(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176623
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】保守管理方法、管理装置及び表示方法
(51)【国際特許分類】
H05G 1/26 20060101AFI20241212BHJP
H05G 1/34 20060101ALI20241212BHJP
G01N 23/041 20180101ALI20241212BHJP
【FI】
H05G1/26 T
H05G1/34 E
G01N23/041
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095333
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 康二郎
【テーマコード(参考)】
2G001
4C092
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001HA06
2G001HA13
2G001SA09
4C092AA01
4C092AB19
4C092AC08
4C092CC15
4C092CC17
4C092DD20
4C092DD29
(57)【要約】
【課題】X線検査装置の保守時期を調整しやすくできる。
【解決手段】
X線検査装置の保守管理方法であって、X線検査装置の使用履歴情報を取得する取得ステップ(ステップS1)と、使用履歴情報に基づいて故障のリスクを判定する判定ステップ(ステップS2)と、使用履歴情報に基づいて複数の保守時期を算出する算出ステップ(ステップS3)と、ユーザーに対して複数の保守時期を提示する提示ステップ(ステップS4)と、を有し、算出ステップにおいて、複数の保守時期は、所定の期間における使用履歴情報における使用条件に基づいて算出された第1の保守時期と、使用履歴情報とは異なる使用条件に基づいて算出された第2の保守時期と、を含み、提示ステップにおいて、故障のリスクに応じて、提示の方法を異ならせる保守管理方法。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検査装置の保守時期を管理する管理装置による保守管理方法であって、
前記X線検査装置の使用履歴情報を取得する取得ステップと、
前記使用履歴情報に基づいて故障のリスクを判定する判定ステップと、
前記使用履歴情報に基づいて複数の保守時期を算出する算出ステップと、
ユーザーに対して前記複数の保守時期を提示する提示ステップと、を有し、
前記算出ステップにおいて、
前記複数の保守時期は、所定の期間における前記使用履歴情報における使用条件に基づいて算出された第1の保守時期と、前記使用履歴情報とは異なる使用条件に基づいて算出された第2の保守時期と、を含み、
前記提示ステップにおいて、
前記故障のリスクに応じて、前記提示の方法を異ならせる、
保守管理方法。
【請求項2】
ユーザーによる保守時期の選択に基づいて、保守を行うスケジュールを調整する調整ステップを有する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項3】
前記判定ステップにおいて、前記故障のリスクを、前記使用履歴情報における使用条件と稼働期間に基づいて判定する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項4】
前記判定ステップにおいて、前記故障のリスクを、ビジビリティに基づいて判定する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項5】
前記判定ステップにおいて、前記故障のリスクが高いと判定された場合、
前記提示ステップにおいて、保守日程が決定されるまで、頻度を増やした通知を行い、前倒し日程を推奨する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項6】
前記判定ステップにおいて、前記故障のリスクが低いと判定された場合、
前記提示ステップにおいて、頻度を減らした通知を行い、後ろ倒し日程や保守閑散期の日程を推奨する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項7】
前記算出ステップにおいて、前記第2の保守時期の少なくとも一つは、使用頻度が前記第1の保守時期よりも低い又は高い使用条件で算出される請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項8】
前記算出ステップにおいて、前記第2の保守時期の少なくとも一つは、前記X線検査装置への負担が前記第1の保守時期よりも低い又は高い条件で算出される請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項9】
