(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176590
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A63F5/04 601B
A63F5/04 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095275
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】田幡 悠嗣
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CC01
2C182DA12
2C182DA13
2C182DA40
(57)【要約】
【課題】部品の破損が抑制された遊技機を提供する。
【解決手段】筐体と、基板ユニットと、リールユニットと、リールユニットを支持する支持部と、筐体の天面に設けられたネジと、を備え、基板ユニットの天面には、複数の放熱口が設けられており、放熱口の開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、放熱口の開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、ネジの頭部の直径より小さい。これにより、部品の破損を抑制できる。
【選択図】
図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
基板ユニットと、
リールユニットと、
前記リールユニットを支持する支持部と、
前記筐体の天面に設けられたネジと、を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記筐体は、背面に設けられた孔を備え、
前記基板ユニットの天面には、複数の放熱口が設けられており、
前記孔は、前記支持部よりも下方に、かつ前記放熱口よりも上方に設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部があり、
前方から見た場合に、上下方向に引いた仮想直線上に、前記放熱口と前記孔と前記第1くり抜き部とが位置しているが、前記放熱口には、開口の上方側を覆う形状が設けられており、
前記放熱口の前記開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記放熱口の前記開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、前記ネジの頭部の直径より小さい、遊技機。
【請求項2】
筐体と、
基板ユニットと、
リールユニットと、
前記リールユニットを支持する支持部と、
前記筐体の天面に設けられたネジと、を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記基板ユニットの天面には、複数の放熱口が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部があり、
上方から見て、前記第1くり抜き部と前記放熱口とが、重ならない位置に設けられており、
前記放熱口の開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記放熱口の前記開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、前記ネジの頭部の直径より小さい、遊技機。
【請求項3】
筐体と、
基板ユニットと、
リールユニットと、
前記リールユニットを支持する支持部と、
前記筐体の天面に設けられたネジと、を備え、
前記筐体は、背面に設けられた孔を備え、
前記孔は、前記支持部よりも上方に設けられており、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記基板ユニットの天面には、複数の放熱口が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部があり、
前方から見た場合に、上下方向に引いた仮想直線上に、前記放熱口と前記第1くり抜き部と前記孔とが位置しているが、前記放熱口と前記第1くり抜き部との間に、前記放熱口の開口を覆う部材が設けられており、
前記放熱口の前記開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記放熱口の前記開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、前記ネジの頭部の直径より小さい、遊技機。
【請求項4】
筐体と、
基板ユニットと、
リールユニットと、
前記リールユニットを支持する支持部と、
前記筐体の天面に設けられたネジと、を備え、
前記筐体は、背面に設けられた孔を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前方から見た場合に、前記基板ユニットと前記孔の少なくとも一部とが、上下方向に引いた仮想直線上に位置しており、
前記基板ユニットの天面には、上方から見た場合に前記支持部と重なる第1領域と、上方から見た場合に前記支持部と重ならない第2領域と、があり、
前記第2領域は、前記第1領域よりも前記孔までの距離が小さく、
前記第1領域には複数の放熱口が設けられているが、前記第2領域には前記放熱口が設けられておらず、
前記第1領域の前記放熱口の開口の上方側に、前記開口を覆う部材が設けられており、
前記放熱口の前記開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記放熱口の前記開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、前記ネジの頭部の直径より小さい、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、遊技球(遊技価値)が移動する遊技領域や、遊技球を遊技領域に発射する発射装置等を備えた、パチンコ遊技機が知られている。パチンコ遊技機は、遊技領域に設けられた始動口を備え、始動口への遊技球の進入が検出されると、特別図柄抽選が行われる。特別図柄抽選の結果が大当たりである場合、遊技状態が特別遊技状態に移行し、特別遊技状態において複数回の特別遊技が実行される。各特別遊技では遊技領域に設けられている大入賞口が開状態に動作し、大入賞口への遊技球の進入に基づいて遊技球が払い出される。
【0003】
また、遊技機として、外周面に複数の図柄が配列された複数のリール、スタートレバーおよびストップボタン等を備えた、スロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技開始操作に基づきリールの回転が開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。各リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが表示され、当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、メダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理や、メダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われる。
【0004】
このような遊技機には、各部品に電力を供給可能な電源ユニット(電源基板を備える基板ユニット)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機では、部品の破損を抑制することが求められている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、部品の破損が抑制された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る遊技機は、
筐体と、
基板ユニットと、
リールユニットと、
前記リールユニットを支持する支持部と、
前記筐体の天面に設けられたネジと、を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記筐体は、背面に設けられた孔を備え、
前記基板ユニットの天面には、複数の放熱口が設けられており、
前記孔は、前記支持部よりも下方に、かつ前記放熱口よりも上方に設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部があり、
前方から見た場合に、上下方向に引いた仮想直線上に、前記放熱口と前記孔と前記第1くり抜き部とが位置しているが、前記放熱口には、開口の上方側を覆う形状が設けられており、
前記放熱口の前記開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記放熱口の前記開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、前記ネジの頭部の直径より小さい。
また、本発明に係る遊技機は、
筐体と、
基板ユニットと、
リールユニットと、
前記リールユニットを支持する支持部と、
前記筐体の天面に設けられたネジと、を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記基板ユニットの天面には、複数の放熱口が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部があり、
上方から見て、前記第1くり抜き部と前記放熱口とが、重ならない位置に設けられており、
前記放熱口の開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記放熱口の前記開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、前記ネジの頭部の直径より小さい。
また、本発明に係る遊技機は、
筐体と、
基板ユニットと、
リールユニットと、
前記リールユニットを支持する支持部と、
前記筐体の天面に設けられたネジと、を備え、
前記筐体は、背面に設けられた孔を備え、
前記孔は、前記支持部よりも上方に設けられており、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記基板ユニットの天面には、複数の放熱口が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部があり、
前方から見た場合に、上下方向に引いた仮想直線上に、前記放熱口と前記第1くり抜き部と前記孔とが位置しているが、前記放熱口と前記第1くり抜き部との間に、前記放熱口の開口を覆う部材が設けられており、
前記放熱口の前記開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記放熱口の前記開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、前記ネジの頭部の直径より小さい。
また、本発明に係る遊技機は、
筐体と、
基板ユニットと、
リールユニットと、
前記リールユニットを支持する支持部と、
前記筐体の天面に設けられたネジと、を備え、
前記筐体は、背面に設けられた孔を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前方から見た場合に、前記基板ユニットと前記孔の少なくとも一部とが、上下方向に引いた仮想直線上に位置しており、
前記基板ユニットの天面には、上方から見た場合に前記支持部と重なる第1領域と、上方から見た場合に前記支持部と重ならない第2領域と、があり、
前記第2領域は、前記第1領域よりも前記孔までの距離が小さく、
前記第1領域には複数の放熱口が設けられているが、前記第2領域には前記放熱口が設けられておらず、
前記第1領域の前記放熱口の開口の上方側に、前記開口を覆う部材が設けられており、
前記放熱口の前記開口の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記放熱口の前記開口の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、前記ネジの頭部の直径より小さい。
【0009】
遊技メダルの全体、およびネジの全体が放熱口を介して基板ユニットの内部に侵入しないようになっている。このため、遊技メダルやネジの侵入に基づく基板ユニットの破損を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品の破損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、正面側から見た斜視図である。
【
図3】同、受皿とキャンセルシュートについて説明するための図であり、(a)は受皿とキャンセルシュートを近接させた状態を示し、(b)は受皿とキャンセルシュートを離間させた状態を示す。
【
図4】同、キャンセルシュートについて説明するための図であり、(a)はキャンセルシュートを前方から見たもので、(b)はキャンセルシュートを後方から見たものである。
【
図5】同、ホッパーユニットを前方から見た図である。
【
図7】同、キャンセルシュートについて説明するための図であり、(a)はキャンセルシュートを上方から見た図であり、(b)はキャンセルシュートを左側方から見た図である。
【
図8】同、キャンセルシュートについて説明するための図であり、(a)はキャンセルシュートの前部材を透視した状態を示し、(b)はキャンセルシュートの後部材のみを示す。
【
図9】同、キャンセルシュートについて説明するための図であり、第1仮想直線を示す。
【
図10】同、キャンセルシュートについて説明するための図であり、第2仮想直線を示す。
【
図11】同、キャンセルシュートについて説明するための図であり、第3仮想直線を示す。
【
図12】同、キャンセルシュートについて説明するための図であり、第1仮想直線の一端を示す。
【
図13】同、キャンセルシュートについて説明するための図であり、第1仮想直線の他端を示す。
【
図14】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、正面側から見た斜視図である。
【
図18】同、リール支持部と電源ボックスとの関係について説明するための図であり、(a)は筐体を前方から見た図であり、(b)は(a)のC-C線に沿って切断した断面図である。
【
図19】同、電源ボックスおよびリール支持部を上方から見た図である。
【
図21】同、異物侵入防止部を備える放熱口について説明するための図である。
【
図22】同、筐体背面の孔と電源ボックスとリール支持部との関係の変形例について説明するための図である。
【
図23】本発明の第3の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、正面側から見た斜視図である。
【
図25】同、電源ユニットを前方から見た斜視図である。
【
図26】同、ネジについて説明するための図であり、(a)はワッシャーなしのネジを示し、(b)はワッシャーありのネジを示す。
【
図27】同、遊技メダルおよび遊技球のサイズについて説明するための図である。
【
図28】同、放熱孔の大きさを説明するための図である。
【
図29】同、放熱孔について説明するための図であり、(a)および(b)は遊技メダルが放熱孔に嵌まった状態を示し、(c)はネジが放熱孔に嵌まった状態を示す。
【
図30】同、電源ユニットを前方から見た斜視図であり、前面パネルを取り外した状態を示す。
【
図31】同、電源ユニットの内部を示す概略断面図である。
【
図32】本発明の第4の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
【
図34】同、内枠(遊技機本体)を前方上方側から見た斜視図であり、遊技盤を取り外した状態を示す。
【
図35】同、電源ユニットを後方側から見た斜視図である。
【
図36】本発明の第5の実施の形態に係る遊技機における、ネジと放熱口と背面孔との関係について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各構成の自由な組み合わせ、あるいは各構成の任意の変形、もしくは各構成の省略が可能である。
【0013】
図1は、スロットマシン100を示す斜視図である。また、
図2は、スロットマシン100の筐体1の内部を示す斜視図である。このスロットマシン100は、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。なお、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっていてもよい。
【0014】
以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」と呼ぶことがある。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」と呼ぶことがある。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等となっている。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。また、例えば天板2が2種類の材料(樹脂と金属)で構成されていてもよい。
【0015】
筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前扉20は、上側部分(上扉)と下側部分(下扉)とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシン100は、遊技場における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能な、いわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。前扉20が、上扉と下扉とに分割されている場合、上扉および下扉はそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。すなわち、上扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0016】
