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特開2024-176640ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176640
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法
(51)【国際特許分類】
C12C 5/02 20060101AFI20241212BHJP
C12C 11/00 20060101ALI20241212BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20241212BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20241212BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20241212BHJP
A23L 2/68 20060101ALI20241212BHJP
【ＦＩ】
C12C5/02
C12C11/00 A
C12G3/04
A23L2/00 B
A23L2/52
A23L2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023095363
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蝦名 史子
(72)【発明者】
【氏名】有友 亮太
【テーマコード（参考）】
4B115
4B117
4B128
【Ｆターム（参考）】
4B115LH11
4B115LP02
4B117LC03
4B117LE10
4B117LK06
4B117LK08
4B117LP05
4B117LP09
4B128CP16
4B128CP39
(57)【要約】
【課題】味わい深さとキレと爽快感とが増強されたビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るビールテイスト飲料は、苦味価が１０以上のビールテイスト飲料であって、ナリンギンの含有量が１０ｐｐｍ以上であり、クエン酸の含有量が３００ｐｐｍ以上である。本発明に係るビールテイスト飲料の製造方法は、苦味価を１０以上とし、ナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含む。本発明に係るビールテイスト飲料の香味向上方法は、苦味価が１０以上であるビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させる香味向上方法であって、前記ビールテイスト飲料のナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含む。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係るビールテイスト飲料は、苦味価が１０以上のビールテイスト飲料であって、ナリンギンの含有量が１０ｐｐｍ以上であり、クエン酸の含有量が３００ｐｐｍ以上である。本発明に係るビールテイスト飲料の製造方法は、苦味価を１０以上とし、ナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含む。本発明に係るビールテイスト飲料の香味向上方法は、苦味価が１０以上であるビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させる香味向上方法であって、前記ビールテイスト飲料のナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苦味価が１０以上のビールテイスト飲料であって、
ナリンギンの含有量が１０ｐｐｍ以上であり、
クエン酸の含有量が３００ｐｐｍ以上であるビールテイスト飲料。
ナリンギンの含有量が１０ｐｐｍ以上であり、
クエン酸の含有量が３００ｐｐｍ以上であるビールテイスト飲料。
【請求項2】
β－シトロネロールの含有量が１０ｐｐｂ以上である請求項１に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
ナリンギンの含有量をＸｐｐｍとしクエン酸の含有量をＹｐｐｍとした場合に、Ｙ／Ｘが５．０～４０．０である請求項１又は請求項２に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
アルコール度数が１～１０ｖ／ｖ％である請求項１又は請求項２に記載のビールテイスト飲料。
【請求項5】
発酵飲料である請求項１又は請求項２に記載のビールテイスト飲料。
【請求項6】
苦味価を１０以上とし、ナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含むビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項7】
苦味価が１０以上であるビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させる香味向上方法であって、
前記ビールテイスト飲料のナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含むビールテイスト飲料の香味向上方法。
前記ビールテイスト飲料のナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含むビールテイスト飲料の香味向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者の多様な嗜好に応えるべく、多くの種類のビールテイスト飲料やその製造方法が提案されている。
例えば、特許文献１には、４－ビニルグアイアコール、ヘキサン酸エチル、γ－デカノラクトン、２－メチル酪酸エチルの含有量を特定したビールテイスト飲料が開示されている。
例えば、特許文献１には、４－ビニルグアイアコール、ヘキサン酸エチル、γ－デカノラクトン、２－メチル酪酸エチルの含有量を特定したビールテイスト飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開２０２２－０４１８４９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献１では、ビールテイスト飲料の複数の所定成分の含有量を特定することによって、爽やかな香りや甘い香りをバランスよく感じ得るようになる、と説明されている。
【0005】
一方、本発明者らは、苦味価が所定値以上のビールテイスト飲料の香味に焦点をあてて詳細に検討した結果、「味わい深さ」をより増強（味わいをより深く）できれば、特徴のある香味のビールテイスト飲料を消費者に提供できるのではないかと考えた。
