(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176681
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】空気調和装置および空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/84 20180101AFI20241212BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20241212BHJP
F24F 11/871 20180101ALI20241212BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20241212BHJP
【FI】
F24F11/84
F24F11/46
F24F11/871
F24F11/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095420
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎一
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA15
3L260CA12
3L260CA32
3L260CB04
3L260CB06
3L260CB09
3L260CB14
3L260CB15
3L260CB23
3L260CB24
3L260EA08
3L260FA02
3L260FA07
3L260FB07
3L260FB12
3L260FB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避した空気調和装置および空気調和システムを提供。
【解決手段】室外機と各部屋に設けられる複数の室内機と制御装置と、圧縮機の吸入温度検知装置と、吐出温度検知装置と、蒸発温度を検知する蒸発温度検知装置と、各部屋の室内温度検知装置とを備え、制御装置は複数の室内機のうち、通常運転時の室内機がある場合に、圧縮機の運転周波数とその下限値である下限周波数との差が予め設定された第一閾値以下、かつ、通常運転時の室内機が設置された部屋のユーザーなどにより予め設定された設定温度と室内温度との差が予め設定された第二閾値以下である場合、吐出温度と吸入温度との差が予め設定された目標吸入温度差となるように絞り装置の開度を大きくする、あるいは、蒸発温度が予め設定された目標蒸発温度となるように絞り装置の開度を大きくする第一低能力運転を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、絞り装置、およびアキュムレータを有し、室外に設けられる室外機と、
室内熱交換器を有し、各部屋に設けられる複数の室内機と、
前記圧縮機、前記流路切替装置、前記室外熱交換器、前記絞り装置、複数の前記室内熱交換器、および前記アキュムレータが配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、
前記冷媒回路を制御する制御装置と、
前記圧縮機の吸入温度を検知する吸入温度検知装置と、
前記圧縮機の吐出温度を検知する吐出温度検知装置と、
蒸発温度を検知する蒸発温度検知装置と、
前記各部屋に設けられ、室内温度を検知する室内温度検知装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、通常運転時の室内機がある場合において、
前記圧縮機の運転周波数とその下限値である下限周波数との差が予め設定された第一閾値以下、かつ、前記通常運転時の前記室内機が設置された部屋の予め設定された設定温度と前記室内温度との差が予め設定された第二閾値以下である場合、
前記吐出温度と前記吸入温度との差が予め設定された目標吸入温度差となるように前記絞り装置の開度を大きくする、あるいは、前記蒸発温度が予め設定された目標蒸発温度となるように前記絞り装置の開度を大きくする第一低能力運転を実行する
空気調和装置。
【請求項2】
前記室外熱交換器に空気を供給する室外送風ファンと、
外気温度を検知する外気温度検知装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、第一低能力運転時の室内機がある場合において、
冷房運転時では前記第一低能力運転時の前記室内機が設置された部屋の前記設定温度と前記外気温度との差が予め設定された第三閾値以上である場合、
暖房運転時では前記第一低能力運転時の前記室内機が設置された部屋の前記設定温度と前記外気温度との差が予め設定された第四閾値以下である場合、
前記室外送風ファンの回転数を低下させる第二低能力運転を実行する
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
各部屋に設けられ、在室者の有無を検知する在室検知装置と、
前記複数の室内機のそれぞれの空気吹出口に設けられ、該空気吹出口から吹き出される風の向きを変える風向板と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一低能力運転あるいは前記第二低能力運転を実行している室内機である第一室内機の前記室内温度が予め設定された第五閾値以下である場合において、
前記第一室内機以外で、運転指示が出ておらず、かつ、在室者がいない部屋に設けられた室内機である第二室内機がある場合、
前記第二室内機の運転を実行し、前記第一室内機の前記空気吹出口から吹き出される風量が低下するように前記風向板を制御するサーモオフ抑制運転を実行する
請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記複数の室内機は、
前記室内熱交換器に空気を供給する室内送風ファンを有し、
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
冷房運転時では前記第二室内機の前記設定温度を前記第一室内機の前記設定温度よりも低く設定し、暖房運転時では前記第二室内機の前記設定温度を前記第一室内機の前記設定温度よりも高く設定し、
前記第二室内機の前記室内送風ファンの回転数を前記第一室内機の前記室内送風ファンの回転数よりも大きく設定する
請求項3に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記複数の室内機のそれぞれの前記室内熱交換器の熱交換面積に関する情報を有し、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
前記第二室内機が複数ある場合、
除湿要望がない場合は複数の前記第二室内機のうち、熱交換面積の大きいものを優先して動作させ、
除湿要望がある場合は複数の前記第二室内機のうち、熱交換面積の小さいものを優先して動作させる
請求項3または4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記複数の室内機のそれぞれの前記室内熱交換器の熱交換面積に関する情報を有し、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
前記第二室内機が複数あり、かつ、熱交換面積が同じである場合、
複数の前記第二室内機のうち、冷房運転時では前記室内温度が高いものを優先して動作させ、暖房運転時では前記室内温度が低いものを優先して動作させる
請求項3または4に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一室内機があり、かつ、除湿要望がある場合、
前記第一室内機の前記空気吹出口から吹き出される風量が低下するように前記風向板を制御し、かつ、前記目標蒸発温度を室内の露点温度以下の値とし、前記蒸発温度が前記目標蒸発温度となるように前記絞り装置を制御する低能力冷房除湿運転を行う
請求項3または4に記載の空気調和装置。
【請求項8】
圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、絞り装置、およびアキュムレータを有し、室外に設けられる室外機と、
室内熱交換器を有し、各室内に設けられる複数の室内機と、
前記圧縮機、前記流路切替装置、前記室外熱交換器、前記絞り装置、複数の前記室内熱交換器、および前記アキュムレータが配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、
前記冷媒回路を制御する制御装置と、
前記圧縮機の吸入温度を検知する吸入温度検知装置と、
前記圧縮機の吐出温度を検知する吐出温度検知装置と、
蒸発温度を検知する蒸発温度検知装置と、
各部屋に設けられ、室内温度を検知する室内温度検知装置と、を有する空気調和装置と、
前記空気調和装置と通信が可能な通信装置と、を備え、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、通常運転時の室内機がある場合において、
前記圧縮機の運転周波数とその下限値である下限周波数との差が予め設定された第一閾値以下、かつ、予め設定された設定温度と前記室内温度との差が予め設定された第二閾値以下である場合、
前記吐出温度と前記吸入温度との差が予め設定された目標吸入温度差となるように前記絞り装置の開度を大きくする、あるいは、前記蒸発温度が予め設定された目標蒸発温度となるように前記絞り装置の開度を大きくする第一低能力運転を実行するように、前記空気調和装置に対して指示する
空気調和システム。
【請求項9】
前記空気調和装置は、
前記室外熱交換器に空気を供給する室外送風ファンと、
外気温度を検知する外気温度検知装置と、を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、第一低能力運転時の室内機がある場合において、
冷房運転時では前記第一低能力運転時の室内機が設置された部屋の前記設定温度と前記外気温度との差が予め設定された第三閾値以上である場合、
暖房運転時では前記第一低能力運転時の室内機が設置された部屋の前記設定温度と前記外気温度との差が予め設定された第四閾値以下である場合、
前記室外送風ファンの回転数を低下させる第二低能力運転を実行するように、前記空気調和装置に対して指示する
請求項8に記載の空気調和システム。
【請求項10】
前記空気調和装置は、
各部屋に設けられ、在室者の有無を検知する在室検知装置と、
前記複数の室内機のそれぞれの空気吹出口に設けられ、該空気吹出口から吹き出される風の向きを変える風向板と、を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一低能力運転あるいは前記第二低能力運転を実行している室内機である第一室内機の前記室内温度が予め設定された第五閾値以下である場合において、
前記第一室内機以外で、運転指示が出ておらず、かつ、在室者がいない部屋に設けられた室内機である第二室内機がある場合、
前記第二室内機の運転を実行し、前記第一室内機の前記空気吹出口から吹き出される風量が低下するように前記風向板を制御するサーモオフ抑制運転を行うように、前記空気調和装置に対して指示する
請求項9に記載の空気調和システム。
【請求項11】
前記複数の室内機は、
前記室内熱交換器に空気を供給する室内送風ファンを有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
冷房運転時では前記第二室内機の前記設定温度を前記第一室内機の前記設定温度よりも低く設定し、暖房運転時では前記第二室内機の前記設定温度を前記第一室内機の前記設定温度よりも高く設定し、
前記第二室内機の前記室内送風ファンの回転数を前記第一室内機の前記室内送風ファンの回転数よりも大きく設定するように、前記空気調和装置に対して指示する
請求項10に記載の空気調和システム。
【請求項12】
