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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176607
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/40 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H05B3/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095299
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 洋一
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 智紀
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP13
3K092QA01
3K092QA02
3K092QA04
3K092QB02
3K092QB27
3K092QB44
3K092RB04
3K092VV40
(57)【要約】
【課題】小型な構成で熱交換効率を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】加熱装置が、渦巻き状のシーズヒータと、シーズヒータの上面と対向する上面側部材と、シーズヒータの下面と対向する下面側部材と、シーズヒータの上面と上面側部材との間に設けられている上面側流路であってシーズヒータの上面に沿ってシーズヒータの径方向に流体を流す上面側流路と、シーズヒータの下面と下面側部材との間に設けられている下面側流路であってシーズヒータの下面に沿ってシーズヒータの径方向に流体を流す下面側流路と、を備えていてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻き状のシーズヒータと、
前記シーズヒータの上面と対向する上面側部材と、
前記シーズヒータの下面と対向する下面側部材と、
前記シーズヒータの上面と前記上面側部材との間に設けられている上面側流路であって前記シーズヒータの上面に沿って前記シーズヒータの径方向に流体を流す前記上面側流路と、
前記シーズヒータの下面と前記下面側部材との間に設けられている下面側流路であって前記シーズヒータの下面に沿って前記シーズヒータの径方向に流体を流す前記下面側流路と、を備える、加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱装置であって、
渦巻き状の前記シーズヒータの中心部に向けて流体を導入する導入口と、
渦巻き状の前記シーズヒータの最外周部の接線方向に流体を排出する排出口と、を更に備える、加熱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱装置であって、
前記排出口は、前記シーズヒータの最外周部の端部と対向する位置に設けられている、加熱装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の加熱装置であって、
前記導入口は、前記シーズヒータの上面よりも上側に設けられている、加熱装置。
【請求項5】
請求項1に記載の加熱装置であって、
渦巻き状の前記シーズヒータの最外周部よりも外側に設けられている外側流路であって前記シーズヒータの最外周部に沿って前記シーズヒータの周方向に流体を流す前記外側流路と、
前記シーズヒータの最外周部と前記外側流路との間に設けられている接続流路であって前記上面側流路及び前記下面側流路を流れた後の流体を前記外側流路へ流す前記接続流路と、を更に備え、
前記接続流路の上下方向の幅は、前記シーズヒータの上下方向の幅よりも狭く、かつ、前記外側流路の上下方向の幅よりも狭い、加熱装置。
【請求項6】
請求項5に記載の加熱装置であって、
渦巻き状の前記シーズヒータの中心部に向けて流体を導入する導入口と、
前記外側流路から流体を排出する排出口と、を更に備える、加熱装置。
【請求項7】
請求項5に記載の加熱装置であって、
前記外側流路に流体を導入する導入口と、
渦巻き状の前記シーズヒータの中心部から流体を排出する排出口と、を更に備える、加熱装置。
【請求項8】
請求項1に記載の加熱装置であって、
前記上面側流路の上下方向の幅は、前記下面側流路の上下方向の幅よりも広い、加熱装置。
【請求項9】
請求項1に記載の加熱装置であって、