前扉20の上部側には、平板状のパネル21が設けられている。パネル21の背面(奥側)には演出装置としての表示装置(表示手段、液晶ディスプレイ)が設けられている。液晶ディスプレイには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(演出画像)が表示される。
【0017】
また、前扉20の中央部には、透明な表示窓(窓部)22が設けられている。表示窓22の奥には、3個のリール15a~15c(
図2参照)が横一列に設けられている。そして、表示窓22を介してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配列されており、リール15a~15cが停止すると、表示窓22を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)が表示される。また、表示窓22には、リール15a~15cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール15a~15cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、第1リール15aの中段と、第2リール15bの中段と、第3リール15cの中段と、によって有効ラインが構成されている。
【0018】
本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が「3」に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。3個のリール15a~15cが停止したときに、表示窓22を介して表示される図柄の組合せによって当選役が入賞したか否かが表示される。スロットマシン100では、遊技開始に伴ってリール15a~15cが回転を開始するとともに、内部抽選が実行され、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール15a~15cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0019】
前扉20には、演出(報知)等を行う演出装置としての照明装置(照明手段)24,25、スピーカ(音出力手段)等が設けられている。照明装置24は、前扉20のパネル21の上部側に設けられている。また、照明装置25,25は、前扉20の左右両端部に設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられ、遊技機の前面側の外形は凹凸を有するものとなっている。すなわち装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。
【0020】
スピーカ(図示せず)は、前扉20に複数設けられ、例えば上部および下部に設けられている。スピーカは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種演出用の音(音楽、BGM、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置として、液晶ディスプレイ、照明装置24,25およびスピーカの他に、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
【0021】
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシン100を操作するための操作部30が設けられている。この操作部30には、メダル(遊技メダル、遊技媒体、遊技価値)を精算する際に操作される精算ボタン60、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー32、3個のリール15a~15cのそれぞれの回転を停止させる際に操作されるストップボタン33(3個のストップボタン33a,33b,33c)、メダルを投入するためのメダル投入口34、メダル投入口34の下方で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン70、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン35(ベットボタン)、等が設けられている。なお、ベットボタンとして、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン35(第1ベットボタン)の他に、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン(第2ベットボタン)が設けられていてもよい。また、前扉20には、演出を進行させる(演出の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン36(演出操作部)が設けられている。
【0022】
また、操作部30には、遊技の演出等を選択する際に操作される操作盤57や、遊技情報が表示される表示ユニット58等が設けられている。操作盤57は操作部30の幅方向(左右方向)の略中央部に設けられており、表示ユニット58は、メダル投入口34の右側に設けられている。なお、操作盤57は、例えば、十字キー、決定ボタンおよびキャンセルボタン等を備えている。
【0023】
また、前扉20の下部には、スロットマシン100の内部よりメダルを排出する(送り出す)ための払出口50と、払出口50から排出された(払い出された)メダルを溜めておくことが可能な受皿38と、が設けられている。また、操作部30と受皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。この下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。なお、下パネル39は、押し込み可能に形成され、演出ボタンと同等の機能を有する演出操作部となっていてもよい。
【0024】
図2に示すように、筐体1の内部には、リールユニット14が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cや、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)等を備えている。なお、各リールは、各ステッピングモータの出力軸に固定されている。
【0025】
また、筐体1の内部における、底板4の上面には、各部品に電力を供給する電源ユニット(電源手段)10、メダルを貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット(メダル払出装置11)11(払出装置)、メダル払出装置11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。なお、筐体1の内部(内側)に電源ユニット10等の部品が配置されたものを、裏箱ユニットと称してもよい。電源ユニット10は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット10から各部品に電力が供給される。なお、一部の部品には、電源ユニット10がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0026】
前扉20には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーをドアキーシリンダ66に挿入して前扉20を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、前扉20の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。
【0027】
スロットマシン100は、メダル投入口34にメダルが投入されると、規定枚数(規定投入数)を限度として、投入されたメダルが投入状態に設定される。また、スロットマシン100は、最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、メダルがクレジット記憶された状態でMAXベットボタン35が操作されると、規定枚数を限度として、クレジット記憶されたメダルが投入状態に設定される。
【0028】
スロットマシン100では、メダル投入口34を介してメダルが投入され、またはMAXベットボタン35が操作されて規定枚数のメダルがベットされると、スタートレバー32の操作が有効化され、遊技を開始することが可能な状態となる。また、有効化されたスタートレバー32が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リールが回転を開始し、各リールの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン33の操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン33が操作されると、操作されたストップボタン33に対応するリールの回転が停止する。すべてのリールが停止すると、遊技の結果に応じてメダルを払い出す処理やメダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0029】
スロットマシン100の内部には、主制御基板(主制御手段)と、副制御基板(副制御手段)と、が設けられている。副制御基板は、前扉20の背面側に設けられていてもよい。主制御基板は、MAXベットボタン35、スタートレバー32、ストップボタン33等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット14や、ホッパーユニット11等の出力手段の制御を行う。また、副制御基板は、主制御基板から送られてくる信号(情報)を受けて、演出を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイおよびスピーカ等の各種演出装置の制御を行う。
【0030】
また、主制御基板と副制御基板とは電気的に接続されており、主制御基板から副制御基板へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御基板から主制御基板へは情報を送信できないようになっている。また、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0031】
主制御基板には、設定変更キーシリンダ(図示せず)や設定変更ボタン(図示せず)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや設定変更ボタンは、例えば、電源ユニット10に設けられていてもよい。
【0032】
図1で示したように、前扉20の下部には、受皿38と、払出口50と、が設けられている。また、
図3(a)に示すように、受皿38の後方側にはキャンセルシュート40が設けられている。図示を省略するが、キャンセルシュート40の後方側(背面側)に、ホッパーユニット11(
図2)が配置されている。
【0033】
図3(b)は、受皿38とキャンセルシュート40を離間させた状態を示す図である。受皿38は、左右方向に長尺な略四角形状(略長方形状)の皿状に形成されている。受皿38は、底部381と、底部381を囲むように起立して形成された(立設された)縁部(壁部)382と、後方側の縁部382に形成された払出口50と、を主に備えている。なお、本実施形態では、受皿38は、メダル等を収容可能な凹状の収容部383を備えているが、収容部383は設けられていなくてもよい。換言すると、収容部383が設けられておらず、底部381がより大きく確保されていてもよい。
【0034】
縁部382は、払出口50から払い出されたメダルが受皿38からこぼれ落ちるのを防ぐ機能を有している。縁部382は、底部381の前側に設けられている前側縁部(前壁部382a)と、底部381の右側に設けられている右側縁部と、底部381の左側に設けられている左側縁部と、底部381の後ろ側に設けられている後側縁部と、からなっている。本実施形態では、前側縁部の高さ(底部381からの高さ)が最も低くなっているが、その高さは、メダルの直径以上の寸法となっている。
【0035】
キャンセルシュート40は、内側(内部)に空間を有するように形成されており、内側をメダルが通過可能となっている。キャンセルシュート40は、内部に侵入したメダルを受皿38に導くメダル通路(案内通路)として機能する。本実施形態では、キャンセルシュート40を「メダル通路」と言う場合がある。キャンセルシュート40は、複数の開口部(後述する)を備えている。換言すると、キャンセルシュート40は、メダルの入口部と出口部とを備えている。本実施形態では、キャンセルシュート40は、第1部材(前部材)と第2部材(後部材)とを前後から合わせて2部材で構成されているが、これに限らず1部材で構成されていてもよく、2部材以上の部材で構成されていてもよい。
【0036】
メダル通路(すなわちキャンセルシュート40)は、通路内でのメダル詰まりを防止する観点から、メダルをスムーズに流下(通過)可能に形成することが求められている。しかし、メダル詰まりを防止するため、メダル通路を、メダルのスムーズな流下を優先し過ぎた形状としてしまうと、後方に位置するホッパーユニット11等に対する不正行為を行いやすくなるという問題が生じる(不正対策性能が低下する)。また、不正対策性能を向上させるため、メダル通路の形状を複雑な形状とした場合には、メダルのスムーズな流下が実現されにくいものとなり、さらに、複雑な形状となる分、前扉20への他の部材の設置(配置)の妨げとなる(他の部材の設置スペースを圧迫する)という問題が生じる。
【0037】
本実施形態では、メダルのスムーズな流下の実現と、不正対策性能の向上と、他部材の設置の妨げの抑制と、をバランスよく達成(実現)することが可能なメダル通路の形状について説明する。
【0038】
(第2開口部402)
図3(b)に示すように、キャンセルシュート40の前方側下部には、前後方向に開口する第2開口部402(受皿側開口部)が設けられている。
図4(a)は、キャンセルシュート40を前方側から見た図である。第2開口部402は、前方から見て略四角形状となっている。
図3(a)に示すように、第2開口部402は、受皿38の払出口50と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。第2開口部402は、払出口50に対応(対向)する位置に設けられている。前後方向において、第2開口部402と払出口50とが重なるように形成されていると言うこともできる。第2開口部402は、キャンセルシュート40からのメダルの出口部となっている。
【0039】
キャンセルシュート40は、前後方向において、受皿38とメダル払出装置11(
図2)との間に設けられており、メダル払出装置11から送り出されたメダルを受皿38へ導くことが可能となっている(詳細は後述する)。
【0040】
図5は、メダル払出装置11(ホッパー)を前方側から見た図である。メダル払出装置11の前方側(前面側)には、メダル払い出し部111(払出部、発射口部)が設けられている。メダル払い出し部111は、メダルを通過させることが可能に形成されており、例えば、小役が入賞した場合や、クレジットされたメダルが存在する状態で精算ボタン60が押下された場合等に、メダル払い出し部111からメダルが送り出される(発射される)。メダル払い出し部111の開口は、略長方形状となっており、前方から見た場合に、斜め右下がりとなっている。
【0041】
メダル払い出し部111の周辺には周辺壁部112が設けられている。周辺壁部112は、メダル払出装置11の前面のうち、メダル払い出し部111の周辺の所定範囲の部分(壁部分)となっている。所定範囲とは、少なくとも、次に説明する第1開口部401(第1開口部401の開口面積)と対向する範囲を含む範囲(例えば、
図5における破線Qの内側の範囲)となっている。周辺壁部112は、前後方向に対して垂直または略垂直な面となっている。
【0042】
(第1開口部401)
図4(b)は、キャンセルシュート40を後方側(背面側)から見た図である。キャンセルシュート40の後方側には、前後方向に開口する第1開口部401(ホッパー側開口部)が設けられている。第1開口部401は、略長方形状となっており、後方から見た場合には左下がり(前方から見た場合には右下がり)となっている。第1開口部401は、前扉20を閉じた状態で、メダル払出装置11のメダル払い出し部111と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。
【0043】
前扉20を閉じた状態で、第1開口部401とメダル払い出し部111とは互いに向かい合った状態となる。開口の大きさは、第1開口部401の方が、メダル払い出し部111(の開口)よりも大きくなっている。第1開口部401は、メダル払い出し部111に対応(対向)する位置に設けられている。前後方向において、第1開口部401とメダル払い出し部111とが重なるように形成されていると言うこともできる。第1開口部401は、キャンセルシュート40へのメダルの入口部(第1の入口部)となっている。
【0044】
図6は、前扉20(下扉)を背面側から見た図である。前扉20におけるメダル投入口34(
図1)の下方には、メダルセレクタ(セレクタ)90が設けられている。メダルセレクタ90は、キャンセルシュート40よりも上方に設けられている。メダルセレクタ90は、メダル投入口34から投入されたメダルを選別する機能を有している。例えば、投入されたメダルが正規のメダルではない場合や、メダルの投入タイミングが適切なタイミングでない場合等に、メダルセレクタ90は、投入されたメダルを下方のキャンセルシュート40へ導く(下方のキャンセルシュート40に向けてメダルを落下させる)。
【0045】
(第3開口部403)
