(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176605
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】生産物出荷予測装置、システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241212BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241212BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095297
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】須藤 桃
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 睦
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】将来の生産物の需要や供給を見据えて生産者に対して有益な情報の提供を行うことに貢献することができる生産物出荷予測装置等を提供すること。
【解決手段】生産物出荷予測装置は、動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記動植物に係る生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得するように構成されたデータ取得部と、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成された出荷予測部と、を備える。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記動植物に係る生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得するように構成されたデータ取得部と、
前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成された出荷予測部と、
を備える、生産物出荷予測装置。
【請求項2】
前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データに基づいて機械学習して前記生産物の出荷予測用の学習モデルを生成するように構成された学習モデル生成部を備え、
前記出荷予測部は、前記学習モデル及び前記需給影響データを用いて、前記予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成されている、
請求項1記載の生産物出荷予測装置。
【請求項3】
前記需給影響データに基づいて、前記学習モデルに基づいて予想される前記生産物の出荷の変化の度合いを示す需給影響度数を推測するように構成された需給影響度数推測部を備え、
前記出荷予測部は、前記学習モデル及び前記需給影響度数を用いて、前記予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成されている、
請求項2記載の生産物出荷予測装置。
【請求項4】
前記学習モデル生成部は、前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データにおけるデータを体系的に選択又は整理して、前記生産物の出荷時の所定のパラメータ又は特徴量を予測するための前記学習モデルを生成するように構成されている、請求項3記載の生産物出荷予測装置。
【請求項5】
前記学習モデル生成部は、
前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データにおける前記動植物の所定品種の生育期間及び体重に基づいて機械学習して出荷可能時期予測用の前記学習モデルを生成し、
前記出荷時データにおける前記動植物の前記所定品種の前記体重及び生産物重量に基づいて機械学習して出荷時の生産物重量予測用の前記学習モデルを生成し、
前記出荷時データにおける前記動植物の前記所定品種の出荷日付、生産物単価、及びアニマルウェルフェア対応レベルに基づいて機械学習して出荷時の生産物単価予測用の学習モデルを生成する、
ように構成されている、請求項4記載の生産物出荷予測装置。
【請求項6】
前記出荷予測部は、
前記出荷可能時期予測用の前記学習モデルを用いて、前記導入時データ又は前記育成時データにおける前記動植物の前記所定品種の前記生育期間及び前記体重に基づいて出荷可能時期及び体重を予測し、
前記出荷時の畜産物重量予測用の前記学習モデルを用いて、予測された前記体重に基づいて前記生産物の重量を予測し、
前記出荷時の生産物単価予測用の前記学習モデルを用いて、予測された前記出荷可能時期に対応する暦の前記生産物の単価を予測し、
前記需給影響度数を用いて、予測された前記生産物の単価の振れ幅を予測し、
前記出荷可能時期中の前記生産物の単価の振れ幅の上限が最大化されるタイミングを出荷時期として予測する、
ように構成されている、
請求項5記載の生産物出荷予測装置。
【請求項7】
前記出荷予測部は、予測された前記生産物重量及び前記生産物単価に基づいて取引価格を予測するように構成されている、請求項6記載の生産物出荷予測装置。
【請求項8】
前記需給影響度数は、前記生産物の出荷時期の単価の変化の度合いを示す、請求項6記載の生産物出荷予測装置。
【請求項9】
前記需給影響度数は、前記需給影響データに含まれている数値化された所定のパラメータ又は特徴量の大きさ、若しくは、同種の前記需給影響データのデータ数に基づいて推測される、請求項3記載の生産物出荷予測装置。
【請求項10】
データを出力するように構成されたデータ出力部を備え、
前記出荷予測部は、予測された出荷に関するデータに基づいて予測出荷結果を生成するように構成され、
前記データ出力部は、前記予測出荷結果を出力するように構成されている、
請求項1記載の生産物出荷予測装置。
【請求項11】
前記出荷予測部は、前記学習モデルがないときに、予め統計的手法により作成した統計モデルを用いて、前記予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成されている、請求項2記載の生産物出荷予測装置。
【請求項12】
前記出荷予測部は、前記需給影響度数がないときは、前記需給影響度数を1として前記生産物の出荷を予測するように構成されている、請求項3記載の生産物出荷予測装置。
【請求項13】
前記出荷予測部で予測された前記出荷時期の前記動植物の前記生育期間が、予め設置された適正生育期間よりも前倒し又は後ろ倒しになる場合に、前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データに含まれた生育に関する情報に基づいて育成プランを生成するように構成された育成プラン生成部を備える、
請求項6記載の生産物出荷予測装置。
【請求項14】
前記需給影響度数推測部で推測された前記需給影響度数が予め設定された閾値よりも高い出荷時期を抽出し、抽出された前記出荷時期を基準点として、前記学習モデルを用いて、導入時期を逆算し、逆算された前記導入時期を含む導入プランを生成するように構成された導入プラン生成部を備える、