前記上面側流路の上下方向の幅は、前記シーズヒータの上下方向の幅よりも狭い、加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に加熱装置が開示されている。特許文献1の加熱装置は、渦巻き状のヒータと、ヒータの下面と対向する下面側部材と、ヒータの下面と下面側部材との間に設けられている下面側流路であってヒータの下面に沿ってヒータの径方向に流体を流す下面側流路と、渦巻き状のヒータの中心部に向けて流体を導入する導入口とを備えている。特許文献1の加熱装置では、ヒータにより加熱された流体がヒータの上方へ流れてゆく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭60-7184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に加熱装置は、ヒータにより加熱された流体がヒータの上方へ流れてゆく構成なので、ヒータの上方の領域を広くする必要があり、その結果、加熱装置の構成が大型になるという問題がある。また、特許文献1に加熱装置は、流体がヒータの上方へ流れてゆく構成なので、ヒータの熱を流体に効率良く移すことができないという問題がある。
【0005】
本明細書は、小型な構成で熱交換効率を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の態様では、加熱装置が、渦巻き状のシーズヒータと、前記シーズヒータの上面と対向する上面側部材と、前記シーズヒータの下面と対向する下面側部材と、前記シーズヒータの上面と前記上面側部材との間に設けられている上面側流路であって前記シーズヒータの上面に沿って前記シーズヒータの径方向に流体を流す前記上面側流路と、前記シーズヒータの下面と前記下面側部材との間に設けられている下面側流路であって前記シーズヒータの下面に沿って前記シーズヒータの径方向に流体を流す前記下面側流路と、を備えていてもよい。
【0007】
この構成によれば、下面側流路によりシーズヒータの下面に沿ってシーズヒータの径方向に流体を流すと共に、上面側流路によりシーズヒータの上面に沿ってシーズヒータの径方向に流体を流すことにより、シーズヒータの熱を効率良く流体に移すことができ、熱交換効率を向上させることができる。また、上面側流路によりシーズヒータの上面に沿ってシーズヒータの径方向に流体を流すことにより、シーズヒータの上方の領域を狭くすることができるので、加熱装置の構成を小型にすることができる。よって、小型な構成で熱交換効率を向上させることができる。
【0008】
第2の態様では、上記第1の態様において、加熱装置が、渦巻き状の前記シーズヒータの中心部に向けて流体を導入する導入口と、渦巻き状の前記シーズヒータの最外周部の接線方向に流体を排出する排出口と、を更に備えていてもよい。この構成によれば、流体をシーズヒータにより十分に加熱してから排出することができる。
【0009】
第3の態様では、上記第2の態様において、前記排出口は、前記シーズヒータの最外周部の端部と対向する位置に設けられていていてもよい。この構成によれば、流体を排出口へスムーズに流すことができる。
【0010】
第4の態様では、上記第1又は第3の態様において、前記導入口は、前記シーズヒータの上面よりも上側に設けられていてもよい。この構成によれば、上面側流路と下面側流路の両方に流体を十分に導入することができる。
【0011】
第5の態様では、上記第1の態様において、加熱装置が、渦巻き状の前記シーズヒータの最外周部よりも外側に設けられている外側流路であって前記シーズヒータの最外周部に沿って前記シーズヒータの周方向に流体を流す前記外側流路と、前記シーズヒータの最外周部と前記外側流路との間に設けられている接続流路であって前記上面側流路及び前記下面側流路を流れた後の流体を前記外側流路へ流す前記接続流路と、を更に備えていてもよい。前記接続流路の上下方向の幅は、前記シーズヒータの上下方向の幅よりも狭く、かつ、前記外側流路の上下方向の幅よりも狭くてもよい。
【0012】
この構成によれば、接続流路を流れる流体の流速を速くすることができるので、シーズヒータの最外周部付近の流体の流速を速くすることができる。これにより、シーズヒータの最外周部の温度を下げることができる。その結果、シーズヒータの最外周部の温度を最内周部の温度に近付けることができ、シーズヒータの全体の温度を均一に近付けることができる。以上より、流体の温度を均一に近付けることができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0013】
第6の態様では、上記第5の態様において、加熱装置が、渦巻き状の前記シーズヒータの中心部に向けて流体を導入する導入口と、前記外側流路から流体を排出する排出口と、を更に備えていてもよい。
【0014】
この構成によれば、シーズヒータにより加熱された流体をシーズヒータの最外周部よりも外側に設けられている外側流路に集めることができ、シーズヒータにより加熱された流体の温度をシーズヒータの周方向において均一に近付けることができる。
【0015】
第7の態様では、上記第5の態様において、加熱装置が、前記外側流路に流体を導入する導入口と、渦巻き状の前記シーズヒータの中心部から流体を排出する排出口と、を更に備えていてもよい。
【0016】