前記制御装置は、
前記複数の室内機のそれぞれの前記室内熱交換器の熱交換面積に関する情報を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
前記第二室内機が複数ある場合、
除湿要望がない場合は複数の前記第二室内機のうち、熱交換面積の大きいものを優先して動作させ、
除湿要望がある場合は複数の前記第二室内機のうち、熱交換面積の小さいものを優先して動作させるように、前記空気調和装置に対して指示する
請求項10または11に記載の空気調和システム。
【請求項13】
前記制御装置は、
前記複数の室内機のそれぞれの前記室内熱交換器の熱交換面積に関する情報を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
前記第二室内機が複数あり、かつ、熱交換面積が同じである場合、
複数の前記第二室内機のうち、冷房運転時では前記室内温度が高いものを優先して動作させ、暖房運転時では前記室内温度が低いものを優先して動作させるように前記空気調和装置に対して指示する
請求項10または11に記載の空気調和システム。
【請求項14】
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一室内機があり、かつ、除湿要望がある場合、
前記第一室内機の前記空気吹出口から吹き出される風量が低下するように前記風向板を制御し、かつ、前記目標蒸発温度を室内の露点温度以下の値とし、前記蒸発温度が前記目標蒸発温度となるように前記絞り装置を制御する低能力冷房除湿運転を行うように、前記空気調和装置に対して指示する
請求項10または11に記載の空気調和システム。
【請求項15】
前記各部屋に設けられ、換気ファンを有し、室内に室外空気を取り込み、室内空気を室外に排気する換気装置を備え、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一低能力運転時、前記第二低能力運転時、あるいは前記サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合、かつ、該室内機が設置された部屋の前記設定温度に対して前記室内温度よりも前記外気温度の方が差が大きく、かつ、前記外気温度と前記室内温度との差が予め設定された第五閾値以上である場合、
前記換気ファンの回転数を増加させるように、前記第一低能力運転時、前記第二低能力運転時、あるいは前記サーモオフ抑制運転時の室内機が設置された部屋の前記換気装置に対して指示する
請求項10または11に記載の空気調和システム。
【請求項16】
前記各部屋に設けられ、換気ファンを有し、室内に室外空気を取り込み、室内空気を室外に排気する換気装置を備え、
前記空気調和装置は、
室内湿度を検知する室内湿度検知装置と、
外気湿度を検知する外気湿度検知装置と、を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、低能力冷房除湿運転時の室内機がある場合、
該室内機が設置された部屋の予め設定された設定湿度に対して前記室内湿度よりも前記外気湿度の方が差が小さく、かつ、前記外気湿度と前記室内湿度との差が予め設定された第六閾値以下である場合、
前記換気ファンの回転数を増加させるように、前記低能力冷房除湿運転時の室内機が設置された部屋の前記換気装置に対して指示する
請求項10または11に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置および空気調和システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーから運転指令のない室内機を強制的に運転させた際に、当該室内機を適切な運転能力に調整する多室型空気調和装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、運転指令を受けた第1室内機を運転させ、運転指令を受けていない第2室内機を停止させる一部運転モードにおいて、第1室内機の運転負荷が小さい場合に、第1室内機を運転させ、さらに第2室内機を運転させる分配運転モードに移行する。分配運転モードにおいて、制御部は、第1室内機の運転負荷に応じて、第2室内機の能力を調整する。このように、分配運転モードに移行してもなお、第1室内機へ供給される運転能力が過剰な場合には第2室内機へ分配する運転能力を増加させ、第1室内機へ供給される運転能力が不足している場合には第2室内機へ分配する運転能力を減少させるので、第1室内機を最適な運転能力で運転させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、圧縮機の運転周波数とその下限値である下限周波数との差が予め設定された第一閾値以下である低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合は断続運転となるが、断続運転となると室内の温度振動が発生したり、室内の湿度調整が難しくなったりしてしまうという課題があった。
【0006】
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたもので、低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避した空気調和装置および空気調和システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る空気調和装置は、圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、絞り装置、およびアキュムレータを有し、室外に設けられる室外機と、室内熱交換器を有し、各部屋に設けられる複数の室内機と、前記圧縮機、前記流路切替装置、前記室外熱交換器、前記絞り装置、複数の前記室内熱交換器、および前記アキュムレータが配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、前記冷媒回路を制御する制御装置と、前記圧縮機の吸入温度を検知する吸入温度検知装置と、前記圧縮機の吐出温度を検知する吐出温度検知装置と、蒸発温度を検知する蒸発温度検知装置と、前記各部屋に設けられ、室内温度を検知する室内温度検知装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数の室内機のうち、通常運転時の室内機がある場合において、前記圧縮機の運転周波数とその下限値である下限周波数との差が予め設定された第一閾値以下、かつ、前記通常運転時の前記室内機が設置された部屋の予め設定された設定温度と前記室内温度との差が予め設定された第二閾値以下である場合、前記吐出温度と前記吸入温度との差が予め設定された目標吸入温度差となるように前記絞り装置の開度を大きくする、あるいは、前記蒸発温度が予め設定された目標蒸発温度となるように前記絞り装置の開度を大きくする第一低能力運転を実行するものである。
【0008】
また、本開示に係る空気調和システムは、圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、絞り装置、およびアキュムレータを有し、室外に設けられる室外機と、室内熱交換器を有し、各室内に設けられる複数の室内機と、前記圧縮機、前記流路切替装置、前記室外熱交換器、前記絞り装置、複数の前記室内熱交換器、および前記アキュムレータが配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、前記冷媒回路を制御する制御装置と、前記圧縮機の吸入温度を検知する吸入温度検知装置と、前記圧縮機の吐出温度を検知する吐出温度検知装置と、蒸発温度を検知する蒸発温度検知装置と、各部屋に設けられ、室内温度を検知する室内温度検知装置と、を有する空気調和装置と、前記空気調和装置と通信が可能な通信装置と、を備え、前記通信装置は、前記複数の室内機のうち、通常運転時の室内機がある場合において、前記圧縮機の運転周波数とその下限値である下限周波数との差が予め設定された第一閾値以下、かつ、予め設定された設定温度と前記室内温度との差が予め設定された第二閾値以下である場合、前記吐出温度と前記吸入温度との差が予め設定された目標吸入温度差となるように前記絞り装置の開度を大きくする、あるいは、前記蒸発温度が予め設定された目標蒸発温度となるように前記絞り装置の開度を大きくする第一低能力運転を実行するように、前記空気調和装置に対して指示するものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る空気調和装置および空気調和システムによれば、低能力運転時において、予め設定された温度と室内温度との差が予め設定された第二閾値以下である場合、目標温度差を小さくし、吐出温度と吸入温度との差が目標温度差となるように絞り装置を制御する、あるいは、目標蒸発温度を大きくし、蒸発温度が目標蒸発温度となるように絞り装置を制御する。そうすることで、圧縮機の運転周波数を低下させずに空調能力を低下することができるので、低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和システムの概略構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る空気調和システムの空気調和装置の概略構成図である。
【
図3】実施の形態1に係る空気調和システムの換気装置の概略構成図である。
【
図4】実施の形態1に係る空気調和システムの換気装置の変形例の概略構成図である。
【
図5】実施の形態1に係る空気調和システムの通常冷房運転時の制御フローを示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る空気調和システムの絞り装置の開度変更前後のP-h線図である。
【
図7】実施の形態1に係る空気調和システムの室外送風ファンの風量変更前後のP-h線図である。
【
図8】実施の形態1に係る空気調和システムの通常暖房運転時の制御フローを示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る空気調和システムの低能力運転時の制御フローを示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る空気調和システムの室内送風ファンの風量変更前後のP-h線図である。
【
図11】実施の形態1に係る空気調和システムの通常冷房運転時の複数の部屋それぞれの時間に対する温度を示す図である。
【
図12】実施の形態1に係る空気調和システムのサーモオフ抑制運転時の複数の部屋それぞれの時間に対する温度を示す図である。
【
図13】実施の形態1に係る空気調和システムの低能力運転時の制御フローを示す図である。
【
図14】実施の形態1に係る空気調和システムの低能力冷房除湿運転時の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和システムの概略構成図である。実施の形態1に係る空気調和システムは、空気調和装置100と、換気装置200と、通信装置300とを備えている。
【0013】
図2は、実施の形態1に係る空気調和システムの空気調和装置100の概略構成図である。空気調和装置100は、部屋(空調空間)の外部に設置される室外機10と、部屋(空調空間)の内部に設置される室内機20a~20cとを備えている。実施の形態1では、
図2に示すように、室内機20a~20cが各部屋それぞれに合計3台設けられているが、それに限定されず、複数台であればよい。室外機10は、圧縮機11、流路切替装置12、室外熱交換器13、室外送風ファン14、絞り装置15、およびアキュムレータ16を備えている。室内機20a~20cは、室内熱交換器21a~21c、室内送風ファン22a~22c、および風向板23a~23cを備えている。
