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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176662
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】リニア搬送システム
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20241212BHJP
   H02K 41/02 20060101ALI20241212BHJP
   H02K 41/03 20060101ALI20241212BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F16C29/06
H02K41/02 C
H02K41/03 A
B65G54/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095390
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114498
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100222243
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 友彬
(72)【発明者】
【氏名】海野 旭弘
【テーマコード(参考)】
3F021
3J104
5H641
【Fターム(参考)】
3F021AA01
3F021BA02
3F021CA06
3F021DA04
3F021DA06
3F021DA08
3J104AA02
3J104AA64
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104AA79
3J104BA07
3J104BA69
3J104BA72
3J104DA13
3J104DA18
3J104EA01
5H641BB06
5H641GG02
5H641GG07
5H641HH03
5H641JA02
5H641JA09
(57)【要約】
【課題】
機械装置の取付け面に対して複数のモジュールベースを組付けてリニア搬送システムを構築するに際して、熟練作業者でなくても互いに隣接して配置されたモジュールベースの位置決めを短時間で容易に行うことができると共に、配置されるリニアモジュールの基数を容易に変更可能であり、製品の生産ラインの組み換えを容易に行うことが可能なリニア搬送システムを提供する。
【解決手段】
各モジュールベースの底面には、隣接するモジュールベースに向けて開放されると共に前記軌道レールの長手方向に合致して延びる位置合わせ溝が形成される一方、互いに隣接するモジュールベースに跨って前記位置合わせ溝に嵌合する棒状の軸決め部材が設けられ、各モジュールベースは前記軸決め部材を前記位置合わせ溝に嵌合させた状態で前記取付け面に固定されている。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアガイドの軌道レールが位置決め固定された複数のモジュールベースを機械装置の取付け面に対して直列に配置し、一の軌道レールに組付けられたスライダが複数の軌道レールを順次乗り移りながら移動可能なリニア搬送システムであって、
各モジュールベースの底面には、隣接するモジュールベースに向けて開放されると共に前記軌道レールの長手方向に合致して延びる位置合わせ溝が形成される一方、
互いに隣接するモジュールベースに跨って前記位置合わせ溝に嵌合する棒状の軸決め部材が設けられ、
各モジュールベースは前記軸決め部材を前記位置合わせ溝に嵌合させた状態で前記取付け面に固定されることを特徴とするリニア搬送システム。
【請求項2】
各モジュールベースの底面には、隣接するモジュールベースに向けて開放されると共に前記軌道レールの幅方向に合致して延びる隙間調整溝が形成される一方、
互いに隣接するモジュールベースに跨って前記隙間調整溝に嵌合する棒状の間隔調整部材が設けられ、
各モジュールベースは前記レール間隔調整部材を前記隙間調整溝に嵌合させた状態で前記取付け面に固定され、互いに隣接するモジュールベース間に所定の隙間が形成されることを特徴とする請求項1記載のリニア搬送システム。
【請求項3】
前記軸決め部材及び前記間隔調整部材には互いに直交して組み合わせるための凹所が設けられていることを特徴とする請求項2記載のリニア搬送システム。
【請求項4】
前記スライダにはワークテーブルとなるキャリッジが固定され、
各モジュールベースには複数のコイルユニットが前記軌道レールの長手方向に沿って配列される一方、前記キャリッジにはマグネット部材が設けられ、