図7(a)は、キャンセルシュート40を上方から見た図である。キャンセルシュート40の上方側(上方の右側)には、第3開口部403(セレクタ側開口部)が設けられている。第3開口部403は、上下方向に開口している。第3開口部403は、メダルセレクタ90の下端部と接している。なお、接しているとは、近接している場合と当接している場合とを含む。第3開口部403は、略四角形状となっている。第3開口部403は、キャンセルシュート40へのメダルの入口部(第2の入口部)となっている。
【0046】
(各開口部の位置関係)
図7(b)は、キャンセルシュート40を左側から見た図(左側面図)である。第1開口部401と第2開口部402とは、上下方向において、異なる高さ(ずれた高さ)に設けられている。第1開口部401は、第2開口部402よりも上方に設けられている。
第3開口部403と第2開口部402とは、上下方向において、異なる高さに設けられている。第3開口部403は、第2開口部402よりも上方に設けられている。
第1開口部401と第3開口部403とは、上下方向において、異なる高さに設けられている。第3開口部403は、第1開口部401よりも上方に設けられている。
【0047】
メダル払出装置11のメダル払い出し部111から発射されたメダルは、第1開口部401を介してキャンセルシュート40(メダル通路)の内部に入る。そして、キャンセルシュート40は、第1開口部401から内部へ侵入したメダルを、前方へ導く(案内する)。第1開口部401からキャンセルシュート40の内部に入ったメダルは、キャンセルシュート40の内部を通過(流下、スライド)して進み、第2開口部402からキャンセルシュート40の外に出るようになっている。
【0048】
また、メダルセレクタ90から送り出された(メダルセレクタ90を通過した)メダルは、第3開口部403を介してキャンセルシュート40の内部に入る。そして、キャンセルシュート40は、第3開口部403から内部へ侵入したメダルを、下方へ導く(案内する)。第3開口部403からキャンセルシュート40の内部に入ったメダルは、キャンセルシュート40の内部を通過して進み、第2開口部402からキャンセルシュート40の外に出るようになっている。
【0049】
図8(a)は、キャンセルシュート40を前方から見た図であって、キャンセルシュート40の前方側を構成する部材を透視(透明化)したものである。第1開口部401と第2開口部402とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。第1開口部401は、第2開口部402よりも左側に設けられている。また、第3開口部403と第2開口部402とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。第3開口部403は、第2開口部402よりも右側に設けられている。また、第1開口部401と第3開口部403とは、左右方向において、異なる位置(ずれた位置)に設けられている。
【0050】
本実施形態では、第1開口部401の左端は、第2開口部402の左端よりも左側に位置しているが、第1開口部401の右端は、第2開口部402の左端と第2開口部402の右端との間に位置している。第1開口部401と第2開口部402とは、前方から見た場合における、左右方向のずれ量が比較的小さいが、上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きいため、前方から見た場合に、重複する範囲(重なる部分)が存在していない。本実施形態では、第1開口部401と第2開口部402は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
【0051】
第3開口部403の左端は、第2開口部402の右端よりも右側に設けられている。第3開口部403と第2開口部402とは、左右方向および上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きく、前方から見た場合に重複する範囲(重なる部分)が存在しない。なお、第3開口部403と第2開口部402とは、開口方向(開口の向き)が異なっている。本実施形態では、第3開口部403と第2開口部402は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
【0052】
第1開口部401と第3開口部403とは、左右方向および上下方向(高さ方向)のずれ量が比較的大きく、前方から見た場合に重複する範囲(重なる部分)が存在しない。なお、第1開口部401と第3開口部403とは、開口方向(開口の向き)が異なっている。本実施形態では、第1開口部401と第3開口部403は、前方から見て重ならない位置に設けられている。
【0053】
図8(b)は、キャンセルシュート40の後方側を構成する部材(のみ)を示す図である。キャンセルシュート40の内側の面(メダル通路を構成している面)には、第1傾斜面411と、第2傾斜面412と、第3傾斜面413と、が含まれる。
【0054】
第1傾斜面411は、左右方向において、右側ほど下方となるように傾斜する面(右下がりの傾斜面)となっている。第1傾斜面411は、第1開口部401から入ったメダルと接触し得るように形成されており、メダルが接触した場合には、そのメダルを右下(第2傾斜面412)に導く。
【0055】
第3傾斜面413は、左右方向において、左側に向かうほど下方となるように傾斜する面(左下がりの傾斜面)となっている。第3傾斜面413は、第3開口部403から入ったメダルと接触し得るように形成されており、メダルが接触した場合には、そのメダルを左下(第2傾斜面412)に導く。
【0056】
第2傾斜面412は、第1傾斜面411および第3傾斜面413よりも下方に設けられている。第2傾斜面412は、前後方向において、前側ほど下方となるように傾斜する面となっている。なお、本実施形態では、第2傾斜面412は、勾配(傾き)が異なる2つの斜面からなり、手前側の斜面の方が後方側の斜面よりも傾斜(水平面に対する傾斜)が大きくなっている。
【0057】
第2傾斜面412は、上方から落下してきたメダルと接触し得るように形成されており、接触したメダルを前方側(すなわち第2開口部402)へ導く。第2傾斜面412は、第2開口部402へ続くように形成されており、斜面を下って第2開口部402に到達したメダルは、第2開口部402から外(すなわち受皿38)へ排出される。
【0058】
ここで、第1開口部401から第2開口部402に至る(第1開口部401と第2開口部402を結ぶ)メダル通路を第1通路F1とし、第3開口部403から第2開口部402に至る(第3開口部403と第2開口部402とを結ぶ)メダル通路を第2通路F2とする。
【0059】
第1通路F1は、メダルが進む方向(進行方向)を変更させることが可能な形状を有している。第1通路F1は、少なくとも1つの曲がり部(屈曲部)を有していると言うこともできる。換言すると、第1通路F1は、クランク状となっている。
第2通路F2は、メダルが進む方向(進行方向)を変更させることが可能な形状を有している。第2通路F2は、少なくとも1つの曲がり部(屈曲部)を有していると言うこともできる。換言すると、第2通路F2は、クランク状となっている。
【0060】
第1開口部401から第2開口部402に至る第1通路F1は、矢印F1に示すように、後方から前方に進み、曲がり部(第1曲がり部)で曲がって右側(右下側)に進み、次の曲がり部(第2曲がり部)で曲がって前方側(前方下側)に進む通路となっている。
第1開口部401を介して後方から前方に発射されたメダルは、通路内の平面状の前面(
図12で符号Pを付した面)に衝突し得る。そして、メダルが衝突する前面には、メダル衝突による衝撃を緩和するための、金属板(緩衝部材)が配置されていてもよい。換言すると、メダル通路の(内面の)一部が金属板で形成されていてもよい。金属板を配置することで、メダルの衝突によって通路の内面が変形、破損等するのを防止できる。金属板は、例えば厚さ約0.4mmのステンレス鋼板であってもよい。なお、緩衝部材として金属板の代わりゴム(弾性体)を用いてもよい。
上記では、後方から前方に発射されたメダルが、通路内の平面状の前面に衝突するとしたが、これに限らず、当該メダルが通路内の曲面状の前面に衝突するようになっていてもよい。換言すると、当該前面が湾曲していてもよい。曲面状とは、例えば、前方に向かって凹となっている(窪んでいる)形状であってもよい。メダルが衝突する前面が曲面状となっている場合、平面状である場合に比べてメダル衝突による衝撃が緩和される。これにより、メダルを受皿38へ、よりスムーズに案内できる。
【0061】
第3開口部403から第2開口部402に至る第2通路F2は、矢印F2に示すように、上方から下方に進み、曲がり部(第3曲がり部)で曲がって左側(左下側)に進み、次の曲がり部(第2曲がり部)で曲がって前方側(前方下側)に進む通路となっている。
【0062】
また、第3開口部403から第1開口部401に至る通路を第3通路F3とする。図示を省略するが、第3通路F3は、第1通路F1および第2通路F2と同様に、少なくとも1つの曲がり部を有している。
【0063】
仮に、第1通路F1および第2通路F2が、メダルが進む方向を変更させることが可能な形状となっておらず、直線状である場合(曲がり部が設けられていない場合)、遊技者側から器具(棒状の部材)等を差し込み、不正(いたずら)を行うことが容易となる。本実施形態では、上述のとおり、第1通路F1および第2通路F2が、メダルが進む方向を変更させることが可能な形状となっているため(曲がり部を有しているため)、遊技者側からの器具(部材)等の差し込みが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。なお、不正対策性能を向上できるとは、器具等の差し込みにより部品が壊されるリスクが低減されていることを含む。
【0064】
ここで、
図9に示すように、第1開口部401と第2開口部402とを通過する(通る)仮想直線を第1仮想直線Xとする。本実施形態では、第1仮想直線Xを、メダル通路(第1通路F1)の内面と接触することなく引く(描出する)ことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが可能な線である。さらに換言すると、第1開口部401と第2開口部402とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第1仮想直線X)で結ぶことができる。
このような構成によれば、メダル通路(第1通路F1)は、メダル通路の内面と接触することなく第1仮想直線Xを引くことが可能な形状(直線状に連通する空間を有する形状)となっているため、メダルのスムーズな通過(払い出し)を実現できる。また、メダル通路(第1通路)を、第1仮想直線Xを引くことができないほどの複雑な形状とした場合に比べるとシンプルな形状である分、他部材の設置の妨げとなるのを防止できる。
【0065】
図10に示すように、第1開口部401と第3開口部403とを通過する(通る)仮想直線を第3仮想直線Zとする。本実施形態では、第3仮想直線Zを、メダル通路(第3通路F3)の内面と接触することなく引く(描出する)ことは不可能となっている。換言すると、第3仮想直線Zは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。さらに換言すると、第1開口部401と第3開口部403とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第3仮想直線Z)で結ぶことができない。第3仮想直線Zは、メダル通路の内面と接触する(当該直線上にメダル通路の内面が存在する)と言うこともできる。
このような構成によれば、メダル通路(第3通路F3)は、第3仮想直線Zを引くことができない形状となっているため、例えば、第3開口部403から器具(棒状の部材)等を差し込み、第1開口部401(メダル払い出し部111)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
また、第3仮想直線Zを引くことができない形状となっているので(直線状ではないため)、第3開口部403からキャンセルシュート40内に入ったメダルが、第1開口部401に向かって流下するという変則的な移動を防止できる。
【0066】
図11に示すように、第2開口部402と第3開口部403とを通過する(通る)仮想直線を第2仮想直線Yとする。本実施形態では、第2仮想直線Yを、メダル通路(第2通路F2)の内面と接触することなく引く(描出する)ことは不可能となっている。換言すると、第2仮想直線Yは、メダル通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。さらに換言すると、第2開口部402と第3開口部403とを、メダル通路の内面と接触しない直線(第2仮想直線Y)で結ぶことができない。第2仮想直線Yは、メダル通路の内面と接触する(当該直線上にメダル通路の内面が存在する)と言うこともできる。
このような構成によれば、メダル通路(第2通路F2)は、第2仮想直線Yを引くことができない形状となっているため、第2開口部402から器具(棒状の部材)等を差し込み、第3開口部403(メダルセレクタ90)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
【0067】
本実施形態では、第1通路F1の方が、第2通路F2よりもメダルが通過する頻度が高いものとなっている。第1通路F1は、不正対策を強化しつつ、メダルが高頻度で通過することを踏まえ、第1仮想直線Xを引くことができる形状とし、メダルのスムーズな通過を実現している。一方、第2通路F2は、メダルが通過する頻度が低い分、不正対策をより強化させ、第2仮想直線Yを引くことができない形状としている、と言える。
【0068】
図12に示すように、第1仮想直線Xにおける前方側(手前側)の端部を一端X1(一端部)とする。第1仮想直線Xは、一端X1が、受皿38の前側縁部(前壁部382a)に接触せず、受皿38の底部381に接触するように引くことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、一端X1が、受皿38の前壁部382aに接触することなく、底部381に接触することが可能な線となっている。
このような構成によれば、一端X1が前壁部382aではなく底部381に接触するため、メダル通路を通過したメダルは、前壁部382aではなく底部381に接触する。これにより、メダルが前壁部382aを乗り越えて受皿38の外にこぼれ落ちるのをより確実に防止できる。
また、一端X1が前壁部382aに接触する場合よりも底部381に接触する場合の方(一旦X1がより奥側に位置している方)が、底部381が妨げとなるため、手前側から第1通路に器具(棒状の部材)等を差し込むことがより困難となる。これにより不正対策性能を向上させることができる。
【0069】
図13に示すように、第1仮想直線Xにおける後方側(奥側)の端部を他端X2(他端部)とする。第1仮想直線Xは、他端X2が、メダル払出装置11のメダル払い出し部111に接触せず、周辺壁部112(
図5)に接触するように引くことが可能となっている。換言すると、第1仮想直線Xは、他端X2が、メダル払出装置11のメダル払い出し部111に接触することなく、周辺壁部112に接触することが可能な線となっている。
このような構成によれば、他端X2がメダル払い出し部111ではなく周辺壁部112に接触するため、仮に第1通路F1に器具(棒状の部材)等が差し込まれた場合であっても、その先端がメダル払い出し部111に接触するのを(メダル払い出し部111にアクセスすることを)(その先端がメダル払い出し部111内に挿入されるのを)困難にすることができる。これにより、不正対策性能をさらに向上させることができる。
【0070】
(部材G)
ここで、所定の直径(例えば約5mm)を有し、かつ、所定の長さを有する棒状の部材を部材Gとする。所定の長さは、例えば、第3開口部403から第2開口部402までの直線距離よりも長い長さとする。
【0071】
前扉20が開いた状態で、背面側から第1開口部401に部材Gを差し込んだ場合、部材Gを第1通路F1に、第1通路F1の内面に接触することなく挿し通すことができ、第2開口部402から出た部材Gの先端は、受皿38の底部381に接触する。
また、前扉20が閉じた状態で、かつ受皿38が存在していない状態において、第2開口部402に部材Gを差し込んだ場合、部材Gを第1通路F1に、第1通路F1の内面に接触することなく挿し通すことができ、第1開口部401から出た部材Gの先端は、メダル払出装置11の周辺壁部112に接触する。なお、実際には受皿38の存在が妨げとなるため、手前側から第1通路F1に部材Gを差し込むことは困難である。
【0072】
また、前扉20が開いた状態で、背面側の第3開口部403に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第2開口部402から出すことはできない。換言すると、部材Gを第2通路F2に挿し通すことはできない。
また、前扉20が閉じた状態で、かつ受皿38が存在していない状態において、第2開口部402に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第3開口部403から出すことはできない。換言すると、部材Gを第2通路F2に挿し通すことはできない。
また、前扉20が開いた状態で、背面側の第3開口部403に部材Gを差し込んだ場合、部材Gの先端を、第1開口部401から出すことはできない。換言すると、部材Gを第3通路F3に挿し通すことはできない。
【0073】
本実施形態では、前扉20が開いた状態で、第1開口部401(ホッパー側開口部)から第2開口部402(受皿側開口部)を視認しようとした場合(覗き込んだ場合)、受皿38の底部381を視認可能であり、受皿38の前壁部382aを視認可能であるが、前壁部382aの上端までは視認不能となっている。また、前扉20が開いた状態で、第1開口部401(ホッパー側開口部)から第2開口部402(受皿側開口部)を視認しようとした場合に、受皿38の底部381を視認可能であるが、前壁部382aは視認不能となっていてもよい。これにより、遊技価値のスムーズな通過を実現できる。
