(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176663
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】周波数シンセサイザ及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H03B 28/00 20060101AFI20241212BHJP
H03L 7/099 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H03B28/00 A
H03L7/099
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095391
(22)【出願日】2023-06-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和5年度国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G に向けた高速ビームステアリング技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】野坂 秀之
【テーマコード(参考)】
5J106
【Fターム(参考)】
5J106BB10
5J106CC01
5J106DD02
5J106DD13
5J106DD17
5J106DD35
5J106DD42
5J106GG01
5J106HH02
5J106KK38
5J106KK40
(57)【要約】
【課題】位相を高速に切り換え可能でありながら、従来よりも小さな回路規模及び消費電力を有する周波数シンセサイザを提供する。
【解決手段】アキュムレータ12は、クロック信号に応じて所定範囲内において予め決められたステップ幅で増大又は減少するカウント値を生成する。ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2は、カウント値に応じて増大又は減少するランプ電圧を生成する。基準電圧回路15-1,15-2は、複数の基準電圧を生成する。信号生成回路14-1,14-2は、ランプ電圧及び複数の基準電圧に基づいて、互いに異なる位相を有する出力周波数信号をそれぞれ生成する。複数の信号生成回路14-1,14-2のそれぞれは、ランプ電圧に応じて正弦波又は余弦波に類似した波形で変化する信号レベルを有する出力周波数信号をアナログ信号処理により生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号に応じて所定範囲内において予め決められたステップ幅で増大又は減少するカウント値を生成するアキュムレータと、
前記カウント値に応じて増大又は減少するランプ電圧を生成する少なくとも1つの第1のディジタル/アナログ変換器と、
複数の基準電圧を生成する少なくとも1つの基準電圧回路と、
前記ランプ電圧及び前記複数の基準電圧に基づいて、互いに異なる位相を有する出力周波数信号をそれぞれ生成する複数の信号生成回路とを備え、
前記複数の信号生成回路のそれぞれは、前記ランプ電圧に応じて正弦波又は余弦波に類似した波形で変化する信号レベルを有する出力周波数信号をアナログ信号処理により生成し、
前記第1のディジタル/アナログ変換器及び前記基準電圧回路は、前記信号生成回路ごとに異なるランプ電圧と、前記複数の信号生成回路の間で共通の前記複数の基準電圧とを前記複数の信号生成回路に供給するか、又は、前記複数の信号生成回路の間で共通のランプ電圧と、前記信号生成回路ごとに異なる組み合わせの電圧を含む前記複数の基準電圧とを前記複数の信号生成回路に供給する、
周波数シンセサイザ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの基準電圧回路のそれぞれは、前記複数の基準電圧を生成する分圧抵抗を備える、
請求項1記載の周波数シンセサイザ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの基準電圧回路のそれぞれは、複数の電圧設定値に応じた大きさを有する前記複数の基準電圧を生成する複数の第2のディジタル/アナログ変換器を備え、
前記第2のディジタル/アナログ変換器は、前記第1のディジタル/アナログ変換器の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する、
請求項1記載の周波数シンセサイザ。
【請求項4】
前記周波数シンセサイザは、
複数の第1のディジタル/アナログ変換器と、
前記第1のディジタル/アナログ変換器ごとに異なるカウント値を供給するように、前記カウント値に位相設定値を加算する少なくとも1つの第1の加算器とを備える、
請求項1~3のうちの1つに記載の周波数シンセサイザ。
【請求項5】
前記周波数シンセサイザは、
複数の第1のディジタル/アナログ変換器と、
前記信号生成回路ごとに異なるランプ電圧を供給するように、位相設定値に応じた大きさを有する第1のバイアス電圧を生成し、前記複数の第1のディジタル/アナログ変換器のうちの少なくとも1つによって生成された前記ランプ電圧に前記第1のバイアス電圧を加算する少なくとも1つの第3のディジタル/アナログ変換器とを備え、
前記第3のディジタル/アナログ変換器は、前記第1のディジタル/アナログ変換器の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する、
請求項1~3のうちの1つに記載の周波数シンセサイザ。
【請求項6】
前記周波数シンセサイザは、
1つの第1のディジタル/アナログ変換器と、
複数の基準電圧回路とを備え、
前記複数の基準電圧回路のそれぞれは、複数の電圧設定値に応じた大きさを有する前記複数の基準電圧を生成する複数の第2のディジタル/アナログ変換器を備え、
前記複数の基準電圧回路のうちの少なくとも1つは、前記基準電圧回路ごとに異なる電圧設定値を供給するように、前記複数の電圧設定値に位相設定値を加算する複数の第2の加算器とを備え、
前記第2のディジタル/アナログ変換器は、前記第1のディジタル/アナログ変換器の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する、
請求項1記載の周波数シンセサイザ。
【請求項7】
前記周波数シンセサイザは、
1つの第1のディジタル/アナログ変換器と、
複数の基準電圧回路とを備え、
前記複数の基準電圧回路のそれぞれは、複数の電圧設定値に応じた大きさを有する前記複数の基準電圧を生成する複数の第2のディジタル/アナログ変換器を備え、
前記複数の基準電圧回路のうちの少なくとも1つは、前記信号生成回路ごとに異なる基準電圧を供給するように、位相設定値に応じた大きさを有する第2のバイアス電圧を生成し、前記複数の第2のディジタル/アナログ変換器によって生成された前記基準電圧に前記第2のバイアス電圧を加算する複数の第4のディジタル/アナログ変換器とを備え、
前記第2及び第4のディジタル/アナログ変換器は、前記第1のディジタル/アナログ変換器の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する、
請求項1記載の周波数シンセサイザ。
【請求項8】
前記複数の信号生成回路のそれぞれは、
前記ランプ電圧を第1の基準電圧に対して比較して第1の差動出力信号を生成する第1の差動増幅器と、
前記ランプ電圧を前記第1の基準電圧より高い第2の基準電圧に対して比較して第2の差動出力信号を生成する第2の差動増幅器と、
前記ランプ電圧を前記第2の基準電圧より高い第3の基準電圧に対して比較して第3の差動出力信号を生成する第3の差動増幅器とを備え、
