしながら、これに限らず、品揃え作業支援システムにおいて、上記構成要素のうちの一部または全部は、サーバ2の外部、例えばヘッドマウントディスプレイ1に設けられていてもよい。
【0041】
次に、
図1~3に示す実施の形態1に係る品揃え作業支援システムの動作例について、
図4を参照しながら説明する。
なお、設定情報取得部101は、事前に設定情報を取得しているものとする。また、手先位置検出部104は、作業者の手先の位置の検出を常時または所定の間隔で行っているものとする。また、以下では、機種に対応付けられたピッキング対象である部品が複数存在する場合を示す(nは2以上)。また、ピッキング誘導部107が、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器とは異なる保管容器に手先を入れようとしていると判定した場合に、当該旨を示す報知を行う場合を示す。また、ピッキング誘導部107が、ピッキング結果がピッキングの誤りなしを示している場合に、当該誤りなしを示す表示を行う場合を示す。
【0042】
図1~3に示す実施の形態1に係る品揃え作業支援システムの動作例では、例えば
図4に示すように、まず、ヘッドマウントディスプレイ1において、基準位置特定部102は、基準位置を特定する(ステップST101)。
この際、例えば、基準位置特定部102は、上記保管容器が複数収納された棚などに取り付けられたQRマーカを検出し、当該QRマーカの位置を基準位置として特定する。これにより、ヘッドマウントディスプレイ1は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面の座標と、現実空間の座標とを対応付けることが可能となる。
【0043】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、機種特定部103は、機種を特定する(ステップST102)。
この際、例えば、機種特定部103は、作業指示書などに付された2Dコードを検出し、当該2Dコードから機種を特定する。
【0044】
また、ヘッドマウントディスプレイ1は、ピッキング対象である部品の番号を初期化(n=1)する(ステップST103)。
【0045】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、ピッキング誘導部107は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行う(ステップST104)。
この際、例えば、まず、ピッキング誘導部107は、上記設定情報の含まれる部品情報から上記機種と同一の機種を検索し、当該検索した機種に対応付けられたピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報を抽出する。そして、ピッキング誘導部107は、上記設定情報に含まれる保管容器情報から上記抽出した情報が示す部品と同一の部品を検索し、当該検索した部品に対応付けられた保管容器の座標を示す情報を抽出する。そして、ピッキング誘導部107は、上記抽出した情報が示す座標および上記基準位置に基づく上記画面上の位置にピッキング対象である部品が保管されている保管容器を示す表示を行うとともに、当該部品および当該部品の個数を示す表示を行う。
【0046】
例えば
図5で符号51および符号52に示すように、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上の、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器に相当する位置に当該保管容器を示すアイコンを表示するとともに、当該部品および当該部品の個数を示すアイコンを表示する。
図5の例では、符号51に示す現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器を囲む枠、および、符号52に示す当該部品および当該部品の個数を示す吹き出しが表示されている。
【0047】
また、ピッキング誘導部107は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、機種特定部103により特定された機種、および、手先位置検出部104により検出された手先の位置に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、手先の位置と現在のピッキング対象である部品との遠近を示す表示を行ってもよい。
【0048】
例えば、ピッキング誘導部107は、手先の位置と上記部品が保管されている保管容器とが閾値より遠い場合と近い場合とで色などの表示形態の異なるアイコンを表示することで、遠近を表現する。例えば、ピッキング誘導部107は、符号51で示すアイコンの色を、手先の位置と上記部品が保管されている保管容器とが閾値より遠い場合には赤色の表示とし、手先の位置と上記部品が保管されている保管容器とが閾値より近い場合には緑色の表示としてもよい。
【0049】
また、ピッキング誘導部107は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上における、1つ前のピッキング対象である部品が保管されている保管容器の位置に相当する位置、注意喚起を示す表示を行ってもよい。
【0050】
例えば
図5で符号53に示すように、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上の、1つ前のピッキング対象である部品が保管されている保管容器に相当する位置に、当該保管容器を示すアイコンを表示してもよい。この際、ピッキング誘導部107は、上記アイコンを、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器を示すアイコンとは異なる色などの表示形態とする。
【0051】
その後、作業者は部品のピッキング作業を行う。
【0052】
