(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176580
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ウィッグ型エクステンション
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A41G3/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095255
(22)【出願日】2023-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】523416047
【氏名又は名称】ちょいぷらす株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139033
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 賢治
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕
(72)【発明者】
【氏名】上田 昭二
(57)【要約】
【課題】使用者の頭髪に対し簡単・容易に取り付け/取り外しが可能で、イメージしたものと実際との間にギャップが生じることがなく、かつ取り付けている際に植毛ネットの先端側又は後端側がめくれ上がった場合であっても、エクステを取り付けているか否か見分けがつかないエクステンションを提供する。
【解決手段】毛髪又は人工毛髪が上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネットと、植毛ネットの裏面に接着され使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材を含み、装着部材は植毛ネットの長さ方向の中心から所定間隔を有して前後に2分割されて対称に配置され、装着部材はそれぞれ植毛ネットに対して前後方向に所定幅の隙間を有して接着され、植毛ネットの先端側又は後端側であって、装着部材との間の隙間には毛髪が下向きに植毛されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面から毛髪及び/又は人工毛髪が上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネットと、
前記植毛ネットの裏面に接着され、使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材を含み、
前記装着部材は、前記植毛ネットの長さ方向の中心から所定間隔を有して前後に2分割されて対称に配置され、かつ2分割された前記装着部材は、それぞれ前記植毛ネットに対して少なくとも前後方向に所定幅の隙間を有して接着されており、
前記植毛ネットの先端側及び/又は後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間には、前記毛髪及び/又は前記人工毛髪が裏面から下向きに植毛されている、
ことを特徴とするウィッグ型エクステンション。
【請求項2】
前記植毛ネットの先端側及び/又は後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間は3~5mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項3】
前記植毛ネットの長さは30~110mm、幅は10~30mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項4】
2分割されている前記装着部材の各長さは10~50mm、各幅は6~26mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項5】
前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記足はキノコ型の突起であり、前記足の密度は62~68本/cm2である、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項6】
前記装着部材は、前記植毛ネットの長さ方向の中心位置において4~6mmの間隔を有して前後に2分割されて対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項7】
前記植毛ネットはナイロン製、前記装着部材の前記土台部はナイロン製、前記足はポリプロピレン製である、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項8】
前記ウィッグ型エクステンションの総重量は、4~15gである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の頭髪に対して取り付け/取り外し自在なウィッグ型のエクステンションに関する。
【背景技術】
【0002】