なお、変形例として、前扉20が開いた状態で、第1開口部401(ホッパー側開口部)から第2開口部402(受皿側開口部)を視認しようとした場合に、受皿38の底部381も前壁部382aも視認不能となっていてもよい。
【0074】
本実施形態の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、前扉(例えば前扉20)と、を備える遊技機であって、
前記筐体は、ホッパー(例えばホッパーユニット11)を備え、
前記前扉は、受皿(例えば受皿38)と、案内通路(例えばキャンセルシュート40)と、を備え、
前記ホッパーは、遊技価値が発射される発射口部(例えばメダル払い出し部111)と、前記発射口部の周辺壁部(例えば周辺壁部112)と、を備え、
前記受皿は、底部(例えば底部381)と、前記底部の前側に設けられた前壁部(例えば前壁部382a)と、を備え、
前記案内通路は、ホッパー側開口部(例えば第1開口部401)と、受皿側開口部(例えば第2開口部402)と、を備え、
前記ホッパー側開口部から前記受皿側開口部に至る通路を第1通路(例えば第1通路F1)とすると、
前記第1通路は、前記発射口部から発射された遊技価値を前記受皿に案内可能であり、
前記第1通路は、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状を有しており、
前記ホッパー側開口部と前記受皿側開口部とを通る仮想直線を第1仮想直線(例えば第1仮想直線X)とすると、
前記第1仮想直線は、前記第1通路の内面に接触することなく描出することが可能な線である。
このような構成によれば、第1通路が、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状となっているため、遊技者側からの器具等の差し込みが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。換言すると、器具等の差し込みにより部品が破損するリスクを低減できる。
また、第1通路は、第1仮想直線を第1通路の内面に接触することなく描出可能となっている。これにより、遊技価値のスムーズな通過を実現できる。また、第1通路は、第1仮想直線を描出できないほど複雑な形状とした場合に比べるとシンプルな形状となっている。これにより、他部材の設置の妨げとなるのを防止できる。
【0075】
また、本実施形態の遊技機において、
前記第1仮想直線は、一端(例えば一端X1)が前記底部に接触し、他端(例えば他端X2)が前記周辺壁部に接触するように描出することが可能な線である。
このような構成によれば、案内通路を通過した遊技価値は、前壁部ではなく底部に接触する。これにより、遊技価値が前壁部を乗り越えて受皿の外にこぼれ落ちるのをより確実に防止できる。また、底部が妨げとなるため、手前側から第1通路に器具等を差し込むことがより困難となる。これにより、不正対策性能をより向上させることができる。
また、仮に第1通路に器具等が差し込まれた場合であっても、その先端は発射口部ではなく周辺壁部に接触する。このため、当該先端が発射口部に接触するのを(発射口部にアクセスすることを)(当該先端が発射口部内に挿入されるのを)困難にすることができる。これにより、不正対策性能をさらに向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態の遊技機は、
前記前扉は、セレクタ(例えばメダルセレクタ90)をさらに備え、
前記案内通路は、セレクタ側開口部(例えば第3開口部403)をさらに備え、
前記セレクタ側開口部から前記受皿側開口部に至る通路を第2通路(例えば第2通路F2)とすると、
前記第2通路は、前記セレクタから送られた遊技価値を前記受皿に案内可能であり、
前記第2通路は、遊技価値が進む方向を変更させることが可能な形状を有しており、
前記受皿側開口部と前記セレクタ側開口部とを通る仮想直線を第2仮想直線(例えば第2仮想直線Y)とすると、
前記第2仮想直線は、前記第2通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。
このような構成によれば、第2通路は、第2仮想直線を第2通路の内面に接触することなく描出不可能となっている。このため、受皿側開口部から器具等を差し込み、セレクタ側開口部(セレクタ)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態の遊技機において、
前記セレクタ側開口部から前記ホッパー側開口部に至る通路を第3通路(例えば第3通路F3)とし、
前記セレクタ側開口部と前記ホッパー側開口部とを通る仮想直線を第3仮想直線(例えば第3仮想直線Z)とすると、
前記第3仮想直線は、前記第3通路の内面に接触することなく描出することが不可能な線である。
このような構成によれば、第3通路は、第3仮想直線を第3通路の内面に接触することなく描出不可能となっている。このため、例えば、セレクタ側開口部から器具等を差し込み、ホッパー側開口部(発射口部)にアクセスすることが困難となっている。これにより、不正対策性能を向上させることができる。
また、第3通路は、第3仮想直線を描出できない形状となっているので(直線状ではないため)、セレクタ側開口部から案内通路内に入った遊技価値が、ホッパー側開口部に向かって流下するという変則的な移動を防止できる。
【0078】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各構成の自由な組み合わせ、あるいは各構成の任意の変形、もしくは各構成の省略が可能である。
【0079】
図14は、スロットマシン100を示す斜視図である。また、
図15は、スロットマシン100の筐体1の内部を示す斜視図である。このスロットマシン100は、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。なお、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっていてもよい。
【0080】
以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」と呼ぶことがある。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」と呼ぶことがある。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等となっている。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。また、例えば天板2が2種類の材料(樹脂と金属)で構成されていてもよい。
【0081】
筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前扉20は、上側部分(上扉)と下側部分(下扉)とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシン100は、遊技場における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能な、いわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。前扉20が、上扉と下扉とに分割されている場合、上扉および下扉はそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。すなわち、上扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0082】
前扉20の上部側には、平板状のパネル21が設けられている。パネル21の背面(奥側)には演出装置としての表示装置(表示手段、液晶ディスプレイ)が設けられている。液晶ディスプレイには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(演出画像)が表示される。
【0083】
また、前扉20の中央部には、透明な表示窓(窓部)22が設けられている。表示窓22の奥には、3個のリール15a~15c(
図15参照)が横一列に設けられている。そして、表示窓22を介してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配列されており、リール15a~15cが停止すると、表示窓22を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)が表示される。また、表示窓22には、リール15a~15cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール15a~15cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、第1リール15aの中段と、第2リール15bの中段と、第3リール15cの中段と、によって有効ラインが構成されている。
【0084】
本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が「3」に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。3個のリール15a~15cが停止したときに、表示窓22を介して表示される図柄の組合せによって当選役が入賞したか否かが表示される。スロットマシン100では、遊技開始に伴ってリール15a~15cが回転を開始するとともに、内部抽選が実行され、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール15a~15cが停止したときに、内部抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0085】
前扉20には、演出(報知)等を行う演出装置としての照明装置(照明手段)24,25、スピーカ(音出力手段)等が設けられている。照明装置24は、前扉20のパネル21の上部側に設けられている。また、照明装置25,25は、前扉20の左右両端部に設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられ、遊技機の前面側の外形は凹凸を有するものとなっている。すなわち装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。
【0086】
スピーカ(図示せず)は、前扉20に複数設けられ、例えば上部および下部に設けられている。スピーカは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種演出用の音(音楽、BGM、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置として、液晶ディスプレイ、照明装置24,25およびスピーカの他に、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
【0087】
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシン100を操作するための操作部30が設けられている。この操作部30には、メダル(遊技メダル、遊技媒体、遊技価値)を精算する際に操作される精算ボタン60、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー32、3個のリール15a~15cのそれぞれの回転を停止させる際に操作されるストップボタン33(3個のストップボタン33a,33b,33c)、メダルを投入するためのメダル投入口34、メダル投入口34の下方で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン70、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン35(ベットボタン)、等が設けられている。なお、ベットボタンとして、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン35(第1ベットボタン)の他に、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン(第2ベットボタン)が設けられていてもよい。また、前扉20には、演出を進行させる(演出の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン36(演出操作部)が設けられている。
【0088】
また、操作部30には、遊技の演出等を選択する際に操作される操作盤57や、遊技情報が表示される表示ユニット58等が設けられている。操作盤57は操作部30の幅方向(左右方向)の略中央部に設けられており、表示ユニット58は、メダル投入口34の右側に設けられている。なお、操作盤57は、例えば、十字キー、決定ボタンおよびキャンセルボタン等を備えている。
【0089】
また、前扉20の下部には、スロットマシン100の内部よりメダルを排出する(送り出す)ための払出口50と、払出口50から排出された(払い出された)メダルを溜めておくことが可能な受皿38と、が設けられている。また、操作部30と受皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。この下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。なお、下パネル39は、押し込み可能に形成され、演出ボタンと同等の機能を有する演出操作部となっていてもよい。
【0090】
図15に示すように、筐体1の内部には、リールユニット14が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cや、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)等を備えている。なお、各リールは、各ステッピングモータの出力軸に固定されている。
【0091】
また、筐体1の内部における、底板4の上面には、各部品に電力を供給する電源ユニット(電源手段)10、メダルを貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット(メダル払出装置11)11(払出装置)、メダル払出装置11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。なお、筐体1の内部(内側)に電源ユニット10等の部品が配置されたものを、裏箱ユニットと称してもよい。電源ユニット10は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット10から各部品に電力が供給される。なお、一部の部品には、電源ユニット10がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0092】
前扉20には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーをドアキーシリンダ66に挿入して前扉20を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、前扉20の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。
【0093】
スロットマシン100は、メダル投入口34にメダルが投入されると、規定枚数(規定投入数)を限度として、投入されたメダルが投入状態に設定される。また、スロットマシン100は、最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、メダルがクレジット記憶された状態でMAXベットボタン35が操作されると、規定枚数を限度として、クレジット記憶されたメダルが投入状態に設定される。
【0094】
スロットマシン100では、メダル投入口34を介してメダルが投入され、またはMAXベットボタン35が操作されて規定枚数のメダルがベットされると、スタートレバー32の操作が有効化され、遊技を開始することが可能な状態となる。また、有効化されたスタートレバー32が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リールが回転を開始し、各リールの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン33の操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン33が操作されると、操作されたストップボタン33に対応するリールの回転が停止する。すべてのリールが停止すると、遊技の結果に応じてメダルを払い出す処理やメダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0095】
スロットマシン100の内部には、主制御基板(主制御手段)と、副制御基板(副制御手段)と、が設けられている。副制御基板は、前扉20の背面側に設けられていてもよい。主制御基板は、MAXベットボタン35、スタートレバー32、ストップボタン33等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット14や、ホッパーユニット11等の出力手段の制御を行う。また、副制御基板は、主制御基板から送られてくる信号(情報)を受けて、演出を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイおよびスピーカ等の各種演出装置の制御を行う。
【0096】
また、主制御基板と副制御基板とは電気的に接続されており、主制御基板から副制御基板へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御基板から主制御基板へは情報を送信できないようになっている。また、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0097】
主制御基板には、設定変更キーシリンダ(図示せず)や設定変更ボタン(図示せず)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや設定変更ボタンは、例えば、電源ユニット10に設けられていてもよい。