これら複数のコイルユニットとマグネット部材が対向して前記キャリッジに推力を与えるリニアモータが構成されることを特徴とする請求項1記載のリニア搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台等の機械装置の取付け面に対して複数のモジュールベースを直列に配置することで設置規模を容易に変更することが可能なリニア搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、架台上に設けられた取付け面に対して複数のモシーュールベースを直列に配置し、リニア搬送システムを構築する例が開示されている。前記モジュールベースにはリニアガイドの軌道レールが位置決めされると共に、かかる軌道レールに沿ってリニアモータ固定子が配置されている。また、前記軌道レールにはリニアガイドのスライダが組付けられると共に、当該スライダにはリニアモータ可動子を備えたキャリッジが装着されている。
【0003】
このため、複数のモジュールベースを前記取付け面上で直列に配置して、各モジュールベースに含まれる軌道レールを繋ぎ合わせることで、リニアモータによって推進されるキャリッジが複数のモジュールベースの上を連続的に移動可能なリニア搬送システムが構築される。このようなリニア搬送システムは例えば製品の生産ラインにおけるワークの搬送などに使用される。その際、組み合わせるモジュールベースの数を任意に変更することにより、リニア搬送システムの規模を容易に変更することが可能であり、製品の生産ラインの組み換えを容易に行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2021-124426
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その一方、取付け面上に複数のモジュールベースを組付ける際には、互いに隣接して配置された二基のモジュールベースの位置決めが極めて重要である。仮に前記取付け面上におけるモジュールベースの位置決め精度が低い場合には、一方のモジュールベースに含まれる軌道レールの端部と他方のモジュールベースに含まれる軌道レールの端部とが正しく接続されず、前記キャリッジの円滑な移動が損なわれてしまう。
【0006】
また、製品の生産ラインの組み換えを容易に行えるといった観点からすれば、熟練作業者でなくても互いに隣接して配置された二基のモジュールベースの位置決めを短時間で容易に行えることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、機械装置の取付け面に対して複数のモジュールベースを組付けてリニア搬送システムを構築するに際して、熟練作業者でなくても互いに隣接して配置されたモジュールベースの位置決めを短時間で容易に行うことができると共に、配置されるリニアモジュールの基数を容易に変更可能であり、製品の生産ラインの組み換えを容易に行うことが可能なリニア搬送システムを提供することにある。
【0008】
すなわち、本発明は、リニアガイドの軌道レールが位置決め固定された複数のモジュールベースを機械装置の取付け面に対して直列に配置し、一の軌道レールに組付けられたスライダが複数の軌道レールを順次乗り移りながら移動可能なリニア搬送システムであって、各モジュールベースの底面には、隣接するモジュールベースに向けて開放されると共に前記軌道レールの長手方向に合致して延びる位置合わせ溝が形成される一方、互いに隣接するモジュールベースに跨って前記位置合わせ溝に嵌合する棒状の軸決め部材が設けられ、各モジュールベースは前記軸決め部材を前記位置合わせ溝に嵌合させた状態で前記取付け面に固定されている。
【発明の効果】
【0009】
このような本発明によれば、機械装置の取付け面に対して複数のモジュールベースを組付けてリニア搬送システムを構築するに際して、熟練作業者でなくても互いに隣接して配置されたモジュールベースの位置決めを短時間で容易に行うことができると共に、そのリニア搬送システムの規模を容易に変更可能であり、製品の生産ラインの組み換えを容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のリニアリニア搬送システムを構築するリニアモジュールの一例を示す分解斜視図である。
図2図1に示すリニアモジュールの正面図である。
図3】三基のリニアモジュールを直列に配置して構成したリニア搬送システムを示す側面図である。
図4】連結部材を用いて二基のリニアモジュールを直列に配置する様子を示す斜視図である。
図5】軸決め部材及び間隔調整部材の組み合わせを示す斜視図である。
図6】各リニアモジュールと軸決め部材及び間隔調整部材の組み合わせ状態を示す分解斜視図である。