また、ピッキング誘導部107は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、機種特定部103により特定された機種、および、手先位置検出部104により検出された手先の位置に基づいて、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器とは異なる保管容器に手先を入れようとしているかを判定する。この際、ヘッドマウントディスプレイ1は、手先位置検出部104により検出された手先の位置に基づいて、手先が、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器とは異なる保管容器の中に入ったかを判定する。
そして、ピッキング誘導部107は、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器とは異なる保管容器に手先を入れようとしていると判定した場合、当該旨を示す報知を行う(ステップST105)。この際、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に上記旨を示す表示を行ってもよいし、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記旨を示す音声出力を行ってもよい。
【0053】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1は、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、機種特定部103により特定された機種、および、手先位置検出部104により検出された手先の位置に基づいて、作業者により現在のピッキング対象である部品がピッキングされたと判定した場合、ピッキング対象である部品の番号を次の番号に更新(n=n+1)する(ステップST106)。この際、例えば、ヘッドマウントディスプレイ1は、手先位置検出部104により検出された手先の位置に基づいて、手先が、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器の中に入って出た場合に、当該ピッキング対象である部品がピッキングされたものと判定する。
その後、シーケンスはステップST104に戻る。その後、ピッキング誘導部107は、ピッキング対象である部品のピッキング順序に従い、次のピッキング対象である部品に切り替えて表示を行う。
なお、ヘッドマウントディスプレイ1が、ピッキング対象である部品の番号を次の番号に更新できない場合、すなわち、現在のピッキング対象である部品の番号が最終番号である場合、シーケンスはステップST107に進む。
【0054】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、通知送受信部106は、設定情報取得部101により取得された設定情報および機種特定部103により特定された機種に基づいて、作業完了通知をサーバ2に送信し、サーバ2において、通知送受信部202は、当該作業完了通知を受信する(ステップST107)。この作業完了通知には、例えば、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報、ならびに、機種、ピッキング対象の部品および当該部品の個数を示す情報が含まれる。
【0055】
次いで、サーバ2において、画像判定部203は、画像に基づくピッキング作業の良否判定を行う(ステップST108~ST111)。
この際、例えば、まず、画像判定部203は、撮影装置3に対して撮影を指示し、当該撮影装置3により得られた画像を取得する。そして、画像判定部203は、上記作業完了通知が示すピッキング対象の部品および当該部品の個数、ならびに、上記取得した画像に基づいて、ピッキング作業の良否判定を行う。
【0056】
例えば、画像判定部203による画像判定では、ヒストグラム比較と特徴点のマッチングとの論理和を判定結果とする。すなわち、この場合、画像判定では、機種ごとに正解画像が用意され、以下の2つのマッチング手法の論理和をとる。
まず、ヒストグラム比較では、類似度が[-1,1]の範囲で算出されるので、この類似度に対して閾値で良否判定を行う。
次に、特徴点のマッチングでは、例えば、k近傍法(k-Nearest Neighbor:kNN)の総当たりマッチング(Brute-Force matcher)を行う。そして、マッチング結果は、マッチング数(0以上の整数)で算出されるので、このマッチング数に対して閾値で良否判定を行う。
なお、それぞれ正解とする閾値は、機種ごとに任意で指定できるものとしてもよい。
【0057】
次いで、サーバ2において、結果送信部204は、画像判定部203による判定結果に基づいてピッキング結果を作成し、当該ピッキング結果をヘッドマウントディスプレイ1に送信し、ヘッドマウントディスプレイ1において、結果取得部105は、当該ピッキング結果を取得する(ステップST112,ST113)。
【0058】
ここで、結果取得部105により取得されたピッキング結果がピッキングの誤りなしを示している場合、ヘッドマウントディスプレイ1において、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該誤りなしを示す表示を行う(ステップST114)。
さらに、この際、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記誤りなしを示す音声出力を行ってもよい。
その後、シーケンスは、ステップST116に進む。
【0059】
一方、結果取得部105により取得されたピッキング結果がピッキングの誤りありを示している場合、ヘッドマウントディスプレイ1において、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、当該誤りありを示す表示を行う(ステップST115)。
さらに、この際、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する音声出力装置(不図示)により上記誤りありを示す音声出力を行ってもよい。
