(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176683
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】基板部品、回路基板、及び回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20241212BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H05K3/28 B
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095422
(22)【出願日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島嵜 睦
【テーマコード(参考)】
5E314
5E338
【Fターム(参考)】
5E314AA24
5E314BB06
5E314BB11
5E314CC01
5E314EE01
5E314FF01
5E314FF11
5E314GG24
5E314GG26
5E338AA01
5E338BB75
5E338CC10
5E338CD12
5E338EE32
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】電気的な機能を調整可能でありながらも、製造コストの増大を抑制可能な回路基板を提供する。
【解決手段】基板部品100は、第1面1Aを有する基材1と、第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1パッド2及び第2パッド3と、第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1ランド4及び第2ランド5と、第1面上に配置されており、第1パッド及び第2パッドの各々の上面の少なくとも一部を露出させる保護膜6とを備える。保護膜は、平面視において第1ランドと第2ランドとの間を隔てている中間部分60を有している。第1ランド及び第2ランドの各々の上面及び側面、並びに、第1面のうち平面視において第1ランド及び第2ランドの各々の周囲に位置する周辺領域の各々は、保護膜から露出している露出部分を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する基材と、
前記第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1パッド及び第2パッドと、
前記第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1ランド及び第2ランドと、
前記第1面上に配置されており、前記第1パッド及び前記第2パッドの各々の上面の少なくとも一部を露出させる保護膜とを備え、
前記保護膜は、平面視において前記第1ランドと前記第2ランドとの間を隔てている中間部分を有し、
前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の上面及び側面、並びに、前記第1面のうち平面視において前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の周囲に位置する周辺領域の各々は、前記保護膜から露出している露出部分を有する、基板部品。
【請求項2】
前記第1面の前記周辺領域の前記露出部分の面積は、前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の前記上面の前記露出部分の合計面積よりも大きい、請求項1に記載の基板部品。
【請求項3】
前記中間部分は、前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の前記上面から上方に突出している、請求項1に記載の基板部品。
【請求項4】
前記第1面に沿った方向において、前記第1ランドは、前記第1パッドと前記第2パッドとの間に配置されており、前記第2ランドは、前記第1ランドと前記第2パッドとの間に配置されており、
平面視において前記第1面の前記周辺領域の前記露出部分は、前記第1パッドと前記第1ランドとの間に延びている第1露出部分と、前記第2パッドと前記第2ランドとの間に延びている第2露出部分とを有している、請求項1に記載の基板部品。
【請求項5】
平面視において、前記第1ランド及び前記第2ランドの各々は、前記第1面に沿った第1方向において前記中間部分を挟むように互いに間隔を空けて配置されている第1部分と、前記第1方向において前記第1部分から突出している第2部分とを有し、
前記第1面に沿っておりかつ前記第1方向と直交する第2方向において、前記第1ランドの前記第1部分は、前記第2ランドの前記第2部分と前記中間部分を挟んで対向配置されており、かつ、前記第1ランドの前記第2部分は、前記第2ランドの前記第1部分と前記中間部分を挟んで対向配置されている、請求項1に記載の基板部品。
【請求項6】
前記第1ランドは、前記第1パッドと電気的に接続されており、
前記第2ランドは、前記第2パッドと電気的に接続されている、請求項1に記載の基板部品。
【請求項7】
前記第1パッド、前記第2パッド、前記第1ランド、及び前記第2ランドは、互いに電気的に接続されていない、請求項1に記載の基板部品。
【請求項8】
前記第1面上に配置されている第1ソルダーマスクをさらに備え、
前記第1ソルダーマスクには、前記第1パッドの少なくとも一部を露出させる第1開口部と、前記第2パッドの少なくとも一部を露出させる第2開口部と、前記第1ランド及び第2ランドの各々の前記露出部分並びに前記保護膜の前記中間部分を露出させる第3開口部とが形成されており、
前記第3開口部の開口面積は、前記第1ランド及び前記第2ランド各々の前記上面の前記露出部分の合計面積よりも大きい、請求項1に記載の基板部品。
【請求項9】
前記第1開口部内に配置されている第1熱溶融性導電部材、前記第2開口部内に配置されている第2熱溶融性導電部材、及び前記第3開口部内に配置されている第3熱溶融性導電部材をさらに備え、
平面視における前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の前記上面の前記露出部分間の距離は、溶融した前記第3熱溶融性導電部材が前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の前記上面の前記露出部分と同時に接触できるように設定されている、請求項8に記載の基板部品。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の基板部品と、
前記第1パッド上に配置されている第1導電部材と、
前記第2パッド上に配置されている第2導電部材と、
前記第1ランド、前記第2ランド、及び前記中間部分上に配置されており、前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の前記上面の前記露出部分間を電気的に接続している第3導電部材とをさらに備え、
前記第1パッド及び前記第2パッドには電子部品が実装されていない、回路基板。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載の基板部品を備え、
平面視において、前記第1ランドは、前記第1パッドと前記第2パッドとの間に配置されており、前記第2ランドは、前記第1ランドと前記第2パッドとの間に配置されており、
第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に延びる胴部を有する電子部品と、
前記第1パッドと前記第1電極とを電気的に接続している第1導電部材と、
前記第2パッドと前記第2電極とを電気的に接続している第2導電部材と、
前記第1ランドと前記胴部との間に配置されている第4導電部材と、
前記第2ランドと前記胴部との間に配置されている第5導電部材とをさらに備え、
前記中間部分は、前記胴部に接しており、
前記第4導電部材は、前記第5導電部材と前記中間部分を隔てて配置されている、回路基板。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか1項に記載の基板部品と、
前記基板部品の前記第1パッド及び前記第2パッド以外のパッド上に配置されている導電部材とを備え、
前記第1パッド、前記第2パッド、前記第1ランド、及び前記第2ランドの各々は、互いに電気的に絶縁されている、回路基板。
【請求項13】
第1面を有する基材と、
前記第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1パッド及び第2パッドと、
前記第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1ランド及び第2ランドと、
前記第1面上に配置されており、前記第1パッド及び前記第2パッドの各々の上面の少なくとも一部を露出させる保護膜とを備え、
前記保護膜は、平面視において前記第1ランドと前記第2ランドとの間を隔てている中間部分を有し、
前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の上面は、前記保護膜から露出している露出部分を有し、
少なくとも前記第1ランド及び第2ランドの各々の前記露出部分並びに前記保護膜の前記中間部分を露出させる第3開口部が形成されている第3ソルダーマスク、
前記第1パッドの少なくとも一部を露出させる第1開口部と、前記第2パッドの少なくとも一部を露出させる第2開口部とが形成されている第4ソルダーマスク、または、
前記第1ランド及び第2ランドの各々の前記露出部分並びに前記保護膜の前記中間部分を覆うように形成されている第5ソルダーマスクをさらに備える、基板部品。
【請求項14】
前記第1パッド及び前記第2パッドは、前記第1面に沿った第1方向において互いに間隔を空けて配置されており、
前記第1方向において前記第1パッド及び前記第2パッドの間に配置されている部分を有し、前記第1面に沿っておりかつ前記第1方向と直交する第2方向において前記第1ランド及び前記第2ランドの各々と間隔を空けて配置されている第3ランドをさらに備え、
前記保護膜には、前記第3ランドの上面の少なくとも一部を露出させる保護膜開口部が形成されており、