請求項6記載の生産物出荷予測装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一に記載の生産物出荷予測装置と、
現場で育成する前記動植物に関する情報を管理するとともに、前記動植物の前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データを前記生産物出荷予測装置に送信するように構成された動植物管理装置と、
前記需給影響データを前記生産物出荷予測装置に送信するように構成された情報提供装置と、
を備える、生産物出荷予測システム。
【請求項16】
ハードウェア資源を用いて動植物に係る生産物の出荷を予測する生産物出荷予測方法であって、
前記ハードウェア資源が、前記動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得するステップと、
前記ハードウェア資源が、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するステップと、
を含む、生産物出荷予測方法。
【請求項17】
動植物に係る生産物の出荷を予測する処理をハードウェア資源に実行させるプログラムであって、
前記ハードウェア資源が、前記動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得する処理と、
前記ハードウェア資源が、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測する処理と、
を前記ハードウェア資源に実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産物出荷予測装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家畜動物の出生から出荷までの各種の情報を収集及び機械学習して学習モデルを作成し、当該学習モデルを用いて、他の家畜動物に対する飼育方法や、家畜動物から得られる畜産物(食肉、皮、毛、骨等)の将来の出荷時の質、量、取引状況等を予測又は推定する情報処理装置やシステムが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1には、教示情報として、動物の飼育に関する飼育情報と当該動物の肉に関する肉情報とを取得して前記飼育情報と前記肉情報の対応関係を表す対応情報を学習し、学習後、新たに肉情報を取得し、前記対応情報を用いて、新たに取得した肉情報を対応する飼育情報を出力する情報処理システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、家畜個別の身体に関する身体情報と、家畜に与えた飼料に関する飼料情報と、家畜を育成する環境に関する環境情報と、出荷後に解体された家畜の質に関する質情報とを取得して機械学習して肉質を予測する予測モデルを生成し、新たに身体情報、飼料情報、環境情報、質情報のうちいずれかの情報を取得し、生成された予測モデルを用いて、新たに取得した前記情報に対応する肉質を予測する情報処理装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、食肉を調達する需要者から、調達対象となる食肉の希望調達時期を含む調達条件を取得し、前記食肉に対応する家畜の飼養状況に関する情報を含む飼養家畜情報、及び過去に飼養した前記家畜の飼養状況に関する情報を含む過去家畜情報を用いて、前記家畜の将来出荷状況を推定し、前記家畜の卸売市場における前記家畜の食肉供給量に関する情報を含む食肉取引情報、を含む市場情報を取得し、前記将来出荷状況及び前記市場情報を用いて、前記希望調達時期における将来食肉供給量を含む将来食肉取引状況を推定し、推定した将来食肉取引状況を需要者に知らせる食肉取引状況推定システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-161043号
【特許文献2】特開2021-140512号
【特許文献3】特開2021-96606号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0008】
近年、世界では食肉の消費量が増えており、家畜動物に成長剤投与等を行って畜産物の生産性を向上させている。生産性を向上させると、家畜動物の生育が悪くなり、良質な畜産物の生産量が落ちることがある。そのため、将来の畜産物の需要や供給を見据えて、良質な畜産物を供給できるように、畜産農家(生産者)に対して家畜動物に関する有益な情報を提供することが望まれる。このことは家畜動物以外の農作物、養殖物等の動植物から得られる生産物にも同じことが言える。この点、特許文献1~3には、将来の畜産物の需要や供給を見据えて畜産農家に対して家畜動物に関する情報の提供を行っていない。
【0009】
本発明の主な課題は、将来の生産物の需要や供給を見据えて生産者に対して有益な情報の提供を行うことに貢献することができる生産物出荷予測装置、システム、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の視点に係る生産物出荷予測装置は、動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記動植物に係る生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得するように構成されたデータ取得部と、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成された出荷予測部と、を備える。
【0011】
第2の視点に係る生産物出荷予測システムは、前記第1の視点に係る生産物出荷予測装置と、現場で育成する前記動植物に関する情報を管理するとともに、前記動植物の前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データを前記生産物出荷予測装置に送信するように構成された動植物管理装置と、前記需給影響データを前記生産物出荷予測装置に送信するように構成された情報提供装置と、を備える。
【0012】
第3の視点に係る生産物出荷予測方法は、ハードウェア資源を用いて動植物に係る生産物の出荷を予測する生産物出荷予測方法であって、前記ハードウェア資源が、前記動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得するステップと、前記ハードウェア資源が、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するステップと、を含む。
【0013】
第4の視点に係るプログラムは、動植物に係る生産物の出荷を予測する処理をハードウェア資源に実行させるプログラムであって、前記ハードウェア資源が、前記動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得する処理と、前記ハードウェア資源が、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測する処理と、を前記ハードウェア資源に実行させる。
