(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176585
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】梱包箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B65D5/66 311G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095268
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】304014143
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山内 雄司
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060BA08
3E060BB01
3E060BC02
3E060DA18
(57)【要約】
【課題】中芯の目方向がロック片の差し込み方向とは直交する場合であっても、蓋が確実に閉じられるとともに、ロック片の表側ライナーや裏側ライナーがめくれ上がることを防ぐことが可能な梱包箱を提供する。
【解決手段】開口部4を有する箱状の収容部2と、蓋部3と、蓋部3を閉じた状態に保持するロック構造5とを備える。ロック構造5は、蓋部3の差し込み片22と、差し込み片22に形成されたスリット状の穴25と、収容部2に形成されてスリット状の穴25に挿入されるロック片21とを含む。スリット状の穴25の一対の開口縁25a,25bのうち、収容部2の底に近い一方の開口縁25aには、他方の開口縁25bに向けて凸になる凸形状部26が形成されている。凸形状部26は、スリット状の穴25に挿入されたロック片21を他方の開口縁25bに押し付ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する箱状に段ボール材料によって形成された物品収容用の収容部と、
前記収容部の一側部に接続されて前記開口部を開閉する蓋部と、
前記蓋部を閉じた状態に保持するロック構造とを備え、
前記ロック構造は、
前記蓋部の先端部に設けられ、前記蓋部が閉じた状態で前記収容部の中に挿入される差し込み片と、
前記差し込み片に前記蓋部の開閉方向とは直交する方向に延びるように形成されたスリット状の穴と、
前記収容部に形成され、前記穴に挿入される板状のロック片とを含み、
前記穴の長手方向に延びる一対の開口縁のうち、前記差し込み片が前記収容部の中に挿入された状態で前記収容部の底に近接する一方の開口縁には、他方の開口縁に向けて凸になる凸形状部が形成され、
前記凸形状部は、前記スリット状の穴に挿入された前記ロック片を前記他方の開口縁に押し付ける構成が採られていることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包箱において、前記凸形状部は、前記穴の長手方向の中央部に位置付けられていることを特徴とする梱包箱。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の梱包箱において、前記ロック片を構成する前記段ボール材料の中芯の目方向は、前記ロック片が前記穴に挿入される方向とは直交する方向であることを特徴とする梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋を閉じた状態に保持するロック構造を備えた梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の梱包箱としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された梱包箱のロック構造は、開閉蓋の差し込み片に形成されたスリットに梱包箱本体側のロック片を差し込む構造である。このロック構造において、スリットの隙間とロック片の厚みは略等しくなるように形成されている。
【0003】
ところで、段ボール材料によって梱包箱を形成する場合、中芯の目方向(波状に湾曲した部分が並ぶ方向とは直交する方向)とロック片の差し込み方向とが一致するように形成されることが多い。この理由は、中芯の波状の断面形状がロック片の差し込み方向の先端に露出するようになり、中芯と表側ライナーおよび裏側ライナーとの接着部分がロック片の先端まで存在するようになるからである。このように接着がなされることにより、ロック片をスリットに挿入する際にロック片の先端において表側ライナーや裏側ライナーがめくれ上がることを防ぐことができる。
【0004】
段ボール材料からなる梱包箱の強度は、中芯の目方向に依存して変わることが知られている。梱包箱は、積み重ねて運搬したり保管することが多いから、積載する際の姿勢に応じて中芯の目方向が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、梱包箱の積載方法を考慮して積載に対する強度を優先すると、ロック片の差し込み方向に対して中芯の目方向が直交するようになることがある。このような場合、ロック片をスリットに挿入する際にロック片の端縁がめくれ上がってスリットに差し込み難くなったり、スリット側の端縁がめくれ上がったりすることで外観が損なわれ、梱包箱の品質が低下するおそれがある。なお、端縁のめくれ上がりを防ぐにあたっては、開閉蓋を閉じた状態に保つ機能が損なわれるようなことがないようにしなければならない。