前記第3ソルダーマスクには、前記第1開口部と、前記第2開口部と、平面視において前記保護膜開口部と重なる第4開口部とがさらに形成されており、
前記第4開口部の開口面積は、前記保護膜開口部の開口面積よりも大きく、
平面視において、前記第4開口部と前記第3開口部との間の距離は、前記保護膜開口部と前記第3開口部との間の距離よりも短い、請求項13に記載の基板部品。
【請求項15】
第1面を有する基材と、
前記第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1パッド及び第2パッドと、
前記第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1ランド及び第2ランドと、
前記第1面上に配置されており、前記第1パッド及び前記第2パッドの各々の上面の少なくとも一部を露出させる保護膜とを備え、
前記保護膜は、平面視において前記第1ランドと前記第2ランドとの間を隔てている中間部分を有し、
前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の上面は、前記保護膜から露出している露出部分を有し、
前記第1パッド及び前記第2パッドは、前記第1面に沿った第1方向において互いに間隔を空けて配置されており、
前記第1方向において前記第1パッド及び前記第2パッドの間に配置されている部分を有し、前記第1面に沿っておりかつ前記第1方向と直交する第2方向において前記第1ランド及び前記第2ランドの各々と間隔を空けて配置されている第3ランドをさらに備え、
前記保護膜には、前記第3ランドの上面の少なくとも一部を露出させる保護膜開口部が形成されており、
前記第1パッド上に配置されている第1電極、前記第2パッド上に配置されている第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に延びておりかつ前記第3ランド上に配置されている胴部を有する電子部品と、
前記第1パッドと前記第1電極とを電気的に接続している第1導電部材と、
前記第2パッドと前記第2電極とを電気的に接続している第2導電部材と、
前記第1ランド、前記第2ランド、前記中間部分、及び前記第3ランド上に配置されており、前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の前記上面の前記露出部分間を電気的に接続している第3導電部材とをさらに備える、回路基板。
【請求項16】
基板部品から回路基板を製造する方法であって、
前記基板部品を準備する工程を備え、
前記基板部品は、
第1面を有する基材と、
前記第1面上に互いに間隔を空けて配置されている第1パッド及び第2パッドと、
前記第1面上において前記第1パッドと前記第2パッドとの間に互いに間隔を空けて配置されている第1ランド及び第2ランドと、
前記第1面上に配置されており、前記第1パッド及び前記第2パッドの各々の上面の少なくとも一部を露出させる保護膜とを含み、
前記保護膜は、平面視において前記第1ランドと前記第2ランドとの間を隔てている中間部分を有し、
前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の上面及び側面、ならびに前記第1面のうち平面視において前記第1ランド及び前記第2ランドの各々の周囲に位置する周辺領域の各々は、前記保護膜から露出している露出部分を有しており、
製造すべき前記回路基板として、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に延びる胴部を有する電子部品が前記第1パッド及び前記第2パッドに実装されておらず、かつ前記第1ランド及び前記第2ランドを電気的に接続する導電部材が実装されている第1回路基板、前記電子部品が実装されている第2回路基板、及び、前記電子部品が実装されておらずかつ前記導電部材が実装されていない第3回路基板の群から1つを選択する工程と、
前記選択の結果に応じて、前記基板部品上にソルダーマスクを配置する工程と、
前記ソルダーマスクを用いて前記基板部品上に熱溶融性導電部材を塗布する工程と、
前記熱溶融性導電部材を溶融及び凝固させる工程とを備え、
前記熱溶融性導電部材を溶融及び凝固させる工程では、前記選択の結果に応じて、前記熱溶融性導電部材の上に前記電子部品を配置した状態で前記熱溶融性導電部材を溶融及び凝固させる工程、又は前記熱溶融性導電部材の上に前記電子部品を配置していない状態で前記熱溶融性導電部材を溶融及び凝固させる工程とが切り替えられる、回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板部品、回路基板、及び回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気的な機能を調整可能な回路基板が知られている。特開2007-194240号公報(特許文献1)に記載のプリント基板は、チップ部品の電極がはんだ接続可能である第1ランドと第2ランドとを備え、チップ部品が実装されない場合にはんだフロー(フローソルダリング)が行われることによって第1ランドと第2ランドとの間を自動的に短絡可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のプリント基板では、その製造方法においてフローソルダリングによる自動はんだ付けが行われる。そのため、第1ランドと第2ランドとがはんだにより電気的に短絡した構造を実現するには、第1ランド及び第2ランドに対するフローソルダリング工程の他に、他の電子部品を基板に実装する工程が必要となる。例えば、第1ランド及び第2ランドに対するフローソルダリング工程前に他の表面実装部品を基板に実装する工程、または第1ランド及び第2ランドに対するフローソルダリング工程後に他の表面実装部品を実装する工程が必要となる。前者の場合には、実装した部品の落下を防ぐパレット治具を用いてフローソルダリング工程を行う必要がある。その結果、従来のプリント基板では、製造コストの増大を抑制することは困難である。
【0005】
本開示の主たる目的は、電気的な機能を調整可能でありながらも、製造コストの増大を抑制可能な回路基板を提供することにある。具体的には、本開示の主たる目的は、上記のような回路基板に組み立て可能な基板部品、当基板部品から組み立てられ得る回路基板、及び回路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る基板部品は、第1面を有する基材と、第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1パッド及び第2パッドと、第1面上において互いに間隔を空けて配置されている第1ランド及び第2ランドと、第1面上に配置されており、第1パッド及び第2パッドの各々の上面の少なくとも一部を露出させる保護膜とを備える。保護膜は、平面視において第1ランドと第2ランドとの間を隔てている中間部分を有する。第1ランド及び第2ランドの各々の上面及び側面、並びに、第1面のうち平面視において第1ランド及び第2ランドの各々の周囲に位置する周辺領域の各々は、保護膜から露出している露出部分を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1ランド及び第2ランドの各々の上に塗布された熱溶融性導電部材を溶融・凝固させる工程が第1パッド及び第2パッド上に電子部品が配置されている状態にて行われることにより、電子部品が溶融した熱溶融性導電部材の流れを制限して、溶融した熱溶融性導電部材は第1面の露出部分に導かれ得る。その結果、上記工程を経て製造された本開示に係る回路基板では、第1ランド及び第2ランド間にはんだブリッジは形成されず、第1パッド及び第2パッドに電子部品が実装され得る。
【0008】
他方、第1ランド及び第2ランドの各々の上に塗布された熱溶融性導電部材を溶融・凝固させる工程が第1パッド及び第2パッド上に電子部品が配置されていない状態にて行われることにより、溶融した熱溶融性導電部材は保護膜の中間部分を跨いで第1ランドと第2ランドとの間を電気的に接続するはんだブリッジを形成し得る。その結果、上記工程を経て製造された本開示に係る回路基板の第1ランド及び第2ランドは、はんだブリッジを介して電気的に接続され得る。
【0009】
つまり本開示によれば、第1パッド、第2パッド、第1ランド及び第2ランドの各々の上に塗布された熱溶融性導電部材を溶融・凝固させて導電部材を形成する工程が、電子部品が第1パッド及び第2パッド上に配置されている状態で行われるか否かのみに応じて、回路基板の電気的な機能を調整可能である。そのため、本開示によれば、電気的な機能を調整可能でありながらも、製造コストの増大を抑制可能な回路基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る第1基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図2】
図1中の線分II-IIから視た部分拡大断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る第2基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図4】
図3中の線分IV-IVから視た部分拡大断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る第3基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図6】
図5中の線分VI-VIから視た部分拡大断面図である。
【
図7】実施の形態1に係る第4基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図8】
図7中の線分VIII-VIIIから視た部分拡大断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る第1回路基板を説明するための部分拡大平面図である。
【
図10】
図9中の線分X-Xから視た部分拡大断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る第2回路基板を説明するための部分拡大平面図である。
