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  • 特開-過給機のオイル戻し構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176666
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】過給機のオイル戻し構造
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/12 20060101AFI20241212BHJP
   F01M 1/06 20060101ALI20241212BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F01M11/12 A
F01M1/06 Q
F01M13/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095396
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓
【テーマコード(参考)】
3G015
3G313
【Fターム(参考)】
3G015BL02
3G015CA01
3G015CA04
3G015CA07
3G015EA15
3G015FC11
3G313BD02
3G313BD47
3G313FA10
(57)【要約】
【課題】過給機から排出されるオイルをオイルレベルゲージ挿入孔に戻す際に、オイルがオイルレベルゲージに付着することを防止でき、オイルレベルの点検作業の作業性を向上できる過給機のオイル戻し構造を提供すること。
【解決手段】過給機のオイル戻し構造は、エンジン本体に設けられ、オイルパン5に貯留されるオイル量を検出するオイルレベルゲージ7が挿入されるとともに、オイルパン5に連通するオイルレベルゲージ挿入孔8と、過給機とオイルレベルゲージ挿入孔8とを連絡し、過給機6を潤滑して過給機6から排出されるオイルをオイルレベルゲージ7に戻すオイル戻し配管10とを有する。オイル戻し配管10は、オイルレベルゲージ挿入孔8にオイルを排出する排出部13を有し、オイルレベルゲージ7は、排出部13からオイルレベルゲージ挿入孔8に排出されるオイルが接触しない位置に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン本体に設けられ、オイルパンに貯留されるオイル量を検出するオイルレベルゲージが挿入されるとともに、前記オイルパンに連通するオイルレベルゲージ挿入孔と、
過給機と前記オイルレベルゲージ挿入孔とを連絡し、前記過給機を潤滑して前記過給機から排出されるオイルを、前記オイルレベルゲージ挿入孔を通して前記オイルパンに戻すオイル戻し配管とを有する過給機のオイル戻し構造であって、
前記オイル戻し配管は、前記オイルレベルゲージ挿入孔にオイルを排出する排出部を有し、
前記オイルレベルゲージは、前記排出部から前記オイルレベルゲージ挿入孔に排出されるオイルが接触しない位置に配置されていることを特徴とする過給機のオイル戻し構造。
【請求項2】
前記オイルレベルゲージ挿入孔は、
前記エンジン本体の気筒列方向で前記オイルレベルゲージ挿入孔の中心部に対して一方側に位置する第1の内壁部と、
前記気筒列方向で前記オイルレベルゲージ挿入孔の中心部に対して前記第1の内壁部と反対の他方側に位置する第2の内壁部と、
前記オイルレベルゲージ挿入孔の中心部に対して前記気筒列方向と交差する一方側に位置する第3の内壁部と、
前記気筒列方向と交差する方向で前記オイルレベルゲージ挿入孔の中心部に対して前記第3の内壁部と反対の他方側に位置する第4の内壁部とを有し、
前記オイルレベルゲージは、前記オイルレベルゲージ挿入孔の中心部に対して前記第1の内壁部側で、かつ前記オイルレベルゲージ挿入孔の中心部に対して第4の内壁部側に位置しており、
前記排出部は、前記オイルレベルゲージ挿入孔の中心部に対して前記第1の内壁部側で、かつ前記オイルレベルゲージに対して前記第3の内壁部側に位置しており、
前記排出部は、前記第3の内壁部に向かってオイルを排出することを特徴とする請求項1に記載の過給機のオイル戻し構造。
【請求項3】
前記エンジン本体は、前記オイルレベルゲージ挿入孔に連通する孔部を有し、
前記オイル戻し配管は、前記孔部に嵌合される配管部を有し、