【0014】
なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。また、本開示では、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。プログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェイスを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させ、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェイスを介して、外部と交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備える。
【発明の効果】
【0015】
前記第1~第4の視点によれば、将来の生産物の需要や供給を見据えて生産者に対して有益な情報の提供を行うことに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1に係る生産物出荷予測システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる導入時データの一例を模式的に示した表である。
【
図3】実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる育成時データの一例を模式的に示した表である。
【
図4】実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる出荷時データの一例を模式的に示した表である。
【
図5】実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる出荷可能時期予測用の学習モデルの一例を模式的に示したグラフである。
【
図6】実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる出荷時の食肉重量予測用の学習モデルの一例を模式的に示したグラフである。
【
図7】実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる出荷時の食肉単価予測用の学習モデルの一例を模式的に示したグラフである。
【
図8】実施形態1に係る生産物出荷予測システムで予測される出荷可能時期の食肉単価の上限及び下限を模式的に示したグラフである。
【
図9】実施形態1に係る生産物出荷予測システムで生成される予測出荷結果を模式的に示した表である。
【
図10】実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の学習モデル生成の際の動作を模式的に示したフローチャートである。
【
図11】実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の需給影響度数推測の際の動作を模式的に示したフローチャートである。
【
図12】実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の予測出荷結果生成の際の動作を模式的に示したフローチャートである。
【
図13】実施形態2に係る生産物出荷予測システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図14】実施形態3に係る生産物出荷予測システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図15】実施形態4に係る生産物出荷予測装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【
図16】ハードウェア資源の構成を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。また、下記の実施形態は、あくまで例示であり、本発明を限定するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インタフェイスも同様である。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備え、コンピュータ装置は、通信インタフェイスを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信可能に構成される。
【0018】
[実施形態1]
実施形態1に係る生産物出荷予測システムについて図面を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムの構成を模式的に示したブロック図である。
図2は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる導入時データの一例を模式的に示した表である。
図3は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる育成時データの一例を模式的に示した表である。
図4は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる出荷時データの一例を模式的に示した表である。
図5は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる出荷可能時期予測用の学習モデルの一例を模式的に示したグラフである。
図6は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる出荷時の食肉重量予測用の学習モデルの一例を模式的に示したグラフである。
図7は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムにおいて用いられる出荷時の食肉単価予測用の学習モデルの一例を模式的に示したグラフである。
図8は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムで予測される出荷可能時期の食肉単価の上限及び下限を模式的に示したグラフである。
図9は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムで生成される予測出荷結果を模式的に示した表である。
【0019】
生産物出荷予測システム1は、動植物(実施形態1では、家畜動物)から取れる生産物(実施形態1では、畜産物)の出荷を予測するシステムである(
図1参照)。動植物として、例えば、家畜動物、農作物、養殖物等を適用することができ、実施形態1では家畜動物を例に説明する。また、生産物として、例えば、畜産物(例えば、食肉、骨、皮、毛等)、農産物、殖産物等を適用することができ、実施形態1では畜産物を例に説明する。さらに、予測される出荷として、例えば、生産物の出荷時期、出荷量、出荷価格、出荷単価等を適用することができる。生産物出荷予測システム1は、出荷を予測するための学習モデルを生成する機能を備える。生産物出荷予測システム1は、将来の生産物の需要や供給を見据えて出荷を予測する機能を備える。生産物出荷予測システム1は、生産物出荷予測装置10と、家畜動物管理システム20A~20Nと、情報提供装置30A~30Mと、ネットワーク40と、を備える。