前記算出ステップにおいて、前記第1の保守時期を、前記使用履歴情報における使用条件に加え、ユーザーから入力された今後の使用条件及び/またはスケジュールに基づき算出する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項10】
前記算出ステップにおいて、
前記使用履歴情報に基づき、前回保守時からの前記X線検査装置の変化量を算出し、
前記変化量が、閾値を超える時期を算出し、
算出された前記閾値を超える時期に基づいて前記複数の保守時期を算出する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項11】
前記提示ステップにおいて、前記複数の保守時期に加え、前記複数の保守時期の算出の前提となっている使用条件を提示する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項12】
前記提示ステップにおいて、前記X線検査装置の使用条件を変えることで、保守時期を延ばす提案を提示する請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項13】
前記提示ステップは、前記X線検査装置の状態が所定の提示条件を満たしている場合に行う請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項14】
前記調整ステップにおいて、保守サービスグループのスケジュール、ユーザーから入力されたスケジュール及び部品の在庫・納期情報に基づきスケジュールを調整する請求項2に記載の保守管理方法。
【請求項15】
前記X線検査装置は、X線タルボ撮影検査装置である請求項1に記載の保守管理方法。
【請求項16】
X線検査装置の保守時期を管理する管理装置であって、
前記X線検査装置の使用履歴情報を取得する取得部と、
前記使用履歴情報に基づいて故障のリスクを判定する判定部と、
前記使用履歴情報に基づいて複数の保守時期を算出する算出部と、
ユーザーに対して前記複数の保守時期を提示する提示部と、を有し、
前記算出部において、
前記複数の保守時期は、所定の期間における前記使用履歴情報における使用条件に基づいて算出された第1の保守時期と、前記使用履歴情報とは異なる使用条件に基づいて算出された第2の保守時期と、を含み、
前記提示部において、
前記故障のリスクに応じて、異なる提示の方法を用いて、表示部に提示させる、
管理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の管理装置による保守管理用の画面を表示する表示方法であって、
前記複数の保守時期及び、前記複数の保守時期の算出の前提となっている条件を併せて前記画面に表示する表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守管理方法、管理装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線検査装置では、定期的な保守が必要である。
例えば、X線管球のX線出力を正常にさせるために、定期的な保守が必要である。X線管球は、使用時間が増加するにつれて、フィラメントが劣化する。フィラメントが劣化すると、電子のエミッションが弱くなり、X線管球のX線出力が低下する。特に、X線管球を高電圧、高電流で使用すると、よりX線管球の劣化が進みやすい。そのため、X線管球の寿命が短くなる。そして、X線管球の寿命がくるとX線管球を交換する必要がある。
【0003】
特許文献1では、X線管球交換の時期を提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、X線管球交換の時期の提示が、ピンポイントである。加えて、X線管球交換の時期の提示とX線検査装置の撮影条件とが紐付けられていない。そのため、ユーザーが提示された時期より保守時期をどの程度、前倒し又は後ろ倒しできるかがわからない。
【0006】
したがって、本発明の課題は、ユーザーがX線検査装置の保守時期をより調整しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の問題を解決するために、本発明に係る保守管理方法は、
X線検査装置の保守時期を管理する管理装置による保守管理方法であって、
前記X線検査装置の使用履歴情報を取得する取得ステップと、
前記使用履歴情報に基づいて故障のリスクを判定する判定ステップと、
前記使用履歴情報に基づいて複数の保守時期を算出する算出ステップと、
ユーザーに対して前記複数の保守時期を提示する提示ステップと、を有し、
前記算出ステップにおいて、
前記複数の保守時期は、所定の期間における前記使用履歴情報における使用条件に基づいて算出された第1の保守時期と、前記使用履歴情報とは異なる使用条件に基づいて算出された第2の保守時期と、を含み、
前記提示ステップにおいて、
前記故障のリスクに応じて、前記提示の方法を異ならせる。