前記排出部は、前記孔部の内壁と、前記配管部の先端との間に形成される隙間によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の過給機のオイル戻し構造。
【請求項4】
前記孔部は、オイルの流れる方向で下流側が上流側に対して前記気筒列方向で前記オイルレベルゲージ挿入孔の近くに位置するように、その延びる方向の中心軸が前記気筒列方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の過給機のオイル戻し構造。
【請求項5】
前記配管部は、前記オイルレベルゲージ挿入孔側に位置する孔側部と、前記孔側部に対して前記気筒列方向で前記オイルレベルゲージ挿入孔と反対側に位置する反孔側部とを有し、
前記配管部の先端は、前記孔側部の先端が前記反孔側部の先端よりも前記孔部の奥側に延びるように前記気筒列方向に対して斜めに切断されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の過給機のオイル戻し構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機のオイル戻し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関としてのエンジンにおいて、過給機を潤滑して過給機から排出したオイルをオイルパンに戻す過給機の潤滑油戻し装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載される過給機の潤滑油戻し装置は、オイルレベルゲージが挿入されるオイルレベルゲージガイドがエンジンに植設されており、オイルレベルゲージガイドに過給機からの潤滑油戻し管を接続し、過給機からオイルレベルゲージガイドにオイルを戻している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-65325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の過給機の潤滑油戻し装置にあっては、過給機から排出されるオイルがオイルレベルゲージに付着するおそれがあり、オイルレベルの点検時にオイルレベルゲージに付着したオイルを拭き取る必要があった。この結果、オイルレベルの点検作業の作業性が悪化するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、過給機から排出されるオイルをオイルレベルゲージ挿入孔に戻す際に、オイルがオイルレベルゲージに付着することを防止でき、オイルレベルの点検作業の作業性を向上できる過給機のオイル戻し構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エンジン本体に設けられ、オイルパンに貯留されるオイル量を検出するオイルレベルゲージが挿入されるとともに、前記オイルパンに連通するオイルレベルゲージ挿入孔と、過給機と前記オイルレベルゲージ挿入孔とを連絡し、前記過給機を潤滑して前記過給機から排出されるオイルを、前記オイルレベルゲージ挿入孔を通して前記オイルパンに戻すオイル戻し配管とを有する過給機のオイル戻し構造であって、前記オイル戻し配管は、前記オイルレベルゲージ挿入孔にオイルを排出する排出部を有し、前記オイルレベルゲージは、前記排出部から前記オイルレベルゲージ挿入孔に排出されるオイルが接触しない位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように上記の本発明によれば、過給機から排出されるオイルをオイルレベルゲージ挿入孔に戻す際に、オイルがオイルレベルゲージに付着することを防止でき、オイルレベルの点検作業の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施例に係る過給機のオイル戻し構造を備えたエンジンの正面図である。
図2図2は、図1のII-II方向矢視断面図である。
図3図3は、図2のIII-III方向矢視断面図である。
図4図4は、図2のIV-IV方向矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る過給機のオイル戻し構造は、エンジン本体に設けられ、オイルパンに貯留されるオイル量を検出するオイルレベルゲージが挿入されるとともに、オイルパンに連通するオイルレベルゲージ挿入孔と、過給機とオイルレベルゲージ挿入孔とを連絡し、過給機を潤滑して過給機から排出されるオイルを、オイルレベルゲージ挿入孔を通してオイルパンに戻すオイル戻し配管とを有する過給機のオイル戻し構造であって、オイル戻し配管は、オイルレベルゲージ挿入孔にオイルを排出する排出部を有し、オイルレベルゲージは、排出部からオイルレベルゲージ挿入孔に排出されるオイルが接触しない位置に配置されている。