また、本発明者らは、ビールテイスト飲料に要求される「キレ」や「爽快感」についても増強させることで、前記した「味わい深さ」だけでなく、「キレ」、「爽快感」の全てに優れたビールテイスト飲料を創出したいと考えた。
また、本発明者らは、ビールテイスト飲料に要求される「キレ」や「爽快感」についても増強させることで、前記した「味わい深さ」だけでなく、「キレ」、「爽快感」の全てに優れたビールテイスト飲料を創出したいと考えた。
【0006】
そこで、本発明は、味わい深さとキレと爽快感とが増強されたビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
（１）苦味価が１０以上のビールテイスト飲料であって、ナリンギンの含有量が１０ｐｐｍ以上であり、クエン酸の含有量が３００ｐｐｍ以上であるビールテイスト飲料。
（２）β－シトロネロールの含有量が１０ｐｐｂ以上である前記１に記載のビールテイスト飲料。
（３）ナリンギンの含有量をＸｐｐｍとしクエン酸の含有量をＹｐｐｍとした場合に、Ｙ／Ｘが５．０～４０．０である前記１又は前記２に記載のビールテイスト飲料。
（４）アルコール度数が１～１０ｖ／ｖ％である前記１から前記３のいずれか１つに記載のビールテイスト飲料。
（５）発酵飲料である前記１から前記４のいずれか１つに記載のビールテイスト飲料。
（６）苦味価を１０以上とし、ナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含むビールテイスト飲料の製造方法。
（７）苦味価が１０以上であるビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させる香味向上方法であって、前記ビールテイスト飲料のナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含むビールテイスト飲料の香味向上方法。
（１）苦味価が１０以上のビールテイスト飲料であって、ナリンギンの含有量が１０ｐｐｍ以上であり、クエン酸の含有量が３００ｐｐｍ以上であるビールテイスト飲料。
（２）β－シトロネロールの含有量が１０ｐｐｂ以上である前記１に記載のビールテイスト飲料。
（３）ナリンギンの含有量をＸｐｐｍとしクエン酸の含有量をＹｐｐｍとした場合に、Ｙ／Ｘが５．０～４０．０である前記１又は前記２に記載のビールテイスト飲料。
（４）アルコール度数が１～１０ｖ／ｖ％である前記１から前記３のいずれか１つに記載のビールテイスト飲料。
（５）発酵飲料である前記１から前記４のいずれか１つに記載のビールテイスト飲料。
（６）苦味価を１０以上とし、ナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含むビールテイスト飲料の製造方法。
（７）苦味価が１０以上であるビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させる香味向上方法であって、前記ビールテイスト飲料のナリンギンの含有量を１０ｐｐｍ以上とし、クエン酸の含有量を３００ｐｐｍ以上とする工程を含むビールテイスト飲料の香味向上方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るビールテイスト飲料は、味わい深さとキレと爽快感とが増強している。
本発明に係るビールテイスト飲料の製造方法は、味わい深さとキレと爽快感とが増強したビールテイスト飲料を製造することができる。
本発明に係るビールテイスト飲料の香味向上方法は、ビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させることができる。
本発明に係るビールテイスト飲料の製造方法は、味わい深さとキレと爽快感とが増強したビールテイスト飲料を製造することができる。
本発明に係るビールテイスト飲料の香味向上方法は、ビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及び、ビールテイスト飲料の香味向上方法を実施するための形態（本実施形態）について説明する。
【0010】
［ビールテイスト飲料］
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、苦味価が所定値以上であって、ナリンギンの含有量とクエン酸の含有量とがそれぞれ所定値以上となる飲料である。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料は、β－シトロネロールを含有していてもよい。
ここで、ビールテイスト飲料とは、ビール様（風）飲料とも呼ばれ、ビール様の香味を呈する飲料、言い換えると、ビール様の香味を奏するように調製された飲料である。そして、ビールテイスト飲料としては、例えば、酒税法（昭和二十八年法律第六号）で定義される「発泡性酒類」（ビール、発泡酒、その他の醸造酒、リキュール）に分類されるものが挙げられる。また、ビールテイスト飲料としては、ビール様の香味を呈していればよく、酒税法で定義される発泡性酒類には属さない飲料および清涼飲料水（例えば、ノンアルコールビールテイスト飲料など）も挙げることができる。
そして、本実施形態に係るビールテイスト飲料は、後記する発酵工程を経て製造される発酵飲料であっても、発酵工程を経ることなく製造される非発酵飲料（調合飲料）であってもよい。
以下、本実施形態に係るビールテイスト飲料を構成する各要素について説明する。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、苦味価が所定値以上であって、ナリンギンの含有量とクエン酸の含有量とがそれぞれ所定値以上となる飲料である。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料は、β－シトロネロールを含有していてもよい。
ここで、ビールテイスト飲料とは、ビール様（風）飲料とも呼ばれ、ビール様の香味を呈する飲料、言い換えると、ビール様の香味を奏するように調製された飲料である。そして、ビールテイスト飲料としては、例えば、酒税法（昭和二十八年法律第六号）で定義される「発泡性酒類」（ビール、発泡酒、その他の醸造酒、リキュール）に分類されるものが挙げられる。また、ビールテイスト飲料としては、ビール様の香味を呈していればよく、酒税法で定義される発泡性酒類には属さない飲料および清涼飲料水（例えば、ノンアルコールビールテイスト飲料など）も挙げることができる。
そして、本実施形態に係るビールテイスト飲料は、後記する発酵工程を経て製造される発酵飲料であっても、発酵工程を経ることなく製造される非発酵飲料（調合飲料）であってもよい。
以下、本実施形態に係るビールテイスト飲料を構成する各要素について説明する。
【0011】
（苦味価）
本実施形態に係るビールテイスト飲料の苦味価（ＢＵ）は所定値以上であり、詳細には以下のとおりである。