図7図3に示すリニア搬送システムを架台ユニットのベースプレート上に構築した一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を用いながら本発明のリニア搬送システムを詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2は本発明のリニア搬送システムを構築するためのリニアモジュールの一例を示す斜視図及び正面図である。前記リニア搬送システム1は図1に示すリニアモジュール2の複数基を機械装置の取付け面に対して直列に配置して構成される。
【0013】
前記リニアモジュール2は、前記取付け面に対してボルト固定されるモジュールベース3と、このモジュールベース3に対して固定された軌道レール4と、前記軌道レール4に組付けられたスライダ5と、前記スライダ5に固定されたキヤリッジ6と、を備えている。前記軌道レール4と前記スライダ5はリニアガイドを構成しており、当該スライダ5は多数の転動体を介して前記軌道レール4に組付けられると共に、前記多数の転動体の無限循環路を備えている。このため、前記スライダ5は前記軌道レール4の長手方向へ自在に往復運動可能であり、当該スライダ5に固定されたキャリッジ6は前記モジュールベース3上を前記軌道レール4の長手方向へ沿って自在に移動可能である。また、前記軌道レール4は前記モジュールベース3に対して位置決めされており、当該モジュールベース3を機械装置の取付け面に対して位置決め固定すると、前記軌道レール4が前記取付け面に対して位置決めされ、前記キャリッジ6を前記取付け面上で高精度に移動させることが可能である。尚、これら軌道レール4とスライダ5の組み合わせとしては、必要とされる前記キャリッジ6の移動精度、荷重負荷能力に応じて公知のリニアガイドを任意に選択して使用することができる。
【0014】
また、この実施形態におけるリニア搬送システム1では前記キャリッジ6対してリニアモータ7によって前記軌道レール4の長手方向に沿った推力が与えられる。前記モジュールベース3にはリニアモータ7の固定子としてのコイル部材7aが前記軌道レール4に沿って配列される一方、前記キャリッジ6にはリニアモータ7の可動子としてのマグネット部材7bが設けられている。前記マグネット部材7bは前記キャリッジ6の移動方向に沿ってN極とS極を交互に配列した構造となっている。
【0015】
更に、前記キャリッジ6にはリニアスケール8aが設けられる一方、前記モジュールベース3には前記リニアスケール8aと対向する位置にエンコーダ8bが設けられており、前記モジュールベース3に対する前記キャリッジ6の移動量に応じた出力信号を前記エンコーダ8bから得られるようになっている。従って、前記リニアモータ7に印加する駆動信号を前記エンコーダ8bの出力信号に基づいて制御することにより、前記モジュールベース3上での前記キャリッジ6の移動量を任意に制御することが可能である。尚、これらリニアスケール8aとエンコーダ8bの組み合わせは、磁気式や光学式等の任意の方式を選択することができる。
【0016】
図3は三基のリニアモジュール2A,2B,2Cを前記軌道レールの長手方向に沿って直列に配置して構成したリニア搬送システム1を示す側面図である。同図に示したリニア搬送システム1では、三基のリニアモジュール2A,2B,2Cのうち、前記キャリッジ6及び前記スライダ5は一基のリニアモジュール2Aにのみ設けられており、前記スライダ5は各リニアモジュール2A,2B,2Cに配設された軌道レール4を乗り移りながら、このリニア搬送システム1の全長にわたって往復運動することが可能である。尚、図3では三基のリニアモジュール2A,2B,2Cを直列に配置した例を示しているが、配置するリニアモジュールの基数は必要とするリニア搬送システムの規模に応じて任意に決定することが可能である。
【0017】
図1に示されるように、各リニアモジュール2ではモジュールベース3の全長よりも軌道レール4の全長の方がわずかに短く設定されており、当該モジュールベース3の両端にはレール取付け面30の一部が露出している。このため、二基のリニアモジュール2を直列に配置して機械装置の取付け面に固定した場合に、一方のリニアモジュール2の軌道レール4の端部と他方のリニアモジュール2の軌道レール4の端部とは隙間を介して離間した状態となる。図3に示すリニア搬送システムでは、リニアモジュール2Aとリニアモジュール2Bの境界部、リニアモジュール2Bとリニアモジュール2Cの境界部に対して連結レール9が配置され、当該連結レール9は互いに隣接する二基のリニアモジュールを跨ぐようにして各リニアモジュール2のレール取付け面30に固定される。これにより、直列に配置された三基のリニアモジュール2A,2B,2Cの軌道レールが一本の案内軌道として構成される。