前記出力周波数信号は、前記第1及び第3の差動出力信号と、前記第2の差動出力信号の反転信号との和である、
請求項1記載の周波数シンセサイザ。
【請求項9】
前記第1~第3の差動増幅器のそれぞれは、一対のバイポーラトランジスタ又は一対の電界効果トランジスタを備える、
請求項8記載の周波数シンセサイザ。
【請求項10】
請求項1記載の周波数シンセサイザを備える、
無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、周波数シンセサイザ及びそれを備えた無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G)が実用化され、続いて、第6世代移動通信システム(6G)の開発が進められている。6Gでは、更なる大容量化のために、ミリ波及びテラヘルツ波の利用が検討されている。周波数が高くなると電波が伝搬しにくくなるので、ビームを集中させて通信距離を延ばすために、フェーズドアレーアンテナの採用が広く検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"A Technical Tutorial on Digital Signal Synthesis", Analog Devices, Inc., 1999 [令和3年11月30日検索], インターネット<URL:https://www.analog.com/media/en/training-seminars/design-handbooks/Technical-Tutorial-DDS/technical-tutorial-DDS.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェーズドアレーアンテナを用いて移動体を高速に探したり、高速移動体をトラッキングしたりするためには、高速に動作する複数の移相器が必要になる。位相を高速に切り換え可能である周波数シンセサイザとして、例えば、ダイレクトディジタルシンセサイザが知られている。ダイレクトディジタルシンセサイザは、例えば、非特許文献1に開示されている。従来のダイレクトディジタルシンセサイザは、例えば、アキュムレータ、ルックアップテーブル、及びディジタル/アナログ変換器(DAC)を備える。アキュムレータは、出力信号の位相値を生成するディジタル回路である。ルックアップテーブルは、正弦波の位相及び振幅の対応表を記憶したROMであり、アキュムレータによって生成された位相値を振幅値に変換する。ディジタル/アナログ変換器は、ルックアップテーブルによって生成された振幅値を電圧に変換し、正弦波の波形を有する電圧信号を生成する。
【0005】
ダイレクトディジタルシンセサイザは、ROMを含む大規模なディジタル回路から構成されるので、回路規模が大きく、高速で動作させると消費電力が大きい。また、従来の周波数シンセサイザを用いてフェーズドアレーアンテナを実現すると、アンテナ素子ごとに周波数シンセサイザを設ける必要があるので、回路規模及び消費電力が大きくなり、携帯端末装置に搭載することが困難である。従って、位相を高速に切り換え可能でありながら、従来よりも小さな回路規模及び消費電力を有する周波数シンセサイザが求められる。
【0006】
本開示の目的は、位相を高速に切り換え可能でありながら、従来よりも小さな回路規模及び消費電力を有する周波数シンセサイザを提供することにある。また、本開示の目的は、そのような周波数シンセサイザを備えた無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様に係る周波数シンセサイザは、
クロック信号に応じて所定範囲内において予め決められたステップ幅で増大又は減少するカウント値を生成するアキュムレータと、
前記カウント値に応じて増大又は減少するランプ電圧を生成する少なくとも1つの第1のディジタル/アナログ変換器と、
複数の基準電圧を生成する少なくとも1つの基準電圧回路と、
前記ランプ電圧及び前記複数の基準電圧に基づいて、互いに異なる位相を有する出力周波数信号をそれぞれ生成する複数の信号生成回路とを備え、
前記複数の信号生成回路のそれぞれは、前記ランプ電圧に応じて正弦波又は余弦波に類似した波形で変化する信号レベルを有する出力周波数信号をアナログ信号処理により生成し、
前記第1のディジタル/アナログ変換器及び前記基準電圧回路は、前記信号生成回路ごとに異なるランプ電圧と、前記複数の信号生成回路の間で共通の前記複数の基準電圧とを前記複数の信号生成回路に供給するか、又は、前記複数の信号生成回路の間で共通のランプ電圧と、前記信号生成回路ごとに異なる組み合わせの電圧を含む前記複数の基準電圧とを前記複数の信号生成回路に供給する。
【0008】
本開示の第2の態様に係る周波数シンセサイザによれば、第1の態様に係る周波数シンセサイザにおいて、
前記少なくとも1つの基準電圧回路のそれぞれは、前記複数の基準電圧を生成する分圧抵抗を備える。
【0009】
本開示の第3の態様に係る周波数シンセサイザによれば、第1の態様に係る周波数シンセサイザにおいて、
前記少なくとも1つの基準電圧回路のそれぞれは、複数の電圧設定値に応じた大きさを有する前記複数の基準電圧を生成する複数の第2のディジタル/アナログ変換器を備え、
前記第2のディジタル/アナログ変換器は、前記第1のディジタル/アナログ変換器の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する。
【0010】
本開示の第4の態様に係る周波数シンセサイザによれば、第1~第3のうちの1つの態様に係る周波数シンセサイザは、
複数の第1のディジタル/アナログ変換器と、
前記第1のディジタル/アナログ変換器ごとに異なるカウント値を供給するように、前記カウント値に位相設定値を加算する少なくとも1つの第1の加算器とを備える。
【0011】
本開示の第5の態様に係る周波数シンセサイザによれば、第1~第3のうちの1つの態様に係る周波数シンセサイザは、
複数の第1のディジタル/アナログ変換器と、
前記信号生成回路ごとに異なるランプ電圧を供給するように、位相設定値に応じた大きさを有する第1のバイアス電圧を生成し、前記複数の第1のディジタル/アナログ変換器のうちの少なくとも1つによって生成された前記ランプ電圧に前記第1のバイアス電圧を加算する少なくとも1つの第3のディジタル/アナログ変換器とを備え、
前記第3のディジタル/アナログ変換器は、前記第1のディジタル/アナログ変換器の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する、
【0012】
本開示の第6の態様に係る周波数シンセサイザによれば、第1の態様に係る周波数シンセサイザは、
1つの第1のディジタル/アナログ変換器と、
複数の基準電圧回路とを備え、
前記複数の基準電圧回路のそれぞれは、複数の電圧設定値に応じた大きさを有する前記複数の基準電圧を生成する複数の第2のディジタル/アナログ変換器を備え、
前記複数の基準電圧回路のうちの少なくとも1つは、前記基準電圧回路ごとに異なる電圧設定値を供給するように、前記複数の電圧設定値に位相設定値を加算する複数の第2の加算器とを備え、
前記第2のディジタル/アナログ変換器は、前記第1のディジタル/アナログ変換器の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する。
【0013】
本開示の第7の態様に係る周波数シンセサイザによれば、第1の態様に係る周波数シンセサイザは、
1つの第1のディジタル/アナログ変換器と、
複数の基準電圧回路とを備え、
前記複数の基準電圧回路のそれぞれは、複数の電圧設定値に応じた大きさを有する前記複数の基準電圧を生成する複数の第2のディジタル/アナログ変換器を備え、