この構成によれば、シーズヒータの中心部付近の流体の流速を速くすることができる。これにより、シーズヒータの中心部付近の熱流束を向上させることができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0017】
第8の態様では、上記第1から第7の態様のいずれか一つにおいて、前記上面側流路の上下方向の幅は、前記下面側流路の上下方向の幅よりも広くてもよい。この構成によれば、上面側流路に流体をスムーズに導入することができる。
【0018】
第9の態様では、上記第1から第8の態様のいずれか一つにおいて、前記上面側流路の上下方向の幅は、前記シーズヒータの上下方向の幅よりも狭くてもよい。この構成によれば、上面側流路を流れる流体の流速を速くすることができる。これにより、熱流束を向上させることができ、熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施例の加熱装置の断面図。
図2】第1実施例の加熱装置の断面図(図1のII-II断面図)。
図3図2の部分IIIの拡大図。
図4】第2実施例の加熱装置の断面図。
図5】第2実施例の加熱装置の断面図(図4のV-V断面図)。
図6図5の部分VIの拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施例)
第1実施例の加熱装置2について図面を参照して説明する。図1から図3に示すように、加熱装置2は、渦巻き状のシーズヒータ10と、シーズヒータ10を収容する筐体4とを備えている。また、加熱装置2は、筐体4の内部に流体を導入する導入管6と、筐体4の外部に流体を排出する排出管7とを備えている。筐体4の内部に導入される流体は、例えば、水やクーラント液等である。筐体4の内部に導入される流体は、加熱装置2の熱媒体として機能する。
【0021】
(シーズヒータ10の構成)
シーズヒータ10は、通電により発熱する電気ヒータである。シーズヒータ10は、例えば、発熱体90と、発熱体90を収容する管状の筐体94と、発熱体90と筐体94との隙間に充填されている粉末状の絶縁材96とを備えている。発熱体90は、例えば、螺旋状のニクロム線により構成されている。なお、シーズヒータ10が発熱する原理については既に知られているので詳細な説明は省略する。
【0022】
渦巻き状のシーズヒータ10は、渦巻き方向における内側端部12と外側端部13とを備えている。内側端部12と外側端部13は、それぞれ、電気端子(不図示)を備えている。内側端部12の電気端子と外側端部13の電気端子とを通じてシーズヒータ10に電力が供給される。渦巻き状のシーズヒータ10の複数の周回部分は、それぞれ、シーズヒータ10の渦巻き方向に一周している。例えば、シーズヒータ10の最内周部14及び最外周部15は、それぞれ、シーズヒータ10の渦巻き方向に一周している。
【0023】
(筐体4の構成)
筐体4は、渦巻き状のシーズヒータ10を収容する収容部40を備えている。筐体4は、シーズヒータ10の上面10aと対向する上面側部材42と、シーズヒータ10の下面10bと対向する下面側部材44と、シーズヒータ10の最外周部15の側面10cと対向する側面側部材46とを備えている。上面側部材42と下面側部材44と側面側部材46とにより囲まれた部分に収容部40が形成されている。
【0024】
筐体4の上面側部材42は、シーズヒータ10の上面10aに沿って横方向に延びている。上面側部材42は、シーズヒータ10の径方向に延びている。シーズヒータ10の上面10aと上面側部材42との間には上面側流路22が設けられている。
【0025】
上面側流路22は、シーズヒータ10の上面10aに沿って横方向に延びている。上面側流路22は、シーズヒータ10の径方向に延びている。上面側流路22は、シーズヒータ10の上面10aに沿って流体を横方向に流す流路である。上面側流路22は、シーズヒータ10の径方向に流体を流す流路である。上面側流路22の上下方向の幅W22は、例えば、シーズヒータ10の上下方向の幅W10の3倍(=3×W10)よりも狭い。上面側流路22の上下方向の幅W22は、例えば、シーズヒータ10の上下方向の幅W10の2倍(=2×W10)よりも狭くてもよい。上面側流路22の上下方向の幅W22は、例えば、シーズヒータ10の上下方向の幅W10よりも狭くてもよい。
【0026】
筐体4の下面側部材44は、シーズヒータ10の下面10bに沿って横方向に延びている。下面側部材44は、シーズヒータ10の径方向に延びている。シーズヒータ10の下面10bと下面側部材44との間には下面側流路24が設けられている。
【0027】