【0008】
また、本発明に係る管理装置は、
X線検査装置の保守時期を管理する管理装置であって、
前記X線検査装置の使用履歴情報を取得する取得部と、
前記使用履歴情報に基づいて故障のリスクを判定する判定部と、
前記使用履歴情報に基づいて複数の保守時期を算出する算出部と、
ユーザーに対して前記複数の保守時期を提示する提示部と、を有し、
前記算出部において、
前記複数の保守時期は、所定の期間における前記使用履歴情報における使用条件に基づいて算出された第1の保守時期と、前記使用履歴情報とは異なる使用条件に基づいて算出された第2の保守時期と、を含み、
前記提示部において、
前記故障のリスクに応じて、異なる提示の方法を用いて、表示部に提示させる。
【0009】
また、本発明に係る表示方法は、
上記管理装置による保守管理用の画面を表示する表示方法であって、
前記複数の保守時期及び、前記複数の保守時期の算出の前提となっている条件を併せて前記画面に表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザーがX線検査装置の保守時期をより調整しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】保守日程管理システムの構成を表すブロック図である。
【
図2】保守日程管理サーバーの構成を表すブロック図である。
【
図3】X線検査装置の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
【0013】
<保守日程管理システム>
まず、
図1を用いて、保守日程管理システム100の構成を説明する。
図1に示すように、保守日程管理システム100は、管理装置としての保守日程管理サーバー1、X線検査装置2、端末装置3などを備える。保守日程管理サーバー1、X線検査装置2及び端末装置3は、通信ネットワークNを介して、情報を送受信する。各種情報については、後述する。
【0014】
保守日程管理サーバー1は、X線検査装置2の保守日程を管理する装置である。保守日程管理サーバー1は、オンプレミス又はクラウドの装置で構成されている。
X線検査装置2は、試験対象物の内部情報を取得する装置である。例えば、X線検査装置2は、X線タルボ撮影検査装置、放射線撮影検査装置、超音波撮影検査装置、磁気検査装置などである。
端末装置3は、保守時期や保守日程を提示する装置である。例えば、端末装置3は、X線検査装置2のユーザーの端末やサービスマンの端末である。
通信ネットワークNは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等である。
【0015】
保守対象として、X線検査装置2は、X線タルボ撮影検査装置が望ましい。なぜなら、X線タルボ撮影検査装置では、例えば、後述するX線管球と格子の位置を精密に位置決めする必要などがあり、通常のX線透過装置よりも保守のための装置停止期間が長くなるからである。
【0016】
<試験対象物>
本実施形態における試験対象物は特に限定はされないが、一例として複合材料(複合素材とも言う。)が挙げられる。複合材料は、例えば宇宙・航空機関係、自動車、船舶、つり竿の他、電気・電子・家電部品、パラボラアンテナ、浴槽、床材、屋根材等を始め、様々な製品等の構成部材として用いられるものである。
【0017】
<保守日程管理サーバー>
次に、
図2を用いて、保守日程管理サーバー1の構成を説明する。
図2に示すように、保守日程管理サーバー1は、制御部11、表示部12、操作部13、通信部14、記憶部15を備えている。保守日程管理サーバー1は、後述するX線検査装置2の保守時期を管理する管理装置である。
【0018】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部11のCPUは、記憶部15に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理(後述する保守日程提示処理など)を実行し、保守日程管理サーバー1各部の動作を制御する。
制御部11は、X線検査装置2の使用履歴情報を取得する取得部として機能する。
制御部11は、使用履歴情報に基づいて故障のリスクを判定する判定部として機能する。
制御部11は、使用履歴情報に基づいて複数の保守時期を算出する算出部として機能する。
制御部11は、ユーザーに対して前記複数の保守時期を提示する提示部として機能する。制御部11は、故障のリスクに応じて、異なる提示の方法を用いて、後述する表示部12、22、32に提示させる。
制御部11は、ユーザーによる保守時期の選択に基づいて、保守を行うスケジュールを調整する調整部として機能する。
【0019】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターにより構成され、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面(保守時期提示画面D1、保守日程提示画面D2)等を表示するようになっている。