【0007】
本発明の目的は、中芯の目方向がロック片の差し込み方向とは直交する場合であっても、蓋が確実に閉じられるとともに、ロック片の表側ライナーや裏側ライナーがめくれ上がることを防ぐことが可能な梱包箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明に係る梱包箱は、開口部を有する箱状に段ボール材料によって形成された物品収容用の収容部と、前記収容部の一側部に接続されて前記開口部を開閉する蓋部と、前記蓋部を閉じた状態に保持するロック構造とを備え、前記ロック構造は、前記蓋部の先端部に設けられ、前記蓋部が閉じた状態で前記収容部の中に挿入される差し込み片と、前記差し込み片に前記蓋部の開閉方向とは直交する方向に延びるように形成されたスリット状の穴と、前記収容部に形成され、前記穴に挿入される板状のロック片とを含み、前記穴の長手方向に延びる一対の開口縁のうち、前記差し込み片が前記収容部の中に挿入された状態で前記収容部の底に近接する一方の開口縁には、他方の開口縁に向けて凸になる凸形状部が形成され、前記凸形状部は、前記スリット状の穴に挿入された前記ロック片を前記他方の開口縁に押し付ける構成が採られているものである。
【0009】
本発明は、前記梱包箱において、前記凸形状部は、前記穴の長手方向の中央部に位置付けられていてもよい。
【0010】
本発明は、前記梱包箱において、前記ロック片を構成する前記段ボール材料の中芯の目方向は、前記ロック片が前記穴に挿入される方向とは直交する方向であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中芯の目方向がロック片の差し込み方向とは直交する場合であっても、蓋が確実に閉じられるとともに、ロック片の表側ライナーや裏側ライナーがめくれ上がることを防ぐことが可能な梱包箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明に係る梱包箱の斜視図である。
【
図3】
図3は、蓋部が開いている状態の梱包箱の斜視図である。
【
図6】
図6は、スリット状の穴を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図7は、段ボール材料の構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、梱包箱の積載状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る梱包箱の一実施の形態を
図1~
図8を参照して詳細に説明する。
図1に示す梱包箱1は、箱状の収容部2と、
図1において最も上に描かれている蓋部3とを備えている。収容部2は、物品収容用のもので、
図3に示すように、矩形の開口部4を有する箱状に形成されている。蓋部3は、板状に形成されており、収容部2の一側部2aに接続されて一側部2aから突出している。蓋部3が一側部2aを中心にして揺動することにより、開口部4が開閉される。
図1に示すように、この梱包箱1は、収容部2の他側部2b側で蓋部3を閉じた状態に保持するロック構造5を有している。ロック構造5の説明は後述する。この梱包箱1の説明を行うにあたって方向を示す場合は、便宜上、収容部2の一側部2aを梱包箱1の後側とするとともに、収容部2に対して蓋部3が位置する方向を上側として、梱包箱1を前方から見た状態で示す。
【0014】
収容部2と蓋部3とは、1枚の段ボール材料を折り曲げることによって形成されている。この実施の形態による収容部2は、
図3に示すように、前壁6と、後壁7と、右側壁8と、左側壁9と、底壁10とによって箱状に形成されている。蓋部3は、
図2に示すように、収容部2の後壁7と一体に形成されている。
図2は、
図1中に符号Aで示す仮想平面によって梱包箱1を破断して右側方から見た断面図である。
【0015】
梱包箱1を形成する段ボール材料は、
図7に示すように、断面波状に形成された中芯11と、中芯11の表側を覆う表側ライナー12と、中芯11の裏側を覆う裏側ライナー13とによって形成されている。中芯11の波形状が並ぶ方向とは直交する方向である目方向は、蓋部3が収容部2の一側部2aから突出する方向とは直交する方向である。この実施の形態による梱包箱1において、中芯11の目方向は、
図3中に二点鎖線で示す仮想線Lが延びる方向である。すなわち、収容部2の前壁6および後壁7と、蓋部3を形成する中芯11の目方向は、左右方向であり、右側壁8と左側壁9とを形成する中芯11の目方向は上下方向である。
【0016】
ロック構造5は、収容部2の前壁6に設けられたロック片21と、蓋部3の先端部に設けられた差し込み片22とを用いて構成されている。収容部2の前壁6は、
図2および
図4(A),(B)に示すように3層構造となるように折り曲げられている。
図2および
図4(A),(B)は、段ボール材料を構成する中芯11と、表側ライナー12と、裏側ライナー13とを省略し、段ボール材料を1枚の板材として表現している。