苦味価は、１０以上が好ましく、１３以上、１５以上、２０以上、２３以上、２５以上がより好ましい。苦味価が所定値以上であることによって、苦味物質と後記するナリンギンとが相乗的に作用し所望の効果（味わい深さの増強効果）が発揮されるとともに、ビールテイスト飲料にビールらしい苦味を付与することができる。
苦味価は、５０以下が好ましく、４５以下、４０以下、３５以下がより好ましい。苦味価が所定値以下であることによって、ビールテイスト飲料をバランスのとれた香味とすることができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の苦味価（ＢＵ）は所定値以上であり、詳細には以下のとおりである。
苦味価は、１０以上が好ましく、１３以上、１５以上、２０以上、２３以上、２５以上がより好ましい。苦味価が所定値以上であることによって、苦味物質と後記するナリンギンとが相乗的に作用し所望の効果（味わい深さの増強効果）が発揮されるとともに、ビールテイスト飲料にビールらしい苦味を付与することができる。
苦味価は、５０以下が好ましく、４５以下、４０以下、３５以下がより好ましい。苦味価が所定値以下であることによって、ビールテイスト飲料をバランスのとれた香味とすることができる。
【0012】
なお、苦味価（ＢＵ）は、改訂ＢＣＯＪビール分析法（公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、２０１３年増補改訂）の「８．１５苦味価」に記載されている方法によって測定することができる。
【0013】
（ナリンギン）
ナリンギン（Ｎａｒｉｎｇｉｎ，ＣＡＳ番号：１０２３６－４７－２）とは、化学式Ｃ２７Ｈ３２Ｏ１４で表されるフラボノイド配糖体の一種であり、ナリンジンとも呼ばれる。
本発明者らは、苦味価が所定値以上のビールテイスト飲料に対してナリンギンを含有させることによって、驚くべきことに、「味わい深さ」が増強されることを見出した。
また、本発明者らは、ビールテイスト飲料にナリンギンを含有させると「キレ」が低下してしまうことも確認した。
ナリンギン（Ｎａｒｉｎｇｉｎ，ＣＡＳ番号：１０２３６－４７－２）とは、化学式Ｃ２７Ｈ３２Ｏ１４で表されるフラボノイド配糖体の一種であり、ナリンジンとも呼ばれる。
本発明者らは、苦味価が所定値以上のビールテイスト飲料に対してナリンギンを含有させることによって、驚くべきことに、「味わい深さ」が増強されることを見出した。
また、本発明者らは、ビールテイスト飲料にナリンギンを含有させると「キレ」が低下してしまうことも確認した。
【0014】
ナリンギンの含有量は、１０ｐｐｍ以上が好ましく、２０ｐｐｍ以上、３０ｐｐｍ以上、４０ｐｐｍ以上、５０ｐｐｍ以上、５５ｐｐｍ以上、６０ｐｐｍ以上がより好ましい。ナリンギンの含有量が所定値以上であることによって、ビールテイスト飲料の味わい深さを増強することができる。
ナリンギンの含有量は、１５０ｐｐｍ以下が好ましく、１４０ｐｐｍ以下、１３０ｐｐｍ以下、１２０ｐｐｍ以下、１００ｐｐｍ以下、９０ｐｐｍ以下、８０ｐｐｍ以下、７０ｐｐｍ以下、６５ｐｐｍ以下がより好ましい。ナリンギンの含有量が所定値以下であることによって、ビールテイスト飲料をバランスのとれた香味とすることができる。
なお、本明細書において「ｐｐｍ」という単位は「ｍｇ／Ｌ」と同義である。
ナリンギンの含有量は、１５０ｐｐｍ以下が好ましく、１４０ｐｐｍ以下、１３０ｐｐｍ以下、１２０ｐｐｍ以下、１００ｐｐｍ以下、９０ｐｐｍ以下、８０ｐｐｍ以下、７０ｐｐｍ以下、６５ｐｐｍ以下がより好ましい。ナリンギンの含有量が所定値以下であることによって、ビールテイスト飲料をバランスのとれた香味とすることができる。
なお、本明細書において「ｐｐｍ」という単位は「ｍｇ／Ｌ」と同義である。
【0015】
なお、ナリンギンの含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー（ＨＰＬＣ）を用いて測定することができる。
【0016】
（クエン酸）
クエン酸（ｃｉｔｒｉｃ ａｃｉｄ）とは、化学式Ｃ６Ｈ８Ｏ７で表されるヒドロキシ酸の一種である。
本発明者らは、クエン酸によって、前記したナリンギンに起因して低減する「キレ」を増強できるとともに、「爽快感」も増強できることを見出した。また、本発明者らは、クエン酸によって、前記したナリンギンが奏する味わい深さの増強効果を大きく抑制してしまうこともないことを確認した。
クエン酸（ｃｉｔｒｉｃ ａｃｉｄ）とは、化学式Ｃ６Ｈ８Ｏ７で表されるヒドロキシ酸の一種である。
本発明者らは、クエン酸によって、前記したナリンギンに起因して低減する「キレ」を増強できるとともに、「爽快感」も増強できることを見出した。また、本発明者らは、クエン酸によって、前記したナリンギンが奏する味わい深さの増強効果を大きく抑制してしまうこともないことを確認した。
【0017】
クエン酸の含有量は、３００ｐｐｍ以上が好ましく、４００ｐｐｍ以上、５００ｐｐｍ以上、７００ｐｐｍ以上、８００ｐｐｍ以上、９００ｐｐｍ以上、１０００ｐｐｍ以上がより好ましい。クエン酸の含有量が所定値以上であることによって、ビールテイスト飲料のキレと爽快感とを増強することができる。
クエン酸の含有量は、２５００ｐｐｍ以下が好ましく、２２００ｐｐｍ以下、２０００ｐｐｍ以下、１８００ｐｐｍ以下、１５００ｐｐｍ以下がより好ましい。クエン酸の含有量が所定値以下であることによって、ビールテイスト飲料をバランスのとれた香味とすることができる。
クエン酸の含有量は、２５００ｐｐｍ以下が好ましく、２２００ｐｐｍ以下、２０００ｐｐｍ以下、１８００ｐｐｍ以下、１５００ｐｐｍ以下がより好ましい。クエン酸の含有量が所定値以下であることによって、ビールテイスト飲料をバランスのとれた香味とすることができる。
【0018】
なお、クエン酸の含有量は、改訂ＢＣＯＪビール分析法（公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、２０１３年増補改訂）の「８．２４有機酸」に記載されている方法、又は、有機酸分析システムのイオン排除クロマトグラフィーによる分離とｐＨ緩衝化－電気伝導度検出法によって測定することができる。
【0019】
（クエン酸の含有量／ナリンギンの含有量，Ｙ／Ｘ）
ビールテイスト飲料のナリンギンの含有量をＸｐｐｍとしクエン酸の含有量をＹｐｐｍとした場合に、Ｙ／Ｘは以下のとおりである。
Ｙ／Ｘは、５．０以上が好ましく、７．０以上、８．０以上、８．３以上、１０．０以上、１３．０以上、１４．２以上、１５．０以上、１６．７以上がより好ましい。
Ｙ／Ｘは、４０．０以下が好ましく、３５．０以下、３３．３以下、３０．０以下、２８．０以下、２５．０以下がより好ましい。
Ｙ／Ｘが所定範囲内であることによって、ビールテイスト飲料の味わい深さの増強効果、キレの増強効果、爽快感の増強効果をより確実に発揮させることができる。
ビールテイスト飲料のナリンギンの含有量をＸｐｐｍとしクエン酸の含有量をＹｐｐｍとした場合に、Ｙ／Ｘは以下のとおりである。
Ｙ／Ｘは、５．０以上が好ましく、７．０以上、８．０以上、８．３以上、１０．０以上、１３．０以上、１４．２以上、１５．０以上、１６．７以上がより好ましい。