【0098】
図15に示すように、電源ユニット10は、筐体1内部の下方における左奥側(側板5側)に設けられている。電源ユニット10は直方体箱状に形成されており、幅方向(左右方向)よりも奥行き方向(前後方向)が長くなっている。以下、電源ユニット10の上面を天面10aと言う。
【0099】
図16は、電源ユニット10の斜視図である。電源ユニット10は、複数の部品が配置された電源基板(図示せず)、電源基板を覆う電源ケース91、電源(電源基板)のONまたはOFFを切り替え可能な電源スイッチ(図示せず)、電源スイッチを覆い開閉可能に設けられた電源スイッチカバー92、前面パネル93、第1コネクタ94等を備えている。なお、本実施形態では、第1コネクタ94として、コネクタ94aとコネクタ94bとが設けられている。電源基板を備える電源ユニット10は、基板ユニットと言うことができる。電源ユニット10には、電源ケーブル(図示せず)が接続されており、電源ケーブルは、商用電源(AC100V)を供給するコンセントに接続される。電源基板は、遊技機の外部から電源ケーブルを介して送られる電力から直流電源(例えば、5V、12V、24V等)を作り、遊技機の各部品に電力を供給する。
【0100】
本実施形態では、電源ケース91は金属で形成されている。電源ケース91の天面10aには、複数の放熱口95(放熱孔)が、所定の間隔をあけて設けられている。本実施形態では、放熱口95は、前後方向に長尺な長孔(長穴)となっている。なお、放熱口95の形状は、略長方形状であってもよく、略楕円形状であってもよい。また、放熱口95は、前後方向に長尺な開口ではなく、左右方向に長尺な開口であってもよい。
【0101】
放熱口95は、電源ユニット10の内部で発生した熱を逃がすため(放熱効果を実現するため)に設けられている。したがって、放熱口95を多く設けるほど、放熱効果を高くすることができる。また、放熱口95は、電源ユニット10の側面に設けるよりも電源ユニット10の天面10aに設けた方が放熱効率を高めることができる。
【0102】
また、電源ユニット10の天面10aには、第1コネクタ94を露出させるための第1コネクタ開口が設けられており、第1コネクタ開口を介して第1コネクタ94が露出している。図示を省略しているが、第1コネクタ94には、第2コネクタ(相手側コネクタ)が接続されている。
【0103】
図15に示すように、筐体1内部であって上下方向における略中央部には、板状のリール支持部13(センターベース、中板、板金部材)が設けられている。リール支持部13は、ねじ締め等により筐体1の内面(側板の内側の面)に固定されている。リール支持部13には、リールユニット14が配置(載置)されている。換言すると、リール支持部13は、リールユニット14を支持している。リール支持部13は、例えば、金属で形成されている。
【0104】
図17は、リール支持部13(支持部)を示す図である。リール支持部13は、少なくとも一部がくり抜かれている(肉抜きされている)。換言すると、リール支持部13には、上下方向に貫通する、くり抜き部が少なくとも1つ設けられている。くり抜き部とは、孔(貫通孔)であってもよく、切り欠きであってもよい。剛性を確保しつつ、くり抜き部を設けることで、リール支持部13の軽量化、低コスト化を実現できる。
【0105】
本実施形態では、電源ユニット10(の天面10a)の上方に、少なくとも1つのくり抜き部が設けられている。換言すると、リール支持部13における所定のくり抜き部の下方に、電源ユニット10(天面10a)が配置されている。リール支持部13における、電源ユニット10の天面10aと対向する範囲を特定範囲とすると、特定範囲に、少なくとも1つのくり抜き部が設けられている。
【0106】
図17における破線は、天面10aを所定の距離だけ上方に移動させたもので、本実施形態では、電源ユニット10(の天面10a)の上方に、くり抜き部131、くり抜き部132、くり抜き部133およびくり抜き部134の4つのくり抜き部が設けられている。くり抜き部131およびくり抜き部132は、長方形状の切り欠きである。くり抜き部133およびくり抜き部134は、円形状の貫通孔である。
【0107】
くり抜き部133およびくり抜き部134が挿通部材を有さないくり抜き部であるのに対し、くり抜き部131およびくり抜き部132は、挿通部材を有するくり抜き部となっている。以下、具体的に説明する。
図18(b)は、
図18(a)のC-C線に沿って切断した状態を示す断面図である。
【0108】
(くり抜き部131)
くり抜き部131は、リール支持部13における左端側に形成されている。
図15に示すように、筐体1の側面(両側面)には把手200が設けられている。本実施形態では、上下方向(高さ方向)において、把手200とリール支持部13とが略同じ高さに設けられている(
図18(a)参照)。
図18(b)に示すように、把手200は、筐体1の内側に向かって所定の長さ膨出しており、その部分がくり抜き部131に収まるようになっている。換言すると、くり抜き部131には、挿通部材としての把手200が(上下方向に)挿通されている。くり抜き部131は、挿通部材(遮蔽部材)によって塞がれている(他部材が介在している)。くり抜き部131が設けられていることで、リール支持部13と把手200との干渉が回避されている。なお、本実施形態において、挿通部材とは、孔(切り欠き)を貫くように通されている部材を指す。
【0109】
(くり抜き部132)
くり抜き部132は、リール支持部13における後端の左側(隅部)に形成されている。図示を省略(簡略)しているが、くり抜き部132には、挿通部材としてのハーネス(ハーネス群)が(上下方向に)挿通されている。くり抜き部132は、挿通部材(遮蔽部材)によって塞がれている(他部材が介在している)。くり抜き部132が設けられていることで、電源ユニット10から延びるハーネスを上方に導くことが可能となっている。当該ハーネスには、リールユニット14に接続されるものや、主制御基板に接続されるもの等がある。
【0110】
(くり抜き部133およびくり抜き部134)
くり抜き部133およびくり抜き部134には、部材が挿通されていない。換言すると、くり抜き部133およびくり抜き部134は、挿通部材(遮蔽部材)によって塞がれていない。くり抜き部133およびくり抜き部134は、部材を挿し通すために設けられた孔ではない。
【0111】
以下、挿通部材を有さないくり抜き部133およびくり抜き部134を第1くり抜き部135(貫通くり抜き部)とし、挿通部材を有するくり抜き部131およびくり抜き部132を第2くり抜き部136(非貫通くり抜き部)とする。
なお、第1くり抜き部135および第2くり抜き部136を構成するくり抜き部の数は、これに限るものではない。
【0112】
例えば、筐体1を遊技場の島設備に取り付ける作業等を行う場合に、筐体1の内部においてネジや鉄粉等が下方に落下する可能性がある。仮に、リール支持部13のくり抜き部の下方(鉛直下方)に電源ユニット10の放熱口95が設けられている場合、ネジや鉄粉等の異物(落下物)がくり抜き部を通過し、さらに放熱口95を通過して、電源ユニット10の内部に侵入し、電源ユニット10が破損等する可能性がある。
【0113】
図19は、電源ユニット10の天面10aとリール支持部13との位置関係を説明するための図(上方から見た図)であり、リール支持部13を透視している。
本実施形態では、(1)第1くり抜き部135の下方に、放熱口95が設けられていない。換言すると、上方(上下方向)から見て、挿通部材を有さないくり抜き部と放熱口95とは、重ならない位置に設けられている。このため、上方から異物が落下し、その異物が第1くり抜き部135を通過した場合であっても、その異物がさらに放熱口95を通過することはない。(2)一方、第2くり抜き部136の下方には、放熱口95が設けられている。換言すると、上方(上下方向)から見て、挿通部材を有するくり抜き部と放熱口95とは、重なる位置に設けられている。上方から異物が落下した場合であっても第2くり抜き部136には挿通部材が存在するため、当該異物がくり抜き部を通過する可能性が低い。このため、挿通部材を有する第2くり抜き部136の下方に放熱口95を設けることで、電源ユニット10の放熱効率を向上させることができる。
【0114】
本実施形態の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、
基板ユニット(例えば電源ユニット10)と、
リールユニット(例えばリールユニット14)と、
前記リールユニットを支持する支持部(例えばリール支持部13)と、を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記基板ユニットの天面(例えば天面10a)には、複数の放熱口(例えば放熱口95)が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部(例えば第1くり抜き部135)があり、
上方から見て、前記第1くり抜き部と前記放熱口とが、重ならない位置に設けられている。
【0115】
ネジや鉄粉等の異物が上方から落下した場合であっても、当該異物が、挿通部材が存在しない第1くり抜き部を通過し、さらに放熱口を通過して、基板ユニットの内部に侵入するのを防ぐことができる。これにより、基板ユニット(部品)の破損を抑制することができる。
【0116】
また、本実施形態の遊技機において、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在する第2くり抜き部(例えば第2くり抜き部136)があり、
前記第2くり抜き部の下方には、前記放熱口が設けられている。
【0117】
第2くり抜き部は、挿通部材が存在するため異物の通過が困難である。そこで、第2くり抜き部の下方には放熱口を設けることで、放熱口の数を増やし、放熱効率を向上させることができる。これにより、基板ユニット内部が高温になることによる部品(電子部品等)の破損を抑制できる。
【0118】
第1コネクタ94(
図16)には、図示しない第2コネクタが接続されている。この第1コネクタ93と第2コネクタが接続している部分をコネクタ接続部とする。図示を省略するが、コネクタ接続部は、リール支持部13におけるくり抜き部(第1くり抜き部135および第2くり抜き部136)が設けられていない位置の下方(鉛直下方)に設けられている。換言すると、コネクタ接続部の上方にはいずれのくり抜き部も設けられていない。このため、コネクタ接続部に対し、上方から異物が侵入(落下)するのを防ぐことができる。これにより、部品の故障を抑制できる。
なお、本実施形態では、コネクタ接続部の上方にいずれのくり抜き部も設けられていないが、挿通部材を有する第2くり抜き部136であれば設けられている場合があってもよい。
【0119】
図19に示すように、電源ユニット10の天面10aには、上下方向において、リール支持部13のくり抜き部と重なる、第1範囲Aと、第2範囲Bと、がある。第1範囲Aは、第1くり抜き部135と重なる(対向する)範囲である。第2範囲Bは、第2くり抜き部136と重なる(対向する)範囲である。第1範囲Aの上方には、異物(ごみ)の侵入を防止する部材(挿通部材、異物侵入防止部材、遮蔽部材)が設けられていないが、第2範囲Bの上方には、異物侵入防止部材が設けられる。異物侵入防止部材としては、例えば、把手200、ハーネス、その他の部材等がある。第1範囲Aには、放熱口95が設けられていない。一方、第2範囲Bには、放熱口95が設けられている。
【0120】
本実施形態の遊技機において、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部(例えば第1くり抜き部135)と、挿通される部材が存在する第2くり抜き部(例えば第2くり抜き部136)と、があり、
前記天面には、前記第1くり抜き部と対向する第1範囲(例えば第1範囲A)と、前記第2くり抜き部と対向する第2範囲(例えば第2範囲B)と、があり、
前記第1範囲の上方には、異物侵入防止部材が設けられていないが、前記第2範囲の上方には、異物侵入防止部材が設けられており、
前記第1範囲には、前記放熱口が設けられていないが、前記第2範囲には、前記放熱口が設けられている。
上方に異物侵入防止部材が存在し、異物が落下する可能性が低い第2範囲には放熱口を設けることで、基板ユニットの放熱効率を向上させることができる。
【0121】
図20に示すように、筐体1の背板3には、前後方向に貫通する貫通孔3a(孔3a)が設けられている。この貫通孔3aは、リール支持部13よりも上方に設けられている。貫通孔3aは、放熱を目的とする孔であってもよく、ケーブル(電源ケーブル)を挿通させるための孔であってもよい。なお、リール支持部13よりも上方に設けられているとは、孔3aの全体がリール支持部13よりも上方となっているものに限らず、少なくとも孔3aの一部(上端)がリール支持部13よりも上方に位置していればよい。
【0122】
図20に示すように、第1くり抜き部135を通過し、上下方向に引いた直線(底面に垂直な直線)を第1仮想直線Xとする。また、放熱口95を通過し、上下方向に引いた直線を第2仮想直線Yとする。前方から見て、貫通孔3aは第1仮想直線X上に位置(存在)している。一方、前方から見て、貫通孔3aは第2仮想直線Y上に位置(存在)していない。貫通孔3aと放熱口95とは、奥行き方向(紙面前後方向)においてずれた位置に設けられており、さらに、左右方向においてもずれた位置に設けられている。
【0123】
本実施形態の遊技機において、
前記筐体は、背面に設けられた孔(例えば孔3a)を備え、
前記孔は、前記支持部よりも上方に設けられており、
前記第1くり抜き部を通過し、上下方向に引いた直線を第1仮想直線(例えば第1仮想直線X)とし、
前記放熱口を通過し、上下方向に引いた直線を第2仮想直線(例えば第2仮想直線Y)とすると、
前記筐体を前方から見た場合に、前記孔は、前記第1仮想直線上に位置しているが、前記第2仮想直線上には位置していない。
筐体背面の孔から筐体の内部に異物が侵入し、その異物がまっすぐ(直線上に)落下した場合に、その異物が第1くり抜き部を通過する可能性がある。そこで、当該孔と放熱口の位置(左右方向の位置)をずらすことで、筐体外部からの異物が第1くり抜き部を通過して放熱口に侵入するのを防止できる。これにより、基板ユニットが破損するのをより抑制できる。
【0124】
(変形例1)
上方から見て、第1くり抜き部135と、放熱口95の一部とが、重なる位置に設けられていてもよい。その場合、少なくとも当該一部の放熱口95は、次のように構成されていることが好ましい。
図21に示すように、放熱口95は、異物侵入防止部96を備えている。異物侵入防止部96は、例えば、屋根状(ドーム状、蓋状)に形成され、開口の上方(上側)を覆いつつ、空気を外側(後方側)に通過させることが可能となっている。異物侵入防止部96は、上方から落下してきた異物の侵入を防止する機能を有する。なお、異物侵入防止部96は、断面L字状に形成されていてもよい。また、異物侵入防止部96は、天面10aと一体に設けられていてもよく、別体(着脱可能)として設けられていてもよい。また、異物侵入防止部96は、開口の前方側および上方側を覆い、空気を後方側に逃がすことが可能となっている。このため、遊技者が前方側から棒状の部材などを遊技機内部に差し込んだ場合であっても、異物侵入防止部96の存在により、電源ユニット10の内部にアクセスすることは困難となる。これにより、不正行為を抑制できる。
【0125】
本変形例の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、
基板ユニット(例えば電源ユニット10)と、
リールユニット(例えばリールユニット14)と、
前記リールユニットを支持する支持部(例えばリール支持部13)と、を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記基板ユニットの天面(例えば天面10a)には、複数の放熱口(例えば放熱口95)が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部(例えば第1くり抜き部135)があり、
上方から見て、前記第1くり抜き部と前記放熱口の一部とが重なる位置に設けられているが、前記放熱口には、開口の上方側を覆う形状(例えば異物侵入防止部96)が設けられている。
【0126】
(変形例2)
図20では、下から上に向かって、放熱口95、第1くり抜き部135、孔3a、の順に高い位置となるように設けられている。このとき、放熱口95、第1くり抜き部135および孔3aが、前方から見て、第2仮想直線Y上に配置されるように設けられていてもよい(すなわち一直線上に位置するように設けられていてもよい)。その場合、放熱口95と第1くり抜き部135との間に異物侵入防止部材150が設けられていることが好ましい。換言すると、放熱口95と第1くり抜き部135との間に異物侵入防止部材150が介在(存在)していることが好ましい。異物侵入防止部材150は、放熱口95の開口の上方側を覆う部材であればよく、例えば、板状のカバー部材等であってもよい。異物侵入防止部材150は、例えば、左側板5に固定されている。
【0127】
本変形例の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、
基板ユニット(例えば電源ユニット10)と、
リールユニット(例えばリールユニット14)と、
前記リールユニットを支持する支持部(例えばリール支持部13)と、を備え、
前記筐体は、背面に設けられた孔(例えば孔3a)を備え、
前記孔は、前記支持部よりも上方に設けられており、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記基板ユニットの天面(例えば天面10a)には、複数の放熱口(例えば放熱口95)が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部(例えば第1くり抜き部135)があり、
前方から見た場合に、上下方向に引いた仮想直線上に、前記放熱口と前記第1くり抜き部と前記孔とが位置しているが、前記放熱口と前記第1くり抜き部との間に、前記放熱口の開口を覆う部材(例えば異物侵入防止部材150)が設けられている。