【0018】
このようにして三基のリニアモジュール2A,2B,2Cを直列に配置して位置決め固定すると、各モジュールベース3に固定された軌道レール4が前記連結レール9を介して直列に結合され、長尺な一本の案内軌道が構成される。いずれかのリニアモジュール2に組付けられたキャリッジ6は当該案内軌道に沿って三基のリニアモジュール2A,2B,2Cの上を連続的に移動することが可能となる。このため、各リニアモジュール2に設けられたコイル部材7aに通電すると、前記スライダ5に固定されたキャリッジ6はリニアモータ7によって推進され、三基のリニアモジュール2A,2B,2Cによって構成された経路内を自在に往復運動することになる。従って、直列に配置するリニアモジュール2の基数を増減することにより、経路長を任意に変更してリニア搬送システム1を構築することができる。尚、複数のリニアモジュール2によって構成されたリニア搬送システム1は複数基のキャリッジ6を含むことも可能であり、その場合は各キャリッジ6に対して他のキャリッジ6から独立した個別の運動を与えることも可能である。
【0019】
前記リニアモジュール2を機械装置の取付け面に対して固定する際には、図4に示すように、互いに隣接する二基のリニアモジュール2A,2Bの相互間の位置ずれを所定の範囲内に収めるために、連結部材10が用いられる。図5に示すように、この連結部材10は、二基のリニアモジュール2A,2Bの連結方向に沿って配置される棒状の軸決め部材11と、前記軸決め部材11と直交する方向へ延びる棒状の間隔調整部材12と、から構成されている。前記軸決め部材11及び前記間隔調整部材12のそれぞれは長手方向に直交する断面が長方形状に形成された角柱状の部材であり、長手方向の中央付近には凹所13が形成されて、前記軸決め部材11及び前記間隔調整部材12の両者を直交させて組み合わせることが可能となっている。
【0020】
一方、図6に示すように、前記モジュールベース3の底面には前記軸決め部材11が嵌合する位置合わせ溝14が形成されている。この位置合わせ溝14は前記モジュールベース3に固定された軌道レール4の長手方向と合致して延びており、当該位置合わせ溝14の一端は前記モジュールベース3の端面に開放されている。従って、二基のリニアモジュール2A,2Bを直列に配置した場合に、一方のリニアモジュール2Aのモジュールベース3に形成された位置合わせ溝14と他方のリニアモジュール2Bのモジュールベース3に形成されたそれとが一つの溝として配置され、当該溝に前記軸決め部材11を二基のリニアモジュール2A,2Bに跨った状態で嵌合させることが可能となる。
【0021】
また、前記モジュールベース3の底面には前記位置合わせ溝14と直行する隙間調整溝15が形成されている。この隙間調整溝15は前記モジュールベース3の長手方向の端部、すなわち隣接配置される他のモジュールベース3に面した位置に設けられており、前記軌道レール4の幅方向に合致して延びている。そして、二基のリニアモジュール2A,2Bを前記キャリッジ6の移動方向に沿って直列に配置した場合に、それぞれのモジュールベース3に形成された隙間調整溝15が互いに向かい合い、前記間隔調整部材12を収容する溝が形成されるようになっている。
【0022】
そして、機械装置の取付け面に対してリニア搬送システム1を組付ける際には、図6に示すように、軌道レール5の長手方向に沿って直列に配置される二基のリニアモジュール2A,2Bのそれぞれのモジュールベース3の間に前記軸決め部材11及び前記間隔調整部材12を配置して、前記取付け面に対するこれらリニアモジュール2A,2Bの相互の固定位置を調整する。すなわち、二基のリニアモジュール2A,2Bに跨って前記軸決め部材11を前記位置合わせ溝14に嵌合させると、一方のリニアモジュール2Aの軌道レール4の軸心と他方のリニアモジュール2Bの軌道レール4の軸心とを所定の誤差の範囲内で正対させ、その上で各リニアモジュール2A,2Bを機械装置の取付け面に対して固定することができ、直列に配置された二基のリニアモジュール2A,2Bの間における前記キャリッジ6の乗り移りを円滑に行うことが可能となる。
【0023】
また、二基のリニアモジュール2A,2Bに跨って前記間隔調整部材12を前記隙間調整溝15に嵌合させ、かかる間隔調整部材12を挟み込むようにしてこれらリニアモジュール2A,2Bを前記取付け面に固定すると、一方のリニアモジュール2Aの軌道レール4の端面と他方のリニアモジュール2Bの軌道レール4の端面との間隔を適切に設定することができ、一方のリニアモジュール2Aと他方のリニアモジュール2Bとの境界に前記連結レール9を配置した場合に、直列に配置された二基のリニアモジュール2A,2Bの軌道レール4を前記連結レール9で適切に接続して、前記キャリッジ6の円滑な移動を確保することが可能となる。
