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  • 特開-蓄熱装置および熱利用システム 図1
  • 特開-蓄熱装置および熱利用システム 図2
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  • 特開-蓄熱装置および熱利用システム 図4A
  • 特開-蓄熱装置および熱利用システム 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176612
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】蓄熱装置および熱利用システム
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F28D20/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095309
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】503354239
【氏名又は名称】カナデビアE&E株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108764
【氏名又は名称】タテホ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】下田 栖嗣
(72)【発明者】
【氏名】中尾 毅
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 勇哉
(72)【発明者】
【氏名】大石 玲
(72)【発明者】
【氏名】大塚 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】右田 翼
(72)【発明者】
【氏名】中西 真奈美
(57)【要約】
【課題】粒状の蓄熱材から効率よく熱を取り出す。
【解決手段】蓄熱装置10は、容器本体21内にアルカリ土類金属を含む粒状の蓄熱材22を収納する。容器本体21の下部に第1導入部23が設けられ、容器本体21の上部に排出口25が設けられ、第1導入部23と排出口25との間の位置に第2導入部24が設けられる。放熱時には、第1導入部23への水蒸気を含む低温ガスの供給を開始してから所定の条件が満たされた段階で、第1導入部23への低温ガスの供給量を減少させ、または、供給を停止し、第2導入部24への低温ガスの供給が開始される。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱および放熱を行う蓄熱装置であって、
アルカリ土類金属を含む粒状の蓄熱材を収納する容器本体と、
前記蓄熱材に向けてガスを供給するための第1導入部と、
前記容器本体内からガスを排出するための排出口と、
前記第1導入部と前記排出口との間の位置において、前記蓄熱材に向けてガスを供給するための第2導入部と、
を備える蓄熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄熱装置であって、
前記蓄熱材が、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択された少なくとも1つを含む蓄熱装置。
【請求項3】
熱利用システムであって、
請求項1または2に記載の蓄熱装置と、
前記第1導入部および前記第2導入部に水蒸気を含む低温ガスを供給することにより、前記蓄熱材から熱を放出させる低温ガス供給部と、
前記低温ガス供給部を制御することにより、前記第1導入部への前記低温ガスの供給を開始してから所定の条件が満たされた段階で、前記第1導入部への前記低温ガスの供給量を減少させ、または、供給を停止し、前記第2導入部への前記低温ガスの供給を開始する制御部と、
を備える熱利用システム。
【請求項4】
請求項3に記載の熱利用システムであって、
前記第1導入部に高温ガスを供給することにより、前記蓄熱材に蓄熱させる高温ガス供給部、をさらに備え、
前記第1導入部が、前記蓄熱材の下方または下部に位置し、
前記高温ガス供給部から前記高温ガスが前記第1導入部に供給される際に、前記第1導入部から噴出される前記高温ガスから力を受けて前記蓄熱材が流動する熱利用システム。
【請求項5】
請求項4に記載の熱利用システムであって、
前記蓄熱装置が、前記蓄熱材の上方に押さえ部材をさらに備え、
前記高温ガス供給部から前記高温ガスが前記蓄熱装置に供給される際の前記押さえ部材の位置が、前記低温ガス供給部から前記低温ガスが前記蓄熱装置に供給される際の前記押さえ部材の位置よりも高い熱利用システム。
【請求項6】
請求項4に記載の熱利用システムであって、
前記高温ガス供給部が、ごみ焼却施設または発電所に設けられる熱利用システム。
【請求項7】
請求項4に記載の熱利用システムであって、
前記高温ガス供給部が、燃焼設備における燃焼を利用して生成された前記高温ガスを前記第1導入部に供給し、
前記熱利用システムが、前記排出口から排出されるガスを前記燃焼設備の排ガス処理装置に導く排出路をさらに備える熱利用システム。
【請求項8】
請求項4に記載の熱利用システムであって、