前記複数の基準電圧回路のうちの少なくとも1つは、前記信号生成回路ごとに異なる基準電圧を供給するように、位相設定値に応じた大きさを有する第2のバイアス電圧を生成し、前記複数の第2のディジタル/アナログ変換器によって生成された前記基準電圧に前記第2のバイアス電圧を加算する複数の第4のディジタル/アナログ変換器とを備え、
前記第2及び第4のディジタル/アナログ変換器は、前記第1のディジタル/アナログ変換器の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する。
【0014】
本開示の第8の態様に係る周波数シンセサイザによれば、第1~第7のうちの1つの態様に係る周波数シンセサイザにおいて、
前記複数の信号生成回路のそれぞれは、
前記ランプ電圧を第1の基準電圧に対して比較して第1の差動出力信号を生成する第1の差動増幅器と、
前記ランプ電圧を前記第1の基準電圧より高い第2の基準電圧に対して比較して第2の差動出力信号を生成する第2の差動増幅器と、
前記ランプ電圧を前記第2の基準電圧より高い第3の基準電圧に対して比較して第3の差動出力信号を生成する第3の差動増幅器とを備え、
前記出力周波数信号は、前記第1及び第3の差動出力信号と、前記第2の差動出力信号の反転信号との和である。
【0015】
本開示の第9の態様に係る周波数シンセサイザによれば、第8の態様に係る周波数シンセサイザにおいて、
前記第1~第3の差動増幅器のそれぞれは、一対のバイポーラトランジスタ又は一対の電界効果トランジスタを備える。
【0016】
本開示の第10の態様に係る無線通信装置は、第1~第9のうちの1つの態様に係る周波数シンセサイザを備える。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一態様によれば、位相を高速に切り換え可能でありながら、従来よりも小さな回路規模及び消費電力を有する周波数シンセサイザを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施形態に係る周波数シンセサイザ101の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の周波数シンセサイザ101において生成する各信号の波形を概略的に示すグラフである。
【
図3】
図1のアキュムレータ12の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1のアキュムレータ12によって生成されるカウント値cnt1の一例を示す図である。
【
図5】
図1のディジタル/アナログ変換器13-1,13-2の構成を示す回路図である。
【
図6】
図5のディジタル/アナログ変換器13-1,13-2の動作を説明する図である。
【
図7】
図1の信号生成回路14-1,14-2及び基準電圧回路15-1,15-2の構成を示す回路図である。
【
図8】
図7の差動増幅器41~43の構成の一例を示す回路図である。
【
図9】
図7の差動増幅器41~43の構成の他の例を示す回路図である。
【
図10】
図7の差動増幅器41~43のそれぞれの動作特性を概略的に示すグラフである。
【
図11】
図7の一対の差動増幅器42,43に対して異なる基準電圧Vmid,Vtopが設定された場合の動作特性の変化を概略的に示すグラフである。
【
図12】
図7の信号生成回路14-1,14-2によって生成される電流Isumの特性を概略的に示すグラフである。
【
図13】
図7の信号生成回路14-1,14-2の動作を説明する図である。
【
図14】第2の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Aの構成を示すブロック図である。
【
図15】第3の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Bの構成を示すブロック図である。
【
図16】
図15の基準電圧回路16の構成を示す回路図である。
【
図17】第3の実施形態の変形例に係る周波数シンセサイザの一部の構成を示すブロック図である。
【
図18】第4の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Cの構成を示すブロック図である。
【
図19】
図18のディジタル/アナログ変換器17の構成を示す回路図である。
【
図20】第5の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Dの構成を示すブロック図である。
【
図21】
図20の基準電圧回路18の構成を示す回路図である。
【
図22】
図20の信号生成回路14-1,14-2の動作を説明する図である。
【
図23】第6の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Eの構成を示すブロック図である。
【
図24】
図23の基準電圧回路19の構成を示す回路図である。
【
図25】第7の実施形態に係る無線通信装置200の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態に係る周波数シンセサイザ及び無線通信装置について説明する。各図面にわたって、同じ符号は同様の構成要素を示す。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る周波数シンセサイザ101の構成を示すブロック図である。
図2は、
図1の周波数シンセサイザ101において生成する各信号の波形を概略的に示すグラフである。
【0021】
図1の周波数シンセサイザ101は、クロック信号源11、アキュムレータ12、ディジタル/アナログ変換器(DAC)13-1,13-2、信号生成回路14-1,14-2、基準電圧回路15-1,15-2、及び加算器20を備える。
【0022】
クロック信号源11は、所定のクロック周波数fclkを有するクロック信号clkを生成する。一般に、クロック信号clkは、固定値のクロック周波数fclkを有する。
【0023】
アキュムレータ12は、クロック信号clkに応じて所定範囲内において予め決められたステップ幅で増大又は減少するカウント値cnt1を生成する。
図1の例では、アキュムレータ12は、nビットのサイズを有する、すなわち、0~2
n-1にわたって変化するnビットのディジタル形式のカウント値cnt1を生成可能である。カウント値cnt1は、例えば
図2に示すように、クロック信号clkに応じて、所定範囲内(すなわち、0~2
n-1の範囲内)において予め決められたステップ幅で増大する。カウント値cnt1は、2
n-1を超えたときオーバーフローして2
n減算される。また、アキュムレータ12には、外部の制御回路(図示せず)から、nビットの周波数設定値Kが入力される。周波数設定値Kは、アキュムレータ12のビット数nによって決まる時間周期T0=2
n/fclkにおいてカウント値cnt1がオーバーフローする回数(
図2の例では、K=2)を表す。
【0024】
ディジタル/アナログ変換器13-1には、カウント値cnt1がそのまま供給される。また、加算器20は、カウント値cnt1に位相設定値Pを加算してカウント値cnt2を生成する。ディジタル/アナログ変換器13-1には、カウント値cnt2が供給される。位相設定値Pは、信号生成回路14-1,14-2から出力される出力周波数信号Vout1,Vout2が有するべき所望の位相差を示すnビットのディジタル値である。加算器20を用いてカウント値cnt1に位相設定値Pを加算することにより、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2ごとに異なるカウント値が供給される。
