(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176677
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】害虫防除用スプレー
(51)【国際特許分類】
A01N 53/10 20060101AFI20241212BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20241212BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20241212BHJP
A01N 25/06 20060101ALI20241212BHJP
A01M 7/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A01N53/10 210
A01P7/04
A01N25/30
A01N25/06
A01M7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095411
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉木 和美
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA13
2B121AA14
2B121AA17
2B121CB07
2B121CB28
2B121CC02
4H011AC02
4H011BA05
4H011BB15
4H011DA15
4H011DB05
(57)【要約】
【課題】隙間の奥側に入り込んだ害虫を防除するに適した害虫防除用スプレーを提供する。
【解決手段】
害虫防除成分、界面活性剤およびアルコール類からなる群から選択される少なくとも1種および水を含有する害虫防除用組成物が充填されてなる害虫防除用スプレーにおいて、
当該スプレーを1回噴射した際の前記害虫防除用組成物の噴射量が0.5~2.0gであり、
噴射距離100cmにおける噴射力が3.0g・f以上25.0g・f以下であることを特徴とする害虫防除用スプレー。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫防除成分、界面活性剤およびアルコール類からなる群から選択される少なくとも1種および水を含有する害虫防除用組成物が充填されてなる害虫防除用スプレーにおいて、
当該スプレーを1回噴射した際の前記害虫防除用組成物の噴射量が0.5~2.0gであり、
噴射距離100cmにおける噴射力が3.0g・f以上25.0g・f以下であることを特徴とする害虫防除用スプレー。
【請求項2】
請求項1に記載の害虫防除用スプレーを用いて害虫を防除する害虫防除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫防除用スプレーに関する。
【背景技術】
【0002】
住居においてゴキブリ、蚊などの害虫を防除する場合、害虫防除用スプレーを直接害虫に噴霧して防除する方法が取られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、害虫を視認し害虫防除用スプレーを準備して噴霧する際には、害虫がソファーや家具などの調度品と床面との隙間または壁面との隙間の奥側に入り込んでしまう場合があり、特許文献1に示す害虫防除用スプレーを隙間に向けて噴霧するにも、その噴霧距離が短いために害虫を防除できないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明者は、このような状況を防ぐべく鋭意検討した結果、隙間の奥側に入り込んだ害虫を防除するに適した害虫防除用スプレーを見出し本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、
〔1〕害虫防除成分、界面活性剤およびアルコール類からなる群から選択される少なくとも1種および水を含有する害虫防除用組成物が充填されてなる害虫防除用スプレーにおいて、
当該スプレーを1回噴射した際の前記害虫防除用組成物の噴射量が0.5~2.0gであり、
噴射距離100cmにおける噴射力が3.0g・f以上25.0g・f以下であることを特徴とする害虫防除用スプレー。
〔2〕上記の害虫防除用スプレーを用いて害虫を防除する害虫防除方法。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、隙間の奥側に入り込んだ害虫を吹き飛ばしたり潰したりすることなく防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に使用される害虫防除成分は、ピレトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、イミプロトリン、フェノトリン、アレスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、ペルメトリン、エムペントリン、シフェノトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、モンフルオロトリン、ジメフルトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、ジクロルボス、クロルピリホスメチル、ダイアジノン、フェンチオン等の有機リン系化合物、カルバリル、プロポクスル等のカーバメイト系化合物、メトプレン、ピリプロキシフェン、メトキサジアゾン、フィプロニル、アミドフルメト等の殺虫性化合物が挙げられる。また、p-メンタン-3,8-ジオール、シトラール、メントール、シトロネラ―ル、ネラール、ゲラニアール、ゲラニアールなどの害虫防除性能を有する成分を含んだ天然精油を使用しても良い。これら害虫防除成分とその配合量は対象害虫の種類に合わせて適宜選択され得る。
【0008】
本発明に使用される界面活性剤としては、日光ケミカルズ(株)製のDECAGLYN-1-OV、竹本油脂(株)製01075TXなどで販売されるグリセリン脂肪酸エステル、竹本油脂(株)製ニューカルゲンD-935、花王化学(株)製レオドールSP-030V、花王化学(株)製レオドールSP-S10V、花王化学(株)製レオドールSP-P10、花王化学(株)製エマゾールO-10Vなどで販売されるソルビタン脂肪酸エステル、エマノーンCH-40(花王(株)製、POE(40)硬化ヒマシ油)、エマノーンCH-60(花王(株)製、POE(60)硬化ヒマシ油)、エマノーンCH-80(花王(株)製、POE(80)硬化ヒマシ油)、ニッコールHCO40(日光ケミカルズ(株)製、POE(40)硬化ヒマシ油)、ニッコールHCO60(日光ケミカルズ(株)製、POE(60)硬化ヒマシ油)、ニッコールHCO100(日光ケミカルズ(株)製、POE(100)硬化ヒマシ油)、ニューカルゲンD-240K(竹本油脂(株)製、POE(40)硬化ヒマシ油)、ニューカルゲンD-260K(竹本油脂(株)製、POE(60)硬化ヒマシ油)などで販売される酸化エチレンの平均付加モル数が25~100モルのポリオキシエチレン硬化ひまし油などが挙げられる。これら界面活性剤は単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。界面活性剤を使用する場合、害虫防除組成物に対する界面活性剤の配合量は、通常、1.0~10重量%である。