【
図12】
図11中の線分XII-XIIから視た部分拡大断面図である。
【
図13】実施の形態1に係る回路基板の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態1に係る回路基板の製造方法のより具体的な一例を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態2に係る第1基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図16】実施の形態3に係る第1基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図17】実施の形態3に係る第2基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図18】実施の形態3に係る第2基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図19】実施の形態4に係る第2基板部品を説明するための部分拡大平面図である。
【
図20】
図19中の線分XX-XXから視た部分拡大断面図である。
【
図21】実施の形態4に係る第1回路基板を説明するための部分拡大断面図である。
【
図22】実施の形態4に係る第2回路基板を説明するための部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1に係る基板部品は、実施の形態1に係る回路基板の製造方法にて準備または形成される部品であって、最終的に実施の形態1に係る回路基板に組み立てられ得る部品である。
【0013】
実施の形態1に係る基板部品は、その構成部品に応じて、
図1及び
図2に示される第1基板部品100、
図3及び
図4に示される第2基板部品101、
図5及び
図6に示される第3基板部品102、及び
図9及び
図10に示される第4基板部品103に区分される。第2基板部品101、第3基板部品102、及び第4基板部品103は、いずれも第1基板部品100の構成を備えている。第3基板部品102は、第2基板部品101の構成を備えている。
【0014】
実施の形態1に係る回路基板は、その電気的機能に応じて、
図9及び
図10に示される第1回路基板104、
図11及び
図12に示される第2回路基板105、ならびに第1基板部品100と同様の構成を備える第3回路基板に区分される。
【0015】
第1基板部品100は、第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板の各製造方法にて準備または形成される共通の部品である。第2基板部品101及び第3基板部品102は、第1回路基板104及び第2回路基板105の各製造方法にて準備または形成される共通の部品である。
【0016】
以下、第1基板部品100,第2基板部品101、第3基板部品102、第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板の各構成を説明する。
【0017】
<第1基板部品100の構成>
図1及び
図2に示される実施の形態1に係る第1基板部品100は、基材1、第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4、第2ランド5、及び保護膜6を備える。
【0018】
なお、
図1及び
図2は、第1基板部品100の一部のみを示す部分拡大図である。第1基板部品100は図示しない領域を有している。
【0019】
図1及び
図2に示されるように、基材1は、第1面1Aを有する。第1面1Aは、第1方向DR1及び第2方向DR2に沿って延びている。第2方向DR2は、第1方向DR1と直交する。基材1を構成する材料は、電気的絶縁性を有する。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、第1パッド2及び第2パッド3は、第1面1A上に互いに間隔を空けて配置されている。第1パッド2及び第2パッド3は、第1方向DR1に互いに間隔を空けて配置されている。第1パッド2及び第2パッド3は、後述する電子部品9を実装可能である。第1パッド2及び第2パッド3の各々を構成する材料は、導電性を有している。なお、第1パッド2及び第2パッド3の各々は、図示しない配線部材と電気的に接続されていればよい。
【0021】
図1及び
図2に示されるように、第1ランド4及び第2ランド5は、第1面1A上に互いに間隔を空けて配置されている。第1ランド4は、第1パッド2と第2パッド3との間に配置されている。第2ランド5は、第1ランド4と第2パッド3との間に配置されている。第1ランド4及び第2ランド5の各々を構成する材料は、導電性を有している。
【0022】
第1ランド4及び第2ランド5の各々は、第1部分41,51及び第2部分42,52を含む。第1ランド4及び第2ランド5の各々の第1部分41,51は、第1方向DR1において、後述する保護膜6の中間部分60を挟むように互いに間隔を空けて配置されている。第1ランド4及び第2ランド5の各々の第2部分42,52は、第1方向DR1において第1部分41,51から突出している。第2部分42は、第1方向DR1において第2パッド3側に向けて第1部分41から突出している。第2部分52は、第1方向DR1において第1パッド2側に向けて第1部分51から突出している。第2方向DR2において、第1ランド4の第1部分41は、第2ランド5の第2部分52と中間部分60を挟んで対向配置されている。第1ランド4の第2部分42は、第2ランド5の第1部分51と中間部分60を挟んで対向配置されている。
【0023】
第1ランド4は、例えば第1パッド2と電気的に接続されている。第1ランド4は、例えば第1部分41と第1パッド2との間を電気的に接続する第3部分43をさらに有している。第2ランド5は、例えば第2パッド3と電気的に接続されている。第2ランド5は、例えば第1部分51と第2パッド3との間を電気的に接続する第3部分53をさらに有している。
【0024】
図1及び
図2に示されるように、保護膜6は、第1面1A上に配置されている。保護膜6は、第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4、及び第2ランド5の各々の上面の少なくとも一部を露出させるように設けられている。保護膜6を構成する材料は、電気的絶縁性を有している。保護膜6は、レジストであってもよい。
【0025】
保護膜6は、平面視において第1ランド4と第2ランド5との間を隔てている中間部分60を有している。中間部分60は、第1ランド4及び第2ランド5の各々の互いに対向する側面、及び第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面のうち当該側面に近い一部領域を覆うように形成されている。
【0026】
中間部分60は、例えば、第1方向DR1において第1ランド4の第1部分41と第2ランド5の第1部分51との間に挟まれている部分と、第2方向DR2において第1ランド4の第2部分42と第2ランド5の第1部分51との間に挟まれている部分と、第2方向DR2において第1ランド4の第1部分41と第2ランド5の第2部分52との間に挟まれている部分とを有している。
【0027】
保護膜6には、例えば、第1パッド2の上面の一部を露出させる開口部分61、第2パッド3の上面の一部を露出させる開口部分62、第1ランド4の上面の一部を露出させる開口部分63、及び第2ランド5の上面の一部を露出させる開口部分64が形成されている。平面視において、中間部分60は、開口部分63と開口部分64との間を隔てるように両者の間に配置されている。
【0028】
開口部分61は、例えば開口部分63と連なっている。開口部分62は、例えば開口部分64と連なっている。保護膜6には、例えば、開口部分61及び開口部分63が連なって成る開口部と、開口部分62及び開口部分64が連なって成る開口部とが形成されている。なお、開口部分61と開口部分63とは、互いに分離されていてもよい。開口部分62と開口部分64とは、互いに分離されていてもよい。開口部分63は、開口部分64と連なっていてもよい。この場合、開口部分61、開口部分62、開口部分63、及び開口部分64は、互いに連なっていてもよい。
【0029】
第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面及び側面は、保護膜6から露出している露出部分を有する。さらに、第1面1Aのうち平面視において第1ランド4及び第2ランド5の各々の側面の上記露出部分の周囲に位置する周辺領域の各々は、保護膜6から露出している露出部分を有する。
【0030】
なお、
図1では、保護膜6の開口部分61,62,63,64と、第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4、及び第2ランド5のうち保護膜6から露出している各露出部分が実線で示されている。
図1では、第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4、及び第2ランド5のうち保護膜6に覆われている各部分が破線で示されている。
【0031】
平面視において第1ランド4の周囲に位置する第1面1Aの周辺領域は、第1パッド2と第1ランド4の第1部分41との間に位置する第1周辺領域1A1と、第1ランド4の第2部分42の周囲に位置する第2周辺領域1A2とを有する。
【0032】
平面視において第2ランド5の周囲に位置する第1面1Aの周辺領域は、第2パッド3と第2ランド5の第1部分51との間に位置する第3周辺領域1A3と、第2ランド5の第2部分52の周囲に位置する第4周辺領域1A4とを有する。
【0033】
第1周辺領域1A1は、中間部分60によって第4周辺領域1A4と隔てられている。第2周辺領域1A2は、中間部分60によって第3周辺領域1A3と隔てられている。なお、第1周辺領域1A1は、第4周辺領域1A4と連なっていてもよい。第2周辺領域1A2は、第3周辺領域1A3と連なっていてもよい。
【0034】