前記蓄熱装置が、搬送可能である熱利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱および放熱を行う蓄熱装置、並びに、蓄熱装置を有する熱利用システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱を蓄熱材に蓄えておき、必要な時に、あるいは、異なる場所で熱を放出して利用する技術が研究されている。蓄熱材としては、水蒸気の吸着を利用するゼオライト、ハスクレイ等、潜熱を利用するエリスリトール、酢酸ナトリウム等が知られている。しかし、水蒸気の吸着を利用する蓄熱材や潜熱を利用する蓄熱材は、蓄熱密度が低い、蓄熱および放熱時の温度が低い、放熱ロスが大きい等の理由により、実用例は少ない。
【0003】
一方、化学反応を利用する蓄熱材も知られている。例えば、特許文献1では、水酸化マグネシウム系の蓄熱材を利用する着脱式蓄熱容器が開示されている。化学反応を利用する蓄熱材は、吸着や潜熱を利用する蓄熱材のような欠点を有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-124946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蓄熱状態の酸化マグネシウムや酸化カルシウムを含む粒状の蓄熱材に水蒸気を付与して放熱させる際に、蓄熱材全体から熱を効率よく取り出すことは従来より検討されているが、十分ではない。そこで、本発明では、アルカリ土類金属を含む粒状の蓄熱材から効率よく熱を取り出すことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、蓄熱および放熱を行う蓄熱装置であって、アルカリ土類金属を含む粒状の蓄熱材を収納する容器本体と、前記蓄熱材に向けてガスを供給するための第1導入部と、前記容器本体内からガスを排出するための排出口と、前記第1導入部と前記排出口との間の位置において、前記蓄熱材に向けてガスを供給するための第2導入部と、を備える。
【0007】
本発明の態様2は、態様1の蓄熱装置であって、前記蓄熱材が、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0008】
本発明の態様3は、熱利用システムであって、態様1または2の蓄熱装置と、前記第1導入部および前記第2導入部に水蒸気を含む低温ガスを供給することにより、前記蓄熱材から熱を放出させる低温ガス供給部と、前記低温ガス供給部を制御することにより、前記第1導入部への前記低温ガスの供給を開始してから所定の条件が満たされた段階で、前記第1導入部への前記低温ガスの供給量を減少させ、または、供給を停止し、前記第2導入部への前記低温ガスの供給を開始する制御部と、を備える。
【0009】
本発明の態様4は、態様3の熱利用システムであって、前記第1導入部に高温ガスを供給することにより、前記蓄熱材に蓄熱させる高温ガス供給部、をさらに備え、前記第1導入部が、前記蓄熱材の下方または下部に位置し、前記高温ガス供給部から前記高温ガスが前記第1導入部に供給される際に、前記第1導入部から噴出される前記高温ガスから力を受けて前記蓄熱材が流動する。
【0010】
本発明の態様5は、態様4の熱利用システムであって、前記蓄熱装置が、前記蓄熱材の上方に押さえ部材をさらに備え、前記高温ガス供給部から前記高温ガスが前記蓄熱装置に供給される際の前記押さえ部材の位置が、前記低温ガス供給部から前記低温ガスが前記蓄熱装置に供給される際の前記押さえ部材の位置よりも高い。
【0011】
本発明の態様6は、態様4(態様4または5であってもよい。)の熱利用システムであって、前記高温ガス供給部が、ごみ焼却施設または発電所に設けられる。
【0012】
本発明の態様7は、態様4(態様4ないし6のいずれか1つであってもよい。)の熱利用システムであって、前記高温ガス供給部が、燃焼設備における燃焼を利用して生成された前記高温ガスを前記第1導入部に供給し、前記熱利用システムが、前記排出口から排出されるガスを前記燃焼設備の排ガス処理装置に導く排出路をさらに備える。
【0013】
本発明の態様8は、態様4(態様4ないし7のいずれか1つであってもよい。)の熱利用システムであって、前記蓄熱装置が、搬送可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アルカリ土類金属を含む粒状の蓄熱材から効率よく熱を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】蓄熱側の熱利用システムを示す図である。
図2】放熱側の熱利用システムを示す図である。
図3】蓄熱装置の構造を示す図である。
図4A】蓄熱装置の構造を示す図である。
図4B】蓄熱装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、蓄熱側の熱利用システム1aを示す図である。図2は、放熱側の熱利用システム1bを示す図である。熱利用システム1a,1bは、蓄熱装置10を備え、熱利用システム1a,1bにおいて蓄熱装置10は分離可能である。以下の説明では、熱利用システム1a,1bの蓄熱装置10以外の部分からの蓄熱装置10の分離を、単に、熱利用システム1a,1bからの蓄熱装置10の分離として表現する。同様に、熱利用システム1a,1bの蓄熱装置10以外の部分への蓄熱装置10の接続を、単に、熱利用システム1a,1bへの蓄熱装置10の接続として表現する。
【0017】