下面側流路24は、シーズヒータ10の下面10bに沿って横方向に延びている。下面側流路24は、シーズヒータ10の径方向に延びている。下面側流路24は、シーズヒータ10の下面10bに沿って流体を横方向に流す流路である。下面側流路24は、シーズヒータ10の径方向に流体を流す流路である。下面側流路24の上下方向の幅W24は、例えば、シーズヒータ10の上下方向の幅W10の3倍(=3×W10)よりも狭い。下面側流路24の上下方向の幅W24は、例えば、シーズヒータ10の上下方向の幅W10の2倍(=2×W10)よりも狭くてもよい。下面側流路24の上下方向の幅W24は、例えば、シーズヒータ10の上下方向の幅W10よりも狭くてもよい。
【0028】
筐体4の側面側部材46の内周面は、渦巻き状のシーズヒータ10の最外周部15の側面10cに沿って最外周部15の周方向に延びている。シーズヒータ10の最外周部15の側面10cと側面側部材46との隙間26では上面側流路22と下面側流路24とが合流している。シーズヒータ10の最外周部15の側面10cと側面側部材46との隙間26の幅W26は、例えば、例えば、シーズヒータ10の上下方向の幅W10の2倍(=2×W10)よりも狭い。この隙間26の幅W26は、例えば、シーズヒータ10の上下方向の幅W10よりも狭くてもよい。また、この隙間26の幅W26は、例えば、上面側流路22の上下方向の幅W22よりも狭くてもよい。この隙間26の幅W26は、例えば、下面側流路24の上下方向の幅W24よりも狭くてもよい。
【0029】
筐体4は、更に、収容部40から流体を排出する排出口27及び第1排出流路28を備えている。排出口27及び第1排出流路28は、収容部40から流体を横方向に排出する。排出口27は、筐体4の側面側部材46に設けられている。排出口27は、シーズヒータ10の最外周部15の端部(即ち、外側端部13)と対向する位置に設けられている。排出口27は、シーズヒータ10の外側端部13に向けて開口している。排出口27は、シーズヒータ10の外側端部13におけるシーズヒータ10の最外周部15の接線方向D1に流体を排出する。シーズヒータ10の外側端部13におけるシーズヒータ10の最外周部15の接線(D1)が排出口27を通過する。
【0030】
第1排出流路28は、シーズヒータ10の外側端部13におけるシーズヒータ10の最外周部15の接線方向D1に延びている。第1排出流路28は、横方向に延びている。変形例では、第1排出流路28は、接線方向D1以外の方向に延びていてもよい。第1排出流路28は、排出口27を介して筐体4の収容部40と連通している。第1排出流路28は、筐体4の内部(収容部40)から筐体4の外部まで延びている。
【0031】
(導入管6と排出管7の構成)
導入管6は、筐体4の上面側部材42に接続されている。導入管6の下流端部が筐体4の上面側部材42に固定されている。導入管6は、筐体4の上部から上側に向かって縦方向に延びている。導入管6は、筐体4と一体で作製されていてもよい。導入管6は、筐体4の内部(収容部40)に流体を導入する導入流路60及び導入口62を備えている。
【0032】
導入流路60は、導入口62を介して筐体4の内部(収容部40)と連通している。導入流路60は、縦方向に延びている。導入流路60の横方向の幅W60は、例えば、上述した上面側流路22の上下方向の幅W22よりも広い。
【0033】
導入口62は、導入流路60の下流端部に設けられている。導入口62は、シーズヒータ10の上面10aよりも上側の位置に設けられている。導入口62は、シーズヒータ10の上面10aよりも上側で開口している。導入口62は、シーズヒータ10の中心部16と対向する位置に設けられている。シーズヒータ10の中心部16は、渦巻き状のシーズヒータ10の最内周部14よりも内側の部分である。導入口62は、シーズヒータ10の中心部16に向けて開口している。導入口62は、筐体4の収容部40に向けて拡径している。導入口62の径は、下側に向かうにしたがって拡大している。導入口62の内周面は、導入流路60の長手方向に対して傾斜している。導入流路60及び導入口62は、シーズヒータ10の中心部16に向けて流体を導入する。なお、変形例では、導入口62は拡径していなくてもよい。
【0034】
排出管7は、筐体4の側面側部材46に接続されている。排出管7の上流端部が筐体4の側面側部材46に固定されている。排出管7は、筐体4の側面側部材46から横方向に延びている。排出管7は、筐体4と一体で作製されていてもよい。排出管7は、流体を排出する第2排出流路72を備えている。第2排出流路72は、筐体4の側面側部材46に設けられている第1排出流路28と連通している。
【0035】
(加熱装置2の動作)
上記の加熱装置2では、筐体4に接続された導入管6により筐体4の収容部40に流体が導入される。流体は、シーズヒータ10の中心部16に向けて導入される。シーズヒータ10の中心部16に導入された流体は、シーズヒータ10の中心部16から上面側流路22と下面側流路24に流入する。この流体は、シーズヒータ10の上面10aと下面10bに沿ってシーズヒータ10の径方向の外側へ放射状に流れてゆく。上面側流路22と下面側流路24を流れる流体は、シーズヒータ10の径方向に流れる過程でシーズヒータ10により加熱される。
【0036】