図2に示されるように、保護膜6の厚さは、第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4、及び第2ランド5の各々の厚さよりも厚い。保護膜6の中間部分60は、第1ランド4及び第2ランド5の上面よりも上方に突出している。好ましくは、保護膜6の中間部分60の上面は、後述する第2回路基板105において電子部品9の胴部93の下面と接触するように設けられている。
【0035】
<第2基板部品101の構成>
図3及び
図4に示される実施の形態1に係る第2基板部品101は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1に係る第1基板部品100と同一の構成を有している。したがって、上記の第1基板部品100と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。なお、
図3及び
図4は、第2基板部品101の一部のみを示す部分拡大図であり、第2基板部品101は図示しない領域を有している。
【0036】
図3及び
図4に示されるように、第2基板部品101は、第1基板部品100と、第1基板部品100の第1面1A上に配置されている第1ソルダーマスク7Aとの組物である。言い換えると、第2基板部品101は、第1基板部品100と、第1面1A上に配置されている第1ソルダーマスク7Aとを備える。第1ソルダーマスク7Aは、熱溶融性導電部材を塗布する際に用いられるマスクである。平面視において、第1ソルダーマスク7Aには、保護膜6から露出している上記露出部分の一部と、保護膜6の上面の一部とを露出させる開口部が形成されている。
【0037】
第1ソルダーマスク7Aには、第1開口部71、第2開口部72、及び第3開口部73が形成されている。第1開口部71は、第1パッド2の少なくとも一部を露出させる。第2開口部72は、第2パッド3の少なくとも一部を露出させる。第3開口部73は、少なくとも、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上記露出部分、並びに、保護膜6の中間部分60を露出させる。第1開口部71、第2開口部72、及び第3開口部73は、互いに間隔を空けて配置されている。
【0038】
第3開口部73は、例えば、第1面1Aの第1周辺領域1A1、第2周辺領域1A2、第3周辺領域1A3、及び第4周辺領域1A4の各々の一部を露出させる。さらに第3開口部73は、例えば、保護膜6の上面のうち平面視において第2周辺領域1A2の周囲に位置する第5周辺領域6A1、及び第4周辺領域1A4の周囲に位置する第6周辺領域6A2を露出させる。
【0039】
平面視において、第1ソルダーマスク7Aは、保護膜6から露出している上記露出部分の残部と重なるように設けられている。
【0040】
図4に示されるように、第1面1Aと直交する方向において、第1面1Aの第1周辺領域1A1、第2周辺領域1A2、第3周辺領域1A3、及び第4周辺領域1A4の露出部分の残部は、第1ソルダーマスク7Aと間隔を空けて配置されている。第1面1Aの第1周辺領域1A1、第2周辺領域1A2、第3周辺領域1A3、及び第4周辺領域1A4の露出部分の上記残部と第1ソルダーマスク7Aとの間に挟まれている空間は、第3開口部73に連通している。
【0041】
第3開口部73の開口面積は、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分の合計面積よりも大きい。第3開口部73の開口面積は、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分の合計面積の1.5倍以上3倍以下であってもよい。第3開口部73の開口面積は、例えば、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分の合計面積と第1面1Aの周辺領域の露出部分の面積との和よりも小さい。
【0042】
第1ソルダーマスク7Aを構成する材料は、例えば金属である。
<第3基板部品102の構成>
図5及び
図6に示される実施の形態1に係る第3基板部品102は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1に係る第2基板部品101と同一の構成を有している。したがって、上記の第2基板部品101と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。なお、
図5及び
図6は、第3基板部品102の一部のみを示す部分拡大図であり、第3基板部品102は図示しない領域を有している。
【0043】
図5及び
図6に示されるように、第3基板部品102は、第1ソルダーマスク7Aの第1開口部71内に塗布されている第1熱溶融性導電部材81A、第2開口部72内に塗布されている第2熱溶融性導電部材82A、及び第3開口部73内に塗布されている第3熱溶融性導電部材83Aをさらに備える。
【0044】
第3熱溶融性導電部材83Aは、第1ランド4の上面の上記露出部分、第2ランド5の上面の上記露出部分、中間部分60、第1面1Aの第1周辺領域1A1、第2周辺領域1A2、第3周辺領域1A3、及び第4周辺領域1A4の露出部分の上記一部、ならびに保護膜6の上面の第5周辺領域6A1及び第6周辺領域6A2上に塗布されている。
【0045】
第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aの各々を構成する材料は、熱溶融性を有する任意の材料であればよいが、例えばクリームはんだである。第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aの各々を構成する材料は、例えば互いに同じである。
【0046】
好ましくは、第3熱溶融性導電部材83Aを構成する材料は、粘性が低くかつ濡れ性が悪い材料である。
【0047】
<第4基板部品103の構成>
図7及び
図8に示される実施の形態1に係る第4基板部品103は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1に係る第1基板部品100と同一の構成を有している。したがって、上記の第1基板部品100と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。なお、
図7及び
図8は、第4基板部品103の一部のみを示す部分拡大図であり、第4基板部品103は図示しない領域を有している。
【0048】
図7及び
図8に示されるように、第4基板部品103は、第1面1A上に配置されている第2ソルダーマスク7Bをさらに備える。第2ソルダーマスク7Bは、熱溶融性導電部材を塗布する際に用いられるマスクである。第2ソルダーマスク7Bは、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上記露出部分、及び第1面1Aの上記露出部分を覆うように形成されている。言い換えると、第2ソルダーマスク7Bは、少なくとも第3開口部73が形成されておらず、かつ
図7及び
図8において図示されていない領域にのみ開口部が形成されている点で、第1ソルダーマスク7Aとは異なる。
【0049】
第2ソルダーマスク7Bには、例えば第1開口部71及び第2開口部72も形成されていない。なお、第2ソルダーマスク7Bには、第1開口部71及び第2開口部72が形成されていてもよい。
【0050】
第2ソルダーマスク7Bを構成する材料は、例えば金属である。
<第1回路基板104の構成>
図9及び
図10に示されるように、第1回路基板104は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1に係る第1基板部品100と同一の構成を有している。したがって、上記の第1基板部品100と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0051】
第1回路基板104は、基材1、第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4、第2ランド5、保護膜6、第1導電部材81B、第2導電部材82B、及び第3導電部材83Bを備える。第1導電部材81Bは、第3基板部品102の第1熱溶融性導電部材81Aが溶融・凝固したものである。第2導電部材82Bは、第3基板部品102の第2熱溶融性導電部材82Aが溶融・凝固したものである。第3導電部材83Bは、第3基板部品102の第3熱溶融性導電部材83Aが溶融・凝固したものである。
【0052】
図9及び
図10に示されるように、第3導電部材83Bは、第1導電部材81B及び第2導電部材82Bの各々と互いに間隔を空けて配置されている。第3導電部材83Bは、第1導電部材81B及び第2導電部材82Bの各々と連なっていない。
【0053】
図9及び
図10に示されるように、第3導電部材83Bは、中間部分60上を跨ぐように配置されている。第3導電部材83Bは、第1ランド4及び第2ランド5の上面の上記露出部分間を電気的に接続している。つまり、第3導電部材83Bは、第1ランド4と第2ランド5との間を電気的に短絡させるジャンパーを成している。
【0054】
図10に示されるように、第3導電部材83Bの最大厚さは、第1導電部材81B及び第2導電部材82Bの最大厚さよりも厚い。第3導電部材83Bの最大厚さは、例えば第1導電部材81B及び第2導電部材82Bの最大厚さの1.5倍以上3倍以下である。
【0055】
第1基板部品100における第1ランド4と第2ランド5との間隔は、第3熱溶融性導電部材83Aを構成する材料の粘性あるいは濡れ性を考慮して、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが中間部分60上に膨らみ得る寸法に基づいて設定されればよい。
【0056】
図9及び
図10に示される実施の形態1に係る第1回路基板104は、第3基板部品102から製造され得る。第1回路基板104は、第3基板部品102から第1ソルダーマスク7Aが取り除かれた後、電子部品9が第1パッド2及び第2パッド3上に配置されることなく、第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aを溶融・凝固させることにより、製造され得る。
【0057】
<第2回路基板105の構成>
図11及び
