(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176653
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20241212BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H05K1/02 F
H05K1/02 Q
H05K7/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095377
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】豊山 愼治
(72)【発明者】
【氏名】浦 康一
(72)【発明者】
【氏名】世古 秀明
(72)【発明者】
【氏名】峠 英男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑太朗
【テーマコード(参考)】
5E322
5E338
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322AB04
5E322AB11
5E338AA18
5E338BB75
5E338CC08
5E338CD32
5E338EE02
(57)【要約】
【課題】設計の自由度が向上した電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置は、接地配線がプリントされた配線基板と、前記配線基板に対向する導電性の放熱板と、前記配線基板と前記放熱板との位置関係を固定する固定部材と、前記固定部材の位置とは異なる位置に設けられ、少なくとも一部が導電性を有し、前記接地配線と前記放熱板とを電気的に接続する弾性部材と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地配線がプリントされた配線基板と、
前記配線基板に対向する導電性の放熱板と、
前記配線基板と前記放熱板との位置関係を固定する固定部材と、
前記固定部材の位置とは異なる位置に設けられ、少なくとも一部が導電性を有し、前記接地配線と前記放熱板とを電気的に接続する弾性部材と、を備えた、
電子装置。
【請求項2】
前記配線基板は、前記接地配線の位置に貫通孔を有していない、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記放熱板は、貫通孔を有し、
前記貫通孔に挿入された導電性のプッシュピンをさらに備え、
前記弾性部材は、前記プッシュピンのヘッドと前記放熱板との間に設けられ、前記ヘッドを前記接地配線に押し付け、かつ、前記放熱板に接触しおり、
前記放熱板と前記接地配線とは、前記ヘッドおよび前記弾性部材を介して電気的に接続される、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記プッシュピンは、前記ヘッドから突出し、前記ヘッドの幅よりも小さい幅を有する導電性の突起を有し、
前記突起が前記弾性部材によって前記接地配線に押し付けられ、
前記放熱板と前記接地配線とは、前記突起、前記ヘッド、および前記弾性部材を介して電気的に接続される、
請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記放熱板は、貫通孔を有し、
前記貫通孔に挿入されたプッシュピンをさらに備え、
前記弾性部材は、前記配線基板と前記放熱板との間に設けられ、前記プッシュピンによって前記接地配線に押し付けられ、かつ、前記放熱板に接触しており、
前記放熱板と前記接地配線とは、前記弾性部材を介して電気的に接続される、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記プッシュピンの両側で、前記放熱板に接触している、
請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、弾性部材用貫通孔を有し、
前記プッシュピンは、前記貫通孔および前記弾性部材用貫通孔に挿入されている、
請求項5に記載の電子装置。
【請求項8】
前記放熱板は、貫通孔を有し、
前記弾性部材は、前記貫通孔に挿入されたプッシュピンであり、
前記プッシュピンの表面は、前記導電性を有する導電膜によって構成されており、
前記放熱板と前記接地配線とは、前記導電膜を介して電気的に接続される、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項9】