エクステンション(以下、エクステという)は、自毛に取り付けて楽しむファッションアイテムであり、現状は、シールを使って地毛に取り付ける「シール式エクステ」、自毛に編み込んで取り付ける「編み込み式エクステ」、地毛に紐で結んで取り付ける「プル式エクステ」、専用の機械によって地毛に取り付ける「超音波式エクステ」が主流である。
【0003】
上記した現状のエクステは、いずれも使用者自身が取り付けることは困難であり、美容院等で施術してもらうのが一般的である。またエクステは、一度取り付けると容易に取り外すことができず、長期間に渡って着けっぱなし状態となり、シャンプーもしづらく、また自毛にも負担がかかると言う問題がある。
【0004】
また、使用者が事前に確認するエクステカラーの確認方法は、小さなカラー見本の毛束を髪に当てて鏡を見て確認するか、カラー見本のチャートを見て確認するか、モデルとなる人物の画像を見て確認するか、或いはCG画像を作成して確認するか、のいずれかであるが、いずれかの方法で決めたカラーであっても、実際に髪に取り付けるとイメージしたものと実際との間にギャップ(不満)を感じたり、場合によってはカラーのやり直しを必要とするケースもある。
【0005】
一方、ウィッグ(かつら)は、使用者の薄毛部分を隠すために使用され、特許文献1(特許第5733650号)、特許文献2(特開2008―184714号公報)に開示されているように、所定の大きさの面ファスナー等を用いて使用者の頭髪に仮固定し、容易に外れないように弾性部材(フック等)を用いて強固に固定するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5733650号
【特許文献2】特開2008―184714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記した従来のエクステやウィッグとは相違する毛髪への固定手段を用い、使用者自身によって、使用者の頭髪に対し簡単・容易に取り付け/取り外しが可能で、イメージしたものと実際との間にギャップが生じることがなく、かつ取り付けている際に植毛ネットの先端側又は後端側がめくれ上がった場合であっても、エクステを取り付けていることが第三者から判別できないエクステンションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願発明は、表面から毛髪及び/又は人工毛髪が上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネットと、
前記植毛ネットの裏面に接着され、使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材を含む、ウィッグ型エクステンションであって、
前記装着部材は、前記植毛ネットの長さ方向の中心から所定間隔を有して前後に2分割されて対称に配置され、かつ2分割された前記装着部材は、それぞれ前記植毛ネットに対して少なくとも前後方向に所定幅の隙間を有して接着されており、
前記植毛ネットの先端側及び/又は後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間には、前記毛髪及び/又は前記人工毛髪が裏面から下向きに植毛されている、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記植毛ネットの先端側及び/又は後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間は3~5mmである、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記植毛ネットの長さは30~110mm、幅は10~30mmである、ことを特徴とする。
【0011】
また、2分割されている前記装着部材の各長さは10~50mm、各幅は6~26mmである、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記足はキノコ型突起であり、前記足の密度は62~68本/cm2である、ことを特徴とする。
【0013】
また、前記装着部材は、前記植毛ネットの長さ方向の中心位置において4~6mmの間隔を有して前後に2分割されて対称に配置されている、ことを特徴とする。
【0014】
また、前記植毛ネットはナイロン製、前記装着部材の前記土台部はナイロン製、前記足はポリプロピレン製である、ことを特徴とする。
【0015】
さらに、前記ウィッグ型エクステンションの総重量は、4~15gである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記した本願発明に係るエクステによれば、使用者は店舗内に用意されている実物と同じ各種形状、各種カラーからなる見本エクステを簡単に装着でき、自分がイメージしたものと合致したエクステを選んで購入することができるため、従来のようにイメージと実際に装着した際の印象が異なってしまうギャップや不満を解消することができる。
【0017】
また使用者は、エクステを自身の地毛に対し容易に取り付け/取り外しができるため、わざわざ美容院等に行って取り付けてもらう必要がなく、また取り付けに要する時間も極めて短くて済む。
【0018】