Ｙ／Ｘは、４０．０以下が好ましく、３５．０以下、３３．３以下、３０．０以下、２８．０以下、２５．０以下がより好ましい。
Ｙ／Ｘが所定範囲内であることによって、ビールテイスト飲料の味わい深さの増強効果、キレの増強効果、爽快感の増強効果をより確実に発揮させることができる。
【0020】
（β－シトロネロール）
β－シトロネロール（β－ｃｉｔｒｏｎｅｌｌｏｌ，ＣＡＳ番号：１０６－２２－９）とは、化学式Ｃ１０Ｈ２０Ｏで表されるモノテルペノイドの一種である。
本発明者らは、苦味価が所定値以上であってナリンギンとクエン酸とを含有するビールテイスト飲料に対して、β－シトロネロールを含有させることによって、味わい深さを低減させることなく、爽快感の増強効果を強化できることを見出した。
β－シトロネロール（β－ｃｉｔｒｏｎｅｌｌｏｌ，ＣＡＳ番号：１０６－２２－９）とは、化学式Ｃ１０Ｈ２０Ｏで表されるモノテルペノイドの一種である。
本発明者らは、苦味価が所定値以上であってナリンギンとクエン酸とを含有するビールテイスト飲料に対して、β－シトロネロールを含有させることによって、味わい深さを低減させることなく、爽快感の増強効果を強化できることを見出した。
【0021】
β－シトロネロールの含有量は、１０ｐｐｂ以上が好ましく、１１ｐｐｂ以上、１２ｐｐｂ以上、１３ｐｐｂ以上がより好ましい。β－シトロネロールの含有量が所定値以上であることによって、爽快感の増強効果を強化することができる。
β－シトロネロールの含有量は、５０ｐｐｂ以下が好ましく、４０ｐｐｂ以下、３０ｐｐｂ以下、２０ｐｐｂ以下がより好ましい。β－シトロネロールの含有量が所定値以下であることによって、ビールテイスト飲料をバランスのとれた香味とすることができる。
なお、本明細書において「ｐｐｂ」という単位は「μｇ／Ｌ」と同義である。
β－シトロネロールの含有量は、５０ｐｐｂ以下が好ましく、４０ｐｐｂ以下、３０ｐｐｂ以下、２０ｐｐｂ以下がより好ましい。β－シトロネロールの含有量が所定値以下であることによって、ビールテイスト飲料をバランスのとれた香味とすることができる。
なお、本明細書において「ｐｐｂ」という単位は「μｇ／Ｌ」と同義である。
【0022】
なお、β－シトロネロールの含有量は、例えば、固相マイクロ抽出－ガスクロマトグラフ－質量分析法（ＳＰＭＥ－ＧＣ－ＭＳ法）によって測定することができる。
【0023】
（アルコール度数）
本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、特に限定されないものの、ノンアルコール飲料であれば、１％（ｖ／ｖ％）未満であればよく、０．７％以下、０．５％以下、０．３％以下、０．１％以下、０．００５％未満であってもよい。また、０．００５（ｖ／ｖ％）％以上であってもよい。また、アルコール飲料であれば、例えば、１％（ｖ／ｖ％）以上、３％以上、４％以上、５％以上であり、１０％以下、９％以下、８％以下、６％以下であればよい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、特に限定されないものの、ノンアルコール飲料であれば、１％（ｖ／ｖ％）未満であればよく、０．７％以下、０．５％以下、０．３％以下、０．１％以下、０．００５％未満であってもよい。また、０．００５（ｖ／ｖ％）％以上であってもよい。また、アルコール飲料であれば、例えば、１％（ｖ／ｖ％）以上、３％以上、４％以上、５％以上であり、１０％以下、９％以下、８％以下、６％以下であればよい。
【0024】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、麦由来原料を発酵させて得られた飲料の値であってもよいが、当該飲料に対して、適宜、蒸留アルコールを添加して調整してもよいし、発酵を経ない場合（調合飲料の場合）は、蒸留アルコールの添加のみで調整してもよい。
蒸留アルコールとしては、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられる。蒸留アルコールは１種を単独で使用してもよく、２種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書において「スピリッツ」とは、蒸留酒であるスピリッツを指し、酒税法上のスピリッツとは異なる場合もある。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。そして、ビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法（訓令）３清酒３－４アルコール分（振動式密度計法）に基づいて測定することができる。
蒸留アルコールとしては、焼酎、ブランデー、ウォッカ、ウイスキー等の各種スピリッツ、原料用アルコール等が挙げられる。蒸留アルコールは１種を単独で使用してもよく、２種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書において「スピリッツ」とは、蒸留酒であるスピリッツを指し、酒税法上のスピリッツとは異なる場合もある。
なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。そして、ビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、国税庁所定分析法（訓令）３清酒３－４アルコール分（振動式密度計法）に基づいて測定することができる。
【0025】
（発泡性）
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、発泡性であるのが好ましい。
そして、本実施形態に係るビールテイスト飲料の２０℃におけるガス圧は、特に限定されないものの、例えば、２．０ｋｇ／ｃｍ２以上、２．２ｋｇ／ｃｍ２以上、２．３ｋｇ／ｃｍ２以上、２．４ｋｇ／ｃｍ２以上であり、５．０ｋｇ／ｃｍ２以下、４．０ｋｇ／ｃｍ２以下、３．０ｋｇ／ｃｍ２以下である。そして、ビールテイスト飲料のガス圧は、例えば、国税庁所定分析法（訓令）８－３ガス圧に基づいて測定することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、発泡性であるのが好ましい。
そして、本実施形態に係るビールテイスト飲料の２０℃におけるガス圧は、特に限定されないものの、例えば、２．０ｋｇ／ｃｍ２以上、２．２ｋｇ／ｃｍ２以上、２．３ｋｇ／ｃｍ２以上、２．４ｋｇ／ｃｍ２以上であり、５．０ｋｇ／ｃｍ２以下、４．０ｋｇ／ｃｍ２以下、３．０ｋｇ／ｃｍ２以下である。そして、ビールテイスト飲料のガス圧は、例えば、国税庁所定分析法（訓令）８－３ガス圧に基づいて測定することができる。
【0026】
（その他）