図12に示されるように、第2回路基板105は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1に係る第1基板部品100と同一の構成を有している。したがって、上記の第1基板部品100と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0058】
第2回路基板105は、基材1、第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4、第2ランド5、保護膜6、第1導電部材81C、第2導電部材82C、導電部材83C1、導電部材83C2、及び電子部品9を備える。
【0059】
第1導電部材81Cは、第3基板部品102の第1熱溶融性導電部材81Aが溶融・凝固したものである。第2導電部材82Cは、第3基板部品102の第2熱溶融性導電部材82Aが溶融・凝固したものである。導電部材83C1及び導電部材83C2は、第3基板部品102の第3熱溶融性導電部材83Aが溶融して互いに分離した後、凝固したものである。
【0060】
電子部品9は、第1電極91、第2電極92、及び第1電極91と第2電極92との間に延びる胴部93を有する。第1電極91は、第1パッド2と第1導電部材81Cを介して電気的に接続されている。第2電極92は、第2パッド3と第2導電部材82Cを介して電気的に接続されている。平面視において、胴部93は、第1ランド4及び第2ランド5の各々の少なくとも一部、及び保護膜6の中間部分60と重なるように配置されている。胴部93の表面は、電気的絶縁性を有している。好ましくは、保護膜6の中間部分60の上面は、電子部品9の胴部93の下面と接触している。
【0061】
電子部品9は、任意の電子部品であればよい。電子部品9は、例えばキャパシタ部品、インダクタ部品、抵抗器部品、またはダイオード部品である。電子部品9は、3端子の電子部品であってもよい。電子部品9は、例えばトランジスタ部品、レギュレータIC部品等であってもよい。
【0062】
図11及び
図12に示されるように、導電部材83C1は、導電部材83C2と間隔を空けて配置されている。導電部材83C1は、保護膜6の中間部分60によって導電部材83C2と隔てられている。第2回路基板105では、第1ランド4と第2ランド5とを電気的に短絡させるジャンパーが形成されていない。保護膜6の中間部分60上に導電部材が形成されていない。
【0063】
導電部材83C1は、第1ランド4の上面及び側面の上記露出部分、並びに第1面1Aの上記露出部分に含まれる第1周辺領域1A1及び第2周辺領域1A2の各々と接している。導電部材83C2は、第2ランド5の上面及び側面の上記露出部分、並びに第1面1Aの上記露出部分に含まれる第3周辺領域1A3及び第4周辺領域1A4の各々と接している。
【0064】
導電部材83C1は、例えば第1導電部材81Cと連なり一体とされている。導電部材83C2は、例えば第2導電部材82Cと連なり一体とされている。なお、導電部材83C1は、第1導電部材81Cと分離していてもよい。導電部材83C2は、第2導電部材82Cと分離していてもよい。
【0065】
図11及び
図12に示される実施の形態1に係る第2回路基板105も、第1回路基板104と同様に、第3基板部品102から製造され得る。第2回路基板105は、第3基板部品102から第1ソルダーマスク7Aが取り除かれ、かつ電子部品9が第1パッド2及び第2パッド3上に配置された後に、第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aを溶融・凝固させることにより、製造され得る。
【0066】
<第3回路基板の構成>
第3回路基板は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1に係る第1基板部品100と同一の構成を有している。したがって、上記の第1基板部品100と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0067】
第3回路基板の第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4及び第2ランド5は、
図1及び
図2に示される第1基板部品100のそれらと基本的に同様の構成を備えている。第3回路基板において、第1パッド2及び第2パッド3には電子部品が実装されておらず、第1ランド4と第2ランド5との間は電気的に絶縁されている。
【0068】
実施の形態1に係る第3回路基板は、第4基板部品103から製造され得る。第3回路基板は、第4基板部品103において
図7及び
図8に示されていない領域に形成されている第2ソルダーマスク7Bの開口部に熱溶融性導電部材が塗布され、第2ソルダーマスク7Bが取り除かれた後に、上記熱溶融性導電部材を溶融・凝固させることにより、製造され得る。
【0069】
なお、第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板は、1つの回路基板上に電気機能が互いに異なる領域として形成されていてもよい。例えば、1つの回路基板の第1領域が第1回路基板104の構成を有し、当該1つの回路基板の第1領域とは異なる第2領域が第2回路基板105の構成を有していてもよい。また、上記1つの回路基板の第1領域及び第2領域とは異なる第3領域が第3回路基板の構成を有していてもよい。
【0070】
<第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板の製造方法>
図13及び
図14を参照して、第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板の製造方法について説明する。第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板の各々は、いずれも
図13に示される製造方法により製造され得る。
【0071】
図13に示されるように、各回路基板の製造方法は、第1基板部品100を準備する工程(SP1)、製造すべき回路基板を選択する工程(SP2)、工程(SP2)での選択結果に応じて第1基板部品100にソルダーマスクを配置する工程(SP3)、及び工程(SP3)にて配置されたソルダーマスクを用いて導電部材を形成する工程(SP4)を備える。
【0072】
具体的には、第1回路基板104,第2回路基板105、及び第3回路基板の各々は、
図14に示されるフローにより、第1基板部品100から製造され得る。
【0073】
第1に、工程(SP2)にて製造されるべき回路基板が選択される。工程(SP2)の選択結果に応じて、次工程が、第1ソルダーマスク7Aを配置する工程(SP31)又は第2ソルダーマスク7Bを配置する工程(SP32)に決まる。具体的には、第1回路基板104又は第2回路基板105が選択された場合には、第1ソルダーマスク7Aが配置される。これにより、第1基板部品100から、第2基板部品101が形成される。他方、第3回路基板が選択された場合には、第2ソルダーマスク7Bが配置される。これにより、第1基板部品100から、第4基板部品103が形成される。
【0074】
第2に、工程(SP31)にて配置された第1ソルダーマスク7Aまたは第2ソルダーマスク7Bを用いて、熱溶融性導電部材が塗布される。これにより、第2基板部品101から、第3基板部品102が形成される。第1ソルダーマスク7Aを用いて塗布された熱溶融性導電部材は、第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aを有する。第2ソルダーマスク7Bを用いて塗布された熱溶融性導電部材は、第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aを有さない。第1ソルダーマスク7A及び第2ソルダーマスク7Bは、熱溶融性導電部材を塗布した後に、次工程を行う前に取り除かれる。
【0075】
第3に、工程(SP2)の選択結果に応じて、次工程において電子部品9が第3熱溶融性導電部材83A上に配置されるか否かが決まる。工程(SP2)において第1回路基板104が選択された場合、電子部品9を、第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aの各々の上に配置することなく、第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aの各々を溶融して凝固させる(工程(SP43))。このとき、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aはその表面張力によって第1ランド4及び第2ランド5の上面上に集められ、第3熱溶融性導電部材83Aの高さは第1熱溶融性導電部材81A及び第2熱溶融性導電部材82Aの各々の高さよりも高くなる。高さが嵩んだ第3熱溶融性導電部材83Aは、その重さによって上記上面に沿った方向に膨らみ、中間部分60を跨ぐブリッジ(例えばはんだブリッジ)を形成する。
【0076】
他方、工程(SP2)において第2回路基板105が選択された場合、電子部品9が、第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aの各々の上に配置される(工程(SP42))。その後、第1熱溶融性導電部材81A、第2熱溶融性導電部材82A、及び第3熱溶融性導電部材83Aの各々を溶融して凝固させる(工程(SP43))。このとき、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aの流れは、保護膜6の中間部分60及び電子部品9の胴部93によって制限される。これにより、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aは、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面及び側面の上記露出部分を伝って、第1面1Aの第1周辺領域1A1、第2周辺領域1A2、第3周辺領域1A3、及び第4周辺領域1A4の各々に濡れ広がる。その結果、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aは、中間部分60に対して一方の側に位置する導電部材83C1と、中間部分60に対して他方の側に位置する導電部材83C2とに分割される。
【0077】