【0020】
生産物出荷予測装置10は、導入時又は育成時の動植物(実施形態1では、家畜動物)のデータに基づいて、当該動植物から取れる生産物(実施形態1では、畜産物)の出荷を予測する装置である(
図1参照)。生産物出荷予測装置10として、例えば、コンピュータ機能を備える物理サーバや、クラウド上で仮想的に実現された仮想サーバを用いることができる。生産物出荷予測装置10は、ネットワーク40を介して家畜動物管理システム20A~20N及び情報提供装置30A~30Mと通信可能に接続されている。生産物出荷予測装置10は、記憶されている所定のプログラムを実行することにより、仮想的に、データ取得部11と、学習モデル生成部12と、需給影響度数推測部13と、記憶部14と、出荷予測部15と、データ出力部16と、を備えた構成とすることができる。
【0021】
データ取得部11は、家畜動物管理システム20A~20N及び情報提供装置30A~30Mからのデータを取得する機能部である(
図1参照)。データ取得部11は、家畜動物管理システム20A~20N(データ取得装置21、家畜動物管理装置22、管理者端末23)からの家畜動物の導入時データ、育成時データ、及び出荷時データを取得する。データ取得部11は、情報提供装置30A~30Mからの家畜動物に係る畜産物に関する需給影響データを取得する。データ取得部11は、家畜動物管理システム20A~20N及び情報提供装置30A~30M以外の外部の端末や装置からデータを取得してもよい。
【0022】
ここで、導入時データは、家畜動物の導入時の特徴を表すデータである(例えば、
図2参照)。導入時データとして、例えば、家畜動物の導入時の日付、家畜動物の識別情報、家畜動物の体重、家畜動物の導入時の基本スペック(例えば、月齢、畜種、品種、血統、見た目の特徴、画像、アニマルウェルフェア(Animal Welfare:AW)対応レベル等)のデータを含むことができる。導入時データは、学習モデルの生成に用いられる。導入時データは、予測出荷結果の要求を伴う場合、生産物(畜産物)の出荷の予測に用いられる。なお、AW対応レベルとは、アニマルウェルフェアへの対応の度合いを数値で示したものをいい、例えば、国、都道府県、市区町村が設定した基準に対して対応の度合いを数値で示したものとすることができる。AW対応レベルの基準は、日本の基準のみならず世界の国や機関が設定した基準でも構わない。また、AW対応レベルは、畜産家に対するレベルだけでなく、個々の畜産動物のレベルを示しても構わない。
【0023】
育成時データは、導入から出荷までの間の育成期間において、定期的又は任意の時期に取得した、家畜動物の育成時の特徴を表すデータである(例えば、
図3参照)。育成時データとして、例えば、家畜動物の育成時の日付、家畜動物の識別情報、家畜動物の体重、家畜動物の育成時の基本スペック(例えば、月齢、見た目の特徴、画像、給餌量、飲水量、季節、天候、AW対応レベル、成長剤の投与等)を含むことができる。育成時データは、学習モデルの生成に用いられる。育成時データは、予測出荷結果の要求を伴う場合、生産物(畜産物)の出荷の予測に用いられる。
【0024】
出荷時データは、家畜動物(畜産物)の出荷時(屠畜時)の特徴を表すデータである(例えば、
図4参照)。出荷時データとして、例えば、家畜動物(畜産物)の出荷時の日付、家畜動物(畜産物)の識別情報、家畜動物の体重、各種の畜産物(肉、骨、皮、毛等)の重量及び単価等を含むことができる。出荷時データは、学習モデルの生成に用いられる。
【0025】
需給影響データは、動植物に係る生産物の需給に影響を与えるデータである。需給影響データとして、例えば、イベント(例えば、オリンピック、万博、肉の祭典など)開催時の生産物の消費量に関する情報、天候や季節による生産物の消費量に関する情報、アニマルウェルフェア食材を取り扱う店舗やレストランの店舗数や生産物の消費量に関する情報、アニマルウェルフェアや生産物のSNS(Social Networking Service)の投稿数に関する情報、アニマルウェルフェアや生産物のニュースの記事数に関する情報、グルメサイトに登録された生産物を取り扱う店舗数に関する情報、家畜動物に対する栄養素に関する情報、世界人口推移に関する情報、国別の好まれる生産物及びその品質に関する情報、システム利用者に対する生産物の出荷時期及び出荷量に関するアンケート、システム利用者の生産物の出荷時期の出荷量の予定に関する情報、システム利用者が過去に出荷した生産物の出荷時期、出荷量、アニマルウェルフェア対応レベル、品質に関する情報、過去及び現在のトレンド(例えば、インフレ、デフレ等)による生産物の消費量に関する情報等を用いることができる。また、需給影響データとして、導入時データ、育成時データ、及び出荷時データを用いてもよい。
【0026】
学習モデル生成部12は、導入時データ、育成時データ、及び出荷時データに基づいて機械学習して生産物(畜産物)の出荷予測用の学習モデル(例えば、
図5~
図7参照)を生成する機能部である(
図1参照)。学習モデル生成部12は、例えば、導入時データ、育成時データ、及び出荷時データにおける家畜動物の品種Aの月齢及び体重に基づいて機械学習して出荷可能時期予測用の学習モデルを生成するようにしてもよい(
図5参照)。また、学習モデル生成部12は、例えば、出荷時データにおける家畜動物の品種Aの体重及び食肉重量に基づいて機械学習して出荷時の食肉重量予測用の学習モデルを生成するようにしてもよい(
図6参照)。さらに、学習モデル生成部12は、例えば、出荷時データにおける家畜動物の品種Aの出荷日付(暦)、食肉単価、及びAW対応レベルに基づいて機械学習して出荷時の食肉単価予測用の学習モデルを生成するようにしてもよい(
図7参照)。なお、
図5~
図7の学習モデルは例示であり、生産物の出荷時の所定のパラメータや特徴量が予測できるように、導入時データ、育成時データ、及び出荷時データにおけるデータを体系的に選択して学習モデルを生成するようにしてもよい。
【0027】
需給影響度数推測部13は、需給影響データに基づいて、学習モデルに基づいて予想される生産物の出荷の変化(例えば、出荷時期の単価(予測単価)の変化)の度合いを示す需給影響度数を推測する機能部である(
図1参照)。需給影響度数は、将来の生産物の需要や供給を見据えた生産物の出荷の変化を予測するために用いられる。需給影響度数は、需要量と供給量とが同じと推測される場合は1とし、需要量が供給量より多いと推測される場合は1より大きい値とし、需要量が供給量より少ないと推測される場合は1より小さい値とすることができる。言い換えると、需給影響度数は、例えば、予測単価に対して、変化がないと推測される場合は1とし、増加すると推測される場合は1より大きい値とし、減少すると推測される場合は1より小さい値とすることができる。需給影響度数を単価の変化の度合いとして用いる場合、需給影響度数が1より小さい値で小さくなるほど単価が安くなり、1より大きい値で大きくほど単価が高くなる。需給影響度数は、需給影響データに含まれている数値化された所定のパラメータ(例えば、投稿数、記事数、店舗数、世界人口等)や特徴量(例えば、消費量、出荷量等)の大きさ、同種の需給影響データのデータ数等に基づいて推測するようにしてもよい。需給影響度数は、需給影響データごとに推定するようにしてもよい。