【0014】
空気調和装置100は、圧縮機11、流路切替装置12、室外熱交換器13、絞り装置15、および室内熱交換器21a~21cが冷媒配管により順次接続されることで、冷媒が循環する冷媒回路1を備えている。なお、室内熱交換器21a~21cは、互いに並列に接続されている。
【0015】
なお、以下の説明において、室内機20a、室内機20b、および室内機20cを特に区別する必要がない場合には、単に「室内機20」と適宜称して説明する。また、室内熱交換器21a、室内熱交換器21b、および室内熱交換器21cを特に区別する必要がない場合には、単に「室内熱交換器21」と適宜称して説明する。また、室内送風ファン22a、室内送風ファン22b、および室内送風ファン22cを特に区別する必要がない場合には、単に「室内送風ファン22」と適宜称して説明する。また、風向板23a、風向板23b、および風向板23cを特に区別する必要がない場合には、単に「風向板23」と適宜称して説明する。
【0016】
圧縮機11は、低温低圧の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機11は、例えば、運転周波数を変化させることにより、単位時間あたりの送出量である容量が制御されるインバーター圧縮機などである。
【0017】
流路切替装置12は、例えば四方弁であり、冷媒の流れる方向を切り替えることにより、冷房運転および暖房運転の切り替えを行う。なお、流路切替装置12は、この例に限られず、例えば二方弁または三方弁などの他の弁を組み合わせることによって構成されてもよい。
【0018】
室外熱交換器13は、室外空気と冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室外熱交換器13は、冷房運転の際に、冷媒の熱を室外空気に放熱して冷媒を凝縮させて液化する凝縮器として機能する。また、室外熱交換器13は、暖房運転の際に、冷媒を蒸発させてガス化し、気化熱として室外空気から熱を吸収する蒸発器として機能する。
【0019】
室外送風ファン14は、室外熱交換器13の近傍に設けられ、室外熱交換器13に対して室外空気を供給するものであり、例えば回転数が制御されることにより、室外送風ファン14に対する送風量が調整される。
【0020】
絞り装置15は、例えば、電子式膨張弁であり、減圧弁および膨張弁としての機能を有し、冷媒の流量を調整することによって冷媒を減圧して膨張させる。絞り装置15は、例えば、電子式膨張弁などの開度の制御が可能な弁で構成される。なお、絞り装置15は、この例に限られず、例えば毛細管などで構成されてもよい。
【0021】
アキュムレータ16は、圧縮機11の吸入側に設けられており、冷房運転と暖房運転との運転状態の違いによって生じる余剰冷媒、あるいは過渡的な運転の変化に対する余剰冷媒などを貯留するためのものである。
【0022】
室内熱交換器21は、室内空気と冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室内熱交換器21は、冷房運転の際に、冷媒を蒸発させてガス化し、気化熱として室外空気から熱を吸収する蒸発器として機能する。また、室内熱交換器21は、暖房運転の際に、冷媒の熱を室内空気に放熱して冷媒を凝縮させて液化する凝縮器として機能する。
【0023】
室内送風ファン22は、室内熱交換器21の近傍に設けられ、室内熱交換器21aに対して室内空気を供給するものであり、例えば回転数が制御されることにより、室内送風ファン22aに対する送風量が調整される。
【0024】
風向板23は、室内機20の空気吹出口に設けられ、室内機20が設けられている空間(つまり、空調空間)に吹き出される風の向きを変えるものである。なお、風向板23は、上下方向の風の向きを変えるものでもよいし、左右方向の風の向きを変えるものでもよいし、その両方でもよい。
【0025】
また、空気調和装置100は、空気調和装置100全体を制御する制御装置50を備えている。制御装置50は、例えば通信装置300からの指示に応じて運転モードを切り替える。ここで、運転モードとしては、通常冷房運転、第一低能力冷房運転、第二低能力冷房運転、通常暖房運転、第一低能力暖房運転、第二低能力暖房運転、および低能力冷房除湿運転がある。なお、通常冷房運転、第一低能力冷房運転、第二低能力冷房運転、低能力冷房除湿運転、およびサーモオフ抑制運転は冷房運転の一種であり、通常暖房運転、第一低能力暖房運転、および第二低能力暖房運転は暖房運転の一種である。また、以下において、通常冷房運転および通常暖房運転の総称を通常運転とし、第一低能力冷房運転および第一低能力暖房運転の総称を第一低能力運転とし、第二低能力冷房運転および第二低能力暖房運転の総称を第二低能力運転とする。
【0026】
制御装置50は、例えば空気調和装置100の運転モードに応じて、圧縮機11の運転周波数、流路切替装置12の切り替え、室外送風ファン14の回転数、絞り装置15の開度、室内送風ファン22の回転数、および風向板23の傾きなどを制御する。制御装置50は、例えば、専用のハードウェア、または記憶部(図示せず)に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成される。制御装置50が専用のハードウェアである場合、制御装置50は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御装置50が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。制御装置50がCPUの場合、制御装置50が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、記憶部に格納される。CPUは、記憶部に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置50の各機能を実現する。ここで、記憶部は、各種情報を記憶するものであり、例えば、フラッシュメモリ、EPROM、および、EEPROMなどの、データの書き換え可能な不揮発性の半導体メモリを備えている。なお、制御装置50の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0027】
また、空気調和装置100には、吐出温度検知装置31、吸入温度検知装置32、室外側第一温度検知装置33、室外側第二温度検知装置34、室外側湿度検知装置35、室内側第一温度検知装置36、室内側第二温度検知装置37a~37c、室内側湿度検知装置38a~38c、および在室検知装置39a~39cが設けられている。
【0028】
なお、以下の説明において、室内側第二温度検知装置37a、室内側第二温度検知装置37b、および室内側第二温度検知装置37cを特に区別する必要がない場合には、単に「室内側第二温度検知装置37」と適宜称して説明する。また、室内側湿度検知装置38a、室内側湿度検知装置38b、および室内側湿度検知装置38cを特に区別する必要がない場合には、単に「室内側湿度検知装置38」と適宜称して説明する。また、在室検知装置39a、在室検知装置39b、および在室検知装置39cを特に区別する必要がない場合には、単に「在室検知装置39」と適宜称して説明する。
【0029】
吐出温度検知装置31は、圧縮機11の吐出側に設けられ、圧縮機11から吐出された冷媒の温度である吐出温度Tdcを検知する。吸入温度検知装置32は、圧縮機11の吸入側に設けられ、圧縮機11に吸入される冷媒の温度である吸入温度Tsuを検知する。室外側第一温度検知装置33は、例えば室外熱交換器13内の全配管長の中間位置付近に取り付けられ、暖房運転時に蒸発温度Tev、冷房運転時に凝縮温度Tcdを検知する。室外側第二温度検知装置34は、例えば室外機10の空気吸込口に設けられ、室外機10が設けられている空間(つまり、室外空間)の温度である外気温度Totを検知する。室外側湿度検知装置35は、例えば室外機10の空気吸込口に設けられ、室外機10が設けられている空間の湿度である外気湿度Hotを検知する。室内側第一温度検知装置36は、例えば室内熱交換器21内の全配管長の中間位置付近の配管外周部に取り付けられ、暖房運転時に凝縮温度Tcd、冷房運転時に蒸発温度Tevを検知する。室内側第二温度検知装置37は、例えば室内機20の空気吸込口に設けられ、室内機20が設けられている空間(つまり、室内空間)の温度である室内温度Trmを検知する。室内側湿度検知装置38は、例えば室内機20の空気吸込口に設けられ、室内機20が設けられている空間の湿度である室内湿度Hrmを検知する。在室検知装置39は、例えば室内機20の下部に設けられ、室内機20が設けられている空間の人の有無を検知する。なお、以下において、室内側第二温度検知装置37は室内温度検知装置とも称し、室外側第一温度検知装置33および室内側第一温度検知装置36は蒸発温度検知装置とも称し、室外側第二温度検知装置34は外気温度検知装置とも称し、室内側湿度検知装置38は室内湿度検知装置とも称し、室外側湿度検知装置35は、外湿度検知装置とも称する。
【0030】
次に、空気調和装置100における冷房運転時および暖房運転時の冷媒の流れについて説明する。
【0031】
冷房運転では、流路切替装置12は、
図2の実線で示されるように、圧縮機11の吐出側と室外熱交換器13とが接続され、圧縮機11の吸入側と室内熱交換器21とが接続されるように切り替えられる。圧縮機11で圧縮された高温高圧の冷媒は、流路切替装置12を通って室外熱交換器13に流れ、凝縮し、液化した後、絞り装置15で絞られ、低温低圧の二相状態となり、室内熱交換器21へ流れ、蒸発し、ガス化して流路切替装置12を通って再び圧縮機11に戻る。上記のように冷媒が循環することによって、蒸発器である室内熱交換器21では室内空気と熱交換を行い、室内空気から吸熱すなわち室内空気を冷却し、吸熱した冷媒は凝縮器である室外熱交換器13に送られ、室外空気と熱交換を行い、室外空気に放熱する。
【0032】
暖房運転では、流路切替装置12は、
図2の破線で示されるように、圧縮機11の吐出側と室内熱交換器21とが接続され、圧縮機11の吸入側と室外熱交換器13とが接続されるように切り替えられる。圧縮機11で圧縮された高温高圧の冷媒は、流路切替装置12を通って室内熱交換器21に流れ、凝縮し、液化した後、絞り装置15で絞られ、低温低圧の二相状態となり、室外熱交換器13へ流れ、蒸発し、ガス化して流路切替装置12を通って再び圧縮機11に戻る。上記のように冷媒が循環することによって、蒸発器である室外熱交換器13では室外空気と熱交換して、室外熱交換器13に送られてきた冷媒が吸熱し、吸熱した冷媒は凝縮器である室内熱交換器21に送られ、室内空気と熱交換を行い、室内空気を温める。
【0033】
図3は、実施の形態1に係る空気調和システムの換気装置200の概略構成図である。換気装置200は、室内機20が設置された部屋Rの内部に室外空気を供給する給気装置210と、部屋Rの内部の室内空気を外部に排出する排気装置220とを備えている。給気装置210は、部屋Rの壁に設けられた給気口211と、給気ファン212とで構成されている。給気ファン212は、給気口211の近傍に設けられ、給気口211から部屋Rの内部に室外空気を供給するものである。また、排気装置220は、部屋Rの壁に設けられた排気口221と、排気ファン222とで構成されている。排気ファン222は、排気口221の近傍に設けられ、部屋Rの内部の室内空気を排気口221から排出するものである。換気装置200は、例えば給気ファン212および排気ファン222の回転数が制御されることにより、換気風量が調整される。なお、以下において、給気ファン212および排気ファン222を換気ファンとも称する。
【0034】