また、シャンプーの際はエクステを簡単に取り外して地毛のみを洗うことができ、地毛を痛めることも無く、取り外したエクステを別途洗浄することもできるため、エクステを清潔で衛生的に保つことができる。
【0019】
また、装着部材は、植毛ネットの長さ方向の中心から所定間隔を有して前後に2分割されて対称に配置されていることから、保管する際は折り畳んだ状態で固定され、保管の際に毛髪及び/又は人工毛髪が装着部材に絡みつくことを防止でき、かつコンパクトに収納できる。
【0020】
また、植毛ネットの先端側及び/又は後端側には、毛髪及び/又は人工毛髪が裏面から下向きに植毛されていることから、何らかの原因で先端側又は後端側がめくれ上がったとしても、植毛ネットのめくれ上がりが外見上分からず、第三者は使用者がエクステを着用しているか否かの見分けがつかない。
【0021】
さらに、美容院やカラーリング専門店において、客が地毛をカラーリングした後の印象を本発明に係るエクステを用いることで容易に実現でき、カラーリングに失敗し後悔するリスクを減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願発明の実施形態に係るエクステを裏から見た図
【
図2-1】植毛ネット及び装着部材を拡大した模式図(その1)
【
図2-2】植毛ネット及び装着部材を拡大した模式図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本願発明に係るウィッグ型エクステンション(以下、エクステという)を裏側から見た図であり、エクステは、様々な色にカラーリングされた毛髪及び/又は人工毛髪1(以下、毛髪1という)が、表面の全長に渡って上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネット2と、植毛ネット2の裏面に接着され、使用者の頭髪に対して取り付け/取り外し自在な装着部材3から構成されている。毛髪1は、毛髪のみ、人工毛髪のみ、或いはこれらの混合物であっても良い。また植毛ネット2に植毛される毛髪1の密度は、従来と同様の密度であれば良く、特に限定されない。
【0024】
図2-1は、植毛ネット2及び装着部材3を拡大した模式図であり、装着部材3は、植毛ネット2の長さ方向の中心から所定間隔L2(4~6mm程度)を有して前後に2分割されて対称に配置され、かつ2分割された装着部材3は、それぞれ植毛ネット2に対して少なくとも前後方向に所定幅の隙間を有して接着されている。
【0025】
エクステを外して保管する際、植毛ネット2を2つの装着部材3の中心位置で折り畳むと、対称に配置された2つの装着部材3どうしが面で接触し、両者は固定される。これにより、エクステの収納保管時に毛髪1が装着部材3に絡みつくことを防止でき、かつコンパクトに収納することができる。
【0026】
図2-1、
図3に示すとおり、植毛ネット2の先端側と装着部材3との間には隙間L1(3~5mm程度)が形成されており、この隙間L1には、毛髪1が植毛ネット2の裏面から下向きに植毛されている。この構成によって、エクステを取り付けている際に、何らかの原因で植毛ネット2の先端側がめくれ上がった場合であっても、植毛ネット2のめくれ上がりは外見上分からず、第三者は使用者がエクステを取り付けているか否かを見分けることができないようになっている。なお、
図2-1の実施形態では、植毛ネット2の先端側にのみ毛髪1を下向きに植毛した例を示しているが、
図2-2に示すように、植毛ネット2の後端側にも毛髪1を下向きに植毛しても良く、或いは後端側にのみ毛髪1を下向きに植毛しても良い。
【0027】
図4は、装着部材3を横方向から見た拡大図(実物写真)であり、装着部材3は土台部4と、土台部3から突出する複数の足4から構成されている。足4はキノコ型の突起であり、細線の先端にキノコの傘のような膨出部(マッシュ部)が形成されており、この膨出部と使用者の髪とが絡まることで、使用者の頭髪に対し、エクステを取り付け/取り外し自在とすることができる。
【0028】
足4の細線の径は220Tex、長さは2.3~3mm、膨出部の径は0.5~0.6mm、足4の密度は62~68本/cm2とすることが好ましいが、これらに限定されない。装着部材3は、使用者の毛髪に対し容易に外れない程度の取り付け強度を有し、かつ所定の力で簡単に取り外すことができれば良い。また、膨出部の形状は、キノコの傘に似た形状以外にも、半球体や球体等であっても良い。
【0029】
なお前述した植毛ネット2を中央で折り畳んだ際に、対称に配置された2つの装着部材3どうしが面で接触して固定されるのは、上記構成を有する足4によって2つの装着部材3が面ファスナーとしての機能を発揮するからである。
【0030】
図5は、エクステのラインアップの一例であり、
図5(a)は分け目エクステ、(b)は前髪エクステ、(c)はつむじエクステ、(d)はメッシュエクステ、(e)はエアーエクステであるが、エクステの種類はこれらの例に限定されない。
【0031】
植毛ネット2の長さ及び幅は、上記した各種のラインナップの形状、大きさ等に応じて適宜に決定することができるが、その長さは30~110mm程度、幅は10~30mm程度であることがそれぞれ好ましいが、これらに限定されない。