蓄熱装置10は、蓄熱材の化学反応により蓄熱および放熱を行う。熱利用システム1aでは、蓄熱装置10に熱が蓄えられる。「熱を蓄える」とは、「蓄熱」であり、熱エネルギーを蓄積することである。熱利用システム1bでは、蓄熱装置10から熱が放出される。「熱を放出する」とは、「放熱」であり、熱エネルギーを放出することである。
【0018】
熱利用システム1aにて蓄熱装置10に熱が蓄えられると、蓄熱装置10は熱利用システム1aの本体から分離され、蓄熱装置10が存在しない熱利用システム1bへと搬送される。蓄熱装置10は熱利用システム1bに接続されて蓄熱装置10から熱が放出され、熱利用システム1bにて熱が利用される。熱利用システム1aにて蓄熱された蓄熱装置10は、熱利用システム1bに接続される前に、所定の場所にて保管されてもよい。また、熱利用システム1aと熱利用システム1bとを合わせて1つの熱利用システムと捉えられてもよい。
【0019】
図1に示すように、熱利用システム1aは、蓄熱装置10と、高温ガス供給部11と、排出路121とを備える。高温ガス供給部11は、供給路111と、弁112と、熱交換器113と、補助路114と、弁115とを備える。本実施の形態では、熱交換器113は、ごみ焼却施設9に設けられる。熱交換器113は、ごみ焼却施設9の一部であってもよい。
【0020】
供給路111は、蓄熱装置10の下接続部101に接続される。下接続部101は蓄熱装置10の下部に設けられる。弁112は、供給路111上に設けられる。熱交換器113には、外部の空気またはごみ焼却施設9内に存在する空気が導入され、焼却炉91からの高温のガスを利用して空気を加熱することにより、高温の乾燥した空気(以下、「高温ガス」という。)が生成される。弁112が開けられることにより、高温ガスが下接続部101を介して蓄熱装置10の内部に供給される。
【0021】
排出路121は、蓄熱装置10の上接続部103に接続される。上接続部103は蓄熱装置10の上部に設けられる。排出路121上には、弁122が設けられる。下接続部101から高温ガスが蓄熱装置10に供給される際には、弁122が開けられ、上接続部103から蓄熱装置10内のガスが排出路121を介して排出される。排出路121はごみ焼却施設9の排ガス処理装置92に接続され、蓄熱装置10からのガスは排ガス処理装置92に供給される。
【0022】
補助路114は、供給路111と排出路121とを繋ぐ。補助路114の一端は、弁112と熱交換器113との間において供給路111に接続される。補助路114の他端は、弁122と排ガス処理装置92との間において排出路121に接続される。弁115は補助路114上に設けられる。蓄熱装置10が熱利用システム1aに接続されている間、弁115は閉じられる。蓄熱装置10が熱利用システム1aから分離される際には、弁115が開けられ、弁112,122が閉じられ、高温ガスが供給路111から排出路121に直接的に流れる。これにより、熱交換器113の温度上昇が防止される。
【0023】
図2に示すように、放熱側の熱利用システム1bは、蓄熱装置10と、低温ガス供給部13と、制御部14と、熱取得部15とを備える。低温ガス供給部13は、供給路131と、弁132a,132bと、ブロア133と、予熱ヒータ134と、加湿装置135とを備える。供給路131は、2つに分岐して蓄熱装置10の下接続部101および中間接続部102にそれぞれ接続される。中間接続部102は蓄熱装置10の下接続部101と上接続部103との間に設けられる。弁132aは、下接続部101に接続される供給路131上に設けられる。弁132bは、中間接続部102に接続される供給路131上に設けられる。
【0024】
ブロア133からの空気は、予熱ヒータ134に送られる。予熱ヒータ134は必要に応じて空気を加熱する。予熱ヒータ134にて加熱された空気は加湿装置135に送られる。加湿装置135は、空気に水蒸気を与える。弁132aが開けられると、加湿装置135からのガスは、下接続部101を介して蓄熱装置10の内部に供給される。弁132bが開けられると、加湿装置135からのガスは、中間接続部102を介して蓄熱装置10の内部に供給される。加湿装置135からのガスの温度は、図1の熱利用システム1aの高温ガスの温度より低いため、以下、加湿装置135からの水蒸気を含むガスを「低温ガス」と呼ぶ。
【0025】
熱取得部15は、排出路151と、弁152と、熱交換器153とを備える。排出路151は、蓄熱装置10の上接続部103に接続される。弁152は、排出路151上に設けられる。下接続部101および/または中間接続部102から低温ガスが蓄熱装置10に供給される際には、弁152が開けられ、上接続部103から蓄熱装置10内のガスが排出路151を介して排出される。熱交換器153は、排出路151上に設けられ、排出路151内のガスの熱を利用して熱媒体を加熱する。熱媒体の熱は、熱利用設備8にて利用される。熱利用設備8は、例えば、暖房設備、給湯設備である。熱交換器153は、熱利用設備8の一部であってもよい。熱交換器153にて熱が奪われた排出路151内のガスは、ブロア133に戻る。熱利用システム1bでは、ガスが循環する。
【0026】