【0020】
操作部13は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、表示部12の表面に積層されたタッチパネル等である。操作部13は、操作者により操作可能に構成されている。また、操作部13は、操作者によってなされた操作に基づく各種信号を制御部11に出力する。
【0021】
通信部14は、通信ネットワークNを介して接続された他の装置等との間で各種信号や各種データを送受信することが可能となっている。
【0022】
記憶部15は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部11が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
記憶部15には、制御部11により取得された使用履歴情報も記憶されている。
【0023】
<X線検査装置>
次に、
図3を用いて、X線検査装置2の構成を説明する。
図3に示すように、X線検査装置2は、制御部21、表示部22、操作部23、通信部24、記憶部25、撮影部26を備えている。以下では、X線検査装置2を、X線タルボ撮影検査装置として説明する。
【0024】
制御部21は、CPU、RAM等により構成される。制御部21のCPUは、記憶部25に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、X線検査装置2各部の動作を制御する。
制御部21は、後述するモアレ縞画像を処理することで、再構成画像や配向解析画像といった各種タルボ画像を取得でき、さらに、各種タルボ画像から様々な内部情報を取得する。
【0025】
表示部22は、LCD等のモニターにより構成され、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、各種画面(保守時期提示画面D1、保守日程提示画面D2)等を表示するようになっている。
【0026】
操作部23は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、表示部22の表面に積層されたタッチパネル等である。操作部23は、操作者により操作可能に構成されている。また、操作部23は、操作者によってなされた操作に基づく各種信号を制御部21に出力する。
【0027】
通信部24は、通信ネットワークNを介して接続された他の装置等との間で各種信号や各種データを送受信することが可能となっている。
【0028】
記憶部25は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部11が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
【0029】
撮影部26は、放射線源(管球)、被写体台、第1格子、第2格子、放射線検出器などで構成される。放射線源、被写体台、第1格子、第2格子、放射線検出器は、順に放射線照射軸方向に並んで設けられている。なお、放射線源と被写体台の間にも、格子が設けられていてもよい。
【0030】
放射線源は、X線管を備え、当該X線管によりX線を発生させてz方向(重力方向)にX線を照射する。X線管としては、例えばクーリッジX線管や回転陽極X線管を用いることができる。
フィラメント(陰極)から放出された電子を、タングステンやモリブデンなどの金属(陽極)に衝突させることで、X線が発生する。
フィラメント電流は、X線管の管電流と管電圧により決定される。フィラメント電流は、X線管の寿命と関係がある。これらについては、保守日程提示処理の説明の中で、説明する。
なお、本実施形態では、X線を用いて撮影を行う場合を例にとり説明するが、他の放射線、例えば、中性子線、ガンマ線等を用いてもよい。
また、上述では、X線管により重力方向にX線を照射する縦型のX線タルボ撮影検査装置の例を用いて説明しているが、これに限定されない。例えば、X線管により重力方向と直交する向きにX線を照射する横型のX線タルボ撮影検査装置でもよい。
【0031】
X線タルボ撮影検査装置に用いられる、タルボ干渉計の原理について説明する。放射線源から照射されたX線が第1格子を透過すると、透過したX線が放射線照射軸方向に一定の間隔で像を結ぶ。この像を自己像といい、自己像が形成される現象をタルボ効果という。自己像を結ぶ位置に第2格子が自己像と概ね平行に配置され、第2格子を透過したX線によりモアレ縞画像が得られる。即ち、第1格子は、周期パターンを形成し、第2格子は周期パターンをモアレ縞に変換する。放射線源と第1格子間に試験対象物が存在すると、試験対象物によってX線の位相がずれるため、モアレ縞画像上のモアレ縞は試験対象物の辺縁を境界に乱れる。このモアレ縞の乱れを、モアレ縞画像を処理することによって検出し、試験対象物像を画像化することができる。これがタルボ干渉計の原理である。