【0025】
ディジタル/アナログ変換器13-1は、カウント値cnt1に応じて増大又は減少するランプ電圧Vrmp1を生成し、ディジタル/アナログ変換器13-2は、カウント値cnt2に応じて増大又は減少するランプ電圧Vrmp2を生成する。言いかえると、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2は、ディジタル形式のカウント値cnt1,cnt2を、アナログ形式のランプ電圧Vrmp1,Vrmp2にそれぞれ変換する。
図2の例では、ランプ電圧Vrmp1は、時間周期T0において2回、最小値(又は極小値)から最大値(又は極大値)まで増大する。
【0026】
基準電圧回路15-1,15-2は、同じ複数の基準電圧Vtop,Vmid.Vbotを生成する。電圧Vmidは電圧Vbotよりも高く、電圧Vtopが電圧Vmidよりも高い。基準電圧Vtop,Vmid.Vbotは等間隔を有する。
【0027】
ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2は、信号生成回路14-1,14-2ごとに異なるランプ電圧Vrmp1,Vrmp2を信号生成回路14-1,14-2に供給する。また、基準電圧回路15-1,15-2は、信号生成回路14-1,14-2の間で共通の複数の基準電圧Vtop,Vmid.Vbotを信号生成回路14-1,14-2に供給する。
【0028】
信号生成回路14-1は、ランプ電圧及Vrmp1及び基準電圧Vtop,Vmid.Vbotに基づいて、出力周波数信号Vout1を生成する。信号生成回路14-2は、ランプ電圧及Vrmp2及び基準電圧Vtop,Vmid.Vbotに基づいて、出力周波数信号Vout2を生成する。信号生成回路14-1,14-2のそれぞれは、ランプ電圧Vrmp1,Vrmp2に応じて正弦波又は余弦波に類似した波形で変化する信号レベルを有する出力周波数信号Vout1,Vout2をアナログ信号処理により生成する。出力周波数信号Vout1,Vout2は、互いに異なる位相を有する。
図2の例では、出力周波数信号Vout1,Vout2は、時間周期T0において、正弦波の0~4πの位相値に対応して変化する信号レベルを有する。
【0029】
ここで、「正弦波(又は余弦波)に類似した波形」とは、
図10~
図12を参照して後述するように、正弦波(又は余弦波)に十分に近似できる、双曲線正弦関数の組み合わせからなる周期信号の波形を意味する。また、出力周波数信号Vout1,Vout2は、周波数シンセサイザ101の各構成要素の製造バラツキ、アキュムレータ12のオーバーフローなどに起因して、正弦波(又は余弦波)からの小さな誤差を含む可能性がある。
【0030】
カウント値cnt1,cnt2、ランプ電圧Vrmp1,Vrmp2、及び出力周波数信号Vout1,Vout2のそれぞれは、時間周期T0で周期的に変化する。
【0031】
図1の周波数シンセサイザ101は、ルックアップテーブルを用いることなく任意周波数の正弦波又は余弦波の信号を生成することができるダイレクトディジタルシンセサイザである。周波数シンセサイザ101は、位相を高速に切り換え可能でありながら、その回路規模及び消費電力を従来のダイレクトディジタルシンセサイザよりも削減することができる。また、周波数シンセサイザ101は、位相設定値Pに応じて変化する任意の位相差を有する出力周波数信号Vout1,Vout2を生成することができる。
【0032】
図3は、
図1のアキュムレータ12の構成を示すブロック図である。アキュムレータ12は、nビットの加算器21及びnビットのラッチ22を備えるディジタル回路である。加算器21は、ラッチ22から出力されるカウント値cnt1に周波数設定値Kを加算して出力する。ラッチ22は、加算器21の出力値を格納する。ラッチ22は、クロック信号clkの立ち上がりごとに、格納された現在の値をカウント値cnt1として出力し、加算器21の出力値を格納する。
【0033】
図4は、
図1のアキュムレータ12によって生成されるカウント値cnt1の一例を示す図である。
図5は、n=4及びK=3の場合を示す。n=4の場合、アキュムレータ12は、0~2
n-1、すなわち0~15の範囲内において累積的に加算したカウント値を生成する。加算器21は、その加算結果が16以上になるとオーバーフローを起こし、結果的に、本来の加算結果から16が減算された値を出力する。周波数設定値K=3の場合、クロック信号clkの立ち上がりごとにカウント値cnt1は3ずつ増加し、15の次は18となるところオーバーフローを起こして2となり、その後、カウント値cnt1は再び3ずつ増加する。周波数設定値K=1の場合、クロック信号clkの立ち上がりごとにカウント値cnt1は1ずつ増加し、15の次は16となるところオーバーフローを起こして0となり、その後、カウント値cnt1は再び1ずつ増加する。周波数設定値K=5の場合、クロック信号clkの立ち上がりごとにカウント値cnt1は5ずつ増加し、15の次は20となるところオーバーフローを起こして4となり、その後、カウント値cnt1は再び5ずつ増加する。カウント値cnt1のオーバーフローは、平均すると、f=K×fclk/2
nの周期で生成する。
【0034】
出力周波数信号Vout1,Vout2の周波数は、カウント値cnt1の周波数に等しく、K×fclk/2nによって表される。アキュムレータ12のビット数nは、周波数シンセサイザ101を搭載する無線通信装置によって使用されるチャネル数に応じて決定され、一般的には、n=8~12であれば十分である。
【0035】
図5は、
図1のディジタル/アナログ変換器13-1,13-2の構成を示す回路図である。ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2は互いに同じ構成を有する。ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2のそれぞれは、抵抗R0、スイッチ31-1~31-(2
n-1)、及び定電流源32-1~32-(2
n-1)を備える。スイッチ31-1~31-(2
n-1)は互いに同じ特性を有する。定電流源32-1~32-(2
n-1)もまた互いに同じ特性を有し、予め決められた電流Iを生成する。
【0036】
本明細書では、スイッチ31-1~31-(2n-1)を総称して「スイッチ31」とも呼び、定電流源32-1~32-(2n-1)を総称して「定電流源32」とも呼ぶ。
【0037】
図5の例は、n=3ビットの場合を示し、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2は、2
3-1=7個のスイッチ31及び7個の定電流源32を備えている。カウント値cnt1、cnt2は、3つのビットb1~b3からなり、b1が最下位ビットであり、b3が最上位ビットである。ビットb1に応じて1つのスイッチ31がオン/オフし、ビットb2に応じて2つのスイッチ31が連動してオン/オフし、ビットb3に応じて4つのスイッチ31が連動してオン/オフする。
【0038】
図6は、
図5のディジタル/アナログ変換器13-1,13-2の動作を説明する図である。
図6の横軸は、カウント値のビットb3,b2,b1からなるコードを示し、縦軸は、各コードに対応するランプ電圧Vrmp1、Vrmp2を示す。すべてのスイッチ31がオフされている場合(すなわち、カウント値cnt1が「000」である場合)、ランプ電圧Vrmp1は電源電圧Vccに等しい。1つのスイッチ31をオンするごとに、ランプ電圧Vrmp1は、電源電圧VccからI×R0ずつ低下する。すべてのスイッチ31がオンされている場合(すなわち、カウント値cnt1が「111」である場合)、ランプ電圧Vrmp1は、Vcc-7×I×R0になる。また、ランプ電圧Vrmp2は、ランプ電圧Vrmp1に対してP・I・R0の差を有して変化する。