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維など（以下、適宜「添加剤」という）を含有していてもよいし、当然、含有しなくてもよい。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンＣ、ビタミンＥ、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、ＤＬ－酒石酸、Ｌ－酒石酸、ＤＬ－酒石酸ナトリウム、Ｌ－酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
そして、前記した各原料は、一般に市販されているものを使用することができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、食物繊維など（以下、適宜「添加剤」という）を含有していてもよいし、当然、含有しなくてもよい。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプンなどを用いることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどを用いることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンＣ、ビタミンＥ、ポリフェノールなどを用いることができる。酸味料としては、例えば、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、ＤＬ－酒石酸、Ｌ－酒石酸、ＤＬ－酒石酸ナトリウム、Ｌ－酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、リン酸などを用いることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
そして、前記した各原料は、一般に市販されているものを使用することができる。
【0027】
（容器詰めビールテイスト飲料）
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にビールテイスト飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製（アルミニウム製又はスチール製など）のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器にビールテイスト飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製（アルミニウム製又はスチール製など）のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器などを適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分および光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
【0028】
以上説明したように、本実施形態に係るビールテイスト飲料は、味わい深さとキレと爽快感とが増強している。
【0029】
［ビールテイスト飲料の製造方法］
次に、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法について説明する。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、苦味価とナリンギンの含有量とクエン酸の含有量とをそれぞれ所定値以上とする工程を含む。そして、詳細には、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、発酵前工程と、発酵工程と、発酵後工程と、を含む。
次に、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法について説明する。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、苦味価とナリンギンの含有量とクエン酸の含有量とをそれぞれ所定値以上とする工程を含む。そして、詳細には、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、発酵前工程と、発酵工程と、発酵後工程と、を含む。
【0030】
（発酵前工程）
発酵前工程では、仕込工程として、麦芽、麦、糖類、酵素、各種添加剤、副原料等を適宜混合して原料を糖化し、糖化液を得る。そして、糖化液を適宜ろ過して得られた麦汁に、適宜、ホップの添加、煮沸、冷却等を行って発酵前液を調製する。
なお、原料の添加タイミングは適宜選択でき、この工程に限定されない。
発酵前工程では、仕込工程として、麦芽、麦、糖類、酵素、各種添加剤、副原料等を適宜混合して原料を糖化し、糖化液を得る。そして、糖化液を適宜ろ過して得られた麦汁に、適宜、ホップの添加、煮沸、冷却等を行って発酵前液を調製する。
なお、原料の添加タイミングは適宜選択でき、この工程に限定されない。
【0031】
発酵前工程において調製される発酵前液は、酵母が資化可能な窒素源及び炭素源となる麦由来原料（麦芽や麦、又はそれらのエキス）を含む溶液であれば特に限定されない。窒素源及び炭素源は、酵母が資化可能なものであれば特に限定されない。酵母が資化可能な窒素源とは、例えば、麦由来原料に含まれるアミノ酸及びペプチドのうちの少なくとも一つである。酵母が資化可能な炭素源とは、例えば、前記した発酵前工程で添加する糖類や麦由来原料に含まれる糖類である。
【0032】
発酵前工程で使用する麦芽は、麦を発芽させ焙燥した後に根を除いたものであり、また、発酵前工程で使用する麦とは、発芽させていない状態の麦である。そして、麦とは、大麦、小麦、ライ麦、燕麦等であるが、大麦が好ましい。
なお、麦芽比率（ビールテイスト飲料の製造に用いられる原料のうち水及びホップ以外のものの全重量に占める麦芽の重量の比率）は、特に限定されないものの、例えば、下限は１％以上、１０％以上、２５％以上、３０％以上、５０％以上であり、上限は１００％以下、９５％以下である。
なお、麦芽比率（ビールテイスト飲料の製造に用いられる原料のうち水及びホップ以外のものの全重量に占める麦芽の重量の比率）は、特に限定されないものの、例えば、下限は１％以上、１０％以上、２５％以上、３０％以上、５０％以上であり、上限は１００％以下、９５％以下である。
【0033】
発酵前工程で使用する副原料は、酒税法施行規則の第４条第２項各号に掲げられている物品、さらには、果実（果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含む）、果肉、果汁、果皮等が挙げられる。
【0034】
発酵前工程で使用するホップは、特に限定されず、例えば、乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキス、ホップ毬花（球果、毬果）が挙げられるとともに、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ、イソ化ホップエキス等のホップ加工品であってもよい。