前記プッシュピンは、前記プッシュピンを前記弾性部材として機能させるスリットを有している、
請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記弾性部材は、
前記接地配線と前記放熱板との間に設けられたバネ部と、
前記バネ部と一体的に設けられており、前記放熱板の貫通孔に挿入されることにより前記弾性部材を前記放熱板に固定させる固定用構造と、を含む、請求項1に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、下記の特許文献1に開示されているように、電子装置の開発が行われている。このような電子装置は、配線基板、導電性の放熱板、固定部材、および導電性のバネ部材を備えている。配線基板には、半導体デバイスが搭載され、かつ、接地配線がプリントされている。
【0003】
放熱板は、半導体デバイスが発した熱を電子装置の外部へ放出する。固定部材は、配線基板と放熱板とを固定している。バネ部材は、固定部材に巻き付けられており、放熱板と接地配線とを電気的に接続している。このように、放熱板と接地配線とを電気的に接続する理由は、不要輻射対策または静電気対策のためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に開示された技術においては、バネ部材が固定部材に巻き付けられている。そのため、放熱板と接地配線との電気的な接続の位置が、放熱板と配線基板とを固定する固定部の位置に限定される。その結果、放熱板と接地配線との電気的な接続の位置の配線基板に貫通孔を設ける必要が生じる。したがって、配線基板の設計の自由度、または、不要輻射対策または静電気対策としての放熱板と接地配線との電気的接続の位置の自由度が低下する。つまり、電子装置の設計の自由度が低下する。
【0006】
本開示は、上述の問題に鑑みなされたものである。本開示の目的は、設計の自由度が向上した電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電子装置は、接地配線がプリントされた配線基板と、前記配線基板に対向する導電性の放熱板と、前記配線基板と前記放熱板との位置関係を固定する固定部材と、前記固定部材の位置とは異なる位置に設けられ、少なくとも一部が導電性を有し、前記接地配線と放熱板とを電気的に接続する弾性部材と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】実施の形態3の電子装置の弾性部材の斜視図である。
【
図6】実施の形態4の電子装置の弾性部材の斜視図である。
【
図8】実施の形態6の電子装置の弾性部材の立面図である。
【
図9】実施の形態6の電子装置の弾性部材の平面図である。
【
図10】実施の形態6の電子装置の弾性部材を放熱板の貫通孔に挿入する工程を示す図である。
【
図12】実施の形態7の電子装置の弾性部材の立面図である。
【
図13】実施の形態7の電子装置の弾性部材の平面図である。
【
図14】実施の形態7の電子装置の弾性部材を放熱板の貫通孔に挿入する工程を示す図である。
【
図16】実施の形態8の電子装置の弾性部材の立面図である。
【
図17】実施の形態8の電子装置の弾性部材の平面図である。
【
図18】実施の形態8の電子装置の弾性部材を放熱板の貫通孔に挿入する工程を示す図である。
【
図20】実施の形態9の電子装置の弾性部材の立面図である。
【
図21】実施の形態9の電子装置の弾性部材の平面図である。
【
図22】実施の形態9の電子装置の弾性部材を放熱板の貫通孔に挿入する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態の電子装置を、図面を参照しながら説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の電子装置10の断面図である。
【0011】
図1に示されるように、電子装置10は、配線基板1、放熱板2、固定部材3、弾性部材4、およびプッシュピン5を備えている。
【0012】
配線基板1には、半導体デバイスおよび電子部品等の熱源(図示せず)が搭載されている。配線基板1には、半導体デバイスおよび電子部品等に電気的に接続された回路配線(図示せず)がプリントされている。配線基板1の母材は、樹脂等の絶縁性の基板である。絶縁性の基板の表面上に銅または銀等からなる導電性の膜により形成された回路配線がプリントされている。