【0039】
図4ではn=4のアキュムレータ12について説明し、
図5及び
図6ではn=3のディジタル/アナログ変換器13-1,13-2について説明したが、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2のビット数nは、アキュムレータ12のビット数nに等しく設定されることに注意する。
【0040】
図5のディジタル/アナログ変換器13-1,13-2は、高速動作に優れる電流加算型の変換器であるが、他の任意のタイプの変換器を使用してもよい。
【0041】
図7は、
図1の信号生成回路14-1,14-2及び基準電圧回路15-1,15-2の構成を示す回路図である。信号生成回路14-1,14-2は互いに同じ構成を有し、基準電圧回路15-1,15-2は互いに同じ構成を有する。
【0042】
信号生成回路14-1,14-2のそれぞれは、差動増幅器41~43及び抵抗R11,R12を備える。信号生成回路14-1は下記のように動作する。差動増幅器41は、ランプ電圧Vrmp1を基準電圧Vbotに対して比較して第1の差動出力信号を生成する。差動増幅器42は、ランプ電圧Vrmp1を基準電圧Vbotより高い基準電圧Vmidに対して比較して第2の差動出力信号を生成する。差動増幅器43は、ランプ電圧Vrmp1を基準電圧Vmidより高い基準電圧Vtopに対して比較して第3の差動出力信号を生成する。差動増幅器41~43の出力端子は、抵抗R11,R12を介して電源電圧Vccの端子に接続される。出力周波数信号Vout1は、差動増幅器41,43の差動出力信号と、差動増幅器42の差動出力信号の反転信号との和である。信号生成回路14-2もまた、信号生成回路14-1と同様に、ランプ電圧及Vrmp2及び基準電圧Vtop,Vmid.Vbotに基づいて、出力周波数信号Vout2を生成する。
【0043】
基準電圧回路15-1,15-2のそれぞれは、抵抗R21~R24を備える。抵抗R21~R24は、正の電源電圧Vccの端子と、負の電源電圧Veeの端子との間に直列接続され、基準電圧Vtop,Vmid.Vbotを電源電圧Vcc,Veeから生成する分圧抵抗(又は抵抗ラダー)である。抵抗R22,R23の抵抗値は互いに等しく設定される。
【0044】
図8は、
図7の差動増幅器41~43の構成の一例を示す回路図である。差動増幅器41~43のそれぞれは、一対のバイポーラトランジスタQ1,Q2、定電流源51、及び抵抗Ra~Rdを備える。バイポーラトランジスタQ1のベースにはランプ電圧Vrmp(すなわち、ランプ電圧Vrmp1又はVrmp2)が印加され、バイポーラトランジスタQ2のベースには基準電圧Vx(x=top,mid,bot)が印加される。ランプ電圧Vrmp及び基準電圧Vxの電位差に応じて、出力端子dout1,dout2を介して出力電流Ixが流れる。
【0045】
図9は、
図7の差動増幅器41~43の構成の他の例を示す回路図である。信号生成回路14は、
図8の差動増幅器41~43に代えて、
図9の差動増幅器41A~43Aを備えてもよい。差動増幅器41A~43Aのそれぞれは、
図8のバイポーラトランジスタQ1,Q2に代えて、一対の電界効果トランジスタQ1A,Q2Aを備える。
【0046】
図10は、
図7の差動増幅器41~43のそれぞれの動作特性を概略的に示すグラフである。各差動増幅器41~43の出力電流Ixは、近似的に、ランプ電圧Vrmpに関する双曲線正弦関数tanh(Vrmp)の特性(実線)又はその反転信号の特性(破線)を有して変動する。ランプ電圧Vrmpが基準電圧Vxを中心とする所定の電圧範囲Vtranにある場合、出力電流Ixはランプ電圧Vrmpに応じて変動するが、ランプ電圧Vrmpが電圧範囲Vtranの外部にある場合、ランプ電圧Vrmpが変化しても出力電流Ixは実質的に変動しない。
【0047】
図11は、
図7の一対の差動増幅器42,43に対して異なる基準電圧Vmid,Vtopが設定された場合の動作特性の変化を概略的に示すグラフである。
図11の上段、中段、及び下段は、ランプ電圧Vrmpの変化に対して、差動増幅器42,43の出力電流の和である電流Isum’を示す。
図11の上段は、大きな差を有する基準電圧Vmid,Vtop(基準電圧V2a,V3aとして示す)が設定される場合を示し、
図11の下段は、小さな差を有する基準電圧Vmid,Vtop(基準電圧V2c,V3cとして示す)が設定される場合を示し、
図11の中段は、これらの中間の差を有する基準電圧Vmid,Vtop(基準電圧V2b,V3bとして示す)が設定される場合を示す。双曲線正弦関数の特性をそれぞれ有する差動増幅器42,43を組み合わせることにより、電流Isum’は、ランプ電圧Vrmpに関して2つの双曲線正弦関数を連結した特性を有して変動する。
図11の上段及び下段の場合、電流Isum’は、正弦波の半周期の波形から大きく乖離している。一方、
図11の中段の場合、基準電圧Vmid,Vtopの差を適切に設定することにより、電流Isum’は、正弦波の半周期の波形によく近似できることがわかる。
【0048】
同様に、基準電圧Vbot,Vmidの差を適切に設定することにより、差動増幅器41,42の出力電流の和もまた、正弦波の残りの半周期の波形によく近似させることができる。
【0049】
図12は、
図7の信号生成回路14-1,14-2によって生成される電流Isumの特性を概略的に示すグラフである。
図12は、ランプ電圧Vrmpの変化に対して、差動増幅器41~43の出力電流の総和である電流Isumを示す。ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2が
図5の構成を有する場合、電圧範囲Vbot~Vtopが8個に分割され、
図12の矢印で示す8個のランプ電圧Vrmpが生成される。ランプ電圧Vrmp=Vbotの場合の電流Isumは、ランプ電圧Vrmp=Vtopの場合の電流Isumに等しい。従って、
図12に示すように、ランプ電圧Vrmp=Vtopを生成可能であれば、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2はランプ電圧Vrmp=Vbotを生成可能でなくてもよい。基準電圧Vtop,Vmid.Vbotの差を適切に設定することにより、差動増幅器41~43から出力される電流Isumを、正弦波の周期全体の波形によく近似させることができる。
【0050】
カウント値cnt1が000,001,010,…,111の順に生成され、これらのコードに従って
図6のランプ電圧Vrmpが生成される場合、
図12の特性に従って、正弦波に類似した波形で変化する電流Isumが生成される。電流Isumが負荷抵抗(図示せず)に流れたとき、正弦波に類似した波形で変化する電圧を有する出力周波数信号Voutが生成される。
【0051】
図13は、
図7の信号生成回路14-1,14-2の動作を説明する図である。前述したように、加算器20を用いてカウント値cnt1に位相設定値Pを加算することにより、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2ごとに異なるカウント値が供給される。その結果、あるカウント値cnt1が生成されている瞬間において、ランプ電圧Vrmp2は、ランプ電圧Vrmp1とは異なる値になる。信号生成回路14-1の差動増幅器41~43は、ランプ電圧及Vrmp1及び基準電圧Vtop,Vmid.Vbotに基づいて出力電流をそれぞれ生成し、それらの総和が電流Isum1になる。また、信号生成回路14-2の差動増幅器41~43は、ランプ電圧及Vrmp2及び基準電圧Vtop,Vmid.Vbotに基づいて出力電流をそれぞれ生成し、それらの総和が電流Isum2になる。また、