【0028】
記憶部14は、各種のデータを記憶する機能部である(
図1参照)。記憶部14は、取得データ記憶部14aと、学習モデル記憶部14bと、需給影響度数記憶部14cと、を備える。取得データ記憶部14aは、データ取得部11で取得したデータ(導入時データ、育成時データ、出荷時データ、需給影響データ)を記憶する。学習モデル記憶部14bは、学習モデル生成部12で生成された学習モデルを記憶する。需給影響度数記憶部14cは、需給影響度数推測部13で推測された需給影響度数を記憶する。
【0029】
出荷予測部15は、学習モデル及び需給影響度数を用いて、予測出荷結果の要求を伴う導入時データ又は育成時データに基づいて生産物(畜産物)の出荷を予測する機能部である(
図1参照)。出荷予測部15は、例えば、出荷可能時期予測用の学習モデル(
図5参照)を用いて、導入時データ又は育成時データにおける家畜動物の品種Aの月齢及び体重に基づいて出荷可能時期及び体重を予測するようにしてもよい。また、出荷予測部15は、例えば、出荷時の畜産物重量予測用の学習モデル(
図6参照)を用いて、予測された体重に基づいて各種の畜産物(食肉、骨、皮、毛など)の重量を予測するようにしてもよい。さらに、出荷予測部15は、例えば、出荷時の畜産物単価予測用(例えば、食肉単価予測用)の学習モデル(
図7参照)を用いて、予測された出荷可能時期に対応する暦の畜産物の単価を予測するようにしてもよい。出荷可能時期に対応する暦は、導入日付、導入時月齢、出荷可能時期の月齢に基づいて特定することができる。出荷予測部15は、需給影響度数を用いて、予測された畜産物の出荷の変化(例えば、食肉単価の振れ幅(上限、下限))を予測する(
図8参照)。出荷予測部15は、出荷可能時期中の出荷の変化(例えば、食肉単価の振れ幅)の上限が最大化されるタイミングを出荷時期として予測する(
図8参照)。出荷予測部15は、予測された畜産物重量及び畜産物単価に基づいて取引価格を予測するようにしてもよい。出荷予測部15は、予測された出荷に関するデータに基づいて予測出荷結果(
図9参照)を生成する。
【0030】
データ出力部16は、データを出力する機能部である(
図1参照)。データ出力部16は、例えば、出荷予測部15で生成された予測出荷結果を、家畜動物管理システム20A~20Nの管理者端末23に向けて出力する。
【0031】
家畜動物管理システム20A~20Nは、現場で飼育する家畜動物を管理するシステムである(
図1参照)。家畜動物管理システム20A~20Nは、データ取得装置21と、家畜動物管理装置22と、管理者端末23と、を備える。
【0032】
データ取得装置21は、家畜動物の特徴データ(例えば、体重、識別情報、画像等)を取得する装置である(
図1参照)。データ取得装置21は、1つの家畜動物管理システム20A~20N内において複数あってもよい。データ取得装置21として、例えば、体重測定装置、識別情報取得装置、撮像装置、画像処理装置等を用いることができる。データ取得装置21で家畜動物の体重を測定する場合、データ取得装置21を通路に設置して家畜動物の体重を測定するようにしてもよく、牛の場合、尺度(長さ、寸法、面積等)と体重との対応データ等を用いて、測定された尺度に基づいて体重を推定してもよく、画像における家畜動物の大きさに基づいて家畜の体重を推定してもよく、画像で撮影された部位(例えば、輪郭形状)で家畜動物の体重を推定してもよく、家畜動物の体の姿勢を特定して家畜動物の体重を推定してもよく、人の手によって測定される情報から推定してもよく、毛量の多い家畜動物(羊、アルパカ、ラマなど)の場合、毛刈り前に体重を測定し、毛刈り後に体重と毛の重量を測定してもよく、飼育時と出荷時で変化のあるものは変化前と変化後も測定してもよい。
【0033】
家畜動物管理装置22は、現場で飼育する家畜動物のデータを管理する装置である(
図1参照)。家畜動物管理装置22として、例えば、コンピュータ機能を備える物理サーバや、クラウド上で仮想的に実現された仮想サーバを用いることができる。家畜動物管理装置22は、データ取得装置21及び管理者端末23と通信可能に接続されている。家畜動物管理装置22は、ネットワーク40を介して生産物出荷予測装置10と通信可能に接続されている。家畜動物管理装置22は、データ取得装置21で取得されたデータや、管理者端末23で入力されたデータを記憶する。
【0034】
管理者端末23は、管理者(作業者でも可)が使用する情報端末である(
図1参照)。管理者端末23は、1つの家畜動物管理システム20A~20N内において複数あってもよい。管理者端末23は、管理者の操作によって入力されたデータを家畜動物管理装置22に送信する。管理者端末23は、管理者の操作によって、家畜動物管理装置22に記憶された家畜動物の導入時データ、育成時データ、又は出荷時データを生産物出荷予測装置10に送信することができる。
【0035】
情報提供装置30A~30Mは、需給影響データを提供する装置である(
図1参照)。情報提供装置30A~30Mは、ネットワーク40を介して生産物出荷予測装置10と通信可能に接続されている。情報提供装置30A~30Mは、生産物出荷予測装置10からのアクセスに応じて需給影響データを生産物出荷予測装置10に送信する。
【0036】
ネットワーク40は、生産物出荷予測装置10、家畜動物管理システム20A~20N、及び情報提供装置30A~30M間を通信可能に接続する情報通信網である。ネットワーク40として、例えば、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等の通信網を用いることができる。
【0037】
次に、実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の動作について説明する。
【0038】
実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の学習モデル生成の際の動作について図面を用いて説明する。
図10は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の学習モデル生成の際の動作を模式的に示したフローチャートである。なお、生産物出荷予測システムの構成については、
図1を参照されたい。
【0039】
まず、生産物出荷予測装置10のデータ取得部11は、家畜動物管理システム20A~20Nから家畜動物の導入時データ(例えば、
図2参照)を収集(取得)し、収集した導入時データを記憶部14の取得データ記憶部14aに記憶させる(ステップA1)。
【0040】
次に、データ取得部11は、家畜動物管理システム20A~20Nから家畜動物の育成時データ(例えば、