【0013】
配線基板1には、接地配線1aもプリントされている。接地配線1aは、回路回線の一部を構成し、半導体デバイスおよび電子部品等に電気的に接続されている。したがって、接地配線1aは、半導体デバイスおよび電子部品の電位を固定するために用いられる。接地配線1aは、GNDパターンと呼ばれる回路配線の一部であり、銅または銀等の導電性の膜により形成されている。
【0014】
放熱板2は、配線基板1に対向するように設けられている。放熱板2は、アルミニクム等の金属製であるため、配線基板1よりも放熱性に優れている。放熱板2は、導電性を有している。
【0015】
したがって、放熱板2は、半導体デバイスおよび電子部品が発した熱を外部空間へ放出する機能、および、半導体デバイスおよび電子部品等の電位を固定する機能を兼ね備えている。放熱板2は、貫通孔2aを有している。
【0016】
固定部材3は、配線基板1と放熱板2との位置関係を固定する。固定部材3は、配線基板1と放熱板2との間の距離を一定に維持している。固定部材3は、プッシュピンである。固定部材3は、樹脂製であるため、絶縁性を有している。
【0017】
弾性部材4は、固定部材3の位置とは異なる位置に設けられている。弾性部材4は、本実施の形態においては、つる巻きバネである。弾性部材4は、金属製であるため、適度な弾性および導電性を有している。
【0018】
弾性部材4は、プッシュピン5のヘッド5aと放熱板2との間に、圧縮された状態で設けられている。弾性部材4は、プッシュピン5のヘッド5aおよび放熱板2のそれぞれに接触している。プッシュピン5は、金属製であるため、導電性を有している。弾性部材4は、導電性であるため、ヘッド5aを介して、接地配線1aと放熱板2とを電気的に接続する。ただし、弾性部材4の少なくとも一部が導電性を有していれば、弾性部材4の全部が導電性を有していなくてもよい。
【0019】
プッシュピン5は、貫通孔2aに挿入されている。プッシュピン5は、ヘッド5aを有している。プッシュピン5のヘッド5aは、接地配線1aに接触している。プッシュピン5の軸のまわりに弾性部材4が巻き付けられている。
【0020】
上記のような本実施の形態の電子装置10によれば、導電性の接地配線1a、導電性のプッシュピン5のヘッド5a、導電性の弾性部材4、および導電性の放熱板2からなる電気伝導経路が、固定部材3の位置とは異なる位置に設けられている。そのため、放熱板2と接地配線1aとの電気的な接続の位置が、固定部材3の位置に限定されない。その結果、配線基板1の設計の自由度、および、不要輻射対策または静電気対策としての放熱板2と接地配線1aとの電気的接続の位置の自由度が向上する。したがって、電子装置10の設計の自由度が向上する。
【0021】
また、本実施の形態の電子装置10においては、配線基板1は、接地配線1aの位置に貫通孔を有していない。そのため、配線基板1上の接地配線1aの設計の自由度が向上する。
【0022】
また、放熱板2は、貫通孔2aを有している。プッシュピン5は、貫通孔2aに挿入されている。プッシュピン5は、金属製であるため、導電性を有している。弾性部材4は、プッシュピン5のヘッド5aと放熱板2との間に設けられている。
【0023】
前述したように、弾性部材4は、ヘッド5aを接地配線1aに押し付けている。弾性部材4は、ヘッド5aおよび放熱板2のそれぞれに接触している。そのため、放熱板2と接地配線1aとは、ヘッド5aおよび弾性部材4を介して電気的に接続されている。
【0024】
上記の本実施の形態の電子装置10によれば、放熱板2の任意の位置に貫通孔2aを明けるだけで、プッシュピン5とともに弾性部材4を放熱板2と接地配線1aとの間に設けることができる。
【0025】
(実施の形態2)
図2を用いて、実施の形態2の電子装置10を説明する。なお、下記において実施の形態1の電子装置10と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の電子装置10は、以下の点で、実施の形態1の電子装置10と異なる。
【0026】
図2は、実施の形態2の電子装置10の断面図である。
図2においては、固定部材3は描かれていないが、本実施の形態の電子装置10も、実施の形態1と同様に、配線基板1と放熱板2との位置関係を固定する固定部材3を有している。
【0027】