【0035】
（発酵工程）
発酵工程は、発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程である。本実施形態においては、例えば、予め温度が所定の範囲内（例えば、０～４０℃の範囲）に調整された発酵前液に酵母を添加して発酵液を調製し、発酵を行う。
発酵工程は、発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程である。本実施形態においては、例えば、予め温度が所定の範囲内（例えば、０～４０℃の範囲）に調整された発酵前液に酵母を添加して発酵液を調製し、発酵を行う。
【0036】
発酵工程においては、さらに熟成を行うこととしてもよい。熟成は、上述のような発酵後の発酵液をさらに所定の温度で所定の時間だけ維持することにより行う。この熟成により、発酵液中の不溶物を沈殿させて濁りを取り除き、また、香味を向上させることができる。
【0037】
こうして発酵工程においては、酵母により生成されたエタノール及び各種成分を含有する発酵後液を得ることができる。発酵後液に含まれるエタノールの濃度（アルコール度数）は、例えば、１～２０％とすることができる。
【0038】
（発酵後工程）
発酵後工程は、発酵後液に所定の処理を施して最終的にビールテイスト飲料を得る工程である。発酵後工程としては、例えば、発酵工程により得られた発酵後液のろ過（いわゆる一次ろ過）が挙げられる。この一次ろ過により、発酵後液から不溶性の固形分や酵母を除去することができる。また、発酵後工程においては、さらに発酵後液の精密ろ過（いわゆる二次ろ過）を行ってもよい。二次ろ過により、発酵後液から雑菌や、残存する酵母を除去することができる。なお、精密ろ過に代えて、発酵後液を加熱することにより殺菌することとしてもよい。発酵後工程における一次ろ過、二次ろ過、加熱は、ビールテイスト飲料を製造する際に使用される一般的な設備で行うことができる。あるいは、ろ過の工程を経ずに殺菌するといったように、無ろ過で製造を行ってもよい。
なお、発酵後工程には、前記した容器に充填する工程も含まれる。
発酵後工程は、発酵後液に所定の処理を施して最終的にビールテイスト飲料を得る工程である。発酵後工程としては、例えば、発酵工程により得られた発酵後液のろ過（いわゆる一次ろ過）が挙げられる。この一次ろ過により、発酵後液から不溶性の固形分や酵母を除去することができる。また、発酵後工程においては、さらに発酵後液の精密ろ過（いわゆる二次ろ過）を行ってもよい。二次ろ過により、発酵後液から雑菌や、残存する酵母を除去することができる。なお、精密ろ過に代えて、発酵後液を加熱することにより殺菌することとしてもよい。発酵後工程における一次ろ過、二次ろ過、加熱は、ビールテイスト飲料を製造する際に使用される一般的な設備で行うことができる。あるいは、ろ過の工程を経ずに殺菌するといったように、無ろ過で製造を行ってもよい。
なお、発酵後工程には、前記した容器に充填する工程も含まれる。
【0039】
発酵後工程によって得られるビールテイスト飲料について、苦味価、ナリンギンの含有量、クエン酸の含有量、β－シトロネロールの含有量は、以下の方法で調整することができる。
例えば、苦味価は、製造時の任意の工程におけるイソα酸等の苦味物質（又は、苦味物質を含む組成物）の添加、ホップ等の使用量、品種、種類、添加タイミングなどによって調整することができる。
また、ナリンギンの含有量は、製造時の任意の工程におけるナリンギン（又は、ナリンギンを含有する組成物）の添加、発酵工程で副原料として果実、果肉、果汁、果皮（例えば、柑橘類、グレープフルーツ類、タンゼロ類）を使用するなどによって調整することができる。
また、クエン酸の含有量は、製造時の任意の工程におけるクエン酸（又は、クエン酸を含有する組成物）の添加、発酵工程で副原料として果実、果肉、果汁、果皮（例えば、柑橘類、グレープフルーツ類、タンゼロ類）を使用するなどによって調整することができる。そして、クエン酸の含有量は、麦芽の使用比率などでも調整することができる。
また、β－シトロネロールの含有量は、製造時の任意の工程におけるβ－シトロネロール（又は、β－シトロネロールを含有する組成物）の添加、ホップ等の使用量、品種、種類、添加タイミングなどによって調整することができる。また、副原料として利用する果汁は透明果汁でも混濁果汁であってもよく、飲用時に爽快感を想起させる点から透明果汁がより好ましい。
例えば、苦味価は、製造時の任意の工程におけるイソα酸等の苦味物質（又は、苦味物質を含む組成物）の添加、ホップ等の使用量、品種、種類、添加タイミングなどによって調整することができる。
また、ナリンギンの含有量は、製造時の任意の工程におけるナリンギン（又は、ナリンギンを含有する組成物）の添加、発酵工程で副原料として果実、果肉、果汁、果皮（例えば、柑橘類、グレープフルーツ類、タンゼロ類）を使用するなどによって調整することができる。
また、クエン酸の含有量は、製造時の任意の工程におけるクエン酸（又は、クエン酸を含有する組成物）の添加、発酵工程で副原料として果実、果肉、果汁、果皮（例えば、柑橘類、グレープフルーツ類、タンゼロ類）を使用するなどによって調整することができる。そして、クエン酸の含有量は、麦芽の使用比率などでも調整することができる。
また、β－シトロネロールの含有量は、製造時の任意の工程におけるβ－シトロネロール（又は、β－シトロネロールを含有する組成物）の添加、ホップ等の使用量、品種、種類、添加タイミングなどによって調整することができる。また、副原料として利用する果汁は透明果汁でも混濁果汁であってもよく、飲用時に爽快感を想起させる点から透明果汁がより好ましい。
【0040】
また、本実施形態に係るビールテイスト飲料は、発酵工程を経ないで製造することもできる。つまり、本実施形態に係るビールテイスト飲料は、非発酵飲料として製造されてもよい。
この場合、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、混合タンクに、水、苦味物質（イソα酸）、ナリンギン、クエン酸、β－シトロネロール、添加剤、麦芽エキス、蒸留アルコールなどの原料を適宜投入する調合工程（混合工程）と、ろ過、殺菌、炭酸ガスの付加、容器への充填などの処理を行う後処理工程と、を含むこととなる。
この場合、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、混合タンクに、水、苦味物質（イソα酸）、ナリンギン、クエン酸、β－シトロネロール、添加剤、麦芽エキス、蒸留アルコールなどの原料を適宜投入する調合工程（混合工程）と、ろ過、殺菌、炭酸ガスの付加、容器への充填などの処理を行う後処理工程と、を含むこととなる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、味わい深さとキレと爽快感とが増強したビールテイスト飲料を製造することができる。