シーズヒータ10により加熱された流体は、シーズヒータ10の最外周部15に沿ってシーズヒータ10の周方向に流れ、シーズヒータ10の最外周部15の端部(外側端部13)と対向する排出口27から第1排出流路28へ排出される。排出口27から排出される流体は、シーズヒータ10の最外周部15の接線方向D1に沿って第1排出流路28へ排出される。第1排出流路28へ排出された流体は、筐体4に接続された排出管7により筐体4の外部へ排出される。
【0037】
(効果)
以上、第1実施例の加熱装置2について説明した。以上のように、加熱装置2は、シーズヒータ10の上面10aと上面側部材42との間に設けられている上面側流路22であってシーズヒータ10の上面10aに沿ってシーズヒータ10の径方向に流体を流す上面側流路22を備えている。また、加熱装置2は、シーズヒータ10の下面10bと下面側部材44との間に設けられている下面側流路24であってシーズヒータ10の下面10bに沿ってシーズヒータ10の径方向に流体を流す下面側流路24を備えている。
【0038】
この構成によれば、下面側流路24によりシーズヒータ10の下面10bに沿って流体を流すと共に、上面側流路22によりシーズヒータ10の上面10aに沿って流体を流すことにより、シーズヒータ10の熱をシーズヒータ10の下面10bと上面10aから流体に移すことができ、熱交換効率を向上させることができる。また、上面側流路22によりシーズヒータ10の上面10aに沿って流体を流すことにより、シーズヒータ10の上方の領域を狭くすることができるので、加熱装置2の構成を小型にすることができる。よって、小型な構成で熱交換効率を向上させることができる。
【0039】
また、加熱装置2は、渦巻き状のシーズヒータ10の中心部16に向けて流体を導入する導入口62と、渦巻き状のシーズヒータ10の最外周部15の接線方向D1に流体を排出する排出口27とを備えている。この構成によれば、流体をシーズヒータ10により十分に加熱してから排出することができる。
【0040】
排出口27は、シーズヒータ10の最外周部15の端部(外側端部13)と対向する位置に設けられている。この構成によれば、流体を排出口27へスムーズに流すことができる。
【0041】
導入口62は、シーズヒータ10の上面10aよりも上側に設けられている。この構成によれば、上面側流路22と下面側流路24の両方に流体を十分に導入することができる。
【0042】
上面側流路22の上下方向の幅W22は、下面側流路24の上下方向の幅W24よりも広くてもよい。この構成によれば、上面側流路22に流体をスムーズに導入することができる。
【0043】
また、上面側流路22の上下方向の幅W22は、シーズヒータ10の上下方向の幅W10よりも狭くてもよい。この構成によれば、上面側流路22を流れる流体の流速を速くすることができる。これにより、熱流束を向上させることができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0044】
以上、第1実施例について説明したが、加熱装置2の態様は上記の実施例に限定されない。以下の説明において、上記の説明と同様の構成については、詳細な説明を省略することがある。
【0045】
(第2実施例)
第2実施例の加熱装置2について説明する。図4から図6に示すように、第2実施例の加熱装置2は、外側流路50及び接続流路52を備えている。
【0046】
外側流路50及び接続流路52は、筐体4の側面側部材46に設けられている。外側流路50及び接続流路52は、筐体4の収容部40の周囲に設けられており、収容部40を囲んでいる。外側流路50及び接続流路52は、収容部40よりもシーズヒータ10の径方向の外側に設けられている。外側流路50及び接続流路52は、シーズヒータ10の最外周部15の周囲に設けられており、シーズヒータ10の最外周部15を囲んでいる。外側流路50及び接続流路52は、シーズヒータ10の最外周部15よりもシーズヒータ10の径方向の外側に設けられている。外側流路50及び接続流路52は、シーズヒータ10の最外周部15に沿って最外周部15の周方向に延びている。
【0047】
外側流路50は、接続流路52を介して筐体4の収容部40と連通している。外側流路50は、接続流路52を介して上面側流路22及び下面側流路24と連通している。また、外側流路50は、排出口27を介して第1排出流路28と連通している。外側流路50は、シーズヒータ10の最外周部15に沿って最外周部15の周方向に流体を流す流路である。外側流路50の上下方向の幅W50は、シーズヒータ10の上下方向の幅W10よりも広い。外側流路50の上下方向の幅W50は、上面側流路22の上下方向の幅W22と下面側流路24の上下方向の幅W24との合計(=W22+W24)よりも広い。
【0048】