【0011】
これにより、本発明の一実施の形態に係る過給機のオイル戻し構造は、過給機から排出されるオイルをオイルレベルゲージ挿入孔に戻す際に、オイルがオイルレベルゲージに付着することを防止でき、オイルレベルの点検作業の作業性を向上できる。
【実施例0012】
以下、本発明に係る過給機のオイル戻し構造の実施例について、図面を用いて説明する。
図1から図4は、本発明に係る一実施例の過給機のオイル戻し構造を示す図である。図1から図4において、上下前後左右方向は、車両に配置された状態のエンジンを基準とし、車両の前後方向を前後方向、車両の左右方向(車幅方向)を左右方向、車両の上下方向(車両の高さ方向)を上下方向とする。
【0013】
まず、構成を説明する。
図1において、内燃機関としてのエンジン1は、シリンダブロック2と、シリンダブロック2の上部に設けられたシリンダヘッド3と、シリンダヘッド3の上部に設けられたシリンダヘッドカバー4と、シリンダブロック2の下部に設けられ、オイルが貯留されるオイルパン5とを備えている。
【0014】
本実施例のシリンダブロック2、シリンダヘッド3およびシリンダヘッドカバー4は、エンジン本体を構成する。
【0015】
シリンダブロック2には図示しない複数の気筒が設けられており、気筒は、左右方向に並んで配置されている。気筒には図示しないピストンが上下動自在に収容されている。
【0016】
シリンダブロック2には図示しないクランク軸が収容されており、クランク軸は、ピストンの上下運動を回転運動に変換する。
【0017】
気筒数は、特に限定されるものではなく、本実施例の気筒の配列方向(左右方向)を以後、気筒列方向Cという。
【0018】
エンジン1には過給機6が取付けられている。過給機6は、排気ガスが通過するタービンハウジング6Aと、エンジン1の吸入空気が通過するコンプレッサハウジング6Bと、タービンハウジング6Aとコンプレッサハウジング6Bとに接続される軸受ハウジング6Cとを有する。
【0019】
タービンハウジング6Aには図示しないタービンホイールが設けられており、コンプレッサハウジング6Bには図示しないコンプレッサホイールが設けられている。タービンホイールとコンプレッサホイールは、共通の回転軸によって連結されており、回転軸は、図示しない軸受を介して軸受ハウジング6Cに回転自在に支持されている。
【0020】
過給機6は、タービンハウジング6Aに導入され排気ガスのエネルギーを用いてタービンホイールを回転させ、タービンホイールと一体で回転するコンプレッサホイールによって吸入空気を圧縮する。
【0021】
図1図2に示すように、エンジン1にはオイルレベルゲージ7が配置されている。オイルレベルゲージ7は、例えば、可撓性を有する素材により直線形状に形成されたゲージ部7Aと、ゲージ部7Aの上端に設けられた操作部7Bとを有する。
【0022】
図2図3に示すように、エンジン1には筒状のオイルレベルゲージ挿入孔8が形成されている。オイルレベルゲージ挿入孔8は、シリンダヘッドカバー4からシリンダヘッド3およびシリンダブロック2にわたって上下方向に直線状に延びている。
【0023】
図1図3に示すように、シリンダヘッドカバー4には筒状のオイルレベルゲージ挿入部4Aが設けられている。オイルレベルゲージ7のゲージ部7Aは、オイルレベルゲージ挿入部4Aを通してオイルレベルゲージ挿入孔8に挿入されており、下端部がオイルパン5に収容されている。
【0024】
ゲージ部7Aがオイルレベルゲージ挿入部4Aに挿入された状態において、操作部7Bは、オイルレベルゲージ挿入部4Aから上方に位置しており、作業者は、エンジン1の外方から操作部7Bにアクセス可能となっている。
【0025】
オイルレベルゲージ7は、オイルパン5内に貯留されたオイルにゲージ部7Aが浸るようにオイルレベルゲージ挿入孔8に挿入された状態において、オイルの油面の高さ位置を検出する。
【0026】
具体的には、オイルレベルゲージ7は、ゲージ部7Aの下端に付着したオイルの位置からオイルパン5に貯留されたオイルの油面の高さ位置を測定可能である 。
【0027】