また、換気装置200は、換気装置200全体を制御する換気側制御装置230を備えている。換気側制御装置230は、例えば通信装置300からの指示に応じて、運転モードを切り替える。ここで、運転モードとしては、換気ファンの回転数を増加させる第一低負荷時換気運転および換気ファンの回転数を増加させる第二低負荷時換気運転がある。
【0035】
なお、実施の形態1では、室内機20a~20cが設けられている各部屋Rに換気装置200が設けられているため、換気装置200は合計3台設けられている。
【0036】
図4は、実施の形態1に係る空気調和システムの換気装置200の変形例の概略構成図である。換気装置200は、
図4に示すように、部屋Rの壁に設けられた給気口211のみで構成された給気装置210Aと、排気口221と排気ファン222とで構成された排気装置220とを備えたものであってもよい。この場合、換気装置200は、例えば排気ファン222の回転数が制御されることにより、換気風量が調整される。
【0037】
通信装置300は、例えば専用のアプリケーションがインストールされたスマートフォンなどで構成されており、空気調和装置100および換気装置200と双方向通信が可能なものである。通信装置300は、例えば空気調和装置100および換気装置200の運転情報を受信し、その運転情報に基づいて空気調和装置100および換気装置200に対して各種指示を送信する。また、通信装置300は、インターネットなどのネットワークNに接続されており、ネットワークNを介して天気情報などの外部情報が取得可能である。
【0038】
図5は、実施の形態1に係る空気調和システムの通常冷房運転時の制御フローを示す図である。
図6は、実施の形態1に係る空気調和システムの絞り装置15の開度変更前後のP-h線図である。
図7は、実施の形態1に係る空気調和システムの室外送風ファン14の風量変更前後のP-h線図である。次に、空気調和システムの通常冷房運転時の制御フローについて、
図5~
図7を用いて説明する。
【0039】
(ステップS11)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、複数の室内機20のうち通常冷房運転中の室内機20があるかどうかを判定する。通信装置300が、複数の室内機20のうち通常冷房運転中の室内機20があると判定した場合(YES)、処理はステップS12に進む。一方、通信装置300が、複数の室内機20のうち通常冷房運転中の室内機20がないと判定した場合(NO)、処理は終了する。なお、制御装置50は、通常冷房運転では、通常冷房運転中の室内機20の室内側第二温度検知装置37が検知した室内温度Trmと通常冷房運転中の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstとの差に基づいて求めた運転周波数fdrで圧縮機11を運転させ、吸入温度検知装置32が検知した吸入温度Tsuと室内側第一温度検知装置36が検知した蒸発温度Tevとの差で求められる吸入過熱度が0以上となるように、つまり圧縮機11に吸入される冷媒がガス冷媒となるように絞り装置15を制御する。
【0040】
(ステップS12)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、条件1を満たすかどうかを判定する。ここで、条件1は、圧縮機11の運転周波数fdrとその下限値である下限周波数flwとの差が予め設定された第一閾値Th1(例えば5Hz)以下(つまり、低能力運転である)、かつ、通常冷房運転中の室内機20の室内側第二温度検知装置37が検知した室内温度Trmと通常冷房運転中の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstとの差が予め設定された第二閾値Th2(例えば0.5℃)以下である。通信装置300が、条件1を満たしていると判定した場合(YES)、処理はステップS13に進む。一方、通信装置300が、条件1を満たしていないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0041】
(ステップS13)
通信装置300は、空気調和装置100に対して、第一低能力冷房運転を実行するよう指示し、制御装置50は、通常冷房運転中の室内機20に対して第一低能力冷房運転を実行させる。その後、処理はステップS14に進む。制御装置50は、第一低能力冷房運転では、下限周波数flwで圧縮機11を運転させ、吐出温度検知装置31が検知した吐出温度Tdcと吸入温度検知装置32が検知した吸入温度Tsuとの差が予め設定された目標吸入温度差ΔTtsとなるように絞り装置15を制御する。なお、制御装置50は、上記の絞り装置15の制御に代え、室内側第一温度検知装置36が検知した蒸発温度Tevが予め設定された目標蒸発温度Tteとなるように絞り装置15を制御するように構成されていてもよい。ここで、目標吸入温度差ΔTtsおよび目標蒸発温度Tteには、絞り装置15の開度が大きくなるような値が設定される。このように、冷房運転時に絞り装置15の開度を大きくし、冷媒をアキュムレータ16に貯留して冷媒循環量を少なくすることで、熱交換量が低減するため、低能力運転が実現され、圧縮機11の運転周波数を変化させずに空調能力を低下させることができる。その結果、低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避することができる。なお、絞り装置15の開度変更前後のP-h線は、
図6に示すようになる。
【0042】
(ステップS14)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、条件2を満たすかどうかを判定する。ここで、条件2は、第一低能力冷房運転中の室内機20が設置された部屋の設定温度Tstと室外側第二温度検知装置34が検知した外気温度Totとの差が予め設定された第三閾値Th3(例えば10℃)以上である。通信装置300が、条件2を満たしていると判定した場合(YES)、処理はステップS15に進む。一方、通信装置300が、条件2を満たしていないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0043】
(ステップS15)
通信装置300は、空気調和装置100に対して、第二低能力冷房運転を実行するよう指示し、制御装置50は、第一低能力冷房運転中の室内機20に対して第二低能力冷房運転を実行させる。その後、処理は終了する。制御装置50は、第二低能力冷房運転では、室外送風ファン14の回転数を低下させる。このように、低外気時に室外送風ファン14の風量を低下させることで、
図7に示すように凝縮温度が上昇し、冷房運転時の蒸発器入口のエンタルピが大きくなり、熱交換量が低減するため、低能力運転が実現され、圧縮機11の運転周波数を変化させずに空調能力を低下させることができる。その結果、低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避することができる。
【0044】
なお、上記の
図5に示す通常冷房運転時の制御フローについては、空気調和装置100単独で行うようにしてもよい。この場合、各ステップにおいて通信装置300が行う処理を、制御装置50が行う。
【0045】
図8は、実施の形態1に係る空気調和システムの通常暖房運転時の制御フローを示す図である。次に、空気調和システムの通常暖房運転時の制御フローについて、
図8および
図6を用いて説明する。
【0046】
(ステップS21)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、複数の室内機20のうち通常暖房運転中の室内機20があるかどうかを判定する。通信装置300が、複数の室内機20のうち通常暖房運転中の室内機20があると判定した場合(YES)、処理はステップS22に進む。一方、通信装置300が、複数の室内機20のうち通常暖房運転中の室内機20がないと判定した場合(NO)、処理は終了する。なお、制御装置50は、通常暖房運転では、通常暖房運転中の室内機20の室内側第二温度検知装置37が検知した室内温度Trと通常暖房運転中の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tsとの差から圧縮機11の運転周波数fdを決定し、吸入温度検知装置32が検知した吸入温度Tsuと室外側第一温度検知装置33が検知した蒸発温度Tevとの差で求められる吸入過熱度が0以上となるように、つまり圧縮機11に吸入される冷媒がガス冷媒となるように絞り装置15を制御する。
【0047】
(ステップS22)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、条件3を満たすかどうかを判定する。ここで、条件3は、圧縮機11の運転周波数fdrとその下限値である下限周波数flwとの差が予め設定された第一閾値Th1(例えば5Hz)以下(つまり、低能力運転である)、かつ、通常暖房運転中の室内機20の室内側第二温度検知装置37が検知した室内温度Trmと通常暖房運転中の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstとの差が予め設定された第二閾値Th2(例えば0.5℃)以下である。通信装置300が、条件3を満たしていると判定した場合(YES)、処理はステップS23に進む。一方、通信装置300が、条件3を満たしていないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0048】
(ステップS23)
通信装置300は、空気調和装置100に対して、第一低能力暖房運転を実行するよう指示し、制御装置50は、通常暖房運転中の室内機20に対して第一低能力暖房運転を実行させる。その後、処理はステップS24に進む。制御装置50は、第一低能力暖房運転では、下限周波数flwで圧縮機11を運転させ、吐出温度検知装置31が検知した吐出温度Tdcと吸入温度検知装置32が検知した吸入温度Tsuとの差が目標吸入温度差ΔTtsとなるように絞り装置15を制御する。なお、制御装置50は、上記の絞り装置15の制御に代え、室外側第一温度検知装置33が検知した蒸発温度Tevが目標蒸発温度Tteとなるように絞り装置15を制御するように構成されていてもよい。ここで、目標吸入温度差ΔTtsおよび目標蒸発温度Ttgには、絞り装置15の開度が大きくなるような値が設定される。このように、暖房運転時に絞り装置15の開度を大きくし、冷媒をアキュムレータ16に貯留して冷媒循環量を少なくすることで、熱交換量が低減するため、低能力運転が実現され、圧縮機11の運転周波数を変化させずに空調能力を低下させることができる。その結果、低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避することができる。なお、絞り装置15の開度変更前後のP-h線は、
図6に示すようになる。
【0049】
(ステップS24)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、条件4を満たすかどうかを判定する。ここで、条件4は、第一低能力暖房運転中の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstと室外側第二温度検知装置34が検知した外気温度Totとの差が予め設定された第四閾値Th4(例えば5℃)以下である。通信装置300が、条件2を満たしていると判定した場合(YES)、処理はステップS25に進む。一方、通信装置300が、条件4を満たしていないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0050】
(ステップS25)