図13の例では、I1は、カウント値cnt1=0のときに生成される電流Isum1の値を示し、I2は、カウント値cnt2=cnt1+P=Pのときに生成される電流Isum2の値を示す。
図13によれば、電流Isum2は、位相設定値Pの分だけ電流isum1よりも進んだ位相を有することがわかる。従って、信号生成回路14-1,14-2は、位相設定値Pに応じて変化する位相差を有する出力周波数信号Vout1,Vout2を生成する。
【0052】
第1の実施形態に係る周波数シンセサイザ101は、信号生成回路14-1,14-2のアナログ信号処理により正弦波を生成することにより、ルックアップテーブルを用いることなく任意周波数の正弦波又は余弦波の信号を生成することができる。周波数シンセサイザ101は、位相を高速に切り換え可能でありながら、その回路規模及び消費電力を従来のダイレクトディジタルシンセサイザよりも削減することができる。
【0053】
従来の周波数シンセサイザは、ルックアップテーブルを格納するために、数千~数万個のトランジスタを含むROMを備え、ROMにより周波数シンセサイザの全消費電力のうちの約30~40%を消費していた。第1の実施形態に係る周波数シンセサイザ101によれば、ルックアップテーブルが不要になったことにより、その回路規模及び消費電力を従来よりも大幅に削減することができる。
【0054】
第1の実施形態に係る周波数シンセサイザ101によれば、アキュムレータ12を用いることにより、ルックアップテーブルがなくても、出力周波数信号Vout1,Vout2の周波数を厳密に設定することができる。
【0055】
また、カウント値cnt1は、所望周波数及びその高調波以外に、不要波を含む可能性がある。また、前述したように、カウント値cnt1のオーバーフローは、平均すると、f=K×fclk/2nの周期で生成し、そのままでは、出力周波数信号Vout1,Vout2に大きなジッタ(時間誤差)が生じるおそれがある。第1の実施形態に係る周波数シンセサイザ101によれば、信号生成回路14のアナログ信号処理により正弦波を生成することにより、不要波を抑圧し、ジッタの少ない、周波数純度の高い出力周波数信号Vout1,Vout2を得ることができる。
【0056】
第1の実施形態に係る周波数シンセサイザ101によれば、位相設定値Pに応じて変化する任意の位相差を有する出力周波数信号Vout1,Vout2を生成することができる。
【0057】
第1の実施形態に係る周波数シンセサイザ101によれば、アキュムレータ12から出力されるカウント値cnt1は、ディジタル/アナログ変換器13-1及び信号生成回路14-1を含む回路部分と、ディジタル/アナログ変換器13-2及び信号生成回路14-2を含む回路部分とによって共用される。周波数シンセサイザ101は、ただ1つのアキュムレータ12を備える。従って、信号生成回路ごとにアキュムレータを備える場合よりも、回路規模及び消費電力を削減することができる。
【0058】
[第2の実施形態]
図14は、第2の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Aの構成を示すブロック図である。周波数シンセサイザ101Aは、
図1の基準電圧回路15-2を除去した構成を有する。
図1の例では、基準電圧回路15-1,15-2は同じ基準電圧Vtop,Vmid.Vbotを生成する。従って、1つの基準電圧回路15-1によって生成された基準電圧が信号生成回路14-1,14-2によって共用されてもよい。1つの基準電圧回路15-1のみを備えることで、回路規模を削減することができる。また、確実に同じ基準電圧Vtop,Vmid.Vbotを信号生成回路14-1,14-2に供給できるので、別個の信号生成回路14-1,14-2を用いる場合よりも高精度の周波数シンセサイザ101Aを提供することができる。
【0059】
[第3の実施形態]
図15は、第3の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Bの構成を示すブロック図である。周波数シンセサイザ101Bは、
図14の基準電圧回路15に代えて、基準電圧回路16を備える。
【0060】
図16は、
図15の基準電圧回路16の構成を示す回路図である。基準電圧回路16は、複数のディジタル/アナログ変換器61~63を備える。ディジタル/アナログ変換器61~63は、予め決められた複数の電圧設定値「0」、「2
n+1」、及び「2
n」に応じて、複数の基準電圧Vtop,Vmid.Vbotをそれぞれ生成する。ディジタル/アナログ変換器61~63は、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2のレプリカ回路である。
【0061】
第1及び第2の実施形態では、ランプ電圧Vrmp1,Vrmp2がディジタル/アナログ変換器13-1,13-2によって生成され、基準電圧Vtop,Vmid.Vbotが分圧抵抗R21~R24によって生成される。言いかえると、ランプ電圧Vrmp1,Vrmp2及び基準電圧Vtop,Vmid.Vbotが互いに異なる機構によって生成される。その結果、トランジスタ及び抵抗器などの素子の製造ばらつき、電源電圧の変動、及び温度による素子特性の変動が生じ、出力周波数信号Vout1,Vout2が変動するおそれがある。第2の実施形態では、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2のレプリカ回路であるディジタル/アナログ変換器61~63により基準電圧Vtop,Vmid.Vbotを生成することにより、PVT(プロセス、電源電圧、温度)変動耐性を向上させることができる。
【0062】
図16の例は、
図5の例と同様に、n=3ビットの場合を示す。この場合、前述したように、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2は2
3-1=7個のスイッチ31及び7個の定電流源32を備える。ディジタル/アナログ変換器61,62のそれぞれは、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2のものと同じ7個のスイッチ31及び7個の定電流源32を備える。ディジタル/アナログ変換器63は、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2のものと同じ7個のスイッチ31及び7個の定電流源32を備え、さらに、スイッチ31及び定電流源32のものと同じ特性を有する追加のスイッチ33及び定電流源34を備える。
【0063】
ディジタル/アナログ変換器63において、スイッチ31及び33のすべてがオンされるように予め設定され、これにより、基準電圧Vbotが生成される。ディジタル/アナログ変換器62において、4つのスイッチ31がオンされ、残りの3つのスイッチ31がオフされるように予め設定され、これにより、基準電圧Vmidが生成される。ディジタル/アナログ変換器61において、すべてのスイッチ31がオフされるように予め設定され、これにより、基準電圧Vtopが生成される。
【0064】
ディジタル/アナログ変換器61~63は、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2のものと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する。これにより、素子の製造ばらつき及び電源電圧の変動の影響を受けにくくすることができる。また、温度による素子特性の変動の影響を受けにくくするために、ディジタル/アナログ変換器13及び61~63を互いに近接して配置してもよい。