【0060】
例えば
図6で符号61に示すように、ピッキング誘導部107は、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、上記誤りありを示す表示を行う。なお、
図6において符号61に示す表示では、作業者に確認を促すための「確認」ボタンも表示されている。
【0061】
そして、作業者は、ピッキング作業をやり直す。また、
図6の例では、作業者は、「確認」ボタンを押下する。
また、シーケンスは、ステップST116に進む。
【0062】
次いで、ヘッドマウントディスプレイ1において、作業ログ送信部108は、トレーサビリティデータが含まれる作業ログを作成し、当該作業ログをサーバ2に送信し、サーバ2において、ログ保存部205は、当該作業ログを取得する(ステップST116)。トレーサビリティデータとしては、例えば、作業者を識別可能な情報、作業に要した時間を示す情報、および、やり直し回数を示す情報などが挙げられる。なお、上記作業ログには、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能とする情報が付加される。
【0063】
次いで、サーバ2において、ログ保存部205は、上記取得した作業ログをサーバ2の内部または外部に設けられた記憶装置(不図示)に保存する(ステップST117)。
この際、例えば、ログ保存部205は、ヘッドマウントディスプレイ1を識別可能な情報に基づいて、上記作業ログを、通知送受信部202により受信された作業完了通知が示す機種と対応付けて、記憶装置に保存する。
また、ログ保存部205は、上記作業ログだけでなく、システムログも併せて記憶装置に保存してもよい。
【0064】
次いで、サーバ2において、通知送受信部202は、作業ログの保存完了通知を、当該作業ログの送信元であるヘッドマウントディスプレイ1に送信し、ヘッドマウントディスプレイ1において、通知送受信部106は、当該作業ログの保存完了通知を受信する(ステップST118)。なお、通知送受信部202は、ログ保存部205により作業ログの保存に失敗した場合には、その旨を示す通知をヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
その後、シーケンスはステップST102に戻る。
【0065】
なお、
図4に示す品揃え作業支援システムの動作例では、作業者が機種に対応する全てのピッキング対象である部品のピッキングが完了した場合にヘッドマウントディスプレイ1が作業完了通知をサーバ2に通知し、その通知を受けた後にサーバ2で当該ピッキングの良否判定を行う場合を示した。すなわち、この場合には、ピッキングの良否判定は、機種に対応する全ての部品に対して一括に実施される。
しかしながら、これに限らず、品揃え作業支援システムでは、作業者が機種に対応する個々のピッキング対象である部品のピッキングが完了する度にヘッドマウントディスプレイ1が作業完了通知をサーバ2に通知し、その通知を受けた後にサーバ2で当該ピッキングの良否判定を行うように動作してもよい。すなわち、この場合には、ピッキングの良否判定は、機種に対応する個々の部品に対して都度実施される。
【0066】
また、上記に示す品揃え作業支援システムでは、サーバ2において、画像に基づくピッキング結果を作成する場合を示した。
これに限らず、例えば、品揃え作業支援システムでは、サーバ2において、画像および重量に基づくピッキング結果を作成してもよい。
【0067】
この場合、例えば、品揃え作業支援システムは、
図1に示す構成に加え、計測装置を備える。この計測装置は、部品が保管されている保管容器ごとに、当該保管容器および当該保管容器に保管されている部品の全体の重量を計測する。この計測装置は、サーバ2による指示に応じて計測を行う。この計測装置は、例えば電子天秤である。
【0068】
そして、サーバ2は、撮影装置3により得られた画像および計測装置により計測された重量を取得し、当該画像および当該重量からピッキング結果を作成する。
より具体的には、サーバ2は、
図3に示す構成に加え、重量判定部を有する。この重量判定部は、通知送受信部202により作業完了通知が受信された場合、重量に基づくピッキング作業の良否判定を行う。
この際、例えば、まず、重量判定部は、計測装置に対して計測を指示し、当該計測装置により計測された重量を取得する。そして、重量判定部は、上記作業完了通知が示すピッキング対象の部品および当該部品の個数、ならびに、上記取得した重量に基づいて、ピッキング作業の良否判定を行う。なお、この場合、上記作業完了通知には、上記部品の単体での重量を示す情報が含まれ、この情報を用いて重量判定部は良否判定を行う。
そして、結果送信部204は、画像判定部203による判定結果および重量判定部による判定結果に基づいてピッキング結果を作成し、当該ピッキング結果を、上記作業完了通知の送信元であるヘッドマウントディスプレイ1に送信する。
【0069】
このように、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、ヘッドマウントディスプレイ1を用い、画像に基づくピッキング結果がピッキングの誤りがあることを示している場合に当該誤りを示す表示を行う。これにより、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、モニタを用いずに、品揃え作業を支援することが可能となる。
【0070】
また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、作業の進捗を自動的に判定し、作業進行に合わせて自動的にシステム進行を行うことが可能となるため、作業性の向上およびスピードの向上が可能となる。
すなわち、従来では、作業者がピッキング完了の際にバーコードリーダを用いてバーコードの読み取りを行う。この場合、作業者は、ピッキング完了の度にバーコードの読み取りを行う必要がある。よって、押す時間のロスの発生、読み取り間違いの発生が生じる可能性がある。また、ピッキング誤りの発生が生じる可能性がある。例えば、指定の隣の部品をピッキングしてしまう可能性がある。