通信装置300は、空気調和装置100に対して、第二低能力暖房運転を実行するよう指示し、制御装置50は、第一低能力暖房運転中の室内機20に対して第二低能力暖房運転を実行させる。その後、処理は終了する。制御装置50は、第二低能力暖房運転では、室外送風ファン14の回転数を低下させる。このように、高外気時に室外送風ファン14の風量を低下させることで、蒸発温度が低下し、暖房運転時の吸入冷媒密度が低下し、熱交換量が低減するため、低能力運転が実現され、圧縮機11の運転周波数を変化させずに空調能力を低下させることができる。その結果、低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避することができる。
【0051】
なお、上記の
図8に示す通常暖房運転時の制御フローについては、空気調和装置100単独で行うようにしてもよい。この場合、各ステップにおいて通信装置300が行う処理を、制御装置50が行う。
【0052】
図9は、実施の形態1に係る空気調和システムの低能力運転時の制御フローを示す図である。
図10は、実施の形態1に係る空気調和システムの室内送風ファン22の風量変更前後のP-h線図である。次に、空気調和システムの低能力運転時の制御フローについて、
図9~
図10を用いて説明する。
【0053】
(ステップS31)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、複数の室内機20のうち、第一低能力冷房運転中、第二低能力冷房運転中、第一低能力暖房運転中、または第二低能力暖房運転中の室内機20(以下、室内機Aとも称する)があるかどうかを判定する。通信装置300が、複数の室内機20のうち、第一低能力冷房運転中、第二低能力冷房運転中、第一低能力暖房運転中、または第二低能力暖房運転中の室内機20があると判定した場合(YES)、処理はステップS32に進む。一方、通信装置300が、複数の室内機20のうち、第一低能力冷房運転中、第二低能力冷房運転中、第一低能力暖房運転中、または第二低能力暖房運転中の室内機20がないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0054】
(ステップS32)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、条件5を満たすかどうかを判定する。ここで、条件5は、複数の室内機20のうち、第一低能力冷房運転中または第二低能力冷房運転中の室内機20があり、かつ、その室内機20が設置された部屋Rに対して、ユーザーなどにより部屋Rの設定湿度Hstが設定されているなど除霜要望があることである。通信装置300が、条件5を満たしていると判定した場合(YES)、処理はステップS33に進む。一方、通信装置300が、条件5を満たしていないと判定した場合(NO)、処理はステップS34に進む。
【0055】
(ステップS33)
通信装置300は、空気調和装置100に対して、低能力冷房除湿運転を実行するよう指示し、制御装置50は、室内機Aに対して低能力冷房除湿運転を実行させる。その後、処理は終了する。制御装置50は、低能力冷房除湿運転では、室内機Aの空気吹出口から吹き出される風量が低下するように風向板23を制御し、かつ、目標蒸発温度Tteを室内機Aが設置された室内の露点温度Tdp以下の値とし、室内機Aの室内側第一温度検知装置36が検知した蒸発温度Tevが目標蒸発温度Tteとなるように絞り装置15を制御する。ここで、室内の露点温度Tdpは、室内側第二温度検知装置37が検知した室内温度Trmと室内側湿度検知装置28が検知した室内湿度Hrmとから、あるいは設定温度Tstと設定湿度Hstとから求めることができる。このように、除霜要望がある場合に室内機20の風向板23を制御することで、室内送風ファン22の回転数を変えずに風量を低下させることができ、
図10に示すように、蒸発温度Tevが低下して潜熱処理量が増加するため、圧縮機11の運転周波数fdrを変更することなく除湿量を増加させることができる。そして、圧縮機11の運転周波数fdrを変更しないため、断続運転を回避して連続運転の継続が可能となる。
【0056】
(ステップS34)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、条件6を満たすかどうかを判定する。ここで、条件6は、空調運転指示のある部屋R(つまり、室内機Aが設置された部屋)における室内温度Trmが設定温度Tst以下の状態が予め設定された時間tst経過、かつ、他の部屋Rで空調運転指示がなく、在室者がいないことである。通信装置300が、条件6を満たしていると判定した場合(YES)、処理はステップS35に進む。一方、通信装置300が、条件6を満たしていないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0057】
(ステップS35)
通信装置300は、空気調和装置100に対してサーモオフ抑制運転を実行するよう指示し、制御装置50は、サーモオフ抑制運転を実行する。その後、処理は終了する。制御装置50は、サーモオフ抑制運転では、他の部屋Rにおける室内機20を運転させ、空調運転指示のある部屋Rにおける室内機20の空気吹出口から吹き出される風量が低下するように風向板23を制御する。このように、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rにおける室内機20を運転させ、運転指示のある室内機20の風向板23を制御することで、室内送風ファン22の回転数を変えずに風量を低下させることができ、
図10に示すように、蒸発温度Tevが低下して潜熱処理量が増加するため、圧縮機11の運転周波数を変更することなく除湿量を増加させることができる。そして、圧縮機11の運転周波数を変更しないため、断続運転を回避して連続運転の継続が可能となる。
【0058】
図11は、実施の形態1に係る空気調和システムの通常冷房運転時の複数の部屋それぞれの時間に対する温度を示す図である。
図12は、実施の形態1に係る空気調和システムのサーモオフ抑制運転時の複数の部屋それぞれの時間に対する温度を示す図である。なお、
図11および
図12の部屋Aは、空調運転指示のある部屋Rを示しており、部屋B、Cは、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rを示している。
【0059】
なお、制御装置50は、サーモオフ抑制運転時において、他の部屋Rにおける室内機20の設定温度Tst(
図12の設定温度B)を、空調運転指示のある部屋Rにおける室内機20の設定温度Tst(
図12の設定温度A)よりも、冷房運転時は低く設定し、暖房運転時は高く設定し、かつ、他の部屋Rにおける室内機20の室内送風ファン22の回転数を、空調運転指示のある部屋Rにおける室内機20の室内送風ファン22の回転数よりも大きくする。このように、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋R(
図12の部屋B、C)での空調負荷が大きくなるように設定温度Tstを設定することで、空調運転指示のある部屋R(
図12の部屋A)におけるサーモオフが抑制されるため、断続運転を回避して連続運転の継続が可能となる。
【0060】
また、制御装置50は、サーモオフ抑制運転時において、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rが複数ある場合、以下のように運転させる室内機20を決定する。なお、制御装置50は、複数の室内機20のそれぞれの室内熱交換器21の熱交換面積に関する情報を有している。
【0061】
(1)空調運転指示のある部屋Rに対して除湿要求がない場合は、室内熱交換器21の熱交換面積が大きい室内機20を優先して運転させる。また、熱交換面積が同じ室内熱交換器21が複数ある場合、空調運転指示のある部屋Rが冷房運転中であれば室内温度Trmが高い部屋Rの室内機20を優先して運転させ、空調運転指示のある部屋Rが暖房運転中であれば室内温度Trmが低い部屋Rの室内機20を優先して運転させる。
(2)空調運転指示のある部屋Rに対して除湿要求がある場合は、室内熱交換器21の熱交換面積が小さい室内機20を優先して運転させる。また、熱交換面積が同じ室内熱交換器21が複数ある場合、空調運転指示のある部屋Rが冷房運転中であれば室内温度Trmが高い部屋Rの室内機20を優先して運転させ、空調運転指示のある部屋Rが暖房運転中であれば室内温度Trmが低い部屋Rの室内機20を優先して運転させる。
【0062】
このように、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rが複数ある場合であって、除湿要求がない場合は、室内熱交換器21の熱交換面積が大きい室内機20を優先して運転させることで、蒸発温度Tevが上昇し、吸入冷媒密度が上がるため、冷媒循環量が増えるため、高効率化が可能となり、省エネルギー性を向上させることができる。また、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rが複数ある場合であって、除湿要求がある場合は、室内熱交換器21の熱交換面積が小さい室内機20を優先して運転させ、目標蒸発温度Tteの達成を優先することで、必要な冷媒循環量を少なくして高効率化が可能となり、省エネルギー性を向上させることができる。
【0063】
なお、上記の
図9に示す低能力運転時の制御フローについては、空気調和装置100単独で行うようにしてもよい。この場合、各ステップにおいて通信装置300が行う処理を、制御装置50が行う。
【0064】
図13は、実施の形態1に係る空気調和システムの低能力運転時の制御フローを示す図である。次に、空気調和システムの低能力運転時の制御フローについて、
図13を用いて説明する。
【0065】
(ステップS41)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、複数の室内機20のうち、第一低能力冷房運転中、第二低能力冷房運転中、第一低能力暖房運転中、第二低能力暖房運転中、またはサーモオフ抑制運転中の室内機20(以下、室内機Bとも称する)があるかどうかを判定する。通信装置300が、複数の室内機20のうち、第一低能力冷房運転中、第二低能力冷房運転中、第一低能力暖房運転中、第二低能力暖房運転中、またはサーモオフ抑制運転中の室内機20があると判定した場合(YES)、処理はステップS42に進む。一方、通信装置300が、複数の室内機20のうち、第一低能力冷房運転中、第二低能力冷房運転中、第一低能力暖房運転中、第二低能力暖房運転中、またはサーモオフ抑制運転中の室内機20がないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0066】
(ステップS42)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、条件7を満たすかどうかを判定する。ここで、条件7は、室内機Bが設置された部屋Rのユーザーなどにより予め設定された設定温度Tstに対して室内機Bの室内側第二温度検知装置37が検知した室内温度Trmよりも室外側第二温度検知装置34が検知した外気温度Totの方が差が大きい、かつ、室外側第二温度検知装置34が検知した外気温度Totと室内機Bの室内側第二温度検知装置37が検知した室内温度Trmとの差が予め設定された第五閾値Th5(例えば、5℃)以上である。通信装置300が、条件7を満たしていると判定した場合(YES)、処理はステップS43に進む。一方、通信装置300が、条件7を満たしていないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0067】
(ステップS43)