【0032】
また、2分割された装着部材3の各長さは10~50mm、幅は6~13mmであることがそれぞれ好ましいが、これらに限定されない。
【0033】
また、植毛ネット2はナイロン製、装着部材3の土台部4はナイロン製、足5はポリプロピレン製とすることが好ましいが、これらに限定されない。
【0034】
さらに、エクステは上記
図5に示すように、様々なラインアップとして用意できるが、その総重量は、4~15g程度であることが好ましいが、これに限定されない。
【0035】
以上のとおり本願発明に係るエクステは、従来のシール式、編み込み式、プル式、超音波式の各エクステのように、一度取り付けると容易に取り外すことができず長期間に渡って着けっぱなし状態となることがなく、ウィッグにように使用者によって簡単に取り付け/取り外し自在であるため、使用者及び店舗において、これまでにない様々な使用方法と様々な効果を産み出すことができる。
【0036】
また美容院やカラーリング専門店において、カラーバリエーションに富む本願発明に係るエクステを様々用意しておけば、地毛をカラーリングしようとする客は、希望するカラーのエクステを取り付けることで、実際にカラーリングした状態とほぼ合った仮体験ができるため、カラーリングに失敗して後悔することや、再度のやり直しリスクを減らすことができる。
【0037】
なお本願発明に係るエクステは、いわゆるウィッグとして使用することも可能であり、慣習的に呼ばれているエクステとウィッグを厳密に区別するものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 毛髪
2 植毛ネット
3 装着部材
4 土台部
5 足
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面から毛髪及び/又は人工毛髪が上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネットと、
前記植毛ネットの裏面に接着され、使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材を含み、
前記植毛ネットの長さ方向を前後方向、前記長さ方向において使用者が頭部に装着した際の顔面側を先端側及び後頭部側を後端側、使用者の頭皮側を下向き、とそれぞれ定義した場合、
前記装着部材は、前記植毛ネットの前記長さ方向の中心から所定間隔を有して前記前後方向に2分割されて対称に配置され、かつ2分割された前記装着部材は、それぞれ前記植毛ネットに対して少なくとも前記前後方向に所定幅の隙間を有して接着されており、
前記植毛ネットの前記先端側及び/又は前記後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間には、前記毛髪及び/又は前記人工毛髪が裏面から下向きに植毛されている、
ことを特徴とするウィッグ型エクステンション。
【請求項2】
前記植毛ネットの前記先端側及び/又は前記後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間は3~5mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項3】
前記植毛ネットの長さは30~110mm、幅は10~30mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項4】
2分割されている前記装着部材の各長さは10~50mm、各幅は6~26mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項5】
前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記足はキノコ型の突起であり、前記足の密度は62~68本/cm2である、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項6】
前記装着部材は、前記植毛ネットの前記長さ方向の中心位置において4~6mmの間隔を有して前記前後方向に2分割されて対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項7】
前記植毛ネットはナイロン製、前記装着部材の前記土台部はナイロン製、前記足はポリプロピレン製である、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項8】
前記ウィッグ型エクステンションの総重量は、4~15gである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の頭髪に対して取り付け/取り外し自在なウィッグ型のエクステンションに関する。
【背景技術】
【0002】
エクステンション(以下、エクステという)は、自毛に取り付けて楽しむファッションアイテムであり、現状は、シールを使って地毛に取り付ける「シール式エクステ」、自毛に編み込んで取り付ける「編み込み式エクステ」、地毛に紐で結んで取り付ける「プル式エクステ」、専用の機械によって地毛に取り付ける「超音波式エクステ」が主流である。