図3は、蓄熱装置10の構造を示す図である。図3では、蓄熱装置10の内部構造の縦断面を簡略化して示している(図4Aおよび図4Bにおいても同様)。蓄熱装置10は、容器本体21と、蓄熱材22と、第1導入部23と、第2導入部24と、排出口25と、押さえ部材26と、3つの温度計27,28,29と、下接続部101と、中間接続部102と、上接続部103と、を備える。容器本体21は、底部および天蓋部を有する略円筒状である。容器本体21は、内部に蓄熱材22を収納する。蓄熱材22は、アルカリ土類金属を含む粒状であり、本実施の形態では、アルカリ土類金属はマグネシウムである。水和反応により放熱した状態では、蓄熱材22は水酸化マグネシウムを主成分として有し、脱水反応により蓄熱した状態では、蓄熱材22は酸化マグネシウムを主成分として有する。以下の説明では、特に断りがない限り、「蓄熱材22」は、蓄熱材の粒子の集合を意味する。
【0027】
下接続部101、中間接続部102および上接続部103は、容器本体21の外周面に設けられる。蓄熱装置10が図1の熱利用システム1aに接続される際には、下接続部101は、供給路111に分離可能に接続され、上接続部103は、排出路121に分離可能に接続される。蓄熱装置10が図2の熱利用システム1bに接続される際には、下接続部101は、供給路131の分岐路の一方に分離可能に接続され、中間接続部102は、供給路131の分岐路の他方に分離可能に接続され、上接続部103は、排出路151に分離可能に接続される。図3では、蓄熱装置10が熱利用システム1aに接続された様子を示している。
【0028】
第1導入部23は、容器本体21の下部に設けられる。すなわち、蓄熱材22(の層)の下部に設けられる。第1導入部23は下接続部101に接続される。第1導入部23は、複数の噴出口を有し、下接続部101を介してガスが第1導入部23に供給されると、噴出口からガスが蓄熱材22に向けて上方に噴出される。これにより、第1導入部23から蓄熱材22に向けてガスが供給される。噴出口は、容器本体21の下部において水平方向に2次元に配列される。例えば、第1導入部23は、容器本体21の下部に水平方向に配列された複数の管を有し、複数の噴出口はこれらの管に設けられる。
【0029】
第2導入部24は第1導入部23と排出口25との間に設けられる。正確には、高さ方向において、第2導入部24は第1導入部23と排出口25との間の位置に設けられる。第2導入部24は中間接続部102に接続される。第2導入部24も第1導入部23と同様に複数の噴出口を有し、蓄熱材22に向けてガスを供給する。複数の噴出口は、水平方向に2次元に配列される。図3の状態では、中間接続部102に配管は接続されないが、中間接続部102を介してガスが第2導入部24に供給されると、噴出口からガスが蓄熱材22に向けて上方に噴出される。
【0030】
押さえ部材26は、メッシュ状の板である。押さえ部材26は多数の小孔が形成された板であってもよい。押さえ部材26は、蓄熱材22の上方に位置し、下位置と上位置の2つの位置のいずれにも位置することができる。図3では、下位置を二点鎖線の想像線にて示し、上位置に位置する押さえ部材26を太い破線にて示している。下位置は、静止状態における蓄熱材22の上面に近接する(図4A参照)。上位置は、容器本体21内の最上部に位置し、高さ方向において排出口25よりも上に位置する。押さえ部材26の上下の移動は、手動でも自動でもよい。図3に示すように、蓄熱時、すなわち、図1の高温ガス供給部11から高温ガスが蓄熱装置10に供給されて蓄熱材22を流動させる際には、押さえ部材26は上位置に位置する。
【0031】
既に説明したように、蓄熱時は、下接続部101に供給路111が接続される。弁112および弁122が開けられることにより、高温ガス供給部11から第1導入部23に高温ガスが供給される。高温ガスは、乾燥した高温の空気である。第1導入部23は蓄熱材22の下部に位置することから、第1導入部23から高温ガスが蓄熱材22に向けて上方に噴出されると、上位置に位置する押さえ部材26の下方で、蓄熱材22の粒子は高温ガスからの力を受けて容器本体21内で流動する。蓄熱材22の流動は、高さ方向において、容器本体21の底部と排出口25との間で生じる。なお、蓄熱材22の流動により、容器本体21内では蓄熱材22の微粒子(以下、「蓄熱材微粒子」という。)が発生することから、蓄熱材微粒子の押さえ部材26への付着を抑制するために、上位置は、高さ方向において排出口25よりも上であることが好ましい。
【0032】
蓄熱前の状態では、蓄熱装置10内の蓄熱材22の主成分は、水酸化マグネシウムである。蓄熱材22が高温ガスに曝されることにより、蓄熱材22の水酸化マグネシウムから水が奪われる次の脱水反応により、
Mg(OH)+脱水熱 → MgO+H
蓄熱材22の主成分は酸化マグネシウムに変化する。その結果、ごみ焼却施設9で従来棄てられていた余熱が蓄熱材22に蓄えられる。
【0033】
後述するように、水和反応による放熱時に粒状の蓄熱材22が互いに固着し、ある程度の大きさを有する塊になる虞があるが、蓄熱時に蓄熱材22を流動させることにより、蓄熱材22がバラバラの粒状に戻る。その結果、次の放熱時の固着の程度も低減することができ、蓄熱材22の放熱の安定性および寿命が向上する。なお、蓄熱時には、第1導入部23および第2導入部24から高温ガスを噴出してもよい。これにより、さらに効率よく蓄熱材22に蓄熱させることができる。
【0034】
容器本体21内には第2導入部24が存在することから、第1導入部23から高温ガスを供給して蓄熱材22を流動させると、第2導入部24が障害物となって固着した蓄熱材22の分離が促進される。また、ガスが第2導入部24の管の間を通り抜ける際に流速が高まることによっても固着した蓄熱材22の分離が促進される。