通信装置300は、空気調和装置100に対して第一低負荷時換気運転を実行するよう指示し、制御装置50は、第一低負荷時換気運転を実行する。その後、処理は終了する。制御装置50は、第一低負荷時換気運転では、室内機Bが設置された部屋Rの換気装置200の換気ファンの回転数を増加させる。このように、換気することで空調負荷が増加する場合に、換気風量を増加させ、空調負荷を増加させることで、冷房運転時には室内温度Trmが設定温度Tst以下になることを抑制することができ、暖房運転時には室内温度Trmが設定温度Tst以上になることを抑制することができ、断続運転を回避することができる。また、運転効率の高い通常運転への移行を促進できるため、省エネルギー性を向上させることができ、CO2濃度の低下による空気質の向上によって、室内空気質を改善することができる。
【0068】
図14は、実施の形態1に係る空気調和システムの低能力冷房除湿運転時の制御フローを示す図である。次に、空気調和システムの低能力冷房除湿運転時の制御フローについて、
図14を用いて説明する。
【0069】
(ステップS51)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、複数の室内機20のうち低能力冷房除湿運転中の室内機20(以下、室内機Cとも称する)があるかどうかを判定する。通信装置300が、複数の室内機20のうち低能力冷房除湿運転中の室内機20があると判定した場合(YES)、処理はステップS52に進む。一方、通信装置300が、複数の室内機20のうち低能力冷房除湿運転中の室内機20がないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0070】
(ステップS52)
通信装置300は、空気調和装置100からの運転情報に基づいて、条件8を満たすかどうかを判定する。ここで、条件8は、室内機Cが設置された部屋Rのユーザーなどにより予め設定された設定温度Tstに対して室内機Cの室内側第二温度検知装置37が検知した室内温度Trmよりも室外側第二温度検知装置34が検知した外気温度Totの方が差が小さい、かつ、室外側湿度検知装置35が検知した外気湿度Hotと室内機Cの室内側湿度検知装置28が検知した室内湿度Hrmとの差が予め設定された第六閾値Th6以下である。通信装置300が、条件8を満たしていると判定した場合(YES)、処理はステップS53に進む。一方、通信装置300が、条件8を満たしていないと判定した場合(NO)、処理は終了する。
【0071】
(ステップS53)
通信装置300は、空気調和装置100に対して第二低負荷時換気運転を実行するよう指示し、制御装置50は、第二低負荷時換気運転を実行する。その後、処理は終了する。制御装置50は、第二低負荷時換気運転では、室内機Cが設置された部屋Rの換気装置200の換気ファンの回転数を増加させる。このように、換気することで除湿負荷が低減する場合に、換気風量を増加させる、つまり、除湿負荷が低減する方向に換気量を増加させることで、顕熱負荷が低減し、蒸発温度Tevが高く効率のよい第一冷房負荷運転または第二冷房負荷運転への移行を促進できるため、省エネルギー性を向上させることができる。
【0072】
以上、実施の形態1に係る空気調和装置100は、圧縮機11、流路切替装置12、室外熱交換器13、絞り装置15、およびアキュムレータ16を有し、室外に設けられる室外機10と、室内熱交換器21を有し、各室内に設けられる複数の室内機20と、圧縮機11、流路切替装置12、室外熱交換器13、絞り装置15、複数の室内熱交換器21、およびアキュムレータ16が配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路1と、冷媒回路1を制御する制御装置50と、圧縮機11の吸入温度Tsuを検知する吸入温度検知装置32と、圧縮機11の吐出温度Tdcを検知する吐出温度検知装置31と、蒸発温度Tevを検知する蒸発温度検知装置と、各部屋に設けられ、室内温度Trmを検知する室内温度検知装置と、を備え、制御装置50は、複数の室内機20のうち、通常運転時の室内機20がある場合において、圧縮機11の運転周波数fdvとその下限値である下限周波数flwとの差が予め設定された第一閾値以下、かつ、予め設定された設定温度Tstと室内温度Trmとの差が予め設定された第二閾値以下である場合、吐出温度Tdcと吸入温度Tsuとの差が予め設定された目標吸入温度差ΔTtsとなるように絞り装置15の開度を大きくする、あるいは、蒸発温度Tevが予め設定された目標蒸発温度Tteとなるように絞り装置15の開度を大きくする第一低能力運転を実行するものである。
【0073】
また、実施の形態1に係る空気調和システムは、圧縮機11、流路切替装置12、室外熱交換器13、絞り装置15、およびアキュムレータ16を有し、室外に設けられる室外機10と、室内熱交換器21を有し、各室内に設けられる複数の室内機20と、圧縮機11、流路切替装置12、室外熱交換器13、絞り装置15、複数の室内熱交換器21、およびアキュムレータ16が配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路1と、冷媒回路1を制御する制御装置50と、圧縮機11の吸入温度Tsuを検知する吸入温度検知装置32と、圧縮機11の吐出温度Tdcを検知する吐出温度検知装置31と、蒸発温度Tevを検知する蒸発温度検知装置と、各部屋に設けられ、室内温度Trmを検知する室内温度検知装置と、を有する空気調和装置100と、空気調和装置100と通信が可能な通信装置300と、を備え、通信装置300は、複数の室内機20のうち、通常運転時の室内機20がある場合において、圧縮機11の運転周波数fdvとその下限値である下限周波数flwとの差が予め設定された第一閾値以下、かつ、予め設定された設定温度Tstと室内温度Trmとの差が予め設定された第二閾値以下である場合、吐出温度Tdcと吸入温度Tsuとの差が予め設定された目標吸入温度差ΔTtsとなるように絞り装置15の開度を大きくする、あるいは、蒸発温度Tevが予め設定された目標蒸発温度Tteとなるように絞り装置15の開度を大きくする第一低能力運転を実行するように、空気調和装置100に対して指示するものである。
【0074】
実施の形態1に係る空気調和装置100および空気調和システムによれば、圧縮機11の運転周波数fdrとその下限値である下限周波数flwとの差が予め設定された第一閾値以下である低能力運転時において、予め設定された設定温度Tstと室内温度Trmとの差が予め設定された第二閾値以下である場合、吐出温度Tdcと吸入温度Tsuとの差が予め設定された目標吸入温度差ΔTtsとなるように絞り装置15の開度を大きくする、あるいは、蒸発温度Tevが予め設定された目標蒸発温度Tteとなるように絞り装置15の開度を大きくする第一低能力運転を実行するように、空気調和装置100に対して指示する。そうすることで、圧縮機11の運転周波数fdrを低下させずに空調能力を低下させることができるので、低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避することができる。
【0075】
また、実施の形態1に係る空気調和装置100において、室外熱交換器13に空気を供給する室外送風ファン14と、外気温度Totを検知する外気温度検知装置と、を有し、制御装置50は、複数の室内機20のうち、第一低能力運転時の室内機20がある場合において、冷房運転時では第一低能力運転時の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstと外気温度Totとの差が予め設定された第三閾値以上である場合、暖房運転時では第一低能力運転時の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstと外気温度Totとの差が予め設定された第四閾値以下である場合、室外送風ファン14の回転数を低下させる第二低能力運転を実行するものである。
【0076】
また、実施の形態1に係る空気調和システムにおいて、空気調和装置100は、室外熱交換器13に空気を供給する室外送風ファン14と、外気温度Totを検知する外気温度検知装置と、を有し、通信装置300は、複数の室内機20のうち、第一低能力運転時の室内機20がある場合において、冷房運転時では第一低能力運転時の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstと外気温度Totとの差が予め設定された第三閾値以上である場合、暖房運転時では第一低能力運転時の室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstと外気温度Totとの差が予め設定された第四閾値以下である場合、室外送風ファン14の回転数を低下させる第二低能力運転を実行するように、空気調和装置100に対して指示するものである。
【0077】
実施の形態1に係る空気調和装置100および空気調和システムによれば、冷房運転時では低外気時に室外送風ファン14の風量を低下させることで、凝縮温度Tcdが上昇し、蒸発器入口のエンタルピが大きくなり、熱交換量が低減する。また、暖房運転時では高外気時に室外送風ファン14の風量を低下させることで、蒸発温度Tevが低下し、吸入冷媒密度が低下し、熱交換量が低減する。そのため、低能力運転が実現され、圧縮機11の運転周波数fdrを変化させずに空調能力を低下させることができる。その結果、低能力運転時に負荷を空調能力が上回ってしまうような場合でも断続運転を回避することができる。
【0078】
また、実施の形態1に係る空気調和装置100において、各部屋Rに設けられ、在室者の有無を検知する在室検知装置39と、複数の室内機20のそれぞれの空気吹出口に設けられ、該空気吹出口から吹き出される風の向きを変える風向板23と、を備え、制御装置50は、複数の室内機20のうち、第一低能力運転あるいは第二低能力運転を実行している室内機20である第一室内機の室内温度Trmが予め設定された第五閾値以下である場合において、第一室内機以外で、運転指示が出ておらず、かつ、在室者がいない部屋Rに設けられた室内機20である第二室内機がある場合、第二室内機の運転を実行し、第一室内機の空気吹出口から吹き出される風量が低下するように風向板23を制御するサーモオフ抑制運転を実行するものである。
【0079】
また、実施の形態1に係る空気調和システムにおいて、空気調和装置100は、各部屋Rに設けられ、在室者の有無を検知する在室検知装置39と、複数の室内機20のそれぞれの空気吹出口に設けられ、該空気吹出口から吹き出される風の向きを変える風向板23と、を有し、通信装置300は、複数の室内機20のうち、第一低能力運転あるいは第二低能力運転を実行している室内機20である第一室内機の室内温度Trmが予め設定された第五閾値以下である場合において、第一室内機以外で、運転指示が出ておらず、かつ、在室者がいない部屋Rに設けられた室内機20である第二室内機がある場合、第二室内機の運転を実行し、第一室内機の空気吹出口から吹き出される風量が低下するように風向板23を制御するサーモオフ抑制運転を行うように、空気調和装置100に対して指示するものである。
【0080】
実施の形態1に係る空気調和装置100および空気調和システムによれば、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rにおける室内機20を運転させ、運転指示のある室内機20の風向板23を制御することで、室内送風ファン22の回転数を変えずに風量を低下させることができ、蒸発温度が低下して潜熱処理量が増加するため、圧縮機11の運転周波数を変更することなく除湿量を増加させることができる。そして、圧縮機11の運転周波数を変更しないため、断続運転を回避して連続運転の継続が可能となる。
【0081】