これに対し、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、バーコードの読み取り動作をなくし、ピッキングの完了をシステムが判定可能となる。これにより、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、自動的に判定を行うため、作業者はピッキング作業に集中できる。すなわち、作業者は、読み取り動作を行う必要はない。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、自動的に判定するので、作業者による読み取り間違えは発生しない。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、判定の際に誤り検出が可能となる。よって、実施の形態1に係る品揃え支援システムでは、ピッキング誤りを検知した際に即座に警告することが可能となる。
【0071】
また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、従来に対し、作業者による作業手順などの確認のための視線移動を抑制することが可能となり、作業スピードの向上および身体的な負荷の低減が可能となる。
すなわち、従来では、モニタに作業指示が表示される。この場合、作業者は、作業ごとにモニタを確認する必要がある。よって、首または腰の移動を伴い、作業者への身体的負荷が生じる。また、1回の負担は少なくても、回数が多いことで負担増となる。また、視線の移動が多いことで、モニタから必要な情報を探す時間を多く要する。
これに対し、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、作業者の目の前の空間に、必要な情報のみを表示することが可能となる。これにより、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、作業者の姿勢移動が不要となるため、身体の動きを減らし負担軽減となる。また、回数が多い場合は時間の削減にも寄与可能である。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、作業者の目の前に必要な情報を表示できるため、作業者が必要な情報を探す手間を省ける。
【0072】
また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、新人向けの作業手順指導用途に用いることで、育成コストの削減が期待できる。
すなわち、従来では、指導者または手順書などをもとに作業手順を確認する必要がある。この場合、指導者と新人の2人分の工数および時間の確保がしにくい。また、手順書がわかりにくいことがある、また、手順書が邪魔になる。また、指導者による指導レベルに差がある。
これに対し、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、実物上に作業手順を表示可能となる。これにより、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、新人一人で手順の確認ができる。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、実物上に表示ができるので分かりやすい。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、一様品質の教育が可能となる。
【0073】
また、例えば、従来の品揃え作業支援システムとして、複数の保管容器のそれぞれに点灯ライトおよびボタンが取り付けられたものも知られている(例えば特許文献2参照)。そして、この品揃え作業支援システムでは、ピッキング対象である部品が保管されている保管容器に対応する点灯ライトを点灯する。そして、作業者はこの点灯ライトが点灯している保管容器から部品のピッキングを行い、その後、当該保管容器に対応するボタンを押す。そして、品揃え作業支援システムでは、上記ボタンの押下に応じ、次のピッキング対象である部品が保管されている保管容器に対応する点灯ライトの点灯へ移行する。
【特許文献2】特開2008-30919号公報
【0074】
これに対し、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、メンテナンス性の向上およびスペースの有効活用が可能となる。
すなわち、従来では、保管容器ごとに点灯ライトおよびボタンなどを設置している。この場合、点灯ライトおよびボタンが多いため、故障のリスクが高く、また、場所を多く占有する。また、ハードウェアの故障時にダウンタイムが長くなる。また、新機種または仕様変更の際の対応に時間がかかる。また、部品の配置変えの際にアドレス設定をする手間がかかる。また、ボタンがどの保管容器に対応しているのかが分かり難い場合があり、ミスが起こる可能性がある。
これに対し、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、表示系統をヘッドマウントディスプレイ1に集約することが可能となる。これにより、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、保管容器の形および大きさの制約がなくなる。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、スイッチ等のデバイスが不要となり、省スペース化を実現可能となる。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、ピッキング台の電子的なハードウェアがなくなるため、故障リスクの低減、また、保管容器として使えるスペースの拡大が可能となる。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、ヘッドマウントディスプレイ1を複数台用意しておけば、すぐに置き換え可能となる。また、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムでは、ソフトウェアの設定のみで柔軟な仕様に対応可能となる。