図4(A)は非ロック状態のロック構造5の断面図、
図4(B)は、ロック状態にあるロック構造5の断面図を示す。
【0017】
ロック片21は、前壁6の左右方向の中央部の一部を部分的に切り起こすようにして断面L字状に形成されている。このため、ロック片21を形成する中芯11の目方向は、前壁6と同じ左右方向である。
前壁6の左右方向の中央部には、
図3および
図5に示すように、ロック片21を前壁6の前方から収納部2内に挿入することができるように凹部23が形成されている。
【0018】
差し込み片22は、蓋部3の左右方向の中央部に形成され、蓋部3の先端部に対して収容部2の底に向かう方向に折り曲げられている。この差し込み片22は、蓋部3が開口部4を塞ぐように閉じた状態で収容部2の中に挿入される。
図1に示すように、蓋部3の先端部であって、差し込み片22が折り曲げられる部分には、ロック構造5によるロックを解除する際に作業者が指を挿入する切り欠き24が形成されている。切り欠き24は、蓋部3の左右方向の中央部に形成されている。
【0019】
図3に示すように、差し込み片22における、蓋部3に対して折り曲げられた折り曲げ部分22aの近傍には、スリット状の穴25が形成されている。スリット状の穴25は、差し込み片22の左右方向の中央部に、左右方向に延びるように(蓋部3の開閉方向とは直交する方向に延びるように)形成されている。このスリット状の穴25は、差し込み片22を厚み方向に貫通している。上述したロック片21は、スリット状の穴25に挿入される。
【0020】
図3および
図6に示すように、スリット状の穴25の開口形状は、左右方向の両端で開口幅が相対的に広くなり、左右方向の中央部で開口幅が相対的に狭くなる形状である。詳述すると、スリット状の穴25の左右方向に延びる一対の開口縁25a,25bのうち、差し込み片22が収容部2の中に挿入された状態で収容部2の底に近接する一方の開口縁25aには、他方の開口縁25bに向けて凸になる凸形状部26が形成されている。凸形状部26は、スリット状の穴25の左右方向の中央部に位置付けられている。
【0021】
図4(A)に示すように、一方の開口縁25aと他方の開口縁25bとの間で開口幅が相対的に広くなる部分の開口幅Aは、ロック片21の厚みBより広い。また、一方の開口縁25aと他方の開口縁25bとの間で開口幅が相対的に狭くなる部分の開口幅C、すなわち凸形状部26と他方の開口縁25bとの間の隙間は、ロック片21の厚みBより狭い。さらに、スリット状の穴25の左右方向の開口幅は、ロック片21の左右方向の幅と等しいか、ロック片21の左右方向の幅より僅かに広い。
【0022】
このように構成されたロック構造5によれば、蓋部3を閉じて差し込み片22を収容部2内に挿入し、ロック片21をスリット状の穴25に前方から挿入することによって、蓋部3を閉じた状態に保持することができる。
スリット状の穴25の左右方向の両端部は、ロック片21の厚みBより広く開口しているから、この穴25にロック片21を挿入するときにロック片21の表側ライナー12と裏側ライナー13に接触し難い。このため、ロック片21を形成する中芯11の目方向が左右方向であるにもかかわらず、表側ライナー12と裏側ライナー13とがめくれ上がることなくロック片21をスリット状の穴25に挿入することができる。
【0023】
スリット状の穴25にロック片21が挿入された状態においては、スリット状の穴25の凸形状部26がロック片21に接触する。凸形状部26と他方の開口縁25bとの間の隙間(開口幅C)がロック片21の厚みBより狭いために、このときに凸形状部26がロック片21によって押されて撓み、凸形状部26の反発力でロック片21が他方の開口縁25bに押し付けられる。このとき、凸形状部26の先端部分は、ロック片21の下面に沿って収容部2内に向けて曲げられた状態となる。
このため、ロック片21のめくれ上がりを防ぎながら、ロック片21がスリット状の穴25から出ることを確実に防ぐことができる。
【0024】
したがって、この実施の形態によれば、中芯11の目方向がロック片21の差し込み方向とは直交する場合であっても、蓋部3が確実に閉じられるとともに、ロック片21の表側ライナー12や裏側ライナー13がめくれ上がることを防ぐことが可能な梱包箱1を提供することができる。
【0025】
この実施の形態による凸形状部26は、スリット状の穴25の長手方向の中央部に位置付けられている。
このため、凸形状部26の左右方向の両端が移動を規制されることがなく、凸形状部26が容易に変形することが可能になるから、ロック片21の表側ライナー12と裏側ライナー13のめくれ上がりを確実に防ぐことができる。
また、この実施の形態による梱包箱1において、ロック片21を構成する段ボール材料の中芯11の目方向は、ロック片21が穴25に挿入される方向とは直交する方向である。このような梱包箱1は、例えば
図7に示すように前壁6が上下方向に延びる姿勢として積み重ねたとしても、強度が充分であるために収納物を確実に保護することができるものとなる。
【符号の説明】
【0026】
1…梱包箱、2…収容部、3…蓋部、4…開口部、5…ロック構造、11…中芯、
21…ロック片、22…差し込み片、25…スリット状の穴、21…ロック片、25a…一方の開口縁、25b…他方の開口縁、26…凸形状部。