【0065】
ディジタル/アナログ変換器13及び61~63の対称性を向上させるために、ディジタル/アナログ変換器13,61,62に、ディジタル/アナログ変換器63のものと同様のスイッチ33及び定電流源34を追加してもよい。
【0066】
差動増幅器は同相信号除去比(CMRR)が大きいので、PVT変動があっても、差動増幅器の2つの入力信号に同じ変動が入れば変動は相殺される。従って、第3の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Bによれば、PVT変動耐性を大きく向上させることができる。
【0067】
図1の例のように、周波数シンセサイザが複数の信号生成回路に対応する複数の基準電圧回路を備える場合、各基準電圧回路は、分圧抵抗R21~R24に代えて、
図16の例のように複数のディジタル/アナログ変換器を備えてもよい。
【0068】
図17は、第3の実施形態の変形例に係る周波数シンセサイザの一部の構成を示すブロック図である。
図15の周波数シンセサイザ101Bは、
図16のディジタル/アナログ変換器61,62に代えて、
図17のディジタル/アナログ変換器61A,62Aを備えてもよい。ディジタル/アナログ変換器61A,62Aは、
図16のディジタル/アナログ変換器61,62においてオフされたスイッチ31及びそれに接続された定電流源32を除去した構成を有する。ディジタル/アナログ変換器61A,62A,63は、電流が流れる素子に関しては、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2の構成要素及びレイアウトと同じ構成要素及びレイアウトを有する。また、ディジタル/アナログ変換器から、電流が流れない素子を除去することにより、PVT変動耐性を向上しながら、回路規模を削減することができる。
【0069】
[第4の実施形態]
図18は、第4の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Cの構成を示すブロック図である。周波数シンセサイザ101Cは、
図15の加算器20に代えて、ディジタル/アナログ変換器17を備える。
【0070】
加算器20を除去したことにより、ディジタル/アナログ変換器13-2はディジタル/アナログ変換器13-1によって生成されるランプ電圧Vrmp1と同じランプ電圧を生成する。
【0071】
ディジタル/アナログ変換器17は、位相設定値Pに応じた大きさを有するバイアス電圧を生成する。次いで、ディジタル/アナログ変換器17は、ディジタル/アナログ変換器13-2によって生成されたランプ電圧にバイアス電圧を加算してランプ電圧Vrmp2を生成する。信号生成回路14-1,14-2ごとに異なるランプ電圧Vrmp1,Vrmp2が供給される。
【0072】
図19は、
図18のディジタル/アナログ変換器17の構成を示す回路図である。ディジタル/アナログ変換器17は、
図5のディジタル/アナログ変換器13-1,13-2から抵抗R0、すなわち負荷を除去した構成を有する。従って、ディジタル/アナログ変換器17は、ディジタル/アナログ変換器13-1,13-2の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する。
【0073】
第1~第3の実施形態では、カウント値cnt1に位相設定値Pをディジタル的に加算することにより、位相設定値Pに応じて変化する任意の位相差を有する出力周波数信号Vout1,Vout2を実現していた。しかしながら、ディジタル加算器は回路規模の増大をもたらす。第4の実施形態では、ディジタル/アナログ変換器17を用いて生成したバイアス電圧をランプ電圧にアナログ的に加算することで、加算器20と等価な機能を実現する。これにより、ディジタル加算器が不要となり、回路規模を削減することができる。
【0074】
[第5の実施形態]
図20は、第5の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Dの構成を示すブロック図である。周波数シンセサイザ101Dは、
図18のディジタル/アナログ変換器13-2及び17に代えて、基準電圧回路18を備える。
【0075】
ディジタル/アナログ変換器13-1によって生成されたランプ電圧Vrmp1は、信号生成回路14-1,14-2の両方に供給される。
【0076】
図20の基準電圧回路16は、
図16を参照して説明したように、3つのディジタル/アナログ変換器61~63を備える。
【0077】
図21は、
図20の基準電圧回路18の構成を示す回路図である。基準電圧回路18は、ディジタル/アナログ変換器61~63及び加算器71~73を備える。基準電圧回路18のディジタル/アナログ変換器61~63は、基準電圧回路16のディジタル/アナログ変換器61~63と同様に構成される。加算器71~73は、ディジタル/アナログ変換器61~63のための電圧設定値「0」、「2
n+1」、及び「2
n」に、位相設定値Pを加算する。これにより、基準電圧回路18のディジタル/アナログ変換器61~63に供給される電圧設定値は、基準電圧回路16のディジタル/アナログ変換器61~63に供給される電圧設定値とは異なる。その結果、基準電圧回路16は基準電圧Vtop1,Vmid1.Vbot1を生成し、基準電圧回路18は異なる基準電圧Vtop2,Vmid2.Vbot2を生成する。基準電圧回路16,18のディジタル/アナログ変換器61~63は、ディジタル/アナログ変換器13-1の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する。
【0078】
ディジタル/アナログ変換器13-1は、複数の信号生成回路14-1,14-2の間で共通のランプ電圧Vrmp1を複数の信号生成回路14-1,14-2に供給する。また、基準電圧回路16,18は、信号生成回路14-1,14-2ごとに異なる組み合わせの電圧を含む複数の基準電圧Vtop1,Vmid1.Vbot1又はVtop2,Vmid2.Vbot2を複数の信号生成回路14-1,14-2に供給する。
【0079】
図22は、
図20の信号生成回路14-1,14-2の動作を説明する図である。前述したように、加算器71~73を用いて電圧設定値「0」、「2
n+1」、及び「2
n」に位相設定値Pを加算することにより、信号生成回路14-1,14-2ごとに異なる電圧設定値がディジタル/アナログ変換器61~63に供給される。その結果、基準電圧Vtop2,Vmid2.Vbot2は、基準電圧Vtop1,Vmid1.Vbot1とは異なる値になる。信号生成回路14-1の差動増幅器41~43は、ランプ電圧及Vrmp1及び基準電圧Vtop1,Vmid1.Vbot1に基づいて出力電流をそれぞれ生成し、それらの総和が電流Isum1になる。また、信号生成回路14-2の差動増幅器41~43は、ランプ電圧及Vrmp1及び基準電圧Vtop2,Vmid2.Vbot2に基づいて出力電流をそれぞれ生成し、それらの総和が電流Isum2になる。
図22によれば、電流Isum2は、位相設定値Pの分だけ電流isum1よりも進んだ位相を有することがわかる。従って、信号生成回路14-1,14-2は、位相設定値Pに応じて変化する位相差を有する出力周波数信号Vout1,Vout2を生成する。
【0080】