放射線源は、制御部21により制御され、放射線を発生する。放射線検出器は、制御部21により制御され、放射線を検出し、上記モアレ縞画像を取得する。
【0032】
<端末装置>
次に、
図4を用いて、端末装置3の構成を説明する。
図4に示すように、端末装置3は、制御部31、表示部32、操作部33、通信部34、記憶部35を備えている。
【0033】
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、記憶部35に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、端末装置3各部の動作を制御する。
【0034】
表示部32は、LCD等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面(保守時期提示画面D1、保守日程提示画面D2)等を表示するようになっている。
【0035】
操作部33は、カーソルキーや、数字入力キー、各種機能キー等を備えたキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、表示部32の表面に積層されたタッチパネル等である。操作部33は、操作者により操作可能に構成されている。また、操作部33は、操作者によってなされた操作に基づく各種信号を制御部31に出力する。
【0036】
通信部34は、通信ネットワークNを介して接続された他の装置等との間で各種信号や各種データを送受信することが可能となっている。
【0037】
記憶部35は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部31が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶している。
【0038】
<保守日程提示処理>
次に、
図5を用いて、保守日程提示処理を説明する。保守日程提示処理とは、X線検査装置2の保守日程を提示する処理である。
以下では、放射線源(管球)の保守日程提示処理を例示するが、これに限定されない。
【0039】
まず、制御部11は、通信ネットワークNを介して、X線検査装置2から使用履歴情報を取得する(ステップS1;取得ステップ)。このとき、制御部11は、取得部として機能する。
使用履歴情報とは、X線検査装置2の使用履歴を表す情報である。例えば、使用履歴情報は、撮影条件(使用条件)や、撮影条件ごとの利用回数及び稼働時間、撮影条件における画質、X線検査装置2の装置状態などである。なお、X線検査装置2の装置状態は、X線検査装置2の使用時の温度、X線検査装置2の使用時の振動、X線検査装置2のビジビリティ(可視性)などである。なお、ビジビリティは、自己像の鮮明度、干渉の程度を表す尺度であり、大きい方が良い。
放射線源(管球)の保守日程提示処理の場合、管球の使用条件(管電流、管電圧、照射時間、回数)といった使用履歴情報が取得される。
【0040】
次に、制御部11は、故障リスクが有るか判定する(ステップS2;判定ステップ)。このとき、制御部11は、判定部として機能する。
故障リスクが有るとは、X線検査装置2の使用履歴情報に基づき、予め定められた判定条件を満たした場合のことをいう。故障リスクは、X線検査装置2の各種構成ごとに判定されてもよい。故障リスクは、X線検査装置2ごとに判定されてもよい。
【0041】
制御部11は、故障リスクが有ると判定した場合(ステップS2;YES)、保守日程提示処理は、ステップS3に進む。制御部11は、故障リスクが無いと判定した場合(ステップS2;NO)、保守日程提示処理は、終了する。なお、制御部11は、保守日程提示処理を終了させる前に、次回保守日程を提示してもよい。
つまり、後述する提示ステップは、X線検査装置2の状態が所定の判定条件を満たしている場合に行われる。所定の判定条件は、提示の観点からすると、所定の提示条件であるともいえる。
【0042】
ここで、具体的に、故障リスクの判定方法について説明する。
例えば、故障リスクは、撮影条件(使用条件)と稼働期間に基づいて判定される。
具体的には、制御部11は、管球の最大管電流の1/2以上の管電流で測定した回数が総使用可能回数の50%超(判定条件)の場合、故障リスクが有ると判定する。
具体的には、制御部11は、最大管電圧の1/2以上の管電圧で測定した回数が総使用可能回数の50%超(判定条件)の場合、故障リスクが有ると判定する。
具体的には、制御部11は、管球寿命の残り寿命から算出された管球交換時期までの期間が残り4か月未満(判定条件)の場合、故障リスクが有ると判定する。
【0043】
また、例えば、故障のリスクはビジビリティに基づいて判定される。
具体的には、制御部11は、ビジビリティの現在の状態が、初期状態または直近の保守点検または前回部品交換時と比較して所定程度下がっている場合(判定条件)、故障リスクが有ると判定する。
【0044】
上記の例では、制御部11は、故障リスクが有ると判定している。