図1に示すように、過給機6の軸受ハウジング6Cには冷却水導入配管9Aと冷却水排出配管9Bが接続されている。冷却水導入配管9Aは、軸受ハウジング6Cに冷却水を導入し、軸受を冷却する。軸受を冷却した冷却水は、冷却水排出配管9Bから排出される。
【0028】
過給機6の軸受ハウジング6Cには図示しないオイル導入配管とオイル戻し配管10が接続されている。オイル導入配管は、軸受ハウジング6Cにオイルを導入するようになっており、軸受ハウジング6Cに収容された軸受はオイルによって潤滑される。
【0029】
軸受を潤滑したオイルは、軸受ハウジング6Cからオイル戻し配管10に排出される。 オイル戻し配管10は、オイルレベルゲージ挿入孔8に連絡されており、オイルレベルゲージ挿入孔8は、オイル戻し配管10から導入されるオイルを自重によってオイルパン5に戻す。
【0030】
図2図3に示すように、オイルレベルゲージ挿入孔8は、シリンダブロック2、シリンダヘッド3およびシリンダヘッドカバー4の前端部側、かつ、右側に配置されている。
【0031】
図3図4に示すように、シリンダブロック2には孔部2Aが形成されており、孔部2Aは、オイルレベルゲージ挿入孔8に連通している。
【0032】
図4に示すように、孔部2Aは、延びる方向の中心軸2aが気筒列方向Cと直交する前後方向に対して所定角度左右方向に傾斜しており、オイルの流れる方向で下流2b側が上流2c側に対して気筒列方向Cでオイルレベルゲージ挿入孔8の近くに位置している。
【0033】
オイル戻し配管10は、オイル戻しホース11とオイル戻しパイプ12とを有する。オイル戻しホース11の一端部は軸受ハウジング6Cに接続されており、オイル戻しホース11の他端部にはオイル戻しパイプ12が接続されている。オイル戻しパイプ12は、孔部2Aに液密的に嵌合されている。本実施例のオイル戻しパイプ12は、孔部2Aに嵌合する配管部を構成する。
【0034】
オイル戻し配管10は、排出部13を有する。排出部13は、孔部2Aの内壁2dとオイル戻しパイプ12の先端との間に形成される隙間14によって構成されており、排出部13は、オイルレベルゲージ挿入孔8に連通している。
【0035】
つまり、孔部2Aにオイル戻しパイプ12が嵌合されていない状態において、孔部2Aの内壁2dによって囲まれる空間がオイルレベルゲージ挿入孔8に連通する。
【0036】
一方、孔部2Aにオイル戻しパイプ12が嵌合された状態では、オイル戻しパイプ12が接触する孔部2Aの内壁2dを除いたオイル戻しパイプ12の先端と内壁2dとの間に形成される隙間がオイルレベルゲージ挿入孔8に連通し、この隙間がオイル戻しパイプ12からオイルレベルゲージ挿入孔8にオイルを排出する排出部13を構成する。
【0037】
オイルレベルゲージ挿入孔8は、第1の内壁部8A、第2の内壁部8B、第3の内壁部8Cおよび第4の内壁部8Dを有する。
【0038】
第1の内壁部8Aは、気筒列方向Cでオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して左側(一方側)に位置しており、第2の内壁部8Bは、気筒列方向Cでオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第1の内壁部8Aと反対の右側(他方側)に位置している。
【0039】
第3の内壁部8Cは、オイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して気筒列方向Cと水平面内で交差する後側(一方側)に位置しており、第4の内壁部8Dは、気筒列方向Cと水平面内で交差する方向でオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第3の内壁部8Cと反対の前側(他方側)に位置している。
【0040】
第1の内壁部8A、第2の内壁部8B、第3の内壁部8Cおよび第4の内壁部8Dは、オイルレベルゲージ挿入孔8の円周方向に連続しているオイルレベルゲージ挿入孔8の内壁面であり、オイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aは、オイルレベルゲージ挿入孔8の延びる方向の中心軸である。
【0041】
オイルレベルゲージ7は、オイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第1の内壁部8A側で、かつオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第4の内壁部8D側に位置している。つまり、オイルレベルゲージ7は、第1の内壁部8A側および第4の内壁部8D側に偏って配置されている。