【0042】
［ビールテイスト飲料の香味向上方法］
次に、本実施形態に係るビールテイスト飲料の香味向上方法を説明する。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の香味向上方法は、苦味価が１５以上であるビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させる香味向上方法であって、ナリンギンの含有量とクエン酸の含有量とをそれぞれ所定値以上とする方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「ビールテイスト飲料」において説明した値と同じである。
次に、本実施形態に係るビールテイスト飲料の香味向上方法を説明する。
本実施形態に係るビールテイスト飲料の香味向上方法は、苦味価が１５以上であるビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させる香味向上方法であって、ナリンギンの含有量とクエン酸の含有量とをそれぞれ所定値以上とする方法である。
なお、各成分の含有量等については、前記した「ビールテイスト飲料」において説明した値と同じである。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係るビールテイスト飲料の香味向上方法は、ビールテイスト飲料の味わい深さとキレと爽快感とを増強させることができる。
【実施例0044】
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明について説明する。
【0045】
［サンプルの準備：表１～４の各サンプル］
表１～４の各サンプルは、表に示す量となるように、炭酸水にホップエキストラクト（三栄源エフ・エフ・アイ社製）、ナリンギン、クエン酸、β－シトロネロールを適宜配合し、３５０ｍＬアルミ缶に充填してサンプルを準備した。
なお、表１～４の各サンプルの２０℃におけるガス圧（全圧）は２．３ｋｇ／ｃｍ２であった。
表１～４の各サンプルは、表に示す量となるように、炭酸水にホップエキストラクト（三栄源エフ・エフ・アイ社製）、ナリンギン、クエン酸、β－シトロネロールを適宜配合し、３５０ｍＬアルミ缶に充填してサンプルを準備した。
なお、表１～４の各サンプルの２０℃におけるガス圧（全圧）は２．３ｋｇ／ｃｍ２であった。
【0046】
［サンプルの準備：表５のサンプル５－１～５－４］
表５のサンプル５－１～５－４は、麦芽とホップを原料とした市販のビール（アルコール度数：５％、苦味価：３０、２０℃におけるガス圧：２．２ｋｇ／ｃｍ２、麦芽比率：１００％、ナリンギンの含有量：検出下限以下のため０ｐｐｍ）に対して、表に示す量となるように、ホップエキストラクト（三栄源エフ・エフ・アイ社製）、ナリンギン、クエン酸、β－シトロネロールを適宜配合し、３５０ｍＬアルミ缶に充填してサンプルを準備した。
なお、各サンプルを準備する際に添加したナリンギンなどは極微量であったため、各サンプルのアルコール度数やガス圧などは、市販のビールと同じ値であった。
表５のサンプル５－１～５－４は、麦芽とホップを原料とした市販のビール（アルコール度数：５％、苦味価：３０、２０℃におけるガス圧：２．２ｋｇ／ｃｍ２、麦芽比率：１００％、ナリンギンの含有量：検出下限以下のため０ｐｐｍ）に対して、表に示す量となるように、ホップエキストラクト（三栄源エフ・エフ・アイ社製）、ナリンギン、クエン酸、β－シトロネロールを適宜配合し、３５０ｍＬアルミ缶に充填してサンプルを準備した。
なお、各サンプルを準備する際に添加したナリンギンなどは極微量であったため、各サンプルのアルコール度数やガス圧などは、市販のビールと同じ値であった。
【0047】
［サンプルの準備：表５のサンプル５－５］
サンプル５－５は、麦芽、ホップ、グレープフルーツ果汁（透明果汁）、グレープフルーツピールを原料として通常の製造方法（前記の本実施形態で説明した発酵工程を経る製造方法であって、無ろ過で製造するとともに、グレープフルーツ果汁とピールは仕込工程で添加）でビールを醸造して、３５０ｍＬアルミ缶に充填した。
なお、サンプル５－５の２０℃におけるガス圧（全圧）は２．３ｋｇ／ｃｍ２であった。また、表５に示すナリンギンの含有量などは、前記の本実施形態で説明した測定方法に基づく結果であった。
サンプル５－５は、麦芽、ホップ、グレープフルーツ果汁（透明果汁）、グレープフルーツピールを原料として通常の製造方法（前記の本実施形態で説明した発酵工程を経る製造方法であって、無ろ過で製造するとともに、グレープフルーツ果汁とピールは仕込工程で添加）でビールを醸造して、３５０ｍＬアルミ缶に充填した。
なお、サンプル５－５の２０℃におけるガス圧（全圧）は２．３ｋｇ／ｃｍ２であった。また、表５に示すナリンギンの含有量などは、前記の本実施形態で説明した測定方法に基づく結果であった。
【0048】
［試験内容］
前記の方法により製造した各サンプルについて、選抜された識別能力のあるパネル４名が下記評価基準に則って「味わい深さ」、「キレ」、「爽快感」について、１～５点の５段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、各評価は、各サンプルを飲んで実施した。
前記の方法により製造した各サンプルについて、選抜された識別能力のあるパネル４名が下記評価基準に則って「味わい深さ」、「キレ」、「爽快感」について、１～５点の５段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、各評価は、各サンプルを飲んで実施した。
【0049】
（味わい深さ：評価基準）
味わい深さの評価については、サンプル１－１の１点を基準とし、「味わい深さがない」場合を１点、「味わい深さがある」場合を５点と評価した。そして、味わい深さの評価については、点数が高いほど、増強されており好ましいと判断できる。
なお、「味わい深さ」とは、ビール様の味わいの深さであって、点数が高いほど、複雑で芳醇な深い味わいとなる。
味わい深さの評価については、サンプル１－１の１点を基準とし、「味わい深さがない」場合を１点、「味わい深さがある」場合を５点と評価した。そして、味わい深さの評価については、点数が高いほど、増強されており好ましいと判断できる。
なお、「味わい深さ」とは、ビール様の味わいの深さであって、点数が高いほど、複雑で芳醇な深い味わいとなる。
【0050】
（キレ：評価基準）
キレの評価については、サンプル１－１の４点を基準とし、「キレがない」場合を１点、「キレがある」場合を５点と評価した。そして、キレの評価については、点数が高いほど、増強されており好ましいと判断できる。
なお、「キレ」とは、後味において香味が後を引かずに消える様子であり、点数が高いほど、雑味が残りにくくなる。