図3参照)を収集(取得)し、収集した育成時データを記憶部14の取得データ記憶部14aに記憶させる(ステップA2)。
【0041】
次に、データ取得部11は、家畜動物管理システム20A~20Nから家畜動物の出荷時データ(例えば、
図4参照)を収集(取得)し、収集した出荷時データを記憶部14の取得データ記憶部14aに記憶させる(ステップA3)。
【0042】
次に、生産物出荷予測装置10の学習モデル生成部12は、収集された導入時データ、育成時データ、及び出荷時データに基づいて機械学習して生産物(畜産物)の出荷予測用の学習モデル(例えば、
図5~
図7参照)を生成し、生成された学習モデルを記憶部14の学習モデル記憶部14bに記憶させ(ステップA4)、その後、終了する。なお、学習モデルの生成は、定期的又は任意の時期に行うことができる。
【0043】
実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の需給影響度数推測の際の動作について図面を用いて説明する。
図11は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の需給影響度数推測の際の動作を模式的に示したフローチャートである。なお、生産物出荷予測システムの構成については、
図1を参照されたい。
【0044】
まず、生産物出荷予測装置10のデータ取得部11は、情報提供装置30A~30Mからの需給影響データを収集(取得)し、収集した需給影響データを記憶部14の需給影響度数記憶部14cに記憶させる(ステップB1)。なお、需給影響データの収集は、定期的又は任意の時期に行うことができる。
【0045】
次に、生産物出荷予測装置10の需給影響度数推測部13は、需給影響データに基づいて、学習モデルに基づいて予想される生産物の出荷の変化(例えば、出荷時期の単価(予測単価)の変化)の度合いを示す需給影響度数を推測し、推測された需給影響度数を記憶部14の需給影響度数記憶部14cに記憶させ(ステップB2)、その後、終了する。なお、需給影響度数の推測は、定期的又は任意の時期に行うことができる。
【0046】
実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の予測出荷結果生成の際の動作について図面を用いて説明する。
図12は、実施形態1に係る生産物出荷予測システムの生産物出荷予測装置の予測出荷結果生成の際の動作を模式的に示したフローチャートである。なお、生産物出荷予測システムの構成については、
図1を参照されたい。
【0047】
まず、生産物出荷予測装置10のデータ取得部11は、家畜動物管理システム20A~20Nのいずれかの管理者端末23(データ取得装置21又は家畜動物管理装置22でも可)から、予測出荷結果の要求を伴う導入時データ(例えば、
図2参照)又は育成時データ(例えば、
図3参照)を取得する(ステップC1)。なお、ステップC1で取得した導入時データ又は育成時データは、記憶部14の取得データ記憶部14aに記憶して、学習モデルの生成に用いるようしてもよい。
【0048】
次に、生産物出荷予測装置10の出荷予測部15は、学習モデル(例えば、出荷可能時期予測用の学習モデル(
図5参照)、出荷時の畜産物重量予測用の学習モデル(
図6参照)、出荷時の畜産物単価予測用(例えば、食肉単価予測用)の学習モデル(
図7参照))を用いて、予測出荷結果の要求を伴う導入時データ又は育成時データに基づいて生産物(畜産物)の出荷(例えば、出荷可能時期、家畜動物の体重、畜産物の重量、畜産物の単価等)を予測する(ステップC2)。ステップC2では、需給影響度数を用いないで学習モデルに基づいて出荷時期等を予測する。なお、データの収集が不十分で学習モデルがないときは、予め統計的手法により作成した統計モデルを活用してもよい。
【0049】
次に、出荷予測部15は、需給影響度数を用いて、予測された畜産物の出荷の変化(例えば、単価の振れ幅(上限、下限))を予測する(ステップC3)。なお、データの収集が不十分で需給影響度数がないときは、需給影響度数を1としてもよい。
【0050】
次に、出荷予測部15は、ステップC2で予測された出荷可能時期中の出荷の変化(例えば、単価の振れ幅)の上限が最大化されるタイミングを出荷時期(例えば、
図8参照)として予測する(ステップC4)。
【0051】
次に、出荷予測部15は、ステップC2~ステップC4で予測された結果を含む予測出荷結果(例えば、
図9参照)を生成し、生成された予測出荷結果を、データ出力部16を通じて、予測出荷結果を要求してきた家畜動物管理システム20A~20Nのいずれかの管理者端末23(家畜動物管理装置22でも可)に向けて出力し(ステップC5)、その後、終了する。これにより、管理者端末23は、提示された情報を表示することができ、管理者は提示された情報を確認し、いつ出荷するか決めることができる。
【0052】
実施形態1によれば、学習モデル及び需給影響度数を用いて、導入時データ又は育成時データに基づいて生産物の出荷を予測しているので、将来の生産物の需要や供給を見据えて生産者に対して有益な情報(生産物の出荷時期、動植物の重量、生産物(畜産物、単価、取引価格等の情報))の提供を行うことに貢献することができる。
【0053】
また、実施形態1によれば、提供された情報を活用することで、良質な生産物を増やすことができるようになり、需要に応えることができる。
【0054】
また、実施形態1によれば、提供された情報を活用することで、商品価値の高い時期に出荷できる。
【0055】
また、世界ではアニマルウェルフェアに配慮した畜産物への関心が高まっているので、実施形態1によれば、日本でもアニマルウェルフェア対応の畜産物が生産されるようになり、アニマルウェルフェア対応の食品など特定の飼養方法で飼養された畜産物の需要に合わせて生産することで、畜産物の価値を高めることに貢献することができる。
【0056】
さらに、実施形態1によれば、畜産物として食肉、羊毛、骨、皮等に分けて出荷される羊に関しても、出荷する際の体重を知ることができ、体重に含まれる食肉の重さや、羊毛、骨、皮等の食肉以外の重さも知ることができ、生産者は適切な出荷量の判断を行うことができる。
【0057】
[実施形態2]
実施形態2に係る生産物出荷予測システムについて図面を用いて説明する。
図13は、実施形態2に係る生産物出荷予測システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0058】
実施形態2は、実施形態1の変形例であり、予測された出荷時期の動植物の生育期間(年齢、月齢、日齢、週齢、日齢等)が適正生育期間よりも前倒し又は後ろ倒しになる場合に、該当する動植物に対する育成プランを提供できるように、育成プラン生成部17を追加したものである。育成プラン生成部17は、出荷予測部15で予測された出荷時期の動植物の生育期間が、予め設置された適正生育期間よりも前倒し又は後ろ倒しになる場合、記憶部14の取得データ記憶部14aに記憶されたデータ(導入時データ、育成時データ、出荷時データ)に含まれた生育に関する情報(例えば、給餌量、飲水量、成長剤の投与等)に基づいて育成プランを生成し、生成された育成プランを、データ出力部16を通じて、予測出荷結果を要求してきた家畜動物管理システム20A~20Nのいずれかの管理者端末23(家畜動物管理装置22でも可)に向けて出力する。その他の構成及び動作は、実施形態1と同様である。