制御部11は、故障リスクを有ると判定し、加えて、高・中・低というように段階的に判定してもよい。例えば、段階的に判定する場合、制御部11は、上記判定方法を組み合わせ、故障リスクが有ると判定された判定方法の数に基づき、故障リスクを段階的に判定してもよい。例えば、段階的に判定する場合、制御部11は、判定条件との乖離度に基づき、故障リスクを段階的に判定してもよい。
つまり、故障のリスクの判定は、故障リスクの有無の判定と故障リスクの段階的な判定(例えば、高・中・低)を含む。
【0045】
次に、制御部11は、複数の保守時期を算出する(ステップS3;算出ステップ)。このとき、制御部11は、算出部として機能する。
ここで、
図6~
図8を用いて、複数の保守時期の算出方法について説明する。
図6は、管電流と管電圧からフィラメント電流を求めるための表である。
図7は、フィラメントの、フィラメント電流ごとの断線寿命(フィラメント寿命時間)を表す表である。
図8は、フィラメントの、フィラメント電流を照射時間分流した場合の各残回数(総使用可能回数)を表す表である。
まず、制御部11は、ステップS1にて取得された使用履歴情報のうちの使用条件(管電流、管電圧)から、
図6を用いて、使用条件ごとのフィラメント電流を算出する。
次に、制御部11は、ステップS1にて取得された使用履歴情報のうちの使用条件(照射時間、回数)を用いて、フィラメント電流ごとに照射した時間(総照射時間)を積算する。
次に、制御部11は、
図7を用いて、フィラメント寿命時間から、積算した値(総照射時間)を引き算することで、残り寿命を算出する。
次に、制御部11は、
図8を用いて、使用履歴情報に基づく使用条件(フィラメント電流と照射時間)毎に残使用回数を算出する。
図8は、フィラメント寿命時間が100%の時の撮影条件毎(照射時間、フィラメント電流)の最大撮影回数(総使用可能回数)を表す図である。制御部11は、最大撮影回数に残り寿命の比率を掛けて各条件の残測定回数を算出する。制御部11は、残使用回数を、使用履歴情報を元に所定期間の測定回数で割ることで保守時期(第1の保守時期)を算出する。
具体的には、制御部11は、X線検査装置2の実績範囲の撮影条件に基づき、保守時期を算出する。X線検査装置2の実績範囲とは、X線検査装置2の使用された期間であり、例えば、算定期間として、1か月、3か月、6か月、1年、使用開始日からの全期間などが挙げられる。また、X線検査装置2の実績範囲の使用条件とは、実績範囲の期間における最も弱い使用条件や最も強い使用条件などが挙げられる。具体的には、後述する
図9に示す保守時期提示画面D1においては、領域A1の「6月」及び領域A3の中央「6月」の情報がこの時点で算出されることとなる。
具体的には、制御部11は、X線検査装置2の撮影条件の実績頻度に基づき、保守時期を算出する。例えば、X線検査装置2の撮影条件の実績頻度の高い上位3条件の使用回数などから、制御部11は、保守時期を算出する。
なお、X線検査装置2の装置仕様に基づく使用条件(フィラメント電流と照射時間)毎に残使用回数を算出してもよい。
具体的には、制御部11は、X線検査装置2の装置仕様に基づき、保守時期を算出する。X線検査装置2の装置仕様とは、例えば、管球の最も弱い条件(管電圧や管電流)や最も強い条件(管電圧や管電流)などが挙げられる。
最後に、制御部11は、上記保守時期を算出した使用条件を、緩いおよび/又は厳しい条件に修正した使用条件を用いて、上記同様、保守時期を算出する(第2の保守時期)。修正する幅は、保守日程提示処理より前に、記憶部15に記憶されており、制御部11により自動で設定されるものとする。具体的には、後述する
図9に示す保守時期提示画面D1においては、領域A1の「4月」「8月」及び領域A3の中央「4月」「8月」の情報がこの時点で算出されることとなる。この時点で、複数の保守時期が算出されることとなる。なお、制御部11は、上記保守時期を算出した使用条件を、使用条件のうちの使用頻度を低く又は高く修正した使用条件、上記同様、保守時期を算出してもよい(第2の保守時期)。上記同様、修正する幅は、保守日程提示処理より前に、記憶部15に記憶されており、制御部11により自動で設定されるものとする。
上記により、ピンポイントの時期(上記例の「6月」)だけでなく、後述の保守時期提示画面D1にて、保守時期を早める/延ばす提案が表示されることとなる。
なお、保守時期の算出が、装置仕様に基づく場合、装置仕様に基づく条件を緩くしたり厳しくしたりできない。そのため、後述する
図11の保守時期提示画面D1においては、保守時期が複数ではない。
【0046】
なお、複数の保守時期は、使用履歴情報に加え、ユーザーから入力された今後の使用条件及び/またはスケジュールに基づき算出されてもよい。具体的には、保守日程提示処理の開始時より前に、ユーザーが、操作部33を用いて、ネットワークNを介して、記憶部15に今後の実験条件及び/またはスケジュールが入力されているものとする。ユーザーは、操作部13の代わりに、操作部23を使用してもよい。