また、実施の形態1に係る空気調和装置100において、複数の室内機20は、室内熱交換器21に空気を供給する室内送風ファン22を有し、制御装置50は、複数の室内機20のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機20がある場合において、冷房運転時では第二室内機の設定温度Tstを第一室内機の設定温度Tstよりも低く設定し、暖房運転時では第二室内機の設定温度Tstを第一室内機の設定温度Tstよりも高く設定し、第二室内機の室内送風ファン22の回転数を第一室内機の室内送風ファン22の回転数よりも大きく設定するものである。
【0082】
また、実施の形態1に係る空気調和システムにおいて、複数の室内機20は、室内熱交換器21に空気を供給する室内送風ファン22を有し、通信装置300は、複数の室内機20のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機20がある場合において、冷房運転時では第二室内機の設定温度Tstを第一室内機の設定温度Tstよりも低く設定し、暖房運転時では第二室内機の設定温度Tstを第一室内機の設定温度Tstよりも高く設定し、第二室内機の室内送風ファン22の回転数を第一室内機の室内送風ファン22の回転数よりも大きく設定するように、空気調和装置100に対して指示するものである。
【0083】
実施の形態1に係る空気調和装置100および空気調和システムによれば、サーモオフ抑制運転時において、他の部屋Rにおける室内機20の設定温度Tstを、空調運転指示のある部屋Rにおける室内機20の設定温度Tstよりも、冷房運転時は低く設定し、暖房運転時は高く設定し、かつ、他の部屋Rにおける室内機20の室内送風ファン22の回転数を、空調運転指示のある部屋Rにおける室内機20の室内送風ファン22の回転数よりも大きくする。このように、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rでの空調負荷が大きくなるように設定温度Tstを設定することで、空調運転指示のある部屋Rにおけるサーモオフが抑制されるため、断続運転を回避して連続運転の継続が可能となる。
【0084】
また、実施の形態1に係る空気調和装置100において、制御装置50は、複数の室内機20のそれぞれの室内熱交換器21の熱交換面積に関する情報を有し、複数の室内機20のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機20がある場合において、第二室内機が複数ある場合、除湿要望がない場合は複数の第二室内機のうち、熱交換面積の大きいものを優先して動作させ、除湿要望がある場合は複数の第二室内機のうち、熱交換面積の小さいものを優先して動作させるものである。
【0085】
また、実施の形態1に係る空気調和システムにおいて、制御装置50は、複数の室内機20のそれぞれの室内熱交換器21の熱交換面積に関する情報を有し、通信装置300は、複数の室内機20のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機20がある場合において、第二室内機が複数ある場合、除湿要望がない場合は複数の第二室内機のうち、熱交換面積の大きいものを優先して動作させ、除湿要望がある場合は複数の第二室内機のうち、熱交換面積の小さいものを優先して動作させるように、空気調和装置100に対して指示するものである。
【0086】
実施の形態1に係る空気調和装置100および空気調和システムによれば、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rが複数ある場合であって、除湿要求がない場合は、室内熱交換器21の熱交換面積が大きい室内機20を優先して運転させることで、蒸発温度Tevが上昇し、吸入冷媒密度が上がるため、冷媒循環量が増えるため、高効率化が可能となり、省エネルギー性を向上させることができる。また、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rが複数ある場合であって、除湿要求がある場合は、室内熱交換器21の熱交換面積が小さい室内機20を優先して運転させ、目標蒸発温度Tteの達成を優先することで、必要な冷媒循環量を少なくして高効率化が可能となり、省エネルギー性を向上させることができる。
【0087】
また、実施の形態1に係る空気調和装置100において、制御装置50は、複数の室内機20のそれぞれの室内熱交換器21の熱交換面積に関する情報を有し、複数の室内機20のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機20がある場合において、第二室内機が複数あり、かつ、熱交換面積が同じである場合、複数の第二室内機のうち、冷房運転時では室内温度Trmが高いものを優先して動作させ、暖房運転時では室内温度Trmが低いものを優先して動作させるものである。
【0088】
また、実施の形態1に係る空気調和システムにおいて、制御装置50は、複数の室内機20のそれぞれの室内熱交換器21の熱交換面積に関する情報を有し、通信装置300は、複数の室内機20のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機20がある場合において、第二室内機が複数あり、かつ、熱交換面積が同じである場合、複数の第二室内機のうち、冷房運転時では室内温度Trmが高いものを優先して動作させ、暖房運転時では室内温度Trmが低いものを優先して動作させるように空気調和装置100に対して指示するものである。
【0089】
実施の形態1に係る空気調和装置100および空気調和システムによれば、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rが複数ある場合であって、除湿要求がない場合は、室内熱交換器21の熱交換面積が大きい室内機20を優先して運転させることで、蒸発温度Tevが上昇し、吸入冷媒密度が上がるため、冷媒循環量が増えるため、高効率化が可能となり、省エネルギー性を向上させることができる。また、空調運転指示がなく、在室者がいない部屋Rが複数ある場合であって、除湿要求がある場合は、室内熱交換器21の熱交換面積が小さい室内機20を優先して運転させ、目標蒸発温度Tteの達成を優先することで、必要な冷媒循環量を少なくして高効率化が可能となり、省エネルギー性を向上させることができる。
【0090】
また、実施の形態1に係る空気調和装置100において、制御装置50は、複数の室内機20のうち、第一室内機があり、かつ、除湿要望がある場合、第一室内機の空気吹出口から吹き出される風量が低下するように風向板23を制御し、かつ、目標蒸発温度Tteを室内の露点温度Tdp以下の値とし、蒸発温度Tevが目標蒸発温度Tteとなるように絞り装置15を制御する低能力冷房除湿運転を行うものである。
【0091】
また、実施の形態1に係る空気調和システムにおいて、通信装置300は、複数の室内機20のうち、第一室内機があり、かつ、除湿要望がある場合、第一室内機の空気吹出口から吹き出される風量が低下するように風向板23を制御し、かつ、目標蒸発温度Tteを室内の露点温度Tdp以下の値とし、蒸発温度Tevが目標蒸発温度Tteとなるように絞り装置15を制御する低能力冷房除湿運転を行うように、空気調和装置100に対して指示するものである。
【0092】
実施の形態1に係る空気調和装置100および空気調和システムによれば、除霜要望がある場合に室内機20の風向板23を制御することで、室内送風ファン22の回転数を変えずに風量を低下させることができ、蒸発温度Tevが低下して潜熱処理量が増加するため、圧縮機11の運転周波数fdrを変更することなく除湿量を増加させることができる。そして、圧縮機11の運転周波数fdrを変更しないため、断続運転を回避して連続運転の継続が可能となる。
【0093】
また、実施の形態1に係る空気調和システムは、各部屋Rに設けられ、換気ファンを有し、室内に室外空気を取り込み、室内空気を室外に排気する換気装置200を備え、通信装置300は、複数の室内機20のうち、第一低能力運転時、第二低能力運転時、あるいはサーモオフ抑制運転時の室内機20がある場合、かつ、該室内機20が設置された部屋Rの設定温度Tstに対して室内温度Trmよりも外気温度Totの方が差が大きく、かつ、外気温度Totと室内温度Trmとの差が予め設定された第五閾値以上である場合、換気ファンの回転数を増加させるように、第一低能力運転時、第二低能力運転時、あるいはサーモオフ抑制運転時の室内機20が設置された部屋Rの換気装置200に対して指示するものである。
【0094】
実施の形態1に係る空気調和システムによれば、換気することで空調負荷が増加する場合に、換気風量を増加させ、空調負荷を増加させることで、冷房運転時には室内温度Trmが設定温度Tst以下になることを抑制することができ、暖房運転時には室内温度Trmが設定温度Tst以上になることを抑制することができ、断続運転を回避することができる。また、運転効率の高い通常運転への移行を促進できるため、省エネルギー性を向上させることができ、CO2濃度の低下による空気質の向上によって、室内空気質を改善することができる。
【0095】
また、実施の形態1に係る空気調和システムは、各部屋Rに設けられ、換気ファンを有し、室内に室外空気を取り込み、室内空気を室外に排気する換気装置200を備え、空気調和装置100は、室内湿度Hrmを検知する室内湿度検知装置と、外気湿度Hotを検知する外気湿度検知装置と、を有し、通信装置300は、複数の室内機20のうち、低能力冷房除湿運転時の室内機20がある場合、該室内機20が設置された部屋Rの予め設定された設定湿度Hstに対して室内湿度Hrmよりも外気湿度Hotの方が差が小さく、かつ、外気湿度Hotと室内湿度Hrmとの差が予め設定された第六閾値以下である場合、換気ファンの回転数を増加させるように、低能力冷房除湿運転時の室内機20が設置された部屋Rの換気装置200に対して指示するものである。
【0096】
実施の形態1に係る空気調和システムによれば、換気することで除湿負荷が低減する場合に、換気風量を増加させる、つまり、除湿負荷が低減する方向に換気量を増加させることで、顕熱負荷が低減し、蒸発温度Tevが高く効率のよい第一冷房負荷運転または第二冷房負荷運転への移行を促進できるため、省エネルギー性を向上させることができる。
【0097】
以下、本開示の諸態様を付記する。
【0098】
(付記1)
圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、絞り装置、およびアキュムレータを有し、室外に設けられる室外機と、
室内熱交換器を有し、各部屋に設けられる複数の室内機と、
前記圧縮機、前記流路切替装置、前記室外熱交換器、前記絞り装置、複数の前記室内熱交換器、および前記アキュムレータが配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、
前記冷媒回路を制御する制御装置と、
前記圧縮機の吸入温度を検知する吸入温度検知装置と、
前記圧縮機の吐出温度を検知する吐出温度検知装置と、
蒸発温度を検知する蒸発温度検知装置と、
前記各部屋に設けられ、室内温度を検知する室内温度検知装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、通常運転時の室内機がある場合において、
前記圧縮機の運転周波数とその下限値である下限周波数との差が予め設定された第一閾値以下、かつ、前記通常運転時の前記室内機が設置された部屋の予め設定された設定温度と前記室内温度との差が予め設定された第二閾値以下である場合、
前記吐出温度と前記吸入温度との差が予め設定された目標吸入温度差となるように前記絞り装置の開度を大きくする、あるいは、前記蒸発温度が予め設定された目標蒸発温度となるように前記絞り装置の開度を大きくする第一低能力運転を実行する
空気調和装置。
(付記2)
前記室外熱交換器に空気を供給する室外送風ファンと、