【0003】
上記した現状のエクステは、いずれも使用者自身が取り付けることは困難であり、美容院等で施術してもらうのが一般的である。またエクステは、一度取り付けると容易に取り外すことができず、長期間に渡って着けっぱなし状態となり、シャンプーもしづらく、また自毛にも負担がかかると言う問題がある。
【0004】
また、使用者が事前に確認するエクステカラーの確認方法は、小さなカラー見本の毛束を髪に当てて鏡を見て確認するか、カラー見本のチャートを見て確認するか、モデルとなる人物の画像を見て確認するか、或いはCG画像を作成して確認するか、のいずれかであるが、いずれかの方法で決めたカラーであっても、実際に髪に取り付けるとイメージしたものと実際との間にギャップ(不満)を感じたり、場合によってはカラーのやり直しを必要とするケースもある。
【0005】
一方、ウィッグ(かつら)は、使用者の薄毛部分を隠すために使用され、特許文献1(特許第5733650号)、特許文献2(特開2008―184714号公報)に開示されているように、所定の大きさの面ファスナー等を用いて使用者の頭髪に仮固定し、容易に外れないように弾性部材(フック等)を用いて強固に固定するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5733650号
【特許文献2】特開2008―184714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記した従来のエクステやウィッグとは相違する毛髪への固定手段を用い、使用者自身によって、使用者の頭髪に対し簡単・容易に取り付け/取り外しが可能で、イメージしたものと実際との間にギャップが生じることがなく、かつ取り付けている際に植毛ネットの先端側又は後端側がめくれ上がった場合であっても、エクステを取り付けていることが第三者から判別できないエクステンションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願発明は、表面から毛髪及び/又は人工毛髪が上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネットと、
前記植毛ネットの裏面に接着され、使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材を含み、
前記植毛ネットの長さ方向を前後方向、前記長さ方向において使用者が頭部に装着した際の顔面側を先端側及び後頭部側を後端側、使用者の頭皮側を下向き、とそれぞれ定義した場合、
前記装着部材は、前記植毛ネットの前記長さ方向の中心から所定間隔を有して前記前後方向に2分割されて対称に配置され、かつ2分割された前記装着部材は、それぞれ前記植毛ネットに対して少なくとも前記前後方向に所定幅の隙間を有して接着されており、
前記植毛ネットの前記先端側及び/又は前記後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間には、前記毛髪及び/又は前記人工毛髪が裏面から下向きに植毛されている、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記植毛ネットの前記先端側及び/又は前記後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間は3~5mmである、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記植毛ネットの長さは30~110mm、幅は10~30mmである、ことを特徴とする。
【0011】
また、2分割されている前記装着部材の各長さは10~50mm、各幅は6~26mmである、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記足はキノコ型突起であり、前記足の密度は62~68本/cm2である、ことを特徴とする。
【0013】
また、前記装着部材は、前記植毛ネットの前記長さ方向の中心位置において4~6mmの間隔を有して前記前後方向に2分割されて対称に配置されている、ことを特徴とする。
【0014】
また、前記植毛ネットはナイロン製、前記装着部材の前記土台部はナイロン製、前記足はポリプロピレン製である、ことを特徴とする。
【0015】
さらに、前記ウィッグ型エクステンションの総重量は、4~15gである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記した本願発明に係るエクステによれば、使用者は店舗内に用意されている実物と同じ各種形状、各種カラーからなる見本エクステを簡単に装着でき、自分がイメージしたものと合致したエクステを選んで購入することができるため、従来のようにイメージと実際に装着した際の印象が異なってしまうギャップや不満を解消することができる。
【0017】
また使用者は、エクステを自身の地毛に対し容易に取り付け/取り外しができるため、わざわざ美容院等に行って取り付けてもらう必要がなく、また取り付けに要する時間も極めて短くて済む。