【0042】
オイルレベルゲージ挿入部4Aは、オイルレベルゲージ挿入孔8に対して第1の内壁部8A側および第4の内壁部8D側に配置されているので、オイルレベルゲージ7を第1の内壁部8A側および第4の内壁部8D側に偏って配置できるとともに、オイルレベルゲージ挿入部4Aを第1の内壁部8A側および第4の内壁部8D側に偏った位置に維持できる。
【0043】
排出部13は、オイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第1の内壁部8A側で、かつオイルレベルゲージ7に対して第3の内壁部8C側に位置しており、排出部13は、第3の内壁部8Cに向かってオイルを排出する。
【0044】
これにより、オイルレベルゲージ7は、排出部13からオイルレベルゲージ挿入孔8に排出されるオイルが接触しない位置に配置される。
【0045】
オイル戻しパイプ12は、孔側部12Aと反孔側部12Bとを有する。孔側部12Aは、オイルレベルゲージ挿入孔8側に位置しており、反孔側部12Bは、孔側部12Aに対して気筒列方向Cでオイルレベルゲージ挿入孔8と反対側に位置している。
【0046】
オイル戻しパイプ12の先端は、孔側部12Aの先端12aが反孔側部12Bの先端12bよりも孔部2Aの奥側(後側)に延びるように気筒列方向Cに対して斜めに切断されている。孔側部12Aの先端12aと反孔側部12Bの先端12bは、オイル戻しパイプ12の先端の一部であり、配管部の先端を構成する。
【0047】
次に、本実施例の過給機6のオイル戻し構造の作用効果を説明する。
本実施例の過給機6のオイル戻し構造は、シリンダブロック2、シリンダヘッド3およびシリンダヘッドカバー4に設けられ、オイルパン5に貯留されるオイル量を検出するオイルレベルゲージ7が挿入されるとともに、オイルパン5に連通するオイルレベルゲージ挿入孔8と、過給機6とオイルレベルゲージ挿入孔8とを連絡し、過給機6を潤滑して過給機6から排出されるオイルを、オイルレベルゲージ挿入孔8を通してオイルパン5に戻すオイル戻し配管10とを有する。
【0048】
オイル戻し配管10は、オイルレベルゲージ挿入孔8にオイルを排出する排出部13を有し、オイルレベルゲージ7は、排出部13からオイルレベルゲージ挿入孔8に排出されるオイルが接触しない位置に配置されている。
【0049】
これにより、過給機6から排出されるオイルをオイルレベルゲージ挿入孔8に戻す際に、オイルがオイルレベルゲージ7に付着することを防止できる。このため、オイルレベルの点検時にオイルレベルゲージ7に付着したオイルを拭き取ることが不要となり、オイルレベルの点検作業の作業性を向上できる。
【0050】
また、本実施例の過給機6のオイル戻し構造によれば、オイルレベルゲージ挿入孔8は、 エンジン1の気筒列方向Cでオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して左側に位置する第1の内壁部8Aと、気筒列方向Cでオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第1の内壁部8Aと反対の右側に位置する第2の内壁部8Bとを有する。
【0051】
また、オイルレベルゲージ挿入孔8は、オイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して気筒列方向Cと水平面内で交差する方向で後側に位置する第3の内壁部8Cと、気筒列方向Cと水平面内で交差する方向でオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第3の内壁部8Cと反対の前側に位置する第4の内壁部8Dとを有する。
【0052】
オイルレベルゲージ7は、オイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第1の内壁部8A側で、かつオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第4の内壁部8D側に位置している。
【0053】
排出部13は、オイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第1の内壁部8A側で、かつオイルレベルゲージ7に対して第3の内壁部8C側に位置しており、第3の内壁部8Cに向かってオイルを排出する。
【0054】