接続流路52は、シーズヒータ10の最外周部15と外側流路50との間に設けられている。接続流路52は、筐体4の収容部40と外側流路50との間に設けられている。接続流路52は、収容部40と外側流路50とを接続する。接続流路52は、収容部40及び外側流路50と連通している。接続流路52は、上面側流路22及び下面側流路24と連通している。接続流路52は、筐体4の収容部40から外側流路50へ流体を排出する流路である。接続流路52は、上面側流路22及び下面側流路24を流れた後の流体を外側流路50へ流す流路である。接続流路52の上下方向の幅W52は、シーズヒータ10の上下方向の幅W10よりも狭く、かつ、外側流路50の上下方向の幅W50よりも狭い。また、接続流路52の上下方向の幅W52は、上面側流路22の上下方向の幅W22よりも狭く、かつ、下面側流路24の上下方向の幅W24よりも狭い。
【0049】
第2実施例の加熱装置2では、シーズヒータ10により加熱された流体が、筐体4の収容部40から接続流路52を通じて外側流路50へ排出される。外側流路50へ排出された流体は、シーズヒータ10の最外周部15に沿って外側流路50を流れ、排出口27から第1排出流路28へ排出される。第1排出流路28へ排出された流体は、筐体4に接続された排出管7により筐体4の外部へ排出される。
【0050】
(効果)
以上、第2実施例の加熱装置2について説明した。以上のように、加熱装置2は、外側流路50及び接続流路52を備えている。接続流路52の上下方向の幅W52は、シーズヒータ10の上下方向の幅W10よりも狭く、かつ、外側流路50の上下方向の幅W50よりも狭い。
【0051】
この構成によれば、接続流路52を流れる流体の流速を速くすることができるので、シーズヒータ10の最外周部15付近の流体の流速を速くすることができる。これにより、シーズヒータ10の最外周部15の温度を下げることができる。その結果、シーズヒータ10の最外周部15の温度を最内周部14の温度に近付けることができ、シーズヒータ10の全体の温度を均一に近付けることができる。また、シーズヒータ10により加熱された流体をシーズヒータ10の最外周部15よりも外側に設けられている外側流路50に集めることにより、シーズヒータ10により加熱された流体の温度をシーズヒータ10の周方向において均一に近付けることができる。以上より、流体の温度を均一に近付けることができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0052】
(変形例)
上記の各実施例では、渦巻き状のシーズヒータ10の中心部16に向けて流体を導入する構成であったが、この構成に限定されない。変形例では、シーズヒータ10の中心部16以外の部分に向けて流体を導入する構成であってもよい。例えば、シーズヒータ10の最外周部15の端部(外側端部13)に向けて流体を導入する構成であってもよい。この場合、図1に示す排出管7が導入管となり、図2に示す導入管6が排出管となる。
【0053】
また、変形例では、外側流路50に流体を導入する構成であってもよい。この場合、図4に示す排出管7が導入管となり、図5に示す導入管6が排出管となる。変形例の加熱装置2は、外側流路50に流体を導入する導入口(図4に示す排出口27)と、シーズヒータ10の中心部16から流体を排出する排出口(図5に示す導入口62)とを備えている。
【0054】
この変形例では、導入口(27)から外側流路50に導入された流体が、接続流路52を通じて筐体4の収容部40に流入する。収容部40に流入した流体は、上面側流路22と下面側流路24に流入し、シーズヒータ10の上面10aと下面10bに沿ってシーズヒータ10の径方向の内側へ放射状に流れてゆく。上面側流路22と下面側流路24を流れる流体は、シーズヒータ10の径方向に流れる過程でシーズヒータ10により加熱される。シーズヒータ10により加熱された流体は、シーズヒータ10の中心部16と対向する排出口(62)から排出流路(図5に示す導入流路60)へ排出される。
【0055】
この構成によれば、シーズヒータ10の中心部16付近の流体の流速を速くすることができる。これにより、シーズヒータ10の中心部16付近の熱流束を向上させることができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0056】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0057】
2:加熱装置、4:筐体、6:導入管、7:排出管、10:シーズヒータ、10a:上面、10b:下面、10c:側面、12:内側端部、13:外側端部、14:最内周部、15:最外周部、16:中心部、22:上面側流路、24:下面側流路、26:隙間、27:排出口、28:第1排出流路、40:収容部、42:上面側部材、44:下面側部材、46:側面側部材、50:外側流路、52:接続流路、60:導入流路、62:導入口、72:第2排出流路、90:発熱体、94:筐体、96:絶縁材、142:中間部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6