また、制御部11は、上記算出ステップにおいて、使用履歴情報(例えば、温度、振動、ビジビリティ)に基づき、前回保守時からのX線検査装置2の変化量を算出する。その後、制御部11は、変化量が、閾値を超える時期を算出する。その後、制御部11は、算出された閾値を超える時期に基づいて複数の保守時期を算出してもよい。例えば、使用履歴情報のうち、温度を使用する例を用いて説明する。X線検査装置2をユーザーが使用するにつれて、X線検査装置2の測定温度に誤差が生じ、ばらつくようになる。このばらつきを、制御部11は、ばらつき量(変化量)として取得する。制御部11は、ばらつき量が、予め記憶部15に記憶された閾値を超す時期を、保守時期として算出する。そして、上記同様、制御部11は、この保守時期から、複数の保守時期を算出できる。
【0047】
次に、制御部11は、複数の保守時期を提示する(ステップS4;提示ステップ)。このとき、制御部11は、提示部として機能する。具体的には、制御部11は、
図9に示すような保守時期提示画面D1を表示部12、表示部22及び表示部32の少なくとも一つに表示させる。
【0048】
ここで、
図9に示す保守時期提示画面D1を説明する。
保守時期提示画面D1とは、X線検査装置2のユーザーに対して、保守時期を提示するための画面である。例えば、表示部12にポップアップ表示させることが挙げられる。また、例えば、ネットワークNを介して、表示部22や表示部32にポップアップ表示させてもよい。
領域A1は、ステップS3で算出された複数の保守時期を表示する領域である。
図9の例では、「4月」「6月」「8月」という複数の保守時期が示されている。後述する領域A2の選択肢の条件にて算出された複数の保守時期が、領域A1に示される。ユーザーは、日程選択させたい期間を選択することができる。
領域A2には、各種選択肢が示されている。初期表示として、ここでは、算定期間は1カ月、撮影条件は実績範囲が選択された状態となっている。この選択肢が変更され、後述する残回数再表示ボタンB1が押下されると、変更された選択肢の条件にてステップS3で算出された複数の保守時期が領域A1に表示される。変更後の保守時期提示画面D1を、後述する
図10及び
図11に示す。
領域A3は、保守時期算出条件提示領域である。初期表示は、領域A2の選択肢における保守時期算出条件である。領域A3中央の条件は、使用履歴情報に基づく使用条件(「6月」欄)である。領域A3両側の条件は、その条件を緩いおよび/又は厳しい条件に修正した使用条件である。そして、それぞれの条件ごとに、残回数が表示される。
残回数再表示ボタンB1は、領域A1に示された保守時期までに、X線検査装置2の使用可能な残回数を撮影条件と共に領域A3に表示させるためのボタンである。
日程選択ボタンB2は、後述する保守日程提示画面D2を表示部12に表示させるためのボタンである。
【0049】
図10に示す保守時期提示画面D1を説明する。下記説明以外は、
図9に示す保守時期提示画面D1の説明と同様である。領域A2では、算定期間は1カ月、撮影条件は実績頻度が選択された状態となっている。
図11に示す保守時期提示画面D1を説明する。下記説明以外は、
図9に示す保守時期提示画面D1の説明と同様である。領域A2では、撮影条件は装置仕様が選択された状態となっている。
【0050】
次に、制御部11は、ユーザーにより保守時期の選択の有無を判断する(ステップS5)。具体的には、保守時期の選択とは、
図9~
図11に示す保守時期提示画面D1の領域A1の期間欄の選択及び残回数再表示ボタンB1の押下を指す。
保守時期の選択が有る場合(ステップS5;YES)、保守日程提示処理は、ステップS6に進む。
保守時期の選択が無い場合(ステップS5;NO)、ステップS1に進む。所定の期間をおき、所定の期間後ステップS1の処理が実行される。
保守時期の選択が無い場合、制御部11は、故障のリスク(有、及び高・中・低等の段階的な判定)に応じて、保守時期の提示の方法を異ならせてもよい。具体的には、制御部11は、保守時期提示画面D1の提示の方法を異ならせてもよい。
具体的には、制御部11は、ステップS2において、故障リスクが有る場合、保守日程が決定されるまで、所定期間をおいて、ポップアップ表示(ステップS4)させてもよい。
具体的には、制御部11は、ステップS2において、故障リスクが高い場合、保守日程が決定されるまで、頻度を増やして、ポップアップ表示(ステップS4)させてもよい。
具体的には、制御部11は、ステップS2において、故障リスクが高い場合、前倒し日程を推奨してもよい。前倒し日程とは、領域A1の早い時期を指す。前倒し日程とは、例えば、領域A1の「4月」である。