【0059】
実施形態2によれば、実施形態1と同様に、将来の生産物の需要や供給を見据えて生産者に対して有益な情報の提供を行うことに貢献することができるとともに、予測された出荷時期の動植物の生育期間に応じて生育プランを生成しているので、生成された生育プランを活用することで、出荷が前倒し又は後ろ倒しになる生産物の品質の劣化を抑えつつ、需要に応えることができる。
【0060】
[実施形態3]
実施形態3に係る生産物出荷予測システムについて図面を用いて説明する。
図14は、実施形態3に係る生産物出荷予測システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0061】
実施形態3は、実施形態1の変形例であり、需要が多くなる出荷時期を基準点として、学習モデルを用いて、導入時期(月齢、日齢等の育成期間を追加しても可)を逆算して提案できるように、導入プラン生成部18を追加したものである。導入プラン生成部18は、家畜動物管理システム20A~20Nのいずれかの管理者端末23から導入プランの要求を受けたときに、生産物の出荷の変化(例えば、単価(予測単価)の変化)の度合い(需給影響度数推測部13で推測された需給影響度数)が、予め設定された閾値よりも高い出荷時期を抽出する。導入プラン生成部18は、抽出された出荷時期を基準点として、学習モデルを用いて、導入時期を逆算する。導入プラン生成部18は、逆算された導入時期を含む導入プランを生成し、生成された導入プランを、データ出力部16を通じて、導入プランを要求してきた管理者端末23に向けて出力する。その他の構成及び動作は、実施形態1と同様である。また、実施形態3は、実施形態2に適用してもよい。
【0062】
実施形態3によれば、実施形態1と同様に、将来の生産物の需要や供給を見据えて生産者に対して有益な情報の提供を行うことに貢献することができるとともに、需要が多くなる出荷時期に応じて導入プランを生成しているので、生成された導入プランを活用することで、出荷時期の動植物の品質を適正化しつつ、生産者の業務計画を適正化することに貢献することができる。
【0063】
[実施形態4]
実施形態4に係る生産物出荷予測装置について図面を用いて説明する。
図15は、実施形態4に係る生産物出荷予測装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【0064】
生産物出荷予測装置10は、導入時又は育成時の動植物のデータに基づいて、当該動植物から取れる生産物の出荷を予測する装置である(
図15参照)。生産物出荷予測装置10は、データ取得部11と、出荷予測部15と、を備える。
【0065】
データ取得部11は、動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記動植物に係る生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得するように構成されている。出荷予測部15は、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成されている。
【0066】
実施形態4によれば、導入時データ、育成時データ、出荷時データ、及び需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う導入時データ又は育成時データに基づいて生産物の出荷を予測しているので、将来の生産物の需要や供給を見据えて生産者に対して有益な情報の提供を行うことに貢献することができる。
【0067】
なお、実施形態1~4に係る生産物出荷予測装置は、いわゆるハードウェア資源(情報処理装置、コンピュータ)により構成することができ、
図16に例示する構成を備えたものを用いることができる。例えば、ハードウェア資源100は、内部バス104により相互に接続される、プロセッサ101、メモリ102、ネットワークインタフェイス103等を備える。
【0068】
なお、
図16に示す構成は、ハードウェア資源100のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。ハードウェア資源100は、図示しないハードウェア(例えば、入出力インタフェイス)を含んでもよい。あるいは、装置に含まれるプロセッサ101等のユニットの数も
図16の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ101がハードウェア資源100に含まれていてもよい。プロセッサ101には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いることができる。
【0069】
メモリ102には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0070】
ネットワークインタフェイス103には、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェイスカード等を用いることができる。
【0071】
ハードウェア資源100の機能は、上述の処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ102に格納されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0072】
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0073】
[付記1]
動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記動植物に係る生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得するように構成されたデータ取得部と、
前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成された出荷予測部と、
を備える、生産物出荷予測装置。
[付記2]
前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データに基づいて機械学習して前記生産物の出荷予測用の学習モデルを生成するように構成された学習モデル生成部を備え、
前記出荷予測部は、前記学習モデル及び前記需給影響データを用いて、前記予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成されている、
付記1記載の生産物出荷予測装置。
[付記3]
前記需給影響データに基づいて、前記学習モデルに基づいて予想される前記生産物の出荷の変化の度合いを示す需給影響度数を推測するように構成された需給影響度数推測部を備え、