【0024】
尚、前記間隔調整部材12は前記軸決め部材11と組み合わせて前記モジュールベース3の下面側に配置する必要はない。例えば、機械装置の取付け面に二基のリニアモジュール2A,2Bを仮固定した後に、前記隙間調整溝15の長手方向の両端から当該隙間調整溝15に対して前記間隔調整部材12を挿入するようにしてもよい。この場合、当該間隔調整部材12によって二基のリニアモジュール2A,2Bの間隔を適切に設定した後に、これらリニアモジュール2A,2Bを機械装置の取付け面へ本固定することで、直列に配置された二基のリニアモジュール2A,2Bを適切に配置して、前記キャリッジ6の円滑な移動を確保することが可能となる。
【0025】
図7は、複数の架台モジュール20を連結して構成した架台ユニット21に対して前記リニア搬送システム1を設置する様子を示す斜視図である。
【0026】
この架台ユニット21は複数基の架台モジュール20を一列に連結して使用することが可能であり、図7は二基の架台モジュール20A,20Bを連結した状態を示している。各架台モジュール20にはベースプレート22が設けられており、当該ベースプレート22に各種加工機やロボットアーム等を据え付けることによって、ワークに対する加工又は組立の工程のいずれかを分担させることが可能である。前記架台ユニット1には複数基の架台モジュール20を貫くリニア搬送システム1を設けることが可能であり、このリニア搬送システム1を用いることで、加工や組み立ての対象となるワークを複数基の架台モジュール20の連結方向に沿って自在に搬送することができる。
【0027】
すなわち、前記架台ユニット21は複数基の架台モジュール20の連結方向に沿ってワークを搬送しながら当該ワークに対して各種加工や組み立てを行うことが可能な生産ラインを構成するものである。また、複数基の架台モジュール20の配列を組み替えることにより、ワークに対する各種加工や各種組立の順番を任意に入れ替え、生産ラインの構成の組み換えを容易に行えるようになっている。
【0028】
図7に示すように、各架台モジュール20A,20Bのベースプレート22には前記リニア搬送システム1のリニアモジュール2A,2Cが同一直線状に位置するように予め固定されている。二基の架台モジュール20A,20Bを連結すると、一方の架台モジュール20Aのベースプレート22に固定されたリニアモジュール2Aと他方の架台モジュール20Bのベースプレート22に固定されたリニアモジュール2Cの間には所定の間隔が生じるが、例えばこの間隔は前記リニアモジュール2Bの一基分となっている。このため、二基の架台モジュール20A,20Bを相互に連結した後に、これら架台モジュールの境界を跨ぐようにしてリニアモジュール2Bをリニアモジュール2Aとリニアモジュール2Cの間に挿入して、当該リニアモジュール2Bを各ベースプレート22に固定すると、三基のリニアモジュール2A,2B,2Cが直列に結合される。
【0029】
前記リニアモジュール2Bの固定に際しては、前記連結部材10を使用することにより、三基のリニアモジュール2A,2B,2Cのそれぞれに含まれる軌道レール4の軸心を所定の誤差の範囲内で正対させることができると共に、互いに対向する軌道レール4の端面の間に所定量のすき間を形成することができる。このため、直列に配置された三基のリニアモジュール2A,2B,2Cの間における前記キャリッジ6の乗り移りを円滑に行うことが可能となり、各リニアモジュール2に設けられたコイル部材7に通電すると、前記キャリッジ6はリニアモータ7によって推進されて、これら二基の架台モジュール20A,20Bの上で往復運動することが可能となる。例えば、前記キャリッジ6にワークテーブルを固定すれば、複数基の架台モジュールを貫いてワークを搬送可能なリニア搬送システム1を構築することができる。
【0030】
尚、図を用いて説明した本発明の実施形態では、互いに隣接する二基のリニアモジュール2の間に前記軸決め部材11と前記間隔調整部材12の双方を配置した例を説明したが、前記モジュールベース3同士を互いに突き当てることで、互いに正対する軌道レール5の端面の間隔を適切に保つことができるのであれば、前記間隔調整部材12は用いずに前記軸決め部材11のみを用いるようにしても差し支えない。
【符号の説明】
【0031】
1… リニア搬送システム、2…リニアモジュール、3…モジュールベース、4…軌道レール、5…スライダ、6…キャリッジ、7…リニアモータ、10…連結部材、11…軸決め部材、12…間隔調整部材、13…凹所、14…位置合わせ溝、15…隙間調整溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7