これにより、過給機6から排出されるオイルをオイルレベルゲージ挿入孔8に戻す際に、オイルレベルゲージ7を避けてオイルをオイルレベルゲージ挿入孔8に戻すことができる。
【0055】
このため、オイルがオイルレベルゲージ7に付着することをより効果的に防止でき、オイルレベルの点検時にオイルレベルゲージ7に付着したオイルを拭き取ることを不要にできる。この結果、オイルレベルの点検作業の作業性をより効果的に向
【0056】
また、本実施例の過給機6のオイル戻し構造によれば、シリンダブロック2は、オイルレベルゲージ挿入孔8に連通する孔部2Aを有し、オイル戻し配管10は、孔部2Aに嵌合されるオイル戻しパイプ12を有する。
【0057】
これに加えて、排出部13は、孔部2Aの内壁2dとオイル戻しパイプ12の先端との間に形成される隙間14によって構成されている。
【0058】
このように、オイルレベルゲージ挿入孔8に対する孔部2Aの向きおよび孔部2Aの深さとオイル戻しパイプ12の先端の形状とを適宜選定することによって、オイルをオイルレベルゲージ7から離れる方向に排出でき、オイルがオイルレベルゲージ7に付着することをより効果的に防止できる。
【0059】
また、本実施例の過給機6のオイル戻し構造によれば、孔部2Aは、オイルの流れる方向で下流2b側が上流2c側に対して気筒列方向Cでオイルレベルゲージ挿入孔8の近くに位置するように、延びる方向の中心軸2aが気筒列方向Cに対して傾斜している。
【0060】
これにより、オイル戻し配管10のオイル戻しパイプ12からオイルレベルゲージ挿入孔8に到る油路が排出部13で直角に屈曲することを防止できる。
【0061】
このため、オイルレベルゲージ7をオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第1の内壁部8A側で、かつオイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第4の内壁部8D側に位置させ、排出部13を、オイルレベルゲージ挿入孔8の中心部8aに対して第1の内壁部8A側で、かつオイルレベルゲージ7に対して第3の内壁部8C側に位置させることができる。
【0062】
この結果、オイルをオイルレベルゲージ7から離れる方向に円滑に案内でき、オイルがオイルレベルゲージ7に付着することをより効果的に防止できる。
【0063】
また、本実施例の過給機6のオイル戻し構造によれば、オイル戻しパイプ12は、オイルレベルゲージ挿入孔8側に位置する孔側部12Aと、孔側部12Aに対して気筒列方向Cでオイルレベルゲージ挿入孔8と反対側に位置する反孔側部12Bとを有する。
【0064】
これに加えて、オイル戻しパイプ12の先端は、孔側部12Aの先端12aが反孔側部12Bの先端12bよりも孔部2Aの奥側に延びるように気筒列方向Cに対して斜めに切断されている。
【0065】
このように、孔側部12Aの先端12aが反孔側部12Bの先端12bよりも孔部2Aの奥側に延びるように、オイル戻しパイプ12の先端を斜めにカットすることにより、オイルの流れる方向で孔側部12Aによってオイルレベルゲージ7を覆うことができる。
【0066】
このため、オイルをオイルレベルゲージ7から遠ざかる方向に確実に排出でき、オイルがオイルレベルゲージ7に付着することをより効果的に防止できる。
【0067】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく調整が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0068】
2...シリンダブロック(エンジン本体)、2A...孔部、2a...中心軸(孔部の中心軸)、2b...下流(孔部の下流)、2c...上流(孔部の上流)、2d...内壁(孔部の内壁)、3...シリンダヘッド(エンジン本体)、4...シリンダヘッドカバー(エンジン本体)、5...オイルパン、6...過給機、7...オイルレベルゲージ、8...オイルレベルゲージ挿入孔、8A...第1の内壁部、8a...オイルレベル挿入孔の中心部、8B...第2の内壁部、8C...第3の内壁部、8D...第4の内壁部、10...オイル戻し配管、12...オイル戻しパイプ(配管部)、12A...孔側部、12a...先端(孔側部の先端、配管部の先端)、12B...反孔側部、12b...(反孔側部の先端、配管部の先端)、13...排出部、C...気筒列方向
図1
図2
図3
図4