キレの評価については、サンプル１－１の４点を基準とし、「キレがない」場合を１点、「キレがある」場合を５点と評価した。そして、キレの評価については、点数が高いほど、増強されており好ましいと判断できる。
なお、「キレ」とは、後味において香味が後を引かずに消える様子であり、点数が高いほど、雑味が残りにくくなる。
【0051】
（爽快感：評価基準）
爽快感の評価については、サンプル２－１の２点を基準とし、「爽快感がない」場合を１点、「爽快感がある」場合を５点と評価した。そして、爽快感の評価については、点数が高いほど、増強されており好ましいと判断できる。
なお、「爽快感」とは、飲料を飲んでいる最中に感じる爽やかさであり、点数が高いほど、飲料を飲んでいて爽やかな感覚が得られる。
爽快感の評価については、サンプル２－１の２点を基準とし、「爽快感がない」場合を１点、「爽快感がある」場合を５点と評価した。そして、爽快感の評価については、点数が高いほど、増強されており好ましいと判断できる。
なお、「爽快感」とは、飲料を飲んでいる最中に感じる爽やかさであり、点数が高いほど、飲料を飲んでいて爽やかな感覚が得られる。
【0052】
表に、サンプルの各成分の含有量等を示すとともに、各評価の結果を示す。そして、表に示す各成分の数値および指標は、最終製品における含有量および指標である。
なお、表１～４の各サンプルは、ビールテイスト飲料であって、詳細には、ノンアルコールビールテイスト飲料（非発酵飲料）である。一方、表５のサンプルは、ビールテイスト飲料であって、詳細には、アルコールビールテイスト飲料（発酵飲料）である。
なお、表１～４の各サンプルは、ビールテイスト飲料であって、詳細には、ノンアルコールビールテイスト飲料（非発酵飲料）である。一方、表５のサンプルは、ビールテイスト飲料であって、詳細には、アルコールビールテイスト飲料（発酵飲料）である。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
（結果の検討）
表１は、ナリンギンの含有量を変化させた場合の結果である。
この表１の結果から、ナリンギンの含有量が増加するにしたがい、味わい深さが増強されるものの、キレが低減してしまうことが確認できた。
表１は、ナリンギンの含有量を変化させた場合の結果である。
この表１の結果から、ナリンギンの含有量が増加するにしたがい、味わい深さが増強されるものの、キレが低減してしまうことが確認できた。
【0059】
表２は、ナリンギンの含有量を６０ｐｐｍに固定しつつ、クエン酸の含有量を変化させた場合の結果である。
この表２の結果から、ナリンギンを含有することによる味わい深さの増強効果を保ったまま、クエン酸の含有量が増加するにしたがい、ナリンギンによって低減したキレが増強するとともに、爽快感も増強することが確認できた。
そして、表２のサンプルの中でもサンプル２－２～２－５が好ましく（味わい深さ：２．５点以上、キレ：３．０点以上、爽快感：３．０点以上）、サンプル２－３～２－４がより好ましいという結果が得られた。
この表２の結果から、ナリンギンを含有することによる味わい深さの増強効果を保ったまま、クエン酸の含有量が増加するにしたがい、ナリンギンによって低減したキレが増強するとともに、爽快感も増強することが確認できた。
そして、表２のサンプルの中でもサンプル２－２～２－５が好ましく（味わい深さ：２．５点以上、キレ：３．０点以上、爽快感：３．０点以上）、サンプル２－３～２－４がより好ましいという結果が得られた。
【0060】
表３は、表２のサンプルよりもナリンギンの含有量を１２０ｐｐｍで固定しつつ、クエン酸の含有量を変化させた場合の結果である。
この表３の結果から、ナリンギンの含有量が多いサンプルであっても、クエン酸の含有量が増加するにしたがい、ナリンギンによって低減したキレが増強するとともに、爽快感も増強することが確認できた。
また、ナリンギンの含有量が多いサンプルであってもクエン酸の含有量を多くすることによって（Ｙ／Ｘが所定範囲内となることによって）、味わい深さの増強効果、キレの増強効果、爽快感の増強効果の全てがしっかりと発揮されることも確認できた。
この表３の結果から、ナリンギンの含有量が多いサンプルであっても、クエン酸の含有量が増加するにしたがい、ナリンギンによって低減したキレが増強するとともに、爽快感も増強することが確認できた。
また、ナリンギンの含有量が多いサンプルであってもクエン酸の含有量を多くすることによって（Ｙ／Ｘが所定範囲内となることによって）、味わい深さの増強効果、キレの増強効果、爽快感の増強効果の全てがしっかりと発揮されることも確認できた。
【0061】
表４は、β－シトロネロールを含有させた場合の結果である。
サンプル４－１とサンプル２－３、サンプル４－２とサンプル３－２、をそれぞれ比較すると、β－シトロネロールを含有させたサンプル４－１、４－２の方が、爽快感が大きく増強され、キレも僅かに増強されることが確認できた。また、これらの比較から、β－シトロネロールを含有させたとしても、味わい深さが低減してしまうといったことは発生しないことも確認できた。
サンプル４－３、４－４は、苦味価を変化させた結果であるが、いずれのサンプルも、味わい深さ、キレ、及び、爽快感の項目で優れた効果が発揮されることが確認できた。
サンプル４－１とサンプル２－３、サンプル４－２とサンプル３－２、をそれぞれ比較すると、β－シトロネロールを含有させたサンプル４－１、４－２の方が、爽快感が大きく増強され、キレも僅かに増強されることが確認できた。また、これらの比較から、β－シトロネロールを含有させたとしても、味わい深さが低減してしまうといったことは発生しないことも確認できた。
サンプル４－３、４－４は、苦味価を変化させた結果であるが、いずれのサンプルも、味わい深さ、キレ、及び、爽快感の項目で優れた効果が発揮されることが確認できた。
【0062】
表５は、発酵飲料に本発明を適用した場合の結果である。
サンプル５－１～５－４の結果によると、発酵飲料に本発明を適用した場合であっても、表１～４の各サンプルと同様、本発明の要件（苦味価、ナリンギンの含有量、クエン酸の含有量、さらにはβ－シトロネロールの含有量）を満たせば、所望の効果（味わい深さの増強効果、キレの増強効果、爽快感の増強効果）が発揮されることが確認できた。
また、サンプル５－５の結果によると、ナリンギンやクエン酸を別途添加したサンプルではなく、発酵により得られたサンプルであっても、所望の効果が発揮され、非常に優れた効果となることが確認できた。
サンプル５－１～５－４の結果によると、発酵飲料に本発明を適用した場合であっても、表１～４の各サンプルと同様、本発明の要件（苦味価、ナリンギンの含有量、クエン酸の含有量、さらにはβ－シトロネロールの含有量）を満たせば、所望の効果（味わい深さの増強効果、キレの増強効果、爽快感の増強効果）が発揮されることが確認できた。
また、サンプル５－５の結果によると、ナリンギンやクエン酸を別途添加したサンプルではなく、発酵により得られたサンプルであっても、所望の効果が発揮され、非常に優れた効果となることが確認できた。