【0035】
高温ガスは、容器本体21内から排出口25を介して排出される。排出口25から排出されたガスは、上接続部103を介して排出路121へとさらに導かれる。図1に示すように、蓄熱に利用された高温ガス(以下、「利用済みガス」という。)は排出路121からごみ焼却施設9の排ガス処理装置92へと導かれる。既述のように、蓄熱時の蓄熱材22の流動により、容器本体21内では蓄熱材微粒子が発生するが、蓄熱装置10には蓄熱材微粒子を取り除く装置は設けられておらず、利用済みガスは蓄熱材微粒子を含む。そのため、利用済みガスと共に蓄熱材微粒子は排出路121を介して排ガス処理装置92に導かれる。
【0036】
排ガス処理装置92では、蓄熱装置10からの利用済みガスがゴミ焼却の排ガス(以下、「燃焼排ガス」という。)に付与されることにより、蓄熱材微粒子、すなわち、水酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムの微粒子が燃焼排ガス中の酸性ガス(塩化水素(HCl)、硫黄酸化物(SOx)等)の中和に利用される。蓄熱材微粒子は、例えば、バグフィルタの直前で燃焼排ガスに単純に混合されてもよく、湿式の中和装置のアルカリ剤として利用されてもよい。以上のように、熱利用システム1aでは、蓄熱材22から発生する微粒子を有効に利用することが実現される。また、蓄熱材微粒子が大気中に拡散することを防止することができる。
【0037】
蓄熱装置10への高温ガスの供給が一定時間行われると、または、排出口25近傍に設けられた温度計27にて取得される利用済みガスの温度が所定の温度まで上昇すると、蓄熱が完了したものとして弁115が開けられると共に弁112,122が閉じられ、蓄熱装置10への高温ガスの供給が停止される。高温ガスは、供給路111から補助路114を介して排出路121へと導かれる。また、下接続部101が供給路111から分離され、上接続部103が排出路121から分離される。温度計27は排出路121に設けられてもよい。
【0038】
図4Aおよび図4Bは、放熱時の蓄熱装置10を示す図である。既に説明したように、蓄熱装置10が図2の熱利用システム1bに接続される際には、下接続部101、中間接続部102および上接続部103は、それぞれ、供給路131の分岐路の一方および他方、並びに、排出路151に分離可能に接続される。低温ガス供給部13から低温ガスが蓄熱装置10に供給される際には、押さえ部材26は、下位置に位置する。温度計28は、高さ方向において、第1導入部23と第2導入部24との間において蓄熱材22内に位置する。好ましくは、温度計28は、高さ方向において、第1導入部23と第2導入部24との間を2等分する位置と第2導入部24との間に位置する。温度計29は、高さ方向において、第2導入部24と蓄熱材22の上面との間において蓄熱材22内に位置する。好ましくは、温度計29は、高さ方向において、第2導入部24と蓄熱材22の上面との間を2等分する位置と蓄熱材22の上面との間に位置する。
【0039】
放熱時は、制御部14による低温ガス供給部13の制御により、まず、弁132aおよび弁152が開けられ、図4Aに示すように、第1導入部23に水蒸気を含む低温ガスが供給される。このとき、弁132bは閉じられたままであり、第2導入部24からは低温ガスは供給されない。第1導入部23から低温ガスが蓄熱材22に向けて上方に噴出されると、蓄熱材22の酸化マグネシウムが水蒸気と反応する次の水和反応により、
MgO+HO → Mg(OH)+反応熱
酸化マグネシウムが水酸化マグネシウムに変化し、熱が発生する。これにより、低温ガスが加熱されて排出口25から上接続部103を介して排出路151へと導かれる。なお、押さえ部材26は下位置に位置することから、蓄熱材22は流動しない。蓄熱材22は蓄熱装置10内にて固定層として存在する。以下の説明では、加熱されて排出口25から排出されるガスを「加熱ガス」と呼ぶ。加熱ガスの温度は、排出口25の位置で好ましくは170℃以上220℃以下である。
【0040】
図2に示すように、加熱ガスは排出路151から熱交換器153に導かれる。熱交換器153では、加熱ガスの熱が熱媒体に移され、熱媒体の熱が熱利用設備8により利用される。これにより、図1のごみ焼却施設9で発生する余熱が熱利用設備8にて利用されることになる。加熱ガスは熱交換器153にて熱が奪われると、ブロア133を介して予熱ヒータ134にて必要に応じて加熱され、加湿装置135にて加湿されることにより、水蒸気を多く含む低温ガスとなる。そして、低温ガスが弁132aおよび下接続部101を介して第1導入部23へと導かれる。蓄熱装置10への低温ガスの単位時間当たりの供給量は、蓄熱時の蓄熱装置10への高温ガスの単位時間当たりの供給量よりも少なく、例えば、半分以下である。
【0041】
第1導入部23からの低温ガスの供給を開始してから所定時間が経過した後、または、蓄熱装置10の下部にて蓄熱材22内に設けられた温度計28の温度がピークを過ぎると、制御部14が低温ガス供給部13の弁132aを制御することにより、第1導入部23への低温ガスの供給量(正確には、単位時間当たりの供給量)が減少する。一方、制御部14が低温ガス供給部13の弁132bを制御することにより、図4Bに示すように、第2導入部24への低温ガスの供給が開始される。第1導入部23への低温ガスの供給量の減少に代えて、第1導入部23への低温ガスの供給が停止されてもよい。第1導入部23への低温ガスの供給量は、漸次減少してもよい。第1導入部23および第2導入部24への低温ガスの供給量の合計は一定であってもよく、一定でなくてもよい。