図2に示されるように、プッシュピン5は、円盤状のヘッド5aとヘッド5aの一方の面から延びる軸部とを備えている。プッシュピン5は、ヘッド5aから軸部とは逆方向に突出す突起5a1を有している。
【0028】
突起5a1は、ヘッド5aの幅(径)よりも小さい幅(径)を有する。突起5a1は、ヘッド5aを押す弾性部材4によって、接地配線1aに押し付けられる。プッシュピン5を構成する軸部、ヘッド5a、および突起5a1のいずれもが導電性の部材により形成されている。本実施の形態においては、放熱板2と接地配線1aとは、ヘッド5a、突起5a1、および弾性部材4を介して電気的に接続されている。
【0029】
本実施の形態においては、突起5a1がヘッド5aの幅よりも小さいため、ヘッド5a全体が接地配線1aに接触する場合に比較して、突起5a1が接触する接地配線1aの幅を小さくすることができる。その結果、配線基板1にプリントされる配線の設計の自由度を向上させることができる。
【0030】
(実施の形態3)
図3および
図4を用いて、実施の形態3の電子装置10を説明する。なお、下記において実施の形態1または2の電子装置10と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の電子装置10は、以下の点で、実施の形態1または2の電子装置10と異なる。
【0031】
図3は、実施の形態3の電子装置10の断面図である。
図4は、実施の形態3の電子装置10の弾性部材4の斜視図である。
図3および
図4においては、固定部材3は描かれていないが、本実施の形態の電子装置10も、実施の形態1と同様に、配線基板1と放熱板2との位置関係を固定する固定部材3を有している。
【0032】
図3および
図4に示されるように、放熱板2は、貫通孔2aを有している。プッシュピン5は、貫通孔2aに挿入されている。ただし、本実施の形態のプッシュピン5は、樹脂製であるため、導電性を有していない。つまり、プッシュピン5は、絶縁性を有している。弾性部材4は、配線基板1と放熱板2との間に設けられている。
【0033】
本実施の形態の電子装置10においては、絶縁性のプッシュピン5の先端が接地配線1aに対して導電性の弾性部材4を押し付けている。なお、本実施の形態においてプッシュピン5は絶縁性を有する樹脂製としたが、導電性を有する金属製であってもよい。
【0034】
導電性の弾性部材4は、導電性の放熱板2に接触している。弾性部材4は、接着剤6またはピン(図示せず)等で、プッシュピン5の先端に固定されている。本実施の形態においても、弾性部材4は、導電性であるため、放熱板2と接地配線1aとは、弾性部材4を介して電気的に接続されている。
【0035】
本実施の形態の電子装置10によっても、配線基板1にプリントされる配線の設計の自由度を向上させることができる。また、本実施の形態の電子装置10によっても、不要輻射対策または静電気対策としての放熱板2と接地配線1aとの電気的接続の位置の自由度を向上させることもできる。したがって、本実施の形態においても、電子装置10の設計の自由度を向上させることができる。
【0036】
導電性の弾性部材4は、プッシュピン5の両側で、導電性の放熱板2に接触している。そのため、弾性部材4が放熱板2に接触しなくなるおそれが低減されている。したがって、接地配線1a、導電性の弾性部材4、および導電性の放熱板2からなる電気経路が物理的に断絶してしまうおそれが低減されている。
【0037】
本実施の形態の弾性部材4は、左右対称の形状を有している。具体的には、弾性部材4は、板バネを曲げ加工することにより、V字またはU字のような形状を有している。したがって、弾性部材4の製造を容易に行うことができる。また、放熱板2と弾性部材4との接触する面の面積を大きくすることができる。
【0038】
(実施の形態4)
図5および
図6を用いて、実施の形態4の電子装置10を説明する。なお、下記において実施の形態1~3の電子装置10と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の電子装置10は、以下の点で、実施の形態1~3の電子装置10と異なる。
【0039】
図5は、実施の形態4の電子装置10の断面図である。
図6は、実施の形態4の電子装置10の弾性部材4の斜視図である。
図5および
図6において、固定部材3は描かれていないが、本実施の形態の電子装置10も、実施の形態1と同様に、配線基板1と放熱板2との位置関係を固定する固定部材3を有している。
【0040】
図5および
図6に示されるように、本実施の形態の電子装置10の弾性部材4は、