【0009】
本発明に使用されるアルコール類としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどの1価アルコールに加え、ソルビトール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコールも挙げられる。アルコール類は単独または2種以上使用することができる。アルコール類を使用する場合のアルコール類の配合量は、通常、害虫防除組成物に対し0.1~10重量%である。
【0010】
本発明に使用される水は、害虫防除組成物全体量に対し少なくとも40重量%以上であり、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%以上であり、さらにより好ましくは80重量%以上である。
【0011】
本発明の害虫防除組成物には、さらに他の成分を含有させてもよく、当該成分としては、例えば、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、香料(天然系香料または合成系香料をいう。)などが挙げられる。防腐剤としては、フェノキシエタノール、メチルパラベンなどのパラベン類などが挙げられる。またキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のナトリウム塩などのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の金属塩、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)のナトリウム塩などのエチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)の金属塩、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウムなどのグルコン酸金属塩などを挙げられる。pH調整剤としては、塩化カリウム、クエン酸、クエン酸一カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0012】
本発明の害虫防除用スプレーは、前記の害虫防除用組成物を容器に充填しトリガータイプのスプレーヘッドを装着することにより製造することができる。
【0013】
本発明の害虫防除用スプレーには、1回噴射した際の前記害虫防除用組成物の噴射量が0.5~2.0gであり、噴射距離100cmにおける噴射力が3.0g・f以上25.0g・f以下となるトリガータイプのスプレーヘッドが装着される。当該噴射力が3.0g・f未満となると充分量の害虫防除用組成物が害虫に噴射されず、25.0g・fを超えると害虫種によってはその噴射力によって吹き飛ばされるまたは潰れる場合が出てくる。
【0014】
噴射力は、IMADA社製デジタルフォースゲージ(ロードセル最大荷重2N)に取り付けられた直径60mmの治具の略中心域を狙って、害虫防除用スプレーを噴射することにより測定することができる。測定の際、害虫防除用スプレーのノズルから当該治具までの距離は100cmとする。
【0015】
本発明の害虫防除用スプレーを噴射した際の噴霧粒子径は、体積分布における累積10%粒子径が150~350μm、50%粒子径が300~500μm、90%粒子径が400~800μmの範囲であることが望ましい。
【0016】
ここで噴霧粒子径は、AEROTRAC II(マイクロトラック・ベル株式会社)のF600レンズ(焦点距離600mm、測定可能範囲2.8~2000μm)を用い、レーザーに対し30cmの位置から害虫防除用スプレーを噴霧することにより測定できる。
【0017】
トリガータイプのスプレーヘッドは、トリガーの操作によりピストンがシリンダ内に充填された害虫防除用組成物に圧を加え、ノズルから当該組成物を噴射する機構を有し、本願発明の噴射力が得られるようにシリンダ容積、ノズルの穴径、形状などが設計されたものを用いることができる。本願発明に使用できるトリガータイプのスプレーヘッドとしては、例えば、キャニオン製 MODEL TS95SJ10のJETパターン、T95STDなどが挙げられる。
【0018】
害虫防除用組成物を充填するための容器としては、ポリエチレンテレフタレート製のボトル容器、積層フィルムからなるパウチ容器などが挙げられる。
【0019】
本発明の害虫防除用スプレーが防除対象とする害虫としては、イエバエ等のハエ類、ショウジョウバエ、チョウバエ等のコバエ類、アカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ等のゴキブリ類、ジョロウグモ、コガネグモ等のクモ類、ヤケヤスデ、アカヤスデ等のヤスデ類、トビズムカデ、アオズムカデ等のムカデ類、クサギカメムシ、チャバネアオカメムシ等のカメムシ類などが挙げられる。本発明の害虫防除用スプレーは、これらの害虫が住居内の隙間に入り込んだ際の使用に限らず、屋外においても使用することもできる。
【実施例0020】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
〔害虫防除組成物の調製〕
100mlSUSビーカーにジョチュウギクエキス(Botanical Resources Australia Pty Ltd製 住友天然ピレトリン75、ピレトリン含量:75重量%、以下略)0.13g、グリセリン脂肪酸エステル(竹本油脂(株)製 01075TX)2.5g、ソルビタン脂肪酸エステル(竹本油脂(株)製 ニューカルゲンD935)0.5gおよびフェノキシエタノール(三洋化成工業(株)製 ニューポールEFP)0.9gを量り取り撹拌棒にて混合した。次いで200mlSUS容器に精製水95.7gを量り取り、ホモジナイザー(TKロボミクス プライミクス株式会社)を用いて回転数6000rpmにて撹拌しながら前記の混合液をピペットを用いて60秒かけて滴下した後、当該ホモジナイザーの回転数を10000rpmに変更して30分間混合し害虫防除組成物を調製した。
前記の害虫防除組成物を300g準備し、市販のスプレー製品用容器(容量345ml)に充填した後、トリガータイプのスプレーヘッド(キャニヨン製、型式T95SJ10)を装着し、本発明の害虫防除用スプレーを得た。