【0075】
以上のように、この実施の形態1によれば、品揃え作業支援システムは、機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得する設定情報取得部101と、基準位置を特定する基準位置特定部102と、機種を特定する機種特定部103と、設定情報取得部101により取得された設定情報、基準位置特定部102により特定された基準位置、および、機種特定部103により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1が有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うピッキング誘導部107とを備えた。これにより、実施の形態1に係る品揃え作業支援システムは、モニタを用いずに、品揃え作業を支援することが可能となる。
【0076】
最後に、
図7を参照して、実施の形態1に係るヘッドマウントディスプレイ1およびサーバ2のハードウェア構成例を説明する。
ヘッドマウントディスプレイ1における設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、手先位置検出部104、結果取得部105、通知送受信部106、ピッキング誘導部107、および、作業ログ送信部108の各機能は、処理回路501により実現される。処理回路501は、
図7Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、
図7Bに示すように、メモリ503に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSP(Digital Signal Processor)ともいう)502であってもよい。
【0077】
処理回路501が専用のハードウェアである場合、処理回路501は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、手先位置検出部104、結果取得部105、通知送受信部106、ピッキング誘導部107、および、作業ログ送信部108の各部の機能それぞれを処理回路501で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路501で実現してもよい。
【0078】
処理回路501がCPU502の場合、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、手先位置検出部104、結果取得部105、通知送受信部106、ピッキング誘導部107、および、作業ログ送信部108の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ503に格納される。処理回路501は、メモリ503に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、ヘッドマウントディスプレイ1は、処理回路501により実行されるときに、例えば
図4に示した各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ503を備える。また、これらのプログラムは、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、手先位置検出部104、結果取得部105、通知送受信部106、ピッキング誘導部107、および、作業ログ送信部108の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ503としては、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0079】
なお、設定情報取得部101、基準位置特定部102、機種特定部103、手先位置検出部104、結果取得部105、通知送受信部106、ピッキング誘導部107、および、作業ログ送信部108の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、設定情報取得部101については専用のハードウェアとしての処理回路501でその機能を実現し、基準位置特定部102、機種特定部103、手先位置検出部104、結果取得部105、通知送受信部106、ピッキング誘導部107、および、作業ログ送信部108については処理回路501がメモリ503に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0080】
このように、処理回路501は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0081】
また、サーバ2における設定情報送信部201、通知送受信部202、画像判定部203、結果送信部204、および、ログ保存部205の各機能は、処理回路501により実現される。処理回路501は、
図7Aに示すように、専用のハードウェアであってもよいし、
図7Bに示すように、メモリ503に格納されるプログラムを実行するCPU502であってもよい。
【0082】
処理回路501が専用のハードウェアである場合、処理回路501は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。設定情報送信部201、通知送受信部202、画像判定部203、結果送信部204、および、ログ保存部205の各部の機能それぞれを処理回路501で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路501で実現してもよい。
【0083】
処理回路501がCPU502の場合、設定情報送信部201、通知送受信部202、画像判定部203、結果送信部204、および、ログ保存部205の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ503に格納される。処理回路501は、メモリ503に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、サーバ2は、処理回路501により実行されるときに、例えば