図3および
図4に示される実施の形態3の電子装置10の弾性部材4と形状においてのみ異なる。本実施の形態の電子装置10によっても、配線基板1にプリントされる配線の設計の自由度を向上させることができる。
【0041】
本実施の形態の弾性部材4は、弾性部材用貫通孔4thを有している。プッシュピン5は、本実施の形態においても、絶縁性を有する樹脂からなる。なお、本実施の形態においてプッシュピン5は絶縁性を有する樹脂製としたが、導電性を有する金属製であってもよい。プッシュピン5は、弾性部材用貫通孔4thに挿入されている。そのため、本実施の形態の弾性部材4は、実施の形態3の弾性部材4に比較して、プッシュピン5から外れ難い。
【0042】
(実施の形態5)
図7を用いて、実施の形態5の電子装置10を説明する。なお、下記において実施の形態1~4の電子装置10と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の電子装置10は、以下の点で、実施の形態1~4の電子装置10と異なる。
【0043】
図7は、実施の形態5の電子装置10の断面図である。
【0044】
図7に示されるように、放熱板2は、貫通孔2aを有している。プッシュピン5は、貫通孔2aに挿入されている。本実施の形態においては、プッシュピン5は、本実施の形態においては、樹脂製であるため、導電性を有していない。つまり、プッシュピン5は、絶縁性を有している。
【0045】
しかしながら、プッシュピン5の表面には、導電膜5bが塗布されている。導電膜5bは、金属メッキである。つまり、プッシュピン5の表面は、導電膜5bによって構成されている。したがって、プッシュピン5の表面は、導電性を有している。
【0046】
導電性の放熱板2と接地配線1aとは、導電膜5bを介して電気的に接続されている。なお、本実施の形態の電子装置10は、上記の実施の形態1~4で説明された弾性部材4を有していない。
【0047】
本実施の形態の電子装置10によっても、配線基板1にプリントされる配線の設計の自由度を向上させることができる。
【0048】
本実施の形態のプッシュピン5は、スリット5cを有している。プッシュピン5のスリット5cの両側の部分は、プッシュピン5のスリット5cの両側の部分以外の部分に比較して細いため、撓みやすい。そのため、本実施の形態のプッシュピン5は、弾性部材として機能する。
【0049】
したがって、弾性部材としてのプッシュピン5は、導電膜5bを接地配線1aおよび放熱板2のそれぞれに押し付ける。そのため、本実施の形態の電子装置10は、実施の形態1~4で説明された弾性部材4を有していなくても、接地配線1aと放熱板2との良好な電気的な接続を維持することができる。ただし、プッシュピン5は、スリット5c以外の構造によって弾性部材として機能してもよい。
【0050】
(実施の形態6)
図8~
図11を用いて、実施の形態6の電子装置10を説明する。なお、下記において実施の形態1~5の電子装置10と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の電子装置10は、以下の点で、実施の形態1~5の電子装置10と異なる。
【0051】
図8および
図9に示されるように、本実施の形態の弾性部材4は、コイル状をなすバネ部4aと、バネ部4aを配線基板1と放熱板2との間に固定するためのフック状をなす固定用構造4bを有している。本実施の形態においても、弾性部材4は、導電性を有している。本実施の形態の弾性部材4は、金属製の針金を整形したものであるため、低コストで製造され得る。
【0052】
図10に示されるように、固定用構造4bの2つのフック状をなす先端が放熱板2の1つの貫通孔2aに挿入される。それにより、固定用構造4bが貫通孔2aに引っかかることにより、弾性部材4が貫通孔2aから抜けなくなる。その後、
図11に示されるように、バネ部4aの先端が配線基板1上の接地配線1aに接触させられる。それにより、配線基板1の接地配線1aと放熱板2とが、弾性部材4を経由して、電気的に導通する。なお、
図11においては、固定部材3は描かれていないが、本実施の形態の電子装置10も、実施の形態1と同様に、配線基板1と放熱板2との位置関係を固定する固定部材3を有している。
【0053】