【0018】
また、シャンプーの際はエクステを簡単に取り外して地毛のみを洗うことができ、地毛を痛めることも無く、取り外したエクステを別途洗浄することもできるため、エクステを清潔で衛生的に保つことができる。
【0019】
また、装着部材は、植毛ネットの長さ方向の中心から所定間隔を有して前後方向に2分割されて対称に配置されていることから、保管する際は折り畳んだ状態で固定され、保管の際に毛髪及び/又は人工毛髪が装着部材に絡みつくことを防止でき、かつコンパクトに収納できる。
【0020】
また、植毛ネットの先端側及び/又は後端側には、毛髪及び/又は人工毛髪が裏面から下向きに植毛されていることから、何らかの原因で先端側又は後端側がめくれ上がったとしても、植毛ネットのめくれ上がりが外見上分からず、第三者は使用者がエクステを着用しているか否かの見分けがつかない。
【0021】
さらに、美容院やカラーリング専門店において、客が地毛をカラーリングした後の印象を本発明に係るエクステを用いることで容易に実現でき、カラーリングに失敗し後悔するリスクを減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願発明の実施形態に係るエクステを裏から見た図
【
図2-1】植毛ネット及び装着部材を拡大した模式図(その1)
【
図2-2】植毛ネット及び装着部材を拡大した模式図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本願発明に係るウィッグ型エクステンション(以下、エクステという)を裏側から見た図であり、エクステは、様々な色にカラーリングされた毛髪及び/又は人工毛髪1(以下、毛髪1という)が、表面の全長に渡って上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネット2と、植毛ネット2の裏面に接着され、使用者の頭髪に対して取り付け/取り外し自在な装着部材3から構成されている。毛髪1は、毛髪のみ、人工毛髪のみ、或いはこれらの混合物であっても良い。また植毛ネット2に植毛される毛髪1の密度は、従来と同様の密度であれば良く、特に限定されない。
なお以下、植毛ネットの長さ方向を前後方向、長さ方向において使用者が頭部に装着した際の顔面側を先端側及び後頭部側を後端側、使用者の頭皮側を下向き、とそれぞれ定義して説明する。
【0024】
図2-1は、植毛ネット2及び装着部材3を拡大した模式図であり、装着部材3は、植毛ネット2の長さ方向の中心から所定間隔L2(4~6mm程度)を有して前後
方向に2分割されて対称に配置され、かつ2分割された装着部材3は、それぞれ植毛ネット2に対して少なくとも前後方向に所定幅の隙間を有して接着されている。
【0025】
エクステを外して保管する際、植毛ネット2を2つの装着部材3の中心位置で折り畳むと、対称に配置された2つの装着部材3どうしが面で接触し、両者は固定される。これにより、エクステの収納保管時に毛髪1が装着部材3に絡みつくことを防止でき、かつコンパクトに収納することができる。
【0026】
図2-1、
図3に示すとおり、植毛ネット2の先端側と装着部材3との間には隙間L1(3~5mm程度)が形成されており、この隙間L1には、毛髪1が植毛ネット2の裏面から下向きに植毛されている。この構成によって、エクステを取り付けている際に、何らかの原因で植毛ネット2の先端側がめくれ上がった場合であっても、植毛ネット2のめくれ上がりは外見上分からず、第三者は使用者がエクステを取り付けているか否かを見分けることができないようになっている。なお、
図2-1の実施形態では、植毛ネット2の先端側にのみ毛髪1を下向きに植毛した例を示しているが、
図2-2に示すように、植毛ネット2の後端側にも毛髪1を下向きに植毛しても良く、或いは後端側にのみ毛髪1を下向きに植毛しても良い。
【0027】
図4は、装着部材3を横方向から見た拡大図(実物写真)であり、装着部材3は土台部4と、土台部3から突出する複数の足4から構成されている。足4はキノコ型の突起であり、細線の先端にキノコの傘のような膨出部(マッシュ部)が形成されており、この膨出部と使用者の髪とが絡まることで、使用者の頭髪に対し、エクステを取り付け/取り外し自在とすることができる。
【0028】
足4の細線の径は220Tex、長さは2.3~3mm、膨出部の径は0.5~0.6mm、足4の密度は62~68本/cm2とすることが好ましいが、これらに限定されない。装着部材3は、使用者の毛髪に対し容易に外れない程度の取り付け強度を有し、かつ所定の力で簡単に取り外すことができれば良い。また、膨出部の形状は、キノコの傘に似た形状以外にも、半球体や球体等であっても良い。
【0029】
なお前述した植毛ネット2を中央で折り畳んだ際に、対称に配置された2つの装着部材3どうしが面で接触して固定されるのは、上記構成を有する足4によって2つの装着部材3が面ファスナーとしての機能を発揮するからである。
【0030】
図5は、エクステのラインアップの一例であり、
図5(a)は分け目エクステ、(b)は前髪エクステ、(c)はつむじエクステ、(d)はメッシュエクステ、(e)はエアーエクステであるが、エクステの種類はこれらの例に限定されない。