なお、工程(SP2)において第1回路基板104が選択された場合、図示しない領域において電子部品が熱溶融性導電部材上に配置された後、上記工程(SP43)が行われてもよい。すなわち、1つの基板部品の第1領域に対して第1回路基板104を製造するための製法方法が行われ、当該1つの基板部品の第1領域とは異なる第2領域に対して第2回路基板105を製造するための製法方法が行われてもよい。
【0078】
第1基板部品100における第1ランド4と第2ランド5との間隔は、第2回路基板105が選択された場合の上記工程(SP43)において溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが中間部分60を跨ぐブリッジを形成するように、第3熱溶融性導電部材83Aを構成する材料の粘性又は濡れ性に応じて設定される。
【0079】
また、工程(SP2)において第3回路基板が選択された場合にも、電子部品9を第1パッド2及び第2パッド3上に配置することなく、図示しない領域上に塗布された熱溶融性導電部材を溶融・凝固させる(工程(SP43))。
【0080】
このように、第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板は、共通する第1基板部品100から上述した製造方法により製造され得る。さらに、上述した製造方法において、熱溶融性導電部材を塗布する工程(SP41)及び熱溶融性導電部材を溶融・凝固させる工程(SP43)は、第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板のいずれを製造すべきかによらず、従来のリフローソルダリング工程と同等の方法にて実行され得る。
【0081】
特に、第1回路基板104の製造方法は、熱溶融性導電部材を塗布する工程(SP41)後であって熱溶融性導電部材を溶融・凝固させる工程(SP43)前に、電子部品9を当該熱溶融性導電部材上に配置する工程(SP42)を行う点でのみ、第2回路基板105の製造方法と異なっている。言い換えると、工程(SP42)を行うか否かのみによって、第1回路基板104と第2回路基板105との切り替えが可能である。
【0082】
<作用効果>
実施の形態1に係る第1基板部品100では、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面及び側面、並びに、第1面1Aのうち平面視において第1ランド4及び第2ランド5の各々の周囲に位置する周辺領域の各々が、保護膜6から露出している露出部分を有する。これらの露出部分は、第1ランド4及び第2ランド5上に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aがその上に電子部品9が配置されている状態において溶融した場合に、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが電子部品9に押し出されて濡れ広がることが可能な領域を提供する。この場合、第1ランド4と第2ランド5との間にはんだブリッジが形成されていない第2回路基板105が製造され得る。
【0083】
他方、第1ランド4及び第2ランド5上に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aがその上に電子部品9が配置されていない状態において溶融した場合には、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aはその表面張力によって第1ランド4及び第2ランド5上に膨らみ、露出部分に濡れ広がらない。この場合、第1ランド4と第2ランド5との間にはんだブリッジが形成されている第1回路基板104が製造され得る。
【0084】
このように、第1基板部品100は、第2基板部品101を経て第3基板部品102に加工されることにより、電気的機能が互いに異なる第1回路基板104及び第2回路基板105の各々を製造するための部品となり得る。
【0085】
さらに、実施の形態1に係る第1基板部品100を用いた第1回路基板104の製造方法は、第3熱溶融性導電部材83Aを溶融する工程の前に、第3熱溶融性導電部材83A上に電子部品9を配置する工程を行う点でのみ、第1基板部品100を用いた第2回路基板105の製造方法と異なる。また、実施の形態1に係る第1基板部品100を用いた第2回路基板105の製造方法では、電子部品を保持するためのパレット治具が不要である。その結果、第1基板部品100を用いて電気的機能が互いに異なる第1回路基板104又は第2回路基板105を製造することにより、第1回路基板104及び第2回路基板105の製造コストの増大を抑制可能である。
【0086】
さらに第1基板部品100は、上記露出部分を覆う第2ソルダーマスク7Bを備える第4基板部品103に加工されることにより、第1回路基板104及び第2回路基板105とも電気的機能が異なる第3回路基板を製造するための部品になり得る。第2ソルダーマスク7Bは、第1ソルダーマスク7Aの第3開口部73等をマスキングする簡単な改良を施すことのみにより準備され得る。そのため、第1基板部品100を用いて第3回路基板を製造することにより、第3回路基板の製造コストの増大を抑制可能である。
【0087】
また、上述した従来のプリント基板では、第1ランドと第2ランドとが電気的に接続されていない構造を実現するには、第1ランド及び第2ランドへの半田の付着を防止するためのパレット治具が必要となる。この場合、パレット治具の制約により、実装可能なチップ部品は制限され、また部品配置の制約も多くなる。
【0088】
これに対し、第1基板部品100を用いた第3回路基板の製造方法では、パレット治具が不要である。そのため、その結果、第1基板部品100を用いて第3回路基板を製造することにより、第3回路基板の製造コストの増大を抑制可能である。
【0089】
第1基板部品100において、第1面1Aの第1周辺領域1A1、第2周辺領域1A2、第3周辺領域1A3、及び第4周辺領域1A4の合計面積は、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分の合計面積よりも大きい。このようすれば、第1ランド4及び第2ランド5上に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aがその上に電子部品9が配置されている状態において溶融した場合に、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが上記周辺領域に十分に濡れ広がることが可能となる。その結果、第1基板部品100から製造される第2回路基板105において、保護膜6の中間部分60を跨ぐようにはんだブリッジが形成されることをより確実に防止できる。
【0090】
第1基板部品100において、保護膜6の中間部分60は、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面から上方に突出していることが好ましい。このようにすれば、第1ランド4及び第2ランド5上に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aがその上に電子部品9が配置されている状態において溶融した場合に、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが中間部分60を跨ぎにくくなる。その結果、第1基板部品100から製造される第2回路基板105において、保護膜6の中間部分60を跨ぐようにはんだブリッジが形成されることをより確実に防止できる。
【0091】
第1基板部品100では、第1ランド4の周囲に位置する第1周辺領域1A1が第1パッド2と第1ランド4との間に延びている。第2ランド5の周囲に位置する第3周辺領域1A3が第2パッド3と第2ランド5との間に延びている。このようにすれば、第1ランド4及び第2ランド5上に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aがその上に電子部品9が配置されている状態において溶融した場合に、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが第1パッド2又は第2パッド3の周囲にまで濡れ広がり、電子部品9の第1電極91と第1パッド2との接合及び第2電極92と第2パッド3との接合に寄与し得る。
【0092】
第1基板部品100では、平面視において、第1ランド4及び第2ランド5の各々が、第1方向DR1において中間部分60を挟むように互いに間隔を空けて配置されている第1部分41,51と、第1方向DR1において第1部分41,51から突出している第2部分42,52とを有している。第2方向DR2において、第1ランド4の第1部分41は、第2ランド5の第2部分52と中間部分60を挟んで対向配置されており、かつ、第1ランド4の第2部分42は、第2ランド5の第1部分51と中間部分60を挟んで対向配置されている。第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面上にて溶融した第3熱溶融性導電部材83Aは、当該上面に沿った方向に膨らむ。そのため、第1基板部品100において第1ランド4及び第2ランド5が第1方向DR1及び第2方向DR2のそれぞれにおいて互いに対向配置されていれば、第1ランド4及び第2ランド5が1つの方向のみにおいて互いに対向配置されている場合と比べて、当該第1基板部品100を用いて製造される第1回路基板104において、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面間にはんだブリッジをより確実に形成できる。
【0093】