【0042】
第2導入部24から蓄熱装置10への低温ガスの供給が一定時間行われると、または、温度計29にて取得される温度がピークを過ぎると(または、さらに排出口25近傍に設けられた温度計27にて取得される加熱ガスの温度がピークを過ぎると)、蓄熱材22全体の放熱が完了したものとして制御部14が弁132a,132b,152を閉じ、蓄熱装置10への低温ガスの供給が停止される。また、下接続部101および中間接続部102が供給路131から分離され、上接続部103が排出路151から分離される。温度計27は排出路151に設けられてもよい。
【0043】
放熱時の上記制御では、まず、第1導入部23のみから低温ガスが蓄熱材22に供給される。第1導入部23からの低温ガスは、蓄熱材22からの放熱により加熱されながら上昇するため、蓄熱材22の上部ではガスは高温となり、放熱反応は余り生じない。また、第1導入部23近傍では早く反応が終了し、その後も水蒸気に曝されることにより蓄熱材22が過剰に水蒸気を吸収し、粒同士が固着した状態となる。蓄熱材22の間の空間は狭まり、第1導入部23から低温ガスを噴出する抵抗が増加する。その結果、第1導入部23から低温ガスを効率よく噴出することができなくなる。
【0044】
一方、第1導入部23への低温ガスの供給を開始してからある程度の時間が経過して蓄熱材22の下部の放熱反応が終了した後に、第1導入部23への低温ガスの供給量を減少または停止し、第2導入部24への低温ガスの供給が開始される。これにより、第2導入部24よりも上に存在する蓄熱材22に効率よく低温ガスを供給することができ、蓄熱材22全体の反応を安定して行うことができる。その結果、粒状の蓄熱材22全体から効率よく熱を取り出すことが実現され、放熱を促進することができる。
【0045】
また、第2導入部24から低温ガスを供給する際に第1導入部23への低温ガスの供給量を減少または停止することにより、蓄熱材22の下部の過剰な固着を抑制することができる。このように、第2導入部24を利用することにより、第1導入部23のみを利用した場合に生じる蓄熱材22全体の反応速度の低下および圧力損失による反応プロセスの阻害を抑制することが実現される。さらに、圧力損失の低減により、ブロア133の出力を低く設計することができ、熱利用システム1bの稼働コストを低く抑えることができる。
【0046】
熱利用システム1a,1bでは、蓄熱装置10が搬送可能であることから、蓄熱後の蓄熱装置10を任意の場所に保管することができる。また、化学反応を利用して蓄熱することから、経時的な放熱もない。その結果、非常に効率よく、蓄熱、移送および保存が可能となる。
【0047】
上記の熱利用システム1a,1b並びに蓄熱装置10は一例にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0048】
蓄熱材22は、一般的に表現すれば、アルカリ土類金属の水酸化物の脱水反応により蓄熱し、当該アルカリ土類金属の酸化物の水和反応により放熱する。蓄熱材22が含むアルカリ土類金属は、マグネシウムには限定されない。好ましくは、蓄熱材22は、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択された少なくとも1つを含む。アルカリ土類金属としてはマグネシウムやカルシウム以外のものであっても利用可能である。
【0049】
蓄熱材22の個々の粒子(以下、「蓄熱材粒子」という。)の形状は、好ましくは、いわゆる「ペレット状」である。例えば、蓄熱材粒子は、直径1mm以上10mm以下、長さ1mm以上10mm以下の円柱状である。より好ましくは、直径1mm以上5mm以下、長さ1mm以上5mm以下の円柱状である。蓄熱材粒子は、直径1mm以上10mm以下の球状であってもよい。好ましくは、蓄熱材粒子は、直径1mm以上5mm以下の球状である。蓄熱材粒子の形状は、直方体等の他の形状であってもよい。
【0050】
蓄熱材22を収納する容器本体21は、蓄熱材22を収容する空間を実質的に形成する構造を指す。容器本体21は、蓄熱材22を収容する空間を形成することができるのであれば、略円筒状には限定されない。例えば、略直方体であってもよく、樽状でもよい。
【0051】
第1導入部23および第2導入部24は、蓄熱材22に向けてガスを供給する際に利用可能な構造であれば、様々な形態で設けられてよい。第1導入部23は、好ましくは、蓄熱材22を流動させるために、蓄熱材22に向けてガスを勢いよく噴出することが可能な構造を有する。ガスを噴出する構造は、ノズルには限定されず、例えば、容器本体21の下部に多数の小孔を有する多孔板を配置し、その上に蓄熱材22を堆積させ、多孔板の下にガスを導入することにより、蓄熱材22に向けてガスが噴出されてもよい。容器本体21内にてガスが上方に向かって流れる場合、第1導入部23は、少なくとも蓄熱材22の下方または下部に位置する。「蓄熱材22の下方に位置する」とは、蓄熱材22よりも下に位置することを意味する。「蓄熱材22の下部に位置する」とは、蓄熱材22の下部の内部または最下端に接するように位置することを意味する。第2導入部24は、勢いよくガスを噴出する構造でなくてもよい。第1導入部23および第2導入部24は、好ましくは、水平方向に2次元に配列されたガスの噴出口を有する。