筐体背面の孔から筐体の内部に異物が侵入し、その異物がまっすぐ(直線上に)落下し、第1くり抜き部を通過した場合であっても、その異物が放熱口を通過するのを抑制できる。これにより、基板ユニットが破損するのを抑制できる。
【0128】
なお、異物侵入防止部材150の代わりに、上述の異物侵入防止部96が設けられていてもよい。「放熱口95の開口の上方側に、前記開口を覆う部材が設けられている」とは、異物侵入防止部96であってもよく、異物侵入防止部材150であってもよい。
換言すると、本変形例の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、
基板ユニット(例えば電源ユニット10)と、
リールユニット(例えばリールユニット14)と、
前記リールユニットを支持する支持部(例えばリール支持部13)と、を備え、
前記筐体は、背面に設けられた孔(例えば孔3a)を備え、
前記孔は、前記支持部よりも上方に設けられており、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記基板ユニットの天面(例えば天面10a)には、複数の放熱口(例えば放熱口95)が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部(例えば第1くり抜き部135)があり、
前方から見た場合に、上下方向に引いた仮想直線上に、前記放熱口と前記第1くり抜き部と前記孔とが位置しているが、前記放熱口の開口の上方側に、前記開口を覆う部材(例えば異物侵入防止部96、異物侵入防止部材150)が設けられている。
【0129】
(変形例3)
変形例2では、孔3aが、リール支持部13(第1くり抜き部135)よりも上方に設けられているとしたが、本変形例では、孔3aがリール支持部13(第1くり抜き部135)よりも下方に設けられている。なお、リール支持部13よりも下方とは、少なくとも孔3aの一部(下端)がリール支持部13よりも下方に位置していればよい。孔3aは、電源ユニット10の天面10a(放熱口95)よりも上方に設けられている。
本変形例の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、
基板ユニット(例えば電源ユニット10)と、
リールユニット(例えばリールユニット14)と、
前記リールユニットを支持する支持部(例えばリール支持部13)と、を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前記筐体は、背面に設けられた孔(例えば孔3a)を備え、
前記孔は、前記支持部よりも下方に設けられており、
前記基板ユニットの天面(例えば天面10a)には、複数の放熱口(例えば放熱口95)が設けられており、
前記支持部には、少なくとも1つのくり抜き部が設けられており、
前記くり抜き部には、挿通される部材が存在しない第1くり抜き部(例えば第1くり抜き部135)があり、
前方から見た場合に、上下方向に引いた仮想直線上に、前記放熱口と前記孔と前記第1くり抜き部とが位置しているが、前記放熱口には、開口の上方側を覆う形状(例えば異物侵入防止部96)が設けられている。
筐体背面の孔から筐体の内部に異物が侵入し、その異物がまっすぐ(直線上に)落下した場合であっても、その異物が放熱口を通過するのを抑制できる。これにより、基板ユニットが破損するのを抑制できる。
【0130】
(変形例4)
図22は、電源ユニット10の天面10aと、リール支持部13と、筐体1の背板3に形成された孔3aと、の位置関係について説明するための図(上方から見た図)であり、リール支持部13を透視している。
電源ユニット10の天面10aについて、リール支持部13と対向する領域を第1領域Lとし、リール支持部13と対向しない領域を第2領域Mとする。換言すると、電源ユニット10の天面10aには、上方から見て、リール支持部13と重なる第1領域Lと、リール支持部13と重ならない第2領域Mと、が存在する。第2領域Mの方が、第1領域Lよりも孔3aまでの距離が小さくなっている。第1領域Lには、複数の放熱口95が設けられているが、第2領域Mには、放熱口95が設けられていない。
【0131】
また、前方から見た場合に、上下方向に引いた仮想直線上に、電源ユニット10と孔3aの少なくとも一部とが存在する位置関係となっている。本変形例では、変形例3と同様に、孔3aの高さ(上下方向の位置)がリール支持部13よりも下方となっているものとするが、孔3aは、リール支持部13と同じ(または略同じ)高さであってもよく、リール支持部13よりも上方に設けられていてもよい。第1領域Lに設けられている放熱口95には、上述の異物侵入防止部96が設けられている。なお、異物侵入防止部96の代わりに、異物侵入防止部材150が設けられていてもよい。「放熱口95の開口の上方側に、前記開口を覆う部材が設けられている」とは、異物侵入防止部96であってもよく、異物侵入防止部材150であってもよい。
また、第1領域Lに、上述のコネクタ接続部が設けられていてもよい。コネクタ接続部は、リール支持部13におけるくり抜き部(少なくとも第1くり抜き部135)が設けられていない位置の下方(鉛直下方)に位置している。
【0132】
本変形例の遊技機は、
筐体(例えば筐体1)と、
基板ユニット(例えば電源ユニット10)と、
リールユニット(例えばリールユニット14)と、
前記リールユニットを支持する支持部(例えばリール支持部13)と、を備え、
前記筐体は、背面に設けられた孔(例えば孔3a)を備え、
前記支持部は、前記基板ユニットの上方に設けられており、
前方から見た場合に、前記基板ユニットと前記孔の少なくとも一部とが、上下方向に引いた仮想直線上に位置しており、
前記基板ユニットの天面(例えば天面10a)には、上方から見た場合に前記支持部と重なる第1領域(例えば第1領域L)と、上方から見た場合に前記支持部と重ならない第2領域(例えば第2領域M)と、があり、
前記第2領域は、前記第1領域よりも前記孔までの距離が小さく、
前記第1領域には複数の放熱口(例えば放熱口95)が設けられているが、前記第2領域には前記放熱口が設けられておらず、
前記第1領域の前記放熱口の開口の上方側に、前記開口を覆う部材(例えば異物侵入防止部96、異物侵入防止部材150)が設けられている。
【0133】
基板ユニットの天面について、上方から見て支持部と重ならず、かつ、筐体背面の孔から相対的に近い位置にある第2領域には放熱口が設けられていない。一方、上方から見て支持部と重なり、かつ、筐体背面の孔から相対的に遠い位置にある第1領域には放熱口が設けられている。本構成によれば、筐体背面の孔から侵入した異物が放熱口を介して基板ユニットの内部に入るのを防ぎつつ、異物の侵入可能性が低い箇所には放熱口を設けることで、基板ユニットの放熱性能を実現できる。また、当該放熱口の開口の上方側に、当該開口を覆う部材を設けることで、異物が基板ユニットの内部に入る可能性をより低減できる。
【0134】
なお、本実施形態では、電源ユニット10を基板ユニットとしたが、基板ユニットは電源ユニット10に限らず、例えば中継基板ユニット等であってもよい。
【0135】
(第3実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各構成の自由な組み合わせ、あるいは各構成の任意の変形、もしくは各構成の省略が可能である。
【0136】
図23は、スロットマシンXを示す斜視図である。また、
図24は、スロットマシンXの筐体1の内部を示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。なお、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっていてもよい。
【0137】
以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」と呼ぶことがある。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」と呼ぶことがある。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等となっている。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。また、例えば天板2が2種類の材料(樹脂と金属)で構成されていてもよい。
【0138】
筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前扉20は、上側部分と下側部分とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシンXは、遊技場における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能な、いわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。前扉20が、上扉と下扉とに分割されている場合、上扉および下扉はそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。上扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0139】
前扉20の上部側には、平板状のパネル21が設けられている。パネル21の背面には演出装置としての表示装置(表示手段、液晶ディスプレイ)が設けられている。液晶ディスプレイには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(演出画像)が表示される。また、前扉20の中央部には、透明な表示窓(窓部)22が設けられている。
【0140】
表示窓22の奥には、3個のリール15a~15c(
図24参照)が横一列に設けられている。そして、表示窓22を介してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配列されており、リール15a~15cが停止すると、表示窓22を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)が表示される。また、表示窓22には、リール15a~15cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール15a~15cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、第1リール15aの中段と、第2リール15bの中段と、第3リール15cの中段と、によって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が「3」に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。3個のリール15a~15cが停止したときに、表示窓22を介して表示される図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。スロットマシンXでは、遊技開始に伴ってリール15a~15cが回転を開始するとともに、内部抽選が実行され、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール15a~15cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0141】
前扉20には、演出(報知)等を行う演出装置としての照明装置(照明手段)24,25、スピーカ(音出力手段)等が設けられている。照明装置24は、前扉20のパネル21の上部側に設けられている。また、照明装置25,25は、前扉20の左右両端部に設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられ、遊技機の前面側の外形は凹凸を有するものとなっている。すなわち装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。
【0142】
スピーカ(図示せず)は、前扉20に複数設けられ、例えば上部および下部に設けられている。スピーカは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種演出用の音(音楽、BGM、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置として、液晶ディスプレイ、照明装置24,25およびスピーカの他に、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
【0143】
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシンXを操作するための操作部30が設けられている。この操作部30には、メダル(遊技媒体、遊技価値)を精算する際に操作される精算ボタン60、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー32、3個のリール15a~15cそれぞれの回転を停止させる際に操作されるストップボタン33(3個のストップボタン33a,33b,33c)、メダルを投入するためのメダル投入口34、メダル投入口34の下方で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン70、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン35(ベットボタン)等が設けられている。
なお、ベットボタンとして、3枚(規定枚数)のメダルをベットする際に操作されるMAXベットボタン35(第1ベットボタン)の他に、1枚のメダルをベットする際に操作される1ベットボタン(第2ベットボタン)が設けられていてもよい。
また、前扉20には、演出を進行させる(演出の態様を変化させる)際等に操作される演出ボタン36が設けられている。
【0144】
また、前扉20の下部には、スロットマシン内部よりメダルを排出するためのメダル払出口50と、メダル払出口50から排出されたメダルを溜めておくための受皿38と、が設けられている。また、操作部30と受皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。この下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。なお、下パネル39は、押し込み可能に形成され、演出ボタンと同等の機能を有する演出操作部となっていてもよい。
【0145】
図24に示すように、筐体1の内部には、リールユニット14等が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cや、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)等を備えている。なお、各リールは、各ステッピングモータの出力軸に固定されている。
【0146】
また、底板4の上面には、各部品に電力を供給する電源ユニット(電源手段)10、メダルを貯蔵するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット(払出手段)11(メダル払出装置11)、メダル払出装置11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。なお、筐体1の内部(内側)に電源ユニット10等の部品が配置されたものを、裏箱ユニットと称してもよい。電源ユニット10は、電源スイッチを備えており、電源スイッチがON状態になると、電源ユニット10から各部品に電力が供給されるようになっている。なお、一部の部品には、電源ユニット10がOFF状態でも電力が供給されるようになっていてもよい。
【0147】
前扉20には、ドアキーシリンダ66が設けられており、ドアキーシリンダ66にドアキーを挿入して前扉20を解錠することができるようになっている。具体的には、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から時計回りに回転させる(捻る)ことにより、前扉20の解錠が行えるようになっている。また、ドアキーシリンダ66に挿入されたドアキーを初期位置から反時計回りに回転させる(捻る)ことにより、エラーの解除操作が行えるようになっている。
【0148】
また、操作部30には、遊技の演出等を選択する際に操作される操作盤57や、遊技情報が表示される表示ユニット58等が設けられている。操作盤57は操作部30の幅方向(左右方向)の略中央部に設けられており、表示ユニット58は、メダル投入口34の右側に設けられている。なお、操作盤57は、例えば、十字キー、決定ボタンおよびキャンセルボタン等を備えている。
【0149】
本実施形態では、メダル投入口34にメダルが投入されると、規定枚数(規定投入数)を限度として、投入されたメダルが投入状態(ベット状態)に設定される。また、本実施形態では、最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態でMAXベットボタン35が操作されると、規定枚数を限度して、クレジット記憶されたメダルが投入状態に設定される。
【0150】
スロットマシンXでは、メダル投入口34を介してメダルが投入され、またはMAXベットボタン35が操作されて規定枚数のメダルがベットされると、スタートレバー32の操作が有効化され、遊技を開始することが可能な状態となる。また、有効化されたスタートレバー32が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、各リールが回転を開始し、各リールの回転速度が一定速度に到達して定常回転となるとストップボタン33の操作が有効化される。また、有効化されたストップボタン33が操作されると、操作されたストップボタン33に対応するリールの回転が停止する。すべてのリールが停止すると、遊技の結果に応じてメダルを払い出す処理やメダルを新たに消費することなく再度遊技を開始可能な状態とする処理等が行なわれ、1回の遊技が終了する。
【0151】