具体的には、制御部11は、ステップS2において、故障リスクが低い場合、頻度を減らして、ポップアップ表示(ステップS4)させてもよい。故障リスクが低い場合、後ろ倒し日程や保守閑散期の日程を推奨してもよい。後ろ倒し日程とは、領域A1の遅い時期を指す。後ろ倒し日程とは、例えば、領域A1の「8月」である。保守閑散期の日程は、制御部11により、保守サービスグループのスケジュールに基づき、決定される。
【0051】
次に、制御部11は、複数の保守日程を提示する(ステップS6)。具体的には、制御部11は、
図12に示すような保守日程提示画面D2を表示部12、表示部22及び表示部32の少なくとも一つに表示させる。
【0052】
ここで、
図12に示す保守日程提示画面D2を説明する。
保守日程提示画面D2とは、ユーザーに保守日程を選択させる画面である。
領域A4は、領域A5に表示させる月を選択する領域である。
領域A5は、保守日程と、保守日程と併せて、保守費用と、保守可否とを表示する領域である。なお、保守可能で保守費用が低い日程が、目立つように表示されている。
保守不可の日は、ユーザーが選択できないよう表示される。
保守可否は、制御部11が、ネットワークNを介して、記憶部15に記憶された保守サービスグループのスケジュール、ユーザーから入力されたスケジュール及び部品の在庫・納期情報を取得し、これらの情報に基づきスケジュールを調整する。
保守費用は、制御部11が、記憶部15に記憶された保守サービスグループのスケジュールに基づき、保守料金を調整する。保守サービスグループのスケジュールが繁忙期であれば、保守料金を所定程度増し、閑散期であれば、所定程度減らすということが挙げられる。
ボタンB3は、領域A5に表示させる日程を前後にずらすためのボタンである。ボタンB3が押下されると、所定の日数分、領域A5に表示された日程がずれる。
【0053】
次に、制御部11は、ユーザーにより保守日程の選択の有無を判断する(ステップS7;調整ステップ)。このとき、制御部11は、調整部として機能する。
保守日程の選択が有る場合(ステップS7;YES)、保守日程提示処理は、終了する。
保守日程の選択が無い場合(ステップS7;NO)、ステップS1に進む。所定の期間をおき、所定の期間後ステップS1の処理が実行される。保守時期の選択が無い場合と同様に、保守日程の選択が無い場合も、制御部11は、表示部12にポップアップ表示させてもよい。
【0054】
<効果>
以上説明したように、保守管理方法は、X線検査装置の保守管理方法であって、X線検査装置の使用履歴情報を取得する取得ステップ(ステップS1)と、使用履歴情報に基づいて故障のリスクを判定する判定ステップ(ステップS2)と、使用履歴情報に基づいて複数の保守時期を算出する算出ステップ(ステップS3)と、ユーザーに対して複数の保守時期を提示する提示ステップ(ステップS4)と、を有し、算出ステップにおいて、複数の保守時期は、所定の期間における使用履歴情報における使用条件に基づいて算出された第1の保守時期と、使用履歴情報とは異なる使用条件に基づいて算出された第2の保守時期と、を含み、提示ステップにおいて、故障のリスクに応じて、提示の方法を異ならせる。そのため、ユーザーがX線検査装置の保守時期をより調整しやすくなる。
【0055】
また、管理装置(保守日程管理サーバー1)は、X線検査装置の保守時期を管理する管理装置であって、X線検査装置の使用履歴情報を取得する取得部(制御部11)と、使用履歴情報に基づいて故障のリスクを判定する判定部(制御部11)と、使用履歴情報に基づいて複数の保守時期を算出する算出部(制御部11)と、ユーザーに対して複数の保守時期を提示する提示部(制御部11)と、を有し、算出部において、複数の保守時期は、所定の期間における使用履歴情報における使用条件に基づいて算出された第1の保守時期と、使用履歴情報とは異なる使用条件に基づいて算出された第2の保守時期と、を含み、提示部において、故障のリスクに応じて、異なる提示の方法を用いて、表示部(表示部12、22、32)に提示させる。そのため、ユーザーがX線検査装置の保守時期をより調整しやすくなる。
【0056】
また、表示方法は、上記管理装置による保守管理用の画面(保守時期提示画面D1、保守日程提示画面D2)を表示する表示方法であって、複数の保守時期及び、複数の保守時期の算出の前提となっている条件を併せて画面に表示する。そのため、X線検査装置の保守時期を調整しやすくなる。
【0057】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
【0058】
その他、各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 保守日程管理システム
1 保守日程管理サーバー(管理装置)
11 制御部(取得部、判定部、算出部、提示部、調整部)
12 表示部
13 操作部
14 通信部
15 記憶部
2 X線検査装置
21 制御部
22 表示部
23 操作部
24 通信部
25 記憶部
26 撮影部
3 端末装置
31 制御部
32 表示部
33 操作部
34 通信部
35 記憶部
N 通信ネットワーク