図4に示した各ステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ503を備える。また、これらのプログラムは、設定情報送信部201、通知送受信部202、画像判定部203、結果送信部204、および、ログ保存部205の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ503としては、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVDなどが該当する。
【0084】
なお、設定情報送信部201、通知送受信部202、画像判定部203、結果送信部204、および、ログ保存部205の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、設定情報送信部201については専用のハードウェアとしての処理回路501でその機能を実現し、通知送受信部202、画像判定部203、結果送信部204、および、ログ保存部205については処理回路501がメモリ503に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0085】
このように、処理回路501は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0086】
なお、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0087】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0088】
(付記1)
機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得する設定情報取得部と、
基準位置を特定する基準位置特定部と、
機種を特定する機種特定部と、
前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うピッキング誘導部と
を備えた品揃え作業支援システム。
(付記2)
前記設定情報取得部により取得された設定情報および前記機種特定部により取得された機種に基づくピッキング対象である部品および当該部品の個数、ならびに、作業者によりピッキングされた部品が配置される領域を含む画像に基づいて、ピッキング作業の良否判定を行う画像判定部と、
前記画像判定部による判定結果に基づいてピッキング結果を作成し、当該ピッキング結果を送信する結果送信部と、
前記結果送信部により送信されたピッキング結果を取得する結果取得部とを備え、
前記ピッキング誘導部は、前記結果取得部により取得されたピッキング結果がピッキングの誤りがあることを示している場合、前記ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、当該ピッキングの誤りがあることを示す表示を行う
ことを特徴とする付記1記載の品揃え作業支援システム。
(付記3)
作業者の手先の位置を検出する手先位置検出部を備え、
前記ピッキング誘導部は、前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、前記機種特定部により特定された機種、および、前記手先位置検出部により検出された手先の位置に基づいて、現在のピッキング対象である部品が保管されている保管容器とは異なる保管容器に手先を入れようとしていると判定した場合、当該旨を示す報知を行う
ことを特徴とする付記1または付記2記載の品揃え作業支援システム。
(付記4)
ピッキング作業が完了した場合、トレーサビリティデータが含まれる作業ログを作成し、当該作業ログを送信する作業ログ送信部と、
前記作業ログ送信部により送信された作業ログを取得し、当該作業ログを記憶装置に保存するログ保存部とを備えた
ことを特徴とする付記1から付記3のうちのいずれか1項記載の品揃え作業支援システム。
(付記5)
機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得する設定情報取得部と、
基準位置を特定する基準位置特定部と、
機種を特定する機種特定部と、
前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づいて、自機が有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うピッキング誘導部と
を備えたヘッドマウントディスプレイ。
(付記6)
設定情報取得部が、機種ごとの、1つ以上のピッキング対象である部品および当該部品の個数を示す情報である部品情報、ならびに、部品ごとの、当該部品が保管されている保管容器の座標であって、基準位置に対する相対的な座標を示す情報である保管容器情報が含まれている設定情報を取得するステップと、
基準位置特定部が、基準位置を特定するステップと、
機種特定部が、機種を特定するステップと、
ピッキング誘導部が、前記設定情報取得部により取得された設定情報、前記基準位置特定部により特定された基準位置、および、前記機種特定部により特定された機種に基づいて、ヘッドマウントディスプレイが有する画面上に、現在のピッキング対象である部品、当該部品の個数、および、当該部品が保管されている保管容器を示す表示を行うステップと
を有する品揃え作業支援方法。
【符号の説明】
【0089】
1 ヘッドマウントディスプレイ、2 サーバ、3 撮影装置、101 設定情報取得部、102 基準位置特定部、103 機種特定部、104 手先位置検出部、105 結果取得部、106 通知送受信部、107 ピッキング誘導部、108 作業ログ送信部、201 設定情報送信部、202 通知送受信部、203 画像判定部、204 結果送信部、205 ログ保存部、501 処理回路、502 CPU、503 メモリ。