スロットマシンXの内部には、主制御基板(主制御手段)と、副制御基板(副制御手段)と、が設けられている。副制御基板は、前扉20の背面側に設けられていてもよい。主制御基板は、MAXベットボタン35、スタートレバー32、ストップボタン33等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいてリールユニットや、ホッパーユニット等の出力手段の制御を行う。また、副制御基板は、主制御基板から送られてくる信号(情報)を受けて、演出を実行するための各種演算を行い、演算結果に基づいて液晶ディスプレイおよびスピーカ等の各種演出装置の制御を行う。
【0152】
また、主制御基板と副制御基板とは電気的に接続されており、主制御基板から副制御基板へは遊技状態を示す情報など各種情報(信号)の送信が可能となっているが、副制御基板から主制御基板へは情報を送信できないようになっている。また、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSP等)、IC、あるいはROMやRAM等の情報記憶媒体等のハードウェアや、ROM等に予め記憶されている所定のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0153】
主制御基板には、設定変更キーシリンダ(図示せず)や設定変更ボタン(図示せず)等が設けられている。なお、設定変更キーシリンダや設定変更ボタンは、例えば、電源ユニット10に設けられていてもよい。
【0154】
図24に示すように、筐体1の内部には基板ユニットとしての電源ユニット10(電源ボックス)が設けられている。
図25は、電源ユニット10の斜視図である。電源ユニット10は、略直方体の箱状となっている。電源ユニット10は、複数の部品が配置された電源基板(図示せず)、電源基板を覆う電源ケース91、電源(電源基板)のONまたはOFFを切り替え可能な電源スイッチ(図示せず)、電源スイッチを覆い、開閉可能に設けられた電源スイッチカバー92、前面パネル93、背面側に設けられた電源コネクタ(図示せず)等を備えている。
【0155】
電源コネクタには、商用電源(AC100V)を供給するコンセントに接続される電源ケーブル(図示せず)が接続される。具体的には、電源ケーブルの一端部に設けられたコネクタが電源コネクタに接続され、電源ケーブルの他端部に設けられたプラグがコンセントに接続される。電源基板は、遊技機の外部から電源ケーブルを介して送られる電力から直流電源(例えば、5V、12V、24V等)を作り、遊技機の各部品に電力を供給する。
【0156】
金属製の電源ケース91の天面10aには、複数の放熱孔10b(開口)(孔)が設けられている。放熱孔10bは、左右方向に長尺(横長)な長孔(長穴)となっている。なお、放熱孔10bは、略長方形状の孔であってもよく、略楕円形状の孔であってもよい。放熱孔10bは、前後方向に所定の間隔ごとに設けられている。また、放熱孔10bは、前後方向に沿って2列に並ぶように設けられている。放熱孔10bは、電源ユニット10の内部で発生した熱を逃がすため(放熱効果を実現するため)に設けられている。放熱孔10bを多く設けるほど、放熱効果を高くすることができる。
【0157】
なお、本実施形態では、放熱孔10bが左右方向に長尺となっているものとするが、これに限らず、放熱孔10bが前後方向に長尺となるように設けられていてもよい(
図24参照)。
【0158】
筐体1の内部では、所定の部品の固定(取り付け)等に固定部材としてのネジが用いられる。ここで、ネジを用いたねじ締めの一例について説明する。
図24に示すように、天板2には複数の取付穴201が設けられている。取付穴201は、遊技機を遊技場の島設備に取り付ける際に用いられる穴(島固定穴)となっている。作業者は、筐体1の内側からネジを、下から上に向かって取付穴201にねじ込み、さらに当該ネジを取付相手部材(島側の部材)にねじ込み、遊技機を島設備に固定する。
【0159】
ネジとしては、例えば、
図26(a)に示すネジが用いられる。呼び径d(ねじ部の外径)や長さL(首下長さ)が異なるネジが用いられるが、本実施形態では、呼び径dが2.3mmで、長さLが8mmのものが最もサイズが小さいものとなっている。
また、ネジとして、
図26(b)に示すように、ワッシャー(抜け止めワッシャー)が設けられたネジ(座金組込みネジ)が用いられる場合がある。ワッシャーの直径は、ネジの頭部の直径Dと同等であるか、直径Dよりも大きくなっている(ネジの頭部の直径D以上となっている)。
【0160】
ここで、
図27に示すように、スロットマシンXでの遊技に用いられる遊技メダルM(以下、メダルと称する)の直径を寸法L1とし、遊技メダルMの厚さを寸法L2とすると、寸法L1はφ25(直径約25mm)となっており、寸法L2は約1.6mmとなっている。なお、遊技メダルMは、寸法L1がφ30(直径約30mm)となっており、寸法L2が約1.7mm(約1.8mm)となっているものでもよい。
また、パチンコ遊技機での遊技に用いられる遊技球Bの直径を寸法L3とすると、寸法L3は約11mmとなっている。
【0161】
図28は放熱孔10bを上方から見た図である。
図28に示すように、放熱孔10bの長手方向の長さ(寸法)を第1長さとする。また、放熱孔10bの短手方向の長さ(寸法)を第2長さとする。
第1長さは、メダルの直径(約25mmまたは約30mm)よりも小さく(短く)なっている。具体的には、第1長さは約21.5mmとなっている。なお、第1長さは、メダルの半径よりは大きくなっている。
第2長さは、メダル1枚の厚さ(約1.6mm~約1.8mm)よりも大きく(長く)、メダル2枚の厚さ(約3.2mm~約3.6mm)よりも小さく(短く)なっている。具体的には、第2長さは約2.5mmとなっている。なお、メダル2枚の厚さとは、メダルを2枚重ねた状態した場合における厚さ(合計)である。
【0162】
筐体1の内部では、電源ユニット10の天面10aへのメダルの落下が起こり得るが、放熱孔10bの寸法(開口寸法)が上記のように設定されているため、電源ユニット10の天面10aにメダルが落下した場合であっても、メダルが放熱孔10bを通過して、電源ユニット10の内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、メダル全体が放熱孔10bを介して電源ユニット10の内部に侵入しないようになっている(侵入が阻止されるようになっている)。
【0163】
また、放熱孔10bの第1長さ(約21.5mm)とメダル(φ25とする)の直径とは、約3.5mmの差があるため、メダルを放熱孔10bに強引に押し込んだ場合であっても、メダル全体が(メダルが完全に)電源ユニット10の内部に侵入しないようになっている。
また、第2長さ(約2.5mm)が、メダル2枚の厚さよりも小さくなっているため、メダルの一部(端部)を放熱孔10bに差し込んだ状態で、メダルを斜めにした場合(上下方向に沿う直線を回転軸として、メダルを時計回りまたは反時計回りに回転させた場合)であっても、メダルが電源ユニット10の内部に侵入しないようになっている。
【0164】
また、第2長さ(約2.5mm)は、ネジの頭部の直径D(約4mm)よりも小さく(短く)なっている。なお、ネジが座金組込みネジ(ワッシャー付きのネジ)の場合、第2長さは、ワッシャーの直径よりも小さく(短く)なっている。
【0165】
例えば、遊技機を島設備に固定する際などに誤ってネジを電源ユニット10の天面10aに落下させてしまうことが起こり得るが、放熱孔10bの寸法(開口寸法)が上記のように設定されているため、電源ユニット10の天面10aにネジが落下した場合であっても、ネジが放熱孔10bを通過して、電源ユニット10の内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、ネジ全体が放熱孔10bを介して電源ユニット10の内部に侵入しないようになっている(侵入が阻止されるようになっている)。
【0166】
なお、第1長さ(約21.5mm)は、ネジの長さ(ネジの全長S:約9.2mm)よりも大きく(長く)なっている。ただし、仮にネジが横向きの姿勢(ネジの軸方向が放熱孔10bの長手方向と略平行となる姿勢)で落下した場合であっても、第2長さがネジの頭部の直径よりも小さいため(ネジの頭部の直径が第2長さよりも大きいため)、ネジが放熱孔10bを通過し、電源ユニット10の内部に入り込むことは不可能となっている。
【0167】
図29(a)は、メダルの一部(端部)を放熱孔10bに挿入した状態を示している。放熱孔10bは、メダルの一部(端部)は挿入(侵入)可能であるが、メダル全体は挿入(侵入)不可能な大きさとなっている。
【0168】
本実施形態では、メダルの一部(端部)が放熱孔10b(電源ユニット10)の内側に入り込み(嵌まり)、メダルが上下方向(鉛直方向)に対して(前方側または後方側に)傾いた状態(姿勢)が、維持されるようになっている。放熱孔10bの寸法(開口寸法)は、メダルの一部(端部)を侵入させ、メダルが嵌まった状態(メダルが斜めに起立した状態)を維持可能となっている、と言うことができる。ここで当該状態を、メダル嵌まり状態とする。メダル嵌まり状態は、メダルが放熱孔10bに引っ掛かった状態と言うこともでき、メダルを取りやすい状態となっている。
なお、メダル嵌まり状態で電源ユニット10に衝撃を加えると、メダルが倒れる(メダルが放熱孔10bから抜け出す)ようになっている。
【0169】
図29(b)に示すように、φ25のメダルの端部を放熱孔10bに挿入した場合(メダル嵌まり状態)における、電源ユニット10の内部への侵入量は、約6mm(約6.1mm)となっている。
【0170】
既述のとおり、放熱孔10bの第2長さは約2.5mmとなっている。このため、メダル2枚(重なった状態)が1つの放熱孔10bにおいてメダル嵌まり状態となることはない。
【0171】
放熱孔10bの第2長さが約2.5mmとなっているため、呼び径dが2.3mmのネジの場合、
図29(c)に示すように、ネジのねじ部が放熱孔10bに入り得る(通過し得る)。しかし、その場合であっても、ネジの頭部の直径が第2長さよりも大きくなっているため、ネジ全体が放熱孔10bを通過して、電源ユニット10の内部に入り込むことは不可能となっている。換言すると、放熱孔10bの寸法(開口寸法)は、少なくともネジの頭部が放熱孔10bを通過しない大きさに設定されている。
【0172】
なお、
図29(c)に示すように、ネジの一部(ねじ部)が放熱孔10bの内側に入り込んでいる状態をネジ嵌まり状態(ネジ挿入状態)と称してもよい。ネジ嵌まり状態における、電源ユニット10の内部へのネジ侵入量は約8mm(
図26の寸法Lと同等)となっている。
【0173】
図30は、前面パネル93(電源スイッチカバー92)を取り外した状態の電源ユニット10を示している。電源基板210は、電源ケース91の内側の空間(内部空間)における右側に、基板面法線方向(板厚方向)が左右方向となるように配置されている。この電源基板210には、各種部品が設けられている(接続されている、配置(実装)されている)。当該各種部品には、導電部品が含まれる。導電部品としては、電子部品(リード部品やチップ部品等)や放熱板220等がある。
【0174】
図31は、電源ユニット10の内部を示す概略断面図である。なお、
図31では断面であることを示すハッチングは省略している。
図31に示すように、左側の列の放熱孔10b群のうちの所定の放熱孔10bを放熱孔10b1とし、右側の列の放熱孔10b群のうちの所定の放熱孔10bを放熱孔10b2とする。
【0175】
図31に示すように、メダル(φ25)の端部を放熱孔10b1に挿入した状態(メダル嵌まり状態)では、メダルの端部が電源ユニット10の内側に侵入するが、メダルの端部は電源基板210に接触しないようになっている。また、メダルの端部は、電源基板210に設けられている部品(導電部品)に接触しないようになっている。このため、メダルの端部が電源ユニット10の内側に設けられている部品に接触し、当該部品が破損するのを防止できる。
【0176】
また、
図31に示すように、メダル(φ25)の端部を放熱孔10b2に挿入した状態(メダル嵌まり状態)では、メダルの端部が電源ユニット10の内側に侵入し、メダルの端部が電源基板210の端面に接触し得るが、電源基板210に設けられている部品(導電部品)には接触しないようになっている。メダルの端部が電源ユニット10の内側に配置されている電源基板210の端面に接触し得るが、導電部品には接触しないようになっており、導電部品の破損を防止できる。
なお、メダル(φ25)の端部を放熱孔10b2に挿入した状態(メダル嵌まり状態)において、メダルの端部が電源基板210に接触しないように構成されていてもよい。本実施形態において、電源基板210(および導電部品)は、メダル嵌まり状態となったメダルの端部が接触しない位置に設けられていてもよい。
【0177】
なお、上記では、φ25のメダルの端部を放熱孔10b1および放熱孔10b2に挿入した場合について説明したが、φ30のメダルの端部を放熱孔10b1および放熱孔10b2に挿入した場合に、上記と同様の関係となるように構成されていてもよい。また、ネジの一部(ねじ部)を放熱孔10b1および放熱孔10b2に挿入した場合に、上記と同様の関係となるように構成されていてもよい。
本実施形態では、ネジの一部(ねじ部)を放熱孔10b1または放熱孔10b2に挿入した状態(ネジ挿入状態)で、ネジの一部が電源基板210に接触しないようになっている。本実施形態では、電源基板210は、ネジ挿入状態となったネジの一部が接触しない位置に設けられている。これにより、当該接触に基づく部品の故障を防ぐことができる。
【0178】
また、本実施形態では、基板ユニットとして電源ユニット10を用いて説明したが、電源ユニット10に限らず、他の基板ユニットであってもよい。その場合、当該他の基板ユニットは、基板と、基板を内側に収容可能な基板ケースとを主に備え、基板ケースの天面に複数の放熱孔10bが形成されている。
【0179】
本実施形態の遊技機は、
筐体(1)と、前記筐体に対して開閉可能に設けられた前扉(20)と、ネジと、を備えた遊技機であって、
前記筐体は、箱状の基板ユニット(10)を備え、
前記基板ユニットの天面(10a)には、複数の孔(10b)が形成され、
前記孔は、長孔となっており、
前記孔の長手方向の寸法は、遊技メダルの直径より小さく、
前記孔の短手方向の寸法は、遊技メダル1枚の厚さより大きく、かつ前記ネジの頭部の直径より小さい。
【0180】
基板ユニットの天面に複数の孔(放熱孔)を設けることで、基板ユニット内部の熱を逃がすことができ、基板ユニット内部が高温となることによる部品の破損(故障)を抑制できる。このとき、仮に遊技メダルおよびネジが、放熱孔を介して基板ユニットの内部に完全に入り込んだ場合、内部に設けられている部品と接触して、当該部品が破損(故障)するおそれがある。
本実施形態では、遊技メダルおよびネジが、放熱孔を通過し、基板ユニットの内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、遊技メダル全体およびネジ全体が放熱孔を介して基板ユニットの内部に侵入することが阻止されている。このため、遊技メダルおよびネジが基板ユニットの内部に完全に侵入することによって生じる部品の破損(故障)を抑制できる。
【0181】
放熱孔は小さく設定すると放熱効果が低くなり、大きく設定すると遊技メダルやネジが内部に侵入するおそれが生じるが、本実施形態は、放熱孔の大きさ(サイズ)を好適な大きさ(サイズ)としたものであり、放熱効果を向上させつつ(確保しつつ)、遊技メダルやネジの侵入を防ぐことができる。
【0182】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では遊技機の一つであるパチンコ遊技機について説明するが、その他の遊技機であってもよい。
図32は、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態の遊技機は、遊技場から貸し出された遊技球(遊技価値)を用いて遊技を行うものである。パチンコ遊技機1は、遊技機の外側面を形成する縦長の矩形枠状の外枠2と、左側(左端側)を軸とし、外枠2に対してヒンジ部により開閉自在(開閉可能)に支持された開閉部材80(遊技機本体81および前扉82)を備えている。開閉部材80は、遊技機本体81(内枠)と前扉82とを備えている。遊技機本体81(内枠)は、本体枠と、遊技球が移動する遊技領域4を形成する遊技盤6と、を備えている。前扉82は、前枠10と、遊技盤6を遊技者が視認可能かつ接触不可能にするガラスユニット8(透明板8)と、を備えている。
【0183】
前扉82におけるガラスユニット8を取り囲む部分は、光を透過する半透明の素材により構成されており、半透明の素材により構成されている部分の内部には、遊技を盛り上げるための演出光などを出力する複数の前枠ランプ(照明装置)12が設けられている。また、前扉82の上部の左右および下部の左右には、遊技を盛り上げるための演出音などを出力するスピーカ14が設けられている。
【0184】
また、前扉82の下部中央には、遊技球を貯留するための上皿16が設けられており、上皿16の内側側面の左部には、遊技機から遊技者に遊技球を払い出すための払出口18が設けられている。また、遊技機の下部右側には、グリップユニット(ハンドル)20が設けられており、遊技者がグリップユニット20を遊技機に向かって右回りに回転させる操作を行うと、遊技機の内部に設けられた図示しない発射装置が作動して、遊技領域4内に遊技球が発射されるようになっている。なお、本実施の形態の発射装置は、1分間に99個(1秒間に1.65個)の遊技球を発射することができる。
【0185】
上皿16の内側側面の右部には、上皿16から遊技球を発射装置に供給するための供給口22が設けられている。また、上皿16の下方には、上皿16に遊技球を貯留しきれなくなった場合に余剰の遊技球を貯留しておく下皿24が設けられている。
【0186】
上皿16の縁部の手前側には、演出操作装置(演出ボタン)26が設けられており、遊技者が演出操作装置26を操作すると、遊技機で行われる演出が変化する。本実施形態では、演出操作装置26は、押しボタンおよびロータリースイッチ(ジョグダイヤル)を有しており、演出操作装置26を押下する操作と、演出操作装置26を回転させる操作と、を行うことができるようになっている。