第1~第4の実施形態では、信号生成回路14-1,14-2は、信号生成回路14-1,14-2ごとに異なるランプ電圧Vrmp1,Vrmp2と、複数の信号生成回路14-1,14-2の間で共通の複数の基準電圧Vtop,Vmid.Vbotとに基づいて動作する。第5の実施形態では、信号生成回路14-1,14-2は、複数の信号生成回路14-1,14-2の間で共通のランプ電圧Vrmp1と、信号生成回路14-1,14-2ごとに異なる組み合わせの電圧を含む複数の基準電圧Vtop1,Vmid1.Vbot1又はVtop2,Vmid2.Vbot2とに基づいて動作する。これにより、第5の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Dによれば、信号生成回路14-1,14-2は、第1~第4の実施形態の場合と同様に、位相設定値Pに応じて変化する任意の位相差を有する出力周波数信号Vout1,Vout2を生成することができる。高速に動作するアキュムレータ12及びディジタル/アナログ変換器13-1を複数の信号生成回路14-1,14-2により共有できるので、第1~第4の実施形態の場合よりも消費電力を削減することができる。
【0081】
[第6の実施形態]
図23は、第6の実施形態に係る周波数シンセサイザ101Eの構成を示すブロック図である。周波数シンセサイザ101Eは、
図20の基準電圧回路18に代えて、基準電圧回路19を備える。
【0082】
図24は、
図23の基準電圧回路19の構成を示す回路図である。基準電圧回路19は、
図21の加算器71~73に代えて、ディジタル/アナログ変換器81~83を備える。ディジタル/アナログ変換器81~83は、位相設定値Pに応じた大きさを有するバイアス電圧を生成する。次いで、ディジタル/アナログ変換器81~83は、ディジタル/アナログ変換器61~63によって生成された基準電圧にバイアス電圧を加算する。これにより、基準電圧回路16,19は、信号生成回路14-1,14-2ごとに異なる基準電圧を供給する。ディジタル/アナログ変換器61~63,81~83は、ディジタル/アナログ変換器13-1の構成要素及びレイアウトと少なくとも部分的に同じ構成要素及びレイアウトを有する。
【0083】
第5の実施形態では、電圧設定値に位相設定値Pをディジタル的に加算することにより、位相設定値Pに応じて変化する任意の位相差を有する出力周波数信号Vout1,Vout2を実現していた。一方、第6の実施形態では、ディジタル/アナログ変換器81~83を用いて、基準電圧にバイアス電圧をアナログ的に加算することで、加算器71~73と等価な機能を実現する。これにより、ディジタル加算器が不要となり、回路規模を削減することができる。
【0084】
[第7の実施形態]
図25は、第7の実施形態に係る無線通信装置200の構成を示すブロック図である。無線通信装置200は、送信回路201、ミキサ202-1~202-4、増幅器203-1~203-4、アンテナ素子204-1~204-4、制御回路205、周波数シンセサイザ206、及び周波数逓倍器207-1~207-4を備える。
【0085】
送信回路201は、送信すべきデータを含むベースバンド信号をミキサ202-1~202-4に送る。
【0086】
周波数シンセサイザ206は、第1~第6の実施形態に係るいずれかの周波数シンセサイザと同様に構成される。ただし、周波数シンセサイザ206は、アンテナ素子204-1~204-4の個数に応じて、4つの信号生成回路などを備える。周波数シンセサイザ206は、等価的に、従来の信号源211及び移相器212-1~212-4の機能を有し、所定周波数を有する複数の高周波信号を、互いに所定の位相差を有して発生する。周波数シンセサイザ206には、制御回路205からディジタル制御信号k1~k4がそれぞれ入力される。周波数シンセサイザ206は、ディジタル制御信号k1~k4に応じて、高周波信号の位相をそれぞれ変化させる。制御回路205は、ディジタル制御信号k1~k4を用いて、高周波信号の位相を互いに独立かつ任意に変化させる。
【0087】
周波数逓倍器207-1~207-4は、移相器212-1~212-4から出力された高周波信号の周波数を逓倍してミキサ202-1~202-4に送る。
【0088】
ミキサ202-1~202-4は、周波数逓倍器207-1~207-4から入力された高周波信号(無線周波信号)を、送信回路201から入力されたベースバンド信号により変調する。ミキサ202-1~202-4の出力信号は、増幅器203-1~203-4によってそれぞれ増幅され、その後、アンテナ素子204-1~204-4からそれぞれ放射される。
【0089】
アンテナ素子204-1~204-4は、送信する無線周波信号の位相を移相器212-1~212-4により変化させることで、フェーズドアレーアンテナ装置として動作する。移相器212-1~212-4を用いて無線周波信号の位相を高精度に変化させることにより、アンテナ装置の指向性をより高くすることができる。
【0090】
図25は、送信回路201を備える無線通信装置200を示すが、第1~第6の実施形態に係る周波数シンセサイザは、受信回路を備える無線通信装置にも同様に適用可能である。無線通信装置が受信回路を備える場合、受信信号に基づいてその到来方向を推定してもよく、移相器を用いて到来方向にビームを向けてもよい。
【0091】
第7の実施形態によれば、例えば、ミリ波及びテラヘルツ波などの高い周波数帯を利用した無線通信装置を提供することができる。
【0092】
第7の実施形態によれば、低消費電力でアレーアンテナ間の位相を高速に切り換え可能であるので、移動体を高速に探したり、高速移動体をトラッキングしたりすることが可能となる。
【0093】
第7の実施形態によれば、移相器なしにフェーズドアレーアンテナを実現することができる。
【0094】
[他の実施形態]
説明した各実施形態及び各変形例は任意に組み合わされてもよい。
【0095】
図2及び
図23の例では、カウント値cnt1が時間に応じて増大する場合について説明したが、実施形態に係る周波数シンセサイザのアキュムレータは、カウント値cnt1が時間に応じて減少するように構成されてもよい。また、
図2の例では、ランプ電圧Vrmp1,Vrmp2が時間に応じて増大する場合について説明したが、実施形態に係る周波数シンセサイザのディジタル/アナログ変換器は、ランプ電圧Vrmp1,Vrmp2が時間に応じて減少するように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本開示の一態様に係る周波数シンセサイザ及び無線通信装置は、無線通信システムの移動局又は携帯端末装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0097】
11 クロック信号源
12 アキュムレータ
13-1,13-2 ディジタル/アナログ変換器(DAC)
14-1,14-2 信号生成回路
15-1,15-2,16,16A 基準電圧回路
17 ディジタル/アナログ変換器(DAC)
18,19 基準電圧回路
20 加算器
21 加算器
22 ラッチ
31-1~31-(2n-1) スイッチ
32-1~32-(2n-1) 定電流源
33 スイッチ
34 定電流源
41~46 差動増幅器
51 定電流源
61,61A,62,62A、63 ディジタル/アナログ変換器(DAC)
71~73 加算器
81~83 ディジタル/アナログ変換器(DAC)
101,101A~101E 周波数シンセサイザ
200 無線通信装置
201 送信回路
202-1~202-4 ミキサ
203-1~203-4 増幅器
204-1~204-4 アンテナ素子
205 制御回路
206 周波数シンセサイザ
207-1~207-4 周波数逓倍器
211 信号源
212-1~212-4 移相器
R0,R11,R12,R21~R24,Ra~Rd 抵抗
Q1,Q2 バイポーラトランジスタ
Q1A,Q2A 電界効果トランジスタ