外気温度を検知する外気温度検知装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、第一低能力運転時の室内機がある場合において、
冷房運転時では前記第一低能力運転時の前記室内機が設置された部屋の前記設定温度と前記外気温度との差が予め設定された第三閾値以上である場合、
暖房運転時では前記第一低能力運転時の前記室内機が設置された部屋の前記設定温度と前記外気温度との差が予め設定された第四閾値以下である場合、
前記室外送風ファンの回転数を低下させる第二低能力運転を実行する
付記1に記載の空気調和装置。
(付記3)
各部屋に設けられ、在室者の有無を検知する在室検知装置と、
前記複数の室内機のそれぞれの空気吹出口に設けられ、該空気吹出口から吹き出される風の向きを変える風向板と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一低能力運転あるいは前記第二低能力運転を実行している室内機である第一室内機の前記室内温度が予め設定された第五閾値以下である場合において、
前記第一室内機以外で、運転指示が出ておらず、かつ、在室者がいない部屋に設けられた室内機である第二室内機がある場合、
前記第二室内機の運転を実行し、前記第一室内機の前記空気吹出口から吹き出される風量が低下するように前記風向板を制御するサーモオフ抑制運転を実行する
付記2に記載の空気調和装置。
(付記4)
前記複数の室内機は、
前記室内熱交換器に空気を供給する室内送風ファンを有し、
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
冷房運転時では前記第二室内機の前記設定温度を前記第一室内機の前記設定温度よりも低く設定し、暖房運転時では前記第二室内機の前記設定温度を前記第一室内機の前記設定温度よりも高く設定し、
前記第二室内機の前記室内送風ファンの回転数を前記第一室内機の前記室内送風ファンの回転数よりも大きく設定する
付記3に記載の空気調和装置。
(付記5)
前記制御装置は、
前記複数の室内機のそれぞれの前記室内熱交換器の熱交換面積に関する情報を有し、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
前記第二室内機が複数ある場合、
除湿要望がない場合は複数の前記第二室内機のうち、熱交換面積の大きいものを優先して動作させ、
除湿要望がある場合は複数の前記第二室内機のうち、熱交換面積の小さいものを優先して動作させる
付記3または4に記載の空気調和装置。
(付記6)
前記制御装置は、
前記複数の室内機のそれぞれの前記室内熱交換器の熱交換面積に関する情報を有し、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
前記第二室内機が複数あり、かつ、熱交換面積が同じである場合、
複数の前記第二室内機のうち、冷房運転時では前記室内温度が高いものを優先して動作させ、暖房運転時では前記室内温度が低いものを優先して動作させる
付記3~5のいずれか一つに記載の空気調和装置。
(付記7)
前記制御装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一室内機があり、かつ、除湿要望がある場合、
前記第一室内機の前記空気吹出口から吹き出される風量が低下するように前記風向板を制御し、かつ、前記目標蒸発温度を室内の露点温度以下の値とし、前記蒸発温度が前記目標蒸発温度となるように前記絞り装置を制御する低能力冷房除湿運転を行う
付記3~6のいずれか一つに記載の空気調和装置。
(付記8)
圧縮機、流路切替装置、室外熱交換器、絞り装置、およびアキュムレータを有し、室外に設けられる室外機と、
室内熱交換器を有し、各室内に設けられる複数の室内機と、
前記圧縮機、前記流路切替装置、前記室外熱交換器、前記絞り装置、複数の前記室内熱交換器、および前記アキュムレータが配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路と、
前記冷媒回路を制御する制御装置と、
前記圧縮機の吸入温度を検知する吸入温度検知装置と、
前記圧縮機の吐出温度を検知する吐出温度検知装置と、
蒸発温度を検知する蒸発温度検知装置と、
各部屋に設けられ、室内温度を検知する室内温度検知装置と、を有する空気調和装置と、
前記空気調和装置と通信が可能な通信装置と、を備え、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、通常運転時の室内機がある場合において、
前記圧縮機の運転周波数とその下限値である下限周波数との差が予め設定された第一閾値以下、かつ、予め設定された設定温度と前記室内温度との差が予め設定された第二閾値以下である場合、
前記吐出温度と前記吸入温度との差が予め設定された目標吸入温度差となるように前記絞り装置の開度を大きくする、あるいは、前記蒸発温度が予め設定された目標蒸発温度となるように前記絞り装置の開度を大きくする第一低能力運転を実行するように、前記空気調和装置に対して指示する
空気調和システム。
(付記9)
前記空気調和装置は、
前記室外熱交換器に空気を供給する室外送風ファンと、
外気温度を検知する外気温度検知装置と、を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、第一低能力運転時の室内機がある場合において、
冷房運転時では前記第一低能力運転時の室内機が設置された部屋の前記設定温度と前記外気温度との差が予め設定された第三閾値以上である場合、
暖房運転時では前記第一低能力運転時の室内機が設置された部屋の前記設定温度と前記外気温度との差が予め設定された第四閾値以下である場合、
前記室外送風ファンの回転数を低下させる第二低能力運転を実行するように、前記空気調和装置に対して指示する
付記8に記載の空気調和システム。
(付記10)
前記空気調和装置は、
各部屋に設けられ、在室者の有無を検知する在室検知装置と、
前記複数の室内機のそれぞれの空気吹出口に設けられ、該空気吹出口から吹き出される風の向きを変える風向板と、を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一低能力運転あるいは前記第二低能力運転を実行している室内機である第一室内機の前記室内温度が予め設定された第五閾値以下である場合において、
前記第一室内機以外で、運転指示が出ておらず、かつ、在室者がいない部屋に設けられた室内機である第二室内機がある場合、
前記第二室内機の運転を実行し、前記第一室内機の前記空気吹出口から吹き出される風量が低下するように前記風向板を制御するサーモオフ抑制運転を行うように、前記空気調和装置に対して指示する
付記9に記載の空気調和システム。
(付記11)
前記複数の室内機は、
前記室内熱交換器に空気を供給する室内送風ファンを有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
冷房運転時では前記第二室内機の前記設定温度を前記第一室内機の前記設定温度よりも低く設定し、暖房運転時では前記第二室内機の前記設定温度を前記第一室内機の前記設定温度よりも高く設定し、
前記第二室内機の前記室内送風ファンの回転数を前記第一室内機の前記室内送風ファンの回転数よりも大きく設定するように、前記空気調和装置に対して指示する
付記10に記載の空気調和システム。
(付記12)
前記制御装置は、
前記複数の室内機のそれぞれの前記室内熱交換器の熱交換面積に関する情報を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
前記第二室内機が複数ある場合、
除湿要望がない場合は複数の前記第二室内機のうち、熱交換面積の大きいものを優先して動作させ、
除湿要望がある場合は複数の前記第二室内機のうち、熱交換面積の小さいものを優先して動作させるように、前記空気調和装置に対して指示する
付記10または11に記載の空気調和システム。
(付記13)
前記制御装置は、
前記複数の室内機のそれぞれの前記室内熱交換器の熱交換面積に関する情報を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合において、
前記第二室内機が複数あり、かつ、熱交換面積が同じである場合、
複数の前記第二室内機のうち、冷房運転時では前記室内温度が高いものを優先して動作させ、暖房運転時では前記室内温度が低いものを優先して動作させるように前記空気調和装置に対して指示する
付記10~12のいずれか一つに記載の空気調和システム。
(付記14)
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一室内機があり、かつ、除湿要望がある場合、
前記第一室内機の前記空気吹出口から吹き出される風量が低下するように前記風向板を制御し、かつ、前記目標蒸発温度を室内の露点温度以下の値とし、前記蒸発温度が前記目標蒸発温度となるように前記絞り装置を制御する低能力冷房除湿運転を行うように、前記空気調和装置に対して指示する
付記10~13のいずれか一つに記載の空気調和システム。
(付記15)
前記各部屋に設けられ、換気ファンを有し、室内に室外空気を取り込み、室内空気を室外に排気する換気装置を備え、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、前記第一低能力運転時、前記第二低能力運転時、あるいは前記サーモオフ抑制運転時の室内機がある場合、かつ、該室内機が設置された部屋の前記設定温度に対して前記室内温度よりも前記外気温度の方が差が大きく、かつ、前記外気温度と前記室内温度との差が予め設定された第五閾値以上である場合、
前記換気ファンの回転数を増加させるように、前記第一低能力運転時、前記第二低能力運転時、あるいは前記サーモオフ抑制運転時の室内機が設置された部屋の前記換気装置に対して指示する
付記10~14のいずれか一つに記載の空気調和システム。
(付記16)
前記各部屋に設けられ、換気ファンを有し、室内に室外空気を取り込み、室内空気を室外に排気する換気装置を備え、
前記空気調和装置は、
室内湿度を検知する室内湿度検知装置と、
外気湿度を検知する外気湿度検知装置と、を有し、
前記通信装置は、
前記複数の室内機のうち、低能力冷房除湿運転時の室内機がある場合、
該室内機が設置された部屋の予め設定された設定湿度に対して前記室内湿度よりも前記外気湿度の方が差が小さく、かつ、前記外気湿度と前記室内湿度との差が予め設定された第六閾値以下である場合、
前記換気ファンの回転数を増加させるように、前記低能力冷房除湿運転時の室内機が設置された部屋の前記換気装置に対して指示する
付記10~15のいずれか一つに記載の空気調和システム。
【符号の説明】
【0099】
1 冷媒回路、10 室外機、11 圧縮機、12 流路切替装置、13 室外熱交換器、14 室外送風ファン、15 絞り装置、16 アキュムレータ、20 室内機、20a~20c 室内機、21 室内熱交換器、21a~21c 室内熱交換器、22 室内送風ファン、22a~22c 室内送風ファン、23 風向板、23a~23c 風向板、28 室内側湿度検知装置、31 吐出温度検知装置、32 吸入温度検知装置、33 室外側第一温度検知装置、34 室外側第二温度検知装置、35 室外側湿度検知装置、36 室内側第一温度検知装置、37 室内側第二温度検知装置、37a~37c 室内側第二温度検知装置、38 室内側湿度検知装置、38a~38c 室内側湿度検知装置、39 在室検知装置、39a~39c 在室検知装置、50 制御装置、100 空気調和装置、200 換気装置、210 給気装置、210A 給気装置、211 給気口、212 給気ファン、220 排気装置、221 排気口、222 排気ファン、230 換気側制御装置、300 通信装置、N ネットワーク、R 部屋。