【0187】
図33は、遊技盤6の外観構成を示す正面図である。遊技盤6には、円形状に外レール28が設けられており、外レール28に囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域4となっている。また、遊技領域4の左端部には、外レール28に沿うように円弧状に内レール30が設けられており、外レール28と内レール30は、遊技盤6の下方に設けられた図示しない発射装置から発射された遊技球を遊技領域4に誘導する。
【0188】
遊技盤6の中央部には、遊技を盛り上げるための演出画像等を表示する液晶ディスプレイ32と、液晶ディスプレイ32を取り囲むように形成されたディスプレイ枠34を備える演出ユニット36が設けられている。
【0189】
本実施の形態では、液晶ディスプレイ32の手前側を遊技球が通過できないようになっており、発射装置から発射された遊技球は、液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4か右側の遊技領域4を落下するようになっている。そして遊技領域4には、遊技盤6の表面に交差するように図示しない多数の遊技釘が打ち付けられており、遊技領域4を移動する遊技球の移動方向がランダムに変化するようになっている。
【0190】
ディスプレイ枠34の左部には、液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4を落下する遊技球が通過できる開口40が形成されており、この開口40を通過した遊技球はディスプレイ枠34に設けられている通路42を通過して、液晶ディスプレイ32の下方に設けられたステージ44に落下するようになっている。このステージ44の上面は滑らかな曲面となっているとともに、ステージ44とガラスユニット8との間に遊技球がステージ44から下方に落下できる隙間が形成されており、通路42からステージ44上に落下した遊技球がステージ44上を左右に往復移動した後にステージ44の中央部付近から下方に落下するようになっている。
【0191】
ステージ44の中央部の下方には、第1始動入賞口46が設けられている。また、液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4には、通過ゲート48が設けられている。また、通過ゲート48の下方に、第2始動入賞口50が設けられている。この第2始動入賞口50には、第2始動入賞口50に遊技球が進入しにくい縮小状態(進入を補助しない状態・非補助状態)と遊技球が進入しやすい拡大状態(進入を補助する状態・補助状態)との間で動作可能な補助部材を備える普通役物52が設けられている。
【0192】
液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4には、第2始動入賞口50の下方に大入賞口54が設けられている。この大入賞口54には、大入賞口54を塞ぐ可動部材を備える特別役物56が設けられている。特別役物56は、大入賞口54に遊技球が進入不可能な閉状態と、大入賞口54に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(
図8は閉状態を示している)。特別役物56は、大当たりが当選すると開始される特別遊技状態において、所定条件下で開状態となるように制御される。
【0193】
大入賞口54の下方には、大入賞通路58が下方に向かって設けられている。大入賞通路58の下端には、通常進入口62が設けられている。また、大入賞通路58の下方には、大入賞通路58の途中から下方に向かって分岐するように特定通路65が設けられている。この特定通路65には、特定通路65を塞ぐ可動部材を備える特定役物66が設けられている。特定役物66は、特定通路65に遊技球が進入不可能な閉状態と、特定通路65に遊技球が進入可能な開状態との間で動作可能に構成されている(
図33は閉状態を示している)。特定役物66は、特別遊技状態において所定条件下で開状態となるように制御される。特定通路65の下端には、特定進入口68が設けられている。また、遊技領域4の最下部には、いずれの入賞口にも進入せずに遊技領域4を落下した遊技球を遊技機の内部に回収するアウト口69が設けられている。
【0194】
遊技球の発射装置は、グリップユニット20(
図32)の回転量を調整することにより遊技球の射出力が変化するように構成されており、グリップユニット20の回転量が少ない場合には液晶ディスプレイ32の左側の遊技領域4を遊技球が落下するように遊技球が発射され、グリップユニット20の回転量が多い場合には液晶ディスプレイ32の右側の遊技領域4を遊技球が落下するように遊技球が発射される。
【0195】
遊技者は、遊技状況に応じてグリップユニット20の回転量を調整し、遊技球が左側の遊技領域4を落下して、あるいは開口40と通路42とステージ44を通過して第1始動入賞口46に進入するように遊技球を発射させたり(左打ち)、遊技球が右側の遊技領域4を落下して、通過ゲート48を遊技球が通過するように、あるいは第2始動入賞口50に遊技球が進入するように、あるいは大入賞口54に遊技球が進入するように遊技球を発射させたりする(右打ち)。
【0196】
遊技盤6の右下部であって、遊技領域4の外側には、遊技機の各種状態をランプ等の点灯および消灯により示す状態表示部70が設けられている。本実施形態の遊技機は、主制御基板および副制御基板を含む制御基板によって制御される。そして、主制御基板や副制御基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。主制御基板や副制御基板は、遊技機本体81(内枠)に設けられている。
【0197】
主制御基板(主制御手段)は、入力手段(第1始動入賞口センサ、通過ゲートセンサ、第2始動入賞口センサ、大入賞口センサ、通常進入口センサ、特定通路センサ、払出センサ等)からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、出力手段(状態表示駆動装置、普通役物駆動装置、特別役物駆動装置、特定役物駆動装置、払出装置等)の動作制御を行う。
【0198】
副制御基板(副制御手段)は、主制御基板から送られてくるコマンドや、演出操作装置26に対する操作を検出する演出操作センサからの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、演出装置(演出表示装置、音響装置、演出物駆動装置等)の動作制御を行う。
【0199】
図34は、遊技盤6を取り外した状態の遊技機本体81(内枠)を、前方上側から見た斜視図である。内枠の下部側には、基板ユニットとしての電源ユニット300が設けられている。
図35は、電源ユニット300を後方側から見た斜視図である。電源ユニット300は、略直方体の箱状となっており、左右方向に長尺となっている。電源ユニット300は、複数の部品が配置された電源基板(図示せず)、電源基板を覆う電源ケース301、電源(電源基板)のONまたはOFFを切り替え可能な電源スイッチ302、前面パネル303、背面側に設けられたコネクタ304等を備えている。
【0200】
電源ケース301の天面301aには、複数の放熱孔301b(開口)(孔)が設けられている。放熱孔301bは、前後方向に長尺な長孔(長穴)となっている。なお、放熱孔301bは、略長方形状の孔であってもよく、略楕円形状の孔であってもよい。放熱孔301bは、左右方向に所定の間隔ごとに設けられている。また、放熱孔301bは、左右方向に沿って2列に並ぶように設けられている。放熱孔301bは、電源ユニット300の内部で発生した熱を逃がすため(放熱効果を実現するため)に設けられている。放熱孔301bを多く設けるほど、放熱効果を高くすることができる。電源ケース301は、金属製であってもよく、樹脂製であってもよい。
【0201】
なお、本実施形態では、放熱孔301bが前後方向に長尺となっているものとするが、これに限らず、左右方向に長尺となるように設けられていてもよい。
【0202】
ここで、放熱孔301bの長手方向の長さ(寸法)を第1長さとする。また、放熱孔301bの短手方向の長さ(寸法)を第2長さとする。第1長さは、遊技球の直径(約11mmまたは約30mm)よりも大きくなっている。具体的には、第1長さは約21.5mmとなっている。第2長さは、遊技球の直径(約11mm)よりも小さくなっている。具体的には、第2長さは約2.5mmとなっている。なお、第2長さは、遊技球の半径(約5.5mm)よりも小さくなっている。
【0203】
本実施形態に係る遊技機(パチンコ遊技機)での遊技には遊技球B(
図27)が用いられる。パチンコ遊技機では、電源ユニット300の天面301aへの遊技球の落下が起こり得るが、放熱孔301bの寸法(開口寸法)が上記のように設定されているため、天面301aに遊技球が落下した場合であっても、遊技球が放熱孔301bを通過して、電源ユニット300の内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、遊技球全体が放熱孔301bを介して電源ユニット300の内部に侵入しないようになっている(侵入が阻止されるようになっている)。
【0204】
放熱孔301bの短手方向寸法である第2長さ(約2.5mm)と遊技球の直径とは、約8.5mmの差があるため、遊技球を放熱孔301bに強引に押し込んだ場合であっても、遊技球全体が(遊技球が完全に)電源ユニット300の内部に侵入しないようになっている。
【0205】
また、本実施形態に係る遊技機では、所定の部品の固定(取り付け)等に固定部材としてのネジ(
図26)が用いられる。放熱孔301bの第2長さは、ネジの頭部の直径(約4mm)よりも小さくなっている。なお、ネジが座金組込みネジ(ワッシャー付きのネジ)の場合、第2長さは、ワッシャーの直径よりも小さく(短く)なっている。
【0206】
例えば、組み付けの作業時に誤ってネジを電源ユニット300の天面301aに落下させてしまうことが起こり得るが、放熱孔301bの寸法(開口寸法)が上記のように設定されているため、天面301aにネジが落下した場合であっても、ネジが放熱孔301bを通過して、電源ユニット300の内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、ネジ全体が放熱孔301bを介して電源ユニット300の内部に侵入しないようになっている(侵入が阻止されるようになっている)。
【0207】
なお、第1長さは、ネジの長さ(ネジの全長:約9.2mm)よりも大きくなっている。ただし、仮に、ネジの軸方向が放熱孔301bの長手方向と略平行となる姿勢でネジが落下した場合であっても、第2長さがネジの頭部の直径よりも小さいため(ネジの頭部の直径が第2長さよりも大きいため)、ネジが放熱孔301bを通過し、電源ユニット300の内部に入り込むことは不可能となっている。
【0208】
放熱孔301bは、遊技球およびネジの電源ユニット300の内部への侵入を防ぐ一方、天面301aに落下した遊技球およびネジが、天面301aから下方に落下するのを防ぐことが可能な大きさとなっている。換言すると、放熱孔301bは、遊技球およびネジをその場に留めること(留めた状態(嵌まった状態)とすること)が可能となっている。なお、放熱孔301bに嵌まった遊技球は、放熱孔301bの長手方向への移動は可能であるが、短手方向には移動できない。
【0209】
放熱孔301bは、第2長さが約2.5mmとなっている。このため、呼び径2.3mmのネジの場合、ネジのねじ部が放熱孔301bに入り得る。しかし、その場合であっても、ネジの頭部の直径が第2長さよりも大きくなっているため、ネジ全体が放熱孔301bを通過して、電源ユニット300の内部に入り込むことは不可能となっている。換言すると、放熱孔301bの寸法(開口寸法)は、少なくともネジの頭部が放熱孔301bを通過しない大きさに設定されている。
電源ユニット300内には、電源基板(図示せず)が設けられている。ネジの一部(ねじ部)を放熱孔301bに挿入した状態(ネジ挿入状態)で、ネジの一部が電源基板に接触しない。本実施形態では、当該電源基板は、ネジ挿入状態となったネジの一部が接触しない位置に設けられている。これにより、当該接触に基づく部品の故障を防ぐことができる。
【0210】
本実施形態の遊技機は、
外枠(2)と、前記外枠に対して開閉可能に設けられた内枠(81)と、ネジと、を備えた遊技機であって、
前記内枠は、箱状の基板ユニット(300)を備え、
前記基板ユニットの天面(301a)には、複数の孔(301b)が形成され、
前記孔は、長孔となっており、
前記孔の長手方向の寸法は、遊技球の直径より大きく、
前記孔の短手方向の寸法は、遊技球の直径より小さく、かつ前記ネジの頭部の直径より小さい。
【0211】
基板ユニットの天面に複数の孔(放熱孔)を設けることで、基板ユニット内部の熱を逃がすことができ、基板ユニット内部が高温となることによる部品の破損(故障)を抑制できる。このとき、仮に遊技球およびネジが、放熱孔を介して基板ユニットの内部に完全に入り込んだ場合、内部に設けられている部品と接触して、当該部品が破損(故障)するおそれがある。
本実施形態では、遊技球およびネジが、放熱孔を通過し、基板ユニットの内部に完全に入り込むことは不可能となっている。換言すると、遊技球全体およびネジ全体が放熱孔を介して基板ユニットの内部に侵入することが阻止されている。このため、遊技球およびネジが基板ユニットの内部に完全に侵入することによって生じる部品の破損(故障)を抑制できる。
【0212】
放熱孔は小さく設定すると放熱効果が低くなり、大きく設定すると遊技球やネジが内部に侵入するおそれが生じるが、本実施形態は、放熱孔の大きさ(サイズ)を好適な大きさ(サイズ)としたものであり、放熱効果を向上させつつ(確保しつつ)、遊技球やネジの侵入を防ぐことができる。
【0213】
(第5の実施の形態)
第2の実施の形態に係る構成と第3の実施の形態に係る構成とを組み合せてもよい。
図36(a)に示すように、筐体1の左側板5にネジTが設けられている。ネジTは、例えば、所定の部材を左側板5に固定するために締め付けられている。ネジTは、例えば、リール支持部13(
図15)よりも下方に、かつ放熱口95よりも上方に設けられている。また、筐体1の背面(背板3)には、孔3aが設けられている。
【0214】
放熱口95の長手方向の長さ(寸法)を第1長さとする。また、放熱口95の短手方向の長さ(寸法)を第2長さとする。放熱口95の開口は、第3の実施の形態に係る放熱孔10b(
図28)の開口と同様に形成されている。第1長さは、メダルの直径(約25mmまたは約30mm)よりも小さく(短く)なっている。具体的には、第1長さは約21.5mmとなっている。なお、第1長さは、メダルの半径よりは大きくなっている。第2長さは、メダル1枚の厚さ(約1.6mm~約1.8mm)よりも大きく(長く)、メダル2枚の厚さ(約3.2mm~約3.6mm)よりも小さく(短く)なっている。具体的には、第2長さは約2.5mmとなっている。なお、メダル2枚の厚さとは、メダルを2枚重ねた状態した場合における厚さ(合計)である。また、第2長さ(約2.5mm)は、ネジTの頭部の直径D(約4mm)よりも小さく(短く)なっている。
【0215】
ネジTの頭部の直径Dが第2長さよりも大きいため、ネジTが下方に落下した場合であっても、ネジTの全体が放熱口95を通過して電源ユニット10の内部に入り込むことは不可能となっている。これにより、ネジTの侵入に基づき電源ユニット10が故障するのを抑制できる。
【0216】
図36(a)に示すように、ネジTと放熱口95との直線距離を第1の距離Aとし、ネジTと孔3aとの直線距離を第2の距離Bとすると、第2の距離Bは第1の距離Aよりも大きくなっている。ネジTからの直線距離が第1の距離A(比較的小さい)である放熱口95の開口は上述の大きさとし、ネジTの侵入を防ぐことを優先させる。ネジTからの直線距離が第1の距離Aよりも大きい第2の距離Bである孔3aは、大きさを、放熱口95の開口の大きさよりも大きくし、空気を外へ逃がすこと(放熱)を優先させる(筐体内部が高温となるのを抑制する)。このため、ネジTの侵入に基づく部品の故障を抑制するとともに、放熱を効率的に行うことが可能な筐体を実現できる。これにより、部品の故障を抑制できる。
【0217】
図36(b)に示すように、放熱口95と孔3aとの直線距離を第3の距離Cとする。第3の距離Cが、第2の距離Bよりも大きくなるように構成されていてもよい。第3の距離Cが第2の距離Bよりも大きく、かつ第2の距離Bが第1の距離Aよりも大きい関係となるように各部品の位置が定められていてもよい。なお、第3の距離Cは、ネジの全長S(
図26)よりも大きい。
【0218】
下方に落下したネジTは電源ユニット10の天面(放熱口95の周辺)に接触し、跳ね返る(跳ね上がる)場合があるが、その場合であっても、放熱口95と孔3aとの間の距離が相対的に大きく設定されているため、ネジTが孔3aを介して筐体1の外側へ飛び出すのを抑制できる。このため、部品(ネジT)が紛失する可能性を低減できる。
なお、上記のとおり、ネジTは跳ね上がる可能性があることから、孔3aが放熱口95の位置よりも上方に設けられている場合であっても、放熱口95と孔3aとの間の距離を大きく確保することで、ネジTが孔3aを通過する可能性を低減できる。
【0219】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。例えば、スロットマシンの構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。また、前述した構成等は、スロットマシンに限らず、パチンコ遊技機やメダルレス遊技機等の他の遊技機にも適用できる。本発明は、遊技機に適用でき、遊技機には、スロットマシン、パチンコ遊技機、メダルレス遊技機(遊技者が遊技メダルを用いることなく遊技を行う構造となった管理スロットマシン)が含まれる。
【符号の説明】
【0220】
1 筐体
3a 孔
10 電源ユニット(基板ユニット)
13 リール支持部(支持部)
14 リールユニット
95 放熱口
135 第1くり抜き部
T ネジ