【0052】
排出口25は、容器本体2内からガスを排出する開口であれば、様々な態様にて設けられてよい。容器本体21に排出口25を設けることは、正確には、排出口25を形成する部材を容器本体21に設けることである。排出口25は、容器本体21の上部や上端に設けられた単純な開口であってもよく、容器本体21内から外部に通じる配管であってもよい。
【0053】
第2導入部24は、第1導入部23からの低温ガスの供給を補助する役割を有するため、第1導入部23と排出口25との間の位置に設けられる。第1導入部23、第2導入部24および排出口25は、上下方向に並ぶ必要はなく、例えば、水平方向に並んでもよい。さらには、蓄熱装置10において、下から順に、排出口25、第2導入部24および第1導入部23が設けられてもよい。第1導入部23、第2導入部24および排出口25の配列順は、ガスの流れに基づく順序であり、これらは直線状に配列される必要はない。すなわち、第2導入部24は、容器本体21にてガスが流れる方向に関して、第1導入部23と排出口25との間の位置に設けられる。
【0054】
低温ガスは、好ましくは水蒸気を含む空気である。低温ガスの温度(特に、蓄熱材22が含むアルカリ土類金属がマグネシウムの場合)は、好ましくは90℃以上110℃以下であり、低温ガスが含む水蒸気の量は、好ましくは50体積%以上60体積%以下である。低温ガスは空気以外のガスに水蒸気を含ませたものでもよい。あるいは、成分を調整した空気に水蒸気を含ませたものでもよい。
【0055】
熱利用システム1bでは、制御部14が低温ガス供給部13を制御することにより、第1導入部23への低温ガスの供給を開始した後の段階で、第2導入部24への低温ガスの供給が開始される。上記説明では、第1導入部23への低温ガスの供給を開始してから一定の時間が経過した後に、第2導入部24への低温ガスの供給が開始される、または、第1導入部23への低温ガスの供給を開始してから蓄熱装置10の下部の温度計28の温度がピークを過ぎると、第2導入部24への低温ガスの供給が開始される。
【0056】
もちろん、第2導入部24への低温ガスの供給は、他の条件に基づいて開始されてもよい。例えば、第1導入部23へのガスの供給圧が所定値を超えた段階で第2導入部24への低温ガスの供給が開始されてもよい。一般的に表現すれば、第1導入部23近傍の蓄熱材22(あるいは、蓄熱材22の下部)の放熱反応の完了を示す所定の条件が満たされた段階で、第2導入部24への低温ガスの供給が開始される。また、既に説明したように、これと同時に(完全に同時である必要はなく、実質的に同時であればよい。)、第1導入部23への低温ガスの供給量を減少させる、または、第1導入部23への低温ガスの供給を停止する動作が行われる。
【0057】
なお、第1導入部23と排出口25との間に2以上の導入部(以下、「中間導入部」という。)が設けられてもよい。この場合、上記説明における第2導入部24は、いずれかの中間導入部に対応する。上記図4Aおよび図4Bは、中間導入部の数が1の場合である。第1導入部23と排出口25との間に2以上の中間導入部が設けられる場合、第1導入部23への低温ガスの供給が開始されてから、複数の所定の条件が順次満たされる毎に、第1導入部23に近い中間導入部から、排出口25に近い中間導入部に向かって順番に、複数の中間導入部への低温ガスの供給が開始される。これにより、容器本体21内に多量の蓄熱材22が収容される場合であっても、蓄熱材22から効率よく熱を取り出すことが実現される。また、上記制御を適切に行うために、高さ方向において第1導入部23、1以上の中間導入部および蓄熱材22の上面にて区切られる各範囲内に温度計が設けられることが好ましい。各温度計は、対応する上記範囲を2等分した位置から当該範囲の上端の間に設けられることが好ましい。
【0058】
図2の熱利用システム1bでは蓄熱装置10を利用しつつガスを循環させるが、ガスの循環は行われなくてもよい。例えば、低温ガス供給部13が、外部の空気を取り込んで水蒸気を含む低温ガスを生成して蓄熱装置10に供給し、蓄熱装置10からの加熱ガスは、熱交換器153にて熱が奪われた後、大気中に排出されてもよい。また、熱交換器153を省略し、加熱ガスが直接的に熱利用設備8にて利用されてもよい。
【0059】
蓄熱時の高温ガスの温度は(特に、蓄熱材22が含むアルカリ土類金属がマグネシウムの場合)、好ましくは300℃以上400℃以下である。高温ガスは空気以外のガスであってもよい。あるいは、高温ガスは成分を調整した空気でもよい。上記説明では、蓄熱時に、高温ガス供給部11から高温ガスが第1導入部23に供給されることににより、第1導入部23から噴出される高温ガスから力を受けて蓄熱材22が流動するが、放熱時の固着の問題が生じない蓄熱材22の場合は蓄熱時の蓄熱材22の流動は行われなくてもよい。
【0060】
蓄熱装置10の押さえ部材26は、蓄熱材22の上方に配置されて蓄熱材22の飛散を防止することができるのであれば、網状の板や多孔板以外の構造であってもよい。押さえ部材26を機能的に表現すれば、飛散防止部材である。押さえ部材26は、例えば、多数のスリットを有する部材でもよい。
【0061】