第2基板部品101において、第1ソルダーマスク7Aには、第1パッド2の少なくとも一部を露出させる第1開口部71と、第2パッド3の少なくとも一部を露出させる第2開口部72と、少なくとも第1ランド4及び第2ランド5の各々の露出部分並びに保護膜6の中間部分60を露出させる第3開口部73とが形成されている。第3開口部73の開口面積は、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分の合計面積よりも大きい。このようにすれば、第3開口部73内に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aがその上に電子部品9が配置されていない状態において溶融した場合に、溶融した第3熱溶融性導電部材83はその表面張力によって第1ランド4及び第2ランド5の各々上面上に集まり、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aの高さが中間部分60の高さよりも十分に高くなる。その結果、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aは中間部分60を覆いつくすことができる。そのため、第1基板部品100から第2基板部品101を経て製造された第1回路基板104において、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面間を電気的に接続するはんだブリッジがより確実に形成され得る。
【0094】
第1基板部品100、第2基板部品101、及び第3基板部品102では、平面視における第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分間の距離は、第3開口部73内に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aがその上に電子部品9が配置されていない状態において溶融した場合に、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分と同時に接するように設定されている。上述のように、第3熱溶融性導電部材83Aを構成する材料が粘性及び濡れ性が低い材料である場合、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aはその表面張力によってより大きく膨らむため、平面視における第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分間の距離は、広く設定され得る。その結果、当該距離の寸法精度を緩和でき、第1基板部品100から第2回路基板105を製造する場合に第1ランド4と第2ランド5とが導電部材を介して電気的に短絡してしまうリスクを低減できる。
【0095】
第1回路基板104は、第1基板部品100と、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の露出部分間を電気的に接続している第3導電部材83Bとを備える。第1回路基板104の第1パッド2及び第2パッド3上には、電子部品9が実装されていない。
【0096】
第2回路基板105は、第1基板部品100と、電子部品9と、第1パッド2と第1電極91とを電気的に接続している第1導電部材81Cと、第2パッド3と第2電極92とを電気的に接続している第2導電部材82Cと、第1ランド4と胴部93との間に配置されている導電部材83C1と、第2ランド5と胴部93との間に配置されている導電部材83C2とを備える。導電部材83C1は、導電部材83C2と中間部分を隔てて配置されている。
【0097】
第3回路基板は、第1基板部品100と、第1パッド2及び第2パッド3以外のパッド上に配置されている導電部材とを備える。第1パッド2、第2パッド3,第1ランド4、及び第2ランド5の各々は、互いに電気的に絶縁されている。
【0098】
第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板の各々の電気的機能は、互いに異なる。このような第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板の各々は、いずれも第1基板部品100を部品として備え、第1基板部品100に対して上記製造方法を実行することにより、製造され得る。
【0099】
実施の形態1によれば、第1回路基板104、第2回路基板105、及び第3回路基板を量産する場合にも、第1基板部品100を共通する部品として使用でき、また最終的製造されるべき回路基板を製造方法におけるロット毎又はロット内の基板毎に切り替えることも可能である。
【0100】
また、実施の形態1によれば、回路基板の開発時において回路設定が未定である電子部品の評価を行う場合に、当該電子部品が実装されるパッド間が電気的に接続されている構造を第1回路基板104として、当該電子部品が実装されている構造を第2回路基板105として、当該電子部品が実装されるパッド間が電気的に絶縁されている構造を第3回路基板として、容易に試作できる。さらに実施の形態1によれば、試作評価にて回路設定が決定した後、試作した回路基板の設計をそのまま量産適用できる。そのため、実施の形態1によれば、開発から量産に至るプロセスにおいて、経済的コストの増大を抑制でき、かつ環境負荷の増大をも抑制できる。
【0101】
実施の形態2.
図15を参照して、実施の形態2に係る第1基板部品110について説明する。実施の形態2に係る第1基板部品110は、特に説明しない限り、上記の実施の形態1に係る第1基板部品100と同一の構成及び効果を有している。したがって、上記の第1基板部品100と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0102】
図15に示されるように、第1基板部品110では、第1ランド4は、第1パッド2と電気的に接続されていない。同様に、第2ランド5は、第2パッド3と電気的に接続されていない。言い換えると、第1ランド4及び第2ランド5は、第1パッド2及び第2パッド3を含む回路とは異なる回路に含まれている。
【0103】
このような第1基板部品110によれば、第1基板部品110を用いて製造される第1回路基板と、第1基板部品110を用いて製造される第2回路基板との間で、電気的に接続される回路を切り替えることができる。
【0104】
第1基板部品110は、例えばDC電圧変換回路に用いられる回路基板を製造するための部品として好適である。例えば、DC電圧変換回路において、外部電源装置により既定電圧の給電がされる使用条件に対応する回路基板には、レギュレータIC部品が実装されておらず、電圧が正常範囲に入ったことを示す電圧監視回路が形成されている回路基板が使用され得る。このような回路基板として、第1基板部品110を用いて製造された第1回路基板が好適である。他方、既定電圧外の給電がされる使用条件に対応する回路基板には、レギュレータIC部品が実装されており、上記電圧監視回路が切断されている回路基板が使用され得る。このような回路基板として、第1基板部品110を用いて製造された第2回路基板が好適である。つまり、第1基板部品110を用いて第1回路基板又は第2回路基板を製造する場合には、電子部品としてレギュレータICが実装されているか否か及び電圧監視回路が形成されているか否かを、同時に切り替えられ得る。第1基板部品110は、互いに回路の仕様の異なる2つの回路基板を製造し得る共通の部品として特に有用である。
【0105】
なお、実施の形態2に係る第1基板部品110を実施の形態1と同様に加工することにより、実施の形態2に係る第2基板部品、第3基板部品、または第4基板部品が形成され得る。実施の形態2に係る第1回路基板、第2回路基板、及び第3回路基板の各々は、実施の形態2に係る第1基板部品110を用いて製造され得る。
【0106】
実施の形態3.
図16~
図18を参照して、実施の形態3に係る第1基板部品120、及び第2基板部品121A,121Bについて説明する。実施の形態3に係る第1基板部品120及び第2基板部品121A,121Bは、特に説明しない限り、上記の実施の形態1に係る第1基板部品100及び第2基板部品101と同一の構成及び効果を有している。したがって、上記の第1基板部品100及び第2基板部品101と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0107】
図16に示されるように、第1基板部品120において、第1ランド4及び第2ランド5は、第1パッド2及び第2パッド3との間に配置されていない。基材1の第1面1Aは、保護膜6から露出する露出部分を有していない。
【0108】
図17及び
図18に示されるように、実施の形態3においては、2種類の第2基板部品121A,121Bが存在する。第2基板部品121A,121Bの各々は、第1基板部品120と、第3ソルダーマスク7C又は第4ソルダーマスク7Dとを備える。
【0109】
図17に示されるように、第2基板部品121Aは、第3ソルダーマスク7Cを備えている。第2基板部品121の第3ソルダーマスク7Cには、少なくとも第3開口部73が形成されている。第2基板部品121の第3ソルダーマスク7Cには、第2基板部品101の第1ソルダーマスク7Aと同様に、第1開口部71及び第2開口部72が形成されていてもよい。
【0110】
図17に示される第2基板部品121Aは、電子部品が実装されておらず第1ランド4と第2ランド5とが第3導電部材83Cを介して電気的に接続されている第1回路基板を製造するための部品である。
【0111】
図18に示されるように、第2基板部品121Bは、第3ソルダーマスク7Cとは異なる第4ソルダーマスク7Dを備えている。第4ソルダーマスク7Dには、第1開口部71及び第2開口部72のみが形成されており、第3開口部73は形成されていない。
【0112】
図18に示される第2基板部品121Bは、電子部品が実装されており第1ランド4と第2ランド5とが電気的に絶縁されている第2回路基板を製造するための部品である。
【0113】
実施の形態3においては、電子部品が第1ランド4及び第2ランド5の上面上に配置されないため、第1ランド4及び第2ランド5の上面上において溶融した第3熱溶融性導電部材83Aの形状は、電子部品の有無によって変化しない。そのため、実施の形態3においては、実施の形態1のように、電子部品を第3熱溶融性導電部材83A上に配置するか否かのみによって、最終的に製造される回路基板を切り替えることは不可能である。
【0114】
他方、第3ソルダーマスク7C又は第4ソルダーマスク7Dを配置することのみにより、最終的に製造される回路基板を切り替えることは可能である。
【0115】
そのため、実施の形態3においても、実施の形態1と同様の理由により、第1回路基板、第2回路基板、及び第3回路基板の製造コストの増大を抑制可能である。
【0116】
実施の形態4.