前記出荷予測部は、前記学習モデル及び前記需給影響度数を用いて、前記予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成されている、
付記2記載の生産物出荷予測装置。
[付記4]
前記学習モデル生成部は、前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データにおけるデータを体系的に選択又は整理して、前記生産物の出荷時の所定のパラメータ又は特徴量を予測するための前記学習モデルを生成するように構成されている、付記2又は3記載の生産物出荷予測装置。
[付記5]
前記学習モデル生成部は、
前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データにおける前記動植物の所定品種の生育期間及び体重に基づいて機械学習して出荷可能時期予測用の前記学習モデルを生成し、
前記出荷時データにおける前記動植物の前記所定品種の前記体重及び生産物重量に基づいて機械学習して出荷時の生産物重量予測用の前記学習モデルを生成し、
前記出荷時データにおける前記動植物の前記所定品種の出荷日付、生産物単価、及びアニマルウェルフェア対応レベルに基づいて機械学習して出荷時の生産物単価予測用の学習モデルを生成する、
ように構成されている、付記4記載の生産物出荷予測装置。
[付記6]
前記出荷予測部は、
前記出荷可能時期予測用の前記学習モデルを用いて、前記導入時データ又は前記育成時データにおける前記動植物の前記所定品種の前記生育期間及び前記体重に基づいて出荷可能時期及び体重を予測し、
前記出荷時の畜産物重量予測用の前記学習モデルを用いて、予測された前記体重に基づいて前記生産物の重量を予測し、
前記出荷時の生産物単価予測用の前記学習モデルを用いて、予測された前記出荷可能時期に対応する暦の前記生産物の単価を予測し、
前記需給影響度数を用いて、予測された前記生産物の単価の振れ幅を予測し、
前記出荷可能時期中の前記生産物の単価の振れ幅の上限が最大化されるタイミングを出荷時期として予測する、
ように構成されている、
付記5記載の生産物出荷予測装置。
[付記7]
前記出荷予測部は、予測された前記生産物重量及び前記生産物単価に基づいて取引価格を予測するように構成されている、付記4記載の生産物出荷予測装置。
[付記8]
前記需給影響度数は、前記生産物の出荷時期の単価の変化の度合いを示す、付記6又は7記載の生産物出荷予測装置。
[付記9]
前記需給影響度数は、前記需給影響データに含まれている数値化された所定のパラメータ又は特徴量の大きさ、若しくは、同種の前記需給影響データのデータ数に基づいて推測される、付記3乃至8のいずれか一に記載の生産物出荷予測装置。
[付記10]
データを出力するように構成されたデータ出力部を備え、
前記出荷予測部は、予測された出荷に関するデータに基づいて予測出荷結果を生成するように構成され、
前記データ出力部は、前記予測出荷結果を出力するように構成されている、
付記1乃至9のいずれか一に記載の生産物出荷予測装置。
[付記11]
前記出荷予測部は、前記学習モデルがないときに、予め統計的手法により作成した統計モデルを用いて、前記予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するように構成されている、付記2乃至10のいずれか一に記載の生産物出荷予測装置。
[付記12]
前記出荷予測部は、前記需給影響度数がないときは、前記需給影響度数を1として前記生産物の出荷を予測するように構成されている、付記3乃至11のいずれか一に記載の生産物出荷予測装置。
[付記13]
前記出荷予測部で予測された前記出荷時期の前記動植物の前記生育期間が、予め設置された適正生育期間よりも前倒し又は後ろ倒しになる場合に、前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データに含まれた生育に関する情報に基づいて育成プランを生成するように構成された育成プラン生成部を備える、
付記6又は7記載の生産物出荷予測装置。
[付記14]
前記需給影響度数推測部で推測された前記需給影響度数が予め設定された閾値よりも高い出荷時期を抽出し、抽出された前記出荷時期を基準点として、前記学習モデルを用いて、導入時期を逆算し、逆算された前記導入時期を含む導入プランを生成するように構成された導入プラン生成部を備える、
付記6、7及び13のいずれか一に記載の生産物出荷予測装置。
[付記15]
付記1乃至14のいずれか一に記載の生産物出荷予測装置と、
現場で育成する前記動植物に関する情報を管理するとともに、前記動植物の前記導入時データ、前記育成時データ、及び前記出荷時データを前記生産物出荷予測装置に送信するように構成された動植物管理装置と、
前記需給影響データを前記生産物出荷予測装置に送信するように構成された情報提供装置と、
を備える、生産物出荷予測システム。
[付記16]
ハードウェア資源を用いて動植物に係る生産物の出荷を予測する生産物出荷予測方法であって、
前記ハードウェア資源が、前記動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得するステップと、
前記ハードウェア資源が、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測するステップと、
を含む、生産物出荷予測方法。
[付記17]
動植物に係る生産物の出荷を予測する処理をハードウェア資源に実行させるプログラムであって、
前記ハードウェア資源が、前記動植物の導入時、育成時、及び出荷時の特徴を表す導入時データ、育成時データ、及び出荷時データ、並びに、前記生産物の需給に影響を与える需給影響データを取得する処理と、
前記ハードウェア資源が、前記導入時データ、前記育成時データ、前記出荷時データ、及び前記需給影響データを用いて、予測出荷結果の要求を伴う前記導入時データ又は前記育成時データに基づいて前記生産物の出荷を予測する処理と、
を前記ハードウェア資源に実行させる、プログラム。
【0074】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(必要により不選択)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本願発明の趣旨に則り、本願発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれる(属する)ものと、みなされる。
【符号の説明】
【0075】
1 生産物出荷予測システム
3 家畜動物
10 生産物出荷予測装置
11 データ取得部
12 学習モデル生成部
13 需給影響度数推測部
14 記憶部
14a 取得データ記憶部
14b 学習モデル記憶部
14c 需給影響度数記憶部
15 出荷予測部
16 データ出力部
17 育成プラン生成部
18 導入プラン生成部
20A~20N 家畜動物管理システム
21 データ取得装置
22 家畜動物管理装置
23 管理者端末
30A~30M 情報提供装置
40 ネットワーク
100 ハードウェア資源
101 プロセッサ
102 メモリ
103 ネットワークインタフェイス
104 内部バス