熱利用システム1aでは、ごみ焼却施設9に代えて発電所での余剰熱が蓄熱装置10に蓄えられてもよい。さらに一般的に表現すると、熱利用システム1aでは、産業炉等の燃焼設備における燃焼を利用して高温ガスが生成されて第1導入部23に供給されることが好ましい。さらに好ましくは、排出口25から排出される利用済みガスを排出路151を介して燃焼設備の排ガス処理装置に導くことにより、蓄熱材微粒子が排ガス処理装置のアルカリ剤として利用される。
【0062】
図1の高温ガス供給部11は、燃焼設備に専用の構造として設けられる必要はない。高温ガス供給部11は、燃焼設備に既に設けられている構造を利用して乾燥した高温ガスを蓄熱装置10に供給する構造であってもよい。この場合、高温ガス供給部11は、主として供給路111と弁112により構成される。
【0063】
熱利用システム1aと熱利用システム1bとは組み合わせられることが好ましいが、熱利用システム1aの蓄熱手法を採用しつつ、熱利用システム1bとは異なる放熱手法が採用されてもよい。また、熱利用システム1aとは異なる蓄熱手法を採用しつつ、熱利用システム1bの放熱手法が採用されてもよい。蓄熱装置10は、好ましくは、蓄熱側の熱利用システムと放熱側の熱利用システムとの間で搬送されるが、蓄熱装置10は固定設置された状態で、蓄熱および放熱が行われてもよい。
【0064】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0065】
1a,1b 熱利用システム
9 ごみ焼却施設
10 蓄熱装置
11 高温ガス供給部
13 低温ガス供給部
14 制御部
21 容器本体
22 蓄熱材
23 第1導入部
24 第2導入部
25 排出口
26 押さえ部材
27~29 温度計
92 排ガス処理装置
121 排出路
図1
図2
図3
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2024-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱および放熱を行う蓄熱装置であって、
アルカリ土類金属を含む粒状の蓄熱材を収納する容器本体と、
前記蓄熱材から熱を放出させるために水蒸気を含む低温ガスを前記蓄熱材に向けて供給するための第1導入部と、
前記容器本体内からガスを排出するための排出口と、
前記第1導入部と前記排出口との間の位置において、前記蓄熱材から熱を放出させるために水蒸気を含む低温ガスを前記蓄熱材に向けて供給するための第2導入部と、
を備える蓄熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄熱装置であって、
前記蓄熱材が、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択された少なくとも1つを含む蓄熱装置。
【請求項3】
熱利用システムであって、
請求項1または2に記載の蓄熱装置と、
前記第1導入部および前記第2導入部に水蒸気を含む低温ガスを供給することにより、前記蓄熱材から熱を放出させる低温ガス供給部と、
前記低温ガス供給部を制御することにより、前記第1導入部への前記低温ガスの供給を開始してから所定の条件が満たされた段階で、前記第1導入部への前記低温ガスの供給量を減少させ、または、供給を停止し、前記第2導入部への前記低温ガスの供給を開始する制御部と、
を備える熱利用システム。
【請求項4】
請求項3に記載の熱利用システムであって、
前記第1導入部に高温ガスを供給することにより、前記蓄熱材に蓄熱させる高温ガス供給部、をさらに備え、
前記第1導入部が、前記蓄熱材の下方または下部に位置し、
前記高温ガス供給部から前記高温ガスが前記第1導入部に供給される際に、前記第1導入部から噴出される前記高温ガスから力を受けて前記蓄熱材が流動する熱利用システム。
【請求項5】
請求項4に記載の熱利用システムであって、
前記蓄熱装置が、前記蓄熱材の上方に押さえ部材をさらに備え、
前記高温ガス供給部から前記高温ガスが前記蓄熱装置に供給される際の前記押さえ部材の位置が、前記低温ガス供給部から前記低温ガスが前記蓄熱装置に供給される際の前記押さえ部材の位置よりも高い熱利用システム。
【請求項6】
請求項4に記載の熱利用システムであって、
前記高温ガス供給部が、ごみ焼却施設または発電所に設けられる熱利用システム。
【請求項7】
請求項4に記載の熱利用システムであって、
前記高温ガス供給部が、燃焼設備における燃焼を利用して生成された前記高温ガスを前記第1導入部に供給し、
前記熱利用システムが、前記排出口から排出されるガスを前記燃焼設備の排ガス処理装置に導く排出路をさらに備える熱利用システム。
【請求項8】
請求項4に記載の熱利用システムであって、
前記蓄熱装置が、搬送可能である熱利用システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の態様1は、蓄熱および放熱を行う蓄熱装置であって、アルカリ土類金属を含む粒状の蓄熱材を収納する容器本体と、前記蓄熱材から熱を放出させるために水蒸気を含む低温ガスを前記蓄熱材に向けて供給するための第1導入部と、前記容器本体内からガスを排出するための排出口と、前記第1導入部と前記排出口との間の位置において、前記蓄熱材から熱を放出させるために水蒸気を含む低温ガスを前記蓄熱材に向けて供給するための第2導入部と、を備える。