【0031】
植毛ネット2の長さ及び幅は、上記した各種のラインナップの形状、大きさ等に応じて適宜に決定することができるが、その長さは30~110mm程度、幅は10~30mm程度であることがそれぞれ好ましいが、これらに限定されない。
【0032】
また、2分割された装着部材3の各長さは10~50mm、幅は6~13mmであることがそれぞれ好ましいが、これらに限定されない。
【0033】
また、植毛ネット2はナイロン製、装着部材3の土台部4はナイロン製、足5はポリプロピレン製とすることが好ましいが、これらに限定されない。
【0034】
さらに、エクステは上記
図5に示すように、様々なラインアップとして用意でき
、その総重量は、4~15g程度であることが好ましいが、これに限定されない。
【0035】
以上のとおり本願発明に係るエクステは、従来のシール式、編み込み式、プル式、超音波式の各エクステのように、一度取り付けると容易に取り外すことができず長期間に渡って着けっぱなし状態となることがなく、ウィッグにように使用者によって簡単に取り付け/取り外し自在であるため、使用者及び店舗において、これまでにない様々な使用方法と様々な効果を産み出すことができる。
【0036】
また美容院やカラーリング専門店において、カラーバリエーションに富む本願発明に係るエクステを様々用意しておけば、地毛をカラーリングしようとする客は、希望するカラーのエクステを取り付けることで、実際にカラーリングした状態とほぼ合った仮体験ができるため、カラーリングに失敗して後悔することや、再度のやり直しリスクを減らすことができる。
【0037】
なお本願発明に係るエクステは、いわゆるウィッグとして使用することも可能であり、慣習的に呼ばれているエクステとウィッグを厳密に区別するものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 毛髪
2 植毛ネット
3 装着部材
4 土台部
5 足
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面から毛髪及び/又は人工毛髪が上向きに植毛された細長いテープ状の植毛ネットと、
前記植毛ネットの裏面に接着され、使用者の頭髪に取り付け/取り外し自在な装着部材を含み、
前記植毛ネットの長さ方向を前後方向、前記長さ方向において使用者が頭部に装着した際の顔面側を先端側及び後頭部側を後端側、使用者の頭皮側を下向き、とそれぞれ定義した場合、
前記装着部材は、前記植毛ネットの前記長さ方向の中心から所定間隔を有して前記前後方向に2分割されて対称に配置され、かつ2分割された前記装着部材は、それぞれ前記植毛ネットに対して少なくとも前記前後方向に所定幅の隙間を有して接着されており、
前記植毛ネットの前記先端側及び/又は前記後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間には、前記毛髪及び/又は前記人工毛髪が裏面から下向きに植毛されている、
ことを特徴とするウィッグ型エクステンション。
【請求項2】
前記植毛ネットの前記先端側及び/又は前記後端側であって、前記装着部材との間の前記隙間は3~5mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項3】
前記植毛ネットの長さは30~110mm、幅は10~30mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項4】
2分割されている前記装着部材の各長さは10~50mm、各幅は6~26mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項5】
前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記足はキノコ型の突起であり、前記足の密度は62~68本/cm2である、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項6】
前記装着部材は、前記植毛ネットの前記長さ方向の中心位置において4~6mmの間隔を有して前記前後方向に2分割されて対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項7】
前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記植毛ネットはナイロン製、前記装着部材の前記土台部はナイロン製、前記足はポリプロピレン製である、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【請求項8】
前記ウィッグ型エクステンションの総重量は、4~15gである、
ことを特徴とする請求項1に記載のウィッグ型エクステンション。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、前記装着部材は土台部と複数の足から構成され、前記植毛ネットはナイロン製、前記装着部材の前記土台部はナイロン製、前記足はポリプロピレン製である、ことを特徴とする。