図19を参照して、実施の形態4に係る第2基板部品131について説明する。実施の形態4に係る第2基板部品131は、特に説明しない限り、上記の実施の形態3に係る第2基板部品121と同一の構成及び効果を有している。したがって、上記の第2基板部品121と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0117】
図19に示されるように、第2基板部品121において、第1ランド4及び第2ランド5は、第1パッド2及び第2パッド3との間に配置されていない。基材1の第1面1Aは、保護膜6から露出する露出部分を有していない。第3開口部73の開口面積は、第1ランド4及び第2ランド5の各々の上面の上記露出部分の面積と同等である。言い換えると、第3開口部73の開口面積は、第3開口部73内に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aが溶融したときに、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが中間部分60を跨いで第1ランド4及び第2ランド5を電気的に接続するブリッジを形成しないように、設定されている。
【0118】
第2基板部品121は、第1方向DR1において第1パッド2及び第2パッド3の間に配置されている部分を有し、第2方向DR2において第1ランド4及び第2ランド5の各々と間隔を空けて配置されている第3ランド10をさらに備える。
【0119】
第2基板部品121において、第1パッド2、第2パッド3、第1ランド4、及び第2ランド5の各々は、互いに電気的に接続されていない。
【0120】
保護膜6には、第3ランド10の上面の少なくとも一部を露出させる保護膜開口部65が形成されている。
【0121】
第3ソルダーマスク7Cには、第1開口部71、第2開口部72、第3開口部73、及び平面視において保護膜開口部65と重なる第4開口部74が形成されている。保護膜開口部65及び第4開口部74の各々の少なくとも一部は、平面視において電子部品9と重なるように配置されている。第4開口部74の少なくとも一部は、平面視において電子部品9よりも第3開口部73側に突出するように配置されている。
【0122】
第4開口部74の開口面積は、保護膜開口部65の開口面積よりも大きい。好ましくは、第4開口部74の開口面積は、保護膜開口部65の開口面積の1.5倍以上3倍以下である。平面視において、第4開口部74と第3開口部73との間の距離は、保護膜開口部65と第3開口部73との間の距離よりも短い。第4開口部74と第3開口部73との間の距離は、第4開口部74と第1開口部71との間の距離よりも短い。第4開口部74と第3開口部73との間の距離は、第4開口部74と第2開口部72との間の距離よりも短い。
【0123】
第2基板部品121の第3ソルダーマスク7Cの各開口部内に熱溶融性導電部材が塗布されることにより、
図20に示される第3基板部品132が形成される。第3基板部品132は、第4開口部74内に塗布された第4熱溶融性導電部材84を有している。第4熱溶融性導電部材84は、第3ランド10の上面上に配置される。
【0124】
実施の形態4において、第2基板部品121は、電子部品9が第1パッド2及び第2パッド3上に実装されており、かつ導電部材が第1ランド4と第2ランド5との間を電気的に接続している第4回路基板135(
図21参照)を製造するための部品となり得る。また、第2基板部品121は、電子部品9が第1パッド2及び第2パッド3上に実装されておらず、かつ第1ランド4が第2ランド5と電気的に絶縁されている第3回路基板136(
図22参照)を製造するための部品となり得る。
【0125】
具体的には、第3ランド10上に塗布された第4熱溶融性導電部材84Aがその上に電子部品9が配置されている状態において溶融した場合には、第4熱溶融性導電部材84Aは、第2方向DR2に広がり、第1ランド4及び第2ランド5の上面上の第3熱溶融性導電部材83Aと接触してこれと合体する。その結果、
図21に示されるように、電子部品9が第1パッド2及び第2パッド3上に実装されており、かつ第4導電部材84Cが第1ランド4及び第2ランド5間を電気的に接続している第4回路基板135が製造され得る。なお、第4開口部74と第3開口部73との間の距離は、第4開口部74と第1開口部71との間の距離及び第4開口部74と第2開口部72との間の距離よりも短い。そのため、第4熱溶融性導電部材84Aは、第1パッド2の上面上の第1熱溶融性導電部材及び第2パッド3の上面上の第2熱溶融性導電部材とは接触しない。
【0126】
他方、第3ランド10上に塗布された第4熱溶融性導電部材84Aがその上に電子部品9が配置されていない状態において溶融した場合には、第4熱溶融性導電部材84Aは、第2方向DR2に広がらず、第1ランド4及び第2ランド5の上面上の第3熱溶融性導電部材83Aと接触しない。上述のように、第3開口部73の開口面積は、第3開口部73内に塗布された第3熱溶融性導電部材83Aが溶融したときに、溶融した第3熱溶融性導電部材83Aが中間部分60を跨いで第1ランド4及び第2ランド5を電気的に接続するブリッジを形成しないように、設定されている。そのため、溶融した第3熱溶融性導電部材83A単体では、中間部分60を跨いで第1ランド4及び第2ランド5間を電気的に接続し得ない。その結果、
図22に示されるように、電子部品9が第1パッド2及び第2パッド3上に実装されておらず、かつ第1ランド4が第2ランド5と電気的に絶縁されている第3回路基板136が製造され得る。
【0127】
上述のように、実施の形態1においては、電子部品9が実装される場合に第1ランド4が第2ランド5と電気的に絶縁され、電子部品9が実装されない場合に第1ランド4が第2ランド5と電気的に短絡する。これに対し、実施の形態4によれば、電子部品9が実装される場合に第1ランド4と第2ランド5とが電気的に短絡し、電子部品9が実装されない場合に第1ランド4が第2ランド5と電気的に絶縁される。このように、実施の形態4によれば、電子部品9が実装されるか否かに基づいて製造されるべき回路基板の切り替えを可能としながらも、実施の形態1とは逆転した切り替えを可能とする。
【0128】
なお、実施の形態1~4に係る各基板部品は、1つの基板部品内において互いに組み合わせられ得る。例えば、実施の形態4に係る第2基板部品121は、実施の形態1に係る第2基板部品101と組み合わせされ得る。すなわち、1つの基板部品の第1領域が実施の形態1に係る第2基板部品101と同様の構成を有し、当該1つの基板部品の第1領域とは異なる第2領域が実施の形態4に係る第2基板部品131と同様の構成を有していてもよい。このように実施の形態1~4のそれぞれを任意に組み合わせることにより、回路の切り替えの自由度を大幅に高めることができる。
【0129】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0130】
1 基材、1A 第1面、1A1 第1周辺領域、1A2 第2周辺領域、1A3 第3周辺領域、1A4 第4周辺領域、2 第1パッド、3 第2パッド、4 第1ランド、5 第2ランド、6 保護膜、6A1 第5周辺領域、6A2 第6周辺領域、7A 第1ソルダーマスク、7B 第2ソルダーマスク、7C 第3ソルダーマスク、7D 第4ソルダーマスク、9 電子部品、10 第3ランド、41,51 第1部分、42,52 第2部分、43,53 第3部分、60 中間部分、61,62,63,64 開口部分、65 保護膜開口部、71 第1開口部、72 第2開口部、73 第3開口部、74 第4開口部、81A 第1熱溶融性導電部材、81B,81C 第1導電部材、82A 第2熱溶融性導電部材、82B,82C 第2導電部材、83,83A 第3熱溶融性導電部材、83B,83C 第3導電部材、83C1,83C2 導電部材、84A 第4熱溶融性導電部材、84C 第4導電部材、91 第1電極、92 第2電極、93 胴部、100,110,120 第1基板部品、101,121,121A,121B,131 第2基板部品、102,132 第3基板部品、103 第4基板部品、104 第1回路基板、105 第2回路基板、135 第4回路基板、136 第3回路基板。