本実施の形態の電子装置10の弾性部材4は、接地配線1aと放熱板2との間に設けられたバネ部4aと、バネ部4aと一体的に設けられており、放熱板2の貫通孔2aに挿入されることにより弾性部材4を放熱板2に固定させる固定用構造4bと、を含んでいる。このような本実施の形態の電子装置10によっても、導電性の接地配線1a、弾性部材4、および導電性の放熱板2からなる電気伝導経路が、固定部材3の位置とは異なる位置に設けられている。そのため、放熱板2と接地配線1aとの電気的な接続の位置が、固定部材3の位置に限定されない。したがって、本実施の形態の電子装置10も、実施の形態1~5の電子装置10と同様に、設計の自由度が向上する。
【0054】
(実施の形態7)
図12~
図15を用いて、実施の形態7の電子装置10を説明する。なお、下記において実施の形態1~6の電子装置10と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の電子装置10は、以下の点で、実施の形態1~6の電子装置10と異なる。
【0055】
図12~
図15に示されるように、本実施の形態の電子装置10は、弾性部材4の固定用構造4bが離れた位置にあり、放熱板2の貫通孔2aが第1貫通孔部2a1と第2貫通孔部2a2とからなる点においてのみ、実施の形態6の電子装置10と異なる。本実施の形態においては、固定用構造4bの2つのフック状をなす先端、それぞれ、第1貫通孔部2a1および第2貫通孔部2a2に挿入されるため、弾性部材4と放熱板2とがより強固に固定される。
【0056】
本実施の形態においても、弾性部材4は、金属製の針金を整形したものであるため、低コストで製造され得る。
図15においては、固定部材3は描かれていないが、本実施の形態の電子装置10も、実施の形態1と同様に、配線基板1と放熱板2との位置関係を固定する固定部材3を有している。このような本実施の形態の電子装置10によっても、実施の形態1~6の電子装置10と同様に、電子装置10の設計の自由度が向上する。
【0057】
(実施の形態8)
図16~
図19を用いて、実施の形態8の電子装置10を説明する。なお、下記において実施の形態1~7の電子装置10と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の電子装置10は、以下の点で、実施の形態1~7の電子装置10と異なる。
【0058】
図16および
図17から分かるように、本実施の形態の電子装置10は、弾性部材4の固定用構造4bがコイル構造からなる点においてのみ、実施の形態6または7の電子装置10と異なる。本実施の形態の固定用構造4bは放熱板2の貫通孔2aの径より小さい径のコイル部分と貫通孔2aの径より大きい径のコイル部分とによって構成されているため、弾性部材4の位置ずれおよび抜け落ちを防止することができる。なお、本実施の形態においては、
図18に示されるように、弾性部材4をバネ部4aの中心軸まわりに回転させながら、バネ部4aを貫通孔2aにねじ込む。
【0059】
図19に示されるように、バネ部4aの先端に接地配線1aを接触させることにより、配線基板1と放熱板2との間にバネ部4aが位置付けられる。
図19においては、固定部材3は描かれていないが、本実施の形態の電子装置10も、実施の形態1と同様に、配線基板1と放熱板2との位置関係を固定する固定部材3を有している。本実施の形態の電子装置10によっても、実施の形態1~7の電子装置10と同様に、電子装置10の設計の自由度が向上する。
【0060】
(実施の形態9)
図20~
図23を用いて、実施の形態9の電子装置10を説明する。なお、下記において実施の形態1~8の電子装置10と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の電子装置10は、以下の点で、実施の形態1~8の電子装置10と異なる。
【0061】
図20~
図23に示されるように、本実施の形態の電子装置10は、弾性部材4の固定用構造4bの形状のみが実施の形態6の電子装置10と異なる。
図23においては、固定部材3は描かれていないが、本実施の形態の電子装置10も、実施の形態1と同様に、配線基板1と放熱板2との位置関係を固定する固定部材3を有している。このような本実施の形態の電子装置10によっても、実施の形態1~8の電子装置10と同様に、電子装置10の設計の自由度が向上する。
【符号の説明】
【0062】
1 配線基板
1a 接地配線
2 放熱板
2a 貫通孔
3 固定部材
4 弾性部材
4a バネ部
4b 固定用構造
4th 弾性部材用貫通孔
5 プッシュピン
5a ヘッド
5a1 突起
5b 導電膜
5c スリット
10 電子装置